説明

ポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法

【課題】ポリエーテルカーボネートの製造方法
【解決手段】本発明は、DMC触媒を用い、H官能性出発物質にアルキレンオキサイド及び二酸化炭素を付加することによるポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法であって、
一種以上の出発物質を初めに反応器中に入れ、反応の間に一種以上の出発物質を反応器に連続的に計量充填する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DMC触媒を用いた、アルキレンオキサイド及び二酸化炭素をH官能性出発物質に付加することによるポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法に関する。ポリエーテルカーボネートポリオールは、例えば、発泡体、エラストマー、封止剤、塗料、及び接着剤などのポリウレタンを製造するためのポリオールとして用いられる。さらに、ポリエーテルカーボネートポリオールは、アルキレンオキサイドに基づいたポリオールの公知の用途、例えば、洗濯石鹸剤及び洗浄剤、掘削流体、燃料添加剤、イオン性及び非イオン性界面活性剤、滑剤、紙又は織物製造用のプロセス薬品、又は化粧品製剤などにおいても使用することができる。ここで記載する方法では、低分子量の出発物質を重合に使用することができ、好ましくない副生成物を減じ、ポリエーテルカーボネートポリオールへ二酸化炭素を高い割合で組み込むことができる。
【背景技術】
【0002】
DMC触媒とも言われる複合金属シアン化触媒を用いたH官能性出発物質へのアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の付加によるポリエーテルカーボネートポリオールの製造、及びポリウレタンの製造などのポリオールの用途は知られている。
【0003】
一般的に、市場では、従来のポリウレタン組成物用ポリオールの有用な代替物が要求されている。ポリエーテルポリオールが柔軟性のあるポリウレタンフォームの製造用などのポリオール成分として主に用いられることは、当業者には知られている。ポリエーテルポリオールは、公知の通り、アルキレンオキサイドをH−官能性物質に付加することにより製造される。最も頻繁に用いられるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドである。商業的な観点から、アルキレンオキサイド重合においてコモノマーとして二酸化炭素を使用することは、特別な関心がある。二酸化炭素によるポリオールにおけるアルキレンオキサイドの部分的な置換は、ポリオールの製造費を著しく減じる可能性を有している。
【0004】
アルキレンオキサイドの重合においてコモノマーとして二酸化炭素を使用することは1960年代の終わりから知られている(非特許文献1)。しかしながら、これまでの公知の方法における不利点が大きな市場の障害となっている。
【0005】
既存のポリオールと経済性及び用途の点で競合することができるポリエーテルカーボネートポリオールの製造を可能にするために、高圧力、高温度、及び長い反応時間を必要とするエネルギー多消費型の高価な方法は避けるべきである。
【0006】
ポリウレタン組成物などの用途の各分野に応じて、ポリオールが、分子量、粘度、多分散性及び官能性など、必要とされる材料特性を有していなければならないことを当業者は知っているであろう。
【0007】
さらに、溶媒、触媒、又は共触媒などのプロセス化学を用いる場合、これらの費用及び特に調製後に生成物からこれらを分離する費用は、考慮に入れるべきである。第2成分の除去は、まずポリイソシアネートなどとの後続の反応における問題を回避し、次に最終生成物に必要とされる設計に準拠するために必要とされる。必要とされる設計は、例えば、揮発成分、金属、塩又は酸の含有量である。
【0008】
ポリエーテルカーボネートポリオールの合成の間に、二酸化炭素とアルキレンオキサイドとの反応によって副生成物が形成されることが知られている。例えば、プロピレンオキサイドと二酸化炭素との反応における副生成物として、プロピレンカーボネートが得られる。プロピレンカーボネートの形成は多くの理由から望ましくない:プロピレンカーボネートは高価な単量体プロピレンオキサイドを消費する;プロピレンカーボネートは、ポリイソシアネートとポリエーテルカーボネートポリオールとの後続の反応をかなり阻害するため、生成混合物から分離しなければならない;プロピレンカーボネートは揮発成分であり、例えば、柔軟なポリウレタンフォームなどの排出限界値と同等になるように、適切な設計限度に至るまで除去する必要がある。したがって、ポリエーテルカーボネートポリオールの経済的な製造方法では、副生成物の減少及び可能であれば回避が必要とされている。
【0009】
特許文献1では、DMC触媒を用いた二官能性ポリカーボネート(ここで記載しているポリエーテルカーボネートポリオールと同義語)のみを製造する方法が開示されている。非H官能性出発物質が用いられるが、アルキレンオキサイド及び二酸化炭素のみを反応させるので、開示された方法によって2を超える官能性は達成されない。さらに、当該方法では27.6〜75.8barの圧力を必要とし、そうでなければ収率が非常に低いためである。少なくとも48時間の反応時間も非経済的である。
【0010】
特許文献2では、多金属シアン化触媒を用い、tert−ブタノールなどの鎖延長剤を添加して多分散性を低下させるポリエーテルカーボネートポリオールの製造が開示されている。ここでは、触媒に対して、10倍、好ましくは50倍、特に好ましくは100倍を超えるモル過剰が用いられる。開示されている最も低い多分散性は1.31である。鎖延長剤は、低分子量の化合物であり、二酸化炭素又はアルキレンオキサイドの反応に関与しないため、ポリエーテルカーボネートポリオールの調製後、他のプロセス工程において分離する必要がある。ポリエーテルカーボネートポリオールの製造の実施例では、57.9〜62.1barの範囲で実施される。
【0011】
特許文献3では、多金属シアン化触媒、好ましくは結晶質であり、少なくとも30質量%のプレートレット状粒子を含むZn/Co触媒を用いたアルキレンオキサイドと二酸化炭素との共重合方法が開示されている。ポリエーテルカーボネートポリオールは、40〜180℃の温度範囲で、1質量%以下の触媒を用いて調製される。開示された方法では0.7〜206.8barの圧力を必要とする。ポリエーテルカーボネートポリオールへのカーボネート単位の組み込み度は、圧力に大きく依存することが記載されている。実施例では、ポリエーテルカーボネートポリオールにおいて5質量%を超えるカーボネート単位の含有量を達成するために、当該方法において少なくとも34.5bar(500psi)を超える圧力が必要であることが明らかである。13.8bar(200psi)の圧力を選択した場合、実施例5のように、ポリマーのカーボネート含有量は、2.6質量%と著しく減少する。これから、開示された方法では、5質量%を超えるカーボネート含有量が求められる場合、ポリエーテルカーボネートポリオールを産業的に製造するために高価な高圧装置が必要となるであろう。副生成物のプロピレンカーボネートの形成及び反応時間に関する定量的な情報は得られていない。
【0012】
特許文献4では、複合金属シアン化触媒、少なくとも2価の金属カチオン及び非金属アニオンの一種以上の塩、及び/又は金属イオンを含まない一種以上の酸の存在下での、二酸化炭素及びアルキレンオキサイドの反応によるポリカーボネート(ここで記載するポリエーテルカーボネートポリオールと同義語)の製造方法が開示されている。Zn/Co複合金属シアン化触媒が好ましい。触媒及び共触媒の全量は、用いられる出発物質の量に対して、0.01〜15質量%である。ポリカーボネートの製造は、40〜200℃の温度範囲で実施される。開示された方法の利点は、圧力及び温度の点で、ポリエーテルポリオール合成用の一般的な反応器を使用することができる穏やかな反応条件である。当該方法の不利な点は、非常に高い量のプロピレンカーボネートが形成されることである。実施例1〜9では、設定された反応器圧力に応じて、12.8質量%(実施例1)から30.7質量%(実施例3)のプロピレンカーボネート含有量が得られている。実施例1の最も低いプロピレンカーボネート含有量は、4.8モル%の二酸化炭素の低い組み込み度と関連している。開示された方法で形成された多量のプロピレンカーボネートは、上述した通りプロピレンオキサイドを消費し、分離する必要があることから、非経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US4,500,704
【特許文献2】WO2004/087788
【特許文献3】US6,762,278
【特許文献4】EP222,453
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Inou等、有機金属化合物を用いた二酸化炭素及びエポキシドの共重合、Die Makromolekulare Chemie 130、210〜220、1969)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、従来のポリオール、特にポリエーテルポリオールと経済的に競合するポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法を提供することである。当該方法は、低コストの装置を用いて簡易な方法で実施されるべきであり、高圧装置などのエネルギーを大量に消費し費用のかかる方法、高い温度や長い反応時間は回避すべきである。ポリエーテルカーボネートポリオールは、粘度、多分散性、分子量の点で優れた特性を有し、及びそれぞれの用途の分野に応じて可変的に調整することができる官能性を導入できる有利な条件を有している必要がある。溶媒の使用は回避すべきであり、DMC触媒の含有量は可能な限り少なく維持すべきである。同時に、カーボネート単位の形態で組み込まれる二酸化炭素は高く組み込まれるべきであり、二酸化炭素とアルキレンオキサイドとの反応からの副生成物の形成は可能な限り低くすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した要件を満たすポリカーボネートポリオールが、DMC触媒を用い、少なくとも1官能性を有するH官能性出発物質にアルキレンオキサイド及び二酸化炭素を重付加する方法であって、初めに一種以上の出発物質を反応器に入れ、反応の間に一種以上の出発物質を反応器へ連続的に計量導入する方法によって製造できること驚くべきことに見出した。
【0017】
したがって、本発明は、DMC触媒を用い、少なくとも1官能性を有するH官能性出発物質にアルキレンオキサイド及び二酸化炭素を重付加するポリカーボネートポリオールの製造方法であって、初めに一種以上の出発物質を反応器に入れ、反応の間に一種以上の出発物質を反応器へ連続的に計量導入する方法を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、本発明の方法により調製されたポリエーテルカーボネートポリオールを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
反応の間、反応器に計量導入する一種以上の出発物質の量は、出発物質の全量の、少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%である。
【0020】
本発明の方法の好ましい実施形態では、反応の間、反応混合物中の遊離アルキレンオキサイドの含有量は、反応混合物の質量に対して、0を超えて40質量%以下、好ましくは0を超えて25質量%以下、特に好ましくは0を超えて15質量%以下、最も0を超えて10質量%以下である。
【0021】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールの鎖末端は、平均で少なくとも2個、好ましくは平均で3個、好ましくは平均で3個を超えるアルキレンオキサイド単位のブロックを有する。
【0022】
本発明の目的では、用語“反応混合物”は、反応器中に存在する出発物質及び反応生成物の混合物を意味する。
【0023】
反応混合物における遊離アルキレンオキサイドの濃度は、例えば、ATR−FTIRプローブ、密度測定、GC、GC/MS、HPLC、又は他の直接的若しくは間接的な方法を用いて測定することができる。本発明の目的では、反応混合物中の遊離アルキレンオキサイドの濃度は、ATR−FTIRプローブを用いて測定することができる。
【0024】
用いられるべきアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の量が、出発物質及びポリエーテルカーボネートポリオールに適したデータを用いて算出されることは、当業者には分かるであろう。例えば、出発物質として多官能性アルコールが用いられる場合では、多官能性アルコールのヒドロキシル価、及びこれを用いて合成されるポリエーテルカーボネートポリオールの所望のヒドロキシル価は、アルキレンオキサイド及び二酸化炭素の量の算出の基礎としての役割を果たす。出発物質としてアミンが用いられる場合、アミン価が基礎としての役割を果たすと同時に、酸の場合に相当する酸価が基礎としての役割を果たす。ヒドロキシル、アミン及び酸価を決定するためには、測定される物質の官能性を知る必要がある。さらに、用いられる出発物質又は多数の出発物質の混合物の官能性は、アルコキシル化によりこれから調製されるポリオールの官能性を決定する。同じことが本発明のポリエーテルカーボネートポリオールに適用される。したがって、グリセロールなどの3官能出発物質は、3官能ポリエーテルポリカーボネートポリオールを製造する。
【0025】
本発明の方法では、一種以上の出発物質を連続的に計量導入し、以下ではSCという。さらに、一種以上の出発物質を初めに反応器中に入れ、以下ではSRという。SC及びSRは共に、出発物STの全量(ST=SC+SR)を与える。SC及びSRは同一の材料であってもよい。好ましくはSC及びSRは異なり、より好ましくはSC及びSRは異なっているが同じ官能性を有し、特に好ましくはSC及びSRは異なっているが同じ官能性を有し、且つSRがSCのアルコキシル化によって調製されたものである。SRがSCの特に好ましい構造の例は、SCがグリセロールであり、SRがプロポキシル化グリセロールである。上述したことから、STのモル量と官能性は、合成されるポリエーテルカーボネートポリオールのモル量と同じであることが分かる。SC及びSRのモル量は、STから算出され、ここでSTはそれぞれの場合において100モル%である。SC及びSRのそれぞれの割合は、この方法に応じて選択される。SCの量は、STの少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%である。
【0026】
本発明の方法において、カーボネート単位の形態で組み込まれた二酸化炭素の含有量は、出発物質(S)がない反応の間に得られた分子部分に対して、好ましくは2〜25質量%、より好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0027】
本発明の方法における全反応器圧は、0〜30bar、より好ましくは1〜15bar、特に好ましくは3〜10barの範囲内であるのが好ましく、反応温度は、60〜150℃、より好ましくは70〜140℃、特に好ましくは80〜130℃の範囲内である。
【0028】
ポリエーテルオールの合成において、初めに、出発物質又は多数の出発物質の混合物の全量を、バッチ式又は半バッチ式で、適切な触媒とともに反応器中に入れ、一種以上の適切なアルキレンオキサイドを計量導入することは、当業者には分かるであろう。さらに、DMC触媒は、水、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコールなどの低分子量の出発物質に対して、反応性が非常に乏しいか、反応しないことが知られている。低分子量の出発物質は阻害作用を有していることから、特に出発物質の全量を最初に反応器中に入れるバッチ式又は半バッチ式の方法において、ポリエーテルオール又は他の比較的高い分子量のH官能性出発物質が用いられる。当該方法の不利点は、通常はポリエーテルポリオールなどの比較的高分子量の出発物質は、別の工程において初めに合成される必要があることである。
【0029】
EP879,259では、上記問題を解決した方法が開示されている。出発物質の少なくとも2モル%の部分量又は任意に全量を連続的に計量充填することによって、低分子量の出発物質を広い分子量分布を有しないポリエーテルポリオールの合成に用いている。出発物質の残りの部分は、DMC触媒とともに反応器中に初めに入れる。反応器中に初めに入れた出発物質は、計量導入される低分子量の出発物質と同じ官能性を有するのが好ましい。相違は、初めに充填する出発物質を、DMC触媒に対して阻害作用を有しないような所定の程度にまでアルコキシル化することである。開示された方法では、最初の充填物が、先の合成からの生成物であってもよい(“ヒール”法)。
【0030】
また、二酸化炭素がDMC触媒の活性を減じることも当業者には知られている。したがって、上述した全ての方法では、DMC触媒を用いた場合、二酸化炭素の不存在下で、アルキレンオキサイドの合成よりも反応時間がより長くなる。同時に、低分子量の出発物質も同様に、上述した通り、特にバッチ式又は半バッチ式において、DMC触媒に対して阻害作用を有する。この理由のため、ポリエーテルカーボネートポリオール(同義語:ポリカーボネート)の合成用のH官能性出発物質を用いる既知の全ての方法では、ポリエーテルポリオールに基づいた比較的高い分子量の出発物質が用いられる。二酸化炭素コモノマー及び低分子量出発物質の阻害作用を同時に存在させるのは、これまではポリエーテルカーボネートポリオールの合成では禁止されていた。したがって、WO2004/087788及びUS6,762,278の実施例では、出発物質として、平均分子量Mw=730g/molを有するグリセロールに基づくプロピレンオキサイドのみが用いられている。全ての実施例では反応の前にポリエーテルポリオールの全量を反応器中に初めに入れている。反応の間、反応混合物への他の出発物質のさらなる添加は行われていない。US222,453では、全ての実施例において、平均分子量Mw=300g/molを有するグリセロールに基づくプロピレンオキサイド(CARADOL 555−1)を出発物質として用いている。同様に、アルキレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填の前に、ポリエーテルカーボネートポリオールの合成に必要とされる全量が反応器に最初に入れられる。
