説明

ポリエーテルイミド発泡材料の連続製造法およびその製造物品

ポリエーテルイミド発泡材料の連続製造プロセス、およびこれらの発泡材料を含む物品。この連続プロセスは、選択された発泡剤、装置設計および加工条件を用いて、広範囲のセル密度で実質的に均一なセル寸法を有する押出発泡体を連続的に製造するための押出発泡法である。特定の態様においては、続いて加熱を行って、発泡剤または核形成剤のような残留成分を発泡体から除去する。広範囲の密度、およびポリエーテルイミド物品に固有の特性故に、得られる発泡材料は、かなり広い範囲の用途に適している。この連続プロセスは、フロンおよび/または環境に有害である可能性のある他の剤の使用を回避して、よりコスト効率が良い製品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー発泡体、特に、ポリエーテルイミド発泡材料の連続製造法およびこれらの発泡材料から製造される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡された熱可塑性樹脂およびそれらから誘導される製品は、多くの分野において、かなり顕著な商業的成功を収めてきた。これらの発泡樹脂は、航空機および他の構造体において、断熱および構造材として用いられてきた。電子工学および電気製品産業は、ポリマー発泡体を、電気絶縁および断熱並びに構造材として用いている。多くの場合、ポリマー発泡体が、より高い熱環境に耐え得ることが有利である。ポリマー発泡体を高熱環境で用いるためには、より高い熱環境に耐え得る熱可塑性樹脂を用いることが有利である。
【0003】
そのような耐熱性熱可塑性樹脂の一つがポリエーテルイミドである。電気、機械および火炎性能の適用基準が厳しく要求される用途について、ポリエーテルイミド(PEI)発泡体が長年にわたり利用可能であった。材料の高いコストおよびその制限された入手性が原因で正当化は困難である。この両原因の一部は、その製造のために用いられるバッチプロセスである。バッチプロセスは、通常、非効率的であり、制御が困難で、製造することができる発泡体の密度の選択が制限されており、欠陥を有する傾向がある。それにも係わらず、バッチプロセスを用いて作られた発砲体は、特別価格を要求しつつ、多くの重要なDODの用途のために指定されてきた。
【0004】
PEI発泡体用の最近の「バッチ」プロセスは、塩素化溶媒の使用を必要とし、密度およびセル構造が一様でないと共に、汚染、大きなボイドおよびポリマーの非発泡部分が原因となる欠陥を有する大きな「パン(buns)」の発泡体を製造するものである。そのパンは、次に、公称60、80および110g/Lのボードの通常の密度範囲の寸法に切断される。バッチ製造されたPEI発泡体の一様でない品質、密度および低収率が、多くの用途において、製品コストを非常に高くしている。ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびPVCの発泡体ボードの製造のために押出しプロセスが商業的に大規模で用いられているが、このプロセスは、PEI発泡体の製造には適用できなかった。
【0005】
従って、従来技術のバッチプロセスよりも効率的な、ポリエーテルイミド発泡体を製造する方法を提供することが有利である。従来技術のプロセスよりも樹脂の使用量が少ない、ポリエーテルイミド発泡体を製造する方法を提供することも有利である。より効率的な生産手段によりPEI発泡材料のコストを低減させることができるなら、商業的な航空機、高速鉄道および/または海事用途において多くのさらなる適用が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術のPEI発泡体および/またはその製造方法と比べて、より安価におよび/または廃棄物をより減少させて、PEI発泡体を製造可能にする、ポリエーテルイミド(PEI)発泡材料およびその製造方法を提供することにより、従来技術に係わる問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の方法は、一種以上の発泡剤、核形成剤および/またはCO2を利用すると共に、セル密度範囲25〜260g/Lで実質的に均一なセル寸法を有する連続押出発泡体を製造するように装置および加工条件を制御するものである。より広い密度範囲、およびポリエーテルイミド物品に固有の特性を有するために、得られる発泡材料はより広い範囲の用途に適している。
