説明

ポリエステルフィルム

【課題】ポリエステルフィルム、特に写真フィルム用に適した不透明ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】第1の表面と第2の表面を備え2.0を超える光学濃度の不透明第1層と、白色第2層とを備えたポリエステルフィルムであって、
前記不透明第1層は、カーボンブラックを含む不透明化剤を有し、
前記不透明第1層は、さらに少なくとも1種のホワイトニング剤を含み、
前記白色第2層は、さらに前記不透明第1層の第1の表面上に配置され、
前記白色第2層は、前記第2層ポリエステル重量を基準にして、5〜60重量%の範囲でホワイトニング剤を含み、
前記不透明第1層の第2の表面は、前記ポリエステルフィルムの外面を構成することを特徴とするポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステルフィルムに関し、詳細には写真フィルム用に適した不透明ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
インスタント写真技術の開発により、完成した写真を即座に作製することが可能になり、インスタント写真技術はプロカメラマン、アマ写真家に双方にとって同様に強力な記録媒体となった。インスタント写真は例えばパスポートなどの証明の目的、工業および業務用途、医療や科学分野など広範囲に応用されている。
【0003】
インスタント写真では感光シートと、その中に陽画像が形成される受像またはプリントシートの2種類のシートが用いられる。反応薬システムが用いられ、シールされたパッドから放出される反応薬が2枚のシート間に拡散し、薄い層を形成し、感光シートの感光性の層(または複数の層)中に像を生じ、また受像シートの受像層中に最終の陽画像を生ずるように働く。一連の補完する陽画像および陰画像が形成されてもよく、その少なくとも1つは転写段階の出発点として働き、受像層中に最終の陽画像を生ずる。
【0004】
インスタント写真システムには、剥離−分離型および一体型として知られる2つの主要なタイプがある。剥離−分離システムでは、処理工程の始めに反応薬が拡散されるときは感光シートと受像シートは貼り合わせられている。次いでシートを剥がして処理が終了し、像が見られるようになる。一体型システムでは感光シートと受像シートは単一のユニットとして始めから固定されている。受像層が2枚のシートの内面に配置され、その少なくとも1枚は透明である。像は通常、フィルムユニット内の反射性白色顔料の層を背景に透明シートを通して見ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
剥離−分離システムでは通常、樹脂を塗布したペーパーが受像シートとして用いられる。ペーパーは通常、好ましくない光の透過を妨げるための灰色か黒色の層と、形成された像を反射するための白色の層を有する。しかしペーパーが天然繊維を含むと、完成した画像の粒子が粗く、また色の不均一な分布となる。このため画像の品質の改良された受像シートが求められている。加えてペーパーは引っ張り特性が相対的に劣っており、相対的に厚いペーパーを使わねばならず、インスタントカメラの1つの写真フィルムカセットに収納できるシートの枚数が制約されることになる。
【0006】
ポリエステルフィルムは写真用途に広範囲に用いられてきた。白色のポリエステルフィルムは従来から写真プリントの製作に用いられている。残念ながら在来の白色ポリエステルフィルムは不透明度が比較的劣っており、若干の光線が通過する。フィルムの不透明度はホワイトニング剤および不透明化剤の濃度を増すことにより、すなわちフィルム中に存在するフィラーまたはフィルム厚を増すことにより改良できる。しかしフィルム中に取り込むことのできるフィラーの量には事実上限界があり、フィルム厚を増すことはそれに応じてフィルムコストを上げ、その意図する用途に適さないものになる。
【0007】
我々はこのたび前述の問題の少なくとも1つを軽減し、あるいは克服したポリエステルフィルムを考案した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、2.0を超える光学密度を有する不透明第1層と、白色第2層とを備えたポリエステルフィルムを提供する。
【0009】
本発明はまた、2.0を超える光学密度を有する不透明第1層を形成し、その1面に白色第2層を施すことを含むポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、2.0を超える光学密度を有する不透明第1層と、白色第2層とを備えたポリエステルフィルムのインスタント写真技術への使用を提供する。
【0011】
本発明はさらに、2.0を超える光学密度を有する不透明第1層と、白色第2層とを備えたポリエステルフィルムを含む写真用シートを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明におけるポリエステルフィルムの不透明第1層および/または白色第2層は、合成線状ポリエステルなどのどのようなフィルム形成性のポリエステル材料から作られてもよく、合成線状ポリエステルは少なくとも1種類のジカルボン酸類、あるいはそれらの低級アルキル(炭素数6個まで)ジエステル類、例えばテレフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,2−ビス−(p−カルボキシ)フェノキシエタン(任意選択でピバル酸などのモノカルボン酸)を、少なくとも1種類のグリコール類、具体的には脂肪族グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールと縮合することにより得ることができる。