説明

ポリエステル組成物

【課題】 ポリ乳酸の耐衝撃性、結晶化速度、耐ブリードに優れ、かつ良好な成形加工性を有する成形物を形成可能なポリエステル組成物を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)、或いはジオール(b1)、ジカルボン酸(b2)とに加えて、更にヒドロキシカルボン酸(b3)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D2)と、無機層状化合物(E)とを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性、耐衝撃性、結晶化速度、及び成形加工性に優れた食品包装等の製造に使用可能なポリエステル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸は、一般にトウモロコシ等の植物を出発原料として大量生産が可能で、かつ優れた透明性、及び生分解性等を有することから、環境調和型の成形用樹脂として注目されている。また、ポリ乳酸は、いまや食品包装分野でのスタンダードとなりつつあるポリオレフィン等衛生協議会の定めるポジティブリストに登録されたことで多方面での用途展開が期待されている。
【0003】
一方、ポリ乳酸は耐衝撃性と耐熱性といった性能面での欠点を有しており、例えば包装容器で熱湯又は電子レンジ等への使用することができず、ポリ乳酸の市場展開を進めるうえで大きな障害となっている。したがって、産業界からはポリ乳酸固有の優れた剛性等を損なうことなく、前記のような欠点を改善することが強く求められている。
【0004】
前記ポリ乳酸の耐熱性を改善する方法の1つとして、ポリ乳酸の結晶化を高めることによって向上させることが可能である。すなわち、ポリ乳酸の結晶化速度を高めることによって耐熱性の向上させることが期待できる。
【0005】
一般的にポリ乳酸を結晶化させる場合、成形加工時に金型をポリ乳酸の結晶化ピーク温度近辺、すなわち90℃以上、特に100〜140℃の範囲でセットして(高温設定では結晶化速度は高められるものの成形品が軟化してしまう)冷却を長時間に行うか、成形後に成形品をアニール処理して結晶化させる手法が挙げられる。しかし、成形時における長時間の冷却工程は、実用的でなく、かつ結晶化が不十分になり易く、又、アニールによる後結晶化は成形品が結晶化する過程で変形するため、寸法安定性が得られない、実用面ではひび、割れといった欠点があった。
【0006】
そこで、従来からポリ乳酸の結晶化速度を高める手法として、無機系、又は有機系添加剤、すなわち結晶核剤を添加する方法が検討されてきた。ポリ乳酸に無機系の結晶核剤を使用したものとしては、例えば、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の融点が100〜250℃、重量平均分子量3万〜50万の脂肪族ポリエステルを含有するものと結晶性SiO2を含有する耐熱性樹脂組成物が挙げられている(例えば、特許文献1参照、特許文献2参照)。しかしながら、実際に乳酸系ポリマーに核剤として記載のタルク、シリカ等を使用して射出成形を試みるものの未だ結晶化速度が遅く、また得られる成形物が脆いため、実用に耐えうる成形物を得られたとは言い難かった。
【0007】
一方、ポリ乳酸の脆さ、結晶化速度を促進させる目的で、乳酸を主成分とするポリエステル重合体からなる育苗用容器が開示されている(例えば、特許文献3参照)。耐衝撃性を解決する目的で、ポリ乳酸系ポリマーブロック共重合体又は/及び混合するに適したガラス転移温度の低い、例えば、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペートといった脂肪族ポリエステルを用いることによって耐衝撃性の改良を図っているが、これら脂肪族ポリエステルとポリ乳酸との相溶性が不充分であるため、ブリードや実用に耐え得る様々な成形品に適用するレベルに到っていない。
【0008】
ポリ乳酸の性能を改良する目的で、ポリ乳酸を他の樹脂等と共重合する方法の検討が進んでいる。例えばポリヒドロキシカルボン酸構造単位と、ジカルボン酸及びジオールから誘導されるポリエステル構造単位とを有するブロック共重合体からなり、前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位とポリエステル構造単位とのいずれか一方の構造単位が形成するマトリックス中に他方の構造単位がドメインを形成するミクロ相分離構造を有する特定の成形用樹脂や、該成形用樹脂及びポリヒドロキシカルボン酸を含有してなるポリエステル組成物、及びそれらを成形して得られるフィルム等の成形物が、柔軟性、耐衝撃性及び生分解性に優れ、かつ透明性にも優れることが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
最近、前記成形用樹脂の中で特にガラス転移温度を1つ有する成形用樹脂はブリードを抑制しつつ、結晶化速度を高める効果を有することを見いだした。前記成形用樹脂としては、ガラス転移温度を2つ有するものとして大日本インキ化学工業(株)社製のプラメートPD150、又、ガラス転移温度を1つ有するものとして同社製のプラメートPD350が市販されている。ここで、例えば、三井化学社製のポリ乳酸(品名:レイシア、品番:H400)(以下、PLAと省略する)にプラメートPD350を添加したブレンド物の示差走査熱量計(以下、DSCと省略する)を用いて測定される100℃における等温結晶化時間の結果を表1に示す。
【0010】
【表1】

【0011】
表1から、ガラス転移温度を1つ有する成形用樹脂は添加量とともにポリ乳酸の結晶化速度を向上させる効果を有することがわかる。しかしながら、この効果も実用面で今一歩及ぶレベルのものではなかった。
【0012】
【特許文献1】特許3359764号公報
【特許文献2】特許3599533号公報
【特許文献3】特許3687171号公報
【特許文献4】特開2004−250663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、ポリ乳酸の耐衝撃性、結晶化速度、耐ブリードに優れ、かつ良好な成形加工性を有する成形物を形成可能なポリエステル組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者はポリ乳酸の耐衝撃性、結晶化速度の向上、成形物からのブリードや成形加工性を改良するべく、前記文献4に記載された成形用樹脂と、ポリ乳酸と、層状構造を有する無機化合物を結晶化核剤として含有する組成物が前記の課題を解決することを見出し発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、ポリ乳酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)と、無機層状化合物(E)とを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、ポリ乳酸(A)と、ジオール(b1)、ジカルボン酸(b2)とに加えて、更にヒドロキシカルボン酸(b3)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D2)と、無機層状化合物(E)とを含有するポリエステル組成物をも提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のポリエステル組成物によれば、優れた結晶化速度、及び耐衝撃性を有し、かつ耐ブリード性及び成形加工性等を有する成形物を形成可能であることから、例えば食品容器等の広範な用途に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明で使用するポリ乳酸(A)としては、例えばL−ポリ乳酸、D−ポリ乳酸、D,L−ポリ乳酸、及びそれらの混合物等を好ましく使用することができる。
【0019】
前記D,L−ポリ乳酸は、L−乳酸又はL−ラクタイドと、D−乳酸又はD−ラクタイドとの共重合体であって、特にL−乳酸又はL−ラクタイド由来の構造単位の割合又はD−乳酸もしくはD−ラクタイド由来の構造単位の割合が90重量%以上であるものを使用することが好ましく、95重量%以上であるものを使用することがより好ましい。かかるD,L−ポリ乳酸を使用することによって、耐熱性、及び成形加工性に優れたポリエステル組成物を得ることができる。
【0020】
前記D,L−ポリ乳酸を構成するL体及びD体の割合(光学異性比率)は、それを加水分解して得られた乳酸を、光学異性体分離カラムを備えた高性能液体クロマトグラフィーを用いて、L―乳酸とD−乳酸とに分離した後、それらを定量することにより決定できる。前記加水分解の方法としては、例えば、D,L−ポリ乳酸と水酸化ナトリウム/メタノール混合溶液とを、例えば65℃に設定した水浴浸とう器を用いて混合する方法が挙げられる。高性能液体クロマトグラフィーを用いた定量の際には、予め希塩酸溶液等を用いて中和したものを使用することが好ましい。
【0021】
また、前記ポリ乳酸(A)としては、良好な成形加工性や機械的特性を維持する観点から、分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPC)法による標準ポリスチレン換算で、重量平均分子量が50,000〜400,000の範囲であるものを使用することが好ましく、重量平均分子量が100,000〜400,000の範囲であるものを使用することがより好ましい。
【0022】
