説明

ポリエステルポリオール中のポリマー分散体

【課題】柔軟なポリウレタンフォームの製造に用いられる高分子量ポリオールの製造方法を提供する。
【解決手段】(1)一以上のオレフィン性不飽和モノマーと、(2)オレフィン性不飽和基を含有せず、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有する、一以上のポリエステルポリオールと、必要に応じて、(3)オレフィン性不飽和基を含有せず、コハク酸由来の構造単位を含有しない、一以上のポリエステルポリオールとを、フリーラジカル重合することを含む、ポリマー分散体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルポリオール中のポリマー分散体、それらの製造、およびポリウレタン、特に微孔質ポリウレタンの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固体の分散体、ポリオール中の高分子量ポリマー(すなわち、ポリマーポリオール)は、しばしば、柔軟性ポリウレタンフォームの製造に使用される。これの利点は、例えば、フォームのオープンセル性質が高められ、および硬度が高められる結果としてフォームの機械的特性が改善されることである。これに関して、引裂強度、引張応力および圧縮永久歪を挙げることができる。結果として、そうでなければ、より高い密度でのみ達成することができる特性を維持したまま、低減された密度を確立することができる。結果として、材料に関して顕著な節約がなされ、したがってコストの低減がなされる。
【0003】
ポリオール中のポリマーの分散体は、文献中に既知である。そこでは、ポリオール中のオレフィン基含有モノマーの反応によって得ることができる分散体に加えて、他のタイプの分散体、例えば、ジアミンおよびポリイソシアネートから製造されるものなども記載されている。同様に、使用されるポリオールは、大抵の場合、1000〜10,000g/モルのモル質量を有するポリエーテルポリオールであり、ポリエステルポリオールは、よりまれにしか使用されないことが明らかである。これは、対応するポリエーテルポリオールに基づく系に比べて、ポリエステルポリオール(特にポリエステルポリオールに基づく分散体)自身が比較的高粘度であることが一つの理由であり得る。それにも関わらず、ポリエステルポリオールに基づく分散体は、特にそれらから製造されたポリウレタン系が対応するポリエーテル系ポリウレタンの機械的特性よりも多くの点で良好な機械的特性を示すことから、商業的に興味深い。
【0004】
熱硬化可能な焼き付けラッカーの製造のための水系が、独国特許出願公開DE-OS 44 27 227(特許文献1)に開示されている。この文献は、水中に分散した、および系の成分の一つとしてオレフィンモノマーの重合生成物を充填した、ポリエステルポリオールの使用を記載する。
【0005】
このような系において、スチレンをビニルモノマーとして使用する場合、その他の点で類似する分散体は、アクリロニトリルと比較してスチレンの反応性が低いために、および、多くの分子種に対する連鎖移動速度が低いために、安定性が低い。結果として、ポリエステルポリオールに基づく分散体の製造のためのラジカル重合性ビニルモノマーとしてスチレンを使用することは、ポリエステル分子中へのまたはその末端へのグラフト部位の組み込みを必要とする。スチレンのみをビニルモノマーとして使用する場合、これは特に正しい。このようなグラフト部位は、可能であればラジカル鎖の生長を維持したまま、共有結合の形成を伴うラジカル的に生長するポリマー分子の連鎖移動を確保する必要がある。
【0006】
このような変性の幾つかの例は、欧州特許出願公開EP-A 0 250 351(特許文献2)に与えられている。例えば、ポリエステルポリオール鎖への無水マレイン酸の組み込みは、この機能を満足させることができる。より詳細には、欧州特許出願公開EP-A 0 250 351(特許文献2)は、少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマーを1000〜5000g/モルのモル質量を有するポリエステルポリオール中で重合する方法を開示する。通常のポリカルボン酸およびポリアルコールの構造単位に加えて、ポリエステルポリオールは、オレフィン性構成成分、特に無水マレイン酸構造単位も含有する。
【特許文献1】独国特許出願公開DE-OS 44 27 227
【特許文献2】欧州特許出願公開EP-A 0 250 351
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ポリエステル鎖のセグメントの自由運動を低減する、このような不飽和ポリカルボン酸、または無水物の組み込みは、使用されるポリエステルポリオールまたはポリエステルポリオール混合物の粘度の上昇に関連する欠点を有する。また、ポリエステル鎖へのマレイン酸の組み込みの結果としての極性エステルカルボニル官能基の濃度の上昇は、同様の粘度上昇効果を有する。粘度の上昇は、それ自体予め比較的高い粘性であるポリエステルポリオールの有用性をさらに制限する。
【0008】
これらの欠点に加えて、工業的実施において、不飽和構造単位で変性されたポリエステルポリオールは、多くの場合、粗く分けられた分散体を生じさせることが分かった。実際、これらの場合は大抵、分散体は、肉眼で見える粒子を含有し、しばしば、ろ過が困難になる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、改善されたポリエステル系ポリマーポリオールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今日、ポリエステルポリオールの構成成分として、コハク酸から構成されるポリエステル(すなわち、ポリスクシネートポリオール)を少量使用することで、改善されたポリエステルポリオール分散体が導かれることを見出した。本発明のさらなる変形において、ポリイソシアネートと、および、必要に応じてポリエーテルポリオールと共に予め押し出されてOH末端化プレポリマーを形成する、少量のポリエステルポリオールは、有利に併用される。
【0011】
したがって、本発明は、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有するポリエステルポリオール(すなわち、「ポリスクシネートポリオール」)を、少なくとも一つ含んでなるポリマー分散体に関する。
