説明

ポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤及びこれを含有してなるポリエステル樹脂組成物、該樹脂組成物より得られる成形体、並びに溶融粘度低減方法

【課題】 ポリエステル樹脂の分子量を低下させることなく、ポリエステル樹脂の溶融粘度を低減させ得るポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤、これを含有するポリエステル樹脂組成物、ポリエステル樹脂成形体及びポリエステル繊維、並びにポリエステル樹脂組成物の溶融粘度低減方法を提供する。
【解決手段】 特定のアミド化合物が、ポリエステル樹脂の分子量を低下させずにポリエステル樹脂の溶融粘度を低下させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂用の溶融粘度低減剤、これを含有するポリエステル樹脂組成物、ポリエステル樹脂成形体及びポリエステル樹脂繊維、並びにポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂は、成形性、機械特性、電気特性等が優れているために、フィルム用途や成形品用途など様々な分野で使用されている。近年、ポリエステル樹脂成形品等の諸物性の改善方法の一つとしてポリマーの高分子量化が為されている。しかしながら、ポリマーの重合度を上げることにより、その溶融粘度も上昇するため下記のような問題点が生じ、使用する用途によってはその適用が制限されたものとなっている。
【0003】
溶融粘度が上昇すると、フィルム用途では、吐出圧力の増加や加工性の低下を起こしやすく、成形品用途では、複雑な形状や薄肉の成形品を成形する場合、充填圧力の増加や充填不良などを起こしやすくなる。
【0004】
上記問題の解決策としては、溶融温度を上げる方法か、ポリエステル樹脂に滑剤、溶融粘度低減剤を添加して溶融粘度を低減させる方法が提案されている。しかしながら、溶融温度を上げる方法は、ポリエステル樹脂の加水分解反応やエステル交換反応等による分解が促進されるため、分子量(又は重合度)が低下するという問題があった。
【0005】
また滑剤として、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸、ステアリルアルコール等を添加した場合は、ポリエステル樹脂の溶融粘度は低下するが、重合度も同時に低下する傾向にある。
【0006】
溶融粘度低減剤としては、芳香族系または脂肪族系エステル化合物が提案されている(特許文献1〜4)。しかしながら、脂肪族系エステル化合物は、比較的融点が低いため、ポリエステル樹脂と予備混合する際、押出機に供給するホッパー上でブリッジングを引き起こし供給が困難となるなどの欠点がある。また、芳香族系ポリエステルの場合は、比較的重合度の低いポリエステル樹脂では溶融粘度の低減効果はあるものの、比較的重合度の高いポリエステル樹脂では溶融粘度の低減効果は小さく、未だ十分とは言えないのが現状である。
【0007】
そのため、ポリエステル樹脂の重合度を低下させずに溶融粘度をより低減させる熱安定性に優れた溶融粘度低減剤の開発が強く望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開平5−255533号公報
【特許文献2】特開平5−255534号公報
【特許文献3】特開平7−292226号公報
【特許文献4】特開平8−34904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ポリエステル樹脂の重合度を低下させることなくポリエステル樹脂の溶融粘度を低減させ得る新規有用なポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤、これを含有するポリエステル樹脂組成物、ポリエステル樹脂成形体及びポリエステル繊維、並びにポリエステル樹脂組成物の溶融粘度低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定のアミド化合物が、ポリエステル樹脂の重合度を低下させずにポリエステル樹脂の溶融粘度を低下させ得ることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下の項に記載の発明を提供するものである。
【0012】
[項1]
一般式(1)
−(CONHRn (1)
[式中、nは、3〜6の整数を表す。
は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。
3〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族、脂環族、又は芳香族のアミン残基を表す。]
で表される少なくとも1種のアミド化合物を含有することを特徴とするポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
[項2]
前記アミド化合物の5%重量減少温度が280℃以上である項1に記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
[項3]
が、炭素数3〜10の飽和脂肪族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜12の脂環族若しくは芳香族ポリカルボン酸残基である項1又は2に記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
[項4]
が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸残基、トリカルバリル酸残基、トリメシン酸残基、又は、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸残基である項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
[項5]
項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤とポリエステル樹脂とを含むことを特徴とする溶融粘度の低減されたポリエステル樹脂組成物。
[項6]
ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート又はエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とする項5に記載のポリエステル樹脂組成物。
[項7]
ポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤の含有量が、ポリエステル樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部である項5又は項6に記載のポリエステル樹脂組成物。
[項8]
前記樹脂組成物中の環状オリゴマーの含有量が、ポリエステル樹脂組成物に対して0.5重量%以下であることを特徴とする項5〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[項9]
項5〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られるポリエステル繊維。
[項10]
項5〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形体。
[項11]
項10に記載の成形体を得る成形方法であって、該成形方法が射出成形、押し出し成形、射出ブロー成形、射出押出ブロー成形、射出圧縮成型、押出ブロー成形、又は押出サーモフォーム成形押出成形である成形方法。
[項12]
一般式(1)
−(CONHRn (1)
[式中、nは、3〜6の整数を表す。
