説明

ポリオキシメチレンマルチブロックコポリマー、およびそれらの製造法と使用

本発明は、式(I)


〔式中、Aは、ポリオキシメチレンホモポリマーもしくはポリオキシメチレンコポリマーから誘導される基であり;R1は、少なくとも2つの炭素原子を含むアルキレン基、またはシクロアルキレン基であり;R2は、炭素-炭素直接結合であるか、あるいはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、もしくはアラルキレン基であり;Xは、-O、-S-、または-NH-から選択され;Dは、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、アルケンを含有するポリビニルエーテルコポリマー、ポリビニルエステル、アルケンを含有するポリビニルエステルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-アルケンコポリマー、ポリビニル芳香族化合物、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、0〜50モル%のオキシメチレン単位を有するポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミン、ポリエーテルエステルエラストマー(PEE)、ポリエーテルアミドエラストマー(PEA)、必要に応じて水素化されていてもよいポリアルカジエン、ポリウレタン、ポリウレア、もしくはポリシロキサンから誘導されるヒドロキシ末端ポリマー基、メルカプタン末端ポリマー基、またはアミノ末端ポリマー基である二価の基Bであるか、またはヒドロキシ末端、メルカプタン末端、またはアミノ末端のトリブロックコポリマー基-PAO-B-PAO-(式中、Bは、上記意味のうちの1つであり、PAOはポリアルキレンオキシド基である)であり;そしてmは0または1である〕で示される構造単位を有するマルチブロックコポリマーに関する。前記マルチブロックコポリマーは、成形品を製造するのに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のマルチブロックコポリオキシメチレンに関し、さらにそれらの製造法、および、特に射出成形や押出を行ってあらゆるタイプの成形品を製造するための、それらの成形用組成物としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン(以後、“POM”とも呼ぶ)は、優れた機械的性質を有する高性能ポリマーである。しかしながら、その靭性は不十分であり、したがって用途によっては、耐衝撃性改良剤がPOMに加えられる。
【0003】
共成分(co-components)を制御された形で組み込むことによってPOAの耐衝撃性を改良すべく、これまで種々の検討がなされてきた。
JP-A-2001-114,980は、ヒドロキシ末端POMをイソシアネートで変性し、ポリエチレングリコールと共に処理して、ポリウレタン基によって連結されたブロックコポリマーを得ることができることを開示している。
【0004】
US-A-4,808,689はポリウレタンポリアセタールエラストマーの製造を開示しており、それによれば、ジヒドロキシ末端ホモポリアセタールとアルキレンジイソシアネートとを反応させてイソシアネート末端ポリマーとし、これをさらにジヒドロキシ末端コポリアセタールと反応させる。
【0005】
「Macromol.Synth.,4,(1972),1-6」は、ポリオキシメチレンブロックとポリプロピレンアジペートブロックとがウレタン基で連結された形のコポリマーを開示している。
他のポリアセタールポリウレタンブロックコポリマーが、「J.Appl.Polym.Sci.,31,(1986),123-133」に記載されている。
【0006】
US-A-2002-16,395は、ABAタイプのポリアセタールブロックコポリマーを開示している。ポリアセタールコポリマーのセグメントAが、水素化ポリブタジエンから誘導されるセグメントBと結合している。ブロックの連結は、選定されたアルキレンオキシ基によって行われる。開示されているポリアセタールブロックコポリマーのモル質量は、10000〜500000g/モルの範囲である。これらのポリアセタールブロックコポリマーで構成される成形品は、高い耐摩耗性と優れた寸法安定性を有することを特徴とする。
【0007】
POM製造プロセスは、これまで、適切なモノマー(たとえば、1,3,5-トリオキサンや1,3-ジオキソラン)をカチオン重合させている。このプロセスでは、極めて高い分子量と、これに対して低い溶融粘度とを有するコポリマーを製造することができない。従来のプロセスは一般に、メルトインデックス(190℃/2.16kgでのMVR値,ISO1133)が1cm3/10分以上であるホモポリオキシメチレンとコポリオキシメチレンを製造することができる。
【0008】
鎖連結剤(chain-linking agents)の使用による高分子量ポリマーの製造は、原理上はよく知られている。
ポリアミドブロックコポリマー、ポリエステルブロックコポリマー、またはポリエステルアミドブロックコポリマーの鎖連結についてはWO-A-98/47,940に説明されており、ここで使用されている鎖連結剤は、選定されたN,N’-カルボニルビス(ラクタメート)を含む。WO-A-01/40,178とWO-A-01/66,633は類似のプロセスを開示している。後者の明細書によれば、鎖連結は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリエーテルポリオールに適用することができる。ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコールと共に、ポリオキシメチレンも、ポリエーテルポリオールの例として説明されている。
【0009】
最後に、DE-A-2,837,526は、炭酸ジフェノール末端基を有するポリマーの製造法を開示している。この製造法は特に、適度な分子量のポリエーテルジオールと、炭酸のビスアリールエステルおよびジフェノールとを反応させることを含む。
【0010】
本発明は、こうした先行技術に基づいて新規のブロックコポリマーを提供する。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、ヒドロキシ末端基を有する選定されたホモポリオキシメチレンまたはコポリオキシメチレンと、選定された鎖連結剤および選定されたポリマーとを反応させて、マルチブロックコポリマーを得ることができる、という発見に基づいている。
