説明

ポリエーテル系重合体ペレット及び分級方法

【課題】高品質なポリエーテル系重合体の提供。
【解決手段】本発明に係るポリエーテル系重合体ペレットは、100mg以下の質量を有する粒子の数が、総粒子数に対して99%以上とされている。このポリエーテル系重合体ペレットは、高品質である。このような高品質のペレットは、分級により得られうる。このようなポリエーテル系重合体ペレットを得るための分級方法は、少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上通過させる多段階分級を行う。好ましくは、この分級方法において、上記スクリーンはパンチングメタルとされる。好ましくは、上記多段階分級における最終段階で上記スクリーンを通過しなかったペレットが未分級のペレットと共に再分級に供されるリサイクル分級がなされる。この分級方法は、分級精度及び生産性を向上させうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテル系重合体ペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテル系重合体樹脂は、様々な分野において用いられている。典型的なポリエーテル系重合体樹脂として、例えば、エチレンオキシド−ブチレンオキシド系共重合体が挙げられる。このポリエーテル系重合体樹脂は、例えば、界面活性剤、サニタリー製品、脱墨剤、潤滑油、作動油、高分子電解質、電池材料、フレキソ印刷版材、カラーフィルターの保護膜等の各種機能性材料などに用いられている。
【0003】
このポリエーテル系重合体樹脂は、通常、ペレット化されて利用に供される。このペレットは、例えば、スクリューフィーダー等に供給され、押し出されて使用される。
【0004】
特開2005−231253公報及び特開2006−335905公報は、ポリエーテル系重合体をペレットにする製造方法を開示する。これらの文献において、ポリエーテル系重合体を冷却固化させて得られたシートを切断することにより角ペレットを得る方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−231253公報
【特許文献2】特開2006−335905公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペレットの粒度分布は、ペレットの品質として重要である。例えば、長いペレットが混在していると、このペレットによりスクリューフィーダー等の詰まりが生じうる。また、長いペレットの混在は、成形品の寸法精度を悪化させることがある。
【0006】
ポリエーテル系重合体は、融点が低いため、滑り性が悪い。ポリエーテル系重合体は、切断する際に発熱しやすい。更に、ポリエーテル系重合体は水溶性であるため、水に漬けて水冷することができない。滑り性が悪く発熱しやすいポリエーテル系重合体は、安定して切断することが難しい。よって、ポリエーテル系重合体ペレットでは、切断工程により粒度分布の精度を高めることが困難である。低速で切断すれば発熱は抑制されうるが、生産性が低下する。ポリエーテル系重合体ペレットを生産性よく且つ高精度に得ることは困難であった。
【0007】
本発明では、高精度な粒度分布を有するポリエーテル系重合体ペレットの有用性を見出した。他の本発明では、切断工程により得られたペレットを分級することにより、高精度で且つ高い生産性でペレットが得られうることを見出した。本発明では、より効果的な分級方法を見出すに至った。
【0008】
本発明の目的は、高精度な粒度分布を有するポリエーテル系重合体ペレットの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るポリエーテル系重合体ペレットは、100mg以下の質量を有する粒子の数が、総粒子数に対して99%以上とされている。
【0010】
他の本発明は、少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上通過させる多段階分級を行い、この多段階分級により、100mg以下の質量を有する粒子の数が総粒子数に対して99%以上であるポリエーテル系重合体ペレットを得る分級方法である。この分級方法において、好ましくは、上記スクリーンはパンチングメタルとされる。パンチングメタルは、分級精度の向上に寄与しうる。
【0011】
更に他の本発明は、少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上通過させる多段階分級を行うとともに、この多段階分級における最終段階でスクリーンを通過しなかったペレットが未分級のペレットと共に再分級に供されることにより、100mg以下の質量を有する粒子の数が総粒子数に対して99%以上であるポリエーテル系重合体ペレットを得る分級方法である。
【発明の効果】
【0012】
高品質なポリエーテル系重合体ペレットが得られうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
本発明に係るポリエーテル系重合体ペレットは、1種又は2種以上の単量体を重合してポリエーテル系重合体を得る重合工程と、上記ポリエーテル系重合体を基材樹脂とする組成物をシートに成形する成形工程と、上記シートを切断してペレットとする切断工程と、少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上通過させる多段階分級により上記ペレットを分級する分級工程とを含んだ製造方法により製造されうる。この製造方法により、100mg以下の質量を有する粒子の数が総粒子数に対して99%以上であるポリエーテル系重合体ペレットが得られうる。以下において、各工程が順次説明される。
【0015】
[ポリエーテル系重合体及びその重合工程]
本発明に係るペレットの基材樹脂は、ポリエーテル系重合体である。本願において、ポリエーテル系重合体ペレットとは、ポリエーテル系重合体を基材樹脂とする樹脂組成物よりなるペレットである。このポリエーテル系重合体は、1種又は2種以上の単量体を重合させることにより得られる。この単量体は、置換基を有していてもよいオキシラン化合物である。
【0016】
置換基を有していてもよいオキシラン化合物とは、例えば、下記構造式(1)で表される化合物である。
【0017】
【化1】

【0018】
式(1)において、R、R、R及びRは、それぞれRa又は−CH−O−Re−Ra基で表される化合物である。上記Raは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20の(メタ)アクリロイル基、炭素数1〜20のアルケニル基又は炭素数1〜20のアルカリール基を表す。式(1)において、R、R、R及びRからなる群より選択される任意の2つの置換基は、それらが結合するエポキシ炭素原子と共に環を形成していてもよい。ただし、エポキシ炭素原子とは、オキシラン環を構成する炭素原子を意味する。また式(1)において、上記Reは、−(CH−CH−O)−の構造を表し、pは0から10までの整数である。R、R、R及びRは、互いに同じでもよく、異なっていても良い。
【0019】
本発明に係るポリエーテル系重合体は、好ましくは、ポリエチレンオキシド又はエチレンオキシド系共重合体である。このエチレンオキシド系共重合体は、エチレンオキシドと、下記構造式(2)で表される置換オキシラン化合物とを必須原料とする単量体混合物を重合させた重合体である。
【0020】
【化2】

【0021】
式(2)において、Rは、Rb又は−CH−O−Re−Rb基を表す。Rbは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のシクロアルキル基、炭素数1〜16のアリール基、炭素数1〜16のアラルキル基、炭素数1〜16の(メタ)アクリロイル基又は炭素数1〜16のアルケニル基である。Reは、−(CH−CH−O)−の構造を有し、pは0から10までの整数である。
【0022】
上記構造式(2)におけるR基は、上記置換オキシラン化合物における置換基である。
【0023】
原料単量体として用いられる置換オキシラン化合物は、上記構造式(2)で示すことのできる置換オキシラン化合物1種のみであっても、2種以上を含むものであってもよい。更に、本発明に係る原料単量体は、置換基を有していてもよいオキシラン化合物とされてもよい。
【0024】
上記構造式(2)で示される置換オキシラン化合物としては、例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシへキサン、1,2−エポキシオクタン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、エチレングリコールメチルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。特に、置換基Rが架橋性の置換基である場合、上記構造式(2)で示される置換オキシラン化合物として、エポキシブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロへキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジルおよびグリシジル−4−ヘキサノエート、または、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α−テルペニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−アリルベンジルグリシジルエーテル、エチレングリコールアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールビニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールアリルグリシジルエーテルおよびオリゴエチレングリコールビニルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0025】
本発明で用いられる単量体混合物は、原料単量体として、上記置換基を有していてもよいオキシラン化合物のみではなく、他の単量体を含んでいてもよい。また、本発明で用いられる単量体混合物は、原料単量体として、上記アルキレンオキシド及び上記置換オキシラン化合物を含んでいてもよく、更に他の単量体を含む場合であってもよい。
【0026】
原料単量体として、エチレンオキシドと置換オキシラン化合物とが選択される場合において、単量体混合物中のエチレンオキシドおよび置換オキシラン化合物それぞれの使用量については、特に限定はされるわけではない。例えば、この使用量は、得られるアルキレンオキシド系共重合体が必要以上に粘度低下し、実用性に欠けることとならない程度で適宜設定される。また、架橋性の置換基を有する置換オキシラン化合物が用いられる場合は、この置換オキシラン化合物は、置換オキシラン化合物全量に対して任意の割合で使用すればよく、特に限定されるわけではない。
【0027】
単量体混合物中に上記単量体以外の他の単量体を含むようにする場合も同様に、得られるポリエーテル系重合体を考慮して、各単量体の使用量を設定すればよい。
【0028】
例えば、本発明に係るポリエーテル系重合体により、柔軟性が有りタックの無いフィルムやシートを作製する場合、好適な単量体としては、例えば、前記置換オキシラン化合物が、ブチレンオキシド、プロピレンオキシド又はアリルグリシジルエーテルであることが好ましい。本発明において好ましいポリエーテル系重合体は、例えば、エチレンオキシド−ブチレンオキシド共重合体、エチレンオキシド−ブチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等である。
【0029】
ポリエーテル系重合体の重合工程では、単量体混合物を溶媒の中で撹拌しながら重合するのが好ましい。重合方法は特に限定されず、例えば溶液重合法や沈殿重合法などが好ましく挙げられる。溶液重合法は生産性に優れているためより好ましい。予め仕込んだ溶媒に原料となる単量体を供給しながら重合を行う溶液重合法は、反応熱を除熱しやすいなどの安全性のため、特に好ましい。
【0030】
