説明

ポリアルキレンオキシド修飾された単鎖ポリペプチド

【課題】本発明は、ポリ(エチレングリコール)PEGおよび類似のポリ(アルキレンオ
キシド)の鎖の、抗体の可変領域の三次元折り畳み、従って抗体の可変領域の結合能力お
よび特異性を有する単鎖ポリペプチド結合分子への共有結合による単鎖ポリペプチドの化
学修飾に関する。
【解決手段】修飾された単鎖ポリペプチド結合分子のこのような調製物は、親のポリペプ
チドと比較して、減少した免疫原性および抗原性を有し、そして血流においてより長い半
減期を有する。修飾された単鎖ポリペプチド結合分子のこれらの利益のある特性によって
、これらの分子は、種々の治療的適用において非常に有用となる。本発明はまた、PEG
化をし得る多価抗原結合分子に関する。PEG化抗原結合タンパク質の組成物、遺伝的構
築物、使用方法、および産生する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、抗体の可変領域の三次元折り畳み、従って抗体の可変領域の結合能および特
異性を有する単鎖ポリペプチド結合分子への、ポリ(エチレングリコール)PEGおよび
類似のポリ(アルキレンオキシド)の鎖の共有結合による単鎖ポリペプチドの化学的修飾
に関する。修飾された単鎖ポリペプチド結合分子のこのような調製物は、親のポリペプチ
ドと比較して、減少した免疫原性および抗原性を有し、そして血流においてより長い半減
期を有する。修飾された単鎖ポリペプチド結合分子のこれらの有益な特性によって、これ
らの分子は、種々の治療的適用において有用となる。本発明はまた、PEG化をし得る多
価抗原結合分子に関する。PEG化抗原結合タンパク質の組成物、遺伝的構築物、使用方
法、および産生する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
2.関連分野の説明
抗体は、侵入する分子(抗原という)と複合体化し得る特定の分子を提供する免疫系に
よって生成されるタンパク質である。天然の抗体は、2つの同一の抗原結合部位を有し、
この両方は、特定の抗原に特異的である。抗体分子は、抗原の領域(エピトープという)
とその抗原結合部位とを複合体化させることによって抗原を「認識」する。エピトープは
、抗体の抗原結合部位のコンホメーション構造に適合し、それによって、抗体が、抗原と
結合することが可能になる。
【0003】
抗体分子は、2つの同一の重いポリペプチド鎖および2つの同一の軽いポリペプチド鎖
からなり、これらは、鎖間のジスルフィド結合によってともに保持されている。抗体につ
いての残りの説明は、軽鎖/重鎖の1対のみを言及する。なぜなら、各軽鎖/重鎖対は同
一であるからである。各個々の軽鎖および重鎖は、およそ110アミノ酸の領域へと折り
畳まれ、保存された三次元コンホメーションをとる。軽鎖は、1つの可変領域(V)お
よび1つの定常領域(C)を含むが、重鎖は、1つの可変領域(V)および3つの定
常領域(C1、C2、およびC3)を含む。領域の対が会合して、異なる構造を形
成する。特に、軽鎖および重鎖の可変領域が会合して、抗原結合部位を含む「Fv」領域
を形成する。定常領域は、抗原結合には必要ではなく、そしていくつかの場合において、
タンパク質加水分解によって抗体分子から分離され得、それによって軽鎖の半分および重
鎖の4分の1からなる、生物学的に活性な(すなわち結合性の)可変領域を得る。
【0004】
さらに、特定のクラスのすべての抗体およびそれらのFabフラグメント(すなわち、
、C、V,およびC1からなるフラグメント)(これらの構造は、X線結晶学
によって決定された)は、異なる動物種由来でさえも、超可変セグメントの配列における
大きな差異にもかかわらず、同様の可変領域構造を示す。免疫グロブリン可変領域は、抗
原結合ループにおける変異に対して耐性であるようである。従って、超可変領域以外にお
いて、抗体の、ほとんどのいわゆる「可変」領域(これは、重鎖および軽鎖の両方で規定
される)は、実際に、それらの三次元配置において非常に安定している。例えば、Hub
er、R.Science 233:702−703(1986)を参照のこと。
【0005】
免疫学、組換えDNA技術、およびコンピューター科学における最近の進歩は、抗原を結合する単一のポリペプチド鎖分子の作製を可能にした。これらの抗原結合単鎖分子(「SCA」)または抗体の単鎖可変フラグメント((「sFv」)は、リンカーポリペプチドを組み込んで、個々の可変領域VおよびVを架橋して、単一のポリペプチド鎖へとなす。抗原結合単鎖タンパク質の理論および産生についての説明は、Ladnerら、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に見られる。この米国特許において引用されるプロセスで産生される抗原結合単鎖タンパク質は、Fabフラグメントに対応するものに実質的に類似する結合特異性および親和性を有する。リンカー設計のためのコンピューター補助方法は、より詳細には、Ladnerら、特許文献5および特許文献6ならびに特許文献7に記載されている。
【0006】
sFv(SCA)ポリペプチドのインビボ特性は、MAbおよび抗体フラグメントとは異なる。それらの小さなサイズに起因して、sFv(SCA)ポリペプチドは、血流からより迅速に消失し、そして組織へとより迅速に浸透する(Milenic,D.E.ら、Cancer Research 51:6363−6371(1991);Colcherら、J.Natl.Cancer Inst.82:1191(1990);Yokotaら、Cancer Research 52:3402(1992))。定常領域が欠失していることに起因して、sFv(SCA)ポリペプチドは、肝臓および腎臓のような組織において保持されない。迅速なクリアランスおよび定常領域の欠失に起因して、sFv(SCA)ポリペプチドは、低い免疫原性を有する。従って、sFv(SCA)ポリペプチドは、ガン診断および治療において適用を有する。ここで、迅速な組織浸透およびクリアランスならびに微生物産生の容易さが有利である。
【0007】
多価抗原結合タンパク質は、1つより多くの抗原結合部位を有する。多価抗原結合タン
パク質は、2以上の単鎖タンパク質分子を含む。増強された結合活性、二以上の特異的結
合および多価抗原結合タンパク質の他の新規の使用が実証されている。Whitlow、
M.ら、Protein Engng.7:1017−1026(1994);Hoog
enboom、H.R.Nature Biotech 15:125−126(199
7);およびWO93/11161を参照のこと。
【0008】
Ladnerらはまた、抗原結合単鎖分子の、診断、治療、インビボおよびインビトロ
画像化、精製、ならびにバイオセンサーにおける使用を開示する。抗原結合単鎖分子の、
固定化形態または検出可能に標識された形態での使用もまた開示され、そしてヒト患者の
ような動物における特定の部位へ送達するための、抗原結合単鎖分子と治療薬剤(例えば
、薬物または特定の毒素)との結合体もまた開示されている。
【0009】
Whitlowら(Methods:A Companion to Methods
in Enzymology 2(2):97−105(1991年6月)は、抗原結
合単鎖分子の技術の良好な総説を提供し、そしてそれらを作製するプロセスを記載する。
【0010】
特許文献8において、Hustonらは、予め選択した抗原に対する親和性を有する合成タンパク質のファミリーを開示する。特許文献8の内容は、本明細書において参考として援用する。このタンパク質は、生合成抗体結合部位(BABS)として挙動する領域を構成する1以上のアミノ酸配列によって特徴付けられる。この部位は、(1)非共有結合的に会合しているかまたはジスルフィド結合している合成VおよびV領域、(2)V−VまたはV−V単鎖、ここでVおよびVがポリペプチドリンカーに結合している、または(3)個々のVまたはVドメインを含む。結合ドメインは、フレームワーク領域(FR)に連結した相補性決定領域(CDR)を含み、これは、別個の免疫グロブリンに由来し得る。
【0011】
特許文献8はまた、ネイティブ免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の各々の可変ドメインの3つのサブ領域(CDR)が、総合して、抗原認識および結合を担うことを開示する。これらのCDRは、超可変領域またはループの1つおよびその特定の超可変領域に隣接するフレームワーク領域に位置する選択されたアミノ酸またはアミノ酸配列からなる。多様な種由来のフレームワーク領域が、生合成タンパク質において真正の免疫化学的な結合特性を達成するために、適切なコンホメーションの多様な他の種由来のCDRを維持するに有効であるといわれている。
【0012】
特許文献8は、完全な抗体結合部位を含む単鎖複合ポリペプチドであるキメラポリペプチドの記載を含む。この単鎖複合ポリペプチドは、アミノ酸配列を介して一方のアミノ末端に結合した他方のカルボキシ末端を有する、縦列のVHおよびVドメインに倣ってパターン化された構造を有することが記載されている。従って、免疫グロブリン軽鎖(V)の可変領域の一部分と相同である第二のアミノ酸配列に結合した、免疫グロブリン重鎖(VH)ペプチドの可変領域の一部分と相同であるアミノ酸配列を含む。
【0013】
ポリアルキレングリコールの鎖の、ポリペプチド分子への共有結合は、Davisらの特許文献9、ならびにAbuchowskiおよびDavis「Enzymes as Drugs」、HolcenbergおよびRoberts編、367〜383頁、John Wiley and Sons、New York(1981)に開示される。これらの参考文献は、ポリエチレングリコールを用いて修飾されたタンパク質および酵素が、親の化合物と比較して低減した免疫原性および抗原性を有し、そして血流でより長い寿命を有することを開示する。化学修飾された結合体の、得られた有利な特性は、種々の治療適用において非常に有用である。
【0014】
上記に記載される単鎖ポリペプチドのようなアミノ酸配列、およびそれらの融合タンパ
ク質は、哺乳動物において有意な抗原性とは相関付けられていないが、循環する寿命を延
長し、そして抗原性応答の可能性をさらにより低減することが所望されてきた。しかし、
ポリペプチドの比較的小さなサイズおよびそれらの精緻な構造/活性関係は、ポリエチレ
ングリコール修飾を困難かつ予測不可能なものにしていた。最も重要なことに、PEGの
ようなポリマーとの結合体化の後にポリペプチドの保持された活性を調節する方法は未知
であった。
【0015】
ポリエチレングリコール(PEG)またはポリアルキレン(polyalkalene
)オキシドの、タンパク質への共有結合を達成するために、ポリマーのヒドロキシル末端
基がまず、反応性の官能基へと変換されねばならない。このプロセスは、しばしば、「活
性化」といわれ、そして産物は、「活性化PEG」または活性化ポリアルキレンオキシド
と呼ばれる。官能基で一方の端をキャップ化され、タンパク質分子上のアミンに対して反
応性である、メトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)がほとんどの場合使用さ
れる。
【0016】
活性化されたポリマーは、結合部位として作用する求核性官能基を有する治療薬剤と反
応する。結合部位として一般に使用される1つの求核性官能基は、リジンのε−アミノ基
である。遊離のカルボン酸基、適切に活性化されたカルボニル基、酸化炭水化物部分およ
びメルカプト基もまた、結合部位として使用されている。
【0017】
PEGのヒドロキシル基は、塩化シアヌルで活性化され、次いで得られた化合物をタン
パク質と結合する(Abuchowskiら、J.Biol.Chem.252:357
8(1977);AbuchowskiおよびDavis、前出(1981))。しかし
、この方法を使用する際には不利な点(例えば、塩化シアヌルの毒性、およびアミン以外
の官能基(例えば、遊離の必須システインまたはチロシン残基)を有するタンパク質につ
いてのそれの非特異的な反応性)がある。
【0018】
これらおよび他の不利な点を克服するために、別の活性化PEG(例えば、PEGのス
クシンイミジルスクシネート誘導体(「SS−PEG」))が導入された( Abuch
owskiら、Cancer Biochem. Biophys. 7:175−18
6(1984))。SS−PEGは、穏和な条件下でタンパク質と迅速に(30分間)反
応して、活性であるが、非常に修飾された結合体を生じる。
【0019】
Zalipskyは、特許文献10において、ポリ(エチレングリコール)−N−スクシンイミドカーボネートおよびその調製を開示する。この形態のポリマーはタンパク質のアミノ基、ならびに遊離のアミノ基を含む低分子量ペプチドおよび他の物質と容易に反応すると言われている。
【0020】
タンパク質のアミノ基とPEGとの間の他の連結もまた、当該分野において公知であり
、例えば、ウレタン連結(Veroneseら、Appl,Biochem.Biote
chnol.11:141−152(1985))カルバメート連結(Beaucham
pら、Analyt.Biochem.131:25−33(1983))などがある。
【0021】
Suzukiら(Biochimica et Biophysica Acta、7
88:248−255(1984))は、免疫グロブリンG(IgG)を、それまでに塩
化シアヌルで活性化したポリ(エチレングリコール)に共有結合している。結合したIg
Gを、分子構造、サイズ排除クロマトグラフィー挙動、表面活性、界面凝集性、非特異的
な補体活性化を誘導する加熱凝集性、および抗原結合活性のような物理化学的特性および
生物学的特性について研究した。IgGへのポリ(エチレングリコール)結合は、見かけ
上のIgGのストークス径および表面活性を増大させ、そして加熱および/または界面へ
の曝露に対してIgGを安定化したが、IgGの構造変性は観察されなかった。抑制した
非特異的な凝集性は、修飾されたIgG分子間の会合における困難さによって主に解釈さ
れた。これらの結果は、静脈内調製物としてポリ(エチレングリコール)結合したIgG
、およびまた静脈内での使用のためのインタクトなIgGを安定化する添加剤としての使
用を示唆した。
【0022】
Sharpら(Analytical Biochemistry 154:110−
117(1986))は、細胞表面抗原に基づく2つのポリマー水相系において細胞を分
離するための生体特異的な親和性リガンドを生成する可能性を調べた。ウサギ抗ヒト赤血
球IgGを、塩化シアヌル活性化モノメチルポリ(エチレングリコール)画分(分子量約
200、1900、および5000)と、PEG対タンパク質リジン基の種々のモル比で
反応させた。デキストラン/PEG二相系におけるタンパク質の分配係数は、修飾の程度
の上昇およびPEG分子量の上昇とともに増加する。ヒト赤血球を凝集させる能力が同時
に欠失した。
【0023】
Tullisは、特許文献11において、オリゴヌクレオチドが疎水性部分(これは、ポリアルキレンオキシ基であり得る)に連結アームを介して結合された、オリゴヌクレオチド結合体を記載する。得られる結合体は、膜を横切り、そして転写系を有効に調節し得るように、膜輸送においてより効率的であるといわれている。このように、組成物は、細胞プロセスの研究、病原体から哺乳動物宿主を保護することなどのために、インビトロおよびインビボで使用され得る。
【0024】
しかし、過剰量のポリマー結合体および/または治療的部分の活性部位(ここで、生物
活性と関連する基が見出されている)を含む結合体は、しばしば、活性の欠失をもたらし
、従って、治療的有用性の欠失をもたらす。これは、しばしば、生物活性と関連しない結
合部位をほとんど有しない、より低分子量のペプチドの場合に当てはまる。例えば、Be
nharら、(Bioconjugate Chem.5:321−326)(1994
))は、組換え単鎖免疫毒素のPEG化が、免疫毒素の特定の標的免疫反応性の欠失をも
たらすことを観察した。免疫毒素の活性の欠失は、免疫毒素の抗体結合領域内での2つの
リジン残基でのPEGの結合の結果である。この問題を克服するために、Benharら
は、これらの2つのリジン残基をアルギニン残基で置換し、そして誘導体化による不活化
に3倍より耐性である活性な免疫毒素を入手し得た。
【0025】
上記で議論したこれらの問題を克服するための別の示唆は、より長く、より高分子量の
ポリマーを使用することである。しかし、これらの物質は、調製するのが困難で、そして
使用するには高価である。さらに、これらは、より容易に入手可能なポリマーよりもほと
んど改良を提供しない。
示唆される別の選択肢は、タンパク質のアミノ基へトリアジン環を介してポリマーの2
つの鎖を結合することである。例えば、Enzyme 26;49−53(1981)お
よびProc.Soc.Exper.Biol.Med.、188:364−369(1
988)を参照のこと。しかし、トリアジンは、毒性物質であり、この毒性物質は、結合
体化後に受容可能なレベルにまで低減させることが困難である。したがって、トリアジン
には基づかない活性化されたポリマーは、当該分野に対し、実質的な利益を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】米国特許第4,946,778号明細書
【特許文献2】米国特許第5,260,203号明細書
【特許文献3】米国特許第5,455,030号明細書
【特許文献4】米国特許第5,518,889号明細書
【特許文献5】米国特許第4,704,692号明細書
【特許文献6】米国特許第4,881、175号明細書
【特許文献7】国際公開第94/12520号パンフレット
【特許文献8】米国特許第5,091,513号明細書
【特許文献9】米国特許第4,179,337号明細書
【特許文献10】米国特許第5,122,614号明細書
【特許文献11】米国特許第4,904,582号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の要旨
本発明は、ポリアルキレンオキシド/アミノ酸配列結合体およびそれらを調製するため
のプロセスに関する。適切なアミノ酸配列は、例えば、抗原に対して結合親和性を有する
単鎖ポリペプチドのようなペプチド(例えば、Ladnerら、米国特許第4,946,
778号、およびHustonら、米国特許第5,091,513号に記載されるペプチ
ド)である。
【0028】
より詳細には、本発明は、抗原に対して結合親和性を有する、単鎖ポリペプチドに結合
した少なくとも1つのポリアルキレンオキシド鎖を含む、生理学的に活性な実質的に非免
疫原性のポリペプチド結合体に関する。単鎖ポリペプチドは、以下:
(a)抗体の軽鎖可変領域の結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖可変領域の結合部分を含む第二のポリペプチド;および
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原に対する結合親和性を有するこの単鎖ポリペプチドにする少なくとも1つのペプチ
ドリンカー
を含む。
【0029】
別の局面において、本発明は、生理学的に活性な、実質的に非免疫原性のポリペプチド
組成物を調製するためのプロセスに関する。このプロセスは、上記の特性を有する単鎖ポ
リペプチドへポリアルキレンオキシドを結合する工程を含む。好ましくは、本明細書にお
いて使用されるポリ(アルキレンオキシド)は、標的ポリペプチドに結合するために活性
化されたポリ(エチレングリコール)である。
【0030】
本発明はまた、抗原結合単鎖ポリペプチド-−ポリアルキレンオキシド結合体に関し、
この結合体は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体は、そのネイ
ティブな、結合体化されていない形態のこの抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性
の約1倍〜約10倍の範囲にある抗原結合親和性を有する。
【0031】
本発明はまた、抗原結合単鎖ポリペプチド-−ポリアルキレンオキシド結合体に関し、
この結合体は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む抗原結合単鎖ポリペプチド、を含む結合体であって、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体は、そのネイ
ティブな、結合体化されていない形態のこの抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性
の約10倍以内の抗原結合親和性を有する。
【0032】
本発明はまた、抗原結合単鎖ポリペプチド-−ポリアルキレンオキシド結合体に関し、
この結合体は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部位を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体は、そのネイ
ティブな、結合体化されていない形態のこの抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性
の約5倍以内の抗原結合親和性を有する。
【0033】
本発明はまた、抗原結合単鎖ポリペプチド-−ポリアルキレンオキシド結合体に関し、
この結合体は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体は、そのネイ
ティブな、結合体化されていない形態のこの抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性
の約2倍以内の抗原結合親和性を有する。
【0034】
本発明はまた、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドに
関し、このポリペプチドは、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドは、少なくとも1つのCys残基を有し、ここ
で、このCys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そしてこのCys残基
は、(i)この軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位
;(ii)この軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;(iii)この
重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;(iv)この
重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;(v)このペプチドリンカ
ーの任意のアミノ酸位置;(vi)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;お
よび(vii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、ここで、このポリアルキレンオキシド結合体化
された抗原結合単鎖ポリペプチドは、抗原に結合し得る。
【0035】
本発明はまた、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドに
関し、このポリペプチドは、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドは、少なくとも3つの連続するLys残基を有
し、ここで、この連続するLys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そし
てこの連続するLys残基のうちの任意の1つは、(i)このペプチドリンカーの任意の
アミノ酸位置、(ii)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍(adjace
nt to C−terminus);および(iii)それらの組合せからなる群から
選択される位置に位置し、ここで、このポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合
単鎖ポリペプチドは、抗原に結合し得る。sFv(SCA)タンパク質(すなわち、オリゴリジン
sFv)におけるこれらの連続するリジン残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化のため
の「ホットスポット」を生成する。
【0036】
本発明はまた、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドに
関し、このポリペプチドは、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドが、少なくとも2つの連続するCys残基を有し
、ここで、この連続するCys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そしてこ
の連続するCys残基の任意の1つは、(i)このペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置
、(ii)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;および(iii)それらの
組合せからなる群から選択される位置に位置し、ここで、このポリアルキレンオキシド結
合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは抗原に結合し得る。sFv(SCA)タンパク質(すな
わち、オリゴシステインsFv)におけるこれらの連続するシステイン残基は、ポリアルキレ
ンオキシド結合体化のための「ホットスポット」を生成する。
【0037】
本発明はさらに、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチド
をコードする遺伝的配列に関し、この遺伝的配列は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドが、少なくとも1つのCys残基を有し、ここ
で、このCys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そしてこのCys残基
は、(i)この軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位
;(ii)この軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;(iii)この
重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;(iv)この
重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;(v)このペプチドリンカ
ーの任意のアミノ酸位置;(vi)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;お
よび(vii)それらの組合せ、からなる群から選択される位置に位置し、ここで、この
ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは、抗原に結合し得る

