ポジションセンサ
【課題】非接触によって、安定して2次元の傾倒操作ポジション、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができるポジションセンサを提供する。
【解決手段】レバースイッチ1は、回転操作、及びプッシュ操作可能に第2の保持部15に設けられ、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを指示する操作レバー17と、操作レバー17に設けられたZθ方向カウンター磁石8と、第2の保持部15の突出部19に設けられたXY方向カウンター磁石5と、第2の保持部15に設けられ、回転操作及びプッシュ操作による磁界の変化に基づいて第1の検出信号を出力するZθ方向MRセンサと、傾倒操作による磁界の変化に基づいて第2の検出信号を出力するXY方向MRセンサと、第1及び第2の検出信号に基づいて前記回転操作ポジション、プッシュ操作ポジション及び傾倒操作ポジションを判断する判断部と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】レバースイッチ1は、回転操作、及びプッシュ操作可能に第2の保持部15に設けられ、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを指示する操作レバー17と、操作レバー17に設けられたZθ方向カウンター磁石8と、第2の保持部15の突出部19に設けられたXY方向カウンター磁石5と、第2の保持部15に設けられ、回転操作及びプッシュ操作による磁界の変化に基づいて第1の検出信号を出力するZθ方向MRセンサと、傾倒操作による磁界の変化に基づいて第2の検出信号を出力するXY方向MRセンサと、第1及び第2の検出信号に基づいて前記回転操作ポジション、プッシュ操作ポジション及び傾倒操作ポジションを判断する判断部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジションセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、シフトレバーの変位に連動して変位するマグネット板と、対面して配置された板状の磁性体である一対の磁性板を有する第1のヨーク及び第2のヨークと、マグネット板の磁石から生じる磁束密度の変化を計測するための磁気検出素子とを備えた位置センサが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このマグネット板は、非磁性体である非磁性部分と、磁性体である磁石体とが、周方向に交互に配置された略扇状の板状部材からなっている。また、第1及び第2のヨークは、所定の間隙である第1及び第2の隙間を設けた状態で一対の磁性板を保持する第1及び第2のブリッジ部を備えている。
【0004】
この位置センサによると、シフトレバーの変位によってマグネット板が変位し、第1又は第2のヨークに収容される磁石体の数に応じて磁気検出素子で検出される磁束密度が段階的に変化するので、検出された磁束密度に基づいたシフトレバーのシフトポジションを検出することが可能になる。
【特許文献1】特開2007−40722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の位置センサによると、磁気検出素子で検出される磁束密度の変化の幅が小さく、外部磁場の影響によって検出精度が低下する可能性があった。
【0006】
従って本発明の目的は、非接触によって、安定して2次元の傾倒操作ポジション、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができるポジションセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は上記目的を達成するため、回転軸を中心に回転操作、及び前記回転軸の平行方向にプッシュ操作可能に支持部に設けられ、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを指示する操作指示部と、前記操作指示部に設けられ、前記回転軸に対して垂直方向に磁化され、第1の磁界を形成する第1の磁石と、前記操作部の傾倒操作に基づいて2次元の傾倒操作ポジションを指示し、前記2次元の傾倒操作ポジションに対して垂直方向に磁化され、第2の磁界を形成する第2の磁石と、前記支持部に設けられ、前記回転操作及びプッシュ操作による前記第1の磁界の方向変化に基づいて第1の検出信号を出力する第1のセンサ部と、前記傾倒操作による前記第2の磁界の方向変化に基づいて第2の検出信号を出力する第2のセンサ部と、前記第1及び第2の検出信号に基づいて前記回転操作ポジション、プッシュ操作ポジション及び前記2次元の傾倒操作ポジションを判断する判断部と、を備えたことを特徴とするポジションセンサを提供する。
【0008】
(2)本発明は上記目的を達成するため、前記第1及び第2のセンサ部は、4つのMRセンサが十字の各頂点に配置されていることを特徴とする前記(1)に記載のポジションセンサを提供する。
【0009】
(3)本発明は上記目的を達成するため、前記MRセンサは、感磁方向が直交する2つのMR素子から構成されることを特徴とする前記(2)に記載のポジションセンサを提供する。
【0010】
(4)本発明は上記目的を達成するため、前記第1及び第2のセンサ部は、対向する2つの前記MRセンサによってブリッジ回路を形成することを特徴とする前記(3)に記載のポジションセンサを提供する。
【0011】
(5)本発明は上記目的を達成するため、前記第1のセンサ部は、基板を有し、前記回転軸を前記基板に投影した投影線上に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記回転操作ポジションを検出し、前記投影線に垂直な方向に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記プッシュ操作ポジションを検出することを特徴とする前記(4)に記載のポジションセンサを提供する。
【0012】
(6)本発明は上記目的を達成するため、前記判断部は、前記対向する2つの前記MRセンサから差分出力される差分値の正、負及びゼロ値の組み合わせに基づいて前記傾倒操作ポジションを判断することを特徴とする前記(4)に記載のポジションセンサを提供する。
【0013】
(7)本発明は上記目的を達成するため、前記第1のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする前記(1)に記載のポジションセンサを提供する。
【0014】
(8)本発明は上記目的を達成するため、前記第2のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする前記(1)に記載のポジションセンサを提供する。
【発明の効果】
【0015】
このような構成によれば、非接触によって、安定して2次元の傾倒操作ポジション、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができるポジションセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明のポジションセンサの実施の形態を図面を参考にして詳細に説明していく。ポジションセンサをレバースイッチ1として用いた場合について説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
(レバースイッチ1の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチの斜視図である。図1において台座10の長手方向をX軸方向、台座10の短手方向をY軸方向、及びX−Y軸に対して直交する上方向をZ軸方向とし、その原点は、XY方向MR(Magneto Resistance)センサ(第2のセンサ部)4上であり、XY方向MRセンサ4を構成する十字の各頂点に配置された後述する4つのMRセンサの中心点であるものとする。
【0018】
レバースイッチ1は、傾倒操作(矢印A、B、C、D方向)、プッシュ操作(矢印H、G方向)及び回転操作(矢印E、F方向)が可能である操作部2と、操作部2が示す2次元の操作ポジション(XY方向)を検出するXY方向検出部3と、プッシュ操作ポジション(Z方向)及び回転操作ポジション(θ方向)を検出するZθ方向検出部6と、を備えて概略構成されている。
【0019】
操作部2は、箱型または板状を成すと共に上面に後述するXY方向MRセンサ4が設けられた台座10と、台座10の上面から垂直方向に立ち上がるように所定の距離離れて設けられた脚部11A、11Bと、脚部11A、11Bの上部に回転可能に軸12A、12Bによって軸支された円環状の第1の保持部14と、第1の保持部14の回転方向に対して90°異なる方向に設けられた一対の貫通孔に設けられた雌ネジ部と結合するネジ13A、13Bによって回転可能に且つ第1の保持部14に対して交わるように取り付けられた第2の保持部(支持部)15と、第2の保持部15の上部に設けられた突出部16に対して回転操作及びプッシュ操作自在に設けられ、その先端に後述するZθ方向カウンター磁石8、及びその対向する端部に掌握部18を有する操作レバー(操作指示部)17と、を備えて概略構成されている。
【0020】
また第2の保持部15は、図1に示すように、側面部に取り付けられた後述するZθ方向MRセンサ(第1のセンサ部)7と、突出部16と対向する側面部に設けられた突出部19と、を備え、突出部19には、磁界(第2の磁界)を所定の領域に発生させるXY方向カウンター磁石(第2の磁石)5が設けられている。
【0021】
第2の保持部15は、第1の保持部14との組合せにより、保持機構を構成している。この保持機構の構造は、ジャイロスコープや玩具の「地球ゴマ」(登録商標:株式会社タイガー商会)の構造と同様であるが、本実施の形態は、ジャイロ効果を用いるのではなく、操作レバー17を任意の方向に傾倒操作できるようにする軸受部として用いている。
【0022】
なお、操作部2の構成は、これに限定されず、傾倒操作、プッシュ操作及び回転操作可能な周知のジョイスティックに相当する装置を用いて、これにXY方向検出部3及びZθ方向検出部6を備えた構成としても良い。
【0023】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチに関するブロック図である。レバースイッチ1は、XY方向検出部3及びZθ方向検出部6が接続された判断部100を備え、判断部100は、車両に搭載された各種電子機器を制御する車両ECU101に接続されている。
【0024】
(XY方向検出部3の構成)
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図3(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図であり、図4は、本発明の第1の実施の形態に係る第1のMR素子の概略図である。図3において横方向をX軸、縦方向をY軸とし、図4において横方向をx軸、縦方向をy軸とし、x軸と磁気ベクトル9の角度をαとする。なお、磁気ベクトル9の長短は、検出面成分のおよその大きさを表している。
【0025】
XY方向検出部3は、図3(a)に示すように、基板40上に設けられた第1〜第4のハーフブリッジ41〜44を有するXY方向MRセンサ4と、第2の保持部15の突出部19に設けられ、突出部19側がS極50、XY方向MRセンサ4側がN極51に、X−Y座標に対して垂直方向に着磁されたXY方向カウンター磁石5と、を備えて概略構成されている。
【0026】
(XY方向MRセンサ4の構成)
XY方向MRセンサ4は、NiFeパーマロイ、NiCo及びFeCo合金等の強磁性金属を主成分とした薄膜で作成された第1及び第2のMR素子45、46によって構成される第1〜第4のハーフブリッジ41〜44が、基板40上の十字の各頂点に配置されている。
【0027】
さらに、第1のハーフブリッジ41が第3のハーフブリッジ43と、第2のハーフブリッジ42が第4のハーフブリッジ44と、対向して配置されている。
【0028】
第1及び第2のMR素子45、46は、図4に示す第1のMR素子45を例に取ると、折返し形状を備えた複数の感磁部4Aを有している。なお、以下において第2のMR素子46の構成及び機能が、配置された角度以外において同一であることから、その感磁部を符号4Aで表すものとする。
【0029】
感磁部4Aに対する磁気ベクトル9の角度αが45°の場合の第1のMR素子45の磁気抵抗値を基準にしたとき、磁気ベクトル9が感磁部4Aに対して垂直な方向(α=0°)から横切る場合は、45°のときの磁気抵抗値に比べてその磁気抵抗値は小さくなり、磁気ベクトル9が感磁部4Aに対して平行な方向(α=90°)から横切る場合は、45°の磁気抵抗値に比べてその磁気抵抗値は大きくなる。
【0030】
第1のハーフブリッジ41は、図3(b)に示すように、第1のMR素子45と第2のMR素子46とが、感磁方向を直交させてハーフブリッジ回路を形成しており、第1のMR素子45がX軸に対して45°傾いている。(第2のMR素子46は、X軸に対して−45°傾いている。)
【0031】
第1のハーフブリッジ41における第1のMR素子45と第2のMR素子46の中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V1として出力される。
【0032】
第2〜第4のハーフブリッジ42〜44は、第1のハーフブリッジ41と同様に第1及び第2のMR素子45、46を有しており、図3(b)に示すように、それぞれ出力電圧V2、V3及びV4を出力する。
【0033】
第1〜第4のハーフブリッジ41〜44は、一例として、図3(b)に示すように、第1のMR素子45側に印加電圧Vccが印可され、第2のMR素子46側は、図示しない基板40上の接地回路に電気的に接続されている。
【0034】
XY方向カウンター磁石5のX軸方向操作の検出は、Y軸方向の対向する第2及び第4のハーフブリッジ42、44によって行い、Y軸方向操作の検出は、X軸方向の対向する第1及び第3のハーフブリッジ41、43によって行われる。
【0035】
(XY方向カウンター磁石5の構成)
XY方向カウンター磁石5は、図1に示すように、一例として、円柱形状を有し、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石で形成されている。なお、XY方向カウンター磁石5の形状はこれに限定されず、例えば、球形状及び矩形状等であっても良い。また、XY方向カウンター磁石5のN極51とS極50を入れ替えた構成としても良い。
【0036】
(Zθ方向検出部6の構成)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上方図であり、図6は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの等価回路図であり、図7(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向検出部の側面図である。回転角θは、操作レバー17の回転角を表しており、図7(b)に示すY軸からの角度を表している。なおZ軸は、操作レバー17の回転軸を基板70上に投影した投影線であるものとする。
【0037】
Zθ方向MRセンサ7は、図6に示すように、NiFeパーマロイ、NiCo及びFeCo合金等の強磁性金属を主成分とした薄膜で作成された第1〜第4のMR素子70a〜70dを有する第1〜第4のMRセンサ部71〜74が、基板60上の十字の各頂点に配置されている。
【0038】
なお、第1〜第4のMR素子70a〜70dは、第1及び第2のMR素子45、46と構成及び機能が、配置された角度以外は同一であるので、感磁部を符号4Aと表すものとする。
【0039】
