説明

ポリウレタンフォーム、およびその製造方法

【課題】硬化性、成型性に優れる原料から製造された、環境負荷低減に寄与することが可能な、ポリウレタンフォーム、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤を原料として製造されるポリウレタンフォームであり、前記(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインストルメントパネル、ドアートリム、アームレスト、ヘッドレスト等の自動車内装材部品に用いられる、ポリウレタンフォーム、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境負荷低減の観点から、石油資源等の化石資源を原料として得られた樹脂の代替として、植物資源を原料として得られた樹脂、すなわち植物由来樹脂が注目されている。植物由来樹脂としては、植物資源のみを原料として得られた樹脂だけでなく、少なくとも原料の一部として植物資源が用いられた樹脂が知られている。
【0003】
化石資源のみを原料として得られた樹脂を、使用後、燃焼処理した場合には、該樹脂中に含有される炭素原子の量に応じて大気中にCO2が排出され、大気中のCO2量を増加させる。
【0004】
一方、該植物由来樹脂中の炭素原子は、少なくとも一部が植物資源に由来する。植物資源は、空気中のCO2を取込みながら光合成により植物が生長することにより得られる資源である。このため、植物由来樹脂を、使用後、燃焼処理した場合に排出されるCO2のうち、植物資源に由来するCO2は、大気中のCO2量の増加の原因とならない、いわゆるカーボンニュートラルに対応する。このため植物由来樹脂は、環境負荷低減に寄与することができる。
【0005】
ところで、ポリウレタンフォームとしては、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等が知られている。軟質ポリウレタンフォームは、例えばクッション材として広く使用されている。半硬質ポリウレタンフォームは、例えばインストルメントパネル、ドアートリム、アームレスト、ヘッドレスト等の自動車内装部品に用いられている。これらのポリウレタンフォームを形成するために用いる成分についても、化石資源の枯渇抑制や、大気中のCO2量の増加の原因となるCO2の排出低減等、環境に配慮した開発が求められている。
【0006】
ポリウレタンフォームの原料として使用されるポリオール成分としては、石油由来のポリエーテルポリオール、あるいはポリエステルポリオールなどが代表的なものとして知られている。
【0007】
また、植物由来のひまし油やひまし油誘導体であるひまし油系ポリオール、あるいは大豆油誘導体である大豆油系ポリオールを用いることも知られている。例えば、芳香族ジイソシアネートとひまし油とを反応させてプレポリマーを形成し、このプレポリマーと水とを反応させてポリウレタンフォームを形成すること(特許文献1)、水添ひまし油等のひまし油誘導体を添加剤として用いてポリウレタンフォームを製造する方法(特許文献2)が知られている。
【0008】
一方、特許文献3には、微細多孔質の軟質ポリウレタン成形体を製造する際の内部離型剤として、ひまし油脂肪酸の主成分であるリシノレイン酸と一価または多価アルコールとから製造されるエステル基含有縮合生成物(平均分子量:900〜4500)を用いること、また特許文献4には、ひまし油脂肪酸等中のカルボン酸同士が縮合した2量体以上のオキシカルボン酸オリゴマー単位(a)を少なくとも一部含むカルボン酸単位(A)と、多価アルコール単位(B)とで構成されたポリエステルポリオールをウレタン系塗料組成物の成分として用いることが開示されている。さらに、特許文献5には、ひまし油またはその誘導体等の植物性油脂にアルキレンオキサイドを少なくとも1分子付加し、かつ分子鎖末端がヒドロキシエチル基であるポリオールと、イソシアネート化合物とを反応させて、自動車座席用ポリウレタンフォームとすること、また特許文献6には、アルコールで開環したエポキシ化大豆油に、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドを付加して得られるポリオールとポリイソシアネート化合物から得られる、軟質ポリウレタンフォームを自動車シート用クッションとして用いることが開示されている。
【0009】
また、本願出願人による特許文献7には、クッション材として適度な硬度および反発弾性を有するポリウレタンフォームを得るための組成物として、ポリオール成分として特定の構造を有するポリエステルポリオールを用い、NCOインデックスを特定の値としてポリウレタンフォームを製造することが示され、ポリエステルポリオールの原料としてひまし油脂肪酸等の植物性油脂が好ましく使用されることが開示されている。さらに、本願出願人による特許文献8には、車両用シートクッション等のクッション材として、適度な硬度及び反発弾性、ならびに耐久性をバランスよく付与したポリウレタンフォームの提供には、植物由来のポリウレタンフォーム用組成物が好ましく使用できることが開示されている。また、本願出願人による特許文献9では、優れた低反発性を有し、衝撃吸収材、吸音材、振動吸収材として好適である、ポリウレタンフォーム組成物から得られる植物由来のポリウレタンフォームについて開示している。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のポリウレタンフォームは硬質ポリウレタンフォームであり、適度な弾性感を有した触感に優れた半硬質軟質ポリウレタンフォームは得られない。また、特許文献2に記載の方法では、ひまし油系ポリオールは添加剤として用いられており、その添加量はポリヒドロキシ化合物に対して0.1〜15重量%である。特に、実施例においては、ひまし油系ポリオールはポリオール成分全体の僅か5%であり、その効果もキュアー性、低圧縮永久歪について示しているに過ぎない。さらに、特許文献3、4では、特許文献1、2で用いられているひまし油系ポリオールに比較して、分子量の高いものを使用しているが、特許文献3では、これを内部離型剤として用いているに過ぎず、また、特許文献4では、塗料組成物を開示しているに過ぎない。一方、特許文献5、6、7および8では、その用途は自動車座席用ポリウレタンフォームとの一般的表現に過ぎず、モールド内の液流れ性、および硬化性に優れる半硬質ポリウレタンフォームに関する記載はない。さらに、特許文献9では、その用途が優れた低反発性を有するクッション材やマットレス用であるため、良好な成型性を有する半硬質ポリウレタンフォームを得ることはできない。
【0011】
すなわち、これらの特許文献に記載の方法では、モールド内の液流れ性および硬化性等の成型性よく、触感に優れる半硬質ポリウレタンフォームを得ることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第2787601号明細書
【特許文献2】特開平5−59144号公報
【特許文献3】特開昭61−91216号公報
【特許文献4】特開平11−166155号公報
【特許文献5】特開2005−320437号公報
【特許文献6】特開2005−320431号公報
【特許文献7】特開2006−2145号公報
【特許文献8】WO2007/020904 A1
【特許文献9】WO2007/020905 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、硬化性、成型性に優れる原料から製造された、環境負荷低減に寄与することが可能な、ポリウレタンフォーム、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオールとして、アミノ基を含むポリエーテルポリオールおよび植物由来ポリオールを原料として用いると、硬化性、成型性に優れ、環境負荷低減に寄与することが可能な、半硬質ポリウレタンフォーム等のポリウレタンフォームを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明のポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤を原料として製造されるポリウレタンフォームであり、前記(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とする。
