説明

ポケット形エアフィルター

【課題】従来のポケット形エアフィルターにおける、使用後の分別廃棄時の分解に手間がかかる問題、及び製造時の接着剤使用による作業環境の悪化と接着剤固化時間がかかり生産性が上がらない問題を解決する。
【解決手段】袋状フィルター濾材1の開口部縁部4の補強布5を格子状内枠8の外周囲枠10の側面方向に折り返し補強布を両面テープ11に貼り付け、格子状外枠12のツメ15を格子状内枠の側面に押し曲げ格子状内枠と格子状外枠とを固定した構造にして、格子状外枠のツメを外側に起すだけで袋状フィルター濾材を取り付けた格子状内枠を取り外すことができるといった簡単な方法で取り付け取り外しができ、且つ袋状フィルター濾材の開口部縁部及び補強布を格子状内枠の両面テープから取り外すだけといった簡単な方法で、格子状内枠・外枠と袋状フィルターろ材を容易に分別できるポケット形エアフィルターを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工場空調、ビル空調あるいはガスタービン吸気などのプレフィルターあるいは中高性能フィルターとして使用されるポケット形エアフィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のポケット形エアフィルターは、一体式の取り付け枠と、複数枚の袋状フィルター濾材からなり、接着剤を使用して袋状フィルター濾材を1枚ずつ取り付け枠に接着している。使用後は取り付け枠と袋状フィルター濾材を一体にて廃棄処分している。
【0003】
上記の袋状フィルター濾材接着工程において接着剤に有機溶剤が含まれており、ポケット形エアフィルター製作時の作業環境が劣悪であり、別途局所排気等の処置が必要でコスト高となっていた。また、接着剤が固化するまでに時間がかかり、生産性が上がらない問題があった。
【0004】
また、使用後のエアフィルターを処分する際にも、取り付け枠とフィルター濾材が強固に接着されているため、例えば分別廃棄を実施する際に、金属製の取り付け枠と、ガラス繊維又は合成繊維製のフィルター濾材を分解するのに非常に手間がかかっていた。
上記の問題を解決するため、接着剤を使用せずに、取り付け枠を二重構造としてフィルター濾材をはめ合わせる方法がある。しかし本方法でははめ合わせたフィルター濾材を固定するヘッダー部品が別途必要となり、コスト高となる問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず本発明の目的は、接着剤を使用することなく取り付け枠に袋状フィルター濾材を複数個取り付けられるようにしたポケット形エアフィルターを提供しようとしたものである。
【0006】
次に本発明の目的は、取り付け枠に複数個の袋状フィルター濾材を簡単な作業で容易に組み立てられるようにしたポケット形エアフィルターを提供しようとしたものである。
【0007】
さらに本発明の目的は、取り付け枠から袋状フィルター濾材を簡単に取り外し可能にし且つ容易に分別廃棄できるようにしたポケット形エアフィルターを提供しようとしたものである。
【0008】
また本発明の目的は、袋状フィルター濾材の寿命を長寿命となるように取り付けられるようにしたポケット形エアフィルターを提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の解決手段は、複数個連接した袋状フィルター濾材と袋状フィルター濾材を支持固定する格子状内枠と格子状内枠に嵌合する格子状外枠とから構成したことを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第2の解決手段は、格子状内枠の側面に貼り付けた両面テープにより袋状フィルター濾材を格子状内枠に保持するようにしたことを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第3の解決手段は、格子状外枠のツメを格子状内枠の外面に折り返すことにより格子状内枠を固定するようにしたことを特徴としたものである。
【0012】
ここで、袋状フィルター濾材は2枚の長方形の濾材を重ね合わせ、一側縁を除いて他の側縁部を覆い布で挟み覆い布の上から糸で縫い合わせて袋状にしたものである。
【0013】
袋状フィルター濾材の一側縁は気体流入口の機能を有する開口部が形成されている。さらにこの開口部縁部には補強布が縫い付けられ濾材と一体化されている。そして隣接した開口部縁部は補強布と共に糸で縫い合わされ複数個の袋状フィルター濾材が連結縫製されている。さらに袋状フィルター濾材には長、短尺縫合線が設けられ、袋状フィルター濾材が送風により膨んでも互いに接触し、気流が流れにくくなったり、濾材面が摩擦や損傷したりするのを防止している。
【0014】
