説明

ポリウレタン/ポリイソプレンブレンドカテーテル

ポリウレタンと合成ポリイソプレン(SPIR)のブレンドからカテーテル等の医療物品を形成する。このブレンド医療物品は、好ましくは室温で相対的に剛性であり、体温で相対的に可撓性であるように選択かつ調製される。このブレンド製の間欠カテーテルは、室温では患者へのその挿入に適した剛度を与える。カテーテルは、より温かい温度(例えば、体温)では、より柔らかく、ひいてはより快適になり、挿入後の不快感を軽減する。任意に、カテーテル又はその一部が、外部潤滑剤の必要がないように親水性コーティングを有してよい。有利には、このブレンドカテーテルは、敏感な使用者の毒性又はアレルギー反応のリスクを回避しながら、間欠カテーテル処置用途の剛性、引張り強さ、及び摩擦係数の要件を満たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、その開示全体を参照によって本明細書に援用する2008年6月30日に出願された米国仮特許出願第61/076,933号の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
この出願は、カテーテル、例えば留置カテーテル及び間欠カテーテル等の尿路カテーテルに関し、さらに詳細には低アレルギー性又は非アレルギー性の合成ポリイソプレンをベースにした処方を含む間欠カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
膀胱から尿を排出するのに適したカテーテルとしては、間欠カテーテルと留置カテーテルの両方がある。留置カテーテルとしてはフォーリー(Foley)カテーテルがある。フォーリーカテーテル処置は、典型的に少なくとも一時的に排尿を補助する必要がある外科患者及び内科患者に必要とされている。患者をカテーテル処置する一般的な指標としては、急性又は慢性尿閉(腎臓を損傷し得る)、患者の運動を少なくとも一時的に制限し得る医療行為(すなわち、手術)、インプットとアウトプットの正確なモニタリングの必要性(例えばICUにおいて)、良性前立腺肥大症、失禁、並びに膀胱及び前立腺に係わる種々の外科的処置の影響が挙げられる。
【0004】
標準的なフォーリーカテーテルデザインは、膀胱内にカテーテルを固定するためカテーテルの遠位端部に配置されたバルーンを含む。カテーテルは、膀胱から尿を排出するための少なくとも1つの内腔と、バルーンを膨張させる(例えば、滅菌水を用いて)ための少なくとも1つの内腔とを含む。フォーリーカテーテルの近位端部には、2つの内腔と連通している少なくとも2つのポートがある。第1ポートはドレナージ内腔に連結され、かつドレナージ及びサンプリング用取付け部品とのインターフェースを有する。第2ポートは、充填された時点で膨張流体が内腔及びバルーン内に確実に留まるようにするための弁を備えた膨張内腔に連結される。標準的フォーリーカテーテルの先端は、バルーンの側面を越えて膀胱内に伸長し、かつ膀胱から流体及びデブリを排出するための1つ以上の開口部又は「目」を含む。種々の追加物(例えば、機械式アンカー等)及び改良を含むカテーテルが提案かつ調査されているが、この標準的デザインは長年変わっていない。
【0005】
典型的な間欠カテーテルは、主に間欠カテーテルが保持バルーン又は関連膨張内腔を持たないという点で留置カテーテルとは異なる。もっと正確に言えば、間欠カテーテルは典型的に、近位端部に複数のドレナージ目と、遠位端部に漏斗を有する単一内腔デバイスである。間欠カテーテル処置は、尿路系が機能不全の個体(例えば、狭窄及び外傷を患っている)、及び自発的に排尿できないことがある身体障害者(例えば、対麻痺又は四肢麻痺)で行なわれることが多い。このような個体は、多くの場合、1日に数回、間欠カテーテルを用いて自己カテーテル処置するであろう。
【0006】
間欠カテーテルは、一般的に使用者の膀胱又は使用者に挿入される遠位端部に連結された丸みのある先端を有するカテーテル又は管である。近位端部に連結された成形漏斗が使用者の体の外側に残る。これらのタイプのカテーテルは典型的に、使用者の膀胱から尿を除去するために必要な場合に一時的に利用される。遠位先端がシャフト内にスロット又は開口部を含んで、遠位先端が膀胱の内部に位置付けられたらすぐに膀胱からの尿のドレナージを容易にすることができる。
【0007】
きれいにして再利用するように設計された間欠カテーテルが存在するが、間欠カテーテルは典型的に使い捨てである。間欠カテーテルは典型的に天然ゴムラテックスから、或いは、場合によっては、ポリ塩化ビニル(PVC)から製造される。プレウェット間欠カテーテルは、その外面に滑らかなコーティングがある間欠カテーテルである。使用者への挿入を容易にするための滑りやすい外面を備えたカテーテルを提供するため、プレウェット間欠カテーテルは湿潤流体内に梱包されるか又は乾式梱包され、その梱包から取り除かれた後に湿潤流体に浸漬される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の態様は、間欠尿路ドレナージカテーテルであって、カテーテルが第1の温度にあるときはカテーテルの挿入に適した剛度を与えるが、カテーテルが第2の温度にあるときは挿入後の不快感を軽減するように、第2の温度のときより第1の温度で変形に対して抵抗力がある、ポリウレタンと合成ポリイソプレンのブレンドを含む、間欠尿路ドレナージカテーテルに関する。本カテーテルは、約18℃〜約25℃で約200psi(1.38MPa)〜約2000psi(13.79MPa)の範囲の300%ヤング率を有する。別の実施形態では、カテーテルの少なくとも一部が親水性外面を有する。
【0009】
本発明の別の態様は、ポリウレタン材料と合成ポリイソプレン材料を含むブレンド医療物品に関する。このブレンド医療物品の剛性は温度とともに変化する。
【0010】
本発明の別の態様は、より高い温度において、より低い温度におけるより可撓性が高い、間欠尿路ドレナージカテーテルに関する。該態様の実施形態では、より低い温度が室温であり、より高い温度が体温である。
【0011】
本発明の別の態様は、医療物品の製造方法であって、合成ポリイソプレンを配合成分と混合して配合合成ポリイソプレンを生成する工程と、この配合合成ポリイソプレンを熟成させる工程と、配合合成ポリイソプレンをポリウレタンと混合してブレンドを形成する工程とを含む方法に関する。この方法は、該ブレンドに型を浸漬して医療物品を形成する工程をさらに含む。このブレンド医療物品の剛性は温度とともに変化する。
【0012】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート及びチアゾールを含む促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0013】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート及びチアゾールを有する促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0014】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマート及びチアゾールを含む促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0015】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート及びチアゾールを有する促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0016】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマートを含む促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0017】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマートを有する促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0018】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマートを含む促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0019】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマートを有する促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0020】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマート