説明

ポリイミド繊維及びその製造方法

【課題】糸斑変動係数が少ないポリイミド繊維、及びその生産性が高い製造方法を提供する。
【解決手段】平均繊維径が0.01μm以上、50μm未満であり、かつ下式(1)で定義される糸斑変動係数が0.01〜10%の範囲にあることを特徴とするポリイミド繊維。
【数1】


ここで、nは該ポリイミド繊維の繊維径を測定したサンプル数であり、iは総和の記号の添え字で1からnまでの整数、χはi番目の該ポリイミド繊維径の測定値、χAvはn個のポリイミド繊維径測定値から算出した算術平均値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド酸又は前駆体を必要とせずにポリイミド樹脂を主成分とするポリイミド繊維とその製造方法に関する。更に詳しくは、ポリアミド酸又は前駆体を必要とせずにポリイミド樹脂からアルコール系化合物とエーテル系化合物との混合溶媒からなる特定組成の凝固液により、糸斑変動係数が小さいポリイミド繊維、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気・電子分野もしくは宇宙、航空分野におけるポリマー材料に関する技術開発はめざましく、これら分野ではその優れた耐熱性、機械特性及び電気的特性からポリイミド樹脂が注目され、種々携帯での使用が試みられている。これまでに、ポリイミド樹脂の使用例としては、ポリイミド樹脂を直接モールド成形した部品やフィルム、もしくは他素材の表面にコーティング剤、接着剤や充填材として使用するためのワニス(ポリイミド溶液もしくはポリイミド前駆体溶液)などが挙げられ、種々の形態で開発・利用されている。
【0003】
スーパーエンプラの一つであるポリイミド樹脂は、高温、高放射線下に長期間耐える軽量なポリマー材料として、1960年代に開発された。当然の如くポリイミド樹脂についても、その優れた特性を繊維として各種用途で活用しようとする試みが精力的に進められてきた。具体例としては、例えばポリ(4、4’−オキシジフェニレンピロメリットイミド)の繊維化について紡糸・延伸後に高温加熱処理を行い脱水閉環させる方法が提案されている。また、ポリイミドを溶剤または可塑剤に溶解または分散し、これを紡糸してフィラメントとする方法や、熱可塑性ポリイミドを原料として溶融紡糸する方法も知られている。しかしながら、ポリイミドは融点高く、溶融粘度も高く、さらにメルトフラクチャーが発生し易いこと等によりフィラメントを紡糸することは困難であった。そのため、例えば特許文献1に記載されているように、粘度と紡糸温度更には溶融状態での滞留時間や、口金から集束位置までの距離までも厳しく規定して溶融紡糸することにより、製造安定化を図ることが試みられている(特許文献1を参照)。しかし、この方法では良好な物性のポリイミド繊維を得るために、ポリマーを紡糸口金から吐出して集束させる時の集束位置や、紡糸速度等の生産条件を大幅に制限することが必要であり、効率の良い製法とは言い難いものであった。
【0004】
このポリイミド樹脂の加工性を改良するため、1970年代に開発・市販されたポリアミドイミド樹脂は、優れた特性を有している。具体例としては、溶媒であるN−メチルー2−ピロリドン中にポリアミドイミドポリマーを溶解し、これを水、グリセリン等の非溶媒、CaClやLiCl等の塩、N−メチルー2−ピロリドン(N−メチル−2−ピロリジノンとも言う。以下、NMPと略称することがある)溶媒の三成分系凝固液中に吐出して、湿式紡糸することよりポリイミド繊維を得る方法が知られている(特許文献2を参照)。しかしこの方法では、塩又は非溶媒をさらに除去しなければならないため工程が非常に複雑な上、そのような除去処理を行っても、塩などの不純物が含まれているため、紡糸後延伸しても良好な物性を有するポリアミドイミド繊維を得ることができなった。
【0005】
また、例えば、NMP溶媒にポリアミドイミドポリマーを溶解し、これを水やアミド系水溶液の凝固液中に吐出して、湿式紡糸することによりポリイミド繊維を得る方法が知られている(特許文献3を参照)。工程が複雑で製造コストが高く、均一かつ十分な物性のポリアミドイミド繊維を得ることが技術的に限界があった。
【0006】