第1のMRセンサ部71は、図6に示すように、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとが直交し、また、Zθ方向カウンター磁石8のプッシュ操作方向(Z軸に平行な方向)に対して第2のMR素子70bの感磁部4Aが垂直になるように配置され、また、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとによってハーフブリッジ回路(第5のハーフブリッジ回路)が形成されている。
【0040】
第1のMR素子70aと第2のMR素子70bの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V11として出力される。また、第1のMRセンサ部71は、第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとが直交し、それぞれが、プッシュ操作方向(Z軸に平行な方向)に対して感磁部4Aが45°になるように配置されている。
【0041】
第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとによってハーフブリッジ回路(第1のハーフブリッジ回路)が形成され、その中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V12として出力される。
【0042】
第2のMRセンサ部72は、図6に示すように、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとによってハーフブリッジ回路(第6のハーフブリッジ回路)、及び第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとによってハーフブリッジ回路(第2のハーフブリッジ回路)が形成され、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V13として出力される。
【0043】
また、第3のMR素子70cと第4のMR素子70dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V14として出力される。
【0044】
第3のMRセンサ部73は、図6に示すように、第1のMRセンサ部71の第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとで形成されたハーフブリッジ回路を時計周りに90°回転させたハーフブリッジ回路(第7のハーフブリッジ回路)が配置されている。
【0045】
第3のMRセンサ部73の第2のMR素子70bと第1のMR素子70aの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V15として出力される。
【0046】
また、第3のMRセンサ部73の第3のMR素子70cと第4のMR素子70dは、第1及び第2のMRセンサ部71、72と同様のハーフブリッジ回路(第3のハーフブリッジ回路)が配置されている。
【0047】
第3のMR素子70cと第4のMR素子70dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V16として出力される。
【0048】
第4のMRセンサ部74は、図6に示すように、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとによってハーフブリッジ回路(第8のハーフブリッジ回路)、及び第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとによってハーフブリッジ回路(第4のハーフブリッジ回路)が形成され、第4のMRセンサ部74の第2のMR素子70bと第1のMR素子70aの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V17として出力される。
【0049】
また、第4のMRセンサ部74の第3のMR素子70cと第4のMR素子70dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V18として出力される。
【0050】
第1〜第4のMRセンサ部71〜74は、一例として、図6に示すように、一端に印加電圧Vccが印可され、他端が図示しない接地回路に接続されている。
【0051】
また、回転操作による回転操作ポジションの検出には、第2及び第4のMRセンサ部72、74が用いられ、プッシュ操作によるプッシュ操作ポジションの検出には、第1及び第3のMRセンサ部71、73が用いられ、それぞれZθ方向カウンター磁石(第1の磁石)8が印加する磁界(第1の磁界)の方向が相反する基板70上の位置に配置されている。
【0052】
なお、本実施の形態において、第1〜第4のMRセンサ部71〜74は、第1〜第4のMR素子70a〜70dを用いたフルブリッジ回路を有して構成されるが、フルブリッジ回路の代わりにXY方向MRセンサ4と同様のハーフブリッジ回路を第1〜第4のMRセンサ部71〜74の位置に配置するようにしても良い。また、同じ構成を有するMRセンサを4つの位置に配置しても良い。
【0053】
(Zθ方向カウンター磁石8の構成)
Zθ方向カウンター磁石8は、図7(a)及び(b)に示すように、一例として、円柱形状を有し、円の中心が回転軸と一致するように設けられており、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石で形成されている。
【0054】
また、Zθ方向カウンター磁石8は、図7(a)及び(b)に示すように、S極81側がZθ方向MRセンサ7に対向して配置されており、一例として図5に示すように、第1〜第4のハーフブリッジ71〜74が配置される十字の中心点をY―Z軸の原点とすると、0.5mm程度Z軸のプラス側にオフセットして設置されている。
【0055】
Zθ方向カウンター磁石8は、一例としてプッシュ・プル操作によってZ軸に平行に−0.5mmから0.5mmまで移動可能であるとする。
【0056】
なお、Zθ方向カウンター磁石8は、N極80とS極81を入れ替えた構成としても良い。
【0057】
また、Zθ方向カウンター磁石8は、Zθ方向MRセンサ7の検出面(第1〜第4のMR素子70a〜70dが配置される面)に対して中心に向かう磁界を印加している。
【0058】
磁気ベクトル9は、XY方向MRセンサ4及びZθ方向MRセンサ7の検出面における磁界の磁力線の向きと大きさを可視化したものである。
【0059】
(判断部100について)
判断部100は、一例として、XY方向MRセンサ4の対向する第1及び第3のハーフブリッジ41、43から出力される出力電圧V1及びV3に基づいて(V3−V1)を算出する。
【0060】
同様に判断部100は、XY方向MRセンサ4の対向する第2及び第4のハーフブリッジ42、44から出力される出力電圧V2及びV4に基づいて(V4−V2)を算出する。
【0061】
判断部100は、この(V3−V1)及び(V4−V2)の差分出力の正、負及びゼロ値の組み合わせを記憶し、組み合わせに基づいて2次元の傾倒操作ポジションを判断する。
【0062】
また、XY方向MRセンサ4は、第1〜第4のハーフブリッジ41〜44が離れて設置されているので、設置の際の位置ずれに起因する出力電圧の誤差を抑制することができる。これは、位置ずれが起きても、第1及び第2のMR素子45、46に対する磁気ベクトル9の角度が、同じ角度分増減するからである。
【0063】
さらに判断部100は、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションの検出のため、対向する第1及び第3のMRセンサ部71、73から出力される出力電圧V11、V12、V15及びV16のうち、位相が90°異なる出力電圧V11、V15と、位相が等しい出力電圧V12、V16と、に基づいて後述する角度変換処理を行い、また、対向する第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力される第3、第4、第7及び第8の出力電圧V13、V14、V17及びV18のうち、位相が90°異なる出力電圧V13、V17と、位相が等しい出力電圧V14、V18と、に基づいて角度変換処理を行うことによって回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを判断する。
【0064】
具体的には、判断部100は、プッシュ操作ポジションを検出する第1及び第3のMRセンサ部71、73から出力される出力電圧V11、V12、V15及びV16に基づいて、一例として、X1(=V12−V16;第1の出力)、X2(=V11−V15;第2の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0065】
判断部100は、X1及びX2に基づいて、一例として、[Arctan(X2/X1)]/2を算出し、磁気ベクトル9のY軸との角度に基づいてプッシュ操作におけるストロークを算出する。
【0066】
また、判断部100は、回転操作を検出する第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力される出力電圧V13、V14、V17及びV18に基づいて、一例として、Y1(=V14−V18;第3の出力)、Y2(=V13−V17;第4の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0067】
判断部100は、Y1及びY2に基づいて、一例として、[Arctan(Y2/Y1)]/2を算出し、回転操作における回転角度を算出する。ここで磁気抵抗値は、磁気ベクトル9と感磁部の角度αに依存するが、角度αが同じときの向きの正逆には依存しないので、角度変換処理を行った値を2で割っている。
【0068】
上記のように、第1〜第4のMRセンサ部71〜74の出力電圧(V11〜V18)を組み合わせて角度変換処理を行い、また、各ハーフブリッジ回路の設置角度、すなわち出力電圧の位相を変えて設置しているのは、設置位置のばらつきによる検出誤差、温度による磁気抵抗値の変化に起因する誤差、感度の差による誤差、を抑制するためである。
【0069】
判断部100によって角度変換処理が行われた関数は、円を表す関数となり、それらの誤差は、円の半径の大小に相当しているので、角度に影響しない。よってZθ方向検出部6は、上記の構成を有することで、安定して回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができる。
【0070】
なおレバースイッチ1は、回転操作による回転角度によって任意のポジションを割り当て、さらにプッシュ・プル操作によってオン・オフ等を割り当てて車両の各種制御に使用されても良いが、一例として、ある数値を連続的に変化させる用途に使用しても良い。
【0071】
(第1の実施の形態の動作)
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチの動作について各図を参照しながら詳細に説明する。まず傾倒操作ポジションの検出について説明する。
【0072】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る傾倒操作ポジションについて示した図であり、図9及び図10は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの出力波形を表す図である。図8に示すN及びP1〜P8は、レバースイッチ1で指示できる2次元の傾倒操作ポジションの一例を表している。図9は、ポジションNの状態からX軸方向に操作レバー17を傾倒操作したときの(V3−V1)及び(V4−V2)のグラフであり、図10は、操作レバー17をX軸方向に30°傾倒操作しながらY軸方向に傾倒操作したときの(V3−V1)及び(V4−V2)のグラフである。(V4−V2)は、X軸方向の出力電圧であり、(V3−V1)は、Y軸方向の出力電圧である。また印加電圧Vccとして5VをXY方向MRセンサ4に印加してシミュレーションしいた結果に基づいて説明する。
【0073】
(ポジションNの検出動作)
XY方向カウンター磁石5がポジションNにあるとき、図3(b)に示すように、第1及び第3のハーフブリッジ41、43には、X軸と平行な磁気ベクトル9が、第2及び第4のハーフブリッジ42、44には、Y軸と平行な磁気ベクトル9が、横切っている。
【0074】
第1及び第2のMR素子45、46と磁気ベクトル9の角度は、図3(b)に示すようにそれぞれが45°となり、磁気抵抗値が同じ値を取るので、出力電圧V1、V2、V3及びV4は、ゼロとなる。
【0075】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が共にゼロとなるので(以下これを(0、0)と表す)、XY方向カウンター磁石5がポジションNにあると判断する。
【0076】
(ポジションP1の検出動作)
図11(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図11(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP1に操作された場合について表している。
【0077】
操作レバー17がポジションP1に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第4のハーフブリッジ44付近において強くなるので、磁気ベクトル9は、図11(a)に示すように方向が変化する。
【0078】
第1〜第4のハーフブリッジ41〜44からの出力電圧は、磁気抵抗値の比で表され、本実施の形態においては、第2のMR素子46の磁気抵抗値に比例する。よって第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対しておよそ垂直に磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第3のハーフブリッジ43には、平行に磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V3−V1)は正(+)となる。ここで以下、バイアス磁界と感磁部4Aとの角度が45°のときの磁気抵抗値を「磁気抵抗値中」とし、この「磁気抵抗値中」を基準としてこれよりも磁気抵抗値が大きいとき「磁気抵抗値大」、小さいとき「磁気抵抗値小」と記述するものとする。
【0079】
一方第2及び第4のハーフブリッジ42、44には、感磁部4Aに対しておよそ45°で磁気ベクトル9が横切るので、(V4−V2)はゼロとなり、(+、0)の組合せとなる。
【0080】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(+、0)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP1にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0081】
(ポジションP2の検出動作)
図12(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図12(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP2に操作された場合について表している。
【0082】
操作レバー17がポジションP2に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第1のハーフブリッジ41と第4のハーフブリッジ44の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図12(a)に示すように方向が変化する。
【0083】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第3のハーフブリッジ43には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V3−V1)は正(+)となる。
【0084】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第4のハーフブリッジ44には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V4−V2)は負(−)となり、(+、−)の組合せとなる。
