説明

ポリエーテルブロックアミドを紡ぐ方法、および該方法によって得られる繊維、ならびに該繊維を用いて作られる製品

【課題】 PEBAを紡いで繊維とする方法を提供する。
【解決手段】 ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を紡いで繊維にする方法であって、少なくとも1つの押出機、冷却システム、延伸用連続ライン、弛緩ユニット、加熱ユニットおよび巻取りシステムが主として使用され、初期硬度がショア硬度でD15から80の間、より好ましくはD20から75の間、さらにより好ましくはD27から69の間にあるポリエーテルブロックアミドがベース材料として採用されること、および延伸された繊維が巻き取られる前に加熱ユニットにおいて温度処理され、これによって収縮率が0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらにより好ましくは0〜3%に低下することを特徴とする方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA:polyether block amide)を紡ぐ方法、およびその方法を用いて得られる繊維に関する。
【0002】
本発明は更に、こうした繊維を用いて作られる製品、特に、ウィービングおよび/またはニッティングおよび/またはトワイニングおよび/またはプレーティングの技法、または類似の技法により前記PEBA繊維が高品質布製品に組み込まれている構造が作り出されている製品に関する。後者はとりわけ、衣類、医療用途および湿度調節布製品に利用される。
【0003】
前記高品質の仕上加工布製品には、本発明の範囲を制限することなく、例えば、あらゆる種類の防護衣服、作業衣、スポーツウエア、カジュアル衣料、下着、およびその他のタイプの衣類だけでなく、家具用織物および輸送手段用の室内装飾材料の類、加えて創傷癒合、整形外科用途および火傷治療用の医療包帯、ならびにサポートストッキングとその関連製品、更にはあらゆる種類の工業用布の用途などが含まれる。
【0004】
その意味で、PEBAという呼称は最も広い意味に解釈すべきである。
【0005】
PEBAという呼称は、例えば、数ある中でもアルケマ社(ARKEMA)によりペバックス(PEBAX)の商品名で現在販売されているポリエーテルブロックアミド(PEBA)群に加えて、エボニック社(Evonik A.G.)からベスタミド(Vestamid)の名称で提供されているもの、エムスケミー社(EMS−Chemie)からグリラミド(Grilamid)の名称で提供されているもの、ディーエスエム社(DSM)からケラフレックス(Kellaflex)の名称で提供されているもの、またはその他の多くの供給業者が生産するその他同様の材料を意味する。
【背景技術】
【0006】
基本的に、可塑剤を含まないPEBAは、かなり独特な特性および加工容易性を有するかなり高性能の熱可塑性エンジニアリングエラストマーであり、直接高品質繊維へと紡げることからその品質は際立っている。
【0007】
原則的に、これらは主としてエステル結合を介して可塑性ポリエーテルセグメントと共有結合したポリアミドブロックの直鎖で形成されている。
【0008】
原則的に、これらは例えば、ポリアミド(例えばPA6、PAll、PA12など)のジカルボン酸を一方の、2個の末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル(例えばPTMG、PEGなど)を他方の出発材料とする重縮合によって調製した共重合体とみなすことが可能である。
【0009】
その一般構造は、概略的に例えば次のように表すことが可能である。
−[CO−A−CO−O−B−O−]** (I)
ただし、
Aは、元々は2個の末端カルボキシル基を有するが反応においてそれを失ったポリアミドに由来するポリアミド鎖を表し、
Bは、元々は2個の末端ヒドロキシル基を有するがやはり反応においてそれを失ったポリオキシアルキレングリコールに由来するポリオキシアルキレン鎖を表し、
nは、ポリマー鎖が形成されるユニットの数であり、
*は、例えば重合を終了させる化合物が起源である、例えば反応混合物に過剰に添加されたジカルボン酸が起源である例えばヒドロキシル基または他の残基である末端基を表し、
**は、例えば、重合を終了させる化合物、例えば反応混合物に過剰に添加されたジカルボン酸に由来する例えば水素または他の残基である末端基を表す。
【0010】
上記セグメントは別として、ポリマー鎖は、鎖上に通常統計的に分布し、前記材料が通常合成される重縮合反応中に通常形成されるその他の官能基を更に含んでもよい。
【0011】
これに関連して、とりわけ特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;などに記載されているような、PEBAの具体的な組成物および生産方法が知られている。
【0012】
更に、PEBAは、従来の補助成分および添加剤、ならびに帯電防止効果を有する薬剤、および/またはナノ粒子、および/または例えばヒュームドシリカなどで充填されていてもよい。
【0013】
必要であれば、これらは、例えばドイツ、レバークーゼン(Leverkusen)のバイエル・アクツィーエンゲゼルシャフト(Bayer Aktiengesellschaft)による特許文献12に記載されているような、例えばカテーテルなどの医療用途向けに、管理された方法で放出可能な抗菌剤または薬剤活性物質などの生物学的活性材料を更に含んでもよい。
【0014】
PEBAは通常、溶融状態で他の熱可塑性ベース材料と混合すること、および続いてこの混合物を従来の熱可塑性材料の任意の加工方法に従って射出成形すること、および/またはフィルム、射出成形部品などの形態の最終製品が得られるまで押し出すことによって加工される。
【0015】
関係する出版物は、非常に多岐かつ広範囲にわたっている。そのような中で、例えばドイツイーワルト・ドルケン社(Ewald Doerken GmbH)による特許文献13において、絶縁屋根材に使用されるPEBAで作られた通気性フィルムが記載され、その一方で、米国イージーエム社(E−Z−EM Inc)による特許文献14、およびドイツバイエルAG社(Bayer AG)による特許文献15は、医療分野における用途(カテーテルなど)を開示する。