【0031】
ポリエーテルカーボネートポリオールの合成において、適切な分子量を有する各ポリエーテルカーボネートポリオールの合成に必要とされる出発物質STの全量を反応器中に初めに入れる必要はないが、代わりに一種以上の出発物質を連続的に計量導入し(SC)、且つ一種以上の出発物質を反応器中に初めに入れる(SR)ことが可能なことが驚くべきことに分かった。ここで記載する方法では、低分子量の出発物質の計量充填にもかかわらず、反応が十分に進むことが分かった。驚くべきことに、出発物質STの全量を反応器中に初めに入れる先の方法と比較して、ここで記載する方法によれば、ポリエーテルカーボネートポリオールに二酸化炭素がより高い割合で組み込まれ、同時にアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の反応からの副生成物の形成が減少する。
【0032】
EP879,259で言及されている、一種以上の出発物質(ここではSC)の連続的な添加の場合に得られる他の利点、例えば、反応器の効率的な利用、低分子量の出発物質の利用、狭い分子量分布などを、ここに引用することができる。EP879,259に記載された、出発物質を初めに反応器に入れず、代わりにトルエンなどの溶媒が用いられる異なる方法は、本発明に引用しない。溶媒を使用すると溶媒を生成物から分離する必要があり、これは本発明の目的によれば回避すべきである。
【0033】
本発明において、ポリエーテルカーボネートポリオールでは、DMC触媒を用い、少なくとも1官能性を有するH官能性出発物質へのアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の付加の結果として、カーボネート単位の形態で組み込まれた二酸化炭素の量が、出発物質(S)がない反応によって得られた分子部分に対して、少なくとも2〜25質量%、好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0034】
組み込まれた二酸化炭素の量は、出発物質(S)がない反応により得られた各ポリエーテルカーボネートポリオールの分子部分に基づく。
【0035】
ポリエーテルカーボネートポリオールは、記載する通りH官能性出発物質へのアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の触媒付加により製造される。反応を実施するために、出発物質又は少なくとも2種の出発物質の混合物を初めに反応器中に入れ、必要であれば、水及び/又は他の揮発性化合物を除去する。ここで、初めに充填される量は、記載する通り、出発物質STの全量ではなく、SRのみである。SRは、少なくともMn=200g/molの分子量及び少なくとも1官能性を有する出発物質又は少なくとも2種の出発物質の混合物であるのが好ましい。特に、SRは、少なくともMn=300g/molの分子量及び少なくとも1官能性を有する出発物質又は少なくとも2種の出発物質の混合物である。
【0036】
水及び/又は他の揮発性化合物の除去は、例えば、減圧下での窒素を用いた分離、又は減圧下、50〜200℃、好ましくは80〜160℃、特に好ましくは100〜130℃の温度での蒸留によって行われるのが好ましい。本発明の方法では、減圧下、100〜130℃での蒸留が好ましい。以下、出発物質又は少なくとも2種の出発物質の混合物からなるSRの当該前処理は、簡略にするため、乾燥と称する。
【0037】
触媒はSRとともに初めに充填することもできるが、SRの乾燥後に触媒を添加することもできる。触媒は、固体の形態として又は出発物質中の濃縮された懸濁液として添加してもよい。触媒は、出発物質中の、特に好ましくは先に充填されたSRと同じ出発物質又は出発物質混合物中の懸濁液として添加されるのが好ましい。触媒を懸濁液として添加する場合、触媒をSRの乾燥前に添加するのが好ましい。触媒懸濁液におけるDMC触媒の通常の濃度は、触媒懸濁液に対して、2〜50質量%、好ましくは2〜25質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。
【0038】
一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素及びSCの計量充填の前に、反応器を、窒素などの保護ガスによって不活性にするか、真空にしてよい。酸素と一種以上のアルキレンオキサイドとの望ましくない反応を回避するために、一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素及びSCの計量充填の前に、真空にした後、窒素でフラッシングし、これを交互に繰り返すことによって反応器を不活性にするのが好ましい。
【0039】
一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素、及びSCの計量充填は、SRの任意の乾燥、及び固体として又は懸濁液の形態で乾燥前又は後に添加される多金属シアン化触媒の添加の後に行う。一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素、およびSCの計量充填は、原則として、種々の方法で行うことができる。この計量充填は、真空、又は先に設定された初期圧力で開始することができる。初期圧力は、窒素などの不活性ガスの導入によって、10mbar〜5bar、好ましくは100mbar〜3bar、特に好ましくは500mbar〜2barの圧力に設定されるのが好ましい。
【0040】
一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素、およびSCの計量充填は、同時に又は連続して行われ、二酸化炭素の全量を一度に添加するか又は反応時間の間中、計量充填する。二酸化炭素は計量充填するのが好ましい。一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填は、二酸化炭素の計量充填の後又は同時に行う。多数のアルキレンオキサイドをポリエーテルカーボネートポリオールの合成に用いる場合、多数のアルキレンオキサイドを、別々の供給流を介して又は一種以上の供給流を介して、同時に又は連続して導入することができ、少なくとも二種のアルキレンオキサイドを混合物として計量導入する。アルキレンオキサイド及び二酸化炭素を導入する当該方法によれば、ランダム、交互、ブロック状、又は段階的に変えられたポリエーテルカーボネートポリオールを合成することができる。SCの計量充填は、一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填及び二酸化炭素の計量充填の後又は同時に実施することができる。SCが単独の出発物質である場合、単独の個別の供給流を介して、又は一種以上のアルキレンオキサイドとの混合物として反応器中にSCを供給することができる。SCが単独の出発物質である場合、SCを単独で計量充填するのが好ましい。SCが一種以上の出発物質を含む場合、これらは、個々の物質として、混合物として、又は一種以上のアルキレンオキサイドとの混合物として、計量充填するのが好ましい。SCが一種以上の出発物質を含む場合、アルキレンオキサイドとの混合物として計量充填されないのが好ましいが、一個の供給流を介して全ての出発物質の混合物として反応器に供給されるのが特に好ましい。記載した通り、本発明の方法では、計量充填が行われる方法にかかわらず、全充填時間の間の遊離アルキレンオキサイドの全濃度は、液相の質量に対して、0〜40質量%、特に好ましくは0〜25質量%、特に0〜15質量%、最も特に好ましくは0〜10質量%であるのが好ましい。
【0041】
ポリエーテルカーボネートポリオールの合成に用いられる二酸化炭素の量は、出発物質の上記データ、生成物のヒドロキシル価、及びポリエーテルカーボネートポリオールに組み込まれる二酸化炭素の所望する量から算出される。二酸化炭素の量は、算出された量から外れてもよい。過剰の二酸化炭素を用いるのが好ましく;特に、二酸化炭素の量は反応条件下での全圧を介して決定する。DMC触媒アルコキシル化に対して二酸化炭素の反応が遅くなるため、二酸化炭素は過剰であるのが好ましい。また、本発明では、60〜150℃、好ましくは70〜140℃、特に好ましくは80〜130℃、0〜20bar、好ましくは1〜15bar、特に好ましくは3〜10barの圧力での反応によれば、所望のポリエーテルカーボネートポリオールが得られることも見出した。温度を60℃より下に設定した場合、反応が停止する。150℃を超える温度では、望ましくない副生成物の量がかなり増加する。
【0042】
本発明の特別な実施形態では、反応の間、反応温度及び全反応器圧を変化させる。
【0043】
多金属シアン化触媒とともにSRを乾燥させ、不活性にした後、一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素、及びSCを、真空から又は設定された初期圧力で、好ましくは真空から計量導入することができる。二酸化炭素の添加は、アルキレンオキサイド及びSCの添加の前、後、又は同時に行うことができる。ここでは、算出された量の二酸化炭素、算出された量の二酸化炭素の超過分、又は特定の反応器圧をもたらす二酸化炭素の量を添加できる。二酸化炭素の計量充填は、一種以上のアルキレンオキサイドとSCの計量充填の開始の後に行うのが好ましい。
【0044】
本発明の特別な実施形態では、系を活性化させるために、一種以上のアルキレンオキサイドの全量の部分を初めにSC及び触媒に添加する。その後に初めて二酸化炭素及びSCを反応混合物中に導入する。アルキレンオキサイドの部分量は、導入されるアルキレンオキサイドの全量に対して、0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜5%である。
【0045】
本発明のさらに特に好ましい実施形態では、系を活性化させるために、一種以上のアルキレンオキサイドの全量の部分をSR及び触媒に添加する。部分量は、導入されるアルキレンオキサイドの全量に対して、0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜5%である。したがって、SCの全量の0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜5%の部分量のSCを、初めに連続的に計量充填する。部分量のSCの計量充填の間、一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填を止めないのが好ましい。部分量のSCを計量導入した後にのみ、反応混合物に二酸化炭素を添加する。この間、SC及び一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填を止めないのが好ましい。
【0046】
一種以上のアルキレンオキサイドをポリエーテルカーボネートポリオールの合成に用いた場合、アルキレンオキサイドは別々に又は混合物として導入することができる。ブロック状構造物を形成するためには別々の添加が必要であることが、当業者には分かるであろう。ランダム構造物は、個々のアルキレンオキサイドの別々の計量充填又はアルキレンオキサイドの混合物の導入によって得られる。
【0047】
さらに、アルキレンオキサイドを別々の計量充填又は混合物の計量充填として導入する方法、及び添加の時間間隔によって、一個のポリエーテルカーボネートポリオールにおける異なる構造タイプの組合せに影響を与えることができる。さらに、ポリエーテルカーボネートポリオールの合成では、二酸化炭素が系内に存在する際の反応器圧によって二酸化炭素の組み込みを制御することができる。例えば、反応の間に全ての計量充填を一時的に止めることができ、これにより反応器中に存在するアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の総量を完全に反応させることができ、またはこれらを減圧した後に除去し、その後二酸化炭素をさらに計量供給せずに、一種のアルキレンオキサイド、多数のアルキレンオキサイド又は多数のアルキレンオキサイドの混合物のみを連続的に用いる。好ましくは、SCの部分量の全てを導入し、一種以上のアルキレンオキサイドの一種以上の計量充填を予め止め、二酸化炭素及び残留アルキレンオキサイドを減圧によって除去する前に、反応器中に存在する遊離アルキレンオキサイドの量が0.5質量%未満であるのが好ましい。
【0048】
触媒の存在下でプロピレンオキサイド及び二酸化炭素と最初に反応したMn=600g/molを有するプロピレンオキサイドを、SRとして用いることができる。特定量のプロピレンオキサイド、二酸化炭素、及びモノプロピレングリコール(SC)の全量を計量充填した後、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入を停止し、遊離プロピレンオキサイドの量を決定するために系を制御し、遊離プロピレンオキサイドが0.5%未満となった時に一時的に真空にした後、プロピレンオキサイドのみを導入する。これにより、分子の中間部分が純プロピレンオキサイドブロックを含み、当該分子の両側がランダムに分散されたプロピレンオキサイド及びカーボネート単位からなる鎖を含み、さらに、末端ブロックとして純プロピレンオキサイド単位を有するポリエーテルカーボネートポリオールが得られる。
【0049】
本発明における好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールカーボネートが、平均で少なくとも2個、好ましくは平均で3個、好ましくは平均で3個を超えるアルキレンオキサイド単位を含むブロックを鎖末端に有する。当該形態では、驚くべきことに、二酸化炭素及びアルキレンオキサイドの反応からの副生成物の形成が強く抑制される。特に、鎖末端のブロックがプロピレンオキサイド単位を含む。
【0050】
Rを触媒とともに乾燥させ、不活性にした後、反応器を真空にするのが好ましい。その後、一種以上のアルキレンオキサイドの部分量を系を活性にするために導入する。部分量は、導入されるべきアルキレンオキサイドの全量の、0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜5%である。この活性化のために導入される部分量は、一種のみのアルキレンオキサイドのみ、多数の別々に導入されるアルキレンオキサイド、又は少なくとも2種のアルキレンオキサイドの混合物からなる。部分量は、一種のアルキレンオキサイド、又は少なくとも二種のアルキレンオキサイドの混合物、特に好ましくは一種のアルキレンオキサイド、特にプロピレンオキサイドからなるのが好ましい。系の活性化は、反応器中の発熱反応又は圧力低下によって分かる。原則的には、触媒の活性化において、一種以上のアルキレンオキサイド及び二酸化炭素を導入することができる。しかしながら、触媒の活性化は、純アルキレンオキサイド、特にプロピレンオキサイドを用いて実施するのが好ましい。これは、二酸化炭素をDMC触媒の活性を減じることが知られており、プロピレンオキサイドは他のアルキレンオキサイドよりもDMC触媒をより活性化することができるからである。
【0051】
触媒の活性化は、部分量のSCの連続的な計量充填の後に最初に行われるのが好ましく、このとき部分量は、計量充填されるSCの全量の、0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜5%である。一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填は、部分量のSCの充填の間は止めないのが好ましい。
【0052】
部分量のSCを計量充填した後のみ、二酸化炭素を反応混合物中に送り込む。この間、SC及び一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填は、止めないのが好ましい。使用される二酸化炭素の全量を、一度に、又は設定された流速を介して制御された方法で添加することができる。他の実施形態では、二酸化炭素を調節弁を介して設定された圧力で計量充填する。反応器の圧力低下が設定された圧力を下回る場合、二酸化炭素を設定された圧力が元に戻るまで導入する。二酸化炭素の全量が、ポリエーテルカーボネートポリオール中に組み込まれる二酸化炭素の所望の割合から算出される値よりも大きいのが好ましい。二酸化炭素を、設定された流速又は設定された圧力を介して、特に好ましくは設定された圧力を介して、計量導入するのが好ましい。反応器の容積、反応器の充填高さ、液相の特性、ガス相の組成、及び他のパラメータに応じて、予め設定された圧力及び設定温度で特定量の二酸化炭素が反応器中に存在することは、当業者には分かるであろう。これは、反応の間に他のパラメータが変わってしまうため、反応の間に一定圧力及び一定温度で利用できる二酸化炭素の量が異なることを意味する。
【0053】
好ましい方法では、記載した通り、所望のポリエーテルカーボネートポリオールが、60〜150℃、好ましくは70〜140℃、特に好ましくは80〜130℃、0〜20bar、好ましくは1〜15bar、特に好ましくは3〜10barの圧力で製造できることが分かった。温度及び圧力の双方は、反応の間、一定のままであってもよく、又は特定の制限内で変えることができる。反応の間、温度及び圧力を段階的又は連続的に減少又は増加させることで、温度及び/又は圧力プロファイルを知ることができる。同様に、供給流のスイッチを入れたり切ったり、供給速度を減らしたり増やしたりすることで、一種以上のアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の一種以上の計量充填を反応の間に変えることができる。
【0054】
本発明の方法では、特に副生成物の含有量が低いポリエーテルカーボネートポリオールが、反応の間に遊離アルキレンオキサイドの含有量に注意を払うことによって得られることが驚くべきことに分かり、これは特に重要なことである。遊離アルキレンオキサイドの好適な含有量の範囲は、液相の質量に対して、0〜40質量%、特に好ましくは0〜25質量%、特に0〜15質量%、最も好ましくは0〜10質量%であることが分かった。これは、遊離アルキレンオキサイドの上記上限を合成の間に超えないことを確実にしなければならないことを意味する。遊離アルキレンオキサイドの濃度が高すぎると、高い濃度で望ましくない副生成物が得られる。これは、アルキレンオキサイドの更なる蓄積を回避するために、一種以上のアルキレンオキサイドの供給流を、一時的に減少させるか完全に止める必要がある、又は反応器温度を添加時間の間に低下させなければならないことを意味する。
