説明

ポリイソオキサゾール類の製造方法

【課題】多官能クロロオキシムを出発原料として、系内で多官能ニトリルオキシドを発生させて、これと多官能性不飽和単量体とを環化重付加させることにより、ポリイソオキサゾール類を製造する方法において、副反応を抑制することができ、もって、高収率かつ効率的にポリイソオキサゾール類を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】炭素−炭素不飽和結合を分子内に2つ以上有する多官能性不飽和単量体と、(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を分子内に2つ以上有する多官能性クロロオキシムとを、塩基の存在下に作用させる工程を備える、イソオキサゾール骨格および/またはイソオキサゾリン骨格を主鎖に有するポリイソオキサゾール類の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソオキサゾール、ポリイソオキサゾリンなどのポリイソオキサゾール類の製造方法に関し、より詳しくは、多官能性ニトリルオキシドを用いた環化重付加によるポリイソオキサゾール類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アジドとアルキンとを用いたクリックケミストリーが医薬候補化合物の合成、マテリアル創製、バイオプローブなどの分野で活用されている(非特許文献1および非特許文献2参照)。しかし、アジド化合物には、毒性・爆発性があり、特に2以上のアジド基を有する多官能性アジドは、爆発性が極めて高く取り扱いが困難である。
【0003】
一方、窒素原子および酸素原子を含むアレン型の1,3−双極子であるニトリルオキシドは、非常に反応性が高く、また、下記に示されるように、無触媒でアルキンに加えてアルケンとも反応し、芳香族であるイソオキサゾールやイソオキサゾリンを容易に与えることから、ニトリルオキシドとアルキンまたはアルケンとを用いた反応は、より汎用性の高い新規なクリック反応として期待される。
【0004】
【化1】

【0005】
ニトリルオキシドとアルキンまたはアルケンとを用いたクリック反応は、たとえばイソオキサゾール骨格を有するポリイソオキサゾールやイソオキサゾリン骨格を有するポリイソオキサゾリンなどの高分子の合成に適用することが可能である。ニトリルオキシド基を2以上有する多官能性ニトリルオキシドを用いて、ポリイソオキサゾールやポリイソオキサゾリンを合成する試みは、従来なされており、たとえば、特許文献1および非特許文献4には、2官能性ニトリルオキシドを調製した後、これを一旦単離し、単離した2官能性ニトリルオキシドと2官能性アルキンまたはアルケンとを反応させることにより、ポリイソオキサゾールまたはポリイソオキサゾリンを合成することが開示されている。
【0006】
また、非特許文献3には、2官能性アルキンまたはアルケンと、テレフタロニトリル ジ−N−オキシド(2官能性ニトリルオキシド)の前駆体であるテレフタロヒドロキサモイルクロリド(TPHC;2官能性のクロロオキシムである。)とを還流下で反応させることにより、ニトリルオキシドを単離することなく、ポリイソオキサゾールまたはポリイソオキサゾリンを合成することが開示されている。
【特許文献1】米国特許第3,213,068号明細書
【非特許文献1】M.G.Finnら,化学と工業,Vol.60−10,p976−980(2007)
【非特許文献2】H.C.Kolb et.,Angew.Chem.Int.Ed.,40,p2004−2021(2001)
【非特許文献3】Y.Iwakura et.,Polymer Journal,Vol.2,No.1,p36−42(1971)
【非特許文献4】Y.Iwakura et.,Bull.Chem.Soc.Jpn,Vol.38,No.2,p335−336(1965)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したようなニトリルオキシドの有用性にも関わらず、これまで、ニトリルオキシドが高分子合成に用いられることが少なかった理由は、ニトリルオキシド、特に多官能性のニトリルオキシド(高分子合成には、2官能以上のニトリルオキシドが必要である。)が不安定であり、ニトリルオキシドの二量化等の副反応が同時に進行しやすく、高収率、高純度で高分子を得ることが困難であったためと考えられる。
【0008】
たとえば、上記非特許文献3に記載の方法は、2官能性アルキンまたはアルケンの存在下、TPHCを溶媒中、無触媒で還流することにより脱塩化水素反応を起こさせて、2官能性ニトリルオキシドを発生させ、このニトリルオキシドと2官能性アルキンまたはアルケンとの反応により、ポリイソオキサゾールまたはポリイソオキサゾリンを生成させるものであるが、当該反応を本発明者らが追試したところ、反応中に溶媒に不溶なポリマー(ゲル)が大量に生成した。そして、この反応を詳細に検討したところ、このようなゲルの副生が、反応中に高濃度でニトリルオキシドが一挙に発生し、これにより、下記に示されるように、ニトリルオキシド同士の二量化が起こり、フロキサンが生成してしまうことに起因することが判明した。
【0009】
【化2】

