説明

ポリウレタンフォーム

【課題】
均質で微細な独立気泡を有するポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】
ポリオールとポリイソシアネートを触媒、発泡剤および整泡剤の存在下に反応させて製造された、平均気泡径10〜100μmの独立気泡を有するポリウレタンフォームにおいて、該整泡剤が、側鎖にポリアルキレンオキシド構造を有し、主鎖がポリジメチルシロキサンであるポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体であって、該ポリアルキレンオキシド構造がオキシエチレン部分(E)とオキシプロピレン部分(P)からなり、そのモル比(E/P)が、70/30より大きく90/10以下であり、該ポリアルキレンオキシド構造の平均分子量が400〜1500であり、該ポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数が10〜150であることを特徴とするポリウレタンフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するシリコーン系整泡剤を用いて製造されたポリウレタンフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタンフォームは種々の方法で製造されている。例えば、(1)気化可能な液体を予め原料に添加しておき、重合反応時の加熱や発熱により当該液体を気化させポリウレタンの硬化過程において発泡させる易気化物質(常温で液体)による発泡プロセス、(2)加圧・攪拌等により気体を予め原料に混合させてポリウレタンの硬化過程において発泡させる気体の溶解・析出による発泡プロセス(ガスローディング発泡)、(3)ポリウレタンの硬化過程において気体(気泡)を混合・攪拌させて発泡させる気泡吹き込みによる機械的発泡プロセス、(4)ポリウレタンの硬化過程においてポリオール中に添加した水とポリイソシアネートとの反応により発生する炭酸ガス(CO2)により発泡させる化学的発泡プロセス、などが知られている。
【0003】
これらのプロセスにおいては、気泡核形成、原料の相溶性や表面張力を制御する目的で、整泡剤が使用されている。
【0004】
特許文献1には、ポリジメチルシロキサン主鎖、およびエチレンオキシド部分とプロピレンオキシド部分からなる分子量2300以上のポリアルキレンオキシド共重合体構造の側鎖、からなるシリコーン系整泡剤を用いたポリウレタンフォーム製造用組成物が開示されており、低密度でセル径の小さな弾性部材の製造に有用であることが記載され、フォーム密度0.38〜0.55g/cm、平均セル径150〜250μmのフォームが例示されている。
【0005】
特許文献2には、主鎖がポリシロキサンであり、エチレンオキシド部分(E)とプロピレンオキシド部分(P)のモル比(E/P)が30/70〜70/30のポリアルキレンオキシド構造を有するポリシロキサン−ポリエーテル共重合体を整泡剤として用いる、低密度で寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームが開示されており、フォーム密度0.01〜0.04g/cm、平均セルサイズ140μm以上、連通率100%のポリウレタンフォームが例示されている。
【0006】
しかしながら、これらはいずれも発泡倍率が高く、低密度で、セル径が大きいフォームを得る目的で使用されてきた。
【特許文献1】特開平9−278856号公報
【特許文献2】特開2002−322232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、均質で微細な気泡を有する低発泡で軟質のポリウレタンフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため本発明は以下の構成からなる。
(1)ポリオールとポリイソシアネートを触媒、発泡剤および整泡剤の存在下に反応させて製造された、平均気泡径10〜100μmの独立気泡を有するポリウレタンフォームにおいて、該整泡剤が、側鎖にポリアルキレンオキシド構造を有し、主鎖がポリジメチルシロキサンであるポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体であって、該ポリアルキレンオキシド構造がオキシエチレン部分(E)とオキシプロピレン部分(P)からなり、そのモル比(E/P)が、70/30より大きく90/10以下であり、該ポリアルキレンオキシド構造の平均分子量が400〜1500であり、該ポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数が10〜150であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリウレタンフォームは、微細な気泡がフォーム全体に均質に生成するため気泡径の揃った独立気泡を有するフォームを得ることができる。また、このポリウレタンフォームは、研磨用部材および研磨用部材の原材料としての用途に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオールとポリイソシアネートを触媒、発泡剤および整泡剤の存在下に反応させて製造された平均気泡径10〜100μmの独立気泡を有するポリウレタンフォームであり、本発明の整泡剤は、ポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体である。
【0011】
