説明

ポジトロン放出断層撮影法のためのデータ取得

例えば、ポジトロン放出断層撮影法の光子検出に応じて受信されるパルスの開始時間などの検出された事象に応答して生成される電子パルスの開始時間を推定する方法は、外部事象を検出し、電子アナログパルス信号を生成する検出器を提供することを含む。パラメータ化された理想的な曲線形状は、検出器により生成されるアナログパルス信号を表すように選択される。アナログパルス信号を受信すると、フィルタにかけられ、次いでデジタル化され、デジタル信号の面積に基づき正規化され得る。正規化されたデジタルパルス信号の少なくとも一点を使用して、受信されたアナログパルス信号を最も良く表すパラメータ化された理想的な曲線形状からの曲線が選択され、選択された曲線は、パルス開示時間を推定するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2007年11月2日出願の米国仮特許出願第60985083号の利益を主張し、この仮特許出願の開示は、その全体が本明細書において明示的に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
侵襲性外科手術をせずに生物の内部画像を作成する能力は、過去100年に渡る医療の主要な進歩である。X線断層撮影法(CT)および磁気共鳴画像法(MRI)等の撮像技術は、体内の解剖学的組織体の高分解能画像を考察する能力を医師および科学者に与えた。これは、疾患の診断および治療の進歩につながるが、大きな疾患群は、解剖学的組織体の変化を疾患の後期でしか、または全く引き起こさない。これは、生体内の特定の代謝活性を記録する医療画像の分科を生じた。ポジトロン放出断層撮影法(PET)は、この種類の医療画像である。
【0003】
(ポジトロン放出断層撮影法)
PETは、生物内の特定の代謝活性を測定するために、放射性崩壊を活用する医療画像診断法である。PET画像システムは、図1に表す3つの構成要素である、スキャンされる対象者に投与される放射性トレーサーと、(以下で説明するように、間接的に)放射性トレーサーの位置を検出するために動作可能であるスキャナと、断層画像処理システムとを備える。
【0004】
第1のステップは、放射性同位元素および代謝的活性分子を含む、放射性トレーサー90を生成し、投与することである。トレーサー90は、スキャン91される身体に注射される。トレーサー90に特定の組織に凝縮するための時間を与えた後、身体91は、スキャナ92内部に好適に位置付けされる。PET検査に使用されるとレーザーの放射性崩壊事象は、ポジトロン放出である。放出されたポジトロンは、電子と相互作用するまで、身体組織内で短い距離を移動する。消滅事象におけるポジトロン・電子相互作用は、2つの511KeV逆並列光子を生成する。スキャナ92は、消滅事象からの光子の少なくともいくつかを検出するように適合される。
【0005】
PETの第2の構成要素であるスキャナ92は、511KeV光子を検出するセンサのリングと、センサにより発生される信号を処理するフロントエンド電子機器とを備える。センサは、典型的には、シンチレータ結晶もしくはシンチレータ93と、光電子倍増管(PMT)、シリコン光電子倍増管(SiMP)、またはアバランシェフォトダイオード(APD)94とを備える。シンチレータ結晶93は、511KeV高エネルギー光子を多くの低エネルギー光子、典型的には、可視光線の光子に変換する。PMT、SiMP、またはAPD94は、可視光線の光子を検出し、対応する電気パルスを生成する。PMTパルスは、パラメータ、またはパルスの特性(すなわち、エネルギー、タイミング)を決定するように、フロントエンド電子機器によって処理される。便宜上、本明細書でのPMTの言及は、511KeV光子等の高エネルギー光子の検出、およびそれに応じて、可視光線光子等の低エネルギー光子の生成ための、任意の機構またはデバイスを備えることを理解されたい。
【0006】
最後に、データは、データを3D画像に変える断層画像再構築を実施するホストコンピュータ95に送信される。
【0007】
(放射性医薬品)
トレーサー90を合成するために、短命の放射性同位元素が代謝的活性分子に付加される。短い半減期は、対象者の電離放射線への曝露を低減するが、概して、トレーサー90がスキャナ近くで生成される必要がある。最も一般的に使用されるトレーサーは、110分の半減期を有するグルコースの類似体である、フッ素18フルオロデオキシグルコース([F−18]FDG)である。[F−18]FDGは、グルコースに十分類似するため、グルコースを利用する細胞によってリン酸化されるが、解糖を起こさない。したがって、分子の放射性部分は、組織内閉じ込められる。癌および脳細胞等の多くのグルコースを消費する細胞は、他の組織と比較して、徐々に、より多くの[F−18]FDGを蓄積する。
【0008】
対象の組織が、十分なトレーサー90を取り込むために十分な時間が経過した後、放射性減衰事象を検出するために、すなわち、511KeV光子を検出することにより、スキャナ92が使用される。ポジトロンが放出される時、電子と共に消滅する前に、典型的には、組織内で数ミリメートル移動し、相互に180°±0.23°で配向される2つの511KeV光子を生成する。
【0009】
(光子シンチレーション)
511KeV光子は、多大なエネルギー量を有し、身体組織を含む、多くの物質を通り抜ける。これは、光子が身体を通過して出ることを可能にするが、高エネルギー光子を検出するのは難しい。光子検出は、シンチレータ93の作業である。シンチレータ93は、高エネルギー光子を吸収し、低エネルギー光子、典型的には、可視光線光子を放出する。シンチレータ93は、プラスチック、有機および無機結晶、ならびに有機液体を含む、様々な物質から作られる。シンチレータの各タイプは、異なる密度、屈折率、タイミング特性、および最大放出波長を有する。
【0010】
一般的に、シンチレータ結晶の密度は、物質が高エネルギー光子をどの程度止めるかを決定する。シンチレータ結晶の屈折率および放出された光の波長は、結晶からどれだけ容易に光が収集できるかに影響する。放出された光の波長は、効率を最適化するために、光を電気パルス(例えば、PMT)に変えるデバイスを用いて一致させる必要もある。シンチレータタイミング特性は、可視光線が最大出力に達するのにかかる時間(立ち上がり時間)と、減衰にかかる時間(減衰時間)を決定する。立ち上がりおよび減衰時間は、これらの2つの時間の合計が長いほど、検出器が所定の時間に処理できる事象の数が減少し、したがって、同じ数を得るのにスキャンはより長くなるため、重要である。また、タイミング特定が長いほど、2つの事象がオーバーラップ(重なる)し、データが消失する可能性が高くなる。
