説明

ポ―タブルディスクプレイヤ

【課題】本体機能を制限することなく動作させる通常モードと本体機能を制限して動作させることによって消費電力を低減した節電モードを切り換えられるようにすることで、多機能装置としての通常使用と十分な電池寿命が得られる節電使用が選択できるポータブルディスクプレイヤ装置を提供する。
【解決手段】ポータブルディスクプレイヤ1は、節電モードでの使用時には、BEEP音による報知機能の停止、液晶表示部5における表示時間の短縮、レジューム機能およびランダム再生機能の停止、最大音量の制限が行われる。これにより、ポータブルディスクプレイヤ1における消費電力を低減することができる。なお、通常モードで使用することで上記機能が利用できる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この発明は、CDやMD等のディスクに記録されているオーディオ情報を再生するポータブルディスクプレイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、CDやMD等のディスクに録音(記録)されている音声情報や音楽情報等のオーディオ情報を再生し、装置本体に接続されたイヤホンから再生したオーディオ情報を出力する携帯用のポータブルディスクプレイヤがある。最近では、装置本体とイヤーパッドとを接続するケーブルの途中に装置本体の動作の切り換え操作が行えるリモコン装置を設けたものが提案されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、ポータブルディスクプレイヤは携帯用であることから、動作電源を電池で供給する構成を採用している。また、装置本体は携帯便利な小型、軽量であるものが望まれるため、装置本体に動作電源を供給するための上記電池も比較的容量が小さい小型、軽量のものを使用しており、電池寿命を延ばすために、装置本体の消費電力を低減させる技術の開発がすすめられている。
【0004】
既に提案されている消費電力を低減させる技術としては、表示器等の放置手段の動作を制限したものがあるが(例えば、特開平5−292579号公報等)、消費電力をさらに低減させる技術が望まれている。
【0005】
この考案の目的は、本体機能を制限することなく動作させる通常モードと本体機能を制限して動作させることによって消費電力を低減した節電モードを切り換えられるようにすることで、多機能装置としての通常使用と十分な電池寿命が得られる節電使用が選択できるポータブルディスクプレイヤ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この考案は、装置本体に接続され、液晶表示部および装置本体の動作を切り換える操作部を有するリモコンを備え、 CDやMD等のディスクに記録されたオーディオ情報を再生するポータブルディスクプレイヤにおいて、 装置本体の動作モードの切り換えを行う動作モード切換手段を備え、 上記動作モードは、本体機能を制限しない通常モードおよび本体機能を制限した節電モードである。
【0007】
また、前記節電モードは、制限される本体機能の違いによってランク分けされており、 前記動作モード切換手段は、節電モードの選択時に上記ランクを指定する手段を含む。
【0008】
また、節電モード時には、前記液晶表示部における表示機能、前記操作部のキーが操作されたことを報知する報知機能、動作開始時に前回の動作停止時における再生位置からオーディオ情報の再生を開始するレジューム機能、前記ディスクに対して再生位置をランダムに設定するランダム再生機能、再生されたオーディオ情報の音量を調整するボリューム機能の内、少なくとも1つ以上の本体機能が制限される。
【0009】
また、節電モードは、少なくとも前記表示機能を制限するモードである。
【0010】
さらに、前記動作モード切換手段は、前記表示機能、報知機能、レジューム機能、ランダム再生機能、ボリューム機能について、個別に制限するかどうかを設定する手段である。
【0011】
上記の構成では、動作モード切換手段により本体機能を制限することなく動作させる通常モードと本体機能を制限して動作させる節電モードとの切り換えが行われる。したがって、ユーザは通常モードを選択することにより本体機能を制限することなく使用でき、また、節電モードを選択することによって十分な電池寿命を得ることができる。すなわち、ユーザは自分の好みや使用環境に応じて動作モードを選択することができる。
【0012】
【考案の実施の形態】
