説明

ポリウレタン

本発明は、架橋ポリウレタン又はポリウレタンウレア、及びそれらの調製方法に関するものである。上記ポリウレタンは、(a)少なくとも1種のポリエーテルマクロジオール及び/若しくは少なくとも1種のポリカーボネートマクロジオール;及び(b)少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオール、少なくとも1種のポリシロキサンマクロジアミン及び/若しくは少なくとも1種のシリコンベースポリカーボネート:から形成される軟質セグメント、並びに/又は(c)ポリイソシアネート;及び(d)少なくとも1種の二官能性連鎖延長剤:から形成される硬質セグメントを含み、上記軟質セグメント及び/又は上記硬質セグメントは、(e)少なくとも1種の架橋剤:からさらに形成される。上記ポリウレタンは、生体安定性及び耐クリープ性を有する。これらの特性によって、上記ポリウレタンは、生体材料及び医療用装置、製品又はインプラント、特に整形外科用インプラント、例えば、脊椎円盤プロテーゼの製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ポリウレタン又はポリウレタンウレアと、それらの調製方法とに関する。上記ポリウレタンは、生体安定性(biostable)及び耐クリープ性があり、生体材料及び医療用装置、製品又はインプラント、特に整形外科用インプラント、例えば、脊椎円盤プロテーゼの製作に有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン構造体の一部として、高比率のシロキサンセグメントを導入する方法1,2の進歩により、種々の医療用インプラントに対して好適な生体安定性(biostability)及び機械的性質を有する、一連の熱可塑性シロキサンポリウレタン(Elast−Eon(商標))が生成されている。これらの熱可塑性ポリウレタンは、心臓血管、インターベンショナルの心臓病学及び心調律管理用途の範囲で用いられている。整形外科用インプラント等の周期的なひずみ又は圧縮荷重を受ける医療用インプラント内で用いられる材料には、優れた屈曲疲労(flex−fatigue)及びクリープ抵抗性が必要である。一般的に、熱可塑性ポリマーは、引っ張り荷重及び圧縮負荷の下、非常に大きな永久ひずみ(クリープ)レベルを示す。その結果、熱可塑性ポリウレタンは、寸法安定性が最適なインプラント性能に不可欠である耐荷重性用途(整形外科等)への使用が制限されている。クリープ抵抗性を有する生体安定性ポリウレタンが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明に従って;
下記(a)及び(b)から形成される軟質セグメント;
(a)少なくとも1種のポリエーテルマクロジオール(macrodiol)及び/若しくは少なくとも1種のポリカーボネートマクロジオール;及び
(b)少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオール、少なくとも1種のポリシロキサンマクロジアミン(macrodiamine)及び/若しくは少なくとも1種のシリコンベースポリカーボネート:
並びに/又は
下記(c)及び(d)から形成される硬質セグメント;
(c)ポリイソシアネート;及び
(d)少なくとも1種の二官能性連鎖延長剤:
を含み、上記軟質セグメント及び/又は上記硬質セグメントが、下記(e);
(e)少なくとも1種の架橋剤:
からさらに形成される、架橋ポリウレタン又はポリウレタンウレアが提供される。
【0004】
さらに、本発明に従って、式(V):
【化1】

の化合物が提供され、当該化合物は、本発明のポリウレタンを形成させるのに用いる好適なシリコン含有架橋剤である。
【0005】
本発明はまた、上記に規定されるポリウレタンの調製法を提供し、該方法には、下記の各段階;
(i)上記に規定される成分(a)、成分(b)及び成分(c)を反応させ、末端反応性ポリイソシアネート基を有するプレポリマーを形成させる段階;そして
(ii)上記プレポリマーを、上記に規定される成分(d)及び成分(e)と反応させる段階:
が含まれる。
【0006】
本発明は、上記に規定されるポリウレタンの調製法をさらに提供し、該方法には次の各段階;
(i)上記に規定される成分(a)、成分(b)、成分(d)及び成分(e)を混合させる段階;そして
(ii)上記混合物を、成分(c)と反応させる段階:
が含まれる。
本発明のポリウレタンは、生体安定性及び耐クリープ性を有する。これらの特性によって、上記ポリウレタンは、生体材料及び医療用装置、製品又はインプラントの製造に有用となる。
【0007】
従って、本発明はまた、上記に規定されるポリウレタンで全体又は部分的に構成される、材料、装置、製品又はインプラントを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の記載において、専門用語又は必要な意味合いを表現するため、該文脈が別の意味を必要とする場合を除き、用語「含む(comprise)」又はその変形、例えば、「comprises」若しくは「comprising」は、意味、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の種々の実施形態におけるさらなる特徴の付加又は存在を排除しないことを含むように用いられる。
【0009】
軟質及び/又は硬質セグメントの一部を形成する架橋剤(e)は、3個又は4個以上の官能基を有することが好ましい。上記官能基は、イソシアネートと反応しうる任意の種類の基であり、そしてOH又はNR’R’’(R’及びR’’は、同一か又は異なり、そしてH、CO2H及びC1〜6アルキルから選択され、好ましくは、H及びC1〜4アルキルから選択される)から選択されることが好ましい。
【0010】
トリ、テトラ、ヘキサ及びオクタヒドロキシル官能性の架橋剤の例には、トリメチロールプロパン(TMP)、プロポキシル化(propoxylated)グリセリンベースの3官能性ポリエーテルポリオール、例えば、ボラノール(Voranol)2770、ペンタエリトリトール(PE)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ジペンタエリトリトール(DPE)及びトリペンタエリトリトール(TPE)が含まれる。
【0011】
【化2】

【0012】
アミン架橋剤の例は、トリエタノールアミンである。
TMP等の架橋剤が上記ポリウレタンの硬質セグメントに導入された場合に期待される一般的構造体を下記のスキームIに示す。
【0013】
【化3】

【0014】
架橋の導入により、ポリウレタンの形態にいくつかの変化が生じうる。クリープ抵抗性における所望の改良が、比較的低水準の架橋によって達成されうる場合には、影響は少なく、硬質セグメントの配列の崩壊(disruption)を最小化しうる。
【0015】
シリコン含有架橋剤をまた、本発明のポリウレタン中で用いることができることが十分に理解されるであろう。
例には、次の式(VII):
【化4】

(式中、
nは、3以上の整数であり、そして
Rは、随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の、少なくとも3個の炭素原子の主鎖を有する炭化水素基である)
の環状シロキサンが含まれる。
【0016】
環状シロキサンの例は、前掲の式(V)のテトラメチルテトラヒドロキシプロピルシクロテトラシロキサンである。
好適な別のシリコン含有架橋剤は、式(VI):
【化5】

の1,3(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサンである。
【0017】
上記ポリウレタンの軟質及び硬質セグメントは、概して、相分離し、そして分離領域を形成する。当該硬質セグメントは、配列構造(結晶)を形成し、一方、当該軟質セグメントは、主として非晶質領域として残り、そして当該2種のセグメントの組合せが、ポリウレタンの優れた機械的性質に関与する。架橋の導入は、この相分離に影響を与え、そして硬質及び/又は軟質領域の配列に影響を与えうる。
【0018】
成分(a)及び(b)から形成される軟質セグメントは、少なくとも2種のマクロジオール、少なくとも2種のマクロジアミン又は少なくとも1種のマクロジオール及び少なくとも1種のマクロジアミンの組合せであることが好ましい。
【0019】
好適なポリエーテルマクロジオールには、次の式(I):
【化6】

