説明

ポリウレタンフォームおよび発泡された熱可塑性プラスチックの製造

【課題】ポリウレタンフォームおよび発泡熱可塑性プラスチック、殊にポリスチロール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルまたはPETを製造する方法を提供すること。
【解決手段】発泡剤として、ペンタフルオルブタン、有利にペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)およびジフルオルメタン(HFC−32);ジフルオルエタン、有利に1,1−ジフルオルエタン(HFC−152a);1,1,2,2−テトラフルオルエタン(HFC−134);1,1,1,2−テトラフルオルエタン(HFC−134a);ヘキサフルオルプロパン、有利に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236ea);ヘプタフルオルプロパン、有利に1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)、低沸点のハロゲン化されていてよい炭化水素;低沸点のハロゲン化されていてよいエーテルを含む群から選ばれた少なくとも1つの他の発泡剤を含有するかまたは該発泡剤から成る組成物が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン硬質フォームおよび発泡された硬質熱可塑性プラスチックの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡材料は、断熱性建築材料もしくは防音性建築材料として使用される。液化CO2を基礎とする発泡剤を有する一成分ポリウレタンフォームおよび多成分ポリウレタンフォームの製造は、WO96/14354に開示されている。
【0003】
発泡された熱可塑性プラスチックは、例えば板の形で断熱性建築部材もしくは防音性建築部材として使用されることができる。米国特許第5276063号明細書には、1,1−ジフルオルエタンならびに他の発泡剤を僅かな蒸気圧およびなお高い溶解度で溶融されたポリマー中に備えている発泡剤混合物を使用しながら押し出された独立気泡のアルケニル芳香族ポリマーを製造する方法が開示されている。適当なアルケニル芳香族ポリマーは、例えばスチロール、α−メチルスチロール、エチルスチロール、ビニルベンゾール、ビニルトルオール、クロルスチロールおよびブロムスチロールのポリマーである。これらのポリマーは、望ましくは共重合体、例えばアクリル酸、アクリルニトリルまたはブタジエンを有することができる。米国特許第5204169号明細書には、2個のC原子を有するポリフルオル化された炭化水素を使用しながら発泡された熱可塑性ポリマー、例えばポリスチロールを製造することが開示されている。発泡された材料は、殊に食品の包装に適している。欧州特許出願公開第0436847号明細書には、ポリフェニレンエーテル樹脂を基礎とする発泡された熱可塑性成形体の製造が開示されている。発泡剤としては、炭化水素が推奨される。また、1または2個の炭素原子を有するハロゲン化された炭化水素も使用可能であることが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第96/14354号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5276063号明細書
【特許文献3】米国特許第5204169号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0436847号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、選ばれた新規種類の好ましい発泡剤を用いてポリウレタン硬質発泡材料を製造するための方法を記載することである。更に、本発明の課題は、新規種類の好ましい発泡剤を用いて発泡された硬質熱可塑性プラスチックを製造するための方法を記載することである。この課題は、本発明の方法および発泡剤によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
出発点は、ペンタフルオルブタン、特に1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)が一定の他の発泡剤との混合物でポリウレタン硬質発泡材料および発泡された硬質熱可塑性プラスチックの製造に極めて良好に好適な組成物を生じるという意外な認識である。
【0007】