は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。
3〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族、脂環族、又は芳香族のアミン残基を表す。]
で表される少なくとも1種のアミド化合物とポリエステル樹脂とを溶融混合することを特徴とするポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
[項13]
前記アミド化合物の5%重量減少温度が280℃以上であることを特徴とする項12に記載のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
[項14]
が、炭素数3〜10の飽和脂肪族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜12の脂環族若しくは芳香族ポリカルボン酸残基であることを特徴とする項12又は項13に記載のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
[項15]
が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸残基、トリカルバリル酸残基、トリメシン酸残基、又は、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸残基である項12〜14のいずれかに記載のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特定のアミド化合物を用いることにより、ポリエステル樹脂の重合度を低下させずにポリエステル樹脂の溶融粘度を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0015】
アミド化合物
本発明に係る一般式(1)で表されるアミド化合物は、下記一般式(1a)で表される脂肪族、脂環族若しくは芳香族のポリカルボン酸又はその反応性誘導体(例えば、酸無水物、酸ハライド、該ポリカルボン酸と炭素数1〜4の低級アルコールとのエステル)と、下記一般式(1b)で表される脂肪族、脂環族又は芳香族のモノアミンとを、従来公知の方法、例えば特開平7−242610号に記載の方法に従ってアミド化することにより容易に調製することができるが、これに限定されるものではない。
本アミド化合物は、若干不純物を含むものであっても良く、純度が90重量%以上、好ましくは95重量%以上、特に好ましくは97重量%以上が推奨される。
【0016】
<ポリカルボン酸>
上記ポリカルボン酸は、一般式(1a)
−(COOH) (1a)
[式中、R及びnは一般式(1)におけると同義である。]
で表される。
従って、一般式(1)のRで示される「ポリカルボン酸残基」とは、一般式(1a)で表されるポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いて得られる残基を指し、nと同一の価数を有する残基、即ち、3〜6価の有機基である。また、Rの炭素数は、全てのカルボキシル基を除いて得られるポリカルボン酸残基が有する炭素数を指す。
【0017】
上記ポリカルボン酸としては、Rの炭素数が2〜18、好ましくは3〜10の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸、炭素数3〜18、好ましくは6〜12の脂環族ポリカルボン酸、又は炭素数6〜18、好ましくは6〜12の芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸の場合は水酸基の置換基を有していてもよい。また脂環族又は芳香族のポリカルボン酸の場合は、水酸基、アルキル基(炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4)、アルケニル基(炭素数2〜10、好ましくは3〜4)、アリール基(炭素数6〜12)及びアセトキシ基からなる群から選択される1個若しくは2個以上(特に1又は2個)の置換基を有していてもよい。
【0018】
一般式(1a)におけるカルボキシル基の価数nは、3〜6、好ましくは3又は4である。
【0019】
上記ポリカルボン酸は具体的には、トリカルバリル酸、1,2,3−プロペントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、エタンテトラカルボン酸、プロパンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸(特に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸)、ドデカンテトラカルボン酸、ペンタンペンタカルボン酸、テトラデカンヘキサカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、
【0020】
1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、5−(コハク酸)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸、
【0021】
トリメシン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ベンジジン−3,3'−ジカルボキシル−N,N'−四酢酸、ジフェニルプロパンテトラカルボン酸、アントラセンテトラカルボン酸、フタロシアニンテトラカルボン酸、エチレングリコール−トリメリット酸ジエステル、ベンゼンヘキサカルボン酸、グリセリン−トリメリット酸トリエステル等の芳香族ポリカルボン酸が例示される。
これらのポリカルボン酸は1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのポリカルボン酸の酸無水物もアミド化に供することができる。
【0022】
上記ポリカルボン酸の中でも、当該アミド化合物の溶融粘度低減の性能並びに原料の入手の容易さから、具体的には、トリカルバリル酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物、トリメシン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸が特に好ましい。
【0023】
<モノアミン>
上記モノアミンは、一般式(1b)
−NH (1b)
[式中、Rは一般式(1)におけると同義である。]
で表される。
従って、一般式(1)のRで示される「アミン残基」とは、一般式(1b)で表されるモノアミン化合物からアミノ基を除いて得られる残基を指し、Rの炭素数は、アミノ基を除いて得られるアミン残基が有する炭素数を指す。
【0024】
上記モノアミンは、炭素数6〜30、好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12の飽和若しくは不飽和の脂肪族、脂環族、又は芳香族のモノアミンが挙げられる。また、脂環族又は芳香族のモノアミンの場合、アルキル基(炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4)、アルケニル基(炭素数2〜10、好ましくは3〜4)、アリール基(炭素数6〜12)及びアセトキシ基からなる群から選択される1個若しくは2個以上(特に1又は2個)の置換基を有していてもよい。
【0025】
モノアミンとしては具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン等の飽和又は不飽和の直鎖若しくは分岐の脂肪族モノアミン、
【0026】
シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,4−ジメチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、3−エチルシクロヘキシルアミン、4−エチルシクロヘキシルアミン、2−n−プロピルシクロヘキシルアミン、3−n−プロピルシクロヘキシルアミン、4−n−プロピルシクロヘキシルアミン、2−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、3−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、4−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、2−n−ブチルシクロヘキシルアミン、3−n−ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−ブチルシクロヘキシルアミン、2−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、3−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、4−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、3−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、4−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、2−n−オクチルシクロヘキシルアミン、3−n−オクチルシクロヘキシルアミン、4−n−オクチルシクロヘキシルアミン、2−n−ドデシルシクロヘキシルアミン、3−n−ドデシルシクロヘキシルアミン、4−n−ドデシルシクロヘキシルアミン等のアルキル(炭素数5〜18)置換シクロヘキシルアミン類、
【0027】
シクロヘキシルメチルアミン、2−メチルシクロヘキシルメチルアミン、3−メチルシクロヘキシルメチルアミン、4−メチルシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルメチルアミン、トリメチルシクロヘキシルメチルアミン、メトキシシクロヘキシルメチルアミン、エトキシシクロヘキシルメチルアミン、ジメトキシシクロヘキシルメチルアミン、メトキシシクロヘキシルエチルアミン、ジメトキシシクロヘキシルエチルアミン、メチルシクロヘキシルプロピルアミン等の脂環式アルキルアミン類等の脂環族モノアミン、
【0028】
アニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1−アミノアントラセン、トルイジン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、3−プロピルアニリン、4−プロピルアニリン、クミジン、2−n−ブチルアニリン、3−n−ブチルアニリン、4−n−ブチルアニリン、2−イソブチルアニリン、3−イソブチルアニリン、4−イソブチルアニリン、2−sec−ブチルアニリン、3−sec−ブチルアニリン、4−sec−ブチルアニリン、2−tert−ブチルアニリン、3−tert−ブチルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、2−n−ペンチルアニリン、3−n−ペンチルアニリン、4−n−ペンチルアニリン、2−イソペンチルアニリン、3−イソペンチルアニリン、4−イソペンチルアニリン、2−sec−ペンチルアニリン、3−sec−ペンチルアニリン、4−sec−ペンチルアニリン、2−tert−ペンチルアニリン、3−tert−ペンチルアニリン、4−tert−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、3−ヘキシルアニリン、4−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、3−ヘプチルアニリン、4−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、3−オクチルアニリン、4−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、3−ノニルアニリン、4−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、3−デシルアニリン、4−デシルアニリン、2−ウンデシルアニリン、3−ウンデシルアニリン、4−ウンデシルアニリン、2−ドデシルアニリン、3−ドデシルアニリン、4−ドデシルアニリン、シクロヘキシルアニリン、ジフェニルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジプロピルアニリン、ジイソプロピルアニリン、ジ−n−ブチルアニリン、ジ−sec−ブチルアニリン、ジ−tert−ブチルアニリン、トリメチルアニリン、トリエチルアニリン、トリプロピルアニリン、トリ−tert−ブチルアニリン、アニシジン、エトキシアニリン、ジメトキシアニリン、ジエトキシアニリン、トリメトキシアニリン、トリ−n−ブトキシアニリン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリメチルベンジルアミン、メトキシベンジルアミン、エトキシベンジルアミン、ジメトキシベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、メトキシフェニルエチルアミン、ジメトキシフェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン、β−フェニルプロピルアミン、γ−フェニルプロピルアミン、メチルフェニルプロピルアミン等の芳香族モノアミンが例示される。
これらのモノアミンは1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
上記モノアミンの中でも、当該アミド化合物の溶融粘度低減の性能並びに原料の入手の容易さや溶融樹脂に添加した時の発煙性から、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−オクチルアニリンが好ましい原料である。
【0030】
<好ましいアミド化合物>
本発明に係る一般式(1)で表されるアミド化合物のRは、炭素数2〜18、好ましくは3〜10の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18、好ましくは6〜12の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18、好ましくは6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基であり、置換基を有していてもよい。
【0031】
また、カルボキシル基の価数nは、3〜6、好ましくは3又は4であり、なかでも、Rがトリメシン酸残基、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸残基又はトリカルバリル酸残基であるものが好ましい。
【0032】
本発明に係る一般式(1)で表されるアミド化合物のRは、炭素数6〜30、好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜12の飽和若しくは不飽和の脂肪族、脂環族、又は芳香族のアミン残基であり、置換基を有していてもよい。
【0033】
なかでもRは、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−オクチルアニリンのアミン残基が好ましい。
【0034】
上記アミド化合物は、ポリエステル樹脂に溶融混合する際に熱分解を起こさない熱安定性の優れたもの、即ち、5%重量減少温度が280℃以上、好ましくは300℃以上、特に好ましくは320℃以上であるアミド化合物が好ましい。
