説明

ポットグリッパー補助機及び簡易ポットグリッパー装置

【課題】ポットグリッパーの重量の影響を回避して、多数配列状態の育苗ポットの移し替えを安価で簡易な構成で達成することができるポットグリッパー補助機を提供する。
【解決手段】複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパー20を支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機10であって、ポットグリッパー20の重量に見合う力でポットグリッパー20を上下移動可能に支持する上下可動支持手段1A(1)と、上下可動支持手段1A(1)で支持された状態のポットグリッパー20を水平移動させ得る水平移動手段2A(2)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーを支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機、及び、この補助機とポットグリッパーとを備えた簡易ポットグリッパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーは、例えば、縦4列、横6列に配列された合計24個の育苗ポットの移し替えを一度にでき、一個一個移し替えるのに比べれば、その移し替えを格段に迅速に行うことができる。
【0003】
図7は、このような本発明の背景技術であるポットグリッパーを示す外観斜視図である。このポットグリッパーは、特許文献1に記載されたものを本出願人が更に改良した実施形態を示すものである。
【0004】
このポットグリッパー40(特許文献1では、「園芸用ポット移し替え装置」と称されている。)は、育苗ポットの内壁に入り込んで保持する複数の保持具31と、配列状態の保持具31を上方から支持する保持枠32と、この保持枠32を相対的に上下移動操作するための左右一対の保持ハンドル33とを備えている。
【0005】
ポットグリッパー40は、加えて、各保持具31毎に設けられ、保持具31の中心を貫通し、保持具31に対して相対的に上下移動して、保持具31で保持された育苗ポットを離脱させる押し出し部材34と、この配列状態の押し出し部材34を保持枠32より上方で支持する支持枠35と、この支持枠35を把持するための左右一対の把持ハンドル36とを備えている。
【0006】
保持枠32の保持ハンドル33の縦軸は支持枠35を貫通して、その上方に伸び出した状態で、水平部分で連結されている。保持ハンドル33の縦軸部分の外側には、保持枠32と支持枠35とを離間させるように付勢するスプリング37が嵌め入れられ、図示の保持具31と押し出し部材34の上下近接状態を保持している。
【0007】
このような構成のポットグリッパー40によれば、この状態のグリッパー40の把持ハンドル36を両手で持ち、配列積層されている育苗ポットの収容部にそれぞれの保持具31が入るようにして自重程度に育苗ポットに押し付けた後、把持ハンドル36を持ち上げれば、最上層の各1個の育苗ポットが一度に24個保持され、持ち上げられる。
【0008】
その後、所定の移し替え場所にある育苗トレー等の上方に移動させて、把持ハンドル36に対して保持ハンドル33を近づけるように操作すれば、保持枠32と支持枠35とが近づき、結果として相対的に保持具31に対して押し出し部材34が突出して、各保持された育苗ポットを離脱させて育苗トレーのそれぞれの収容部に収容させることができ、育苗ポットの移し替え作業の大幅な労力軽減を図ることができる。
【0009】
しかしながら、このポットグリッパー40によれば、一連の作業を人手で行うこととなるため、繰り返し行う場合には、ポットグリッパー40の自重が負荷となって、作業者の負担が大きくなり、改善が望まれていた。
【0010】
この問題を改善するものとして、ポットグリッパー部分の昇降と、保持具に対する押し出し部材の移動を自動化(機械化)した装置が提案されている。
【0011】
図8は、そのような本発明の背景技術である自動式ポットグリッパー装置を示すもので、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。この装置は、特許文献2に記載されているものである。
【0012】
この自動式ポットグリッパー装置50(特許文献2では、「ポット充填装置」と称されている。)は、図7の保持具31に相当する保持具41と、保持枠32に相当し、装置に対し上下移動可能な保持枠42と、この保持枠42を昇降駆動する主昇降駆動手段43と、図7の押し出し部材34に相当する押し出し部材44と、支持枠35に相当する支持枠45と、保持枠42に対して支持枠45を相対的に昇降させる副昇降駆動手段46とを備えている。
【0013】
自動式ポットグリッパー装置50は、加えて、保持具31に保持された育苗ポットPを収納する育苗トレイTを出し入れするフィーダ装置47を備えている。
【0014】
このような構成で、この自動式ポットグリッパー装置50は、配列積層された育苗ポットPの最上層の各1個の育苗ポットPを一度に24個保持し、上昇させたのち、フィーダ装置47で、各保持された育苗ポットの直下位置に一時配置された育苗トレイTの各収容部に保持された育苗ポットを自動的に入れることができ、図7のような手動式ポットグリッパー40の問題を解決することができる。