(式中、
mは、4又は5以上の整数、好ましくは、5〜18であり;そして
nは、2〜50の整数である)
によって表されるマクロジオールが含まれる。
【0020】
mが5又は6以上の式(I)のポリエーテルマクロジオール、例えば、ポリヘキサメチレンオキシド(PHMO)、ポリヘプタメチレンオキシド、ポリオクタメチレンオキシド(POMO)及びポリデカメチレンオキシド(PDMO)が、一般的なポリテトラメチレンオキシド(PTMO)よりも好ましい。さらに好ましいマクロジオール及びそれらの調製は、Gunatillakeら3、及び米国特許第5,403,912号明細書に記載されている。これらのリファレンス中に記載されるポリエーテル、例えば、PHMOは、PTMOよりもさらに疎水性であり、そしてポリシロキサンマクロジオールにさらに適合するので、特に有用である。上記ポリエーテルマクロジオールの好ましい分子量範囲は、約200〜約5000、さらに好ましくは、約200〜約1200である。本明細書で言及される分子量の値は、「数平均分子量」であることが理解されるであろう。
【0021】
好適なポリカーボネートマクロジオールには、ポリ(アルキレンカーボネート)、例えば、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)及びポリ(デカメチレンカーボネート);アルキレンカーボネートを、アルカンジオール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール(DD)、1,6−ヘキサンジオール(HD)及び/又は2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール(DEPD)と反応させることによって調製されたポリカーボネート;並びにアルキレンカーボネートを、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)及び/又はアルカンジオールと反応させることによって調製されたシリコンベースポリカーボネートが含まれる。
【0022】
ポリエーテル及びポリカーボネートマクロジオールの両方が存在する場合、それらは、混合物又はコポリマーの状態で存在しうることが十分に理解されるであろう。
好適なコポリマーの例は、次の式(II):
【化7】

(式中、
1及びR2は、同一か又は異なり、そして随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又は複素環式基から選択され;そして
m及びnは、1〜20の整数である)
で表されるコポリ(エーテルカーボネート)マクロジオールである。
【0023】
上記式(II)の化合物は、カーボネート及びエーテル基のブロックを示しているが、それらはまた、主構造の中にランダムに分布しうることが理解されるであろう。
【0024】
上記ポリシロキサンマクロジオール又はマクロジアミンは、次の式(III):
【化8】

(式中、
A及びA’は、OH又はNHRであり、ここで、Rは、H又は随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の炭化水素基であり、好ましくはC1〜6アルキル、さらに好ましくはC1〜4アルキルであり;
1、R2、R3及びR4は、同一か又は異なり、そして水素又は随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の炭化水素基から選択され;
5及びR6は、同一又は異なって、そして随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン又は複素環式基から選択され;そして
pは、1又は2以上の整数である)
によって表すことができる。
【0025】
好ましいポリシロキサンは、上記式(III)のポリマーであって、A及びA’がヒドロキシであるポリシロキサンマクロジオールであり、そして次の式(IIIa):
【化9】

(式中、R1〜R6及びpは、上記式(III)に規定される通りである)
によって表されるポリシロキサンマクロジオールを含む。
【0026】
好ましいポリシロキサンは、式(IIIa)の化合物であって、R1〜R4がメチルであり、そしてR5及びR6が上記で規定される通りであるPDMSである。R5及びR6は、同一か又は異なり、そしてプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル(−CH2CH2OCH2CH2CH2−)、プロポキシプロピル及びブトキシプロピルから選択されるのが好ましい。
【0027】
当該ポリシロキサンマクロジオールは、日本の信越からX−22−160AS等の市販の製品として購入できるか、あるいは、公知の手順に従って、調製できる。当該ポリシロキサンマクロジオールの好ましい分子量範囲は、約200〜約6000、さらに好ましくは約500〜約2500である。
【0028】
好ましい他のポリシロキサンは、式(III)のポリマーであって、AがNH2のポリシロキサンマクロジアミンである(例えば、アミノ末端PDMS)。
好適なシリコンベースポリカーボネートには、国際公開第98/54242号パンフレットに記載されるシリコンベースポリカーボネートが含まれる(全体の内容を参照し、本明細書に組み入れる)。
【0029】
好ましいシリコンベースポリカーボネートは、次の式(IV):
【化10】

(式中、
1、R2、R3、R4及びR5は、上記式(III)に規定される通りである;
6は、随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン又は複素環式基であり;
7は、二価の架橋基、好ましくはO、S又はNR8であり;
8及びR9は、同一か又は異なり、そして水素又は随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の炭化水素基から選択され;
A及びA’は、上記式(III)に規定される通りであり;
m、y及びzは、0又は1以上の整数であり;そして
xは、0又は1以上の整数である)
を有する。
【0030】
好ましくは、zは0〜約50の整数であり、そしてxは1〜約50の整数である。mの好適な値には、0〜約20、さらに好ましくは0〜約10が含まれる。yの好ましい値には、0〜約10、さらに好ましくは0〜約2が含まれる。
【0031】
好ましいポリカーボネートは、式(IV)の化合物であって、A及びA’がヒドロキシである化合物であり、式(IVa):
【化11】

(式中、R1〜R9、m、y、x及びzは、上記式(IV)に規定される通りである)
のポリカーボネートマクロジオールである。
【0032】
特に好ましいポリカーボネートマクロジオールは、式(IVa)の化合物であって、R2、R3及びR4がメチルであり、R8がエチルであり、R9がヘキシルであり、R5及びR6がプロピル又はR4がブチルであり、そしてR7が0又は−CH2−CH2−である化合物、さらに好ましくは、R7が0である場合はR5及びR6がプロピルであり、そしてR7が−CH2−CH2−である場合はR5及びR6がブチルである化合物である。上記ポリカーボネートマクロジオール分子量範囲は、好ましくは、約400〜約5000、さらに好ましくは、約400〜約2000である。
【0033】
特に好ましい実施形態では、上記軟質セグメントは、式(I)のポリエーテルとPDMS又はアミノ末端PDMSの組合せ、例えば、PHMO及び/又はシリコンベースポリカーボネート(シロキシカーボネート等)である。
【0034】
用語「ポリイソシアネート」は、本明細書中で、その最も広義で用いられ、そしてジ又はトリイソシアネート以上、例えば、高分子量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を指す。当該ポリイソシアネートは、脂肪族又は芳香族ジイソシアネート、例えば、MDI、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(DICH)、1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)、para−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)、meta−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)異性体若しくはそれらの混合物又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)でありうるジイソシアネートが好ましい。MDIが、特に好ましい。
【0035】
本明細書の文脈中における用語「二官能性連鎖延長剤」は、1分子当たり、2個の官能基を有する任意の化合物を表し、当該化合物は、イソシアネート基と反応することができ、そして一般的に、約500以下、好ましくは約15〜約500、さらに好ましくは約60〜約450の分子量範囲を有する。
【0036】
当該二官能性連鎖延長剤は、ジオール又はジアミン連鎖延長剤から選択されうる。ジオール連鎖延長剤の例には、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(6−ヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン及び1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが含まれる。好適なジアミン連鎖延長剤には、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン,1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン及び1,6−ヘキサンジアミンが含まれる。
【0037】
当該連鎖延長剤は、国際公開第99/03863号パンフレットに記載されるタイプのシリコン含有連鎖延長剤でありうる(全体の記載を参照し、本明細書に組み入れる)。
上記連鎖延長剤には、次の式(V):
【化12】