【0085】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(+、−)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP2にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0086】
(ポジションP3の検出動作)
図13(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図13(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP3に操作された場合について表している。
【0087】
操作レバー17がポジションP3に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第1のハーフブリッジ41付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図13(a)に示すように方向が変化する。
【0088】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して45°で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値中)、また、第3のハーフブリッジ43には、45°で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値中)ことから、(V3−V1)はゼロとなる。
【0089】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して平行に磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第4のハーフブリッジ44には、垂直に磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V4−V2)は負となり、(0、−)の組合せとなる。
【0090】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(0、−)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP3にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0091】
(ポジションP4の検出動作)
図14(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図14(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP4に操作された場合について表している。
【0092】
操作レバー17がポジションP4に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第1のハーフブリッジ41と第2のハーフブリッジ42の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図14(a)に示すように方向が変化する。
【0093】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第3のハーフブリッジ43には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V3−V1)は負となる。
【0094】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第4のハーフブリッジ44には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V4−V2)は負となり、(−、−)の組合せとなる。
【0095】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(−、−)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP4にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0096】
(ポジションP5の検出動作)
図15(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図15(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP5に操作された場合について表している。
【0097】
操作レバー17がポジションP5に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第2のハーフブリッジ42付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図15(a)に示すように方向が変化する。
【0098】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して平行に磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第3のハーフブリッジ43には、垂直に磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V3−V1)は負となる。
【0099】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して45°で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値中)、また、第4のハーフブリッジ44には、45°で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値中)ことから、(V4−V2)はゼロとなり、(−、0)の組合せとなる。
【0100】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(−、0)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP5にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0101】
(ポジションP6の検出動作)
図16(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図16(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP6に操作された場合について表している。
【0102】
操作レバー17がポジションP6に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第2のハーフブリッジ42と第3のハーフブリッジ43の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図16(a)に示すように方向が変化する。
【0103】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第3のハーフブリッジ43には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V3−V1)は負となる。
【0104】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第4のハーフブリッジ44には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V4−V2)は正となり、(−、+)の組合せとなる。
【0105】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(−、+)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP6にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0106】
(ポジションP7の検出動作)
図17(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図17(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP7に操作された場合について表している。
【0107】
操作レバー17がポジションP7に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第3のハーフブリッジ43付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図17(a)に示すように方向が変化する。
【0108】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して45°で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値中)、また、第3のハーフブリッジ43には、45°で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値中)ことから、(V3−V1)はゼロとなる。
【0109】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第4のハーフブリッジ44には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V4−V2)は正となり、(0、+)の組合せとなる。
【0110】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(0、+)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP7にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0111】
(ポジションP8の検出動作)
図18(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図18(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP8に操作された場合について表している。
【0112】
操作レバー17がポジションP8に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第3のハーフブリッジ43と第4のハーフブリッジ44の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図18(a)に示すように方向が変化する。
【0113】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第3のハーフブリッジ43には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V3−V1)は正となる。
【0114】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第4のハーフブリッジ44には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V4−V2)は正となり、(+、+)の組合せとなる。
【0115】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(+、+)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP7にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0116】
上記したN及びP1〜P8ポジションの検出は、図9に示すように、X軸方向の検出結果、及びY軸の検出結果が独立に得られる。言い換えるなら、クロストークが少なく安定して行われる。
【0117】
一例として、操作レバー17をX軸の方向に約30°傾倒操作し、そのままY軸方向に約30°傾倒操作したとき、図10に示すように、X軸方向の出力電圧と、Y軸方向の出力電圧と、がクロストークの少ない状態で得られる。
【0118】
また、上記で説明したN及びP1〜P8ポジションの検出と共に、レバースイッチ1からの出力信号は、図9及び10等に示すように傾倒操作に対してアナログ出力されるので、2次元的な任意の位置(ポジション)を検出することができる。
【0119】
よってレバースイッチ1は、上記のポジション(N、P1〜P8)に限定されず、ゲームのコントローラやポインティングデバイスのように連続的に可変するコントローラとして使用することができ、また、多方向スイッチにも使用することができる。
【0120】
続いて回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションの検出について説明する。
【0121】
(回転操作による回転ポジションの検出動作)
図19(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の上面図であり、図19(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上面図であり、図20は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の回転角度と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。
【0122】
操作者が、操作レバー17を介してZθ方向カウンター磁石8を矢印E方向に45°回転操作した場合について説明する。図20は、横軸がZθ方向カウンター磁石8の回転角度、縦軸は角度変換処理が行われた角度を示しており、図中の「PUSH」とは、プッシュ操作を検出する第1及び第3のMRセンサ部71、73から出力される出力電圧に基づいたグラフを表しており、「回転」とは、回転操作を検出する第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力される出力電圧に基づいたグラフを表している。
【0123】
このとき、図6における印加電圧Vccとして5VをZθ方向MRセンサ7に印加し、Zθ方向カウンター磁石8の中心点が、Z=0.5mmの位置にあるとしてシミュレーションした結果に基づいて説明する。なお、第1〜第4のMRセンサ部71〜74を横切る磁気ベクトル9は、Y軸及びZ軸から時計回りを正とするものとする。
【0124】
回転操作されていない図5の状態のとき、Zθ方向MRセンサ7上におけるZθ方向カウンター磁石8の磁界は、Z軸上のZ=0.5mm付近が強いので、第1のMRセンサ部71には、Y軸から約40°に傾いた磁気ベクトル9が、第2のMRセンサ部72には、Z軸に平行な磁気ベクトル9が、第3のMRセンサ部73には、Y軸から約130°に傾いた磁気ベクトル9が、第4のMRセンサ部74には、Z軸に平行な磁気ベクトル9が、横切っている。
【0125】
上記の状態から、Zθ方向カウンター磁石8が図19(a)に示す矢印E方向に回転操作されると、Zθ方向MRセンサ7を横切る磁気ベクトル9は、図5における状態から図19(b)のように変化する。
【0126】
これは、Zθ方向カウンター磁石8が回転することによって、磁界の強い場所が、第3のMRセンサ部73側に移動するからである。
【0127】
このとき、第1及び第3のMRセンサ部71、73の磁気ベクトル9は、回転操作前後において方向は殆ど変化しないので、図20に示すように、出力電圧に大きな変化は無い。
【0128】
一方、第2及び第4のMRセンサ部72、74を横切る磁気ベクトル9の方向は、図19(b)に示すように、Z軸に平行だった状態から大きく変化する。