【0055】
反応の間、二酸化炭素の添加を制御することにより、反応をより制御することができ、反応が停止することがない。ここで、二酸化炭素の量が多くなると圧力がより高く、反応がより遅くなり、二酸化炭素の量が少なくなると圧力が低くなり、反応がより早くなる。
【0056】
いうまでもないが、SCの計量充填は、供給流のスイッチを入れるか切るか、又は供給速度を遅くするか早くするかによって変えることができる。
【0057】
さらに、バッチ法又は半バッチ法では、一種以上のアルキレンオキサイドの計量充填の終了前に、全量のSCの計量充填を完了させなければならず、そうしなければ、未反応のSCが生成物中に残留し、分離しなければならないからである。一種以上のアルキレンオキサイドの全量の好ましくは99%、特に好ましくは95%が導入される前に、SCの全量を反応器に導入しなければならない。
【0058】
本発明の方法によるポリエーテルカーボネートポリオールの調製の後、通常の方法により後処理を行う。このような後処理としては、未反応のモノマー及び揮発性の副生成物を除去するための蒸留、又は必要に応じてろ過などが挙げられる。最終生成物中に触媒を残すことができる。用途に応じて、ろ過などにより触媒を除去することもできる。通常、酸化防止剤を最終生成物に添加する。
【0059】
ここで記載する方法では、出発物質を連続的に導入することができ、これによりポリエーテルカーボネートポリオールへ二酸化炭素を高く導入することができると同時に、副生成物の形成を低下させることができる。また、当該方法を、ポリエーテルカーボネートポリオールの連続的な製造に用いることもできる。
【0060】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールの連続的な製造を含む。ここでは、第1工程においてDMC触媒及び一種以上の出発物質を初めに反応器中に入れる。ここで用いられる出発物質は、少なくとも200g/mol、特に好ましくは300g/molの分子量Mn及び少なくとも1官能性を有するのが好ましい。出発物質は、生成物に相当し、別の方法により調製されたポリエーテルカーボネートポリオールであるのが特に好ましい。
【0061】
次に、DMC触媒及び一種以上の出発物質の混合物を、一種以上のアルキレンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドを用いて活性化させる。活性化後、一種以上のアルキレンオキサイド、二酸化炭素、及び出発物質を連続的に計量導入する。出発物質は、少なくとも1官能性を有し、分子量Mnが300g/mol未満である低分子量の化合物であるのが好ましい。しかし、300g/molを超える分子量Mnを有する出発物質を使用することもできる。連続方法を実現させるために、最終生成物は反応器から連続的に取る。DMC触媒は最終生成物とともに反応器から取られるので、DMC触媒の必要量をさらに反応器中に送り込む必要がある。
【0062】
このような方法は、例えば、WO98/03571において、DMC触媒を用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製として記載されている。
【0063】
本発明の方法に好適な出発物質としては、アルコキシル化において反応性があり、H原始を有する全ての化合物が挙げられる。活性水素原子を有するアルコキシル化活性基は、−OH、−NH、−SH、−SH、及びCO2Hであり、好ましくは−OH及び−NHであり、特に−OHである。
【0064】
出発物質SRとしては、少なくともMn=200g/mol、特に好ましくは少なくともMn=300g/molの分子量、及び少なくとも1官能性を有する比較的、高分子量の化合物を用いるのが好ましい。出発物質SCとしては、Mn=300g/mol未満、特に好ましくはMn=200g/mol未満の分子量、及び少なくとも1官能性を有する低分子量化合物を用いるのが好ましい。さらに、SC及びSRが異なっているのが好ましく、SC及びSRが異なっているが同じ官能性を有しているのが特に好ましく、SC及びSRが異なっているが同じ官能性を有し、且つSRがSCのアルコキシル化によって調製されたものであるのが最も好ましい。
【0065】
好適な出発物質としては、水、単官能及び多官能アルコール、単官能及び多官能アミン、単官能及び多官能チオール、単官能及び多官能アミノアルコール、単官能及び多官能チオアルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエチレンイミン、多分岐状ポリグリセロール、多分岐状ポリカーボネートポリオール、多分岐状ポリエステルポリオール、多分岐状ポリウレタンポリオール、PolyTHF(登録商標)、ポリエーテルアミン(Huntsman Int.LLC製 Jeffamine(登録商標)、BASF AG製 ポリエーテルアミン(登録商標)D230、D400、D200、T403、T5000)、ポリテトラヒドロフランアミン(BASF AG製 ポリテトラヒドロフランアミン(登録商標)1700)、ポリエーテルチオール及びポリアクリレートオールなどを用いるのが好ましい。好ましい実施形態では、ヒマシ油、リシノール酸のモノグリセリド又はジグリセリド、又は脂肪酸のモノグリセリドを出発物質として用いることもできる。さらに、一分子あたり平均で少なくとも2個のOH基が化学的に導入された、脂肪酸の化学変性されたモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又は脂肪酸のC1〜C24アルキルエステルを用いることができる。脂質、油、及びこれらの誘導体へのOH基を導入する化学変性は当業者に知られている。モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又は脂肪酸のC1〜C24アルキルエステルにOH基を導入する化学変性としては、DE2711002などに記載されているエポキシド化油脂誘導体の開環、又はWO2004096882又はWO2004096883などに記載されている油脂誘導体のヒドロホルミル化、又はWO2004020497、US2003143910又はUS2003191274に記載されている他の変性などが挙げられる。例えば、Lupranol Balance(登録商標 BASF AG製)、Merginol(登録商標)グレード(Hobum Oleochemicals有限会社製)、Sovermol(登録商標)グレード(Cognis Deutshland GmbH & CO.KG製)、Soyol(商品名)グレード(USSC社製)、及びBiOH(商品名)グレード(Cargill社製)などの製品を挙げることもできる。上述した全ての化合物は、出発物質として用いることができ、個々の出発物質として、少なくとも2個の出発物質の混合物として用いられる。
【0066】
出発物質として好適な単官能及び多官能アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1−及び2−プロパノール、1−及び2−ブタノール、直鎖状又は分岐状C3〜C20モノアルコールなどの単官能アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、直鎖状又は分岐状C3〜C20ジオールなどの二官能アルコール;三官能アルコール:トリメチロールプロパン、グリセロール、ヒマシ油;四官能アルコール:ペンタエリスリトール;多価アルコール:ソルビトール、ヘキシトール、スクロース、でんぷん、でんぷん加水分解物、セルロース、セルロース加水分解物、ヒドロキシ官能化油脂である。本発明のポリエーテルカーボネートポリオールの調製に用いられる出発物質は、特に、1〜8官能性を有するアルコールであり、単独で又は少なくとも2個の混合物として用いる。二官能及び/又は三官能アルコールを出発物質として用いるのが好ましい。
【0067】
出発物質として好適な単官能又は多官能アミンは、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、モルホリン、ピペラジン、直鎖状又は分岐状C3〜C18モノアミン及びジアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、MW=300〜5000g/molであるポリエチレンイミン、トルエンジアミンの異性体、ポリエーテルアミン、又はジアミノジフェニルメタンの異性体である。エチレンジアミン及びトルエンジアミンの異性体が好ましい。
【0068】
出発物質は、ポリエーテルポリオール、特に106〜10000g/molの範囲内の分子量Mnを有するポリエーテルポリオールの分類からも選択することができる。ポリエーテルポリオールは、少なくとも1官能性、好ましくは1〜8官能性、特に好ましくは1〜3官能性のポリエーテルポリオールである。これらは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのランダム共重合体、段階的に変えられた共重合体、交互又はブロック共重合体であってもよい。繰り返しプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイド単位からなるポリエーテルポリオールが好ましく、例えば、BASF AG製のLupranol(登録商標)グレードなどである。さらに好ましいホモエチレンオキサイドは、BASF AG製のPluriol(登録商標)E又はAEグレード又はLutensol(登録商標)グレードであり、好ましいホモプロピレンオキサイドは、BASF AG製のPluriol(登録商標)Pグレード、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの好適な混合共重合体は、BASF AG製のPluronic(登録商標)PE又はPluriol(登録商標)RPEグレードである。
【0069】
出発物質は、ポリエステルポリール、特に200〜10000g/molの範囲内に分子量Mnを有するポリエステルポリールの分類から選択することができる。少なくとも2官能性のポリエステルポリオールが用いられる。ポリエステルポリオールは、交互に酸及びアルコール単位を含むのが好ましい。酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸、フタル酸、又はこれらの酸及び/又は無水物の混合物が好ましく用いられる。アルコール成分としては、グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、又はこれらのアルコールの混合物を用いるのが好ましい。二官能又は多官能ポリエーテルポリオールがアルコール成分として用いられる場合、得られるポリエステルエーテルポリオールもまた同様にポリエーテルカーボネートポリオールの調製用出発物質としての役割を果たす。Mn=150〜2000g/molを有するポリエーテルポリオールをポリエステルエーテルポリオールの調製に用いるのが好ましい。
【0070】
他の出発物質としては、ポリカーボネートジオール、特に150〜10000g/molの分子量Mnを有するポリカーボネートジオールであり、これは例えば、ホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、又はジフェニルカーボネートを、2官能性アルコール、又はポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールと反応させることにより調製される。ポリカーボネートの例としては、特許出願EP1359117に記載されている。Bayer AG製のDesmophen(登録商標)Cグレードなどをポリカーボネートジオールとして用いることができる。
【0071】
本発明の他の実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールを出発物質として用いることができる。特に、本発明の方法により調製されたポリエーテルカーボネートポリオールが用いられる。ポリエーテルカーボネートポリオールの連続的な製造方法を、分子量及び官能性が生成物に相当するポリエーテルカーボネートポリオールを用いて実施するのが特に好ましい。これらのポリエーテルカーボネートポリオールは、出発物質SC及び/又はSR、好ましくはSRとして用いられ、別の反応工程において事前に調製する。
【0072】
他の実施形態では、不飽和1価アルコール及び多価アルコール化合物、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ビニルエーテルアルコール、アリルエーテルアルコール、1価アルコール、及びこれらの不飽和1価アルコール及び多価アルコールのアルコキシル化変異体などが、出発物質として用いられる。例として以下の化合物が挙げられる:ビニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ブテン−1,4−ジオール、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル。
【0073】
好ましいH官能性出発物質は、水、メタノール、C10〜C20−n−アルキルモノアルコール、グリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、ソルビトール、繰り返しポリアルキレンオキサイド単位からなるポリエーテルポリオール、及びポリエーテルカーボネートポリオールである。特に好ましくは、水、グリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、プロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドからなる1〜4官能性ポリエーテルポリオール、及びポリエーテルカーボネートポリオールである。ポリエーテルポリオールは、106〜10000g/molの分子量Mn及び1〜4官能性、特に106〜5000g/molの分子量Mn及び1〜3官能性を有しているのが好ましい。ポリエーテルカーボネートポリオールの連続的な製造方法では、分子量及び官能性が生成物に相当しているポリエーテルカーボネートポリオールが特に好ましく用いられる。出発物質SC及び/又はSR、好ましくはSRとして用いられるこれらのポリエーテルカーボネートポリオールは、別の反応工程で予め調製する。好適な出発物質は、単独で、又は少なくとも2種の混合物として用いられる。
【0074】
さらに、出発物質SRは、分子量Mnが少なくとも200g/mol、特に好ましくは分子量Mnが少なくとも300g/molであり、少なくとも1官能性である比較的、高分子量の化合物であるのが好ましい。ポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ポリエーテルカーボネートポリオールが特に好ましい。特に、これらのポリエーテルポリオール、ポリエーテルカーボネートポリオールは、300〜10000g/molの分子量Mn及び1〜4官能性、特に300〜5000g/molの分子量Mn及び1〜3官能性を有する。
【0075】
出発物質SCとして、Mn=300g/mol未満の分子量、好ましくはMn=200g/mol未満の分子量、及び少なくとも1官能性を有する低分子量化合物を用いるのが好ましい。特に、水、メタノール、C10〜C20−n−アルキルモノアルコール、グリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、及びソルビトールなどが挙げられる。特に好ましくは、水、グリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、及びヒマシ油である。
【0076】
さらに、SC及びSRは構造が異なっているのが好ましく、SC及びSRは異なっているが同じ官能性を有しているのが特に好ましく、SC及びSRは異なっているが同じ官能性を有し、且つSRがSCのアルコキシル化により調製されるのが最も好ましい。
【0077】
アルキレンオキサイドとしては、純アルキレンオキサイド、アルキレンオキサイドの混合物、産業的に利用可能なラフィネート流の酸化物の混合物を用いることができる。通常は、2〜24個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドを本発明の方法に用いることができる。例としては次の化合物が挙げられる:エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2,3−ブテンオキサイド、2−メチル−1,2−プロピレンオキサイド(イソブテンオキサイド)、1−ペンテンオキサイド、2,3−ペンテンオキサイド、2−メチル−1,2−ブテンオキサイド、3−メチル−1,2−ブテンオキサイド、1−ヘキセンオキサイド、2,3−ヘキセンオキサイド、3,4−ヘキセンオキサイド、2−メチル−1,2−ペンテンオキサイド、4−メチル−1,2−ペンテンオキサイド、2−エチル−1,2−ブテンオキサイド、1−ヘプタンオキサイド、1−オクテンオキサイド、1−ノネンオキサイド、1−デセンオキサイド、1−ウンデセンオキサイド、1−ドデセンオキサイド、4−メチル−1,2−ペンテンオキサイド、ブタジエン一酸化物、イソプレン一酸化物、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、スチレンオキサイド、メチルスチレンオキサイド。本発明の特別な実施形態では、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドなどのモノエポキシ化又はポリエポキシ化油脂、又はこれらのC1〜C24エステルをアルキレンオキサイドとして用いることができる。さらに特別な実施形態では、エピクロロヒドリン、グリシドール、又はグリシドールの誘導体、例えば、メチルグリシドールエーテル、エチルグリシドールエーテル、アリルグリシドールエーテルをアルキレンオキサイドとして用いることができる。特に、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、特にプロピレンオキサイドを、本発明のポリエーテルカーボネートポリオールの製造用のアルキレンオキサイドとして用いることができる。
【0078】
ポリエーテルカーボネートポリオールの製造に用いられる多金属シアン化触媒は、下記一般式(IV)
【0079】
【化1】