【0015】
しかしながら、この自動式ポットグリッパー装置50は構成が複雑で高価であり、育苗ポットを取り扱う個数によっては、費用対効果の面から採用しがたい点もあった。
【特許文献1】特許第3387067号公報(図13、図14)
【特許文献2】特許第3568806号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、ポットグリッパーの重量の影響を回避して、多数配列状態の育苗ポットの移し替えを安価で簡易な構成で達成することができるポットグリッパー補助機と、この補助機とポットグリッパーとを備えた簡易ポットグリッパー装置とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1記載のポットグリッパー補助機は、複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーを支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機であって、
前記ポットグリッパーの重量に見合う力で前記ポットグリッパーを上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、前記上下可動支持手段で支持された状態のポットグリッパーを水平移動させ得る水平移動手段とを備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項2記載のポットグリッパー補助機は、請求項1に従属し、上下可動支持手段が、巻き取り式バランサー、カウンターウエイト、または、スプリング支持手段のいずれかであることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載のポットグリッパー補助機は、請求項1または2に従属し、水平移動手段が、首振り移動手段、水平レール移動手段、または、回転型パンタグラフ移動手段のいずれかであることを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の簡易ポットグリッパー装置は、ポットグリッパーと、請求項1から3のいずれか記載のポットグリッパー補助機とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載のポットグリッパー補助機によれば、複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーを支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機であって、
前記ポットグリッパーの重量に見合う力で前記ポットグリッパーを上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、前記上下可動支持手段で支持された状態のポットグリッパーを水平移動させ得る水平移動手段とを備えているので、ポットグリッパーの重量の影響を回避して、多数配列状態の育苗ポットの移し替えを安価で簡易な構成で達成することができる。
【0022】
請求項2記載のポットグリッパー補助機によれば、請求項1の効果に加え、上下可動支持手段が、巻き取り式バランサーの場合には簡易に上下可動機能を達成でき、カウンターウエイトの場合にはポットグリッパーの上下位置によらず、常に、ポットグリッパーに対して作業者が感じる実感重量をゼロとすることができ、上下移動の作業性がより良くなる。
【0023】
上下可動支持手段がスプリング支持手段の場合には、巻き取り式バランサーの場合と同様に、簡易に上下可動機能を達成できる。
【0024】
請求項3記載のポットグリッパー補助機によれば、請求項1または2の効果に加え、水平移動手段が首振り移動手段の場合には、簡易に水平移動機能を達成することができる。
【0025】
水平移動手段が水平レール移動手段の場合には、直線状の水平移動をより円滑に達成することができる。
【0026】
水平移動手段が回転型パンタグラフ移動手段の場合には、全方向の自由な移動がより円滑になるという作用効果を発揮する。
【0027】
請求項4記載の簡易ポットグリッパー装置によれば、ポットグリッパーと、請求項1から3のいずれか記載のポットグリッパー補助機とを備えたので、これらのポットグリッパー補助機の作用効果を簡易ポットグリッパー装置として発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態(実施例)について、図面を用いて説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の一例を示す外観斜視図である。
【0029】
この簡易ポットグリッパー装置30は、複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーを支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機10と、図7で説明したポットグリッパー40と同様の構成のポットグリッパー20とを備えたものである。