図1は、この発明の実施形態であるポータブルディスクプレイヤの外観を示す図である。ポータブルディスクプレイヤ1(以下、本体装置1と言う場合もある。)には、音声情報や音楽情報等のオーディオ情報を記録したディスク(CD(Compact Disk)やMD(Mini Disk)等)(不図示)が挿入される。本体装置1には、動作電源を供給するための電池が収納される。2は、ケーブルを介して本体装置1に接続されたリモコン装置である。図2は、リモコン装置の外観を示す図である。リモコン装置2には液晶表示部5および複数の操作キー6が設けられている。液晶表示部5のバックライトはELシートであり、ELシートを点灯させる電源は本体装置1に収納されている電池である。さらに、リモコン装置2にはケーブルを介してイヤーパッド3が接続されており、本体装置1から出力されたオーディオ情報がリモコン装置2を介してイヤーパッド3から出力される。
【0013】
図3は、ポータブルディスクプレイヤの構成を示すブロック図である。11は装置本体の動作を制御する制御部、12は2つのモータ13、14を制御するモータ制御部(モータCNT)、15はディスクに記録されているオーディオ情報をピックアップするヘッド、16はヘッド15でピックアップしたオーディオ情報の読み取りを行う読取部である。モータ13は装置本体1に挿入されたディスクを回転させるためのモータであり、モータ14はヘッド15を移動させてディスクの再生位置に対向させるためのモータである。また、17はMDから読み取ったオーディオ情報を出力する音声出力部、18はリモコン装置2との間で入出力される信号のインタフェース(I/F)である。20は、上記各部に動作電源を供給する電池である。
【0014】
次に、この実施形態にかかるポータブルディスクプレイヤ1の動作について説明する。この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1は、通常モードと消費電力を低減した節電モードで動作させることができる。まず、通常モードにおける動作について説明する。
【0015】
この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1は、リモコン装置2に設けられている操作キー6の操作により再生開始/停止、音量調整等を行うことができる。なお、操作キー6の操作により発生した制御信号は、I/F18を介して制御部11に入力される。また、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1はリモコン装置2に設けれている操作キー6が操作されると、音声出力部17からBEEP音を出力する報知機能を有している。上記BEEP音はリモコン装置2を介してイヤーパッド3から出力される。
【0016】
ポータブルディスクプレイヤ1は、再生動作の開始指示があると、モータ13により本体に挿入されているディスクを回転させるとともに、モータ14によってヘッド15をディスクの再生位置に移動させる。ヘッド15がディスクからピックアップしたオーディオ情報は読取部18を介して制御部11に入力される。
制御部11には、上記オーディオ情報を一時的に保持するメモリが設けられている。このメモリに保持されたオーディオ情報は、保持された順番に音声出力部17においてアナログ信号に変換されて出力される。装置本体1から出力されたオーディオ情報は、リモコン装置2を介してイヤーパッド3から出力される。
【0017】
上記オーディオ情報信号を一時的に保持するメモリは、約40秒間(再生時間)のオーディオ情報を記憶することができる。この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1は再生速度(イヤーパッド3から出力する速度)の約2倍の速度でディスクからオーディオ情報を読み取ることができる。したがって、ディスクからのオーディオ情報の読み取りを開始してから約40秒で上記メモリが一杯になる。ポータブルディスクプレイヤ1はメモリが一杯になるとディスクからのオーディオ情報の読み取りを一時停止する。なお、イヤーパッド3からのオーディオ情報の出力を停止することはなく、上記メモリに保持しているオーディオ情報をイヤーパッド3から出力する(イヤーパッド3から出力されるオーディオ情報が途切れることはない。)。また、ポータブルディスクプレイヤ1は上記メモリに保持されている未再生のオーディオ情報が約10秒分になると停止していたディスクからのオーディオ情報の読み取りを再開し、上記メモリが再度一杯になるとディスクからのオーディオ情報の読み取りを停止する。
【0018】
ところで、ディスクからのオーディオ情報の読み取りを一時停止している間、モータ13を回転させておく必要がないため、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1では、この間モータ13を停止させるようにした。すなわち、モータ13を無駄に回転させることがなく、装置本体1における消費電力を低減させている。また、装置本体1に加わった振動により、ヘッド15がディスクの再生位置からずれた場合であっても、イヤーパッド3からは上記メモリに保持されているオーディオ情報が出力されるので、このような場合にもイヤーパッド3から出力されるオーディオ情報が途切れることはない。なお、ヘッド15が再生位置からずれたときには、モータ14がヘッド15を適当な位置(再生位置)に戻し、ディスクからのオーディオ情報の読み取りを行う。