発泡剤を用いてポリウレタン硬質発泡材料および発泡された硬質熱可塑性プラスチックを製造するための本発明による方法には、発泡剤として、a)ペンタフルオルブタン、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)およびb)低沸点の脂肪族炭化水素、エーテルおよびハロゲン化エーテル;ジフルオルメタン(HFC−32);ジフルオルエタン、有利に1,1−ジフルオルエタン(HFC−152a);1,1,2,2−テトラフルオルエタン(HFC−134);1,1,1,2−テトラフルオルエタン(HFC−134a);ペンタフルオルプロパン、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);ヘキサフルオルプロパン、有利に1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236ea)または1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);ヘプタフルオルプロパン、有利に1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)を含む群から選ばれた少なくとも1つの他の発泡剤を含有するかまたは該発泡剤から成る組成物を使用することが設けられている。
【0008】
1つの実施態様によれば、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパンならびにb)に記載の発泡剤の少なくとも1つを有する発泡剤が使用される。
【0009】
好ましいのは、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタンをa)に記載の成分として有する実施態様である。
【0010】
従って、本発明による方法には、好ましくは発泡剤として、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)および低沸点の脂肪族炭化水素、エーテルおよびハロゲン化エーテル;ジフルオルメタン(HFC−32);ジフルオルエタン、有利に1,1−ジフルオルエタン(HFC−152a);1,1,2,2−テトラフルオルエタン(HFC−134);1,1,1,2−テトラフルオルエタン(HFC−134a);ペンタフルオルプロパン、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);ヘキサフルオルプロパン、有利に1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236ea)または1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);およびヘプタフルオルプロパン、有利に1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)を含む群から選ばれた少なくとも1つの他の発泡剤を含有するかまたは該発泡剤から成る組成物を使用することが設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
”低沸点の炭化水素”の概念は、70℃未満、有利に55℃未満の沸点を有する化合物を意味する。適当な炭化水素は、2〜6個のC原子を有するもの、例えばエタン、プロパン、ブタン、ペンタンおよびヘキサンならびにこれらの混合物である。この場合、異性体純粋の化合物または種々の異性体の混合物を使用することができる。”ブタン”は、n−ブタンとイソブタンとの混合物である。かかる混合物は、市販されている。純粋なn−ブタンもしくはイソブタンまたはこれらの任意の組成の混合物も使用可能であるが、しかし、極めて高価である。同様のことは、高級類似物、例えばペンタン等についても云える。
【0012】
発泡剤組成物は、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン5〜95質量%、殊に10〜70質量%を含有する。
【0013】
また、本発明による方法に使用するのに好適なのは、HFC−365mfcおよび上記bに記載された発泡剤の1つ以上、例えば弗素化炭化水素もしくは炭化水素の他に、さらに液化された二酸化炭素を含有する発泡剤組成物である。更に、好ましくは、発泡剤組成物中にCO22〜50質量%が含有されている。更に、発泡剤組成物は、なお製造すべき炭化水素の性質を変性する添加剤を30質量%まで含有することができる。
【0014】
発泡剤として極めて好適なのは、例えば次のものを含有していてよいかまたは次のものからなっていてよい以下の組成物である(例示的に組成については、括弧内に質量部で記載されている):
− HFC−365mfcおよびHFC−152a(70:30);
− HFC−365mfcおよびHFC−32(70:30);
− HFC−365mfc、HFC−152aおよびCO2(60:30:10);
− HFC−365mfc、HFC−32およびCO2(60:30:10);
− HFC−365mfc、HFC−152aおよびブタン(60:30:10);
− HFC−365mfc、HFC−32およびブタン(60:30:10);
− HFC−365mfc、HFC−152aおよびHFC−134a(60:25:15);
− HFC−365mfc、HFC−32およびHFC−134a(60:25:15);
− HFC−365mfcおよびジメチルエーテル(80:20);