【0030】
この装置30において、ポットグリッパー補助機10が、ポットグリッパー20の重量に見合う力でポットグリッパー20を上下移動可能に支持する上下可動支持手段1A(1)と、上下可動支持手段1A(1)で支持された状態のポットグリッパー20を水平移動させ得る水平移動手段2A(2)とを備えていることを特徴とする。
【0031】
この簡易ポットグリッパー装置30では、ポットグリッパー補助機10は、上下可動支持手段1として、ゼンマイ式バネを内蔵した巻き取り式バランサー1Aを備えていることを特徴とする。
【0032】
この巻き取り式バランサー1Aは、巻き取り支持する対象の重量に対応して巻き取り支持力を調整することができるものである。また、その支持力をほぼ維持しながら、そのバランサー1Aから伸び出している先端部分(ワイヤー)を出し入れ(この場合は昇降)させることができるものである。
【0033】
従って、このバランサー1Aの支持力を、その先端部分に吊り下げられたポットグリッパー20の重量に見合うものとしておけば、作業者はほとんどポットグリッパー20の重量の負荷を受けることなく、作業をすることができる。
【0034】
なお、この簡易ポットグリッパー装置30に備えられたポットグリッパー20は、図7の背景技術のポットグリッパー40と同じ構成のものであり、ポットグリッパー40の備える保持具31、保持枠32、保持ハンドル33、押し出し部材34、支持枠35、把持ハンドル36及びスプリング37に相当する保持具11、保持枠12、保持ハンドル13、押し出し部材14、支持枠15、把持ハンドル16及びスプリング17を備えている。
【0035】
左右一対の把持ハンドル16はそれぞれの中央部分で連結棒16aにより連結され、この連結棒16aの中央部分が、巻き取り式バランサー1Aによって支持されている。
【0036】
また、この簡易ポットグリッパー装置30では、ポットグリッパー補助機10は、水平移動手段2として首振り移動手段2Aを備えていることを特徴とする。
【0037】
首振り移動手段2Aは、ベース板2dに立設された固定支柱2aに対して、同心状態で回転可能に連結された回動支柱2bと、この回動支柱2bの上端から水平前方向に伸び出した水平アーム部2cとを備えている。
【0038】
この水平アーム部2cの先端に、巻き取り式バランサー1Aを介してポットグリッパー20が吊り下げられている。
【0039】
従って、このポットグリッパー補助機10(簡易ポットグリッパー装置30)によれば、上記の巻き取り式バランサー1Aの効果に加え、ポットグリッパー20を回動支柱2bを中心として、水平アーム部2cの長さを半径とする円周軌道上で水平移動することができる。
【0040】
この際、この円周軌道上で、多少、作業者の水平方向の力を与えることで、ポットグリッパー20を直線状の左右、前後方向に移動させることができる。つまり、所定範囲で多数配列状態の育苗ポットの直線状の移し替えもすることができる。
【0041】
この所定範囲は、水平アーム部2cの長さ、巻き取り式バランサー1Aの伸びだし長さ等を調整して、作業に必要なものとすることができる。
【0042】
また、上述の上下可動支持手段1としての巻き取り式バランサー1A、水平移動手段2としての首振り移動手段2Aはいずれも駆動手段のない、簡単な構成のもので、安価簡易に製造することができる。
【0043】
つまり、この本発明のポットグリッパー補助機10(簡易ポットグリッパー装置30)によれば、ポットグリッパー20の重量の影響を回避して、多数配列状態の育苗ポットの移し替えを安価で簡易な構成で達成することができる。
<実施形態2>
図2(a)は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す正面図、(b)、(c)は、(a)の首振り基部分の使用態様を示す詳細断面図である。これより既に説明した部分と同じ部分については同じ符号を付して、重複説明を省略する。
【0044】
この簡易ポットグリッパー装置30Aは、実施形態1(図1)の簡易ポットグリッパー装置30に比べ、ポットグリッパー補助機10Aにおいて、水平移動手段2としての首振り移動手段2Bが、より細い外径の固定支柱2eと、回転支柱2fと、水平アーム部2kとで構成され、首振り固定機能を備えている点と、首振り移動手段2Bが移動・固定可能な作業台4に設置されている点が異なっている。
【0045】
作業台4は、その下方に移動用のフリーキャスター4aと、固定用の伸縮可能な固定脚部4bとを備えている。図2(a)に示す状態では、固定脚部4bが伸び状態で、フリーキャスター4aのコロ部分は接地していないが、固定脚部4bを短くすれば、フリーキャスター4aのコロ部分が接地して、移動可能となる。
【0046】
首振り移動手段2Bの固定支柱2eは、複数のリブで補強されたベース板2mにより作業台4の最奥側(図面に垂直な再後方側)に固定されている。
【0047】
水平アーム部2kの先端には、カバー3で見えないが、実施形態1と同じ巻き取り式バランサー1Aが取りつけられている。カバー3には、内部の巻き取り式バランサー1Aの支持力調整等のための開閉可能な蓋3aが設けられている。