【0016】
フランスのアト・シミ(Ato Chemie)による特許文献16は、ホットメルト接着剤としての用途を記載する。
【0017】
一般に、PEBAは用途に適合可能なその例外的特性のために現在多くの分野に応用されていると言える。
【0018】
そのような中で、我々は例えば、あらゆる種類の最高水準のスポーツ用シューズの外底として応用されることに気がついた。そこではこれらの材料の衝撃吸収、軽量、エネルギー返還および可撓性に至る利点が、低温下でも生かされている。
【0019】
スキーブーツなどのウインタースポーツ用材料では、軽量、低温などの極限状態に対する耐性、耐紫外線性、および耐湿性などの利点が、特に有用となる。
【0020】
上記のカテーテルなどの医療用途では、高温および低温での高可撓性特性を利用し、更にはこうした材料に一般的である柔軟性を利用している。
【0021】
電子工学および電気の分野においては、住宅資材として、ケーブルおよび電線絶縁、または別体の構成部材などにPEBAは使用される。
【0022】
さらには、通気性フィルムおよび不織素材にも用途がある。
【0023】
親水性の変異体は、その帯電防止特性および防塵特性ゆえに使用される。
【0024】
こうした特性を得るためには添加剤を必要としないことが多いため、PEBA材料はその有用寿命が切れても、通常はリサイクル可能である。
【0025】
しかし、PEBAからの繊維製造に関する限り、現在の技術水準では限界が非常に多い。
【0026】
この分野において知られているのは、キンバリークラーク社(Kimberly−Clark Corporation)による特許文献17からのもの、いわゆる「メルトブローイング」技法に従って生産され、約50パーセントのPEBAと残りの50パーセントが活性炭素および他の粉末状吸収材からなる群から選択される個別粒子で形成される不織伸縮性フリースである。
【0027】
次にこれらは、別のステップにおいて不織ウェブ上に塗布されるか、または不織ウェブに加工される。
【0028】
こうしたウェブは主に、吸湿性おむつ、生理用ナプキンなどの分野に用途を見出すことができる。
【0029】
この不織材料用の「メルトブローイング」技法には欠点があり、このような方法では、その後にニッティング、ウィービング、トワイニングまたは類似の技法を用いて高品質の織物とするために繊維としてボビンに巻き取るのに必要な機械的および化学的特性を有する繊維またはフィラメントを形成することができない。
【0030】
上記に関連して更に知られているのは、例えば伸縮性帯電防止ポリエステル繊維を形成するためにPEBAを複合繊維に加工することである。
【0031】
PEBAベース材料は、例えば特許文献18、特許文献19、特許文献20に記載されているように、溶融状態で他の熱可塑性材料、例えばポリアミドまたはポリエステルと常に混合され、必要に応じて、所要の帯電防止性が組み込まれた後に、または表面処理された後に、複合繊維の形態の完成品へと引き続き加工される。
【0032】
更に、例えば日本の東レ株式会社による特許文献21に記載されているように、PEBA、ポリエステルおよび/またはポリアミドで構成される同様の帯電防止熱可塑性ポリマー混合物の繊維を用いてニット製品または織布製品を作ることも可能である。
【0033】
帝人株式会社による特許文献22からは、「溶融紡糸」プロセスで形成可能な非常に特殊な組成を有するPEBAで作られる伸縮性繊維が知られているが、これを延伸するにはその後の多数の(20にも至る)ステップを必要とする。加えて、製品は重合中の組成および不純物に対して非常に敏感なようであり、更に押し出し中には温度に影響されて退色してしまう。
【0034】
こうした繊維が典型的なニッティング、トワイニング、ウィービングまたはプレーティング技法を用いて有用な商品へと更に加工されることに適しているかどうかについては述べられていない。
【0035】
そのような中で、例えばイー・アイ・デュポン・ド・ヌムール社(E.I.Dupont de Nemours)による特許文献23には、異なる要素、すなわち、第2の付属糸(それ以上明記されていない)と組み合わせた二成分糸で構成され、上記二成分糸が熱可塑性エラストマーで形成された軸方向コアを有する少なくとも1つのフィラメントを備え、多数の羽部がこのコアに取り付けられ、これらの羽部が熱可塑性、非弾性ポリマーで形成されているヘテロ複合合成糸が記載されている。
【0036】
こうした二成分糸を製造する方法も、例えば図5以下の図に示される通り、記載されている。その方法は、弾性ポリマーで形成された軸方向コアと、前記コアに取り付けられ非伸縮性ポリマーで作られた複数の羽部とを含む複数の伸縮性合成繊維を生産するために、一方の成分である溶融熱可塑性ポリマーと他方の成分である溶融熱可塑性エラストマーをガイドして紡糸プレートを通すことを包含している。
【0037】
十分な付着性を付与するためには、粘着促進剤をベース材料に添加しなければならない場合が非常に多いが、粘着促進剤はベース材料の良好な特性に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0038】
次に、こうした二成分糸を他の糸と共に更に加工することができる。他の糸を例えば二成分糸と並べて配置したり、偏心もしくは同心の鞘を有するコアを備えた構成、またはコアを有する羽部のような構成、または鞘およびコアを有する羽部のような構成を付与したりするなどによって更に加工することが可能である。
【0039】
こうした二成分糸は、所要の化学的および機械的特性を得るために、1以上の付随する糸とともに常に作用しなければならないモノフィラメント二成分糸または多種多様な複数の同一フィラメントで形成された糸として仕上げることが可能である。
【0040】
その結果、これらは、所要の固有の特性を有するモノフィラメントを作製または製造することによってではなく、少なくとも3成分の糸を作製することによって得ることができているにすぎない。
【0041】
こうした構造または設計の糸を製造することは、非常に複雑で労働集約的であり、エネルギーを浪費し、結果として環境に悪く、大きな欠点である。
【0042】
