説明

ポリエステルカーボネート及び製造方法

【課題】 最新データ記憶フォーマットに有用な適当な基板としての新材料の提供。
【解決手段】 テルペン前駆体から誘導された1種以上のビスフェノール由来の構造単位と、1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー由来の構造単位と、C〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基から誘導された1種以上のジエステル由来の構造単位と、1種以上の炭酸ジエステル由来の構造単位とを含んでなるポリエステルカーボネート。また、ポリエステルカーボネートの製造法及びそれから得られる物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルカーボネートに関し、さらに具体的には、環状モノテルペン前駆体から誘導されたビスフェノールを構成ブロックの1つとして含むポリエステルカーボネートに関する。また、本発明は、かかるポリエステルカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合法及びポリエステルカーボネートから物品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートホモポリマーは、耐衝撃性、機械的特性、透明性などの、その優れた物性のため様々な用途に広く用いられている。ビスフェノールA(BPA)ポリカーボネートは、産業界で標準的な材料であり、低コスト、良好な透明性及び機械的性質のため、コンパクトディスク及びデジタルバーサタイルディスク(DVD)のような光情報記憶媒体に最適な基板として役立っている。しかし、個々のディスクにさらに大量の情報を保存する必要性から、高密度DVD(HDDVD)、記録型デジタルビデオ(DVR)、記録型DVD(DVD−R及びDVD+R)及び書換型DVD(DVD−RW及びDVD+RW)フォーマットのような多層記録層及び短波長レーザーに基づく高密度データ記憶のための新しい技術が開発されている。かかる光学媒体ディスクに非干渉性シールドを形成する透明プラスチック層には、高い透明性、耐熱性、低い吸水性、延性、粒状物が少ないことなど、一段と厳しい材料規格が要求され、通常のBPAホモポリカーボネートでは満足できない。そのため、データ記憶及び検索のような光学媒体用途に有効な材料としてポリエステルカーボネートの有用性が検討されている。
【0003】
高データ記憶密度化に関する材料の有効性に影響する重要な性質の一つは、基板材料のピット及び溝の間隔である。データはこうしたピット及び溝に記憶されるので、情報の損失を防ぐにはディスクの平坦性が必要とされる。ディスクによる過度の吸湿はディスク又はディスクを形成するフィルムのゆがみを生じ、信頼性の低下を招くことが知られている。こうしたゆがみ(以下、寸法安定性という。)の結果、レーザービームによるデータの記憶又は読取りが不正確になる。ディスクの大半が概してポリマー材料からなるので、ディスクの平坦性はポリマー材料の吸水性の低さに依存する。例えば、慣用BPAポリカーボネートから製造したフィルムは周囲の湿気を吸収するため反りを呈することが多い。寸法安定性は、特に周囲に存在する湿気の量と吸湿速度の関数である。上述のような最新フォーマットの光学ディスクに適した材料は、最適な寸法安定性だけでなく、コンパクトディスクのような慣用光学ディスクの製造条件と対比して最適な複製及びサイクル時間も示すべきである。また、射出成形で高品質のディスクを製造するため、ポリマーは容易に加工できるもの、つまり良好な流動性を示すべきである。従って、こうした最新データ記憶フォーマットに有用な適当な基板としての新材料を開発するニーズが存在し続けている。高密度記憶フォーマットに適した材料は、既にBPAホモポリカーボネートが有している他の望ましい特性を損なうことなく、複製及びサイクル時間に加えて寸法安定性という重大な要件に十分に対処できるものであるべきである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ポリエステルカーボネートは、
次式の1種以上のビスフェノール由来の構造単位
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、各Aは独立に二価置換又は非置換芳香族基である。)と、
次式の1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物由来の構造単位
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、Aは二価置換及び非置換芳香族基から選択される。)と、
次式の1種以上のジカルボン酸ジエステル由来の構造単位
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’はC〜C12アリール又はアルカリール基である。)と、
式(ZO)C=Oの1種以上の炭酸ジエステル(式中、各Zは独立に非置換若しくは置換アルキル基又は非置換若しくは置換アリール基である。)と
を含んでなる。
【0011】
別の実施形態では、ポリエステルカーボネートは、
次式の1種以上のビスフェノール由来の構造単位と、
【0012】
【化4】

【0013】
レゾルシノール、ビスフェノールA、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー由来の構造単位と、
次式の1種以上のジカルボン酸ジエステル由来の構造単位
【0014】
【化5】

【0015】
(式中、Yは式(CHの線状二価炭化水素基であり、nは約4〜約18の範囲内の値を有し、R’はフェニルである。)と、
ジフェニルカーボネート由来の構造単位と
を含んでなり、当該ポリエステルカーボネートは、約100℃以上のガラス転移温度、約5000以上の重量平均分子量、及び相対湿度約100%の空気に温度約23℃で約3時間暴露した後の初期長さに対する伸び率によって測定して約0.05%未満の寸法安定性を有する。
【0016】
ポリエステルカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合方法についても、本明細書に開示する。当該方法は、触媒と反応体組成物を一緒にして反応混合物を形成し、反応混合物を反応性条件下で一定時間混合してポリエステルカーボネート生成物を生成させることを含んでなり、反応体組成物は、式(ZO)C=Oの炭酸ジエステル(式中、各Zは独立に非置換若しくは置換アルキル基又は非置換若しくは置換アリール基である。)と、次式の1種以上のビスフェノール
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、各Aは独立に置換又は非置換二価芳香族基である。)と、次式の群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー
【0019】
【化7】