前記ポリ乳酸(A)は、例えば、乳酸の縮合重合法や、乳酸の環状2量体であるラクタイドの開環重合法等で製造することができる。乳酸の重縮合反応は、乳酸の有するカルボキシル基及び水酸基をエステル化反応させる方法であり、例えばL−乳酸もしくはD−乳酸又はこれらの混合物を高沸点溶媒存在下、減圧下で共沸脱水させる方法が挙げられる。
【0023】
また、前記ラクタイドを用いた開環重合法とは、開環したラクタイド同士をエステル化反応する方法であり、例えば重合調節剤、及び重合触媒の存在下でL−ラクタイド又はD−ラクタイドを開環させる方法が挙げられる。又、L−乳酸とD−乳酸の2量体であるD,L−ラクタイドを本発明の目的を達成する範囲内で併用してもよい。
【0024】
次に、本発明で使用するブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)について説明する。
【0025】
本発明で使用するブロック共重合体(D1)は、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するものである。
【0026】
また、本発明で使用するブロック共重合体(D2)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)とを反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するものである。
【0027】
前記ポリエステル構造単位(B1)は、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)をエステル化反応させて得られるポリエステルに由来する構造単位であるが、なかでも側鎖を有するアルキル基からなるジオールとジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルに由来する構造単位であることが好ましい。
【0028】
また、前記ポリエステル構造単位(B2)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)とのエステル化反応により形成されたポリエステルに由来する構造単位であり、それらがランダムにエステル化反応したものであることが好ましい。
【0029】
また、前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)は、ヒドロキシカルボン酸のエステル化反応によって形成されたポリエステルに由来する構造単位であり、例えば乳酸のエステル化反応やラクトンの開環重合反応等によって形成されたポリ乳酸由来の構造単位が挙げられる。その他にポリグリコール酸単位、ポリカプロラクトン構造単位、又は混合物等を好ましく挙げることができる。
【0030】
前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)は、前記ポリエステル構造単位(B1)及び(B2)をY、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)をXとした場合、例えばXY型ブロック共重合体、XYX型ブロック共重合体、及びランダムブロック共重合体で示される構造を有する。本、本発明では前記したような異なる構造を有するブロック共重合体の混合物等を使用することもできる。
【0031】
前記ブロック共重合体(D1)としては、ブロック共重合体(D1)を構成する前記ポリエステル構造単位(B1)と前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)との重量割合[(B1)/(C)]が、20/80〜70/30の範囲であるものを使用することが好ましく、40/60〜70/30の範囲であるものを使用することが、優れた耐衝撃性、結晶化速度、成形加工性を有するポリエステル組成物を得るうえで好ましい。
【0032】
また、前記ブロック共重合体(D2)としては、ブロック共重合体(D2)を構成する前記ポリエステル構造単位(B2)と前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)との重量割合[(B2)/(C)]が、20/80〜70/30の範囲であるものを使用することが好ましく、40/60〜70/30の範囲であるものを使用することが、優れた耐衝撃性、結晶化速度、成形加工性を有するポリエステル組成物を得るうえで好ましい。
【0033】
前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)を構成する前記ポリエステル構造単位(B1)及びポリエステル構造単位(B2)は、結晶性であっても非結晶性であってもよいが、得られるポリエステル組成物の耐衝撃性、結晶化速度、及び成形加工性に優れたポリエステル組成物を得るうえで非結晶性であることが好ましい。
【0034】
一方で、前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)を構成する前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)は、結晶性であっても非結晶性であってもよいが、特に優れた耐衝撃性、及び成形加工性を有するポリエステル組成物を得るうえで非結晶性であることが好ましい。
なお、本発明でいう結晶性とは、例えば、DSC測定した際に融点が観察されるものをいい、また、非結晶性とは、例えば、前記測定により融点が観察されないものをいう。
【0035】
また、前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)としては、重量平均分子量5,000〜300,000の範囲を有するものを使用することが好ましく、重量平均分子量10,000〜200,000の範囲を有するものを使用することがより好ましい。前記の範囲の重量平均分子量を有するブロック共重合体を使用することによって、耐衝撃性、結晶性、耐ブリード性の優れたポリエステル組成物を得ることができる。
【0036】
前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)としては、JIS−K7122に準じてDSC測定されるガラス転移温度を−80℃〜60℃の範囲に1つ有するものを使用することが好ましい。前記温度範囲内に観察されるガラス転移温度が1つであるということは、前記ブロック共重合体を構成するポリエステル構造単位(B1)または(B2)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とが相溶していることを意味し、かかるブロック共重合体(D1)または(D2)を使用することによって結晶化速度に優れたポリエステル組成物を得ることができる。結晶化速度に優れるメカニズムは明かではないが、次のように推定する。ポリ乳酸マトリックス中に微細に分散した前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)がポリ乳酸の結晶核となって核成長速度が高まった、ポリ乳酸の結晶構造が、前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)により可塑化されて高次構造が乱れることにより結晶化速度が高まったと推定される。
【0037】
又、前記ガラス転移温度を1つ有するブロック共重合体(D1)または(D2)を含む本発明のポリエステル組成物を一軸または二軸延伸加工して得られたフィルムの動的粘弾性を、例えばJIS K−7198に準じて測定周波数1Hz、昇温速度3℃/minの測定条件で測定すると、損失正接のピーク極大値が2つ現れる。このピーク極大値は、ガラス転移温度に相当するものであって、前記ポリエステル構造単位(B1)または(B2)、及び前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)のそれぞれに対応したものが観察される。
【0038】
また、前記ブロック共重合体(D1)、及びブロック共重合体(D2)は、例えばそれぞれ下記の方法により製造することができる。
【0039】
前記ブロック共重合体(D1)は、例えばポリエステル(B1)とポリヒドロキシカルボン酸(C)とを溶融混合した後、エステル化触媒を添加し、減圧下でエステル化反応させることによって製造することができる(方法1)。
【0040】
前記(方法1)での反応温度は、170〜220℃の範囲であることが好ましく、180〜210℃の範囲であることがより好ましい。前記範囲の温度で反応させることによって、得られるブロック共重合体(D1)の分子量低下、色相の低下、ポリヒドロキシカルボン酸(C)の解重合を抑制することが可能である。
【0041】
また、前記(方法1)での減圧度は、高真空である程、エステル化反応が速やかに進行するので好ましい。具体的には2kPa以下が好ましく、1kPa以下がより好ましく、0.5kPa以下が特に好ましい。
【0042】
前記ブロック共重合体(D1)を製造する際に使用できるポリエステル(B1’)は、前記ブロック共重合体(D1)のポリエステル構造単位(B1)を形成しうるものである。
【0043】
前記ポリエステル(B1’)としては、重量平均分子量5,000〜300,000の範囲を有するものが好ましく、10,000〜100,000の範囲を有するものがより好ましい。
【0044】
前記ポリエステル(B1’)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とを反応させることによって得られる。
前記ポリエステル(B1’)を製造する際に使用できるジオール(b1)としては、脂肪族ジオールや芳香族ジオールが挙げられ、なかでも脂肪族ジオールを使用することが好ましい。
【0045】
前記脂肪族ジオール(b1)としては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキシリレングリコール等を使用することができる。