【0080】
(式中、
1は、Zn2+、Fe2+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Co2+、Sn2+、Pb2+、Mo4+、Mo6+、Al3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Cr2+、Cr3+、Cd2+よりなる群から選択される金属イオンであり、
2は、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+、Ir3+よりなる群から選択される金属イオンであり、
1及びM2は同一又は異なり、
Aは、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン化物、チオシアン化物、イソシアン化物、シアン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、及び硝酸塩よりなる群から選択されるアニオンであり、
Xは、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン化物、チオシアン化物、イソシアン化物、シアン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、及び硝酸塩よりなる群から選択されるアニオンであり、
Lは、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、ポリエーテル、エステル、尿素、アミド、二トリル、及び硫化物よりなる群から選択される水混和性配位子であり、
a、b、c、d、g、及びnは、化合物が電気的に中性であるように選択され、
eは、配位子の配位数であり、
fは、0以上の有理数又は整数であり、及び
hは、0以上の有理数又は整数である)
で示されるのが好ましい。
【0081】
これらの化合物は、水溶性金属塩の水溶液をヘキサシアノメタレート化合物、特に塩又は酸の水溶液と混合し、この溶液の混合の間又は後に水溶性配位子を添加する既知の方法によって調製できる。本発明のポリエーテルカーボネートポリオールの製造のためには、用いられたヘキサシアノメタレート化合物が対応する酸である多金属シアン化触媒を用いるのが好ましい。
【0082】
本発明の方法により調製されたポリカーボネートポリオールは、用いられた出発物質SC及びSRに応じて、少なくとも1官能性、好ましくは1〜8官能性、特に好ましくは1〜4官能性、特に1〜3官能性である。
【0083】
出発物質SCとして、Mn=300g/mol未満、特にMn=200g/mol未満の分子量、及び少なくとも1官能性を有する低分子量化合物を用いるのが好ましい。さらに、SC及びSRは構造が異なっているのが好ましく、SC及びSRは異なっているが同じ官能性を有するのがより好ましく、SC及びSRは異なっているが同じ官能性を有し、且つSRがSCのアルコキシル化により調製されたものであるのが特に好ましい。
【0084】
本発明の方法により調製されたポリエーテルカーボネートポリオールは、下記一般式((I)
【0085】
【化2】