【0020】
(式中、Aは二価置換又は非置換芳香族基から選択される。)と、次式の群から選択される1種以上のジカルボン酸ジエステル
【0021】
【化8】

【0022】
(式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’はC〜C12アリール又はアルカリール基である。)とを含む。
【0023】
別の実施形態では、溶融エステル交換重合法でポリエステルカーボネートを製造する方法は、水酸化ナトリウム又は水酸化テトラメチルアンモニウムの1種以上を含む触媒と反応体組成物を一緒にして反応混合物を形成し、反応混合物を反応性条件下で一定時間混合してポリエステルカーボネート生成物を生成させることを含んでなり、反応体組成物は、ジフェニルカーボネートと、次式の1種以上のビスフェノールと、
【0024】
【化9】

【0025】
レゾルシノール、ビスフェノールA、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーと、次式の群から選択される1種以上のジカルボン酸ジエステル
【0026】
【化10】

【0027】
(式中、Yは式(CHの線状二価炭化水素基であり、nは約4〜約18の範囲内の値を有しており、R’はフェニルである。)とを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施形態は、コスト効率がよく環境に優しい方法で上述のポリエステルカーボネートを製造できること、また高温用途及び光学データ記憶/検索用途に適した物品及びフィルムを製造できることを始めとして、数多くの利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書では、高密度記憶フォーマットに適したポリエステルカーボネートについて開示する。当該ポリエステルカーボネートは好ましくはビスフェノール化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーとジカルボン酸化合物と炭酸ジエステル化合物との溶融エステル交換(すなわち、溶融法)で製造される。
【0030】
好ましくは、ビスフェノール化合物は環状モノテルペン前駆体から誘導されるものであり、さらに好ましくは次式(I)又は(II)のものである。
【0031】
【化11】

【0032】
式中、Aは置換又は非置換二価芳香族基である。
【0033】
一実施形態では、環状モノテルペン前駆体から誘導されたビスフェノールは、次式に示す構造(III)及び(IV)のようなビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサンを含む。
【0034】
【化12】

【0035】
上記ビスフェノールは、例えば米国特許第5480959号に記載の方法を用いて容易に製造することができる。
【0036】
本発明で使用することができる芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーは次の一般式(V)のものからなる。
【0037】
【化13】

【0038】
式中、Aは二価芳香族基である。
【0039】
幾つかの実施形態では、Aは次式(VI)の構造を有する。
【0040】
【化14】

【0041】
式中、Gはフェニレン、ビフェニレン、ナフタレンなどの芳香族基を表す。Eはメチレン、エチレン、エチリデン、プロピレン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチレン、ブチリデン、イソブチリデン、アミレン、アミリデン、イソアミリデンなどのアルキレン又はアルキリデン基でもよいし、2以上のアルキレン又はアルキリデン基がアルキレン又はアルキリデンとは異なる原子団、例えば芳香族結合、第三アミノ結合、エーテル結合、カルボニル結合、含ケイ素結合、含イオウ結合(スルフィド、スルホキシド、スルホンなど)又は含リン結合(ホスフィニル、ホスホニルなど)で連結したものであってもよい。さらに、Eは脂環式基であってもよい。Rは水素又はアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール若しくはシクロアルキルのような一価炭化水素基を表す。Yはハロゲン(フッ素、臭素、塩素、ヨウ素)のような無機原子、ニトロのような無機基、アルケニル、アリル若しくは上述のRのような有機基又は−ORのようなオキシ基であればよく、唯一必要とされることはYがポリマーの製造に用いられる反応体及び反応条件に対して不活性でそれらの影響を受けないことである。「m」は零からG上で置換可能な部位の数までの整数を表し、「p」は零からE上で置換可能な部位の数までの整数を表し、「t」は1以上の整数を表し、「s」は0又は1であり、「u」は0を含めた整数を表す。
【0042】
適当なEの例としては、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、ネオペンチリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデンなど、スルフィド、スルホキシド若しくはスルホンのような含イオウ結合、ホスフィニル、ホスホニルのような含リン結合、エーテル結合、カルボニル基、第三窒素基又はシラン若しくはシロキシのような含ケイ素結合がある。
【0043】
が上記式(VI)で表される芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物(V)において、2以上のY置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。R置換基についても同様である。式(VI)でsが0でuが0でない場合、芳香族環同士がアルキリデンその他の橋かけ基を介さずに直接結合する。炭化水素残基の2以上の環炭素原子がY及びヒドロキシル基で置換されている場合、芳香核残基G上のヒドロキシル基とYの位置はオルト位、メタ位又はパラ位で種々異なっていてもよく、これらの基同士は隣接、対称又は非対称のいずれの関係にあってもよい。幾つかの特定の実施形態では、「t」、「s」及び「u」は各々1であり、G基はいずれも非置換フェニレン基であり、Eはイソプロピリデンのようなアルキリデン基である。特定の実施形態ではG基はいずれもp−フェニレンであるが、両者共o−若しくはm−フェニレンであってもよいし、一方がo−若しくはm−フェニレンで他方がp−フェニレンであってもよい。
【0044】
式(V)の芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物の幾つかの非限定的な具体例としては、米国特許第4217438号に名称又は式(一般名若しくは個々の名称又は一般式若しくは個々の式)が開示されているジヒドロキシ置換芳香族炭化水素がある。芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの幾つかの具体例としては、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にビスフェノールAと呼ばれる。)、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル−置換レゾルシノールがある。
【0045】
また、適当な芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物には、下記式(VII)及び(VIII)で表されるもののようなインダン構造単位を含有するものも含まれる。式(VII)は3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オールを表し、式(VIII)は1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オールを表す。
【0046】
【化15】

【0047】
また、適当な芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの中には、次に示す式(IX)の2,2,2’,2’−テトラヒドロ−1,1’−スピロジオールもある。
【0048】
【化16】