及びグアニジンを含む促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0021】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート及びグアニジンを有する促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0022】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマート及びグアニジンを含む促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0023】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート及びグアニジンを有する促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0024】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマート、チアゾール及びグアニジンを含む促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0025】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート、チアゾール及びグアニジンを有する促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0026】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、カルバマート、チアゾール及びグアニジンを含む促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0027】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてカルバマート、チアゾール及びグアニジンを有する促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0028】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、チアゾール及びグアニジンを含む促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0029】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてチアゾール及びグアニジンを有する促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0030】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、チアゾール及びグアニジンを含む促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0031】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてチアゾール及びグアニジンを有する促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0032】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、グアニジンを含む促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0033】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてグアニジンを有する促進剤系と、イオウ及びイオウ供与体を含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0034】
別の態様は、合成ポリイソプレンラテックスと、グアニジンを含む促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物に関する。
【0035】
別の態様は、エラストマー物品を形成するための方法であって、合成ポリイソプレンラテックスと、促進剤としてグアニジンを有する促進剤系と、イオウを含む加硫系と、ポリウレタンとを含む組成物からフィルムを形成する工程を含む方法に関する。
【0036】
(図面の簡単な説明)
ここで添付図面を参照しながら、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点について本発明の好ましい実施形態に関連して述べる。しかし、図示した実施形態は、単なる例であり、本発明を限定するものではない。以下に図面の簡単な説明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の好ましい実施形態の間欠尿路カテーテルアセンブリーの実施形態の上面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った間欠尿路カテーテルアセンブリーの断面図である。
【図3】図1に示すパッケージから取り除いた状態を示す、図1の間欠カテーテルの斜視図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態のフォーリー尿路カテーテルアセンブリーの実施形態の斜視図である。
【図5】図4のフォーリーカテーテルの先端の側面図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態のフォーリーカテーテル又は間欠カテーテル等の医療物品を製造するための典型的プロセスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここで以下の詳細な説明は、本発明の特定の具体的実施形態に関するものである。この説明では、図面に言及する。この説明及び図面全体を通して、同様の部分は同様の番号で示してある。
【0039】
間欠カテーテル処置は典型的に、尿管(尿道)を介して膀胱の中に通して膀胱から尿を排出する細い中空管を含む。通常の間欠カテーテルは、ポリ塩化ビニル(PVC)、又は、場合によっては、天然ゴムラテックスから製造される。PVCは相対的に剛性で、挿入中及び挿入後に使用者に不快感を生じさせ得る。化学添加剤を用いてPVCの可撓性を高めることができるが、これらの毒性添加剤は、使用者の系内に浸出し、望ましくない反応を引き起こす可能性がある。
【0040】
天然ゴムラテックスは、個体によっては激しいアレルギー反応を引き起こすことがあるタンパク質を含む。浸漬産業で一般的に用いられる天然ゴムラテックスは、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)の木から採取された樹液から加工される。天然ゴムラテックスは約1〜3%のタンパク質を含む。これらのほぼ半分がゴム粒子の表面に結合してラテックスを安定させ、残りは水相に溶解する。どちらからもタンパク質を除去するのは困難である。天然ゴムラテックスを2回以上遠心分離機にかけ、実質的に除タンパク質して抽出可能タンパク質を360μg/gから20〜50μg/gに減らすことができる。しかし、このような低いタンパク質レベルでさえ、依然として1型アレルギー反応のリスクがある感作個体もいる。アレルギー性個体では、天然ゴムラテックスタンパク質に対するIgE抗体のレベルが、アレルギーのない個体の数千倍高い可能性がある。これらの個体では、非常に低レベルにさらされた場合でさえ、全身アナフィラキシー、局所アナフィラキシー、枯草熱、喘息、及び湿疹を誘発することがある。
【0041】
時にはシリコーン間欠カテーテルを使用して毒性及びアレルギー反応を回避する。しかしながら、シリコーンカテーテルは、費用のかかる工具及び複雑な製造プロセスを必要とする。さらに、シリコーンカテーテルは、天然ゴムラテックスと同じ感触、物理的性質及び多用途の加工能をもたない。例えば、シリコーンは、天然又は合成ポリイソプレンゴムと同じエラストマー特性をもたない。さらに、挿入に必要なシリコーンカテーテルの剛性は、挿入後に接触する組織への不快感を増す可能性がある。
【0042】
合成ポリイソプレンラテックスは、天然ゴムラテックス又はいずれの他のタンパク質(すなわち、アレルゲン)をも含まない人工ポリマーである。本発明の実施形態では、合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンドが、間欠カテーテル等の医療物品を形成する際のシリコーンの費用効率が高い代用品及び天然ゴムラテックスの低アレルギー性又は非アレルギー性代替品を提供することができる。種々の実施形態によれば、合成ポリイソプレンをポリウレタンとブレンドして、患者及び開業医にとって天然ゴムラテックスアレルギー反応のリスクのない天然ゴムラテックスの感触と物理的性質を備えた間欠カテーテルを製造することができる。
