説明

ポリエステル系繊維のアルカリ減量加工用促進剤とそれを用いたアルカリ減量加工方法

【課題】易減量成分を含むポリエステル系繊維のアルカリ減量を促進し、繊維への残留が少なく、後工程でも問題のないポリエステル系繊維アルカリ減量加工用促進剤を提供する。
【解決手段】本発明のアルカリ減量加工用促進剤は、下記一般式で示す化合物を一種以上含むものからなる。


(式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、mは0〜5の整数、nは0〜20の整数である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル系繊維のアルカリ減量加工処理用促進剤及びこれを用いたアルカリ減量加工方法に関する。詳しくは、易減量成分を含むポリエステル系繊維布帛並びに易減量成分を含むポリエステル系繊維と他の繊維とからなる布帛をアルカリ性水溶液によってアルカリ減量加工する際に使用される減量加工処理促進剤及びこれを用いたアルカリ減量加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリエステル系繊維からなる布帛の減量加工は、高濃度のアルカリ性水溶液中でポリエステル系繊維のエステル基を加水分解することにより行われている(アルカリ減量加工方法)。しかし、アルカリ性成分とポリエステルの反応が遅いため、反応時間を長くとるか、過剰な濃度のアルカリ性成分を使用しているのが現状であり、このため生産性が低い。
【0003】
この反応性を上げるため、減量加工処理の促進剤について種々検討がなされており、なかでもカチオン系の活性剤である第四級アンモニウム塩等の減量加工処理促進剤が実際に使用されている。しかしこれらの減量加工処理促進剤を使用した場合、該減量加工処理促進剤のカチオン成分が繊維に残留しやすいため、後工程である染色工程や仕上工程でのトラブル発生(染料スペック、染色斑、白度低下など)するという問題点や、減量加工処理の促進効果が大きすぎ、処理された布帛が、著しい強力低下を生ずるという問題点もある。また、第四級アンモニウム塩といったカチオン系の薬剤を使用する場合、その残留除去のため、減量加工後にアニオンソーピングが必要といった工程上の負荷が大きいという問題も抱えている。
【0004】
また、ポリエステル系繊維において減量速度の異なるポリマーを2成分以上複合し、紡糸、延伸、仮撚などの工程を経た繊維を、アルカリ減量加工する際に、アルカリ減量速度の大きい易減量成分を溶出除去することにより、極細繊維や特殊断面構造繊維を得るための提案がなされている(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開昭58−54022号公報
【特許文献2】特開平02−145812号公報
【0005】
しかしながら、これらの繊維を用いた布帛を減量する場合、第四級アンモニウム塩等のカチオン系の活性剤を減量加工処理促進剤として使用したアルカリ減量では、減量速度の低い未変性のポリエステル繊維まで減量が促進され、布帛としての著しい強力低下を生ずるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、ポリエステル系繊維布帛のアルカリ減量加工を行うに際して、減量を促進し、繊維への残留が少なく、後工程においても問題を起こすことなく、アニオンソーピングといった工程の負荷を軽減するアルカリ減量加工用処理促進剤を提供することを目的とする。
【0007】
また、該減量加工用処理促進剤を用いることにより、ポリエステル系繊維、特に易減量成分を含んだポリエステル系繊維の減量を優先的に促進するとともに、他の繊維への減量影響度を低減し、布帛としての強力低下を低減するとともに布帛への残留が少なく、後加工においても問題を起こすことのないポリエステル系繊維のアルカリ減量加工方法を提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記一般式〔化1〕で表される化合物を含むポリエステル系繊維減量加工用促進剤と、アルカリ性成分を含んでなる減量処理液とを用いて減量加工を行うと、減量促進効果があり、しかも繊維への残留が少なく、後加工の染色工程や仕上工程での問題の発生も無いことを見出し、この知見に基づき本発明を完成させた。
【化1】


(〔化1〕中、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは0〜5の整数を表し、nは0〜20の整数を表す。)
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式〔化1〕で表される化合物を含むことを特徴とするポリエステル系繊維アルカリ減量加工用促進剤である。
【化1】


(〔化1〕中、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは0〜5の整数を表し、nは0〜20の整数を表す。)
【0010】
なかでも前記化合物が、下記一般式〔化2〕で表される化合物であることが好ましい。
【化2】


