説明

ポリウレタン樹脂用帯電防止剤、それを用いた帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物およびポリウレタン樹脂成形物の製造方法、ならびに、ジシアナミド有機塩のポリウレタン樹脂での帯電防止剤としての使用

【課題】少ない添加量で十分な帯電防止性を示し、かつ有効成分がハロゲン原子を含まないポリウレタン樹脂用の帯電防止剤を提供すること。
【解決手段】ポリウレタン樹脂用帯電防止剤の有効成分として、下記一般式(1)で表されるジシアナミドアニオンと、下記一般式(2)で表されるカチオンとから構成される有機塩を用いる。




(式中、
1は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、アリール基あるいはベンジル基を、R2、R3は同一または異なって、Hあるいは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン成分がジシアナミドアニオンであり、カチオン成分がハロゲン原子を含まないカチオンである有機塩を有効成分として含む帯電防止剤に関する。本発明は、具体的には、ポリウレタン繊維やポリウレタン発泡体など、ポリウレタン樹脂成形物に用いる帯電防止剤、それを用いた帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物、および帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法に関する。本発明は、更に、上記有機塩のポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物の製造における帯電防止剤としての使用方法、ならびに、上記有機塩のポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物における帯電防止剤としての使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1013Ωcmを上回る体積固有抵抗を有する、ポリウレタン樹脂に代表される高分子材料
では、他の物体との接触面に、摩擦により容易にプラスまたはマイナスの大きな静電荷を帯びやすい。その結果、かかる高分子材料においては静電荷が漏洩せずにいろいろの静電気障害が起きたり、かかる高分子材料を用いた商品が静電気吸引によって空気中の塵埃を吸着しその商品価値を低下させたりする。また、かかる高分子材料は、加工工場での加工時等、使用用途や使用場所によっては、放電スパークによる粉塵爆発や可燃性溶剤への引火等、火災の原因を作るケースも見受けられる。そのため、かかる高分子材料には成形時より帯電防止性を付与することが必要である。
【0003】
従来、ポリウレタン樹脂に帯電防止性を付与する方法としては、導電性フィラーや、第4級アンモニウム塩型帯電防止剤の添加が知られている。第4級アンモニウム塩型帯電防止剤としては、第4級アンモニウムアルキル硫酸塩(特開平4−298517号公報)や第4級アンモニウム過塩素酸塩(特開平4−298518号公報)などが知られている。しかしながら、導電性フィラーをポリウレタン樹脂の原料に添加して用いる場合、目的とする帯電防止性を得るためには大量の添加を必要とする。導電性フィラーを大量に添加した場合、原料の粘度増大を引き起こすため、原料のハンドリング面において、かかる方法は使用しづらいという欠点がある。また、第4級アンモニウム塩型帯電防止剤の使用では、十分な効果が得られない、または、高い添加濃度を必要とするなど、帯電防止性を得る上での課題があった。さらに、第4級アンモニウム過塩素酸塩はハロゲンを含有するため環境負荷の観点で問題がある。
【0004】
近年、有機化合物から構成され、融点が室温以下である、いわゆる「イオン液体」において、その導電性と難揮発性からポリマー用帯電防止剤としての応用が見出されてきた(特表2003−511505号公報)。しかしながら、そのアニオンはフッ素原子などのハロゲンを含むものがほとんどであり、環境負荷の観点で問題があった。
【0005】
国際公開第2007/090755号パンフレットには、ポリウレタン樹脂に用いる帯電防止剤として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−298517号公報
【特許文献2】特開平4−298518号公報
【特許文献3】特表2003−511505号公報
【特許文献4】国際公開第2007/090755号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、少ない添加量で十分な帯電防止性を示し、ハロゲン原子を含まない有機塩を有効成分とするポリウレタン樹脂用の帯電防止剤を提供することを目的とする。本発明の更なる目的は、この帯電防止剤を用いた、帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物、およびポリウレタン樹脂成形物の製造方法を提供することを目的とする。本発明の更なる目的は、上記の有機塩の、ポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物の製造における帯電防止剤として使用方法、ならびに、上記有機塩のポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物における帯電防止剤としての使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の帯電防止剤は、アニオン成分がジシアナミドアニオンであり、カチオン成分がハロゲン原子を含まないカチオンである有機塩を主成分とし、少ない添加量でポリウレタン樹脂に帯電防止性を付与できることを特徴とする。更に、本発明の帯電防止剤は、有効成分としてハロゲン原子を含まない有機塩を用いるので、帯電防止剤全体としてもハロゲン元素を含まない形態とすることが可能である。
【0009】