【0035】
好ましいアミド化合物として具体的には、トリメシン酸のアミドとしては、トリメシン酸トリヘキシルアミド、トリメシン酸トリドデシルアミド、トリメシン酸トリオクタデシルアミド、トリメシン酸トリアニリド、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリス(4−オクチルアニリド)、
【0036】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸のアミドとしては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラドデシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラオクタデシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラアニリド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(4−オクチルアニリド)、
【0037】
トリカルバリル酸のアミドとしては、トリカルバリル酸トリヘキシルアミド、トリカルバリル酸トリドデシルアミド、トリカルバリル酸トリオクタデシルアミド、トリカルバリル酸トリアニリド、トリカルバリル酸トリシクロヘキシルアミド、トリカルバリル酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、トリカルバリル酸トリス(4−オクチルアニリド)、
【0038】
1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸のアミドとしては、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリヘキシルアミド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリドデシルアミド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリオクタデシルアミド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリアニリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリス(4−オクチルアニリド)が例示される。
【0039】
上記の中でも、溶融粘度低減効果及び熱安定性が良好である点から、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリアニリド、トリメシン酸トリヘキシルアミド、トリメシン酸トリドデシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラアニリド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラドデシルアミド、トリカルバリル酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリアニリドが特に好ましい。
【0040】
本発明に係るアミド化合物の結晶形態は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、立方晶、単斜晶、三方晶、六方晶等の任意の結晶形が使用できる。
【0041】
これらの結晶の粒子径は、特に限定されることなく、目的に応じて任意に選択することができる。例えば、ポリエステル樹脂へのアミド化合物の溶解又は融解を短時間としたい場合には、その溶解又は融解混合時の処理温度にも影響されるが、その粒子径としては、通常体積平均径で50μm以下、好ましくは10μm以下が推奨される。一方、粉体流動性等の粉体特性を向上させたい場合には、その粒子径としては、通常体積平均径で200μm以上、好ましくは500μm以上、より好ましくは1mm以上が推奨される。
【0042】
ポリエステル樹脂組成物
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、一般式(1)で表されるアミド化合物を含有する溶融粘度低減剤とポリエステル樹脂とを含む樹脂組成物であり、該アミド化合物により溶融粘度が低減され得る。
【0043】
本発明に係るポリエステル樹脂とは、好ましくは芳香族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体とジオールあるいはそのエステル誘導体を主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である。
【0044】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。
また、芳香族ジカルボン酸の一部を他のジカルボン酸、例えば、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族、脂環族ジカルボン酸に置き換えてもよい。
【0045】
これらの内、特にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びジフェニルジカルボン酸が好ましく、なかでも特にテレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これら芳香族ジカルボン酸は、1種又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0046】
また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールSなど脂肪族、芳香族、脂環族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングルコールなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられ、中でも特にエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール等の脂肪族ジオールが好ましい。こられは1種又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0047】
その他に、p−ヒドロキシ安息香酸、4−(ヒドロキシメチル)安息香酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸及びグリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールを用いることもできる。
【0048】
本発明に係る好適なポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。
【0049】
これらのうち、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート又はエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエステル樹脂が好ましい。換言すれば、エチレンテレフタレート単位又はエチレン−2,6−ナフタレート単位を少なくとも50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリエステル樹脂のことである。
【0050】
本発明にかかるポリエステル樹脂は、既知の製造方法により得られるものが使用できる。
【0051】
例えば、ジカルボン酸とジオールとの直接ポリエステル化、ジカルボン酸の低級アルコールジエステルとジオールとのエステル交換反応によるポリエステル化、ジカルボン酸とジオールとの低重合物を更に塊重合させて高重合化させる方法などが挙げられる。
【0052】
