説明

ポリウレタンエラストマー

新規なポリウレタンエラストマーは、少なくとも、ジ、トリまたはポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、および、ジ、トリまたは多価リアルコールを反応させることによって得られる。そのポリカーボネートジオールは、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、アルコキシル化2−アルキル−1,3−プロパンジオールおよび/またはアルコキシル化2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールのポリカーボネートジオールであり、および/または、2以上の前記1,3−プロパンジオールからの単位を含むポリカーボネートジオールの少なくとも1種である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、最低3種類の基本(basic)化合物を反応させることによって得られるポリウレタンエラストマーであって、前記化合物が、ジ、トリまたはポリイソシアネートと、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、アルコシキル化2−アルキル−1,3−プロパンジオールおよび/またはアルコキシル化2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールのポリカーボネートジオールと、ジ、トリまたは多価アルコールとであるものに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーの特性(properties)は、主に化学組成によって決定されるが、その特性は、製造に使用される加工(処理:processing)方法にも依存する。基本出発物質の変動(バリエーション)は、主鎖(primary chain)によって形成されるセグメント化された(区分化された:segmented)、硬質(ハード)および軟質(ソフト)のブロック構造によって大部分が特徴付けられるエラストマー生成物を与える。硬質セグメントは、ジ、トリまたはポリイソシアネートと、ジ、トリまたは多水酸基性化合物(polyhydric compounds)との反応によって形成される。今日、ポリウレタンエラストマーに使用されるジ、トリまたは多水酸基性化合物は、主に、ポリエスエルおよびポリエーテルをベース(基剤)としているもの(polyester and polyether based)である。ポリエーテルをベースとするものよりもポリエステルをベースとするものの長所は、構造的な強度、油、溶媒および酸素耐性であり、ポリエーテルをベースとするものの長所は、加水分解耐性および低温可撓性(柔軟性:flexibility)である。硬質セグメントの溶融温度およびこのセグメントの量は、ポリウレタンエラストマーの寸法熱安定性を決定する。硬質セグメントの鎖間相互作用(ほとんど(大部分)が水素結合)は、高い引っ張り強度(tensile strength)、伸び(elongation)、引裂強度(tear strength)、および得られた設定値に寄与する。軟質(ソフト)セグメントは、長鎖のジ、トリまたは多価アルコールから生じ(結果として得られ)、これらのセグメントの易動性(mobility)は、可逆的な(reversible)エラストマー特性の原因となっている。低い温度での可撓性、溶媒およびUV耐性は、ポリウレタンエラストマー内の長い柔軟性の軟質セグメントによって、主に(大きく)制御される。エラストマーの特性を調整するために、種々のタイプのジ、トリおよび多価アルコールが使用され、および/または評価されている。前記ジ、トリオおよび多価アルコールは、通常、600〜2500の範囲の分子量を有する。ポリウレタンエラストマーに典型的に使用されるジ、トリまたは多価アルコールは、線状構造および2つの反応性ヒドロキシル基を有する。ポリウレタンエラストマーの形態学(二次および三次構造)は、前記セグメントの長さおよび化学構造に依存する。ポリウレタンエラストマーの並外れた特性は、2相または多相構造による。
【0003】
ポリエステルジオール、トリオールおよびポリオールに比べて、改善されたUV耐性、化学的耐性(耐化学性、耐薬品性:chemical resistance)、加水分解耐性、酸素耐性および熱耐性を持つが、機械的特性を維持した、例えばポリカーボネートおよびポリカプロラクトンジオール、トリオールおよびポリオールのような特別な多水酸基化合物に対する明白な必要性がある。ポリカーボネートジオール、典型的には、ポリエステルカーボネートジオールは、ポリエステルジオールで得られるものに匹敵する機械的特性と共に、優れたUV耐性、化学的耐性、加水分解耐性および酸素耐性を有することが示されている。ポリエステルポリカーボネートジオールは、製造された製品が加水分解安定性および微生物に対する耐性がきわめて重要な用途、例えば屋外管(チューブ)およびパイプ、スポーツおよびレジャー用途、プリンタおよび抄紙機(ペーパ・マシーン:paper machine)のローラに使用される領域で、かなりの程度でポリウレタンエラストマーに使用される。
【0004】
ポリカーボネートジオール、およびポリカーボネートジオールを用いて調製されたポリウレタンは、例えば以下の文献に開示されている。
【0005】
− 米国特許第5,656,713号(特許文献1)は、2000〜5000の分子量を有する、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート、ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネートジオールと、90〜530の分子量を有する1以上のジオールとの反応によって調製された、熱成形性(熱成形可能な:thermoformable)ポリウレタンを教示している。
【0006】