【0008】
従って、一つの局面において、本発明は、ポリエーテルイミド発泡体を製造する連続的方法であって、第1押出機内でポリエーテルイミド樹脂を溶融する工程、この押出機内で高い圧力および温度下に、沸点が100℃以下の少なくとも一種の発泡剤を溶融ポリエーテルイミド樹脂とブレンドする工程、ブレンドされた混合物を第2押出機に供給する工程、および加圧下にダイを通して第2押出機からポリエーテルイミド発泡材料を押出し、次にキャリブレーターに供給して発泡体を製造し、冷却し、その厚みと幅を制御し、さらに、ポリエーテルイミド発泡材料の密度を制御する工程を含んでなる方法を提供する。
【0009】
もう一つの局面において、本発明は、第1押出機内でポリエーテルイミド樹脂を溶融する工程、この押出機内で高い圧力および温度下に、沸点が100℃以下の少なくとも一種の発泡剤を溶融ポリエーテルイミド樹脂とブレンドする工程、ブレンドされた混合物を第2押出機に供給する工程、その混合物を加圧下にダイに供給する工程、および、次に、ポリエーテルイミド発泡材料を製造するためのキャリブレーターに供給する工程を含んでなる、ポリエーテルイミド発泡体を製造するための連続法を用いて製造されたポリエーテルイミド発泡材料を含む物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の連続的プロセスにより製造された発泡材料の対数微分細孔容積(縦軸)に対する細孔寸法直径(横軸)を示す図である。
【図2】本発明の連続的プロセスにより製造された発泡材料の対数微分細孔容積(縦軸)に対する細孔寸法直径(横軸)を示す図である。
【図3】従来技術のバッチプロセスにより製造された発泡材料の対数微分細孔容積(縦軸)に対する細孔寸法直径(横軸)を示す図である。
【図4】従来技術のバッチプロセスにより製造された発泡材料の対数微分細孔容積(縦軸)に対する細孔寸法直径(横軸)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明:
図1および2は、本発明の連続的プロセスにより製造された2種の発泡材料について、対数微分細孔容積に対する細孔寸法を示す。
図3および4は、従来技術のバッチプロセスにより製造された2種の発泡材料について、対数微分細孔容積に対する細孔寸法を示す。
本発明を以下の記載および実施例においてより詳しく説明するが、それらは単なる説明を意図するものであり、それらにおける多くの改良および変更が当業者には明白である。明細書および特許請求の範囲における単数形は、文脈が明らかに別記しない限り、複数形を含んでいる。また、明細書および特許請求の範囲における「・・を含む」は、「・・からなる」および「本質的に・・からなる」を含んでいる。さらに、ここに開示された全ての数値範囲は、端点を含むものであり、独立して組み合わせることができる。
【0012】
ここで用いられる概算用語は、関連する基本的機能を変化させることなく任意の量的表現を変更するように適用できる。従って、「約」および「実質的に」のような用語により修飾された値は、特定された正確な値に限定されない場合がある。少なくとも一部の例において、概算用語は、値を測定するための手段の正確さに対応する。
【0013】
本発明は、PEI発泡体ボードのようなポリエーテルイミド(PEI)発泡材料を製造するための発泡押出法を提供する。選択された発泡剤、装置設計および加工条件を組み合わせることにより、広範囲の密度(例えば、25〜260g/L)および寸法を有し、セル寸法が実質的に均一である連続押出発泡体を、一部の条件下では核形成剤を残留させることなく、製造することができる。従って、これらの発泡体は、より広い範囲の用途に適しており、プロセスが高効率であることによって、さほど重要ではない用途に適した、よりコスト効率の良い製品を提供する。現在、PEI発泡体の市場で入手できる密度範囲は、公称60〜110g/Lである。
【0014】
従って、一つの局面において、本発明は、有機ポリマーの使用を含む発泡材料を製造するための方法を提供する。一つの態様において、発泡材料中の有機ポリマーとしてポリイミドを用いることができる。有用な熱可塑性ポリイミドは、一般式(I)で示される。
【化1】

