説明

ポリウレタンフォームの放出を低減させるための方法

【課題】ホルムアルデヒドの放出が低減れたポリウレタンフォームを生じさせ、原料混合物の活性にほとんど影響を与えず、得られるフォームの機械特性(とりわけ、圧縮永久歪みおよび高湿条件下での老化挙動)に悪影響を与えない、ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】(A1)イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、400〜15000の分子量を有する化合物、(A2)必要に応じて、イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、62〜399の分子量を有する化合物、(A3)水および/または物理発泡剤、(A4)必要に応じて、補助物質および添加剤、(A5)少なくとも1個のカルボンアミド基および1個のニトリル基を有する化合物、および(B)ジイソシアネートまたはポリイソシアネートからポリウレタンフォームを製造する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリウレタンフォームがホルムアルデヒドを放出する可能性があることは従来技術から既知であり、このホルムアルデヒドの放出は概して望ましくない。こうした放出は、例えば、VDA 275(ボトル法、3時間、60℃)に従って、あるいはVDA 276(放出チャンバー試験、65℃)に従って測定する過程で検出される。これらのホルムアルデヒド放出は、既に新たに製造されたフォーム中に生じ得、老化過程、特に光酸化によって増加し得る。
【背景技術】
【0002】
EP−A1428847には、アミノ基を有するポリマーの添加によって、ポリウレタンフォームからのホルムアルデヒドの放出を低減させるための方法が記載されている。こうして、ポリビニルアミンの添加の結果として、VDA275によるホルムアルデヒド含有量は検出限界の0.1ppm未満に低下する。このような官能性、特に、アミノ官能性の添加剤の不利な態様は、原料混合物の活性へ影響を与え得ることである。この結果、このような流動挙動としての特性あるいは連続気泡特性はしばしば影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1428847号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる状況下、本発明の目的は、原料混合物の活性にあまり影響を与えず、得られるフォームの機械特性(特に、圧縮永久歪みおよび高湿度条件下での老化挙動)に悪影響を与えない、ホルムアルデヒドの放出が低減されたポリウレタンフォームを生じさせるポリウレタンフォームの製造方法を開発することであった。本発明のさらなる実施態様においては、得られるフォームはさらに、用いる活性剤および添加剤に対して低い移行および放出挙動を示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、上記の技術的課題は少なくとも1個のカルボンアミド基および1個のニトリル基を有する化合物を用いる製造方法を用いることによって達成されることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施態様は、
A1 イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、400〜15000の範囲の分子量を有する化合物
A2 必要に応じて、イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、62〜399の範囲の分子量を有する化合物、
A3 水および/または物理発泡剤、
A4 必要に応じて、補助物質および添加剤、
A5 少なくとも1個のカルボンアミド基および1個のニトリル基を含有する化合物、および
B ジイソシアネートまたはポリイソシアネート
を反応させる工程を含む、ホルムアルデヒドの放出が低減されたポリウレタンフォームの製造方法である。
【0007】
本発明の他の実施態様は、成分A1、A2、A3およびA4の100重量部に対して0.1〜10重量部のA5を用いる上記方法である。
【0008】
本発明の他の実施態様は、成分A1〜A4の重量部の合計に対して、A1が75〜99.5重量部の量で存在し、A2が0〜10重量部の量で存在し、A3が0.5〜25重量部の量で存在し、A4が0〜10重量部の量で存在し、A5が0.1〜10重量部の量で存在し、製造を50〜250の指数で行う、上記方法である。
【0009】
本発明の他の実施態様は、A4が、
a)触媒、
b)表面活性添加剤、および
c)反応抑制剤、気泡調整剤、顔料、染料、防炎剤、老化および風化の影響に対抗する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用物質、充填剤および離型剤およびこれらの混合物からなる群から選択される添加剤
を含む上記方法である。
【0010】
本発明の他の実施態様は、前記触媒が、
a)ウレア、ウレアの誘導体、および/または
b)脂肪族第3級アミン、脂環式第3級アミン、脂肪族アミノエーテル、および/または脂環式アミノエーテル(前記アミンおよびアミノエーテルは前記イソシアネートと化学的に反応する官能基を含有する)
を含む上記方法である。
【0011】
本発明の他の実施態様は、A5が式(I):
【化1】