【0046】
また、前記芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等を使用することができる。
【0047】
前記ジオールとしては、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の分岐したアルキル基を有するジオールを使用することが、本発明のポリエステル組成物の柔軟性を一層向上させるため好ましい。
【0048】
また、前記ジオールとしては、前記脂肪族ジオールを2種類以上併用でき、例えばプロピレングリコールとポリエチレングリコールとの併用、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの併用などが挙げられる。
【0049】
また、前記ジオール(b1)には、本発明の目的を達成する範囲内でジオール以外の水酸基含有化合物を併用することができ、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール等を使用することができる。
【0050】
また、前記ジカルボン酸(b2)としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を使用することができる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸等を使用することができる。また、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を使用することができる。ジカルボン酸としては、前記したものを2種類以上併用することもでき、例えば、テレフタル酸とアジピン酸との併用、セバシン酸とダイマー酸との併用などが挙げられる。
【0051】
前記ポリエステル(B1’)の製造方法は、特に限定されず、例えば前記ジオール(b1)と、ジカルボン酸(b2)、その無水物またはそのエステル化物とを、必要に応じてエステル化触媒を用いて、種々のエステル化反応によってエステル化させることにより製造することができる。その際、ポリエステル(B1’)の着色を抑制するために、亜リン酸エステル化合物等の酸化防止剤を、前記ジオールと、ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル化物との合計量に対し、好ましくは10〜2000ppm使用してもよい。
【0052】
前記エステル化触媒としては、周期律表2族、3族、及び4族からなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属や有機金属化合物からなるものを好ましく使用することができる。前記エステル化触媒としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属や、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物を使用することができる。
【0053】
また、前記エステル化触媒の使用量は、通常、前記ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)等との反応を制御でき、かつ色相等の良好なものが得られる量であればよく、一般的にジオールとジカルボン酸等との合計量に対し、10〜1000ppmの範囲であることが好ましく、20〜800ppmの範囲であることがより好ましく、30〜500ppmの範囲であることが、ポリエステル(B1’)の色相の悪化を抑制する観点から特に好ましい。
【0054】
前記エステル化触媒は、ジオールとジカルボン酸等との原料を仕込む際に添加しておいてもよく、減圧開始の際に添加してもよい。
【0055】
また、前記エステル化触媒は、前記ポリエステル(B1’)製造後に、種々の方法で失活させることが、ブロック共重合体(D1)やブロック共重合体(D2)を製造する際の副反応を抑制できることから好ましい。エステル化触媒の失活方法としては、例えばキレート化剤を使用する方法がある。
【0056】
前記キレート化剤としては、種々の有機系キレート化剤あるいは無機系キレート化剤を使用することができる。有機系キレート化剤としては、例えば、アミノ酸、フェノール類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、オキシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチオ化合物、ジアゾ化合物、チオール類、ポルフィリン類、配位原子としてN含有のフェノール類やカルボン酸等を使用することができる。無機キレート化剤としては、例えば、リン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等のリン化合物を使用することができる。
【0057】
前記ポリエステル(B1’)を製造する際の温度は、150〜260℃の範囲であることが好ましく、180〜240℃の範囲であることがより好ましい。前記ポリエステル(B1)を製造する際の反応時間は2時間以上であることが好ましく、4〜60時間の範囲であることがより好ましい。前記ポリエステル(B1’)を製造する際の減圧度は、10torr以下であることが好ましく、2torr以下であることがより好ましい。
【0058】
また、前記ポリエステル(B1’)としては、前記方法で得られたポリエステルと、酸無水物や多価イソシアネートや過酸化物等とを反応させることによって高分子量化したポリエステルを、本発明を損なわない範囲内で使用することができる。
【0059】
なお、前記ポリエステル(B1’)は、前記ポリヒドロキシカルボン酸(C’)と溶融混合する前に、予めポリエステル(B1’)を製造する際に使用したエステル化触媒を除去または失活等を行って不活性にしておくことが好ましい。これによって、得られるブロック共重合体(D1)の分子量低下を抑制することができる。
【0060】
また、前記(方法1)で使用できるポリヒドロキシカルボン酸(C’)は、前記ブロック共重合体(D1)のポリヒドロキシカルボン酸構造単位(B−3)を形成しうるものであって、例えば乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p―ヒドロキシ安息香酸及びこれらの混合物の重縮合物を使用することができる。
【0061】
前記ポリヒドロキシカルボン酸(C’)としては、重量平均分子量10,000〜400,000の範囲を有するものを使用することが好ましく、重量平均分子量30,000〜400,000の範囲を有するものを使用することがより好ましい。かかるポリヒドロキシカルボン酸(C’)を使用することによって、ブロック共重合体(D1)として高分子量のものを製造できる。
【0062】
前記エステル化触媒としては、前記ポリエステル(B1’)を製造する際に使用できるものとして例示したものと同様のものを好ましく使用することができる。エステル化触媒の使用量は、ポリエステル(B1’)とポリヒドロキシカルボン酸(C’)と合計量に対して50〜500ppmの範囲であることが好ましく、50〜300ppmの範囲であることがより好ましく、50〜200ppmの範囲であることが特に好ましい。かかる範囲でエステル化触媒を使用することで、ブロック共重合体(D1)の分子量の低下を抑制するとともに、良好な色相を有したブロック共重合体(D1)を得ることができる。
【0063】
また、前記ブロック共重合体(D1)は、例えば前記ポリエステル(B1’)、及び前記ポリヒドロキシカルボン酸(C’)とをエステル化触媒を用いて、高沸点溶媒の共存下、減圧条件で共沸脱水重縮合反応させることにより製造することもできる(方法2)。
【0064】
前記高沸点溶媒としては、例えばキシレン、アニソール、ジフェニルエーテル等を好ましく使用できる。また、減圧度は、高沸点溶媒が系内を還流させることが目的で、1000〜3000Paの範囲内であることが好ましい。なお、減圧下で反応させる場合には、前記高沸点溶媒が還流するような装置を用いることが好ましい。
また、水分は、一般に得られるブロック共重合体(D1)の分子量の低下を招くため、特に前記ポリエステル(B1’)としては、反応前に十分に乾燥させたものを使用することが好ましい。
【0065】
また、前記ブロック共重合体(D1)は、例えば前記ポリエステル(B1’)、及びラクトンを、開環重合触媒の存在下にて反応させることにより製造することができる(方法3)。
【0066】
前記ポリエステル(B1’)とラクトンとを開環重合触媒の存在下で反応させ前記ブロック共重合体(D1)を製造する方法は、具体的には不活性ガス雰囲気下、所定温度に設定した反応釜中に、前記ポリエステル(B1’)と前記ラクトンとを適当な良溶媒中に溶解または分散、均一化し、次いで、開環重合触媒を添加することによりそれらを反応させる方法である。反応温度は、ブロック共重合体(D1)の着色及び熱分解を防ぐという観点から150〜220℃の範囲が好ましく、160〜210℃の範囲がより好ましく、170〜200℃の範囲が特に好ましい。
【0067】
前記ラクトンとしては、例えば5員環および6員環のラクトンを使用することが好ましく、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、及びこれらの混合物等を使用することがより好ましい。
【0068】
前記ポリエステル(B1’)としては、反応前に十分に乾燥させて水分を除したものを使用することが好ましい。これは、系内に存在する水分によって前記ポリエステルとラクトンとの開環重合反応の阻害や、得られるブロック共重合体(D1)の分子量の低下等を招くためである。
【0069】