本発明にかかるポリエステル樹脂組成物の調製方法は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されることはない。ポリエステル樹脂に当該溶融粘度低減剤を、ポリエステル樹脂の製造時から成形加工前までの任意の時期に添加して調製することができる。
【0053】
例えば、1)ポリエステル樹脂の原料モノマーと共に当該溶融粘度低減剤を反応容器に添加して重合反応を行い、当該溶融粘度低減剤を含有する樹脂を製造する方法、2)重合反応直後の溶融状態の系に当該溶融粘度低減剤を添加して溶融混合する方法、3)ポリエステル樹脂ペレットと当該溶融粘度低減剤とをヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどでドライブレンドする方法、4)そのドライブレンドを押出し造粒機などで溶融混合してペレットとする方法、5)高濃度の当該溶融粘度低減剤を含有するマスターバッチペレットとする方法、6)溶融ポリエステル樹脂に当該溶融粘度低減剤を添加して溶融混合した後に成形加工に供する方法などが挙げられる。
【0054】
これらの内、特に連続生産の場合(例えば、ポリエステル樹脂メーカーなど)、重合反応直後の溶融状態のポリエステル樹脂に添加して溶融混合する方法が、既存の装置等を改良することなく、製造コストの上昇を抑制できる点で好ましい。また、バッチ生産(半連続生産)の場合、ポリエステル樹脂ペレット(又はパウダー)と当該溶融粘度低減剤とをヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどでドライブレンドする方法、或いは、このドライブレンド物をバンバリーミキサー、ニーダー、オーブンロール、単軸又は二軸スクリュー押出機、単軸往復動スクリュー等の慣用の混練機を用いて、ポリエステル樹脂の溶融温度より10〜150℃高い温度で溶融混合してペレットとする方法が簡便で、また多品種生産に対応できる点で好ましい。
【0055】
本発明に係るポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤の配合量としては、所望のポリエステル樹脂の溶融粘度の低減効果が得られる限り、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。通常、ポリエステル樹脂100重量部に対して、一般式(1)で表されるアミド化合物を0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。これらの範囲内で配合することにより所望のポリエステル樹脂の溶融粘度の低減効果を得ることができる。
【0056】
ところで、ポリエステル樹脂の重合度が高くなると溶融粘度も上昇するため、成形時の負荷が大きくなり剪断発熱によりポリエステル樹脂の温度が上昇したり、溶融成形性を高めるために成形温度を高く設定しなければならなかったり、溶融成形の時間を延長する必要があった。その結果、低分子量のエステルが環状構造となっている環状オリゴマーが生じる。該オリゴマーにより、金型が汚れ、成形体表面に析出し、成形体の表面の肌荒れや白化に繋がり、商品価値を損なうものであった。
【0057】
しかしながら、本発明に係るポリエステル樹脂組成物を用いると、ポリエステル樹脂の溶融粘度が低減されることにより流動性が改善され、成形温度、時間或いは剪断発熱を抑制することができ、同時に環状オリゴマーの発生も抑制される。従って、該ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形体の表面も白化しにくい。
【0058】
樹脂組成物中の環状オリゴマーの含有量は0.50重量%以下であり、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。環状オリゴマーが0.5重量%を超えると該オリゴマーが成形体表面に析出し外観を損なう傾向がある。
【0059】
本発明にかかるポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤又はポリエステル樹脂組成物には、その用途、目的に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常、ポリエステル樹脂に使用される添加剤を適宜添加することができる。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、滑剤、離型剤、難燃剤、艶消し剤、顔料、染料、充填剤、補強剤や「ポジティブリストの添加剤要覧」(第3版、2002年1月、ポリオレフィン等衛生協議会編)に記載の添加剤などが挙げられる。
【0060】
また、本発明のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤は、従来公知の溶融粘度低減剤、例えば、特開平3−223382号公報、特開平5−25372号公報、特開平6−192473号公報、特開平10−195195号公報などに提案されている化合物と任意の割合で併用することもできる。
【0061】
ポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法
本発明のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法は、一般式(1)で表されるアミド化合物とポリエステル樹脂とを溶融混合する方法である。
【0062】
当該方法は、ポリエステル樹脂の製造時から成形加工前までの任意の時期に、通常ポリエステル樹脂の溶融温度より10〜150℃高い温度で実施することができる。
【0063】
具体的には、例えば、1)ポリエステル樹脂の重合反応直後の溶融状態の系に当該アミド化合物を添加し溶融混合する方法、2)ポリエステル樹脂ペレットと当該アミド化合物とをヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどでドライブレンドし、そのドライブレンドを押出し造粒機などで溶融混合する方法、3)溶融ポリエステル樹脂に当該アミド化合物を添加して溶融混合する方法などが挙げられる。
【0064】
これらの内、特に連続生産の場合(例えば、ポリエステル樹脂メーカーなど)、重合反応直後の溶融状態のポリエステル樹脂に添加して溶融混合する方法が、既存の装置等を改良することなく、製造コストの上昇を抑制できる点で好ましい。また、バッチ生産(半連続生産)の場合、ポリエステル樹脂ペレット(又はパウダー)と当該アミド化合物とをヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどでドライブレンドし、このドライブレンド物をバンバリーミキサー、ニーダー、オーブンロール、単軸又は二軸スクリュー押出機、単軸往復動スクリュー等の慣用の混練機を用いて溶融混合する方法が簡便で、また多品種生産に対応できる点で好ましい。
【0065】
本発明に係るアミド化合物の添加量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、アミド化合物を0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
【0066】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物を、溶融(若しくは溶融混合)することにより、所望のポリエステル樹脂の溶融粘度の低減効果を得ることも可能である。
【0067】
ポリエステル樹脂成形体
【0068】
本発明に係るポリエステル樹脂成形体は、本発明のポリエステル樹脂組成物を従来公知の成形方法に従って成形することにより得られる。
【0069】
かかる成形方法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、カレンダー成形、射出ブロー成形、射出押出ブロー成形、射出圧縮成型、押出ブロー成形、又は押出サーモフォーム成形押出成形、回転成形等の成形方法が挙げられる。当該成形品の形態としては、射出成型品、フィルム、シート、ボトル等のあらゆる種類の成形体として得ることができる。