【0012】
また、本発明は、ポリマー分散体の製造方法を提供する。この方法は、(1)一以上のオレフィン性不飽和モノマーと、(2)オレフィン性不飽和基を含有せず、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有する、一以上のポリエステルポリオールと、必要に応じて、(3)オレフィン性不飽和基を含有せず、コハク酸由来の構造単位を含有しない、一以上のさらなるポリエステルポリオールとをフリーラジカル重合することを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリマー分散体を使用することで、ポリマー分散体を使用せずに製造されたポリウレタンと比較して、同じ密度を有すると同時に、より大きな硬度を有するポリウレタンを得ることができる。また、硬度ならびに密度を一定に保つことが所望される場合、本発明のポリマー分散体を使用すれば、ポリイソシアネートの量を著しく低減させて用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で使用されるベースポリエステルポリオールは、オレフィン性構成成分を含有しない成分から製造される。ベースポリエステルポリオールは、ジオールと、ジカルボン酸またはそれらの無水物あるいは低分子量エステルまたは半エステル(好適には一官能性アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールおよび2-ブタノール)とのエステル)とのヒドロキシル末端基含有重縮合生成物である。
【0015】
ベースポリエステルポリオールの製造に適当なジオールの例は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどである。また、適当なものは、250〜4,500g/モルの数平均モル質量を有するポリエーテルポリオールであり、特には1,2-プロピレンオキシド由来の単位を主に含有するものである。また、対応する方法において、ジオールとして、ブタンジオールのエーテルオリゴマー、例えば、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、または、240〜3,000g/モルの数平均モル質量を有する対応するジオール(これは、テトラヒドロフランの開環重合によって得ることができる)を使用することもできる。同様に、1,6-ヘキサンジオールの対応する化合物、すなわち、ジ-およびトリ-ヘキシレングリコール、またはオリゴマー混合物(これは、1,6-ヘキサンジオールの共沸エーテル化によって得ることができる)も適当である。
【0016】
さらに、約5重量%までのより高い官能価を有するポリオールも併用することができる。このようなより高い官能価のポリオールとしては、例えば、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトール、ならびに、それらから出発した250〜4,500g/モルの数平均モル質量を有するポリプロピレンオキシドポリオールおよびポリエチレンオキシドポリオールが挙げられる。
【0017】
オレフィン基を含有しないジカルボン酸として、脂肪族および/または芳香族化合物を、個々にまたは混合物の状態で使用することができる。その例としては:グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。さらに、それらの無水物、また、低分子量(特に単官能性)アルコールとのそれらのエステルまたは半エステルを使用することもできる。
【0018】
また、類似の態様で、環式ヒドロキシルカルボン酸のエステル、好適にはε-カプロラクトンから製造され得るものも使用することができる。
【0019】
また、対応する態様で、炭酸のポリエステル、すなわち、ポリカーボネートポリオールも使用または併用することができる。これらのポリカーボネートポリオールは、ジメチルカーボネートまたはジフェニルカーボネートのジオールおよびトリオールによるエステル交換によって、ならびに、200〜1,000g/モルの数平均モル質量を有するヒドロキシル末端オリゴエステルおよびオリゴエーテルジオールによるエステル交換によって製造することができる。
【0020】
本発明による使用に適当なポリエステルポリオールは、1.8〜3、好適には1.85〜2.7、最も好適には1.9〜2.5の平均ヒドロキシル官能価を有し、および1,000〜5,000g/モル、好適には1,300〜4,800g/モル、最も好適には1,600〜4,500g/モルの数平均モル質量を有する。
【0021】
複数のポリエステルポリオールが使用される場合、上記段落に挙げられたモル質量の制限は、該ポリエステルポリオール混合物に関連する。また、この場合、もちろん、個々の成分の少なくとも一つの数平均分子量を、上記の制限の範囲外、例えば、450〜1,000g/モル未満の範囲にすることもできる。
【0022】
本発明に適当な、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有するポリエステルポリオール(すなわち、ポリスクシネートポリオール)は、250〜4,000g/モルの数平均分子量を有する、それらのポリオールである。好適には、カルボン酸成分として主に(すなわち、存在する全てのカルボン酸100重量%に基づいて、50重量%を超える)コハク酸を含有するポリエステルポリオールが挙げられる。特に好適には、カルボン酸由来の構造単位の80重量%より多くがコハク酸由来であるポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールは、構造成分として上記に列挙された全ての構造単位を含有することができる。本発明の好適な実施態様において、主にコハク酸由来の構造単位を含有するポリエステルポリオール(すなわち、ポリスクシネートポリオール)は、いかなるコハク酸由来の構造単位も含有しない一以上のポリエステルポリオールとの混合物で使用される。
【0023】
本発明によれば、全てのポリエステルポリオール成分中のポリスクシネートポリオールの割合は、50重量%未満、好適には30重量%未満、最も好適には10重量%未満である。エステル交換または直接エステル化のいずれかによってベースポリエステルポリオールにコハク酸を組み込む場合、組成物に関する制限は、それ相応に適用される。