【0049】
式中、各Rは独立に一価炭化水素基及びハロゲン基から選択され、各R、R、R及びR10は独立にC1−6アルキルであり、各R11及びR12は独立にH又はC1−6アルキルであり、各nは独立に0〜3の値を有する正の整数から選択される。特定の実施形態では、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−1,1’−スピロ−ジオールは2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオール(「SBI」ともいう。)。
【0050】
本発明の様々な実施形態で用いる「アルキル」という用語は、直鎖アルキル、枝分れアルキル、アラルキル、シクロアルキル及びビシクロアルキル基をいう。様々な実施形態では、直鎖及び枝分れアルキル基は、特記しない限り、炭素原子数1〜約40のものであり、非限定的な具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、第三−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルがある。様々な実施形態では、シクロアルキル基は環炭素原子数3〜約12のものである。これらのシクロアルキル基の幾つかの非限定的な具体例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル及びシクロヘプチルがある。様々な実施形態では、アラルキル基は炭素原子数7〜14のものであり、例えば、特に限定されないが、ベンジル、フェニルブチル、フェニルプロピル及びフェニルエチルがある。様々な実施形態では、本明細書で用いる芳香族基は環炭素原子数6〜約12の単環式又は多環式部分をいう。これらのアリール基はまた、その環炭素上に置換された1以上のハロゲン原子又はアルキル基を有していてもよい。殆どの実施形態では、存在するいかなる置換基も、フェノール性芳香族基中にあるような適当な芳香族基とモノテルペン中にあるような適当なオレフィン性基との反応を妨げる環位置にはない。これらの芳香族基の幾つかの非限定的な具体例としては、フェニル、ハロフェニル、ビフェニル及びナフチルがある。別の実施形態では、本明細書中で用いる芳香族基とは炭素原子数7〜14のアラルキル基をいう。
【0051】
ポリエステルカーボネートはまた、次の一般式(X)の1種以上のジカルボン酸ジエステル由来の構造単位も含む。
【0052】
【化17】

【0053】
式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’はC〜C12アリール又はアルカリール基である。
【0054】
ジカルボン酸ジエステル部分から誘導される構造単位は非置換であっても置換されていてもよい。存在する場合、置換基は幾つかの実施形態ではC1−12アルキル基である。一実施形態では適当なアルキル基はメチルである。適当なハロゲン置換基はブロモ、クロロ及びフルオロからなる。アルキルとハロゲン置換基の混合物を含有するジカルボン酸ジエステル部分も適している。他の実施形態では、ジカルボン酸ジエステルはアルキレンジカルボン酸ジエステル、特定の実施形態ではアルキレンジカルボン酸ジアリールエステルからなり、ここでアルキレン基は、様々な実施形態では、C3−20直鎖アルキレン、C3−20枝分れアルキレン又はC4−20シクロ−若しくはビシクロアルキレン基からなる。特定の実施形態では、ジカルボン酸ジエステルはドデカン二酸ジフェニルである。他の特定の実施形態では、ジカルボン酸ジエステルは、デカン二酸ジフェニル、テトラデカン二酸ジフェニル、ヘキサデカン二酸ジフェニル、オクタデカン二酸ジフェニル及びこれらのジカルボン酸ジエステルを1種以上含む組合せを、上記割合の構造単位が得られるような量で含む。
【0055】
様々な実施形態では、ジアリールエステルはジフェニルエステルからなり、フェノールから誘導される。他の実施形態では、ジアリールエステルは、モノヒドロキシ部分の酸素置換基に対してオルト、メタ又はパラ位に1以上の電子吸引性基を有するモノヒドロキシ芳香族化合物から誘導されたものからなる。別の実施形態では、ジアリールエステルは、モノヒドロキシ部分の酸素置換基に対してオルト又はパラ位に1以上の電子吸引性基を有するモノヒドロキシ芳香族化合物から誘導されたものからなる。もう一つ別の実施形態では、ジアリールエステルは、モノヒドロキシ部分の酸素置換基に対してオルト又はパラ位に、o−カルボアルコキシ、o−カルボアリールオキシ、カルボアリール、ハロ、シアノ及びニトロ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される1以上の電子吸引性基を有するモノヒドロキシ芳香族化合物から誘導されたものからなる。別の実施形態では、ジアリールエステルは、o−カルボメトキシフェノール、o−カルボメトキシメチルフェノール、o−カルボエトキシフェノール、o−カルボプロポキシフェノール、o−クロロフェノール、o−カルボフェニルフェノール、o−カルボフェノキシフェノール、o−カルボベンゾキシフェノール及びo−ニトロフェノールからなる群から選択されるモノヒドロキシ芳香族化合物から誘導されたものからなる。
【0056】
もう一つ別の実施形態では、ジカルボン酸ジエステルはまた、次式(XI)のジカルボン酸及びジカルボン酸モノエステルの1種又は2種以上の組合せをも含む。
【0057】
【化18】

【0058】
式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’は水素、C〜C12アリール又はアルカリール基である。このジカルボン酸又はジカルボン酸モノエステルは、ジカルボン酸ジエステルの量に対して、一実施形態では約0〜約50モル%範囲の量で、別の実施形態では約0〜約30モル%の範囲の量で存在する。かかるジカルボン酸及び/又はジカルボン酸モノエステルを使用する場合、カルボン酸基をエステル基に変換するのに必要な炭酸ジエステルの量が多くなる。ジカルボン酸及びジカルボン酸モノエステルの例としては、セバシン酸、セバシン酸モノフェニル、ドデカン二酸及びドデカン二酸モノフェニルなどがある。
【0059】
他の実施形態では、本明細書に記載のポリエステルカーボネートは、重量平均分子量が約5000以上であり、ガラス転移温度が約100℃以上であり、前記ポリエステルカーボネートを含むフィルムの寸法安定性は、相対湿度約100の窒素に温度約23℃で約3時間暴露した後の初期長さに対する伸び率によって測定して約0.05%未満である。
【0060】
本発明の幾つかの実施形態では、ポリエステルカーボネートは次式(XII)及び(XIII)からなる群から選択される1種以上のカーボネート構造単位を含む。
【0061】
【化19】