(式中、
1、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記式(III)に規定される通りである;
7は、上記式(IV)に規定される通りであり、さらに好ましくは、Oであり;そして
qは0以上であり、好ましくは、2以下である)
のシリコン含有ジオールが含まれる。
【0038】
好ましい式(V)のシリコン含有ジオールは、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(BHTD)(式(V)の化合物であって、R1、R2、R3及びR4がメチルであり、R5及びR6がブチルであり、そしてR7がOである化合物)、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシリルエチレン(式(V)の化合物であって、R1、R2、R3及びR4がメチルであり、R5及びR6がプロピルであり、そしてR7がエチレンである化合物)及び1−4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、さらに好ましくはBHTDである。
【0039】
式(V)のシリコン含有連鎖延長剤は、上述のジオール又はジアミン連鎖延長剤と混合されうる。特に好ましい実施形態では、式(V)の連鎖延長剤はBHTDであり、そして上記ジオール連鎖延長剤はBDOである。
【0040】
上記シリコン連鎖延長剤と、ジオール又はジアミン連鎖延長剤とを、上記シリコン連鎖延長剤のモルパーセンテージが混合物中で増えるに連れ、張力特性が減少するモル比の範囲内で用いることができる。当該ジオール又はジアミン連鎖延長剤に対するシリコン連鎖延長剤のモルパーセンテージは、好ましくは約1〜約70%、さらに好ましくは約60%である。例えば、連鎖延長剤がBHTD及びBDOの組合せである場合、これら成分の相対比率は、40%のBHTD及び60%のBDOであることが好ましい。
【0041】
好ましい連鎖延長剤には、1種のジオール又はジアミン連鎖延長剤と、1種のシリコン含有ジオールが含まれるが、1種超のジオール又はジアミン連鎖延長剤の組合せが、本発明のポリウレタン中で用いられうることが理解されるであろう。
【0042】
上記「炭化水素基」には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロシクリル基が含まれうる。
【0043】
用語「アルキル」は、直鎖、分岐又は単環又は多環状のアルキル、好ましくは、C1〜12アルキル又はシクロアルキル、さらに好ましくは、C1〜6アルキル、最も好ましくは、C1〜4アルキルを表している。直鎖及び分岐アルキルの例には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−,2−,3−,4−,5−,6−又は7−メチルオクチル、1−,2−,3−,4−又は5−エチルヘプチル、1−,2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−及び8−メチルノニル、1−,2−,3−,4−,5−又は6−エチルオクチル、1−,2−,3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−又は9−メチルデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−又は7−エチルノニル、1−,2−,3−,4−又は5−プロピルオクチル、1−,2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−,9−又は10−メチルウンデシル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−又は8−エチルデシル、1−,2−,3−,4−,5−又は6−プロピルノニル、1−,2−,3−又は4−ブチルオクチル、1,2−ペンチルヘプチル等が含まれる。環状アルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が含まれる。
【0044】
用語「アルケニル」は、少なくとも二重結合を1つ有する直鎖、分岐又は単環若しくは多環状の炭化水素から形成される基を表し、好ましくはC2〜12アルケニル、さらに好ましくはC2〜6アルケニルである。当該アルケニル基は、適用可能な場合には、E又はZの立体化学を有する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、l−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、1,3,5,7−(シクロオクタ−テトラエニル)等が含まれる。
【0045】
用語「アルキニル」は、少なくとも三重結合を1つ有する、直鎖、分岐、又は単環若しくは多環状の炭化水素から形成された基を表す。アルキニルの例には、エチニル、1−プロピニル、1−及び2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、10−ウンデカニル、4−エチル−l−オクチン−3−イル、7−ドデシニル、9−ドデシニル、10−ドデシニル、3−メチル−1−ドデシン−3−イル、2−トリデシニル、11−トリデシニル、3−テトラデシニル、7−ヘキサデシニル、3−オクタデシニル等が含まれる。
【0046】
用語「アリール」は、芳香族炭化水素の、単核、多核、共役及び縮合残基を表す。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル等が含まれる。
【0047】
用語「ヘテロシクリル」は、窒素、硫黄及び酸素から選択される、ヘテロ原子を少なくとも1つ含む、単環又は多環状のヘテロシクリル基を表している。好適なヘテロシクリル基には、N含有複素環式基、例えば、1〜4個の窒素原子を含む、不飽和の3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル又はテトラゾリル;1〜4個の窒素原子を含む、飽和の3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ又はピペラジニル;1〜5個の窒素原子を含む、不飽和の縮合複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル又はテトラゾロピリダジニル(tetrazolopyridazinyl);酸素原子を含む、不飽和で3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、ピラニル又はフリル;1〜2個の硫黄原子を含む、不飽和で3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、チエニル;1〜2個の酸素原子と、1〜3個の窒素原子とを含む、不飽和で3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソアゾリル又はオキサジアゾリル;1〜2個の酸素原子と、1〜3個の窒素原子とを含む、飽和で3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、モルホリニル;1〜2個の酸素原子と、1〜3個の窒素原子とを含む、不飽和の縮合複素環式基、例えば、ベンズオキサゾリル又はベンズオキサジアゾリル;1〜2個の硫黄原子と、1〜3個の窒素原子とを含む、不飽和で3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、チアゾリル又はチアジアゾリル;1〜2個の硫黄原子と、1〜3個の窒素原子とを含む、飽和で3〜6員環のヘテロ単環式基、例えば、チアジアゾリル;及び1〜2個の硫黄原子と、1〜3個の窒素原子とを含む、不飽和の縮合複素環式基、例えば、ベンゾチアゾリル又はベンゾチアジアゾリルが含まれる。
【0048】
本明細書では、「随意選択的に置換された」は、酸素、窒素、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド(aldehydo)、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル(alkylsulphenyl)、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ等から選択される、1種又は2種以上の基でさらに置換されても、あるいは置換されなくともよい基を意味する。
【0049】
本発明のポリウレタン中の硬質セグメント量は、好ましくは、約15〜約100質量%、さらに好ましくは、約20〜約70質量%、最も好ましくは、約30〜約60質量%である。しかし、この量は、用いられる軟質セグメントポリマーの種類、特に軟質セグメントの分子量範囲(一般的に、約300〜約3000、さらに好ましくは、約300〜約2500、最も好ましくは、約500〜約2000である)に依存することが十分に理解されるであろう。
【0050】
上記軟質セグメントは、2〜60質量%、さらに好ましくは、10〜60質量%のポリエーテル及び/又はポリカーボネートマクロジオール、並びに好ましくは、40〜98質量%、さらに好ましくは40〜90%のポリシロキサンに由来するマクロジオールを含む。
【0051】
好ましい軟質セグメント内のポリシロキサン及び/又はシリコンベースポリカーボネート:ポリエーテル及び/又はポリカーボネートの質量比は、1:99〜99:1の範囲内にありうる。劣化抵抗性、安定性及び透明度が増す、特に好ましい、ポリシロキサン:ポリエーテル及び/又はポリカーボネートの比は、80:20である。上記連鎖延長剤が、シリコン含有連鎖延長剤(例えば、BHTD)を含む場合、別の好ましいポリシロキサン及び/又はシリコンベースポリカーボネート:ポリエーテル及び/又はポリカーボネートの比は、40:60である。
【0052】
本発明のポリウレタンは、ポリウレタンの製造における当業者によく知られている任意の技法により調製することができる。これらには、1又は2段階のバルク又は溶液重合手順が含まれる。当該重合は、一般的な装置内、又は反応型の射出成形の領域若しくは混合装置内で実施することができる。
【0053】
1段階のバルク重合手順では、適量の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を、約45〜約100℃、さらに好ましくは約60〜約80℃の範囲の温度において、最初に、連鎖延長剤(d)と混合させる。必要に応じて、触媒、例えば、オクタン酸第一錫(stanneous octoate)又はジブチルチンジラウレートを、総成分の質量に基づいて、約0.001〜約0.5質量%の水準で、上記初期混合物に添加することができる。次いで、溶融させたポリイソシアネート(c)を添加し、そして完全に混合し、均一のポリマー液体を得て、そして当該液体ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングされたトレー内に注ぎ、そして約100℃までオーブン内で加熱させて硬化させた。
【0054】
上記ポリウレタンは、好ましくは、2段階法によって調製され、そこでは、上記に規定される成分(a)及び成分(b)を、ポリイソシアネート成分(c)と反応させて、末端反応性のポリイソシアネート基を有するプレポリマーを調製する。次いで、当該プレポリマーを連鎖延長剤(d)及び架橋剤(e)と反応させる。
【0055】
上述の方法は、一般的に、早い段階の相分離の原因にはならず、そして高分子量を有する、組成が均一でかつ透明なポリウレタンを生じさせる。これらの方法はまた、合成の際に、軟質及び硬質セグメントの相溶性を確保するための任意の溶媒を必要としない優位性を有する。
【0056】
ポリシロキサンセグメントの導入のさらなる優位性は、処理ワックスの添加の必要なく、一般法(反応型射出成形、回転成形、圧縮成形及びフォーミング)よりも、比較的、ポリウレタン処理が容易であることである。しかし、必要に応じて、一般的なポリウレタン処理添加剤、例えば、触媒、例えば、ジブチルチンジラウレート(DBTD)、酸化第一錫(SO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DABU)、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンオキサン(distannoxane)(DTDS)、1,4−ジアザ−(2,2,2)−ビシクロオクタン(DABCO)、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン(TMBD)及びジメチルチンジラウレート(DMTD);酸化防止剤、例えば、Irganox(登録商標);ラジカル禁止剤、例えば、トリスノニルフェニルフォスファイト(TNPP);安定剤;潤滑剤、例えば、Irgawax(登録商標);染料;顔料;無機及び/又は有機充填剤;及び強化材料(reinforcing material)を、調製の際に上記ポリウレタン中に導入できる。上記添加剤は、本発明の方法の段階(i)におけるマクロジオール混合物に添加することが好ましい。
【0057】
本発明のポリウレタンは、それらの生体安定性及びクリープ抵抗性の結果として、生体材料及び医療用装置、製品又はインプラントの調製に特に有用である。
【0058】
用語「生体安定性」は、本明細書中において最も広義に用いられ、そして生きた動物又は人間の細胞及び/又は体液と接触した場合の安定性を指している。
用語「生体材料」は、本明細書において最も広義に用いられ、そして生きた動物又は人間の細胞及び/又は体液と接触した状況で用いられる材料を指している。
【0059】
上記医療用装置、製品又はインプラントには、カテーテル;スタイレット;骨縫合用アンカー;血管、食道及びビリアル(bilial)用ステント;蝸牛用インプラント;顔面再生手術;制御型薬物放出装置;キーホール手術の部品;バイオセンサ;細胞カプセル化用膜;医療用ガイドワイヤー;医療用ガイドピン;カンニュラリゼーション(cannularization);ペースメーカー、除細動器及び神経刺激器及びそれらのそれぞれの電極リード;補助人工心臓;脊椎円盤及び小関節(joint)を含む整形外科用関節又はそれらの部品;頭蓋形成プレート;眼内レンズ(intraoccular lense);泌尿器用ステント及び他の泌尿器用装置;ステント/グラフト用装置;装置用の接続/拡張/修復スリーブ;心臓弁;静脈移植血管;血管用アクセスポート;血管用シャント;血液浄化装置;折れた手足用のギプス包帯(cast);静脈弁、血管形成、電気生理学系及び心拍出量用カテーテル;並びに医療用装置、注入及び流量制御装置の挿入用の道具及び付属品が含まれうる。
【0060】
種々の医療用装置、製品又はインプラントの構成物の用途に最適化された特性を有し、かつクリープ抵抗性を有するポリウレタンがまた、他の非医療用用途を有するであろうことが、十分に理解されるであろう。上記用途には、玩具及び玩具部品、形状記憶フィルム、管継手、電気コネクタ、ZIF(zero−insertion force)コネクタ、ロボティクス、航空宇宙用アクチュエータ、ダイナミックディスプレイ、流量制御装置、スポーツ用品及びその部品、人体適合装置(body−conforming device)、温度制御装置、セーフティーリリース装置(safety release device)及び熱収縮性の保温材(heat shrink insulation)が含まれうる。
【実施例】
【0061】
次の非限定的な例に関連して、本発明を記載する。
【0062】
例1
クリープ抵抗性及び機械的性質について、4種のポリウレタンを調製し、3官能架橋剤であるトリメチロールプロパン(TMP)を導入した効果を具体的に説明する。
【0063】
原材料
あらかじめ報告した方法(Gunatillake PA,Meijs GF,Chatelier RC,McIntosh and Rizzardo E.,Polymer Int.27,275(1992)に従って、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)を合成し、そして精製した。減圧下(0.01トル)で2時間、135℃でPHMOを脱気した。α,ω−ビス(6−ヒドロキシ−エトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン(PDMS)を、信越(日本)から購入し、そして減圧(0.01トル)下で4時間、105℃で脱気した。1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラ(terta)メチルジシロキサン(BHTD、Silar Laboratories)を、減圧(0.01トル)下で、数時間(約12時間)、室温において脱気した。1,4−ブタンジオール(BDO、Aldrich)を脱気し、そして使用前に2時間、105℃で乾燥させた。
【0064】
Columetric Karl−Fisher滴定を用いて、全ての試薬の水分含有率を測定した。全ての試薬の水分濃度は、150ppm未満であった。
ポリオール(PDMS及びPHMO)及びBHTDのヒドロキシ基数は、ASTM 2628の方法を用いて測定した。
次の手順は、4種のポリウレタンの全てを生成させるために用いたプレポリマーの調製を具体的に説明するものである。
【0065】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を脱気し、減圧(0.01トル)下で2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを、70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素の下、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を、減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー(tall dry polypropylene beaker)内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0066】
未架橋の熱可塑性ポリウレタン「PU−0」は、プレポリマー(280.00g)と、BDO(9.0769g)及びBHTD(19.2479g)の混合物とを反応させて、調製した。上記連鎖延長剤混合物を、50mLのウェットで風袋を測定した(wet−tared)プラスチックシリンジ内に計量し、そしてSilversonミキサーを用いて高速撹拌(4,500rpm)しながら、上記プレポリマーに添加した。当該撹拌は、連鎖延長剤の添加後、2分間続けられた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆った(lined)アルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0067】
表1に示すように、種々のTMP量を導入することによって、架橋ポリウレタンを調製した。未架橋のポリウレタン(PU−0)の配合物中で用いられるBDOの、10、20及び40モル%を置換する3種の異なる濃度のTMPを用いた。これは、用いられた試薬の総モル数に対する架橋剤のモル%として表現される、PU−10、PU−20及びPU−40に対して、それぞれ、1.4、2.8及び5.5%の架橋密度に相当する。PU−20の調製を具体的に説明する次の手順は、全ての架橋ポリウレタンを生成させる上で用いられる一般手順を説明するものである。
【0068】
BDO(7.2611g)及びTMP架橋剤(1.792)を、丸底フラスコ内で混合し、そして40℃の温度で約2分間撹拌して、均一溶液を得た。次いで、別に計量した19.2479gのBHTDを、このフラスコに添加し、そして約30分間撹拌して、均一溶液を得た。次いで、連鎖延長剤混合物及び架橋剤(28.301g)を、ウェットで風袋を測定したシリンジ内で計量し、そしてSilversonミキサーを用いて、高速撹拌(4,500rpm)しながら、上記プレポリマー混合物(280.0g)中に添加した。添加後、撹拌を約2分間続けた。当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0069】
【表1】