主鎖であるポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数としては、10〜150が必須である。平均繰り返し数が10未満では、ポリオール、ポリイソシアネートの表面張力を十分に低下させることができず、生成した気泡が合一しやすくなり、平均気泡径が過大となり易い。一方、平均繰り返し数が150を越えると、整泡剤自体の粘度が高くなりすぎ、成形時の液流れ性が不足する。
【0012】
グラフト側鎖としては、ポリアルキレンオキシド構造を有し、オキシエチレン部分(E)とオキシプロピレン部分(P)基のモル比(E/P)が70/30より大きく90/10より小さいことが必須である。また、ポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖が、ポリオキシプロピレン鎖ブロックとポリオキシエチレン鎖ブロックとを有するブロック共重合体鎖からなり、グラフト点から末端に向かって両ブロックがこの順に配列していることが好ましい。
【0013】
ポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体は、主鎖および側鎖において分子量分布を有するため、グラフト共重合体全体としても分子量分布を有している。本発明においては、ポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量の制御が重要であり、ポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量は400〜1500であることが必須である。平均分子量が400未満では、原料との相溶性が低く、十分な整泡効果が得られない。一方、平均分子量が1500を越えると相対的に主鎖のポリジメチルシロキサンに由来する低表面張力化の効果が不足し、やはり十分な整泡効果が得られない。
【0014】
ポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量が400〜1500であるとは、複数のポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体を用いる場合は、整泡剤全体としてポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量が400〜1500であればよく、ポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量が1600〜3500のポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体を併用し、整泡剤全体としてポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量が400〜1500であることが好ましい。
【0015】
本発明においてポリオールとは、水酸基を2個以上有する化合物をいう。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどから選ばれた1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
【0016】
この内、平均官能基数が2〜4のポリエーテルポリオールが好ましく用いられる。数平均分子量が400〜10000のポリエーテルポリオールを用いることも好ましい。また、適度の柔軟性と適度の硬化反応性を有するポリウレタンフォームを与えるという観点から、ポリエーテルポリオールとして、ポリプロピレンオキシドが好ましく用いられる。ここでポリプロピレンオキシドとはその変性物や変性物との混合物であってもよい。
【0017】
また、水酸基の代わりにカルボキシル基、アミノ基などの活性水素を有する化合物をポリオールと併用することも可能である。
【0018】
本発明においてポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、ナフタレンジイソシアネート、などの芳香族イソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、などの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加MDI、などの脂環式ジイソシアネート、などを挙げることができる。これらポリイソシアネートから選ばれた1種または2種以上の混合物として使用することができる。
【0019】
本発明のポリイソシアネートとして、上記ポリイソシアネートの他、これらポリイソシアネートをポリオールと予め混合・反応させて、一部の残存イソシアネート基を持つプレポリマーであってもよい。
【0020】
これらポリイソシアネートの内、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリイソシアネートが好ましく用いられる。ここでジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリイソシアネートとはそれぞれその変性物や変性物との混合物であってもよい。
【0021】
また、ポリメチレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)は、アニリンとホルマリンの縮合反応によって得られるポリフェニルメタンポリアミンをホスゲン化することにより得られる。そのため、ポリメリックMDIの組成は、縮合時の原料組成や反応条件により基本的に決定されるが、ベンゼン環を2個有する二核体とベンゼン環を3個以上有する多核体からなる。ポリメリックMDI中の二核体は、2,2’−MDI、2,4’−MDI、4,4’−MDIの3種類の異性体がある。二核体の異性体構成比は特に限定はないが、4,4’−MDIの含有量が50重量%以上が好ましい。