【0019】
また、リモコン装置2の液晶表示部5は、オーディオ情報の再生時に常に表示を行っているのではなく、操作キー6が操作されてから一定時間だけ表示を行う構成であり、この表示を行うときだけバックライトであるELシートを点灯させる。これにより、バックライトの点灯によって無駄に電力が消費されないようにしている。バックライトを点灯させる時間(表示を行う時間)は約5秒である。
【0020】
また、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1は、リモコン装置2において再生停止の操作が行われると、このときのディスクにおける再生位置をメモリに書き込み、次回の再生動作時にはメモリに記憶した再生位置からオーディオ情報の再生を行う公知のレジューム機能も有している。さらに、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1はディスクに記録されている音楽(曲)を再生する順番をランダムに設定する公知のランダム再生機能も有している。
【0021】
次に、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1の節電モードにおける動作について説明する。まず、上記の通常モードと節電モードとを切り換える処理について説明する。図4は、通常モードと節電モードとを切り換える処理を示すフローチャートである。リモコン装置2において所定の操作キー6が操作されると(n1)、装置本体1はセットアップモードに移行する(n2)。n2では、リモコン装置2の液晶表示部5に現在の動作モード(通常モードまたは節電モード)が表示される。この後、装置本体1は動作モードの設定入力を受け付け(n3)、上記入力に基づいて動作モードを設定してn1に戻る(n4)。n3では、ユーザが所定の操作キー6を操作することで通常モードと節電モードとの切り換えを行う。
【0022】
以下、節電モードにおける装置本体1の動作について説明する。節電モード時におけるオーディオ情報の再生処理も上記の通電モード時と略同様であるが、以下に示す点で異なる。上記したように、通常モードではリモコン装置2の操作キー6が操作されたときに、約5秒間バックライトであるELシートを点灯させて、液晶表示装置5における表示を行うとしたが、節電モードではELシートを点灯させる時間を約1秒に短縮している。これにより、ELシートの点灯によって消費される電力量を低減することができる。なお、液晶表示部5では約1秒間の表示が行われるので、表示された内容が確認できないという問題も生じない。
【0023】
また、節電モードでは上記の報知機能が停止され、リモコン装置2の操作キー6を操作したときにBEEP音による報知が行われない。これにより、上記BEEP音の報知によって消費されていた電力も節電される。また、節電モードではレジューム機能およびランダム再生機能も停止される。レジューム機能を停止することにより、再生動作の停止時にこの時点におけるディスクの再生位置をメモリに書き込む必要がなくなり、ディスクの再生位置をメモリに書き込む処理に必要な電力の節電が行える。なお、節電モードでは再生動作の開始指示があると、ディスクの先頭からオーディオ情報の再生を開始する。また、ランダム再生機能は、上記したように、ディスクに記録されている曲の再生する順番をランダムに設定するため、例えばヘッド15をディスクに記録されている1曲目の位置から10曲目の位置まで移動させることがあり、モータ14によるヘッド15の移動量が大きい。節電モードでは、このランダム再生機能を停止することでヘッド15の移動量が少なくなるため、モータ14で消費される電力量を低減することができる(節電が行える。)。なお、節電モードではランダム再生機能が停止されているため、ディスクに記録されている順番に曲の再生が行われる。さらに、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1では、節電モード時の最大音量を通常モード時の約8割に制限することで消費電力を低減している。
【0024】
このように、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1の節電モードでは、BEEP音による報知機能の停止、液晶表示部5における表示時間の短縮、レジューム機能の停止、ランダム再生機能の停止および最大音量の制限によって消費電力が低減される。特に、ELシートの点灯によって消費される電力量が大きいため、液晶表示部5における表示時間を制限するだけでも、消費電力を大幅に低減することができる。