【0043】
天然又は合成ラテックスからエラストマー物品を製造するための通常のプロセスは、ラテックス分散系又はエマルションを調製する工程、製造すべき物品の形状の模型をラテックス中に浸漬する工程及びラテックスが模型上にある間にラテックスを硬化させる工程を含む。硬化工程では、イオウ基を介してポリマー単位間に架橋又は加硫が起こる。特定の通常の浸漬プロセス及び機械類は、合成ポリイソプレンカテーテルの製造に適用可能である。しかし、天然ゴムラテックス物品を加工するために用いられる通常の配合処方及び硬化条件は、間欠カテーテルでの使用といった特定の医療用途に望ましい特性を有する合成ポリイソプレン物品を製造するには適切でないだろう。
【0044】
本発明の実施形態では、間欠カテーテルはポリウレタンと合成ポリイソプレンラテックス(SPIR)のブレンドを含む。任意に、本カテーテルは親水性外面層を含んでよい。例えば、外面層の少なくとも一部が、水にさらされると活性化する親水性コーティングを含んでよい。親水性コーティングは、外部潤滑剤を必要とせずに、迅速かつ清潔な潤滑をもたらす。ポリウレタン/SPIR組成物は、好ましくは、カテーテルの挿入に適した剛度を与えるが、挿入後の不快感を軽減するように、室温では相対的に剛性であり、体温では相対的に可撓性であるように選択かつ調製される。剛性又は剛さは、変形に抵抗するための医療物品の特性である。室温を約18℃〜25℃と定義することができる。体温の正常範囲は約36℃〜38℃である。当然に室温及び体温の範囲は例示であり、記載した値に限定されない。
【0045】
また、本発明の実施形態では、新しい配合処方及びプロセスを提供して、合成ポリイソプレンラテックス及び合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンドを硬化させて、天然ゴムラテックスの強度と合致させるという目標を達成しながら、患者の天然ゴムラテックスタンパク質への暴露を排除する。さらに、本発明の実施形態では、製造プロセスの配合、架橋及び硬化段階中に、間欠カテーテル等の特定のエラストマー物品の望ましい特性が有利に影響を受けるか又は制御され得る。これらの特性としては、例えば、剛性、引張り強さ、及び摩擦係数が挙げられる。
【0046】
好ましい実施形態では、合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンド用の促進剤系及び合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンド用の加硫系を含む、合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンド用の配合処方を提供する。促進剤系をポリウレタンとは別に、又は合成ポリイソプレンをポリウレタンとブレンドした後に、合成ポリイソプレンラテックスと配合することができ、かつ促進剤系は1種以上の促進剤を含むことができる。加硫系もポリウレタンとは別に、又は合成ポリイソプレンをポリウレタンとブレンドした後に、合成ポリイソプレンラテックスと配合することができ、かつ加硫系はイオウ及び1種以上のイオウ供与体を含むことができる。典型的な促進剤系として、例えば、カルバマートとチアゾールの組合せが挙げられる。典型的な加硫系は、イオウとジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(DPTH)を含み得る。本発明の実施形態は、合成ポリイソプレンラテックス及び合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンドを硬化させる方法をも包含する。実施形態の促進剤系及びイオウ硬化化合物を用いて、室温では体内に挿入するのに適した剛性を有し、それにもかかわらずより高温(例えば、体温)では、より柔らかく、ひいてはより快適になる、合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンドを生成する。
【0047】
図1及び2に示す実施形態では、尿路ドレナージカテーテル1は、使用者の膀胱の間欠カテーテル処置を目的とする。カテーテル1は、尿道を通じたカテーテルの導入及び膀胱の十分なドレナージに適した断面(例えば、内径及び外径)と長手方向の寸法を備えたカテーテル管2を含む。カテーテル管2は、遠位入口端部3から近位端部に向かって伸長している。遠位入口端部3には、尿入口開口部4が設けられている。近位端部で、カテーテル管2が出口部材5と連結されている。出口部材5を漏斗形状で構成し、管2からの尿の流れを容易にするように設計することができる。患者の能力に応じて、出口部材5をトイレに直接流れ込むように構成することができ、或いは膀胱から回収した尿をトイレに、容器中に、又は尿収集バッグ中に輸送するためのホース部材と管2を連結するように構成することができる。
【0048】
カテーテル管2はポリウレタンと合成ポリイソプレン(SPIR)のブレンドを含む。ポリウレタン/SPIR組成物は、体温より低い温度、例えば室温では、相対的に剛性であり、体温ではより柔らかくかつ可撓性になるように選択かつ調製される。この効果を果たし、かつ間欠用途の他の引張り要件及び弾力性要件を満たすのに適したいずれのガラス転移温度をも有するポリウレタン/SPIRブレンドを製造することができる。このような実施形態は、体内に挿入するのに十分に剛性でありながら、挿入中及び挿入後の使用者の不快感を最小限にし、かつ望ましくない毒性浸出又は敏感な使用者におけるアレルギー反応を回避もする間欠カテーテルを提供する。約20℃〜約100℃の温度範囲のガラス転移温度を有するように生体適合性ポリウレタン/SPIRブレンドを処方することができる。
【0049】
一部の実施形態では、ポリウレタン/SPIRブレンドが、体内に入るとすぐに特定の位置にカテーテルをより容易に導けるように、形状記憶特性を備えて構成される。一部の実施形態では、カテーテルの一定部分は挿入後でさえ剛性を維持するように、及び/又は入るとすぐに特定の位置にカテーテルを容易に導けるように、カテーテルが異なる軟化温度を有する部分又はセクションを含み得る。
【0050】
間欠カテーテルの一部又は全体が、ポリウレタン/SPIRブレンドを含むことができる。例えば、管2及び/又は遠位端部3が、ポリウレタン/SPIRブレンドを含むことができる。漏斗5が、管2と同じポリウレタン/SPIRブレンド、異なるポリウレタン/SPIRブレンド、又は全く異なる材料を含むことができる。これら及び他の部分を浸漬成形プロセス、又は押出及び/又は他の成形プロセス、例えば射出成形で形成することができる。
【0051】
図示した実施形態では、カテーテル管2は、遠位端部3からその長さの実質的部分について、その外面上に潤滑性及び/又は抗菌性の表面コーティング6がコーティングされている。適切な潤滑性コーティング6としては、親水性表面コーティング6がある。カテーテルの使用前に液体で親水性表面コーティング6を調製して、極端に低い摩擦特性のカテーテル表面を与えることができる。この低い摩擦特性は、カテーテル1が尿道を非常に容易に滑れるようにし、その上、尿道壁を損傷するリスクを低減する。しかし、親水性表面層を他の手段で与えてよく、尿道内に位置する予定の活性部分が全体的に親水性材料製であるカテーテル管が挙げられる。潤滑性及び抗菌性コーティングの好適な非限定例は、各開示全体を参照によって本明細書に援用する米国特許第5,459,317号;第4,585,666号;第5,558,900号;第5,077,352号;第5,179,174号;第6,329,488号;第6,716,895号;第6,949,598号;第7,179,849号;及び第7,378,156号に開示されている。
【0052】
カテーテル1を使用前はパッケージ7内で貯蔵してよい。パッケージ7は、例えば、ガス不透過性熱可塑性フィルム材料の2枚のシート8及び9を含んでよく、これらは閉じ目10に沿って互いに固定されている。シート8、9がカテーテル管2の周囲にキャビティ11を形成する。パッケージの移行セクション13は、幅広端部セクション12をキャビティ11に連結し、好ましくは出口又は連結部材5の外形寸法に従う。図3は、パッケージ7から取り除かれたカテーテル1の斜視図を示す。
【0053】
図4は、フォーリー尿道カテーテルのような、体の開口部に導入するためのカテーテル14を示す。カテーテル14は短時間又は長時間体内に挿入し得る。カテーテル14は、細長い可撓性の本体部分16を含み、これは一般的に18で示される先端部分で終わる。細長い可撓性の本体部分16は、第1端部と第2端部及び少なくとも2つの内腔20a、20bを有する。一方の内腔20aをドレナージのために利用し、他方の内腔20bを膨張のために利用する。図に示すように、細長い可撓性の本体部分16は外面をも有する。