すなわち、本発明のポリウレタン樹脂用帯電防止剤は、下記一般式(1)で表されるジシアナミドアニオンと、下記一般式(2)で表されるカチオンとから構成される有機塩を有効成分として含む。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
(式中、
1は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、アリール基あるいはベンジル基を、R2、R3は同一または異なって、Hあるいは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0013】
本発明にかかる帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の第一の態様は、上記の帯電防止剤を含むことを特徴とする。本発明にかかる帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の第二の態様は、上記の帯電防止剤がポリウレタン樹脂成形物の少なくとも表面に付着していることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかるポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂と上記の帯電防止剤を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法の第一の態様は、ポリオールとポリイソシアネートを含む混合物からポリウレタン樹脂を得る工程と、該ポリウレタン樹脂の成形物を得る工程とを有し、
前記ポリウレタン樹脂を得る工程において上記の帯電防止剤を添加することにより前記ポリウレタン樹脂の成形物に帯電防止性を付与することを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法である。この第一の態様にかかる方法では、ポリオールとポリイソシアネートを含む混合物からのポリウレタン樹脂の調製の間に帯電防止剤を添加することにより、帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物を得ることができる。この第一の態様にかかる好ましい製造方法としては以下の方法がある。
(1)ポリオール、ポリイソシアネート及び上記の帯電防止剤を含む混合物を成形条件下で硬化させることにより帯電防止性をポリウレタン樹脂成形物に付与する方法。
(2)ポリオール、ポリイソシアネート及び上記の帯電防止剤を含む混合物からポリウレタン樹脂を得てから、得られたポリウレタン樹脂を成形することにより帯電防止性をポリウレタン樹脂成形物に付与する方法。
【0016】
本発明の帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法の第二の態様は、上記の帯電防止剤を、ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物に混合した後に得られた混合物を成形することを特徴とする。
【0017】
本発明の帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法の第三の態様は、上記の帯電防止剤を、ポリウレタン樹脂成形物表面に塗布、あるいはポリウレタン樹脂成形物に含浸させることを特徴とする。
【0018】
本発明には、更に、アニオン成分が一般式(1)で示されるジシアナミドアニオンであり、カチオン成分が一般式(2)で表されるカチオンである有機塩を、ポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物の製造において帯電防止剤として使用する方法が含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかるポリウレタン樹脂用帯電防止剤は、有効成分である有機塩由来の以下の利点を有する。
・帯電防止剤の有効成分が室温並びに高温でも揮発しない。
・帯電防止剤の有効成分はポリオールやポリイソシアネートとの相溶性が良好である。
・帯電防止剤の有効成分が電荷を持つ化合物であるため、湿度が低い環境下でも帯電防止性に優れる。
【0020】
また、本発明における有機塩は、テトラフルオロホウ酸アニオンやビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオンなどのようなハロゲン原子を含むアニオンを構成成分とせず、カチオンにもハロゲン原子を含まないため、製造コストが低く、腐食性が無く、環境に対する負荷が低いという利点がある。
【0021】
本発明によれば、一般式(1)のジシアナミドアニオンと一般式(2)のカチオンからなる有機塩を用いて、ポリウレタン樹脂成形物に優れた帯電防止性を付与することができる。従って、本発明によれば、ポリウレタン樹脂用帯電防止剤、それを用いた帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物およびポリウレタン樹脂成形物の製造方法を提供することができる。更に、本発明によれば、上記有機塩のポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物の製造における帯電防止剤としての使用方法、ならびに、上記有機塩のポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物における帯電防止剤としての使用方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
【0023】
まず、本発明のポリウレタン樹脂用帯電防止剤について説明する。
【0024】
本発明のポリウレタン樹脂用帯電防止剤は、アニオン成分が下記一般式(1)で示されるジシアナミドアニオンであり、カチオン成分が一般式(2)で示されるカチオンである有機塩を有効成分として含む。
【0025】
【化3】