式中、aは10以上であり、別の態様において、1000以上であり、Vは四価リンカーであり、ポリイミドの合成または使用を妨げない限り限定されない。適当なリンカーとして、(a)炭素原子数5〜50の、置換または無置換の、飽和、不飽和または芳香族の単環式基および多環式基、(b)炭素原子数1〜30の、置換または無置換の、線状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル基;またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適当な置換基および/またはリンカーとしては、エーテル、エポキシド、アミド、エステルおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいリンカーとしては、限定はされないが、以下のものが挙げられる。例えば、式(II)で示される四価芳香族基である。
【化2】

式中、Wは、−O−、−S−、−C(O)−、−SO2−、−SO−、−CyH2y−(yは1〜5の整数)、およびそれらのハロゲン化誘導体から選択される二価基であって、パーフルオロアルキレン基も含まれる。またはWは、式−O−Z−O−で示される基であり、ここで、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’または4,4’位にあり、Zは、限定はされないが、式(III)で示される二価基が挙げられる。
【化3】

式(I)におけるRとしては、(a)、(b)、(c)または(d)のような置換または無置換の二価有機基が挙げられる。(a)炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、およびそのハロゲン化誘導体、(b)炭素原子数2〜20の直鎖または分岐鎖のアルキレン基、(c)炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、(d)一般式(IV)で示される二価基。
【化4】

式中、Qとしては、−O−、−S−、−C(O)−、−SO2−、−SO−、−CyH2y−(yは1〜5の整数)、およびそれらのハロゲン化誘導体から選択される二価基が挙げられ、パーフルオロアルキレン基も含まれる。
【0015】
別の態様において、発泡材料において用いることができるポリイミドの種類としては、ポリアミドイミドおよびポリエーテルイミド、特に、溶融加工することができるポリエーテルイミドが挙げられる。
【0016】
本発明の別の態様において、式(V)で示される構造単位を1つより多く含むポリエーテルイミドポリマーが用いられる。別の一つの態様において、式(V)で示される構造単位を10〜1000個含むポリエーテルイミドポリマーが用いられる。さらに他の別の態様において、式(V)で示される構造単位を10〜500個含むポリエーテルイミドポリマーが用いられる。
【化5】

【0017】
式中、Tは、−O−または式−O−Z−O−で示される基であり、ここで、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’または4,4’位にあり、Zは、限定はされないが、先に定義した式(III)で示される二価基が挙げられる。
【0018】
一つの態様において、ポリエーテルイミドは、前述のエーテルイミド単位に加えて式(VI)で示されるポリイミド構造単位をさらに含むコポリマーとすることができる。
【化6】

式中、Rは式(I)について記載したものと同様であり、Mとしては、限定はされないが、式(VII)で示される基が挙げられる。
【化7】

【0019】
ポリエーテルイミドは、式(VIII)の芳香族ビス(エーテル無水物)と、式(IX)の有機ジアミンとの反応を含む任意の方法により調製することができる。
【化8】

【化9】

式中、TおよびRは、式(I)および(IV)において記載したように定義される。
【0020】
式(VIII)で示される芳香族ビス(エーテル無水物)の具体例としては、次のものが挙げられる。2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル二無水物、4,4’−ビス(3,4−スルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、並びにこれらの種々の混合物。
【0021】
ビス(エーテル無水物)は、非プロトン性極性溶媒の存在下におけるニトロ置換フェニルジニトリルと二価フェノール化合物の金属塩との反応生成物の加水分解、およびその後の脱水により調製することができる。前記の式(VIII)で表わされる芳香族ビス(エーテル無水物)の好ましい種類としては、限定はされないが、Tが式(X)で示される化合物が挙げられる。
【化10】

式中、エーテル結合は、例えば、好ましくは3,3’、3,4’、4,3’または4,4’位およびそれらの組み合わせの位置に存在し、Qは前記のように定義される。
【0022】
ポリイミドおよび/またはポリエーテルイミドの調製においては、任意のジアミノ化合物を用いることができる。適当な化合物は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2、2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス (3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3、5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−b−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−b−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1、3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス (4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)エーテルおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンである。これらの化合物の混合物が存在してもよい。一つの態様において、ジアミノ化合物は、芳香族ジアミン、特に、m−およびp−フェニレンジアミンおよびこれらの混合物である。
【0023】
一つの例示的態様において、ポリエーテルイミド樹脂は、式(V)の構造単位を含み、式(V)において、各Rは、独立してp−フェニレンもしくはm−フェニレンまたはそれらの混合であり、Tは、式(XI)で示される二価基である。
【化11】

