説明

ポリアリーレン系重合体の製造方法

【課題】スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造において、生成する重合体の分子量を正確にコントロールすることができる方法を提供すること。
【解決手段】置換基としてスルホン酸エステル基を有する化合物を含む、芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ化合物および芳香族メチルスルホニルオキシ化合物から選ばれる1種以上の化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、重合溶液が所定の溶液粘度に達した時点で、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を重合溶液に添加することにより重合反応を停止させて重合体の分子量を調節することを特徴とするスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造工程における、重合体の分子量調節法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロスルホニルオキシ化合物、芳香族トリメチルスルホニルオキシ化合物をNi触媒等を用いてカップリング反応させることによりポリアリーレン系重合体が生成することは良く知られており、反応終了後は、大量のメタノール等の貧溶剤中に重合溶液を投入して、ポリマーを凝固させて回収することが一般的に行われている。
【0003】
カップリング反応では、反応後期においては逐次的に反応して生成した高分子量体同士のカップリング反応が主となるため、急激に分子量が大きくなる。このため、上記のような方法で重合反応を停止しようとした場合、重合溶液を貧溶剤へ投入するのに時間を要することから、投入しようとする間にも重合反応が継続的に進行してしまい、得られる重合体の分子量の調節が困難であるという問題点がある。また、スルホン酸エステル基を有する化合物を用いたカップリング重合反応の場合、スルホン酸エステル基が比較的不安定なために、停止剤との反応、あるいは停止剤の作用によりスルホン酸エステル基の分解反応が発生する問題点がある。
【0004】
この様に、従来技術ではスルホン酸エステル基を有する芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロスルホニルオキシ化合物、芳香族トリメチルスルホニルオキシ化合物の重合反応における適切な分子量調節法がなく、特に工業的スケールでの生産時における、生成する重合体の分子量を正確に調節する方法の開発が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術的課題を背景としてなされたものであり、重合反応における重合体が目的とする分子量になった時点で重合反応を停止させて、生成する重合体の分子量を正確にコントロールすることができる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば下記ポリアリーレン系重合体の製造方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
(1)置換基としてスルホン酸エステル基を有する化合物を含む、芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ化合物および芳香族メチルスルホニルオキシ化合物から選ばれる1種以上の化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、重合溶液が所定の溶液粘度に達した時点で、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を、カップリング反応に使用される遷移金属触媒1モルに対して0.05〜30モル量、重合溶液に添加することにより重合反応を停止させて重合体の分子量を調節することを特徴とするスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法。
(2)下記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体および下記一般式(2)で表される化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、重合溶液が所定の溶液粘度に達した時点で、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を、
カップリング反応に使用される遷移金属触媒1モルに対して0.05〜30モル量、重合溶液に添加することにより重合反応を停止させて重合体の分子量を調節することを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレン系重合体の製造方法。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3,−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−
、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Rまたは−O(CH2jSO3Rまたは−O(CF2jSO3Rで表される置換基を有する芳香族基を示す(ここでRは炭素数4〜20の炭化水
素基を示し、jは1〜12の整数を示す。)。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3,−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−
、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭
化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水
素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の生産において、生成するポリアリーレン系重合体の分子量を正確に調節することができ、特に工業的スケールでの生産時において有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法について具体的に説明する。
本発明においてスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体を製造する際し
て、モノマーとして、スルホン酸エステル基を有する化合物を含む、芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ化合物および芳香族メチルスルホニルオキシ化合物から選ばれる1種以上の化合物、すなわち、芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ化合物または芳香族メチルスルホニルオキシ化合物(以下、これらを総称して「芳香族化合物」ともいう。)であって、スルホン酸エステル基を有する化合物から選ばれる1種以上の化合物と、スルホン酸基を有さない芳香族化合物から選ばれる1種以上の化合物とが用いられる。そしてこれらの化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、重合溶液が所定の粘度に達した時点で、重合反応停止剤を重合溶液に添加することにより重合反応を停止させて重合体の分子量を調整する。
【0013】
本発明のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法において、特に好ましく用いられるスルホン酸エステル基を含有する芳香族化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0014】
【化3】