【0038】
本発明はさらに、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチド
をコードする遺伝的配列に関し、この遺伝的配列は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドは、少なくとも3つの連続するLys残基を有
し、ここで、この連続するLys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そして
この連続するLys残基の任意の1つは、(i)このペプチドリンカーの任意のアミノ酸
位置、(ii)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;および(iii)それ
らの組合せからなる群から選択される位置に位置し、ここで、このポリアルキレンオキシ
ド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは、抗原に結合し得る。sFv(SCA)タンパク質
(すなわち、オリゴリジンsFv)におけるこれらの連続するリジン残基は、ポリアルキレ
ンオキシド結合体化のための「ホットスポット」を生成する。
【0039】
本発明はさらに、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチド
をコードする遺伝的配列に関し、この遺伝的配列は、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドは、少なくとも2つの連続するCys残基を有し
、ここで、この連続するCys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そしてこ
の連続するCys残基の任意の1つは、(i)このペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置
、(ii)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;および(iii)それらの
組合せからなる群から選択される位置に位置し、ここで、このポリアルキレンオキシド結
合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは抗原に結合し得る。sFv(SCA)タンパク質(すな
わち、オリゴシステインsFv)におけるこれらの連続するシステイン残基は、ポリアルキレ
ンオキシド結合体化のための「ホットスポット」を生成する。
【0040】
遺伝的配列は、DNAまたはRNAであり得る。
【0041】
本発明は、上記のDNA配列を含む、複製可能なクローニングまたは発現ビヒクルに関す
る。本発明はまた、プラスミドであるこのようなビヒクルに関する。本発明はさらに、上
記のDNAで形質転換した宿主細胞に関する。宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞もしくは他
の真菌細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞株であり得る。好ましい宿主は、Pichi
a pastorisである。
【0042】
本発明は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生
する方法に関し、この方法は、以下の工程:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチドをコ
ードする第一の遺伝的配列を提供する工程;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチドをコ
ードする第二の遺伝的配列を提供する工程;ならびに
(c)この第一の遺伝的配列(a)およびこの第二の遺伝的配列(b)を、ペプチドリ
ンカーをコードする第三の遺伝的配列と連結して、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチ
ドをコードする第四の遺伝的配列にする工程であって、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドは少なくとも1つのCys残基を有し、ここで
、このCys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そしてこのCys残基は
、(i)この軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;
(ii)この軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;(iii)この重
鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;(iv)この重
鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;(v)このペプチドリンカー
の任意のアミノ酸位置;(vi)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;およ
び(vii)それらの組合せからなる群から選択される位置に位置し、ここで、このポリ
アルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは抗原に結合し得る、工程

(d)工程(c)のこの抗原結合単鎖ポリペプチドをコードするこの第四の遺伝的配列
で宿主細胞を形質転換する工程;ならびに
(e)工程(c)のこの抗原結合単鎖ポリペプチドをこの宿主において発現させて、そ
れにより、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生す
る工程、を包含する。
【0043】
本発明はさらに、2以上の抗原結合単鎖ポリペプチドを含む多価抗原結合単鎖タンパク
質に関し、この抗原結合単鎖ポリペプチドの各々は以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)この第一のポリペプチド(a)およびこの第二のポリペプチド(b)を連結して
、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、この抗原結合単鎖ポリペプチドは、少なくとも1つのCys残基を有し、ここ
で、このCys残基は、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得、そしてこのCys残基
は、(i)この軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位
;(ii)この軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;(iii)この
重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;(iv)この
重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;(v)このペプチドリンカ
ーの任意のアミノ酸位置;(vi)ポリペプチド(a)または(b)のC末端の近傍;お
よび(vii)それらの組合せ、からなる群から選択される位置に位置し、ここで、この
ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは、抗原に結合し得る

【0044】
本発明の上記に記載の実施態様において、Cysポリアルキレンオキシド結合体化配列は
、ポリアルキレンオキシド部分を結合し得、そしてCys残基は、(i’)この軽鎖可変
領域のアミノ酸77位;(ii’)この重鎖可変領域のアミノ酸82B位;(iii’)
このペプチドリンカーのアミノ酸3位;(iv’)このポリペプチド(a)または(b)
のC末端の近傍;(v’)N末端およびC末端;ならびに(vi’)それらの組合せから
なる群から選択される位置に位置し、ここで、ポリアルキレンオキシド結合体化された抗
原結合単鎖ポリペプチドは、抗原を結合し得る。
【0045】
本発明の上記の実施態様において、オリゴLysポリアルキレンオキシド結合体配列は、
タンパク質のC末端に近接して位置するオリゴLys残基でポリアルキレンオキシド部分を結
合し得、ここで、ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドは、
抗原に結合し得る。
【0046】
本発明の上記の実施態様において、第二のポリペプチド(b)のC末端は、ネイティブ
なC末端であり得る。第二のポリペプチド(b)のC末端は、この第二のポリペプチドの残
りのN末端アミノ酸残基がこのポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドが抗
原を結合し得るのに十分であるように、1または複数のアミノ酸残基の欠失を含み得る。
第二のポリペプチドのC末端は、ポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドが
抗原を結合し得るように、1または複数のアミノ酸残基の付加を含み得る。
【0047】
本発明の好ましい実施態様において、第一のポリペプチド(a)は、抗体軽鎖の可変領
域の抗原結合部分を含み得、そして第二のポリペプチド(b)は、抗体重鎖の可変領域の
抗原結合部分を含み得る。
【0048】
本発明はまた、サンプル中に存在すると疑われる抗原を検出する方法に関し、この方法
は、以下の工程:
(a)本発明のポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドまたはタンパク質
とこのサンプルを接触させる工程であって、ここで、このポリアルキレンオキシド結合体
化されたポリペプチドは、1または複数の検出可能な標識分子と結合体化されているか、
またはキャリアと結合体化されており、このキャリアは、このキャリアに結合した1また
は複数の検出可能な標識分子を有する、工程;および
(b)このポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドがこの抗
原に結合したか否かを検出する工程、
を包含する。
【0049】
本発明はさらに、動物の内部構造を画像化する方法に関し、この方法は、この動物に、
本発明のポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドまたはタンパク質の有効量
を投与する工程であって、ここで、このポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプ
チドは、1または複数の検出可能な標識分子またはキレート剤分子と結合体化されている
か、またはキャリアと結合体化されており、このキャリアは、このキャリアに結合した1
または複数の検出可能な標識分子またはキレート剤分子を有する、工程;およびこの動物
に関連する検出可能な放射線を測定する工程、を包含する、方法に関する。動物は、ヒト
および非ヒトを含む。
【0050】
本発明はまた、標的化された疾患を処置するための方法に関し、この方法は、本発明の
ポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドまたはタンパク質および薬学的に受
容可能なキャリアビヒクルを含む組成物の有効量を投与する工程であって、ここで、この
ポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドは、1または複数の生理活性分子(
例えば、ペプチド、脂質、核酸(すなわち、リン酸リジン複合体)、薬物、毒素、ホウ素
付加物(addend)または放射性同位体分子)に結合体化されているか、またはキャリアに
結合体化されており、このキャリアは、このキャリアに結合した、1または複数の、ペプ
チド、脂質、核酸(すなわち、リン酸リジン複合体)、薬物、毒素、ホウ素付加物または
放射性同位体分子を有する、工程を包含する。
【0051】
したがって、本発明は以下を提供する。
1.抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体であって、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む抗原結合単鎖ポリペプチド、を含む結合体であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドがポリアルキレンオキシドと結合体化され、そし
て、ここで該抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体が、その結合体
化されていない形態における該抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性の約1倍〜約
10倍の範囲にある抗原結合親和性を有する、
結合体。
2.抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体であって、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む抗原結合単鎖ポリペプチド、を含む結合体であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドがポリアルキレンオキシドと結合体化され、そし
て、ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体が、その結合
体化されていない形態における該抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性の約10倍
以内の抗原結合親和性を有する、
結合体。
3.抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体であって、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む抗原結合単鎖ポリペプチド、を含む結合体であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドがポリアルキレンオキシドと結合体化され、そし
て、ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体が、その結合
体化されていない形態における該抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性の約5倍以
内の抗原結合親和性を有する、
結合体。
4.抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体であって、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む抗原結合単鎖ポリペプチド、を含む結合体であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドがポリアルキレンオキシドと結合体化され、そし
て、ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体が、その結合
体化されていない形態における該抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性の約2倍以
内の抗原結合親和性を有する、
結合体。
5.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドであって、以下

(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む抗原結合単鎖ポリペプチドであって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少
なくとも1つのCys残基を有し、ここで、該Cys残基が以下:
(i)該軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;
(ii)該軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;
(iii)該重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位

(iv)該重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;
(v)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(vi)ポリペプチド(a)またはポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(vii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
ポリペプチド。
6.前記ポリアルキレン結合体化をし得るCys残基が以下:
(i’)前記軽鎖可変領域のアミノ酸77位;
(ii’)前記重鎖可変領域のアミノ酸82B位;
(iii’)前記ペプチドリンカーのアミノ酸3位;
(iv’)前記ポリペプチド(a)または前記ポリペプチド(b)のC末端の近傍;お
よび
(v’)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置する、
項目5に記載の抗原結合単鎖ポリペプチド。
7.前記第一のポリペプチド(a)が抗体軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含み、そして
前記第二のポリペプチド(b)が抗体重鎖の可変領域の抗原結合部分を含む、項目5に記
載の抗原結合単鎖ポリペプチド。
8.前記第二のポリペプチド(b)のC末端がネイティブなC末端である、項目5に記載
の抗原結合単鎖ポリペプチド。
9.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、該第二のポリペプチドの残りのN末端ア
ミノ酸残基が、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが
抗原を結合し得るのに十分であるように、1または複数のアミノ酸残基の欠失を含む、項
目5に記載の抗原結合単鎖ポリペプチド。
10.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、前記ポリアルキレンオキシド結合体化
された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原を結合し得るように、1または複数のアミノ酸残
基の付加を含む、項目5に記載の抗原結合単鎖ポリペプチド。
11.前記ポリアルキレンオキシド結合体化をし得るCys残基がポリアルキレンオキシ
ド部分に結合している、項目5に記載の抗原結合単鎖ポリペプチド。
12.前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが、1また
は複数の、ペプチド、脂質、核酸、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物または検出可
能な標識分子に結合体化されている、項目11に記載のポリアルキレンオキシド結合体化
された抗原結合単鎖ポリペプチド。
13.前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが、キャリ
アに結合体化されており、該キャリアが、該キャリアに結合した、1または複数の、ペプ
チド、脂質、核酸、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物または検出可能な標識分子を
有する、項目11に記載のポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプ
チド。
14.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド配列であって、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含む、ポリヌクレオチド配列であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少
なくとも1つのCys残基を有し、ここで、該Cys残基が以下:
(i)該軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;
(ii)該軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;
(iii)該重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位

(iv)該重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;
(v)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(vi)該ポリペプチド(a)または該ポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(vii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、そして
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
ポリヌクレオチド配列。
15.前記ポリアルキレンオキシド結合体化をし得るCys残基が以下:
(i’)前記軽鎖可変領域のアミノ酸77位;
(ii’)前記重鎖可変領域のアミノ酸82B位;
(iii’)前記ペプチドリンカーのアミノ酸3位;
(iv’)前記ポリペプチド(a)または前記ポリペプチド(b)のC末端の近傍;お
よび
(v’)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置する、
項目14に記載のポリヌクレオチド配列。
16.項目14に記載のポリヌクレオチド配列を含む、複製可能なクローニングまたは発
現ビヒクル。
17.プラスミドである、項目16に記載のビヒクル。
18.項目17に記載のポリヌクレオチドで形質転換した、宿主細胞。
19.細菌細胞、酵母細胞もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞株であ
る、項目18に記載の宿主細胞。
20.Pichia pastorisである、項目19に記載の宿主細胞。
21.抗原結合単鎖ポリペプチドを含む、抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオ
キシド結合体を産生する方法であって、以下の工程:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチドをコ
ードする第一の遺伝的配列を提供する工程;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチドをコ
ードする第二の遺伝的配列を提供する工程;ならびに
(c)該第一の遺伝的配列(a)および該第二の遺伝的配列(b)を、リンカーをコー
ドする第三の遺伝的配列と連結して、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドをコードす
る第四の遺伝的配列にする工程、
を包含し、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドは、ポリアルキレンオキシド結合体化がされ得、
そして、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体が、その結合体
化されていない形態における該抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性の約1倍〜約
10倍の範囲にある抗原結合親和性を保持する、
方法。
22.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生する方
法であって、以下の工程:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチドをコ
ードする第一の遺伝的配列を提供する工程;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチドをコ
ードする第二の遺伝的配列を提供する工程;ならびに
(c)該第一の遺伝的配列(a)および該第二の遺伝的配列(b)を、ペプチドリンカ
ーをコードする第三の遺伝的配列と連結して、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドを
コードする第四の遺伝的配列にする工程であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドがポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少な
くとも1つのCys残基を有し、ここで、該Cys残基が以下:
(i)該軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;
(ii)該軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;
(iii)該重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位

(iv)該重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;
(v)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(vi)該ポリペプチド(a)または該ポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(vii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、そして
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、工程;
(d)工程(c)の該抗原結合単鎖ポリペプチドをコードする該第四の遺伝的配列で宿
主細胞を形質転換する工程;ならびに
(e)工程(c)の該抗原結合単鎖ポリペプチドを該宿主において発現させて、それに
より、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生する工
程、
を包含する、方法。
23.前記ポリアルキレンオキシド結合体化をし得るCys残基が以下:
(i’)前記軽鎖可変領域のアミノ酸77位;
(ii’)前記重鎖可変領域のアミノ酸82B位;
(iii’)前記ペプチドリンカーのアミノ酸3位;
(iv’)前記ポリペプチド(a)または前記ポリペプチド(b)のC末端の近傍;お
よび
(v’)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置する、
項目22に記載の方法。
24.第一のポリペプチド(a)をコードする前記第一の遺伝的配列が、抗体軽鎖の可変
領域の抗原結合部分を含み、そして前記第二のポリペプチド(b)をコードする第二の遺
伝的配列が、抗体重鎖の可変領域の抗原結合部分を含む、項目22に記載の方法。
25.前記第二のポリペプチド(b)のC末端がネイティブなC末端である、項目22に
記載の方法。
26.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、該第二のポリペプチドの残りのN末端
アミノ酸残基が、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチド
が抗原を結合し得るのに十分であるように、1または複数のアミノ酸残基の欠失を含む、
項目22に記載の方法。
27.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、前記ポリアルキレンオキシド結合体化
された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原を結合し得るように、1または複数のアミノ酸残
基の付加を含む、項目22に記載の方法。
28.2以上の抗原結合単鎖ポリペプチドを含む多価抗原結合単鎖ポリペプチドポリアル
キレンオキシド結合体であって、該抗原結合単鎖ポリペプチドの各々が以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドがポリアルキレンオキシドと結合体化され、そし
て、ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチド−ポリアルキレンオキシド結合体が、その結合
体化されていない形態における該抗原結合単鎖ポリペプチドの抗原結合親和性の約1倍〜
約10倍の範囲にある抗原結合親和性を保持する、
結合体。
29.2以上の抗原結合単鎖ポリペプチドを含む多価抗原結合単鎖タンパク質であって、
該抗原結合単鎖ポリペプチドの各々が以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチドおよび該第二のポリペプチドを連結するペプチドリンカー
を含み、
ここで、2つのうちの1つの抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結
合体化をし得る少なくとも1つのCys残基を有し、ここで、該Cys残基が以下:
(i)該軽鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位;
(ii)該軽鎖可変領域のアミノ酸77位、78位、または79位;
(iii)該重鎖可変領域のアミノ酸11位、12位、13位、14位、または15位