【0024】
さらに、好適には、いわゆるOH末端化プレポリマーが挙げられる。これらのOH末端化プレポリマーは、モル過剰の上記ポリスクシネートポリオールを、一以上のポリイソシアネートと反応させることによって得ることができる。ヒドロキシル基に対するイソシアネート基のモル比(すなわち、固有値またはイソシアネートインデックス)は、0〜0.9、好適には0〜0.7、最も好適には0.3〜0.6である。
【0025】
OH末端化プレポリマーの製造に使用することができる適当なポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族および芳香族ポリイソシアネートの両方、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネートまたはそれらの混合物、ならびにジフェニルメタンジイソシアネート基由来のポリイソシアネート、およびアニリン-ホルムアルデヒド縮合生成物のホスゲン化により誘導された三環式および/またはより高い環式生成物などが挙げられる。これらの三環式およびより高い環式生成物は、しばしば、ポリメチレンポリ(フェニレンポリイソシアネート)またはポリマーMDI(すなわち、PMDI)と称される。また、適当なものは、ナフタレン-1,5-ジイソシアネートである。
【0026】
特に好適なポリイソシアネートは、50重量%未満の量のいわゆる二核種(すなわち、2,2'-、2,4'-および4,4'-異性体)を含有する、一連のジフェニルメタンのポリイソシアネートである。また、二核種は、しばしばモノマーMDIと称される。これらの特に好適なポリイソシアネートは、少なくとも2.2の平均官能価を有する。
【0027】
ポリスクシネートポリオールは、変性に使用される物質、すなわち、ポリスクシネートポリオールまたはそれから製造されるOH末端化プレポリマーの量が、ラジカル重合性ビニルモノマーおよび任意の溶媒を含む反応混合物全体に基づいて、0.05〜15重量%になるような量で使用される。
【0028】
適当なラジカル重合性ビニルモノマーの例としては、スチレン、α-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルビニルケトンまたはこれらの化合物の組合せが挙げられる。好適には、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびC-C30-アルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、ドデシルなど)とのメタクリル酸アルキルエステルを使用することが挙げられる。特に好適には、スチレンおよびアクリロニトリルが挙げられる。好適には、75重量%を超える、および最も好適には90重量%を超える量でスチレンを使用することが挙げられる。
【0029】
本発明によれば、概して混合物で使用される、これらのラジカル重合性ビニルモノマーの量、すなわち、完成した分散体の充填度は、2〜55重量%、好適には4〜40重量%、最も好適には5〜33重量%である。充填度は、その後の第二のベースポリエステルポリオールによる希釈によって調整することができる。
【0030】
本発明の好適な実施態様において、ベースポリエステルポリオールとしては、少なくともそれらの数平均分子量に関して異なる、二つの異なるポリエステルポリオールの組合せが使用される。より小さい分子量を有するポリエステルポリオールは、より高い分子量を有するポリエステルポリオールと変性ポリエステルポリオールの混合物中のビニルモノマーのフリーラジカル重合が完了した場合にのみ混合される。
【0031】
それ自体既知のフリーラジカル開始剤は、本発明におけるフリーラジカル重合方法を開始するのに適当である。アゾ開始剤の群からの開始剤の例としては、α,α’-アゾ-2-メチルブチロニトリル、α,α’-アゾ-2-ヘプトニトリル、1,1’-アゾ-1-シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル-α,α’-アゾ-イソブチレート、4,4’-アゾ-4-シアノペンタン酸、アゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾ-ビス-イソブチロニトリルが挙げられる。例として挙げることができるペルオキシド、ペルスルフェート、ペルボレート、およびペルカーボネートの幾つかの例としては:ジベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルヒドロペルオキシド、tert.-ブチルヒドロペルオキシド、ジ-tert.-ブチルペルオキシド、2-エチルヘキサン酸tert.-ブチルペルエステル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0032】
フリーラジカル重合は、典型的に、溶媒の存在下で行うが、溶媒なしでも行うことができる。適当な溶媒の例としては:ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。ベンゼン、キシレンおよびトルエンが好適である。
【0033】
また、本発明は、本発明の方法によって得られたポリマー分散体を提供する。得られた生成物は、高分子量ポリマーまたはコポリマー、固体または好適には室温で液体である従来のポリエステルポリオール、および相安定化に必要なさらなる変性ポリエステルポリオールを含んでなる、白色分散体である。それらは、例えば、25重量%のポリスチレンの充填度、50〜60のOH価、および15,000〜35,000mPas(25℃)および3,000〜8,000mPas(50℃)の粘度範囲を有し得る。得られたポリマーポリオールの粘度は、ポリマーポリオールを製造するために使用されたベースポリエステルポリオールの粘度に比例し、ベースポリエステルポリオールのOH価に反比例する。
【0034】
本発明にしたがって製造されたポリマーポリオールは、ポリウレタン、またはポリウレタン材料の製造、および特に微孔質ポリウレタンエラストマーの製造に適当である。このような微孔質ポリウレタンエラストマーは、靴底の製造に適当であることが知られている。また、本発明は、本発明のポリマー分散体と、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーとの反応生成物を含んでなる靴底を提供する。