− EP 0 321 288号(特許文献2)は、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)ジオール、ポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)ジオール、これらのコポリマーまたはこれらの混合物から誘導される軟質セグメントを有するポリウレタン−尿素(ウレア)スパンデックスを教示している。そして、
− 米国特許第4,463,141号(特許文献3)は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールおよびジアルキルカーボネートから得られるポリエーテルカーボネートジオールであって、ポリウレタンを調製するのに有用なものを教示している。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,656,713号
【特許文献2】EP 0321288号
【特許文献3】米国特許第4,463,141号
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、全く予想外に、従来技術のエラストマーを越える改善された特性を持つポリウレタンエラストマーを提供する。本発明のポリウレタンエラストマーは、少なくとも、ジ、トリまたはポリイソシアネートと、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、アルコキシル化2−アルキル−1,3−プロパンジオール、アルコキシル化2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールのポリカーボネートジオールおよび/または2以上の前記1,3−プロパンジオールからの単位(ユニット)(units from:から誘導される単位)を含むポリカーボネートジオールと、ジ、トリまたは多価アルコールとを反応することによって得られる。ジ、トリおよび多価アルコールは、本明細書では、線状または分岐(分枝)の脂肪族、脂環式または芳香族ジ、トリおよび多価アルコール、および、1以上のジ、トリまたは多価アルコールおよび/または1以上のアルキレンオキシドからの単位を含む二量体、三量体およびポリマーとして理解されうる。前記1,3−プロパンジオール内のアルキルは、好ましくは、1〜8の炭素原子を有する、線状または分岐の飽和脂肪族アルカニルであり、アルコキシル化は、同様に好ましくは、1〜20のアルコキシ単位を有する、エトキシル化、プロポキシル化、および/またはブトキシル化である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記ポリカーボネートジオールは、最も好ましくは、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのポリカーボネートジオールの少なくとも1種であり、および/または、2以上の前記1,3−プロパンジオールからの単位を含む少なくとも1種のポリカーボネートジオールである。前記ポリカーボネートジオールは、好ましい実施形態において、500〜5000、例えば500〜2500の分子量を有し、適切には、例えば1以上の前記1,3−プロパンジオールと、二酸化炭素源、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよび/または尿素とから得ることができる。
【0010】
そのジ、トリまたはポリイソシアネートは、好ましい実施形態では、脂肪族、脂環式および/または芳香族ジ、トリまたはポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/またはノナントリイソシアネートである。
【0011】
上で定義(規定)した前記ジ、トリまたは多価アルコールは、好ましくは、1,ω−ジオール、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、2−アルキル−2−ヒドロキシアルキル−1,3−プロパンジオールおよび/または2,2−ジ(ヒドロキシアルキル)−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種、および/または、 前記ジ、トリまたは多価アルコールの二量体(ダイマー)、三量体(トリマー)またはポリマー(重合体)の少なくとも1種、および/または、 少なくとも1種のアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,4−ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、ブタジエンモノオキシドおよび/またはフェニルエチレンオキシドと、1,ω−ジオール、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、2−アルキル−2−ヒドロキシアルキル−1,3−プロパンジオールおよび/または2,2−ジ(ヒドロキシアルキル)−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種、および/または前記ジ、トリまたは多価アルコールの二量体、三量体またはポリマーの少なくとも1種との間の反応生成物、である。その好ましいジ、トリおよび多価アルコールの典型例として、適切には、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール、5,5−ジヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロパン、1,1−ジメチロールシクロヘキサン、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール(pentaerythritol:ペンタエリトリトール)、ジペンタエリスリトール、アンヒドロエンネアへプチトール、ソルビトール、マンニトール、および、エトキシル化および/またはプロポキシル化された、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アンヒドロエンネアへプチトール、ソルビトールおよび/またはマンニトールが挙げられる。