また、例えば特許文献4に記載されているように、NMPや、N,N’−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略称することがある)の極性の高い溶媒にポリアミドイミドポリマーを溶解し、これを無水酢酸、ピリジン、NMPの三成分系によりポリイソイミド酸からイミド化させることによりポリイミド繊維を得る方法が知られている(特許文献4を参照)。しかし、この方法も、紡糸後に残存する溶媒や不純物を除去する必要があった上に、ポリアミック酸などのポリイミド前駆体の溶液を紡糸した後、ポリイミド繊維へと転化するために製造工程数が多く、装置コストや製造コスト、装置コストが高くなるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−129535号公報
【特許文献2】特開平4−281012号公報
【特許文献3】特開平8−218223号公報
【特許文献4】特開2006−274462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、良好な物性を有し、糸斑が少ないポリイミド繊維、およびその生産性に優れた製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行い、糸斑が少ないポリイミド繊維及びその製造方法についての本発明を完成した。本発明の構成を、以下に示す。
【0010】
1. 平均繊維径が0.001μm以上、50μm未満であり、かつ下式(1)で定義される糸斑変動係数が0.01〜10%の範囲にあることを特徴とするポリイミド繊維。
【数1】

ここで、nは該ポリイミド繊維の繊維径を測定したサンプル数であり、iは総和の記号の添え字で1からnまでの整数、χはi番目の該ポリイミド繊維径の測定値、χAvはn個のポリイミド繊維径測定値から算出した算術平均値である。
2. ポリイミド樹脂溶液を口金細孔からエアギャップを通して吐出させ繊維状物とし、該繊維状物を、芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類との混合溶媒を含む凝固液と接触させることにより固化して紡糸することを特徴とする、上記1項記載のポリイミド繊維の製造方法。
3. 該繊維状物を芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類との混合溶媒を含む凝固液と接触させることを、該繊維状物を芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類との混合溶媒を含む凝固液中に直接吐出させることにより行う上記2項記載の製造方法。
4. 混合溶媒が、芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類とを質量比10:90〜50:50の割合にて混合したものである上記2項又は3項に記載の製造方法。
5. ポリイミド樹脂溶液が、炭素数2〜20の脂肪族又は脂環族の1級ジアミンと、炭素数8〜28のテトラカルボン酸二無水物とを、炭素数7〜14の芳香族アルコールと炭素数6〜12の芳香族炭化水素との混合溶媒中で重合反応させて得られるポリイミド樹脂を炭素数7〜14の芳香族アルコールに溶解したものであり、凝固液中の芳香族アルコール類が炭素数7〜14の芳香族アルコールであり、脂肪族アルコール類が炭素数1〜6の脂肪族アルコールである、上記2〜4項のいずれかに記載の製造方法。
6. ポリイミド樹脂溶液が、炭素数6〜15の脂環族1級ジアミンと炭素数9〜28の芳香族テトラカルボン酸二無水物とをベンジルアルコールと炭素数6〜12の芳香族炭化水素との混合溶媒中で重合反応させて得られるポリイミド樹脂をベンジルアルコールに溶解したものであり、凝固液中の芳香族アルコール類がベンジルアルコールであり、脂肪族アルコール類が炭素数1〜6の脂肪族アルコールである、上記2〜4項のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリイミド繊維及びその製造方法によれば、糸斑変動係数が少ない優れた物性のポリイミド繊維を良好な生産性にて製造することができる。
また、本発明のポリイミド繊維は、一般的なポリイミドのように、まず前駆体を製造し、それを成形・紡糸してから、化学的又は熱的な反応によってポリイミドに転化させるのではなく、ポリイミドそのものを紡糸して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1操作で得られたポリイミド繊維を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2400)により撮影した電子顕微鏡写真図(倍率:1000倍)である。
【図2】実施例1操作で得られたポリイミド繊維の巻き取った状態をデジタルカメラ(カシオ計算機株式会社製EV−V8)により撮影した写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