【0010】
本発明は、上記従来の技術に鑑みなされたものであり、その目的は、多官能ニトリルオキシドの前駆体である多官能クロロオキシムを出発原料として、系内で多官能ニトリルオキシドを発生させて、これと多官能アルキン、多官能アルケン等の多官能性不飽和単量体とを環化重付加させることにより、ポリイソオキサゾール、ポリイソオキサゾリンなどのポリイソオキサゾール類を製造する方法であって、多官能ニトリルオキシドの二量化等の副反応を抑制することができ、もって、高収率かつ効率的にポリイソオキサゾール類を製造することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究の結果、多官能性不飽和単量体と多官能クロロオキシムとを出発原料とする環化重付加反応において、系内に塩基を存在させると、多官能ニトリルオキシドを系内で徐々に発生させることができ、これにより、多官能ニトリルオキシドの二量化等の副反応が抑制され、高収率かつ効率的にポリイソオキサゾール類を製造できることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0012】
本発明は、炭素−炭素不飽和結合を分子内に2つ以上有する多官能性不飽和単量体と、(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を分子内に2つ以上有する多官能性クロロオキシムとを、塩基の存在下に作用させる工程を備える、イソオキサゾール骨格および/またはイソオキサゾリン骨格を主鎖に有するポリイソオキサゾール類の製造方法を提供する。
【0013】
本発明のポリイソオキサゾール類の製造方法においては、多官能性クロロオキシムと塩基との反応により生じる多官能性ニトリルオキシドと、多官能性不飽和単量体との環化重付加によりポリイソオキサゾール類が生成される。
【0014】
本発明において、多官能性不飽和単量体は、炭素−炭素二重結合を分子内に2つ以上有する多官能性アルケン、または、炭素−炭素三重結合を分子内に2つ以上有する多官能性アルキンであることが好ましい。
【0015】
また、多官能性クロロオキシムは、少なくとも1つの芳香環を有しており、該多官能性クロロオキシムが有するすべての(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基は、同じ芳香環に結合されていることが好ましい。
【0016】
多官能性クロロオキシムが有する(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基の数は、たとえば2または3とすることができる。これら2または3の(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基が多官能性クロロオキシム内の同じ芳香環に結合される場合、これら(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基は、互いにメタまたはパラの関係で配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、反応系内に塩基を介在させたことにより、多官能性クロロオキシムを徐々に脱塩化水素化し、したがって多官能性ニトリルオキシドを徐々に発生させることが可能となる。これにより、ニトリルオキシド同士の架橋反応(二量化等)の副反応を抑制することができるため、高収率でポリイソオキサゾール類を製造することができるとともに、分子量分布の揃ったポリイソオキサゾール類を得ることができる。
【0018】
また、本発明によれば、多官能性不飽和単量体および多官能性クロロオキシムを原料として、1ポットでポリイソオキサゾール類を製造することができ、極めて効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のポリイソオキサゾール類の製造方法について詳細に説明する。本発明のポリイソオキサゾール類の製造方法は、炭素−炭素不飽和結合を分子内に2つ以上有する多官能性不飽和単量体と、(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を分子内に2つ以上有する多官能性クロロオキシムとを、塩基の存在下に作用させる工程を備えるものである。ここで、本発明において、「ポリイソオキサゾール類」とは、イソオキサゾール骨格および/または4,5−ジヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリン)骨格を主鎖に有する高分子を意味し、具体的には、イソオキサゾール骨格を主鎖に有するポリイソオキサゾール、4,5−ジヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリン)骨格を主鎖に有するポリイソオキサゾリンのほか、イソオキサゾール骨格および4,5−ジヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリン)骨格の双方を主鎖に有するポリイソオキサゾールが含まれる。
【0020】
本発明において用いられる「多官能性クロロオキシム」とは、下記式(1):
【0021】
【化3】