【0011】
例示的な現代のシンチレータ物質は、無機結晶であるLu2SIo5(Ce)またはLSOである。LSOは、報告された30psの立ち上がり定数と、40nsの減衰定数を有する。報告された時間は、結晶の幾何学構造およびそれに付加する電子の変形により、わずかに変動し得る。LSOは、速い応答、および優れた光出力を示す新規のシンチレータ物質である。
【0012】
(光電子倍増管)
シンチレータ93は、シンチレータ93から電子パルスに可視光線光子を変換する電子デバイスに付加される。最も一般的に使用されるデバイスの2つは、PMTおよびAPDである。PMTは、光電陰極と、いくつかのダイノードと、非常に低レベルの光を検出できる高ゲインを有する陽極とを備える真空管である。APDは、PMTの半導体の変形である。PETスキャナでの使用のために現在研究されている別の技術は、SiPMである。SiPMは、光子が相互作用し、キャリアを発生させる時に、短い電流パルスが生成されるように、ガイガモードで操作する半導性フォトダイオードのアレイを含む。例示的なSiPMにおいて、フォトダイオードのアレイは、約103ダイオード/mmを含む。全てのダイオードは、共通のシリコン基板に連結されるため、アレイの出力は、ダイオードの出力の合計である。したがって、出力は、1つのフォトダイオードが火炎する最小から全てのフォトダイオードが火炎する最大の範囲であり得る。これらがデジタルデバイスから構成されていても、これは、これらのデバイスに直線的出力を与える。
【0013】
例示的なシステムは、図2に示すように、6つがx方向で、6つがy方向の12のチャネルを有するPMTを使用する。個別のチャネルは、事象の位置の正確な決定を可能にする。例えば、事象がPMTの左手上のコーナーで検出された場合、チャネルY1およびX1は、各連続したより大きいチャネルの数で、段階的により小さい信号を伴う、大きな信号を有する。チャネルY6およびX6は、事実上、信号を有さない。
【0014】
十分な同時事象が検出される時、画像再構築が開始され得る。基本的に、検出される事象は、コンピュータ断層撮影法を使用する3D画像を作製するために使用され得る、応答の平行線(光子ペアの翻訳されたパス)に分離される。
【0015】
PET、MRI、およびCTは、全て一般的な医療画像技術であるが、異なる診断法から得られる情報は、かなり異なる。MRIおよびCTは、解剖学的または構造的情報を与える。すなわち、これらは、身体の内部の映像を生成する。これは、骨折、靱帯の裂傷、または異常構造として表されるその他等の支障に最高である。しかしながら、MRIおよびCTは、代謝活性を示さない。これは、PETの専門である。代謝的に活性のトレーサーの使用は、PETにより生成される画像が機能的または生化学的情報を提供することを意味する。
【0016】
腫瘍学(癌の研究)は、近年、PETの最も一般的な用途である。特定の癌組織は、正常な組織より、より多くのグルコースを代謝する。[F−18]FDGは、癌細胞が容易に吸収するグルコースに十分類似し、したがって、これらは、スキャン中、背景組織と比較して、高い放射性活性を有する。これは、癌が十分に増大してMRIスキャン上で見える前に、PETスキャンがいくつかの癌を検出可能にする。トレーサーの取り込み量が治療の進行過程に渡って追跡され得るため、PETスキャンの情報は、治療の進行過程の監視に非常に有用でもある。治療後、スキャンが同一の癌組織で低活性を示す場合、治療が効果的であることを示す。
【0017】
PETは、神経学(神経系の研究)および心臓学(心臓の研究)にも有用である。神経学における興味深い用途は、パーキンソン病の早期診断である。トレーサーは、神経伝達物質であるドーパミンを生成する脳の細胞で凝縮するように開発された。パーキンソン病の患者において、ドーパミンを生成する神経細胞は、数が減少する。すなわち、パーキンソン病の患者のスキャンは、健康な患者より少ない活性を有する。パーキンソン病の他の早期症状が他の疾患と類似するため、これは、早期診断につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
PETシステムの費用、効率性、および正確度における継続的な向上が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(要旨)
本概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに記述される簡略化した形態で、概念の選択を導入するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴を識別することを意図することも、特許請求される主題の範囲の決定の補助として使用されることも意図しない。
【0020】
方法は、ポジトロン放出断層撮影法で検出する高エネルギー光子から生成されるパルス等の、電子パルスの開始時間を推定するために開示され、非常に正確な開始時間情報は有益である。検出器は、検出器上の光子発生率等の、外部事象を検出するため、および電子アナログパルス信号を発生させるために提供される。パラメータ化された理想的な曲線形状は、検出器により生成されるアナログパルス信号を表すように選択される。アナログパルス信号の受信において、デジタルパルス信号を発出するために、ADCを用いてデジタル化される。デジタルパルス信号値の振幅は、次いで、デジタルパルス信号の計算された面積の面積に基づき正規化される。例えば、デジタルパルス信号を含むカウント値は、正規化された曲線面積に対する計算された面積の割合により規準化されてもよい。正規化されたパルス信号からの少なくとも1点を使用して、パラメータ化された理想的な曲線形状からの曲線が、受信されたアナログパルス信号の開始時間を推定するために使用される。一般的に、開始時間は、デジタルパルス信号の点の中間であることを理解されたい。アナログパルス信号のためのタイムスタンプは、そのとき、記録されてもよい。
【0021】
一実施形態において、パラメータ化された理想的な曲線形状は、所定の立ち上がり時定数を有する、第1の指数関数部分と、所定の減衰時定数を有する、第2の所定の減衰時定数とを含む。
【0022】
本発明の一実施形態において、アナログパルス信号は、シリコン光電子倍増管により発生される。
【0023】
本発明の一実施形態において、デジタルパルス信号の第1点のみが、曲線を特定するために使用される。
【0024】