好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートフィルムである。特に好ましくは、例えばGB−A−838,708に記載されているように、通常70〜125℃の温度範囲で互いに直角な2方向に逐次延伸することによって二軸配向し、好ましくは、通常150〜250℃の温度範囲でヒートセットしたポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、ポリエステルフィルムの不透明第1層と白色第2層は同一のポリエステルを含み、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート、特にポリエチレンテレフタレートである。また、好ましくは第1層および/または第2層は、結晶性および/または半結晶性ポリエステル材料を含有する。
【0014】
本発明によるポリエステルフィルムの不透明第1層および/または白色第2層は一軸配向でもよいが、好ましくは機械的、物理的特性において満足しうる組み合わせを得るためには、フィルムの平面で2つの互いに直角な方向に延伸することによって二軸配向する。フィルムを形成するには当業界ですでに周知の配向ポリエステルフィルムの製造方法、例えばチューブラ法あるいはフラットフィルム法を用いてもよい。
【0015】
チューブラ法は、熱可塑性ポリエステルチューブを押し出し、続いて冷却し、再加熱し、次いで内部ガス圧で膨張させて横方向の配向を生じさせ、かつ一定の比率で延伸して長手方向の配向を生じさせることにより同時二軸配向が行われる。
【0016】
フラットフィルム法は、好ましくはフィルム形成性ポリエステルをスロットダイを通して押し出し、チルドキャストドラム上で急速冷却することにより、ポリエステルを非晶状態で確実に冷却する。次いで冷却した押出し物を少なくとも一方向にポリエステルのガラス転移温度を超える温度で延伸することにより配向が行われる。連続配向は、偏平な冷却した押出し物をまず一方向、通常は長手方向すなわちフィルム延伸機を通って前方に延伸し、次いで横方向に延伸することにより行われる。押出し物を前方に向かって延伸するには、1組の回転ロール上、または2対のニップロール間で延伸し、次いでステンタ装置を用いて横方向に延伸するのが便利である。延伸はフィルム形成性ポリエステルの性質によって決まる限度まで行われ、例えばポリエチレンテレフタレートは通常、配向フィルムの寸法が延伸方向またはそれぞれの方向において原寸法に対して2〜5倍、さらに好ましくは2.5〜4.5倍になるように延伸する。
【0017】
延伸フィルムは好ましくはフィルム形成性ポリエステルのガラス転移温度を超える、しかしその融点より低い温度で寸法を拘束してヒートセットを行うことによりポリエステルを結晶化し、寸法安定化する。
【0018】
本発明によるポリエステルフィルムを形成するには従来の技法、例えば予備成形した不透明第1層と予備成形した白色第2層を積層することにより、または第1層を予備成形した第2層上に注型することにより、またはその逆の方法により行ってもよい。しかし本発明によるコンポジットポリエステルを形成するには共押出成形、好ましくは2層(第1/第2)の共押出しにより行うのが便利であり、マルチオリフィスダイの独立したオリフィスを通して個々のフィルム形成層を同時に共押出しし、その後にまだ溶融している層を一体化するか、あるいは好ましくはそれぞれのポリエステルの溶融流をまずダイマニフォールドに通じるチャンネル中で合流させ、その後相互に混ざることなく流線形の流れ条件のもとでダイオリフィスから共押出しし、コンポジットポリエステルフィルムを製造するかいずれかにより行う。
【0019】
第1層は不透明であり、それは本明細書記載の方法で測定した透過光学濃度(TOD、Transmission Optical Density)が2.0を超える、好ましくは2.5〜10、さらに好ましくは3.0〜7.0、さらに好ましくは3.5〜6.0、特に4.5〜5.5の範囲にあることを意味する。前述のTODの範囲は特に20μm厚の第1層に適用される。第1層はその中にカーボンブラックまたはアルミニウム粉末のような金属フィラーなどの不透明化剤の有効量を取り込むことにより不透明化するのが便利である。カーボンブラックは特に好ましい不透明化剤であり、特にファーネスタイプのカーボンブラックとして知られているものが好ましい。
【0020】
不透明第1層は不透明化剤を、第1層ポリエステル重量を基準に好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは1〜7重量%、さらに好ましくは2〜6重量%、特に3〜5重量%含有する。不透明化剤、好ましくはカーボンブラックの平均粒径は0.005〜10μm、さらに好ましくは0.01〜1.5μm、さらに好ましくは0.015〜0.1μm、特に0.02〜0.05μmの範囲にあるものが適している。
【0021】
不透明化剤は好ましくは本明細書に記載の方法で測定したBET表面積が20〜300mgm−1、さらに好ましくは50〜200mgm−1、特に110〜160mgm−1の範囲にある。
【0022】
不透明第1層は灰色あるいは好ましくは黒色が適しており、さらに好ましくはその外面のCIE実験室カラー等位(CIE laboratory colour co-ordinate)のL値が10〜60、さらに好ましくは15〜50、さらに好ましくは20〜40、特に25〜35の範囲を示す。
【0023】