【0035】
本発明のポリマー分散体を使用することで、ポリマー分散体を使用せずに製造されたポリウレタンと比較して、同じ密度を有すると同時に、より大きな硬度を有するポリウレタンを得ることができる。また、硬度ならびに密度を一定に保つことが所望される場合、本発明のポリマー分散体を使用すれば、ポリイソシアネートの量を著しく低減させて用いることができる。
【0036】
以下の実施例は、本発明の方法をさらに詳細に例示する。上記のように開示された本発明は、これらの実施例によって精神または範囲のいずれも限定されるものではない。当業者は、以下の手順の条件の既知の変形を使用することができることを容易に理解する。他に示さない限り、全ての温度は、摂氏温度であり、全てのパーセンテージは、重量%である。
【実施例】
【0037】
A.) ベースポリエステルポリオール
B.) 変性ポリエステルポリオールの製造
C.) 本発明の分散体の製造
D.) 比較例
E.) 製造例
【0038】
A.) ベースポリエステルポリオールA.1〜A.7
ベースポリエステルポリオールA.1〜A.7を製造し、実施例に使用した。これらのベースポリエステルポリオールを、以下のように製造した。
【0039】
A.1. ポリエーテルエステルポリオール
アジピン酸と、エチレングリコールと、ブタンジオールと、ジエチレングリコールと、プロピレンオキシド含量約70%およびエチレンオキシド含量約30%を有し、OH価28mgKOH/gを有する二官能性ポリエーテルポリオール(Desmophen(登録商標) L 2830、Bayer AG)とを、重量比36.53:5.19:9.53:8.67:28.97で、水を除去しながら、ゆっくりと200℃に加熱した。水の形成が終了したとき、混合物を120℃に冷却し、そして180mgの二塩化スズを用いて触媒反応させた。反応混合物を、ウォータージェット真空下、さらなる水を分離しながら、4時間に亘ってゆっくりと200℃に加熱した。混合物を、さらに24時間、これらの反応条件下に維持した。次いで、得られたポリエーテルエステルポリオールのヒドロキシル価を、39.1mgKOH/gと決定した。粘度は、1070mPas(75℃)であった。
【0040】
A.2. ポリエステルポリオール
ポリアジペートに基づくポリエステルポリオールを、アジピン酸と、等モル量のエチレングリコールおよびジエチレングリコールを反応させることによって製造した。このポリエステルポリオールは、OH価約56mgKOH/gおよび粘度約520mPas(75℃)を有した。
【0041】
A.3. 高分子量を有するベースポリエステルポリオール
2779g(26.22モル)のジエチレングリコール、813g(13.12モル)のエチレングリコールおよび5452g(37.12モル)のアジピン酸を、水を除去しながら、ゆっくりと200℃に加熱した。水の形成が終了したとき、混合物を120℃に冷却し、そして180mgの二塩化スズを用いて触媒反応させた。反応混合物を、ウォータージェット真空下、さらなる水を分離しながら、4時間に亘ってゆっくりと200℃に加熱した。混合物を、さらに24時間、これらの反応条件下に維持した。次いで、得られたベースポリエステルポリオールのヒドロキシル価を、27.8mgKOH/gと、酸価を0.8mgKOH/gと決定した。
【0042】
A.4. 低分子量を有するベースポリエステルポリオール
3177g(29.97モル)のジエチレングリコール、932g(15.03モル)のエチレングリコールおよび5256g(36モル)のアジピン酸を、水を除去しながら、ゆっくりと200℃に加熱した。水の形成が終了したとき、混合物を120℃に冷却し、そして180mgの二塩化スズを用いて触媒反応させた。反応混合物を、ウォータージェット真空下、さらなる水を分離しながら、4時間に亘ってゆっくりと200℃に加熱した。混合物を、さらに24時間、これらの反応条件下に維持した。次いで、得られたベースポリエステルポリオールを分析し、ヒドロキシル価120.1mgKOH/gおよび酸価0.3mgKOH/gであることを見出した。
【0043】
A.5. 低分子量を有するベースポリエステルポリオール
2628g(24.79モル)のジエチレングリコール、1538g(24.79モル)のエチレングリコールおよび5970g(40.89モル)のアジピン酸を、水を除去しながら、ゆっくりと200℃に加熱した。水の形成が終了したとき、混合物を120℃に冷却し、そして180mgの二塩化スズを用いて触媒反応させた。反応混合物を、ウォータージェット真空下、さらなる水を分離しながら、4時間に亘ってゆっくりと200℃に加熱した。混合物を、さらに24時間、これらの反応条件下に維持した。次いで、得られたベースポリエステルポリオールを分析し、98.1mgKOH/gおよび酸価0.3mgKOH/gであることを見出した。ベースポリエステルポリオールの粘度は、210mPas(75℃)であった。
【0044】
A.6. 低分子量を有するベースポリエステルポリオール
1208g(11.4モル)のジエチレングリコール、1208g(19.48モル)のエチレングリコール、1208g(13.42モル)のブタンジオールおよび5840g(40モル)のアジピン酸を、水を除去しながら、ゆっくりと200℃に加熱した。水の形成が終了したとき、混合物を120℃に冷却し、そして180mgの二塩化スズを用いて触媒反応させた。反応混合物を、ウォータージェット真空下、さらなる水を分離しながら、4時間に亘ってゆっくりと200℃に加熱した。混合物を、さらに24時間、これらの反応条件下に維持した。次いで、得られたベースポリエステルポリオールを分析し、ヒドロキシル価60.1mgKOH/gおよび酸価0.7mgKOH/gであることを見出した。このベースポリエステルポリオールの粘度は、8930mPas(25℃)であった。
【0045】
A.7. ポリエステルポリオール
ポリアジペートに基づくポリエステルポリオール。このポリエステルポリオールは、アジピン酸と、エチレングリコールおよびブチレングリコールの混合物から製造した。得られたポリエステルポリオールは、OH価約56mgKOH/gおよび粘度約620mPas(75℃)によって特徴付けられた。