式(II):
【化2】

式(III):
【化3】

および式(IV):
【化4】

で示される少なくとも1つの化合物を含む上記方法である。
【0012】
本発明は、
A1 イソシアネートに対して反応性である水素原子を有し、400〜15000の分子量を有する化合物、
A2 必要に応じて、イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、62〜399の分子量を有する化合物、
A3 水および/または物理発泡剤、
A4 必要に応じて、補助物質および添加剤、例えば、
a)触媒、
b)表面活性添加剤、
c)顔料または防炎剤など、
A5 少なくとも1個のカルボンアミド基および1個のニトリル基を有する化合物、および
B ジイソシアネートまたはポリイソシアネート
からの、ホルムアルデヒドの放出が低減されたポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0013】
本発明による成分A5の用いる量は合計で、成分A1〜A4の100重量部に対して0.1〜10重量部、好適には0.2〜5重量部になる。
【0014】
本発明は、とりわけ、
成分A:
A1 (成分A1〜A4の重量部の合計に対して)75〜99.5重量部、好適には89〜97.7重量部の、イソシアネートに対して反応性である水素原子を有し、400〜15000の分子量を有する化合物、
A2 (成分A1〜A4の重量部の合計に対して)0〜10重量部、好適には0.1〜2重量部の、イソシアネートに対して反応性である水素原子を有し、62〜399の分子量を有する化合物、
A3 (成分A1〜A4の重量部の合計に対して)0.5〜25重量部、好適には2〜5重量部の水および/または物理発泡剤、
A4 (成分A1〜A4の重量部の合計に対して)0〜10重量部、好適には0.2〜4重量部の補助物質および添加剤、例えば、
a)触媒、
b)表面活性添加剤、
c)顔料または防炎剤など、
A5 (成分A1〜A4の重量部の合計に対して)0.1〜10重量部、好適には0.2〜5重量部の、少なくとも1個のカルボンアミド基および1個のニトリル基を有する化合物、および
成分B:
B ジイソシアネートまたはポリイソシアネート
からの、ホルムアルデヒドの放出が低減されたポリウレタンフォームの製造方法を提供し、製造を50〜250、好適には70〜130、とりわけ75〜115の指数で実施し、本出願中の成分A1〜A4の全重量部データは、組成物中の成分A1+A2+A3+A4の重量部の合計が100となるように規格化されている。
【0015】
驚くべきことに、少なくとも1個のカルボンアミド基と1個のニトリル基を有する化合物(成分A5)がホルムアルデヒド捕捉剤として働くことを見出した。従って、本発明は、ホルムアルデヒドの放出を低減させるために、ポリウレタン組成物中における、またはポリウレタンフォームを製造するための方法における少なくとも1個のカルボンアミド基と1個のニトリル基を有する化合物(成分A5)の使用をさらに提供する。
【0016】
イソシアネートに基づくフォームの製造は、それ自体既知であり、例えば、DE−A1694142、DE−A1694 215およびDE−A1720768ならびにKunststoff−Handbuch、第VII巻、Polyurethane、ViewegおよびHoechtleinによる編集、Carl Hanser Verlag、ミュンヘン、1966年ならびに該書籍の新版、G.Oertelによる編集、Carl Hanser Verlag、ミュンヘン、ウィーン、1993年に記載されている。
【0017】
フォームの主な課題はウレタン基および/またはウレットジオン基および/またはウレア基および/またはカルボジイミド基を有することである。本発明による使用は、ポリウレタンフォームおよびポリイソシアヌレートフォームの製造に関連して好適に行われる。
【0018】
イソシアネートに基づくフォームの製造のために、以下、より詳細に説明した成分を用い得る。
【0019】
成分A1
成分A1による初期成分は、通常400〜15000の分子量を有する、イソシアネートに対して反応性である少なくとも2つの水素原子を有する化合物である。これらは、アミノ基、チオ基またはカルボキシル基を有する化合物に加えて、好適には、ヒドロキシル基を有する化合物、とりわけ2〜8個のヒドロキシル基を有する化合物、特に1000〜6000、好適には2000〜6000のもの、例えば、少なくとも2個、通常2〜8個、好適には2〜6個のヒドロキシル基を有するポリエーテルおよびポリエステル、ならびに均質なポリウレタンおよび気泡質ポリウレタンの製造のためにそれ自体既知である、例えばEP−A0007502、第8〜15頁に記載のポリカーボネートおよびポリエステルアミドであると理解される。少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリエーテルは本発明によれば好適である。