本発明の一実施形態では、これに加えて不透明第1層は下記に述べる少なくとも1種類のホワイトニング剤を含む。不透明第1層は白色外層中に存在するものと同じホワイトニング剤を含むことが好ましく、すなわち不透明第1層と白色第2層は好ましくは少なくとも1種類の共通のホワイトニング剤、好ましくは硫酸バリウムを含む。第1層は、好ましくは第2層に存在するものと同一のホワイトニング剤のその重量に対して5〜95重量%、さらに好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%、特に25〜35重量%の範囲のホワイトニング剤、好ましくは硫酸バリウムを含有する。
【0024】
不透明第1層の厚さは好ましくは5〜150μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは12〜50μm、特に14〜25μmの範囲である。
【0025】
白色第2層は好ましくは透過光学濃度(TOD)が0.4〜1.75、より好ましくは0.6〜1.3、さらに好ましくは0.7〜1.1、特に0.8〜1.0の範囲を示す。前述のTODの範囲は特に60μm厚の第2層に適用される。第2層はその中に有効量のホワイトニング剤を取り込むことによって白色にするのが便利である。適切なホワイトニング剤には粒状の無機フィラー、不相溶樹脂フィラー、あるいはそれら2種類以上のフィラーの混合物がある。
【0026】
白色第2層を作製するために適切な粒状の無機フィラーには一般的な無機顔料およびフィラー、特にアルミナ、シリカ、チタニアなどの金属および半金属の酸化物、カルシウムおよびバリウムの炭酸塩や硫酸塩などのアルカリ金属塩がある。適切な無機フィラーは、均質であり、二酸化チタン単独または硫酸バリウム単独など単独のフィラー材料または化合物からなる。別法では少なくともフィラーの一部が不均質であり、添加される変性成分を主要フィラー材料と混ぜ合わせる。例えば主要フィラー粒子を、顔料、セッケン、界面活性剤、カップリング剤、またはフィラーと第2層ポリマーの相溶性を増し、あるいは変えることのできる他の表面変性剤で処理してもよい。
【0027】
適切な粒状の無機フィラーは非ボイドタイプまたはボイドタイプのいずれでもよく、すなわちこのボイドとは少なくとも一部に不連続の独立セルを備えたセル構造を含むことを意味している。硫酸バリウムは結果としてボイドが形成されるフィラーの例である。二酸化チタンはボイドタイプあるいは非ボイドタイプのいずれでもよく、採用される個々の二酸化チタンのタイプによる。本発明の好ましい実施形態では、白色第2層は二酸化チタンまたは硫酸バリウム、および特にその混合物を含む。
【0028】
白色第2層に取り込まれる無機フィラーの量は、望ましくは第2層ポリエステル重量を基準にして5重量%以上で60重量%を超えない。特に白色度の満足しうるレベルは、フィラー濃度が第2層ポリエステル重量を基準にして好ましくは10〜55重量%、さらに好ましくは15〜50重量%、さらに好ましくは20〜45重量%、特に25〜35重量%の範囲である。本発明の特に好ましい実施形態では、第2層は二酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子の混合物を含み、好ましくはその重量比が3〜0.3:1、さらに好ましくは2〜0.5:1、さらに好ましくは1.5〜0.7:1、特に1.1〜0.9:1で加える。
【0029】
二酸化チタンフィラー粒子はアナタース型またはルチル型のいずれの結晶形態であってもよい。二酸化チタン粒子は好ましくは大部分がアナタース型であり、さらに好ましくはアナタース型を少なくとも60重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%、特におよそ100重量%含む。粒子は塩化物法、好ましくは硫酸塩法など標準的な手順により調製することができる。
【0030】
本発明の1つの実施形態では、二酸化チタン粒子を好ましくはアルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、またはその混合物などの無機酸化物でコートする。これに加えて好ましくはコーティング材は脂肪酸、好ましくはアルカノール類などの有機化合物を含み、このアルカノール類には8〜30個、好ましくは12〜24個の炭素原子をもつものが適している。ポリジメチルシロキサンまたはポリメチルヒドロゲンシロキサンなどのポリジオルガノシロキサン類およびポリオルガノヒドロゲンシロキサン類は適切な有機化合物である。
【0031】
コーティング材を二酸化チタン粒子に施すには水懸濁液中で行うのが適当である。無機酸化物は、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ケイ酸またはケイ酸ナトリウムなどの水溶性化合物から水懸濁液中に沈澱する。
【0032】
個々の、または主な二酸化チタン粒子は、電子顕微鏡による測定で0.05〜0.4μm、好ましくは0.1〜0.3μm、さらに好ましくは0.2〜0.25μmの範囲の平均結晶サイズを有するものが適している。本発明の好ましい実施形態では、主な二酸化チタン粒子は凝集して多数の酸化チタン粒子を含んだクラスタまたは凝集塊を形成する。主な二酸化チタン粒子の凝集過程は、二酸化チタンの実際の合成中、および/またはポリエステルの製造工程中、および/またはポリエステルフィルムの製造工程中で起こってもよい。
【0033】
無機フィラーには凝集した二酸化チタンおよび/または硫酸バリウムが適しており、好ましくは体積分布メジアン粒径(全粒子の体積の50%に相当する相当球径であり、体積%と粒子径の関係を表す累積分布曲線から読みとられ、「D(v,0.5)」値として示すことが多い)が0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.2〜1.2μm、さらに好ましくは0.4〜1.0μm、特に0.6〜0.9μmの範囲にある。
【0034】