上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ヘプタン、オクタン、n−へキサン、n−ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロへキサン、メチルシクロへキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテルなどのエーテル系溶媒;ジメトキシエタンなどのエチレングリコールジアルキルエーテル類の溶媒;THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサンなどの環状エーテル系溶媒;などの水酸基等の活性水素を含まない有機溶媒が好ましく、トルエンおよびキシレンがより好ましい。
【0031】
上記溶媒は、上記有機溶媒であり、かつ、水を全く含まないものが好ましい。しかしながら、通常一般的には、上記有機溶媒は、完全な脱水処理を施さない限り、わずかであっても水を含む場合が多い。よって、脱水処理により、有機溶媒に含まれる水の量を一定量以下にコントールすることが好ましい。
【0032】
上記重合の際、さらに、従来汎用の、反応開始剤(重合開始剤)、酸化防止剤および可溶化剤などを添加して使用してもよい。
【0033】
上記反応開始剤は特に限定はされず、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムアルコラート、ナトリウムアルコラート、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性触媒;金属カリウムおよび金属ナトリウムなどの金属;水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物(特開平8−268919号公報等参照);金属イオン添加酸化マグネシウム(特公平6−15038号公報、特開平7−227540号公報等参照);焼成ハイドロタルサイト(特開平2−71841号公報等参照)等のAl−Mg系複合酸化物触媒あるいはそれらを表面改質した触媒(特開平8−268919号公報等);バリウム酸化物;バリウム水酸化物(特開昭56−56232号公報等参照);層状化合物(特表平6−505986号公報等);ストロンチウム酸化物;ストロンチウム水酸化物(特公昭63−32055号公報等);カルシウム化合物(特開平2−134336号公報等);セシウム化合物(特開平7−70308号公報等);複合金属シアン化錯体(特開平5−339361号公報等);ルイス酸やフリーデルクラフツ触媒のような酸触媒等を好ましく挙げることができる。上記反応開始剤は、単独で用いられてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0034】
反応開始剤の使用量が調整されることにより、得られるポリマーの分子量が調整されうる。上記使用量は所望の分子量のポリマーが得られるように適宜判断すればよく特に限定はされないが、例えば、単量体混合物の仕込み量を基準として使用量を設定すればよい。具体的には、例えば、単量体混合物の仕込み量1g当たりに反応開始剤1μmol以上使用するよう設定することができるが、何ら限定されるものではない。一般に、高分子量のポリマーを得る場合は、反応開始剤の使用量を少なくする必要があるが、使用量が少なすぎると、重合反応の進行が極端に遅くなり生産性を損なうこととなったり、反応系中の水分などの重合阻害物質の混入に極めて敏感となり重合反応が進行しなくなったりする場合がある。また、高分子量のポリマーを得るためには、例えば、上記反応開始剤の使用量を調整するとともに、水分などの重合阻害物質および不純物を反応系から除いたり、前述した連鎖移動反応が引き起こされないような反応系にすることが重要となる。
【0035】
反応開始剤の添加方法は限定されない。反応開始剤は、単量体混合物を溶媒に供給し始める前に予め溶媒と共に全使用量を仕込んでおいてもよいし、単量体混合物を供給し始めてから一括投入しても逐次投入(連続的投入及び/又は間歇的投入)してもよい。上記反応開始剤を用いて単量体混合物を重合させる場合、反応系内において上記溶媒中に含まれる水分量を調整することが好ましい。詳しくは、反応開始剤を用いて単量体混合物を重合させる場合に、重合反応開始時に上記溶媒中に含まれる水分の量が、上記溶媒中に含まれる反応開始剤の量に対して、モル比で1以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下、最も好ましくは0である。上記モル比が1を超える場合は、得られるポリマーの分子量が低下するおそれがあり、さらには、重合反応が進行しなくなるおそれがある。特に、溶媒としてトルエンを使用する場合は、上記水分の量の影響が非常に大きい。
【0036】
前述のように、溶媒中の水の量を調整しコントロールする方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、モレキュラーシーブ処理および蒸留精製等により脱水するといった物理的方法や、金属ナトリウムおよびアルキルアルミニウム等の水に対して反応性の高い化合物を用いて水分の除去を行う化学反応による方法、などが好ましく挙げられ、工業的な実用性を考慮した場合、前者の物理的方法がより好ましく、さらに好ましい方法はモレキュラーシーブ処理や蒸留精製である。前記各重合法(溶液重合法等)における重合機構の種類は、特に限定されず、アニオン重合、カチオン重合、配位重合およびイモータル重合などが好ましく挙げられる。なかでも、アニオン重合は、純度の高いものが工業的に容易に入手できるため再現性良くポリマーを得ることができるほか、反応開始剤の取扱いが容易で分子量の調整が比較的容易であるため、より好ましい。
【0037】
重合の際に用いられうる反応器としては、通常、重合反応によりポリマーを得る場合に用いられうる反応器であればよい。耐熱性、耐薬品性、耐腐食性、除熱性および耐圧性などに優れた反応器が好ましいが、その種類は特に限定されるわけではない。
【0038】
反応器は、仕込んだ溶媒や供給した単量体などの内容物を撹拌できるものであればよく、撹拌翼を搭載し任意に所望の条件で内容物を撹拌できるようなものが好ましい。上記撹拌翼は特に限定はされないが、具体的には、例えば、アンカー翼を搭載した撹拌槽、ヘリカルリボン翼を搭載した撹拌槽、ダブルヘリカルリボン翼を搭載した撹拌槽、ドラフトチューブ付きヘリカルスクリュー翼を搭載した撹拌槽、スーパーブレンド翼(内翼:マックスブレンド翼、外翼:螺旋状変形バッフル)を搭載した竪型同心二軸撹拌槽(例えば、製品名:スーパーブレンド、住友重機械工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)を搭載した撹拌槽、フルゾーン翼(神鋼環境ソルーション社製)を搭載した撹拌槽、スーパーミックス翼(佐竹化学機械社製)を搭載した撹拌槽、Hi−Fミキサー(綜研化学社製)を搭載した撹拌槽、サンメーラ翼(三菱重工社製)を搭載した撹拌槽、ログボーン(神鋼パンテック社製)を搭載した撹拌槽、VCR(三菱重工社製)を搭載した撹拌槽、ねじり格子翼(日立製作所社製)、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、ブルマージン翼、プロペラ翼などを搭載した撹拌槽などを好ましく挙げることができる。
【0039】
反応器は、内容物を所望の反応温度下となるよう加熱し維持できる装備を有するものが好ましい。加熱、維持のできる装備としては、具体的には、ジャケット、コイル、外部循環型熱交換器などを好ましく挙げることができるが、特にこれらに限定されない。反応器は、前述した撹拌、加熱などに関する装備以外にも、例えば、バッフル、温度計および圧力計等の検出端、液中や気相中へ原料を均一分散させる供給装置、反応器・反応槽内の洗浄用の装置など、重合反応を効率良く行う等の理由により種々のいかなる装備をも任意に搭載することができる。
【0040】
単量体を重合する前に、反応器は、上記溶媒で洗浄してから加熱乾燥し、更に、反応器内を不活性ガスで十分置換するか又は反応器内を真空状態にした後、用いられることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが好ましい。上記溶媒や不活性ガスは高純度であることが好ましい。なぜなら、例えば、水等の活性水素を有する化合物が混入した場合は重合阻害や分子量低下の原因となるおそれがあるからであり、また、単量体としてエチレンオキシドが用いられた場合に、酸素が混入すると、エチレンオキシドの爆発の危険性が拡大するおそれがあるからである。
【0041】
上記洗浄等の後、単量体の重合をする前に、先に、反応器に溶媒を仕込んでおくことが好ましい。溶媒等の仕込み量は、所望の重合体の物性や生産量などを考慮して適宜調整すればよく、特に限定はされない。
【0042】
溶媒等を仕込んだ後において、重合反応を行う前に、再度反応器内を不活性ガスで置換するか、又は、反応器内を減圧状態、好ましくは真空状態にすることが好ましい。不活性ガスで置換した雰囲気下で重合する場合、反応器内の気相部において、不活性ガスが一定比率以上となるようにすることが好ましい。この際、同時に、反応器内部圧力(初期圧)を不活性ガスにより調整しておくことが好ましい。反応器内部圧力(初期圧)は、特に限定はされない。例えば、単量体としてエチレンオキシドが用いられる場合、初期圧は、反応器内のエチレンオキシドの存在量を考慮し、安全性を管理する程度で適宜調整すればよい。
【0043】
重合は、溶媒とともに単量体を撹拌しながら行うのが好ましい。この撹拌は、反応器に搭載した撹拌翼を回転させることなどにより、単量体を溶媒に供給する前から反応器内の溶媒等の内容物を撹拌しておくことが好ましいが、供給時あるいは供給開始時または重合開始時から撹拌し始めてもよく、撹拌開始のタイミングは特に限定されない。また、撹拌は、重合反応が完結するまで続けることが好ましい。
【0044】
上記撹拌は、撹拌動力が0.6kW/m以上となるよう撹拌翼の回転数などをコントロールして行うことが好ましい。撹拌動力は、より好ましくは1kW/m以上、より好ましくは2kW/m以上である。この撹拌動力のコントロールは、単量体の供給時も含め、重合を完結するまで行うことが好ましい。
【0045】
ここで、一般に、撹拌動力とは、従来公知の技術常識である撹拌所要動力として算出される値のことである。撹拌動力は、反応器内の内容物の単位液量あたりの所要動力である。この撹拌動力は、内容物の容量および粘度、反応器形状、撹拌翼の形状および回転数などから算出される。上記撹拌動力は、重合反応完結時における反応物(以下、反応混合物とも言う。)に対して上記範囲を満たすように規定しうる。よって、重合反応の開始から終了までの反応系全体において上記範囲を満たす撹拌動力が確保されなくてもよい。
【0046】
重合反応完結時に撹拌動力が上記範囲を満たすようにするための手法は、特に限定されない。例えば、重合完結時における反応物の粘度やその容量および撹拌翼の形状などから、重合反応完結時に必要とされる撹拌回転数を算出しておき、重合反応開始から終了までその撹拌回転数を一定に保ったまま反応させる手法が採用されうる。ここで、重合反応完結時における反応物の粘度は、特に限定されないが、用いる単量体の種類や使用量を考慮して、例えば、200〜2,000,000センチポイズの範囲内で適宜設定されうる。この設定された粘度に基づいて上記撹拌回転数が算出されうる。
【0047】
上記撹拌動力が0.6kW/m未満の場合は、内容物が均一に撹拌されないため、反応器内の流動状態が悪化し、ポリマーの生産性に欠けるとともに、局部的な蓄熱も生じ易く、反応液の温度分布や単量体等の濃度分布においても不均一となり、反応異常を引き起こす可能性がある。
【0048】
重合反応時の反応温度は、適宜調整・制御されることが好ましい。この反応温度は、反応器内部圧力の調整と同様に、単量体を溶媒に供給し、重合を開始する前に、予め調整・制御しておくことがより好ましい。詳しくは、反応器に仕込んだ溶媒等が、予め所望の反応温度となるように、いわゆる内温をコントロールしておくことが好ましい。この反応温度のコントロールは、単量体の供給時も含め、重合が終了するまで適用することが好ましい。
【0049】
上記反応温度については、特に限定は無いが、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、上記反応温度は、温度調整の装備の種類や単量体供給時の温度変化等による影響のため、常に反応温度をコントロールしていたとしても、仕方なく多少の誤差は生じ得るが、その誤差が上記好ましい温度範囲の±5℃以内であれば、誤差のない場合の効果と同様の優れた効果を得ることができる。