− HFC−365mfcおよびペンタン(50:50);
− HFC−365mfcおよびプロパン(70:30);
− HFC−365mfcおよびエタン(90:10);
− HFC−365mfc、ペンタンおよびCO2(45:45:10);
− HFC−365mfc、ブタンおよびCO2(50:40:10);
− HFC−365mfc、プロパンおよびCO2(70:20:10);
− HFC−365mfc、エタンおよびCO2(90:5:5)。
【0015】
好ましい発泡剤組成物は、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタンおよびジフルオルメタンおよび/または1,1−ジフルオルエタンを含有するか、またはこの好ましい発泡剤組成物は、前記化合物から成る。特に好ましくは、HFC−365mfc 10〜70質量%およびHFC−152aおよび/またはHFC−32 90〜30質量%を含有するかまたはこれらのものから成る組成物が使用される。
【0016】
次に、PU硬質フォームの製造をさらに詳説する。
【0017】
特に良好使用しうる難燃剤には、例えば反応性難燃剤、例えば臭素化ポリオールが属する。同様に適しているのは、有機燐化合物を基礎とする難燃剤、例えば燐酸エステルおよびホスホン酸エステルである。これらは、1個以上のハロゲン原子によって置換されていてもよい有機基を有する。有機基は、脂肪族または芳香族の性質を有することができる。極めて好適なのは、1または2個のハロゲン原子を有していてよい3個のC1〜C6−アルキル基によって置換されている燐酸エステルおよびホスホン酸エステル、例えばトリスクロルイソプロピルホスフェート、トリスクロルエチルホスフェート、トリスクロルプロピルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、トリスジクロルイソプロピルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、有利にトリスクロルプロピルホスフェートである。
【0018】
ポリウレタン硬質発泡材料を製造するための本発明による方法の1つの実施態様には、a)HFC−365mfcおよびb)1,1,1,2−テトラフルオルエタン(HFC−134a);1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)がCO2、低沸点のハロゲン化されていてよい炭化水素、エーテルまたはハロゲン化エーテルを全く含有しない場合には、発泡剤組成物は、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン50質量%未満および1,1,1,2−テトラフルオルエタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン50質量%超を含有するかまたはこれらのものから成ることが設けられている。
【0019】
本発明による方法において使用される発泡剤組成物の有効量は、手による簡単な試験によって測定されることができる。好ましくは、発泡剤組成物は、発泡させるべきプラスチックもしくは前生成物(ポリオール、イソシアネート、助剤)および発泡剤組成物から成る全混合物に対して1〜50質量%の量で使用される。
【0020】
本発明のもう1つの対象は、気泡中の本発明による方法において使用すべき発泡剤組成物の含量によって特徴付けられる本質的に独立気泡のポリウレタン硬質発泡材料である。
【0021】
かかる発泡材料の製造およびそのために使用可能な基礎材料ならびにフォーム製造の種類は、欧州特許出願公開第0381986号明細書;”Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry”, 第5版, 第A21巻, 第665〜680頁;国際特許出願WO 92/00345、96/30439、96/14354およびドイツ連邦共和国特許出願公開第4422714号明細書A1に開示されている。例えば、2〜4個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが使用される。
【0022】
このポリイソシアネートは、18個までのC原子を有する脂肪族炭化水素基、15個までのC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個のC原子を有する芳香族炭化水素基または8〜15個のC原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を有する。工業的に特に好ましい出発成分は、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらの混合物である。また、カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、尿素基またはビウレット基を有する所謂”変性されたポリイソシアネート”が使用されてもよい。
【0023】