【0022】
触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアジニン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N’,N’−ジメチルアミノエチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)アミノプロピルエーテルなどのアミン化合物、、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカブチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカブチド、ジオクチル錫チオカルボキシレートなどの錫化合物、アセチルアセトン金属塩などの金属錯体、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,3,5−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、などのトリアジン類、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2−エチルアジリジン、などのアジリジン類などのアミン系化合物、3級アミンのカルボン酸塩などの4級アンモニウム化合物、ジアザビシクロウンデセン、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛などの鉛化合物、ナトリウムメトキシドなどのアルコラート化合物、カリウムフェノキシドなどのフェノラート化合物、などを挙げることができる。これらの触媒は、1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
発泡剤としては、水、HCFC−141b、HFC−116a、HFC−305fa、HFC−365mfcなどのハロゲン化炭化水素、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタンなどの炭化水素類、ノナフロロブチルメチルエーテル、ノナフロロイソブチルメチルエーテル、ノナフロロブチルエチルエーテル、ノナフロロイソブチルエーテル、ペンタフロロエチルメチルエーテル、ヘプタフロロイソプロピルメチルエーテルなどのハイドルフルオロカーボン類を挙げることができる。これら発泡剤のうち、汎用性の点から水が好ましく用いられる。
【0024】
本発明におけるポリウレタンフォームの原料として、上記のポリオール、イソシアネート、触媒、発泡剤、整泡剤の他に、架橋剤、鎖延長剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0025】
架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ジエチルトルエンジアミン、ジエチレントリアミンなどのアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、などを挙げることができる。
【0026】
本発明におけるガスローディングとは、ポリオールおよびまたはイソシアネートに対して、外部からガスを添加して強制的に抱き込ませる(ロードする)処理を言う。ガスローディングの方法は特に限定されないが、ガスを原料組成物に対して直接吹き込む(バブリングする)方法、タンクなどの容器に原料組成物を注入後タンク上部からガスで加圧し(ガス背圧をかける)原料組成物表面からガスを溶解させる方法、ガス背圧をかけるとともに原料組成物を攪拌してガスを溶解させる方法、などを挙げることができる。このうち、短時間にガスを溶解させることができることから、ガス背圧をかけるとともに原料組成物を攪拌する方法が好ましく用いられる。また、窒素ガスをローディングさせて製造することが好ましい。
【0027】
本発明のポリウレタンフォームの製造においては、ポリオール、触媒、発泡剤、整泡剤を成分とする原料組成物にガスローディングが可能な第1の原料貯留槽、第1の貯留槽から混合器へ原料を送り込むポンプおよびイソシアネートを蓄える第2の原料貯留槽、第2の原料貯留槽から混合器へ原料組成物を送り込むポンプ、混合器、が必要である。フォームはフリー発泡、モールド発泡の何れでも得ることができるがモールド発泡が好ましい。本発明のモールド発泡は、原料を注入し、硬化させてポリウレタンフォームの形状の一部または全部を規定する装置を言う。
【0028】
金型の材質は、金属が好ましいが、その一部が樹脂であったり、樹脂コートされていてもよいまた、貯留槽、モールドは常温〜150℃の範囲で温度コントロールできることが好ましい。混合器へ原料を供給するポンプについては特に限定はないが、原料組成物を10MPa以上の高圧で混合器へ送り出せることが好ましい。
【0029】
本発明のポリウレタンフォームの見かけ密度は、0.5〜1.0g/cmが好ましい。見かけ密度の測定は、厚さ方向に2mmの厚さでスライスし、15×30×2mmに切り出し、乾燥重量とピクノメーターから得られる水中での体積から算出することができる。見かけ密度は日本工業規格JIS K 7112の方法にしたがって測定することができる。
【0030】
本発明のポリウレタンフォームのC型硬度は、50〜90度であることが好ましい。C型硬度は“アスカーC型高度計(高分子計器(株)製”により測定することができる。
【0031】