(方法3)で使用可能な溶媒としては、例えば、トルエンなどの不活性な溶媒を使用する。溶媒の添加量は、ポリエステル(B1’)とラクトンとの合計量に対して、3〜30重量部の範囲で使用することが好ましく、5〜30重量部の範囲で使用することがより好ましく、5〜20重量部使用することが更に好ましい。
【0070】
前記開環重合触媒としては、例えば、Sn、Ti、Zr、Zn、Ge、Co、Fe、Al、Mn、Hf等の金属又は有機金属化合物を好ましく使用することができる。これらの中でも、錫粉末、オクタン酸スズ、2−エチルヘキシル酸錫、ジブチルスズジラウレート、テトライソプロピルチタネート、テトラブトキシチタン、チタンオキシアセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)エトキサイド、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムアセチルアセトナートは、反応に対する活性作用が高い開環重合触媒であるため好ましい。
【0071】
前記開環重合触媒の使用量は、ポリエステル(B1’)とラクトンとの合計量に対して50〜500ppmの範囲が好ましく、50〜300ppmの範囲がより好ましく、50〜200ppmの範囲が特に好ましい。開環重合触媒の使用量がかかる範囲であれば、ブロック共重合体(D1)の分子量低下を抑制するとともに、良好な色相を有するブロック共重合体(D1)を得ることができる。
【0072】
前記ブロック共重合体(D1)を製造する方法としては、前記(方法1)〜(方法3)のなかでも、通常、多量の溶媒を除去する必要のない(方法1)及び(方法3)が好ましい。
【0073】
また、ブロック共重合体(D1)は、例えばブロック共重合体(D1)を更に多官能ポリオールや酸無水物や多価イソシアネートやエポキシ化合物や過酸化物等と反応させることにより高分子量化されたものであってもよい。
【0074】
前記ブロック共重合体(D1)を製造する際にした開環重合触媒やエステル化触媒は、必要に応じて適当な溶媒を用いることによって抽出除去してもよく、また前記キレート化剤を用いて前記エステル化触媒等を失活させてもよい。
【0075】
また、前記ブロック共重合体(D1)の保存安定性を向上させることを目的として、適宜、助剤を使用してもよい。かかる助剤としては、例えばカルボジイミドを使用することができる。
【0076】
一方で、前記ブロック共重合体(D2)は、例えばジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)とを反応させて得られたポリエステル(B2’)と、ポリヒドロキシカルボン酸(C’)とをエステル化反応することによって製造することができる。
【0077】
前記ポリエステル(B2’)は、前記ブロック共重合体(D2)のポリエステル構造単位(B2)を構成しうるものである。ポリエステル(B2’)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)との共重合体であって、こられがランダムに共重合したものであることが好ましい。
【0078】
前記ポリエステル(B2’)を製造する際に使用可能なジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)としては、前記ブロック共重合体(D1)を製造する際に使用可能なものとして例示したジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)と同様のものを使用することができる。
【0079】
また、ポリエステル(B2’)を製造する際に使用可能なヒドロキシカルボン酸(b3)としては、分子中に1個の水酸基とカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p−ヒドロキシ安息香酸あるいはこれらの混合物を使用することができる。ヒドロキシカルボン酸として光学異性体の存在するヒドロキシカルボン酸を使用する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれも使用することができる。また、前記ヒドロキシカルボン酸(b3)としては、固体または液体のものを使用してもよく、それらの水溶液を使用してもよい。
【0080】
前記ヒドロキシカルボン酸(b3)としては、乳酸またはグリコール酸を使用することが、入手が容易であること、前記ポリエステル(B2’)を製造する際の反応制御が容易であること、ポリエステルの2量体や3量体等をはじめとする副生成物の発生を大幅に抑制できることから好ましい。また、前記ヒドロキシカルボン酸(b3)を用いることにより副生成物の発生を大幅に抑制でき、得られるポリエステルの分子量を比較的高分子量に調整することが容易である。
【0081】
前記ポリエステル(B2’)は、原料としてジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)の他に前記ヒドロキシカルボン酸(b3)を使用すること以外は、前記ポリエステル(B1’)と同様の方法によって製造することができる。
【0082】
ポリエステル(B2’)は、ポリエステル(B2’)全体に対して1〜50モル%の範囲のヒドロキシカルボン酸(b3)由来の構造単位を有していることが好ましく、3〜40モル%の範囲であることがより好ましい。前記範囲のヒドロキシカルボン酸(b3)由来の構造単位を有するポリエステル(B2’)を使用することによって、ブリードを引き起こしにくく、及び結晶化速度、及び成形加工性に優れたポリエステル組成物を得ることができる。
【0083】
また、前記ブロック共重合体(D2)は、前記ポリエステル(B1’)の代わりに、前記ポリエステル(B2’)を使用すること以外は、前記ブロック共重合体(D1)の製造方法として例示した(方法1)〜(方法3)の方法と同様の方法により製造することができる。
【0084】
次に、本発明で使用する無機層状化合物(E)を説明する。
【0085】
本発明に使用される無機層状化合物(E)としては、マイカ、タルク、クレイ等の酸化ケイ素含有物質、フェライト、チタン酸塩、ビスマス系層状化合物、ゼオライト、ジルコニウムのリン酸類、ハイドロタルサイト、その他インタカレーションを起こす化合物類が挙げられる。これらの中でも、層状珪酸塩が結晶化速度の促進効果が高いため好ましく、具体的にはマイカ、タルク、クレイなどが好ましく用いられる。また、酸化ケイ素成分の含有量としては、SiOとして50重量%以上含有いるものが好ましい。これらは、ポリエステル組成物を得る際の押し出機等の溶融混練機等で混練時に層間剥離することが知られており、剥離物がポリエステル組成物の結晶化促進に寄与するため好適に使用できる。更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ガラス繊維を併用してもよい。また、これらの化合物は2種以上混合して用いても良い。
【0086】
前記無機層状化合物(E)の添加量は、前記ポリ乳酸(A)と前記ブロック共重合体(D1)、及び又は前記ブロック共重合体(D2)との合計100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲が好ましく、0.05〜5重量部の範囲が特に好ましい。0.01重量部未満であると、樹脂分の結晶化速度を高めることが困難になる。一方、10重量部以上添加すると樹脂分との混合性が悪化するため、分散性が損なわれる。
【0087】
前記無機層状化合物(E)の平均粒子径は、好ましくは0μm以下、0.01〜30μmの範囲がより好ましく、0.05〜25μmの範囲がより好ましく、0.05〜20μmの範囲が特に好ましく、0.05〜15μmの範囲が結晶化速度の促進効果が得られることから最も好ましい。ここで、平均粒子径は、Mie理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定して得られる50%体積径(メジアン径)である。
【0088】
上記した無機層状化合物(E)の平均粒子径を得る手法は何ら制限はないが、必要に応じて、ホモミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等の剪断力を有する混合機や、ボールミル、ピンディスクミル、パルベライザー、イノマイザー、カウンタージェットミル等の乾式粉砕機で微粉末にすることができる。また、水、水と混合可能な有機溶媒及びこれらの混合溶液を用いたボールミル、ビーズミル、サイドグラインダー等の湿式粉砕機でも微粉末にすることができる。
【0089】
次に本発明のポリエステル組成物の製造方法について説明する。
【0090】
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリ乳酸(A)と、前記ブロック共重合体(D1)との重量割合(A)/(B)が99/1〜50/50の範囲が好ましく、95/5〜60/40の範囲がより好ましい。前記ブロック共重合体(D1)の重量割合が1より小さい場合、結晶化速度の促進効果が得られがたく、前記ブロック共重合体(D1)の重量割合が50より大きい場合、ポリエステル組成物から得られる成形品の耐熱温度、剛性等が損なわれる。
【0091】
又、前記ポリ乳酸(A)と、前記ブロック共重合体(D2)との重量割合(A)/(B)が99/1〜50/50の範囲が好ましく、95/5〜60/40の範囲がより好ましい。前記ブロック共重合体(D2)の重量割合が1より小さい場合、結晶化速度の促進効果が得られがたく、前記ブロック共重合体(D2)の重量割合が50より大きい場合、ポリエステル組成物から得られる成形品の耐熱温度、剛性等が損なわれる。
【0092】