【0129】
判断部100は、第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力された図6に示す出力電圧Y1及びY2に基づいて上記した角度変換処理を行う。
【0130】
レバースイッチ1は、図20に示すように、プッシュ操作ポジションの検出に用いる第1及び第3のMRセンサ部71、73から得られた結果と、回転操作ポジションの検出に用いる第2及び第4のMRセンサ部72、74から得られた結果から、クロストークが少なく、Zθ方向カウンター磁石8の回転操作による回転操作ポジションを正確に検出することができる。
【0131】
判断部100は、得られた結果を車両ECU101に送信し、車両ECU101は、送信された信号に基づいて所定の処理を行う。
【0132】
(プッシュ操作による位置ポジションの検出動作)
図21(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作前のZθ方向MRセンサの上面図であり、図21(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作後のZθ方向MRセンサの上面図であり、図22は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の移動量と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。Zθ方向カウンター磁石8の中心点が、プッシュ操作によってZ=0.5mmからZ=−0.5mmに移動したとしてシミュレーションした結果に基づいて説明する。
【0133】
Zθ方向カウンター磁石8が、図1に示す矢印G方向にプッシュ操作されると、Zθ方向MRセンサ7を横切る磁気ベクトル9は、図21(a)の状態から図21(b)のように変化する。
【0134】
これは、Zθ方向カウンター磁石8がZ軸に平行に移動することによって、磁界の強い場所が、第4のMRセンサ部74から第2のMRセンサ部72側に移動するからである。
【0135】
このとき、第2及び第4のMRセンサ部72、74には、Z軸に平行な方向の磁気ベクトル9が横切る。この磁気ベクトル9は、プッシュ操作前後において方向は変化しないので、第2及び第4のMRセンサ部72、74が出力する出力電圧Y1及びY2に大きな変化がなく、図22に示すように、ほぼ一定値となる。
【0136】
一方、第1及び第3のMRセンサ部71、73を横切る磁気ベクトル9の方向は、第1のMRセンサ部71においては、Y軸から約40°に傾いていた磁気ベクトル9が約−40°に、第3のMRセンサ部73においては、Y軸から約130°に傾いていた磁気ベクトル9が約−130°に、と大きく方向が変化する。
【0137】
判断部100は、第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力された出力電圧X1(=V12−V16)、X2(=V11−V15)に基づいて上記した角度変換処理を行うので、Zθ方向カウンター磁石8のプッシュ操作によるプッシュ操作ポジションを検出することができる。
【0138】
レバースイッチ1は、図22に示すように、プッシュ操作の検出に用いる第1及び第3のMRセンサ部71、73から得られた結果と、回転操作の検出に用いる第2及び第4のMRセンサ部72、74から得られた結果から、クロストークが少なく、Zθ方向カウンター磁石8のプッシュ操作によるプッシュ操作ポジションを正確に検出することができる。
【0139】
判断部100は、得られた結果を車両ECU101に送信し、車両ECU101は、送信された信号に基づいて所定の処理を行う。
【0140】
なお上記の結果より、回転操作とプッシュ操作を組み合わせることも可能である。また、同様に、一例として、Zθ方向カウンター磁石8の中心を座標原点に一致させ、プッシュ・プル操作に基づくプッシュ操作ポジションを検出するようにしても良く、これに限定されない。
【0141】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によると、レバースイッチ1は、X軸方向及びY軸方向のXY方向カウンター磁石5の移動をクロストークの少ない状態で検出することができるので、2次元の傾倒操作ポジションを安定して検出することができる。また、レバースイッチ1は、非接触でポジションの検出を行うことができるので、耐久性が高い。
【0142】
また上記した第1の実施の形態によると、レバースイッチ1は、操作レバー17による回転操作及びプッシュ操作に基づく回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションをクロストークが少ない状態で検出することができる。
【0143】
[第2の実施の形態]
(レバースイッチ1の構成)
図23は、本発明の第2の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図であり、図24は、本発明の第2の実施の形態に係るX方向の操作レバーの角度と角度変換処理が行われた角度との関係を表した図である。
【0144】
本実施の形態は、上記した第1の実施の形態と、XY方向MRセンサ4の構成が異なっている。
【0145】
XY方向MRセンサ4は、第1のハーフブリッジ41を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第1のハーフブリッジ41を時計回りに90°回転させた第5のハーフブリッジ41aと、第2のハーフブリッジ42を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第2のハーフブリッジ42を反時計回りに90°回転させた第6のハーフブリッジ42aと、第3のハーフブリッジ43を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第3のハーフブリッジ43を反時計回りに90°回転させた第7のハーフブリッジ43aと、第4のハーフブリッジ44を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第4のハーフブリッジ44を時計回りに90°回転させた第8のハーフブリッジ44aと、を備えて概略構成されている。また、第1〜第8のハーフブリッジ41〜44、41a〜44aが出力する出力電圧をV21〜V28とする。
【0146】
なお、第1のMR素子45が時計回りに回転した配置のMR素子を第3の45aとし、第2のMR素子46が時計回りに回転した配置のMR素子を第4のMR素子46aとする。
【0147】
(第2の実施の形態の動作)
判断部100は、XY方向カウンター磁石5のX軸方向の傾倒操作ポジションを検出する第2、4、6及び8のハーフブリッジ42、44、42a、44aから出力される出力電圧V22、V24、V26及びV28に基づいて、一例として、X3(=V24―V22;第1の出力)、X4(=V28−V26;第2の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0148】
判断部100は、X3及びX4に基づいて、一例として、角度変換処理として[Arctan(X4/X3)]/2を算出し、X軸と磁気ベクトル9とがなす角度を算出する。
【0149】
また、判断部100は、XY方向カウンター磁石5のY軸方向の傾倒操作ポジションを検出する第1、3、5及び7のハーフブリッジ41、43、41a、43aから出力される出力電圧V21、V23、V25及びV27に基づいて、一例として、Y3(=V23―V21;第3の出力)、Y4(=V27−V25;第4の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0150】
判断部100は、Y3及びY4に基づいて、一例として、[Arctan(Y4/Y1)]/2を算出し、Y軸と磁気ベクトル9とがなす角度を算出する。
【0151】
上記の方法にて角度変換処理された角度と操作レバー17のX軸方向に傾倒操作された角度との関係は、図24に示すように、線形に近く、また、クロストークが少ない状態でX軸方向及びY軸方向のXY方向カウンター磁石5の傾倒操作ポジションを検出することができる。
【0152】
上記のように、第1〜第8のハーフブリッジ41〜44、41a〜44a、の出力電圧を組み合わせて角度変換処理を行い、また、各ハーフブリッジの設置角度、すなわち出力電圧の位相を変えて設置しているのは、設置位置のばらつきによる検出誤差、温度による磁気抵抗値の変化に起因する誤差、感度の差による誤差、を抑制するためである。
【0153】
判断部100によって角度変換処理が行われた関数は、円を表す関数となり、それらの誤差は、円の半径の大小に相当しているので、角度に影響しない。
【0154】
よってXY方向MRセンサ4は、上記の構成を有することで、Zθ方向検出部6のように安定して2次元の傾倒操作ポジションを検出することができ、また、冗長性を確保することができる。
【0155】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によると、レバースイッチ1は、X軸方向及びY軸方向のXY方向カウンター磁石5の傾倒操作をクロストークの少ない状態で検出することができるので、2次元の傾倒操作ポジションを安定して検出することができる。また、レバースイッチ1は、冗長性を確保することができる。
【0156】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチに関するブロック図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る第1のMR素子の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上方図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの等価回路図である。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向検出部の側面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る傾倒操作ポジションについて示した図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの出力波形を表す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの出力波形を表す図である。
【図11】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図12】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図13】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図14】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図15】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図16】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図17】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図18】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上面図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の回転角度と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作前のZθ方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作後のZθ方向MRセンサの上面図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の移動量と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係るX方向の操作レバーの角度と角度変換処理が行われた角度との関係を表した図である。
【符号の説明】
【0158】
1…レバースイッチ、2…操作部、3…XY方向検出部、4…XY方向MRセンサ、4A…感磁部、5…XY方向カウンター磁石、6…Zθ方向検出部、7…Zθ方向MRセンサ、8…Zθ方向カウンター磁石、9…磁気ベクトル、10…台座、11A、11B…脚部、12A、12B…軸、13A、13B…ネジ、14…第1の保持部、15…第2の保持部、16…突出部、17…操作レバー、18…掌握部、40…基板、41〜44…第1〜第4のハーフブリッジ、41a〜44a…第5〜第8のハーフブリッジ、45…第1のMR素子、45a…第3のMR素子、46…第2のMR素子、46a…第4のMR素子、50…S極、51…N極、70…基板、70a〜70d…第1〜第4のMR素子、71〜74…第1〜第4のMRセンサ部、80…N極、81…S極、100…判断部、101…車両ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジションセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、シフトレバーの変位に連動して変位するマグネット板と、対面して配置された板状の磁性体である一対の磁性板を有する第1のヨーク及び第2のヨークと、マグネット板の磁石から生じる磁束密度の変化を計測するための磁気検出素子とを備えた位置センサが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このマグネット板は、非磁性体である非磁性部分と、磁性体である磁石体とが、周方向に交互に配置された略扇状の板状部材からなっている。また、第1及び第2のヨークは、所定の間隙である第1及び第2の隙間を設けた状態で一対の磁性板を保持する第1及び第2のブリッジ部を備えている。
【0004】
この位置センサによると、シフトレバーの変位によってマグネット板が変位し、第1又は第2のヨークに収容される磁石体の数に応じて磁気検出素子で検出される磁束密度が段階的に変化するので、検出された磁束密度に基づいたシフトレバーのシフトポジションを検出することが可能になる。
【特許文献1】特開2007−40722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の位置センサによると、磁気検出素子で検出される磁束密度の変化の幅が小さく、外部磁場の影響によって検出精度が低下する可能性があった。
【0006】
従って本発明の目的は、非接触によって、安定して2次元の傾倒操作ポジション、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができるポジションセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は上記目的を達成するため、回転軸を中心に回転操作、及び前記回転軸の平行方向にプッシュ操作可能に支持部に設けられ、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを指示する操作指示部と、前記操作指示部に設けられ、前記回転軸に対して垂直方向に磁化され、第1の磁界を形成する第1の磁石と、前記操作部の傾倒操作に基づいて2次元の傾倒操作ポジションを指示し、前記2次元の傾倒操作ポジションに対して垂直方向に磁化され、第2の磁界を形成する第2の磁石と、前記支持部に設けられ、前記回転操作及びプッシュ操作による前記第1の磁界の方向変化に基づいて第1の検出信号を出力する第1のセンサ部と、前記傾倒操作による前記第2の磁界の方向変化に基づいて第2の検出信号を出力する第2のセンサ部と、前記第1及び第2の検出信号に基づいて前記回転操作ポジション、プッシュ操作ポジション及び前記2次元の傾倒操作ポジションを判断する判断部と、を備えたことを特徴とするポジションセンサを提供する。