【0086】
(式中、
R1は、例えば、水、単官能及び多官能アルコール、単官能及び多官能アミン、単官能及び多官能チオール、単官能及び多官能アミノアルコール、単官能及び多官能チオアルコール、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリエステルエーテルオール、ポリカーボネートジオール、ポリエチレンイミン、超分岐状ポリグリセロール、超分岐状ポリカーボネートポリオール、超分岐状ポリエステルポリオール、超分岐状ポリウレタンポリオール、PolyTHF(登録商標)、ポリエーテルアミン、ポリテトラヒドロフランアミン、ポリエーテルチオール、ポリアクリレートオール、不飽和モノヒドロキシ及びポリヒドロキシ化合物、ポリエーテルカーボネートポリオールの分子基;ヒマシ油、ヒマシ油のモノグリセリド又はジグリセリド、脂肪酸のモノグリセリド又はジグリセリド、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又はC1〜C24のアルキルエステル(ヒドロキシル基は当業者に知られている化学変性によって予め導入されたものである)の分子基など、アルコキシル化において活性であるH原始を有していない出発物質基であり、
R2は、CH2−CH2であり、
R3は、CH2−CH(CH3)であり、
R4は、
【0087】
【化3】

モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドとしてモノエポキシ化又はポリエポキシ化された脂質又は油の分子基、モノエポキシ化又はポリエポキシ化された脂肪酸またはそのC1〜C24アルキルエステルの分子基であり、
R5は、直鎖状又は分岐状であってもよい、C1〜C24アルキル基、アルケニル基であり、
R6は、直鎖状又は分岐状であってもよい、C1〜C24アルキル基、アルケニル基であり、
R7は、直鎖状に配列されたC3〜C6アルキル基であり、
R8は、OH、Cl,OCH3、OCH2−CH3、O−CH2−CH=CH2、O−CH=CH2である)
で示される構造を有するのが好ましい。
【0088】
アルコキシル化において反応性がある他の基を有するアルキレンオキサイドの反応によりポリマー鎖内に分岐点が得られることは、当業者であれば分かるであろう。したがって、アルキレンオキサイドとしてグリシドールを用いた場合、グリシドールのOH基が、アルキレンオキサイド単位が加えられた他のポリマー鎖を形成することができる。同じことをポリエポキシ化された脂質又は油誘導体を用いた場合にも適用できる。
【0089】
さらに、
i、Vi、Wiは、0〜400の整数であり;ここで、指数Ui、Vi、Wiのうち少なくとも1個が4以上であり、
iは、1〜100の整数であり;ただし、ポリエーテルカーボネートポリオールの一般式(I)において、−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とし;
nは、1〜100、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4、最も1〜3の整数であり、
iは、1〜nの整数である。
【0090】
さらに、一般式(I)に以下の関係が適用されるのが好ましい。
【0091】
【数1】

【0092】
モノマー構成単位は、それぞれのポリマー鎖1〜n中に任意の順で存在することができるが、ただし−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とする。また、ポリエーテルカーボネートポリオールのn個のポリマー鎖が独立した構成を有していてもよい。さらに、n個のポリマー鎖の全てではなく又は1個のみが付加反応の間にアルコキシル化により増大してもよい。
【0093】
Cの連続的な導入及びSRの最初の装填によって、反応の後、一般式(I)で示されるポリエーテルカーボネートポリオールの異なる構造が、並んで存在していてもよい。これは、特に、SRがSCのアルコキシル化によって調製されたものでなく、さらに異なる官能性を有している場合に適用される。
【0094】
一般式(I)において、u、v、Wが0でなく、又はu、vが0でないのと同時にwが0である場合、個々の構成単位(R2−O)、(R3−O)及び(R4−O)、又は(R2−O)及び(R3−O)は、(C(=O)−O)単位とは無関係に、ブロック状、完全な交互、ランダム状、又は段階状に、相互に結合していてもよい。
【0095】
本発明の好ましい実施形態では、一般式(I)のポリエーテルカーボネートポリオールが、平均で少なくとも2個、好ましくは平均で3個、好ましくは平均で3個を超えるアルキレンオキサイド単位を含むブロックを、n個の鎖のそれぞれの末端に有している。特に鎖末端のブロックが、プロピレンオキサイド単位を含む。
【0096】
出発物質、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及び二酸化炭素からなるポリエーテルカーボネートポリオールが好ましい。これらは下記一般式(II):
【0097】
【化4】