【0062】
式中、Aは置換又は非置換二価芳香族基である。
【0063】
他の実施形態では、ポリエステルカーボネートは次式(XIV)に示す基から選択される1種以上のカーボネート構造単位を含む。
【0064】
【化20】

【0065】
式中、Aは二価芳香族基である。
【0066】
他の実施形態では、ポリエステルカーボネートは次式(XV)に示す基から選択される1種以上の構造単位を含む。
【0067】
【化21】

【0068】
式中、Yは独立にC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基である。
【0069】
また、本発明の様々な実施形態は、次式(XVI)の1種以上の炭酸ジエステルも含む。
【0070】
【化22】

【0071】
式中、各Zは独立に非置換若しくは置換アルキル基又は非置換若しくは置換アリール基である。存在する場合Z上の置換基としては、特に限定されないが、1以上のアルキル、ハロゲン、クロロ、ブロモ、フルオロ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及びシアノを挙げることができる。本発明で使用することができる炭酸ジエステルの幾つかの具体例としては、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート及び混成アリール−アルキルカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、(o−カルボメトキシフェニル)カーボネート、(o−カルボエトキシフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート及びジシクロヘキシルカーボネート、並びにこれらの2種以上の組合せがある。これらのうち、ジフェニルカーボネートが特定の実施形態で使用されることが多い。幾つかの実施形態では、これらの化合物の2種以上を使用する場合、1種はジフェニルカーボネートである。
【0072】
溶融エステル交換重合でポリエステルカーボネートを製造する方法では、触媒と反応体組成物を一緒にして反応混合物を形成し、この反応混合物を反応性条件下で一定時間混合してポリエステルカーボネート生成物を生成させる。反応体組成物は以下の成分:
式(XV)(ZO)C=Oの炭酸ジエステル
(式中、各Zは独立に非置換若しくは置換アルキル基又は非置換若しくは置換アリール基である。)と、
次式(I)又は(II)の1種以上のビスフェノール
【0073】
【化23】

【0074】
(式中、各Aは独立に置換又は非置換二価芳香族基である。)と、
次式(V)からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー
【0075】
【化24】

【0076】
(式中、Aは二価置換又は非置換芳香族基から選択される。)と、
次式(X)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸ジエステル
【0077】
【化25】

【0078】
(式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’はC〜C12アリール又はアルカリール基である。)と
を含む。
【0079】
本方法の特定の実施形態では、ビスフェノールは次式(III)若しくは(IV)の1種以上のビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサン又はこれらのビスフェノールを1種以上含む組合せからなる。
【0080】
【化26】

【0081】
ポリエステルカーボネートの製造において、上記芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーは単独で使用してもよいし、又は2種以上の異なる芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの混合物として使用してもよい。ある特定の実施形態では、ポリエステルカーボネートの製造に適した芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にビスフェノールA又は「BPA」と呼ばれる。)、レゾルシノール、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール(以下、「bispded」ともいう。)及び2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「s−BPA」ともいう。)又はこれらの芳香族ジヒドロキシ化合物を1種以上含む組合せである。
【0082】
幾つかの実施形態では、ポリエステルカーボネートは、次式(X)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸ジエステルを用いて製造される。
【0083】
【化27】

【0084】
式中、Yは式(CHの線状アルキリデン基であり、nは約4〜約18の値を有しており、R’はフェニル基である。特定の実施形態では、nは約12の値を有し、R’はフェニル基である。
【0085】
或いは、ジカルボン酸ジエステルは、次式(XI)のジカルボン酸及びジカルボン酸モノエステルの1種又は2種以上の組合せからなる。
【0086】
【化28】

【0087】
式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’は水素、C〜C12アリール又はアルカリール基である。
【0088】
溶融エステル交換法によるポリエステルカーボネートの製造中、上記タイプの炭酸ジエステル及びジカルボン酸ジエステルの量は、上記ビスフェノール及び芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物の1モルを基準にして、幾つかの実施形態では0.95〜1.30モルの量で、他の実施形態では1.05〜1.15モルの量である。
【0089】
溶融エステル交換重合で使用し得る触媒としては、かかる重合に対して有効であることが知られているものが全て包含される。様々な実施形態では、かかる触媒は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、テトラオルガノアンモニウム化合物及びテトラオルガノホスホニウム化合物、これらの触媒を1種以上含む組合せからなる群から選択される。
【0090】
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の具体例としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物及びアルコラートがある。幾つかの実施形態では、触媒は、式Mのアルカリ金属化合物である(式中、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択され、Xは水酸基及びOArからなる群から選択され、Arは一価芳香族基である。)。
【0091】
より具体的には、アルカリ金属化合物の例として、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ヒドロキシホウ酸リチウム、ヒドロキシホウ酸ナトリウム、フェノキシホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩及び二リチウム塩、並びにフェノールのナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩などがある。
【0092】
また、アルカリ土類金属化合物の具体例としては、特に限定されないが、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、重炭酸カルシウム、重炭酸バリウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム及びステアリン酸ストロンチウムなどがある。
【0093】
他の実施形態では、触媒は、式RNYのテトラオルガノアンモニウム化合物である(式中、RはC〜Cアルキル基であり、Yは水酸基、酢酸基又はOArであり、Arは一価芳香族基である。)。さらに他の実施形態では、触媒は、式RPYのテトラオルガノホスホニウム化合物である(式中、RはC〜Cアルキル基であり、Yは水酸基、酢酸基又はOArであり、Arは一価芳香族基である。)。
【0094】
テトラオルガノアンモニウム化合物及びテトラオルガノホスホニウム化合物の具体例としては、特に限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム、酢酸テトラブチルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウムなどがある。
【0095】
以上に開示した触媒はいずれも、2種以上の物質の組合せとして使用してもよい。この触媒は種々の形態で添加することができる。触媒は固体、例えば粉末として添加してもよいし、又は溶媒、例えば水若しくはアルコールに溶解させてもよい。
【0096】
本発明において、全触媒組成物は、ビスフェノール芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー及びジカルボン酸ジエステルの組合せ各1モルに対して、一実施形態では約1×10−7〜約2×10−3モル、別の実施形態では約1×10−6〜約4×10−4モルの量である。
【0097】
溶融重合という用語は、一般に、例えば下記式(I)又は(II)に示すビスフェノールと式(V)の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーと式(X)のジカルボン酸ジエステルと式(XVI)の炭酸ジエステルを上記適当な触媒の存在下で縮合する重合プロセスをいう。
【0098】
【化29】