【0025】
なお、この実施形態のポータブルディスクプレイヤ1では、通常モードと節電モードとを自由に切り換えられるようにしているので、通常モードで使用することによりレジューム機能やランダム再生機能等を利用することができる。すなわち、消費電力を低減するために、ポータブルディスクプレイヤ1の機能を低下させたわけではない。
【0026】
上記実施形態のポータブルディスクプレイヤ1では、節電モードに、BEEP音による報知機能の停止、液晶表示部5における表示時間の短縮、レジューム機能の停止、ランダム再生機能の停止および最大音量の制限を行うことで、消費電力を低減させるとしたが、上記5項目について個別に設定できるようにしてもよい。また、停止または制限する項目の組み合わせによって予めランク分けしておき、節電モードの選択時に前記ランクを指定させるようにしてもよい。例えば、液晶表示部5における表示時間が短縮されるだけで、上記残りの4項目については停止または制限が行われないランクA、BEEP音による報知機能の停止および液晶表示部5における表示時間の短縮を行い、残りの3項目については停止または制限が行われないランクB等を予め設定しておき、節電モードの選択時にユーザにランクを指定させるようにしてもよい。このようにすれば、装置本体1を節電モードで使用しながらレジューム機能やランダム再生機能を利用することもできる。
【0027】
【考案の効果】
以上のように、この考案によれば、本体機能を制限することなく動作させる通常モードと、本体機能を制限して動作させる節電モードと、の切り換えが行える。したがって、ユーザは通常モードを選択することにより本体機能を制限することなく使用でき、また、節電モードを選択することによって十分な電池寿命を得ることができる。すなわち、ユーザは自分の好みや使用環境に応じて装置本体を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるポータブルディスクプレイヤの外観を示す図である。
【図2】リモコン装置の外観を示す図である。
【図3】ポータブルディスクプレイヤの構成を示すブロック図である。
【図4】ポータブルディスクプレイヤの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−ポータブルディスクプレイヤ(本体)
2−リモコン装置
3−イヤーパッド
5−液晶表示部
6−操作キー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 装置本体に接続され、液晶表示部および装置本体の動作を切り換える操作部を有するリモコンを備え、CDやMD等のディスクに記録されたオーディオ情報を再生するポータブルディスクプレイヤにおいて、装置本体の動作モードの切り換えを行う動作モード切換手段を備え、上記動作モードは、本体機能を制限しない通常モードおよび本体機能を制限した節電モードであるポータブルディスクプレイヤ。
【請求項2】 前記節電モードは、制限される本体機能の違いによってランク分けされており、前記動作モード切換手段は、節電モードの選択時に上記ランクを指定する手段を含む請求項1に記載のポータブルディスクプレイヤ。
【請求項3】 節電モード時には、前記液晶表示部における表示機能、前記操作部のキーが操作されたことを報知する報知機能、動作開始時に前回の動作停止時における再生位置からオーディオ情報の再生を開始するレジューム機能、前記ディスクに対して再生位置をランダムに設定するランダム再生機能、再生されたオーディオ情報の音量を調整するボリューム機能の内、少なくとも1つ以上の本体機能が制限される請求項1または2に記載のポータブルディスクプレイヤ。
【請求項4】 節電モードは、少なくとも前記表示機能を制限するモードである請求項3に記載のポータブルディスクプレイヤ。
【請求項5】 前記動作モード切換手段は、前記表示機能、報知機能、レジューム機能、ランダム再生機能、ボリューム機能について、個別に制限するかどうかを設定する手段である請求項3に記載のポータブルディスクプレイヤ。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【登録番号】第3060892号
【登録日】平成11年(1999)6月16日
【発行日】平成11年(1999)9月7日
【考案の名称】ポ―タブルディスクプレイヤ
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平11−180
【出願日】平成11年(1999)1月19日
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)