【0048】
このようなカバー3を設けると、製品としての外観を統一感のあるものとすることができ、また、不用意に巻き取り式バランサー1Aの巻き取り口に作業者の指先などが入り込んで巻き込まれるといったことをより良く防ぐことができる。
【0049】
首振り固定機能は、図2(b)、(c)に示すように、固定支柱2eと回転支柱2fとの内周に渡って隙間なく貫通し、固定支柱2e側に固定された連結パイプ2gと、この連結パイプ2gの回転支柱2fとの重複側に貫通して水平方向に設けられた方向決め孔2hと、この方向決め孔2hに貫通して挿入される方向決めピン2iと、この方向決めピン2iを固定支柱2eに吊り下げる鎖(他のひも状のもので代用可能)2jとで達成される。
【0050】
首振りが必要な際には、図2(b)に示すように、方向決めピン2iを方向決め孔2hに挿入しない状態としておくと、連結パイプ2gを中心として、回転支柱2fを自由に回転させることができる。
【0051】
なお、実際には、方向決めピン2iは、不使用時には、固定支柱2eに鎖2jによって吊り下げられた状態となっていて、邪魔になるものではないが、ここでは、次の挿入時の説明のために図のような状態で示している。
【0052】
首振りをさせたくない時には、図2(b)の状態から図2(c)の状態へと方向決めピン2iを方向決め孔2hに貫通挿入すると、連結パイプ2g、つまり、固定支柱2eに対して回転支柱2fを回転しないように一定方向に固定することができる。
【0053】
この固定方向は、方向決め孔2hを設ける方向と個数によって適宜設定することができるが、通常は、図2(a)に示すように、作業台4(図示していないが、この図の左右方向の長さが、図を貫通する前後方向の長さより長い長方形状である。)の左右方向と、前記前後方向との二通りの選択が可能なように設定するのが良い。
【0054】
なお、作業台4(つまり、簡易ポットグリッパー装置30A全体)の移動時には、この図2(a)に示す方向としておくと、主にこの左右方向で移動させるとすると、吊り下げられたポットグリッパー20が移動方向に揺動しても、作業台4の長手方向となるので、作業台4が揺動の影響により強く対抗することができ、フラフラすることなく移動させることができる。
【0055】
また、本装置30Aを使用しない際もこの状態としてしておくと、省スペースとなる。一方、使用時には、ポットグリッパー20が前方に来るようにすると(固定支柱2eは作業台の最奥側に設置されている。)、作業台4での作業性が良い。
【0056】
このような構成の簡易ポットグリッパー装置30A(ポットグリッパー補助機10A)によれば、実施形態1のものの作用効果に加え、作業台4での作業性、移動・固定性の利便性、上記首振り固定機能の利便性を得ることができる。
<実施形態3>
図3は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図である。
【0057】
この簡易ポットグリッパー装置30Bは、実施形態1(図1)の簡易ポットグリッパー装置30に比べ、ポットグリッパー補助機10Bにおいて、上下可動支持手段1としてカウンターウエイト1Bを備えている点が異なっている。
【0058】
カウンターウエイト1Bは、パイプ状の固定支柱2aの内部に上下移動可能に支持されたカウンターウエイト本体1aと、このカウンターウエイト本体1aと吊り下げるべきポットグリッパー20とを連結するワイヤー1cと、このワイヤー1cが固定支柱2a、回転支柱2b及び水平アーム部2cを貫通して円滑に移動するようにガイドする複数の滑車1bとを備えている。
【0059】
カウンターウエイト本体1aの重量は、ポットグリッパー20の重量に見合うものである。
【0060】
このようなカウンターウエイト1Bを備えた簡易ポットグリッパー装置30B(ポットグリッパー補助機10B)によれば、実施形態1の簡易ポットグリッパー装置30(ポットグリッパー補助機10)と同じ作用効果を発揮する。
【0061】
加えて、このようなカウンターウエイト1Bによれば、ポットグリッパー20の上下位置によらず、常に、ポットグリッパー20に対して作業者が感じる実感重量をゼロとすることができ、上下移動の作業性がより良くなる。
【0062】
なお、カウンターウエイトについては、カウンターウエイト本体を固定支柱2aの外側をリング状に囲うウエイト(円環状重り)としてもよく、その場合、ウエイトの交換がしやすくなる。
【0063】
また、カウンターウエイト本体を、固定支柱2aの後方に露出するように設けてもよく、その場合もウエイトの交換がしやすく、また、固定支柱2aの前方に障害物がなく、固定支柱2aの前方での作業性が向上する。
<実施形態4>
図4は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図である。
【0064】
この簡易ポットグリッパー装置30Cは、実施形態1(図1)の簡易ポットグリッパー装置30に比べ、ポットグリッパー補助機10Cにおいて、上下可動支持手段1としてスプリング支持手段1Cを備えている点が異なっている。
【0065】