加えて、こうした糸の用途の可能性は、例えば、伸びが大きく、復元性を有すると共に特にそれ自体の嵩の大きさが非常に重要な織物など限られたものしかない。
【0043】
そのような中、米国オプティマー社(Optimer Inc)による特許文献24には、一方の成分を非弾性ポリアミドとし、他方の成分を熱可塑性エラストマーとして形成された合成二成分繊維が記載されている。第1の成分は例えばナイロン6などの例えばポリアミド群から選択され、第2の成分がポリエーテルブロックコポリアミドの群、特にPebax5533と、例えばPellethane2102などのポリカプローラクトンポリエステルベースの弾性ポリウレタン類の群とから選択され、合成二成分繊維は自己伸縮性であるという主要な特徴を有する。
【0044】
合成二成分繊維を形成するには、両合成物群を別々に溶融し、例えば「Y」形状の紡糸ヘッドで互いに接触させる。
【0045】
発明者らは、上記のようにして、望ましい固有の化学的および機械的特性を単一の糸で合わせようとしたが、いずれも成功しなかった。
【0046】
そのような中、ジレットカナダ社(Gilette Canada Inc)による特許文献25には、「海に浮かぶ島コンセプト」に従い、第1の材料で形成された1つ以上のコアフィラメントと、シールされた外面を更に有する第2の材料のコーティングとから作られた多成分同時押し出しフロス糸が開示されている。
【0047】
こうした多成分フロス糸を形成するためには、最初にコアを押し出すための第1の押出機と、続いてコーティングを塗布するための第2の押出機との少なくとも2台の押出機が使用される。
【0048】
コーティングは、例えばPebax2533またはHytrel3078などのポリエーテルブロックコポリアミドで構成され、これには、研磨剤または滑材が充填されていてもいなくてもよい。「海」成分または成分類は例えばナイロン4.0で形成されればよい。
【0049】
作製される糸を特に「海に浮かぶ島」コンセプトに従って形成および製造する必要があるのは、ここでも、所望の化学的および機械的特性を単一の糸に本質的に組み込むことは不可能なためである。
【0050】
ディー・ブラウン(D.Brown)、アイ・ヒル(I.Hill)他による特許文献26は、ポリスチレン類、ポリオレフィン類の混合物、エラストマー合金類、ポリウレタン類、コポリエステル類、ポリアミド類、およびこれらの混合物および/または共重合体からなる群から選択され固形で提供される熱可塑性エラストマーで形成される支持構造をベースとする歯間フロス用の合成テープを開示する。前記テープは、50%未満の破断伸び、および25%未満の弾性限界を有し、有機樹脂に埋め込まれた分子量が非常に大きいポリジメチルシロキサン類、またはステアリン酸カルシウムもしくはその混合物からなる添加剤を添加することができ、および/またはフロス時に口腔内で剥離するコーティングを備える。
【0051】
延伸することによって得られる合成鎖の向きを含めた加工環境は、テープが、2.5〜約5のフレックス/ツイスト(flex/twist)指数を有するように選択される。これは、効率的に歯間をフロスするための主たる特徴であると考えられる。
【0052】
この発明は、ポリエーテルブロックアミドの加工に基づいたものとすることができるテープを記載するが、フロスに必要な化学的および機械的特性は単に大量の添加剤、充填材の添加および特定のコーティングの塗布によって得られるものである。
【0053】
その一方で、米国ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Co)による特許文献27には、硬化有機ポリマーで形成された研磨フィラメントの組成物および生産が開示されている。この硬化有機ポリマーは、ポリエーテルブロックアミドとすればよいが、かなりの程度まで研磨剤粒子が充填されてもよい。
【0054】
研磨剤粒子とポリマーとの良好な結合を得るには、通常、特別な結合剤を使用する必要がある。
【0055】
所要の特性を得るには通常、作製される糸が、研磨剤粒子で充填された第2のポリマーで形成された研磨剤コーティングでコアとしての糸を囲むことによって製造される。
【0056】
こうした研磨フィラメントには特に曲げ疲労に対する耐性という満たさなければならない特定の要求があるために、その組成および生産方法は、本発明に記載される繊維とは大きく異なっている。
【0057】
端的に言えば、現在の技術水準によると、PEBAを紡ぎ、ニッティングおよび/またはトワイニングおよび/またはウィービングおよび/またはプレーティング技法などを用いて有用な高品質の布製品へと加工するのに適した物理的および化学的特性を更に有する高品質の繊維にすることは、モノフィラメントの形態であってもマルチフィラメントの形態であっても、実際には未だ実現可能ではないと言うことである。
【0058】
明らかにこれはこの種の高品質の材料が有用となる用途にとっては大きな欠点であり、深刻な限界であるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】仏国公開特許第7 418 913号(FR−PS7 418 913)
【特許文献2】独国特許出願公開第28 02 989号(DE−OS28 02 989)
【特許文献3】独国特許出願公開第28 37 687号(DE−OS28 37 687)
【特許文献4】独国特許出願公開第25 23 991号(DE−OS25 23 991)
【特許文献5】欧州特許出願公開第095 893号(EP−A095 893)
【特許文献6】独国特許出願公開第27 12 987号(DE−OS27 12 987)
【特許文献7】独国特許出願公開第27 16 004号(DE−OS27 16 004)
【特許文献8】米国特許第4,208,493号(US4,208,493)
【特許文献9】米国特許第4,230,838号(US4,230,838)
【特許文献10】米国特許第4,252,920号(US4,252,920)
【特許文献11】特開平07−018519号(JP7018519)
【特許文献12】国際公開第00/28814号(WO002/28814)
【特許文献13】欧州特許第0 167 714号(EP0 167 714)
【特許文献14】米国特許第5,584,821号(US5,584,821)