他の出発成分は、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物である。殊に、有利に2〜8個のヒドロキシル基を有しかつさらにアミノ基、チオール基またはカルボキシル基を有していてもよい400〜10000の分子量を有する化合物が重要である。
【0024】
場合によっては、他の助剤および添加剤が共用されてもよい。例えば、付加的に化学的発泡剤、例えば水が使用されてもよいし、別の易揮発性有機物質が物理的発泡剤が使用されてもよい。また、触媒、例えば第三アミン、例えばジメチルシクロヘキシルアミンおよび/または有機金属化合物を使用することもできる。界面活性添加剤、例えば乳化剤または気泡安定剤、例えばシロキサンポリエーテル共重合体、反応遅延剤、細胞調節剤、例えばパラフィン、脂肪アルコールもしくはジメチルポリシロキサン、顔料、着色剤、難燃剤、例えば燐酸エステルもしくはホスホン酸エステル、例えばトリスクロルイソプロピルホスフェートが使用されてもよい。更に、老化および気候の影響に抗する安定剤、可塑剤、充填剤、着色剤、静電防止剤、核化剤、気泡調節剤または殺生物作用を有する作用物質が使用可能である。
【0025】
好適な触媒は、例えば国際特許出願WO 96/14354に記載されている。これには、有機アミン、アミノアルコールおよびアミノエーテル、例えばモルホリン化合物、例えばジメチルシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチル−3−ジメチルアミノプロピルエーテル、2−ジメチルアミノエチルエーテル、2,2−ジモルホリノジエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、N−ジメチルモルホリンが挙げられる。また、金属有機化合物、例えば錫化合物、コバルト化合物または鉄化合物は、触媒として使用可能である。使用可能なのは、例えばジオクタン酸錫、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジラウレートおよび鉄アセトニルアセテートである。
【0026】
発泡剤は、助剤および添加剤、例えば水、1つ以上の触媒、難燃剤、乳化剤、気泡安定剤、結合剤、架橋剤、UV安定剤、核化剤および場合によっては他の発泡ガスを含有することができる。発泡剤には、例えばポリオールおよびポリイソシアネートまたはジイソシアネートから成るプレポリマーが添加されてよく、さらに発泡される。
【0027】
本発明方法について好ましいのは、第1に同様に本発明に属する使用された発泡剤組成物がODP、GWPおよびフォトスモッグ(Photosmog)の点で好ましい性質を有することにある。発泡剤として純粋な炭化水素を用いて製造されたポリウレタン発泡材料と比較した場合には、本発明方法により製造された発泡材料は、良好な熱伝導率を示す。
【0028】
本発明方法により得ることができるポリウレタン硬質発泡材料の特殊な利点は、低い温度の場合、多くの場合に約15℃を下廻る温度で効力を生じることにある。意外なことに、本発明方法により得ることができるポリウレタン硬質発泡材料は、純粋な炭化水素から製造された発泡材料よりも有利な熱伝導率(即ち、熱移行がよりいっそう低い)を有するだけでなく、純粋なペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)を有する発泡材料と比較した場合であっても熱伝導率は僅かである。ペンタフルオルブタン、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタンおよび上記に他の発泡剤の少なくとも1つを有する発泡剤混合物を有する十分に独立気泡のポリウレタン硬質発泡材料において、熱伝導率、即ち熱遮断能に関連して使用された発泡剤混合物の相乗効果は顕著なものである。従って、ペンタフルオルブタン、有利にHFC−365mfcおよび上記の発泡剤の少なくとも1つの他のものを使用しながら得ることができるポリウレタン硬質発泡材料は、約15℃を下廻る温度範囲内での冷気に対して遮断するのに特に好適である。
【0029】
次に、熱可塑性硬質フォームの製造をさらに詳説する。
【0030】
本発明による方法を用いた場合には、例えばポリマーアルケニル芳香族化合物を基礎とする上記の米国特許第5204169号明細書および米国特許第5276063号明細書に記載の熱可塑性プラスチックおよびポリフェニレンエーテル化合物を基礎とする欧州特許出願公開第0436847号明細書に記載の熱可塑性プラスチックを発泡させることができる。また、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリプロピレンを基礎とする熱可塑性プラスチックも発泡可能である。特に好ましくは、本発明による方法においてポリスチロール、ポリエチレンおよびポリプロピレンを基礎とする発泡させるべき熱可塑性プラスチックが使用される。熱可塑性プラスチックとしてポリスチロールを使用することは、特に好ましい。
【0031】