【0012】
さらに、本発明の製造法により、高いメルトインデックス値を有するホモポリオキシメチレンまたはコポリオキシメチレンと選定されたポリマーとを鎖連結することで、マルチブロックコポリマーが得られる、ということが見出された。
【0013】
本発明は、式I
【0014】
【化1】

【0015】
の構造単位を有するマルチブロックコポリマーを提供する。上記式において、Aは、ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンから誘導される基であり;R1は、少なくとも2つの炭素原子を有するアルキレン基、またはシクロアルキレン基であり;R2は、炭素-炭素直接結合であるか、あるいはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、もしくはアラルキレン基であり;Xは、-O、-S-、または-NH-から選択され;Dは、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエーテルとアルケンとのコポリマー、ポリビニルエステル、ポリビニルエステルとアルケンとのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-アルケンコポリマー、ポリビニル芳香族化合物、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、0〜50モル%のオキシメチレン単位を有するポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミン、ポリエーテルエステルエラストマー(PEE)、ポリエーテルアミドエラストマー(PEA)、必要に応じて水素化されていてもよいポリアルカジエン、ポリウレタン、ポリウレア、もしくはポリシロキサンから誘導されるヒドロキシ末端ポリマー、メルカプタン末端ポリマー、またはアミノ末端ポリマーの基である二価の基Bであるか、またはヒドロキシ末端のトリブロックコポリマー基-PAO-B-PAO-(式中、Bは、上記意味のうちの1つであり、PAOはポリアルキレンオキシド基である)であり;そしてmは0または1である。
【0016】
本明細書においては、アルキレン基は、分岐鎖または直鎖の二価の脂肪族基である。アルキレン基は、製造とプロセシングの条件下において不活性なヘテロ原子および/または基(これらは、アルキレン主鎖中に組み込まれている)を含んでいてもよいし、あるいは主鎖の置換基である不活性基を含んでいてもよい。
【0017】
アルキレン主鎖中に組み込まれている不活性基の例は、アリーレン基(たとえば、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、または好ましくはパラフェニレン基)、シクロアルキレン基(たとえばシクロヘキシレン基)、またはヘテロ原子(たとえば、一価の有機基でN-置換された窒素、一価の有機基で置換されたケイ素、他の例としてイオウまたは特に酸素)である。“アルキレン主鎖中に組み込まれている不活性基”という表現は、不活性基がアルキレン鎖の末端にではなく主鎖中に組み込まれている、ということを意味している。
【0018】
アルキレン主鎖の置換基の例は、アルキレン主鎖に共有結合したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、不活性基、または原子である。これらの置換基としては、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)などがある。
【0019】
本発明の目的に適うよう、アルキレン基のモル質量は最大で1000g/モルであり、好ましくは14〜500g/モルである。
アルキレン基R1は、少なくとも2個の炭素原子を有していなければならないが、アルキレン基R2の炭素原子は1個であってもよい。
【0020】
本明細書においては、シクロアルキレン基は、通常は5〜8個の炭素原子を有する二価の脂環式基である。シクロアルキレン基は、5〜6個の環炭素原子を有するのが好ましく、製造とプロセシングの条件下において不活性である基〔たとえば、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルキル基(たとえば、メチルやエチル)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)〕をさらに含んでよい。
【0021】
本明細書においては、アリーレン基は、通常は6〜14個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基である。アリーレン基は、フェニレン基またはナフチレン基であるのが好ましく、製造とプロセシングの条件下において不活性である基〔たとえば、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルキル基(たとえば、メチルやエチル)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)〕をさらに含んでよい。
【0022】
本明細書においては、アラルキレン基は、通常は7〜10個の炭素原子を有する二価のアリール脂肪族基である。好ましいのはベンジリデンである。アラルキレン基は、製造とプロセシングの条件下において不活性である基〔たとえば、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルキル基(たとえば、メチルやエチル)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)〕をさらに含んでよい。
【0023】
本明細書においては、アルキル基は、通常は1〜50個(好ましくは1〜30個、特に1〜10個)の炭素原子を有する一価の分岐鎖もしくは直鎖脂肪族基である。アルキル基は、製造とプロセシングの条件下において不活性である基をさらに含んでよく、これらの基は、一価の置換基であるか、あるいは主鎖中に組み込まれている。これらの基の例は、アルキレン基の説明時において前記してある。置換基の好ましい例は、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)である。