本発明の一実施形態において、アナログパルス信号は、信号のデジタル化前に、ローパスフィルタを用いてフィルタにかけられる。
【0025】
本発明の一実施形態において、逆引きは、1つ以上のルックアップテーブルが、一連の正規化された信号点振幅の開始時間推定を保持する時に使用される。
【0026】
本発明の一実施形態において、検出器は、光電子倍増管の1つに連結されるシンチレータ結晶と、アバランシェフォトダイオードと、シリコン光電子倍増管とを備える。
【0027】
本発明の前述の側面および多くの付随する利点は、同様が付属の図面と併用して、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、より良く理解されるように、より容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明に従うPETスキャナシステムを示す、環境図である。
【図2】図2は、x方向の6つのチャネルと直交y方向の6つのチャネルを備える例示的な12チャネルPMTの出力チャネルを図示する。
【図3】図3は、本発明に従う、高分解能PETスキャナの一実施形態のフロントエンド電子機器の構造を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明に従う、高分解能PETスキャナの第2の実施形態のフロントエンド電子機器の構造を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の方法を使用する70MHzのサンプル速度用のパルスのタイムスタンプの差異の分布を示す。
【図6】図6は、フィルタされたパルスとパルスの振幅との間の相関を示し、相関の有望な直線適合推定を表す。
【図7】図7は、パルスの各点の位置の参照として(反転された)フィルタにかけられたパルスを表す線と共に、70MHz ADCを用いてサンプルが取られ、フィルタにかけられたパルスの点の標準偏差のプロットである。
【図8】図8は、図4に示すシステムのFPGAに導入されるタイミングピックオフ回路の構造を示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(詳細な説明)
本発明に従うPETシステムの特定の実施形態の説明は、ここで、同様の番号が同様の部分を示す図を参照して説明される。図1を参照すると、高分解能スキャナ92が、シンチレータ93とPMT94とを含む検出器と共に開示される。センサデータは、ローパスフィルタ96を用いてフィルタにかけられ、アナログ・デジタル変換器97を用いてデジタル化され、デジタル化されたデータは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)98を用いて初期処理される。
【0030】
PMT94により生成されるアナログパルスは、PET画像を作製するために使用される情報を含む。アナログパルスは、正確な開始時間、位置、および総エネルギーに処理される。本初期処理を実施するための装置は、フロントエンド電子機器と呼ばれ、フィルタ96と、ADC97と、FPGA98とを備える。PMT94から受信されたアナログパルスは、ノイズを除去するためにローパスフィルタ96を用いてフィルタにかけられ、次いで、FPGA98によって処理するために、ADC97を用いてデジタル化される。いくつかの現代ADCは、最大400メガサンプル/秒(MSPS)の速度でサンプルが取れるが、本発明の実施形態では、70MSPSでサンプルを取るシリアルADC97が選択される。本選択は、PET設計の複雑さ、費用、および電力消費量を著しく低減する。別の考慮点は、FPGA98への入力数である。非常に速いADCは、数十から数百のチャネル/FPGAを備える、10〜12ビット/チャネルを必要とする平行出力を有する。入力数は、したがって、現代のFPGAが処理できる量を上回る。したがって、本発明のシステムは、サンプル速度を約100MSPSに制限する、シリアル出力ADC97を使用する。しかしながら、少ないADC/FPGAを必要とするシステムにおいて、より速いADCが、より優れたタイミング分解能を達成するために使用され得る。
【0031】
アナログパルスデータがデジタル化された後、必要なパルスパラメータがFPGA98に抽出される。例えば、総パルスエネルギーは、パルス値のサンプルを加算し、基準値(入力パルスを除くADC97の出力値)を引くことにより得られてもよい。
【0032】
パルスの開始時間は、一致ペア、すなわち、単一消滅事象から生じる2つの検出される光子を決定するために重要である。消滅事象により生成される多くの光子は、スキャナ92により検出されないことを、当業者により理解されるだろう。例えば、発生した光子は、身体組織に吸収されるか、または分散されるかのいずれかであってもよい、もしくはシンチレータ93を横切らないパスを移動してもよい。検出された光子のパスが、検出された光子間の線上に実質的にあることがそのときに分かるため、PET画像作成は、消滅事象の両方の光子を検出する必要がある。2つの放出された光子の1つだけがスキャナ92により検出される場合、事象がどこで生じたかを決定する方法はない。2つの検出された光子が一致ペアである場合、これらは、相互の特定時間内に検出されなければならなく、かつ検出器のそれぞれは、一方の視野内に位置しなければならない。
【0033】
例示的な高分解能の小型動物PETスキャナが組み立てられ、これは、環状の18の検出器カセットを含み、各カセットは、4つのPMT94に連結される、4つのシンチレータ93アレイを有する。各検出器カセットは、専用の一連のフロントエンド電子機器に連結される。
【0034】
例示的な小型動物スキャナのフロントエンド電子機器100の概略ブロック図を図3に示す。フロントエンド電子機器100は、マイクロプロセッサ102と、FPGA104ペアとを備える、多数の「ノード」(2つを示す)を含む。各ノードは、2つのPMT106を支持する。全てのノードは、ホストコンピュータ(示さず)への接続を作製するために、例えば、FireWire(登録商標)実行等の、IEEE1394aインターフェースを使用する、標準の高速通信インターフェース108を使用して、一緒にデイジー鎖接続される。ホストコンピュータは、全ノードからのデータを収集して、処理するソフトウエアを含む。データは、所望の画像を生成するために、オフラインで、引き続き処理される。
【0035】