ポリスチロールまたはポリエチレンを基礎とするプラスチックを製造するための本発明による方法の1つの実施態様には、a)HFC−365mfcおよびb)1,1,1,2−テトラフルオルエタン(HFC−134a);1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)がCO2を全く含有しない場合には、発泡剤組成物は、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン50質量%未満および1,1,1,2−テトラフルオルエタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン50質量%超を含有するかまたはこれらのものから成ることが設けられている。同様の条件は、低沸点のハロゲン化されていてよい炭化水素、塩素およびハロゲン化エーテルの群からの他の発泡剤が全く含有されていない場合には、前記の実施態様にも当てはまる。好ましい発泡剤については、PUフォームの上記の実施態様が当てはまる。
【0032】
好ましくは、発泡剤組成物は、発泡させるべき熱可塑性プラスチックと発泡剤組成物との全混合物に対して1〜30質量%の量で使用される。
【0033】
本発明のもう1つの対象は、本発明による方法で使用されてよい発泡剤組成物である。この発泡剤組成物は、a)ペンタフルオルブタン、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)およびb)低沸点の脂肪族炭化水素、エーテルおよびハロゲン化エーテル;ジフルオルメタン(HFC−32);ジフルオルエタン、有利に1,1−ジフルオルエタン(HFC−152a);ペンタフルオルプロパン、有利に1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);ヘキサフルオルプロパン、有利に1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236ea)または1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);およびヘプタフルオルプロパン、有利に1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)を含む群から選ばれた少なくとも1つの他の発泡剤を含有するかまたは該発泡剤から成る。1つの好ましい組成物は、a)1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)およびb)エタン、プロパン、ブタン、ペンタン;ジフルオルメタン(HFC−32);ジフルオルエタン(HFC−152a);1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)を含む群から選ばれた少なくとも1つの他の発泡剤を含有するかまたは該発泡剤から成る。この好ましい組成物は、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)有利に5〜95質量%、殊に10〜70質量%を含有する。
【0034】
極めて良好に好適な組成物は、次のもの:
HFC−365mfcおよびHFC−152a;HFC−365mfcおよびHFC−32;HFC−365mfc、HFC−152aおよびCO2;HFC−365mfc、HFC−32およびCO2;HFC−365mfc、HFC−152aおよびブタン;HFC−365mfc、HFC−32およびブタン;HFC−365mfc、HFC−32およびHFC−134a;HFC−365mfcおよびジメチルエーテル;HFC−365mfcおよびペンタン;HFC−365mfcおよびプロパン;HFC−365mfcおよびエタン;HFC−365mfc、ペンタンおよびCO2;HFC−365mfc、ブタンおよびCO2;HFC−365mfc、プロパンおよびCO2;HFC−365mfc、エタンおよびCO2を含有するかまたはこれらのものから成る。
【0035】
1つの好ましい実施態様によれば、発泡剤組成物は、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン(HFC−365mfc)およびジフルオルメタンおよび/または1,1−ジフルオルエタン(HFC−152a)を含有するか、或いは、この発泡剤組成物は、前記化合物から成る。殊に、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン10〜70質量%および1,1−ジフルオルエタンまたはジフルオルメタン90〜30質量%を含有しているか、或いは、この発泡剤組成物は、記載された量範囲内で前記成分から成る。
【0036】
また、発泡剤組成物は、液化された二酸化炭素2〜50質量%をなお含有していてよい。
【0037】