(iv)該重鎖可変領域のアミノ酸82B位、82C位、または83位;
(v)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(vi)該ポリペプチド(a)または該ポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(vii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、そして
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
多価タンパク質。
30.前記ポリアルキレンオキシド結合体化をし得るCys残基が以下:
(i’)前記軽鎖可変領域のアミノ酸77位;
(ii’)前記重鎖可変領域のアミノ酸82B位;
(iii’)前記ペプチドリンカーのアミノ酸3位;
(iv’)前記ポリペプチド(a)または前記ポリペプチド(b)のC末端の近傍;お
よび
(v’)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置する、
項目29に記載の多価タンパク質。
31.前記第一のポリペプチド(a)が、抗体軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含み、そ
して前記第二のポリペプチド(b)が、抗体重鎖の可変領域の抗原結合部分を含む、項目
29に記載の多価タンパク質。
32.前記第二のポリペプチド(b)のC末端がネイティブなC末端である、項目29に
記載の多価タンパク質。
33.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、該第二のポリペプチドの残りのN末端
アミノ酸残基が、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチド
が抗原を結合し得るのに十分であるように、1または複数のアミノ酸残基の欠失を含む、
項目29に記載の多価タンパク質。
34.前記第二のポリペプチドのC末端は、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された
抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原を結合し得るように、1または複数のアミノ酸残基の付
加を含む、項目29に記載の多価タンパク質。
35.前記ポリアルキレンオキシド結合体化をし得るCys残基が、ポリアルキレンオキ
シド部分に結合している、項目29に記載の多価タンパク質。
36.前記ポリアルキレンオキシド結合体化された多価タンパク質が、1または複数の、
ペプチド、脂質、核酸、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物または検出可能な標識分
子に結合体化されている、項目35に記載のポリアルキレンオキシド結合体化された多価
タンパク質。
37.サンプル中に存在すると疑われる抗原を検出する方法であって、以下の工程:
(a)項目1または11に記載のポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチド
またはタンパク質と該サンプルとを接触させる工程であって、ここで、該ポリアルキレン
オキシド結合体化されたポリペプチドまたはタンパク質は、1もしくは複数の検出可能な
標識分子と結合体化されているか、またはキャリアと結合体化されており、該キャリアは
、該キャリアに結合した1または複数の検出可能な標識分子を有する、工程;ならびに
(b)該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドまたはタン
パク質が該抗原に結合したか否かを検出する工程、
を包含する方法。
38.動物の内部構造を画像化する方法であって、以下の工程:
該動物に、項目1または11に記載のポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプ
チドまたはタンパク質の有効量を投与する工程であって、ここで、該ポリアルキレンオキ
シド結合体化されたポリペプチドまたはタンパク質は、1もしくは複数の検出可能な標識
分子またはキレート剤分子と結合体化されているか、またはキャリアと結合体化されてお
り、該キャリアは、該キャリアに結合した1または複数の検出可能な標識分子またはキレ
ート剤分子を有する、工程;および
該動物に関連する検出可能な放射線を測定する工程、
を包含する、方法。
39.前記動物がヒトを含む、項目38に記載の方法。
40.標的化された疾患を処置するための方法であって、以下の工程:
項目1または11に記載のポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドまたは
タンパク質および薬学的に受容可能なキャリアビヒクルを含む組成物の有効量を投与する
工程であって、ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化されたポリペプチドまたはタ
ンパク質は、1または複数の、ペプチド、脂質、核酸、薬物、毒素、ホウ素付加物または
放射性同位体分子に結合体化されているか、またはキャリアと結合体化されており、該キ
ャリアが、該キャリアに結合した、1または複数の、ペプチド、脂質、核酸、薬物、毒素
、ホウ素付加物または放射性同位体分子を有する、工程、
を包含する方法。
41.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドであって、以
下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少
なくとも3つの連続するLys残基を有し、そしてここで、該連続するLys残基の任意
の1つが以下:
(i)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(ii)該第二のポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(iii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
ポリペプチド。
42.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド配列であって、以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少
なくとも3つの連続するLys残基を有し、そしてここで、該連続するLys残基のうち
の任意の1つが以下:
(i)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(ii)該第二のポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(iii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
ポリヌクレオチド配列。
43.項目42に記載のポリヌクレオチド配列を含む、複製可能なクローニングまたは発
現ビヒクル。
44.プラスミドである、項目43に記載のビヒクル。
45.項目42に記載のポリヌクレオチドで形質転換した、宿主細胞。
46.細菌細胞、酵母細胞もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞、もしくは哺乳動物細胞株で
ある、項目39に記載の宿主細胞。
47.Pichia pastorisである、項目46に記載の宿主細胞。
48.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生する方
法であって、該ポリペプチドが以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結して、抗
原結合部位を有する単鎖ポリペプチドにするペプチドリンカー
を含み、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少
なくとも3つの連続するLys残基を有し、そしてここで、該連続するLys残基のうち
の任意の1つが以下:
(i)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(ii)該第二のポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(iii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
方法。
49.前記ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る連続するLys残基のうちの任意の
1つが、ポリアルキレンオキシド部分に結合している、項目41に記載の抗原結合単鎖ポ
リペプチド。
50.前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが、1また
は複数の、ペプチド、脂質、核酸、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物または検出可
能な標識分子に結合体化されている、項目49に記載のポリアルキレンオキシド結合体化
された抗原結合単鎖ポリペプチド。
51.前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが、キャリ
アに結合体化されており、該キャリアが、該キャリアに結合した、1または複数の、ペプ
チド、脂質、核酸、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物または検出可能な標識分子を
有する、項目49に記載のポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプ
チド。
52.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生する方
法であって、以下の工程:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチドをコ
ードする第一の遺伝的配列を提供する工程;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチドをコ
ードする第二の遺伝的配列を提供する工程;ならびに
(c)該第一の遺伝的配列(a)および該第二の遺伝的配列(b)を、ペプチドリンカ
ーをコードする第三の遺伝的配列と連結して、抗原結合部位を有する単鎖ポリペプチドを
コードする第四の遺伝的配列にする工程であって、
ここで、該抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る少
なくとも3つの連続するLys残基を有し、そしてここで、該連続するLys残基のうち
の任意の1つが以下:
(i)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(ii)該第二のポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(iii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、工程;
(d)工程(c)の該抗原結合単鎖ポリペプチドをコードする該第四の遺伝的配列で宿
主細胞を形質転換する工程;ならびに
(e)工程(c)の該抗原結合単鎖ポリペプチドを該宿主において発現させて、それに
より、ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る抗原結合単鎖ポリペプチドを産生する工
程、
を包含する、方法。
53.第一のポリペプチド(a)をコードする前記第一の遺伝的配列が、抗体軽鎖の可変
領域の抗原結合部分を含み、そして第二のポリペプチド(b)をコードする前記第二の遺
伝的配列が、抗体重鎖の可変領域の抗原結合部分を含む、項目52に記載の方法。
54.前記第二のポリペプチド(b)のC末端がネイティブなC末端である、項目52に
記載の方法。
55.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、該第二のポリペプチドの残りのN末端
アミノ酸残基が、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチド
が抗原を結合し得るのに十分であるように、1または複数のアミノ酸残基の欠失を含む、
項目52に記載の方法。
56.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、前記ポリアルキレンオキシド結合体化
された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原を結合し得るように、1または複数のアミノ酸残
基の付加を含む、項目52に記載の方法。
57.2以上の抗原結合単鎖ポリペプチドを含む多価抗原結合単鎖タンパク質であって、
該抗原結合単鎖ポリペプチドの各々が以下:
(a)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第一のポリペプチド;
(b)抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含む第二のポリペプチド;な
らびに
(c)該第一のポリペプチド(a)および該第二のポリペプチド(b)を連結するペプ
チドリンカー
を含み、
ここで、2つのうちの1つの抗原結合単鎖ポリペプチドが、ポリアルキレンオキシド結
合体化をし得る少なくとも3つの連続するLys残基を有し、そしてここで、該連続する
Lys残基のうちの任意の1つが以下:
(i)該ペプチドリンカーの任意のアミノ酸位置;
(ii)該第二のポリペプチド(b)のC末端の近傍;および
(iii)それらの組合せ、
からなる群から選択される位置に位置し、
ここで、該ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原に
結合し得る、
多価タンパク質。
58.前記第一のポリペプチド(a)が、抗体軽鎖の可変領域の抗原結合部分を含み、そ
して前記第二のポリペプチド(b)が、抗体重鎖の可変領域の抗原結合部分を含む、項目
57に記載の多価タンパク質。
59.前記第二のポリペプチド(b)のC末端がネイティブなC末端である、項目57に
記載の多価タンパク質。
60.前記第二のポリペプチド(b)のC末端は、該第二のポリペプチドの残りのN末端
アミノ酸残基が、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された抗原結合単鎖ポリペプチド
が抗原を結合し得るのに十分であるように、1または複数のアミノ酸残基の欠失を含む、
項目57に記載の多価タンパク質。
61.前記第二のポリペプチドのC末端は、前記ポリアルキレンオキシド結合体化された
抗原結合単鎖ポリペプチドが抗原を結合し得るように、1または複数のアミノ酸残基の付
加を含む、項目57に記載の多価タンパク質。
62.ポリアルキレンオキシド結合体化をし得る前記連続するLys残基の任意の1つが
、ポリアルキレンオキシド部分に結合している、項目57に記載の多価タンパク質。
63.前記ポリアルキレンオキシド結合体化された多価タンパク質が、1または複数の、
ペプチド、脂質、核酸、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物または検出可能な標識分
子に結合体化されている、項目62に記載のポリアルキレンオキシド結合体化された多価
タンパク質。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、ヒト乳ガン抽出物におけるTAG-72抗原への結合について、非標識PEG修飾CC49/212SCA(黒四角)、CC49/212SCA(白四角)、CC49IgG(白丸)、およびMOPC-21IgG(+)が125Iで放射標識したCC49 IgGに対して競合した3つの競合ELISAのグラフ表記である。
【図2A】図2は、下線を付されたコドンにより示される位置、および星印により印を付けられたコドンにより示される位置で4つの操作されたシステイン残基を有するCC49/218 SCAのDNA配列およびタンパク質配列を示す。また、CDR配列(二重下線)および218リンカー(下線および表示)が強調されている。さらに、2つのジスルフィド結合に関与するタンパク質中の4つの天然のシステイン残基が存在する。これらは、下線を付されていない。4つの操作されたシステイン残基は、現在のところ4つの異なる変異体において独立的に生じるが、この図に示される正確な4つの変異コドンのバージョンにおいて、組み合わせられ得る。
【図2B】図2は、下線を付されたコドンにより示される位置、および星印により印を付けられたコドンにより示される位置で4つの操作されたシステイン残基を有するCC49/218 SCAのDNA配列およびタンパク質配列を示す。また、CDR配列(二重下線)および218リンカー(下線および表示)が強調されている。さらに、2つのジスルフィド結合に関与するタンパク質中の4つの天然のシステイン残基が存在する。これらは、下線を付されていない。4つの操作されたシステイン残基は、現在のところ4つの異なる変異体において独立的に生じるが、この図に示される正確な4つの変異コドンのバージョンにおいて、組み合わせられ得る。
【図3A】図3は、操作されたオリゴ-リジンC末端テイルセグメントを有するCC49/218SCAのDNA配列およびタンパク質配列を示す。8個の新しいリジン残基は、BstEII部位で遺伝子操作されており、下線を付され、そして星印で印を付けて示されている。また、CDR配列(二重下線)、218リンカー(下線および表示)および選択された制限部位が強調されている。
【図3B】図3は、操作されたオリゴ-リジンC末端テイルセグメントを有するCC49/218SCAのDNA配列およびタンパク質配列を示す。8個の新しいリジン残基は、BstEII部位で遺伝子操作されており、下線を付され、そして星印で印を付けて示されている。また、CDR配列(二重下線)、218リンカー(下線および表示)および選択された制限部位が強調されている。
【図4】図4は、ヒト乳ガン抽出物におけるTAG-72抗原への結合について、非標識SC-PEG未反応CC49/218SCA(黒四角)、CC49/218 SCA(白四角)、非標識XUS-PEG未反応CC49/218SCA(白丸)、SC-PEG修飾CC49/218 SCA(黒丸)、XUG-PEG修飾CC49/218SCA(白三角)、CC49 IgG(黒三角)、抗FITCSCA(破線)またはBL-3 IgG(点線)が125Iで放射標識したCC49IgGに対して競合された3つの競合ELISAのグラフ表記である。
【図5】図5は、SCAおよびPEG-SCAの血漿保持の薬物動態学を示す。実験の詳細は、実施例13に記載されている。
【図6】図6は、PEG5000により架橋された精製CC49多量体の、還元条件下でのSDS-PAGEを示す。実験の詳細は、実施例14に記載されている。ゲルのレーンは、以下を含む:1)三量体形態;2)二量体形態;3)二量体形態;4)混合集団(mixedpopulation);5)ネイティブのCC49;6)PEG-CC49単量体;7)PEG-CC49単量体;8)空;9)空;および10)分子量標準。
【図7】図7は、モノ-PEG-CC49、ジ-PEG-CC49、トリ-PEG-CC49の結合速度論を示す。実験の詳細は、実施例14に示されている。ネイティブのCC49は、黒四角により表されている。PEG-モノ-CC49は、白四角により表されている。PEG-ジ-CC49は、黒ひし形により表されている。PEG-トリ-CC49は、白ひし形により表されている。
【図8】図8は、実施例16で行われた競合アッセイの結果を示す。Natは、ネイティブのCC49-SCAであり、C2はPEGSC2000-CC49-SCAであり;GCは、グリコ-CC49-SCAであり; B*はビオチン化CC49-SCAであり; C12は、PEG-SC12,000-CC49-SCAであり;F5は、PEG-Flan-5000-CC49-SCAであり;そしてC20は、PEG-SC20000-CC49-SCAである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施態様の説明
本発明は、ポリアルキレングリコール(polyalkylene glycol)と抗原に対して結合親
和性を有する単鎖ポリペプチドとの新規の組み合わせ、ポリアルキレングリコールならび
にポリペプチド(好ましくは、結合剤により共に結合されている)に関する。
単鎖ポリペプチド
本発明は、PEG化されたSCAタンパク質のようなポリアルキレンオキシド結合単鎖抗原結合タンパク質(「SCA」)または抗体の単鎖可変フラグメント(「sFv」)が、非PEG化単鎖抗原結合タンパク質の有用性を超える有意な有用性を有するという発見に関する。抗原結合部位の維持に加えて、PEG化SCAタンパク質は、血流における抗原性を減少させ、そして修飾されたポリペプチドの半減期を増加させるPEG部分を有する。従って、本発明は、PEG化の可能な一価および多価のSCAタンパク質、一価および多価のPEG化SCAタンパク質の組成物、一価および多価のPEG化SCAタンパク質の作製方法および精製方法、ならびにPEG化SCAタンパク質の使用に関する。本発明はまた、システイン連結PEG化ポリペプチドまたはオリゴ-リジン連結PEG化ポリペプチドに、共有結合された診断剤、または治療剤を有するPEG化SCAタンパク質にも関する。
【0054】
用語「単鎖抗原結合分子」(SCA)または「単鎖Fv」(sFv)は、互換的に使用される。
それらは、抗体の可変領域VH(または、VL)由来の第2のポリペプチド結合部分に結合さ
れた、抗体の可変領域VL(または、VH)由来の第1のポリペプチド結合部分(その2つの
ポリペプチドは、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを1本のポリペプチド鎖
に連結させるペプチドリンカーにより結合されている)を含むものとして構造的に定義さ
れ、その結果、第1のポリペプチドはリンカーに対してN末端側であり、そして第2のポ
リペプチドは、第1のポリペプチドおよびリンカーに対してC末端側である。従って、1
本のポリペプチド鎖は、ポリペプチドリンカーにより結合された可変領域の対を含む。領
域が、適切に対になった相補性決定領域(CDR)を有する軽鎖可変領域と重鎖可変領域と
の対を含む場合と同様に、その領域は、機能的な抗原結合部位を形成するために結合され
得る。この場合、単鎖タンパク質は、「単鎖抗原結合タンパク質」または「単鎖抗原結合
分子」と呼ばれる。
【0055】
単鎖Fvは、いくつかの方法において構築され得、そして構築されている。VLが、リンカ
ーおよびVHの続くN末端ドメイン(VL-リンカー-VH構築物)であるか、またはVHが、リン
カーおよびVLの続くN末端ドメイン(VH-リンカー-VL構築物)であるかのいずれかである
。好ましい実施態様は、N末端ドメインにVLを含む(Anand,N.N.ら、J. Biol. Chem. 266
:21874-21879(1991)を参照のこと)。あるいは、多価リンカーもまた使用されている。い
くつかのタイプのsFv(SCA)タンパク質は、首尾良く構築され、精製されており、そして
結合親和性およびそれらが由来した抗体と同様の特異性が示されている。
【0056】
単鎖抗原結合タンパク質の理論および生成の記載は、Ladnerら、米国特許第4,946,778号、同第5,260,203号、同第5,455,030号、および同第5,518,889号に、ならびにHustonら、米国特許第5,091,513号(「生合成抗体結合部位」(BABS))において見出され、全てが本明細書に参考として援用されている。上記の特許に記載されたプロセス下で生成された単鎖抗原結合タンパク質は、結合特異性および対応するFabフラグメントの親和性と実質的に同様の親和性を有する。
【0057】
代表的に、Fvドメインは、以下の文献において、その略名(26-10、MOPC315、741F8、520C9、McPC603、D1.3、マウスphOx、ヒトphOx、RFL3.8sTCR、1A6、Se155-4、18-2-3、4-4-20、7A4-1、B6.2、CC49、3C2、2c、MA-15C5/K12G0、Oxなど)により公知のモノクローナル抗体の群から選択されている。HustonJ.S.ら、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883(1988); Huston J.S.ら、SIM News38(4) (補遺):11(1988); McCartney,J.ら、ICSU Short Reports 10:114(1990); McCartney,J.E.ら、公開されていない結果(1990);Nedelman, M.A.ら、J. Nuclear Med. 32 (補遺):1005(1991);Hutoson J.S.ら、「MolecularDesign and Modeling Concepts and Applications」,B部,J.J.Langone編, Methods inEnzymology 203:46-88(1991); Huston, J.S.ら、Advances in the Applications of MonoclonalAntibodies in Clinical Oncology, Epenetos,A.A.(編),London, Chapman &Hall(1993); Bird, R.E.ら、Science 242:423-426(1988);Bedzyk, W.D.ら、J. Biol. Chem.265:18615-18620(1990); Colcher D.ら、J. Nat. CancerInst. 82:1191-1197(1990);Gibbs R.A.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4001-4004(1991);Milenic, D.E.ら、CancerResearch 51: 6363-6371(1991); Pantoliano, M.W. ら、Biochemistry30:10117-10125(1991);Chaudhary, V.K.ら、Nature 339:394-397(1989); Chaudhary,V.K.ら、Proc.Natl. Acad.Sci. USA 87:1066-1070(1990); Batra, J.K.ら、Biochem. Biophys. Res.Comm. 171:1-6(1990); Batra,J.K.ら、J. Biol. Chem. 265:15198-15202(1990);Chaudhary,V.K.ら、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 87:9491-9494(1990); Batra,J.K.ら、Mol.Cell. Biol.11:2200-2205(1991); Brinkmann, U.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA88:8616-8620(1991);Seetharam, S.ら、J. Biol. Chem. 266:17376-17381(1991);Brinkmann, U.ら、Proc. Natl.Acad. Sci. USA 89:3075-3079(1992); Glockshuber, R.ら、Biochemistry29:1362-1367(1990);Skerra, Aら、Bio/Technol. 9:273-278(1991); Pack, P.ら、Biochemistry31:1579-1534(1992);Clackson, T.ら、Nature 352:624-628(1991); Marks, J.D.ら、J.Mol. Biol.222:581-597(1991); Iverson, B.L.ら、Science 249:659-662(1990);Roberts, V.A.ら、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 87:6654-6658(1990); Condra, J.H.ら、J.Biol. Chem.265:2292-2295(1990); Laroche, Y.ら、J. Biol. Chem.266:16343-16349(1991); Holvoet,P.ら、J. Biol. Chem. 266:19717-19724(1991);Anand,N.N.ら、J. Biol. Chem.266:21874-21879(1991); Fuchs, P.ら、Bio/Technol.9:1369-1372(1991); Breitling, F.ら、Gene104:104-153(1991); Seehaus, T.ら、Gene114:235-237(1992); Takkinen, K.ら、ProteinEngng 4:837-841(1991); Dreher, M.L.ら、J.Immunol. Methods 139:197-205(1991);Mottez, E.ら、Eur. J. Immunol.21:467-471(1991); Traunecker,A.ら、Proc. Natl. Acad.Sci. USA 88:8646-8650(1991);Traunecker,A.ら、EMBO J. 10:3655-3659(1991); Hoo,W.F.S.ら、Proc. Natl. Acad. Sci.USA 89:4759-4763(1993)を参照のこと。
【0058】
sFv(SCA)ポリペプチドを構築するために使用される本発明のリンカーは、VLのC末端(または、その近傍部位)とVHのN末端(または、その近傍部位)とを、すなわちVHのC末端とVLのN末端との間を架橋するために設計される。ペプチドリンカーの好ましい長さは、2〜約50アミノ酸であるべきである。それぞれの特定の場合において、好ましい長さは、連結されるポリペプチドの性質、および連結により生じる連結された融合ポリペプチドの所望の活性に依存する。一般的に、リンカーは、得られる連結された融合ポリペプチドを、所望の生物学的活性を提供する立体配座に適切に折りたたむことを可能にするのに十分長いべきである。立体配座の情報が利用可能な場合、以下に議論されるsFv(SCA)ポリペプチドの場合のように、適切なリンカーの長さは、置換ポリペプチドの3次元立体配座および得られる連結された融合ポリペプチドの所望の立体配座を考慮することにより推定され得る。このような情報が利用可能でない場合、適切なリンカーの長さは、種々の長さのリンカーを有する一連の連結された融合ポリペプチドを所望の生物学的活性について試験することにより、経験的に決定され得る。このようなリンカーは、WO94/12520において詳細に記載され、これは本明細書に参考として援用される。
【0059】
sFv(SCA)ポリペプチドを構築するために使用される好ましいリンカーは、10と30の間のアミノ酸残基を有する。このリンカーは、フレキシブルとなるよう設計されており、そしてGlyとSer残基が交互の基礎配列が使用されることが推奨されている。リンカーおよびその結合単鎖Fvタンパク質の溶解性を増強するために、3つ荷電した残基(2つの正に荷電したリジン残基(K)および1つの負に荷電したグルタミン酸残基(E))が含まれ得る。好ましくは、リンカーとVHとのペプチド結合を形成する場合に失われた正荷電を置換するために、リジン残基の1つが、VHのN末端に近接して配置される。このようなリンカーは、1994年4月7日に出願された米国特許出願S.N.08/224,591において詳細に記載され、これは本明細書に参考として援用される。Whitlow,M.ら、Protein Engng.7:1017-1026(1994)もまた参照のこと。
【0060】
多価sFv(SCA)については、2つ以上のsFv(SCA)の結合がその形成に必要である。多価sFv(SCA)は、25残基と同じくらいの長さのリンカーを用いてsFv(SCA)から生成され得るが、それらは不安定である傾向がある。Holliger,P.ら、Proc.Natl.Acad. Sci. USA 90:6444-6448(1993)は、最近、0から15残基長のリンカーが2価のFvsの形成を容易にすることを示した。Whitlow,M.ら、ProteinEngng. 7:1017-1026(1994); Hoogenboom, H.R.,Nature Biotech.15:125-126(1997); およびWO93/11161を参照のこと。
【0061】
本発明の目的は、ネイティブの単鎖抗原結合ポリペプチドの抗原結合親和性の約2倍〜
約10倍の範囲内の抗原結合性親和性を保持する、単鎖抗原結合ポリペプチド-ポリアルキ
レンオキシド結合体を生成することである。
【0062】
本発明の別の目的は、1つ以上のCys残基を有するsFv(SCA)を生成することであり、
その結果、Cys残基はPEGと結合され得、そしてPEG化ポリペプチドは抗原に結合可能である(すなわち、抗原に結合するPEG化ポリペプチドの能力は、破壊されない)。本発明のさらなる目的は、3つ以上の連続したリジン残基を有するsFv(SCA)を生成することであり、その結果、Lys残基はPEGと結合され得、そしてPEG化ポリペプチドは抗原に結合可能である(すなわち、抗原に結合するPEG化ポリペプチドの能力は、破壊されない)。これらの新規のsFv(SCA)タンパク質は、活性化されたポリエチレングリコール(PEG)と結合され得、その結果PEGの修飾は、特別に操作された部位でのみ(または、優先的に)生じる。活性化されたPEG分子は、例えば、当該分野で周知のチオール反応性またはアミン反応性のポリマーである。設計された変化は、抗体のFvドメインの公知の3次元モデルから推定されるような抗原結合部位から空間的に充分に離れている、sFv(SCA)表面上のアミノ酸残基に対応する。
【0063】
本発明のさらなる目的は、1つ以上のCys PEG結合配列を有する一価および多価のsFv(SCA)を生成することである。本発明のさらなる目的は、3つ以上の連続したLys(すなわち、オリゴ-Lys)PEG結合配列を有する一価および多価のsFv(SCA)を生成することである。多価のsFv(SCA)については、2つ以上のsFv(SCA)の結合が、その形成のために必要である。例えば、多価sFv(SCA)は、C末端システイン残基を有する2つのsFv(SCA)を化学的に架橋することにより(Cumberら、J.Immunol.149:120-126(1992))、および二量体Fv(SCA)を形成するために第3のポリペプチドを用いて2つのsFv(SCA)を連結することにより(Georgeら、J.Cell.Biochem. 15E:127(1991))生成され得る。凝集により多価のsFv(SCA)を生成するための詳細は、Whitlow, M.ら、ProteinEngng.7:1017-1026
(1994)において記載されている。本発明の多価の抗原結合融合タンパク質は、任意のプロ
セスにより作製され得るが、好ましくは、本明細書に参考として援用されるWO93/11161に示されている多価の抗原結合タンパク質の作製プロセスに従って作製され得る。
【0064】
部位特異的PEG化配列の同定および合成
本発明において、CysPEG化部位は、ポリペプチド(VL、VH、またはその隣接部位)の
C末端、ポリペプチド(VL、VH、またはその隣接部位)のN末端、第1のポリペプチド領
域と第2のポリペプチド領域との間のリンカーの近傍で、VLおよびVH領域において生じ得
るか、またはこれらの領域の組み合わせにおいて生じ得る。本発明において、オリゴ-Lys
PEG化部位は、ポリペプチドリンカーにおいて生じ得るか、またはポリペプチドのC末端
において、もしくはそのポリペプチドのC末端の近傍で生じ得る。タンパク質におけるPE
G結合部位の設計は、タンパク質および抗原結合に関与するそのタンパク質における残基
についての公知の構造情報を調べることを含む。PEG化結合部位は、その抗原結合部位の
破壊を防止するために可能な限りこれらの残基から遠くになるように選択される。
【0065】
Cys PEG化部位またはオリゴ-LysPEG化部位は、(1)ネイティブのVL(またはVH)の
C末端、(2)VL(またはVH)のC末端(ここでこのC末端は1つまたは複数のアミノ酸
残基の欠失を有し、その結果、そのペプチドの残りのN末端アミノ酸残基は、PEG化され
たポリペプチドが抗原に結合し得るのに十分である)、または(3)VL(またはVH)のC
末端(ここでこのC末端はアミノ酸残基の1つまたは複数の付加を有し、その結果、その
ペプチドの残りのN末端アミノ酸残基は、PEG化されたポリペプチドが抗原に結合し得る
のに十分である)。「ネイティブ」によって、天然に存在する免疫グロブリン(第1また
は第2のポリペプチド)のC末端が意図される。「C末端」によって、ポリペプチドの最
初のN末端アミノ酸残基を除く、ポリペプチドのアミノ酸残基の全てに至るまで含み得る
、ポリペプチドのC末端アミノ酸残基またはC末端領域が意図されるものとして、当該分
野において十分に理解される。しかし、本発明において、「C末端」は、他に示されるか
、または意図されない限り、上記の3つのタイプのC末端(1、2、または3)のC末端
アミノ酸残基として意図される。
【0066】
PEG化部位は、抗原結合部位に対して正反対であるsFv(SCA)領域におけるループ部位
内の残基で同定され、そして操作された。グリコシル化の好ましい部位として選択された
5つのループ領域およびC末端伸長は、結合部位から空間的に離れた最も遠い領域にある