【0008】
(2)本発明は上記目的を達成するため、前記第1及び第2のセンサ部は、4つのMRセンサが十字の各頂点に配置されていることを特徴とする前記(1)に記載のポジションセンサを提供する。
【0009】
(3)本発明は上記目的を達成するため、前記MRセンサは、感磁方向が直交する2つのMR素子から構成されることを特徴とする前記(2)に記載のポジションセンサを提供する。
【0010】
(4)本発明は上記目的を達成するため、前記第1及び第2のセンサ部は、対向する2つの前記MRセンサによってブリッジ回路を形成することを特徴とする前記(3)に記載のポジションセンサを提供する。
【0011】
(5)本発明は上記目的を達成するため、前記第1のセンサ部は、基板を有し、前記回転軸を前記基板に投影した投影線上に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記回転操作ポジションを検出し、前記投影線に垂直な方向に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記プッシュ操作ポジションを検出することを特徴とする前記(4)に記載のポジションセンサを提供する。
【0012】
(6)本発明は上記目的を達成するため、前記判断部は、前記対向する2つの前記MRセンサから差分出力される差分値の正、負及びゼロ値の組み合わせに基づいて前記傾倒操作ポジションを判断することを特徴とする前記(4)に記載のポジションセンサを提供する。
【0013】
(7)本発明は上記目的を達成するため、前記第1のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする前記(1)に記載のポジションセンサを提供する。
【0014】
(8)本発明は上記目的を達成するため、前記第2のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする前記(1)に記載のポジションセンサを提供する。
【発明の効果】
【0015】
このような構成によれば、非接触によって、安定して2次元の傾倒操作ポジション、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができるポジションセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明のポジションセンサの実施の形態を図面を参考にして詳細に説明していく。ポジションセンサをレバースイッチ1として用いた場合について説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
(レバースイッチ1の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチの斜視図である。図1において台座10の長手方向をX軸方向、台座10の短手方向をY軸方向、及びX−Y軸に対して直交する上方向をZ軸方向とし、その原点は、XY方向MR(Magneto Resistance)センサ(第2のセンサ部)4上であり、XY方向MRセンサ4を構成する十字の各頂点に配置された後述する4つのMRセンサの中心点であるものとする。
【0018】
レバースイッチ1は、傾倒操作(矢印A、B、C、D方向)、プッシュ操作(矢印H、G方向)及び回転操作(矢印E、F方向)が可能である操作部2と、操作部2が示す2次元の操作ポジション(XY方向)を検出するXY方向検出部3と、プッシュ操作ポジション(Z方向)及び回転操作ポジション(θ方向)を検出するZθ方向検出部6と、を備えて概略構成されている。
【0019】
操作部2は、箱型または板状を成すと共に上面に後述するXY方向MRセンサ4が設けられた台座10と、台座10の上面から垂直方向に立ち上がるように所定の距離離れて設けられた脚部11A、11Bと、脚部11A、11Bの上部に回転可能に軸12A、12Bによって軸支された円環状の第1の保持部14と、第1の保持部14の回転方向に対して90°異なる方向に設けられた一対の貫通孔に設けられた雌ネジ部と結合するネジ13A、13Bによって回転可能に且つ第1の保持部14に対して交わるように取り付けられた第2の保持部(支持部)15と、第2の保持部15の上部に設けられた突出部16に対して回転操作及びプッシュ操作自在に設けられ、その先端に後述するZθ方向カウンター磁石8、及びその対向する端部に掌握部18を有する操作レバー(操作指示部)17と、を備えて概略構成されている。
【0020】
また第2の保持部15は、図1に示すように、側面部に取り付けられた後述するZθ方向MRセンサ(第1のセンサ部)7と、突出部16と対向する側面部に設けられた突出部19と、を備え、突出部19には、磁界(第2の磁界)を所定の領域に発生させるXY方向カウンター磁石(第2の磁石)5が設けられている。
【0021】
第2の保持部15は、第1の保持部14との組合せにより、保持機構を構成している。この保持機構の構造は、ジャイロスコープや玩具の「地球ゴマ」(登録商標:株式会社タイガー商会)の構造と同様であるが、本実施の形態は、ジャイロ効果を用いるのではなく、操作レバー17を任意の方向に傾倒操作できるようにする軸受部として用いている。
【0022】
なお、操作部2の構成は、これに限定されず、傾倒操作、プッシュ操作及び回転操作可能な周知のジョイスティックに相当する装置を用いて、これにXY方向検出部3及びZθ方向検出部6を備えた構成としても良い。
【0023】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチに関するブロック図である。レバースイッチ1は、XY方向検出部3及びZθ方向検出部6が接続された判断部100を備え、判断部100は、車両に搭載された各種電子機器を制御する車両ECU101に接続されている。
【0024】
(XY方向検出部3の構成)
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図3(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図であり、図4は、本発明の第1の実施の形態に係る第1のMR素子の概略図である。図3において横方向をX軸、縦方向をY軸とし、図4において横方向をx軸、縦方向をy軸とし、x軸と磁気ベクトル9の角度をαとする。なお、磁気ベクトル9の長短は、検出面成分のおよその大きさを表している。
【0025】
XY方向検出部3は、図3(a)に示すように、基板40上に設けられた第1〜第4のハーフブリッジ41〜44を有するXY方向MRセンサ4と、第2の保持部15の突出部19に設けられ、突出部19側がS極50、XY方向MRセンサ4側がN極51に、X−Y座標に対して垂直方向に着磁されたXY方向カウンター磁石5と、を備えて概略構成されている。
【0026】
(XY方向MRセンサ4の構成)
XY方向MRセンサ4は、NiFeパーマロイ、NiCo及びFeCo合金等の強磁性金属を主成分とした薄膜で作成された第1及び第2のMR素子45、46によって構成される第1〜第4のハーフブリッジ41〜44が、基板40上の十字の各頂点に配置されている。
【0027】
さらに、第1のハーフブリッジ41が第3のハーフブリッジ43と、第2のハーフブリッジ42が第4のハーフブリッジ44と、対向して配置されている。
【0028】
第1及び第2のMR素子45、46は、図4に示す第1のMR素子45を例に取ると、折返し形状を備えた複数の感磁部4Aを有している。なお、以下において第2のMR素子46の構成及び機能が、配置された角度以外において同一であることから、その感磁部を符号4Aで表すものとする。
【0029】
感磁部4Aに対する磁気ベクトル9の角度αが45°の場合の第1のMR素子45の磁気抵抗値を基準にしたとき、磁気ベクトル9が感磁部4Aに対して垂直な方向(α=0°)から横切る場合は、45°のときの磁気抵抗値に比べてその磁気抵抗値は小さくなり、磁気ベクトル9が感磁部4Aに対して平行な方向(α=90°)から横切る場合は、45°の磁気抵抗値に比べてその磁気抵抗値は大きくなる。
【0030】
第1のハーフブリッジ41は、図3(b)に示すように、第1のMR素子45と第2のMR素子46とが、感磁方向を直交させてハーフブリッジ回路を形成しており、第1のMR素子45がX軸に対して45°傾いている。(第2のMR素子46は、X軸に対して−45°傾いている。)
【0031】
第1のハーフブリッジ41における第1のMR素子45と第2のMR素子46の中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V1として出力される。
【0032】
第2〜第4のハーフブリッジ42〜44は、第1のハーフブリッジ41と同様に第1及び第2のMR素子45、46を有しており、図3(b)に示すように、それぞれ出力電圧V2、V3及びV4を出力する。
【0033】
第1〜第4のハーフブリッジ41〜44は、一例として、図3(b)に示すように、第1のMR素子45側に印加電圧Vccが印可され、第2のMR素子46側は、図示しない基板40上の接地回路に電気的に接続されている。
【0034】
XY方向カウンター磁石5のX軸方向操作の検出は、Y軸方向の対向する第2及び第4のハーフブリッジ42、44によって行い、Y軸方向操作の検出は、X軸方向の対向する第1及び第3のハーフブリッジ41、43によって行われる。
【0035】
(XY方向カウンター磁石5の構成)
XY方向カウンター磁石5は、図1に示すように、一例として、円柱形状を有し、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石で形成されている。なお、XY方向カウンター磁石5の形状はこれに限定されず、例えば、球形状及び矩形状等であっても良い。また、XY方向カウンター磁石5のN極51とS極50を入れ替えた構成としても良い。
【0036】
(Zθ方向検出部6の構成)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上方図であり、図6は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの等価回路図であり、図7(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向検出部の側面図である。回転角θは、操作レバー17の回転角を表しており、図7(b)に示すY軸からの角度を表している。なおZ軸は、操作レバー17の回転軸を基板70上に投影した投影線であるものとする。
【0037】
Zθ方向MRセンサ7は、図6に示すように、NiFeパーマロイ、NiCo及びFeCo合金等の強磁性金属を主成分とした薄膜で作成された第1〜第4のMR素子70a〜70dを有する第1〜第4のMRセンサ部71〜74が、基板60上の十字の各頂点に配置されている。
【0038】
なお、第1〜第4のMR素子70a〜70dは、第1及び第2のMR素子45、46と構成及び機能が、配置された角度以外は同一であるので、感磁部を符号4Aと表すものとする。
【0039】
第1のMRセンサ部71は、図6に示すように、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとが直交し、また、Zθ方向カウンター磁石8のプッシュ操作方向(Z軸に平行な方向)に対して第2のMR素子70bの感磁部4Aが垂直になるように配置され、また、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとによってハーフブリッジ回路(第5のハーフブリッジ回路)が形成されている。
【0040】
第1のMR素子70aと第2のMR素子70bの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V11として出力される。また、第1のMRセンサ部71は、第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとが直交し、それぞれが、プッシュ操作方向(Z軸に平行な方向)に対して感磁部4Aが45°になるように配置されている。
【0041】
第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとによってハーフブリッジ回路(第1のハーフブリッジ回路)が形成され、その中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V12として出力される。
【0042】
第2のMRセンサ部72は、図6に示すように、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとによってハーフブリッジ回路(第6のハーフブリッジ回路)、及び第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとによってハーフブリッジ回路(第2のハーフブリッジ回路)が形成され、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V13として出力される。
【0043】
また、第3のMR素子70cと第4のMR素子70dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V14として出力される。
【0044】
第3のMRセンサ部73は、図6に示すように、第1のMRセンサ部71の第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとで形成されたハーフブリッジ回路を時計周りに90°回転させたハーフブリッジ回路(第7のハーフブリッジ回路)が配置されている。
【0045】
第3のMRセンサ部73の第2のMR素子70bと第1のMR素子70aの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V15として出力される。
【0046】
また、第3のMRセンサ部73の第3のMR素子70cと第4のMR素子70dは、第1及び第2のMRセンサ部71、72と同様のハーフブリッジ回路(第3のハーフブリッジ回路)が配置されている。
【0047】
第3のMR素子70cと第4のMR素子70dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V16として出力される。
【0048】
第4のMRセンサ部74は、図6に示すように、第1のMR素子70aと第2のMR素子70bとによってハーフブリッジ回路(第8のハーフブリッジ回路)、及び第3のMR素子70cと第4のMR素子70dとによってハーフブリッジ回路(第4のハーフブリッジ回路)が形成され、第4のMRセンサ部74の第2のMR素子70bと第1のMR素子70aの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V17として出力される。
【0049】
また、第4のMRセンサ部74の第3のMR素子70cと第4のMR素子70dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて出力電圧V18として出力される。
【0050】
第1〜第4のMRセンサ部71〜74は、一例として、図6に示すように、一端に印加電圧Vccが印可され、他端が図示しない接地回路に接続されている。
【0051】
また、回転操作による回転操作ポジションの検出には、第2及び第4のMRセンサ部72、74が用いられ、プッシュ操作によるプッシュ操作ポジションの検出には、第1及び第3のMRセンサ部71、73が用いられ、それぞれZθ方向カウンター磁石(第1の磁石)8が印加する磁界(第1の磁界)の方向が相反する基板70上の位置に配置されている。
【0052】
なお、本実施の形態において、第1〜第4のMRセンサ部71〜74は、第1〜第4のMR素子70a〜70dを用いたフルブリッジ回路を有して構成されるが、フルブリッジ回路の代わりにXY方向MRセンサ4と同様のハーフブリッジ回路を第1〜第4のMRセンサ部71〜74の位置に配置するようにしても良い。また、同じ構成を有するMRセンサを4つの位置に配置しても良い。