【特許文献15】国際公開第00/28814号(WO00/28814)
【特許文献16】米国特許第4,361,680号(US4,361,680)
【特許文献17】米国特許第4,923,742号(US4,923,742)
【特許文献18】特開昭55−015833号(JP5515833)
【特許文献19】特開昭57−176219号(JP57−176219)
【特許文献20】特開昭55−122020号(JP55−122020)
【特許文献21】特開平08−199454号(JP08−199454)
【特許文献22】特開平07−018519号(JP07−018519)
【特許文献23】国際公開第03/035952号(WO03/035952)
【特許文献24】国際公開第99/45183号(WO99/45183)
【特許文献25】国際公開第98/19623号(WO98/19623)
【特許文献26】国際公開第02/080801号(WO02/080801)
【特許文献27】国際公開第93/18891号(WO93/18891)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0060】
従って、本発明は、PEBAを紡いで繊維とする方法であって、上記の技法のいずれかに従って有用な仕上加工布製品に加工できるように繊維の特性が調整される方法を提供することによって、これらおよびその他の欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0061】
本目的は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を紡いで繊維にする方法であって、少なくとも1つの押出機、冷却システム、延伸用連続ライン、弛緩ユニット、加熱ユニットおよび巻取りシステムが使用され、初期硬度がショア硬度でD15から80の間、より好ましくはD20から75の間、さらにより好ましくはD27から69の間にあるポリエーテルブロックアミドが出発材料として採用されること、および延伸された繊維が巻き取られる前に加熱ユニットにおいて温度処理され、これによってその収縮率が0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらにより好ましくは0〜3%に低下することを特徴とする方法を適用することによって達成される。
【0062】
別の実施形態においては、初期硬度がショア硬度でA70から99の間、より好ましくはA75から95の間、さらにより好ましくはA77から92であるポリエーテルブロックアミドが出発材料として採用される。
【発明の効果】
【0063】
これにより、PEBAの優れた化学的および物理的特性が、これまで実現可能ではなかった用途でも利用可能になるという利点が得られる。
【0064】
最終用途の例としては、高品質かつ軽量であり、適用可能な場合には湿度調節性のある衣服に加え、防護衣服、作業衣、スポーツウエア、カジュアルウエア、下着およびその他のタイプの衣類、加えて家具用織物および輸送手段用室内装飾材料の類、創傷癒合用だけでなく整形外科用途向けおよび火傷治療用医療包帯、サポートストッキングおよびその関連製品、更にはあらゆる種類の工業用布用途などがあるが、何らこれに限られるものではない。
【0065】
その大きな利点は、こうしたPEBAフィラメントを利用することにより、従来の材料で作られたフィラメントとは異なり、良好な特性を有する布構造が得られる点にある。特に軽量で、弾性および衝撃吸収性に優れ、湿度バランスを適度に調節するために快適であり、他の繊維とのと混紡が容易であり、総じて布構造の透過性が向上し、材料のリサイクル性に優れているなどの特性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明の特徴をより明確に説明するため、以下に示す本発明による繊維を紡ぐ方法の好ましい実施形態、およびこのような方法で得られる繊維で、上記の技法の一種によって仕上加工布製品を生産することができる当該繊維を単なる例として説明するが、何らこれに制限されるものではない。
【0067】
好ましい実施形態においては、本発明によるモノフィラメント繊維を形成するため、例えば以下の手順をとる。
【0068】
硬度がショア硬度でA70と99との間、より好ましくはA75と95との間、さらにより好ましくはA77と92との間であることを特徴とする特定のタイプのPEBAが、ベースポリマーとして採用される。
【0069】
ただし、別の好ましい実施形態においては、硬度がショア硬度でD15と80との間、より好ましくはD20と75との間、さらにより好ましくはD27と69との間である、ある種のPEBAが基礎原料として採用される。
【0070】
実用的な好ましい実施形態においては、PEBAモノフィラメントは、少なくとも1つの押出機、加えて冷却ユニット、フィラメントを延伸する連続ライン、制御下での弛緩を行う装置、および巻取りシステムで主として構成される生産ラインにおいて製造される。
【0071】
押出機それ自体は、ポリマーを押出機に送り込むための供給システムを有する。
【0072】
ポリマーを乾燥させるかどうかは、ポリマーが耐湿性パッケージに包装されるかどうかによる。
【0073】
好ましい実施形態においては、ベースポリマーは押し出す前に通風炉において数時間乾燥させる。
【0074】
更なる好ましい実施形態においては、材料を大気湿度のあらゆる影響から保護するため、導入されたポリマーに乾燥空気を行き渡らせるための設備も供給システムが備える。
【0075】
別の好ましい実施形態においては、乾燥空気に代えて窒素を上記のように行き渡らせることが提供される。
【0076】
原則的に、押出機それ自体は主として、1以上の混合用スクリューを有するシャフト、可変加熱ゾーン、紡糸用ポンプ、スクリーンパック、および紡糸プレートからなる。
【0077】
好ましい実施形態においては、単純押出機が使用される。
【0078】
更なる好ましい実施形態においては、押出機が共回転二軸スクリュー押出機である。
【0079】
更に別の好ましい実施形態においては、押出機が逆回転二軸スクリュー押出機である。
【0080】