【0024】
通常、o−ジクロロベンゼン、m−クレゾール/トルエン、等の溶媒を用いて、温度100℃〜250℃で、式(VIII)の無水物と式(IX)のジアミンとの間の反応を行うことができる。あるいは、出発材料の混合物を攪拌しつつ高温に加熱することにより、式(VIII)の芳香族ビス(エーテル無水物)と式(IX)のジアミンとの溶融重合によりポリエーテルイミドを調製することができる。通常、溶融重合は温度200℃〜400℃で実施される。反応において、連鎖停止剤および分岐剤を用いてもよい。ポリエーテルイミド/ポリイミドコポリマーを調製する場合、ビス(エーテル無水物)と共に、無水ピロメリット酸のような二無水物を用いる。ポリエーテルイミドポリマーは、任意選択で、反応混合物中にジアミンが0.2モル以下過剰に、好ましくは0.2モル未満過剰の量で存在する、有機ジアミンと芳香族ビス(エーテル無水物)との反応から調製することができる。そのような条件下、ポリエーテルイミド樹脂は、氷酢酸中における33重量%臭化水素酸の溶液を用いるクロロホルム溶液での滴定で示されるように、15μeq/g(
マイクロ当量/g)未満、好ましくは10μeq/g未満の酸滴定性基を有する。酸滴定
性基は、基本的には、ポリエーテルイミド樹脂中のアミン末端基である。
【0025】
通常、有用なポリエーテルイミドは、ASTM(American Society for Testing Materials)D1238により6.6kg荷重を用いて295℃で測定されたメルトインデックスが0.1〜10(g/分)である。選択された態様において、ポリエーテルイミド樹脂は、ポリスチレン標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)が10000〜150000(g/モル)である。そのようなポリエーテルイミドポリマーは、典型的には、25℃でm−クレゾール中で測定した固有粘度が0.2dl/gを超えるもの、好ましくは0.35〜0.7dl/gのものである。
【0026】
本発明の方法は、発泡体の製造用の連続プロセスにおいて、有機ポリマー樹脂に加えて、一種以上の発泡剤を使用する。完成した発泡製品は発泡剤を実質的に含まない。一種以上の発泡剤が発泡材料中に残留する場合があるが、これらの残留量は、発泡材料の特性に悪影響を与える程ではないと考えられる。
【0027】
従って、一つの態様において、ポリマー発泡体を製造する方法は、連続的プロセスにおいて一種以上の発泡剤を用いる。一つの態様において、一種または二種以上の発泡剤は、低沸点の発泡剤から選択される。ここで用いられる「低沸点」発泡剤とは、好ましくは一つの態様において、沸点100℃未満のものである。もう一つの態様において、「低沸点」発泡剤とは、沸点90℃未満のものである。さらにもう一つの態様において、「低沸点」発泡剤とは、沸点50℃〜85℃のものである。しかしながら、「低沸点」発泡剤として水、二酸化炭素、窒素またはアルゴンが含まれる態様が選択される。これらの態様において、沸点は100℃を超える場合、または100℃よりかなり低い場合がある。
【0028】
本発明で用いることができる発泡剤の例としては、アセトンのような低沸点ケトン、メタノールのようなアルコール、シクロヘキサン、酢酸エチルのようなエステル、またはこれらの発泡剤の少なくとも一種を含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。別の態様において、二酸化炭素、窒素ガス、アルゴン、および/または、水でさえ用いることができる。通常、溶融物中に注入およびブレンドされてPEI発泡材料を連続的に製造することができる任意の剤を用いることができる。毒性およびエーテルの過酸化物の生成または、熱い溶融物または装置表面に接触したときの発火が問題と考えられないなら、別の態様において、塩素化炭化水素とエーテルまたはジエーテルを用いることができる。しかしながら、好ましい態様において、環境的理由から、フロンまたは関連する発泡剤は用いられない。本発明の連続プロセスは、非フロン発泡剤を用いてPEI発泡材料を製造することができるので、これらの態様は好ましい。さらに別の態様においてエーテルを用いることができるが、これらの態様において、ダイから出て空気と混ざると直ぐにエーテルが過酸化物を生成することおよび/または発火することを防止することが好ましい。
【0029】