(ポリイミド繊維)
本発明のポリイミド繊維は、平均繊維径が0.01μm〜50μmのものである。平均繊維径が0.01μmより小さいと、自己支持性が乏しいため好ましくない。また、平均繊維径が50μmより大きいと表面積が小さくなり好ましくない。本発明のポリイミド繊維は、平均繊維径が0.05μm〜30μmであるとより好ましい。なお、平均繊維径の測定・算出は、公知の方法によって行えば良いが、光学若しくは電子顕微鏡による観測、又は光学若しくは電子顕微鏡の画像を撮影した写真を用いて、該ポリイミド繊維の直径を実測し、その算術平均値を求める方法が簡便であり好ましい。
【0014】
本発明のポリイミド繊維は、下記数式(1)で定義される糸斑変動係数Cが0.01〜10%のものである。
【数2】

ここで、nは、nは該ポリイミド繊維の繊維径を測定したサンプル数であり、iは総和の記号の添え字で1からnまでの整数、χはi番目の該ポリイミド繊維径の測定値、χAvはn個のポリイミド繊維径の測定値の算術平均値である。
【0015】
上記の糸斑変動係数Cは、小さいほど糸斑、つまり糸径の斑のバラツキがすくないことを示し、できるだけ小さい方が好ましいが、現状の技術で達成できる下限は0.01%である。糸斑変動係数Cが10%を超えると糸が切れやすく生産性が悪い。糸斑変動係数Cは0.1〜9%であると好ましく、0.1〜5%であるとより好ましい。また、ポリイミド繊維の用途によっては、糸斑変動係数Cが3%〜9%、又は3%〜5%でも許容でき、歩留まりの点で当該範囲が好ましい場合もある。
【0016】
上記の糸斑変動係数Cの算出の為に、該ポリイミド繊維の繊維径を測定する方法としては、公知の方法によれば良いが、光学若しくは電子顕微鏡による観測、又は光学若しくは電子顕微鏡の画像を撮影した写真を用いて、該ポリイミド繊維の直径を実測してその算術平均値を算出する方法が簡便であり好ましい。該ポリイミド繊維の繊維径を測定する測定点数、つまりサンプル数nは5以上であるのが好ましく、多ければ多いほど好ましいが、労力の面から、実際に好ましいのは最大で100程度である。
【0017】
上記数式(1)中のχAv、n個のポリイミド繊維繊維径の測定値の算術平均値は、下記の数式(2)により求められるものである。
【数3】

ここで、数式中の記号は前記数式(1)のものと同じである。
【0018】
また、本発明のポリイミド繊維はリチウムイオン二次電池用負極材料や電気二重層キャパシター電極材料としても使うことが可能である。本発明のポリイミド繊維を電極として使う場合は、600〜700℃低温で炭素化を行った後、1200℃程度で低温焼成を行うか、又は該低温処理に加え更に2500℃〜3500℃程度の温度で黒鉛化を行い炭素材料としてから用いる。本発明のポリイミドから上記のようにして得られる炭素材料は、繊維径の均一性が高いため、粒子径の制御が容易であり、電極成型が容易に得られ、電極材料として極めて好適である。
【0019】
(ポリイミド樹脂)
本発明のポリイミド繊維を構成するポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸、その誘導体、好ましくは二酸無水物と、1級ジアミンとを反応させ、ポリアミド酸のような前駆体で反応を停止して単離することなく、高分子量化したものである。高分子量化の程度としては、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度1.2g/dL、温度35℃で測定したときの還元粘度(ηsp/C)が、0.15dL/g以上、より好ましくは0.25dL/g以上のものが好ましい。該還元粘度の上限について、特に制限はないが実用的には7以下が好ましい。
【0020】
上記ポリイミド樹脂は、有機溶剤に対し可溶性を有する。ここで可溶性とは、当該ポリイミドが有機溶剤100gに対し5g以上溶解することをいう。好ましくは10g以上である。5g以下の溶解性ではポリイミドを溶解・加工することが出来ず好ましくない。上記ポリイミドが可溶である有機溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化溶剤、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の高沸点高極性溶媒、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤、フェノール、クレゾール等のフェノール性溶剤、ベンジルアルコールやフェネチルアルコール等の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上を挙げることができ、なかでもベンジルアルコールやフェネチルアルコール等の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上が好ましく、炭素数7〜14の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上がより好ましく、炭素数7〜9の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上であると更に好ましく、ベンジルアルコールであると特に好ましい。