【0070】
射出成形条件は、ポリエステル樹脂の種類や重合度などに応じて適宜選択されるが、通常、樹脂温度180〜400℃、金型温度0〜180℃、射出圧力1〜130MPaの条件範囲が例示される。
【0071】
ブロー成形条件は、ポリエステル樹脂の種類や重合度などに応じて適宜選択されるが、通常、樹脂温度180〜350℃、金型温度0〜160℃、吹込圧力0.2〜1MPaの条件範囲が例示される。
【0072】
押出成形条件は、ポリエステル樹脂の種類や重合度などに応じて適宜選択されるが、溶融温度200〜350℃が多用され、シート状成形体が得られる。また、そのシート状成形体を加熱ローラーやテンター等で加熱して一軸延伸または二軸延伸して延伸フィルムとすることもできる。通常、延伸温度は50〜150℃、延伸倍率は2.5〜4.5倍が例示される。
【0073】
本発明のポリエステル樹脂組成物から得られるポリエステル樹脂成形体としては、例えば、コイルボビン、コネクタ、リレー、スイッチ、コンデンサーケース、モーター部品等の電気・電子部品、ディストリブューター、キャブレター、インテークマニホールド、イグニッションコイル、パイプ類等の自動車部品、ギヤ、カム、ベアリング等の機械部品、CDやDVD等の光ディスク、FDDシャーシ、ハウジング等のOAや家電製品、粘着テープ補強材、磁気テープ用ベースフィルム、食品用ボトル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0074】
ポリエステル繊維
本発明に係るポリエステル繊維を得る方法としては、特に限定されることはないが、通常当該ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸後、延伸し、熱処理を施すことにより得られる。
【0075】
紡糸は、一般にエクストルーダーとギアポンプと口金と濾過層を一体としたノズルブロック等を装備した紡糸装置により行われ、通常、樹脂の溶融温度200〜350℃、好ましくは、250〜300℃、吐出圧1〜20MPaで紡糸される。
【0076】
紡糸された糸は、冷却後一旦未延伸糸として巻取った後に予熱延伸し、引続き緊張化に熱処理してもよいし、紡出糸を巻取らずに引き取りローラーで引き取り、引続き加熱ローラー上で延伸、熱処理しても良い。延伸、熱処理は通常の繊維と変わりなく行い、延伸時の好ましい予熱温度は60〜150℃、熱処理の好ましい温度は150〜300℃である。
【0077】
上記の如くして調製されたポリエステル繊維は、織物、編物、不織布を形成して、衣料、カーテン等の家庭用布帛、粘着テープ補強材、電線被覆材、テント用布、タイヤコード等の産業用資材用布帛に適している。
【実施例】
【0078】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下において、部及び%は特に断りのないかぎりすべて重量基準である。また、各物性値は以下の方法によって測定した。
【0079】
溶融粘度
調製されたポリエステル樹脂組成物ペレットを減圧下に120℃で12時間減圧乾燥して、以下の測定条件でフローテスタを用いて溶融粘度を測定した。
【0080】
1)測定条件
フローテスタ:島津製作所(株)製 フローテスタCFT−500C
ダイ(オリフィス):直径1.0mm,長さ10mm
予熱時間:240秒
設定温度:280℃,荷重3.1MPa
【0081】
融点
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製、商品名「DSC6220」)を用いて、以下の条件にて測定し、最大吸熱ピークのピークトップを融点とした。
窒素:30ml/分、昇温速度:10℃/分、試料:5mg、標準試料:シリカゲル5mg
【0082】
耐熱性(5%重量減少温度)
示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイナノテクノロジー(株)製、商品名「TG/DTA6200」)を用いて、以下の条件にて測定し、5%重量減少温度を測定した。
窒素:100ml/分、昇温速度:10℃/分、試料:10mg
5%重量減少温度が高いほど耐熱性に優れ、樹脂溶融混合時における分解が少ないことを示す。
【0083】
対数粘度
JIS K 7367−5(2000)に準拠して希釈溶液を調製した。即ち、後述の実施例或いは比較例に記載の方法にて調製されたポリエステル樹脂組成物ペレットを減圧下、120℃で3時間乾燥した。次に、o−クロロフェノールを用いて、0.5g/dl濃度の均一溶液を調製した。対数粘度(dl/g)は、下式を用いて求め、対数粘度の変化が殆ど無ければ、ポリエステル樹脂の分子量の低下が殆ど無いことを示す。
【0084】
対数粘度=ln(t/t)/c
[式中、lnは自然対数、tは試験溶液の流下時間(秒)、tは溶媒の流下時間(秒)、及びcは試験溶液中のポリエステル樹脂濃度(g/dl)を示す。]
【0085】
溶融ストランドの発煙状態
ポリエステル樹脂組成物の調製時における溶融ストランドの発煙状態を目視にて観察した。発煙が激しい場合を×、発煙がある場合を△、殆ど発煙が無い場合を○、発煙が無い場合を◎で表示した。○および◎が使用できる範囲と判断される。
【0086】
環状オリゴマー
所定のポリエステル樹脂組成物300mgをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロホルム30mlを加えて希釈する。これにメタノール15mlを加えてポリマーを沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、N,N−ジメチルホルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法(島津製作所 LC7A)により定量した。少ないほど成形体にした場合の外観に優れる。
【0087】
引っ張り強度
ASTM D 638に準拠して引っ張り強度を測定した。尚、試験温度は25℃とした。引っ張り強度の値が高いほど優れる。
【0088】
製造例1
攪拌機、温度計、冷却管及びガス導入口を備えた500mlの4ツ口フラスコに1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(以下「BTC」と略記する。)12.9g(0.055モル)とN−メチルピロリドン100gを秤取り、窒素雰囲気下、室温にて攪拌しながらBTCを完全溶解させた。続いて、シクロヘキシルアミン24.0g(0.242モル)、亜リン酸トリフェニル74.7g(0.182モル)、ピリジン19.2g(0.182モル)及びN−メチル−2−ピロリドン50gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら100℃で4時間反応を行った。冷却後、反応溶液をイソプロピルアルコール500mlと水500mlの混合溶液中にゆっくり注ぎ込み、約40℃で1時間攪拌後、析出した白色沈殿物を濾別した。更に、得られた白色固体を約40℃のイソプロピルアルコール500mlで2回洗浄した後、100℃、133Paにて6時間乾燥した。
得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、目開き106μmの標準篩い(JIS Z8801規格)に通して、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド(以下、「BTC−CHA」と略記する)20.6g(収率66%)を得た。
【0089】
得られたBTC−CHAをFT−IR分析を行った結果、アミド化合物に由来する特性吸収(C=O伸縮振動及びN−H伸縮振動)を確認した。表1に得られたBTC−CHAの融点測定結果および5%重量減少温度を記載した。