スプリング支持手段1Cは、首振り移動手段2A(2)の水平アーム部2cの先端を貫通し上下移動可能な上下移動棒1dと、この上下移動棒1dの外周であって、その上下移動棒1dの上端と水平アーム部2cの上側との間に嵌め入れられ、両者を離間させるように付勢するコイルスプリング1eとを備えている。
【0066】
上下移動棒1dの下端にポットグリッパー20が吊り下げられている。
【0067】
この図示状態では、コイルスプリング1eの付勢力は、上下移動棒1dの重量とポットグリッパー20の重量とに釣り合うものとなっており、作業者はポットグリッパー20の重量をほぼ実感しない状態で、ポットグリッパー20を上下移動させることができる。
【0068】
このようなスプリング支持手段1C(1)を備えた簡易ポットグリッパー装置30C(ポットグリッパー補助機10C)によれば、実施形態1の簡易ポットグリッパー装置30(ポットグリッパー補助機10)と同じ作用効果を発揮する。
【0069】
なお、このスプリング支持手段1C(1)は、バネあるいはスプリング等の弾性体による付勢力を用いている点で、実施形態1の巻き取り式バランサー1Aと共通するものであるが、用いるバネが、ゼンマイ式バネか、コイルスプリングかで相違するものである。
<実施形態5>
図5は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図である。
【0070】
この簡易ポットグリッパー装置30Dは、実施形態1(図1)の簡易ポットグリッパー装置30に比べ、ポットグリッパー補助機10Dにおいて、水平移動手段2として水平レール移動手段2Cを備えている点が異なっている。
【0071】
水平レール移動手段2Cは、ベース板2oに立設された支柱2pと、この支柱2pの上端から水平前方に伸び出した前後レール2qと、この前後レール2q内を円滑に前後移動する吊り下げコロ2rと、この吊り下げコロ2rに吊り下げられ、水平左右方向に伸びている左右レール2sと、この左右レール2s内を円滑に左右移動する吊り下げコロ2rとを備えている。
【0072】
ポットグリッパー20は、左右レール2sの吊り下げコロ2rに巻き取り式バランサー1Aを介して吊り下げられている。
【0073】
このような構成で、この水平レール移動手段2Cによれば、ポットグリッパー20を前後左右に円滑に移動させることができる。
【0074】
従って、このような水平レール移動手段2C(2)を備えた簡易ポットグリッパー装置30D(ポットグリッパー補助機10D)によれば、実施形態1の簡易ポットグリッパー装置30(ポットグリッパー補助機10)と同じ作用効果を発揮する。
【0075】
加えて、この簡易ポットグリッパー装置30D(ポットグリッパー補助機10D)によれば、このような水平レール移動手段2C(2)を備えていることで、前後左右の直線状の移動がより円滑になるという作用効果を発揮する。
【0076】
なお、左右移動可能だけで十分な場合には、前後レール2qとこの前後レール2q内を円滑に前後移動する吊り下げコロ2rとを用いる代わりに、支柱2p上端から水平前方に伸びるアーム先端に左右レール2sを固定するようにしてもよい。
【0077】
また、左右レール2sの水平度をより確実に維持しながら、前後移動を可能とすることが必要な場合には、支柱2p上端から水平前方に伸びる前後レール2dを左右並行に2列設け、この2列の前後レール2qの吊り下げコロ2rで左右レール2sを支持するようにすると良い。
<実施形態6>
図6は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図である。
【0078】
この簡易ポットグリッパー装置30Eは、実施形態1(図1)の簡易ポットグリッパー装置30に比べ、ポットグリッパー補助機10Eにおいて、水平移動手段2として回転型パンタグラフ移動手段2Dを備えている点が異なっている。
【0079】
回転型パンタグラフ移動手段2Dは、平行四辺形リンクの交差するリンクを共通のものとして複数個連結して水平前方向に伸展させたものを上下二段とし、少なくともその交差点の軸を上下共通としたパンタグラフ本体2vと、そのパンタグラフ本体2vの交差軸の基端軸2uと、ベース板2dに立設され、上端に基端軸2uを回動可能に設けた支柱2tとを備えている。
【0080】
回転型パンタグラフ移動手段2Dのパンタグラフ本体2vは水平方向に伸縮可能で、その基端軸2uは支柱2tに対し回動可能であり、このパンタグラフ本体2vの先端側に、ポットグリッパー20が、巻き取り式バランサー1Aを介して吊り下げられている。
【0081】
このような構成で、この回転型パンタグラフ移動手段2Dによれば、ポットグリッパー20を自由に水平移動させることができる。また、その際、回転型パンタグラフ移動手段2Dは水平保持力が大きく、その先端側がポットグリッパー20の重量によっておじぎする程度が小さい。
【0082】
従って、このような回転型パンタグラフ移動手段2D(2)を備えた簡易ポットグリッパー装置30E(ポットグリッパー補助機10E)によれば、実施形態1の簡易ポットグリッパー装置30(ポットグリッパー補助機10)と同じ作用効果を発揮する。
【0083】