又、本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は結晶化速度がポリ乳酸に比して著しく向上する。ここで、一般的にポリマーの結晶化速度を評価する手法としては、示差走査熱量計(以下、DSCと省略する)を用いて、一定温度における結晶化するまでの時間(等温結晶化時間)を測定することで簡便に把握することができる。具体的な測定方法としては、得られたポリエステル組成物の約5.0mgを測定容器に入れ、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置「DSC−ダイアモンド」を用いて、窒素ガス流量50mL/分、加熱速度20℃/分で20℃から210℃まで昇温し、210℃で3分間ホールドさせる。この後、例えば100℃まで急激に降温させてホールドし、降温してから結晶化の吸熱ピークが現れるまでの時間が結晶化時間である。なお、本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は概ね2分以下の等温結晶化時間を有する。かかる範囲内であれば、射出成形等における成形サイクル性に優れるため好ましい。無論、樹脂によって結晶化ピーク温度が異なるので同一温度の比較はできないが、本発明におけるポリエステル樹脂組成物の場合、100〜120℃の範囲であれば、一定温度条件でサンプル比較するのであれば、ほぼ前記等温結晶化時間に大差はない。
【0093】
本発明のポリエステル組成物は、
(1)ポリ乳酸(A)とブロック共重合体(D1)及び/またはブロック共重合体(D2)とリン酸化合物の金属塩(E)とを適切なミキサーで混合し、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で加熱溶融混練する方法、
(2)ポリ乳酸(A)とブロック共重合体(D1)及び/またはブロック共重合体(D2)とを加熱溶融混練した後に、リン酸化合物の金属塩(E)及び必要に応じてその他の添加剤を供給し、高速撹拌機または低速攪拌機などを用いて均一混合した後、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で加熱溶融混練する方法、
(3)予め少量のポリ乳酸(A)と過剰のブロック共重合体(D1)及び/またはブロック共重合体(D2)と過剰のリン酸化合物の金属塩(E)とを適切なミキサーで混合し、溶融混錬させた、いわゆるマスターバッチと、ポリ乳酸(A)とを、押出機を用いて加熱溶融混錬する方法、等によって製造することができる。また、前記マスターバッチの形状は、ペレットや粉末等であることが好ましい。
【0094】
本発明のポリエステル組成物には、必要に応じてその他の樹脂等を併用することができる。
【0095】
前記その他樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンに代表される汎用樹脂や、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、酢酸セルロース等に代表される生分解性樹脂、ポリエチレンオキサイド、メタクリルブチレンスチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリルブチレンスチレン樹脂(ABS樹脂)等を使用することができ、なかでも環境負荷低減の観点からバイオマス由来である熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0096】
本発明にかかるポリエステル樹脂組成物には、目的に応じて、顔料、滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、粘着付与剤、可塑剤、有機フィラー、無機フィラー、内部離型剤、抗菌抗カビ剤、その他フィラーを添加することができる。
【0097】
顔料としては、有機顔料、無機顔料に大別されるが、無機顔料としては、体質顔料として沈降性硫酸バリウム、沈降性炭酸カルシウムホワイトカーボン(シリカ)、焼成クレー、カオリンクレー、タルク、金属酸化物として酸化チタン、亜鉛華、チタンブラック、黄色酸化鉄、べんがら、黒鉄、酸化クロム、ビリジアン、複合金属酸化物としてコバルトブルー、コバルトグリーン、チタンイエロー、クロム酸塩として黄鉛、クロムバーミリオン、硫化物としてリトポン、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、リン酸塩としてコバルトバイオレットディープ、金属錯体として紺青、群青、炭素としてカーボンブラック、金属粉としてアルミニウム粉、亜鉛末、その他としてコバルトバイオレットノーバが挙げられ、有機系顔料としては、アゾ系顔料と縮合多環系顔料に大別できるが、アゾ系顔料として不溶性アゾ顔料(ノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、β−ナフトール系、ナフトールAS系、ピラゾロン系、ベンツイミダゾロン系)、縮合アゾ顔料(イエロー、レッド)、アゾレーキ顔料(イエロー、β−ナフトール系、BON酸系、ナフトールAS系)、縮合多環系顔料としてはフタロシアニン系(ブルー、グリーン)、キナクリドン系、アントラキノン系(インダンスロンブルー、アントラキノン系)、ペリレン系、ペリレン系、インジゴ系、ジオキサジン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系が挙げられる。これらの顔料の量は、樹脂分100重量部に対して、0.05〜1重量部の範囲内で使用することができる。
【0098】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネートなどを、熱安定剤としては、トリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどを、紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノンなどを、帯電防止剤としては、N,N−ビス(ヒドリキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルフォネート、アルキルスルフォネートなどが挙げられる。これら添加剤の量としては、樹脂分100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内で使用することができる。
【0099】
難燃剤としては、種々の難燃剤を使用することができる。難燃剤としては、例えば、臭素系や塩素系等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、シリコーン系化合物等の無機系難燃剤、赤リン、リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン等のリン系難燃剤、メラミン、目ラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、アルキルホスホン酸メラミン、フォスホン酸メラミン、硫酸メラミン、メタンスルホン酸メラム等のメラミン系難燃剤、PTFE等のフッ素樹脂等が挙げられる。これらの難燃剤の量は、樹脂分100重量部に対して、0.05〜100重量部の範囲内で使用することができる。
【0100】
有機フィラーとしては、種々の有機フィラーを使用することができる。有機フィラーとしては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシル−2.6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N,N’,N’−テトラシクロヘキシル−1,4−ブタンテトラアミド,N,N’,N”−トリシクロヘキシルトリメシックアミド、N,N’−ジフェニル−3−スルフォニルジベンズアミド、N,N’、N”−トリブチルトリメシックアミド、N,N’−ジフェニルテレフタルアミド、N,N’−ジフェニルサクシンアミド、 N,N’−ジフェニルスベリックアミド、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−フォスフォフェニル)メタンのナトリウム塩,ジ−t−ブチルアルミニウムベンゾエート、脂肪族カルボン酸系において、脂肪族カルボン酸アミドとして、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスー12−ヒドロキシステアリン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩としてステアリン酸Na、ステアリン酸K、ステアリン酸Zn、モンタン酸Ca、脂肪族カルボン酸エステルとしてエチレングリコールジステアレート、脂肪族アルコールとしてステアリルアルコール が挙げられる。これらの有機フィラーの量は、樹脂分100重量部に対して、0.05〜100重量部の範囲内で使用することができる。
【0101】
無機フィラーとしては、種々の無機フィラーを使用することができる。無機フィラーとしては、例えば、タルク、シリカ、マイカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化錫、酸化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ゲルマニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの無機フィラーの量は、樹脂分100重量部に対して、0.05〜50重量部の範囲内で使用することができる。
【0102】