【0098】
(式中、R1、R2及びR3は、一般式(I)と同じ意味である)で示される。
【0099】
さらに、
i、viは、0〜400の整数であり;ここで、少なくともui又はiが4以上であり、
iは、1〜100の整数であり;ただし、ポリエーテルカーボネートポリオールの一般式(II)において、−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が、個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とし;
nは、1〜100、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4、特に1〜3の整数であり;
iは、1〜nの整数である。
【0100】
さらに、一般式(II)に以下の関係が適用されるのが好ましい。
【0101】
【数2】

【0102】
モノマー構成単位は、それぞれのポリマー鎖1〜n中に任意の順で存在することができるが、ただし−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とする。また、ポリエーテルカーボネートポリオールのn個のポリマー鎖が独立した構成を有していてもよい。さらに、n個のポリマー鎖の全てではなく又は1個のみが付加反応の間にアルコキシル化により増大してもよい。
【0103】
Cの連続的な導入及びSRの最初の装填によって、反応の後、一般式(II)で示されるポリエーテルカーボネートポリオールの異なる構造が、並んで存在していてもよい。これは、特に、SRがSCのアルコキシル化によって調製されたものでなく、さらに異なる官能性を有している場合に適用される。
【0104】
一般式(II)において、ui、viが0でない場合、個々の構成単位(R2−O)及び(R3−O)は、(C(=O)−O)単位とは無関係に、ブロック状、完全な交互、ランダム状、又は段階状に、相互に結合していてもよい。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、一般式(II)のポリエーテルカーボネートポリオールは、平均で少なくとも2個、好ましくは平均で3個、好ましくは平均で3個を超えるアルキレンオキサイド単位を含むブロックをn個の鎖のそれぞれの末端に有している。特に鎖末端のブロックは、プロピレンオキサイド単位を含む。
【0106】
出発物質、プロピレンオキサイド、及び二酸化炭素からなるポリエーテルカーボネートポリオールが特に好ましい。これらは下記一般式(III):
【0107】
【化5】

【0108】
(式中、R1及びR3は、一般式(I)と同じ意味である)で示される。
【0109】
さらに、
iは、0〜400の整数であり;
iは、1〜100の整数であり;ただし、ポリエーテルカーボネートポリオールの一般式(III)において、−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が、個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とし;
nは、1〜100、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4、特に1〜3の整数であり;
iは、1〜nの整数である。
【0110】
さらに、一般式(III)に以下の関係が適用されるのが好ましい。
【0111】
【数3】