【0016】
前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネート誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートであることが好ましい。
【0017】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、整泡剤およびポリイソシアネートを混合した混合液を、反応させるポリウレタンフォームの製造方法であり、前記(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポリウレタンフォームは、薄型モールド内での液流れ性等の成型性、硬化性に優れる原料から製造されるため、例えばインストルメントパネル、ドアートリム、アームレスト、ヘッドレスト等の自動車内装材部品に用いることができる。
【0019】
また、本発明のポリウレタンフォームは、植物由来ポリオールを用いているため、昨今の地球環境保全に向けた社会動向に対応した、環境負荷低減に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明について具体的に説明する。
[ポリウレタンフォーム]
本発明のポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤を原料として製造されるポリウレタンフォームであり、前記(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とする。
【0021】
本発明のポリウレタンフォームは、触感の観点から半硬質ポリウレタンフォームであることが望ましい。
本発明のポリウレタンフォーム、好ましくは半硬質ポリウレタンフォームは、例えばインストルメントパネル、ドアートリム、アームレスト、ヘッドレスト等の自動車内装材部品に好適に用いることができる。また、植物由来ポリオールを原料として用いるため、昨今の地球環境保全に向けた社会動向に対応した、環境負荷低減に寄与することができる。
【0022】
<ポリイソシアネート>
本発明に用いるポリイソシアネートとしては特に制限はないが、後述する(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール等のポリオールと反応させることにより、ポリウレタンフォームを形成可能なものが用いられる。
【0023】
ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネート誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートであることが硬化性の観点から好ましい。
【0024】
また、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体としては、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、そのウレタン変性体、またはこれらの混合物が好ましく使用できる。ポリイソシアネートとしては、例えばポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートを、ポリオキシアルキレンポリオールで変性したものを用いることもできる。
【0025】
ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(NCO%)は、20%〜30%が好ましい。イソシアネート基含有率が低すぎると粘度が高くなり液の流動性が低下し充填性が悪化する。また、イソシアネート基含有率が高すぎると硬化性が悪化する。
【0026】
本発明において、原料として用いるポリイソシアネート中のイソシアネート基の総数を、原料中の(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール、および任意に用いられる他のポリオールが有する水酸基、任意に用いられる架橋剤が有する活性水素、水等のイソシアネート基と反応する活性水素の総数で除して100を乗じた値をNCOインデックスとする。即ち、原料中のイソシアネート基と反応する活性水素数と原料中のポリイソシアネートが有するイソシアネート基の数が化学量論的に等しい場合に、そのNCOインデックスは100となる。本発明では、原料のNCOインデックスは、50〜150の範囲であることが好ましく、60〜130の範囲であることがより好ましい。NCOインデックスが上記範囲から外れるとイソシアネート基数もしくは活性水素数が過剰となり硬化性が著しく悪化する。
【0027】
<(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール>
本発明には、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールが用いられる。前記(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールは、該分子中に窒素原子を有するため、ポリウレタンフォームを製造する際のウレタン化反応を促進させる助触媒としても作用すると考えられる。
【0028】
本発明に用いられる(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールとしては例えば、窒素原子に活性水素原子が結合した構造を有する活性水素化合物に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物を付加させることにより得られる(A−I)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、窒素原子に活性水素原子が結合した構造を有する活性水素化合物と、ポリオールとを重縮合することにより得られる(A−II)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、窒素原子に活性水素原子が結合した構造を有する活性水素化合物と、ポリオールとの重縮合物に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物を付加させることにより得られる(A−III)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールポリオール等を用いることができる。なお、本明細書において、「窒素原子に活性水素原子が結合した構造を有する活性水素化合物」を、単に「(a)活性水素化合物」とも記す。
【0029】
前記(a)活性水素化合物としては、炭素原子数1〜20の脂肪族または芳香族一級アミン、炭素原子数2〜20の脂肪族または芳香族二級アミン、炭素原子数2〜20の一級アミノ基および二級アミノ基から選択されるアミノ基を2〜3個有する多価アミン、炭素原子数4〜20の飽和環状二級アミン、炭素原子数4〜20の不飽和環状二級アミン、炭素原子数4〜20の二級アミノ基を2〜3個有する環状の多価アミン、炭素原子数2〜20の窒素原子が一級または二級の酸アミド、5〜7員環の環状アミド、炭素原子数4〜10のジカルボン酸のイミド等が挙げられる。
【0030】
炭素原子数1〜20の脂肪族または芳香族一級アミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン、ノルマルプロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、β-フェニルエチルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等が挙げられる。