【0054】
カテーテル14は、その近位端部に漏斗24をさらに含む。漏斗24で、内腔20a、20bが分かれる。膨張内腔20bが水/空気ポンプ74に管72を介して連結し得る。水/空気ポンプ74を利用して、水又は空気を膨張内腔20bに流し込む。
【0055】
ドレナージ内腔20aは、漏斗24を介して尿を管68に通す。管68を尿貯蔵バッグ70に連結してよい。漏斗24を尿貯蔵バッグ70に長時間連結してよく、一方で水/空気ポンプ74に連結するのは、膀胱内でカテーテル14の遠位端部を膨張させるのに十分な長さの時間必要なだけである。
【0056】
図5は、カテーテル14の先端18の側面図である。先端18は典型的に、患者の道開口部に挿入しやすいように細くなっている。先端18は、管の患者側端部に位置するよう示されている。先端18には、流体が入って、先端から出られるようにするドレナージポート26を示してある。先端18の近傍には、空気又は流体を保持バッグ又はバルーンに供給する膨張ポート30がある。
【0057】
カテーテル14の少なくとも一部は、ポリウレタンと合成ポリイソプレン(SPIR)のブレンドを含む。ポリウレタン/SPIR組成物は、体温より低い温度、例えば室温では相対的に剛性であり、体温ではより柔らかくかつ可撓性になるように選択かつ調製される。この効果を果たし、かつフォーリー用途の他の引張り要件及び弾力性要件を満たすのに適したいずれのガラス転移温度をも有するポリウレタン/SPIRブレンドを製造することができる。このような実施形態は、体内に挿入するのに十分剛性でありながら、挿入中及び挿入後の使用者の不快感を最小限にし、かつ望ましくない毒性浸出又は敏感な使用者におけるアレルギー反応を回避もするフォーリーカテーテル14を提供する。
【0058】
一部の実施形態では、凝固剤浸漬プロセスを利用して合成ポリイソプレンとポリウレタンのブレンドからカテーテル1、14を製造することができる。図6は、本発明の好ましい実施形態のフォーリーカテーテル14又は間欠カテーテル1のような医療物品を製造するための典型的プロセスを示すブロック図である。このプロセスは工程200で始まり、合成ポリイソプレンを、促進剤系と硬化系を含む適切な配合成分と混合する。任意に、工程202で、合成ポリイソプレンと配合成分の混合物をしばらくの間熟成させてよい。熟成は、コロイド懸濁液中のラテックス粒子上に配合成分を吸収させ、ラテックス粒子の最外面で架橋を開始させることができ、そして架橋が徐々に内側に伝わる。この期間は、数時間から数日の範囲であってよい。特定の実施形態では、この期間が少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、又はそれより長くてよい。
【0059】
工程204で、混合物をポリウレタンとブレンドすることができる。ブレンドするポリウレタンの量を選択して、所望の材料剛度を達成することができる。一部の実施形態では、ポリウレタンの量が、ポリイソプレンの量の約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%(すなわち、ほぼ等しい量)、又はそれより多くてよい。例えば、100部の合成ポリイソプレンを使用する場合、合成ポリイソプレンを5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれよりさらに多くの部のポリウレタンとブレンドすることができる。一部の実施形態では、ブレンドが1種以上の添加剤を含むことができ、添加剤としては、例えば、限定するものではないが、粘土、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリブタジエンエマルション、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエマルション、ポリアクリラート、ポリウレタン、ポリクロロプレン、スチレン/ブタジエンコポリマー、ニトリルラテックス、酸化亜鉛(促進剤としても使用できる)、ワックス、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、着色顔料、酸化防止剤、粘着付与剤、セルロース、増量(extended)油などが挙げられる。このような添加剤を選択して、物理的性質を改善し、粘度及び硬度を増加(減少)させ、及び/又は化合物のコストを低減することができる。
【0060】
商業的供給源から添加剤を得ることができる。商業的に入手可能な添加剤のいくつかの例には、分散剤としてアルキルナフタレンスルホナート(例えば、Cranbury, New JerseyのRhodia, Inc.から入手可能な0〜0.5phrのRhodacal(登録商標)BX 78);パラフィン及び微結晶性ワックス(例えば、Dalton,GeorgiaのTiarco Chemicalから入手可能な0〜3phrのOctowax-5);ヒンダードフェノール(例えば、Peace Dale,Rhode IslandのTechnical Industriesから入手可能なTi-Nox WL-CF);スチレン−無水マレイン酸コポリマーアンモニウム塩(例えば、Wilmington,DelawareのHercules, Inc.から入手可能な0〜1phrのImpress SC-740);ケイ酸アルミニウム(例えば、0〜30phr、DuPontから入手可能);及び/又はセルロースゴム(例えば、Hercules,Inc.の0〜1phrのAqualon CMC-7H4F)がある。
【0061】
工程206で、ラテックスを不安定化できる凝固剤に物品形状の型を浸漬することができる。適切な凝固剤の一例は、例えば、40gの硝酸カルシウム、8gの炭酸カルシウム及び52gの水を含む溶液である。浸漬した型を工程208で空気乾燥させることができる。工程210では、凝固剤に浸漬した型を、工程204で形成された合成ポリイソプレンとポリウレタンのブレンドに浸漬することができる。任意に、型を浸漬する前にポリイソプレン/ポリウレタンブレンドを加熱してよい。工程210では、いずれかの適切な長さの時間、例えば3〜20分、好ましくは7〜12分間、工程204で形成された合成ポリイソプレンとポリウレタンのブレンド内で型をそのままの状態に留めることができる。凝固剤浸漬工程206、乾燥工程208、及び/又は合成ポリイソプレン/ポリウレタン浸漬工程210を複数回繰り返して、特定用途の要求に応じて、エラストマー物品の異なる機能性に必要とされる適切な厚さを構築することができる。
【0062】
所望の厚さに達したら、型上で凝固した湿潤ゲルを工程212で水中に沈めて、残存配合成分と凝固剤を浸出させることができる。この浸出プロセスは、10分まで、又はそれより長く継続してよい。浸出プロセス後、型上の湿潤ゲルを乾燥器に入れて、例えば50℃〜140℃の範囲の温度で乾燥させることができる。乾燥プロセスは数時間まで継続してよい。一部の実施形態では、図6に示すように、乾燥プロセスをいくつかの段階で、異なる温度及び異なる長さの時間継続することができる。例えば、浸漬した型を工程214では空気循環乾燥器内で55℃にて10〜60分間、工程216で85℃にて10〜80分間、工程218で105℃にて10〜80分間乾燥させてよい。一連の段階を通じて乾燥時間及び/又は乾燥温度を増加、減少、又は増加かつ減少させてよい。所望長さの時間乾燥器内で維持した後、工程220で型を取り除いて冷ます。最後に、工程222で、エラストマー物品を型から剥ぎ取る。
【0063】
本発明の実施形態をいくつかの方法で使用者に提供することができる。例えば、実施形態を乾式梱包して、パッケージから取り除いた後に湿潤流体と接触させる構成とすることができる。他の実施形態では、パッケージ内に湿潤流体の容器と共に梱包するか、又は湿潤流体内に梱包することができる。このように上記カテーテルの種々の実施形態は、既知カテーテルを超えるいくつかの利点をもたらす。当然に、本明細書に記載の間欠カテーテルのいずれかの特定の実施形態によって必ずしも全てのこのような目的又は利点を達成できるものではないことを理解すべきである。従って、例えば、当業者は、本明細書で教示又は示唆され得る他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示した1つの利点又は1群の利点を達成又は最適化するようにカテーテルを開発できることを認めるであろう。
【0064】