図3に示すように、フロントエンド電子機器100に対して多くの個別部品がある。PMT106は、シンチレータ結晶(図3に示さず)からの光を検出し、対応するアナログパルスを生成する。各PMT106は、6つがx方向で、6つがy方向の12の信号を出力する(図2を参照のこと)。本発明の実施形態において、入力/出力数を低減するために、12の信号は、加算基板110を用いて、4つに削減される。ASIC112は、検出された事象の時間を決定するために、データを受信し、アルゴリズムを実行する。信号は、ADC114によりデジタル化され、FPGA104に送信される。一致ユニット109は、一致であってもよい事象のペアを識別し、さらなる処理に明らかに有用ではない事象を取り除くために、任意に提供される。
【0036】
FPGA104に加え、ホストコンピュータへの通信のために使用される、マイクロプロセッサ102(本実施形態では、Rabbit(登録商標)マイクロコントローラ)および通信インターフェース物理層チップ108がある。FPGA104およびマイクロプロセッサ102は、データ取得において、中心的な役割を担う。マイクロプロセッサ102は、各個々のノードの標準的な制御を提供する。これは、FPGA104の構成、ホストコンピュータとの通信、システムの初期化、およびシステムを調整するためのFPGA104との作業を含む。マイクロプロセッサ102がシステムの制御を扱うが、FPGA104は、大量のデータパスを作り上げる。正常な操作中、FPGA104は、通信インターフェース108のために、パルス処理およびデータパッキングの2つの主な作業を有する。パルス処理において、第1のステップは、所定の事象が、スキャナ92のもう一方側での別の事象と同時であるかを決定するステップである。合致する場合、同時事象が検出され、パルスは、エネルギーを決定するために記録され、粗分解能タイムスタンプは、データ上に記入される。エネルギーおよび時間(FPGAからの粗粒子、およびASICからの微細粒子)は、通信インターフェース108を通じて、ホストコンピュータに送信される。
【0037】
時折、スキャナ92は、ASIC112の振幅器ゲインを設定するために、調整される必要がある。これは、シンチレータ結晶93が異なる光出力および光収集効率を有し、PMT106が異なるゲイン特性を有するため、必要とされる。調整は、センサ間の差異を正規化し、経時的なドリフトを補正する。スキャナを調整するために、マイクロプロセッサ102は、調整アルゴリズムを使用してFPGA104を再構成し、各パルスのエネルギー値をビンに区分するためにFPGA104を初期化する。残念ながら、シンチレータ結晶配列93およびPMT106の外周縁近くの縁効果は、調整アルゴリズムにエラーを生じさせる可能性があり、したがって、無視される。結晶配列の縁にぶつかる事象を取り除くために、事象の位置が認識されなければならない。加算基板110によってもたらされる4つの信号は、結晶配列93の事象の位置を決定するために十分な情報を含む。
【0038】
いったん事象がシンチレータ結晶配列93の対象領域にあることが決定されると、事象の総エネルギーが計算され、異なるエネルギー区分に収容される。これは、(511KeV光子からの全エネルギーがシンチレータ結晶に堆積される時に、エネルギーを表すため)光電ピークと称されるピークを有するエネルギーの柱状グラフを作製する。光電ピーク以下の数は、光子のエネルギーの一部のみが結晶に堆積されるか、または光子コンプトンが結晶に達する前に、撮像される対象で分散するかのいずれかである、散乱光子を表す。
【0039】
システムが調整される場合、光電ピークは、全ての検出器に対して並ぶはずである。ピークがいくつかの変形を有する場合、マイクロプロセッサがゲインを変更し、調整アルゴリズムを再実行する。これは、全て自動であるため、いったんオペレータが機械自体で調整するように指示すると、マイクロプロセッサ102は、調整アルゴリズムを調整するようにFPGA104に指示する。いったんFPGA104が、ルーチンが完了したことを合図すると、マイクロプロセッサ102は、メモリから柱状グラフを読み、光電ピークを位置付ける。光電ピークが変化すると、マイクロプロセッサ102は、ASIC112のゲインを調節し、全センサの光電ピークが並ぶまで反復する。
【0040】
図4に図示されるPETスキャンシステムの第2の実施形態において、光電子倍増管デバイス144は、センサごとに使用されるチャネル数を大幅に増大する、結晶につき1出力を有する、固体素子SiPMである。図4は、本第2実施形態のフロントエンド電子機器150を示す、概略ブロック図である。本第2実施形態において、専用シリアライザ/デシリアライザ、および位相ロックループを使用して容易に通信可能な、Stratix(登録商標))II EPS60FPGA148、および70MHzシリアルADC147が選択された。本実施形態において、大半のフロントエンド電子機能は、非常に簡潔でよりコンパクトな構造を提供する、FPGA148により実行される。当該分野でよく知られるように、明らかに他のフィルタが使用されてもよいが、フィルタ146は、単純なRCフィルタとして示される。
【0041】
PETシステムフロントエンド用途に見事に適合させる、これらのより現代的なFPGA148の他の側面がある。例えば、Rabbit(登録商標)マイクロプロセッサ102は、FPGA148のNios(登録商標)II152ソフトコア組み込みプロセッサと取り替えられ、図3に示す構造のFPGA104とマイクロプロセッサ102との間の低通信速度を排除する。図4を図2と比較することにより明白であるように、本第2実施形態スキャナのフロントエンド電子機器150構造は、組み込まれたプロセッサ152に加え、タイミングピックオフ論理154と、エネルギー計算論理156と、FireWire(登録商標)コア158とを備える、FPGA148への部品の一体化により、よりコンパクトである。
【0042】
多数のチャネルを有する別の重要性は、それぞれのチャネル用のタイミングASICを有するために必要な費用およびボード空間が、非常に高いものとなることである。これは、FPGA148内部で完了タイミングを実行するためのアルゴリズムの開発をもたらした。
【0043】
高品質のPET画像の重要な目的は、シンチレータ結晶93と相互作用する光子のタイミングを正確に決定するためである。タイミング分解能は、良好な事象として認められる非同時事象の数と直接相関する。本第2実施形態において、タイミングは、サンプルデータを用いたFPGA148で達成され、チャネルあたりのASICの必要性を排除する。
【0044】