【0031】
炭素原子数2〜20の脂肪族または芳香族二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、エチルノルマルブチルアミン、メチル−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0032】
炭素原子数2〜20の一級アミノ基および二級アミノ基から選択されるアミノ基を2〜3個有する多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、ジ(2−メチルアミノエチル)アミン等が挙げられる。
【0033】
炭素原子数4〜20の飽和環状二級アミンとしては、たとえば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン等が挙げられる。
炭素原子数4〜20の不飽和環状二級アミンとしては、例えば、3−ピロリン、ピロール、インドール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、プリン等が挙げられる。
【0034】
炭素原子数4〜20の二級アミノ基を2〜3個有する環状の多価アミンとしては、例えば、ピペラジン、1,4,7−トリアザシクロノナン等が挙げられる。
炭素原子数2〜20の窒素原子が一級または二級の酸アミドとしては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチル安息香酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0035】
5〜7員環の環状アミドとしては、例えば、2−ピロリドン、ε-カプロラクタム等が挙げられる。
炭素原子数4〜10のジカルボン酸のイミドとしては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、フタルイミド等が挙げられる。
【0036】
前記アルキレンオキサイド化合物としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0037】
これらのアルキレンオキサイド化合物のうち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイドまたはスチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。前記アルキレンオキサイド化合物は1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0038】
前記ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、シュークロース等の多価アルコール、およびこれらの多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0039】
本発明に用いる(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールを得る方法としては、例えば、前記(a)活性水素化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物を単独で、または併用して付加することにより得る方法、前記(a)活性水素化合物にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、シュークロース等の多価アルコール、およびこれらの多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等のポリオールを重縮合することにより得る方法、前記(a)活性水素化合物にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、シュークロース等の多価アルコール、およびこれらの多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等のポリオールを重縮合することにより得られる重縮合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物を単独で、または併用して付加することにより得る方法が挙げられる。
【0040】
なお、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールを得る際には、前記アルキレンオキサイド化合物としては、プロピレンオキサイドと、エチレンオキサイドとを併用することが好ましい。
【0041】
また、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール中のエチレンオキサイドの付加量、すなわち、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール100wt%中の、エチレンオキサイドに由来する構造単位の重量は、10〜30wt%であることが好ましい。前記範囲内では、原料の硬化性に優れ、かつフォームの物性に優れる傾向があり好ましい。
【0042】
エチレンオキサイドの付加方法は、分子鎖末端にエチレンオキサイドを付加させたチップドタイプでも分子鎖中にエチレンオキサイドを付加させたバランスタイプでも良い。アルキレンオキサイドの付加方法は従来のポリエーテルポリオールと同様の方法を使用できる。
【0043】
なお、前記(a)活性水素化合物として、N上に一つの水素を有し、分子中に一つのNを有する化合物、例えばジメチルアミン、ピロリジン、ピペリジン等を用いる場合には、ポリオールとして、3官能以上のポリオールを用いることにより、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールを得ることができる。
【0044】
3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールの水酸基価は10〜60mgKOH/gの範囲であることが好ましく、20〜50mgKOH/gの範囲であることが、機械物性の面でより好ましい。上記範囲を大幅にはずれると、本発明のポリウレタンフォームの硬度や引張強度、あるいは伸びが低下する場合がある。
【0045】
<(B)植物由来ポリオール>
本発明には、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオールが用いられる。なお、本明細書において、「(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール」を、単に「(B)植物由来ポリオール」とも記す。
【0046】
本発明に用いられる(B)植物由来ポリオールは、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールである。
【0047】
本発明に用いられる(B)植物由来ポリオールは、植物から得られた原料を用いて製造されるポリオールである。植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、大豆油等の植物油に含有される、飽和または不飽和の炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸、植物油に含有される炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸が、不飽和脂肪酸である場合には、該不飽和脂肪酸を水添処理することにより得られる水添ヒドロキシカルボン酸、植物油に含有される炭素数15以上であり、ヒドロキシル基を有さないカルボン酸をヒドロキシル化することにより得られる炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸等を用いることができる。これらの炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸としては、1種単独用いても、2種以上を用いてもよい。