【0021】
本発明のポリイミド繊維を構成するポリイミド樹脂の原料であるテトラカルボン酸、又はその誘導体としては、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン(以下、ジフェニルスルホン酸二無水物と略称することがある)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4 −ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸(複素芳香族テトラカルボン酸を含む)、これらの二無水物、若しくはジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物、又は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4 −シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸などの脂環式テトラカルボン酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸、これらの二無水物、若しくはジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物、更には、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸、これらの二無水物、もしくはこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物などから選ばれる1種類以上が好ましいものとして挙げられる。
【0022】
中でも、炭素数8〜28のテトラカルボン酸二無水物が反応性や取り扱い性の両面から好ましく、炭素数9〜28の芳香族テトラカルボン酸二無水物がより好ましく、炭素数10〜16の芳香族テトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
【0023】
本発明のポリイミド繊維を構成するポリイミド樹脂の原料である1級ジアミンとしては、炭素数2から20の脂肪族又は脂環族1級のジアミン、つまり、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−シクロプロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、ジアミノシロキサン、アミン基を表面修飾したジアミノクレイ、ジアミノシリカ、ジアミノセラミックスナノファイバー、ジアミノセルロース、変性ジアミノセルロース等から選ばれる1種類以上が好ましいものとして挙げられる。これらのうち、より好ましいのは2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミンより選ばれる1種類以上の1級ジアミンである。中でも炭素数3〜15の脂環式1級ジアミンが好ましく、特に好ましいのは、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミンなど炭素数6〜15の脂環式1級ジアミンである。
【0024】
本発明のポリイミド繊維を構成するポリイミド樹脂は、前記のテトラカルボン酸若しくはその誘導体と、1級ジアミンとを、芳香族アルコールと炭素数6〜12の芳香族炭化水素とから成る混合溶媒に、室温又は氷冷下で加え溶解させ、必要に応じて加熱還流させながら所定の時間反応させることによって得ることができる。この際、反応によって生成する水を反応溶液中から除去することが高分子量のポリイミドを効率的に得る上で好ましい。そのような水の除去方法としては、反応系中にモレキュラーシーブを存在させる方法、加熱還流蒸気をモレキュラーシーブを通して反応溶液中に戻す方法、加熱還流蒸気を冷却して生成する凝縮液をモレキュラーシーブを通して反応溶液中に戻す方法、加熱還流蒸気を冷却後分離槽またはディーンスターク装置等により水を分離し溶媒だけを反応溶液中に戻す方法などが挙げられる。