タイミングピックオフの性能指数は、タイムスタンプの分布である。言い換えれば、光源が正確にこれらの間の中心に置かれるように(光子が同時に両方の検出器に達するように)2つの検出器を設定するために、本出願人らは、各検出器のタイムスタンプ間の差異の分布を分析する。理想的なシステムにおいて、タイムスタンプ間の差異は、ゼロである。しかしながら、システムのノイズは、エラーを生じる。これをシミュレートするために、同一パルスの多数の異なるサンプル採取のために、タイムスタンプが計算される。図5に示すように、各パルスのタイムスタンプは、それからタイムスタンプの差異の分布160を生成するために、全ての他のパルスのタイムスタンプと比較される。
【0045】
シンチレータ93と相互作用する光子のタイミングを決定するために、タイミングピックオフ回路156が使用される。タイミングピックオフ回路156は、タイムスタンプにPMTから受信した検出されたパルス信号の特定の特性を割り当てる。例えば、本特性は、パルス開始時間、パルスピーク値時間、またはパルスが所定の電圧を超える時間であり得る。タイミングピックオフの一般的な技術の2つは、リーディングエッジおよび定フラクションデスクリミネータ(CFD)である。リーディングエッジは、単に、パルスがある一定の閾値電圧を越えた時を決定する。これは、交差を検出するアナログ回路を必要とする。本技術の欠点は、閾値に達する時間がパルスの振幅に依存することである。本効果は、トリガーレベルが高いほど悪化する。
【0046】
PETシステムのタイミングピックオフの現代の技術は、パルス振幅変動に影響を受けないため、アナログCDFを用いて実行される。CDFは、以下の方程式の回路を実装し、
h(t)=δ(t−D)−CF・δ(t)
式中、δ(t)は、着信信号である。方程式は、アナログパルスを2つのコピーに分岐し、Dにより1つのコピーを遅延することにより計算される。もう一方のコピーは、反転され、定フラクションにより減弱される(典型的には、約0.2)。最後に、2つの変更されたコピーは、検出およびタイムスタンプされ得るゼロ交差を備えるパルスを生成するように足される。ゼロ交差は、同一形状を有するパルスのパルス振幅の定フラクションで生じる。CFDおよびリーディングエッジの両方は、典型的には、専用ASICで行われ、トリガーをタイムスタンプに変換する回路を必要とする。CFDは、サブナノ秒タイミング分解能を達成可能である。
【0047】
(タイミングピックオフ法)
方法は、パルスの開始を計算し、これによってサブサンプル採取分解能を達成するようにパルスの既知の特徴を使用するために、本明細書に開示される。例えば、LSOシンチレータ結晶において、立ち上がり時間は、PMTの反応により抑制されるが、減衰時間は、シンチレーション結晶の機能である。これらの仮説に基づき、パルスの開始時間は、理想的なパルスをサンプル採取されたパルスにあてはめ、パルスの開始点を補間するように理想的なパルスを使用することにより決定され得る。
【0048】
実際のデータで本タイミングアルゴリズムを試験するために、25Gs/sオシロスコープが、LSO結晶に連結されたPMTからの19のパルスをサンプル採取するために使用された。パルスを生成するために、511KeV(22Na)光源を使用した。オシロスコープからのデータは、次いで、MATLAB(登録商標)に取り込まれた。
【0049】
パルスデータに良好な合致を提供するモデル極点は、例えば、
【0050】
【数1】

の2つの指数関数曲線である。
【0051】
最初のステップとして、本出願人らが2つの指数関数(1つは立ち上がりエッジ、1つは立ち下りエッジ)を有するパルスを生成し、最良の最小二乗適合を生成した振幅、時間変化、減衰指数関数、および立ち上がり指数関数を求めた場合、本出願人らは理想的なパルスを定義し、パルスの開始点を補間するようにパルスを使用し得ると、本出願人らは仮定した。本「強制」法を使用すると、タイミングピックオフの標準偏差は、70MHz ADCで1.0nsであった。これは良好なタイミング分解能であるが、FPGAがリアルタイムで計算するためには、探索空間が非常に大きすぎる。「強制」法から、本出願人らは、立ち上がり時間が、0.1〜0.5nsの範囲、減衰時間が28〜38nsの範囲、振幅が0.082〜0.185Vの範囲であったことを発見した。妥当な時間ステップ(約40ps)のこれらの範囲を網羅するためには、最小二乗適合が計算され、各パルスにおいて少なくとも215,000回(11減衰時間ステップ、5立ち上がり時間ステップ、11振幅ステップ、および357時間ステップ)比較される必要がある。
【0052】
より効率的なFPGAに基づくアルゴリズムおよび方法を展開するために、第1にPMT/SiPMパルスの立ち上がり、および減衰時間τ,τが一定であり、かつパルスの可変性がパルス振幅およびホワイトノイズからであることを想定する。
【0053】
例えば、本出願人らの試験装置において、全てのフィルタにかけられない、サンプル採取されないデータの最良の最小二乗適合を与えた立ち上がりおよび減衰時間は、それぞれ、310psおよび34.5nsであった。「強制」法を用いた一定の立ち上がりおよび減衰時間を使用することにより、タイミングピックオフの標準偏差は、1.1nsに低下する。しかしながら、時間一定探索を排除した後でさえ、ほぼ4,000探索が、依然として、各事象に対して必要とされるだろう。
【0054】
さらに方法を簡略化するために、本出願人らは、パルスの面積と振幅との間の直接相関を使用して、基準パルス(2つの指数関数方程式により定義される)と着信データパルスの振幅との差を排除する。図6に示すように、検出されたパルスの面積とパルスの振幅との間に、良好な直接相関170がある。事象の振幅を基準パルスに正規化するために、事象パルス面積に対する基準パルスの比率が計算される。事象パルスは、次いで、基準パルスおよび事象パルスの振幅を均一にするように、比率により計られる。例えば、デジタル化された事象パルスの面積が計算され、理想的な基準パルスの面積と比較されてもよい。事象パルスサンプル点は、次いで、2つの面積に従って計られるか、または正規化され得る。正規化されたデジタル事象パルスは、次いで、正規化された事象パルス値を基準パルスと比較することにより、事象パルスの開始時間を推定するために使用されてもよい。
【0055】
面積を振幅に変換するための関数は、多数の異なる開始点を有する19のパルスのそれぞれをサンプル採取すること、および各サンプル採取に対して得られた面積をその完全なパルスに対する既知の振幅と相関させることによって決定される。本推定を使用することにより、タイミングピックオフの標準偏差は、1.2nsに低下する。
【0056】