【0048】
また、(B)植物由来ポリオールの水酸基価は60〜110mgKOH/gであり、70〜100mgKOH/gであることが好ましい。(B)植物由来ポリオールの水酸基価が、低すぎると粘度が高くなり、他の原料との混合性や混合液の液流れ性が悪化する。一方、水酸基価が高すぎるとポリウレタンフォームのキュアー性が悪化する。(B)植物由来ポリオールの水酸基価が前記範囲内であると、ポリウレタンフォームを製造する際の成型性および硬化性に優れるため好ましい。
【0049】
前記1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン等の炭素数2〜10の3価アルコール、;ジグリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド等の4価アルコール;3〜4価のヒドロキシル化植物油;等が挙げられる。また、これらの多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加した多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物も使用することができる。これらの多価アルコールは1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0050】
上記植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシル基を有する飽和もしくは不飽和脂肪酸、またはこの不飽和脂肪酸の水素添加物が好ましく使用でき、中でも炭素数15〜20の脂肪酸が好ましい。
【0051】
さらに、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸としては、ひまし油、Dimorphotheca油、Lesquerella油、Lesquerella densipila種子油等の天然油脂から取り出されるヒドロキシル基を有する飽和もしくは不飽和脂肪酸、およびこの不飽和脂肪酸の水素添加物がより好ましく、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
【0052】
また、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸としては、大豆油、オリーブ油、コメヌカ油、パーム油等から取り出される、オレイン酸、リノール酸等のヒドロキシル基を有さない不飽和脂肪酸をヒドロキシル化した脂肪酸、および大豆油をヒドロキシル化した後に取り出されるヒドロキシル化大豆油脂肪酸等のヒドロキシル化植物油脂肪酸を使用することもできる。
【0053】
前記植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸を、前記1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと縮合させる場合には、前記植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸を縮合させた後、得られた重縮合物を前記1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと縮合させてもよいし、あるいは前記1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと前記植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させた後、さらに前記植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸を縮合させてもよい。
【0054】
本発明において、前記(B)植物由来ポリオールの酸価は、10mgKOH/g以下が好ましく、8mgKOH/g以下がより好ましく、5mgKOH/g以下が特に好ましい。酸価が高すぎると、ポリウレタンフォームを製造する際の、反応速度が低下する傾向があり、生産性が低下する場合がある。
【0055】
前記(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールおよび(B)植物由来ポリオールの使用量は、以下の通りである。
原料として用いるポリオールの合計100質量部に対する(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールの使用量は、硬化性の点から30〜70質量部が好ましく、40〜60質量部がさらに好ましい。(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオールの使用量が30質量部未満の場合には硬化性が悪化する場合がある。また、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対する(B)植物由来ポリオールの使用量は特に制限があるわけではないが、環境負荷低減の観点から30〜70質量部が好ましく、40〜60質量部がさらに好ましい。なお、原料として用いるポリオールとしては、前記(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオールおよび、任意に用いられる後述の化石資源由来ポリオール、ポリマー分散ポリオールが挙げられる。
【0056】
<水>
本発明には、原料として水が用いられる。本発明において、水は発泡剤として作用する。前記水としては、蒸留水、イオン交換水等を用いることができる。
【0057】
本発明における水の使用量としては、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対して、通常は0.1〜8.0質量部、好ましくは0.5〜6.0質量部の量を用いる。
【0058】
<触媒>
本発明には、原料として触媒が用いられる。本発明に用いる触媒としては、ポリウレタンフォームを製造する際に、通常用いられる触媒であれば特に制限はない。
【0059】
触媒としては、例えばトリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプノパールアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−オクダデシルモルホリン、モノエタノールアミン、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N'-トリメチル-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N'N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミンのギ酸塩および他の塩等や、スタナオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等の有機錫触媒が使用できる。
【0060】
触媒としては、市販品を用いてもよく、例えば、N,N,N'-トリメチル-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミンは、商品名ポリキャット17(エアープロダツ株式会社製)として市販されており、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテルは、商品名MINICO−TMDA(活材ケミカル株式会社製)として市販されている。
【0061】
該触媒は1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。触媒の使用量は、目標の硬化時間に応じた必要量を添加すればよく、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜5.0質量部、さらに好ましくは0.3〜4.0質量部の量である。
【0062】
<整泡剤>