【0046】
B.) 変性ポリオールの製造
変性ポリオールB.1〜B.8を、以下のように製造し、使用した。以下の成分を、これらの変性ポリオールの製造に使用した:
(イソシアネートA)
NCO基含量約33.5および官能価約2.9を有する一連のジフェニルメタンのポリイソシアネート;また、ポリマー含量約56%およびモノマー含量約44%によって特徴付けられる。モノマー含量に関して、約39〜40%は、MDIの4,4’-異性体であり、残りは、MDIの2,2’-および2,4’-異性体の混合物である。
(イソシアネートB)
NCO基含量約33.5%、官能価約2を有し、約99重量%の4,4’-異性体を含有し、残りが2,2’-および2,4’-異性体の混合物である、ジフェニルメタンジイソシアネート。
(ポリエーテルポリオールA)
OH価28mgKOH/gを有する、ポリプロピレンオキシドのトリメチロールプロパン開始ポリエーテル。
これらの変性ポリオールは、以下のように製造した。
【0047】
B.1. ポリスクシネートポリオールの製造
1122g(7.48モル)のトリエチレングリコールおよび578g(5.78モル)の無水コハク酸を、二塩化スズ触媒(40mg)を用いて、200℃での溶融重縮合において、最終的には真空中で、水を除去しながら、反応させた。得られたポリスクシネートポリオールのOH価は、116.5mgKOH/gであった;および酸価は、0.2mgKOH/gであった。
【0048】
B.2. OHプレポリマーの製造
B.1.で製造したポリスクシネートポリオール(481.5g)を、イソシアネートA(62.5g)と、NCO含量が0%NCOに達するまで、115℃で3時間反応させた。得られたOH末端化プレポリマーは、OH価67.5mgKOH/gを有した。
【0049】
B.3. OHプレポリマーの製造
B.1.で製造したポリスクシネートポリオール(481.5g)を、イソシアネートB(62.5g)と、NCO含量が0%NCOに達するまで、80℃で1時間、さらに100℃で2時間反応させた。得られたOH末端化プレポリマーは、粘度2240mPas(75℃)およびOH価51.7mgKOH/gを有した。
【0050】
B.4. OHプレポリマーの製造
A.4.で製造したポリアジペートポリオール(463g)を、イソシアネートB(62.5g)と、NCO含量が0%NCOに達するまで、80℃で1時間、さらに100℃で2時間反応させた。粘度は、2680mPas(75℃)と決定された。得られたOH末端化プレポリマーは、OH価53.5mgKOH/gを有した。
【0051】
B.5. OHプレポリマーの製造
A.4.で製造したポリアジペートポリオール(463g)を、イソシアネートB(62.5g)と、NCO含量が0%NCOに達するまで、80℃で1時間、100℃で1時間、次いで110℃で2時間反応させた。粘度は、2950mPas(75℃)と決定された。得られたOH末端化プレポリマーは、OH価56.9mgKOH/gを有した。
【0052】
B.6. アクリレート末端基含有ポリエーテルポリオールの製造
144gのアクリル酸メチルエステルを、高められた温度にてメタノールを反応混合物から除去しながら、4,000gのポリエーテルポリオールA、および1gのチタンテトライソブチレートにゆっくりと50℃で添加した。得られたアクリレート末端基含有ポリエーテルポリオールは、OH価21mgKOH/g;および粘度1700mPas(25℃)を有した。
【0053】
B.7. マレイン酸含有ポリエステルポリオールの製造
1,148g(7.65モル)のトリエチレングリコールおよび583g(5.95モル)の無水マレイン酸、ならびに0.5gのハイドロキノンを、二塩化スズ触媒(40mg)を用いて、200℃での溶融重縮合において、最終的には真空中で、水を除去しながら、反応させた。得られたマレイン酸含有ポリエステルポリオールは、OH価112mgKOH/gを有した;および酸価は、0.9mgKOH/gと決定した。
【0054】
B.8. マレイン酸含有ポリアジペートの製造
5,548g(38モル)のアジピン酸、196g(2モル)の無水マレイン酸、1,728g(27.87モル)のエチレングリコールおよび1,728g(16.3モル)のジエチレングリコールを、二塩化スズ触媒(200mg)を用いて、200℃での溶融重縮合において、最終的には真空中で、水を除去しながら、反応させた。得られたポリオールは、OH価55mgKOH/gを有した;および酸価は、0.2mgKOH/gと決定した。このポリオールは、粘度2550mPas(25℃)を有した。
【0055】
C.) 本発明のポリマー分散体の製造
C.1. OHプレポリマー(B.2.)からのポリマー分散体の製造
476gのポリエステルポリオールA.2.を、8.7gのOHプレポリマーB.2.、100gのトルエンおよび1gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)と攪拌した。弱い窒素流を、20分間溶液に通じ、80gのスチレンを添加し、そして、混合物を、攪拌しながら30分間に亘って80℃に加熱した。80℃で20分後、温度を、さらに30分間に亘って120℃に上昇させた。
【0056】
予め製造した、600gのポリエステルポリオールA.2.、14.3gのOHプレポリマーB.2.、200gのトルエン、5.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)および430gのスチレンの溶液を、初速度300rpmで、20分後、速度を350rpmに高め、さらに40分後、400rpmに高めながら、2時間に亘って上記混合物に計量添加した。計量添加が完了したとき、混合物を5分間反応させた。
【0057】
次いで、さらなる予め製造した、38gのポリエステルポリオールA.2.、3.5gのOHプレポリマーB.2.、50gのトルエンおよび0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロ-ニトリル)の溶液を、30分間に亘って上記混合物に計量添加した。添加が完了したとき、混合物を120℃で2時間反応させた。
【0058】
得られた混合物を、溶媒および任意の未反応スチレンを大部分除去するために、ウォータージェット真空を反応混合物に適用することによって、仕上げた。完了させるため、オイルポンプ真空を、0.5mbarにて2時間適用し、スチレンおよびトルエンの両方をできる限り除去した。