【0026】
【化4】

【0027】
(式中、
1は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、アリール基あるいはベンジル基を、R2、R3は同一または異なって、Hあるいは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0028】
一般式(2)においては、R1が炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、R2及びR3の一方がHであり、もう一方がメチル基である有機塩は、ポリイソシアネートやポリオールとの相溶性に優れているためより好ましい。さらに、R1が炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、R2及びR3の一方がHであり、もう一方がメチル基である有機塩は、帯電防止性が更に優れるので特に好ましい。なお、これらの場合においては、前記メチル基の位置が3位または4位であることが好ましい。
【0029】
一般式(2)で示される第4級アンモニウムにおける各置換基におけるアリール基としてはフェニル基を挙げることができる。
【0030】
本発明の帯電防止剤の有効成分である有機塩が帯電防止剤として優れた効果を発揮する理由を、本発明者らは以下のように推察している。
【0031】
ジシアナミドアニオンは、分子量約66であって、室温以下の融点を通常有する有機塩を構成するアニオンとしては最も分子量が少ないアニオンの1つである。そのため、有機塩単独での導電率が高く、ポリウレタン樹脂の漏洩抵抗値の低減に寄与する。また、ポリウレタン樹脂はウレタン結合を有する樹脂であり、このウレタン結合は極性が非常に高い。ジシアナミドアニオンは、ウレタン結合の構成元素であるC、N、OのうちCとNからのみなるアニオンであって、ウレタン結合との親和性が高い。それゆえ、本発明の帯電防止剤はポリウレタン樹脂への混合が容易となる。その混合状態については、ジシアナミドアニオンは、その構成元素の観点からウレタン結合を含むハードセグメント領域に相溶し易くなっている。つまり、本発明に用いられる有機塩は、微視的にはポリウレタン樹脂中に均一には分布せず、ハードセグメント領域に偏在している。このような混合状態では、該有機塩が連続的な接触構造(パーコレーション構造)を形成し、結果的に高い導電性を有する導電パスが効率よく形成される。そのため、特異的に漏洩抵抗値を低減し、結果として高い帯電防止性を発現することができる。本発明者らは、本発明の帯電防止剤をポリウレタン樹脂成形物表面に塗布した場合も同様と推察する。すなわち、ジシアナミドアニオンとウレタン結合との親和性が高いため、該有機塩による成形物表面へのぬれ性が高く、連続的な接触構造(パーコレーション構造)を形成しやすく高い導電性を有する導電パスを効率よく形成すると推測している。
【0032】
更に、カチオンとして一般式(2)で表されるピリジニウムカチオンをジシアナミドアニオンと組み合わせることで、ポリウレタン樹脂との親和性が更に改善される。特に、イミダゾリウムカチオンよりもピリジニウムカチオンの方がポリウレタンとの親和性がよい。
以上のとおり、本発明で用いる有機塩は、ウレタン結合を有するポリウレタン樹脂において帯電防止効果を有効に発揮し得るものであり、対象とするポリウレタン樹脂の種類は限定されない。
【0033】
本発明の帯電防止剤は、上述した有機塩単独で、あるいは、溶剤とともに調製することができる。この帯電防止剤調製用の溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール、水等を挙げることができる。これらの1種を、または2種以上を混合して、目的用途に応じて用いることができる。
【0034】
本発明の帯電防止剤をポリウレタン樹脂成形物に添加することにより帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物を得ることができる。あるいは、本発明の帯電防止剤をポリウレタン樹脂成形物の表面に塗布、あるいはポリウレタン樹脂成形物に含浸させることにより帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物を得ることができる。これらのいずれの方法によっても、ポリウレタン樹脂成形物に優れた帯電防止性を付与することができる。これらの方法の2以上を併用することができる。
【0035】
本発明の帯電防止剤を含む、あるいは含浸されたポリウレタン樹脂成形物の場合は、有機塩の含有量がポリウレタン樹脂の質量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜3.5質量%であることが好ましい。また、本発明の帯電防止剤が表面に付着されているポリウレタン樹脂成形物の場合は、有機塩の付着量が0.02〜1g/m2であることが好ましい。いずれの場合も、有機塩の量が前記範囲未満であると帯電防止性が不十分となる。一方、前記範囲を超えても有機塩の量に見合う帯電防止性の向上が得られないばかりでなく、ポリウレタン樹脂の物性や成形物の品位が低下することがある。このような成形物としては、ポリウレタン繊維、フィルム、エラストマー、ポリウレタン発泡体(硬質、軟質あるいは半硬質のポリウレタンフォーム、緩衝材等)などの各種成形品や、人工皮革の表皮や各種塗料などの表面被覆物が挙げられる。
【0036】
帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物は、具体的には、以下の方法により製造することができる。
(i)ポリオールとポリイソシアネートを含む混合物からポリウレタン樹脂を得る工程と、該ポリウレタン樹脂の成形物を得る工程とを有し、前記ポリウレタン樹脂を得る工程において本発明にかかる帯電防止剤を添加することにより前記ポリウレタン樹脂の成形物に帯電防止性を付与することによる製造方法。
(ii)本発明にかかる帯電防止剤を、ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物に混合した後に得られた混合物を成形することによる製造方法。
(iii)本発明にかかる帯電防止剤を、ポリウレタン樹脂成形物表面に塗布またはポリウレタン樹脂成形物に含浸させることによる製造方法。
これらの方法は必要に応じて併用することができる。
【0037】
前記(i)の製造方法においては、ポリオールとポリイソシアネートに、必要に応じて触媒、鎖伸長剤、発泡剤、整泡剤などの添加剤を加えて得られたポリウレタン樹脂製造用の混合物からポリウレタン樹脂の調製におけるいずれかの段階において本発明の帯電防止剤を加えることにより、帯電防止性のポリウレタン樹脂成形物を得る。この場合における帯電防止剤の添加量は、製造されるポリウレタン樹脂の質量に対して前述の範囲(すなわち、有機塩の量が0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜3.5質量%となる量)が好ましい。
【0038】
前記(i)の製造方法においては、ポリウレタン樹脂を得る工程と、ポリウレタン樹脂の成形物を得る工程と、を同時に、一部重複して、あるいは別々に行うことができる。従って、前記(i)の製造方法の好ましい態様としては、以下の方法がある。
(ia)ポリオール、ポリイソシアネート及び上記の帯電防止剤を含む混合物を成形条件下で硬化させることにより帯電防止性をポリウレタン樹脂成形物に付与する方法。
(ib)ポリオール、ポリイソシアネート及び上記の帯電防止剤を含む混合物からポリウレタン樹脂を得てから、得られたポリウレタン樹脂を成形することにより帯電防止性をポリウレタン樹脂成形物に付与する方法。
【0039】
前記(ia)の製造方法においては、ポリオールとポリイソシアネートとを、必要に応じて触媒、鎖伸長剤、発泡剤、整泡剤などの添加剤を加えた混合物中において反応させる際に、本発明の帯電防止剤を加え、これらを反応させるとともに成形する。混合物を調製して直ちに成形条件下に置くこともでき、あるいは、混合物を調製し、或る程度硬化反応を進行させてから成形条件下におくこともできる。前記(ib)の製造方法においては、ポリオール、ポリイソシアネート及び本発明の帯電防止剤を含む混合物から成形用のポリウレタン樹脂を調製し、得られたポリウレタン樹脂を成形する。これらの場合における帯電防止剤の添加量は、製造されるポリウレタン樹脂の質量に対して前述の範囲(すなわち、有機塩の量が0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜3.5質量%となる量)が好ましい。帯電防止剤の反応系への添加は、反応混合物の硬化速度などの硬化条件を考慮して、帯電防止剤としての効果が有効に得られる段階で行う。ポリオールを含む成分及びポリイソシアネートを含む成分の少なくとも一方に予め帯電防止剤を添加することができる。あるいは、ポリオールを含む成分及びポリイソシアネートを含む成分を混合した反応系に帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止剤の有効成分である有機塩がポリオールやポリイソシアネートとの相溶性が良好であるから、本発明の帯電防止剤を、ポリオールやポリイソシアネートに、特にポリオールに予め混合しておくことが好ましい。この場合、ポリオールに対して、有機塩の含有量が0.05〜5.0質量%程度とすることが好ましい。
【0040】
前記(i)の製造方法における成形条件は、種々の成形方法により付与することができる。この成形方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。例えば、ポリウレタン発泡体を成形する際には、ポリオールに、予め触媒、水、整泡剤、及び本発明にかかる帯電防止剤を添加して良く攪拌して混合物を調製する。この混合物とやや過剰のポリイソシアネートをポリウレタン調製用攪拌機で良く混合し、得られた混合物をベルトコンベア上で、もしくは成形用型に入れて発泡させる。なお、ベルトコンベアのベルトからなる平面や、成形用の基板の表面、押し出し成形器、フィルム成形用のローラなどによっても、成形条件を付与することができる。成形と混合物の硬化のタイミングは、混合物の硬化温度などの硬化条件に応じて設定することができる。
【0041】
前記(i)の製造方法において、本発明の帯電防止剤を反応系に添加する際には、上述した有機塩からなる帯電防止剤をそのまま添加することができる。あるいは、上述した有機塩を溶媒に溶解させた溶液としての帯電防止剤を添加することができる。使用する溶媒としては、上述した帯電防止剤の調製用の溶剤のほか、ポリウレタン樹脂の溶解や分散に用いられる公知の溶剤や液媒体を用いることができる。
【0042】