本発明には、原料として整泡剤が用いられる。整泡剤としては特に制限はなく、従来公知の整泡剤が使用できる。整泡剤としては、通常は有機ケイ素系界面活性剤を使用することが好ましい。
【0063】
整泡剤としては、例えば、エアープロダクツ(株)製のDC2525、DC6070や、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSRX−274C、SF−2969、SF−2961、SF−2962、SZ-3601、SZ−1325、SZ−1328、SZ1346や、GE東芝シリコーン(株)製のL−5309、Y-10366、L3640、L3620、L3622や、信越シリコーン(株)製のF−114、F−121、F−122、F−220、F−230、F−258、F−260B、F−317、F−318、F−341、F−601、F−606、X−20−200、X−20−201などを好ましく用いることができる。
【0064】
該整泡剤は1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。整泡剤の使用量は、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部の量である。
【0065】
本発明のポリウレタンフォームは、前述のように、ポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤を原料として製造されるが、ポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤以外の成分、すなわち他の成分を原料としてさらに用いてもよい。
他の成分としては、化石資源由来ポリオール、ポリマー分散ポリオール、その他の添加剤が挙げられる。
【0066】
<化石資源由来ポリオール>
本発明に用いることが可能な化石資源由来ポリオールとしては、前記(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール以外のポリオールであり、石油等の化石資源から得られた原料を用いて製造されるポリオールである。
【0067】
なお、化石資源由来ポリオールとしては、調達の容易性の観点から、代表的な化石資源である、石油から得られた原料を用いて製造されるポリオール、すなわち石油由来ポリオールであることが好ましい。
【0068】
化石資源由来ポリオールとしては、ポリウレタンフォームの製造用に一般的に使用されるポリオールを用いることができる。化石資源由来ポリオールとしては、ポリオキシアルキレンポリオール、前記ポリオキシアルキレンポリオールから得られるポリマーポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらの化石資源由来ポリオールは1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0069】
ポリオキシアルキレンポリオールは、アルキレンオキサイドを開環重合させて得られたオリゴマーあるいは重合物であり、通常、触媒存在下に活性水素化合物を開始剤としてアルキレンオキサイドを開環重合させて得られる。なお、ポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールと呼称されることもある。ポリオキシアルキレンポリオールは、好ましくは水酸基価が10〜120mgKOH/gであり、より好ましくは15〜60mgKOH/gである。水酸基価が低すぎると粘度が高くなり混合性が悪化する場合がある。一方、水酸基価が高すぎると、ポリウレタンフォームの引張物性や伸びの低下を招く。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0070】
化石資源由来ポリオールの使用量は、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対し、0〜40重量部であることが好ましい。
以下に、前記ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いられる活性水素化合物、アルキレンオキサイド化合物について記す。
【0071】
(活性水素化合物)
ポリオキシアルキレンポリオールの製造に際して、開始剤として用いられる活性水素化合物としては酸素原子上に活性水素原子が結合した構造を有する活性水素化合物が挙げられる。なお、本明細書において、「酸素原子上に活性水素原子が結合した構造を有する活性水素化合物」を、単に「(b)活性水素化合物」とも記す。
【0072】
前記酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物としては、例えば、水、炭素原子数1〜20のカルボン酸類、2〜6個のカルボキシル基を有する炭素原子数2〜20の多価カルボン酸類、カルバミン酸類、炭素原子数1〜20のアルコール類、2〜8個の水酸基を有する多価アルコール類、糖類またはその誘導体、1〜3個の水酸基を有する炭素原子数6〜20の芳香族化合物類、2〜8個の末端を有しその末端に1〜8個の水酸基を有するポリアルキレンオキサイド類等が挙げられる。
【0073】
炭素原子数1〜20のカルボン酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、フェニル酢酸、ジヒドロ桂皮酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、パラメチル安息香酸または2−カルボキシヒドロナフタレン酸等が挙げられる。
【0074】
2〜6個のカルボキシル基を有する炭素原子数2〜20の多価カルボン酸類としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸またはピロメリット酸等が挙げられる。
【0075】
カルバミン酸類としては、例えば、N,N−ジエチルカルバミン酸、N−カルボキシピロリドン、N−カルボキシアニリンまたはN,N'−ジカルボキシ−2,4−トルエンジアミン等が挙げられる。
【0076】
炭素原子数1〜20のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、ノルマルオクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロペンタノール、アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノール、またはシンナミルアルコール等が挙げられる。
【0077】
2〜8個の水酸基を有する炭素原子数2〜20の多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、またはジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0078】
糖類またその誘導体としては、例えば、α−メチルグルコシド、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトースまたはシュークロース等が挙げられる。
1〜3個の水酸基を有する炭素原子数6〜20の芳香族化合物類としては、例えば、フェノール、2−ナフトール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA等が挙げられる。
【0079】
2〜8個の末端を有しその末端に1〜8個の水酸基を有するポリアルキレンオキサイド類としては、たとえば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドまたはそれらのコポリマー等が挙げられる。
【0080】