【0059】
得られたポリマー分散体は、200μmの篩を通してろ過でき、相安定性であり、粘度18,600mPas(25℃)または3690mPas(50℃)を有した。ポリマー分散体中の充填度、すなわち固形分は、約26.7重量%であった。そして、OH価は、54mgKOH/gであった。
【0060】
C.2. OHプレポリマー(B.2.)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.2.
3.0gのOHプレポリマーB.2.
100gのトルエン
80gのスチレン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
66gの1,4-ブタンジオール
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.2.
14.3gのOHプレポリマーB.2.
200gのトルエン
533gのスチレン
5.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.2.
3.5gのOHプレポリマーB.2.
50gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
得られたポリマー分散体は、200μmの篩を通してろ過でき、相安定性であり、粘度18,600mPas(25℃)または3850mPas(50℃)を有した。ポリマー分散体中の充填度、すなわち固形分は、約32重量%であった。そして、OH価は、69.6mgKOH/gであった。
【0061】
C.3. OHプレポリマー(B.2.)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.2.
3.0gのOHプレポリマーB.2.
100gのトルエン
80gのスチレン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
66gの1,4-ブタンジオール
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.2.
14.3gのOHプレポリマーB.2.
200gのトルエン
738gのスチレン
5.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.2.
3.5gのOHプレポリマーB.2.
50gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
得られたポリマー分散体は、200μmの篩を通してろ過でき、相安定性であり、粘度32,100mPas(25℃)または7410mPas(50℃)を有した。ポリマー分散体中の充填度、すなわち固形分は、約40重量%であった。そして、OH価は、約68.9mgKOH/gであった。
【0062】
C.4. ポリスクシネートポリオール(B.1.)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.3.
3.0gのポリスクシネートポリオールB.1.
100gのトルエン
80gのスチレン
1gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.3.
14.3gのポリスクシネートポリオールB.1.
200gのトルエン
800gのスチレン
6.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.3.
4gのポリスクシネートポリオールB.1.
100gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
ろ過前に、混合物のOH価を18.4mgKOH/gと決定した。この混合物を、1,127gのベースポリエステルポリオールA.4.と混合した。
得られたポリマー分散体は、200μmの篩を通してろ過でき、相安定性であり、粘度27,200mPas(25℃)または5620mPas(50℃)を有した。ポリマー分散体中の充填度、すなわち固形分は、約24.3重量%であった。そして、OH価は、約58.3mgKOH/gであった。
【0063】
D.) 比較例
D.1. OHプレポリマーB.3.からのポリマーポリオールの製造:
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.3.
3.0gのOHプレポリマーB.3.
100gのトルエン
80gのスチレン
1gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
上記物質を、115℃の反応容器中に置き、そして以下の混合物を、計量して添加した。さらなる詳細は、他に記載されない限り、上記実施例C.1.に記載されている。
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.3.
14.3gのOHプレポリマーB.3.
200gのトルエン
800gのスチレン
6.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.3.
4gのOHプレポリマーB.3.
100gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
ろ過前に、混合物のOH価を18mgKOH/gと決定した。次いで、この混合物を、1,136gのポリエステルポリオールA.4.と混合した。得られた分散体は、ろ過できなかった。
【0064】
D.2. OHプレポリマーB.4.(すなわち、ポリアジペートに基づくOH末端化プレポリマー)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.3.
3.0gのOHプレポリマーB.4.
100gのトルエン
80gのスチレン
1gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.3.
21gのOHプレポリマーB.4.
200gのトルエン
800gのスチレン
6.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.3.
4gのOHプレポリマーB.4.
100gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
ろ過前に、混合物のOH価を17.7mgKOH/gと決定した。この混合物を、1,123gのポリエステルポリオールA.4.と混合した。
得られた分散体は、200μmの篩を通してろ過することが困難であった。相当な量のろ過残渣が残り、その結果、ろ過挙動は、不十分と考えられた。しかしながら、分散体は、相安定性であり、粘度30,100mPas(25℃)または5550mPas(50℃)を有した。得られた分散体の充填度、すなわち固形分は、約24.1重量%であった。そして、OH価は、約57.7mgKOH/gであった。
【0065】
D.3. OHプレポリマーB.5.(すなわち、ポリアジペートに基づくOH末端化プレポリマー)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.3.
3.0gのOHプレポリマーB.5.
100gのトルエン
80gのスチレン
1gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.3.
21gのOHプレポリマーB.5.
200gのトルエン
800gのスチレン
6.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.3.
4gのOHプレポリマーB.5.
100gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
ろ過前に、分散体のOH価を18mgKOH/gと決定した。次いで、この分散体を、1,123gのポリエステルポリオールA.4.と混合した。
得られた分散体は、200μmの篩を通してろ過することが困難であった。相当な量のろ過残渣が残り、その結果、ろ過挙動は、不十分と考えられた。しかしながら、分散体は、相安定性であり、粘度26,800mPas(25℃)または5340mPas(50℃)を有した。分散体の充填度、すなわち固形分は、約23.9重量%であった。そして、OH価は、約57.7mgKOH/gであった。
【0066】
D.4. ポリエーテルポリオールB.6.(すなわち、アクリレート基含有ポリエーテルポリオール)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.7.
8.7gの変性ポリオールB.6.
200gのトルエン
80gのスチレン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
538gのポリエステルポリオールA.7.
43gの変性ポリオールB.6.
200gのトルエン
738gのスチレン
5.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
(計量添加2)
100gのポリエステルポリオールA.7.
10.4gの変性ポリオールB.6.
50gのトルエン
得られた分散体は、安定性でなかった;すなわち、二つの分離相が形成された。この分散体の充填度、すなわち固形分は、約40重量%であった。
【0067】
D.5. ポリエステルポリオールB.7.(すなわち、マレイン酸基含有ポリエステルポリオール)からのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
476gのポリエステルポリオールA.4.
8.7gの変性ポリオールB.7.
200gのトルエン
80gのスチレン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
33gのイソプロパノール
上記物質を、115℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加1)
600gのポリエステルポリオールA.4.
43gの変性ポリオールB.7.
200gのトルエン
533gのスチレン
5.4gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
【0068】
(計量添加2)
38gのポリエステルポリオールA.4.
10.4gの変性ポリオールB.7.
50gのトルエン
0.6gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
得られた分散体は、ろ過できなかった。
【0069】
D.6. ポリオールB.8.、すなわち、マレイン酸基含有ポリアジペートからのポリマー分散体の製造
(最初に使用した物質)
830gのポリエステルポリオールA.6.
50gのトルエン
上記物質を、120℃の反応容器中に置いた。上記実施例C.1.に記載したように、以下の混合物を、計量して添加した:
(計量添加)
353gのポリエステルポリオールA.6.
62gの変性ポリオールB.8.
200gのトルエン
523gのスチレン
13gのアゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)
反応生成物は、ろ過することができなかった。
【0070】
E.) 製造例
ポリウレタン試験品の製造のため、各々のイソシアネート成分(以下に示す)を、40℃にて、低圧加工機械(すなわち、PSA 95、Kloeckner DESMA Schuhmaschinen GmbH)中、45℃でポリマー分散体を含有した各々のポリオール成分(以下に示す)と混合した。混合物を、50℃の温度に調整したアルミニウム鋳型(寸法20020010mm)中に導入し、鋳型を閉じ、そして、4分後、エラストマーを鋳型から取り除いた。
24時間の保存後、このように製造されたエラストマーシートの硬度を、DIN 53 505にしたがってショアA型ジュロメーターを使用して測定した。
【0071】
E1. ポリウレタンエラストマーの製造
(ポリオール成分の組成)
71.00重量% ポリエステルポリオールA.2.
15.00重量% ポリマー分散体C.1.
11.45重量% エタンジオール
0.80重量% トリエタノールアミン
0.45重量% ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
1.10重量% 水
0.20重量% セル安定化剤(Dabco(登録商標) DC 193、Air Products)
19.3重量%のNCO含量を有し、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエステルポリオールとの反応生成物を含んでなるNCOプレポリマーを、上記のように、ポリオール成分を用いて加工した。イソシアネート成分に対するポリオール成分の混合比は、100:122重量部であった。140kg/mのフリーフォーム密度を有するフリーライズフォームは、一つのサンプルから製造した。上記一般方法に記載されたような試験品を、残りのイソシアネートプレポリマー成分およびポリオール成分から製造した。これらの試験品は、350kg/mの成型体密度を有し、4分後に鋳型から取り除くことができた。これらの試験品のショアA硬度は、51であった。
【0072】
E2. ポリウレタンエラストマーの製造
(ポリオール成分の組成)
50.55重量% ポリエステルポリオールA.2.
35.50重量% ポリマー分散体C.1.