【0050】
上記反応温度が上記温度範囲外の場合は、得られるポリエーテル系重合体の分子量において種々の不具合が生ずる場合がある。詳しくは、上記反応温度が前述の好ましい範囲より高い場合は、連鎖移動反応の頻度が大きくなり容易に分子量の低下が引き起こされ、顕著な場合では反応開始剤の添加量の調節ではコントロールできない程度に低分子量化することがある。
【0051】
上記反応温度は、重合反応終了の時点まで一定にして行うことが好ましい。上記反応温度は、反応操作上、場合によりまたは必要に応じて、上記温度範囲内で任意に変化させることもできる。反応温度を変化させる態様は限定されず、具体的には、例えば、単量体を逐次供給して重合させる場合に、供給開始段階で一旦温度設定をしてコントロールし、その後、重合反応開始による発熱で反応系内温が上昇した以後は、その上昇後の温度を設定温度としてコントロールすることなどが挙げられる。ここで、反応温度を一定にするとは、所望の反応温度を中心として±5℃の範囲でコントロールことを意味する。
【0052】
上記反応温度の調整・制御は、反応器の加熱などにより仕込んだ内容物の温度を調整・制御してもよいし、直接内容物を加熱したりすることで調整・制御してもよく、特に限定はされない。反応温度の調整が可能な装備としては、例えば、汎用のジャケット、コイルおよび外部循環型熱交換器などが好ましく挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0053】
重合工程においては、反応器に溶媒等を仕込むとともに、上記撹拌動力や、反応温度などを、特定範囲に調整・制御したうえで、単量体を溶媒に供給して、撹拌しながら重合することが好ましい。
【0054】
単量体の使用量については、特に限定はされないが、具体的には、例えば、重合反応完結時の反応物中のポリエーテル系重合体の濃度(ポリマー濃度)が10質量%を超える値となっていればよいし、あるいは20質量%を超える値となっていてもよい。上記単量体の使用量について、上記ポリマー濃度が10質量%以下であると、生産性が低く実用性に欠ける場合がある。
【0055】
単量体を溶媒の中で撹拌しながら重合させる場合において、溶媒への単量体の供給は、単量体全量を一括投入により供給して重合させてもよいし、単量体全量を分割してそれぞれを一括投入により供給して重合させてもよいし、単量体の少なくとも一部を供給しながら重合させてもよく、特に限定はされない。
【0056】
前述の、単量体の少なくとも一部を供給しながら重合させる場合とは、単量体混合物の少なくとも一部を逐次投入により供給しながら重合させる場合を含む。
【0057】
また、単量体の少なくとも一部を供給する重合は、例えば、単量体混合物の総仕込み量の一部を初期供給量(初期仕込み量)として予め溶媒に供給しておき、残りの分を供給しながら重合させる重合を含み、単量体混合物全量を供給しながら重合させる重合をも含む。
【0058】
上記逐次投入とは、連続的供給及び/又は間欠的供給を意味する。「連続的供給」は、少しずつ連続的に供給することをいい、「間欠的供給」は、間欠的に、例えば2、3回に分けて供給するというように、仕込み量を複数回に分けて供給することをいう。連続的供給は、反応温度を一定に制御し易いためより好ましい。この反応温度を制御する目的で、コポリマー原料の種類などに応じて供給速度が調整されることが好ましい。詳しくは、上記供給速度は、用いられる単量体の反応速度や、用いられる反応器の徐熱能力や許容圧力などを考慮して調整されることが好ましい。なお、連続的供給及び/又は間欠的供給とは、全体としては間欠的供給であるが、その間欠的な各供給時においては連続的供給となっている等の、連続的供給と間欠的供給とを組み合わせた供給をも含むものとする。
【0059】
単量体の少なくとも一部を溶媒中へ供給しながら重合させる場合、供給速度は供給終了まで一定であってもよい。また、例えば複数種類の単量体を混合した単量体混合物を重合させる場合、単量体混合物中の必須原料(例えば、エチレンオキシド及び置換オキシラン化合物等)のうちの少なくとも1種についてその供給速度を変化させることによって、ポリマーの融点が調節されうる。供給速度の変化は、例えば、少なくとも1回任意の異なる速度に変更する変化であってもよい。この場合、速度の変更は、瞬時(連続的)に行ってもよいし、瞬時ではないが変更後の速度となるまで速度自体を変化させながら連続的に行ってもよいし、一時的に供給していない時間を介して行ってもよく、特に限定はされない。同様に、供給速度の変化は、例えば、速度自体を連続的に任意に変化させるものであってもよく、この場合、速度自体の変化速度が一定であってもそうでなくてもよく、特に限定はされない。また、供給速度の変化は、これらの各種の変化の形態が組み合わされてもよい。上記供給速度の変化は、上記必須原料となる各種単量体それぞれに関して、その供給開始から終了までの間で考慮するものとする。単量体としてエチレンオキシドが用いられる場合、反応後期の高粘度化した状況では、反応系の液相にエチレンオキシドが吸収されにくくなるため、反応後期では供給速度を遅くすることが有効である。
【0060】
さらに、ポリエーテル系重合体の製造において、複数種類の単量体を混合した単量体混合物を重合させる場合であって、この単量体混合物の少なくとも一部を溶媒中へ供給しながら重合させるようにする場合に、単量体混合物中の必須原料(例えば、エチレンオキシドおよび置換オキシラン化合物)のうちの少なくとも1種について供給しない期間を存在させることによって、可能な範囲でポリマーの融点の高さを調節することができる。上記期間は、単量体混合物に含まれる少なくとも1つの単量体の供給が開始されてから、単量体混合物に含まれる全ての単量体の供給が終了するまでの間で存在させることとする。
【0061】
さらに、単量体としてエチレンオキシドと他の単量体(エチレンオキシド以外の単量体)を用いる場合、エチレンオキシドのみを供給して重合させる段階とエチレンオキシドと他の単量体とを供給して重合させる段階とをそれぞれ少なくとも1段階有するよう単量体が供給されてもよい。
【0062】
ポリエーテル系重合体の製造において、単量体の供給が終了した後、必要に応じて反応器内の反応物を熟成させることが好ましい。熟成の際の条件(温度、時間など)は、特に限定されるわけではなく、適宜設定されればよい。
【0063】
上記供給後または熟成後の、反応器の解圧時には、気相中に溶媒や未反応原料単量体が存在する場合があるため、必要に応じ、廃ガス燃焼装置(例えば、燃焼炉、燃焼触媒)で完全燃焼させることが好ましい。また、この際に発生する熱を回収してスチーム(蒸気)を得ることができる。
【0064】
必要に応じ、上記供給後または熟成後に得られたポリエーテル系重合体にさらに溶媒を加え、該重合体を所望の粘度、濃度となるよう溶解してもよい。この際用いられる溶媒は、特に限定されないが、上記重合の際に用いた溶媒が好ましい。また、この溶媒とともに、必要に応じ、酸化防止剤等の各種安定剤や可溶化剤などを加えてもよい。各種安定剤および可溶化剤等は、前記溶媒と混合してから加えても、別々に加えてもよく、特に限定はされない。
【0065】
ポリエーテル系重合体の製造においては、前述したような、単量体を溶媒に供給し撹拌しながら重合する重合工程や、重合工程において得られた反応物を熟成する熟成工程等の各種工程以外に、他の何らかの工程を備えていてもよい。例えば、上記重合工程および必要に応じて行う熟成工程に引き続き、得られた反応物から、溶媒成分の一部を加温下で揮発させ、ポリエーテル系重合体溶液の濃度を調整する工程(いわゆる脱揮工程)を備えていてもよい。
【0066】
[脱揮工程]
脱揮処理がなされることにより、加熱乾燥による精製・回収が不要とされうる。また、脱揮処理がなされることにより、帯電防止剤の添加が不要とされうる。更に、重合体の含有水分量が脱揮処理により容易に調整されうる。脱揮工程を行う場合は、酸化防止剤等の各種安定剤や可溶化剤などは、脱揮工程中に添加するようにしてもよいし、脱揮工程後に添加し混合するようにしてもよい。脱揮工程においては、反応物から溶媒成分(溶媒として用いた溶剤)を揮発させてポリエーテル系重合体を得るが、得られるポリエーテル系重合体は、溶媒成分を全く含まないものには限定されない。通常、脱揮により、上記重合工程後等の反応物の溶媒濃度が、所望の溶媒濃度にまで低減される。
【0067】
脱揮の方法、脱揮する際に用いられる装置および各種条件は、通常の脱揮の際に採り得る方法、使用可能な装置および設定される条件等を採用すればよい。脱揮は、通常、プレ脱揮と本脱揮との二段階でなされる。脱揮の手順としては、プレ脱揮の後に本脱揮を行うことが好ましいが、特に限定されるわけではない。脱揮は、プレ脱揮と本脱揮とを区別せずに一段階の工程として行ってもよい。
【0068】
脱揮する際に用いられる装置(脱揮装置)は、重合した釜がそのまま脱揮に用いられてもよく、特に限定されるわけではない。脱揮装置として、例えば、ヘリカル翼を搭載した撹拌槽、ダブルヘリカルリボン翼を搭載した撹拌槽、内翼がマックスブレンド翼であり且つ外翼が螺旋状変形バッフルであるスーパーブレンド翼を搭載した竪型同心二軸撹拌槽(例えば、住友重機械工業株式会社製の製品名スーパーブレンド)、VCR逆円錐リボン翼式リアクター(三菱重工株式会社製)などの撹拌槽蒸発器;多管式熱交換器型(例えば、住友重機械工業株式会社製の製品名スルザーミキサーやノリタケ社製の製品名スタテックミキサー)、プレート熱交換器型(例えば、三井造船株式会社製の製品名Hiviscous Evaporator)などの下流液柱蒸発器;横型薄膜蒸発器(例えば、関西化学機械製作株式会社製の製品名エバリアクター)、固定ブレード式の竪型薄膜蒸発器(例えば、株式会社神鋼環境ソルーション製の製品名EXEVA)、可動ブレード式の竪型薄膜蒸発器(例えば、株式会社神鋼環境ソルーション製の製品名ワイプレン)、槽型(鏡型)薄膜蒸発器(例えば、関西化学機械製作株式会社製の製品名リカバリー)などの薄膜蒸発器;単軸型表面更新型重合器、二軸型表面更新型重合器(例えば、住友重機械工業株式会社製の製品名バイボラック、株式会社日立製作所製の製品名:日立メガネ翼重合機、株式会社日立製作所製の製品名:日立格子翼重合機、;栗本鉄工所社製の製品名SCプロセッサ)などの表面更新型重合器;ニーダー;ロールミキサー;インテンシブミキサー(いわゆるバンバリーミキサー);単軸型押出機、二軸型押出機(例えば、日本製鋼所製の製品名SUPERTEXαIIや、プラスティック工学研究所製の製品名BT−30−S2)、SCRセルフクリーニング式リアクター(三菱重工株式会社製)などの押出機などが好ましく挙げられ、これら装置のうち少なくとも1つの装置を用いて行うことが好ましい。また、用いられる装置によって使用条件は適宜設定されうる。
【0069】
脱揮工程を行う場合は、前述した重合工程や熟成工程等に供したいわゆる前段装置に上記列挙した各種脱揮装置を直結させて脱揮を行ってもよいし、重合工程等に供する上記前段装置から送液や移送を介した上で各種脱揮装置により脱揮を行ってもよい。後者については、例えば、上記前段装置から脱揮装置までの間が送液ラインで連結されているような形態や、上記前段装置から脱揮装置までの間にジャケットや撹拌機を備えた中間槽タンク(クッションタンク)を設けた形態等が挙げられる。脱揮工程においては、脱揮後の反応物における残存溶媒濃度を0.01〜30質量%となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。上記残存溶媒濃度が0.01質量%未満である場合は、脱揮条件を厳しくする必要があるため、ポリエーテル系重合体の熱劣化につながり、最終的に性能低下が生じるおそれがあり、30質量%を超える場合は、脱揮後のポリエーテル系重合体にタックが生じ、ブロッキングなどが生じるおそれがある。
【0070】