【0090】
製造例2
攪拌機、温度計、冷却管及びガス導入口を備えた500mlの4ツ口フラスコにトリメシン酸(以下「TM」と略記する。)11.6g(0.055モル)とN−メチルピロリドン100gを秤取り、窒素雰囲気下、室温にて攪拌しながらTAを完全溶解させた。続いて、シクロヘキシルアミン20.5g(0.182モル)、亜リン酸トリフェニル56.3g(0.182モル)、ピリジン14.4g(0.182モル)及びN−メチルピロリドン50gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら100℃で4時間反応を行った。冷却後、反応溶液をイソプロピルアルコール500mlと水500mlの混合溶液中にゆっくり注ぎ込み、約40℃で1時間攪拌後、析出した白色沈殿物を濾別した。更に、得られた白色固体を約40℃のイソプロピルアルコール500mlで2回洗浄した後、100℃、133Paにて6時間乾燥した。
得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、目開き106μmの標準篩い(JIS Z8801規格)に通して、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド)(以下、「TM−CHA」と略記する)19.4g(収率78%)を得た。
【0091】
得られたTM−CHAをFT−IR分析を行った結果、アミド化合物に由来する特性吸収(C=O伸縮振動及びN−H伸縮振動)を確認した。表1に得られたTM−CHAの融点測定結果および5%重量減少温度を記載した。
【0092】
製造例3
アミンとしてアニリンを用いた他は製造例2と同様に行い、トリメシン酸トリアニリド(以下、「TM−TA」と略記する)を得た。
【0093】
得られたTM−TAをFT−IR分析を行った結果、アミド化合物に由来する特性吸収(C=O伸縮振動及びN−H伸縮振動)を確認した。表1に得られたTM−TAの融点測定結果および5%重量減少温度を記載した。
【0094】
製造例4
アミンとしてヘキシルアミンを用いた他は製造例2と同様に行い、トリメシン酸トリヘキシルアミド(以下、「TM−HA」と略記する)を得た。
【0095】
得られたTM−HAをFT−IR分析を行った結果、アミド化合物に由来する特性吸収(C=O伸縮振動及びN−H伸縮振動)を確認した。表1に得られたTM−HAの融点測定結果および5%重量減少温度を記載した。
【0096】
製造例5
攪拌機、温度計、冷却管及びガス導入口を備えた500mlの4ツ口フラスコにトリカルバリル酸(以下「TC」と略記する。)9.7g(0.055モル)とN−メチルピロリドン100gを秤取り、窒素雰囲気下、室温にて攪拌しながらTCを完全溶解させた。続いて、2−メチルシクロヘキシルアミン(トランス体:シス体=74:26、GLC組成比)20.5g(0.182モル)、亜リン酸トリフェニル56.3g(0.182モル)、ピリジン14.4g(0.182モル)及びN−メチルピロリドン50gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら100℃で4時間反応を行った。冷却後、反応溶液をイソプロピルアルコール500mlと水500mlの混合溶液中にゆっくり注ぎ込み、約40℃で1時間攪拌後、析出した白色沈殿物を濾別した。更に、得られた白色固体を約40℃のイソプロピルアルコール500mlで2回洗浄した後、100℃、133Paにて6時間乾燥した。
得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、目開き106μmの標準篩い(JIS Z8801規格)に通して、トリカルバリル酸トリス(2−メチルシクロヘキシルアミド)(以下、「TC−2MCHA」と略記する)18.8g(収率74%)を得た。
【0097】
得られたTC−2MCHAをFT−IR分析を行った結果、アミド化合物に由来する特性吸収(C=O伸縮振動及びN−H伸縮振動)を確認した。表1に得られたTC−2MCHAの融点測定結果および5%重量減少温度を記載した。
【0098】
製造例6
攪拌機、温度計、冷却管及びガス導入口を備えた500mlの4ツ口フラスコに1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸(以下「CHT」と略記する。)11.9g(0.055モル)とN−メチルピロリドン100gを秤取り、窒素雰囲気下、室温にて攪拌しながらCHTを完全溶解させた。続いて、アニリン18.0g(0.182モル)、亜リン酸トリフェニル56.3g(0.182モル)、ピリジン14.4g(0.182モル)及びN−メチルピロリドン50gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら100℃で4時間反応を行った。冷却後、反応溶液をイソプロピルアルコール500mlと水500mlの混合溶液中にゆっくり注ぎ込み、約40℃で1時間攪拌後、析出した白色沈殿物を濾別した。更に、得られた白色固体を約40℃のイソプロピルアルコール500mlで2回洗浄した後、100℃、133Paにて6時間乾燥した。
得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、目開き106μmの標準篩い(JIS Z8801規格)に通して、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリアニリド(以下、「CHT−TA」と略記する)24.2g(収率96%)を得た。
【0099】
得られたCHT−TAをFT−IR分析を行った結果、アミド化合物に由来する特性吸収(C=O伸縮振動及びN−H伸縮振動)を確認した。表1に得られたCHT−TAの融点測定結果および5%重量減少温度を記載した。
【0100】
実施例1〜4
120℃で12時間減圧乾燥したポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部と上記の製造例1〜4で得られた各アミド化合物0.5重量部とをヘンシェルミキサーによりドライブレンドした後、得られたドライブレンド物を押出機にて樹脂温度265℃で溶融混合し、得られたストランドを水冷後カッティングしてペレットを得た。溶融ストランドの発煙状態、得られたペレットの溶融粘度および対数粘度を表1に示した。
いずれも溶融粘度の低下が認められたが、重合度の低下はほとんど生起しなかった。
【0101】
実施例5〜10
120℃で12時間減圧乾燥したポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部と上記の製造例1〜6で得られた各アミド化合物0.2重量部とをヘンシェルミキサーによりドライブレンドした後、得られたドライブレンド物を押出機にて樹脂温度265℃で溶融混合し、得られたストランドを水冷後カッティングしてペレットを得た。溶融ストランドの発煙状態、得られたペレットの溶融粘度および対数粘度を表1に示した。
いずれも溶融粘度の低下が認められたが、重合度の低下はほとんど生起しなかった。
【0102】
比較例1
アミド化合物を配合しない他は実施例1と同様に行い、溶融ストランドの発煙状態、得られたペレットの溶融粘度および対数粘度を表1に示した。
【0103】
比較例2
ステアリルアマイドを添加した他は実施例1と同様に行い、溶融ストランドの発煙状態、得られたペレットの溶融粘度および対数粘度を表1に示した。溶融粘度の低下が認められるものの、溶融ストランドの発煙が激しく、重合度低下も見られた。
【0104】
【表1】

【0105】
実施例11〜14