本発明のポリウレタンフォームは研磨用部材または研磨用部材の原材料として使用されること、が好ましい。本発明のポリウレタンフォームは、独立気泡を有することが必須である。さらに、実質的に連通の気泡を持たないことが好ましい。連通気泡の場合、研磨パッドまたは研磨パッド原材料として使用すると、研磨中にスラリーが連通気泡を通じて研磨パッド内部に浸透して固着することで、硬度などの研磨パッド物性が啓示的に変化して研磨安定性が低下したり、被研磨物に傷が入ることが懸念される。
【0032】
ポリウレタンフォームの気泡形状および気泡径の観察・測定方法としては、レ−ザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡などでフォームの表面またはスライス面を観察する方法が挙げられる。上記顕微鏡の像を画像処理して画像中のすべての気泡について、その気泡径、気泡数、を求めることができる。このデータから平均気泡径、単位面積当たりの平均気泡数、気泡径分布、気泡径分布の標準偏差を算出できる。
【0033】
本発明のポリウレタンフォームは、平均気泡径が10〜100μmであることが必須である。平均気泡径が10μm未満である場合は研磨時のスラリー保持性が低いために研磨速度が遅くなる傾向があり、平均気泡径が100μmを越える場合は研磨パッドなどの研磨用部材が変形しやすくなり、研磨精度や研磨安定性が不良になる傾向がある。平均気泡径の標準偏差は25μm以下であることが好ましく、1〜12μm以下であることがさらに好ましく、3〜8μm以下であることが特に好ましい。
【0034】
本発明のポリウレタンフォームは、直径400μm以上の気泡径を有する気泡が100cm当たり30個未満であることが好ましい。直径400μm以上の気泡径を有する気泡が100cm当たり30個以上であると研磨パッドなどの研磨用部材において表面品位が不良となり、被研磨物に傷が入りやすい傾向がある。直径400μm以上の気泡径を有する気泡は100cm当たり20個以下であることが特に好ましい。直径400μm以上の気泡数は、ポリウレタンフォームをスライスした900cm以上の断面を長さ計測可能な顕微鏡で観察しながらカウントし、100cm当たりの個数に換算して求めることができる。
【0035】
本発明のポリウレタンフォームの製造は、混合器内で原料同士を衝突させて瞬時に混合する高圧注入機、混合器に供給された各原料を攪拌翼などによって機械的に混合するいわゆる低圧注入機に使用して、モールド成形、スラブ成形などに適用することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、評価方法は以下のようにして行った。
[平均気泡径]走査型電子顕微鏡“SEM2400”(日立製作所)にて研磨パッドの表面またはスライス面を倍率200倍で観察し、その画像を画像処理装置で解析することにより、画像中のすべての気泡径を計測し、その平均値を平均気泡径とした。
[見かけ密度]JIS K 7112記載の方法にしたがって、ピクノメーター(ハーバード型)を使用して測定した。
【0037】
(実施例1)
高圧RIM成形機の第1原料貯留槽、第2原料貯留槽にそれぞれ以下の原料組成物を計量・混合し、投入した。整泡剤は、以下の化学構造を有するシリコーン系化合物を使用した。m、n、a、bの値および主鎖と側鎖の平均分子量を表1および表2に示す。整泡剤全体としてのポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量は1050である。
【0038】
【化1】

【0039】
(m,n,a,bは自然数を表す。)
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
第1原料貯留槽には高純度窒素(純度99.9%)ボンベを接続し、タンク内の攪拌翼を回転させながら背圧0.392MPaで加圧して窒素ガスローディングを行った。窒素ガスローディング、常圧まで放圧、の操作を3度繰り返して原料組成物の窒素ガス置換を行った。次に、背圧0.392MPaをかけて攪拌を行い、ガスローディング量を13%とした。
<第1原料貯留槽>
グリセリンのプロピレンオキシド付加物 90重量部
(平均官能機数3、数平均分子量9000)
ポリプロピレンオキシド 10重量部
1,4−ブタンジオール 5重量部
トリエチルアミン 1.5重量部
ジメチルアミノエトキシエタノール 0.5重量部
整泡剤A 1.5重量部
整泡剤B 0.5重量部
精製水 0.3重量部
<第2原料貯留槽>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
44重量部
ポリメチレンポリイソシアネート 44重量部
700×700×15mmのモールドを使用してポリウレタンフォームを得た。原料貯留槽温度(40℃)、吐出圧力(15MPa)、吐出速度(700g/秒)、モールド温度(70℃)に設定して成形を行った。
【0043】
得られたフォームからバンドナイフ式スライサーで表裏両面0.5mmを除き、さらに2mm厚みにスライスし、ポリウレタンフォームシートを得た。このシートの平均気泡径は29.0μm、気泡径の標準偏差は9.3μmであり、連通気泡は観察されなかった。直径400μm以上の気泡は100cm当たり12個、見かけ密度は0.82cm、C型硬度は81度であった。
【0044】
(実施例2)
実施例1において、整泡剤Aおよび整泡剤Bに替えて整泡剤Aを2重量部用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてポリウレタンフォームシートを得た。整泡剤全体としてのポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量は632である。このシートの平均気泡径は33.2μm、気泡径の標準偏差は10.8μmであり、連通気泡は観察されなかった。直径400μm以上の気泡は100cm当たり55個、見かけ密度は0.79cm、C型硬度は80度であった。