本発明による白色第2層中に取り込まれるフィラー粒子は、実際には1つでも粒度が20μmを超えないことが好ましい。この粒度を超す粒子は当業界では周知のふるい工程で取り除いてもよい。しかし、ふるい操作は所定の粒度を超す全粒子を取り除くには全体としては常に成功するとは限らない。従って実際には粒子数の99.9%の粒度は20μmを超えない。最も好ましくは粒子の99.9%の粒度が10μmを超えない。フィラー粒子の好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%が体積分布メジアン粒径±0.5μm、特に±0.3μmの範囲にある。
【0035】
本明細書に記載のフィラー粒子の粒度は、電子顕微鏡、クールター計数器、沈降分析、および静的または動的光散乱により測定される。好ましくはレーザ光回折に基づく手法による。メジアン粒度は、所定の粒度より小さい粒子の体積の百分率を表す。累積分布曲線を描き、50番目の百分位数を測定することにより決定される。フィラー粒子の体積分布メジアン粒径は、高せん断型(例えばChemcoll)ミキサを用いてフィラーをエチレングリコール中に分散させたのちにMalvern Instruments Mastersizer MS15 Particle Sizerを用いて測定するのが適切である。
【0036】
「不相溶樹脂」とは白色第2層が押出し加工の間に遭遇する最も高い温度で溶融しないか、事実上ポリエステルと混和しない樹脂を意味する。このようなポリエステルフィルム中に取り込まれる樹脂には、ポリアミド類とオレフィンポリマー類、具体的には分子中に6個までの炭素原子を含むモノ−α−オレフィンのホモまたはコポリマーがある。特にポリエチレンテレフタレートの第2層に取り込むのに好ましい材料には低密度および高密度ホモポリマーなどのオレフィンポリマー、具体的にはポリエチレン、ポプロピレン、またはポリ−4−メチルペンテン−1とオレフィンのコポリマー、具体的にはエチレン−プロピレンコポリマー、あるいはそれらの混合物がある。ランダムブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを用いてもよい。
【0037】
白色第2層中の前記のオレフィンポリマーの分散性は所望する特性を得るには不十分かも知れない。そのため好ましくは分散剤がオレフィンポリマーの柔軟剤とともに加えられる。便利な分散剤にはカルボキシル化ポリオレフィン、具体的にはカルボキシル化ポリエチレンが含まれる。適切なカルボキシル化ポリオレフィンは、ブルックフィールド粘度(140℃)が150〜100000cps(好ましくは150〜50000cps)の範囲にあり、酸価が5〜200mgKOH/g(好ましくは5〜50mgKOH/g)の範囲にあるものが含まれる。酸価は1gのポリマーを中和するのに必要なKOHのmg数である。
【0038】
分散剤の量は、必要とされる程度の分散性が得られるように選定されるが、オレフィンポリマーの重量を基準にして0.05〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲が便利である。
【0039】
白色第2層中の不相溶樹脂フィラーの量は、好ましくは第2層ポリエステルの重量を基準にして2〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは4〜15重量%、特に5〜10重量%である。
【0040】
本発明の1つの実施形態では、白色第2層には光学光沢剤が含まれる。光学光沢剤はポリマーまたはポリマーフィルムのいずれかの製造段階で含有させてもよい。好ましくは光学光沢剤はグリコールに加えるか、あるいは別の方法ではその後ポリエステルフィルムの形成前のポリエステルに、例えば押出し中に射出することによって添加する。光学光沢剤は、好ましくは第2層ポリエステルの重量に対して50〜1500ppm、さらに好ましくは100〜1000ppm、さらに好ましくは200〜600ppm、特に250〜350ppmの範囲の量を加える。適切な光学光沢剤には、商品名「Uvitex」MES、「Uvitex」OB、「Leucopur」EGM、「Eastobrite」OB−1で市販されているものが含まれる。
【0041】
不透明第1層および/または白色第2層の組成物の成分は従来の方法で混合してもよい。例えば単量体反応物を混合することによってポリエステルを誘導し、あるいは各成分をタンブルまたはドライブレンドにより、または押出機中で化合させることによりポリエステルと混合してもよく、続いて冷却し、通常はグラニュールまたはチップに細断する。別の方法でマスターバッチの技術を用いてもよい。
【0042】
本発明によるポリエステルフィルムは、好ましくは2.5%を超る、さらに好ましくは50%を超えない変形指数(DI、Deformation Index)を示す。ポリエステルフィルムは好ましくは3.5〜20%、さらに好ましくは4.0〜10%、特に5〜7%の範囲のDIを示す。DIは本明細書に記載の試験手順により、フィルムに200℃の温度でフィルムシートの平面に垂直に2Mpaの圧力を掛けたときに観察される、フィルムの初めの厚さに対する百分率として表される。前述の好ましい範囲のDIを有するポリエステルフィルムは特にエンボシングに適している。
【0043】
白色第2層の外面は、好ましくはDIN67530に基づきDr Lange Reflectometer REFO3を用いて測定した85°光沢度が40〜70%、さらに好ましくは45〜65%、さらに好ましくは50〜60%、特に52〜57%を示す。
【0044】
白色第2層の外面は、好ましくは0.9×1.2mmの視野をもつWyko
Optical Profilerを用いて測定した自乗平均表面粗さ(Rq)が100〜1000nm、さらに好ましくは120〜700nm、さらに好ましくは130〜600nm、特に150〜500nmを示す。