【0025】
上記の混合溶媒に用いる芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコールやフェネチルアルコール等の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上を挙げることができ、なかでもベンジルアルコールやフェネチルアルコール等の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上が好ましく、炭素数7〜14の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上がより好ましく、炭素数7〜9の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上であると更に好ましく、ベンジルアルコールであると特に好ましい。
【0026】
上記の混合溶媒に用いる炭素数6から12の芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、シメン、クメン等を例示出来るが、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンであり、より好ましいものはトルエン、キシレンである。上記の炭素数6から12の芳香族炭化水素については、1種類のみを用いてもよく、複数種を混合して用いても良い。
【0027】
上記の炭素数6〜12の芳香族炭化水素は、好ましくは混合溶媒全質量中で1質量%以上90質量%以下、より好ましくは5質量%以上50質量%以下で使用される。炭素数6から12の芳香族炭化水素の質量が90質量%を超えると、原料であるテトラカルボン酸無水物や1級ジアミン、重合反応途中のオリゴマーが混合溶媒に溶けにくくなり好ましくない。炭素数6〜12の芳香族炭化水素の混合割合が1質量%未満では添加する効果が得られず好ましくない。
【0028】
更に、上記の反応によりポリイミド樹脂を製造する際、加熱、減圧、または加熱及び減圧下で溶媒を留去し、減圧下で更に溶融熱処理することことにより、さらに高重合度のポリイミドを得ることができる。このときの溶融熱処理温度はポリイミドの熱分解温度以下であり、結晶性ポリイミドの場合は融点の10℃以上、非晶性ポリイミドの場合はガラス転移温度の10℃以上の温度が好ましい。より好ましくは結晶性ポリイミドの場合は融点の30℃以上、非晶性ポリイミドの場合はガラス転移温度の30℃以上の温度である。上記温度差が10℃未満である場合、ポリイミドの粘度が高すぎて熱処理による高重合度化の効果が得られにくく好ましくない。
【0029】
(ポリイミド繊維の製造方法)
本発明のポリイミド繊維は、前記の方法にて得られたポリイミド樹脂を溶剤に溶解して紡糸溶液を得る工程と、該紡糸溶液を、口金細孔を通して吐出して繊維状物として、これを芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類とを含む凝固液と接触させることにより紡糸する工程を有する製造方法によって得ることができる。
【0030】
<紡糸溶液を得る工程>
本発明のポリイミド繊維の製造方法においては、紡糸溶液中のポリイミド樹脂の濃度が10〜90質量%となるように、ポリイミド樹脂を溶剤に溶解する。ポリイミド樹脂を溶解する溶剤としては、ポリイミドが可溶である有機溶剤として先に述べたものが使用でき、なかでもベンジルアルコールやフェネチルアルコール等の芳香族アルコールが好ましく、炭素数7〜14の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上がより好ましく、炭素数7〜9の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上がより一層好ましく、なかでもベンジルアルコールが特に好ましい。
【0031】
上記の紡糸原液には、目的に応じて、その他の成分を適宜添加することができる。添加しうる成分としては、分散剤、界面活性剤、顔料、染料、帯電防止材、光触媒、水浄化触等が使用できる。また、繊維形成性高分子化合物を適宜添加することもできる。添加しうる成分としては、ポリビニルアルコール、セルロース、セルロースミクロファイバー、セラミックスミクロファイバー、メソフェーズピッチ、ポリアクリロニトリル、テクノラーなどが使用できる。さらに、無機ナノ粒子、セラミックナノ粒子、金属ナノ微粒子、鉱石ナノ粒子などが使用できる。なお、2種類以上の混合成分を用いることが可能である。
【0032】
<紡糸工程>