発泡剤は、PEIにある程度の溶解性を有するように選択される。前述したように、押出後にPEI発泡体中に長時間残る残留発泡剤が存在する場合があるが、発泡体を製造するために用いられる高い押出温度は、溶融物がダイを出るときに発泡剤の大部分を除去することに役立つと考えられる。別の態様において、残留発泡剤量は、発泡材料を熱サイクルに晒すことにより減少させることができる。
【0030】
連続プロセスは、充分な量の発泡剤を使用し、発泡剤は、溶解性が充分であって、ボイドを、発泡体を構成する気泡に成長させるように選択される。その結果、冷却時に安定な発泡体を製造できる程度に樹脂/発泡剤の粘度/溶融強度が充分に強く、PEI溶融物(圧力、温度およびせん断速度)に対する発泡剤の溶解性を含む全てのパラメーターが調和されていると共に、気泡の壁が充分に安定であって破壊または凝集しないならば、結果として、良好な均一の小さなセルの発泡体となる。
【0031】
そのようなものとして、好ましい態様において、高い熱および圧力下においてのみポリマーに実質的に可溶性であるが、ポリマーが冷却され安定になるまではポリマーから設定速度で拡散し蒸発して可塑化を提供する溶媒であるように、発泡剤が選択される。
【0032】
結果として、用いられる一種または二種以上の発泡剤のタイプは、製造されるポリマー発泡体の最終的特徴に依存して変化する。例えば、より密度の低い発泡体のためには、特定の発泡剤が、他のものよりも有用であるとされてきた。逆に、より密度の高い発泡体のためには、他の発泡剤がより有用である。とにかく、用いられる一種または二種以上の発泡剤の量は、一つの態様において、PEIの合計重量に対して1〜15重量%である。別の態様において、用いられる一種または二種以上の発泡剤の量は、PEIの合計重量に対して3〜10重量%である。用いられる一種または二種以上の発泡剤の正確な量は、発泡製品の設定密度、プロセスパラメーター、および/または、どの発泡剤または発泡剤の混合物が用いられるかを含む一以上の因子に依存するが、これらの因子に限定はされない。
【0033】
低密度発泡体の場合、低沸点の発泡剤、および/または、押出機内でPEI溶融物への溶解性が実質的に低い発泡剤を選択することが有利である。これらの低沸点発泡剤は、押出機ダイ内で非常に高い圧力を維持し、それにより、ダイを出る前には、ダイ内でのPEI溶融物の膨張を抑制することが有利である。大気中へ発泡剤を失うことによって、発泡体自体が、樹脂を冷却する。
【0034】
高密度発泡体の場合、高沸点の発泡剤、および/または、押出機内でPEI溶融物への溶解性が高い発泡剤を選択することが有利である。これらの高沸点発泡剤は、溶融温度が低下を始めない限り、PEI溶融物を膨張させない。その結果、発泡が始まると、材料があまり膨張せずに発泡し、そのため、発泡剤が大気中へ失われることによって発泡材料が冷却されたときに、高密度発泡材料が製造される。
【0035】
従って、用いられる発泡剤のタイプを変えることにより、本発明の連続プロセスは25〜300g/Lのような広範囲の密度でPEI発泡材料を製造するために使用することができる。この密度範囲は、バッチプロセスにより作られる従来技術の発泡材料の密度を含み、また、製造される発泡材料の密度をこれより低くおよび/または高くすることもできる。
【0036】
しかし、発泡剤に加えて、核形成剤粒子の存在、負荷および/またはプロセス条件、および発泡材料の製造に用いられる装置のタイプのような他の因子に依存して、製造される発泡体のタイプを変えることもできる。核形成剤は、気泡生成のための部位を提供することにより発泡構造の制御を助け、その部位の数が多いほど、気泡の数が多くなり最終製品の密度が低くなる。そのようなものとして、低密度発泡体の場合、より多くの核形成剤を用いることができ、一方、高密度発泡体が製造される態様では、核形成剤は使用されないかまたは極く少量使用される。
【0037】
従って、低密度発泡材料が製造される態様において、本発明の方法は核形成剤の使用を包含する。本発明において用いることができる核形成剤としては、二酸化チタンなどの金属酸化物、クレー、タルク、ケイ酸塩、シリカ、アルミン酸塩、バライト、チタン酸塩、ホウ酸塩、窒化物および、さらに微粉砕された非反応性の金属、炭素系材料(例えば、ダイアモンド、カーボンブラックおよび、さらにナノチューブ)、または前記剤の少なくとも一つを含む組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。別の態様において、ケイ素および、加工温度において硬質であり不溶性である任意の架橋された有機材料も、核形成剤として機能することができる。
【0038】