【0053】
(Zθ方向カウンター磁石8の構成)
Zθ方向カウンター磁石8は、図7(a)及び(b)に示すように、一例として、円柱形状を有し、円の中心が回転軸と一致するように設けられており、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石で形成されている。
【0054】
また、Zθ方向カウンター磁石8は、図7(a)及び(b)に示すように、S極81側がZθ方向MRセンサ7に対向して配置されており、一例として図5に示すように、第1〜第4のハーフブリッジ71〜74が配置される十字の中心点をY―Z軸の原点とすると、0.5mm程度Z軸のプラス側にオフセットして設置されている。
【0055】
Zθ方向カウンター磁石8は、一例としてプッシュ・プル操作によってZ軸に平行に−0.5mmから0.5mmまで移動可能であるとする。
【0056】
なお、Zθ方向カウンター磁石8は、N極80とS極81を入れ替えた構成としても良い。
【0057】
また、Zθ方向カウンター磁石8は、Zθ方向MRセンサ7の検出面(第1〜第4のMR素子70a〜70dが配置される面)に対して中心に向かう磁界を印加している。
【0058】
磁気ベクトル9は、XY方向MRセンサ4及びZθ方向MRセンサ7の検出面における磁界の磁力線の向きと大きさを可視化したものである。
【0059】
(判断部100について)
判断部100は、一例として、XY方向MRセンサ4の対向する第1及び第3のハーフブリッジ41、43から出力される出力電圧V1及びV3に基づいて(V3−V1)を算出する。
【0060】
同様に判断部100は、XY方向MRセンサ4の対向する第2及び第4のハーフブリッジ42、44から出力される出力電圧V2及びV4に基づいて(V4−V2)を算出する。
【0061】
判断部100は、この(V3−V1)及び(V4−V2)の差分出力の正、負及びゼロ値の組み合わせを記憶し、組み合わせに基づいて2次元の傾倒操作ポジションを判断する。
【0062】
また、XY方向MRセンサ4は、第1〜第4のハーフブリッジ41〜44が離れて設置されているので、設置の際の位置ずれに起因する出力電圧の誤差を抑制することができる。これは、位置ずれが起きても、第1及び第2のMR素子45、46に対する磁気ベクトル9の角度が、同じ角度分増減するからである。
【0063】
さらに判断部100は、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションの検出のため、対向する第1及び第3のMRセンサ部71、73から出力される出力電圧V11、V12、V15及びV16のうち、位相が90°異なる出力電圧V11、V15と、位相が等しい出力電圧V12、V16と、に基づいて後述する角度変換処理を行い、また、対向する第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力される第3、第4、第7及び第8の出力電圧V13、V14、V17及びV18のうち、位相が90°異なる出力電圧V13、V17と、位相が等しい出力電圧V14、V18と、に基づいて角度変換処理を行うことによって回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを判断する。
【0064】
具体的には、判断部100は、プッシュ操作ポジションを検出する第1及び第3のMRセンサ部71、73から出力される出力電圧V11、V12、V15及びV16に基づいて、一例として、X1(=V12−V16;第1の出力)、X2(=V11−V15;第2の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0065】
判断部100は、X1及びX2に基づいて、一例として、[Arctan(X2/X1)]/2を算出し、磁気ベクトル9のY軸との角度に基づいてプッシュ操作におけるストロークを算出する。
【0066】
また、判断部100は、回転操作を検出する第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力される出力電圧V13、V14、V17及びV18に基づいて、一例として、Y1(=V14−V18;第3の出力)、Y2(=V13−V17;第4の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0067】
判断部100は、Y1及びY2に基づいて、一例として、[Arctan(Y2/Y1)]/2を算出し、回転操作における回転角度を算出する。ここで磁気抵抗値は、磁気ベクトル9と感磁部の角度αに依存するが、角度αが同じときの向きの正逆には依存しないので、角度変換処理を行った値を2で割っている。
【0068】
上記のように、第1〜第4のMRセンサ部71〜74の出力電圧(V11〜V18)を組み合わせて角度変換処理を行い、また、各ハーフブリッジ回路の設置角度、すなわち出力電圧の位相を変えて設置しているのは、設置位置のばらつきによる検出誤差、温度による磁気抵抗値の変化に起因する誤差、感度の差による誤差、を抑制するためである。
【0069】
判断部100によって角度変換処理が行われた関数は、円を表す関数となり、それらの誤差は、円の半径の大小に相当しているので、角度に影響しない。よってZθ方向検出部6は、上記の構成を有することで、安定して回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを検出することができる。
【0070】
なおレバースイッチ1は、回転操作による回転角度によって任意のポジションを割り当て、さらにプッシュ・プル操作によってオン・オフ等を割り当てて車両の各種制御に使用されても良いが、一例として、ある数値を連続的に変化させる用途に使用しても良い。
【0071】
(第1の実施の形態の動作)
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチの動作について各図を参照しながら詳細に説明する。まず傾倒操作ポジションの検出について説明する。
【0072】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る傾倒操作ポジションについて示した図であり、図9及び図10は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの出力波形を表す図である。図8に示すN及びP1〜P8は、レバースイッチ1で指示できる2次元の傾倒操作ポジションの一例を表している。図9は、ポジションNの状態からX軸方向に操作レバー17を傾倒操作したときの(V3−V1)及び(V4−V2)のグラフであり、図10は、操作レバー17をX軸方向に30°傾倒操作しながらY軸方向に傾倒操作したときの(V3−V1)及び(V4−V2)のグラフである。(V4−V2)は、X軸方向の出力電圧であり、(V3−V1)は、Y軸方向の出力電圧である。また印加電圧Vccとして5VをXY方向MRセンサ4に印加してシミュレーションしいた結果に基づいて説明する。
【0073】
(ポジションNの検出動作)
XY方向カウンター磁石5がポジションNにあるとき、図3(b)に示すように、第1及び第3のハーフブリッジ41、43には、X軸と平行な磁気ベクトル9が、第2及び第4のハーフブリッジ42、44には、Y軸と平行な磁気ベクトル9が、横切っている。
【0074】
第1及び第2のMR素子45、46と磁気ベクトル9の角度は、図3(b)に示すようにそれぞれが45°となり、磁気抵抗値が同じ値を取るので、出力電圧V1、V2、V3及びV4は、ゼロとなる。
【0075】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が共にゼロとなるので(以下これを(0、0)と表す)、XY方向カウンター磁石5がポジションNにあると判断する。
【0076】
(ポジションP1の検出動作)
図11(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図11(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP1に操作された場合について表している。
【0077】
操作レバー17がポジションP1に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第4のハーフブリッジ44付近において強くなるので、磁気ベクトル9は、図11(a)に示すように方向が変化する。
【0078】
第1〜第4のハーフブリッジ41〜44からの出力電圧は、磁気抵抗値の比で表され、本実施の形態においては、第2のMR素子46の磁気抵抗値に比例する。よって第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対しておよそ垂直に磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第3のハーフブリッジ43には、平行に磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V3−V1)は正(+)となる。ここで以下、バイアス磁界と感磁部4Aとの角度が45°のときの磁気抵抗値を「磁気抵抗値中」とし、この「磁気抵抗値中」を基準としてこれよりも磁気抵抗値が大きいとき「磁気抵抗値大」、小さいとき「磁気抵抗値小」と記述するものとする。
【0079】
一方第2及び第4のハーフブリッジ42、44には、感磁部4Aに対しておよそ45°で磁気ベクトル9が横切るので、(V4−V2)はゼロとなり、(+、0)の組合せとなる。
【0080】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(+、0)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP1にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0081】
(ポジションP2の検出動作)
図12(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図12(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP2に操作された場合について表している。
【0082】
操作レバー17がポジションP2に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第1のハーフブリッジ41と第4のハーフブリッジ44の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図12(a)に示すように方向が変化する。
【0083】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第3のハーフブリッジ43には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V3−V1)は正(+)となる。
【0084】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第4のハーフブリッジ44には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V4−V2)は負(−)となり、(+、−)の組合せとなる。
【0085】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(+、−)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP2にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0086】
(ポジションP3の検出動作)
図13(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図13(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP3に操作された場合について表している。
【0087】
操作レバー17がポジションP3に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第1のハーフブリッジ41付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図13(a)に示すように方向が変化する。
【0088】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して45°で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値中)、また、第3のハーフブリッジ43には、45°で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値中)ことから、(V3−V1)はゼロとなる。
【0089】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して平行に磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第4のハーフブリッジ44には、垂直に磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V4−V2)は負となり、(0、−)の組合せとなる。
【0090】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(0、−)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP3にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0091】
(ポジションP4の検出動作)
図14(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図14(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP4に操作された場合について表している。
【0092】
操作レバー17がポジションP4に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第1のハーフブリッジ41と第2のハーフブリッジ42の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図14(a)に示すように方向が変化する。
【0093】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第3のハーフブリッジ43には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V3−V1)は負となる。
【0094】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第4のハーフブリッジ44には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V4−V2)は負となり、(−、−)の組合せとなる。
【0095】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(−、−)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP4にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0096】
(ポジションP5の検出動作)
図15(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図15(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP5に操作された場合について表している。
【0097】