120℃で12時間減圧乾燥したポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部と上記の製造例1〜4で得られた各アミド化合物0.5重量部とをヘンシェルミキサーによりドライブレンドした後、得られたドライブレンド物を押出機にて樹脂温度265℃で溶融混合し、得られたストランドを水冷後カッティングしてペレットを得た。溶融ストランドの発煙状態、得られたペレットの溶融粘度、対数粘度及び環状オリゴマー含有量を表2に示した。
いずれも溶融粘度の低下が認められたが、重合度の低下はほとんど生起しなかった。
【0106】
比較例3
アミド化合物を配合しない他は実施例9と同様に行い、溶融ストランドの発煙状態、得られたペレットの溶融粘度、対数粘度及び環状オリゴマー含有量を表2に示した。
【0107】
【表2】

【0108】
実施例15
120℃で12時間減圧乾燥した対数粘度0.90のポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部と上記の製造例2で得られたアミド化合物「TM−CHA」3重量部とをヘンシェルミキサーによりドライブレンドした後、得られたドライブレンド物をエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、樹脂温度280℃、吐出圧力7MPaで、孔径0.5mmの口金から吐出したところ、紡糸速度は4.0g/分であり、その糸の対数粘度は0.89であった。
【0109】
比較例4
アミド化合物を使用しない以外は、実施例15と同様に紡糸速度を測定したところ、2.6g/分であった。
【0110】
実施例16
実施例12で得たペレットを、射出成形機(型縮圧40トン、日精樹脂工業社製)を用いて、射出時間15秒、冷却時間20秒、金型温度140℃でASTM1号ダンベル試験片を成形した。ASTM D−638に従い、引っ張り強度を測定したところ、68MPaだった。また、成形体表面の白化は見られなかった。
【0111】
比較例5
比較例3で得たペレットを用いた以外は実施例16に従い成形並びに測定を行った。引っ張り強度は55MPaであった。一部、成形体表面の白化を確認した。

【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の溶融粘度低減剤は、ポリエステル樹脂の分子量を低下させることなく、溶融粘度を低減させるのに有効である。特に、高粘度のポリエステル樹脂のフィルム加工における加工性の向上、成形加工における成型品の薄肉化や精密化、成形サイクルの時間短縮等が容易になり、生産性や製品品質の向上に寄与する。

出願人 新日本理化株式会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
−(CONHRn (1)
[式中、nは、3〜6の整数を表す。
は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。
3〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族、脂環族、又は芳香族のアミン残基を表す。]
で表される少なくとも1種のアミド化合物を含有することを特徴とするポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
【請求項2】
前記アミド化合物の5%重量減少温度が280℃以上である請求項1に記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
【請求項3】
が、炭素数3〜10の飽和脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数6〜12の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
【請求項4】
が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸残基、トリカルバリル酸残基、トリメシン酸残基、又は、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸残基である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤とポリエステル樹脂とを含むことを特徴とする溶融粘度の低減されたポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート又はエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とする請求項5に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
ポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤の含有量が、ポリエステル樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部である請求項5又は6に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂組成物中の環状オリゴマーの含有量が、ポリエステル樹脂組成物に対して0.5重量%以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得られるポリエステル繊維。
【請求項10】
請求項5〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【請求項11】
請求項10に記載の成形体を得る成形方法であって、該成形方法が射出成形、押し出し成形、射出ブロー成形、射出押出ブロー成形、射出圧縮成型、押出ブロー成形、又は押出サーモフォーム成形押出成形である成形方法。
【請求項12】
一般式(1)
−(CONHRn (1)
[式中、nは、3〜6の整数を表す。
は、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基、又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。
3〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族、脂環族、又は芳香族のアミン残基を表す。]
で表される少なくとも1種のアミド化合物とポリエステル樹脂とを溶融混合することを特徴とするポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
【請求項13】
前記アミド化合物の5%重量減少温度が280℃以上であることを特徴とする請求項12に記載のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
【請求項14】
が、炭素数3〜10の飽和脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数6〜12の脂環族ポリカルボン酸残基、又は芳香族ポリカルボン酸残基であることを特徴とする請求項12又は13に記載のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。
【請求項15】
が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸残基、トリカルバリル酸残基、トリメシン酸残基、又は、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸残基である請求項12〜14のいずれかに記載のポリエステル樹脂の溶融粘度低減方法。


【公開番号】特開2006−225644(P2006−225644A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10467(P2006−10467)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】