発泡剤組成物の1つの実施態様は、a)HFC−365mfcおよびb)1,1,1,2−テトラフルオルエタン(HFC−134a);1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパン(HFC−236fa);または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン(HFC−227ea)がCO2を全く含有しない場合には、発泡剤組成物は、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン50質量%未満および1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオルプロパンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオルプロパン50質量%超を含有するかまたはこれらのものから成ることが設けられている。同様の条件は、低沸点の脂肪族炭化水素、エーテルおよびハロゲン化エーテルの群からの他の発泡剤が全く含有されていない場合には、前記の実施態様にも当てはまる。
【0038】
本発明のもう1つの対象は、気泡中の本発明による発泡剤組成物の含量によって特徴付けられる本質的に独立気泡の発泡された硬質プラスチックである。殊に、有利にポリスチロール、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVCまたはPET、殊にポリスチロールを基礎とする、本質的に独立気泡の発泡された硬質熱可塑性プラスチックは重要である。
【0039】
本発明による方法を用いて得ることができる熱可塑性の硬質発泡材料は、例えば発泡剤としてのHFC−134aの使用と比較して、改善された独立気泡性を有するという利点を示す。ポリスチロールの場合、HFC−134aの単独の使用と比較してポリスチロール溶融液の改善された加工可能性を確立することができる。本発明による発泡剤は、十分な溶解度を有する。本発明による発泡剤は、ODPを全く含有せず、GWPを僅かに含有する。フォトスモッグの形成に対する影響は、極めて僅かである。
【0040】
本発明による硬質発泡材料の特殊な利点は、熱伝導率の点で性質が改善されていることにある。発泡材料の気泡中には、発泡剤としてのHFC−134a、HFC−152aおよびHFC−32の専らの使用と比較して発泡剤の高められた残留含量が存在する。
【実施例】
【0041】
次の実施例につき本発明をさらに詳説するが、しかし、本発明は、この範囲に限定されるものではない。
【0042】
例1:
PU発泡材料の製造
PUR発泡材料の製造のために、出発成分として、エチレンジアミン/酸化プロピレン−ポリエーテル40質量部(OH価480)、ソルビトール/グリセリン/酸化プロピレン−ポリエーテル60質量部(OH価490)、気泡安定剤1質量部(Dow Corning Corp.の型DC193)およびジメチルシクロヘキシルアミン1.5質量部から成るポリオール混合物を使用した。ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート成分として10質量%だけ高められた化学量論的量で使用した。
【0043】
PUR発泡材料を、3つの成分の配量を可能にする、約8kg/分の搬出効率を有する低圧装置上で製造した。混合装置として、静的混合装置を使用した。
【0044】
a)HFC−365mfc/152aの使用
本発明によれば、発泡剤組成物をポリオール成分に対して30質量部の量で使用した。本発明によれば、発泡剤組成物は、HFC−365mfc 70質量部とHFC−134a 30質量部とから成り立っていた。付加的に化学的発泡剤としての水1質量部を共用した。本発明による発泡剤組成物を用いた場合には、微細気泡構造および僅かな収縮で約32kg/m3の密度を有するPUR硬質発泡材料が得られた。
【0045】
b)HFC−365mfc/32の使用
本発明によれば、発泡剤組成物をポリオール成分に対して30質量部の量で使用した。本発明によれば、発泡剤組成物は、HFC−365mfc 80質量部とHFC−32 20質量部とから成り立っていた。付加的に化学的発泡剤としての水1質量部を共用した。本発明による発泡剤組成物を用いた場合には、微細気泡構造および僅かな収縮で約28kg/m3の密度を有するPUR硬質発泡材料が得られた。
【0046】
c)HFC−365mfc/152a/CO2の使用
本発明によれば、発泡剤組成物をポリオール成分に対して22質量部の量で使用した。本発明によれば、発泡剤組成物は、HFC−365mfc 70質量部とHFC−152a 30質量部とから成り立っていた。本発明による発泡剤組成物以外に、ドイツ連邦共和国特許第4439082号明細書に記載の液化された二酸化炭素8質量部を共用した。更に、化学的発泡剤としての水1質量部を共用した。
【0047】
本発明による発泡剤組成物を用いた場合には、微細な気泡構造および僅かな収縮で約26kg/m3の密度を有するPUR硬質発泡材料が得られた。
【0048】
例2:
ポリスチロール発泡材料の製造HFC−365mfc/152aの使用