【0045】
(比較例1)
実施例1において、整泡剤Aおよび整泡剤Bに替えて整泡剤Bを2重量部用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてポリウレタンフォームシートを得た。整泡剤全体としてのポリアルキレンオキシド構造を有する側鎖の平均分子量は2228である。このシートの平均気泡径は、41.6μm、気泡径の標準偏差は19.2μmであり、連通気泡が観察された。直径400μm以上の気泡は100cm当たり160個、見かけ密度は0.76cm、C型硬度は78度であった。
【0046】
(実施例3)
実施例1で得られたポリウレタンフォームシートをアゾビスイソブチロニトリル0.25重量部を添加したメチルメタクリレート100重量部に18時間浸漬し、その後膨潤したポリウレタンポリウレタンフォームシートをガラス板に挟み込んで70℃で24時間保持した。ガラス板を取り除いた後、真空乾燥を行った。得られた硬質発泡シートをスライサーで厚み2mmにスライスし、両面を研削した後、直径600mmの円に打ち抜き、表面に溝加工し、厚み1.25mmの研磨パッドを作製した。6インチシリコンウエハーをシリカ系研磨スラリーを適用して研磨を行ったところ、ウエハー上のSiO膜の研磨レートは2500オングストローム/分であった。120枚後のウエハーにおいても、2550オングストローム/分の研磨レートが得られ、その変動は小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明のポリウレタンフォームは、直径400μmを越える大型の気泡が少なく、均質で微細な独立気泡を有するポリウレタンフォームを得ることができる。また、このポリウレタンフォームは、研磨用部材および研磨用部材の原材料としての用途に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとポリイソシアネートを触媒、発泡剤および整泡剤の存在下に反応させて製造された、平均気泡径10〜100μmの独立気泡を有するポリウレタンフォームにおいて、該整泡剤が、側鎖にポリアルキレンオキシド構造を有し、主鎖がポリジメチルシロキサンであるポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体であって、該ポリアルキレンオキシド構造がオキシエチレン部分(E)とオキシプロピレン部分(P)からなり、そのモル比(E/P)が、70/30より大きく90/10以下であり、該ポリアルキレンオキシド構造の平均分子量が400〜1500であり、該ポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数が10〜150であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項2】
整泡剤として、側鎖のポリアルキレンオキシド構造の平均分子量が1600〜3500であるポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシド系グラフト共重合体を用いることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
実質的に連通気泡を持たないことを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
見かけ密度が0.5〜1.0g/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
C型硬度が50度〜90度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
直径400μm以上の気泡径を有する気泡が100cm当たり30個未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項7】
独立気泡の気泡径の標準偏差が25μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項8】
該ポリオールが平均官能基数2〜4、数平均分子量400〜10000のポリエーテルポリオールを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項9】
該ポリエーテルポリオールがポリプロピレンオキシドを含有することを特徴とする請求項8に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項10】
ポリイソシアネートがジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項11】
発泡剤が水であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【請求項12】
該ポリウレタンフォームが研磨用部材または研磨用部材の原材料として使用されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。

【公開番号】特開2006−299076(P2006−299076A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122426(P2005−122426)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】