【0070】
例1のポリウレタンに関する、機械的性質及び引張クリープを試験するための手順、並びに機械的性質
材料は、試験前に、48時間、周囲条件に慣れさせた。
【0071】
試料タイプ
・ISOダンベル
・ゲージ長:20mm
・幅 :40mm
・厚さ :約3mm
【0072】
装置
・5800のコンソールを有するInstron 5866
・Merlinソフトウェア
・ロードセル:1000N
・ロングレンジ、接触伸縮計
【0073】
引張係数に関する方法
・試料数:2
・速度 :1mm/分
・当該試料を、1.3%まで引っ張る。
・係数は、0.05%ひずみ〜0.95%ひずみの範囲にわたり測定した。当該範囲内で9ポイントを取得し、そしてソフトウェアで最もよくフィットするラインを決定する。当該ラインの傾きが、材料のヤング率である。
【0074】
抗張力及び破断点引っ張りひずみに関する方法
・試料数:2
・速度 :200mm/分
・切れるまで荷重を適用し、最大抗張力及び破断点引っ張りひずみ(%)を記録する。
【0075】
引張クリープに関する方法
・試料数:1
・ゲージ長は、10倍の倍率の顕微鏡を用いて測定される。当該顕微鏡(Vision Engineering,with Acu−Rite)をデジタル計測機器(Quadracheck 200)に接続する。ポイントは手動で選択し、そして機器がこれらのポイント相互間の距離を計算し、ゲージ長を与える。
・10秒以内に、60Nの荷重をかける。
・試料は、60Nの荷重を、120分間保持され、ひずみ(%)を、0、2、4、6、8、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120分に記録する。
・120分後、当該試料をグリップから取り出す。
・顕微鏡を用いて、ゲージ長を120、122、124、126、128、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210及び220分に測定する。
・最初のゲージ長を用いて、ひずみを計算する。
・エクセル(登録商標)の表計算ソフト内で、ひずみ対時間をプロットする。
【0076】
架橋の導入により、抗張力、破断点伸び及び弾性率が減少したが、上記材料は、20MPaを超える抗張力を保持した。上記高抗張力を有する低弾性材料を、比較的低水準の架橋を用いて達成することができることは驚くべきことである。
【0077】
【表2】