好ましい実施形態においては、PEBAモノフィラメントの押し出しのために、押出機内の温度が120℃から270℃の間、より好ましくは130℃から250℃の間、さらにより好ましくは160℃から230℃の間をとる。
【0081】
概して言えば、従来のポリアミド共重合体またはその混合物を加工する際の温度よりも低い押し出し温度が使用される。
【0082】
紡糸プレートには、1から120の間の様々な数の紡糸孔を形成することが可能である。
【0083】
使用される紡糸孔の数は、直接的にはフィラメントの太さと機械の出力次第である。
【0084】
これは、かなり低い押し出し温度と相俟って、押出機内での材料の退色および分解、ならびにそれに伴うモノフィラメントの品質の低下を防止するに相違ない。
【0085】
押し出されるフィラメントの幾何形状は、円形のフィラメントからより複雑な形態構造まで多様とすることができ、そのため、形状によっては、機械的(例えば、引張強度および弾性)にも物理的(湿度調節)にも別の特性が得られる。
【0086】
フィラメントの形状は、ここでは主として金型開口の形態によって決まる。
【0087】
好ましい実施形態においては、それに続く冷却システムが空冷ユニットからなる。
【0088】
更なる好ましい実施形態においては、本冷却システムは、水冷システム、特に冷却水槽からなることが好ましい。
【0089】
水槽において、フィラメントは、連続ラインの延長方向に向かうようにベース材料のショア硬度に適応した位置および形状の、固定された、フィラメント用偏向処理部を通って案内される。
【0090】
この場合、連続ラインは、紡糸仕上げユニット、一連のローラ、および複数の炉(好ましくは4ローラシステム)、ならびに3台の熱風循環炉からなる。
【0091】
これに関し、PEBAモノフィラメントを押し出す際に紡糸仕上げを適用することも可能であるが、フィラメントにおけるPEBAの最適特性を維持するためには適用しないことが好ましい。
【0092】
好ましい実施形態において、紡糸仕上げユニットが使用される場合、紡糸仕上げユニットは上記ラインの先頭、冷却ユニットの直後に備えられる。
【0093】
更なる好ましい実施形態においては、紡糸仕上げユニットは延伸および弛緩段階の後、巻取機の直前に設置される。
【0094】
続いて、連続ラインにおいてモノフィラメントは、1から12の間、より好ましくは1から8の間、さらにより好ましくは2から6の間の延伸比で延伸される。
【0095】
従来通りであれば、温度を周辺温度(炉のスイッチはオフ)から約160℃に設定することができる3の炉が順次使用される。
【0096】
本発明による好ましい実施形態において、最初の2台の炉はここでは周辺温度に設定され、第3の炉は好ましくは60から110℃の間に設定される。
【0097】
更なる好ましい実施形態においては、第3の加熱用炉は存在しないが、最後の弛緩ローラそれ自体が60から110℃の間の温度にまで加熱される。
【0098】
本発明によると、本方法はフィラメントの特性を最適化し、その結果、後の生産工程におけるフィラメントの加工がより良好となる。
【0099】
更なる好ましい実施形態においては、延伸工程の最終ステップにおいて、0から10%、より好ましくは0から8%、さらにより好ましくは0から5%の弛緩段階が実施される。
【0100】
本発明によるこれらのステップが実施されない場合、張力がボビンに集中することとなり、フィラメントをほどくことが困難になるか、または不可能になることさえある。
【0101】
生産工程の最後に、モノフィラメントはボビンまたはリールに巻き取られる。
【0102】
どれを選択するかは、生産されるフィラメントの重さ、長さおよび太さに関する限りであれば、顧客の要望次第である。
【0103】
ここでは、生産されるモノフィラメントは、市場での需要および選択された金型開口に応じて太さを15デニールから3000デニールまで変えることが可能である。
【0104】
マルチフィラメントが生産される場合、好ましい実施形態に従っておおよそ同じ方法が取られるが、以下のような大きな相違点がある:
本発明によって生産されるマルチフィラメント糸は、1〜30dpf(denier per filament)、より好ましくは2から20dpf、さらにより好ましくは3から6dpfである。
【0105】
上記のモノフィラメント繊維の生産とは異なり、本発明によるマルチフィラメント繊維の生産においては、最後の弛緩ローラを除いて、冷却された延伸ローラが使用され、弛緩ローラでは、このとき温度を上昇させる。
【0106】
本発明による方法の更なる特異性は、PA、PET、PPなどの他の熱可塑性樹脂のマルチフィラメントの押し出しと比較して比較的低い押し出し速度が適用されることにある。
【0107】
更に、ポリマーの性質からいって、延伸しすぎないことが示唆される。
【0108】
そのようにすれば、糸の特性の多くが失われるであろう。
【0109】
これは、実用的な好ましい実施形態においては、例えば以下の方法で、以下の条件下で実行される。
【0110】
PEBAマルチフィラメントは、通常の方法で構築されたマルチフィラメント押し出しラインにおいて製造される。
【0111】
この押し出しラインは、主として、実際の押出機、冷却ユニット、この場合は紡糸仕上げユニット、その後にフィラメントを延伸しかつ弛緩する連続ライン、および最後の巻取りシステムで構成される。
【0112】
押出機は、ポリマーを押出機に送り込むための供給システムを含む。
【0113】
供給システムは、材料を(空気中の)湿度のあらゆる影響から保護するため、導入されるポリマーに乾燥空気または窒素を行き渡らせる設備を備えていてもよいが、備えていなくてもよい。
【0114】
押出機それ自体は、ここでは、1つまたは複数の混合用スクリューを有するシャフト、可変加熱ゾーン群、紡糸ポンプ、スクリーンパック、および紡糸プレートで構成される。
【0115】
紡糸プレートは、種々の数の紡糸孔を備えて構築することが可能である。使用される紡糸孔の数は、直接的にはフィラメントの太さ、生産されるフィラメントの数、および機械の出力による。
【0116】
押出機は単軸スクリューであっても二軸スクリューであってもよく、共回転であっても逆回転であってもよい。
【0117】