【0099】
溶融重合は1以上の段階を含むプロセスで実施することができる。一段階プロセスでは、上記触媒の存在下で上記ビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサン、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー(III)、ジカルボン酸ジエステル及び炭酸ジエステルの溶融重縮合によってポリカーボネートを製造する。これらの重合を実施するのに使用する反応器に特に重要な意味はない。幾つかの実施形態では、反応器はガラス又は金属のいずれかで製造することができる。幾つかの実施形態では、反応器の壁は適当な酸性物質による処理で不動態化することができる。ガラス製反応器で重合を実施するのが望ましい場合、反応器を水性酸媒体に浸漬することによってその壁を不動態化する。様々な実施形態では、この不動態化プロセス用の酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸及び酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸の水溶液がある。
【0100】
様々な実施形態では、この重合反応の反応体は固体形態又は溶融形態で反応器に仕込むことができる。反応器への反応体の初期仕込及びその後の重合反応性条件下におけるこれらの材料の混合は、窒素雰囲気のような不活性ガス雰囲気中で実施するとよい。反応混合物の混合は、攪拌のような当技術分野で公知の方法で行う。本明細書で反応性条件とは、反応体の重合を起こす時間、温度、圧力、その他の要因を含む条件をいう。
【0101】
様々な実施形態では、重合は、上記反応混合物を一連の温度−圧力−時間プロトコルに付すことで実施される。幾つかの実施形態では、段階的に圧力を徐々に下げながら反応温度を段階的に徐々に上げる。例えば、このプロセスの様々な実施形態では、圧力は、反応の開始時の略大気圧から、一実施形態では略大気圧〜約0.01ミリバールの圧力、別の実施形態では略大気圧〜約0.05ミリバールの圧力、さらに別の実施形態では約300ミリバールの圧力〜約0.05ミリバールの圧力の範囲内の値まで変化する。様々な実施形態では、温度は、反応混合物の略溶融温度〜約350℃、約180〜約230℃、約230〜約270℃、約270〜約350℃の範囲で変化する。この手順により、一般に、反応体が適切に反応して、所望の分子量、ガラス転移温度及び物理的性質を有するポリエステルカーボネートが確実に得られる。この反応が進行すると、ポリマー鎖が構築されると共にフェノール副生物が生成する。真空によってフェノール副生物を効率的に除去すると、高分子量ポリエステルカーボネートが生成する。フェノールが効率的に除去されないと、それが逆反応に関与して、重合触媒の存在下でフェノールによってポリマー鎖が開裂し、その結果機械的その他の物理的性質に劣る低分子量ポリマーが生成する。様々な実施形態では、この反応の進行は、反応混合物の溶融粘度又は重量平均分子量を測定することによってモニターすることができる。所望の溶融粘度及び/又は分子量に達した後、最終ポリエステルカーボネート生成物を固体又は溶融形態で反応器から単離することができる。
【0102】
本発明のポリエステルカーボネートの製造方法は、上記のものに限られることはない。従って、本方法は、回分式、半回分式又は連続式のいずれでも実施することができる。当技術分野で公知の反応装置がこの反応を実施するのに使用でき、幾つかの実施形態では横型、管型又はカラム型であり得る。
【0103】
上記のようにして製造されたポリエステルカーボネートは、重量平均分子量が約5000以上であり、ガラス転移温度が約100℃以上であり、前記ポリエステルカーボネートからなるフィルムの寸法安定性が温度約23℃で約3時間相対湿度約100%の窒素に暴露した後のその初期長さに対する伸び率によって測定して約0.05%未満である。
【0104】
ポリエステルカーボネートの寸法安定性は、ポリエステルカーボネートフィルムを制御されたチャンバーに入れ、所定レベルの湿度及び温度に維持された窒素流に所定時間暴露することによって測定することができる。ポリエステルカーボネート試料による湿気の吸収によってそのフィルムの膨潤つまり伸長が起こる。次に、そのフィルムの吸収した湿気を脱湿加熱窒素を用いて追い出すことによって膨潤を除き、このプロセスを一般に前記伸び率に至るまで繰り返す。この方法の一つの態様では、上記プロセスを2回以上、幾つかの実施形態では3回繰り返して前記伸び率を達成することができる。低い伸び率は吸湿に対する際立った耐性を示し、これは優れた寸法安定性である。
【0105】
本発明の方法で製造したポリマーから流延したポリエステルカーボネートフィルムは、そのフィルムの元の長さの約0.05%未満という非常に低い伸び率で立証されているように、多湿環境内で際立った寸法安定性を示す。これらの材料は、基準材料であるBPAホモポリカーボネート、並びに比較材料である45:55のモル比の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールモノマーとホスゲンとの界面反応で製造されたポリカーボネートコポリマー及びジメチルビスフェノールシクロヘキサノン(DMBPC)とジフェニルカーボネートとの反応から誘導されたホモポリカーボネートから製造されるフィルムと比較して格段に優れた寸法安定性を示す。
【0106】
本発明のポリエステルカーボネート及びこれらのポリエステルカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合法は、光学媒体用途に適した物品を製造するのに有用である。かかるポリカーボネートの製造は、触媒、プロセス条件、並びにビスフェノール、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー及びジカルボン酸ジエステルの適正な割合を選択することによって行うことができる。これらのパラメーターの選択は当業者の能力の範囲内であり、最小限の実験を実施すれば足りる。
【0107】
様々な実施形態では、光学媒体用途に適した物品を製造するためのポリエステルカーボネートは、ビスフェノールが本明細書に記載の1種以上のビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサンであり、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーがBPA、レゾルシノール、bisded及びs−BPA1種以上であり、ジカルボン酸ジエステルが次式(X)に示される群から選択される1種以上であるものからなる。
【0108】
【化30】