前記(ii)の製造方法では、ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物に本発明の帯電防止剤を混合した後に成形する。ポリウレタン樹脂組成物としては、ポリウレタン樹脂を含み、成形物を得るための樹脂組成物であれば特に制限されない。このポリウレタン樹脂組成物としては、水分散系及び溶剤溶解系などの液状ポリウレタン樹脂組成物などが挙げられる。この場合における帯電防止剤の添加量も、ポリウレタン樹脂の質量に対して前述の範囲(すなわち、有機塩の量が0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜3.5質量%となる量)が好ましい。この製造方法において、本発明の帯電防止剤をポリウレタン樹脂組成物に添加する際には、上述した有機塩からなる帯電防止剤をそのまま添加することができる。あるいは、上述した有機塩を溶媒に溶解させた溶液としての帯電防止剤を添加することができる。使用する溶媒としては、上述した帯電防止剤の調製用の溶剤を用いることができ、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコールを好ましく用いることができる。
【0043】
なお、ポリウレタン樹脂組成物には、ポリウレタン樹脂及び帯電防止剤の他に、ポリウレタン樹脂以外の樹脂や各種の添加剤を配合することができる。
【0044】
前記(iii)の製造方法では、本発明の帯電防止剤をポリウレタン樹脂成形物の表面に塗布、あるいはポリウレタン樹脂成形物に含浸させる。この製造方法においても、上述した有機塩からなる帯電防止剤をそのまま使用することができる。あるいは、上述した有機塩を溶媒に溶解させた溶液としての帯電防止剤を使用することができる。使用する溶剤としては、上述した帯電防止剤の調製用の溶剤を挙げることができる。塗布および含浸の方法は特に制限されず、コーティング、噴霧、ディッピング等の方法が利用できる。本発明の帯電防止剤をポリウレタン樹脂成形物に含浸させる場合は、ポリウレタン樹脂成形物の少なくとも表面に帯電防止剤が付与されるようにすることが好ましい。この場合の付着量は塗布における上記した範囲から選択できる。本発明の帯電防止剤を塗布あるいは含浸した後は、適宜、成形物を風乾あるいは加熱乾燥することができる。
【0045】
本発明の帯電防止剤を適用できるポリウレタン樹脂は、少なくともポリイソシアネートとポリオールとの反応により得られるポリウレタンを含むものであり、各種の添加剤を更に含むことができる。更に、ポリエステル、ポリカーボネートなどの他のポリマー構造を取り込んだポリウレタン樹脂も本発明にかかるポリウレタン樹脂に含まれる。
【0046】
ポリウレタン樹脂の原料には、ポリオール及びポリイソシアネートと、触媒、鎖伸長剤、架橋剤、水、整泡剤等から所望に応じて選択された成分と、を使用することができる。ポリオールに特に制限はなく、分子末端にヒドロキシ基を備えるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを用いる。ポリエステルポリオールは、例えば、アジピン酸などの二塩基酸と二価または三価のアルコールとのエステル反応で作られるものやラクトンの開環重合によるものがある。ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイドの単独重合体または共重合体であるジオール、あるいはグリセリンやトリメトロールプロパンなどの多価アルコールに前述エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイドを重合させたポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネートについても特に制限はなく、芳香族、脂肪族及び脂環式のポリイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。触媒、鎖伸長剤、架橋剤、整泡剤なども従来公知のものを特に制限なく使用することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られたポリウレタン樹脂成形物の「帯電防止性」の評価、「発泡倍率」の測定及び「破断強度」の測定は次の方法でおこなった。
(帯電防止性の評価)
ポリウレタン樹脂成形物を、温度20℃および湿度40%の恒温恒湿条件で3時間静置した後、1000Vの電圧にて成形物表面の漏洩抵抗値を測定した。数値が小さいほど帯電防止性が良いことを示す。測定には、漏洩抵抗値測定装置:TOAスーパーメグオームメーターSM−5E(東亜電波工業株式会社製)を用いた。
(発泡倍率の測定)
ポリウレタン発泡体成形物の製造例1の工程(3)において、成形用の混合物を枠に流し込んだ直後の混合物の容積(a)と、1日間熟成後のポリウレタン発泡体成形物の容積(b)とを測定した。容積(a)を「1」としたときに容積(b)の比率を算出し、発泡倍率とする。
(破断強度の測定)
ポリウレタンフィルムを、温度20℃及び湿度65%の恒温恒湿条件で3時間静置した後、JIS K 6251(2004)に準じ、ダンベル状3号形の試験片打ち抜き刃にて切り出し、この試験片の破断強度を測定した。測定には島津社製オートグラフ(AG−1S)を用い、引張強度は300mm/minとした。
【0048】
(1)ポリウレタン発泡体成形物
製造例1
実施例1〜3及び比較例1〜3におけるポリウレタン発泡体成形物の製造用の成分は表1の通りである。
【0049】
【表1】