11.40重量% エタンジオール
0.80重量% トリエタノールアミン
0.45重量% ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
1.10重量% 水
0.20重量% セル安定化剤(Dabco(登録商標) DC 193、Air Products)
19.3重量%のNCO含量を有し、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエステルポリオールとの反応生成物を含んでなるNCOプレポリマーを、上記のように、ポリオール成分を用いて加工した。イソシアネート成分に対するポリオール成分の混合比は、100:120重量部であった。153kg/mのフリーフォーム密度を有するフリーライズフォームを、一つのサンプルから製造した。
上記一般方法に記載されたような試験品を、残りのイソシアネートプレポリマー成分およびポリオール成分から製造した。これらの試験品は、350kg/mの成型体密度を有し、4分後に鋳型から取り除くことができた。これらの試験品のショアA硬度は、56であった。
【0073】
これらの実施例は、本発明のポリマー分散体の量を高めて製造したエラストマーは、硬度の上昇が生じたが、その一方、密度は変化せずに維持されたことを示す。一定量のエタンジオールにおいて、ポリオール成分中の本発明のポリオール分散体の量の上昇は、実質的に同一のポリイソシアネート成分との混合比(100:120または100:122)にて、5ショアA単位だけ高められた硬度(51の代わりに56)を有する材料を導く。
【0074】
本発明を上記で例示の目的をもって詳細に説明したが、このような詳説が単にその目的のためであって、本発明は、特許請求の範囲によって限定され得る場合を除いて、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者によって変形がなされ得ると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のコハク酸由来の構造単位を含有する少なくとも一つのポリエステルポリオールを含んでなる、ポリマー分散体。
【請求項2】
ポリマー分散体の製造方法であって、
(1)一以上のオレフィン性不飽和モノマーと、
(2)オレフィン性不飽和基を含有せず、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有する、一以上のポリエステルポリオールと、
必要に応じて、
(3)オレフィン性不飽和基を含有せず、コハク酸由来の構造単位を含有しない、一以上のポリエステルポリオールと
をフリーラジカル重合することを含む、方法。
【請求項3】
ポリマー分散体の製造方法であって、
(1)一以上のオレフィン性不飽和モノマーと、
(4)一以上のOH末端化プレポリマーであって、
(a)コハク酸由来の構造単位を含有する一以上のポリエステルポリオールと、
(b)一以上のジフェニルメタン基の芳香族ポリイソシアネート(ここで総モノマー含量は、50重量%未満である)と
の反応生成物を含んでなる、プレポリマーと、
必要に応じて、
(3)オレフィン性不飽和基を含有せず、コハク酸由来の構造単位を含有しない、一以上のポリエステルポリオールと
をフリーラジカル重合することを含む、方法。
【請求項4】
上記一以上のオレフィン性不飽和モノマー(1)は、スチレン、α-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルビニルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
上記一以上のオレフィン性不飽和モノマー(1)は、スチレン、α-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルビニルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
一以上のポリカーボネートポリオールをさらに存在させる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
一以上のポリカーボネートポリオールをさらに存在させる、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー分散体であって、
(1)一以上のオレフィン性不飽和モノマーと、
(2)オレフィン性不飽和基を含有せず、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有する、一以上のポリエステルポリオールと、
必要に応じて、
(3)オレフィン性不飽和基を含有せず、コハク酸由来の構造単位を含有しない、一以上のポリエステルポリオールと
のフリーラジカル重合生成物を含んでなる、分散体。
【請求項9】
ポリマー分散体であって、
(1)一以上のオレフィン性不飽和モノマーと、
(4)OH末端化プレポリマーであって、
(a)オレフィン性不飽和基を含有せず、一以上のコハク酸由来の構造単位を含有する、一以上のポリエステルポリオールと、
(b)一以上のジフェニルメタン基の芳香族ポリイソシアネート(ここで、総モノマー含量は、50重量%未満である)と
の反応生成物を含んでなる、プレポリマーと、
必要に応じて、
(3)オレフィン性不飽和基を含有せず、コハク酸由来の構造単位を含有しない、一以上のポリエステルポリオールと
のフリーラジカル重合生成物を含んでなる、分散体。
【請求項10】
一以上のポリイソシアネートを一以上のイソシアネート反応性成分と反応させることを含むポリウレタンの製造方法における改善であって、
上記イソシアネート反応性成分は、請求項1に記載のポリマー分散体を含んでなる、改善。
【請求項11】
一以上のポリイソシアネートを一以上のイソシアネート反応性成分と反応させることを含むポリウレタンの製造方法における改善であって、
上記イソシアネート反応性成分は、請求項8に記載のポリマー分散体を含んでなる、改善。
【請求項12】
一以上のポリイソシアネートと一以上のイソシアネート反応性成分との反応生成物を含んでなる微孔質ポリウレタンエラストマーであって、上記イソシアネート反応性成分は、請求項1に記載のポリマー分散体を含んでなる、エラストマー。
【請求項13】
一以上のポリイソシアネートと一以上のイソシアネート反応性成分との反応生成物を含んでなる微孔質ポリウレタンエラストマーであって、上記イソシアネート反応性成分は、請求項8に記載のポリマー分散体を含んでなる、エラストマー。

【公開番号】特開2006−169530(P2006−169530A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361357(P2005−361357)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】