脱揮工程においては、脱揮後の反応物の含有水分量を、溶媒の脱揮の際に同時に調整することが好ましい。水分は、例えば、重合の際に用いた溶媒や単量体などに含まれる。具体的には、脱揮後の反応物の含有水分量は、5,000ppm以下に調整されることが好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。上記含有水分量が上記範囲を超える場合は、ポリエーテル系重合体の誘電率が必要以上に大きくなるため、例えば、該重合体をカラーフィルターの保護膜などの用途分野に用いた場合は、該重合体が導電性となることにより上記保護膜としては致命的な機能低下を引き起こしてしまうこととなるおそれがある。また、含有水分量が上記範囲を超える場合、水分が金属イオン分などと反応して水酸化物等を生成してしまうおそれがある。よって、例えば、含有水分量が上記範囲を超えるポリエーテル系重合体がポリマー電池の電解質層などに用いられた場合、金属−電解質層界面に絶縁層が形成され、定電流下での電圧が上昇し続け、電池のサイクル特性が悪化することとなるおそれがある。
【0071】
上記含有水分量を調整する手段としては、特に限定はされないが、例えば、脱揮温度を高くすること、及び/又は、脱揮処理時の減圧度を大きくすることが好ましい。なお、減圧度を大きくすることは圧力を低くすることを意味し、減圧度を小さくすることは圧力を高くすることを意味する。脱揮温度を高くして含有水分量の調整をする場合、その温度は、特に限定はされない。ただし、脱揮温度が低すぎると、減圧度を過剰に大きくしなければならないため効率的ではなく、脱揮温度が高すぎると、ポリエーテル系重合体の熱劣化が生じることとなるおそれがある。よって脱揮温度は、これらを考慮し適宜設定されるのがよい。また、脱揮の減圧度を大きくして含有水分量の調整をする場合、その減圧度は、特に限定はされない。ただし、減圧度が大きすぎると、脱揮装置の密閉性を考慮すると困難であると考えられ、減圧度が小さすぎると、脱揮温度をかなり上昇させないと含有水分量を200ppm以下にコントロールできないおそれがある。よって減圧度は、これらを考慮し適宜設定するようにするのがよい。
【0072】
脱揮工程を行うことにより、例えば重合工程後のポリエーテル系重合体は加熱等により乾燥状態にして回収されるのではなく、加温下により溶媒成分を揮発させ流動状態を保ったままで回収可能となる。よって、乾燥した重合体どうしの摩擦等で生じる重合体の帯電を考慮する必要がなくなり、帯電防止剤を用いる必要がなくなる。得られるポリエーテル系重合体に帯電防止剤が含まれる場合は、該重合体の誘電率を必要以上に高めてしまう場合があり、または、架橋度低下や吸湿性上昇を引き起こし該重合体の膨潤倍率を必要以上に増加させ強度を低下させてしまう場合がある。よって、例えば、得られたポリエーテル系重合体がカラーフィルターの保護膜などに用いられた場合、該重合体が導電性となることにより上記保護膜としては致命的な機能低下を引き起こしてしまうおそれがある。また、該重合体がフレキソ印刷版材などに用いられた場合、所望の形状や反発弾性が維持しにくいため画像再現性にも劣ったものとなるおそれがある。さらに、該重合体がポリマー電池のセパレーター、電極又は電解質層などに用いた場合、所望の形状が保持できないおそれがある。
【0073】
前述した脱揮装置を用い、反応物から溶媒成分を加温下で揮発させる際において、その温度(脱揮温度)は、40〜300℃であることが好ましく、より好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは90〜200℃である。この温度範囲で脱揮を行うことによって、脱揮後に、前述した所望の残存溶媒濃度および含有水分量の反応物を得ることができる。上記温度が40℃未満の場合は、残存する溶媒が多くなるおそれがあり、300℃を超える場合は、ポリエーテル系重合体自体が熱分解するおそれがある。ここで、上記温度とは、脱揮装置内の反応物の温度である。
【0074】
前述した脱揮装置を用い、反応物から溶媒成分を加温下で揮発させる際の圧力は、13〜100,000Paであるのが好ましく、より好ましくは133〜70,000Pa、さらに好ましくは1,333〜40,000Paである。この圧力範囲で脱揮を行うことによって、脱揮後に、前述した所望の残存溶媒濃度および含有水分量の反応物を得ることができる。上記圧力が13Pa未満の場合は、溶媒がフラッシュしてしまいフォーミングが起こるおそれがあり、100,000Paを超える場合は、ポリエーテル系重合体自体が分解するぐらいまで温度をかけなければならない場合が生じる。上記圧力とは、脱揮装置の槽内圧力である。
【0075】
脱揮後において、ポリエーテル系重合体を含む反応物の粘度は、100℃で50〜100,000ポイズであるのが好ましく、より好ましくは100℃で100〜80,000ポイズ、さらに好ましくは100℃で220〜60,000ポイズである。上記粘度について、100℃で50ポイズ未満の場合は、残存する溶媒が多くなり、ポリエーテル系重合体を材料として成形を行う際に発泡およびタックが生じるおそれがあり、100℃で100,000ポイズを超える場合は、脱揮装置での脱揮が困難になるおそれがある。
【0076】
上記脱揮工程により除去した溶媒を回収等して、この溶媒が溶液重合する工程において再利用されてもよい。具体的には、揮発させた溶剤から軽質分および重質分を除く精製処理をし、その後、さらに脱水塔に通して処理する等して脱水しておき、再利用することが好ましい。上記精製処理や脱水処理を行うための装置や条件等は、特に限定はされず、通常の処理装置や条件等を適宜選択採用すればよい。なお、上記再利用に関しては、精製や脱水を行う溶剤に、モノマー成分が含まれていても何ら問題はない。このモノマー成分は、再利用時の重合反応に使用され得る。
【0077】
[添加工程]
後述のペレット化工程の前に、脱揮後の流動状態にあるポリエーテル系重合体に、酸化防止剤に代表される安定剤などの各種添加剤が添加されてもよい。すなわち、重合工程中や重合工程後や脱揮工程中のポリエーテル系重合体溶液、及び/又は、脱揮工程後のポリエーテル系重合体に、各種添加剤を添加し、必要に応じて混合、混練等がなされてもよい。具体的には、脱揮工程により流動状態のポリエーテル系重合体を得た後、この樹脂に各種添加剤を添加して混合等することが一般的であるが、特に限定はされない。例えば、特に少量生産プロセスの場合、上記重合工程後の樹脂溶液や脱揮工程を行っている途中の樹脂溶液に各種添加剤を添加しておくことにより、脱揮工程とともに添加工程も行うことができる。
【0078】
上記添加剤としては、例えば、抗酸化剤(酸化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、耐光性向上剤、可塑剤(ジオクチルフタレート、低分子量ポリエーテル化合物等)、フィラー(カーボン、ガラス繊維、無機繊維等)、界面活性剤(エチレンオキシド系非イオン性活性剤等)、滑剤(ステアリン酸カルシウム等)などを挙げることができる。
【0079】
添加工程においては、上記添加剤のほかに、有機質微粒子や無機質微粒子、低分子化合物等も添加されうる。有機質または無機質の微粒子は、ポリエーテル系重合体の使用目的や使用形態に応じて、ブロッキング防止等の機能を発揮し得る。有機質微粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの微粒子を挙げることができ、無機質微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物などを挙げることができる。
【0080】
最終製品としてのポリエーテル系重合体において必要な成分であるとして重合開始時や重合反応時等から既に添加していた添加剤等であっても、脱揮工程等において減少してしまったり除去されたりすることもある。そのような場合、添加工程において適量の添加剤が再度追加して添加されてもよい。
【0081】
添加工程では、添加した添加剤等を樹脂中に均一に混合させる必要がある場合は、混練機等が用いられる。前述のように脱揮工程とともに添加工程をも行うようにする場合は、通常、脱揮装置において混合処理もなされるため、添加剤等を添加しさえすればそれ以外に混合等を行う必要はない。しかし、脱揮工程後に添加剤等を添加する場合、より均一に添加剤等を含有させるため、混練処理等の混合処理がなされるのが好ましい。
【0082】
添加工程において用いられうる混練機として、例えば、ノリタケ社製の製品名「スタティックミキサー」やスルザー社製の製品名「スルザーミキサー」が挙げられる。添加工程において用いられうる単軸型押出機として、例えば、プラスティック工学研究所製の製品名「GTシリーズ」等が挙げられる。添加工程において用いられうる二軸型押出機または二軸型混練機として、ニーダー、特殊ニーダー等が挙げられ、具体的には、例えば、栗本鉄工所社製の製品名「S2KRCニーダー」や森山製作所社製の製品名「ニーダールーダー」等のKRCニーダー等が挙げられる。これらの装置を用いるにあたっては、これらの装置が、重合槽、樹脂溶融槽又は脱揮に供する装置に、ポリマーポンプやギアポンプ等を介して連結されるのが好ましい。
【0083】
溶液重合工程、脱揮工程および必要に応じて行う添加工程等を経て得られたポリエーテル系重合体は、最終的にはペレット化される。脱揮後のポリエーテル系重合体は、冷却固化および成形されることにより、ペレットにし易い形状にしておき、これに引き続き切断工程でペレット化されるのが好ましい。なお、ペレットとは、一般的に、粉体とは区別される程度の粒状であればよく、その粒子形状は限定されない。得られるペレットの最大径は、特に限定はされないが、0.1〜50mmであることが好ましく、1.0〜30mmであることがより好ましい。
【0084】
[冷却固化工程]
脱揮工程後(以下、添加工程後を含むとする。)のポリエーテル系重合体は、流動状態であり温かい状態である。このポリエーテル系重合体は、冷却されて固化される。この冷却して固化させる工程は、以下において冷却固化工程とも称される。この冷却固化工程は特に限定されないが、例えば、脱揮工程後の流動状態のポリエーテル系重合体を、金属面に接触させて冷却固化させる工程が好ましい。
【0085】
本発明に係るポリエーテル系重合体は、水溶性であるため、水に漬けて水冷することはできない。また、このポリエーテル系重合体は、融点が低いため、常温(25℃)で固化しないことが多い。そのため、上記のように金属面に接触させて冷却固化させるのが好ましい。
【0086】
冷却固化工程において用い得る金属面としては、例えば、ドラムクーラー(例えば、ツバコー・ケー・アイ社製の製品名「COMPACT CONTI COOLER」、三菱化学エンジニアリング社製の製品名「ドラムクーラーDC」、モダンマシナリー(株)製の製品名「ラミネーター」等)、シングルベルトクーラー(例えば、サンドビック社製の製品名「スチールベルトクーラー」、日本スチールコンベア(株)製の製品名「スチールベルトシングルクーラー」等)、ダブルベルトクーラー(例えば、サンドビック社製の製品名「ダブルスチールベルトクーラー」等)などの冷却装置に備えられており、樹脂と接触し得る冷却用金属面が挙げられる。金属面は、金属板の表面であってもよいし、板状でない金属の表面であってもよい。これらの冷却用金属面はその裏側から冷媒を吹き付ける等して所望の温度に冷やされている。ダブルベルトクーラー、シングルベルトクーラーおよびドラムクーラーを用いた場合、冷却ベルト、冷媒の温度、冷媒の種類の選択、および、Tダイの幅やドラムおよびベルトの幅などの選択により、生産量に適合した条件が容易に得られうる。
【0087】
金属面の冷却温度は、例えば、脱揮工程後の流動状態のポリエーテル系重合体等を結晶化温度(Tc)及び/又は融点以下の温度が好ましい。
【0088】
冷却固化工程においては、通常、上記いずれの冷却装置を用いた場合でも、脱揮工程後のポリエーテル系重合体を金属面の上に吐出して、この金属面の上を搬送しつつ冷却固化するようにする。
【0089】
より好ましい冷却固化工程は、溶融状態のポリエーテル系重合体を温度制御しながら一定の厚みで押し出し、そのポリエーテル系重合体の結晶化温度(Tc)以下の温度に保持された金属面と接触させることによって固化させるのがよい。冷却効率を上げるために、ポリエーテル系重合体は、〔Tc+80〕℃以下の温度で押し出されるのが好ましい。
【0090】
上記金属面の上から冷却されたポリエーテル系重合体を剥離するために、金属表面にテフロン(登録商標)のシートを貼られてもよいし、金属表面にテフロン(登録商標)処理やシリコン処理が施されてもよい。
【0091】
金属面は通常冷媒により冷却される。この冷媒の例としては、冷却エアー、水、エチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