別の態様において、気泡生成のための部位を提供するという観点で核形成剤と同じ効果を有するならば、他の充填剤を用いることができる。これには、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはこれらの繊維の少なくとも一つを含む組み合わせのような繊維状充填剤がある。
【0039】
一つの態様において、用いられる場合、核形成剤の使用量は、PEIの合計重量に対して0.1〜5重量%である。もう一つの態様において、核形成剤の使用量は、PEIの合計重量に対して0.2〜3重量%である。さらにもう一つの態様において、核形成剤の使用量は、PEIの合計重量に対して0.5〜1重量%である。
【0040】
使用量に加えて、用いることができる核形成剤のタイプが、発泡体の密度の制御に役立つ。特定の核形成剤は、異なる量の核形成部位を生成することができ、従って、そこに生成される気泡の寸法を制御するのに役立つ。通常、生成される気泡が大きい程、発泡材料の密度が低くなり、生成される気泡が小さい程、発泡材料の密度が高くなる。通常、全ての他の要因が同じであれば、核形成部位が少ない核形成剤により、より大きな気泡が得られ、発泡材料の密度がより低くなる。逆に、核形成部位が多い核形成剤により、より小さな気泡が得られ、発泡材料の密度がより高くなる。核形成剤を使用しない態様においては、高い圧縮強度を示す柱状気泡構造が展開される。通常、発泡体の密度は、単位体積当たりの空間体積の割合に依存し、これは、気泡の寸法および/または気泡の壁厚により制御することができる。
【0041】
さらに、設定された密度を有するPEI発泡材料の製造に役立つように、プロセスパラメーターを制御することができる。より低い処理能力かつより長い滞留時間でプロセスを操作することにより、発泡剤、核形成剤およびキャリブレーター内での長い滞留時間の組み合わせにより、密度のより低い製品が得られる。理論により拘泥されることを望まないが、より低い処理能力およびキャリブレーター内でのより長い滞留時間により、キャリブレーター内での気泡生成を長時間続けさせることができ、それにより最終的な発泡材料の密度がより低くなる、と考えられる。逆に、より高い処理能力および/またはキャリブレーター内でのより短い滞留時間によれば、密度のより高い発泡材料を製造することができる。さらに、圧力および/または温度の制御を利用して、気泡生成の割合を増加または減少させることができ、それにより、製造される発泡材料の密度を制御することができる。
【0042】
高密度発泡材料が製造される態様においては、低密度発泡体用の核形成剤の代わりに少量の超臨界CO2を用いることができる。一つの態様において、用いられる場合は、CO2の使用量はPEIの合計重量に対して0.01〜5重量%である。もう一つの態様において、CO2の使用量はPEIの合計重量に対して0.1〜1重量%である。さらにもう一つの態様において、CO2の使用量はPEIの合計重量に対して0.2〜0.4重量%である。
【0043】
本発明の方法は、実質的に均一なセル寸法の発泡材料を製造することができる。ここで用いられる「実質的に均一なセル寸法」とは、発泡材料において、細孔の少なくとも50%が、発泡材料の密度に基づいて選択された単一細孔寸法の±20ミクロン以内であることを意味する。その結果、発泡材料の対数微分細孔容積対細孔寸法のグラフは、単峰型分布を示す。さらに、対数微分細孔容積(mL/g)は、バッチプロセスの場合と比べて高い(すなわち、10を超える)。もう一つの態様において、「実質的に均一なセル寸法」とは、発泡材料において、細孔の少なくとも70%が、発泡材料の密度に基づいて選択された単一細孔寸法の±20ミクロン以内であることを意味する。さらに、対数微分細孔容積(mL/g)は20を超える。より大きなセルは発泡体の弱点として作用して、欠陥を生じさせる場合があるので、均一セル寸法の利点は、より優れた機械的特性である。図1〜4において見られるように、本発明に従って作られた発泡材料(図1および2)はセル寸法の分布において単一の「急上昇部分」を有するが、従来技術に従って作られた発泡材料(図3および4)は「急上昇部分」を有しない。
【0044】