【0022】
で示される(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を、分子内に2つ以上有する化合物である。多官能性クロロオキシムが有する(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基の数は、2つ以上である限り特に制限されないが、好ましくは、2または3である。本発明の製造方法において、多官能性クロロオキシムは、塩基との反応により脱塩化水素され、下記式(2):
【0023】
【化4】

【0024】
で示されるニトリルオキシド基を分子内に2つ以上有する多官能性ニトリルオキシドが反応系内で発生する。
【0025】
本発明において用い得る多官能性クロロオキシムとしては、(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を分子内に2つ以上有する化合物であれば特に制限されるものではないが、当該2つ以上の(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基が分子内において比較的離れた位置に配置された化合物であることが好ましい。(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基同士があまり近い位置に配置されると、生じたニトリルオキシド基同士が反応しやすくなるため、分子内環化物などの副生成物が生じやすくなる。2つ以上の(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基が分子内において比較的離れた位置に配置された多官能性クロロオキシムとしては、分子内に芳香環(たとえば、ベンゼン環、ピリジン環などの芳香族環または芳香族複素環)を少なくとも1つ有し、2つ以上の(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基のすべてが同じ芳香環に結合した化合物を挙げることができる。なかでも、分子内に2つまたは3つの(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を有し、これらの(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基が互いにメタまたはパラの関係で同じ芳香環上に配置された多官能性クロロオキシムは、(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基が互いに離れた位置で配置固定されているため、比較的安定なニトリルオキシドを生じさせることができ、分子内環化等の副反応が起こりにくいため、好ましい。以下に、本発明において好ましく用いられる多官能性クロロオキシムの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。なお、本発明においては、2種以上の多官能性クロロオキシムが併用されてもよい。
【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
【化7】

【0029】
上記式(4)〜(6)、(8)〜(13)および(15)〜(17)において、Rは、各々独立して、メチル基、エチル基などのアルキル基を表す。上記式(3)で示される多官能性クロロオキシムは、イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド(1,3−ビス[(ヒドロキシイミノ)クロロメチル]ベンゼン)であり、上記(4)〜(6)で示される多官能性クロロオキシムはそれぞれ、そのモノ、ジ、トリアルキル置換体である。上記式(7)で示される多官能性クロロオキシムは、テレフタロイルヒドロキサモイルクロリド(1,4−ビス[(ヒドロキシイミノ)クロロメチル]ベンゼン)であり、上記(8)〜(13)で示される多官能性クロロオキシムは、そのモノ、ジ、トリまたはテトラアルキル置換体である。上記式(14)で示される多官能性クロロオキシムは、1,3,5−トリス[(ヒドロキシイミノ)クロロメチル]ベンゼンであり、上記(15)〜(17)で示される多官能性クロロオキシムはそれぞれ、そのモノ、ジ、トリアルキル置換体である。
【0030】
上記式(4)〜(6)、(8)〜(13)および(15)〜(17)に示される多官能性クロロオキシムのように、(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基のオルト位にアルキル基等の置換基が導入されていると、生成するニトロオキシドの安定性をさらに良好なものとすることができる。
【0031】
多官能性クロロオキシムは、たとえば、下記に示されるように、対応するアルデヒドをオキシム化し、ついで塩素化を行なうことにより調製することができる。下記式は、イソフタルアルデヒドを出発原料として、イソフタロイルヒドロキサモイルクロリドを調製する例を示している。下記式に示される多官能性クロロオキシムの調製は、Kim,Byeang Hyean;Jeong,Eun Jeong;Hwang,Gil Tae;Venkatesan Natarajan,Synthesis,No.14,p2191−2202(2001)に従って行なうことができ、具体的には、対応するアルデヒドを塩酸ヒドロキシルアミンおよび炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基で処理し、対応するアルデヒドオキシムを得た後、N−クロロこはく酸イミド(NCS)で処理することにより、多官能性クロロオキシムを得ることができる。
【0032】
【化8】