(〔化2〕中、mは0〜5の整数を表す。)
【0011】
さらに本発明のアルカリ減量加工用促進剤は、前記化合物の他に、界面活性剤が含まれるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアルカリ減量加工用促進剤をポリエステル系繊維のアルカリ減量加工に用いれば、ポリエステル系繊維の減量促進効果が優れているので、加工時間の短縮やアルカリ性成分の使用量削減等による生産性の向上が可能である。
【0013】
また、本発明の促進剤は、従来から用いられている第4級アンモニウム塩からなるカチオン系促進剤と比較して、繊維への残留性が少なく、ポリエステル系繊維のアルカリ減量加工用の処理促進剤として有利に用いることができる。
【0014】
さらに、本発明の減量促進剤は、ポリエステル系繊維、特に易減量成分を含んだポリエステル系繊維布帛および易減量成分からなるポリエステル系繊維と他の繊維からなる布帛にアルカリ減量加工を行うに際して、顕著な減量促進効果を奏する。また易減量性ポリエステル繊維と未変性ポリエステル繊維あるいは他の繊維にて構成の布帛を、アルカリ減量する本発明の減量加工方法によれば、未変性ポリエステル繊維成分或いは他の繊維の減量を何等促進することなく、易減量性ポリエステル繊維成分或いは該繊維の減量を著しく促進するものであり、布帛としての強力低下を低減するとともに布帛への残留が少なく、後加工においても問題を起こさなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔減量促進剤〕
本発明の減量促進剤は、上述のとおり一般式〔化1〕に示される化合物を含むものであり、一価アルコール(n=0の場合)、一価アルコールアルキレンオキサイド付加物(n=1〜20の整数の場合)である。
【0016】
【化1】


(〔化1〕中、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは0〜5の整数を表し、nは0〜20の整数を表す。)
【0017】
一般式〔化1〕である一価アルコールとしては、具体的には下記一般式〔化2〕で示されるα−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフチルメタノール、β−ナフチルアルコールなどが挙げられる。
【0018】
【化2】