【0015】
式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示す。
Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(
lは1〜10の整数である)、−C(CF32−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
【0016】
Zは直接結合または、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。Rは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n−ブチル基
、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメ
チル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基
、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0017】
Arは−SO3Rで表される置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基として具体的に
はフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0018】
置換基−SO3Rは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3Rが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Rは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的には
上記炭素原子数1〜20の炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0019】
Arは−O(CH2jSO3Rまたは−O(CF2jSO3Rで表される置換基を有する芳香族基であってもよい(ここでRは炭素数4〜20の炭化水素基を示し、jは1〜12の整数を示す。)。芳香族基として具体的には、上記と同様の物が挙げられる。
【0020】
置換基−O(CH2jSO3R、置換基−O(CF2jSO3Rは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3R、置換基−O(CF2jSO3Rが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Rは4〜20の炭化水素基を示し、具体的には上記炭素数4〜20の炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0021】
mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

【0031】
上記化合物の−Cl基が−Brまたは−Iに置き換わった化合物、
上記化合物の−Cl基が−OSO2CH3に置き換わった化合物、
上記化合物の−Cl基が−OSO2CF3に置き換わった化合物など。
【0032】
上記のスルホン酸エステル基を有する芳香族化合物は単独で使用しても良いが、複数を同時に使用しても構わない。
本発明のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法において、特に好ましく用いられるスルホン酸エステル基を含有しない芳香族化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
【化13】

【0034】
式中、Xは上記式(1)中のXと同様の原子または基を示す。
A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−
COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロ
ゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
【0035】
Bは独立に酸素原子または硫黄原子である。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0036】
s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0037】
【化14】

【0038】
【化15】

【0039】
【化16】

【0040】
【化17】

【0041】
【化18】

【0042】
上記化合物の−Cl基が−Brまたは−Iに置き換わった化合物、上記化合物の−Cl基が−OSO2CH3に置き換わった化合物、上記化合物の−Cl基が−OSO2CF3に置き換わった化合物など。
【0043】
なお、上記において、pは2以上、好ましくは2〜100である。
上記化合物は単独で使用することができるが、複数を同時に使用することも可能である。
【0044】
<ポリマー構造>
本発明においては、通常、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物をカップリング重合させ、下記一般式(3)で表される共重合体が得られる。
【0045】
【化19】

【0046】
上記一般式(3)において、A、B,D,Y,Z,Ar,R,m、n、r、s、t、kおよびR1〜R16は、それぞれ上記一般式(1)および(2)中のA、B,D,Y,Z,
Ar,R,m、n、r、s、t、kおよびR1〜R16と同義である。x、yはx+y=1
00モル%とした場合のモル比を示す。
【0047】
上記一般式(3)の重合体のスルホン酸エステル基を加水分解した重合体は、燃料電池、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等に使用される高分子電解質に使用される。
【0048】
ポリアリーレン系重合体を製造するには上記モノマーを触媒の存在下に反応させるが、使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0049】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0050】
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−
シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる
。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0051】
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
【0052】
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0053】
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0054】
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0055】
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0056】
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
【0057】
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0058】
使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう。)が好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0059】
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0060】
このようにして上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物を重合させることにより、スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体を含む重合溶液が得られる。目的とする分子量の重合体を得るためには、重合時に使用する重合溶媒中での重合体の濃度と分子量に対する溶液粘度の関係を予め求めておき、目的とする重合体の分子量に対応する溶液粘度となった時点で、重合溶液に重合反応停止剤を投入する。重合反応停止剤を添加した時点で速やかに重合反応が停止し、目的とする分子量の重合体を正確に得ることができる。
【0061】
本発明では、重合反応停止剤として、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。本発明において用いることができる重合反応停止剤としては、上記官能基を有する化合物であれば良く特に限定されないが、好ましい化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0062】
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸、イソ酪酸、イタコン酸、オクチル酸、オレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸などのカルボキシル基を有する化合物;
無水酢酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸、無水酪酸等の酸無水物などの酸無水物基を有する化合物;
メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール化合物などの水酸基を有する化合物;
グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、乳酸エチル、グリセリン酸、ヒドロキシマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸類などのカルボキシル基および水酸基を有する化合物;
ピルビン酸、アセト酢酸等のケトカルボン酸などのカルボキシル基を有する化合物;
グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、セリン等のアミノ酸などのアミノ基およびカルボキシル基を有する化合物;
メチルアミン、アリルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、t−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン化合物などのアミノ基を有する化合物;
プロピオンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、アクリルアミド、シュウ酸ジアミド等のアミド化合物などのアミド基を有する化合物;
2−アミノエタノール、2−アミノ−1−ブタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール、N−メチルヒドロキシルアミン、N−エチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミンなどのアミ
ノ基および水酸基を有する化合物;
水などが好適に使用できる。
【0063】
これらの化合物の内、酢酸、シュウ酸、乳酸、水、エチレングリコールが特に好ましい。
これら重合反応停止剤の使用量は、重合触媒として用いられる遷移金属錯体または遷移金属塩1モルに対して0.05〜30モル、好ましくは0.1〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルである。重合反応停止剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上組み合わせて用いた場合には、合計量が上記範囲となる量で用いられる。また、重合反応停止剤は、重合溶媒に溶解、希釈して重合溶液に投入することもできる。重合反応停止剤の使用量が下限量より少ないと、重合反応の停止が適切に行われず、分子量の調節を正確に行うことができないことがある。一方、重合反応停止剤の使用量が上限値より多い場合には、スルホン酸エステル基の分解反応等の副反応が起こることがあり好ましくない。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔合成例1〕オリゴマー(I)の合成
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン29.8g(104mmol)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン37.4g
(111mmol)、炭酸カリウム20.0g(145mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン168mL、トルエン84mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、5時間攪拌を続けた後、4,4'−ジクロロベンゾフェノン7.5g(30mmol)を加え、さらに8時間反応させた。
【0064】
反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、疎水性ユニット56gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は10,500であった。得られた化合物は、式(I)で表されるオ
リゴマーであることを確認した。
【0065】
【化20】