冷却効率を高める観点から、ポリエーテル系重合体は、金属面上においてシート状に拡げられるのが好ましい。よって、冷却固化されることにより、ポリエーテル系重合体はシート状とされるのが好ましい。
【0093】
一般に、樹脂をペレット化する方法として、ダイ孔から押し出された樹脂を冷却水浴にくぐらせて冷却した後に切断を行うストランドカット法が一般的である。しかしながら、前述したように、本発明に係るポリエーテル系重合体は、水溶性である。更に、本発明に係るポリエーテル系重合体は融点が低いため、ダイ孔から押し出されたストランド同士がくっつき合い、切断が困難となることがある。従って、本発明に係るペレットは、冷却によりシート状に加工した後、切断されてペレットとされたものであることが好ましい。
【0094】
[切断工程]
切断工程では、冷却固化されたポリエーテル系重合体を切断することにより、ペレットとする。冷却固化によりシート状とされたポリエーテル系重合体は、縦切り及び横切りによりペレット化されるのが好ましい。縦切りとは、ポリエーテル系重合体のシートを所定間隔おきに切断し、細長い形状とする工程である。横切りとは、縦切りの切断方向に対して直角な方向に切断して、細長いポリエーテル系重合体を短く切断する工程である。縦切りと横切りとの組み合わせにより、ポリエーテル系重合体が直方体状に切断される。この切断により、シート状のポリエーテル系重合体がペレットとされうる。この直方体状のペレットは、本願において角ペレットとも称される。
【0095】
以下において、切断工程で用いられうる切断装置の一実施形態について説明がなされる。図1は、この切断装置(シートペレタイザー)1の概略構成を示す側面図である。この切断装置1は、ロールカッタ3と、横切り回転刃5と、固定刃7とを有する。
【0096】
ロールカッタ3は、シートの縦切りを行う。図2は、ロールカッタ3を上方から見た図である。ロールカッタ3は、2つの回転刃9、11を有する。回転刃9は、回転軸線z1方向の一定間隔おきに設けられた円板状刃部13と回転軸14とを有する。回転刃11の形状は回転刃9と同様である。即ち回転刃11は、回転軸線z2方向の一定間隔おきに設けられた円板状刃部15と回転軸16とを有する。回転刃9の回転軸線z1と回転刃11の回転軸線z2とは互いに平行である。回転軸線z1及び回転軸線z2は水平である。
【0097】
図2が示すように、回転刃9と回転刃11とは互いに噛み合わされている。回転刃9の円板状刃部13と回転刃11の円板状刃部15とは交互に配置されている。円板状刃部13と円板状刃部15とは、互いに接触している。隣接する円板状刃部13同士の隙間pの間隔は、円板状刃部13の幅に略等しい。隣接する円板状刃部15同士の隙間pの間隔は、円板状刃部15の幅に略等しい。円板状刃部13の外周面とこの外周面に対向する回転軸16の外周面との間には隙間sが設けられている。円板状刃部15の外周面とこの外周面に対向する回転軸14の外周面との間には隙間sが設けられている。この隙間sの間隔は、シートの厚さ以上とされる。
【0098】
図1において矢印で示されているように、回転刃9と回転刃11とは、互いに逆方向に回転する。回転刃9と回転刃11との間の噛み合わせ部19に、シートが供給される。シートの図示は省略されている。噛み合わせ部19に供給されたシートは、回転刃9及び回転刃11の回転により、ロールカッタ3に引き込まれる。ロールカッタ3に引き込まれたシートは、回転刃9と回転刃11とにより裁断され、細長い形状に縦切りされる。縦切りされたシートの幅は、上記隙間pの間隔に対応している。
【0099】
縦切りされたシートは、上記隙間pに挟まった状態となる。縦切りされたシートを隙間pから剥がすために、スクレーパー21が設けられている。スクレーパー21は、回転刃間の隙間pの底面付近にまで突出している。換言すれば、スクレーパー21は、回転軸14及び回転軸16の外周面付近にまで至っている。スクレーパー21により回転刃9又は回転刃11から分離されたシートは、ガイド23により下方に誘導され、排出口25から排出される。
【0100】
隙間pの間隔は、求められるペレットのサイズにより変更されるが、例えば、1.0〜5.0mmに設定することが好ましく、より好ましくは1.5〜3.5mmである。この間隔が5.0mmを超える場合、上記スクレーパー21による剥離がしにくくなる場合がある。1.0mm未満の場合、シートの縦切りが完全になされないおそれがある。
【0101】
排出口25から下方に排出された縦切り済みのシートは、横切りされる。横切りは、横切り回転刃5と固定刃7とによりなされる。横切り回転刃5は、回転軸27と、刃部29とを有する。横切り回転刃5の回転軸線z3は、上記した回転軸線z1及び回動軸線z2と平行である。
【0102】
刃部29は、横切り回転刃5の外周面に設けられている。刃部29は、横切り回転刃5の周方向において一定角度おきに設けられている。図1の実施形態では、刃部29は、横切り回転刃5の周方向において60度おきに設けられている。固定刃7は、排出口25に設けられている。
【0103】
固定刃7の刃先と刃部29の刃先とは、接近しうるように配置されている。横切り回転刃5の回転により、周方向の複数位置に配置された刃部29が順次固定刃7と接近する。シートは、固定刃7と刃部29とにより剪断される。この剪断により、シートが横切りされる。縦切りにより細長く切断されたシートは、横切りにより短く切断され、ペレットとなる。ロールカッタ3の回転速度、横切り回転刃5の回転速度、刃部29の配置間隔、回転刃間の隙間pの間隔等により、ペレットのサイズが変更されうる。また、ロールカッタ3の回転速度や横切り回転刃5の回転速度が速いほうが、切断工程の生産性が向上しうる。回転速度を変更するには、例えば回転軸を駆動する駆動モーターの周波数(Hz)や、その回転軸の毎分回転数(rpm)を適宜調整すればよい。
【0104】
なお、横切り回転刃5の刃部29は、周方向の等間隔おきに複数枚備えられているのがよい。この刃部29の枚数は、2〜30枚が好ましく、より好ましくは2〜20枚、さらに好ましくは3〜10枚である。刃部29の枚数が2枚未満であると、刃の交換頻度が増し経済性に劣ることとなるおそれがあり、30枚を超えると、構造が複雑になり装置準備の面等で過剰な経費や労力を要する場合がある。
【0105】
上記切断装置1としては、従来から公知の各種シートペレタイザが適宜改良されて用いられうる。このシートペレタイザとして、具体的には、例えば、(株)タナカ製の製品名PM−350や、(株)ホーライ製の製品名SGE−220及びSGE−350等が挙げられる。
【0106】
生産性を大きくし、かつペレットサイズを小さくする観点からは、ロールカッタ3や横切り回転刃5の回転速度は大きいほうが好ましい。しかし、これらの回転速度には限界がある。切断工程では、切断される部分において熱が発生しやすく、特に横切りにおいて熱が発生しやすい。本発明に係るポリエーテル系重合体は融点が低いため、常温であっても滑り性が悪い傾向にあり、切断工程における発熱により更に滑り性が悪化しやすい。
【0107】
横切り回転刃5の回転速度が速くされると、横切りにおける剪断速度が高くなり、摩擦に起因した発熱が起こりやすい。ポリエーテル系重合体は滑り性が悪いため、摩擦熱が大きくなりやすい。この発熱により、ポリエーテル系重合体の滑り性が更に悪化し、切断装置1において詰まりが発生しやすい。この詰まりを抑制する観点から、横切り回転刃5の回転速度は所定値以下に抑えられる必要がある。仮に、回転速度が過度に速くされると、詰まりが発生しやすくなり、また得られるペレットの長さが不均一となりやすい。ポリエーテル系重合体において、例えば質量が100mg以下である細かいペレットを生産する場合であっても、切断工程のみにより、100mg以下のペレットの含有率を100%とすることは困難である。より精度の高い粒度分布を有するペレットを得るために、分級工程がなされる。
【0108】
[分級工程]
本発明では、ペレットの分級がなされる。分級により、重すぎるペレットが精度よく排除される。分級は、好ましくは乾式分級である。分級は、好ましくはふるい分け分級である。分級は、ふるいを用いて人力によりなされてもよい。分級精度及び生産性を高める観点から、分級は分級機を用いて行うのが好ましい。
【0109】
本発明に用いられうる分級機は、特に限定されない。好ましい分級機として、振動分級機や回転式分級機が挙げられる。スクリーンは、平面であってもよいし、円筒面等の曲面であってもよい。平面であるスクリーンの形状は限定されず、矩形、円形等が例示される。スクリーンが水平な状態で使用される水平式分級機でもよいし、スクリーンが傾斜した状態で使用される傾斜式分級機でもよい。
【0110】
振動分級機は、金網やパンチングメタル等よりなるスクリーンを振動させる。この振動の態様として、スクリーン(ふるい面)に対して水平方向の振動、スクリーン(ふるい面)に対して垂直方向の振動(上下振動)、これら水平方向の振動及び垂直方向の振動とを組み合わせた振動等が挙げられる。水平方向の振動の運動軌跡として、円形、楕円形、直線形、スパイラル形、8の字形(∞形)等が挙げられる。この振動により、スクリーンと接する粒体が入れ替わりやすくなり、分級精度や分級効率が高まる。好ましい振動式分級機として、例えば、ローテックス・ジャパン社製のプラスチックペレットスクリーナー(1301/1302シリーズ、1601/1602シリーズ、1901/1902シリーズ等)、西村機械製作所社製の円形振動篩機等が挙げられる。回転式分級機は、スクリーンが円筒体とされ、この円筒体が回転することにより分級がなされる。この回転式分級機では、例えば、パンチングメタル等よりなる円筒体の内部に分級される粒体等が投入された後、この円筒体が回転する。この円筒体の回転により、粒体か円筒体内を移動するとともに粒体に遠心力が作用するので、分級精度及び分級効率が高められている。このような回転式分級機として、例えば、株式会社誠和鉄工所製のペレット2槽式回転選別機(SPSR−Wシリーズ)が挙げられる。
【0111】
図3は、本発明に用いられうる分級機30の一例を示す側面図である。この分級機30は、振動分級機である。分級機30は、振動部32と基部34とを有する。図示されないが、基部34は、振動部32を振動させるための駆動部を有している。この駆動部により、振動部32は振動しうる。振動部32の全体が一体的に振動する。基部34は、床面に固定されている。基部34は、脚部36を有する。この脚部36により、基部34の固定が確実とされている。なお、図示は省略されているが、振動部32の上面は開閉可能とされており、またこの上面には、振動部32の内部の観察を可能とする透明窓が設けられている。
【0112】
振動部32は、全体として略箱状である。振動部32は、水平方向に対して傾斜している。振動部32は、供給口38と排出口40とを有する。図3では1つの排出口40のみが図示されているが、実際には排出口40は複数設けられている。
【0113】
分級を要するペレット(図示されない)は、供給口38から投入される。振動部32の振動により、投入されたペレットは振動部32の内部を移動する。ペレットは、振動部32の傾斜に沿って移動する。ペレットは、振動部32の傾斜の上側(上流側)から下側(下流側)へと移動する。図3、図4及び図5において、この移動方向が矢印Aで示されている。この移動にともない、ペレットは分級される。分級されて分別されたペレットは、それぞれ複数の排出口から排出される。
【0114】
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。図4が示すように、振動部32の内部には、微粉用スクリーン42と、スクリーン44とが設けられている。微粉用スクリーン42及びスクリーン44は、多数の穴を有している。微粉用スクリーン42は、金網である。スクリーン44は、パンチングメタルである。スクリーン44の穴は、丸穴である。スクリーン44の穴は、角穴であってもよい。
【0115】