【0078】
引張クリープ抵抗性
Instron Testerを用いて、ダンベル形状の試験試料に対して、引張クリープ抵抗性を評価した。当該試験試料を、60N(約10秒間)まで荷重し、約5MPaの応力まで変形させ、そして2時間保持した。2時間後、当該試料を上記Instronから取り出し、そして2時間の間、断続的にゲージ長を測定した。結果を図1に要約する。
【0079】
上記結果は、上記架橋ポリウレタンが、未架橋のポリウレタンと比較して非常に良好なクリープ抵抗性を有することを実証していることは明らかである。架橋密度が増すことによってクリープ抵抗性が増加する。そして最も高い架橋密度を有する材料は、荷重を取り除いた後、完全なる回復を示した。
【0080】
ポリマー溶解性に対する架橋の影響
例1で調製したポリマーを、ポリウレタンに対する良溶媒である、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の溶解性/膨潤性に関して試験した。長方形のポリマー試料(約1g)を、50℃で48時間、過剰のDMF(約30mL)中に置いた。キムワイプを用いて、過剰のDMFを当該ポリマー表面から拭き取り、そして再度計量し、乾燥試料に対する質量増加(%)として表現される膨潤率を計算した。DMF中で膨潤した架橋ポリマーが、合成に成功し、そして共有結合架橋の存在を示していることを、表3に示す結果は具体的に説明するものである。
【0081】
【表3】