【0045】
白色第2層の外面は、好ましくは本明細書に記載の方法で測定した次のL、a、bに対するCIE実験室カラー等位値を有する。L値は85を超える、好ましくは90〜100、さらに好ましくは93〜99、特に95〜98の範囲にあるものが適している。a値は好ましくは−2〜3、さらに好ましくは−1〜2、さらに好ましくは0〜1.5、特に0.3〜0.9である。b値は好ましくは−10〜0、さらに好ましくは−10〜−3、さらに好ましくは−9〜−5、特に−8〜−7である。
【0046】
カラー等位値は、ブルーおよび/またはマゼンタ染料などの適切な染料(の幾つか)を白色第2層のフィルムを形成するポリエステルに加えることによって変性してもよい。例えばブルー染料は、好ましくは第2層のポリエステル重量に対して10〜1000ppm、好ましくは30〜500ppm、さらに好ましくは50〜200ppm、特に100〜150ppmの範囲の濃度で用いてもよい。別の方法ではこれに加えてマゼンタ染料を、好ましくは第2層のポリエステル重量に対して2〜200ppm、さらに好ましくは4〜100ppm、さらに好ましくは7〜50ppm、特に10〜15ppmの範囲の濃度で用いる。
【0047】
白色第2層の外面は、好ましくは本明細書に記載の方法で測定した白色度が80〜120単位、さらに好ましくは85〜110単位、さらに好ましくは90〜105単位、特に95〜100単位の範囲にある。
【0048】
ポリエステルフィルムは、透過光学濃度(TOD)が好ましくは3.0〜10、さらに好ましくは3.5〜8.0、さらに好ましくは4.0〜7.0、特に5.0〜6.0の範囲にある。
【0049】
白色第2層の厚さは、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは40〜100μm、特に50〜70μmの範囲にある。
【0050】
本発明によるポリエステルフィルムの全体の厚さは、好ましくは15〜350μm、さらに好ましくは30〜250μm、さらに好ましくは50〜100μm、特に70〜90μmの範囲にある。不透明第1層の厚さは、好ましくはポリエステルフィルムの厚さの5〜60%、さらに好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜30%、特に15〜25%の範囲にある。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明によるポリエステルフィルムの少なくとも一方の外面、好ましくは白色第2層の表面は被着剤あるいはプライマ層でコートされ、続いて施される層の接着を改良する。適切なプライマ層の材料にはアクリル樹脂類、共重合ポリエステル類、スチレンコポリマー類、アクリルコポリマー類、官能化ポリオレフィン類、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、およびニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース材料などのフィルム形成性ポリマー樹脂がある。前述のポリマー樹脂のブレンドあるいは混合物を用いてもよい。
【0052】
特に好ましいプライマ層は、スチレンおよび/またはスチレン誘導体を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーを含有する。スチレンコポリマーは、スチレンおよび/またはスチレン誘導体と共重合可能な他の少なくとも1種類の不飽和のエチレン結合をもつコモノマーを含有する。プライマ層のポリマーの製造に適したスチレン誘導体には、好ましくはクロロスチレン、ヒドロキシスチレン、および1〜10個の炭素原子を含むアルキル基を含むアルキル化スチレン類がある。一般にスチレンモノマーおよび/またはスチレン誘導体モノマーのコポリマーに対するモル比は好ましくは25モル%を超えるべきである。
【0053】
満足しうる特性の組み合わせは、スチレンおよび/またはスチレン誘導体が60〜90モル%の範囲にある好ましい比率で存在し、ただ2種類のモノマーから誘導されるコポリマーにより得られることが分かっている。満足し得る特性はスチレンおよび/またはスチレン誘導体を35〜90モル%の範囲で含むターポリマーにより得られる。
【0054】
コポリマーに特別な特性を与える場合にはスチレンから誘導されるコモノマーが用いられる。例えばスルホン化スチレン誘導体は帯電防止特性を与える。このようなコポリマーは上記において特定した有効範囲の他の非スルホン化スチレンおよび/またはスチレン誘導体を含んでもよい。
【0055】
スチレンおよび/またはスチレン誘導体のコポリマーは、共重合可能な少なくとも1つの不飽和のエチレン結合をもつコモノマーを含んでもよい。適切なコモノマーは、アクリルおよびメタクリル酸類、そのエステル類、ならびにアミド類などの不飽和カルボン酸類から選択され、これらには例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、あるいは2−エチルヘキシルなどの10個までの炭素原子を含むアルキル基を備えたアルキルエステル類と、ブタジエンと、アクリロニトリルと、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルピリジン、あるいは塩化ビニルなどのビニルエステル類と、塩化ビニリデンと、マレイン酸およびその無水物と、イタコン酸およびその無水物とが含まれる。好ましいコポリマーはブタジエン、アクリル酸ブチル、および/またはイタコン酸から形成される。スチレンを少なくとも50モル%、好ましくは60モル%含むコポリマーが特に有用である。
【0056】