加えて、この簡易ポットグリッパー装置30E(ポットグリッパー補助機10E)によれば、このような回転型パンタグラフ移動手段2D(2)を備えていることで、全方向の自由な移動がより円滑になるという作用効果を発揮する。
【0084】
なお、本発明のポットグリッパー補助機及び簡易ポットグリッパー装置は、上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能である。
【0085】
例えば、種々の上下可動支持手段及び水平移動手段の組み合わせは、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0086】
また、上下可動支持手段は、例えば、回転支柱の上端の水平軸回りに回動可能に前方向に伸びるアームを設置し、前記アーム先端を上方に回動させるように付勢する付勢手段を設けるようなものであってもよい。この場合、ポットグリッパーは、このアームの先端に吊り下げられる。
【0087】
また、上下可動支持手段は、回転支柱の上端にシーソー型のアームを設置し、このアームの後端にカウンタウエイト本体を設置し、このアームの先端にポットグリッパーを吊り下げるものであってもよい。
【0088】
また、ポットグリッパーは、その名称に拘束されるものではなく、縦横に配列された育苗ポットを手動あるいは半手動(半自動)で一時的にその配列状態のままで保持し、または、保持解除することができる装置、いわゆるポット移し替え装置や、ポット詰替装置等と称されるものを含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のポットグリッパー補助機及び簡易ポットグリッパー装置は、ポットグリッパーの重量の影響を回避して、多数配列状態の育苗ポットの移し替えを安価で簡易な構成で達成することが要請される産業分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の一例を示す外観斜視図
【図2】(a)は、本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す正面図、(b)、(c)は、(a)の首振り基部分の使用態様を示す詳細断面図
【図3】本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図
【図4】本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図
【図5】本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図
【図6】本発明のポットグリッパー補助機を備えた簡易ポットグリッパー装置の他例を示す外観斜視図
【図7】本発明の背景技術であるポットグリッパーを示す外観斜視図
【図8】本発明の背景技術である自動式ポットグリッパー装置を示すもので、(a)はその正面図、(b)はその側面図
【符号の説明】
【0091】
1 上下可動支持手段
1A 巻き取り式バランサー
1B カウンターウエイト
1C スプリング支持手段
2 水平移動手段
2A、2B 首振り移動手段
2C 水平レール移動手段
2D 回転型パンタグラフ移動手段
10〜10E ポットグリッパー補助機
20 ポットグリッパー
30〜30E 簡易ポットグリッパー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の育苗ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーを支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機であって、
前記ポットグリッパーの重量に見合う力で前記ポットグリッパーを上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、前記上下可動支持手段で支持された状態のポットグリッパーを水平移動させ得る水平移動手段とを備えていることを特徴とするポットグリッパー補助機。
【請求項2】
上下可動支持手段が、巻き取り式バランサー、カウンターウエイト、または、スプリング支持手段のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のポットグリッパー補助機。
【請求項3】
水平移動手段が、首振り移動手段、水平レール移動手段、または、回転型パンタグラフ移動手段のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載のポットグリッパー補助機。
【請求項4】
ポットグリッパーと、請求項1から3のいずれか記載のポットグリッパー補助機とを備えたことを特徴とする簡易ポットグリッパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−89653(P2009−89653A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263643(P2007−263643)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(593049914)株式会社東海化成 (20)
【Fターム(参考)】