本発明の方法は、連続的な方法で、PEI発泡材料の密度を広範囲にすることができる。一つの態様において、押出法を用いてPEI発泡材料が製造される。この方法において、PEI樹脂および任意の核形成剤が、まず、第1押出機において一緒に溶融ブレンドされる。次に、発泡剤が第1押出機に供給され、第1押出機の最終区域において高い圧力および温度下にその溶融ブレンド物と混合される。次に、溶融物は加圧下に第2押出機に供給され、この押出機は、発泡材料を冷却すると共に、ポリエーテルイミド発泡材料をダイを通してキャリブレーターに運び発泡材料を製造するように用いられる。キャリブレーターは、発泡材料の冷却速度を制御するのに役立ち、従って、発泡材料の厚み、幅および密度の制御を可能にする。ダイは、特定の温度範囲および圧力範囲で操作されて、必要な溶融物強度を提供し、ダイ内での早期の発泡を抑制する。一つの態様において、第1押出機および第2押出機の両方について、単軸スクリュー押出機が用いられる。別の態様において、第1押出機および第2押出機の両方について、二軸スクリュー押出機が用いられる。さらにもう一つの態様において、第1押出機または第2押出機の一方について単軸スクリュー押出機が用いられ、他方について二軸スクリュー押出機が用いられる。
【0045】
前述のように、本発明の方法は、25g/L〜260g/Lまたはそれ以上の広範囲のセル密度でポリマー発泡体を製造可能にする。限定はされないが、用いられる発泡剤の数および/またはタイプ、用いられる核形成剤の数および/またはタイプ、プロセスに用いられる装置のタイプおよび/または設計、ポリマー発泡材料を製造するための連続法の使用、および/または、加工条件を含む一以上の因子、但しこれらに限定されないが、によって、この広い密度範囲が入手可能である。
【0046】
従って、製造し得るセル密度が広範囲である結果、得られるポリマー発泡体を、発泡体のコストおよび/または特徴が原因で今まではポリマー発泡体に利用できなかった多くの用途において使用することができる。低密度発泡体は、「クラッシュコア」適正の代用と考えられる機械的特性が充分であり、その低密度および積層容易性は、現在の熱硬化性「ハニカム型」材料より優れている。高密度発泡体は、優れた機械的特性と、熱成形可能な性能を提供する。純粋なPEI樹脂は、通常、イオン性材料を含まないので、結果として、優れた誘電特性およびレーダー透過性を提供する。発泡PEI樹脂は実質的に類似の熱特性を提供するが、非発泡PEI樹脂と比べた低密度において、発泡PEI樹脂は、「レドーム」またはレーダー探知用途に特に有用となる。
【0047】
PEI発泡材料は、発泡ボードや発泡チューブのような種々の形状で製造することができ、キャリブレーター内で任意の形状の発泡材料を製造することができる。
【0048】
全ての引用特許、出願特許および他の参照文献は、その全体が、参照することにより本明細書に組み入れられる。本発明を、以下の非限定的実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0049】
複数のポリエーテルイミド発泡材料を製造した。これらのサンプルにおいて、PEI樹脂(SABIC Innovative Plasticsから入手されるULTEM(登録商標)1000 PEI樹脂ペレット)を、より低密度の発泡体を製造すべきかより高密度の発泡体を製造すべきかによって、タルク(Microtuff AG 609)、アセトン、メタノールおよび/または二酸化炭素の量を変化させて、Berstorff Schaumex(登録商標)二軸スクリュー押出機内において溶融ブレンドした。溶融物を、次に、溶融ブレンド物を冷却するために用いられる第2のBerstorff二軸スクリュー押出機に加圧下に供給した。ここから、溶融ブレンド物を、ダイを通して、キャリブレーターに送り、そこで生成物が発泡して最終発泡材料が製造された。
【0050】
表1は、本発明の概念に従って作られたPEI発泡体の3種類の実施例について組成構成を示す。表2は、各サンプルについての加工パラメーター、および、各材料の得られる物理的特性を示す。理解されるように、本発明の方法は、高い溶融温度のPEI発泡体を製造することができ、高密度発泡体および低密度発泡体の両方を製造し、従来のバッチ法を用いて今まで製造することができなかった密度で製造することができる。
【0051】
実施例で分かるように、製造される材料は少量だが、より長い時間加工される加工パラメーターを用いて、低密度発泡材料を製造することができる。そのようなものとして、材料の使用量を少なくしかつ加工時間を長くすることは、かなり低密度の発泡材料の製造に役立つ。逆に、短時間で多量の材料を加工する場合は、前記の低密度発泡材料と同じ温度で製造しても、高密度の発泡材料が得られる。サンプル1および2で見られるように、用いられる発泡剤に基づいて密度を選択することもできる。
【表1】