【0033】
また、アルデヒドオキシムからクロロオキシムを調製する方法として、たとえばジオキサン等の溶媒中、紫外線を照射しながら、塩素ガスを作用させる方法を用いることもできる(Ibrahim Karatasら、Organic Preparations and Procedures International 21巻,4号,p517−519(1989))。
【0034】
次に、多官能性不飽和単量体について説明する。本発明において用いられる「多官能性不飽和単量体」とは、炭素−炭素不飽和結合を分子内に2つ以上有する化合物である。炭素−炭素不飽和結合とは、具体的には、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合であり、分子内に炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合の双方を有していてもよい。多官能性不飽和単量体が有する不飽和結合の数は、2つ以上である限り特に制限されないが、好ましくは、2または3である。多官能性不飽和単量体が炭素−炭素二重結合を有する場合には、当該炭素−炭素二重結合と、系内で発生したニトリルオキシドとの環化重付加反応により、イソオキサゾリン環(4,5−ジヒドロイソオキサゾール環)が形成される。多官能性不飽和単量体が炭素−炭素三重結合を有する場合には、当該炭素−炭素三重結合と、系内で発生したニトリルオキシドとの環化重付加反応により、芳香環であるイソオキサゾール環が形成される。また、多官能性不飽和単量体が分子内に炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合の双方を有する場合には、イソオキサゾリン環(4,5−ジヒドロイソオキサゾール環)およびイソオキサゾール環の双方を主鎖に有する高分子が形成される。
【0035】
本発明において好ましく用いられる多官能性不飽和単量体としては、炭素−炭素不飽和結合を分子内に2つ以上有する化合物であれば特に制限されるものではないが、たとえば、炭素−炭素二重結合を分子内に2つ以上有する多官能性アルケン、または、炭素−炭素三重結合を分子内に2つ以上有する多官能性アルキンを挙げることができる。
【0036】
上記多官能性アルケンの具体例を挙げれば、たとえば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,5−ジクロオクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン、テトラアリルオキシエタン等の分子内に炭素−炭素二重結合を2つ以上有する脂肪族化合物;1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、3,3’−ジビニルビフェニル、3,4’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジイソプロペニルビフェニル、2,6−ジイソプロペニルナフタレン等の分子内に炭素−炭素二重結合を2つ以上有する芳香族化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の分子内に炭素−炭素二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル酸誘導体;N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’,N’’−1,3、5−フェニレントリマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン等の分子内に炭素−炭素二重結合を2つ以上有するマレイミド誘導体などである。
【0037】
上記多官能性アルキンの具体例を挙げれば、たとえば、1,6−ヘプタジイン、1,7−オクタジイン、1,8−ノナジイン、1,9−デカジイン等の分子内に炭素−炭素三重結合を2つ以上有する脂肪族化合物;1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、1,3,5−トリエチニルベンゼン、4,4’−ジエチニルビフェニル、2,6−ジエチニルナフタレン、9,10−ジエチニルアントラセン等の分子内に炭素−炭素三重結合を2つ以上有する芳香族化合物などである。
【0038】
多官能性クロロオキシムおよび多官能性不飽和単量体の使用量は、通常、多官能性クロロオキシムが有する(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基のモル数Ncに対する多官能性不飽和単量体が有する炭素−炭素不飽和結合のモル数Nuの比(Nu/Nc)が0.8〜1.2、好ましくは1となるように調整される。なお、高分子量のポリイソオキサゾール類を得るためには、使用する多官能性クロロオキシムが有する(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基の数と、使用する多官能性不飽和単量体が有する炭素−炭素不飽和結合の数とは一致していることが好ましい。
【0039】
本発明において用い得る塩基としては、多官能性ニトリルオキシドの生成の際に発生する塩化水素(HCl)を捕捉する能力を有するものであれば特に制限されず、たとえば、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、BaCO3、NaHCO3、KHCO3、KF(フッ化カリウム)等の無機塩;CaO、MgO、SrO、塩基性アルミナ(Al23)、MgO−SiO2、MgO−Al23等の無機酸化物;トリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン;モレキュラーシーブ(合成ゼオライト;以下、MSと称することがある。)、アルカリ金属イオン交換ゼオライト等の固体塩基;陰イオン交換樹脂などを挙げることができる。なかでも、KFやMS 3A、MS 4A、MS 5Aなどのモレキュラーシーブを用いると、ニトリルオキシド同士の架橋反応等の副反応が抑制され、高収率で、かつ分子量分布の揃ったポリイソオキサゾール類が得られることがわかっている。また、塩基としては、弱塩基を用いた方がポリイソオキサゾール類の収率が高い傾向にある。なお、本発明においては、2種以上の塩基が併用されてもよい。
【0040】
上記塩基は、発生する塩化水素の全量を捕捉できる量、すなわち、多官能性クロロオキシムに対して1当量またはそれ以上用いられることが好ましい。具体的には、塩基がKFの場合、KFの使用量は、多官能性クロロオキシムが有する(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基のモル数Ncに対するKFのモル数Nの比(N/Nc)が1以上となるように調整される。
【0041】
塩基としてモレキュラーシーブなどの固体塩基が用いられる場合、固体塩基の使用量は、当該固体塩基の塩基性度に応じて、発生する塩化水素の全量を捕捉できるように調整される。ここで、固体塩基の塩基性度とは、固体塩基1gあたりの酸吸着モル数を意味する。固体塩基の塩基性度は、従来公知の方法を用いて測定することが可能であり、たとえば、指示薬を用いた液相滴定法、CO2ガスを用いた気相測定法などが挙げられる。
【0042】
本発明の製造方法においては、上記多官能性不飽和単量体と、上記多官能性クロロオキシムとを、上記塩基の存在下に作用させる。これにより、多官能性クロロオキシムと塩基との反応により反応系内で生じた多官能性ニトリルオキシドと、多官能性不飽和単量体とが環化重付加反応し、ポリイソオキサゾール類が生成される。
【0043】
多官能性不飽和単量体と多官能性クロロオキシムとを、塩基の存在下に作用させる具体的手段としては、特に制限されないが、多官能性不飽和単量体と多官能性クロロオキシムとを含む溶液に、所定量の塩基を添加する方法が好適である。塩基の添加により、多官能性ニトリルオキシドが生成するとともに、当該多官能性ニトリルオキシドと多官能性不飽和単量体との環化重付加反応が開始される。
【0044】
上記溶液を構成する溶媒としては、特に制限されないが、少なくとも多官能性不飽和単量体および多官能性クロロオキシムを溶解可能な溶媒を用いることが好ましい。また、溶媒は、生成するポリイソオキサゾール類に対する溶解性に優れることが好ましい。本発明において好適に用いられる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、NN−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランなどが挙げられる。溶媒の使用量は、特に制限されないが、好ましくは、少なくとも多官能性不飽和単量体および多官能性クロロオキシムを溶解できる程度の量が用いられる。上記溶液中の多官能性不飽和単量体および多官能性クロロオキシムの濃度は、0.1〜2mol/L程度であり、典型的には0.5mol/L程度である。
【0045】
反応温度は、特に制限されず、多官能性不飽和単量体、多官能性クロロオキシムおよび塩基の種類、使用量等にもよるが、好ましくは室温〜120℃であり、より好ましくは40℃〜100℃である。室温未満の温度でも反応は進行し得るが、反応速度が遅い。また、反応温度が120℃を超えると、環化重付加反応の逆反応が無視できなくなり、得られるポリイソオキサゾール類の分子量が低下する傾向にある。
【0046】
反応終了後は、常法に従い、後処理を行なってポリイソオキサゾール類を単離する。たとえば、反応終了後の反応液に良溶媒を加えた後、必要に応じて不溶物(固体塩基など)を濾過し、貧溶媒を加えてポリイソオキサゾール類を析出させ、濾過、乾燥する。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
下記実施例で得られたポリイソオキサゾール類の分子量測定は下記条件で行なった。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定:JASCO社製HSS−1500に、東ソー(株)製カラム TSKgel G5000HXL、G4000HXL、G2500HXK 各1本、計3本を装着し、溶離液クロロホルム、流量1mL/min、ポリスチレンを標準とし、検量線を作成して分子量測定を行なった。
1H−NMRによる分子量測定:末端定量法により、積分比から求めた。
【0049】
(製造例1)
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド(1,3−ビス[(ヒドロキシイミノ)クロロメチル]ベンゼン)およびテレフタロイルヒドロキサモイルクロリド(1,4−ビス[(ヒドロキシイミノ)クロロメチル]ベンゼン)を、Kim,Byeang Hyean;Jeong,Eun Jeong;Hwang,Gil Tae;Venkatesan Natarajan,Synthesis,No.14,p2191−2202(2001)に記載の方法と同様の方法で調製した。まず、イソフタルアルデヒドを塩酸ヒドロキシルアミンと水酸化ナトリウムで処理した後、エタノール水から再結晶することにより、イソフタルアルデヒドオキシムを得た。次に、イソフタルアルデヒドオキシムをDMF中でN−クロロこはく酸イミド(NCS)で処理することにより、イソフタロイルヒドロキサモイルクロリドを得た。同様にして、テレフタロイルヒドロキサモイルクロリドを合成した。
【0050】
<実施例1−1>
【0051】
【化9】