【0109】
式中、Yは式(CHの線状アルキリデン基であり、nは約4〜約18の範囲内の値を有し、R’はフェニルである。
【0110】
上述のポリエステルカーボネート組成物及びその製造方法はディスプレイ装置用の光学物品及びフィルムの製造に使用される。ポリエステルカーボネートを用いて製造することができる光学物品は、フィルム、光情報記憶媒体、書込型光学ディスク及び光情報記憶媒体用の基板からなる。これらの光学物品は、DVD、より具体的には、HDDVD、DVR、DVD−R及びDVR+R、並びにDVD−RW及びDVD+RWフォーマットを用いる高密度データ記憶のような様々な記録媒体を被覆する保護透明層として機能することができる。
【0111】
ディスプレイパネルフィルムはディスプレイパネル装置の重要な構成部品である。かかるフィルムに対する材料要件として、良好な加工性、高分子量(例えば、約5000より大きい平均分子量)及びディスプレイ作動中に発生する熱に耐えるのに充分なガラス転移温度(例えば、一般に約100℃より高い)がある。本ポリエステルカーボネート及びその製造方法の様々な実施形態では、これらの高分子量、高いガラス転移温度及び良好な加工性の要件を満たし、かつそれを超える材料を製造する手段が提供され、従って、これらはかかるディスプレイ装置用フィルムを製造するのに有用である。これらのフィルムは前記方法を用いて製造されるポリエステルカーボネートの溶液から流延することができる。この技術及びその他当技術分野で公知の技術で製造されたかかるフィルムは良好な加工性、際立った寸法安定性及びディスプレイ作動中に発生する熱に耐えるのに充分なガラス転移温度をもっている。
【0112】
本発明の別の態様は、上記溶融エステル交換重合法によって製造されたポリエステルカーボネートを含む組成物を成形することからなる物品の製造方法である。様々な実施形態では、この成形組成物用のポリエステルカーボネートは、ビスフェノールが本明細書に記載のビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサンからなるものからなる。
【0113】
かかる物品を製造するための成形段階は射出成形、熱成形、ブロー成形などで実施することができる。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、本発明を実施する上での追加の指針を当業者に提供するためのものである。以下に挙げる実施例は、本出願の教示に関与した研究の単なる代表例である。従って、これらの実施例は特許請求の範囲に記載の本発明をいかなる意味でも限定するものではない。
【0115】
実施例
ポリエステルカーボネートのガラス転移温度は、示差走査熱量分析法で窒素下毎分10〜20℃の速度で試料を加熱することによって測定した。
【0116】
重量平均分子量(M)及び数平均分子量(M)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した。値はポリスチレン標準で測定されたものと比較したものである。
【0117】
ポリエステルカーボネート試料の寸法安定性の測定に当たっては、まずポリエステルカーボネートのジクロロメタン溶液からフィルムを流延した。次にこのフィルムをチャンバー内に入れ、窒素ガスすなわち相対湿度100%で23℃に維持した窒素を流した。所定の時間、一般的には約30〜約45分後、フィルムを約150〜約200ml/分の速度で流れる乾燥窒素ガス流に暴露して、フィルムから吸収していた湿気を全て除去した。以上のプロセスを3回繰返し、フィルムの最終的な長さを測定した。その後、フィルムの初期長さに対する伸び率(長さの増大)を計算した。
【0118】
各実施例で触媒組成物は、水性水酸化ナトリウムと25重量%の水性水酸化テトラメチルアンモニウムの原液の適当な部分試料を採取することによって調製した。触媒溶液は3〜4週に一回更新した。
【0119】
溶融エステル交換重合の一般手順
ガラス製重合反応器を、1モル濃度の塩酸水溶液を含有する浴に浸漬することによって不動態化した。24時間後、反応器を脱塩水で、最後に脱イオン水で充分に濯いで、痕跡量のあらゆる酸その他の汚染物質を確実に除去した。その後反応器を充分に乾燥し、適当な量の式(III)のビスフェノール、1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー、ジカルボン酸ジエステル及びジフェニルカーボネートからなるモノマーを仕込んだ。次に、反応器を重合アセンブリに取付け、漏れがないことをチェックして確認した。次いで、上記のように調製した所要量の触媒溶液を、注射器を用いて反応器中に導入した。その後、反応器内部の雰囲気を真空源を用いて排気した後窒素でパージした。このサイクルを3回繰り返した後、反応器の内容物を加熱してモノマー混合物を溶融させた。混合物の温度が約180℃に達したとき、反応器内の攪拌機を始動させ、約40〜約80rpmに調節して、固形物全体を確実完全に溶融させた。このプロセスには通常約15〜約20分かかった。次に、反応混合物を約230℃に加熱する一方、真空源を用いて反応器内の圧力を約170ミリバールに調節した。この温度−圧力−時間条件をP1と呼ぶ。反応塊をこの条件で約1時間攪拌した後、反応温度を約270℃に上昇させる一方で圧力を約20ミリバールに再調節した。この条件(P2と呼ぶ)に約30分維持した後、反応混合物の温度を約300℃に上昇させる一方で圧力を約1.5ミリバールに低下させた。これらの条件(P3と呼ぶ)下で約30〜約60分反応を進行させた後、反応器内の圧力を大気圧にし、反応器を通気して過剰の圧力を解放した。反応器の底のガラスニップルを破壊し、物質を回収することによって生成物を単離した。生成物の分子量が非常に高い場合には、窒素ガスで反応器を加圧して熱溶融ポリマーを落下させた。
【0120】
実施例1〜2、比較例1〜3
上記一般重合手順を用いてポリエステルカーボネートを調製した。調製した各ポリエステルカーボネートに対して、上記一般手順を用いてガラス転移温度、分子量及び膨潤データを測定した。結果を表1に示す。反応は全て、ジフェニルカーボネートと、X、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー及びジカルボン酸ジエステルの組合せとのモル比を1.08として行った。使用した触媒は、モル比1:100の水酸化ナトリウムと水酸化テトラメチルアンモニウムの混合物であった。いずれの場合も、ビスフェノールと芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの組合せ1モル当たり2.5×10−4モルの水酸化テトラメチルアンモニウムを使用した。比較例1は、上記一般手順を用いてBPAとジフェニルカーボネートから製造したBPAホモポリカーボネートである。比較例2は、45:55のモル比のモノマー、すなわち1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールとホスゲンとの界面反応で調製したポリカーボネートコポリマーである。比較例3は、上記一般手順を用いてジメチルビスフェノールシクロヘキサノンとジフェニルカーボネートから製造したポリカーボネートである。表I中のビスフェノール組成物とは、ビスフェノールと芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの組合せである。略号DDDA−DDEはドデカン二酸ジフェニルを示す。
【0121】
【表1】