これらの2つの近似値を使用することにより、強制探索の大半の要因は、20%のタイミング分解能のみの損失で排除される。しかしながら、アルゴリズムは、それぞれの実行可能なタイミングオフセットに対する探索をまだ必要357とするだろう。パルスデータが既知の立ち上がりおよび減衰時間を有する基準曲線に適合し、振幅がパルス面積から計算される場合、強制探索は、逆引きに変換されてもよい。
【0057】
例えば、約2×10−7秒の長さの、70MHzでサンプル採取された、約13のサンプル点を生じるパルスを検討する。それぞれの実行可能な入力電圧において、基準パルス上で起こる時間は、事前に計算される。しがたって、それぞれの着信電圧は、簡単なメモリ操作を伴うタイミングオフセットに変換され得る。これは、各パルスに対して行われるため、検索後、任意の、または全ての13のサンプル点は、パルスが開始された時間を推定するために使用され得る。これらの13の開始時間が平均化される場合、タイミング分解能は、2.84nsに著しく低下する。
【0058】
本出願人らの検索方法からの結果を詳しく検証した後、いくつかのサンプル点は、他より非常に最適な結果であることが明らかになった。これは、13のサンプル点のそれぞれに対して計算された開始時間の標準偏差180をプロットする、図7に示される。図7から、標準偏差180は、フィルタをかけられたパルス182のスロープおよびパルス開始からの距離と相関する。ピーク近くの点(サンプル4および5)は、緩やかなスロープを有し、したがって、電圧のわずかな変化は、大きな時間変化を生じる。パルスの尾も大きな偏差を有する。しかしながら、第1のサンプル点のみが使用される場合、タイミングピックオフの標準偏差は、「強制」法と実質的に等しい、1.03nsである。
【0059】
本情報を使用することにより、逆引きステップは、検出されたパルスに0.005V以上の第1のサンプル点のみを使用するように変更された。しかしながら、遅い立ち上がり時間を伴うより速いADCまたはパルスを用いて、より多くのサンプル点が、最適な最終結果を得るように平均化され得るか、さもなければ相関され得る。
【0060】
したがって、現在のタイミングアルゴリズムは、1つの減衰定数、1つの立ち上がり定数を使用し、面積からパルス振幅を算出し、第1のサンプル用に電圧・時間検索を使用する。試験において、本アルゴリズムは、わずか1.03nsのタイミングピックオフの標準偏差を生成する。70MHz ADCに対する、最終アルゴリズムの分布を図5に示す。第1のサンプル点のみの使用は、非常に良好な結果を生成するが、いくつかの状況において、ピックオフ推定は、1つ以上のサンプル点の加重平均を使用することにより改良されてもよいことが、当業者には容易に明らかであろう。例えば、本発明の別の実施形態において、最初の2つまたは3つのサンプル点は、タイミングピックオフの一貫性をさらに改良するように、実験的に引き出された加重を用いて使用されてもよい。
【0061】
タイミングアルゴリズムの実行構造を図8に示す。SiPM等のPMT200は、シンチレータからのパルス信号を受信し、典型的にはローパスフィルタ202(滑らかなノイズ202’により表される)でフィルタにかけられる出力パルス(ノイズ信号200’により表される)を生成し、次いで、ACD204(デジタル信号204’により表される)を用いてデジタル化される。デジタル信号204’は、FPGA206に送信される。FPGA206は、検出された信号の面積を計算するようにコード化され、面積/振幅相関は、信号振幅208を推定するために使用される。信号は、次いで、基準パルスの面積に正規化され得る212。デジタル信号204’から選択されたデータ点(または一連の点)、例えば、特定の電圧に対する第1の点は、次いで、検出されたパルスの正確な開始時間216を決定するために使用される、基準パルス曲線214を見出すために逆引き212で使用される。
【0062】
70MHz ADCを用いる開示されたアルゴリズムは、アナログCFD法よりわずかに低いタイミング分解能を生成する場合があるが、ACD技術が改良されるにつれてタイミング分解能も改良されることに留意されたい。CFDの分解能が技術(CFD性能は、過去10年以上ほぼ一定である)を用いて計られない場合、本発明のアルゴリズムは、500MHz ADC(現在、平行ADCで利用可能であるが、すぐにシリアルADCが期待される)を用いたCFD法を上回ると予想される。
【0063】
本発明の方法が、タイミング分解能でCFDと一致しない状況においても、CFD法は、一定のASICで、チャネルごとのカスタム論理を必要とすることを理解されたい。提示される全てのデジタル法は、例えば128、FPGAごとのチャネルを含んでもよい、PETスキャナにおいて実質的である本代償を回避する。
【0064】
要約すると、PETは、FPGAに非常に適する用法である。FPGAは、デジタルタイミング等のアルゴリズムの開発に理想的であるが、これらは、また、PETに対する高度なデータ収集および処理システムに必要な大半の部分を提供する。本発明のシステムは、マイクロプロセッサの制御下で、スキャナの異なる部分の変化、およびより多くのチャネル処理を可能にする高速シリアルADCと連結される高度な入力/出力に適応するように、ゲインおよびセットレジスタを調節できる調整アルゴリズムを開発するためのFPGAの再構成可能性を利用する。これらのチャネルは、また、スキャナが処理可能なカウント率を増大する、再構成可能な布地で、並行して処理され得る。初期時代に対する現代のFPGAの計算能力の向上は、本出願人らのFPGAにおけるタイミングの実行と、ASICの排除を可能にする。
【0065】
現在および将来のADC技術を合わせた時に、今の現代技術水準アプローチより最適なタイミング分解能を実証する、新規、全デジタルタイミングピックオフ機構も開示する。現在のFPGAの多くの特徴は、重要な電子分野で、完全で複雑な信号処理を支持するように利用され得る。
【0066】
上述の方法は、非常に良好なタイミングピックオフの結果を生成するが、タイミングピックオフは、上述の振幅正規化およびタイミング検索技法を維持しながら、適切な基準パルスを決定する代替方法を使用することにより、さらに改良されてもよい。代替方法において、FPGAは、多数の事象パルスを捕捉して保存するように構成され、基準パルスを形成するようにこれらのパルスを利用する。特に、捕捉されたデータは、振幅およびサブサンプル採取速度時間変更(すなわち、パルスサンプル間隔に対するパルス開始時間)を変えることにより分散される。2ステッププロセスは、複合基準パルスを形成するために使用される。第1に、受信されたパルスは、上述のように正規化され、初期基準パルスは、データを平均化することにより生成される。次いで、パルスは、全ての曲線が最適に相関されるまで反復さえされる、時間の変更により本基準パルスにアライメントされる。アライメントされたパルスは、次いで、最終基準パルスを形成するために使用され得る。最終基準パルスは、次いで、上述の2つの指数関数基準パルス曲線の代わりに使用されてもよい。