秩序だった様式でモノマー単位を選択的に結合するための種々の触媒系を用いて立体規則性ポリイソプレンを合成することができる。結果として生じる合成ポリイソプレンゴム(SPIR)は、製品の一貫性、硬化速度、及び純度の点で天然ラテックスゴムを超える傾向がある。SPIRは、混合、押出、成形、及びカレンダー処理(calendering)プロセスでも優れた特性を示す。cis−ポリイソプレン固体ポリマーを溶媒に溶解させ、この溶解ポリマーを界面活性剤と水で乳化させ、最後に溶媒を除去することによって、合成ポリイソプレンを製造することができる。本発明の実施形態での使用に適した典型的な商業的に入手可能な合成ポリイソプレンとしては、Houston,TexasのKraton PolymersのKraton IR 401が挙げられる。
【0065】
一部の実施形態では、SPIRは、cis−1,4−ポリイソプレン、trans−1,4−ポリイソプレンを含むことができ、或いは主に1,2又は3,4構造を有し得る。SPIRを架橋又は他の方法で処理して、間欠カテーテル用途に望ましい特性を生じさせ得る。合成ポリイソプレンラテックスは、間欠カテーテルの製造においていくつかのユニークな特徴及び利益を提供する。さらに、カテーテル浸漬機の大多数は、水性浸漬に適するように既に装備されている。水性ラテックスの使用は、製造業者が新しい機械類を改変及び購入する煩わしさ並びに溶媒放出を報告及び追跡するための環境管理の懸念を排除する。
【0066】
ポリウレタンは、ウレタン結合で連結された有機単位の鎖から成るポリマーである。良い生体適合性、曲げ耐久性、高い強度及び引裂き抵抗、高い耐摩耗性及び加工多様性をもたらすようにポリウレタンを処方することができる。所定量でイソシアナートとポリオールを反応させることによってポリウレタンを製造して所望特性を得ることができる。ポリウレタンを作るために使用できるいくつかのイソシアナートとしては、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアナート、ナフタレン1,5−ジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、及びヘキサメチレンジイソシアナートが挙げられる。ポリオールとしては、ポリエーテル及びポリエステルが挙げられる。相対的に低分子量、例えば500〜3000の範囲のポリエーテルもあり、プロピレンとエチレンオキシドから製造される。ジオールをジカルボン酸と反応させることによってポリエステルポリオールを製造できる。ポリウレタンポリマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを含む。より低い温度では、ハードセグメントが一緒にクラスターを成して整列し、「偽架橋」として作用して、弾力性を得るためのエラストマーとしてポリウレタンが振る舞えるようにする。しかし、温度が上昇すると、これらのクラスターが溶解して退き、ポリウレタンをより柔らかくする。本発明の実施形態での使用に適した典型的な商業的に入手可能なポリウレタンには、Easley, South CarolinaのOrtec, Inc.のAMPUD-12Aがある。
【0067】
一部の実施形態では、例えばフォーリーカテーテル又は間欠カテーテル等のエラストマー物品を作るために使用される製造プロセスは、ポリマー単位を架橋又は加硫して三次元の網目構造にする硬化工程をも含み得る。1種以上の促進剤と共にイオウを用いて架橋を惹起及び伝播することができる。イオウは、環構造及び鎖構造を形成する。架橋プロセスでは、8員イオウ環が、より短い鎖構造に分裂し、個々のポリマーを結合して熱硬化性材料を形成する。種々の促進剤を用いてイオウの短鎖構造の形成を加速することができる。イオウ架橋内のイオウ原子の数が、材料の物理的性質を変える。例えば、1又は2つしかイオウ原子を含まない短い架橋は耐熱性を与え、長い架橋は可撓性を与える。さらに、イオウに代えて、又はイオウに加えて、イオウを有している化合物(すなわち、イオウ供与体)を使用すると、ゴム物品の熱への暴露に対する耐性を高めることができる。本発明の実施形態で使用可能なイオウ供与体としては、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、及びテトラエメチルチウラムモノスルフィドが挙げられる。イオウ及びイオウ供与体のいくつかの商業的に入手可能な供給源としては、Peace Dale, Rhode IslandのTechnical Industriesから入手可能なTi-rite S-4及びTi-Cure SF-CFジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(Sulfads)が挙げられる。
【0068】
本発明の実施形態の促進剤系は、例えば、カルバマート、チアゾール、及び/又はグアニジンを含むことができる。これらの促進剤は、単独で又は他の促進剤と組み合わせて使用することができる。適切なジチオカルバマートとして、例えば、ビスマスジメチルジチオカルバマート、カドミウムジエチルジチオカルバマート、銅ジメチルジチオカルバマート、ナトリウムジメチルジチオカルバマート、ナトリウムジブチルジチオカルバマート、亜鉛ジメチルジチオカルバマート、亜鉛ジエチルジチオカルバマート、亜鉛ジブチルジチオカルバマート、亜鉛ジペンタメチレンジチオカルバマート、亜鉛ジイソブチルジチオカルバマート、亜鉛ジアミルジチオカルバマート、ピペリジニウムペンタメチレンジチオカルバマート、亜鉛ジベンジルジチオカルバマート、及び亜鉛エチルフェニルジチオカルバマートが挙げられる。適切なチアゾールとして、例えば、ベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール、及び2−(2’,4’−ジニトロフェニルチオ)ベノチアゾールが挙げられる。適切なグアニジンとして、例えば、N,N’−ジ−オルト−トリグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、及びジ−オルト−トリルグアニジンが挙げられる。商業的に入手可能な促進剤のいくつかの例として、Dalton,GeorgiaのTiarco Chemicalから入手可能なOctocure ZMBT-50及びOctocure ZDB-50、並びにPeace Dale, Rhode IslandのTechnical Industriesから入手可能なTi-rite Zn-Bが挙げられる。
【0069】
本発明の実施形態のイオウ硬化系は、促進剤に対して高率のイオウ、又は促進剤に対して低率のイオウを利用することができる。低いイオウ/促進剤比を使用すると、ポリスルフィド結合より多くのモノスルフィド結合が架橋内に存在する。どちらの方法を用いても、特定用途に望ましい特性を備えたエラストマー物品を製造することができる。
【実施例】
【0070】
以下に述べるいくつかの実施例は、本発明の実施形態の合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンドによって得られ、かつ影響を受け得る材料特性を実証する。実施例1〜43は、本発明の実施形態での使用に適した合成ポリイソプレン配合処方を示し、カルバマート若しくはグアニジン単独又はカルバマートとグアニジンの組合せ又はカルバマートとチアゾールの組合せ又はカルバマート、グアニジン及びチアゾールの組合せが、例えば、3000psi(20.69MPa)より高い引張り強さを有するゴム物品を製造できることを実証する。総量で1.0phr〜4.5phrの範囲のイオウ又はイオウとイオウ供与体の組合せを用いて、硬化及び耐熱性を調整する。水酸化カリウム又は水酸化アンモニウムを用いて、配合ラテックスのpHを調整することができる。実施例44〜49は、ポリウレタンを合成ポリイソプレン処方に添加すると、カテーテルの剛性を高めて挿入を容易にし得ることを示す。以下の実施例50及び51は、それらが体に入ると柔らかくなり、それによって患者に硬いカテーテルの圧力からのいくらかの解放をもたらす合成ポリイソプレン/ポリウレタンブレンドを処方できることを示す。
【0071】
以下の実施例では、300%又は500%におけるモジュラスをInstron 5564で遂行し、ASTM D412に準拠して測定する。ヤング率を用いてカテーテルの剛性を測定する。材料が外部応力にさらされると、材料はゆがみ又は歪むようになる。線形応力の線形歪みに対する比率が弾性率、さらに一般的にはヤング率と呼ばれる。300%ヤング率(modulus)は、試料がその元の長さの300%に伸びているときのヤング率である。500%モジュラスは、500%の伸びで測定されるモジュラスである。より高いモジュラスは、該材料がより低いモジュラスの材料より堅いことを意味する。
【0072】
(実施例1)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分、105℃で45分、及び115℃で20分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3421psi(23.59MPa)の引張り強さ、1113%の破断点伸び、及び206psi(1.42MPa)の500%モジュラス。
【0073】
【表1】