【実施例1】
【0066】
スルホン酸エステル基含有ポリアリーレン(III)の合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、下記式(II)の構造を持つ3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.5
g(338mmol)、上記合成例(1)で得られたMn10,500のオリゴマー44
.5g(4.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(136mmol)、亜鉛53.7g(820mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)580mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら攪拌を続け、重合溶液をサンプリングし、B型粘度計を用いて40℃で測定した重合溶液の粘度が6,000mPa・sとなった時点で、水0.9g(Ni触媒に対して5倍mol量)を添加し、反応を停止させた。水を添加する直前のポリマーのGPC(THF)測定して求めたポリスチレン換算の数平均分子量は46,000、重量平均分子量は173,000であった。
【0067】
水添加後、80℃で2時間保持した後、ポリマーの分子量をGPC(THF)測定して求めたところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は46,000、重量平均分子量は17
2,000であり、水を添加する直前と分子量の変化は認められず、反応が完全に停止し
ていることが確認された。また、1H−NMRにより、重合体中のスルホン酸エステル基
のネオペンチル基の水素と芳香族環の水素のシグナルの積分比より、スルホン酸エステル基は分解することなく、残留していることを確認した。
【0068】
【化21】

【0069】
(合成例2)
オリゴマー(IV)の合成
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4'−ジクロロベンゾフェノン(4,4'−DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、ト
ルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
【0070】
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は11,200であった。
得られた化合物は式(IV)で表されるオリゴマー(以下、「BCPAFオリゴマー」という。)であった。
【0071】
【化22】

【実施例2】
【0072】
スルホン酸エステル基含有ポリアリーレン(V)の合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、下記式(VI)の構造を持つスルホン酸ネオペンチル基を有する化合物 26.66g(42mmol)、上記合
成例(1)で得られたオリゴマー(IV)17.5g(1.6mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド0.79g(1.2mmol)、ヨウ化ナトリウム0.18g(1.2mmol)、トリフェニルホスフィン4.2g(16mmol)、亜鉛6.3g(96mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)140mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら攪拌を続け、重合溶液をサンプリングし、B型粘度計を用いて40℃で測定した重合溶液の粘度が7,000mPa・sとなった時点で、反応停止剤としてシュウ酸0.76g(Ni触媒に対して7倍mol量)を添加し、反応を停止させた。シュウ酸を添加する直前のポリマーのGPC(THF)測定により求めたポリスチレン換算の数平均分子量は57,000、重
量平均分子量は189,000であった。
【0073】
シュウ酸加後、80℃で2時間保持した後、ポリマーの分子量をGPC(THF)測定して求めたところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は56,000、重量平均分子量は
188,000であり、シュウ酸を添加して反応を停止させる直前と分子量の変化は認め
られず、反応が完全に停止していることが確認された。また、1H−NMRにより、重合
体中のスルホン酸エステル基のネオペンチル基の水素と芳香族環の水素のシグナルの積分比より、スルホン酸エステル基は分解することなく、残留していることを確認した。
【0074】
【化23】