図5は、振動部32の概略構成を示す断面図である。前述したように、振動部32は、供給口38と、微粉用スクリーン42と、スクリーン44とを有する。微粉用スクリーン42とスクリーン44とは、ほぼ同一平面上にある。微粉用スクリーン42及びスクリーン44は、水平面に対して傾斜している。この傾斜角度は、振動部3の傾斜角度と同じである。更に振動部32は、3つの排出口40a、40b、40cを有する。供給口38から投入されたペレットは、先ず、微粉用スクリーン42の上を下流側に向かって移動する。この移動の過程で微粉用スクリーン42を通過したペレットは、排出口40aから排出される。微粉用スクリーン42を通過しなかったペレットは、スクリーン44上に移動し、更にスクリーン44上を下流へと移動する。この移動の過程でスクリーン44を通過したペレットは、排出口40bから排出される。スクリーン44を通過しなかったペレットは、排出口40cから排出される。なお図5では、後述される受け部46の記載が省略されている。
【0116】
微粉用スクリーン42は、微粉を取り除くために設けられている。微粉の大きさは、求められるペレットの大きさよりも極端に小さい。微粉は、例えばペレット作製工程においてシートを切断する際に生じたバリやペレット同士の摩耗により生じた細かい粒子等である。好ましい微粉用スクリーン42の目開きは、分級されるペレットの大きさによっても異なるが、例えば0.1μm以上1.0μm以下である。微粉用スクリーン42を通過して排出口40aから取り出された微粉は、廃棄される。なお、微粉用スクリーン42は必須ではないが、設けた方が好ましい。微粉は、ペレットをフィードするスクリューの軸受け部分に入り込み、スクリューを回転しにくくするトラブルを生じさせうる。微粉が除去されることにより、このトラブルが回避されうる。
【0117】
スクリーン44は、所望のサイズにペレットを分級する。スクリーン44の目開き(パンチ穴の直径)は、ペレットのサイズによって適宜選択される。スクリーン44を通過して排出口40bから取り出されたペレットが採用される。スクリーン44を通過できなかったペレットは、排出口40cから取り出されて、廃棄される。
【0118】
図4において矢印Bで示されるのは、振動部32の振動の運動軌跡である。振動部32の振動の運動軌跡は、八の字形(∞形)である。振動部32は、スクリーン42、44と水平な方向に振動している。換言すれば、振動部32は、スクリーン42,44の面内方向に振動している。この面内方向の振動を、以下において面内振動ともいう。振動部32の面内振動は、縦向きの往復振動の成分と横向きの往復振動の成分とを含んでいる。縦向きの往復振動の成分が、図4において両矢印Cで示される。横向きの往復振動の成分が、図4において両矢印Dで示される。
【0119】
上記振動部32の振動により、微粉用スクリーン42及びスクリーン44は振動する。更に、スクリーン44は、面外方向にも振動している。面外方向とは、スクリーン44の平面に対して垂直な方向である。この面外方向の振動を、以下において面外振動ともいう。微粉用スクリーン42も、面外振動している。これらの面外振動の方向が、図5において両矢印Eで示されている。
【0120】
スクリーンの面外振動は、図示されないタッパーによりなされる。タッパーは、スクリーン42、44を叩く装置である。タッパーは、例えば往復運動をするシリンダーである。タッパーは、例えばエアーにより駆動される。タッパーは、所定時間おきにスクリーン42、44を叩く。例えばタッパーは、数秒毎に1回スクリーンを叩く。タッパーがスクリーンを叩く強さ(タッピング圧)や周期(タッピング間隔)は自動制御されうる。タッパーは、例えばその下方から上方に向かってスクリーンを叩く。図4が示すように、スクリーン42、44は、タッパーと衝突させるための受け部46を有している。受け部46は、例えば金属板である。受け部46が叩かれることにより、スクリーン42、44は面外振動する。この面外振動により、スクリーンの目詰まりが抑制され、分級効率が向上しうる。
【0121】
タッピング圧が小さすぎる場合、スクリーンの目詰まりが生じやすくなり、分級工程の生産性が低下しうる。タッピング間隔が長すぎる場合も、スクリーンの目詰まりが生じやすくなり、分級工程の生産性が低下しうる。よって、生産性を向上させる観点からは、タッピング圧は大きいほうが好ましく、タッピング間隔は短いほうが好ましい。
【0122】
ただし、タッピング圧が高すぎる場合、分級精度が低下しうる。タッピング間隔が短すぎる場合も、分級精度が低下しうる。この理由について説明する。通常、ペレットは、切断工程を経て作製される。ペレットの切断工程においては、先ず、ペレット材料は、略一定の断面形状を有する長細い形状の材料に加工され、次にこの長細い形状の材料が短く切断(最終切断)される。例えば、前述した切断工程の場合、シートが縦切りされた状態が長細い形状の材料であり、上記横切りが最終切断である。ペレットの大きさ(質量)の誤差は、主としてこの最終切断の際の生ずる。即ち、最終切断の際の切断長さの誤差が、ペレットの大きさ(質量)の誤差の主原因である。過度に長細いペレットができてしまった場合、このペレットは分級により排除されうる。しかし、過度に長細いペレットがスクリーン上で立ってしまった場合、この長細いペレットは、スクリーンの目開きよりも長いにも関わらず、スクリーンを通過してしまう。よって、求めるペレットよりも質量の大きい(長い)ペレットがスクリーンを通過する確率が高まり、分級精度が低下する。タッピング圧が強すぎる場合、スクリーン上でペレットが立ちやすくなる。よって、タッピング圧が適切な上限値以下に設定されることにより、分級精度が高まる。同様に、タッピング間隔が短すぎる場合、スクリーン上でペレットが立ちやすくなる。よって、タッピング間隔が適切な長さ以上に設定されることにより、分級精度が高まる。なお、「ペレットが立つ」とは、ペレットの長手方向がほぼ鉛直方向となることを意味する。
【0123】
好ましくは、分級工程は、ドライエアの雰囲気下においてなされる。図示しないが、振動部32は、ドライエアを排出する排出口を有している。振動部32の内部にドライエアを流しながら分級工程がなされる。好ましくは、分級工程は、露点が−50℃〜−40℃の空気雰囲気下においてなされる。雰囲気の露点が低くされることにより、ペレット表面への水分の付着が抑制される。これにより、ペレットの滑り性が向上し、ペレットの詰まりが抑制されうるとともに、分級効率が高められうる。
【0124】
好ましくは、分級は、2段階以上とされる。2段階以上の分級により、分級精度が極めて高くなる。図6は、2段階の分級を説明するための図である。第一段階の分級において前述した分級機30が用いられ、第二段階の分級においても前述した分級機30が用いられる。第一段階の分級でスクリーン44aを通過したペレット(合格品)が、第二段階の分級に供される(図6の矢印R参照)。そして、第二段階のスクリーン44bを通過したペレットが、合格品となる。分級は、3段階以上であってもよい。このように、好ましい分級方法は、少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上用いて分級を行う。図6の実施形態では、2種の目開きを有するスクリーン(スクリーン44a、スクリーン44b)が用いられている。
【0125】
第一段階の分級におけるスクリーン44aの目開き(穴径)d1と、第二段階の分級におけるスクリーン44bの目開き(穴径)d2とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、d1>d2とされるのがよい。換言すれば、多段階の分級において、段階が進行するにつれてスクリーンの目開きが小さくなるのが好ましい。d1>d2とされることにより、第一段階の分級において分級速度(生産性)が高まるとともに、第二段階の分級において分級精度が高まる。つまり、d1>d2とされることにより、生産性と分級精度との両立が顕著に達成される。また、d1>d2とされることにより、第一段階の分級でスクリーン44aを通過しなかったされたペレット中に、合格品となりうるペレットが含まれる確率が少なくなる。よって分級収率が高まる。差[d1−d2]は、求められる合格品のサイズ等により異なるが、例えば0.2mm〜1.0mm程度がよい。差[d1−d2]が小さすぎるとd1>d2とした上記効果が減少し、大きすぎると分級を2段階以上とした効果が減少して生産性が低下しやすい。
【0126】
なお、3段階以上の多段階で分級がなされる場合、本願における「第一段階の分級」は、多段階の分級中における第(N−1)段階の分級と考えることができ、「第二段階の分級」は、多段階の分級中における第N段階の分級と考えることができる。ただし、Nは2以上の整数である。
【0127】
スクリーン44bを通過せずに不合格とされたペレット中に、合格品となりうるペレットが存在する可能性がある。この合格品となりうるペレットを合格品として選別できれば、合格品の収率(分級収率)が高まる。分級収率を高める観点から、好ましくは、2段階以上の分級の最終段階においてスクリーン44bを通過しなかったペレットが再分級されるリサイクル分級がなされる(図6参照)。最終段階においてスクリーン44bを通過しなかったペレットは、未分級のペレットとともに、再分級に供される。この再分級は、一段階のみの分級でもよいし、2段階以上の多段階分級でもよい。例えば、2段階分級により不合格品とされたペレットが、未分級のペレットと共に、再分級としての2段階分級に供されてもよい。なお、最終段階より前の段階(例えば第一段階)においてスクリーンを通過しなかったペレット(不合格品)が、再分級に供されてもよい。しかし、これによる分級収率の増加は、例えばd1>d2とされた上記のような場合には、限定的となりうる。なぜなら、目開きd1が大きくされているため、第一段階の分級でスクリーンを通過しなかったされたペレット中に合格品となりうるペレットが含まれる確率は少ないからである。
【0128】
分級収率を高める観点から、目開きd2は目開きd1よりも小さくされるのがよい。この反面、目開きd2が小さくされることにより、最終段階の分級でスクリーンを通過しなかったペレットの中に、合格品となりうるペレットが含まれる確率が高くなる。即ち、目開きd2が小さくされることにより、分級収率が低下するいう欠点が生じうる。上記リサイクル分級は、この欠点を解消しうる。多段階分級とリサイクル分級とが併用されることにより、分級精度と分級収率との両立が達成されうる。好ましいリサイクル分級は、同一の多段階分級の繰り返しである。好ましいリサイクル分級は、例えば、図6が示すような、同一の2段階分級の繰り返しである。
【0129】
図7は、他の実施形態に係る振動部48の概略構成を示す断面図であり、図8は図7のVIII−VIII線に沿った振動部48の断面図である。振動部48には、スクリーン44の上方に配置されスクリーン44上の空間の高さを規制する規制部材50が設けられている。振動部48と振動部32との相違は、規制部材50の有無のみである。
【0130】
規制部材50は、板状部材である。規制部材50は、スクリーン44と略平行に配置された平板である。規制部材50は、スクリーン44の上に設けられている。規制部材50は、スクリーン44の全体を覆っている。規制部材50は、微粉用スクリーン42の上には設けられていない。
【0131】
前述したように、ペレットはスクリーン44上を移動する。しかし、ペレットの移動が円滑になされない場合がある。即ち、ペレットがスクリーン44上で滞留して蓄積されたり、更にはスクリーン44上で詰まりが生じてしまうことがある。特に、本発明に係るポリエーテル系重合体は、融点が低く且つ柔らかい性質を有しているため、滑り性が悪く、滞留や蓄積を起こしやすい。規制部材50は、このペレットの詰まりを抑制しうる。即ち、規制部材50により、ペレットがスクリーン44上において強制的に拡げられ、ペレットの蓄積が抑制される。よって、規制部材50により、ペレットの詰まりが抑制されうる。
【0132】
図7において両矢印Sで示されているのは、スクリーン44と規制部材50との隙間距離である。隙間距離Sは、ペレットの大きさや滑り性等により適宜設定することができるが、例えば6mm〜12mmとされる。
【0133】
図9は、他の実施形態に係る振動部52の概略構成を示す断面図であり、図10は図9のX−X線に沿った振動部52の断面図である。振動部52には、スクリーン44の上方に配置されスクリーン44上の空間の高さを規制する規制部材54が設けられている。規制部材54は、複数の規制部材54a、54b、54cよりなる。振動部52と振動部32との相違は、規制部材54の有無のみである。
【0134】
規制部材54は、板状部材である。規制部材54は、スクリーン44と略平行に配置された平板である。規制部材54は、微粉用スクリーン42の上には設けられていない。
【0135】