【0020】
成分A2
イソシアネートに対して反応性であり、32〜399の分子量を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物は成分A2として必要に応じて用いる。これらは、ヒドロキシル基および/またはアミノ基および/またはチオール基および/またはカルボキシル基を有する化合物、好適には、鎖延長剤または架橋剤として働くヒドロキシル基および/またはアミノ基を有する化合物を含むと理解される。これら化合物は通常、2〜8、好適には2〜4個の、イソシアネートに対して反応性である水素原子を有する。例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ソルビトールおよび/またはグリセリンを成分A2として用い得る。成分A2による化合物のさらなる例は、EP−A0 007502、第16〜17頁に記載されている。
【0021】
成分A3
水および/または物理発泡剤は成分A3として用いる。物理発泡剤として、例えば、二酸化炭素および/または易揮発性有機物質を発泡剤として用いる。
【0022】
成分A4
成分A4として、
a)触媒(活性剤)、
b)表面活性添加剤(界面活性剤)、例えば乳化剤およびフォーム安定剤など、とりわけ低放出性を有するもの、例えばTegostab(登録商標) LFシリーズからの製品など、
c)添加剤、例えば反応抑制剤(例えば、酸的に反応する物質、例えば塩化水素酸または有機酸ハロゲン化物など)、気泡調整剤(例えばパラフィンまたは脂肪アルコールまたはジメチルポリシロキサンなど)、顔料、染料、防炎剤(例えばリン酸トリクレジルなど)、老化および風化の影響に対する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用物質、充填剤(例えば硫酸バリウム、珪藻土、黒チョークまたは沈殿チョークなど)および離型剤など
のような補助物質および添加剤を必要に応じて用いる。
【0023】
必要に応じて併用するこれらの補助物質および添加剤は、例えばEP−A0000389、第18〜21頁に記載されている。本発明ならびにこれらの補助物質および添加剤の使用方法および作用形態についての詳細に従って必要に応じて併用する補助物質および添加剤の他の例は、Kunststoff−Handbuch、第VII巻、G.Oertelによる編集、Carl−Hanser−Verlag、ミュンヘン、第3版、1993年、例えば第104〜127頁に記載されている。
【0024】
触媒として、脂肪族第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、テトラメチルブタンジアミン)、脂環式第3級アミン(例えば、1,4−ジアザ(2,2,2)ビシクロオクタン)、脂肪族アミノエーテル(例えば、ジメチルアミノエチルエーテルおよびN,N,N−トリメチル−N−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル)、脂環式アミノエーテル(例えば、N−エチルモルフォリン)、脂肪族アミジン、脂環式アミジン、ウレア、ウレアの誘導体(例えば、アミノアルキルウレア(例えばEP−A0176013を参照されたい)、とりわけ(3−ジメチルアミノプロピルアミン)ウレア)および錫触媒(例えば、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫)は好適である。
【0025】
触媒として特に好適なものは次のものである:
α)ウレア、ウレアの誘導体、および/または
β)アミンおよびアミノエーテル(該アミンおよびアミノエーテルはイソシアネートと化学的に反応する官能基を含むことを特徴とする)。該官能基は好適にはヒドロキシル基、第1級または第2級アミノ基である。これらの特に好適な触媒は、著しく減少した移行および放出挙動を示す優位性を有する。
【0026】
特に好適な触媒の例として、次のものを挙げることができる:(3−ジメチルアミノプロピルアミン)ウレア、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N,N−トリメチル−N−ヒドロキシルエチル−ビスアミノエチルエーテルおよび3−ジメチルアミノプロピルアミン。
【0027】
成分5
少なくとも1つのカルボンアミド基およびニトリル基(成分A5)を有する化合物として、式(I):
【化5】