(〔化2〕中、mは0〜5の整数を表す。)
【0019】
また、一般式〔化1〕において、nが1〜20の整数の場合の一価アルコールアルキレンオキサイド付加物における、一価アルコール成分としても、上記と同様のものが挙げられる。
【0020】
本発明の減量促進剤を構成する一価アルコールアルキレンオキサイド付加物は、かかる一価アルコールにアルキレンオキサイドを1モル以上付加して生成されるものである。付加反応方法としては、特に限定はなく、通常知られている方法により生成される。本発明において、減量促進剤として好ましく用いられる一価アルコールアルキレンオキサイド付加物としては、かかる一価アルコールのエチレンオキサイド1〜20モル付加物や一価アルコールのエチレンオキサイド1〜12モル、プロピレンオキサイド1〜16モル付加物などが挙げられる。
【0021】
〔その他添加成分〕
さらに本発明のアルカリ減量加工用促進剤には、必要により従来から用いられているアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の界面活性剤、キレート剤、溶剤などを加えてよい。なかでも界面活性剤は、上記〔化1〕記載の化合物との相乗作用により、易減量成分を含んだポリエステル系繊維の減量を、より優先的に促進する点で好適であり、添加することが好ましい。
【0022】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルコールまたはアルコールへのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、炭素数4〜18の1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0023】
キレート剤としては、縮合リン酸系キレート剤(ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等)、アミノカルボン酸系キレート剤およびそれらの塩(ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等およびそれらの金属塩、アミン塩、アンモニウム塩等)、高分子界面活性剤およびそれらの塩(ポリアクリル酸、ポリマレイン酸等およびそれらの金属塩、アミン塩、アンモニウム塩等)、および天然物もしくは天然物由来のキレート剤およびそれらの塩(グルコン酸、フィチン酸、D−ソルビトール等およびそれらの金属塩、アミン塩、アンモニウム塩等)などが挙げられる。
【0024】
溶剤としては、低級ないし中級アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0025】
〔ポリエステル系繊維〕
本発明の減量加工用促進剤によってアルカリ減量加工を受けるポリエステル系繊維とは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらの共重合成分などからなる未変性ポリエステル繊維、或いは前記未変性ポリエステル繊維の共重合成分にさらに易減量成分を共重合した易減量性ポリエステル系繊維をいう。
【0026】
前記易減量成分としてはイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸、トリメリット酸等のトリカルボン酸、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールB等のジオールのスルホン化物が挙げられる。これらは2成分以上用いてもよい。代表的なものとしては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が挙げられる。
【0027】
前記易減量成分の好ましい共重合量としては、易減量成分の種類によってそれぞれ異なる。例えばテレフタル酸では1.5〜12mol%であることが好ましい。重合度が低すぎると所望の結果が十分に得られない場合がある。一方、重合度が高すぎると、変性ポリエステルの結晶構造が乱れ大幅な物性低下を招くことがある。同様に、アジピン酸の共重合量では3〜7mol%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量では1.5〜4mol%であることが好ましい。
【0028】
易減量性ポリエステル系繊維は、前記易減量成分がポリエステルの連鎖または末端の一部に含まれているので、減量加工用操作において、未変性のポリエステル系繊維と比較して、5倍以上の減量率が得られる。
【0029】
一方、未変性ポリエステルとは、前記易減量成分の共重合量が0.5mol%以下である、実質的にエチレンテレフタレート単位のみからなるポリエチレンテレフタレート、またはブチレンテレフタレート単位のみからなるポリブチレンテレフタレートである。
【0030】
繊維の形態としては、前記易減量性を有する変性ポリエステルと未変性ポリエステルやポリアミド系繊維など他の合成繊維のポリマーを2成分以上複合し、紡糸、延伸、仮撚などの工程を経た複合繊維や易減量性ポリエステル単独を、紡糸、延伸、仮撚などの工程を経た繊維であり、短繊維、長繊維のいずれでも構わない。
【0031】
また、本発明において、布帛とは各種繊維が単独かまたは任意の形態で組合わされた複合糸、混紡糸、混繊糸、交撚糸等による織物、編物、不織布或いは交織、交編等による織物、編物、不織布をいう。易減量性ポリエステルと未変性ポリエステルや他の合成繊維にて構成の布帛とは、易減量性ポリエステルと未変性ポリエステルや他の合成繊維成分とを複合紡糸(コンジュゲート紡糸)した繊維からなる織物、編物、不織布、及び易減量性ポリエステル繊維と未変性ポリエステルからなる繊維とが任意の形態で組合わされた混紡、混繊、交撚等による糸条を用いた織物、編物、不織布或いは交織、交編等による織物、編物、不織布をいう。また、これらの複合繊維に他の繊維が組合わされたものであってもよい。更に、布帛における易減量性ポリエステルと未変性ポリエステルの割合や他の繊維との割合は、任意であってよい。
【0032】
〔アルカリ減量処理方法〕
また、本発明は、かかる易減量性ポリエステルと未変性ポリエステルや他の合成繊維にて構成の布帛や、易減量性ポリエステルと他の繊維としての天然、再生、半合成、合成繊維との混紡、交織、交編の織編物、不織布などの布帛の減量に際して、該減量促進剤とアルカリを用いて、常温以上の温度で、アルカリ減量処理することを特徴とするアルカリ減量処理方法でもある。
【0033】
本発明のアルカリ減量加工用促進剤は、ポリエステル、特に易減量性ポリエステル繊維と未変性ポリエステル繊維とが並存した場合の減量に、易減量性ポリエステル繊維側を効率よく減量促進するものであり、易減量性ポリエステル繊維と未変性ポリエステル繊維や他の繊維が共存する布帛のアルカリ減量においても効果的に用いられる。また、従来の処方による処理でみられるような、繊維への残留による後加工への悪影響もなくなる。
【0034】
かかる減量処理には、前記減量促進剤とアルカリ性成分との混合水溶液からなる処理剤を用いる。かかるアルカリ性成分としては、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等のアルカリが挙げられる。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミンを併用して、アルカリ水溶液としとすることもできる。かかるアルカリ水溶液中で布帛を浸漬処理する。なかでもアルカリ性成分としては、苛性ソーダがその効果が大きく好適である。処理方法はバッチ処理と連続処理が挙げられるが、本発明の促進剤はそのいずれにも使用することができる。バッチ処理では、通常2〜20重量%の苛性ソーダ水溶液が用いられ、減量率は通常5〜70重量%の範囲である。
【0035】
減量処理は、一般に、温度40℃〜135℃で10〜120分間、浴比1:5〜1:30において、液流染色機などを用いて行われるが、ポリエステル系繊維布帛の諸物性や風合いの低下など考慮すると、80〜130℃の範囲が好ましい。連続処理では、通常5〜40重量%の苛性ソーダ水溶液が用いられ、減量率は通常5〜50重量%程度である。連続処理は、一般に、温度90℃〜140℃で、数秒〜20分間、パッド-スチーマーなどを用いて行われる。本発明の促進剤は、アルカリ浴中に不揮発分として通常0.1〜6重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量で添加される。0.5重量%未満であれば、減量促進効果が不十分であり、5重量%を超えると減量率のコントロールが困難となる。
【0036】
〔減量率〕
易減量性ポリエステル繊維と未変性ポリエステル繊維または他の繊維が並存した布帛のアルカリ減量の程度、即ち減量率は、減量され易い易減量性ポリエステルを対象として、未変性ポリエステルまたは他繊維の実質的減量の必要最低限内で、易減量性ポリエステルの全部が加水分解される減量から一部が加水分解される減量、つまり減量率100〜0.5重量%までの減量範囲で求めることができる。
【0037】
本発明のアルカリ減量加工方法においては、処理液中の前述の減量促進剤が存在することにより、易減量性ポリエステルと未変性ポリエステルとの減量の難易差が拡大化され、易減量性ポリエステルの未変性ポリエステルに対する減量速度比が10以上にもなる。このことによって、極めて容易に易減量性ポリエステルが減量されることから、例えば、アルカリ減量時の処理時間により、布帛中の易減量性ポリエステルの減量率を容易に制御し得る。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の様態のみに限定されるものではない。
【0039】
〔実施例1〕
β−ナフトールの乳化液(β−ナフトール90%/ラウリルアルコールエチレンオキサイド7モル付加物10%)
【0040】
〔実施例2〕
β−ナフトールのエチレンオキサイド2〜7モル付加物
【0041】
〔実施例3〕
β−ナフチルメタノールのエチレンオキサイド2〜7モル付加物
【0042】
〔実施例4〕
β−ナフトール
【0043】
〔比較例1〕
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの20%水溶液
【0044】
〔比較例2〕
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドの20%水溶液
【0045】
〔比較例3〕
ベンジルアルコールのエチレンオキサイド2〜7モル付加物
【0046】
〔評価方法〕
上記で得られた実施例のアルカリ減量加工用促進剤の測定および評価項目は次の方法によった。
【0047】
(1)減量率
処理前後の布の重量から、次式により減量率(%)を求める。
減量率(%)=〔(原布の重量−処理布の重量)/原布の重量〕×100
値が大きいほど減量効果が大きい。
【0048】
(2)減量速度比
易減量性ポリエステルの未変性ポリエステルに対する減量速度比であり、次式〔数1〕により求める。
【数1】