そして本発明に使用される袋状フィルター濾材は例えば部材としては、ガラスマット、合成繊維不織布またはメルトブロー法による極細繊維とガラスマットの積層品、混紡品または極細繊維と合成繊維不織布の積層品、混紡品などが使用できる。
【0015】
また濾材密度は従来より袋状フィルター濾材として使用されてきたものがそのまま使用でき、特に限定されるものではない。一般的には50〜370g/mで、その中でも60〜200g/mがさらに良い。
濾材の厚みも、従来の袋状フィルター濾材として使用されてきたものがそのまま使用でき、特に限定されるものではない。一般的には5〜20mmで、その中でも5〜10mmがさらに良い。
【0016】
そして、覆い布の幅は濾材の側縁部がほぐれることなく、気流の流れに障害とならない程度の細いものが好ましい。さらに袋状フィルター濾材に合成繊維不織布を使用した場合は、縫製の代わりに熱溶着加工を行うことも可能である。
【0017】
次に格子状内枠は袋状フィルター濾材の数に1つ少ない数の格子桟と外周囲枠とからなり、格子桟と外周囲枠とも凸部あるいはコの字状あるいは矩形状枠となっている。そして外周囲枠の側面には全周又は部分的に両面テープが貼り付けられている。さらにエアーの流れの下流側方向より格子状内枠を袋状フィルター濾材に嵌め込んだとき、格子状内枠の上面が袋状フィルター濾材の開口部縁部及び補強布に当接するようになっている。この状態から開口部縁部及び補強布を格子状内枠の外周囲枠の側面方向に折り返して開口部縁部及び補強布を両面テープに貼り付けることにより、格子状内枠に袋状フィルター濾材がシワ等がなく保持されるようになっている。
ここで格子状内枠の形状を凸部あるいはコの字状あるいは矩形状としたがこれに限定されることなく、格子状内枠の形状は格子状外枠に嵌合した時、袋状フィルター濾材の開口部縁部および補強布に当接するように形成されていれば種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【0018】
次に格子状外枠の両側面には折り曲げ自由な各々2つのツメが一体に形成され、ツメの長さは格子状外枠を格子状内枠に嵌合して内側に折り曲げた時格子状内枠の側面まで延びる長さとなっている。
【0019】
次に組み立て手順について説明する。まず複数個連接した袋状フィルター濾材の後方から格子状内枠を嵌め込み、格子状内枠の外周囲枠と格子桟の上面を袋状フィルター濾材の開口部縁部及び補強布にあてがう。次に開口部縁部及び補強布を格子状内枠の外周囲枠の側面方向に折り返し開口部縁部及び補強布を両面テープに貼り付け保持する。次に袋状フィルター濾材の前方向から格子状外枠を格子状内枠に嵌めこむ。そして、格子状外枠のツメを格子状内枠の側面に折り曲げ格子状内枠と格子状外枠とを確実に固定して組み立てる。
【0020】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。すなわちポケット形エアフィルターは袋状フィルター濾材の開口部縁部の補強布を格子状内枠の外周囲枠の側面方向に折り返し補強布を両面テープに貼り付け保持し、さらに格子状外枠のツメを格子状内枠の外面に押し当て格子状内枠と格子状外枠とを固定した構造であるので、上流側からの強い気流の圧力変動や振動あるいは気流の乱れなどにより外力を受けフィルター濾材が離脱することがないようになっている。またフィルター濾材の開口部に流入した気流により袋状フィルター濾材が膨らむが、袋状フィルター濾材は糸で縫い合わせられているので、袋状フィルター濾材の隣同士が接近することによる摩擦や損傷が防止される上、通風時の有効濾過面積が小さくなるのが防止できるものである。
【0021】
次に長時間の通風により袋状フィルター濾材が目詰まりあるいは所定の使用時間が経過した際には格子状外枠のツメを外側に起し、格子状内枠から取り外す。その後、袋状フィルター濾材の開口部縁部及び補強布を格子状内枠の両面テープから取り外せば済むといった簡単な方法で分別廃棄を可能にしたものである。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明のポケット形エアフィルターは次のような効果が得られる。
(1)格子状外枠のツメを外側に起すだけで袋状フィルター濾材を取り付けた格子状内枠を取り外すことができるといった簡単な方法で取り付け取り外しができる。
(2)袋状フィルター濾材の取り外しは開口部縁部の補強布を格子状内枠の両面テープから取り外すだけといった簡単な方法で可能にしたものである。
(3)袋状フィルター濾材の開口部縁部の補強布を格子状内枠の両面テープに貼り付け保持したので、気密性を向上させるといった効果をもつものである。
(4)袋状フィルター濾材の固定が袋状フィルター濾材の開口部縁部の補強布を格子状内枠の両面テープに貼り合わせればよいといった簡単で且つ作業性に優れたもので、したがって能率的且つ経済的である。