【0122】
典型的な実施形態について本発明を例示し説明してきたが、本発明の要旨から逸脱することなく様々な修正や置換をなすことができ、本発明は以上記載してきた詳細に限定されるものではない。さらに、本明細書に開示した本発明のさらなる修正や均等物は、過度の実験を行わずとも当業者には明らかであろう。従って、かかる修正及び均等物は特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び技術的範囲に属する。本明細書で引用した特許は全て援用により本明細書の内容の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の1種以上のビスフェノール由来の構造単位
【化1】

(式中、各Aは独立に二価置換又は非置換芳香族基である。)と、
次式の1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物由来の構造単位
【化2】

(式中、Aは二価置換及び非置換芳香族基から選択される。)と、
次式の1種以上のジカルボン酸ジエステル由来の構造単位
【化3】

(式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’はC〜C12アリール又はアルカリール基である。)と、
式(ZO)C=Oの1種以上の炭酸ジエステル由来の構造単位(式中、各Zは独立に非置換若しくは置換アルキル基又は非置換若しくは置換アリール基である。)と
を含んでなるポリエステルカーボネート。
【請求項2】
前記ビスフェノールが、以下の式のビスフェノール及びこれらのビスフェノールを1種以上含む組合せからなる群から選択される、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【化4】

【請求項3】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物が次式の1種以上の化合物からなる、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【化5】

式中、Gは芳香族基であり、Eはアルキレン、アルキリデン、脂環式基、含イオウ結合、含リン結合、エーテル結合、カルボニル基、第三窒素基又は含ケイ素結合であり、Rは水素又は一価炭化水素基であり、Yは水素、一価炭化水素基、アルケニル、アリル、ハロゲン、臭素、塩素、ニトロからなる群から選択され、「m」は零からG上で置換可能な部位の数までの整数を表し、「p」は零からE上で置換可能な部位の数までの整数を表し、「t」は1以上の整数を表し、「s」は0又は1であり、「u」は0を含めた整数を表す。
【請求項4】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物が、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オール、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオール及びこれらの芳香族ジヒドロキシ化合物を1種以上含む組合せからなる群から選択される、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【請求項5】
前記ジカルボン酸ジエステルのYが式(CHの線状アルキリデン基であり、nが約2〜約18の範囲内の値を有する、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【請求項6】
前記炭酸ジエステルが、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、混成アリール−アルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、(o−カルボメトキシフェニル)カーボネート、(o−カルボエトキシフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート及びこれらの炭酸ジエステルを1種以上含む組合せからなる群から選択される、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【請求項7】
ポリカーボネートが約100℃以上のガラス転移温度を有する、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【請求項8】
ポリカーボネートが約5000以上の重量平均分子量を有する、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【請求項9】
ポリカーボネートが、相対湿度約100%の空気に温度約23℃で約3時間暴露した後の初期長さに対する伸び率によって測定して約0.05%未満の寸法安定性を有する、請求項1記載のポリエステルカーボネート。
【請求項10】
次式の1種以上のビスフェノール由来の構造単位と、
【化6】

レゾルシノール、ビスフェノールA、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー由来の構造単位と、
次式の1種以上のジカルボン酸ジエステル由来の構造単位
【化7】

(式中、Yは式(CHの線状二価炭化水素基であり、nは約4〜約18の範囲内の値を有し、R’はフェニルである。)と、
ジフェニルカーボネート由来の構造単位と
を含んでなるポリエステルカーボネートであって、
約100℃以上のガラス転移温度、約5000以上の重量平均分子量、及び相対湿度約100%の空気に温度約23℃で約3時間暴露した後の初期長さに対する伸び率によって測定して約0.05%未満の寸法安定性を有するポリエステルカーボネート。
【請求項11】
ポリエステルカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合法であって、当該方法が、
触媒と反応体組成物を一緒にして反応混合物を形成し、
反応混合物を反応性条件下で一定時間混合してポリエステルカーボネート生成物を生成させることを含んでなり、
上記反応体組成物が、
式(ZO)C=Oの炭酸ジエステル(式中、各Zは独立に非置換若しくは置換アルキル基又は非置換若しくは置換アリール基である。)と、
次式の1種以上のビスフェノール
【化8】