【0074】
(実施例2)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分、105℃で45分、及び115℃で20分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3393psi(23.39MPa)の引張り強さ、1138%の破断点伸び、及び268psi(1.85MPa)の500%モジュラス。
【0075】
【表2】

【0076】
(実施例3)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3191psi(22.00MPa)の引張り強さ、1025%の破断点伸び、及び267psi(1.84MPa)の500%モジュラス。
【0077】
【表3】

【0078】
(実施例4)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3122psi(21.53MPa)の引張り強さ、756%の破断点伸び、及び586psi(4.04MPa)の500%モジュラス。
【0079】
【表4】

【0080】
(実施例5)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3383psi(23.33MPa)の引張り強さ、900%の破断点伸び、及び326psi(2.25MPa)の500%モジュラス。
【0081】
【表5】

【0082】
(実施例6)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3173psi(21.88MPa)の引張り強さ、908%の破断点伸び、及び312psi(2.15MPa)の500%モジュラス。
【0083】
【表6】

【0084】
(実施例7)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3240psi(22.34MPa)の引張り強さ、1044%の破断点伸び、及び229psi(1.58MPa)の500%モジュラス。
【0085】
【表7】

【0086】
(実施例8)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3456psi(23.83MPa)の引張り強さ、971%の破断点伸び、及び294psi(2.03MPa)の500%モジュラス。
【0087】
【表8】

【0088】
(実施例9)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3246psi(22.38MPa)の引張り強さ、878%の破断点伸び、及び347psi(2.39MPa)の500%モジュラス。
【0089】
【表9】

【0090】
(実施例10)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3920psi(27.03MPa)の引張り強さ、875%の破断点伸び、及び465psi(3.21MPa)の500%モジュラス。
【0091】
【表10】

【0092】
(実施例11)
配合成分を用いて合成ポリイソプレンラテックスを調製してから、合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3291psi(22.69MPa)の引張り強さ、858%の破断点伸び、及び405psi(2.79MPa)の500%モジュラス。
【0093】
【表11】

【0094】
(実施例12)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3124psi(21.54MPa)の引張り強さ、905%の破断点伸び、及び346psi(2.39MPa)の500%モジュラス。
【0095】
【表12】

【0096】
(実施例13)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3530psi(24.34MPa)の引張り強さ、1017%の破断点伸び、及び255psi(1.76MPa)の500%モジュラス。
【0097】
【表13】

【0098】
(実施例14)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3582psi(24.70MPa)の引張り強さ、1063%の破断点伸び、及び249psi(1.72MPa)の500%モジュラス。
【0099】
【表14】

【0100】
(実施例15)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3316psi(22.86MPa)の引張り強さ、1069%の破断点伸び、及び231psi(1.59MPa)の500%モジュラス。
【0101】
【表15】

【0102】
(実施例16)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3506psi(24.17MPa)の引張り強さ、1109%の破断点伸び、及び221psi(1.52MPa)の500%モジュラス。
【0103】
【表16】

【0104】
(実施例17)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3609psi(24.88MPa)の引張り強さ、1100%の破断点伸び、及び231psi(1.59MPa)の500%モジュラス。
【0105】
【表17】

【0106】
(実施例18)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3805psi(26.24MPa)の引張り強さ、1100%の破断点伸び、及び321psi(2.21MPa)の500%モジュラス。
【0107】
【表18】

【0108】
(実施例19)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3706psi(25.55MPa)の引張り強さ、1000%の破断点伸び、及び235psi(1.62MPa)の500%モジュラス。
【0109】
【表19】

【0110】
(実施例20)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3073psi(21.19MPa)の引張り強さ、1000%の破断点伸び、及び161psi(1.11MPa)の500%モジュラス。
【0111】
【表20】

【0112】
(実施例21)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3179psi(21.92MPa)の引張り強さ、1050%の破断点伸び、及び251psi(1.73MPa)の500%モジュラス。
【0113】
【表21】

【0114】
(実施例22)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3002psi(20.70MPa)の引張り強さ、1020%の破断点伸び、及び261psi(1.80MPa)の500%モジュラス。
【0115】
【表22】

【0116】
(実施例23)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3338psi(23.02MPa)の引張り強さ、950%の破断点伸び、及び285psi(1.97MPa)の500%モジュラス。
【0117】
【表23】

【0118】
(実施例24)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3315psi(22.86MPa)の引張り強さ、1080%の破断点伸び、及び285psi(1.97MPa)の500%モジュラス。
【0119】
【表24】

【0120】
(実施例25)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3377psi(23.28MPa)の引張り強さ、1100%の破断点伸び、及び237psi(1.63MPa)の500%モジュラス。
【0121】
【表25】

【0122】
(実施例26)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3315psi(22.86MPa)の引張り強さ、1080%の破断点伸び、及び261psi(1.80MPa)の500%モジュラス。
【0123】
【表26】

【0124】
(実施例27)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3869psi(26.68MPa)の引張り強さ、1100%の破断点伸び、及び231psi(1.59MPa)の500%モジュラス。
【0125】
【表27】

【0126】
(実施例28)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3376psi(23.28MPa)の引張り強さ、1100%の破断点伸び、及び237psi(1.63MPa)の500%モジュラス。
【0127】
【表28】

【0128】
(実施例29)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3579psi(24.68MPa)の引張り強さ、1000%の破断点伸び、及び242psi(1.67MPa)の500%モジュラス。
【0129】
【表29】

【0130】
(実施例30)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3384psi(23.33MPa)の引張り強さ、810%の破断点伸び、及び470psi(3.24MPa)の500%モジュラス。
【0131】
【表30】

【0132】
(実施例31)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3805psi(26.24MPa)の引張り強さ、820%の破断点伸び、及び454psi(3.13MPa)の500%モジュラス。
【0133】
【表31】

【0134】
(実施例32)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3383psi(23.33MPa)の引張り強さ、810%の破断点伸び、及び470psi(3.24MPa)の500%モジュラス。
【0135】
【表32】

【0136】
(実施例33)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3767psi(25.97MPa)の引張り強さ、875%の破断点伸び、及び393psi(2.71MPa)の500%モジュラス。
【0137】
【表33】

【0138】
(実施例34)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3630psi(25.03MPa)の引張り強さ、890%の破断点伸び、及び396psi(2.73MPa)の500%モジュラス。
【0139】
【表34】

【0140】
(実施例35)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3438psi(23.71MPa)の引張り強さ、890%の破断点伸び、及び394psi(2.72MPa)の500%モジュラス。
【0141】
【表35】

【0142】
(実施例36)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3291psi(22.69MPa)の引張り強さ、858%の破断点伸び、及び405psi(2.79MPa)の500%モジュラス。
【0143】
【表36】

【0144】
(実施例37)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3241psi(22.35MPa)の引張り強さ、1040%の破断点伸び、及び188psi(1.30MPa)の500%モジュラス。
【0145】
【表37】

【0146】
(実施例38)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3198psi(22.05MPa)の引張り強さ、900%の破断点伸び、及び203psi(1.40MPa)の500%モジュラス。
【0147】
【表38】