これらの(b)活性水素化合物のうち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、ソルビトールが好ましく、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、ソルビトールがより好ましく、ジプロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールが特に好ましい。前記(b)活性水素化合物は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0081】
(アルキレンオキサイド化合物)
ポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる、アルキレンオキサイド化合物としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0082】
これらのアルキレンオキサイド化合物のうち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイドまたはスチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。前記アルキレンオキサイド化合物は1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0083】
2種以上のアルキレンオキサイド化合物を用いる場合には、エチレンオキサイドが含まれることが好ましく、アルキレンオキサイド100質量%中のエチレンオキサイドの比率は5〜30質量%とすることが好ましい。
【0084】
<ポリマー分散ポリオール>
本発明にはポリマー分散ポリオールを用いてもよい。本発明において、ポリマー分散ポリオール(ポリマーポリオールともいう)とは、アクリロニトリルやスチレン等の不飽和結合を有する化合物をアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いて、ポリオール中で分散重合させて得られた一部グラフト体を含むビニルポリマー(以下、単にポリマー微粒子ということがある)の分散体を意味する。
【0085】
ここで用いられるポリオールは、前記ポリオキシアルキレンポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリマー分散ポリオールは、その平均粒子径が0.1〜10マイクロメートルであることが好ましい。本発明で用いるポリマーポリオールでは、ポリオキシアルキレンポリオール中に占めるビニルポリマー(ポリマー微粒子)の割合は、通常、好ましくは2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量%であることが望ましい。
【0086】
なお、前記不飽和結合を有する化合物とは、分子中に不飽和結合を有する化合物であり、たとえば、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。これらは1種単独で、または複数を混合して用いることができる。またポリマー分散ポリオールを製造する際には、分散安定剤や連鎖移動剤等を併用することができる。
ポリマー分散ポリオールの使用量は、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対し、0〜40重量部であることが好ましい。
【0087】
<その他の添加剤>
本発明に用いることが可能なその他の添加剤としては、架橋剤、難燃剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は本発明の目的を損なわない量で用いられる。
【0088】
(架橋剤)
本発明においては、その他の添加剤として架橋剤を用いることができる。
前記架橋剤を使用する場合には、好ましくは水酸基価が200〜1800mgKOH/gである化合物を架橋剤として用いる。
【0089】
前記架橋剤としては、たとえばグリセリン等の脂肪族多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類などの従来公知の低分子多価アルコール類が挙げられる。
【0090】
また、水酸基価が200〜1800mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールも架橋剤として用いることができる。なお、従来公知の架橋剤も用いることができる。このような架橋剤を使用する場合は、原料として用いるポリオールの合計100質量部に対して、0.5〜10質量部の量を用いることが好ましい。
【0091】
[ポリウレタンフォームの製造方法]
本発明のポリウレタンフォームは、前述のポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤を原料として製造される。
【0092】
ポリウレタンフォームの製造方法に用いられる原料としては、前記[ポリウレタンフォーム]の項で記載したものを用いることができる。
ポリウレタンフォームの製造方法は、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール、水、触媒、整泡剤およびポリイソシアネートを混合した混合液を、反応させることにより行われる。なお、前記反応により発泡や、硬化が起こりポリウレタンフォームが得られる。
【0093】
前記混合は、例えば高圧発泡機、低圧発泡機を用いて行うことが可能である。また、前記反応は、金型中で行うことができる。すなわち、前記混合液を金型に注入して反応させた後、得られたポリウレタンフォームを離型するモールド発泡法により、本発明のポリウレタンフォームを製造することができる。
【0094】
モールド発泡法としては、例えば、コールドキュアモールドフォーム法やホットキュアモールドフォーム法などを用いることができる。
一例として、レジンプレミックス作製工程を経由するコールドキュアモールドフォーム法について記載する。該方法は、レジンプレミックスとポリイソシアネートとを所定の比率で高圧発泡機または低圧発泡機を用いて混合した混合液を、30〜80℃にあらかじめ温度調節がされた金型に注入して反応させてから離型することで一定形状のポリウレタンフォームを得ることができる方法である。
【0095】
なお、レジンプレミックスとは、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール等の活性水素を有する化合物と、ポリイソシアネート以外の任意の原料とを予め混合することにより得られる混合物である。レジンプレミックスを調製した後に、該レジンプレミックスと、ポリイソシアネートとを混合すると、均一に発泡したポリウレタンフォームを得ることができる。
【0096】
なお、有機錫化合物のように加水分解性を示す化合物を触媒として用いる場合には、水との接触を避けるため水成分と有機スズ触媒成分とを別系とし、発泡機の混合ヘッドで混合することが好ましい。
【0097】
本発明のポリウレタンフォームは、半硬質ポリウレタンフォームであることが好ましい。
本発明のポリウレタンフォームは、薄型モールド内での液流れ性等の成型性、硬化性に優れる原料から製造されるため、インストルメントパネル、ドアートリム、アームレスト、ヘッドレスト等の自動車内装材部品として好適に用いられる。
【実施例】
【0098】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔試験方法〕
<水酸基価(OHV)>
実施例、比較例で用いた、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、および活性水素を保有するその他の原料の水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K−1557−1記載の方法に準拠して測定を行った。
【0099】
<酸価>
実施例、比較例で用いた、(B)植物由来ポリオールの酸価(mgKOH/g)は、JIS K−1557−5記載の方法に準拠して測定を行った。
【0100】
<イソシアネート基含有率>
実施例、比較例で用いた、ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は、JIS K−1603記載の方法に準拠して測定を行った。イソシアネート基含有率は、NCO%とも記す。