前述した規制部材50と異なり、規制部材54は、ペレットの進行方向Aに対して間欠的に配置されている。即ち、規制部材54は、ペレットの進行方向Aにおける隙間を有している。規制部材54aと規制部材54bとの間には、上記進行方向Aにおける隙間が存在している。同様に、規制部材54bと規制部材54cとの間にも上記進行方向Aにおいて隙間が存在している。規制部材により、スクリーン上の空間の高さが狭くなるので、スクリーン上でペレットが詰まることがある。上記隙間により、スクリーン44上の空間が開放される。上記隙間は、スクリーン44と規制部材54との間におけるペレットの詰まりを効果的に抑制しうる。
【0136】
上述したように、ポリエーテル系重合体は、融点が低く柔らかいため、滑り性が悪い。このため、ペレットがスクリーン上で滑りにくい。滑りにくいペレットはスクリーン上において滞留又は凝集しやすい。滑りにくいペレットは、スクリーン上においてダンゴ状となりやすい。この滞留又は凝集により、分級機においてペレットの詰まりが発生しやすい。このように、ポリエーテル系重合体を基材樹脂とするペレットは、分級効率が悪く、分級精度が低下しやすい。上記したような多段階分級により、ポリエーテル系重合体を基材樹脂とするペレットであっても、分級効率及び分級精度が高められ得る。このように本発明は、滑り性の悪いペレットにおいて特に効果が高い。本発明の効果を顕在化させる観点から、ポリエーテル系重合体の融点は70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。融点が低すぎると、シート状への成形や切断がなされにくい。切断工程の生産性を向上させる観点から、ポリエーテル系重合体の融点は30℃以上が好ましい。
【0137】
ペレット表面に水分が付着すると、ペレットの滑り性がより一層悪化する。ペレットの詰まりを抑制する観点から、分級工程は、露点が−30℃以下の雰囲気下においてなされるのが好ましく、露点が−40℃以下の雰囲気下においてなされるのがより一層好ましい。
【0138】
本発明におけるポリエーテル系重合体ペレットは、100mg以下の質量を有する粒子の数N1が総粒子数N2に対して99%以上とされる。換言すれば、[N1/N2]は0.99以上とされる。より好ましくは、[N1/N2]は1.00である。
【0139】
好ましくは、本発明におけるポリエーテル系重合体ペレットは、50mg以下の質量を有する粒子の数N3が総粒子数N4に対して99%以上とされる。換言すれば、[N3/N4]は0.99以上が好ましい。より好ましくは、[N3/N4]は1.00である。
【0140】
ペレットが使用される際には、例えば、スクリューフィーダー等の押出機により押し出される。質量の大きいペレットは、長い。質量の大きいペレットが混在している場合、押出工程における詰まりの原因となりうる。100mg以下の質量を有する粒子の割合が高いポリエーテル系重合体ペレットにより、ペレットの押出工程における詰まりが抑制されうる。本発明に係るペレットは、例えばポリマー電池等に用いられるフィルムの原材料として好適に用いられる。100mg以下の質量を有する粒子の割合が高いポリエーテル系重合体ペレットにより、フィード精度が高まり、フィルム厚さの均一性が向上しうる。100mg以下の質量を有する粒子の数が少ないポリエーテル系重合体ペレットは、分級工程により効率的に得られうる。
【0141】
本発明に係るポリエーテル系重合体の用途は限定されず、例えば、接着剤、粘着剤、塗料、シーリング剤、エラストマー、床剤等に用いられるポリウレタン樹脂や、硬質、軟質又は半硬質のポリウレタン樹脂に用いられうる。他にも、本発明に係るポリエーテル系重合体は、界面活性剤、サニタリー製品、脱墨剤、潤滑油、作動油、高分子電解質、電池材料、フレキソ印刷版材、カラーフィルターの保護膜等の各種機能性材料などといった、非常に広範囲な用途において好ましく用いられうる。
【実施例】
【0142】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0143】
[評価]
下記の実施例においては、分級収率E、粒子数比率A1及び粒子数比率B1が評価された。
【0144】
[分級収率]
合格品の質量がWgとされ、不合格品の質量がWfとされ、廃棄された微粉の質量がWbとされたとき、分級収率Eは、以下の式により計算した。
E=Wg/(Wg+Wf+Wb)×100
【0145】
なお、分級収率Eは、第一段階及び第二段階のそれぞれにおいて測定された。第一段階の分級収率Eの算出において、Wgは第一段階の分級機におけるスクリーンを通過したペレットの質量であり、Wfは第一段階の分級機においてスクリーンを通過できなかったペレットの質量であり、Wbは第一段階の分級機において微粉用スクリーンを通過したペレットの質量である。第二段階の分級収率Eの算出において、Wgは第二段階の分級機におけるスクリーンを通過したペレットの質量であり、Wfは第二段階の分級機においてスクリーンを通過できなかったペレットの質量であり、Wbは第二段階の分級機において微粉用スクリーンを通過したペレットの質量である。
【0146】
[粒子数比率A1、粒子数比率B1]
分級精度を評価する目的で、粒子数比率A1及び粒子数比率B1が測定された。
【0147】
[粒子数比率A1]
ペレット100粒を任意に選び、各ペレット粒子の質量を測定した。50mgを超える質量を有する粒子数の、総粒子数に対する百分率(%)が粒子数比率A1とされた。粒子数比率A1は、値が小さいほど分級精度が高い。
【0148】
[粒子数比率B1]
ペレット500粒を任意に選び、各ペレット粒子の質量を測定した。50mgを超える質量を有する粒子数の、総粒子数に対する百分率(%)が粒子数比率B1とされた。粒子数比率B1は、値が小さいほど分級精度が高い。
【0149】
[製造例1]
(脱揮工程)
トルエン溶媒中で、酸化エチレン、1,2−ブチレンオキサイド及びアリルグリシジルエーテルの共重合により得られた樹脂溶液(Mw:108,000)を脱揮した。脱揮するための装置として、神鋼環境ソリューション社製のEXEVA(エクセバ)を用いた。EXEVAの運転条件は、加熱温度が100℃とされ、溶液フィード量が15kg/hrとされ、操作圧力が50Torrとされ、攪拌速度が300rpmとされ、スクリュー回転数が97rpmとされた。この運転条件により、EXEVAの吐出口から、7.5kg/hrの吐出速度で樹脂が吐出された。吐出された樹脂において、樹脂温度は最高で115℃であり、残存トルエン量は0.64wt%であった。また、EXEVAによる処理の前後において樹脂の分子量は変化しなかった。
【0150】
(送液ラインによる移送)
脱揮工程後の樹脂を混練工程に供するため、送液ラインによる移送がなされた。EXEVAの吐出口から吐出された樹脂について、ギアポンプにより送液した。送液管の配管加熱温度は120℃とされ、送液速度は96.6kg/hrから123kg/hrとされた。送液中における樹脂の温度は115℃以上119℃以下であった。送液の前後で、樹脂の分子量は変化しなかった。
【0151】
(混練工程)
送液ラインにより送付されてきた樹脂に酸化防止剤が混練りされた。この混練工程は、KRCニーダーを用いて行った。KRCニーダーへの投入方法は、上流側(モーター側)の投入口から酸化防止剤が供給され、下流側(吐出口側)の投入口から溶融樹脂が投入された。溶融した樹脂の投入速度は30kg/hrとされ、供給される樹脂の温度は121℃とされ、ジャケット温度は60℃とされ、回転数は54rpmとされた。KRCニーダーから吐出された樹脂において、吐出出口温度が119℃であり、樹脂の分子量変化は見られず、酸化防止剤の割合は4484ppm(平均値)であった。酸化防止剤の割合のばらつきは、(6σ/平均値)×100が8.9であった。酸化防止剤の投入口においてベントアップは確認されなかった。
【0152】
(冷却工程)
KRCニーダーから排出された樹脂を、三菱化学エンジニアリング社製のドラムクーラーにより冷却した。ドラムクーラーの運転条件は、供給樹脂温度が180℃とされ、プレッシャーロール(PR)は停止とされ、プレッシャーロールとロールとの隙間は3.0mmとされ、ドラムへのブライン温度(入/出)は9℃/11℃とされ、ロール回転数は0.4rpmとされた。冷却ロール出口から出てきた冷却シートは、シート厚みが1.5mm以上2.0mm以下であり、シート温度が20℃であり、シート剥離性は良好であり、カッティング状態は良好であった。
【0153】
(ペレット化工程(切断工程))
上記冷却シートを、ホーライ社製のシートペレタイザーを用いてペレット化した。このシートペレタイザーの概略構成は、図1及び図2に記載されたシートペレタイザー1と同様である。このシートペレタイザーに、1.5〜2.0mmの厚みを有する冷却後のシートが投入された。投入速度は、1.8(m/min)以上3.8(m/min)以下の範囲とされた。シートペレタイザーにおける回転刃間の隙間p(図2参照)は3mmとされ、回転刃の噛み合い幅w1(図2参照)は2.0mm〜3.0mmとされ、横刃の固定刃−櫛刃(スクレパー)+底上げ部のクリアランスが3.0mm〜8.0mmとされ、縦刃周波数は15〜26Hzとされ、横刃周波数は30〜40Hzとされた。なお、縦刃周波数とは、縦刃(縦切り用の回転刃)を回転させるモーターの回転数を制御するインバーターの周波数であり、周波数が高いほど回転数も多い。横刃周波数とは、横刃(横切り回転刃)を回転させるモーターの回転数を制御するインバーターの周波数であり、周波数が高いほど回転数も多い。このペレタイザーによる切断の結果、〔縦×横×高さ〕がそれぞれ平均値で〔1.5〜2.0mm×3mm×2.0〜4.5mm〕である角ペレットを得た、この角ペレットでは、縦、横及び高さのぞれぞれが平均値±0.5mmに入る頻度が100粒子中85粒子以上であった。なお、〔縦×横×高さ〕における「縦」の寸法はシート厚みに対応し、「横」の寸法は上記回転刃の隙間pに対応する。
【0154】
[実施例1]
上記製造例1により得られた角ペレットの未分級品を用いて、分級工程を行った。ペレットサイズの目標値は、4.0mm(長さ)×3.5mm(幅)×1.8mm(厚さ)とした。
【0155】
分級機は、ローテックス・ジャパン社製の「ペレットスクリーナーR1301」を用いた。分級機の構成は、図3、図4及び図5で示したものと同様である。この分級機を2回用いて、2段階分級を行った。第一段階の分級において、微粉用スクリーンは目開きが2.0mm角の金網とされ、スクリーンはパンチ径が5.0mmのパンチングメタルとされた。第二段階の分級において、微粉用スクリーンは目開きが2.0mm角の金網とされ、スクリーンはパンチ径が4.5mmのパンチングメタルとされた。
【0156】
第一段階の分級において、分級機の仕様は、次の通りとされた。
[第一段階の分級]
・振動部の振動数:60Hz
・タッピング圧 :0.20MPa
・タッピング間隔:3.5秒/回
・微粉用スクリーン及びスクリーンの水平面に対する傾斜角:7°
・スクリーンのパンチ径:5.0mm
【0157】
第一段階の分級においては、分級機の供給口に、未分級ペレットを、1時間当たり56.5kgの速度で投入し、60分間処理し続けた。この第一段階の分級において、分級収率Eは97.6%であり、粒子数比率A1は2%であった。
【0158】
第二段階の分級において、分級機の仕様は、次の通りとされた。
[第二段階の分級]
・振動部の振動数:60Hz
・タッピング圧 :0.25MPa
・タッピング間隔:3.5秒/回
・微粉用スクリーン及びスクリーンの水平面に対する傾斜角:7°
・スクリーンのパンチ径:4.5mm
【0159】
第二段階の分級においては、上記第一段階の分級でスクリーン(パンチングメタル)を通過した合格品のペレットを、第二段階の分級機の供給口に投入した。投入速度は1時間当たり46.6kgとし、58分間処理し続けた。この第二段階の分級において、分級収率Eは88.4%であり、粒子数比率B1は0%であった。
【0160】
[実施例2]
(リサイクル1回目;第一段階)
第一段階における分級機の仕様は、実施例1における上記第一段階の分級と同じとされた。実施例1における第二段階の分級で不合格品となったペレットと未分級ペレットとを混ぜて、分級機に投入した。ペレットの投入速度は、1時間当たり57.4kgとされ、46分間処理し続けた。実施例2の第一段階において、分級収率Eは97.5%であり、粒子数比率A1は2%であった。
【0161】