【0052】
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)とジエチレングリコールジアクリレート47.1mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、モレキュラーシーブ(MS) 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(A)を得た(収率99%)。得られたポリマー(A)のGPCで測定した質量平均分子量(Mw)は14,900、数平均分子量(Mn)は9,100、分散度(Mw/Mn)は1.6であった。
【0053】
ポリマー(A)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):7.76(brd,1H)、7.59(brd,2H)、7.31(brd,1H)、5.13(brd,2H)、4.23(brd,4H)、3.64(brd,4H)。
【0054】
<実施例1−2>
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)とジエチレングリコールジアクリレート47.1mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、フッ化カリウム(KF)25.6mg(0.44ミリモル)を室温で加え、同温度で5日間攪拌した。ついで、反応液をクロロホルムに注加して不溶分を溶解させた後、これを過剰量のメタノールに注加した。生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(A)を得た(収率67%)。得られたポリマー(A)のGPCで測定したMwは7,800、Mnは5,300、分散度(Mw/Mn)は1.5であった。
【0055】
<実施例1−3>
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)とジエチレングリコールジアクリレート47.1mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、トリエチルアミン(Et3N)44.6mg(0.44ミリモル)を室温で加え、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液をクロロホルムに注加して不溶分を溶解させた後、これを過剰量のメタノールに注加した。生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(A)を得た(収率60%)。得られたポリマー(A)のGPCで測定したMwは5,700、Mnは4,200、分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0056】
<実施例2>
【0057】
【化10】