【0012】
さらに詳述することなく、上記の説明を用いて、当業者は最大限に本発明を利用することができると考えられる。従って、以下の好ましい特定の実施形態は、単に例示として解釈されるべきであり、いかなる方法であろうともその開示の残余部分を制限するものではない。以下において、例1は、本発明の範囲内のプレポリマーの調製に関し、このプレポリマーは、本発明のエラストマーの実施形態の調製についての例2〜4で使用される。例5は、本発明の範囲外のプレポリマーの調製に関し、このプレポリマーは、参考例エラストマーの調製についての例6および7で使用される。例2〜4、6および7で得られたエラストマーは、例8〜10で評価される。例11は、本発明の範囲内のプレポリマーの調製に関し、例12〜15は、本発明の範囲外の参考例プレポリマーの調製に関する。例11〜15のプレポリマーは、実施形態および参考例のエラストマーの調製についての例16で使用される。これらのエラストマーは、例17、18および19で評価される。実施形態および参考例エラストマーの評価結果は、表1〜6に与えられている。
【実施例】
【0013】
(例1)
1000の分子量を有する287.30gの2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオール(オキシマー(Oxymer)(商標)B112、ペルストルプ・スペシャルティ・ケミカルズ アーベー、スウェーデン)を、温度計、攪拌機、真空装置(vacuum device:減圧装置)、加熱装置および冷却装置を備え、撹拌下で70℃に加熱された反応容器(reaction vessel)に充填した。ポリカーボネートジオールを10分間脱気し、112.70gのイソホロンジイソシアネートを1時間の間に滴下し、反応容器に充填した。最初に、数滴のジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)を触媒として添加した。前記1時間の後、反応温度を120℃に上げ、反応をさらに2時間継続させた。この後、得られたポリマーを脱気し、冷却し、回収した。
【0014】
以下の特徴を有する無色のワックス状の物質を得た。
【0015】
ガラス転移温度(Tg)、℃ 0
分子量(Mn) 1603
イソシアネート含有量、% 5.33
【0016】
(例2)
30gの例1で得たプレポリマーを120℃に加熱し、脱気して全ての空気を除去した。次に、化学量論量の1,4−ブタンジオールを、利用可能な遊離イソシアネート基と反応させるためにプレポリマーに添加した。得られたポリウレタンエラストマーを、引き続き、122℃で24時間硬化した。
【0017】
(例3)
30gの例1で得たプレポリマーを120℃に加熱し、脱気して全ての空気を除去した。次に、化学量論量の1,4−ブタンジオールおよびトリメチロールプロパンの混合物(重量で1:1)を、利用可能な遊離イソシアネート基と反応させるためにプレポリマーに添加した。得られたポリウレタンエラストマーを、引き続き、122℃で24時間硬化した。
【0018】
(例4)
30gの例1で得たプレポリマーを120℃に加熱し、脱気して全ての空気を除去した。次に、化学量論量の、1分子当たり平均3個のエチレンオキシド単位(unit:ユニット)を有するポリエトキシル化トリメチロールプロパン(ポリオール(Polyol)3610(商標)、ペルストルプ・スペシャルティ・ケミカルズ アーベー、スウェーデン)を、利用可能な遊離イソシアネート基と反応させるためにプレポリマーに添加した。得られたポリウレタンエラストマーを、引き続き、122℃で24時間硬化した。
【0019】
(例5)(参考例)
分子量1000を有するエチレングリコールアジペート(ethylene glycol adipate)を、前記2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールに代えて使用したことを差異(相違)点として、例1を繰り返した。
【0020】
(例6)(参考例)
例5のプレポリマーを、例1のプレポリマーに代えて使用したことを差異(相違)点として、例2を繰り返した。
【0021】
(例7)(参考例)
例5のプレポリマーを、例1のプレポリマーに代えて使用したことを差異(相違)点として、例3を繰り返した。
【0022】
(例8)
例2〜4および例5〜7(参考例)で調製したエラストマーの化学的耐性を、“スポット試験(spot test)”法または“時計皿(watch glass)”法を用いて評価した。使用した化学品(Chemicals:化学薬品)は、アセトン、油圧(hydraulic:液圧)ポンプオイル、50%硫酸水溶液、および50%水酸化ナトリウム水溶液であった。例えば膨潤、変色および/またはクラッキングのような損傷(ダメージ)を、12、24、36、48および60時間後に、視覚的に評価し、スケール(尺度)0〜3で等級付けした。ここで、0=視覚的損傷なし、1=僅かに視覚的損傷あり、2=はっきりとした視覚的損傷あり、および3=激しい損傷あり、である。結果を以下の表1に与えた。
【0023】
(例9)
ショア硬度測定器(Shore durometer)による硬度試験を、例2〜4および例5〜7(参考例)で調製したエラストマーについて行った。本発明によるエラストマー(例2〜4)は、全て、対応するポリエステルベースのエラストマー(参考例)よりも硬かった。ショアAの値を以下の表2に与えた。
【0024】
(例10)
例2〜4および例5〜7(参考例)で調製したエラストマーの熱特性、ガラス転移温度(Tg)を、DSCを用いて10℃/分で測定した。本発明によるエラストマー(例2〜4)は、全て、対応するポリエステル・ベース(機剤)のエラストマー(参考例)よりも高いTgを示した。Tgの値を以下の表3に与えた。
【0025】
(例11)