式(II):
【化6】

式(III):
【化7】

および式(IV):
【化8】

で示される化合物を例として記載し得る。
【0028】
成分B
成分Bとして、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族およびヘテロ環式のポリイソシアネート、例えばW. Siefkenによって、Justus Liebigs Annalen der Chemie、562、第75〜136頁に記載されているようなもの、例えば式(V):
【化9】

〔式中、
nは2〜4、好適には2〜3、および
Qは2〜18個、好適には6〜10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基、4〜15個、好適には6〜13個の炭素原子を有する脂環式炭化水素残基または8〜15個、好適には8〜13個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素残基を表す〕
で示されるものを用いる。
【0029】
例えば、EP−A0007502、第7〜8頁にポリイソシアネートの課題が記載されている。とりわけ好適なものは通常、工業的に入手可能なポリイソシアネート、例えば、2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物(「TDI」);アニリン/ホルムアルデヒド縮合およびその後のホスゲン化によって製造されるようなポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「粗製MDI」)およびカルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基またはビウレット基を有するポリイソシアネート(「変性ポリイソシアネート」)、とりわけ2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネートから、または4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導される変性ポリイソシアネートである。好適には、2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネート、4,4’−および2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「多核MDI」)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を成分Bとして用いる。
【0030】
ポリウレタンフォームの製造方法の実施
反応成分は、それ自体既知の一段法によって、プレポリマー法によって、またはセミプレポリマー法によって反応させ、連結使用は、機械装置、例えばEP−A355000に記載のものから作られる場合が多い。本発明に従って考慮の対象になる処理装置に関する詳細は、Kunststoff−Handbuch、第VII巻、Vieweg and Hoechtlen、Carl−Hanser−Verlag、ミュンヘン、1993年、例えば第139〜265頁に記載されている。
【0031】
PURフォームは、成形フォームとして、あるいはスラブ材フォームとして製造することができる。
【0032】
成形フォームは、熱硬化法または低温硬化法により製造することができる。
【0033】
従って、本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法、該方法によって製造されるポリウレタンフォームおよび成形品を製造するためのその使用ならびに成形品それ自体を提供する。
【0034】
本発明に従って得ることができるポリウレタンフォームは、例えば、以下の使用を見出す:家具カバー、繊維製品挿入物、マットレス、カーシート、ヘッドサポート、肘掛け、スポンジおよび構造物部材ならびにシート裏地および計器パネル用材。
【0035】
上記の全ての参照は全ての有用な目的のためにその全体を参照することによって組み込まれる。
【0036】
本発明を具体化するある特定の構造を示し、記載するが、根底にある本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変形および部分の再配置がなされること、および本発明において示され、記載された特定の形態に限定されないことは当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0037】
原料の記載
成分A1−1
少なくとも80%第1級OH基を有するスターターとしてグリセリンを用いて、86.2%と13.8%の割合でプロピレンオキシドとエチレンオキシドを添加することによって製造されたヒドロキシル価28を有するポリエーテルポリオール。
【0038】
成分A1−2:
少なくとも80%第1級OH基を有するスターターとしてグリセリンを用いて、72.5%と27.5%の割合でエチレンオキシドとプロピレンオキシドを添加することによって製造されたヒドロキシル価37を有するポリエーテルポリオール。
【0039】
成分A2−1:ジエタノールアミン。
【0040】
成分A3−1:水。
【0041】
成分A4
成分A4−1:
安定剤Tegostab(登録商標) B 8734 LF(Degussa−Goldschmidt)。
【0042】
成分A4−2:
活性剤Jeffcat(登録商標) ZR 50、(Huntsman);イソシアネートと化学的に反応する官能基を含むアミン。
【0043】
成分A4−3:
活性剤Dabco(登録商標) NE 300(Air Products);ウレア誘導体を含有する。
【0044】
成分A5−1:
シアノ酢酸アミド。
【0045】
成分B−1:
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート57重量%、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25重量%およびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「多核MDI」)18重量%を含有するイソシアネート混合物(MDI系列由来)。
【0046】
成形品の製造
室温で高圧混合ヘッドによってPURフォームの製造のための従来の原料混合物を処理するための条件下、処方の構成に従って、初期成分を、60℃に加熱した12.5Lの容積を有する型内に導入し、4分後に型から取り外す。用いる原料の量は55kg/mの計算成形密度が得られるように選択した。圧縮強度試験片を計量することによって決定した、実際に得られた成形密度を表1に示す。
【0047】
指数(イソシアネート指数)は、化学量論の、すなわち計算したイソシアネート基(NCO)に対する実際に用いたイソシアネート量の百分率割合を規定する:
指数=[(用いたイソシアネート量):(計算したイソシアネート量)]・100(VI)
【0048】
圧縮強度をDIN EN ISO3386−1−98に従って決定した。
【0049】
圧縮永久歪みCS50%およびCS75%をそれぞれ、DIN EN ISO 1856−2001−03に従って50%変形および75%変形で決定した。
【0050】
ホルムアルデヒド含有量は、BMW法AA−C291の次のモデルを実施したが、該方法から逸脱し、(a)角底ガラス製瓶を丸底ポリエチレン製瓶の代わりに用い、(b)用いた試験片は厚み1cm(4mmの代わり)を有し、(c)Cerilliantによって製造された較正標準を用い、および(d)試料の含水量は確認しなかった。
【0051】
高湿高温条件(HWS)、すなわち22時間40℃で相対湿度95%による貯蔵後70%変形での圧縮永久歪み(HWS後CS70%)をDIN EN ISO 1856 2001 03に従って決定した。
【0052】
【表1】