【0101】
<イソシアネートインデックス>
実施例、比較例で用いたポリイソシアネート中のイソシアネート基の総数を、レジンプレミックス中の活性水素の総数で除して100を乗じることにより、イソシアネートインデックスを算出した。
【0102】
なお、イソシアネート基の総数は、前記イソシアネート基含有率およびポリイソシアネートの仕込み量から以下の式(I)によって算出した。
イソシアネート基の総数=イソシアネート基含有率×ポリイソシアネートの仕込み量/4202 ・・・(I)
また、レジンプレミックス中の活性水素の総数は、各成分の水酸基価および各成分の仕込み量から求めた、各成分の活性水素数の総和として算出した。なお各成分の活性水素数は、以下の式(II)によって算出した。
【0103】
各成分の活性水素数=各成分の水酸基価×各成分の仕込み量/56100 ・・・(II)
なお、水の水酸基価としては、計算上の水酸基価、6233mgKOH/gを用いた。
【0104】
<ポリウレタンフォーム中の植物由来ポリオール使用量>
実施例、比較例で得られたポリウレタンフォームを製造する際に用いた(B)植物由来ポリオールの量を、レジンプレミックスとイソシアネートとの総量中にしめる(B)植物由来ポリオール割合として算出した。
【0105】
<フォーム密度>
実施例、比較例で得られたポリウレタンフォームの、フォーム密度(フォームの全密度)(kg/m3)は、JIS K−6400記載の方法に準拠して測定を行った。
【0106】
<表面硬度>
実施例、比較例で得られたポリウレタンフォームの、表面硬度は、アスカータイプC硬度計(アスカー社製)を用いて測定を行った。
【0107】
<引張強度、伸び>
実施例、比較例で得られたポリウレタンフォームの、引張強度及び伸びはJIS K−6400記載の方法に準拠して測定を実施した。
【0108】
<引裂強度>
実施例、比較例で得られたポリウレタンフォームの、引裂強度は、JIS K−6400記載の方法に準拠して測定を実施した。
【0109】
<キュアー性評価>
各実施例、比較例において、キュアー性は以下の方法で評価した。
内寸が横200mm、縦1000mm、厚み10mmのクローズタイプの金型を使用した。
【0110】
予め40℃に温度を調節した金型の端の注入口からレジンプレミックスとポリイソシアネートとの混合液を注入し90秒間硬化させた。90秒後に蓋を開け、成型された半硬質ポリウレタンフォームが金型に入っている状態で、ウレタンフォームの上から直径25mmの球状の物体を2.5kg/cm2の力で5秒間押し込んだ。押し込みは、蓋開け直後(注入から90秒後)、蓋開けから10秒後(注入から100秒後)、蓋開けから20秒後(注入から110秒後)、蓋開けから30秒後(注入から120秒後)の4回、場所をかえて行った。4回の押し込み終了後、半硬質ポリウレタンフォームを金型から取り出し、常温で24時間放置した後、押し込み部分の変形(mm)を測定した。
【0111】
なお、前記レジンプレミックスは、A)3級アミンを含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール、水、触媒、整泡剤および架橋剤を表1、2に記載の量で混合することにより得た。なお、表1、2中の数値は重量部を示す。また、このときのNCOインデックスは105とした。レジンプレミックス100gに対するポリイソシアネートの必要量を表3および表4に示す。
【0112】
<成型性評価>
実施例、比較例で得られたポリウレタンフォームの表面および内部の成型性評価を目視にて実施した。成型性評価の判断基準は以下の通り。
レベル1:ボイドが多発、ピンホールあり
レベル2:ボイド3個以上、ピンホールあり
レベル3:ボイド1〜2個、ピンホールあり
レベル4:ボイドなし、ピンホールあり
レベル5:ボイドなし、ピンホールなし
【0113】
なお、ボイドとは、ウレタンが発泡過程で金型内を流れる際に空気を巻き込こむことにより発生する比較的大きな気泡であり、主にフォームの内部に存在する。
また、ピンホールとは、ウレタンの発泡過程で成長した泡同志が融合することで発生する微細な気泡であり、主にウレタン表面に存在する。
【0114】
〔(B)植物由来ポリオール〕
((B−1)植物由来ポリオール)
グリセリン49.9gおよび、炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸として、ひまし油から得られるリシノレイン酸を主成分として含有するひまし油脂肪酸(酸価188mgKOH/g)950.1gを仕込み、それらの総量に対して100ppmwのチタンラクテート〔(HO)2Ti(C3532〕を触媒として添加した。
【0115】
ついで、200〜230℃の範囲で30時間縮合反応を行った。縮合反応にて発生する水は、連続的に系外に除去させながら反応させ、植物由来ポリオール(B−1)を得た。
得られた植物由来ポリオール(B−1)の水酸基価は、75mgKOH/gであり、酸価は1.5mgKOH/gであった。
【0116】
((B−2)植物由来ポリオール)
グリセリン63.2gおよび、炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸として、ひまし油から得られるリシノレイン酸を主成分として含有するひまし油脂肪酸(酸価188mgKOH/g)936.8gを仕込み、それらの総量に対して100ppmwのチタンラクテート〔(HO)2Ti(C3532〕を触媒として添加した。
【0117】
ついで、200〜230℃の範囲で30時間縮合反応を行った。縮合反応にて発生する水は、連続的に系外に除去させながら反応させ、植物由来ポリオール(B−2)を得た。
得られた植物由来ポリオール(B−2)の水酸基価は、100mgKOH/gであり、酸価は1.4mgKOH/gであった。
【0118】
((B−3)植物由来ポリオール)
ペンタエリスリトール1モルにエチレンオキサイドを4モル付加した誘導体153.3gおよび、炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸として、ひまし油から得られるリシノレイン酸を主成分として含有するひまし油脂肪酸(酸価188mgKOH/g)846.7gを仕込み、それらの総量に対し100ppmwのチタンラクテート〔(HO)2Ti(C3532〕を触媒として添加した。
【0119】
ついで、200〜230℃の範囲で30時間縮合反応を行った。縮合反応にて発生する水は、連続的に系外に除去させながら反応させ、植物由来ポリオール(B−3)を得た。
得られた植物由来ポリオール(B−3)の水酸基価は、78mgKOH/gであり、酸価は1.7mgKOH/gであった。
【0120】
((B−4)植物由来ポリオール)
グリセリン37.7gおよび、炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸として、ひまし油から得られるリシノレイン酸を主成分として含有するひまし油脂肪酸(酸価188mgKOH/g)962.3gを仕込み、それらの総量に対し100ppmwのチタンラクテート〔(HO)2Ti(C3532〕を触媒として添加した。
【0121】
ついで、200〜230℃の範囲で30時間縮合反応を行った。縮合反応にて発生する水は、連続的に系外に除去させながら反応させ、植物由来ポリオール(B−4)を得た。
得られた植物由来ポリオール(B−4)の水酸基価は、50mgKOH/gであり、酸価は2.5mgKOH/gであった。
【0122】
((B−5)植物由来ポリオール)
ソルビトール1モルにプロピレンオキサイドを11モル付加した誘導体203.7gおよび、炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸として、ひまし油から得られるリシノレイン酸を主成分として含有するひまし油脂肪酸(酸価188mgKOH/g)796.3gを仕込み、それらの総量に対し100ppmwのチタンラクテート〔(HO)2Ti(C3532〕を触媒として添加した。