(5)気流の通風時に袋状フィルター濾材が均一にふくらみ、濾過面を有効に利用することができる。
(6)分別廃棄の際にも容易に格子状外枠と格子状内枠及びフィルター濾材を分解でき、廃棄時の手間を大幅に削減することが出来る。
【発明の実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るポケット形エアフィルターを添付図面に基づいて説明する。
(実施形態)
1はガラス繊維からなる袋状フィルター濾材で2枚の長方形の濾材2、2’を重ね合わせ一側縁を除いて他の側縁部を覆い布3で挟み覆い布3の上から糸で縫い合わせて袋状にしたものである。また一側縁は気体流入口の機能を有する開口部が形成され、この開口部縁部4には補強布5が縫い付けられている。隣接した開口部縁部4は補強布5と共に糸で縫い合わされ複数個の袋状フィルター濾材1が連結縫製されている。さらに袋状フィルター濾材1には長尺縫合線6、短尺縫合線7が設けられている。
【0024】
次に8は格子状内枠で格子桟9と外周囲枠10とからなっている。そして格子桟9と外周囲枠10は凸部あるいはコの字あるいは矩形状となっている。さらに外周囲枠10の側面全周には両面テープ11が貼り付けられている。そして開口部縁部4および補強布はを格子状内枠8の外周囲枠10の側面方向に折り返して開口部縁部4および補強布5を両面テープ11に貼り付けることにより保持される。
【0025】
次に格子状外枠12は格子状内枠8の格子桟9と外周囲枠10とに対応する位置に形成された格子桟13と外周囲枠14からなっている。そして格子桟13と外周囲枠14は凹部状となっている。
【0026】
さらに格子状外枠12の外周囲枠14両側面には各々2つのツメ15が一体に形成されている。そして格子状外枠12を格子状内枠8に嵌合した状態で格子状外枠12のツメ15を格子状内枠8の外面に押し当てる。これにより格子状内枠8と格子状外枠12とが確実に密着固定されポケット形エアフィルターが形成される。
【0027】
なお、上記実施形態では1実施例を述べただけで、種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。例えば格子状外枠12のツメ15を格子状外枠12と一体に形成したとしているが、別部品のツメ15を格子状外枠12に取り付けても可能である。さらに両面テープは袋状フィルター濾材1を格子状内枠8に保持させる機能を持ったものであれば良く、例えば、マジックテープ、マグネットなどでも本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、工場、ビルあるいはガスタービンプラントなどの外気取り入れや空調などに使用される空気清浄用のポケット形エアフィルターで組み立て簡単且つ安価にして、袋状フィルター濾材の交換に際しては簡単な操作で分別廃棄できるようにした実用性甚だ大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のポケット形エアフィルターの分解斜視図である。
【図2】格子状内枠に袋状フィルター濾材の開口部縁部および補強布を両面テープで貼り付け保持した状態を示す図である。
【図3】ポケット形エアフィルターを組み立てた全体図である。
【図4】図3のA−A横断面図である。
【図5】図4のB部拡大図である。
【図6】図4のC部拡大図である。
【図7】図5の詳細図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・袋状フィルター濾材 8・・・格子状内枠
12・・・格子状外枠 11・・・両面テープ 15・・・ツメ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個連接した袋状フィルター濾材と格子状内枠と格子状外枠からなり、格子状内枠の側面に貼り付けた両面テープにより袋状フィルター濾材を格子状内枠に保持するようにしたポケット形エアフィルター。
【請求項2】
格子状外枠のツメを格子状内枠の外面に折り返すことにより格子状内枠を固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載のポケット形エアフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−154141(P2009−154141A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341942(P2007−341942)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】