(式中、各Aは独立に置換又は非置換二価芳香族基である。)と、
以下の群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー
【化9】

(式中、Aは二価置換又は非置換芳香族基から選択される。)と、
以下の群から選択される1種以上のジカルボン酸ジエステル
【化10】

(式中、YはC〜C40線状又は枝分れ二価炭化水素基であり、R’はC〜C12アリール又はアルカリール基である。)と
を含む、方法。
【請求項12】
前記触媒が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、テトラオルガノアンモニウム化合物及びテトラオルガノホスホニウム化合物からなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記触媒が式Mのアルカリ金属化合物である(式中、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択され、Xは水酸基及びOArからなる群から選択され、Arは一価芳香族基である。)、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が式RNYのテトラオルガノアンモニウム化合物である(式中、RはC〜Cアルキル基であり、Yは水酸基、酢酸基又はOArであり、Arは一価芳香族基である。)、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が式RPYのテトラオルガノホスホニウム化合物である(式中、RはC〜Cアルキル基であり、Yは水酸基、酢酸基又はOArであり、Arは一価芳香族基である。)、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記触媒が水酸化ナトリウムと水酸化テトラメチルアンモニウムの混合物である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記触媒組成物がビスフェノール、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー及びジカルボン酸ジエステルの混合物1モル当たり1×10−7〜約2×10−3モルである、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記触媒組成物がビスフェノール、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー及びジカルボン酸ジエステル1モル当たり1×10−6〜約4×10−4モルである、請求項11記載の方法。
【請求項19】
Zが、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4,5−トリクロロフェニル、2−シアノフェニル、o−ニトロフェニル、(2−メトキシカルボニル)フェニル、(2−エトキシカルボニル)フェニル)、トリル、m−クレジル、ナフチル、エチルカーボネート、メチル、ブチル、シクロヘキシル及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記ビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサンが、以下のビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサン及びそれらのビス(ヒドロキシアリール)シクロヘキサンを1種以上含む組合せからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【化11】

【請求項21】
前記ジカルボン酸ジエステルのYがC〜C18線状又は枝分れ二価炭化水素基からなり、R’がフェニル基である、請求項11記載の方法。
【請求項22】
前記反応混合物を、反応混合物の略溶融温度〜約350℃の温度で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項23】
前記反応混合物を約180〜約350℃の温度で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項24】
前記反応混合物を約270〜約350℃の温度で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項25】
前記反応混合物を約300〜約350℃の温度で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項26】
前記反応混合物を、反応混合物の略溶融温度〜約180℃の初期値の第1段階から、約180〜約230℃の第2段階、約230〜約270℃の第3段階、次いで約270〜約300℃の第4段階に段階的に昇温する温度で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項27】
前記反応混合物を約0.01mbar〜略大気圧の圧力で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項28】
前記反応混合物を約300〜約0.5ミリバールの圧力で混合する、請求項11記載の方法。
【請求項29】
前記反応混合物を、約0.01mbar〜略大気圧の範囲の圧力で約1時間以上の一定時間攪拌することによって混合する、請求項11記載の方法。
【請求項30】
前記炭酸ジエステル及びジカルボン酸ジエステルが、反応体組成物中のビスフェノール及び芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの総モル数に対して約0.95〜約1.30のモル比である、請求項11記載の方法。
【請求項31】
炭酸ジエステルとジカルボン酸ジエステルが、反応体組成物中のビスフェノールと芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの合計モル数に対して約1.05〜約1.15のモル比にある、請求項11記載の方法。
【請求項32】
前記芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物が、ビスフェノールA、レゾルシノール、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの化合物を1種以上含む組合せからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項33】
ポリエステルカーボネート生成物が、温度約23℃で約3時間相対湿度100%の空気に暴露した後の初期長さに対する伸び率によって測定して約0.05%未満の寸法安定性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項34】
ポリエステルカーボネート生成物が約5000以上の重量平均分子量を有する、請求項11記載の方法。
【請求項35】
ポリエステルカーボネート生成物が約100℃以上のガラス転移温度を有する、請求項11記載の方法。
【請求項36】
溶融エステル交換重合法でポリエステルカーボネートを製造する方法であって、
水酸化ナトリウム又は水酸化テトラメチルアンモニウムの1種以上を含む触媒と反応体組成物を一緒にして反応混合物を形成し、反応混合物を反応性条件下で一定時間混合してポリエステルカーボネート生成物を生成させることを含んでなり、
前記反応体組成物が、
ジフェニルカーボネート、
次式の1種以上のビスフェノール
【化12】

レゾルシノール、ビスフェノールA、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー、並びに
次式の群から選択される1種以上のジカルボン酸ジエステル
【化13】

(式中、Yは式(CHの線状二価炭化水素基であり、nは約4〜約18の範囲内の値を有し、R’はフェニルである。)
を含む方法。
【請求項37】
前記ジカルボン酸ジエステルがドデカン二酸ジフェニル化合物である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
さらに、反応混合物を、反応混合物の略溶融温度〜約180℃の範囲の初期値である第1の温度で、次に約180〜約230℃の第2の温度で、次いで約230〜約270℃の第3の温度で、そして次に約270〜約300℃の第4の温度で加熱することを含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記反応混合物が約0.01mbar〜略大気圧の圧力である、請求項36記載の方法。

【公表番号】特表2006−512423(P2006−512423A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−519567(P2004−519567)
【出願日】平成15年5月28日(2003.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/017080
【国際公開番号】WO2004/005368
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】