(リサイクル1回目;第二段階)
第二段階における分級機の仕様は、実施例1における上記第二段階の分級と同じとされた。実施例2の上記第一段階の分級で得られた合格品のペレットを、第二段階における分級機に投入した。投入速度は、1時間当たり46.9kgとされ、53分間処理し続けた。実施例2の第二段階において、分級収率Eは88.0%であり、粒子数比率B1は0%であった。
【0162】
[実施例3]
(リサイクル2回目;第一段階)
第一段階における分級機の仕様は、実施例1における上記第一段階の分級と同じとされた。実施例2の上記第二段階の分級で得られた不合格品のペレットと未分級のペレットとを混ぜて、第一段階における分級機に投入した。投入速度は、1時間当たり57.7kgとされ、43分間処理し続けた。実施例3の第一段階において、分級収率Eは97.7%であり、粒子数比率A1は0%であった。
【0163】
(リサイクル2回目;第二段階)
第二段階における分級機の仕様は、実施例1における上記第二段階の分級と同じとされた。実施例3の上記第一段階の分級で得られた合格品のペレットを、第二段階における分級機に投入した。投入速度は、1時間当たり47.4kgとされ、49分間処理し続けた。実施例3の第二段階において、分級収率Eは87.6%であり、粒子数比率B1は0%であった。
【0164】
実施例1から3のいずれにおいても、粒子数比率B1が0%とされたペレットが1時間当たり40kg以上得られた。実施例1から3は、生産性に優れる。更に、実施例1から3の全てにおいて、第二段階の分級の粒子数比率B1は、それぞれ0%であった。実施例1から3は、分級精度に優れる。上記実施例1から3により、2段階分級及びリサイクル分級の有効性が示された。
【0165】
[実施例4]
(第一段階)
第一段階における分級機の仕様は、実施例1における上記第一段階の分級と同じとされた。この分級機に、上記製造例1で得られた未分級ペレットを投入した。ペレットの投入速度は、1時間当たり86.0kgとされ、40分間処理し続けた。実施例4の第一段階において、分級収率Eは97.3%であり、粒子数比率A1は10%であった。
【0166】
(第二段階)
第二段階における分級機の仕様は、実施例1における上記第二段階の分級と同じとされた。実施例4の上記第一段階の分級で得られた合格品のペレットを、第二段階における分級機に投入した。投入速度は、1時間当たり81.6kgとされ、40分間処理し続けた。実施例4の第二段階において、分級収率Eは87.3%であり、粒子数比率B1は0%であった。実施例4は、生産性及び分級精度が高い。また実施例4により、第一段階の粒子数比率A1に比べて、第二段階の粒子数比率B1が顕著に低下している。実施例4は、2段階分級による顕著な効果を示す。
【0167】
(充填工程)
実施例1から4により得られた分級合格品のペレットを袋に充填する充填工程がなされた。充填工程には、富士インパルス社製の真空ガス充填長尺シーラーLOSシリーズを用いた。まず、ペレットをアルミ内袋付きフレコンバックに投入し、次に、ヒートシーラーにて、アルミ内袋の開口部中央にノズルが入る部分を残しつつ、アルミ内袋をヒートシールした。このヒートシーラーは、上記真空ガス充填長尺シーラーとは別のシーラーである。次に、このフレコンバックを真空ガス充填長尺シーラーにセットし、真空ガス充填長尺シーラーのノズルをアルミ内袋の開口部中央に差し込み、ヒートシールを行った。ノズルは1本であり、ノズルの長さは240mmであり、ノズル先端のサイドには、4個の穴が開けられている。ヒートシールの際には、2.0分間の脱気及び1.0分間の窒素置換の組み合わせを2回繰り返し、250℃で2秒間両面加熱を行った。この結果、ヒートシール後におけるバック内の空間部の真空度は−70kPaであり、この空間部の酸素濃度は0.2〜0.45vol%であった。
[製造例2]
(脱揮工程)
トルエン溶媒中で、酸化エチレン及び1,2−ブチレンオキサイドの共重合により得られた樹脂溶液(Mw:125,000)を脱揮した。脱揮するための装置として、神鋼環境ソリューション社製のEXEVA(エクセバ)を用いた。EXEVAの運転条件は、加熱温度が140℃とされ、溶液フィード量が22kg/hrとされ、操作圧力が50Torrとされ、攪拌速度が300rpmとされ、スクリュー回転数が97rpmとされた。この運転条件により、EXEVAの吐出口から、9.9kg/hrの吐出速度で樹脂が吐出された。吐出された樹脂において、樹脂温度は最高で138℃であり、残存トルエン量は0.61wt%であった。また、EXEVAによる処理の前後において樹脂の分子量は変化しなかった。
【0168】
(送液ラインによる移送)
脱揮工程後の樹脂を混練工程に供するため、送液ラインによる移送がなされた。EXEVAの吐出口から吐出された樹脂について、ギアポンプにより送液した。送液管の配管加熱温度は140℃とされ、送液速度は51.8kg/hrから69.0kg/hrとされた。送液中における樹脂の温度は132℃以上139℃以下であった。送液の前後で、樹脂の分子量は変化しなかった。
【0169】
(混練工程)
送液ラインにより送付されてきた樹脂に酸化防止剤が混練りされた。この混練工程は、KRCニーダーを用いて行った。KRCニーダーへの投入方法は、上流側(モーター側)の投入口から酸化防止剤が供給され、下流側(吐出口側)の投入口から溶融樹脂が投入された。溶融した樹脂の投入速度は27kg/hrとされ、供給される樹脂の温度は138℃とされ、ジャケット温度は60℃とされ、回転数は54rpmとされた。KRCニーダーから吐出された樹脂において、吐出出口温度が133℃であり、樹脂の分子量変化は見られず、酸化防止剤の割合は5124ppm(平均値)であった。酸化防止剤の割合のばらつきは、(6σ/平均値)×100が7.3であった。酸化防止剤の投入口においてベントアップは確認されなかった。
【0170】
(冷却工程)
KRCニーダーから排出された樹脂を、三菱化学エンジニアリング社製のドラムクーラーにより冷却した。ドラムクーラーの運転条件は、供給樹脂温度が185℃とされ、プレッシャーロール(PR)は停止とされ、プレッシャーロールとロールとの隙間は3.5mmとされ、ドラムへのブライン温度(入/出)は10.4℃/11.5℃とされ、ロール回転数は0.3rpmとされた。冷却ロール出口から出てきた冷却シートは、シート厚みが1.5mm以上2.0mm以下であり、シート温度が13.5℃であり、シート剥離性は良好であり、カッティング状態は良好であった。
【0171】
(ペレット化工程(切断工程))
上記冷却シートを、ホーライ社製のシートペレタイザーを用いてペレット化した。このシートペレタイザーの概略構成は、図1及び図2に記載されたシートペレタイザー1と同様である。このシートペレタイザーに、1.5〜2.0mmの厚みを有する冷却後のシートが投入された。投入速度は、1.8(m/min)以上3.8(m/min)以下の範囲とされた。シートペレタイザーにおける回転刃間の隙間p(図2参照)は3mmとされ、回転刃の噛み合い幅w1(図2参照)は2.0mm〜3.0mmとされ、横刃の固定刃−櫛刃(スクレパー)+底上げ部のクリアランスが3.0mm〜8.0mmとされ、縦刃周波数は15〜26Hzとされ、横刃周波数は30〜40Hzとされた。このペレタイザーによる切断の結果、〔縦×横×高さ〕がそれぞれ平均値で〔1.5〜2.0mm×3mm×2.0〜4.5mm〕である角ペレットを得た。この角ペレットでは、縦、横及び高さのぞれぞれが平均値±0.5mmに入る頻度が100粒子中85粒子以上であった。なお、〔縦×横×高さ〕における「縦」の寸法はシート厚みに対応し、「横」の寸法は上記回転刃の隙間pに対応する。
【0172】
[実施例5から8]
製造例1で得られた角ペレットを、製造例2で得られた角ペレットに変更した他は、上記実施例1と同様にして、実施例5がなされた。製造例1で得られた角ペレットを、製造例2で得られた角ペレットに変更した他は、上記実施例2と同様にして、実施例6がなされた。製造例1で得られた角ペレットを、製造例2で得られた角ペレットに変更した他は、上記実施例3と同様にして、実施例7がなされた。製造例1で得られた角ペレットを、製造例2で得られた角ペレットに変更した他は、上記実施例4と同様にして、実施例8がなされた。
【0173】
(充填工程)
実施例5から8により得られた分級合格品のペレットを袋に充填する充填工程がなされた。充填工程には、富士インパルス社製の真空ガス充填長尺シーラーLOSシリーズを用いた。まず、ペレットをアルミ内袋付きフレコンバックに投入し、次に、ヒートシーラーにて、アルミ内袋の開口部中央にノズルが入る部分を残しつつ、アルミ内袋をヒートシールした。このヒートシーラーは、上記真空ガス充填長尺シーラーとは別のシーラーである。次に、このフレコンバックを真空ガス充填長尺シーラーにセットし、真空ガス充填長尺シーラーのノズルをアルミ内袋の開口部中央に差し込み、ヒートシールを行った。ノズルは1本であり、ノズルの長さは240mmであり、ノズル先端のサイドには、4個の穴が開けられている。ヒートシールの際には、2.0分間の脱気及び1.0分間の窒素置換の組み合わせを2回繰り返し、250℃で2秒間両面加熱を行った。この結果、ヒートシール後におけるバック内の空間部の真空度は−70kPaであり、この空間部の酸素濃度は0.2〜0.45vol%であった。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明は、ポリエーテル系重合体を基材樹脂とするペレットに適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】図1は、切断装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、ロールカッタを上方から見た図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る分級機の概略構成を示す側面図である。
【図4】図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図5は、振動部の概略構成を示す断面図である。
【図6】図6は、二段階の分級について説明するための図である。
【図7】図7は、他の実施形態に係る振動部の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は、図7のVIII−VIII線に沿った振動部の断面図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係る振動部の概略構成を示す断面図である。
【図10】図10は、図9のX−X線に沿った振動部の断面図である。
【符号の説明】
【0176】
1・・・切断装置
3・・・ロールカッタ
5・・・横切り回転刃
7・・・固定刃
9、11・・・回転刃
13、15・・・円板状刃部
21・・・スクレーパー
23・・・ガイド
29・・・刃部
30・・・分級機
32、48、52・・・振動部
34・・・基部
38・・・供給口
40、40a、40b、40c・・・排出口
42・・・微粉用スクリーン
44・・・スクリーン
50、54・・・規制部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
100mg以下の質量を有する粒子の数が、総粒子数に対して99%以上であるポリエーテル系重合体ペレット。
【請求項2】
少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上通過させる多段階分級を行い、この多段階分級により、100mg以下の質量を有する粒子の数が総粒子数に対して99%以上であるポリエーテル系重合体ペレットを得る分級方法。
【請求項3】
上記スクリーンがパンチングメタルである請求項2に記載の分級方法。
【請求項4】
少なくとも1種以上の目開きを有するスクリーンを2段階以上通過させる多段階分級を行うとともに、この多段階分級における最終段階でスクリーンを通過しなかったペレットが未分級のペレットと共に再分級に供されることにより、100mg以下の質量を有する粒子の数が総粒子数に対して99%以上であるポリエーテル系重合体ペレットを得る分級方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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