【0053】
HPLC AA−C291によるポリマー物質および成形品からのアルデヒドの放出を決定するためのBMW法に基づいて確認されたホルムアルデヒドの放出についての値は、実施例2のとおり、本発明による化合物によって検出限界の0.1ppm未満に低下するが、比較例1は2.4ppmのホルムアルデヒドの放出を示す。
【0054】
シアノ酢酸アミドは、シュウ酸アミドおよびヒドラゾジカルボンアミドに加えて防炎加工剤としてEP−A0358021に挙げられているが、これらの化合物のうち、シアノ酢酸アミドだけがホルムアルデヒド捕捉剤として効果がある。EP−A0358021との比較においては(これに関しては比較例3を参照されたい)、本発明に従って用いる量を極めて減少させることができる(実施例2を参照されたい)。ホルムアルデヒド捕捉剤としてのシアノ酢酸アミドの見出された効果の裏付けは、EP−A0358021に記載も示唆もされていない。より少量の用いるシアノ酢酸アミドは、とりわけ、高湿度条件下でのフォームの老化について有利な効果を有する。
【0055】
比較例3は、単にシアノ酢酸アミドの量において実施例2による組成物とは異なる(成分A1〜A4の100重量部に対して、1重量部の代わりに30重量部)。比較例3に従って相当して得られる軟質フォームは全体的に低水準の機械特性を示す:これに対して、本発明による実施例2(成分A1〜A4の100重量部に対して、1重量部のシアノ酢酸アミドを含有)は、検出限界の0.1ppm未満へのホルムアルデヒドの放出の減少、および比較例1(シアノ酢酸アミドを用いない)に対して、高湿条件下、ほとんど変化しない圧縮永久歪み挙動および老化挙動を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルムアルデヒドの放出が低減されたポリウレタンフォームの製造方法であって、
A1 イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、400〜15000の範囲の分子量を有する化合物、
A2 必要に応じて、イソシアネートに対して反応性である水素原子を含有し、62〜399の範囲の分子量を有する化合物、
A3 水および/または物理発泡剤、
A4 必要に応じて、補助物質および添加剤、
A5 少なくとも1個のカルボンアミド基および1個のニトリル基を含有する化合物、および
B ジイソシアネートまたはポリイソシアネート
を反応させる工程を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
成分A1、A2、A3およびA4の100重量部に対して0.1〜10重量部のA5を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分A1〜A4の重量部の合計に対して、A1が75〜99.5重量部の量で存在し、A2が0〜10重量部の量で存在し、A3が0.5〜25重量部の量で存在し、A4が0〜10重量部の量で存在し、A5が0.1〜10重量部の量で存在し、および製造を50〜250の指数で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
A4は、
d)触媒、
e)表面活性添加剤、および
f)反応抑制剤、気泡調整剤、顔料、染料、防炎剤、老化および風化の影響に対抗する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用物質、充填剤および離型剤ならびにこれらの混合物からなる群から選択される添加剤
を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒は、
a)ウレア、ウレアの誘導体、および/または
b)脂肪族第3級アミン、脂環式第3級アミン、脂肪族アミノエーテルおよび/または脂環式アミノエーテル(前記アミンおよびアミノエーテルは前記イソシアネートと化学的に反応する官能基を含有する)
を含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
A5は、式(I):
【化1】

式(II):
【化2】

式(III):
【化3】

および式(IV):
【化4】

で示される少なくとも1つの化合物を含んでなる、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2010−7072(P2010−7072A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−151893(P2009−151893)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】