【0082】
例2
この例は、4官能の架橋剤であるペンタエリトリトール(PE)を用いたポリウレタンの調製を具体的に説明するものである。用いられたPEの量は、20モル%のBDO連鎖延長剤に相当し、2.653の実効的な架橋密度を得た(全ての成分のモル%として表現される)。
【0083】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を、減圧(0.01トル)下で、2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素の下、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を、減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0084】
BDO(7.2611g)及びペンタエリトリトール架橋剤(PE、1.3706g)を、丸底フラスコ内で混合し、そして40℃の温度で約2分間撹拌し、均一溶液を得た。当該混合物(8.6317g)を、プラスチックシリンジ内で計量した。1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD、19.2479g)を、プラスチックシリンジ内に別に計量した。Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(4,500rpm)しながら、BDO/PE及びBHTDを、上記プレポリマー混合物(280.0g)に添加し、そして撹拌を約2分間続けた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0085】
例3
この例は、5官能の架橋剤であるジペンタエリトリトール(DPE)を用いたポリウレタンの調製を具体的に説明するものである。用いられたDPEの量は、20モル%のBDO連鎖延長剤に相当する。
【0086】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を、減圧(0.01トル)下で、2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを、70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素下で、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を、減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0087】
BDO(7.2611g)及びDPE架橋剤(1.7073g)を、独立して丸底フラスコ内で混合し、一方、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD、19.2479g)を、別にプラスチックシリンジ内で計量した。Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(5,000rpm)しながら、BDO/DPE混合物を、透明になるまで加熱し、そしてBHTD(19.24g)と共に上記プレポリマー混合物中に添加し、そして撹拌を約2分間続けた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0088】
例4
この例は、8官能の架橋剤であるトリペンタエリトリトール(TPE)を用いたポリウレタンの調製を具体的に説明するものである。用いられたTPEの量は、20モル%のBDO連鎖延長剤に相当する。
【0089】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を、減圧(0.01トル)下で、2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素の下、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を、減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0090】
BDO(7.2611g)及びTPE架橋剤(TPE、1.88g)を、独立して丸底フラスコ内で混合し、一方、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD、19.2479g)を、別にプラスチックシリンジ内で計量した。Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(5,000rpm)しながら、上記BDO/TPE混合物を、透明になるまで加熱し、そしてBHTD(19.24g)と共に上記プレポリマー混合物中に添加し、そして撹拌を約2分間続けた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0091】
例5
この例は、シリコン含有連鎖延長剤BHTDを含まないポリウレタンに、例1の3官能性架橋剤であるTMPを添加することを具体的に説明するものである。
【0092】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を、減圧(0.01トル)下で、2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素の下、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0093】
BDO(8.079g)及びTMP架橋剤(4.287g)を、丸底フラスコ内で混合し、そして40℃まで加熱して、透明な溶液を得た。Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(5,000rpm)しながら、BDO/TMP混合物を、上記プレポリマー混合物中に添加し、そして撹拌を約2分間続けた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0094】
例6
この例は、例1〜4のポリウレタンに、3官能性架橋剤であるTMPを添加することを具体的に説明するものであり、ここでは、一定のBDOを用い、BHTDの量が減らされている。
【0095】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を、減圧(0.01トル)下で、2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素の下、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を、減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0096】
BDO(9.076g)及びTMP架橋剤(3.603g)を、独立して丸底フラスコ内で混合し、一方、BHTD(7.7093g)を、別にプラスチックシリンジ内で計量した。Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(5,000rpm)しながら、BDO/TMP混合物を、BHTD(19.24g)と共に上記プレポリマー混合物中に添加し、そして撹拌を約2分間続けた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0097】
例7
この例は、例1〜4のポリウレタンに、式(VI)のシリコン含有架橋剤を添加することを具体的に説明するものであり、ここでは、用いられる式(VI)の架橋剤の量は、上記BDO連鎖延長剤の20モル%に相当する。
【0098】
PDMS(200.00g、MW927.0)及びPHMO(50.00g、MW710.0)の混合物を、減圧(0.01トル)下で、2時間、105℃で脱気した。溶融MDI(102.71g)を、機械式スターラー、滴下漏斗及び窒素インレットを備えている三ッ首の丸底フラスコ内で計量した。当該フラスコを70℃のオイル浴内で加熱した。次いで、当該脱気したマクロジオール混合物(200.0g)を、45分の時間をかけて、滴下漏斗を用いて添加した。添加終了後、該反応混合物を、80℃の窒素の下、撹拌しながら2時間加熱した。次いで、当該プレポリマー混合物を、減圧(0.01トル)下で約1時間、80℃で脱気した。窒素大気の下でゆっくりと減圧を開放し、そして280.0gの脱気したプレポリマー混合物を、乾燥したポリプロピレン製トールビーカー内で計量し、そして直ちに80℃の窒素循環オーブン内に置いた。
【0099】
BDO(7.2611g)及び1,3(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン架橋剤(SC)(4.762g)を、独立して丸底フラスコ内で混合し、一方、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD、19.2479g)を、別にプラスチックシリンジ内で計量した。Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(5,000rpm)しながら、BDO/SC混合物を、BHTD(19.24g)と共に上記プレポリマー混合物中に添加し、そして撹拌を約2分間続けた。次いで、当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0100】
例2〜7のポリウレタンに関する、機械的性質及び引張クリープを試験するための手順、並びに機械的性質
【0101】
【表4】

【0102】
フィルムの試験方法
調製
材料は、試験前に、少なくとも48時間、試験する部屋の中に置いた。部屋の温度は、平均23℃であった。
【0103】
試料タイプ
・ISO矩形
・ゲージ長:100mm
・幅 :10mm
・厚さ :約0.2mm
【0104】
装置
・5800のコンソールを有するInstron 5866
・Merlinソフトウェア
・ロードセル:1000N
・ロングレンジ、接触伸縮計
【0105】
引張係数に関する方法
・試料数:2
・速度 :1mm/分
・当該試料は、0.4%まで引っ張る。
・係数は、0.05%ひずみ〜0.3%ひずみの範囲にわたり測定する。当該範囲内で9ポイントを取得し、そしてソフトウェアで最もよくフィットするラインを決定する。当該ラインの傾きが、上記材料のヤング率である。
【0106】
抗張力及び破断点引っ張りひずみに関する方法
・試料数:2
・速度:500mm/分
・切れるまで荷重を適用し、最大抗張力及び破断点引っ張りひずみ(%)が記録される。
【0107】
引張クリープに関する方法
・試料数:1
・ゲージ長は、10倍の倍率の顕微鏡を用いて測定される。当該顕微鏡(Vision Engineering,with Acu−Rite)をデジタル計測機器(Quadracheck 200)に接続する。ポイントは手動で選択し、そして機器がこれらのポイント相互間の距離を計算し、ゲージ長を与える。
・10秒以内に、12Nの荷重をかける(適用される応力は、ダンベルと同じである、5MPa)。
・試料は、12Nの荷重を、120分間保持され、ひずみ(%)を、0、2、4、6、8、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120分に記録する。
・120分後、当該試料をグリップから取り出す。
・顕微鏡を用いて、ゲージ長を120、122、124、126、128、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210及び220分に測定する。
・最初のゲージ長を用いて、ひずみを計算する。
・エクセル(登録商標)の表計算ソフト内で、ひずみ対時間をプロットする。
【0108】
これらの結果は、より官能基の多い架橋剤、例えば、DPEが、クリープ抵抗性を大きく改善させることを示している。
【0109】
例8
この例は、架橋剤として、700の数平均分子量を有する、プロポキシル化グリセリンに基づく3官能性ポリエーテルポリオール、3官能性マクロジオール、ボラノール2070を用いた、ポリウレタンの調製を具体的に説明するものである。このポリウレタンは、硬質セグメント内に架橋剤を全く含まない。
【0110】
PDMS、PHMO及びMOIを含むプレポリマーを、例1に記載されるように調製した。
架橋ポリウレタンは、2つの異なる量のボラノール2070を導入することにより調製した。ボラノール2070の量は、未架橋のポリウレタン(PU−0)の調合物中で用いられたBDOの20及び40モル%に相当する。
【0111】
BDO、BHTD 及び ボラノール2070を、丸底フラスコ内で、30分間、共に混合し、均一の溶液を得た。次いで、Silversonミキサーを用いて、高速撹拌(4,500rpm)しながら、当該混合物をウェットで風袋を測定したシリンジ内で計量し、そして上記プレポリマー混合物中に添加した。添加後、撹拌を約2分間続けた。当該ポリマー混合物を、いくつかのテフロン(登録商標)クロスで内側を覆ったアルミニウムモールド内に注ぎ、3mm及び10mm厚のシートを生成させた。モールド内の上記ポリマーを、最初に、100℃で2時間、4トンの呼び圧力の下、圧縮成形プレス内で硬化させ、続いて、100℃の窒素循環オーブン内で、15時間、さらに硬化させた。
【0112】
【表5】