本発明では、紡糸原液を口金細孔からエアギャップを通して吐出させた繊維状物を、芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類とを含む凝固液と接触させることにより固化させて紡糸する。紡糸溶液を口金細孔からエアギャップを通して一旦、空気や不活性ガス中に紡糸溶液を吐出させる乾湿式紡糸法によってもよいが、紡糸原液を口金細孔から凝固液中に直接吐出する湿式紡糸法が好ましい。さらに好ましくは、紡糸原液を口金細孔から吐出させ、凝固深と凝固液中を通して半乾半湿式法を用いる。これにより、口金細孔から紡糸原液が吐出直後の繊維同士の膠着を防止することができる。
【0033】
本発明の製造方法において用いる凝固液としては、芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類を含むものが好ましい。該芳香族アルコール類としてベンジルアルコールやフェネチルアルコールなどの炭素数7〜14の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上が好ましく、炭素数7〜9の芳香族アルコールから選ばれる1種類以上がより好ましく、特にベンジルアルコールが好ましい。該脂肪族アルコール類としてはメタノール、エタノール等炭素数1〜6の脂肪族アルコールから選ばれる1種類以上が好ましく、炭素数1〜4の脂肪族アルコールから選ばれる1種類以上が好ましく、特にエタノール(以下、EtOHと略記することがある)が好ましい。該芳香族アルコール類と該脂肪族アルコール類の混合割合としては、質量比で10:90〜50:50の範囲であることが好ましく、20:80〜40:60であるとより好ましく、30:70であると特に好ましい。
【0034】
上記凝固液の温度は20℃〜100℃の範囲が好ましいが。一般に凝固液の温度が高めの方が固化能は高いが、余り高くなると紡糸原液中のポリイミド樹脂等の粘度が下がりポリイミド繊維が細切れになるなどの問題があるため、25℃〜80℃の範囲にすることがより望ましい。
【0035】
紡糸溶液を、吐出量を一定に制御する装置を通して紡糸口金細孔、凝固液を経由して繊維を引き出す速度は、紡糸口金細孔からの吐出線速度の1倍以上〜1000倍未満、好ましくは5倍〜500倍、更には6倍〜50倍の範囲にすることが最も好ましく、あまり延伸すると固化の際、繊維形態を保持するのが困難になるため、一般的には高くとも紡糸口金細孔からの吐出線速度の20倍程度までの引き出し速度であると更に好ましい。5倍未満の速度では繊維同士が膠着し易くなる。乾湿式紡糸法、湿式紡糸法の他に、固化を気相中で行う乾式紡糸も可能である。この場合、脱溶媒に用いる気体としては溶媒の沸点以上に加温した空気が一般的である。引火点や着火点が低い溶媒を用いる場合や、酸化が問題となる場合には、窒素やアルゴンなどの不活性気体を用いることが望ましい。
【0036】
<延伸工程>
紡糸工程で得られた糸の分子配列を均整化する目的で、乾熱あるいは湿熱で延伸処理を加えてもよい。乾熱延伸の場合、100〜400℃範囲であれば問題なく、好ましくは200〜300℃の雰囲気下で窒素、アルゴンガスなどの不活性ガス中で行うことが一般的である。湿熱延伸の場合、20〜100℃範囲であれば問題なく、好ましくは50〜80℃の範囲において延伸することが望ましい。但し、繊維中に有機溶剤が多く残留する湿熱延伸は分子配列の均整効果が低いので、乾熱延伸の方が望ましい。
【0037】
<乾燥工程>
本発明では、紡糸工程で得られたポリイミド繊維を加熱あるいは乾燥させる。加熱は50℃〜400℃範囲で行うことが好ましく、これは用いた有機溶剤の種類を考慮し決定すべきである。但し、あまり高温ではポリイミド繊維が熱分解を起こすため好ましくは300℃以下でできるだけ短い時間で行うことが望ましい。この場合、窒素、アルゴンガスなどの不活性ガス中で加熱すること等の処理を行うことができる。
乾燥工程においては、乾燥前に鉱物油、シリコン油、フッ素系などの疎水性油剤を付着させることは効果的である。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
【0039】
[糸斑変動係数]
光学顕微鏡にて、長さ100cmのポリイミド繊維を観察し、10cm間隔で10箇所を選び出し繊維径を測定して(つまりn=10)、前記数式(2)に従って平均繊維径を求め、前記数式(1)によって糸斑変動係数を算出した。
【0040】
[還元粘度測定]
本実施例において、還元粘度(ηsp/C)はフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(質量比6/4)中、濃度1.2g/dL、温度35℃で測定した。