値が小さいほど減量効果が大きい。
【0049】
(3)促進剤残留性
処理布に残留した促進剤を定性的に判定する。その方法は、染料(CI Acid RED 118)1.0重量%(対処理布)を用いて、処理布を60℃で20分間染色処理し、着色の程度を未処理布と比較して下記の判定基準に基づき評価した。着色が強いものほど残留性が高いと判断する。
○:未処理布と同程度の着色である
△:未処理布よりやや濃く染まる
×:未処理布よりかなり濃く染まる
【0050】
(4)強度
強伸度測定機(性能評価1)と引裂強度試験機(性能評価2)により測定する。強伸度はJIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準拠して行った。引裂強度はJIS L 1096 8.15.5 D法(ペンジュラム法)に準拠して行った。
値が大きいほど強度が大きい。
【0051】
(5)白度
色差計SZ−Σ90(日本電色工業製)にてハンター白度を測定する。値が小さいものほど白度低下が大きい。
【0052】
〔性能評価1〕
5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%共重合の変性ポリエステル繊維83dtex/24fと未変性ポリエステル繊維83dtex/36fを撚数200T/Mで合撚した糸を用い、20Gのスムース編地を編成した。この編物を用いて、実施例1〜3の促進剤と比較例1〜3の促進剤の性能評価を苛性ソーダ 25g/L、100℃×60分処理にて行った。その結果を表1に記す。
【0053】
【表1】

【0054】
〔性能評価2〕
5−ナトリウムスルホイソフタル酸8モル%共重合の変性ポリエステル繊維(83dtex/36f)とナイロン6繊維(56dtex/24f)を撚数200T/Mで合撚した糸を用い、織密度;経70本/インチ、緯68本/インチの平織り地を織成した。この織物を用いて、実施例1〜3の促進剤と比較例1〜3の促進剤の性能評価を目標減量率60%、95℃処理のバッチ法にて行った。その結果を表2に記す。
【0055】
【表2】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式〔化1〕で表される化合物を含むことを特徴とするポリエステル系繊維アルカリ減量加工用促進剤。
【化1】


(〔化1〕中、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは0〜5の整数を表し、nは0〜20の整数を表す。)
【請求項2】
下記一般式〔化2〕で表される化合物を含むことを特徴とするポリエステル系繊維アルカリ減量加工用促進剤。
【化2】


(〔化2〕中、mは0〜5の整数を表す。)
【請求項3】
下記一般式〔化1〕で表される化合物と界面活性剤とを含むことを特徴とするポリエステル系繊維アルカリ減量加工用促進剤。
【化1】


(〔化1〕中、式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは0〜5の整数を表し、nは0〜20の整数を表す。)
【請求項4】
請求項1〜3いずれかの項に記載のポリエステル系繊維減量加工用促進剤と、アルカリ性水溶液とを含有した減量処理液を調製し、前記減量処理液中に、アルカリ性水溶液により溶出除去可能な易減量成分を含むポリエステル系繊維を浸漬させて、前記易減量成分の少なくとも一部を溶出除去することを特徴とするポリエステル系繊維のアルカリ減量加工方法。



【公開番号】特開2010−144294(P2010−144294A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324183(P2008−324183)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(390029458)一方社油脂工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】