【0067】
検出されたアナログパルス信号を正確にかつデジタル推定するための開示された方法は、ポジトロン放出断層撮影法のために開発されたが、一般的な方法が、他の状況のパルス信号の開始時間を非常に正確に推定するために使用されてもよく、したがって、本方法が、高速事象開始情報が所望される他の用途での使用に適切であると考えられることは、当該分野に精通した者には明らかであろう。
【0068】
例示的実施形態が図示され、説明されたが、様々な変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなくここに行われ得ることを理解されたい。
【0069】
独占的所有権または特権が特許請求される本発明の実施形態は、以下の通り定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された事象に応答して生成される電子パルスの開始時間を推定する方法であって、該方法は、
外部事象を検出し、電子アナログパルス信号を生成することによって該検出された事象に応答する検出器を提供することと、
該検出器によって生成されたアナログパルス信号を表すようにパラメータ化された理想的な曲線形状を選択することと、
該検出器によって生成されたアナログパルス信号を受信することと、
振幅を有するデジタルパルス信号を生じるように、該受信されたアナログパルス信号をデジタル化することと、
該デジタルパルス信号の計算された面積に基づき、該デジタルパルス信号の振幅を正規化することと、
該受信されたアナログパルス信号を表すように該パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、該正規化されたデジタルパルス信号の少なくとも1点を使用することと、
該受信されたアナログパルス信号の該開始時間を推定するために、該特定された曲線を使用することと、
該受信されたアナログパルス信号の該推定された開始時間を示すタイムスタンプを記録することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記パラメータ化された理想的な曲線形状は、所定の立ち上がり時定数を有する第1の指数関数部分と、所定の減衰時定数を有する第2の指数関数部分とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信されたアナログパルス信号は、シリコン光電子倍増管によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
曲線を特定するために、前記デジタルパルス信号の少なくとも1点を使用するステップは、曲線を特定するために、該デジタルパルス信号の第1点のみを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ローパスフィルタを用いて、前記受信されたアナログパルス信号をフィルタにかけることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、前記正規化されたデジタルパルス信号を使用するステップは、逆引きを含み、1つ以上のルックアップテーブルは、一組の正規化された信号点振幅に対する開始時間推定を保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記検出器は、光電子倍増管と、アバランシェフォトダイオードと、シリコン光電子倍増管とのうちの1つに連結されるシンチレータ結晶を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポジトロン放出断層撮影法で検出されるパルスの開始時間を推定する方法であって、
約511KeVのエネルギーを有する光子を検出し、それに応答してアナログパルス信号を生成するための検出器を提供することと、
該検出器によって生成されたアナログパルス信号を表すように、パラメータ化された理想的な曲線形状を選択することと、
該検出器によって生成されたアナログパルス信号を受信することと、
振幅を有するデジタルパルス信号を生じるように、該受信されたアナログパルス信号をデジタル化することと、
該デジタルパルス信号の計算された面積に基づき、該デジタルパルス信号振幅を正規化することと、
該受信されたアナログパルス信号を表すように、該パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、該正規化されたデジタルパルス信号の少なくとも1点を使用することと、
該受信されたアナログパルス信号の該開始時間を推定するために該特定された曲線を使用することと、
該受信されたアナログパルス信号の該推定した開始時間を表す、タイムスタンプを記録するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記パラメータ化された理想的な曲線形状は、所定の立ち上がり時定数を有する第1の指数関数部分と、所定の減衰時定数を有する第2の指数関数部分とを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記受信されたアナログパルス信号は、シリコン光電子倍増管によって生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
曲線を特定するために、前記デジタルパルス信号の少なくとも1点を使用するステップは、曲線を特定するために、該デジタルパルス信号の第1点のみを使用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ローパスフィルタを用いて、前記受信されたアナログパルス信号をフィルタにかけるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、前記正規化されたデジタルパルス信号を使用するステップは、逆引きを含み、1つ以上のルックアップテーブルは、一組の正規化された信号点振幅の開始時間推定を保持する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記検出器は、光電子倍増管と、アバランシェフォトダイオードと、シリコン光電子倍増管とのうちの1つに連結されるシンチレータ結晶を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