【0112】
モノマー構成単位は、それぞれのポリマー鎖1〜n中に任意の順で存在することができるが、ただし−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とする。また、ポリエーテルカーボネートポリオールのn個のポリマー鎖が独立した構成を有していてもよい。さらに、n個のポリマー鎖の全てではなく又は1個のみが付加反応の間にアルコキシル化により増大してもよい。
【0113】
Cの連続的な導入及びSRの最初の装填によって、反応の後、一般式(III)で示されるポリエーテルカーボネートポリオールの異なる構造が、並んで存在していてもよい。これは、特に、SRがSCのアルコキシル化によって調製されたものでなく、さらに異なる官能性を有している場合に適用される。
【0114】
本発明の方法では、驚くべきことに、一種以上のアルキレンオキサイド及び二酸化炭素の反応からの副生成物の形成を抑制することができ、これにより出発物質の損失を最小限に抑えることが可能となる。当該方法は、ポリエーテルポリオールを調製するための通常の反応器中で簡単に実施することができる。
【0115】
本発明のポリエーテルカーボネートポリオールは、副生成物の含有量が低く、特にポリウレタン、特に柔軟性のあるポリウレタンフォームを形成するポリイソシアネートとの反応により、問題なく処理することができる。ポリウレタン用途では、少なくとも2官能性のポリエーテルカーボネートポリオールが必要であることが分かった。さらに、ポリエーテルカーボネートポリオールは、例えば、洗濯石鹸剤及び洗浄剤、掘削流体、燃料添加剤、イオン性及び非イオン性界面活性剤、滑剤、紙及び織物製造のプロセス薬品及び化粧品製剤など、アルキレンオキサイドに基づいたポリオールの当業者に公知の用途に用いることができる。当業者であれば、用途の分野に応じて、ポリエーテルカーボネートポリオールは、分子量、粘度、多分散性、及び官能性に関して、特定の要件を満たす必要があることが分かるであろう。
【実施例】
【0116】
本発明を下記実施例により具体的に説明する。
【0117】
オンラインIR測定のためのATR−FTIR(ATR=減衰全反射):
反応の間、遊離アルキレンオキサイド(828cm-1)の含有量、ポリエーテルカーボネートポリオール(1745cm-1)のカーボネート含有量、及びプロピレンカーボネート(1814cm-1)のカーボネート含有量を検出した。示された波数での吸収の集積面積は、相当するものの質量含有量を決定する役割を果たす。プロピレンオキサイドのみに基づいたATR−FTIRの較正を予め行った。ポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量を13C−NMRにより測定し、プロピレンカーボネートの含有量をGCにより測定した。
【0118】
定量13C−NMR分析:
ポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量を正確に測定するために定量13C−NMRを用いた。150〜160ppmの範囲内のカーボネートシグナルは評価の基礎となる。当該評価により、ポリエーテルカーボネートポリオール及び分離した生成物のプロピレンカーボネートのカーボネート含有量の合計が得られる。
【0119】
プロピレンカーボネート含有量を他のGC測定を用いて測定した。ポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量を、13C−NMRデータとGCデータとの差により決定した。
【0120】
13C−NMRデータ及びGCデータにより決定されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量は、全ての分子に基づいたカーボネート含有量である。反応により得られた分子部分に基づいたカーボネート含有量は、出発物質SR及びSCのヒドロキシル価及び分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのヒドロキシル価を用いて算出した。
【0121】
出発物質又はポリエーテルカーボネートポリオールの官能性を当該実施例ではFと略記する。
【0122】
記録された粘度は、25℃で、RheoLab粘度計を用いて測定された動的粘度である。
【0123】
水含有量は、カールフィッシャー法を用いて測定した。
【0124】
ヒドロキシル価は、適定により測定した。
【0125】
分子量Mn及び多分散性PDは、溶離液としてTHFを用いたポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した。
【0126】
実施例1:SCとしてモノプロピレングリコールを用い、SRとしてプロピレンオキサイド(Mn〜460g/mol;ヒドロキシル価=242mgKOH/g、F=2)を用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製;F=2、及びプロピレンオキサイド末端ブロック
20リットル撹拌反応器中、SRとしてプロピレンオキサイド(Mn〜460g/mol;ヒドロキシル価=242mgKOH/g、F=2)1950g、及び同じプロピレンオキサイド中の5.25%強度のDMC触媒懸濁液52.5gを、減圧(10mbar)下、130℃で1時間乾燥させた。水含有量は、0.008質量%であった。
【0127】
次に、反応混合物の温度を110℃まで低下させた。触媒を活性化させるために、プロプレンオキサイド200gを0.5kg/hで計量導入した。触媒の活性化は発熱反応により観察された。プロピレンオキサイドの計量充填を0.5kg/hで続けた。同時に、二酸化炭素を供給することにより、反応器圧を3barまで上げた。液相中の遊離プロピレンオキサイドの量をATR−FTIRにより観察した。当該量は、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入の間、4質量%を超えなかった。安定な方法で進められた反応の後、モノプロピレングリコールの計量充填を12g/hで開始し、遊離プロピレンオキサイドの含有量を再び観察した(最大5質量%)。反応が安定した後、二酸化炭素を導入することにより反応器圧を最大で8barまで(約20分毎に1barで)増加させた。同時に、プロピレンオキサイドの添加速度を3kg/h(約40分毎に0.5kg/hで)に段階的に上げ、モノプロピレングリコールの添加速度を72kg/h(約40分毎に12g/hで)に段階的に上げた。反応混合物中の遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して8質量%となった時にプロピレンオキサイド及びモノプロピレングリコールの計量充填を停止し、遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して3質量%未満となったときのみに計量充填が再開するように、計量充填を制御した。モノプロピレングリコール288gの導入後、この計量充填を停止し、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填をプロピレンオキサイド13.9kgの量まで続けた。その後、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填を停止した。モノマーが反応したので、反応器中の圧力が低下した。遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して0.5質量%未満に減った後、反応器の内部を減圧し、短時間で真空にした。プロピレンオキサイドの計量充填を1kg/hで再開し、残量250gを計量導入した。プロピレンオキサイドの追加反応後、計量充填を停止し、反応器を減圧した。全反応時間は約7時間であった。粗生成物の試料を分析のため取った。生成物を減圧下、150℃で3時間揮発させた後、生成物を排出し、200ppmのIrgastab(登録商標)1076で安定化させた。導入した二酸化炭素の全量は2250gであった。SCに対するSRのモル比は、1.26であった。
【0128】
粗生成物
質量:18370g
GCによるプロピレンカーボネート:3.9%
分離生成物:
質量:17650g
GCによるプロピレンカーボネート:200ppm未満
ヒドロキシル価:51.6mgKOH/g
粘度(25℃):1412mPa・s
GPC:Mn=1781g/mol;PD=1.17
分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量:
a)全分子に対して:8.8質量%
b)出発物質を除いた重合部分に対して:10.3質量%
【0129】
実施例1に対する比較例1:SRとしてプロピレンオキサイド(Mn〜460g/mol;ヒドロキシル価=242mgKOH/g、F=2)を用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製;SCの供給流なし;F=2、及びプロピレンオキサイド末端ブロック
20リットル撹拌反応器中、SRとしてプロピレンオキサイド(Mn〜460g/mol;ヒドロキシル価=242mgKOH/g、F=2)3755g、及び同じプロピレンオキサイド中の5.25%強度のDMC触媒懸濁液48gを、減圧(10mbar)下、130℃で1時間乾燥させた。水含有量は、0.005質量%であった。
【0130】
次に、反応混合物の温度を110℃まで低下させた。触媒を活性化させるために、プロプレンオキサイド200gを0.5kg/hで計量導入した。触媒の活性化は発熱反応により観察された。プロピレンオキサイドの計量充填を0.5kg/hで続けた。同時に、二酸化炭素を供給することにより、反応器圧を3barまで上げた。液相中の遊離プロピレンオキサイドの量をATR−FTIRにより観察した。当該量は、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入の間、5質量%を超えなかった。反応が安定した後、二酸化炭素を導入することにより反応器圧を最大で8barまで(約20分毎に1barで)増加させた。同時に、プロピレンオキサイドの添加速度を3kg/h(約40分毎に0.5kg/hで)に段階的に上げた。反応混合物中の遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して8質量%となった時にプロピレンオキサイドの計量充填が停止し、遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して3質量%未満となったときのみに計量充填が再開するように、計量充填を制御した。プロピレンオキサイド11.0kgの導入後、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填を停止した。モノマーが反応したので、反応器中の圧力が低下した。遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して0.5質量%未満となった後、反応器の内部を減圧し、短時間で真空にした。プロピレンオキサイドの計量充填を1kg/hで再開し、残量370gを計量導入した。プロピレンオキサイドの追加反応後、計量充填を停止し、反応器を減圧した。全反応時間は約7時間であった。粗生成物の試料を分析のため取った。生成物を減圧下、150℃で3時間揮発させた後、生成物を排出し、200ppmのIrgastab(登録商標)1076で安定化させた。導入した二酸化炭素の全量は1900gであった。
【0131】
粗生成物
質量:16700g
GCによるプロピレンカーボネート:4.9%
分離生成物:
質量:14930g
GCによるプロピレンカーボネート:350ppm未満
ヒドロキシル価:57.9mgKOH/g
粘度(25℃):1043mPa・s
GPC:Mn=2022g/mol;PD=1.34
分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量:
a)全分子に対して:7.8質量%
b)出発物質を除いた重合部分に対して:10.3質量%
【0132】
実施例2:SCとしてグリセロール及びジエチレングリコール(モル比=3:1)を用い、SRとしてグリセロール−ジエチレングリコール(モル比=3:1)(Mn〜1130g/mol;ヒドロキシル価=136mgKOH/g、F=2.75)に基づくポリプロピレンオキサイドを用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製;F=2.75及びプロピレンオキサイド末端ブロック
【0133】
20リットル撹拌反応器中、SRとしてグリセロール−ジエチレングリコール(3:1)(Mn〜1130g/mol;ヒドロキシル価=136mgKOH/g、F=2.75)に基づくポリプロピレンオキサイド1957g、及び同じプロピレンオキサイド中の6.0%強度のDMC触媒懸濁液46gを、減圧(10mbar)下、130℃で一時間乾燥させた。水含有量は、0.009質量%であった。
【0134】
次に、反応混合物の温度を110℃まで低下させた。触媒を活性化させるために、プロプレンオキサイド300gを0.5kg/hで計量導入した。触媒の活性化は発熱反応により観察された。プロピレンオキサイドの計量充填を0.5kg/hで続けた。同時に、二酸化炭素を供給することにより、反応器圧を3barまで上げた。液相中の遊離プロピレンオキサイドの量をATR−FTIRにより観察した。当該量は、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入の間、4質量%を超えなかった。安定な方法で進められた反応の後、グリセロール及びジエチレングリコール(モル比=3:1)の混合物の計量充填を15g/hで開始し、遊離プロピレンオキサイドの含有量を再び観察した(最大6質量%)。反応が安定した後、二酸化炭素を導入することにより反応器圧を最大で8barまで(約20分毎に1barで)増加させた。同時に、プロピレンオキサイドの添加速度を3.5kg/h(約40分毎に0.5kg/hで)に段階的に上げ、グリセロール/ジエチレングリコール混合物の添加速度を105g/h(約40分毎に15g/hで)に段階的に上げた。反応混合物中の遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して8質量%となった時にプロピレンオキサイド及びグリセロール/ジエチレングリコール混合物の計量充填を停止し、遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して3質量%未満となったときのみに計量充填が再開するように、計量充填を制御した。グリセロール/ジエチレングリコール混合物380gの導入後、この計量充填を停止し、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填をプロピレンオキサイド13.8kgの量まで続けた。その後、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填を停止した。モノマーが反応したので、反応器中の圧力が低下した。遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して0.5質量%未満となった後、反応器の内部を減圧し、短時間で真空にした。プロピレンオキサイドの計量充填を2kg/hで再開し、残量335gを計量導入した。プロピレンオキサイドの追加反応後、計量充填を停止し、反応器を減圧した。全反応時間は約7.5時間であった。粗生成物の試料を分析のため取った。生成物を減圧下、150℃で3時間揮発させた後、生成物を排出し、4500ppmのIrgastab(登録商標)PUR68で安定化させた。導入した二酸化炭素の全量は2100gであった。SCに対するSRのモル比は、0.44であった。
【0135】
粗生成物
質量:18210g
GCによるプロピレンカーボネート:3.9%
分離生成物:
質量:17400g
GCによるプロピレンカーボネート:200ppm未満
ヒドロキシル価:50.2mgKOH/g
粘度(25℃):2120mPa・s
GPC:Mn=1801g/mol;PD=1.51
分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量:
a)全分子に対して:7.7質量%
b)出発物質を除いた重合部分に対して:9.2質量%
【0136】
実施例2に対する比較例2:SRとしてグリセロール−ジエチレングリコール(モル比=3:1)(Mn〜1130g/mol;ヒドロキシル価=136mgKOH/g、F=2.75)に基づくポリプロピレンオキサイドを用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製;SCの供給流なし;F=2.75及びプロピレンオキサイド末端ブロック
【0137】
20リットル撹拌反応器中、SRとしてグリセロール−ジエチレングリコール(モル比=3:1)(Mn〜1130g/mol;ヒドロキシル価=136mgKOH/g、F=2.75)に基づくポリプロピレンオキサイド5960g、及び同じプロピレンオキサイド中の6.0%強度のDMC触媒懸濁液43gを、減圧(10mbar)下、130℃で一時間乾燥させた。水含有量は、0.007質量%であった。
【0138】
次に、反応混合物の温度を110℃まで低下させた。触媒を活性化させるために、プロプレンオキサイド300gを0.5kg/hで計量導入した。触媒の活性化は発熱反応により観察された。プロピレンオキサイドの計量充填を0.5kg/hで続けた。同時に、二酸化炭素を供給することにより、反応器圧を3barまで上げた。液相中の遊離プロピレンオキサイドの量をATR−FTIRにより観察した。当該量は、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入の間、5質量%を超えなかった。反応が安定した後、二酸化炭素を導入することにより反応器圧を最大で8barまで(約20分毎に1barで)増加させた。同時に、プロピレンオキサイドの添加速度を4kg/h(約40分毎に0.5kg/hで)に段階的に上げた。反応混合物中の遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して8質量%となった時にプロピレンオキサイドの計量充填を停止し、遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して3質量%未満となったときのみに計量充填が再開するように、計量充填を制御した。プロピレンオキサイド9.4kgの導入後、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填を停止した。モノマーが反応したので、反応器内の圧力が低下した。反応混合物の質量に対して、遊離プロピレンオキサイドの含有量を0.5質量%未満に低下させた後、反応器の内部を減圧し、短時間で真空にした。プロピレンオキサイドの計量充填を1kg/hで再開し、残量280gを計量導入した。プロピレンオキサイドの追加反応後、計量充填を停止し、反応器を減圧した。全反応時間は約6.5時間であった。粗生成物の試料を分析のため取った。生成物を減圧下、150℃で3時間揮発させた後、生成物を排出し、4500ppmのIrgastab(登録商標)PUR68で安定化させた。導入した二酸化炭素の全量は1750gであった。
【0139】
粗生成物
質量:16900g
GCによるプロピレンカーボネート:4.3%
分離生成物:
質量:15400g
GCによるプロピレンカーボネート:320ppm未満
ヒドロキシル価:51.3mgKOH/g
粘度(25℃):1481mPa・s
GDC:Mn=1708g/mol;PD=1.58
分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量:
a)全分子に対して:5.3質量%
b)出発物質を除いた重合部分に対して:12.3質量%
【0140】
実施例3:SCとしてヒマシ油(Mn〜950g/mol;ヒドロキシル価=162mgKOH/g、F〜2.75)を用い、SRとしてヒマシ油を用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製;官能性〜2.75及びプロピレンオキサイド末端ブロック
【0141】
20リットル撹拌反応器中、SRとしてヒマシ油(Mn〜950g/mol;ヒドロキシル価=162mgKOH/g、F〜2.75)3936g、及び実施例2のDMC触媒懸濁液67.5gを、減圧(10mbar)下、130℃で一時間乾燥させた。水含有量は、0.012質量%であった。
【0142】
次に、反応混合物の温度を110℃まで低下させた。触媒を活性化させるために、プロプレンオキサイド300gを0.5kg/hで計量導入した。触媒の活性化は発熱反応により観察された。プロピレンオキサイドの計量充填を0.5kg/hで続けた。同時に、二酸化炭素を供給することにより、反応器圧を3barまで上げた。液相中の遊離プロピレンオキサイドの量をATR−FTIRにより観察した。当該量は、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入の間、3.5質量%を超えなかった。安定な方法で進められた反応の後、ヒマシ油(SC)の計量充填を50g/hで開始し、遊離プロピレンオキサイドの含有量を再び観察した(最大5質量%)。反応が安定した後、二酸化炭素を導入することにより反応器圧を最大で8barまで(約20分毎に1barで)増加させた。同時に、プロピレンオキサイドの添加速度を3.0kg/h(約40分毎に0.5kg/hで)に段階的に上げ、ヒマシ油の添加速度を300g/h(約40分毎に50g/hで)に段階的に上げた。反応混合物中の遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して8質量%となった時にプロピレンオキサイド及びヒマシ油の計量充填を停止し、遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して3質量%未満となったときのみに計量充填が再開するように、計量充填を制御した。ヒマシ油1000gの導入後、この計量充填を停止し、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填をプロピレンオキサイド9.5kgの量まで続けた。その後、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填を停止した。モノマーが反応したので、反応器中の圧力が低下した。遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して0.5質量%未満となった後、反応器の内部を減圧し、短時間で真空にした。プロピレンオキサイドの計量充填を2kg/hで再開し、残量356gを計量充填した。プロピレンオキサイドの追加反応後、計量充填を停止し、反応器を減圧した。全反応時間は約5.5時間であった。粗生成物の試料を分析のため取った。生成物を減圧下、150℃で3時間揮発させた後、生成物を排出し、4500ppmのIrgastab(登録商標)PUR68で安定化させた。導入した二酸化炭素の全量は2500gであった。SCに対するSRのモル比は、3.94であった。
【0143】
粗生成物
質量:16050g
GCによるプロピレンカーボネート:3.0%
分離生成物:
質量:15450g
GCによるプロピレンカーボネート:200ppm未満
ヒドロキシル価:51.3mgKOH/g
粘度(25℃):2616mPa・s
GPC:Mn=2122g/mol;PD=1.27
分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量:
a)全分子に対して:9.4質量%
b)出発物質を除いた重合部分に対して:17.5質量%
【0144】
実施例3に対する比較例3:SRとしてヒマシ油(Mn〜950g/mol;ヒドロキシル価=162mgKOH/g、F〜2.75)を用いたポリエーテルカーボネートポリオールの調製;SCの供給流なし;官能性〜2.75及びプロピレンオキサイド末端ブロック
【0145】
20リットル撹拌反応器中、SRとしてヒマシ油(Mn〜950g/mol;ヒドロキシル価=162mgKOH/g、F〜2.75)4938g、及び実施例2のDMC触媒懸濁液67.5gを、減圧(10mbar)下、130℃で一時間乾燥させた。水含有量は、0.012質量%であった。
【0146】
次に、反応混合物の温度を110℃まで低下させた。触媒を活性化させるために、プロプレンオキサイド300gを0.5kg/hで計量導入した。触媒の活性化は発熱反応により観察された。プロピレンオキサイドの計量充填を0.5kg/hで続けた。同時に、二酸化炭素を供給することにより、反応器圧を3barまで上げた。液相中の遊離プロピレンオキサイドの量をATR−FTIRにより観察した。当該量は、二酸化炭素及びプロピレンオキサイドの導入の間、4.0質量%を超えなかった。反応が安定した後、二酸化炭素を導入することにより反応器圧を最大で8barまで(約20分毎に1barで)増加させた。同時に、プロピレンオキサイドの添加速度を3.0kg/h(約40分毎に0.5kg/hで)に段階的に上げた。反応混合物中の遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して8質量%となった時にプロピレンオキサイドの計量充填を停止し、遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して3質量%未満となったときのみに計量充填が再開するように、計量充填を制御した。9.5kgのプロピレンオキサイドの導入後、プロピレンオキサイド及び二酸化炭素の計量充填を停止した。モノマーが反応したので、反応器の内部の圧力を低下させた。遊離プロピレンオキサイドの含有量が反応混合物の質量に対して0.5質量%未満となった後、反応器の内部を減圧し、短時間で真空にした。プロピレンオキサイドの計量充填を2kg/hで再開し、残量354gを計量導入した。プロピレンオキサイドの追加反応後、計量充填を停止し、反応器を減圧した。全反応時間は約5.5時間であった。粗生成物の試料を分析のため取った。生成物を減圧下、150℃で3時間揮発させた後、生成物を排出し、4500ppmのIrgastab(登録商標)PUR68で安定化させた。導入した二酸化炭素の全量は2400gであった。
【0147】
粗生成物
質量:16020g
GCによるプロピレンカーボネート:3.5%
分離生成物:
質量:15300g
GCによるプロピレンカーボネート:200ppm未満
ヒドロキシル価:51.8mgKOH/g
粘度(25℃):2472mPa・s
GPC:Mn=2033g/mol;PD=1.30
分離されたポリエーテルカーボネートポリオールのカーボネート含有量:
a)全分子に対して:8.9質量%
b)出発物質を除いた重合部分に対して:16.8質量%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMC触媒を用い、H官能性出発物質にアルキレンオキサイド及び二酸化炭素を付加することによるポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法であって、
一種以上の出発物質を初めに反応器中に入れ、反応の間に一種以上の出発物質を反応器に連続的に計量充填する方法。
【請求項2】
初めに反応器に入れる出発物質と、反応の間に反応器に連続的に計量充填する出発物質とが同じである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初めに反応器に入れる出発物質と、反応の間に反応器に連続的に計量充填する出発物質とが異なる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
初めに反応器に入れる出発物質が、反応の間に反応器に連続的に計量充填する出発物質とアルキレンオキサイドとの反応性生物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応の間に反応器に連続的に計量充填する一種以上の出発物質の量が、出発物質の全量に対して、好ましくは少なくとも5モル%である請求項1の方法。
【請求項6】
反応の間に反応器に連続的に計量充填する一種以上のる出発物質の量が、出発物質の全量に対して、好ましくは少なくとも20モル%である請求項1の方法。
【請求項7】
反応の間に反応器に連続的に計量充填する一種以上のる出発物質の量が、出発物質の全量に対して、好ましくは少なくとも40モル%である請求項1の方法。
【請求項8】
反応の間、反応混合物中の遊離アルキレンオキサイドの濃度が、反応混合物の質量に対して、0を超えて40質量%以下である請求項1の方法。
【請求項9】
反応の間、反応混合物中の遊離アルキレンオキサイドの濃度が、反応混合物の質量に対して、0を超えて25質量%以下である請求項1の方法。
【請求項10】
反応の間、反応混合物中の遊離アルキレンオキサイドの濃度が、反応混合物の質量に対して、0を超えて15質量%以下である請求項1の方法。
【請求項11】
反応の間、反応混合物中の遊離アルキレンオキサイドの濃度が、反応混合物の質量に対して、0を超えて10質量%以下である請求項1の方法。
【請求項12】
ポリエーテルカーボネートポリオールにおけるカーボネート単位の形態で組み込まれた二酸化炭素の含有量が、出発物質がない反応により得られる分子部分に対して、2〜25質量%である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリエーテルカーボネートポリオールにおけるカーボネート単位の形態で組み込まれた二酸化炭素の含有量が、出発物質がない反応により得られる分子部分に対して、3〜20質量%である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ポリエーテルカーボネートポリオールにおいてカーボネート単位の形態で組み込まれた二酸化炭素の含有量が、出発物質がない反応により得られる分子部分に対して、5〜15質量%である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ポリエーテルカーボネートポリオールが、平均で少なくとも2個のアルキレンオキサイド単位を含むブロックをポリエーテルカーボネートポリオール鎖の末端に有する請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ポリエーテルカーボネートポリオールが、平均で少なくとも3個のアルキレンオキサイド単位を含むブロックをポリエーテルカーボネートポリオール鎖の末端に有する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法により得られたポリエーテルカーボネートポリオール。
【請求項18】
下記一般式(I)
【化1】