【0041】
[平均繊維径]
得られたポリイミド繊維の表面の走査型電子顕微鏡S−2400(株式会社日立製作所製、倍率2000倍)を撮影し、その写真からサンプル数20にて繊維径を測定した平均値を算出した。
【0042】
[赤外吸収スペクトル]
本実施例において、ポリイミド繊維のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光計(NicoletMagna750)を使用し、KBr錠剤法により測定したピーク強度比から以下のように決定した。
イミド化率(%)=(A725/A1515)/(A0725/A01515)×100
725:725cm−1付近のイミド結合由来ピークの吸収強度
1515:1515cm−1付近のベンゼン環由来ピークの吸収強度
A0725:450℃熱処理サンプルの725cm−1イミド結合由来ピークの吸収強度
A01515:450℃熱処理サンプルの1515cm−1付近のベンゼン環由来ピークの吸収強度
【0043】
[耐熱性]
空気中350℃、10時間暴露後の重量変化を測定した。この重量変化の割合を求め、これを耐熱性の尺度とした。
【0044】
[耐薬品性]
ポリイミド繊維を25質量%KOH水溶液に浸し、テフロン(登録商標)製容器にサンプルを入れ、これを100℃、5時間に保持して処理した後、冷却・水洗・乾燥させ、処理前後のポリイミド繊維の質量変化を求めた。この質量変化を処理前のポリイミド質量で除して100を掛けて算出した値、つまり質量変化の割合を百分率で表した数値を耐薬品性の尺度として用いた。
【0045】
[生産性]
紡糸の際に、糸が切れることなく巻き取れることを生産性の評価の尺度とした。
○:紡糸の際に、1h当たりの糸切れが1〜5回以下生じた場合。
△:紡糸の際に、1h当たりの糸切れが6〜10回以下生じた場合。
×:紡糸の際に、1h当たりの糸切れが11回以上生じた場合。
【0046】
[実施例1]
0.5Lのセパラタブルフラスコ中にイソホロンジアミン(IPDA)28.10g(0.165mol)のベンジルアルコール0.125L/トルエン0.07L混合溶液にピロメリット酸二無水物(PMDA)35.98g(0.165mol)を加え、180℃まで2.5時間かけて加温し、留出する水を、ディーンスターク装置を用いて系外に除去した。留出した水は理論量である6mLであった。同温度で1時間保持後放冷し、反応溶液が80℃に下がったところで反応溶液を水/アセトン(体積比3/2)25Lにあけ、析出した白色固体を濾集した。得られたポリマーの還元粘度はηsp/C=1.45dL/gであった。このポリイミド樹脂にベンジルアルコールを加え固形分濃度を30質量%に調整し、小型ホモジナイザーで攪拌し均一な透明の紡糸溶液を得た。
次にこれを孔径200μm(L/D=1)、ホール数1の紡糸口金から一定吐出量を保持しながら、押出温度100℃において、ベンジルアルコール/EtOH=30/70(質量比)の凝固液中に吐出した。
【0047】
紡糸シリンダ温度80℃において、エアギャップ=5mm〜10mm、最大延伸倍率(MDR)=18m/min、サンプリング速度=15m/minであった。エアギャップと凝固液中での延伸倍率が調製できるよう巻取りローラーの回転数を調整した。なお凝固液中の浸漬時間は数秒であった。途切れることなく、つながった状態で巻き取ることが可能であった。
巻き取った繊維は120℃乾燥を行った後、窒素雰囲気下200℃で1時間の乾燥させることで得られた。得られた繊維の平均繊維径は30μmであり、50μm以上の繊維は観察されなかった。このサンプルのSEM写真を図1に示す。また、このサンプルの糸斑変動係数、耐熱性、耐薬品性、生産性の測定・評価を行った。結果を表1に示す。
【0048】
[実施例2]
ピロメリット酸二無水物から3、4’、3’、4’、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)に変えた以外には実施例1と同様にポリイミド繊維を製造し、得られたポリイミド繊維の評価・測定を行った。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例3]
ピロメリット酸二無水物からジフェニルスルホン酸二無水物(DSDA)に変えた以外には実施例1と同様にポリイミド繊維を製造し、得られたポリイミド繊維の評価・測定を行った。結果を表1に示す。
【0050】
[実施例4]
凝固液の種類を表1に示したように変えた以外は実施例1と同様にポリイミド繊維を製造し、得られたポリイミド繊維の評価・測定を行った。結果を表1に示す。