【0058】
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)とジエチレングリコールジメタクリレート53.3mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、MS 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(B)を得た(収率65%)。得られたポリマー(B)のGPCで測定したMwは5,400、Mnは4,200、分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0059】
ポリマー(B)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):7.86(brd,1H)、7.68(brd,2H)、7.41(brd,1H)、4.28(brd,4H)、3.88(brd,2H)、3.70(brd,4H)、2.07(brd,2H)、1.69(brd,6H)。
【0060】
<実施例3>
【0061】
【化11】

【0062】
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)とN,N’−1,3−フェニレンビスマレイミド59.0mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、MS 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(C)を得た(収率54%)。得られたポリマー(C)の1H−NMRで測定したMnは4,700であった。
【0063】
ポリマー(C)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):8.52(brd,1H)、8.02(brd,2H)、7.60(brd,1H)、7.38(brd,2H)、7.36(brd,1H)、5.74(brd,2H)、5.39(brd,2H)。
【0064】
<実施例4>
【0065】
【化12】

【0066】
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)と1,5−ヘキサジエン18.1mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、MS 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(D)を得た(収率81%)。得られたポリマー(D)のGPCで測定したMwは7,000、Mnは4,400、分散度(Mw/Mn)は1.6であった。
【0067】
ポリマー(D)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):7.87(brd,1H)、7.67(brd,2H)、7.40(brd,1H)、4.78(brd,2H)、3.44(brd,2H)、3.00(brd,2H)、1.86(brd,2H)。
【0068】
<実施例5>
【0069】
【化13】