(式中、
R1は、例えば、水、単官能及び多官能アルコール、単官能及び多官能アミン、単官能及び多官能チオール、単官能及び多官能アミノアルコール、単官能及び多官能チオアルコール、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリエステルエーテルオール、ポリカーボネートジオール、ポリエチレンイミン、超分岐状ポリグリセロール、超分岐状ポリカーボネートポリオール、超分岐状ポリエステルポリオール、超分岐状ポリウレタンポリオール、PolyTHF(登録商標)、ポリエーテルアミン、ポリテトラヒドロフランアミン、ポリエーテルチオール、ポリアクリレートオール、不飽和モノヒドロキシ及びポリヒドロキシ化合物、ポリエーテルカーボネートポリオールの分子基;ヒマシ油、ヒマシ油のモノグリセリド又はジグリセリド、脂肪酸のモノグリセリド又はジグリセリド、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又はC1〜C24のアルキルエステル(ヒドロキシル基は化学変性によって予め導入されたものである)の分子基などのアルコキシル化において活性であるH原始を有していない出発物質基であり、
R2は、CH2−CH2であり、
R3は、CH2−CH(CH3)であり、
R4は、
【化2】

モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドとしてモノエポキシ化又はポリエポキシ化された脂質又は油の分子基、モノエポキシ化又はポリエポキシ化された脂質又は油、又はそのC1〜C24アルキルエステルの分子基であり、
R5は、直鎖状又は分岐状であってもよい、C1〜C24アルキル基、アルケニル基であり、
R6は、直鎖状又は分岐状であってもよい、C1〜C24アルキル基、アルケニル基であり、
R7は、直鎖状に配列されたC3〜C6アルキル基であり、
R8は、OH、Cl,OCH3、OCH2−CH3、O−CH2−CH=CH2、O−CH=CH2であり、
i、Vi、Wiは、0〜400の整数であり;ここで、指数Ui、Vi、又はWiのうち少なくとも1個が4以上であり、
iは、1〜100の整数であり;ただし、ポリエーテルカーボネートポリオールの一般式(I)において、−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とし;
nは、1〜100、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4、最も1〜3の整数であり、
iは、1〜nの整数である)
で示される構造を有する請求項17に記載のポリエーテルカーボネートポリオール。
【請求項19】
下記関係
【数1】

が、一般式(I)に適用される請求項18に記載のポリエーテルカーボネートポリオール。
【請求項20】
ポリエーテルカーボネートポリオールが、下記一般式(II)
【化3】

(式中、
R1、R2及びR3は、一般式(I)と同じ意味であり、
i、viは、0〜400の整数であり;ここで、少なくともui又はiが1以上であり、
iは、1〜100の整数であり;ただし、ポリエーテルカーボネートポリオールの一般式(I)において、−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が、個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とし;
nは、1〜100、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4、特に1〜3の整数であり;
iは、1〜nの整数である)
で示される構造を有する請求項17に記載のポリエーテルカーボネートポリオール。
【請求項21】
下記関係
【数2】

が、一般式(II)に適用される請求項20に記載のポリエーテルカーボネートポリオール。
【請求項22】
一般式(III)
【化4】

(式中、
R1及びR3は、一般式(I)と同じ意味であり、
iは、4〜400の整数であり、
iは、1〜100の整数であり;ただし、ポリエーテルカーボネートポリオールの一般式(I)において、−C(=O)−O−C(=O)−O−結合(カーボネート−カーボネート結合)がポリマー鎖中に形成されておらず、且つ−C(=O)−OH結合が、個々のポリマー鎖の末端に形成されていないことを条件とし;
nは、2〜100、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4、特に1〜3の整数であり;
iは、1〜nの整数である)
で示される構造を有する請求項17に記載のポリエーテルカーボネートポリオール。
【請求項23】
下記関係
【数3】

が一般式(III)に適用される請求項22に記載のポリエーテルカーボネートポリオール。

【公表番号】特表2010−516796(P2010−516796A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547634(P2009−547634)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050646
【国際公開番号】WO2008/092767
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】