【0050】
表中、ポリプロピレングリコールとしては、「アデカポリエーテルP−3000」((株)ADEKA製)を用い、整泡剤としては「SH−190」(DOW CORNING社製)を用いた。
【0051】
ポリウレタン発泡体成形物は以下の工程により製造した。
(1)No.1〜6の成分を混合し、ディスパーで攪拌し(2000rpm×2分間)混合物を得た。
(2)次いで、上記(1)の工程で得られた混合物にNo.7の成分を加えてディスパーで攪拌し(2000rpm×10秒間)、成形用の混合物を得た。
(3)こうして得られた成形用の混合物を直ちに枠に流し込み、室温(約25℃)で1日間熟成させて、ポリウレタン発泡体成形物を得た。
【0052】
(実施例1)
帯電防止剤として融点が16℃である1−ブチル−3−メチルピリジニウムジシアナミド0.1質量部をポリプロピレングリコール(表1のNo.1の成分)に添加し、製造例1に従ってポリウレタン発泡体成形物を得た。
(実施例2)
帯電防止剤として融点が16℃である1−ブチル−3−メチルピリジニウムジシアナミド0.3質量部をポリプロピレングリコール(表1のNo.1の成分)に添加し、製造例1に従ってポリウレタン発泡体成形物を得た。
(実施例3)
帯電防止剤を添加しない以外は製造例1と同様にして製造したポリウレタン発泡体の表面に、帯電防止剤として、融点が16℃である1−ブチル−3−メチルピリジニウムジシアナミドの1質量%イソプロパノール溶液を、10g/m2の噴霧量でスプレーした。その後、室温(約25℃)で24時間静置し、ポリウレタン発泡体成形物を得た。
【0053】
(比較例1)
帯電防止剤を添加しない以外は製造例1と同様にしてポリウレタン発泡体成形物を得た。
(比較例2)
帯電防止剤として融点が−21℃である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド0.3質量部をポリプロピレングリコール(表1のNo.1の成分)に添加し、製造例1に従ってポリウレタン発泡体成形物を得た。
(比較例3)
帯電防止剤として(2−ヒドロキシエチル)ジメチル[3−(ラウロイルアミノ)プロピル]アンモニウム過塩素酸塩0.1質量部をポリプロピレングリコール(表1のNo.1の成分)に添加して用いる以外は製造例1と同様にしてポリウレタン発泡体成形物を得た。
【0054】
以上の実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたポリウレタン樹脂成形物の漏洩抵抗値及び発泡倍率を測定した結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
(2)ポリウレタンフィルム(スプレー処理)
(実施例4)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)39.2gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ1mm)を得た。このフィルムに、帯電防止剤として、融点が16℃である1−ブチル−3−メチルピリジニウムジシアナミドの1質量%イソプロパノール溶液を、10g/m2の噴霧量でスプレーし、室温(約25℃)で24時間静置し、帯電防止性ポリウレタンフィルムを得た。
【0057】
(比較例4)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)39.2gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ1mm)を得た。このフィルムをブランクとして評価した。
(比較例5)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)39.2gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ1mm)を得た。このフィルムに、帯電防止剤として、融点が−21℃である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドの1質量%イソプロパノール溶液を、10g/m2の噴霧量でスプレーし、室温(約25℃)で24時間静置し、帯電防止性ポリウレタンフィルムを得た。
(比較例6)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)39.2gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ1mm)を得た。このフィルムに、帯電防止剤として、(2−ヒドロキシエチル)ジメチル[3−(ラウロイルアミノ)プロピル]アンモニウム過塩素酸塩の5質量%イソプロパノール溶液を、10g/m2の噴霧量でスプレーし、室温(約25℃)で24時間静置し、帯電防止性ポリウレタンフィルムを得た。
【0058】
以上の実施例4及び比較例4〜6で得られたポリウレタンフィルムの漏洩抵抗値及び発泡倍率を測定した結果を表3に示す。
【0059】
【表3】