【0051】
[比較例1]
紡糸溶液を調製する際の有機溶媒をベンジルアルコールからN−メチルピロリドン(NMP)に変え、凝固混合液をNMP/EtOH=30/70(質量比)、に変えた以外は実施例1と同様にポリイミド繊維を製造し、得られたポリイミド繊維の評価・測定を行った。結果を表1に示す。
【0052】
[比較例2]
紡糸溶液を調製する際の有機溶媒をベンジルアルコールからN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に変え、凝固液をDMAc/EtOH=30/70(質量比)に変えた以外には実施例1と同様にポリイミド繊維を製造し、得られたポリイミド繊維の評価・測定を行った。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例3〜4]
凝固液の種類を表1に示したように変えた以外は実施例1同様にポリイミド繊維を製造し、得られたポリイミド繊維の評価・測定を行った。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のポリイミド繊維は、紙、不織布、織物などをはじめ、各種フィルター類や電解コンデンサーや電気二重層キャパシタセパレータ、電子部品用被覆材や同接着剤の補強材、ゴム・セメントなどの補強材等、特に高耐熱性や耐薬品性、電気特性、寸法安定性などが要求される用途に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維径が0.01μm以上、50μm未満であり、かつ下式(1)で定義される糸斑変動係数が0.01〜10%の範囲にあることを特徴とするポリイミド繊維。
【数1】

ここで、nは該ポリイミド繊維の繊維径を測定したサンプル数であり、iは総和の記号の添え字で1からnまでの整数、χはi番目の該ポリイミド繊維径の測定値、χAvはn個のポリイミド繊維径測定値から算出した算術平均値である。
【請求項2】
ポリイミド樹脂溶液を口金細孔からエアギャップを通して吐出させ繊維状物とし、該繊維状物を、芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類との混合溶媒を含む凝固液と接触させることにより固化して紡糸することを特徴とする、請求項1記載のポリイミド繊維の製造方法。
【請求項3】
該繊維状物を芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類との混合溶媒を含む凝固液と接触させることを、該繊維状物を芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類との混合溶媒を含む凝固液中に直接吐出させることにより行う請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
混合溶媒が、芳香族アルコール類と脂肪族アルコール類とを質量比10:90〜50:50の割合にて混合したものである請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
ポリイミド樹脂溶液が、炭素数2〜20の脂肪族又は脂環族の1級ジアミンと、炭素数8〜28のテトラカルボン酸二無水物とを、炭素数7〜14の芳香族アルコールと炭素数6〜12の芳香族炭化水素との混合溶媒中で重合反応させて得られるポリイミド樹脂を炭素数7〜14の芳香族アルコールに溶解したものであり、凝固液中の芳香族アルコール類が炭素数7〜14の芳香族アルコールであり、脂肪族アルコール類が炭素数1〜6の脂肪族アルコールである、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
ポリイミド樹脂溶液が、炭素数6〜15の脂環族1級ジアミンと炭素数9〜28の芳香族テトラカルボン酸二無水物とをベンジルアルコールと炭素数6〜12の芳香族炭化水素との混合溶媒中で重合反応させて得られるポリイミド樹脂をベンジルアルコールに溶解したものであり、凝固液中の芳香族アルコール類がベンジルアルコールであり、脂肪族アルコール類が炭素数1〜6の脂肪族アルコールである、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−265559(P2010−265559A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117683(P2009−117683)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】