プライマ層は通常の添加剤、例えば、部分的に加水分解し、任意選択で塩素化フェノールを混和した酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマーなどの接着促進剤、スリップ、あるいは帯電防止剤を含んでもよい。
【0057】
プライマ層は、適切な溶剤の分散液または溶液として通常の方法で塗布することができる。必要とすればプライマ層の分散液または溶液は、架橋剤を含んでもよく、架橋剤はプライマ層のポリマーを架橋する機能をもち、それによりポリエステルフィルム面との接着を改良する。さらに架橋剤は溶剤の浸入に対する保護のために内部架橋が可能なものであることが好ましい。適切な架橋成分には、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのアミン誘導体、および/またはアミン、例えばメラミン、ジアジン、ウレア、環状エチレンウレア、環状プロピレンウレア、チオウレア、環状エチレンチオウレア、アルキルメラミン類、アリルメラミン類、ベンゾグアナミン類、グアナミン類、アルキルグアナミン類、またはアリルグアナミン類と、アルデヒド、例えばホルムアルデヒドとの縮合物がある。有用な縮合物にはメラミンとホルムアルデヒドの縮合物がある。縮合物は任意選択でアルコキシ化してもよい。架橋剤はプライマ層の組成物の重量を基準にして25重量%までの量を用いてもよい。
【0058】
また好ましくは架橋を容易にするために触媒が用いられる。メラミンホルムアルデヒド架橋の好ましい触媒には塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素ジアンモニウム、パラトルエンスルホン酸、塩基と反応させて安定化したマレイン酸、パラトルエンスルホン酸モルホリニウムがある。
【0059】
プライマ層のコーティング媒体は、すでに配向したポリエステルフィルムに施してもよい。しかし、プライマ層のコーティング媒体を施す工程は、好ましくは延伸操作の前または延伸操作中に行う。
【0060】
具体的にはプライマ層のコーティング媒体は、好ましくは二軸延伸操作の2段階(長手方向と横方向)の間で施す。このような延伸とコーティングの順序はコートされるポリエステルフィルムの製造にとっては特に好ましく、一連の回転ロール上で好ましくはまず長手方向に延伸し、プライマ層をコートし、次いでステンタオーブン中で横方向に延伸し、好ましくは続いてヒートセットを行う。
【0061】
プライマ組成物を施す処理は、浸漬コーティング、ビーズコーティング、リバースローラコーティング、あるいはスロットコーティングなどの周知のいずれのコーティング法でもよい。プライマ層はこれらの操作において好ましくは水分散液として施される。
【0062】
プライマ層の表面の、例えば火炎処理、イオン衝撃、電子線処理、あるいは好ましくはコロナ放電による変性はその後に施される層の接着を改良するかもしれない。しかし満足な接着を得るための条件としては必須のもではない。
【0063】
好ましいコロナ放電処理は、好ましくは1〜100kvの電圧、1〜20kwのパワー出力をもつ高周波、高電圧の発生器を備えた通常の装置を用いて空気中で大気圧のもとで行う。放電は、フィルムを好ましくは1分当たり1.0〜500mの線速度をもつ放電ステーションの誘電性の支持ローラ上を通過させることによって行うのが便利である。放電電極は、移動するフィルム表面から0.1〜10.0mmの位置におく。ホルムアルデヒド/「セロソルブ」の混合物を用いたUnion Carbide標準ぬれ試験法(WC81−3/1964)により測定したとき、コロナ放電処理されたプライマ層は処理後のぬれ試験において56dynescm−1を超える値を示すことが好ましく、これに対し未処理層が示す値は一般に34〜38dynescm−1の範囲にある。この試験においては、ある範囲の表面張力をもつ幾つかの液状混合物を、「セロソルブ」(2−エトキシエタノール)中のホルムアミドの種々の濃縮物を用いて作製し、試験のために表面に刷毛塗りする。ぬれ試験の値は、その表面に施したのち2秒以内に表面で収縮して小滴とならない最大表面張力を有する液状混合物の表面張力である。
【0064】
プライマ層のコーティング重量が0.1〜10mgdm−2の範囲の場合に満足しうる接着が得られる。好ましいコーティング重量は0.5〜3.0mgdm−2である。
【0065】
ポリエステルフィルムの表面上にプライマ層を貼付する前に、望むならばその露出面を化学的または物理的に表面の変性処理を行って、該表面と、続いて施される補助層ポリマーとの間の結合を改良してもよい。処理は好ましくは簡便さと有効性から言ってコロナ放電で得られた高電圧の電気的ストレスをプライマフィルムの露出面に与えることによって行う。別の方法では、ポリエステルフィルム表面を当業界では周知の薬品で前処理し、表面に溶媒または膨潤作用を与えてもよい。ポリエステルフィルムの処理に特に適したこのような薬品の例には、共通の有機溶剤に溶かしたハロゲン化フェノール、例えばアセトンまたはメタノールに溶かしたp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−または2,4,6−トリクロロフェノール、あるいは4−クロロレゾルシノールがある。
【0066】
本発明によるポリエステルフィルムの層は、望むならば通常ポリマーフィルムの製造に用いられているどのような添加剤を含んでもよい。すなわち染料、顔料、ボイド剤、膨潤剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、スリップ剤、光沢改良剤、分解促進剤、紫外線安定剤、粘度調整剤、分散安定剤などの薬品が適切に混ぜ合わされる。
【0067】