【0148】
(実施例39)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3475psi(23.96MPa)の引張り強さ、1020%の破断点伸び、及び157psi(1.08MPa)の500%モジュラス。
【0149】
【表39】

【0150】
(実施例40)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3651psi(25.17MPa)の引張り強さ、1010%の破断点伸び、及び158psi(1.09MPa)の500%モジュラス。
【0151】
【表40】

【0152】
(実施例41)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3623psi(24.98MPa)の引張り強さ、975%の破断点伸び、及び158psi(1.09MPa)の500%モジュラス。
【0153】
【表41】

【0154】
(実施例42)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3770psi(25.99MPa)の引張り強さ、1080%の破断点伸び、及び296psi(2.04MPa)の500%モジュラス。
【0155】
【表42】

【0156】
(実施例43)
合成ポリイソプレンラテックスを下記リストの成分と配合し、これを用いて浸漬成形品を作製する。この物品を55℃で30分及び115℃で45分硬化させる。物品は以下の物理的性質を示す:3476psi(23.97MPa)の引張り強さ、950%の破断点伸び、及び305psi(2.10MPa)の500%モジュラス。
【0157】
【表43】

【0158】
種々の促進剤系及び硬化系を含む、図6の工程200で用いるさらなる典型的な合成ポリイソプレン配合処方を下表44〜56に示す。合成ラテックスの各化合物は促進剤系及び硬化系を含む。下記リストの化合物は典型例であり、そこに示す実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきでない。例えば、いずれの促進剤も下記リストのいずれの硬化化合物とも使用することができる。さらに、下記実施例でリストアップする促進剤及び硬化化合物の量を変えて(他の促進剤及び硬化化合物と比べて又はそれらと共に減少又は増加させて)、異なる材料特性を生じさせることができる。さらに、多層医療物品の異なる層、又は医療物品の異なる部分に異なる化合物を使用することができる。
【0159】
【表44】

【0160】
【表45】

【0161】
【表46】

【0162】
【表47】

【0163】
【表48】

【0164】
【表49】

【0165】
【表50】

【0166】
【表51】

【0167】
【表52】

【0168】
【表53】

【0169】
【表54】

【0170】
【表55】

【0171】
【表56】

【0172】
(実施例44)
水性脂肪族ポリイソプレン分散系、Bayhydrol(登録商標)PR 110(Bayer MaterialScienceから入手可能)を5%及び10%(ポリイソプレンの量の)のポリウレタンとブレンドする。結果として生じる異なるブレンドの500%モジュラスを下表57に示す。
【0173】
【表57】

【0174】
表57は、5%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを258psi(1.78MPa)から681psi(4.70MPa)に高められることを示す。従って、この処方を用いて形成されるカテーテルの剛性は約164パーセント増加し得る。10%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを258psi(1.78MPa)から920psi(6.34MPa)に高められる。従って、カテーテルの剛性は約250パーセント増加し得る。
【0175】
(実施例45)
別の水性脂肪族ポリイソプレン分散系、Bayhydrol(登録商標)PR 240(Bayer MaterialScienceから入手可能)を5%及び10%(ポリイソプレンの量の)のポリウレタンとブレンドする。結果として生じる異なるブレンドの500%モジュラスを下表58に示す。
【0176】
【表58】

【0177】
表58は、5%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを258psi(1.78MPa)から436psi(3.01MPa)に高められることを示す。従って、この処方を用いて形成されるカテーテルの剛性は約69パーセント増加し得る。10%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを258psi(1.78MPa)から592psi(4.08MPa)に高められる。従って、カテーテルの剛性は約125パーセント増加し得る。
【0178】
(実施例46)
さらに別の水性脂肪族ポリイソプレン分散系、AMPUD-10(Ortec, Inc.から入手可能)を5%及び10%(ポリイソプレンの量の)のポリウレタンとブレンドする。結果として生じる異なるブレンドの500%モジュラスを下表59に示す。
【0179】
【表59】

【0180】
表59は、5%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを282psi(1.94MPa)から736psi(5.07MPa)に高められることを示す。従って、この処方を用いて形成されるカテーテルの剛性は約161パーセント増加し得る。10%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを282psi(1.94MPa)から1086psi(7.49MPa)に高められる。従って、カテーテルの剛性は約280パーセント増加し得る。
【0181】
(実施例47)
水性脂肪族ポリイソプレン分散系、AMPUD-10(Ortec, Inc.から入手可能)を5%及び10%(ポリイソプレンの量の)のポリウレタンとブレンドする。結果として生じる異なるブレンドの500%モジュラスを下表60に示す。
【0182】
【表60】

【0183】
表60は、5%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを310psi(2.14MPa)から510psi(3.52MPa)に高められることを示す。従って、この処方を用いて形成されるカテーテルの剛性は約65パーセント増加し得る。10%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを310psi(2.14MPa)から780psi(5.38MPa)に高められる。従って、カテーテルの剛性は約150パーセント増加し得る。
【0184】
(実施例48)
さらに別の水性脂肪族ポリイソプレン分散系、AMPUD-12a(Ortec, Inc.から入手可能)を5%及び10%(ポリイソプレンの量の)のポリウレタンとブレンドする。結果として生じる異なるブレンドの500%モジュラスを下表61に示す。
【0185】
【表61】

【0186】
表61は、5%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを316psi(2.18MPa)から577psi(3.98MPa)に高められることを示す。従って、この処方を用いて形成されるカテーテルの剛性は約83パーセント増加し得る。10%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを316psi(2.18MPa)から958psi(6.61MPa)に高められる。従って、カテーテルの剛性は約200パーセント増加し得る。
【0187】
(実施例49)
別の水性脂肪族ポリイソプレン分散系、Hauthane L-2245(Lynn, MassachusettsのHauthaway Corp.から入手可能)を5%及び10%(ポリイソプレンの量の)のポリウレタンとブレンドする。結果として生じる異なるブレンドの500%モジュラスを下表62に示す。
【0188】
【表62】

【0189】
表62は、5%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを305psi(2.10MPa)から581psi(4.01MPa)に高められることを示す。従って、この処方を用いて形成されるカテーテルの剛性は約90パーセント増加し得る。10%のポリウレタンを添加すると、特定処方の500%モジュラスを305psi(2.10MPa)から800psi(5.52MPa)に高められる。従って、カテーテルの剛性は約160パーセント増加し得る。
【0190】
(実施例50)
この実施例では、合成ポリイソプレンを0.1phrの水酸化カリウム、2phrのイオウ、1phrのイオウ供与体、0.5phrの亜鉛メルカプトベンゾチアゾール、0.1phrのナトリウムジブチルジチオカルバマート、1.5phrの酸化亜鉛、及び1.0phrのヒンダードフェノールと配合する。この配合合成ポリイソプレンを次に20、40、60及び80パーセントのアニオン性脂肪族水性ポリウレタンとブレンドし、このブレンドから医療物品を形成する。物品の300%モジュラスを21℃で測定する。次に物品を37.8℃(ほぼ体温)の水タンクに1時間浸漬し、再び300%モジュラスを測定する。その結果の異なるブレンドの異なる温度における300%モジュラスを下表63に示す。
【0191】
【表63】