操作レバー17がポジションP5に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第2のハーフブリッジ42付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図15(a)に示すように方向が変化する。
【0098】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して平行に磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第3のハーフブリッジ43には、垂直に磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V3−V1)は負となる。
【0099】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して45°で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値中)、また、第4のハーフブリッジ44には、45°で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値中)ことから、(V4−V2)はゼロとなり、(−、0)の組合せとなる。
【0100】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(−、0)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP5にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0101】
(ポジションP6の検出動作)
図16(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図16(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP6に操作された場合について表している。
【0102】
操作レバー17がポジションP6に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第2のハーフブリッジ42と第3のハーフブリッジ43の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図16(a)に示すように方向が変化する。
【0103】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値大)、また、第3のハーフブリッジ43には、垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値小)ことから、(V3−V1)は負となる。
【0104】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第4のハーフブリッジ44には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V4−V2)は正となり、(−、+)の組合せとなる。
【0105】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(−、+)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP6にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0106】
(ポジションP7の検出動作)
図17(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図17(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP7に操作された場合について表している。
【0107】
操作レバー17がポジションP7に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第3のハーフブリッジ43付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図17(a)に示すように方向が変化する。
【0108】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して45°で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値中)、また、第3のハーフブリッジ43には、45°で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値中)ことから、(V3−V1)はゼロとなる。
【0109】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第4のハーフブリッジ44には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V4−V2)は正となり、(0、+)の組合せとなる。
【0110】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(0、+)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP7にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0111】
(ポジションP8の検出動作)
図18(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、図18(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。操作レバー17が、図8に示すポジションP8に操作された場合について表している。
【0112】
操作レバー17がポジションP8に傾倒操作されたとき、XY方向カウンター磁石5から発生する磁界が、第3のハーフブリッジ43と第4のハーフブリッジ44の間付近において強くなり、その結果、磁気ベクトル9は、図18(a)に示すように方向が変化する。
【0113】
第1のハーフブリッジ41には、第2のMR素子46の感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第3のハーフブリッジ43には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V3−V1)は正となる。
【0114】
一方第2のハーフブリッジ42には、感磁部4Aに対して垂直に近い角度で磁気ベクトル9が横切り(磁気抵抗値小)、また、第4のハーフブリッジ44には、平行に近い角度で磁気ベクトル9が横切る(磁気抵抗値大)ことから、(V4−V2)は正となり、(+、+)の組合せとなる。
【0115】
判断部100は、第1及び第3のハーフブリッジ41、43からの出力電圧の差分(V3−V1)、及び第2及び第4のハーフブリッジ42、44からの出力電圧の差分(V4−V2)が(+、+)の組合せとなるので、XY方向カウンター磁石5がポジションP7にあると判断し、車両ECU101を介して所定の処理を行う。
【0116】
上記したN及びP1〜P8ポジションの検出は、図9に示すように、X軸方向の検出結果、及びY軸の検出結果が独立に得られる。言い換えるなら、クロストークが少なく安定して行われる。
【0117】
一例として、操作レバー17をX軸の方向に約30°傾倒操作し、そのままY軸方向に約30°傾倒操作したとき、図10に示すように、X軸方向の出力電圧と、Y軸方向の出力電圧と、がクロストークの少ない状態で得られる。
【0118】
また、上記で説明したN及びP1〜P8ポジションの検出と共に、レバースイッチ1からの出力信号は、図9及び10等に示すように傾倒操作に対してアナログ出力されるので、2次元的な任意の位置(ポジション)を検出することができる。
【0119】
よってレバースイッチ1は、上記のポジション(N、P1〜P8)に限定されず、ゲームのコントローラやポインティングデバイスのように連続的に可変するコントローラとして使用することができ、また、多方向スイッチにも使用することができる。
【0120】
続いて回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションの検出について説明する。
【0121】
(回転操作による回転ポジションの検出動作)
図19(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の上面図であり、図19(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上面図であり、図20は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の回転角度と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。
【0122】
操作者が、操作レバー17を介してZθ方向カウンター磁石8を矢印E方向に45°回転操作した場合について説明する。図20は、横軸がZθ方向カウンター磁石8の回転角度、縦軸は角度変換処理が行われた角度を示しており、図中の「PUSH」とは、プッシュ操作を検出する第1及び第3のMRセンサ部71、73から出力される出力電圧に基づいたグラフを表しており、「回転」とは、回転操作を検出する第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力される出力電圧に基づいたグラフを表している。
【0123】
このとき、図6における印加電圧Vccとして5VをZθ方向MRセンサ7に印加し、Zθ方向カウンター磁石8の中心点が、Z=0.5mmの位置にあるとしてシミュレーションした結果に基づいて説明する。なお、第1〜第4のMRセンサ部71〜74を横切る磁気ベクトル9は、Y軸及びZ軸から時計回りを正とするものとする。
【0124】
回転操作されていない図5の状態のとき、Zθ方向MRセンサ7上におけるZθ方向カウンター磁石8の磁界は、Z軸上のZ=0.5mm付近が強いので、第1のMRセンサ部71には、Y軸から約40°に傾いた磁気ベクトル9が、第2のMRセンサ部72には、Z軸に平行な磁気ベクトル9が、第3のMRセンサ部73には、Y軸から約130°に傾いた磁気ベクトル9が、第4のMRセンサ部74には、Z軸に平行な磁気ベクトル9が、横切っている。
【0125】
上記の状態から、Zθ方向カウンター磁石8が図19(a)に示す矢印E方向に回転操作されると、Zθ方向MRセンサ7を横切る磁気ベクトル9は、図5における状態から図19(b)のように変化する。
【0126】
これは、Zθ方向カウンター磁石8が回転することによって、磁界の強い場所が、第3のMRセンサ部73側に移動するからである。
【0127】
このとき、第1及び第3のMRセンサ部71、73の磁気ベクトル9は、回転操作前後において方向は殆ど変化しないので、図20に示すように、出力電圧に大きな変化は無い。
【0128】
一方、第2及び第4のMRセンサ部72、74を横切る磁気ベクトル9の方向は、図19(b)に示すように、Z軸に平行だった状態から大きく変化する。
【0129】
判断部100は、第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力された図6に示す出力電圧Y1及びY2に基づいて上記した角度変換処理を行う。
【0130】
レバースイッチ1は、図20に示すように、プッシュ操作ポジションの検出に用いる第1及び第3のMRセンサ部71、73から得られた結果と、回転操作ポジションの検出に用いる第2及び第4のMRセンサ部72、74から得られた結果から、クロストークが少なく、Zθ方向カウンター磁石8の回転操作による回転操作ポジションを正確に検出することができる。
【0131】
判断部100は、得られた結果を車両ECU101に送信し、車両ECU101は、送信された信号に基づいて所定の処理を行う。
【0132】
(プッシュ操作による位置ポジションの検出動作)
図21(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作前のZθ方向MRセンサの上面図であり、図21(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作後のZθ方向MRセンサの上面図であり、図22は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の移動量と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。Zθ方向カウンター磁石8の中心点が、プッシュ操作によってZ=0.5mmからZ=−0.5mmに移動したとしてシミュレーションした結果に基づいて説明する。
【0133】
Zθ方向カウンター磁石8が、図1に示す矢印G方向にプッシュ操作されると、Zθ方向MRセンサ7を横切る磁気ベクトル9は、図21(a)の状態から図21(b)のように変化する。
【0134】
これは、Zθ方向カウンター磁石8がZ軸に平行に移動することによって、磁界の強い場所が、第4のMRセンサ部74から第2のMRセンサ部72側に移動するからである。
【0135】
このとき、第2及び第4のMRセンサ部72、74には、Z軸に平行な方向の磁気ベクトル9が横切る。この磁気ベクトル9は、プッシュ操作前後において方向は変化しないので、第2及び第4のMRセンサ部72、74が出力する出力電圧Y1及びY2に大きな変化がなく、図22に示すように、ほぼ一定値となる。
【0136】
一方、第1及び第3のMRセンサ部71、73を横切る磁気ベクトル9の方向は、第1のMRセンサ部71においては、Y軸から約40°に傾いていた磁気ベクトル9が約−40°に、第3のMRセンサ部73においては、Y軸から約130°に傾いていた磁気ベクトル9が約−130°に、と大きく方向が変化する。
【0137】
判断部100は、第2及び第4のMRセンサ部72、74から出力された出力電圧X1(=V12−V16)、X2(=V11−V15)に基づいて上記した角度変換処理を行うので、Zθ方向カウンター磁石8のプッシュ操作によるプッシュ操作ポジションを検出することができる。
【0138】
レバースイッチ1は、図22に示すように、プッシュ操作の検出に用いる第1及び第3のMRセンサ部71、73から得られた結果と、回転操作の検出に用いる第2及び第4のMRセンサ部72、74から得られた結果から、クロストークが少なく、Zθ方向カウンター磁石8のプッシュ操作によるプッシュ操作ポジションを正確に検出することができる。
【0139】
判断部100は、得られた結果を車両ECU101に送信し、車両ECU101は、送信された信号に基づいて所定の処理を行う。
【0140】
なお上記の結果より、回転操作とプッシュ操作を組み合わせることも可能である。また、同様に、一例として、Zθ方向カウンター磁石8の中心を座標原点に一致させ、プッシュ・プル操作に基づくプッシュ操作ポジションを検出するようにしても良く、これに限定されない。
【0141】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によると、レバースイッチ1は、X軸方向及びY軸方向のXY方向カウンター磁石5の移動をクロストークの少ない状態で検出することができるので、2次元の傾倒操作ポジションを安定して検出することができる。また、レバースイッチ1は、非接触でポジションの検出を行うことができるので、耐久性が高い。
【0142】
また上記した第1の実施の形態によると、レバースイッチ1は、操作レバー17による回転操作及びプッシュ操作に基づく回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションをクロストークが少ない状態で検出することができる。
【0143】
[第2の実施の形態]
(レバースイッチ1の構成)