【0123】
ついで、200〜230℃の範囲で30時間縮合反応を行った。縮合反応にて発生する水は、連続的に系外に除去させながら反応させ、植物由来ポリオール(B−5)を得た。
得られた植物由来ポリオール(B−5)の水酸基価は、67mgKOH/gであり、酸価は1.8mgKOH/gであった。
【0124】
((B−6)植物由来ポリオール)
植物由来ポリオールとして、ヒマから搾油されたひまし油を精製した植物由来ポリオール(B−6)を用いた。植物由来ポリオール(B−6)の水酸基価は、160mgKOH/gであり、酸価は0.3mgKOH/gであった。
【0125】
〔(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール〕
((A−1)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール)
下記式1で表わされるメチルアミン・1,6−ヘキサンジオール重縮合物1モルに、水酸化カリウム0.37モルを加え、100℃にて6時間減圧脱水した後、プロピレンオキサイド46モルを加え、反応温度115℃、最大反応圧力0.5MPaで付加重合を行い、プロピレンオキサイド付加物を得た。ついで、プロピレンオキサイド付加物に、エチレンオキサイド15モルを加え、反応温度115℃、最大反応圧力0.4MPaで付加重合を行い、3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール(A−1)を得た。
【0126】
得られた3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール(A−1)の水酸基価は28mgKOH/gであった。
また、得られた3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール(A−1)100wt%中の、エチレンオキサイドに由来する構造単位の重量は、20.0wt%であった。
(式1):HO−(C612−N(CH3))m−C612−OH
式1において、mは3〜5である。
【0127】
〔他のポリオール〕
(ポリオキシアルキレンポリオール)
グリセリン1モルに、水酸化カリウムを0.37モルを加え、100℃にて6時間減圧脱水した後、プロピレンオキサイドを101モル加えて反応温度80℃、最大反応圧力3.8kg/cm2で付加重合させた。次いでプロピレンオキサイド付加物に、エチレンオキサイドを24モル加えて反応温度115℃、最大反応圧力0.4MPaで付加重合を行い、水酸基価24mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0128】
また、得られたポリオキシアルキレンポリオール100wt%中の、末端エチレンオキサイドに由来する構造単位の重量は、14.5wt%であった。
〔ポリイソシアネート〕
コスモネートM−200(三井化学株式会社製)(クルードポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)1000gに対して、前述の方法で得られた水酸基価24mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオール190g仕込み、80℃で3時間反応させ、末端NCO基を有するプレポリマーを得た。得られたプレポリマーのNCO%は26%であった。
【0129】
〔触媒〕
触媒1 : N,N,N'-トリメチル-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン
(エアープロダツ株式会社製 ポリキャット17)。
触媒2 : ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(活材ケミカル株式会社製 MINICO−TMDA)。
触媒3 : トリエチルアミン(太陽日産株式会社製 トリエチルアミン)
【0130】
〔整泡剤〕
整泡剤1 : DC2525(エアープロダクツ株式会社製)
〔その他添加剤〕
架橋剤1 : ジエタノールアミン(三井化学株式会社製)水酸基価1600mgKOH/g
架橋材2 : トリエタノールアミン(三井化学株式会社)水酸基価1130mgKOH/g
【0131】
〔実施例1〜11、比較例1〜4〕
実施例および比較例において、内寸が横200mm、縦1000mm、厚み10mmのクローズタイプの金型を使用した。
(A)3級アミンを含むポリエーテルポリオール、(B)植物由来ポリオール、水、触媒、整泡剤および架橋剤を表1、2に記載の量で混合し、レジンプレミックスを得た。なお、表1、2中の数値は重量部を示す。
【0132】
予め40℃に温度を調節した金型の端の注入口からレジンプレミックスとポリイソシアネートとの混合液を注入し90秒間硬化させ、金型から取り出し半硬質ポリウレタンフォームを作製した。
【0133】
このときのNCOインデックスは105とした。レジンプレミックス100gに対するポリイソシアネートの必要量を表3および表4に示す。
得られた半硬質ポリウレタンフォームの、フォーム密度、成型性、表面硬度、引張強度、伸びおよび引き裂き強度を前述の方法で評価した。結果を表3、4に示す。
【0134】
また、各レジンプレミックスおよび前記ポリイソシアネートを用いて、前記<キュアー性評価>の項に従い、キュアー性の評価を行った。結果を表3、4に示す。
実施例1〜11で得られた半硬質ポリウレタンフォームは、(B)植物由来ポリオールを原料として用いるため、環境負荷低減に寄与することが可能であり、良好な硬化性(キュアー性)および成型性を両立することが出来る。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明によれば、植物由来ポリオールを有効活用することで環境負荷低減に寄与することが可能であり、また硬化性(キュアー性)、表面性に優れた半硬質ポリウレタンフォームを製造することが出来る。
【0140】
本発明の植物由来ポリオールを原料として用いる半硬質ポリウレタンフォームは、車両用内装材部品、例えばインストルメントパネル、ドアートリム、アームレスト、ヘッドレスト等に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート、
(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、
(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、
水、触媒、および整泡剤を原料として製造されるポリウレタンフォームであり、
前記(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネート誘導体から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートである請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、整泡剤およびポリイソシアネートを混合した混合液を、反応させるポリウレタンフォームの製造方法であり、
前記(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3〜4個の水酸基を有する多価アルコールと、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60〜110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2011−68719(P2011−68719A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219144(P2009−219144)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】