PEBAマルチフィラメントを押し出す場合、押出機内の温度は130℃から260℃、好ましくは160℃から230℃までさまざまである。
【0118】
これは、選択された紡糸プレートの紡糸孔の数と相俟って、押出機内での材料のいかなる退色または分解、ならびにそれに伴うマルチフィラメントの品質の低下を回避するに相違ない。
【0119】
マルチフィラメントの押し出し速度は、PEBAのタイプ、フィラメントの太さ、押出機の特性(容量、紡糸ポンプ、スクリーンパックなど)、および目的の生産量に応じて500から5000m/分までさまざまな値とすることができる。
【0120】
好ましい実施形態においては、例えば、1000から2000m/分の間の押し出し速度が維持される。
【0121】
これは、PA、PET、PPなどの他の熱可塑性樹脂の押し出しと比較して、比較的低い押し出し速度である。
【0122】
冷却システムは、水冷システムまたは空冷システムからなっていてもよいが、マルチフィラメントを製造する場合、好ましい実施形態においては空冷システム、特にいわゆる「空気急冷システム」と呼ばれるものが使用される。
【0123】
これは、主として、溶融物を冷却して、更なる延伸および巻き取りが可能なフィラメントとするために、糸に特定の冷却用空気流を送風するエアシャフトで構成される。
【0124】
冷却空気の速度は、ここでは、押し出されるフィラメントの太さに応じて0.2m/sから2m/s、より好ましくは0.4から1.5m/s、さらにより好ましくは0.5m/sから1.2m/sまでさまざまな値とすることが可能である。
【0125】
原則的に、連続ラインは更に紡糸仕上げユニットおよび一連のローラからなる。これにより、後者については、機械内での位置に応じて、加熱または冷却をすることもできるし、しなくてもよい。
【0126】
PEBAマルチフィラメントを押し出す場合、「紡糸仕上げ」を適用することも可能であるが、フィラメントにおいてPEBAの最適な特性を維持するためには適用しないことが好ましい。
【0127】
必要であれば、この「紡糸仕上げ」は、湿潤ローラが1分当たり1から15回転の間の速度で回転し、好ましい実施形態においては1分当たり7から12回転の間の速度で回転する湿潤ローラシステムを用いることによって適用される。
【0128】
連続ラインにおいて、マルチフィラメントは1から12の間、より好ましくは1から8の間、さらにより好ましくは1から6の間の延伸比で更に延伸される。
【0129】
連続ラインの各種ローラ、すなわち受け入れローラ、第2ローラ、いわゆるローラ対、場合によっては他のローラ、弛緩ローラおよび最後の受け入れローラの温度は、周辺温度に設定されるか、または0〜20℃から170℃に冷却される。
【0130】
好ましい実施形態においては、受け入れローラおよび第2ローラの温度は周辺温度に設定され、ローラ対および/または第3組のローラの温度は周辺温度から170℃の間、より好ましくは20℃から60℃の間の温度に設定される。
【0131】
好ましい実施形態において、弛緩ローラの温度は、ここでは60℃から120℃の間に設定される。
【0132】
延伸工程の最終ステップにおいては、0から15%、より好ましくは0から10%、さらにより好ましくは0から5%の弛緩段階を組み込むことが示唆される。
【0133】
本方法は、マルチフィラメントの特性を最適化し、その結果、後の生産工程におけるフィラメントの加工がより良好となる。
【0134】
延伸比および速度は、個々のローラを調整することによって設定される。
【0135】
好ましい実施形態においては、例えば、マルチフィラメントを形成するためにショア硬度がA85のPEBAを押し出す場合、以下のローラ速度:
第1のローラ(受け入れローラ)については500から1200m/分の間、より好ましくは700から1100m/分の間の速度、第2のローラについては800から1800m/分の間、より好ましくは1000から1500m/分の間の速度、ローラ対については1000から2700m/分の間、より好ましくは1100m/分から2000m/分の間の速度、弛緩ローラについては950から2700m/分の間、より好ましくは1050から2000m/分の間の速度が維持される。
【0136】
生産されるマルチフィラメントの寸法は、市場での需要および選択され金型開口に応じて15デニールから3000デニールまでさまざまな値とすればよい。
【0137】
デニール/フィラメント(dpf:den/filament)は、1から30dpfの間、より好ましくは3から6dpfの間までさまざまである。
【0138】
個々に押し出されるフィラメントの幾何形状は、円形のフィラメントからより複雑な形態構造まで多様とすればよく、その場合、形状によっては、機械的(例えば、引張強度および弾性)にも物理的(湿度調節)にも別の特性が得られる。
【0139】
形状は金型開口の形態によって決まる。
【0140】
こうしたマルチフィラメントであれば、生産される糸は交絡(entangle)してもしなくてもよい。
【0141】
交絡することで糸に一定間隔で「タングル」が形成され、それがニッティング、ウィービングまたはプレーティング機械における加工をより良好なものとするであろう。
【0142】
好ましい実施形態においては、交絡によって10から40カ所/m、より好ましくは20から30カ所/mのタングルが形成される。
【0143】
印可される交絡加工圧は、ここでは、2から12バール、より好ましくは4から8バールまでさまざまである。
【0144】
本発明によるこのような方法で生産されるマルチフィラメントは、CF(連続フィラメント:continuous filament)、BCF(バルク連続フィラメント:bulk continuous filament)、HOY(高配向糸:High oriented yarn)、POY(部分配向糸:partial oriented yarn)、LOY(低配向糸:low oriented yarn)、MOY(中配向糸:medium oriented yarn)、およびFDY(延伸糸:full drawned yarn)とすることが可能である。
【0145】
生産工程の最後に、フィラメントはボビンまたはリールに巻き取られる。
【0146】
どれを選択するかは、顧客の要望に加え、生産されるフィラメントの重さ、長さおよび太さによる。