本明細書に記載のポリエステルフィルムは、インスタント写真技術用シートを構成するシートとしての用途に適している。Kirk-Othmer著The Encyclopaedia of Chemical Technology, Fourth Edition (1993), Vol.9, P.1003〜1048にはインスタント写真技術の基本原理が記載されており、剥離−分離および一体型のインスタント写真シートについて種々のタイプの構造の例が示されている。本発明によるポリエステルフィルムは、前記参考資料に記載されているいずれのシート構造を構成シートとして用いてもよい。具体的にはポリエステルフィルムは剥離−分離インスタント写真技術の受像シートの基材として用いることができる。受像シートは白色第2層の表面あるいは白色第2層上のプライマ層の表面に、直接的または間接的に接着している受像層を包含している。一般に受像層は、ポリビニルアルコールなどの適切なポリマー材料と、吸収した画像の染料を固定する働きをする媒染剤を含む。媒染剤にはポリ(4−ビニルピリジン)が適している。受像シートは、受像層と本発明によるポリマーフィルムの間に水バリア層、酸ポリマー層、タイミング層、その他の少なくとも1層の付加層を包含してもよい。これらの付加層の組成と機能については当業界ではよく知られている。
【0068】
本発明によるポリエステルフィルムはまた、剥離−分離インスタント写真技術用感光シートまたは伝統的な写真プリント用感光シートなど、感光性の層を有する写真用シートの基材として用いることができる。感光性の層は通常、ゼラチン状のハロゲン化銀の乳濁液の層である。これらの感光性の層の組成は当業界ではよく知られている。
【0069】
本明細書においては、ポリエステルフィルムの幾つかの特性を測定するために次の試験法が用いられる。すなわち、
(i)フィルムの透過光学濃度(TOD)は、Macbeth Densitometer TR927 (Dent and Woods Ltd, Basingstoke, UKから入手)を用いて透過モードで測定した。
(ii)白色第2層の外面のカラー等位値L,a、b(CIE(1976))および白色度は、ASTMD313記載の原理に基づきColorgard System2000、Model/45(Pacific Scientific製)を用いて測定した。
(iii)変形指数(DI)は、0.785mmの表面積をもつ試験プローブを備えた熱機械分析器Perkin Elmer typeTMA7を用いて測定した。ポリエステルフィルム試料はTMA7の炉中の試料ホルダに挿入され、選択した温度200℃で平衡に達するまで置く。プローブに荷重を掛け、熱したフィルム試料の平面に垂直に0.125Mpaの圧力を与えた。変形がゼロであることを確認した。次いでプローブの荷重を増し、それにより2Mpaの圧力を試料に与えた。増加した荷重のもとで観察されたプローブの変位量を記録し、変形していない加熱した試料(0.125Mpaの圧力のもとで)の厚さに対する百分率として表した。前述の百分率が試験されたフィルムのDIである。この手順を同一フィルムの異なる試料について4回繰り返し、5個の測定値の平均値を計算した。
【0070】
さらに本発明を次の実施例において説明する。
【実施例1】
【0071】
(i)23nmの平均粒径および150mgm−1のBET表面積(Micromeritics ASAP2400(Micromeritics Limited, Dunstable, UK)を用いて多点チッ素吸着により測定した)を有するファーネスタイプのカーボンブラックを、ポリエチレンテレフタレートの重量に対して4重量%含むポリエチレンテレフタレートの第1層ポリマーと、(ii)0.7μmの体積分布メジアン粒径をもつアナタース型二酸化チタンをポリエチレンテレフタレートの重量に対して13重量%、0.6μmの体積分布メジアン粒径をもつ硫酸バリウムをポリエチレンテレフタレートの重量に対して13重量%、ブルー染料の100ppm、マゼンタ染料の10ppmを含むポリエチレンテレフタレートの第2層ポリマーとの別々の流れをそれぞれの押出機から、単一のチャンネルをもつ共押出しアセンブリに供給した。ポリマー層をフィルム−フォーミングダイを通して水冷の回転冷却ドラム上に押し出し、非晶質の注型コンポジット押出し物を得た。注型押出し物を約80℃の温度に加熱し、次いで長手方向に前方延伸比2.9:1で延伸した。フィルムをステンタオーブン中に送り、そこで乾燥し、横方向に始めの寸法のおよそ3.4倍に延伸した。二軸延伸されたポリエステルフィルムを約220℃の温度でヒートセットした。最終フィルム厚は80μmであった。不透明第1層の厚さは16μm、白色第2層の厚さは64μmであった。
【0072】
ポリエステルフィルムは本明細書に記載の試験手順に供せられ、次の特性を示した。

(i)透過光学濃度(TOD)=5.4
(ii)L=95.36
=1.33
=−5.65
(iii)変形指数(DI)=5.7

このポリエステルフィルムはインスタント写真技術の剥離−分離システム用の受像フィルム基材に適している。
【実施例2】
【0073】
実施例1において、不透明第1層が8重量%のカーボンブラックを含み、白色第2層が60ppmのブルー染料と5ppmのマゼンタ染料を含むが、二酸化チタンは含まないという点を除いては実施例1の手順が繰り返された。最終フィルム厚は100μmであった。不透明第1層は20μm、また白色第2層は80μmであった。
【0074】
ポリエステルフィルムは本明細書に記載の試験手順に供せられ、次の特性を示した。

(i)透過光学濃度(TOD)=6.0
(ii)L=86.8
=0.18
=−6.14

このポリエステルフィルムもまたインスタント写真技術の剥離−分離システム用の受像フィルム基材に適している。
【実施例3】
【0075】
実施例1において、不透明第1層が、これに加えて5.4重量%の硫酸バリウムを含むという点を除いては実施例1の手順が繰り返された。