【0060】
(3)ポリウレタンフィルム(練り込み)
(実施例5)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)100質量部に、帯電防止剤として融点が16℃である1−ブチル−3−メチルピリジニウムジシアナミド0.15質量部を添加し、よく混合した。この混合物12gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ0.4mm)を得た。
【0061】
(比較例7)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)12gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ0.4mm)を得た。
(比較例8)
エバファノールHA−107C(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物、不揮発分40質量%、日華化学(株)製)100質量部に、帯電防止剤として融点が−21℃である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド0.15質量部を添加し、よく混合した。この混合物12gをステンレス製の箱(縦10cm×横12cm×高さ1cm)に流し込み、これを室温(約25℃)で3日間乾燥し、ポリウレタンフィルム(縦10cm×横12cm×厚さ0.4mm)を得た。
【0062】
以上の実施例5及び比較例7〜8で得られたポリウレタンフィルムの漏洩抵抗値及び発泡倍率を測定した結果を表4に示す。
【0063】
【表4】

【0064】
以上のとおり、アニオン成分がジシアナミドアニオンであり、カチオン成分がハロゲン原子を含まないピリジニウムカチオンである有機塩を有効成分として含む本発明にかかる帯電防止剤によれば、少ない使用量でもポリウレタン樹脂成形物に優れた帯電防止性を付与することができる。また、本発明の帯電防止剤によれば、従来の帯電防止剤と比較して、ポリウレタン樹脂成形物の強度の低下を抑制することができる。更に、ポリウレタン樹脂成形物がポリウレタン発泡体である場合は、本発明の帯電防止剤を使用すると製造時の発泡が阻害されず、かつ良好な発泡倍率と優れた帯電防止性が付与される等の効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるジシアナミドアニオンと、下記一般式(2)で表されるカチオンとから構成される有機塩を有効成分として含むことを特徴とするポリウレタン樹脂用帯電防止剤。
【化1】

【化2】

(式中、
1は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、アリール基あるいはベンジル基を、R2、R3は同一または異なって、Hあるいは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の帯電防止剤を含むことを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物。
【請求項3】
ポリオールとポリイソシアネートを含む混合物からポリウレタン樹脂を得る工程と、該ポリウレタン樹脂の成形物を得る工程とを有し、
前記ポリウレタン樹脂を得る工程において請求項1に記載の帯電防止剤を添加することにより前記ポリウレタン樹脂の成形物に帯電防止性を付与する
ことを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法。
【請求項4】
ポリオール、ポリイソシアネート及び前記帯電防止剤を含む混合物を成形条件下で硬化させることにより帯電防止剤を前記ポリウレタン樹脂成形物に付与する請求項3に記載の帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法。
【請求項5】
ポリオール、ポリイソシアネート及び前記帯電防止剤を含む混合物からポリウレタン樹脂を得てから、得られたポリウレタン樹脂を成形することにより帯電防止剤を該ポリウレタン樹脂成形物に付与する請求項3に記載の帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の帯電防止剤を、ポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂組成物に混合した後に得られた混合物を成形することを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の帯電防止剤とポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の帯電防止剤がポリウレタン樹脂成形物の少なくとも表面に付着していることを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物。
【請求項9】
請求項1に記載の帯電防止剤を、ポリウレタン樹脂成形物表面に塗布、あるいはポリウレタン樹脂成形物に含浸させることを特徴とする帯電防止性ポリウレタン樹脂成形物の製造方法。
【請求項10】
下記一般式(1)で示されるジシアナミドアニオンと、下記一般式(2)で表されるカチオンから構成される有機塩を、ポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂成形物の製造において帯電防止剤として使用する方法。
【化3】

【化4】

(式中、
1は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、アリール基あるいはベンジル基を、R2、R3は同一または異なって、Hあるいは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。)

【公開番号】特開2010−202771(P2010−202771A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49800(P2009−49800)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【Fターム(参考)】