【実施例3】
【0075】
実施例1において、反応停止剤としてエチレングリコール3.2g(Ni触媒に対して5倍mol)を用いた他は、同様にして重合、反応停止を行った。エチレングリコール添加直前のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量45,000、
重量平均分子量173,000であった。また、エチレングリコール添加後、80℃で2
時間保持した後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量45,
000、重量平均分子量172,000であり、エチレングリコール添加により反応が完
全に停止していることが確認された。また、1H−NMRにより、重合体中のスルホン酸
エステル基のネオペンチル基の水素と芳香族環の水素のシグナルの積分比より、スルホン酸エステル基は分解することなく、残留していることを確認した。
[比較例1]
実施例1において反応停止剤である水を添加せずに、5時間重合反応を行った。反応開始から3時間の時点でポリマー溶液をサンプリングし、ポリマーの分子量を測定(GPC;THF)したところポリスチレン換算の数平均分子量は46,000、重量平均分子量
は168,000であった。また4時間反応終了後のポリマーの分子量(THF、ポリス
チレン換算)は、数平均分子量は53,000、重量平均分子量は215,000であった。
【0076】
このことから、反応時間3時間の時点では重合反応が完結しておらず、反応停止剤を添加しないと重合反応がさらに進行し、分子量が大きくなることが確認された。
[比較例2]
実施例1において、反応停止剤として水0.002g(Ni触媒に対して0.01倍mol)を用いた他は、同様にして重合、反応停止を行った。水添加直前のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量44,000、重量平均分子量167,000であったが、水添加後、更に80℃で2時間反応を継続した後のポリマーの分子量(THF、ポリスチレン換算)は数平均分子量52,000、重量平均分子量206,000であり、反応停止が不十分であることが確認された。
[比較例3]
実施例2において、反応停止剤としてシュウ酸10.8g(Ni触媒に対して100倍mol)を用いた他は、同様にして重合、反応停止を行った。シュウ酸添加後、重合溶液は粘凋化が認められ、スルホン酸エステル基の分解が示唆された。シュウ酸添加後のポリマーの1H−NMRを測定したところ、重合体中のスルホン酸エステル基のネオペンチル
基の水素と芳香族環の水素のシグナルの積分比より、スルホン酸エステル基の一部が分解していることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換基としてスルホン酸エステル基を有する化合物を含む、芳香族ハロゲン化合物、芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ化合物および芳香族メチルスルホニルオキシ化合物から選ばれる1種以上の化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、重合溶液が所定の溶液粘度に達した時点で、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を、カップリング反応に使用される遷移金属触媒1モルに対して0.05〜30モル量、重合溶液に添加することにより重合反応を停止させて重合体の分子量を調節することを特徴とするスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法。
【請求項2】
下記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体および下記一般式(2)で表される化合物をカップリング反応させてポリアリーレン系重合体を製造するに際して、重合溶液が所定の溶液粘度に達した時点で、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基またはアミド基を有する化合物、および水から選ばれる1種以上の化合物を、カップリング反応に使用される遷移金属触媒1モルに対して0.05〜30モル量、重合溶液に添加することにより重合反応を停止させて重合体の分子量を調節することを特徴とする請求項1に記載のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン系重合体の製造方法;
【化1】

(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3,−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−
、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF32−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH32−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Rまたは−O(CH2jSO3Rまたは−O(CF2jSO3Rで表される置換基を有する芳香族基を示す(ここでRbは炭素数4〜20の炭化水素基を示し、jは1〜12の整数を示す。)。mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
【化2】

(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO2CH3,−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−
、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭
化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水
素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数
を示す。)。

【公開番号】特開2007−91788(P2007−91788A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279595(P2005−279595)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】