フロントエンド電子機器を提供するステップをさらに含み、該フロントエンド電子機器は、前記受信されたアナログパルスをデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器と、前記デジタルパルス信号を処理するフィールドプログラマブルゲートアレイとを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記受信されたアナログパルス信号の前記推定開始時間の分解能は、該受信されたアナログ信号をデジタル化するために使用されるサンプル時間より小さい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ポジトロン放出断層撮影法で一致ペアを識別する方法であって、
複数の検出器のうちのいくつかが相互の視野内に配置されるように、環状に配列された複数の検出器を用いて、複数の光子を検出し、各検出された光子に応答して、アナログパルス信号を生成することと、
該検出器によって生成されたアナログパルス信号を表すように、パラメータ化された理想的な曲線形状を選択することと、
振幅を有するデジタルパルス信号を生じるように、該アナログパルス信号をデジタル化することと、
該デジタルパルス信号の計算された面積に基づき、各デジタルパルス信号の振幅を正規化することと、
該アナログパルス信号を表すように、該パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、該正規化されたデジタルパルス信号の少なくとも1点を使用することと、
各アナログパルス信号に対する該アナログパルス信号の開始時間を推定するために、該特定された曲線を使用することと、
該アナログパルス信号の該推定開始時間を示すタイムスタンプを記録することと、
一致ペアを識別するように、相互の視野内に配置された検出器からアナログパルス信号のタイムスタンプを比較することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記パラメータ化された理想的な曲線形状は、所定の立ち上がり時定数を有する第1の指数関数部分と、所定の減衰時定数を有する第2の指数関数部分とを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
曲線を特定するために、前記デジタルパルス信号の少なくとも1点を使用するステップは、曲線を特定するために、該デジタルパルス信号の第1点のみを使用することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ローパスフィルタを用いて、前記受信されたアナログパルス信号をフィルタにかけるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、前記正規化されたデジタルパルス信号を使用するステップは、逆引きを含み、1つ以上のルックアップテーブルは、一組の正規化された信号点振幅に対する開始時間推定を保持する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記検出器は、光電子倍増管と、アバランシェフォトダイオードと、シリコン光電子倍増管とのうちの1つに連結されるシンチレータ結晶を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
フロントエンド電子機器を提供するステップをさらに含み、該フロントエンド電子機器は、前記受信されたアナログパルスをデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器と、前記デジタルパルス信号を処理するフィールドプログラマブルゲートアレイとを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記受信されたアナログパルス信号の前記推定開始時間の分解能は、該受信されたアナログ信号をデジタル化するために使用されるサンプル時間より小さい、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポジトロン放出断層撮影法スキャナであって、
環状アレイに配列された複数の検出器であって、各検出器は、少なくとも1つのシンチレータと、少なくとも1つの光電子倍増管とを備える、検出器と、
該検出器光電子倍増管からアナログ信号を受信するように動作可能であるアナログ−デジタル変換器を備えるフロントエンド電子システムであって、該フロントエンド電子システムは、該受信されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器と、該デジタル信号を受信し、該アナログ信号の該開始時間を計算するフィールドプログラマブルゲートアレイとを含む、フロントエンド電子システムと
を備え、該フィールドプログラマブルゲートアレイは、i)該デジタルパルス信号の計算された面積に基づき、各デジタルパルス信号の振幅を正規化することと、ii)該アナログパルス信号を表すように、パラメータ化された理想的な曲線形状から曲線を特定するために、該正規化されたデジタルパルス信号の少なくとも1点を使用することと、iii)各アナログパルス信号に対する該アナログパルス信号の該開始時間を推定するために、該特定された曲線を使用することとによって、該アナログ信号の該開始時間を計算する、スキャナ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの光電子倍増管のそれぞれは、光電子倍増管、シリコン光電子倍増管、およびアバランシェフォトダイオードのうちの1つを備える、請求項25に記載のポジトロン放出断層撮影法スキャナ。
【請求項27】
デジタル化される前に前記アナログ信号をフィルタにかけるフィルタをさらに備える、請求項25に記載のポジトロン断層法スキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−503550(P2011−503550A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532321(P2010−532321)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/082273
【国際公開番号】WO2009/059312
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】