【0113】
例8のポリウレタンの機械的性質
例1に記載される手順を用いて、機械的性質を試験した。
【0114】
【表6】

【0115】
リファレンス
1.Gunatillake PA,Meijs GF及びAdhikari A、国際特許出願PCT/AU98/00546,米国特許第6,420,452号明細書
2.Adhikari R.,Gunatillake PA.,Mejis GF.,McCarthy SJ.J Appl Polym Sci(2002),83,736〜746.
3.Gunatillake PA,Meijs GF,Chatelier RC,McIntosh DM及びRizzardo E,Polym.Int.,Vol.27,pp275〜283(1992).
【0116】
広く記載された本発明の範囲及び精神から外れることなく、特定の実施形態中に示されるように、非常に多くの変形及び/又は改良が、当業者によって、本発明になされうることが十分に理解されるであろう。従って、本願の実施形態は、あらゆる点で、説明に役立つものであって、制限するものではないことを考慮にいれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
例において、添付の図面が参照される。
【図1】図1は、例1のポリウレタンの引張クリープ抵抗性を示すグラフである。
【図2】図2は、例2〜6のポリウレタンのクリープ荷重(約1MPa)と、圧縮荷重の回復とを示すグラフである。
【図3】図3は、例2〜7のポリウレタンに関するクリープ荷重(約5MPa)と、張力の回復とを示すグラフである。
【0118】
【図4】図4は、例8のポリウレタンに関するクリープ荷重(約5MPa)と、張力の回復とを示すグラフである。
【図5】図5は、例8のポリウレタンに関するクリープ荷重(約1MPa)と、張力の回復とを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)及び(b)から形成される軟質セグメント;
(a)少なくとも1種のポリエーテルマクロジオール及び/若しくは少なくとも1種のポリカーボネートマクロジオール;及び
(b)少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオール、少なくとも1種のポリシロキサンマクロジアミン及び/若しくは少なくとも1種のシリコンベースポリカーボネート:
並びに/又は
下記(c)及び(d)から形成される硬質セグメント;
(c)ポリイソシアネート;及び
(d)少なくとも1種の二官能性連鎖延長剤:
を含み、
前記軟質セグメント及び/又は前記硬質セグメントが、下記(e);
(e)少なくとも1種の架橋剤:
からさらに形成される、架橋ポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項2】
前記架橋剤(e)が、3個又は4個以上の官能基を有する、請求項1に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項3】
前記官能基が、イソシアネートと反応可能である、請求項2に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項4】
前記官能基が、OH及びNR’R’’から選択され、ここで、R’及びR’’は、同一か又は異なり、そしてH、CO2H及びC1〜6アルキルから選択される、請求項2又は3に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項5】
前記架橋剤(e)が、ヒドロキシ、アミン又はシリコン含有架橋剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項6】
前記ヒドロキシ架橋剤が、トリメチロールプロパン(TMP)、ポリテトラメチレンオキシドベースの3官能性ポリエーテルポリオール(ボラノール2070)、ペンタエリトリトール(PE)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ジペンタエリトリトール(DPE)及びトリペンタエリトリトール(TPE)から選択される、請求項5に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項7】
前記アミン架橋剤がトリエタノールアミンである、請求項5に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項8】
前記シリコン含有架橋剤が、次の式(VII):
【化1】

(式中、
nは、3又は4以上の整数であり、そして
Rは、随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の、少なくとも3個の炭素原子の主鎖を有する炭化水素基であるか、又は
次の式(VI):
【化2】

の1,3(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサンである)
の環状シロキサンである、請求項5に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項9】
前記環状シロキサンが、次の式(V):
【化3】

のテトラメチルテトラヒドロキシプロピルシクロテトラシロキサンである、請求項8に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項10】
成分(a)及び成分(b)から生成された前記軟質セグメントが、少なくとも2種のマクロジオール、少なくとも2種のマクロジアミン、又は少なくとも1種のマクロジオール及び少なくとも1種のマクロジアミンの組み合わせである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項11】
前記ポリエーテルマクロジオールが、次の式(I):
【化4】

(式中、
mは、4又は5以上の整数、好ましくは、5〜18であり;そして
nは、2〜50の整数である)
によって表される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項12】
mが5又は6以上である、請求項11に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項13】
前記ポリエーテルマクロジオールが、ポリヘキサメチレンオキシド(PHMO)、ポリヘプタメチレンオキシド、ポリオクタメチレンオキシド(POMO)及びポリデカメチレンオキシド(PDMO)から選択される、請求項12に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項14】
前記ポリエーテルマクロジオールの分子量範囲が、約200〜約5000である、請求項11〜13のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項15】
前記ポリエーテルマクロジオールの前記分子量範囲が、約200〜約1200である、請求項14に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項16】
前記ポリカーボネートマクロジオールが、アルキレンカーボネートを、アルカンジオール及びシリコンベースポリカーボネートと反応させることで調製されたポリカーボネート、ポリ(アルキレンカーボネート)から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項17】
前記ポリアルキレンカーボネートが、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)及びポリ(デカメチレンカーボネート)から選択される、請求項16に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項18】
アルキレンカーボネートを、アルカンジオールと反応させて調製した前記ポリカーボネートが、1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール(DD)、1,6−ヘキサンジオール(HD)及び2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール(DEPD)から選択される、請求項16に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項19】
前記シリコンベースカーボネートが、アルキレンカーボネートを、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)及び/又はアルカンジオールと反応させて調製される、請求項16に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項20】
前記ポリエーテルマクロジオール及びポリカーボネートマクロジオールが、混合物又はコポリマーの状態である、請求項1〜19のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項21】
前記コポリマーが、次の式(II):
【化5】

(式中、
1及びR2は、同一か又は異なり、そして随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン又は複素環式基から選択され;そして
m及びnは、1〜20の整数である)
によって表されるコポリ(エーテルカーボネート)マクロジオールである、請求項20に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項22】
前記ポリシロキサンマクロジオール又はマクロジアミンが、次の式(III):
【化6】

(式中、
A及びA’は、OH又はNHRであり、ここで、RはH又は随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の炭化水素基であり、好ましくはC1〜6アルキル、さらに好ましくはC1〜4アルキルであり;
1、R2、R3及びR4は、同一か又は異なり、そして水素又は随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の炭化水素基から選択され;
5及びR6は、同一か又は異なり、そして随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン又は複素環式基から選択され;そして
pは、1又は2以上の整数である)
によって表される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項23】
前記ポリシロキサンが、前記式(III)のポリシロキサンマクロジオールであり、ここで、A及びA’はヒドロキシであり、そして次の式(IIIa):
【化7】

(式中、R1〜R6及びpは、請求項22に規定される通りである)
によって表されるポリシロキサンマクロジオールである、請求項22に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項24】
前記ポリシロキサンが、前記式(IIIa)の化合物であり、ここで、R1〜R4がメチルであり、そしてR5及びR6が請求項23に規定される通りである、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項22又は23に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項25】
5及びR6が、同一か又は異なり、そしてプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル(−CH2CH2OCH2CH2CH2−)、プロポキシプロピル及びブトキシプロピルから選択される、請求項24に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項26】
前記ポリシロキサンマクロジオールの分子量範囲が、約200〜約6000である、請求項22〜25のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項27】
前記ポリシロキサンマクロジオールの前記分子量範囲が、約500〜約2500である、請求項26に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項28】
前記ポリシロキサンが、請求項22に規定される通りの前記式(III)であって、AがNH2であるポリシロキサンマクロジアミンである、請求項22に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項29】
前記ポリシロキサンマクロジアミンが、アミノ末端PDMSである、請求項28に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項30】
前記シリコンベースポリカーボネートが、次の式(IV):
【化8】

(式中、
1、R2、R3、R4及びR5は、前記式(III)に規定される通りである;
6は、随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン又は複素環式基であり;
7は、二価の架橋基、好ましくはO、S又はNR8であり;
8及びR9は、同一か又は異なり、そして水素、又は随意選択的に置換された、直鎖、分岐又は環状で、飽和又は不飽和の炭化水素基から選択され;
A及びA’は、前記式(III)に規定される通りである;
m、y及びzは、0又は1以上の整数であり;そして
xは、0又は1以上の整数である)
を有する、請求項1〜29のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項31】
前記ポリカーボネートが、前記式(IV)の化合物であって、A及びA’がヒドロキシである化合物であり、次の式(IVa):
【化9】