【0067】
抗原結合部位から最も遠いsFv(SCA)の6つの部分は、以下である:
1)軽鎖における残基11〜15で構成されるループ;
2)軽鎖における残基77〜79で構成されるループ;
3)リンカーのN末端;
4)重鎖における残基11〜15で構成されるループ;
5)重鎖における残基82B、82C、および83で構成されるループ;および
6)sFv(または、SCA)のC末端。
残基は、Kabatら、Sequencesof Proteins of ImmunologicalInterst, 第5版,US. Dept. Health and Human Services,Bethesda, MD(1991)によるように同定される。これらの可能なPEG化部位は、4-4-20マウスFab構造を調べることにより決定された(参考として本明細書に援用される、Whitlow,M.ら、ProteinEngng. 8:749-761(1995)を参照のこと)。
【0068】
抗原結合部位から最も遠いループを同定した後、それぞれのループの核酸配列およびアミノ酸配列が、ループ領域へと操作され得る可能なCys PEG化部位について調べられる。これら同定された6つの領域におけるいずれかの場所でCys残基の操作された配置が、sFv(SCA)PEG化のための好ましい部位を生成し得る。リンカー、sFv(SCA)のC末端および/またはsFv(SCA)のC末端の近傍における操作されたオリゴ-Lys残基の位置は、sFvのPEG化のための好ましい部位を生成し得る。
【0069】
上記の設計アプローチは、CC49/218 SCAに使用されている。図2は、以下の生成設計物を示す:CC49/218SCAの軽鎖において設計されたPEG化部位番号1;CC49/218SCAのリンカーのN末端において設計されたPEG化部位番号2;CC49/218 SCAの重鎖において設計されたPEG化部位番号3;CC49/218SCAのC末端で設計されたPEG化部位番号4。図3は、以下の生成設計物を示す:CC49/218SCAのC末端で設計されたオリゴ-Lys「ホットスポット(hotspot)」PEG化部位。これらの部位の任意の組み合わせが、使用され得る。
【0070】
Cys PEG化部位またはオリゴ-LysPEG化部位を、種々の位置に導入するために使用され
る特定のヌクレオチド配列は、天然に存在するヌクレオチド配列に依存する。最も好まし
い部位は、PEG化部位の生成のために最小数の変化を要する部位である。もちろん、遺伝
コードの重複性に基づいて特定のアミノ酸が複数のヌクレオチド配列によりコードされ得
る。
【0071】
部位特異的変異誘発が、ネイティブのタンパク質配列をPEG化のためのCys残基またはオリゴ-Lys残基を組み込む配列に変化するために使用される。変異タンパク質の遺伝子は、発現系(例えば、細菌細胞、酵母細胞、もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞)に配置される。変異タンパク質は、標準的な精製方法により精製され得る。
【0072】
Cys PEG化部位またはオリゴ-LysPEG化部位を生成するためのオリゴヌクレオチド特異
的変異誘発法、およびクローン化されたDNAの変異誘発のための関連技術は、当該分野で
周知である。Sambrookら、MOLECULARCLONING:A LABORATORY MANUAL, 第2版, Cold Spri
ng HarborLaboratory, Cold SpringHarbor, N.Y.(1989); Ausubelら(編)、CURRENT PR
OTOCOLS INMOLECULAR BIOLOGY, JohnWileyおよびSons(1987)(両方が、本明細書に参考
として援用される)を参照のこと。本発明のための好ましい、オリゴヌクレオチド特異的
変異誘発法は、Hoら、Gene77:51-59(1989)に従っており、これは本明細書に参考として援
用される。
【0073】
宿主およびベクター
sFv(SCA)のヌクレオチド配列を変異させた後、変異型DNAは、さらなる分析のためのクローニングベクター(例えば、DNA配列の確認のためのクローニングベクター)に挿入され得る。変異型DNA配列によってコードされるポリペプチドを発現させるため、DNA配列は、転写発現を制御する調節配列に作動可能に連結され、そして原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞のいずれかに導入される。
【0074】
sFv(SCA)は、代表的には原核生物宿主細胞によって産生されるが、真核生物宿主細胞
は好ましい宿主細胞である。好ましい宿主細胞は、酵母もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞
、または哺乳動物細胞を含む。標準的なタンパク質精製法は、これらの変異タンパク質を
精製するために使用され得る。ネイティブのタンパク質精製スキームにほんのわずかの改
変が必要とされ得る。
【0075】
また、本発明によって、PEG結合し得る操作されたCys残基および/またはオリゴ-Lys残基を有する本発明のsFv(SCA)をコードするDNA分子(例えば、精製された遺伝子配列またはプラスミドもしくはベクター)が提供される。PEG化sFv(SCA)ポリペプチドについてのDNA配列は、原核生物、酵母もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞のような生物体における産生を最適化するために選択され得る。
【0076】
PEG結合のためのCys残基および/またはオリゴ-Lys残基を有するsFv(SCA)をコードするDNA分子は、操作されたsFv(SCA)タンパク質の宿主細胞による発現を可能にするために、発現ベクターに作動可能に連結され、そして宿主細胞に導入され得る。CysPEG化部位および/またはオリゴ-LysPEG化部位を有するsFv(SCA)をコードするDNA配列は、従来技術に従ってベクターDNAで組換えられ得る。本発明の単鎖タンパク質を産生するための、組換え宿主およびそれを使用する方法もまた、本明細書中に提供される。
【0077】
本発明のそのようなsFv(SCA)タンパク質の発現は、原核生物細胞において達成され得る。好ましい原核生物宿主は、Neisseria、Mycobacteria、Streptococci、Chlamydia、およびE.coliのような細菌を含むが、これらに限定されない。
【0078】
本発明のそのようなsFv(SCA)タンパク質のクローニングおよび発現のための真核生物宿
主は、インビボまたは組織培養のいずれかにおいて、昆虫細胞、酵母、真菌、および哺乳
動物細胞(例えば、ヒトまたは霊長類細胞)を含む。本発明に好ましい宿主は、Pichiapa
storisである。
【0079】
一価、多価、および融合形態タンパク質(特に、sFv(SCA)ポリペプチド)の、産生、単離、および精製の、適切なDNA分子、宿主、方法は、先行技術に十分に記載されている(例えば、米国特許第4,946,778号、これは、本明細書中において参考として十分に援用される)。
【0080】
PEG結合ためのCys残基および/またはオリゴ-Lys残基を有するsFv(SCA)コード配列、ならびに作動可能に連結されたプロモーターは、非複製DNA(またはRNA)分子(線状分子、またはより好ましくは共有結合閉環分子のいずれかであり得る)のいずれかとしてレシピエント原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。そのような分子は、自律的複製し得ないので、所望のsFv(SCA)タンパク質の発現は、導入された配列の一過性発現を介して生じ得る。あるいは、恒久的な発現は、導入されたsFv(SCA)配列の、宿主染色体への組込みを介して生じ得る。
【0081】
1つの実施態様において、sFv(SCA)配列は、宿主細胞染色体へ組み込まれ得る。導入DN
Aをそれらの染色体に安定に組み込んだ細胞は、またsFv(SCA)配列およびマーカーを含む
宿主細胞の選択を可能にする、1つ以上のマーカーを導入することによって選択され得る
。マーカーは、宿主における栄養要求性(例えば、his4、leu2、またはura3、これらは、
共通の酵母栄養要求性マーカーである)、殺生耐性(例えば、抗生物質)、または重金属
(例えば、銅)に対する耐性などを補充し得る。選択マーカー遺伝子は、発現されるべき
sFv(SCA)DNA配列に直接連結されるか、または同時トランスフェクションによって同じ細
胞に導入されるかのいずれかであり得る。
【0082】
別の実施態様において、導入された配列は、レシピエント宿主細胞において自律的複製
をし得るプラスミドベクターに取り込まれる。広範な種々の任意のベクターは、この目的
のために使用され得る。特定のプラスミドまたはウイルスベクターを選択する際に重要な
因子は、以下を含む:ベクターを含むレシピエント細胞が認識され、そしてベクターを含
まないそれらのレシピエント細胞から選択され得る容易さ;特定の宿主において所望され
るベクターのコピー数;および異なる種の宿主細胞間でベクターを「シャトル」し得るこ
とが望ましいか否か。
【0083】
任意の一連の酵母ベクター系が利用され得る。そのような発現ベクターの例は、酵母2-
ミクロン環、発現プラスミドYEP13、YCP、およびYRPなど、またはそれらの誘導体を含む
。そのようなプラスミドは、当該分野において周知である(Botsteinら、MiamiWntr. Sym
p. 19: 265-274(1982); Broach, J.R., The Molecular Biology of theYeast Saccharom
yces: LifeCycle and Inheritance, Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harb
or, NY, 445-470頁(1981);Broach, J.R., Cell 28: 203-204 (1982))。
【0084】
哺乳動物宿主について、いくつかの可能なベクター系が発現のために利用可能である。
1つのクラスのベクターは、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイ
ルス、またはSV40ウイルスのような動物のウイルス由来の、自律的複製染色体外プラスミ
ドを提供するDNAエレメントを利用する。第2のクラスのベクターは、宿主染色体への所
望の遺伝子配列の組込みに依存する。導入されたDNAをそれらの染色体へ安定に組み込ん
だ細胞は、また発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導
入することによって選択され得る。マーカーは、栄養要求性宿主に対する原栄養性、殺生
性耐性(例えば、抗生物質)、または重金属(例えば、銅)に対する耐性などを提供し得
る。選択マーカー遺伝子は、発現されるべきDNA配列に直接的に連結され得るか、または
同時形質転換によって同じ細胞に導入され得る。さらなるエレメントはまた、mRNAの最適
な合成に必要とされ得る。これらのエレメントは、スプライスシグナル、ならびに転写プ
ロモーター、エンハンサー、および終結シグナルを含み得る。そのようなエレメントを取
り込むcDNA発現ベクターは、Okayama,H.,Mol. Cell. Biol. 3: 280 (1983)などによって
記載されるものを含む。
【0085】
細菌における使用のために好ましいベクターには、pQE70、pQE60、およびpQE-9(Qiagenから入手可能);pBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratageneから入手可能);およびptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmaciaから入手可能)が挙げられる。好ましい真核生物ベクターには、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG(Stratageneから入手可能);およびpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Phamaciaから入手可能)がある。Pichiaにおける発現のために好ましいベクターは、pHIL-S1(InvitrogenCorp.)およびpPIC9(InvitrogenCorp.)である。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかである。
【0086】
一旦、構築物を含むベクターまたはDNA配列が発現のために調製されると、DNA構築物は、適切な宿主に導入または形質転換され得る。種々の技術(例えば、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈降法、エレクトロポレーション、または他の従来技術)が使用され得る。細胞が、組換えDNA(またはRNA)分子で形質転換された後、細胞は、培地において増殖され、そして適切な活性についてスクリーニングされる。配列の発現は、本発明のPEG結合のための変異sFv(SCA)の産生を生じる。
【0087】
直鎖ポリマー
本発明の実施において使用される直鎖ポリアルキレングリコールは、以下の構造式であ
る:
【0088】
【化1】