【0076】
ポリエステルフィルムは本明細書に記載の試験手順に供せられ、次の特性を示した。

(i)透過光学濃度(TOD)=5.4
(ii)L=95.4
=1.33
=−5.65

このポリエステルフィルムもまたインスタント写真技術の剥離−分離システム用の受像フィルム基材に適している。
【実施例4】
【0077】
これは本発明によらない比較例である。硫酸バリウムをポリエチレンテレフタレートの重量に対して18重量%含むポリエチレンテレフタレートのモノフィルムを、実施例1に記載の一般的なフィルム作製手順に従って作製した。最終フィルム厚は100μmであった。
【0078】
ポリエステルフィルムは本明細書に記載の試験手順に供せられ、次の特性を示した。

(i)透過光学濃度(TOD)=1.05
(ii)L=96.9
=0.28
=−1.08

このポリエステルフィルムは光学濃度が不十分であり、インスタント写真技術の剥離−分離システム用の受像フィルムの基材には適さない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本発明を次の図面により説明する。すなわち、
【図1】図1は、不透明第1層と白色第2層を有するポリエステルフィルムの尺度のない概略断面図である。図面の図1において、ポリエステルフィルムは、第1層の第1面(3)に接合した白色層2を有する不透明層(1)を備えている。
【図2】図2は、不透明第1層と反対側の白色第2層の表面にプライマ層を加えたフィルムを示す、図1と同様の概略図である。加えて図2のフィルムは第2層(2)の第2面(5)にプライマ層(4)を備えている。
【図3】図3は、プライマ層の表面に受像層を加えたフィルムを示す、図2と同様の概略図である。加えて図3のフィルムは、プライマ層(4)の表面(7)に受像層(6)を備えている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と第2の表面を備え2.0を超える光学濃度の不透明第1層と、白色第2層とを備えたポリエステルフィルムであって、
前記不透明第1層は、カーボンブラックを含む不透明化剤を有し、
前記不透明第1層は、さらに少なくとも1種のホワイトニング剤を含み、
前記白色第2層は、さらに前記不透明第1層の第1の表面上に配置され、
前記白色第2層は、前記第2層ポリエステル重量を基準にして、5〜60重量%の範囲でホワイトニング剤を含み、
前記不透明第1層の第2の表面は、前記ポリエステルフィルムの外面を構成することを特徴とするポリエステルフィルム。
【請求項2】
第1層が、不透明化剤を前記第1層ポリエステル重量に対して0.05〜10重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記不透明化剤が、20〜300mgm−1の範囲にあるBET表面積を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記ホワイトニング剤が硫酸バリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記フィルムが2.5%を超す変形指数(DI)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記フィルムが3.0〜10の範囲の光学濃度を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記不透明第1層の厚さが前記ポリエステルフィルムの全体の厚さの5〜60%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記白色第2層の厚さが20〜150μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項9】
第1の表面と第2の表面を備え2.0を超す光学濃度を有する不透明第1層を形成する工程と、前記不透明第1層の第1の表面に白色第2層を施す工程とを含み、
前記不透明第1層は、カーボンブラックを含む不透明化剤を有し、
前記不透明第1層は、さらに少なくとも1種のホワイトニング剤を含み、
前記白色第2層は、前記第2層ポリエステル重量を基準にして、5〜60重量%の範囲でホワイトニング剤を含み、
前記不透明第1層の第2の表面は、前記ポリエステルフィルムの外面を構成することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項10】
第1の表面と第2の表面を備え2.0を超す光学濃度を有する不透明第1層と、白色第2層とを備えるポリエステルフィルムを含む写真シートであって、
前記不透明第1層は、カーボンブラックを含む不透明化剤を有し、
前記不透明第1層は、さらに少なくとも1種のホワイトニング剤を含み、
前記白色第2層は、さらに前記不透明第1層の第1の表面上に配置され、
前記白色第2層は、前記第2層ポリエステル重量を基準にして、5〜60重量%の範囲でホワイトニング剤を含み、
前記不透明第1層の第2の表面は、前記ポリエステルフィルムの外面を構成することを特徴とする写真シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−61780(P2009−61780A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−238486(P2008−238486)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【分割の表示】特願平10−509476の分割
【原出願日】平成9年8月6日(1997.8.6)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】