181.99gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを、触媒としての数滴のジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate:ジラウリン酸ジブチルすず)と共に、温度計、攪拌機、真空装置、加熱装置、冷却装置および窒素パージを備え、60℃に加熱された反応容器に充填した。この後、反応温度を70℃に上げ、542.01gの、1000の分子量を有する2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネート(オキシマー(Oxymer)(商標)B112、ペルストルプ・スペシャルティ・ケミカルズ アーベー、スウェーデン)の滴下による充填を開始した。全てのポリカーボネートジオールが充填された1時間後に、反応温度を80℃に上げ、反応をさらに2時間継続させた。最後に、得られたプレポリマーを脱気し、回収し、冷却した。
【0026】
以下の特徴を有する無色のワックス状の物質を得た。
【0027】
ガラス転移温度(Tg)、℃ −22
分子量(Mn) 2200
イソシアネート含有量、% 5.0
【0028】
(例12)(参考例)
1,6−ヘキサンジオールポリカーボネート(デスモフェン(Desmophen)(商標)XP 2586、バイエル・マテリアル・サイエンス(Bayer Material Science)、ドイツ)を、前記2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールに代えて使用したことを差異(相違)点として、例11を繰り返した。
【0029】
(例13)(参考例)
アジピン酸−エチレングリコールコポリマー(共重合体)(フォムレツ(Fomrez)(商標)22−112、クロンプトン・ユニロイヤル・ケミカル(Crompton Uniroyal Chemical)、英国)を、前記2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールに代えて使用したことを差異(相違)点として、例11を繰り返した。
【0030】
(例14)(参考例)
ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(テラタン(Terathane)(商標)1000、インヴィスタ(Invista)、米国)を、前記2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールに代えて使用したことを差異(相違)点として、例11を繰り返した。
【0031】
(例15)(参考例)
線状ポリエステルカプロラクトン(カパ(Capa)(商標)2101、ソルヴェイ(Solvay)、ベルギー)を、前記2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールに代えて使用したことを差異(相違)点として、例11を繰り返した。
【0032】
(例16)
180gの例11で得たプレポリマーを90℃に加熱し、脱気して全ての空気を除去した。次に、化学量論量の1,4−ブタンジオールを、利用可能な遊離イソシアネート基と反応させるためにプレポリマーに添加した。反応混合物を、型(mould:モールド)中に注ぐ(あける)前に2回目の脱気を行った。得られたポリウレタンエラストマーを、引き続き、120℃で24時間硬化した。この後、成形製品を型から除去し(取り出し)、23℃および50%相対湿度で1週間、後硬化(post card:ポストキュア)した。
【0033】
参考例の材料を参考例12〜15で得たプレポリマーから同様の方法で調整した。
【0034】
得られたポリウレタンエラストマーは以下の寸法(measurement)を有していた:245×160×4mm。
【0035】
(例17)
例16で得られた各エラストマーから異なる3つの試料(サンプル)を、引っ張り試験用に切り出した(カッティング・ダイ・タイプ ISO 37−2)。試料(サンプル)の硬度はショアA硬度測定器で測定し、その結果を以下の表4に与えた。
【0036】
(例18)
例16で得られた各エラストマーから異なる3つの試料を、加水分解耐性の試験用に切り出した(カッティング・ダイ・タイプ ISO 37−2)。試験片を、人工気象室(climate chamber)内において、70℃および95%の相対湿度で14日間熟成(エージング)した。試験後、試料の硬度をショアA硬度測定器で測定し、表4に与えられている当初の値と比較した。
【0037】
前記の当初の値の百分率としてのその結果を以下の表5に与えた。
【0038】
(例19)
例16で得られた各エラストマーから異なる3つの試料を、耐候試験用に切り出した(カッティング・ダイ・タイプ ISO 37−2)。耐候性は、以下のスキーム(scheme:方式、計画)に従った加速QUVでシミュレート(シミュレーション)した。QUV−A:60℃で4時間UV、50℃で4時間凝結、全実施時間1000時間。維持された機械特性を、ショアA硬度測定器および引っ張り強度試験器で測定し、表4に与えられている当初の値と比較した。
【0039】
例14の参考例で得られたエラストマーから切り出した試料のいずれも、QUVに抵抗性を示さず、従って、引き続きの試験を行うことができなかった。例15で得られたエラストマーから切り出したサンプルのみ、および、例13の参考例で得られたエラストマーから切り出した2つのサンプルのみが、風化(weathering)の後に試験することができた。
【0040】
前記の当初の値の百分率としてのその結果を以下の表6に与えた。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ジ、トリまたはポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、および、ジ、トリまたは多価アルコールを反応することにより得られるポリウレタンエラストマーであって、