図23は、本発明の第2の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図であり、図24は、本発明の第2の実施の形態に係るX方向の操作レバーの角度と角度変換処理が行われた角度との関係を表した図である。
【0144】
本実施の形態は、上記した第1の実施の形態と、XY方向MRセンサ4の構成が異なっている。
【0145】
XY方向MRセンサ4は、第1のハーフブリッジ41を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第1のハーフブリッジ41を時計回りに90°回転させた第5のハーフブリッジ41aと、第2のハーフブリッジ42を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第2のハーフブリッジ42を反時計回りに90°回転させた第6のハーフブリッジ42aと、第3のハーフブリッジ43を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第3のハーフブリッジ43を反時計回りに90°回転させた第7のハーフブリッジ43aと、第4のハーフブリッジ44を横切る磁気ベクトル9の方向がおよそ等しい位置に第4のハーフブリッジ44を時計回りに90°回転させた第8のハーフブリッジ44aと、を備えて概略構成されている。また、第1〜第8のハーフブリッジ41〜44、41a〜44aが出力する出力電圧をV21〜V28とする。
【0146】
なお、第1のMR素子45が時計回りに回転した配置のMR素子を第3の45aとし、第2のMR素子46が時計回りに回転した配置のMR素子を第4のMR素子46aとする。
【0147】
(第2の実施の形態の動作)
判断部100は、XY方向カウンター磁石5のX軸方向の傾倒操作ポジションを検出する第2、4、6及び8のハーフブリッジ42、44、42a、44aから出力される出力電圧V22、V24、V26及びV28に基づいて、一例として、X3(=V24―V22;第1の出力)、X4(=V28−V26;第2の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0148】
判断部100は、X3及びX4に基づいて、一例として、角度変換処理として[Arctan(X4/X3)]/2を算出し、X軸と磁気ベクトル9とがなす角度を算出する。
【0149】
また、判断部100は、XY方向カウンター磁石5のY軸方向の傾倒操作ポジションを検出する第1、3、5及び7のハーフブリッジ41、43、41a、43aから出力される出力電圧V21、V23、V25及びV27に基づいて、一例として、Y3(=V23―V21;第3の出力)、Y4(=V27−V25;第4の出力)に対して角度変換処理を行う。
【0150】
判断部100は、Y3及びY4に基づいて、一例として、[Arctan(Y4/Y1)]/2を算出し、Y軸と磁気ベクトル9とがなす角度を算出する。
【0151】
上記の方法にて角度変換処理された角度と操作レバー17のX軸方向に傾倒操作された角度との関係は、図24に示すように、線形に近く、また、クロストークが少ない状態でX軸方向及びY軸方向のXY方向カウンター磁石5の傾倒操作ポジションを検出することができる。
【0152】
上記のように、第1〜第8のハーフブリッジ41〜44、41a〜44a、の出力電圧を組み合わせて角度変換処理を行い、また、各ハーフブリッジの設置角度、すなわち出力電圧の位相を変えて設置しているのは、設置位置のばらつきによる検出誤差、温度による磁気抵抗値の変化に起因する誤差、感度の差による誤差、を抑制するためである。
【0153】
判断部100によって角度変換処理が行われた関数は、円を表す関数となり、それらの誤差は、円の半径の大小に相当しているので、角度に影響しない。
【0154】
よってXY方向MRセンサ4は、上記の構成を有することで、Zθ方向検出部6のように安定して2次元の傾倒操作ポジションを検出することができ、また、冗長性を確保することができる。
【0155】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によると、レバースイッチ1は、X軸方向及びY軸方向のXY方向カウンター磁石5の傾倒操作をクロストークの少ない状態で検出することができるので、2次元の傾倒操作ポジションを安定して検出することができる。また、レバースイッチ1は、冗長性を確保することができる。
【0156】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチに関するブロック図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る第1のMR素子の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上方図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの等価回路図である。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向検出部の側面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る傾倒操作ポジションについて示した図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの出力波形を表す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの出力波形を表す図である。
【図11】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図12】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図13】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図14】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図15】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図16】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図17】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図18】(a)は、本発明の第1の実施に係るXY方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向MRセンサの上面図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の回転角度と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作前のZθ方向MRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ操作後のZθ方向MRセンサの上面図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態に係るZθ方向カウンター磁石の移動量と角度変換処理が行われた角度の関係を表した図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係るXY方向MRセンサの等価回路図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係るX方向の操作レバーの角度と角度変換処理が行われた角度との関係を表した図である。
【符号の説明】
【0158】
1…レバースイッチ、2…操作部、3…XY方向検出部、4…XY方向MRセンサ、4A…感磁部、5…XY方向カウンター磁石、6…Zθ方向検出部、7…Zθ方向MRセンサ、8…Zθ方向カウンター磁石、9…磁気ベクトル、10…台座、11A、11B…脚部、12A、12B…軸、13A、13B…ネジ、14…第1の保持部、15…第2の保持部、16…突出部、17…操作レバー、18…掌握部、40…基板、41〜44…第1〜第4のハーフブリッジ、41a〜44a…第5〜第8のハーフブリッジ、45…第1のMR素子、45a…第3のMR素子、46…第2のMR素子、46a…第4のMR素子、50…S極、51…N極、70…基板、70a〜70d…第1〜第4のMR素子、71〜74…第1〜第4のMRセンサ部、80…N極、81…S極、100…判断部、101…車両ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転操作、及び前記回転軸の平行方向にプッシュ操作可能に支持部に設けられ、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを指示する操作指示部と、
前記操作指示部に設けられ、前記回転軸に対して垂直方向に磁化され、第1の磁界を形成する第1の磁石と、
前記操作部の傾倒操作に基づいて2次元の傾倒操作ポジションを指示し、前記2次元の傾倒操作ポジションに対して垂直方向に磁化され、第2の磁界を形成する第2の磁石と、
前記支持部に設けられ、前記回転操作及びプッシュ操作による前記第1の磁界の方向変化に基づいて第1の検出信号を出力する第1のセンサ部と、
前記傾倒操作による前記第2の磁界の方向変化に基づいて第2の検出信号を出力する第2のセンサ部と、
前記第1及び第2の検出信号に基づいて前記回転操作ポジション、プッシュ操作ポジション及び前記2次元の傾倒操作ポジションを判断する判断部と、
を備えたことを特徴とするポジションセンサ。
【請求項2】
前記第1及び第2のセンサ部は、4つのMR(Magneto Resistance)センサが十字の各頂点に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【請求項3】
前記MRセンサは、感磁方向が直交する2つのMR素子から構成されることを特徴とする請求項2に記載のポジションセンサ。
【請求項4】
前記第1及び第2のセンサ部は、対向する2つの前記MRセンサによってブリッジ回路を形成することを特徴とする請求項3に記載のポジションセンサ。
【請求項5】
前記第1のセンサ部は、基板を有し、前記回転軸を前記基板に投影した投影線上に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記回転操作ポジションを検出し、前記投影線に垂直な方向に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記プッシュ操作ポジションを検出することを特徴とする請求項4に記載のポジションセンサ。
【請求項6】
前記判断部は、前記対向する2つの前記MRセンサから差分出力される差分値の正、負及びゼロ値の組み合わせに基づいて前記傾倒操作ポジションを判断することを特徴とする請求項4に記載のポジションセンサ。
【請求項7】
前記第1のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【請求項8】
前記第2のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【請求項1】
回転軸を中心に回転操作、及び前記回転軸の平行方向にプッシュ操作可能に支持部に設けられ、回転操作ポジション及びプッシュ操作ポジションを指示する操作指示部と、
前記操作指示部に設けられ、前記回転軸に対して垂直方向に磁化され、第1の磁界を形成する第1の磁石と、
前記操作部の傾倒操作に基づいて2次元の傾倒操作ポジションを指示し、前記2次元の傾倒操作ポジションに対して垂直方向に磁化され、第2の磁界を形成する第2の磁石と、
前記支持部に設けられ、前記回転操作及びプッシュ操作による前記第1の磁界の方向変化に基づいて第1の検出信号を出力する第1のセンサ部と、
前記傾倒操作による前記第2の磁界の方向変化に基づいて第2の検出信号を出力する第2のセンサ部と、
前記第1及び第2の検出信号に基づいて前記回転操作ポジション、プッシュ操作ポジション及び前記2次元の傾倒操作ポジションを判断する判断部と、
を備えたことを特徴とするポジションセンサ。
【請求項2】
前記第1及び第2のセンサ部は、4つのMR(Magneto Resistance)センサが十字の各頂点に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【請求項3】
前記MRセンサは、感磁方向が直交する2つのMR素子から構成されることを特徴とする請求項2に記載のポジションセンサ。
【請求項4】
前記第1及び第2のセンサ部は、対向する2つの前記MRセンサによってブリッジ回路を形成することを特徴とする請求項3に記載のポジションセンサ。
【請求項5】
前記第1のセンサ部は、基板を有し、前記回転軸を前記基板に投影した投影線上に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記回転操作ポジションを検出し、前記投影線に垂直な方向に前記対向する2つの前記MRセンサが配置されて前記プッシュ操作ポジションを検出することを特徴とする請求項4に記載のポジションセンサ。
【請求項6】
前記判断部は、前記対向する2つの前記MRセンサから差分出力される差分値の正、負及びゼロ値の組み合わせに基づいて前記傾倒操作ポジションを判断することを特徴とする請求項4に記載のポジションセンサ。
【請求項7】
前記第1のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【請求項8】
前記第2のセンサ部は、感磁方向が直交する第1及び第2のMR素子からなるハーフブリッジ回路を第1〜第4のハーフブリッジ回路として十字の各頂点に配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路と前記第3のハーフブリッジ回路を対向させ、前記第2のハーフブリッジ回路と前記第4のハーフブリッジ回路を対向させてそれぞれ配置し、
前記第1のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第5のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第3のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第7のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第2のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を反時計回りに45°回転させた第6のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記第4のハーフブリッジ回路は、前記感磁方向を時計回りに45°回転させた第8のハーフブリッジ回路と共に配置され、
前記判断部は、前記第1及び第3のハーフブリッジ回路から差分出力される第1の出力と、前記第5及び第7のハーフブリッジ回路から差分出力される第2の出力と、前記第2及び第4のハーフブリッジ回路から差分出力される第3の出力と、前記第6及び第8のハーフブリッジ回路から差分出力される第4の出力と、に基づいて角度変換処理を行って前記プッシュ操作ポジション及び前記回転操作ポジションを判断することを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図6】
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【図15】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−266646(P2009−266646A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115426(P2008−115426)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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