本発明で使用する内部離型剤としては、通常の高級脂肪酸及びその塩やエステル油、シリコーン油、ポリビニルアルコール、ポリアルキルグリコール、低分子量ポリオレフィン等の離型剤が挙げられるが、特に、シリコーン油が好ましい。シリコーン油の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル等のストレートシリコーン油、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル等の変性シリコーン油が挙げられ、特に安全性の点で、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイルが好ましい。これらの内部離型剤の量は、樹脂分100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲内で使用することができる。
【0103】
その他フィラーとしては、ケナフ繊維が挙げられる。本発明に適用されるケナフ繊維は、平均繊維長が100μm〜20mmであり、かつ少なくとも300μm〜20mmの繊維長のケナフ繊維を含んでいることが好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物にかかる範囲からなるケナフ繊維が含有されることによって、得られる成形体の補強効果がより高められる。より好ましいケナフ繊維の平均繊維長は1〜10mmであり、ポリエステル樹脂組成物の補強効果をより一層向上させることができる。ここで、平均繊維長とは、破砕片を除く繊維の数平均繊維長を意味し、破砕片とは、長手方向の長さが50μmに満たないものと定義する。
【0104】
含有するケナフ繊維が20mmを超える平均繊維長である場合または20mmを超える繊維長のケナフ繊維を含む場合には、ポリエステル組成物を製造する際に、混練機などの製造装置内で樹脂中の繊維分の分散が不均一になり易い。成形品の肉厚に対して長過ぎる繊維が含まれると、成形品の外観や手触りなどが損なわれるので、最大繊維長は成形品の肉厚に対して10倍以下が望ましく、より望ましくは5倍以下である。さらに射出成形時においては、成形装置内で樹脂組成物が詰まる原因となる。特に、繊維長が50mmを超えるケナフ繊維については、混練機に導入する前に除去することが望ましい。一方、繊維長が300μm未満のケナフ繊維のみを含有したケナフ繊維強化樹脂組成物を用いた場合は、ケナフ繊維による補強効果が十分ではない。
【0105】
平均繊維長が100μm〜20mmであり、かつ少なくとも300μm〜20mmの繊維長のケナフ繊維を含むケナフ繊維を、本発明のポリエステル組成物に含有させた場合、強度が向上するだけでなく、熱変形温度を指標とする耐熱性も向上効果が期待できる。これらのケナフ繊維の量は、樹脂分100重量部に対して、0.05〜50重量部の範囲内で使用することができる。
【0106】
本発明のポリエステル組成物は、成形加工性に優れるため、各種成形物を得ることができる。各種成形物の製造方法としては、特に限定するものでなく、一般のプラスチックと同様の射出成形法、真空成形法、圧縮成形法等の方法が挙げられる。
【0107】
本発明のポリエステル組成物を用いて製造可能な成形物としては、例えばフィルム、繊維、各種容器、各種部品等の成形物に使用することができるが、特にフィルムやシートの製造に好適な材料である。フィルムやシートの具体的な成形方法としては、押出し法、共押出し法、カレンダー法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、インフレーション法、バルーン法、テンター法等が挙げられるが、その方法に何ら制限はない。
なお、本発明でいうフィルムは、その形状、大きさ、厚み及び意匠等の点で何ら制限されるものではない。本発明では混乱を避けるため、フィルム及びシートの表現を「フィルム」に一元化するものとする。本発明のフィルムは、5μm〜2mmの範囲の厚みであることが好ましい。
【0108】
前記押出し法によりフィルムを成形する場合には、例えばTダイ、インフレーションダイ(円形ダイ)、フラットダイ、シングルマニホールドダイ等のダイを用いることができる。共押出し法によれば、性質の異なる複数の該ポリマー及び/又は他種ポリマーを用いて、多層フィルムを製造することができる。
【0109】
本発明のフィルムは、二軸同時延伸することが可能であるから、適当な条件下で熱処理を施すことによって、良好な寸法安定性及び二次加工適性を付与することができる。
【0110】
前記方法で得られたフィルムは、更に延伸加工法、ブロー加工法、真空成形法等の方法によって二次加工することができる。具体的には、前記フィルムを二次加工することによって、例えばスーパーマーケット用持ち帰りバッグ、冷凍食品や精肉等の低温の食品パックに結露する水が周囲を濡らすことを防ぐための袋、コンポストバッグ、等の袋やバッグを製造することができる。
【0111】
本発明のフィルムは、シュリンクフィルム、蒸着フィルム、ラップフィルム、食品包装、その他一般包装、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の包装や、紙おむつ及び生理用品等の衛生材料や、創傷被覆材等の医療用材料や、発芽フィルム、農業用マルチフィルム、養生フィルム及び苗木ポット等の農業資材や、トレー、カップ、皿及びメガホン等の紙製品の表面ラミネーション材料や、その他結束テープ(結束バンド)、プリペイカード、風船、セロハン粘着テープ、傘、合羽、手袋、煙草等のフィルター等の多岐にわたる用途に使用することができる。
【0112】
前記ポリエステル組成物を成形して得られる成形物は、必要に応じて別途成形後に結晶化処理を行うことにより、寸法安定性、耐衝撃性、耐熱性等を更に向上することができる。
【0113】
前記結晶化処理の方法としては、何ら制限はないが、例えば成形物を結晶化ピーク温度近辺でアニーリングする方法、ポリエステル組成物を成形するときに成形金型を結晶化温度に設定して一定時間保持する方法等がある。
【0114】
前記結晶化温度で一定時間保持する方法とは、射出成形機、ブロー成形機及び圧縮成形機の金型内にて結晶化を完了させる方法である。前記金型の温度は、DSC法によって測定したポリエステル組成物の結晶化温度に基づき、その結晶化開始温度から終了時温度の範囲に設定することが好ましい。
【0115】
本発明で得られたポリエステル組成物は、ポリ乳酸の割れ、ひび、成形品の褶曲部分の白化等といった耐衝撃性に優れる。これら評価の簡便方法として、例えば、各ポリエステル組成物を80℃で3時間、真空乾燥させた後、加熱プレス機を用いて190℃で加熱溶融、冷却固化させることで、縦15cm、横15cm、厚み20〜1,000μmの範囲のフィルムを作製する。前記フィルムを用いて、JIS−P−8115に準拠し、MIT耐折強度試験を行うと、3,000回以上が好ましく、5,000回以上がより好ましく、10,000回が特に好ましい。上記回数を有することによって、実際の成形品の割れ、脆さといった耐衝撃性の事前の判断材料となる。また、汎用樹脂の1つであるPET(A−PET)では、MIT耐折強度試験で3,000回以上である。よって、MIT耐折強度試験によって、3,000回以上であることが実用上好ましい。
【0116】
本発明で得られたポリエステル組成物は、東洋精機社製ヒートデスターテーションを用いて、JIS−K7206に準拠し、荷重50N、昇温速度120℃/hrs、最大進入度1mmで測定を行うと、80℃以上のビカット軟化点温度を有するものが好ましく、85℃以上のビカット軟化点温度を有するものがより好ましく、90℃以上のビカット軟化点温度を有するものが実用上特に好ましい。
【0117】
本発明のポリエステル組成物を成形加工して得られたフィルム又は容器は、優れた耐ブリード性を有する。例えば、本発明のポリエステル組成物を成形して得られた、10cm×10cmの正方形で300μm厚のフィルム、又は育苗用ポット型で成形を行った容器を40℃で湿度90%の恒温恒湿器に放置したとき、これらフィルム表面から200日以上ブリード物の発生が認められない。
【0118】
前記した本発明のポリエステル組成物を成形加工して得られたフィルム又は容器は、良好な分解性、生分解性を有し、土中埋設、或いは海中に投棄された場合であっても、加水分解、生分解等による分解を受ける。海水中では数カ月の間に外形を保たないまでに分解可能である。また、コンポストを用いると、更に短期間で原形をとどめないまでに生分解され、また焼却しても有毒ガスや有毒物質を排出することはない。
【実施例】
【0119】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0120】
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定方法]
東ソー株式会社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(以下、GPCと省略する。)「HLC−8220」を使用し、カラムとして、TSK gel SuperHZM−Mを2本、及びTSK gel SuperHZ−2000を2本と、ガードカラムとしてTSK SuperH−Hを用い、展開溶媒として、テトラヒドロフランを用い、標準ポリスチレンとの比較で、ポリ乳酸、ブロック共重合体の分子量を測定した。
【0121】
[ガラス転移温度の測定方法]
例えば、ブロック共重合体約10mgを測定容器に入れ、セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量測定装置「DSC 220C」(以下、DSCと省略する。)を用いて、窒素ガス流量50mL/分、加熱速度10℃/分で20℃から210℃まで昇温し、210℃で3分間ホールドさせた後、冷却速度50℃/分で−100℃まで降温し、再度、2次昇温を200℃まで行うことによって描かれたDSC曲線からブロック共重合体のガラス転移温度と融点を求めた。