前記ポリカーボネートジオールが、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、アルコキシル化2−アルキル−1,3−プロパンジオールおよび/またはアルコキシル化2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールのポリカーボネートジオールの少なくとも1種であり、および/または、2以上の前記1,3−プロパンジオールからの単位を含むポリカーボネートジオールの少なくとも1種であり、ここで、アルキルは、1〜8の炭素原子を有する線状または分枝脂肪族アルカニルであり、アルコキシル化は、1〜20のアルコキシ単位を有するエトキシル化、プロポキシル化および/またはブトキシル化であることを特徴とするポリウレタンエラストマー。
【請求項2】
前記ポリカーボネートジオールは、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのポリカーボネートジオールの少なくとも1種であり、および/または2以上の前記1,3−プロパンジオールからの単位を含むポリカーボネートジオールの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項3】
前記ポリカーボネートジオールは、1以上の前記1,3−プロパンジオールと、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよび/または尿素のような二酸化炭素源とから得られることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項4】
前記ポリカーボネートジオールは、例えば500〜2500のような500〜5000の分子量を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項5】
前記ジまたはポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式および/または芳香族ジ、トリまたはポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項6】
前記ジまたはポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/またはノナントリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項7】
前記ジ、トリまたは多価アルコールは、1,ω−ジオール、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、2−アルキル−2−ヒドロキシアルキル−1,3−プロパンジオールおよび/または2,2−ジ(ヒドロキシアルキル)−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種、および/または前記ジ、トリまたは多価アルコールの二量体、三量体またはポリマーの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項8】
前記ジ、トリまたは多価アルコールは、少なくとも1種のアルキレンオキシドと、1,ω−ジオール、2−アルキル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール、2−アルキル−2−ヒドロキシアルキル−1,3−プロパンジオールおよび/または2,2−ジ(ヒドロキシアルキル)−1,3−プロパンジオールの少なくとも1種、および/または前記ジ、トリまたは多価アルコールの二量体、三量体またはポリマーの少なくとも1種との間の反応生成物であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項9】
前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,4−ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、ブタジエンモノオキシドおよび/またはフェニルエチレンオキシドであることを特徴とする、請求項8に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項10】
前記ジ、トリまたは多価アルコールは、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール、5,5−ジヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロパン、1,1−ジメチロールシクロヘキサン、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アンヒドロエンネアへプチトール、ソルビトールおよび/またはマンニトールであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項11】
前記ジ、トリまたは多価アルコールは、エトキシル化および/またはプロポキシル化された、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アンヒドロエンネアへプチトール、ソルビトールおよび/またはマンニトールであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリウレタンエラストマー。

【公表番号】特表2009−511706(P2009−511706A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535491(P2008−535491)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001145
【国際公開番号】WO2007/043945
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(502456286)ペルストルプ スペシヤルテイ ケミカルズ アーベー (12)
【氏名又は名称原語表記】Perstorp Specialty Chemicals AB
【住所又は居所原語表記】S−284 80 Perstorp, Sweden
【Fターム(参考)】