【0192】
表63は、20%のポリウレタンを添加すると、21℃における特定処方の300%モジュラスを400psi(2.76MPa)から654psi(4.51MPa)に高められる(約64%の剛性の増加)ことを示す。80%のポリウレタンを添加すると、21℃における同処方の300%モジュラスを400psi(2.76MPa)から1450psi(10.00MPa)に高められる(約260%の剛性の増加)。表63は、各ブレンドについて、医療物品の温度を室温から体温に高めると、300%モジュラスを有意に低下させ得ることをも示す。
【0193】
(実施例51)
この実施例では、合成ポリイソプレンを0.2phrの水酸化カリウム、2phrのイオウ、1phrのイオウ供与体、0.1phrのナトリウムジブチルジチオカルバマート、0.5phrの酸化亜鉛、及び0.5phrのヒンダードフェノールと配合する。この配合合成ポリイソプレンを次に2.5、7.5、及び10パーセントのアニオン性脂肪族水性ポリウレタンとブレンドし、このブレンドから医療物品を形成する。物品の300%モジュラスを21℃で測定する。次に物品を37.8℃(ほぼ体温)の水タンクに1時間浸漬し、再び300%モジュラスを測定する。その結果の異なるブレンドの異なる温度における300%モジュラスを下表64に示す。
【0194】
【表64】

【0195】
表64は、7.5%のポリウレタンを添加すると、21℃における特定処方の300%モジュラスを142psi(0.98MPa)から348psi(2.40MPa)に高められる(約145%の剛性の増加)ことを示す。10%のポリウレタンを添加すると、21℃における同処方の300%モジュラスを142psi(0.98MPa)から368psi(2.54MPa)に高められる(約160%の剛性の増加)。表64は、各ブレンドについて、医療物品の温度を室温から体温に高めると、300%モジュラスを低下させ得ることをも示す。
【0196】
従って、上述したSPIR及びSPIR/ポリウレタンブレンドのカテーテル1、14の種々の形態は、既知カテーテルを超えるいくつかの利点を提供する。当然に、本明細書に記載のSPIRカテーテルのいずれかの特定の実施形態によって必ずしも全てのこのような目的又は利点が達成されるわけではないことを理解すべきである。従って、例えば、当業者は、本明細書で教示又は示唆され得る他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示した1つの利点又は1群の利点を達成又は最適化するように、SPIRカテーテルを開発できることを認めるであろう。
【0197】
間欠カテーテル1及びフォーリーカテーテル14と関連して説明したが、異なる温度で剛性及び可撓性が変化することが望ましい他の医療物品で本発明の実施形態を使用することもできる。当然のことながら、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、多くの種々の修正を加えることができる。
【0198】
記載した本発明の種々の態様及び特徴を別々に実施し、一緒に組み合わせ、又は相互に置換することができ、並びに特徴及び態様の種々の組合せ及び副組合せを成し得、それでもそれらは本発明の範囲内であると考えられる。従って、本明細書で開示した本発明の範囲は、上記特定の開示実施形態によって制限されるべきでなく、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ決定されるべきであるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠尿路ドレナージカテーテルであって、前記カテーテルが第1の温度にあるときはカテーテルの挿入に適した剛度を与えるが、前記カテーテルが第2の温度にあるときは挿入後の不快感を軽減するように、前記第2の温度のときより前記第1の温度で変形に対して抵抗力がある、ポリウレタンと合成ポリイソプレンのブレンドを含み、前記カテーテルが約18℃〜約25℃で約200psi(1.38MPa)〜約2000psi(13.79MPa)の範囲の300%ヤング率を有する、間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項2】
前記ブレンドが、約25℃〜約36℃のガラス転移温度を有する、請求項1記載の間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルの少なくとも一部が親水性外面を有する、請求項1記載の間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項4】
前記第1の温度が室温である、請求項1記載の間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項5】
前記第2の温度が体温である、請求項1記載の間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項6】
ポリウレタン材料と、
合成ポリイソプレンと
を含んでなるブレンド医療物品であって、
前記ブレンド医療物品の剛性が温度とともに変化する、ブレンド医療物品。
【請求項7】
温度が上昇するにつれて、前記ブレンド医療物品の少なくとも一部の剛性が低減する、請求項6記載のブレンド医療物品。
【請求項8】
前記ブレンド医療物品の少なくとも一部の剛性が、約25℃〜約36℃の温度範囲の少なくとも一部にわたって低減する、請求項6記載のブレンド医療物品。
【請求項9】
前記医療物品が、約18℃〜約25℃で約200psi(1.38MPa)〜約2000psi(13.79MPa)の範囲の300%ヤング率を有する、請求項6記載のブレンド医療物品。
【請求項10】
形状記憶特性をさらに具備する、請求項6記載のブレンド医療物品。
【請求項11】
第1の部分と第2の部分をさらに具備し、前記第1の部分の剛性が、異なる温度範囲にわたって前記第2の部分の剛性より低減する、請求項6記載のブレンド医療物品。
【請求項12】
より高い温度において、より低い温度におけるより可撓性が高い、間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項13】
前記より低い温度が室温である、請求項12記載の間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項14】
前記より高い温度が体温である、請求項12記載の間欠尿路ドレナージカテーテル。
【請求項15】
合成ポリイソプレンを配合成分と混合して配合合成ポリイソプレンを生成する工程と、
前記配合合成ポリイソプレンの熟成工程と、
前記配合合成ポリイソプレンをポリウレタンと混合してブレンドを形成する工程と、
前記ブレンドに型を浸漬して医療物品を形成する工程と
を含む、ブレンド医療物品の製造方法であって、
前記ブレンド医療物品の剛性が温度とともに変化する、ブレンド医療物品の製造方法。
【請求項16】
前記型を凝固剤に浸漬する工程と、
前記型を乾燥させる工程と、
前記浸漬型を水中で浸出させる工程と
をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記型を乾燥器内で乾燥させる工程と、
前記型を取り除く工程と、
前記型を冷ます工程と、
前記型から医療物品を剥ぎ取る工程と
をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
促進剤系を配合する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記配合合成ポリイソプレンをポリウレタンと混合する前に、前記促進剤系を配合する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記促進剤系がカルバマート及びチアゾールを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記促進剤系がカルバマートを含む、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記促進剤系がグアニジンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記促進剤系がカルバマート、チアゾール及びグアニジンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記促進剤系がチアゾール及びグアニジンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記促進剤系がカルバマート及びグアニジンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項26】
加硫系を配合する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項27】
前記配合合成ポリイソプレンを前記ポリウレタンと混合する前に、前記加硫系を配合する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記加硫系がイオウ及びジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(DPTH)を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記加硫系がイオウを含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記加硫系がジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィドを含む、請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−526814(P2011−526814A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516823(P2011−516823)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/049293
【国際公開番号】WO2010/002914
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(510014755)シー.アール.バード,インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】C.R.BARD,INC.
【住所又は居所原語表記】Bard Medical Division,8195 Industrial Blvd.,Covington,Georgia 30014 United States of America
【Fターム(参考)】