【0122】
[ポリエステルを構成するジオール構造単位、ジカルボン酸構造単位及びヒドロキシカルボン酸構造単位のモル組成比、ならびにブロック共重合体を構成するポリヒドロキシカルボン酸構造単位とポリエステル構造単位の重量組成比の測定方法]
1H−NMR装置(日本電子株式会社製、JNM−LA300)を用いて、ポリエステルのクロロホルム−d(CDCl3)溶液を分析することで、該ポリエステルを構成する中のジオール構造単位、ジカルボン酸構造単位及びヒドロキシカルボン酸構造単位のモル組成比(モル%)を測定した。
【0123】
また、ブロック共重合体のクロロホルム−d(CDCl3)溶液を前記と同様の装置を用いて分析することで、該ブロック共重合体を構成するポリヒドロキシカルボン酸構造単位とポリエステル構造単位との重量組成比(重量%)を算出した。
【0124】
[等温結晶化時間を測定]
得られたポリエステル組成物の約5.0mgを測定容器に入れ、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置「DSC−ダイアモンド」を用いて、窒素ガス流量50mL/分、加熱速度20℃/分で20℃から210℃まで昇温し、210℃で3分間ホールドさせる。この後、100℃まで急激に降温させてホールドし、降温してから結晶化の吸熱ピークが現れるまでの時間を結晶化時間とした。なお、本発明では概ね1分以下の結晶化時間を有するものが、成形サイクル、成形加工性に優れるため好ましい。
【0125】
[金型冷却時間の評価方法]
1oz竪型射出成型機(株式会社山城精機製作所製)を用いて、シリンダー温度が155℃
〜185℃、金型温度が110℃、射出時間10sにて、バー試験片13x130x6(mm3)、15x130x3(mm3)を成形した。冷却時間をかえて、突き出しによる変形、目視による結晶化の状態、成形品の型離れ、変形の状態確認を行って最適な金型冷却時間を定めた。例えば、前記成形条件で数平均分子量55,000、重量平均分子量92,000のポリ乳酸(以下、「PLA1」と省略。)の金型冷却時間は40分以上であった。
【0126】
[ビカット軟化温度の測定方法]
東洋精機社製ヒートデスターテーションを用いて、JIS−K−7206に準拠し、荷重50N、昇温速度120℃/hrs、最大進入度1mmで測定を行った。本発明では、概ね90℃以上のビカット軟化点温度を有するものが実用上好ましい。
【0127】
《参考例1》ポリエステル(B1−1)の製造例1
反応器にコハク酸(以下、SuAと省略。)を1000gとプロピレングリコール(以下、PGと省略。)を696gとを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に20℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら220℃まで加熱撹拌してエステル化反応を行った。220℃到達1時間後、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、SuAとPGとの仕込み合計量に対して70ppmを加えて、3,500Paまで減圧し加熱撹拌した。更に減圧1時間後、100Paまで減圧して7時間反応させた。反応終了後、得られたポリエステルに対して重合触媒の失活剤として2−エチルヘキサン酸ホスフェートを80ppm添加することにより数平均分子量が15,000、重量平均分子量が24,000のポリエステル(B1−1)を得た。なお、ポリエステル(B1−1)の酸価は0.5、ガラス転移温度は−4℃、PG由来の構造単位とSuA由来の構造単位との組成比は50.4/49.6(モル%)であった。
【0128】
《参考例2》ポリエステル(B2−1)の製造例2
反応器にSuAを1024gとPGを586gと90重量%乳酸水溶液を600gとを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に20℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら220℃まで加熱撹拌してエステル化反応を行った。220℃到達1時間後、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、SuAとPGとLAとの仕込み合計量に対して70ppmを加えて、3,000Paまで減圧し加熱撹拌した。更に減圧1時間後、100Paまで減圧し、5時間反応させた。反応終了後、得られたポリエステルに対して重合触媒の失活剤として2−エチルヘキサン酸ホスフェートを80ppm添加することにより数平均分子量が17,000、重量平均分子量が25,000のポリエステル(B2’−1)を得た。なお、ポリエステル(B2’−1)の酸価は0.8、ガラス転移温度は5℃、PG由来の構造単位とSuA由来の構造単位とLA由来の構造単位との組成比は31.2/36.3/32.5(モル%)であった。
【0129】
《参考例3》ポリエステル(B1−2)の製造例3
反応器にセバシン酸(以下、SeAと省略。)を1000gとプロピレングリコール(以下、PGと省略。)を414gとを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に20℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら230℃まで加熱撹拌してエステル化反応を行った。230℃到達1時間後、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、SeAとPGとの仕込み合計量に対して70ppmを加えて、3,500Paまで減圧し加熱撹拌した。更に減圧2時間後、100Paまで減圧して7時間反応させた。反応終了後、得られたポリエステルに対して重合触媒の失活剤として2−エチルヘキサン酸ホスフェートを80ppm添加することにより数平均分子量が15,000、重量平均分子量が24,000のポリエステル(B1−3)を得た。なお、ポリエステル(B1−3)の酸価は0.2、ガラス転移温度は−48℃、融点は−26℃、PG由来の構造単位とSeA由来の構造単位との組成比は50.8/49.2(モル%)であった。
【0130】
《参考例3》ポリエステル(B1−3)の製造例4
反応器にSuAを1000gと、1,4―ブタンジオール(以下、1,4−BDと省略。)を840gとを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に20℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら215℃まで加熱撹拌してエステル化反応を行った。215℃到達1時間後、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、SeAとPGとの仕込み合計量に対して70ppmを加えて、3,500Paまで減圧し加熱撹拌した。更に減圧2時間後、100Paまで減圧して6時間反応させた。反応終了後、得られたポリエステルに対して重合触媒の失活剤として2−エチルヘキサン酸ホスフェートを80ppm添加することにより数平均分子量が16,000、重量平均分子量が25,000のポリエステル(B1−3)を得た。なお、ポリエステル(B1−3)の酸価は0.2、ガラス転移温度は−30℃、融点は115℃、PG由来の構造単位とSeA由来の構造単位との組成比は50.1/49.9(モル%)であった。
【0131】
《参考例4》ブロック共重合体(D1−1)の製造例1
210℃に加熱した反応器に、ポリエステル(B1−1)を500g仕込み、十分に加熱溶融した。次いで、数平均分子量89,000、重量平均分子量158,000のポリ乳酸(以下、「PLA2」と省略。)を550g添加して均一に加熱溶融混合したものに、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを前記溶融混合物に対して150ppm添加し、温度200℃及び減圧度150Paの条件下で4.5時間反応させた。反応終了後に重合触媒の失活剤である2−エチルヘキサン酸ホスフェートを得られた反応物に対して500ppmを添加し、数平均分子量が37,000、重量平均分子量が58,000のブロック共重合体(D1−1)(ガラス転移温度:17.1℃、融点:152.5℃)を得た。
【0132】
《参考例5》ブロック共重合体(D2−1)の製造例2
210℃に加熱した反応器に、ポリエステル(B2−1)を500g仕込み、十分に加熱溶融した。次いで、PLA2を550g添加して均一に加熱溶融混合したものに、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを前記溶融混合物に対して200ppm添加し、温度200℃及び減圧度150Paの条件下で4.5時間反応させた。反応終了後に重合触媒の失活剤である2−エチルヘキサン酸ホスフェートを得られた反応物に対して500ppmを添加することで、数平均分子量が27,000、重量平均分子量が47,000のブロック共重合体(D2−1)(ガラス転移温度:25.6℃、融点:147.5℃)を得た。
【0133】
《参考例6》ブロック共重合体(D1−2)の製造例3
210℃に加熱した反応器に、ポリエステル(B1−2)を500g仕込み、十分に加熱溶融した。次いで、PLA2を550g添加して均一に加熱溶融混合したものに、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを前記溶融混合物に対して150ppm添加し、温度200℃及び減圧度150Paの条件下で4.5時間反応させた。反応終了後に重合触媒の失活剤である2−エチルヘキサン酸ホスフェートを得られた反応物に対して500ppmを添加し、数平均分子量が66,000、重量平均分子量が111,000のブロック共重合体(D1−2)(ガラス転移温度:−47.5℃、55.5℃、融点:164.5℃)を得た。