(式中、R1〜R9、m、y、x及びzは、請求項30に規定される通りである)
のポリカーボネートマクロジオールである、請求項30に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項32】
前記ポリカーボネートマクロジオールの分子量範囲が、約400〜約5000である、請求項30又は31に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項33】
前記ポリカーボネートマクロジオールの前記分子量範囲が、約400〜約2000である、請求項32に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項34】
前記軟質セグメントが、式(I)のポリエーテル及び/又はシリコンベースポリカーボネートと、PDMS又はアミノ末端PDMSの組み合わせである、請求項1〜33のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項35】
前記ポリイソシアネート(c)が、高分子量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、MDI、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(DICH)、1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)、para−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)、meta−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)異性体若しくはそれらの混合物又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択されるジイソシアネート又はトリイソシアネート以上である、請求項1〜34のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項36】
前記ポリイソシアネートがMDIである、請求項35に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項37】
前記二官能性連鎖延長剤(d)が、イソシアネート基と反応可能な、1分子当たり2個の官能基を有する化合物である、請求項1〜36のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項38】
前記二官能性連鎖延長剤(d)が、約500以下の分子量範囲を有する、請求項37に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項39】
前記二官能性連鎖延長剤(d)が、約15〜約500の分子量範囲を有する、請求項38に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項40】
前記二官能性連鎖延長剤(d)が、約60〜約450の分子量範囲を有する、請求項39に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項41】
前記二官能性連鎖延長剤が、ジオール、ジアミン及びシリコーン含有連鎖延長剤から選択される、請求項1〜40のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項42】
前記ジオール連鎖延長剤が、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール,1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(6−ヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン及び1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンから選択される、請求項41に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項43】
前記ジアミン連鎖延長剤が、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン,1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン及び1,6−ヘキサンジアミンから選択される、請求項41に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項44】
前記シリコン含有連鎖延長剤が、次の式(V):
【化10】

(式中、
1、R2、R3、R4、R5及びR6は、請求項22の式(III)に規定される通りである;
7は、請求項30の式(IV)に規定される通りである;そして
qは0以上である)
のシリコン含有ジオールである、請求項41に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項45】
前記式(VI)の前記シリコン含有ジオールが、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(BHTD)(式(V)の化合物であって、式中、R1、R2、R3及びR4がメチルであり、R5及びR6がブチルであり、そしてR7がOである)、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシリルエチレン(式(V)の化合物であって、式中、R1、R2、R3及びR4がメチルであり、R5及びR6がプロピルであり、そしてR7がエチレンである)及び1−4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサンから選択される、請求項44に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項46】
前記二官能性連鎖延長剤が、式(V)のシリコン含有連鎖延長剤と、ジオール又はジアミン連鎖延長剤との組み合わせである、請求項44又は45に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項47】
式(V)の前記二官能性連鎖延長剤がBHTDであり、そして前記ジオール連鎖延長剤がBDOである、請求項46に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項48】
前記ジオール又はジアミン連鎖延長剤に対するシリコン連鎖延長剤のモルパーセンテージが、約1〜約70%である、請求項46又は47に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項49】
前記硬質セグメントの量が、約15〜約100質量%である、請求項1〜48のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項50】
前記硬質セグメントの量が、約20〜約70質量%である、請求項49に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項51】
前記硬質セグメントの量が、約30〜約60質量%である、請求項50に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項52】
前記軟質セグメントの分子量範囲が、約300〜約3000である、請求項1〜51のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項53】
前記軟質セグメントの前記分子量範囲が、約300〜約2500である、請求項52に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項54】
前記軟質セグメントの前記分子量範囲が、約500〜約2000である、請求項53に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項55】
前記軟質セグメントが、40〜98質量%のポリシロキサンと、2〜60質量%のポリエーテル及び/又はポリカーボネートマクロジオールとに由来するマクロジオールを含む、請求項1〜54のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項56】
前記軟質セグメント中のポリシロキサン及び/又はシリコンベースポリカーボネート:ポリエーテル及び/又はポリカーボネートの質量比が、1:99〜99:1の範囲にある、請求項1〜55のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項57】
請求項9に規定される通りの式(V)の化合物。
【請求項58】
次の各段階;
(i)請求項1〜56のいずれか一項に規定される通りの成分(a)、成分(b)及び成分(c)を反応させ、末端反応性ポリイソシアネート基を有するプレポリマーを生成させる段階;そして
(ii)前記プレポリマーを、請求項1〜56のいずれか一項に規定される通りの成分(d)及び成分(e)と反応させる段階:
を含む、請求項1〜56のいずれか一項に規定されるポリウレタン又はポリウレタンウレアの調製方法。
【請求項59】
次の各段階;
(i)請求項1〜56のいずれか一項に規定される成分(a)、成分(b)、成分(d)及び成分(e)を混合する段階;そして
(ii)当該混合物を、請求項1〜56のいずれか一項に規定される成分(c)と反応させる段階:
を含む、請求項1〜56のいずれか一項に規定されるポリウレタン又はポリウレタンウレアの調製方法。
【請求項60】
前記段階(i)が、約45〜約100℃の範囲内の温度で実施される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
触媒が、前記段階(i)に添加される、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記触媒が、オクタン酸第一錫又はジブチルチンジラウレートである、請求項61に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項63】
ラジカル禁止剤、安定剤、潤滑剤、染料、顔料、無機充填剤、有機充填剤及び強化材料から選択されるポリウレタン処理添加剤が、前記段階(i)に添加される、請求項58〜62のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
【請求項64】
請求項1〜56のいずれか一項に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレアから、全体的又は部分的に構成される材料、装置、製品又はインプラント。
【請求項65】
カテーテル;スタイレット;骨縫合用アンカー;血管、食道及びビリアル用ステント;蝸牛用インプラント;顔面再生手術;制御型薬物放出装置;キーホール手術の部品;バイオセンサ;細胞カプセル化用膜;医療用ガイドワイヤー;医療用ガイドピン;カンニュラリゼーション;ペースメーカー、除細動器及び神経刺激器及びそれらのそれぞれの電極リード;補助人工心臓;整形外科用関節又はそれらの部品;脊椎円盤;小関節;頭蓋形成プレート;眼内レンズ;泌尿器用ステント及び他の泌尿器用装置;ステント/グラフト用装置;装置用の接続/拡張/修復スリーブ;心臓弁;静脈移植血管;血管のアクセスポート;血管用シャント;血液浄化装置;折れた手足用のギプス包帯;静脈弁、血管形成、電気生理学系及び心拍出量用カテーテル;医療用装置、注入及び流量制御装置の挿入用の道具及び付属品;玩具及び玩具部品;形状記憶フィルム;管継手;電気のコネクタ;ZIFコネクタ;ロボティクス;航空宇宙用アクチュエータ;ダイナミックディスプレイ;流量制御装置;スポーツ用品及びそれらの部品;人体適合装置;温度制御装置;セーフティーリリース装置;及び熱収縮性の保温材から選択される、請求項64に記載の材料、装置、製品又はインプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−512398(P2007−512398A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540097(P2006−540097)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001662
【国際公開番号】WO2005/052019
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(505345646)コモンウエルス サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション (4)
【出願人】(501030898)エイオーテク バイオマテリアルズ プロプライアタリー リミティド (6)
【Fターム(参考)】