【0089】
ここで、Rは、水素、低級アルキル、およびその混合物からなる群から選択され、R
、水素および低級アルキルからなる群から選択され、nは、正の整数である。「低級アル
キル」は、1〜4つの炭素原子を有するアルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル)、および前述のアイソマーを意味する。Rは、好ましくは、水素、メチル、
およびその混合物からなる群から選択され、Rは、好ましくは水素およびメチルからな
る群から選択され、そしてnは、好ましくは500以下の正の整数である。Rは、最も好ま
しくは水素であり、 Rは、最も好ましくはメチルであり、そしてnは最も好ましくは
7〜150の整数である。本発明の実施において使用される好ましいポリ(アルキレングリ
コール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、それらの混
合物、およびポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)のコポリ
マーであり、ここでポリマーの末端のヒドロキシル基の一方が、低級アルキル基で置換さ
れ得ることは、当業者には容易に明らかである。本発明における使用のために好ましいポ
リアルキレングリコールは、ポリ(エチレングリコール)−ヒドラジンである。本発明に
おける使用のために最も好ましいポリアルキレングリコールは、メトキシポリ(エチレン
グリコール)である。
【0090】
本明細書中以後、簡便のために、本発明の実施において使用されるポリアルキレングリ
コールは、PAGと命名され、その用語は、Rが水素である化合物、およびRがアルキ
ルである化合物の両方を含むことが意図される。PEGは、ポリ(エチレングリコール)を
いい、mPEGはメトキシポリ(エチレングリコール)をいう。
【0091】
PAGは、特定の分子量である必要はないが、好ましくは分子量は約500〜約40,000の間であり;より好ましくは約2,000〜約20,000の間である。PAGの分子量の選択は、使用される特定のポリペプチドの性質(例えば、修飾のためにポリペプチド上で利用可能なアミノ基または他の基の数)に基づいてなされる。約10,000および約20,000の分子量が最も好ましい。
【0092】
1部分あたり2つの末端ヒドロキシル基を含むPAGが他のポリマー(例えば、タンパク質)を架橋し得ることは、当該分野において周知である。よくあることであるが、架橋が望ましくないと考えられる場合、そのような架橋は、当該分野において公知の手段によって最小化または妨害され得る。例えば、Davisら、米国特許第4,179,337号は、架橋を妨害するために好ましい手段が、市販のメトキシポリ(エチレングリコール)において行われるような、PAGの一方の末端をあらかじめブロックすることであることを指摘した。
【0093】
本発明の実施において使用されるPAGは、好ましくは、適切なカップリング剤によって
ポリペプチドにカップリングされる。本発明の実施において使用され得るカップリング剤
の数の有用な概説は、Dreborgら、CriticalReviews in Therapeutic Drug Carrier Syste
ms 6(4):315-365 (1990)(特に317-320頁を参照のこと)に見られる。
【0094】
おそらく、この目的のために最も優れた公知のカップリング剤は、塩化シアヌルである
。塩化シアヌルの使用は、多くの参考文献に記載されている(例えば、Abuchowskiら、J.
Biol.Chem. 252(11): 3578-3581 (1977年6月10日)を参照のこと)。
【0095】
Zalipskyら、Eur.Pol. J. 19 (12): 1177-1183(1983)は、とりわけ、メトキシポリ(
エチレングリコール)と無水コハク酸との反応を記載している:
【0096】
【化2】

【0097】
塩基(例えば、第3級ブタノール中のK-tertiaryブトキシド、テトラヒドロフラン中のNa-ナフタレン、またはベンゼン中のブチルリチウム)の存在下で、mPEGをエチルブロモアセテートでアルキル化することもまた公知である:
【0098】
【化3】

【0099】
PEGの末端ヒドロキシル基は、アミン基、カルボキシル基、またはヘキサメチルイソシアネート基に転換され得る。例えば、Zalipskyら、1983、前出を参照のこと。カルボキシル化mPEGの混合無水物誘導体は、トリエチルアミンの存在化で調製され、次いでタンパク質と反応され得る:
【0100】
【化4】

【0101】
カルボキシル化mPEGはまた、タンパク質との反応のためのジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジメチルホルムアミドの存在下で、ヒドロキシスクシンイミドと反応され得る

【0102】
【化5】

【0103】
KingおよびWeiner(Int.J. Peptide Protein Res.16: 147 (1980))は、mPEGのジチオカーボネートを記載している:
【0104】
【化6】

【0105】
Beauchampら、AnalyticalBiochem. 131: 25-33(1983)は、1,1'-カルボニルジイミダゾ
ールでのPEGの活性化を記載している。この誘導体のペプチドとの反応は、カルバメート
結合を生じる:
【0106】
【化7】

【0107】
Veroneseら、Appl.Biochem. & Biotechnol. 11:141-152 (1985)は、フェニルクロロ
ホルメート(例えば、2,4,5,-トリクロロフェニルクロロホルメートまたはp-ニトロフェニ
ルクロロホルメート)でのメトキシポリ(エチレングリコール)の活性化を記載している
。これらの誘導体は、ウレタン結合によってペプチドに結合される:
【0108】
【化8】

【0109】
Uenoら(欧州特許出願第87103259.5号)は、脱水低級アルコールの存在下での乾燥塩化
水素との反応によって、対応するニトリルからmPEGイミドエステルを形成している。
【0110】
【化9】

【0111】
Abuchowskiら、CancerBiochem. Biophys. 7: 175-186(1984)は、上記のようにmPEGス
クシネートを形成し、次いでジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下でのヒドロキシス
クシンイミドとの反応によってメトキシポリエチレングリコリルスクシンイミジルスクシ
ネート(「SS-PEG」)を形成することを記載している。
【0112】
【化10】

【0113】
Sanoら(欧州特許出願番号89107960.0)は、ペプチドにおけるグアニジノ基を修飾し得
る、メトキシポリ(エチレングリコール)のフェニルグリオキサル誘導体を開示している

【0114】
【化11】

【0115】
Zalipsky(米国特許第5,122,614号)は、そのN-スクシンイミドカーボネート誘導体(
「SC-PEG」)への変換によるPEGの活性化を記載している:
【0116】
【化12】

【0117】
Zalipskyら、J.Macromol. Sci. Chem. A21:839は、メトキシポリ(エチレングリコール)のアミノ酸エステル誘導体を開示している:
【0118】
【化13】

【0119】
Davisら(米国特許第4,179,337号)は、アルデヒドおよびケトンならびに他の官能基を修飾し得る、メトキシポリ(エチレングリコール)のヒドラジド誘導体を開示している:
【0120】
【化14】

【0121】
PEGの二官能誘導体(すなわち、ポリエチレングリコール-ビス-スクシニジル(succini
dyl)カーボネート(「BSC-PEG」))が類似の手段によって調製され得ることが、さらに
開示されている。次いで、SC-PEGおよびBSC-PEG化合物は、タンパク質中のアミン基と反
応され、そしてウレタン(カルバメート)結合を介して結合される。
【0122】
他の活性化PAGもまた、本発明の実施において使用され得ることは、当業者に容易に明
らかである。本発明の実施における使用のために好ましい活性化PAGは、SS-PEGおよびSC-PEGからなる群から選択される。SC-PEGの使用が最も好ましい。
【0123】
分岐ポリマー
本発明は、以下の式に対応するsFv(SCA)タンパク質のポリアルキレンオキシド結合体に
ついて実質的に非抗原性の分岐ポリマーの使用をさらに提供する:
(R)nL-A (II)
ここで(R)は、水溶性非抗原性ポリマーを含む;
(n)=2または3;
(L)は、それぞれの(R)に共有結合した脂肪族の結合部分である;そして
(A)は、求核置換を起こし得る活性化官能基を表す。例えば、(A)は、生物学的に活性な求
核剤を結合できる基であり得、または同じ事を行い得る部分で有り得る。
【0124】
本発明の特に好ましい局面においては、(R)は、ポリ(エチレングリコール)PRGまたはmPEGのようなポリ(アルキレンオキシド)PAOを含む。それぞれの鎖は、約200ダルトンと約12,000ダルトンとの間の分子量を有することが好まれ、そして好ましくは、約1,000ダルトンと約10,000ダルトンとの間の分子量を有する。
分子量約5,000ダルトンは、最も好ましい。
【0125】
式IIに示すように、本明細書に(R)と命名した2または3のポリマー鎖は、脂肪族の結
合部分(L)に結合している。適切な脂肪族は、置換アルキルジアミンおよびトリアミン、
リジンエステルおよびマロン酸エステル誘導体を含む。結合部分は、好ましくは非平面で
あり、故にポリマー鎖は、強固に固定されていない。結合部分(L)はまた、複数のポリマ
ー鎖、すなわち「分岐」を(A)に結合するための手段であり、この部分を介してポリマー
が、sFv(SCA)タンパク質に結合する。
【0126】
(L)は、好ましくは、18までより好ましくは1〜10炭素原子を含む多官能基化されたアルキル(alykyl)基を含む。窒素、酸素、イオウのようなヘテロ原子は、アルキル鎖中に含まれ得る。アルキル鎖はまた、炭素原子または窒素原子にて分岐され得る。本発明の別の局面において、(L)は、単一の窒素原子である。
【0127】
(L)および(R)を、好ましくは、(R)および(L)の両方の求核官能基間の反応によって結合
する。それぞれの(R)は、(L)と求核置換および結合を起こすために適切に官能基化される
。このようなポリマーの官能基化は、当業者において容易に明白である。
【0128】
広範囲で種々の(R)と(L)との結合が、意図される。ウレタン(カルバメート)結合が好
ましい。結合は、例えば、米国特許第5,122,614号に記載されるようにメトキシポリエチ
レングリコールスクシンイミジルカーボネートで1,3-ジアミノ-2-プロパノールのような
アミノ基を反応させることによって形成し得る。塩化アシル官能基でメトキシポリエチレ
ングリコールアミン(mPEGアミン)のようなアミノ末端化非抗原性ポリマーと反応させるこ
とによって形成し得るアミド結合。それらのエーテル、アミン、尿素、およびチオおよび
チオールアナログを含む他のこのような結合、ならびにウレタンおよびアミド結合のチオ
およびチオールアナログの例は上記に記載される。
【0129】
式IIの部分(A)は、生物学的に活性な物質との結合体化のために本発明の分岐ポリマー
を「活性化する」基を示す。(A)は、以下から選択される部分であり得る:
1. 以下のようなアミノ基と反応し得る官能基:
a)p-ニトロフェニルまたはスクシンイミジルのようなカーボネート;
b)カルボニルイミダゾール;
c)アズラクトン;
d)環状イミドチオン;または
e)イソシアネートもしくは、イソチオシアネート。
2. カルボニル酸基と反応し得、そして以下のようなカルボニル基と反応性の官能基:
a)一級アミン;または
b)アシルヒドラジド、カルバゼート、セミカルバメート、チオカルバゼートなど
のようなヒドラジンおよびヒドラジド官能基。
3. フェニルグリオキサールのようなメルカプトまたはスルフヒドリル基と反応し得る官
能基;例えば、米国特許第5,093,531号を参照のこと。
4.求電子性中心と反応し得る他の求核基。非限定リストは、例えば、ヒドロキシル基、
アミノ基、カルボキシル基、チオール基、活性メチレンなどを含む。
【0130】
部分(A)はまた、脂肪族結合部分(L)に近位に位置するスペーサー部分を含み得る。スペ
ーサー部分は、18炭素原子まで、またはさらなるポリマー鎖でさえも含む、ヘテロアルキ
ル、アルコキシル、アルキルであり得る。スペーサー部分は、標準的な合成技術を使用し
て付加し得る。
【0131】
分岐ポリマー、一般的にU-PAOポリマーまたはU-PEGポリマーは、当業者に公知の通常の
反応技術を使用して形成される。
【0132】
本発明のこれらの傘状に分岐したポリマー(U-PAOポリマーまたはU-PEGポリマー)は、生物学的に活性な求核基と反応させての結合体を形成する。ポリマー接着の点は、官能基(A)に依存する。例えば、(A)は、スクシンイミジルスクシネートまたはカルボネートであり得、そしてε-アミノリジンと反応し得る。分岐ポリマーはまた、生物学的に活性なポリペプチドに見られる任意の一級または二級のアミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、反応性カルボニル基などと連結するために活性化され得る。他の基は、当業者にとって明白である。
【0133】
分岐ポリマーの使用の主な利点の1つは、分岐が、ポリマーと結合体化する物質対して
に傘様の三次元の保護カバーを与えることである。これは、上記に議論した直鎖ポリマー
の列様の構造と対照的である分岐ポリマーのさらなる利点は、ポリマーのいくつかの鎖と
sFvタンパク質へと結合することに関連する利点を提供するが、実質的により少ない結合
部位を必要とすることである。PEG化の所望の特性を、実現し、そして生物活性の欠失は
、最小化する。
【0134】
1つ以上の活性化分岐ポリマーは、標準的な化学反応により、sFvタンパク質のような生物学的に活性な求核剤と結合し得る。その結合体は、以下の式によって表される:

[(R)nL-A1]z-(求核基) (III)

ここで(R)は、水溶性の実質的に非抗原性のポリマーである;n=2または3;(L)は、脂肪族
の結合部分である;(A1)は、(L)および求核基との間の結合を表し、そして(z)は、1の
整数であり、これは生物学的に活性な求核基と結合体化したポリマーの数を表す。(z)に
ついての上限を、利用可能な求核基結合部位の数によって決め、および当業者によって探
求されるポリマー結合の程度によって決めた。結合体化の程度は、周知の技術を使用して
、反応化学量論を変えることによって改変し得る。求核基と結合体化した1つより多くの
ポリマーは、求核基で活性化ポリマーの化学量論的な過剰量と反応することによって得ら
れ得る。
【0135】
sFvタンパク質の精製
一般的なプロトコル12の異なる単鎖抗原結合分子を産生するために開発され、そして使用されている。このプロトコルは、細胞溶解および洗浄、変性溶媒における可溶化、希釈による再折り畳み、および2つのイオン交換HPLCクロマトグラフィー工程を含む。このような単離したsFv(SCA)は、本発明によるPAG結合化され得る。
【0136】
sFv産生E.coli株の発酵は、カゼイン消化物グルコース塩培地を使用して、32℃で実施
する。600nmでの18〜20の光学密度において、sFv発現を、1時間42℃の温度ショックによって誘導する。発酵物を10℃へ冷やした後、その細胞を、10分間7000gで遠心することによって、採集する。次に湿細胞ペーストを、-20℃で冷凍保存する。約200g〜300gの湿細胞ペーストを、通常1つの10リットル発酵より回収する。
【0137】
タンパク質回収について、3回の10リットルの発酵からの細胞ペースト(600〜900g)を、
一晩4℃で解凍し、そして50mMTris-HCl,1.0mMEDTA,100mM KCl,0.1mM フェニルメチルス
ルホニルクロリド(PMSF),pH8.0(溶解緩衝液)中にキログラムの湿細胞ペーストあたり溶
解緩衝液の10リットルを使用して、4℃で穏やかに再懸濁する。完全に再懸濁した場合、
冷やした混合物を、Manton-Gaulin細胞ホモジナイザーを、3度通して十分に細胞を溶解する。細胞ホモジナイザーが細胞溶解物の温度を25±5℃に上げるので、細胞溶解物を、各回の通過後、Lauda/Brinkman冷却コイルで5±2℃に冷やす。完全な溶解物を、顕微鏡下で、可視検査によって確認する。
【0138】
細胞溶解物をSorvallRC-5B遠心分離機を使用して6℃で30分間24,300gで遠心分離する。ペレットは、不溶性のsFvを含み、そして上清を、捨てる。ペレットを遠心分離ビンよりそれを穏やかに掻くこと、および湿細胞ペースト1kgあたり5リットルの溶解緩衝液中でそれを再懸濁することによって洗浄する。得られた3.0〜4.5リットルの懸濁液を、再び30分間6℃で24,300gで遠心分離し、そして上清を捨てる。この細胞ペレットの洗浄は、可溶性E.coliタンパク質を取り除き、そして5回まで繰り返し得る。この洗浄手順の間の任意の時点で、物質を、-20℃で冷凍ペレットとして保存し得る。洗浄工程における実質的な時間節約は、0.22μmの細孔フィルターを備えたPellicon接線流動装置を利用して達成され得る。
【0139】
洗浄した細胞ペレットを、新たに調製した6M塩酸グアニジン、50mM Tris-HCl、10mMCaCl2、50mM KCl、pH8.0(変性緩衝液)中に、6ml/gペレットを使用して4℃で可溶化する。必要であれば、HeatSystemsUltrasonics組織ホモジナイザーからの数回の速いパルスを使用して、可溶化を完了し得る。得られた懸濁液を、45分間6℃で24,300gで遠心分離し、そしてペレットを捨てる。上清の光学密度を、280nmで決定し、そしてOD280が30より大きい場合、さらなる変性緩衝液を加えて、約25のOD280を得る。
【0140】
上清を、1:10から1:100希釈(最終容量70〜120リットル)になるまで冷(4〜7℃)再折り畳み緩衝液(50mMTris-HCl,10mM CaCl2,50mM KCl,0.1mM PMSF,pH8.0)にゆっくりと希釈する。再折り畳み緩衝液は、少なくとも使用1日前に調製してそれを十分な時間4℃に冷却させるべきである。上清を、穏やかに混合しながら2時間の期間にわたって、再折り畳み緩衝液にゆっくりと添加する場合、最も良い結果が得られる。その溶液は、少なくとも20時間静置しておき、次に4℃で4〜6の0.45μmの細孔膜(HVLP000C5)を用いて、Millipore Pellicon 接線流動装置を通して濾過する。濾過物を、再び4℃で、4〜6の10,000NMWLカセット(SK1PA156A4)を有するPellicon装置を使用して1〜2リットルに濃縮する。
【0141】
濃縮した粗sFvサンプルを、4〜6の10,000NMWLカセットを備えたPellicon限外濾過装置を使用して、4℃で20mM2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸(Mes),0.3mMCaCl2,pH6.0と緩衝液交換する。次に、サンプルを、WatersAccell Plus CM イオン交換(RCM)カラム(4.7×30.0cm)でクロマトグラフィー分離する。HPLCにロードする前に、この物質を、0.22μmフィルターを通して濾過し、そしてAccelカラムを、緩衝液A(40mMMes,1mMCaCl2,pH 6.0)で平衡化する。サンプルをロードした後、Accellカラムを、緩衝液Aおよび緩衝液B(40mMMes,100mMCaCl2,pH7.0)の直線勾配で55分間にわたって溶出する。(表1を参照のこと)。
【0142】
【表1】