【0147】
更なる好ましい実施形態においては、生産されるモノフィラメントおよびマルチフィラメントは、最終的に更なる付加価値を備えた布構造を作るのに使用される。
【0148】
完成品の仕様および要求事項に応じ、織物(ウィービング)、ニットウエア(ニッティング)またはプレーティング編み物(プレーティング、トワイニング)が形成される。
【0149】
こうして、場合によっては他の繊維と組み合わせて、例えば、防護衣服およびスポーツウエア、体内および外用医療用途、布製品による湿度および温度調節などの分野における用途に適した織物が形成される。
【0150】
その例としては、例えば、高品質かつ軽量であり、必要に応じて湿度調節性のある衣類に加え、防護衣服、作業衣、スポーツウエア、カジュアル衣料、下着およびその他のタイプの衣類、加えて家具用織物、室内装飾材料、輸送手段の外装、創傷癒合用だけでなく整形外科用途向けおよび火傷治療用の医療用包帯、サポートストッキングおよびその関連製品、ならびに非常に特定の化学的および物理的要求を満たす各種工業用布用途などがあるが、何らこれに限られるものではない。
【0151】
その大きな利点は更に、こうしたPEBAフィラメントを使用することにより、従来の材料で作られたフィラメントとは異なり、良好な特性を有する布構造が得られる点にある。特に軽量性、弾性および衝撃吸収性に優れ、湿度バランスを適度に調節するために快適であり、他の繊維と混紡が容易であり、総じて布構造の透過性が向上し、材料のリサイクル性に優れているなどの特性が得られる。
【0152】
更なる好ましい実施形態によると、生産される繊維は、他の布繊維、例えばPET、PA(ナイロン)、PP、PBT、PLA、TPU、TPEおよびその他の周知の布繊維と更に組み合わされる。
【0153】
更なる好ましい実施形態によると、PEBAベース材料は、添加剤(例えば、可塑剤、ナノ粒子、酸化防止剤、紫外線安定剤、活性成分、例えば、抗菌物質、抗虫薬、殺菌剤、静菌剤または創傷治癒剤などの組み込み、帯電防止剤、導電素子、放射線吸収もしくは反射材など)を組み込むことによって更に利用される。
【0154】
更なる好ましい実施形態においては、本発明によるフィラメントを用いて作られた布製品は、外見もしくは審美的側面を向上させるために、または表面に関する更なる特性を追加するために更に処理される。
【0155】
本発明は決して、例を用いて記載された実施形態に限られるものではない;反対に、こうした方法およびその方法によって作られた繊維、およびこうした繊維を含む最終製品は、本発明の範囲内に依然としてある様々な変形例に従って実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を紡いで繊維にする方法であって、少なくとも1つの押出機、冷却システム、延伸用連続ライン、弛緩ユニット、加熱ユニットおよび巻取りシステムが主として使用され、初期硬度がショア硬度でD15から80の間、より好ましくはD20から75の間、さらにより好ましくはD27から69の間にあるポリエーテルブロックアミドが出発材料として採用されること、および延伸された前記繊維が巻き取られる前に加熱ユニットにおいて温度処理され、これによってその収縮率が0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらにより好ましくは0〜3%に低下することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記温度処理が、前記繊維を60から110℃の間にある温度にまで再加熱することにあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度処理が空気循環型炉において実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
初期硬度がショア硬度でA70から99の間、より好ましくはA75から95の間、さらにより好ましくはA77から92の間にあるポリエーテルブロックアミドが出発材料として採用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
モノフィラメントまたはマルチフィラメント繊維が形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モノフィラメント繊維の場合、押し出し温度が120℃から270℃の間、より好ましくは130℃から250℃の間、さらにより好ましくは160℃から230℃の間に設定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
押し出された前記フィラメントが水槽で冷却され、前記水槽には、その位置および形状が前記フィラメントの硬度によって決定される、フィラメント用偏向処理部が備わっていることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記連続ラインにおいて押し出された前記モノフィラメントが1から12、より好ましくは1から8、さらにより好ましくは2から6の延伸比で延伸されることを特徴とする、請求項6から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記延伸工程の後、0から10%、好ましくは0から8%、より好ましくは0から5%の弛緩作業が実行されることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
寸法が15デニールから300デニールの間にあるモノフィラメント繊維が形成されることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
マルチフィラメントの場合、押し出し温度が130℃から260℃の間、より好ましくは160℃から230℃の間に設定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
マルチフィラメントの場合、500m/分から5000m/分の間、より好ましくは1000m/分から2000m/分の間にある押し出し速度が用いられることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