【0134】
《参考例7》ブロック共重合体(D1−3)の製造例4
210℃に加熱した反応器に、ポリエステル(B1−3)を500g仕込み、十分に加熱溶融した。次いで、PLA2を550g添加して均一に加熱溶融混合したものに、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを前記溶融混合物に対して150ppm添加し、温度200℃及び減圧度150Paの条件下で4.5時間反応させた。反応終了後に重合触媒の失活剤である2−エチルヘキサン酸ホスフェートを得られた反応物に対して500ppmを添加し、数平均分子量が29,000、重量平均分子量が52,000のブロック共重合体(D1−3)(ガラス転移温度:−47.5℃、55.5℃、融点:164.5℃)を得た。
【0135】
《実施例1》ポリエステル組成物(P−1)
PLA1を2400gと、ブロック共重合体(D1−1)を600gと、平均粒子径4.5μmのタルク(富士タルク社製、製品名:LMS−300)を30gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−1)を得た。
【0136】
《実施例2》ポリエステル組成物(P−2)
PLA1を2100gと、ブロック共重合体(D2−1)を900gと、平均粒子径11μmの(富士タルク社製、LMP−100)を30gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−2)を得た。
【0137】
《実施例3》ポリエステル組成物(P−3)
PLA1を2700gと、ブロック共重合体(D1−1)を300gと、シランカップリング処理された平均粒子径5.0μmのタルク(富士タルク社製、LMS−200A187)を9gと、平均粒子径40〜50nmのフタロシアニンブルー(大日本インキ化学社製、製品名:FASTOGEN BLUE TGR)を9gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−3)を得た。
【0138】
《比較例1》ポリエステル組成物(P−4)
PLA1を3000gと、LMS−300を30gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−4)を得た。
【0139】
《比較例2》ポリエステル組成物(P−5)
PLA1を2700gと、ブロック共重合体(D1−2)を300gと、LMS−300を9gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−5)を得た。
【0140】
《比較例3》ポリエステル組成物(P−6)
PLA1を2700gと、ブロック共重合体(D1−3)を300gと、LMS−300を30gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−6)を得た。
【0141】
《比較例4》ポリエステル組成物(P−7)
PLA1を2550gと、アジピン酸系可塑剤(大八化学社製、製品名SN0213)を450gと、LMS−300を9gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−7)を得た。
【0142】
《比較例5》ポリエステル組成物(P−8)
PLA1を2700gと、ブロック共重合体(D1−1)を300gと、有機酸処理された平均粒子径0.15μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、製品名Vigot10)を30gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−8)を得た。
【0143】
《比較例6》ポリエステル組成物(P−9)
PLA1を2400gと、ブロック共重合体(D1−1)を600gとをドライブレンドした後、それらをシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−9)を得た。
【0144】
《比較例7》ポリエステル組成物(P−10)
PLA1をシリンダー温度が180〜190℃の範囲の温度に設定した二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて溶融混合しペレット(P−10)を得た。
【0145】
[MIT耐折強度の評価方法]
実施例1〜3、及び比較例1〜7で得られた各ポリエステル組成物を80℃で3時間、真空乾燥させた後、加熱プレス機を用いて190℃で加熱溶融、冷却固化させることで、縦15cm、横15cm、厚み200μmのフィルムを作製した。前記フィルムを用いて、JIS−P−8115に準拠し、MIT耐折強度試験を行った。例えば、汎用樹脂の1つであるPET(A−PET)では、MIT耐折強度試験で3,000回以上である。よって、MIT耐折強度試験によって、3,000回以上であることが実用上好ましい。
【0146】
[ブリードの測定方法及び評価]
前記方法で作製した、ポリエステル組成物からなる各フィルム(200μm厚み)を、15cm×15cmの正方形に切抜き、該正方形のフィルムを40℃、湿度90%の条件に保った恒温恒湿器(エスペック社製、型式PR−2F)内に100日放置し、耐ブリード試験を行った。100日以上経過してもいずれもブリードが認めらなかったものを(ブリード)無、100日以内にブリードが認められたものを(ブリード)有と評価した。
【0147】
表2〜表4に実施例1〜3、比較例1〜7で得られたポリエステル樹脂組成物の物性測定結果を示した。
【0148】
【表2】

【0149】
【表3】

【0150】
【表4】

【0151】
表2〜表4より、実施例のポリエステル組成物からなる成形品は、比較例のポリエステル組成物からなる成形品と比較して、結晶化速度、耐衝撃性、耐ブリード性、成形加工性等の点で格段に優れていることから、食品包装材料をはじめとする様々な分野における用途に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)と、無機層状化合物(E)とを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエステル構造単位(B1)が、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とに加えて、更に、ヒドロキシカルボン酸(b3)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D2)である請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項3】
前記ブロック共重合体(D1)、及び前記ブロック共重合体(D2)がガラス転移温度を1つ有するものである請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル構造単位(B1)、及び前記ポリエステル構造単位(B2)が非結晶性ポリマーである、請求項1または2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機層状化合物(E)が層状珪酸塩である請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシカルボン酸(b3)が、グリコール酸及び/又は乳酸である請求項2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機層状化合物(E)が酸化ケイ素成分をSiOとして50重量%以上含有し、平均粒子径が0.01〜30μmの範囲である請求項1または2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリ乳酸(A)と、前記ブロック共重合体(D1)との重量割合(A)/(B)が 99/1〜50/50の範囲である請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリ乳酸(A)と、前記ブロック共重合体(D2)との重量割合(A)/(B)が 99/1〜50/50の範囲である請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項10】
前記ポリ乳酸(A)と、前記ブロック共重合体(D1)との合計量に対して、及び無機充填剤(E)を0.05〜10部の範囲を含有する請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリ乳酸(A)と、前記ブロック共重合体(D2)との合計量に対して、及び無機充填剤(E)を0.05〜10部の範囲を含有する請求項2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項12】
前記無機層状化合物(E)が、マイカ、タルク、及びクレイからなる群から選ばれる物質である請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形して得られる成形物。

【公開番号】特開2008−247957(P2008−247957A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87567(P2007−87567)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】