【0143】
AccellPlus CMカラムは、約3gの容量を有し、従って全ての粗sFvサンプルを1回の実行において正常にロードし得る。画分を、4〜20%Novex SDS-PAGEゲルを使用して分析し、そしてピーク画分をプールする。通常、sFv溶出物は、勾配において、かなり早くAccellイオン交換カラムから溶出する。特定のsFvタンパク質の分離を増強するために、勾配において保持実行し得る。
【0144】
AccellHPLC精製からのプールした画分を、伝導率が緩衝液D(40mM3-[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸(Mops),0.5mM 酢酸Ca,pH 6.0)のものに低くなるまで緩衝液Dに対して透析する。次に、サンプルを21.5×150mmポリアスパラギン酸PolyCATAカラムにロードする。60mgより多くが、このカラムにロードされる場合、分離が劣化し始める;従って、AccellHPLC精製からのプールした画分は、しばしばいくつかのPolyCATAの実行に分割しなければならない。たいていのsFvタンパク質は、280nmで約2.0mgml-1cm-1の吸光計数を有し、そして、これを使用して、タンパク質濃度を決定し得る。sFvサンプルを、緩衝液Dと緩衝液E(40mMMops,10mM酢酸Ca 、pH8.0)との50分の直線勾配を用いてPolyCAT Aカラムより溶出する。表2を参照のこと。
【0145】
【表2】

【0146】
【表2A】

【0147】
sFvタンパク質は、この勾配を使用する場合、20分26分との間でしばしば溶出する。これは、約70%の緩衝液Dおよび30%緩衝液Eの溶出溶媒組成に対応する。
【0148】
この精製手順は、SDS-PAGEおよびScatchard分析によって試験する場合、95%よりも高い純度であるsFvタンパク質を得る。上記の手順の改変は、しばしば8.0と9.3との間である、精製される特定のsFvの等電点によって決定され得る。
【0149】
本発明の実施において使用されるポリアルキレングリコール(PAG)は、上記に示すよう
に、好ましくは連結剤との反応によって活性化し、単鎖抗原結合分子の鎖に結合して存在
し得るいくつかの基(例えば、鎖の末端または鎖に沿って位置する、末端カルボキシル基
、チオール基、フェノールヒドロキシル基、または一級アミノ基)のいずれとも反応し得
る。一級アミン基と、特にペプチド鎖に沿って存在する一級アミン基と、活性化PAGとを
反応させることが好ましい。活性化PAGを、ポリペプチドにおけるリジン残基ならびにシ
ステイン残基のεアミノ基と結合することが、最も好ましい。
【0150】
PAGと単鎖ポリペプチドとの間の反応を、通常溶液(好ましくは、約6〜約10であり、好ましくは、約7〜約9であり、最も好ましくは、約7〜約8の範囲のpHを提供する水性緩衝液溶液)中で実行する。25℃でこれらの範囲のpHを提供する緩衝液溶液の例は、以下に列挙されるものであり得る:
50mlの0.1Mリン酸二水素カリウムおよび5.6〜46.1mlの0.1MNaOHを100mlに希釈する
50mlの0.025Mホウ酸および2.0〜20.5mlの0.1MHClを100mlに希釈する
50mlの0.025Mホウ酸および0.9〜18.3mlの0.1MNaOHを100mlに希釈する
50mlの0.05M炭酸水素ナトリウムおよび5.0〜10.7mlの0.1MNaOHを100mlに希釈する
特別に所望されるpHを提供するのに使用される酸または塩基の量の正確な調整は、当業者によって容易に決定される。
【0151】
所定の実施例において、生物学的緩衝液の使用が必要とされる場合、下記の1つを、利
用し得る:
3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)
3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)
ピペラジン-N,N'-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)
PAGと単鎖ポリペプチドとの間の反応は通常、変性を生じさせない条件、例えば、穏や
かな温度および必要以上に攪拌しない条件下で行なう。その反応は、好ましくは、約4℃
〜約25℃の範囲における温度で行なう。より好ましくは、反応は、室温、すなわち約20℃〜約25℃で行う。
【0152】
単鎖ポリペプチドの量に関して使用したPAGの量が反応産物の所望の性質に依存するこ
とを当業者は容易に理解する。例えば、ポリペプチド鎖に沿って各リジン残基とPAGとを
反応することが所望される場合、リジン濃度と少なくとも等モルの量のPAGが必要である
。可能ならば、反応速度および完全反応の確率を増加するために、過剰量のPAGを使用す
ることは、有利である。明らかに、ポリペプチド鎖に沿った、全てより少ない潜在的な反
応部位を誘導体化する場合、対応して、より少ないPAGが使用される。しかし、一般的に
、過剰モルのPAGを使用する場合、2〜100のオーダーの過剰モルPAGを使用し得;2〜10の過剰モルが好ましいことが決定されている。
【0153】
反応に必要な時間は、多数の要因(例えば、反応温度、反応物の濃度、および完全反応
または部分反応が望まれるか)に依存する。反応の経過は、従来の手段(例えば、サイズ
排除クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動による定期的なサンプルの分析)によってモ
ニターされ得る。反応は、過剰PAGを除去するために、第1級アミン基を有する化合物(例えば、グリシン)を付加することによって、望まれた時に都合よく終結され得る。代表的には、約15分〜120分の反応時間が、室温で単鎖ポリペプチドのリジン残基の第1級アミン基とPAGとを完全に反応させるために必要である。当業者は、結合体化のための時間、
ならびにPAGの量およびタイプが、利用されるポリペプチドを失活するようなものでなく
てよいことを理解する。
【0154】
PAG/単鎖ポリペプチド反応産物の精製は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィー、限外濾過、透析などのような、当業者によって一般に利
用される手段によって行われ得る。反応産物の溶液は、望むならば、回転式蒸発装置で濃
縮し得、凍結乾燥によって乾燥状態で得られ得る。
【0155】
選択した特定の単鎖抗原結合分子およびPAGと反応する程度に依存して、得られた付加
物は、診断上および治療上の両方に有用であることが期待され、受容可能な活性水準を維
持する一方、未反応単鎖ポリペプチドと比較して、減少した免疫原性、増大した循環半減
期(circulatinglife)、および増大した安定性を示す。
【0156】
単鎖抗原結合ポリペプチドは、求核試薬のpH要求に依存して、緩衝化され得る水性反応
媒体において、上記に示した活性化分岐ポリエチレングリコールポリマーと反応し得る。
反応のための至適pHは、一般的にポリペプチドについて、約6.5および約8.0の間、好まし
くは約7.4である。sFv安定性のための至適反応条件、反応効率などは、当業者の水準範囲
内である。好ましい温度範囲は、4℃および37℃の間である。反応温度は、求核試薬が変
性するかまたは分解し得る温度を超え得ない。求核試薬は過剰の活性化分岐ポリマーと反
応することが好ましい。反応後、結合体は、例えば、ダイアフィルトレーション、カラム
クロマトグラフィー、その組合わせなどによって、回収され、そして精製される。
【0157】
結合体
本発明のポリアルキレンオキシド結合体化sFv(SCA)の生成において、ポリアルキレンオキシド結合体化sFvは、ポリアルキレンオキシド結合体化sFvに診断剤または治療剤を結合することによってさらに修飾され得る。本発明による抗体結合を調製する一般的な方法は、Shih,L.B.ら、CancerRes.51:4192(1991);Shih,L.B.,およびD.M.Goldenberg,CancerImmunol.Immunother.31:197(1990);Shih,L.B.ら、Intl.J.Cancer46:1101(1990);Shih,L.B.ら、Intl.J.Cancer41:832(1988)(これら全ては本明細書に参考として援用される)に記載される。間接的な方法は、抗体(またはsFv)(それらのポリアルキレンオキシドは官能基を有する)と、1つまたは複数の生物活性分子(例えば、ペプチド、脂質、核酸(すなわちリン酸リジン複合体)、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物、または検出可能標識分子)を負荷したキャリアポリマーとの反応を包含する。
【0158】
あるいは、ポリアルキレンオキシド結合体化sFvは、直接的に診断剤または治療剤に結合し得る。一般的な手順は、診断剤または治療剤が、直接的に酸化型sFv成分に結合することを除いて、結合体化の間接的な方法と類似している。Hansenら、米国特許第5,443,953号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0159】
ポリアルキレンオキシド結合体化sFvは、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはその水溶性改変体を使用して、中間の付加体を形成するように従来の手段によって調製された、活性化形態の負荷されるべき特定の薬物、毒素、キレート剤、ホウ素付加物、または標識化の誘導体、好ましくは、カルボキシル活性化誘導体に付着され得る。
【0160】
上記に示した特定の説明に加えて、ヒトに感染し、そして病巣を生じ得る腫瘍細胞また
は微生物に対して細胞傷害効果を有する多くの薬物および毒素が、知られている。それら
は、MerckIndexなどのような薬物および毒素の要約(compendia)に見られる。任意のその
ような薬物は、当該分野において周知の従来の手段によって、キャリアに、または直接的
にポリアルキレンオキシド結合体化sFvに負荷され得、そして上記に対する類推によって
説明される。
【0161】
放射性金属または磁気共鳴エンハンサーのためのキレート剤もまた、当該分野において周知である。代表的なものは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の誘導体である。これらは、代表的には、キレート剤がキャリアと付着し得るか、または直接的にポリアルキレンオキシド結合体化sFv上に付着し得る側鎖上の基を有する。このような基は、例えば、DTPAまたはEDTAがsFvの反応基にカップリングされ得る、ベンジルイソチオシアネートを含む。
【0162】
ラジオアイソトープ、酵素、蛍光化合物、電子移動薬剤などのような標識もまた、当該分野に周知の通常の方法によって、キャリアに結合し得るか、または直接的にポリアルキレンオキシド結合体化sFv上に結合し得る。これらの標識およびそれから調製されたsFv結合体は、sFvに標識を直接的に付着させることによって調製されたsFv結合体の多くと同様に、免疫アッセイのためにおよび免疫組織学のために使用され得る。しかし、複数の標識を本発明の結合体に負荷することは、標的抗原へのsFvの低い程度のみの結合が達成される場合、アッセイまたは組織学的手順の感度を増加し得る。
【0163】
ホウ素付加物(例えば、カルボラン)は、単鎖抗原結合分子に付着し、そして病巣に標的化される時、熱中性子照射によって活性化され、そしてα放射によって減衰する放射性原子に転換されて、高度の細胞傷害性短範囲効果を生じ得る。ホウ素付加物、および磁気共鳴増強イオンの高度な負荷は、これらの効果を増強することにおいて大いに重要である。カルボランは、当該分野で周知のように、ペンダント側鎖上にカルボキシル官能基を有して作製され得る。
【0164】
キャリアにおける薬物の負荷は、1度その標的に到達すると、薬物の効力、sFv標的化の効率、および結合体の効力に依存する。ほとんどの場合において、それは、キャリア上に、少なくとも20、好ましくは50、およびしばしば100以上の薬物分子を負荷することが望ましい。本発明による結合体として部分的または完全に薬物を解毒する能力は、それが循環している間、薬物の全身性副作用を減少し得、そして非結合体化薬物の全身性投与が受け入れられない時その使用を可能にし得る。本発明に従って、薬物のより多くの分子を、しかし、キャリア上のsFvに結合させて投与することは、全身性毒性を和らげながらの治療を可能にする。
【0165】
毒素は、しばしば薬物より濃密に負荷されないが、キャリア上に、少なくとも5、好ま
しくは10、およびいくつかの場合には20以上の毒素分子を負荷し、そして標的化送達のためのsFv上に少なくとも1つのキャリア鎖を負荷することがなお利点となる。
【0166】
用途
本発明のポリアルキレンオキシド結合体化sFv(SCA)ポリペプチド結合体は、より長い循
環半減期を有し、そしてインビボにおいて減少した免疫原性を有することが期待される。
これは、いくつかのsFvタンパク質の非常に速い血液クリアランスに関連する潜在的な制
限を解決し得る。それはまた、そうでなければ患者において免疫応答を刺激し得る治療的
sFvの反復投与についての懸念を減少させるか、または取り除く。特定のシステインおよ
び/またはオリゴ-リジン変異組合わせの選択により、特定のポリアルキレンオキシド結
合体化sFv改変体ポリペプチドに依存してかなりの範囲にわたる循環半減期(circulation
life)を達成することを可能にし得る。これにより、sFvが選択の治療使用のために投与
されることを可能にする。
【0167】
診断剤または治療剤は、抗体に結合体化され、そして診断のためにまたは治療のために
有用である分子または原子である。抗体の免疫反応性は保持される。診断剤または治療剤
は、薬物、毒素、キレート剤、ホウ素化合物および検出可能な標識を含む。さらに詳細に
は前述の「結合体」セクションを参照のこと。
【0168】
診断剤または治療剤は、核酸、化合物、タンパク質、要素、脂質、抗体、糖類、同位元
素、炭水化物、造影剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、検出可能プローブ、また
はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つであり得るが、それらに限定され
ず、それは、本明細書に記載のように、抗体を標識するためと同様に検出可能に標識化し
得る。このような標識は、酵素的標識、ラジオアイソトープまたは放射性化合物または要
素、蛍光化合物または金属、化学発光化合物および生物発光化合物を含むが、それらに限
定されない。あるいは、任意の他の公知の診断剤または治療剤が、本発明の方法において
使用され得る。
【0169】
本発明において使用される治療剤は、標的細胞において治療効果を有し得、この効果は
、欠陥遺伝子またはタンパク質の修正、薬物作用、毒性効果、成長刺激効果、成長阻害効
果、代謝効果、異化効果、タンパク質同化効果、抗ウイルス効果、抗菌性効果、ホルモン
効果、神経液性効果、細胞分化刺激効果、細胞分化阻害効果、神経調節効果、抗新生物効
果、抗腫瘍効果、インスリン刺激効果または阻害効果、骨髄刺激効果、多能性幹細胞刺
激効果、免疫系刺激効果、および本発明による送達系を介して細胞に送達される治療剤に
よって提供され得る任意の他の公知の治療効果から選択されるがそれらに限定されない。
【0170】
本発明のsFv結合体は、感染または疾患の防御、抑制または治療のために使用され得る
。本明細書に使用されるような、用語、感染または疾患からの「防御」は、「予防」、「
抑制」または「処置」を意図する。「予防」は、疾患の誘発の前のグリコシル化sFv結合
体の投与を含む。「抑制」は、疾患の臨床的な出現の前の組成物の投与を含む。
【0171】
「処置」は、疾患の出現後の防御化合物の投与を含む。医学および獣医学においては、
「予防」と「抑制」との間を区別することが常に可能であるわけではないことが理解され
る。これは、最終的な誘発事象(単数または複数)が、未知であり、不顕性であるか、また
は患者が、その事象(単数または複数)の出現の十分後になるまで確認されないためである
。それ故に、本明細書に定義するように「予防」および「抑制」の両方を包含するために
、「処置」とは異なるような用語「予防(prophylaxis)」を使用することが一般的である
。本明細書に使用される用語「防御」は、「予防」を含むと意味される。
【0172】
本発明の治療剤または組成物をさらに含み得るこのようなさらなる治療剤は、抗生物質
、ステロイド、細胞傷害性薬剤、血管作用性薬物、抗体および他の治療様式を含む公知お
よび新規な化合物および組成物から選択され得るが、それらに限定されない。このような
薬剤の非限定な例は、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ナフシリン、非経口セファロス
ポリンなどのような、細菌ショックの処置において使用される抗生物質を含み;メチルプ
レドニゾロンのような、副腎性コルチコステロイドおよびそのアナログは、内毒素によっ
て生じる細胞傷害性を和らげ;αレセプターブロッキング剤(例えば、フェノキシベンザ
ミン)、βレセプターアゴニスト(例えばイソプロテレノール)、およびドーパミンのよう
な血管作用性薬物は、敗血性ショックを処置するために適切な薬剤である。
【0173】
本発明のポリアルキレンオキシド結合体化sFvはまた、疾患の診断のため、および治療
応答をモニターするために使用され得る。ポリアルキレンオキシド結合体化sFvタンパク
質の他の用途は、腫瘍細胞および酵素についての特異性を有する二重特異的分子によって
、腫瘍細胞にプロドラック活性化酵素の特異的標的化である。ポリアルキレンオキシド結
合体化sFvは、腫瘍のようなインビボ標的における薬物の特異的な送達、腫瘍放射免疫診
断または放射免疫治療(Goldenberg,D.M.,AmJ.Med.94:297(1993))のための放射性金属、ホ
ウ素/ウラン-中性子捕獲治療(Ranadive,G.N.ら、Nucl.Med.Biol.20:1(1993);Barth,R.F.
ら、Bioconjug.Chem.5:58(1994))および核磁気共鳴画像診断(Sieving,P.F.ら、Bioconjug
.Chem.1:65(1990))のような適用における非放射性金属の送達に使用し得る。この列挙は
、説明のみである。
【0174】
本発明はまた、精製およびバイオセンサーにおけるポリアルキレンオキシド結合体化sF
vタンパク質のための使用にまで拡張される。アフィニティー精製は、支持体にポリアル
キレンオキシド結合体化sFvタンパク質を固定することによって可能になり、リガンド分
子に曝露され、これと接触した抗原結合部位が分離され、そして従って精製される。バイ
オセンサーは、抗原結合分子への特異的抗原の結合の際に検出可能なシグナルを発生し、
続いてそのシグナルを加工する。ポリアルキレンオキシド結合体化sFvタンパク質は、バ
イオセンサーにおいて抗原結合分子として使用する時、結合の際にコンフォメーションを
変化し得、従って検出され得るシグナルを発生する。
【0175】
本発明はまた、標識化されるポリアルキレンオキシド結合体化sFvとサンプルとを接触
させることによって、サンプル中に存在すると推測された抗原を検出する方法に関する。
1つのサンプルは、少なくとも1つの化合物、混合物、表面、溶液、乳濁液、懸濁液、混
合物、細胞培養物、発酵培養物、細胞、組織、分泌物および/またはその誘導物または抽
出物を含み得る。
【0176】
このようなサンプルはまた、例えば、動物組織(例えば、血液、リンパ液、脳脊髄液(CN
S)、骨髄、胃腸内容物、ならびに、皮膚、心臓、肺および呼吸系、肝臓、脾臓、腎臓、膵
臓、胆嚢、胃腸管、平滑筋、骨格筋または心筋、循環系、生殖器官、聴覚系、自律神経系
および中枢神経系の部分、細胞または内部および外側の分泌物)およびその抽出物または
細胞培養物を含み得る。このようなサンプルは、インビトロ、インビボ、およびインサイ
チュにおいて、本発明の方法を使用して測定され得る。
【0177】
このようなサンプルはまた、土壌、大気または水のサンプルのような環境サンプル、な
らびに、化合物、混合物、表面、水性化学溶液、乳濁液、懸濁液または混合物のような工
業的または商業的サンプルを含み得る。
【0178】
さらに、本発明の方法において使用され得るサンプルは、細菌、酵母、哺乳動物細胞、
植物細胞および昆虫細胞のような原核生物または真核生物の細胞および/または組織の増
殖のために使用される細胞培養物および発酵培地を含む。
【0179】
先行技術によって想起される、モノクローナルまたはポリクローナル抗体またはそのフラグメントの用途の本質的に全てが、本発明のポリアルキレンオキシド結合体化sFvタンパク質によって取り組まれ得る。これらの用途は、ポリアルキレンオキシド結合体化sFvタンパク質の検出可能な標識化形態を含む。標識のタイプは、当業者に周知である。それらは、放射標識化、化学蛍光標識化、蛍光色素標識化、および発色団標識化を含む。他の用途は、ポリアルキレンオキシド結合体化sFvタンパク質の標識化形態の有効量を投与し、そして動物に関連した検出可能放射を測定することによって、動物(ヒトを含む)の内部構造を画像化することを含む。それらはまた、標識化抗体が本発明のPEG化sFvタンパク質によって置き換えられ得る、サンドイッチ免疫アッセイ、競合免疫アッセイ、および他の免疫アッセイを含む、改善免疫アッセイを含む。例えば、Kohlerら、Nature256:495(1975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976);Hammerlingら、MonoclonalAntibodiesand T-Cell Hybridomas,563-681頁,Elsevier,N(1981);Sambrookら、MolecularCloning-ALaboratory Manual,2版,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)を参照のこと。
【0180】
投与
インビボ診断および治療適用のための本発明のポリアルキレンオキシド結合体化sFv結
合体の投与は、sFv(ここで、診断または治療原理がsFvへ直接連結されるか、またはロー
ドされたキャリアが非部位特異的様式でsFvのアミノ酸残基上のアミノ基またはカルボキ
シル基にランダムに結合することによって連結される)と類似の方法によってなされる。
【0181】
本発明の結合体(免疫結合体)は、薬学的に有用な組成物を調製するための公知の方法
に従って(例えば、薬学的に受容可能なキャリアビヒクルとの混合によって)処方され得
る。適切なビヒクルおよびそれらの処方は、例えば、Remington's Pharmaceutical Scien
ces、第18版、Osol,A.編、Mack,Easton PA(1990)に記載される。有効な投与のために適
切な薬学的に受容可能な組成物を形成するために、このような組成物は、単独でまたは適
切な量のキャリアビヒクルと共に、治療的に有効な量の免疫結合体を含む。
【0182】
さらなる薬学的方法は、作用の持続時間を制御するために使用され得る。制御された放
出調製物は、本発明の免疫結合体を複合体化または吸収するためのポリマーの使用によっ
て達成され得る。制御された送達は、適切な高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ
酸、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、または硫酸プロタミン)を選択することによって行われ得る。薬物放
出の速度はまた、このような高分子の濃度を変化させることによって制御され得る。作用
の持続を制御するための別の可能性のある方法は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロ
ゲル、ポリ(乳酸)またはエチレンビニルアセテート共重合体のような重合体物質の粒子
への治療剤の組み込みを含む。あるいは、例えば、コロイド脱混合現象技術、または界面
重合(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルも
しくはポリ(メチルメタクリル酸)マイクロカプセルの使用によって)によって(調製さ
れたマイクロカプセル中)、またはコロイドドラッグデリバリーシステム(例えば、リポ
ソーム、アルブミン微粒子、マイクロエマルジョン、ナノパーティクル、ナノカプセル、
または巨大エマルジョンにおいて)において、本発明の免疫結合体を包括することは可能
である。このような教示は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.編
、Mack,EastonPA(1990)に開示される。
【0183】
免疫結合体は、当該分野で周知の手段によって患者に提供され得る。このような導入の
手段は、経口手段、経鼻手段、皮下手段、筋内手段、静脈内手段、動脈内手段、または非
経口的手段を含む。静脈内投与、動脈内投与、または胸膜内投与は、通常、肺腫瘍、乳房
腫瘍、および白血病性腫瘍に対して使用される。腹腔内投与は、卵巣腫瘍に勧められる。
くも膜下腔内投与は、脳腫瘍および白血病に勧められる。皮下投与は、ホジキン病、リン
パ腫および乳癌に対して勧められる。カテーテル灌流は、転移性肺、乳房または肝臓の胚
細胞癌のために有用である。病巣内投与は、肺および乳房病巣のために有用である。
【0184】
治療的または診断的適用のために、本発明による組成物は、従来の注射用液体キャリア
(例えば、滅菌無発熱物質水、滅菌無ペルオキシドエチルオレアート、脱水アルコール、
またはポリピレングリコール)と組み合わせて非経口的に投与され得る。安定化剤、可溶
化剤および緩衝液(例えば、エタノール、エチレンジアミン四酢酸のような錯体形成剤、
酒石酸およびクエン酸緩衝液)ならびに粘性調節のためのポリエチレンオキシドのような
高分子量ポリマーのような注射用溶液の従来の薬学的アジュバント添加され得る。このよ
うな組成物は、筋肉内、腹腔内、または静脈内に注射され得る。
【0185】
キャリアおよび希釈物のさらなる非制限的な例は、アルブミンおよび/または他の血漿
タンパク質成分(例えば、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質およびこれらの
血清タンパク質と結合する脂質)を含む。これらの脂質は、ホスファチジルコリン、ホス
ファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびトリグリセリドのような中
性脂質を含む。脂質キャリアはまた、トコフェロールを含むが制限されない。
【0186】
本発明による治療剤に連結された少なくとも1つのポリアルキレンオキシド結合sFvは
、これらの意図される目的、例えば種々の症状(例えば、細胞炎症、アレルギー、組織損
傷または他の関連する症状)を処置することを達成する任意の手段によって投与され得る