押し出された前記マルチフィラメントが空冷システム、特に、いわゆる「空気急冷」システムと呼ばれるものにおいて冷却されることを特徴とする、請求項11から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却システムの空気速度が0.2m/sから2m/sの間、より好ましくは0.4m/sから1.5m/sの間、さらにより好ましくは0.5m/sから1.2m/sの間にあることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
押し出された前記マルチフィラメントには「紡糸仕上げ」が好ましくは湿潤ローラシステムを利用することによって適用され、前記湿潤ローラは1分当たり1回転から1分当たり15回転の速度、より好ましくは1分当たり7回転から1分当たり12回転の速度で回転することを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
様々なローラ、とりわけ受け入れローラ、第2ローラ、ローラ対、その他のローラ、および最後に弛緩ローラが前記連続ラインにおいて使用されることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ローラが0℃から170℃の間にある異なる温度に維持され、特に、前記受け入れローラおよび前記第2ローラが周辺温度に、前記ローラ対および/またはその他のローラが周辺温度から170℃の間、より好ましくは20℃から60℃の間に維持されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記マルチフィラメントが1から12、より好ましくは1から8、さらにより好ましくは1から6の延伸比で延伸されることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記弛緩ローラの温度が60℃から120℃の間に設定されることを特徴とする、請求項16から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
0%から15%、より好ましくは0%から10%、さらにより好ましくは0%から8%弛緩が実行されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
硬度がショア硬度でA85のPEBAをマルチフィラメントを形成するために押し出す場合、前記連続ラインにおいて以下のローラ速度、
すなわち、前記受け入れローラ(つまり第1ローラ)については500m/分から1200m/分の間、より好ましくは1000m/分から1500m/分の間の速度;前記第2ローラについては800m/分から1800m/分の間、より好ましくは1000m/分から1500m/分の間の速度;前記ローラ対については1000m/分から2700m/分の間、より好ましくは1100m/分から2000m/分の間にある速度;および前記弛緩ローラについては950m/分から2700m/分の間、より好ましくは1050m/分から2000m/分の間にある速度が維持されることを特徴とする請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
押し出された前記マルチフィラメントに対して10から40カ所/m、好ましくは20から30カ所/mの範囲の交絡が実行され、2バールから12バールの間、より好ましくは4バールから8バールの間にある交絡圧力が印可されることを特徴とする、請求項11から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
寸法が15デニールから3000デニールの間にあるマルチフィラメントが生産されることを特徴とする、請求項11から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
デニール/フィラメント(dpf)が1から30dpfの間、より好ましくは3から6dpfの間にあることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
以下の分類:CF(連続フィラメント);BCF(バルク連続フィラメント);HOY(高配向糸);POY(部分配向糸);LOY(低配向糸);MOY(中配向糸);FDY(延伸糸);または類似のものの1つに分類が可能なマルチフィラメント繊維が形成されることを特徴とする、請求項11から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法に従って生産されることを特徴とする繊維。
【請求項27】
請求項26に記載の繊維をトワイニングおよび/またはニッティングおよび/またはプレーティングおよび/またはウィービングすることによって、または同様の技法に従って加工することによって得られることを特徴とする布。
【請求項28】
請求項26に記載の繊維とその他の布繊維、特にPET;PA(ナイロン);PP;PBT;PLA;TPU;TPE;およびその他の周知の布繊維と組合せて形成されることを特徴とする、請求項27に記載の布。
【請求項29】
卓越した湿度調節特性および/または温度調節特性を有することを特徴とする、請求項27から28のいずれか一項に記載の布。
【請求項30】
請求項27から29のいずれか一項に記載の布で作られることを特徴とする、衣類および/または室内装飾材料および/または医療及び関連用途向け織物、および/または工業用織物。

【公開番号】特開2010−116661(P2010−116661A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−257955(P2009−257955)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(509312570)ルキシロン インダストリーズ ナムローゼ フェンノートシャップ (1)
【氏名又は名称原語表記】Luxilon Industries,naamloze Vennootschap
【住所又は居所原語表記】Industriepark,Vosveld 11,2110 Wijnegem,Belgium
【Fターム(参考)】