【0070】
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)と1,4−ジエチニルベンゼン27.8mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、MS 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(E)を得た(収率13%)。得られたポリマー(E)のGPCで測定したMwは2,400、Mnは1,200、分散度(Mw/Mn)は2.0であった。なお、本実施例において、ポリマー(E)の収率が比較的低いのは、ポリマー(E)の溶媒に対する溶解性が低いため、MS 4Aとの分離が困難であったことに起因するものであり、環化重付加反応自体は、定量的に進行していた。
【0071】
ポリマー(E)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):8.01−7.62(m,10H)。
【0072】
<実施例6>
【0073】
【化14】

【0074】
イソフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)と1,7−オクタジイン23.4mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、MS 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(F)を得た(収率80%)。得られたポリマー(F)のGPCで測定したMwは2,800、Mnは2,200、分散度(Mw/Mn)は1.3であった。
【0075】
ポリマー(F)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):8.18(brd,1H)、7.86(brd,2H)、7.51(brd,1H)、6.38(brd,2H)、2.88(brd,2H)、1.87(brd,2H)。
【0076】
<実施例7>
【0077】
【化15】

【0078】
テレフタロイルヒドロキサモイルクロリド51.3mg(0.22ミリモル)とジエチレングリコールジアクリレート47.1mg(0.22ミリモル)とを0.43mLのDMFに溶解し、MS 4A 344mgを室温で加え、30分間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で1日間攪拌した。ついで、反応液を室温まで冷却した後、反応液をクロロホルムに注加してMS 4A以外の不溶分を溶解させ、濾過によりMS 4Aを除去した。次に、濾液を過剰量のメタノールに注加した後、生じた白色固体の沈殿を濾過により回収し乾燥させることにより、白色固体としてポリマー(G)を得た(収率65%)。得られたポリマー(G)のGPCで測定したMwは4,600、Mnは3,400、分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
【0079】
ポリマー(G)の1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):7.69(brd,4H)、5.21(brd,2H)、4.32(brd,4H)、3.72(brd,4H)、3.63(brd,4H)。
【0080】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明により得られるポリイソオキサゾール類は、イソオキサゾール骨格やイソオキサゾリン骨格により発現し得る機能等を利用した各種分野での高分子材料またはその前駆体として使用することが可能である。たとえば、本発明により得られるポリイソオキサゾール類は、イソオキサゾール環またはイソオキサゾリン環のN−O結合の部分還元、加水分解(下記式(i)参照)、還元(下記式(ii)参照)、Me3OBF4等のアルキル化剤を用いたN−アルキル化(下記式(iii)参照)などにより、各種の誘導化を行なうことが可能であり、様々な官能基(反応活性基)を側鎖に有するポリイソオキサゾール類の前駆体として有用である。
【0082】
【化16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素−炭素不飽和結合を分子内に2つ以上有する多官能性不飽和単量体と、
(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を分子内に2つ以上有する多官能性クロロオキシムとを、
塩基の存在下に作用させる工程を備える、イソオキサゾール骨格および/またはイソオキサゾリン骨格を主鎖に有するポリイソオキサゾール類の製造方法。
【請求項2】
前記多官能性クロロオキシムと前記塩基との反応により生じる多官能性ニトリルオキシドと、前記多官能性不飽和単量体との環化重付加により前記ポリイソオキサゾール類が生成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多官能性不飽和単量体は、炭素−炭素二重結合を分子内に2つ以上有する多官能性アルケン、または、炭素−炭素三重結合を分子内に2つ以上有する多官能性アルキンである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記多官能性クロロオキシムは、少なくとも1つの芳香環を有しており、
前記多官能性クロロオキシムが有するすべての(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基は、同じ芳香環に結合されている請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記多官能性クロロオキシムは、分子内に2つまたは3つの(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基を有しており、
前記2つまたは3つの(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基は、互いにメタまたはパラの関係で配置される請求項4に記載の方法。

【公開番号】特開2010−37461(P2010−37461A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203273(P2008−203273)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人日本化学会,日本化学会第88春季年会 2008年、講演予稿集II,2008年3月12日
【出願人】(000126115)エア・ウォーター株式会社 (254)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】