【0187】
種々の症状を予防すること、抑制すること、または処置することのための代表的な療法
は、1日または何日もの間(1週間までおよび1週間と約24ヶ月との間を含む)にわたっ
て投与された、有効な量のsFv結合体の投与を含む。
【0188】
インビボまたはインビトロにおいて投与された本発明の用量は、受容者の年齢、性別、
健康、および体重、併用処置の種類、もしあるなら、処置の度合い、および所望される効
果の性質に依存されることが理解される。以下に提供される有効な用量の範囲は、本発明
を制限されることを意図されず、そして好ましい用量範囲である。しかし、最も好ましい
用量は、過度の実験なく当業者によって理解されそして決定され得るように、個々の被検
体に合わせて変更される。例えば、Berkowら編、Merck Manual, 第16版、Merck and Co.
、Rahway,N.J.(1992);Goodmanら編、Goodmanand Gilman's The Pharmacological Basis
of Therapeutics、第8版、PergamonPress,Inc., Elmsford, N.Y.(1990); Avery's Drug
Treatment:Principles and Practice ofClinical Pharmacology and Therapeutics, 第
3版、ADISPress, LTD.、WilliamsおよびWilkins,Baltimore, MD. (1987),Ebadi, Pharm
acology,Little,Brown and Co.,Boston (1985),Katzung, Basic and Clinical Phamacol
ogy, Appletonand Lange, Norwalk,Conn.(1992)(これらの参考文献および本明細書中で
引用される参考文献は、本明細書中で参考として全体的に援用される)を参照のこと。
【0189】
各処置に必要な総用量が、複数回用量によってまたは単回用量で投与され得る。本発明
の診断的/薬学的化合物または組成物の有効な量は、2時間〜5年の期間について4〜72時
間の間隔で投与された(投与された約0.001μg〜約100mg/kg体重)、またはそれらの任意
の範囲または値(例えば、1〜4、6〜12、12〜24および24〜72時間の間隔で、0.01〜1.0、
1.0〜10、10〜50および50〜100mg/kg、O.5、1.0〜2.0、2.0〜4.0および4.0〜7.0日または
1、1〜2、2〜4、4〜52またはさらなる週、または1、2、3〜lO、10〜20、20〜60
またはさらなる年の期間、またはそれらの任意の範囲または値)である。
【0190】
非経口的投与のための調製物は、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液、およびエマルジ
ョンを含む(これらは、当該分野で公知である補助的な試薬または賦形剤を含み得る)。
錠剤およびカプセルのような薬学的組成物はまた、日常的な方法によって処方され得る。
例えば、Berker(前出)Goodman(前出)Avery(前出)およびEbadi、前出(これらは、そ
の全体において本明細書で参考(そこに引用された全ての文献を含む)として援用される
)を参照のこと。
【0191】
本発明のsFv結合体の少なくとも1つの型、または本発明のsFv結合体の1型,2型,3
型,4型,5型,6型,7型,8型,9型または10型を含む薬学的組成物は、その意図
される目的を達成するために有効な量で含まれ得る。少なくとも1つのsFv結合体に加え
て、薬学的組成物は、適切な薬学的に受容可能なキャリア(例えば、薬学的に使用され得
る処方物への活性化化合物のプロセシングを容易にする賦形剤、キャリアおよび/または
補助装置)を含み得る。
【0192】
薬学的組成物はまた、静脈内投与、皮下投与、経皮投与、経口投与、粘膜投与、または
直腸投与のために適切な溶液を含み、そして賦形剤と共に、約0.01〜99%、好ましくは約
20〜75%の活性成分(すなわちsFv)を含む。経口投与のための薬学的組成物は、錠剤お
よびカプセルを含む。直腸的に投与され得る組成物は座剤を含む。例えば、Berker(前出
)、Goodman(前出)、Avery(前出)、およびEbadi(前出)を参照のこと。本明細書中
に含まれ得るさらなる脂質およびリポタンパク質ドラッグデリバリーシステムは、Annals
N.Y. Acad.Sci.507:775-88、98-l03、および252-271(この開示は本明細書中で参考とし
て援用される)でより十分に記載される。
【0193】
組成物はまた、1つ以上の生理学的に適合性のキャリアまたは賦形剤を含む経口投与可
能な組成物に処方され得、そして固体形態または液体形態であり得る。これらの組成物は
、所望される場合、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、ト
ラガカントまたはポリビニルピロリドン);賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール
、デンプン、カルシウム、リン酸、ソルビトール、シクロデキストラン、またはメチルセ
ルロース);潤滑剤(例えば、マグネシウムステアリン酸エステル、ポリエチレングリコ
ールのような高分子量ポリマー、ステアリン酸またはシリカのような高分子量脂肪酸;デ
ンプンのような崩壊剤;例えばラウリル硫酸ナトリウムのような受容可能な保湿剤)のよ
うな従来の成分を含む。
【0194】
経口組成物は、任意の従来の形態(例えば、錠剤、カプセル、トローチ剤、水溶性また
は油性懸濁液、エマルジョン、あるいは使用前に水または他の液体培地との再構成するた
めに適切な乾燥産物)を仮定し得る。当然、液体経口形態は、香料、甘味料、メチルまた
はプロピルp−ヒドロキシベンゾエートのような防腐剤;ソルビトール、グルコースまた
は他の糖シロップ、メチル、ヒドロキシメチル、またはカルボキシメチルセルロースある
いはゼラチンのような懸濁剤;レシチンまたはソルビタンモノオレイン酸のような乳化剤
、あるいは濃厚剤を含む。非水溶性組成物もまた処方され、これは例えば、魚肝臓または
植物油のような食用油を含む。これらの液体組成物は、例えば単位投薬量で都合良くゼラ
チンカプセルに封入される。
【0195】
本発明による薬学的組成物はまた、適切な場合、エアロゾルのように局所的またはクリ
ームまたは軟膏のような従来の基剤で処方されるかのどちらかで投与される。
【0196】
本発明の薬学的組成物はまた、リポソームのようなコロイド性キャリアに活性成分を組
み込むことによって投与され得る。リポソーム技術は当該分野で周知であり、Allisonら
、Nature252:252-254 (1974)、およびDancyら、J.Immunol.120:1109-1113(1978)によっ
て記載されている。
【0197】
今や本発明に一般的に記載されるように、本発明は、目的の特定の実施例を参照するこ
とにより、より良く理解されるが、これらは例示の目的で提供され、そして他に特定化さ
れない限りは限定として意図されない。
【実施例】
【0198】
実施例
実施例1 メトキシポリ(エチレングリコール)-サクシンイミジルカーボネート(SC
−PEG)の調製
60gのメトキシポリ(エチレングルコール)(MW=5,000)を200mlの3/1トルエン
/ジクロロメタンに溶解し、そしてホスゲンのトルエン溶液(30ml、57mmol)で一晩処理す
る。溶液をエバポレートして乾燥させ、そして減圧下で残りのホスゲンを除去する。150m
lの2/1トルエン/ジクロロメタンで残留物を再溶解する。得られる溶液を、2.1g(18mmol
)の固体N-ヒドロキシサクシンイミド、続いて1.7ml(12mmol)のトリエチルアミンで処置す
る。3時間この溶液を静置し、次いでろ過し、そしてエバポレートして乾燥させる。残留
物を600mlの温かい(50℃)酢酸エチルで再溶解し、この溶液をろ過し、そしてポリマー
の沈殿を促進するために冷却する。ろ過によって産物を回収し、次いで酢酸エチルで再結
晶化し、そしてP2O5中、減圧下で乾燥させる。
【0199】
実施例2 CC49/212SCAの調製
一価または多価抗原結合タンパク質の産生において、以前の単鎖抗原結合タンパク質産
生のために使用した同じ組換えE.coli産生系を使用した。Birdら、Science 242:423(1988
)を参照のこと。この産生系は、単鎖抗原結合タンパク質である総E.coliタンパク質の2
%と2O%との間で産生した。タンパク質回収のために、3つの10リットル発酵物(600〜
900g)由来の凍結細胞ペーストを4℃で一晩解凍し、そして各キログラムの湿細胞ペースト
のために、10リットルの溶解緩衝液を使用して、50mMTris-HCl、1.0mMEDTA、100mM KCl
、0.1mMPMSF、pH8.0(溶解緩衝液)中で4℃にておだやかに再懸濁した。徹底的に再懸濁し
た場合、細胞を全て溶解するために、冷却された混合物をManton-Gaulin細胞ホモジナイ
ザーによって3度通過させた。細胞ホモジナイザーは細胞溶解物の温度を25±5℃まで上昇
させるので、各経過後に、細胞溶解物をLauda/Brinkman冷却コイルによって5±2℃まで冷
却した。完全な溶解物を、顕微鏡下での視覚的検査によって確認した。
【0200】
細胞溶解物を、SorvallRC-5B遠心分離機を使用して、6℃にて30分間24,300gで遠心
分離した。不溶性単鎖抗原結合タンパク質を含むペレットを残し、そして上清を廃棄した
。ペレットを、遠心管から穏やかにこすり落とすことによって洗浄し、そして5リットル
の溶解緩衝液/kgの湿細胞ペースト中で再懸濁した。生じる3.0〜4.5リットルの懸濁液を
再び、6℃で30分間24,300gで遠心分離し、そして上清を廃棄した。このペレットの洗浄
は可溶性E.coliタンパク質を除去し、そして5回ほど繰り返され得る。この洗浄工程の間
の任意の時間で、材料を-20℃で凍結ペレットとして保存し得る。洗浄工程における実質
的な時間節約は、遠心分離機のかわりに、0.22μmマイクロポーラスフィルターを備えたP
ellicontangentialflow apparatusを使用することによって達成され得る。
【0201】
洗浄したペレットを、9ml/gのペレットを使用して、新しく調製した6M塩酸グアニジ
ン、50mMTris-HCl、10mMCaCl2、50mM KCl、pH8.0(解離緩衝液)中にて4℃で溶解させ
た。必要な場合、HeatSystemsUltrasonics組織ホモジナイザーからの2〜3の鋭いパル
スを使用して溶解を完全し得る。得られた懸濁液を6℃で45分間24,300gで遠心分離し、
そしてペレットを廃棄した。上清の光学密度を280nmで決定し、そしてOD280が30を超える
場合、約25のOD280が得られるように、さらなる解離緩衝液を添加した。
【0202】
上清を、1:10希釈に達するまで(最終容積10〜20リットル)、冷却(4〜7℃)再折
り畳み緩衝液(50mMTris-HCl、10mMCaCl2、50mM KCl、pH8.0)へゆっくりと希釈した。
これらの条件下で、再折り畳みは約18時間に渡って生じる。GuHCl抽出物を、穏やかな混
合によって、2時間の期間に渡って再折り畳み緩衝液にゆっくりと添加する場合、最も良
い結果が得られる。溶液を0.2μmのMilliporeMillipak 200を通してろ過した。このろ過
工程は遠心分離工程によって、任意に進められ得る。ろ過を、4℃で再び、10,000 MWCO
カートリッジを有するAmiconspiral カートリッジを使用して1〜2リットルまで濃縮し
た。
【0203】
濃縮した粗抗原結合タンパク質サンプルを、その伝導度が緩衝液G(60mM MOPS、0.5mMCa
アセテート、pH6.0〜6.4)のものよりも低くなるまで、緩衝液Gに対して透析した。次いで
、サンプルを、 Columbia,MarylandのPolyLCによって製造された21.5×250mmポリアスパ
ラギン酸PolyCATAカラムにロードした。60mgを超えるタンパク質をこのカラムへロード
する場合、分解能が悪化し始める;従って、濃縮した粗サンプルは、しばしばいくつかの
ポリCATA実行に分けなければならない。ほとんどの抗原結合タンパク質は、280nmにおい
て約2.0mlmg-1cm-1の吸光係数を有し、そしてこれがタンパク質の濃度を決定するために
使用され得る。抗原結合タンパク質サンプルを、緩衝液Gから緩衝液H(60mMMOPS、20mM Ca
アセテート、pH7.5〜8.0)への50分間にの直線的な勾配によってポリCATAカラムから溶出
した。この勾配を使用する場合、ほとんどの単鎖タンパク質は20分〜26分に溶出する。こ
れは、約70%緩衝液Gおよび30%緩衝液Hの溶出溶媒組成に対応する。ほとんどの二価抗原
結合タンパク質は、45分よりも後で溶出し、これは90%を超える緩衝液Hに対応する。
【0204】
実施例3 CC49/212単鎖抗原結合分子SC-PEGでの修飾
KPO4/NaCl緩衝液(pH7.2)に溶解したCC49/212単鎖抗原結合分子(MW=27000)のサンプル
を、実施例2に記載されるように得た。このタンパク質は、SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナ
トリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)およびサイズ排除クロマトグラフィーを使
用して純粋であることが見出された。タンパク質の濃度は0.79mg/mlであった。10,000ダ
ルトン呼び寸法カットオフ(すなわち、10Kを超える任意のものが保持される)を有するA
miconconcentratorを使用して、このタンパク質を少なくとも2mg/mlまでさらに濃縮した