【表2】

【0052】
従来技術のバッチ法について先に述べたように、本発明の連続プロセスも同様に、実質的に均一なセル寸法の発泡材料を製造する。これは、図1〜4において見られる。図1(60kg/m3密度発泡材料)および図2(80kg/m3密度発泡材料)において見られるように、これらの2種類の材料の対数微分細孔容積対細孔寸法のチャートは、単峰性分布を示し、60kg/m3密度発泡材料については細孔寸法約90において対数微分細孔容積(mL/g)が35に近く、80kg/m3密度発泡材料については細孔寸法約110において対数微分細孔容積(mL/g)が48に近い。
【0053】
これに対して、図3および4において見られるように、60kg/m3密度発泡材料を作るバッチ法(図3)および80kg/m3密度発泡材料を作るバッチ法(図4)では、対数微分細孔容積がかなり低く(10未満)、細孔寸法にそった分布で複数のピークを有し、これらの発泡材料においてセル寸法の分布は二峰性であり、それどころか多峰性でもある。
【0054】
一部の態様において、ポリエーテルイミド発泡材料を連続的に製造するための方法は、以下の工程を含む。第1押出機内でポリエーテルイミド樹脂を溶融する工程、当該押出機内で高い圧力および温度下に、沸点が100℃以下の少なくとも一種の発泡剤を当該溶融ポリエーテルイミド樹脂とブレンドする工程、ブレンドされた混合物を第2押出機に供給する工程、そのブレンドされた混合物を加圧下にダイに供給する工程、および、そのブレンドされた混合物を、ポリエーテルイミド発泡材料を製造するためのキャリブレーターに供給して、ポリエーテルイミド発泡材料を冷却すると共にその厚みと幅を制御し、さらに密度を制御する工程を含む。ここに開示の方法により、密度25g/L〜260g/Lのポリエーテルイミド発泡材料を作ることができる。さらに、製造物品は、このポリエーテルイミド発泡材料を含むことができる。
【0055】
この方法の種々の態様は、さらに、少なくとも一種の発泡剤の添加前に、核形成剤をポリエーテルイミド樹脂と混合する工程、少なくとも一種の発泡剤の添加前に、超臨界CO2をポリエーテルイミド樹脂と混合する工程、および/または、ポリマー発泡材料を加熱してポリエーテルイミド発泡材料から残留発泡剤または超臨界CO2を除去する工程を含むことができる。種々の態様において、核形成剤を、タルク、クレー、またはこれらの核形成剤の少なくとも一種を含む組み合わせから選択することができ;核形成剤を、ポリエーテルイミド樹脂の合計重量に対して0.1〜5重量%の量で添加することができ;超臨界CO2を、ポリエーテルイミド樹脂の合計重量に対して0.01〜2重量%の量で添加することができ;少なくとも一種の発泡剤を、ケトン、アルコール、シクロヘキサン、エステル、またはこれらの発泡剤の少なくとも一種を含む混合物から選択することができ;少なくとも一種の発泡剤を、ポリエーテルイミド樹脂の合計重量に対して1〜15重量%の量で添加することができ;第1押出機を二軸スクリュー押出機とすることができ;および/または、ポリマー発泡材料を実質的に均一なセル寸法を有するものとすることができる。
【0056】
この明細書の記載は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また、当業者が本発明を実施および使用することが可能となるように、実施例を用いている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲により定義され、当業者が思いつく他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、構成要素が特許請求の範囲の文言と異ならない場合、または、特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等の構成要素を含む場合は、特許請求の範囲に含まれると意図される。本明細書中で言及された全ての引用文献は、参照することにより本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むポリエーテルイミド発泡材料を連続的に製造する方法:
第1押出機内でポリエーテルイミド樹脂を溶融する工程、
当該押出機内で高い圧力および温度下に、沸点が100℃以下の少なくとも一種の発泡剤を溶融ポリエーテルイミド樹脂とブレンドする工程、
ブレンドされた混合物を第2押出機に供給する工程、
ブレンドされた混合物を加圧下にダイに供給する工程、および
ブレンドされた混合物を、ポリエーテルイミド発泡材料を製造するためのキャリブレーターに供給して、ポリエーテルイミド発泡材料を冷却すると共にその厚みと幅を制御し、さらに密度を制御する工程。
【請求項2】
さらに、前記の少なくとも一種の発泡剤の添加前に、核形成剤を前記ポリエーテルイミド樹脂と混合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核形成剤が、タルク、クレー、またはこれら核形成剤の少なくとも一種を含む組み合わせから選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記核形成剤が、前記ポリエーテルイミド樹脂の合計重量に対して0.1〜5重量%の量で添加する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記の少なくとも一種の発泡剤の添加の前に、超臨界CO2を前記ポリエーテルイミド樹脂と混合することを含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
超臨界CO2を、前記ポリエーテルイミド樹脂の合計重量に対して0.01〜2重量%の量で添加する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記ポリエーテルイミド発泡材料を加熱して該ポリエーテルイミド発泡材料から残留発泡剤または超臨界CO2を除去することを含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記の少なくとも一種の発泡剤が、ケトン、アルコール、シクロヘキサン、エステル、またはこれら発泡剤の少なくとも一種を含む混合物から選択される請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記の少なくとも一種の発泡剤を、前記ポリエーテルイミド樹脂の合計重量に対して1〜15重量%の量で添加する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第1押出機が二軸スクリュー押出機である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリエーテルイミド発泡材料が実質的に均一なセル寸法を有する請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法により製造された密度25g/L〜260g/Lのポリエーテルイミド発泡材料。
【請求項13】
請求項12に記載のポリエーテルイミド発泡材料を含んでなる製造物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−508017(P2011−508017A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539676(P2010−539676)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086810
【国際公開番号】WO2009/085688
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(309001610)サビック イノベーティブ プラスチックス イーペー ベスローテン フェンノートシャップ (16)
【Fターム(参考)】