ポリスチロール200kg(メルトインデックス3.0〜110)を核化剤としてのタルク2kgと混合し、この混合物を常用の押出装置中に供給し、かつ溶融した。押出機の溶融帯域中で、噴射ノズルを介して、ポリスチロールに対して本発明による発泡剤約8質量%をポリスチロール溶融液中に供給した。本発明による発泡剤混合物は、HFC−365mfc 30質量%およびHFC−152a 70質量%を含有していた。
【0049】
混合帯域中で、ポリスチロール溶融液を本発明による発泡剤組成物と均質に混合し、引続き得られた混合物をノズルを介して押し出した。均一の微細な気泡構造を有する独立気泡の発泡材料が得られた。
【0050】
ポリスチロール発泡フィルムならびにポリスチロール発泡板を本発明により製造した。本発明により得られたポリスチロール発泡フィルムは、38kg/m3の密度を有し、本発明による得られたポリスチロール発泡板は、35kg/m3の密度を有していた。
【0051】
b)HFC−365mfc/32の使用
例2a)の記載と同様に、ポリスチロール溶融液中にポリスチロールに対して本発明による発泡剤約6質量%を供給した。本発明による発泡剤組成物は、HFC−365mfc 30質量%およびHFC−32 70質量%を含有していた。
【0052】
本発明により得られたポリスチロールフィルムは、42kg/m3の密度を有し、本発明による得られたポリスチロール発泡板は、39kg/m3の密度を有していた。
【0053】
c)HFC−365mfc/134a/152a
例2a)の記載と同様に、ポリスチロール溶融液中にポリスチロールに対して本発明による発泡剤約8.5質量%を供給した。本発明による発泡剤組成物は、HFC−365mfc 30質量部、HFC−134a 14質量部およびHFC−152a 56質量部を含有していた。
【0054】
本発明により得られたポリスチロールフィルムは、40kg/m3の密度を有し、本発明による得られたポリスチロール発泡板は、38kg/m3の密度を有していた。
【0055】
d)HFC−365mfc/152a/CO2の使用
例2a)の記載と同様に、ポリスチロール溶融液中にポリスチロールに対して本発明による発泡剤約5.5質量%を供給した。本発明による発泡剤組成物は、HFC−365mfc 30質量部およびHFC−152a 70質量部を含有していた。本発明による発泡剤組成物以外に、ドイツ連邦共和国特許第4439082号明細書の記載により、液化された二酸化炭素8質量部を共用した。
【0056】
本発明により得られたポリスチロールフィルムは、36kg/m3の密度を有し、本発明による得られたポリスチロール発泡板は、33kg/m3の密度を有していた。
【0057】
例3:
ポリエチレン発泡材料の製造
a)HFC−365mfc/152aの使用
ポリエチレン200kg(メルトインデックス3.5〜150)をポリスチロールについての例2の記載と同様の条件下で押し出した。ポリエチレンに対して発泡剤混合物約9質量部を供給した。本発明によれば、HFC−365mfc 30質量部とHFC−152a 70質量部とからなる発泡剤組成物を使用した。僅かな収縮で微細な気泡構造を有するポリエチレン発泡管は、38kg/m3の密度を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)10〜70質量%の1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタン、及び、
b)ジフルオルメタン、1,1−ジフルオルエタン、及び、1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパンからなる群から選ばれた少なくとも1つの他の発泡剤
を含有するかまたは該a)及びb)からなる発泡剤
による発泡によって得られたポリウレタン硬質フォームであって、
前記他の発泡剤が1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパンの場合に、前記発泡剤中の、1,1,1,3,3−ペンタフルオルプロパンの含有量が50質量%超であり、1,1,1,3,3−ペンタフルオルブタンの含有量が50質量%未満である、
ポリウレタン硬質フォーム。
【請求項2】
主に独立気泡である、請求項1記載のポリウレタン硬質フォーム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のポリウレタン硬質フォームを含む断熱性又は防音性建築材料。

【公開番号】特開2012−62480(P2012−62480A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256276(P2011−256276)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2007−294614(P2007−294614)の分割
【原出願日】平成11年5月15日(1999.5.15)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】