【0205】
修飾反応(すなわち、CC49/212へのSC-PEGのカップリング)を、50mMKPO4、150mM NaCl
緩衝液中(これは、タンパク質が満たされる保存用緩衝液である)で実施した。pHを7.2
から7.5へ引き上げた。SC-PEG(MW5,000)を、タンパク質に対して50倍モル過剰添加した
。特定の時間間隔で、50倍モル過剰のグリシンの添加によってカップリング反応を終了し
、そして、DuPontZorbax250カラムを使用するサイズ排除クロマログラフィおよびSDS-PA
GEの両方を使用して、時間の関数として、カップリング反応の程度および進行をチェック
した。
【0206】
サンプル中に残る遊離SC-PEGを、Amicon Centricon 10における、大規模な透析によっ
て除去した。
【0207】
サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィーによって修飾の程度についてチェックした
。サンプルの濃縮後、タンパク質における残留アミン濃度を、トリニトロベンゼンスルホ
ネートで滴定することによって決定し、そしてSC-PEGと反応したアミン基のパーセンテー
ジ(「%修飾」)を、結果から計算した。
【0208】
天然の単鎖抗原結合分子(CC49/201)およびヘモグロビンのダンシル誘導体、PEGSCAおよ
びヘモグロビン、ならびにN-アセチルリジンを調製した。次いで、これらのサンプルを、
アミノ酸について分析した。この実験の結果を表3に示す。
【0209】
【表3】

【0210】
実施例4 競合ELISA
CC49モノクローナル抗体は、JeffreySchlom博士のグループ(Laboratoryof Tumor Imm
unology andBiology, National Cancer Institute)によって開発された。これは、全癌
腫瘍抗原TAG-72に特異的に結合する。Murano,Rら、CancerResearch48: 4588-4596(1988)

【0211】
図1は、3つの競合ELISAのグラフ的表示であり、ここで、未標識PEG修飾CC49/212単鎖
Fv(黒四角)、CC49/212単鎖Fv(白四角)、CC49IgG(白丸)、およびMOPC-21IgG(+)は
125Iで放射標識したCC49IgGに対して、ヒト乳房黒色腫抽出物におけるTAG-72抗原への
結合について競合した。MOPC-21は、TAG-72抗原に結合しないコントロール抗体である。
この実験において、125I-CG49IgG結合の50%競合は、約200nMのCC49IgG、約550nMのCC4
9/212sFV、および約3000nMのPEG修飾CC49/212sFVを必要とした。
【0212】
実施例5 U-PEG-OHの調製
【0213】
【化15】

【0214】
材料
メトキシポリ(エチレングリコール)(m-PEG)を、Union Carbideから得た。溶媒を、
Milwaukee,WisconsinのAldrichChemicalから得た。メトキシポリ(エチレングリコール
)-N-スクシンイミジルカルボネート(SC-PEG)を、米国特許第5,122,614号に記載のよう
に、約5,000の分子量を有するm-PEGを用いて調製した。実施例5〜10において調製した生
成物の各々を、炭素13NMRによって構造的に確認した。
【0215】
分岐ポリマーであるU-PEG-OHを、100mg(1.1mmol)の1,3-ジアミノ-2-プロパノールを5
0mLの塩化メチレン中10.0g(2mmol)のSC-PEGの溶液に添加することによって調製した。
混合物を、18時間室温にて攪拌し、次いでろ過した。過剰の溶媒を、減圧下での蒸留によ
って除去した。残留物を、2-プロパノールから再結晶させて、7.1gの生成物を得た(70%
の収率)。
【0216】
実施例6 U-PNP-PEGの調製
【0217】
【化16】

【0218】
実施例5の化合物を、p-ニトロフェニルクロロフォルメートで活性化した。まず、5.0g
(0.5mmol)のU-PEG-OHを、75mLのトルエン中で2時間還流することによって、共沸乾燥
させ、25mLの溶媒/水を除去させた。反応混合物を、30℃まで冷却し、続いて、120mg(0.
6mmol)のp-ニトロフェニルクロロフォルメートおよび50mg(0.6mmol)のピリジンを添加
した。得られた混合物を、2時間45℃にて攪拌し、続いて一晩室温にて攪拌した。
【0219】
次いで、反応混合物を、CELITETMを通してろ過し、続いてろ過物から減圧下での蒸留に
よって溶媒を除去した。残留物を、2-プロパノールから再結晶させ、4.2gの生成物を得た
(81%の収率)。
【0220】
実施例7 US-PEGの調製
【0221】
【化17】

【0222】
この実施例において、実施例6のU-PNP-PEGを、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応さ
せて、U-PEGのスクシンイミジル炭酸エステルを形成させた。40mlの塩化メチレン中、5.0
g(0.5mmol)のU-PNP-PEG、0.6g(5mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド、および0.13g
(1mmol)のジイソプロピルエチルアミンを含む溶液を、18時間還流した。次いで、溶媒
を、減圧下での蒸留によって除去し、そして残留物を、2-プロパノールから再結晶させて
、4.2gのスクシンイミジル炭酸エステルを得た(82%の収率)。
【0223】
実施例8 XU-PEG-OHの調製
【0224】
【化18】

【0225】
この分岐ポリマーを、実施例6のU-PNP-PEGを2-(2-アミノエトキシ)エタノールと反応
させることによって調製した(すなわち、アミノアルコールを、p-ニトロフェニルカルボ
ネートと反応させた)。再結晶化生成物の収率は、86%であった。
【0226】
実施例9 XU-PNP-PEGの調製
実施例8の化合物を、実施例6のように、p−ニトロフェニルカルボネートで官能基化
した。再結晶化した生成物の収率は83%であった。
【0227】
実施例10 XUS-PEGの調製
【0228】
【化19】

【0229】
この実施例において、実施例8で調製した化合物のスクシンイミジルカルボネート誘導
体を、実施例7に記載のプロセスに従って、N-ヒドロキシスクシンイミドを実施例9のp-
ニトロフェニルカルボネート誘導体と反応させることによって調製した。回収した生成物
の収率は、84%であった。
【0230】
実施例11 CC49/218のSC-PEGまたはXUS-PEGでの修飾
CC49/218を含むサンプルを、PD-10カラムにおいて、0.1Mリン酸ナトリウム(pH8.0)か
らなる緩衝液中で脱塩した。等モル量のSC-PEGまたはXUS-PEGを添加し、そして反応物を
4℃にて一晩インキュベートした。反応物を、過剰のグリシンでクエンチした。修飾CC49
/218結合体を、GPC精製し、次いでセントリコン10で濃縮した。
【0231】
GPC積分に基づく収率は、SC-PEG修飾CC49/218について約50%およびXUS-PEG修飾CC49/218について約40%であった。GPCプロフィールは、反応をpH9.0、室温で行った場合に得られたものと、ほとんど同一であった。SDS-PAGEは、適切な誘導体が作製されたことを明らかにした。
【0232】
実施例12 競合ELISA
アッセイを、上記の実施例4のように、SC-PEG修飾CC49/218およびXUS-PEG修飾CC49/21
8を適切なコントロールとともに用いて行った。結果を、図4および以下の表4に示す。
【0233】
【表4】

【0234】
従って、SC-PEG修飾CC49-SCAの親和性は、ネイティブなCC49-SCAの約8〜10倍の範囲内
であり、そしてXUS-PEG修飾CC49-SCAの親和性は、ネイティブのCC49-SCAの約4〜5倍の
範囲内であった。
【0235】
サンプル#049304および#049303をPEG修飾し、一方サンプル#04901および#049302は反応
混合物から単離したCC49/218を修飾しなかった。
【0236】
実施例13 sFvおよびPEG-sFVの血漿滞留の薬物動態
60μgのCC49/218sFVタンパク質または60μgのPEG修飾sFvタンパク質を、時間0で、ICR(CD-1)メスマウス(Harlan-25g、7〜8週齢)に静脈内注射した。マウスを、図5に示
した時点で出血させた。結晶中の滞留割合を、ELISA法によって定量した。PEG修飾結合体
について、CC49/218sFvを、分子量20,000のSC-PEGと結合体化した(プロトコールは、米
国特許第5,122,614号(この開示を、本明細書中に参考として援用する)に記載される)
。試験したPEG-sFv結合体における平均PEG:sFvモル比は、約1:1であった。
【0237】
実施例14 PEG化マルチマー単鎖抗体
二官能性PEGを用いて、CC49-SCAの二量体および三量体を作製した。CC49-SCAを、二官
能性PEGを用いて、以下のように修飾した:1.5mg/mlの濃度にて、リン酸緩衝化生理食塩
水(25mMリン酸ナトリウム(pH7.3)、0.15MNaCl)中2mlのCC49-SCAを以下のように修飾
した。二官能性PEG(両末端で反応性SCを有するポリエチレングリコール)1.887mg(粉末
)を、pH7.3で緩衝化した0.1mlのMOPS(3-[N-モルホリノ]-プロパン)-スルホン酸)に溶
解させた。このPEG溶液を、溶解後10秒以内に、CC49-SCA溶液に添加した。次いで、混合
物を、24℃にて1時間攪拌した。反応の終了時に、非共有結合したCC49-SCAを破壊させる
ために固体グアニジンHClを、6Mの最終濃度まで反応混合物に添加した。この材料を、50
mMTris(pH73)中60mMのグアニジンHCl、1mMCaCl2、0.1mMPMSF(フェニルメチルスルホ
ニルフルオリド(flouride)、および50mMKClから構成される緩衝液で予め平衡化された
サイズ排除カラム(2cm×60cm、Superdex-75)に直ちにアプライした。次いで、異なる分
子量のマルチマーを、カラムから分画した。
【0238】
これらのマルチマーは、長いストレッチ(stretch)のPEG(5000MW、約226炭素長)に
よって分離したCC49-SCAであり、そして改めて再び折りたたまれており、従って凝集から
生じるとは考えられない。CC49-SCAの自己会合の結果として形成された完全体(diabody
)または多価SCAはあまり存在しない。さらなる証拠を、ごく少量のネイティブCC49-SCA
が変性SDS-PAGEプロフィールに存在するという事実によって示した。
【0239】
二量体CC49-SCA、三量体CC49-SCA、PEG-CC49-SCA、およびネイティブCC49-SCAについて
の還元条件下でのSDS-PAGE電気泳動パターンを、図6に示す。
【0240】
マルチマーを、結合親和性について、以下のアッセイ(これは、B Friquetら、J.of Im
munologyMethods, 77:305-319(1985)に記載される方法を改変した)を用いてアッセイし
た。手短には、種々の量の所定の修飾単鎖抗体を、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)中の
種々の量の抗原ムチンと混合した。結合反応を、少なくとも24時間4℃にて平衡を達成さ
せた。反応の終わりに、非結合CC49-SCA画分を、ELISAによってアッセイし、一方結合画
分を洗い流した。全量の遊離CC49-SCAを、抗原ムチンの非存在下で事前にインキュベート
したCC49-SCAサンプルを用いてELISAによって決定した。結合抗体を、ELISAによって決定
したように、全量から遊離(非結合)量を引くことによって決定した。全量のCC49-SCAは
公知であるので、それ自身の標準曲線としても使用した。各タイプのCC49-SCAは、それ自
身の参照コントロールを有することに注意のこと。本質的に、プロトコールは、抗原への
結合の結果としての、PEG-CC49-SCAの特定のバージョンの非結合量を測定した。PEGは、E
LISAにおいて検出試薬に影響し得るが、これは、標準参照に十分含まれた。それゆえ、測
定した量は、PEG-CC49-SCAの種々のバージョンにおける種々のPEGの差異に起因しなかっ
た。
【0241】
要するに、この研究において、CC49-SCAタンパク質の濃度の増加は、固定量の抗原に結
合することを可能にした。最大レベルの50%に結合する量は、親和性の良い指標である。
このデータは、PEG-Di-CC49-SCAおよびPEG-Tri-CC49-SCAの親和性が、ネイティブCC49-SC
Aの親和性に非常に類似することを示す。しかし、PEG修飾CC49-SCAモノマーは、非常に低
親和性であった。結合データを図7に示す。
【0242】
実施例15 PEG-CC49-SCAの薬物動態
種々の形態のPEG-CC49-SCAの薬物動態研究を、上記の実施例13のように行った。
【0243】
この研究から得られたデータを以下に示す:
PEGのサイズが増加するにつれて、循環半減期がより長くなる傾向にあった。より多く
のPEGがタンパク質に結合するにつれて、循環時間は増加する。しかし、いくつかの鎖の
高分子量PEGが結合することは、複数の鎖の低分子量PEGが結合することよりも、循環半減
期をより増加させる。
【0244】
CC49-SCA-U-PEG(実施例7で調製したUS-PEGで作製した)の循環半減期は、CC49-SCA-P
EG-12000のものとほぼ同様であった。それゆえ、PEGの形状は、循環半減期に影響しない

【0245】
リンカーはSC結合、Flan結合、ヒドラジン結合、またはTPCであるが、循環半減期にお
ける有意な変化はなかった。それゆえ、リンカーの化学結合は、放出可能でない場合、循
環半減期に影響を与えない。さらに、PEGは、観察可能な時間、タンパク質に結合したま
まである。
【0246】
循環半減期は、炭水化物によって短縮した。しかし、PEGが炭水化物に結合された場合
、循環を約10倍増加させる。しかし、これは、CC49-SCAのほかの部位で、等しい数のPEG
を結合させることよりは良好ではない。
【0247】
研究の結果を、以下の表に示す:
【0248】
【表5】

【0249】
実施例16 競合結合アッセイ
ビオチン化CC49-SCAの種々のPEG化CC49-SCAタンパク質との競合結合アッセイを、スト
レプトアビジンと結合体化した西洋ワサビペルオキシダーゼ(SAV-HRP)によって検出され
るようなビオチン化CC49-SCAのELISAを用いて行った。アッセイにおいて、ビオチン化CC4
9-SCAおよびPEG-CC49-SCAサンプルを、表面で抗原ムチンへの結合の競合について種々の
濃度で混合した。次いで、抗原に結合するビオチン化CC49-SCAの量を、SAV-HRP(これは
、PEG修飾CC49-SCAを検出しない)によって測定した。PEG-CC49-SCAの競合に起因するビ
オチン化CC49-SCAの結合の減少は、抗原についてのCC49-SCAの2つの形態の相対親和性を
反映する。その最大結合レベルの半分までビオチン-CC49-SCAの減少を引き起こすPEG-CC4
9-SCAのレベル(IC50)を、親和定数Kdの決定のためのCheng-Prussoff式において、以下
のように使用した:ビオチン-CC49-SCAレベルが[s]であり、そしてその親和性がKsとして
公知であり、次いでPEG-CC49-SCAについての親和性がKd=IC50/(1+[s]/Ks)であると
仮定する。PEG-CC49-SCAは直接測定されず、そしてPEGは異なる分子上にあるので、ビオ
チン結合には影響しなかったことに注意のこと。次いで、推定Kdをコントロール(CC49-S
CA)の割合として表した。
【0250】
得られた親和性順位は以下のようであった:
CC49=SC2>GC=Bio.CC49=CC12>C20=F5>HZ>PG
ここで、SC2はPEGSC2000-CC49-SCAであり;GCはグリコ-CC49-SCAであり;Bio.CC49-SCA
はビオチン化CC49-SCAであり;CC12はPEG-SC12,000-CC49-SCAであり;F5はPEG-Flan-5000-CC49-SCAであり;HZはカルボキシル基においてMW5000ヒドラジンPEGで高度にPEG化されたCC49-CAであり;PGはPEG-グリコ-CC49-SCAであり、そして炭水化物においてMW5000ヒドラジンPEGで高度にPEG化されており;そしてC20はPEG-SC20000-CC49-SCAである。図8に示した全てのPEG修飾CC49-SCAについての親和性は、ネイティブCC49-SCAの約2倍以内であった。実施例15のデータ(表を参照のこと)をまとめると、結果は、SCAがより少数のPEG分子で修飾された場合、得られるSCAの親和性は、SCAがより多数のPEG分子で修飾された場合よりもよいことを示す。
【0251】
前述は特定の好ましい実施態様を言及するが、本発明は限定されないと理解される。当
業者には、種々の改変が、開示された実施態様になされ得、そしてこのような改変は、本
発明の範囲内であると意図されると考えられる。
【0252】
(配列表)
【0253】
【表7】

【0254】
【表8】

【0255】
【表9】

【0256】
【表10】

【0257】
【表11】

【0258】
【表12】

【0259】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の単鎖ポリペプチド。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−51331(P2010−51331A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281051(P2009−281051)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【分割の表示】特願2008−8563(P2008−8563)の分割
【原出願日】平成10年4月30日(1998.4.30)
【出願人】(508018141)エンゾン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】