【0024】
本明細書においては、シクロアルキル基は、通常は5〜8個の炭素原子を有する一価の脂環式基である。シクロアルキル基は、5〜6個の環炭素原子を有するのが好ましく、製造とプロセシングの条件下において不活性である基〔たとえば、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルキル基(たとえば、メチルやエチル)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)〕をさらに含んでよい。
【0025】
本明細書においては、アリール基は、通常は6〜14個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基である。アリール基は、フェニルまたはナフチルであるのが好ましく、製造とプロセシングの条件下において不活性である基〔たとえば、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルキル基(たとえば、メチルやエチル)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)〕をさらに含んでよい。
【0026】
本明細書においては、アラルキル基は、通常は7〜10個の炭素原子を有する一価のアリール脂肪族基である。好ましいのはベンジルである。アラルキル基は、製造とプロセシングの条件下において不活性である基〔たとえば、ハロゲン原子(たとえば塩素)、アルキル基(たとえば、メチルやエチル)、アルコキシ基(たとえば、メトキシやエトキシ)、アリール基(たとえばフェニル)、またはアラルキル基(たとえばベンジル)〕をさらに含んでよい。
【0027】
本発明のマルチブロックコポリマーは、ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンから誘導される基Aを含有し、そして選定されたポリマーから誘導される基Dを含有し、これらの基が特定の鎖連結剤によって互いに連結されている。
【0028】
基Aは、鎖連結できるよう意図されていて、不安定な末端基が取り除かれているホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンである。基Aのそれぞれの端には、末端基を有しているか、または鎖連結剤によって基Dもしくは別の基Aと連結している炭素原子が存在する。
【0029】
ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンから誘導される基Aの、本発明のマルチブロックコポリマー中における含量は広範囲で変わってよく、本発明のマルチブロックコポリマーの総重量を基準として、一般には10〜99重量%、好ましくは50〜90重量%である。
【0030】
選定されたポリマーから誘導される基Dの、本発明のマルチブロックコポリマー中における含量は、同様に広範囲で変わってよく、本発明のマルチブロックコポリマーの総重量を基準として、一般には1〜90重量%、好ましくは10〜50重量%である。
【0031】
ブロックAおよびDと並んでいる、本発明のマルチブロックコポリマーの残りの構造単位は、使用される鎖連結剤、および鎖連結反応のために使用されるホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの末端基-O-R1-OHから誘導され、そして適切な場合は、他の構造単位〔たとえば-O-R1-OH以外の末端基、たとえばアルコキシ基(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、もしくはブトキシ)またはエステル基(たとえば、ホルメートやアセテート)〕を含む。
【0032】
ポリオキシメチレン基A(“POM基”)は、一般には分岐していない線状ブロックであり、基Aの全体を基準として、一般には少なくとも50モル%の、好ましくは少なくとも80モル%の、そして特に少なくとも90モル%のオキシメチレン単位(-CH2-O-)を含有する。
【0033】
本発明のコポリマーにおけるPOM基Aの分子量は、広範囲で変わってよい。これらの基は一般に、式-(CH2-O-)x(式中、xは100〜10000であり、好ましくは300〜3000である)の反復構造単位を有する。
【0034】
本明細書で言う“ポリオキシメチレン基”は、ホルムアルデヒドのホモポリマーもしくはホルムアルデヒドの環状オリゴマー(たとえば、トリオキサンやテトラオキサン)から誘導される基だけでなく、コポリオキシメチレン基も包含する。
【0035】
コポリオキシメチレン基は、ホルムアルデヒドもしくはその環状オリゴマー(特にトリオキサン)、環状エーテル、アルデヒド(たとえばグリオキシル酸のエステル)、環状アセタール(適切な場合は、置換基を有してよい)、および/または線状のオリゴアセタールもしくはポリアセタールから誘導されるポリマー成分である。
【0036】
これらのホモポリオキシメチレン基またはコポリオキシメチレン基の作製は、それ自体が当業者に公知であり、文献中に説明されている。これらのポリマー基は一般に、ポリマー主鎖中に少なくとも50モル%の-CH2-O-反復構造単位を含有する。
【0037】
ホモポリマー基は一般に、適切な触媒の存在下でのホルムアルデヒドまたはトリオキサンの重合によって誘導される。
共成分(cocomponents)の例としては、エチレンオシド、プロピレン1,2-オキシド、ブチレン1,2-オキシド、ブチレン1,3-オキシド、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキセパン、環状エーテルとしての1,3,6-トリオキソカン、および/または線状のオリゴホルマル(oligoformals)もしくはポリホルマル(polyformals)(たとえば、ポリジオキソランやポリジオキソペン)などを挙げることができる。
【0038】
好ましいのは、式-(CH2-O-)xで示される反復構造単位(トリオキサンから誘導されるのが好ましい)を99.9〜90モル%、および上記コモノマーのうちの1種から誘導される反復構造単位を0.1〜10モル%有するポリオキシメチレン基が存在するようなコポリオキシメチレンAである。
【0039】
特に好ましいのは、ポリオキシメチレンブロックが、99.9〜90モル%の式-(CH2-O-)xの反復構造単位(トリオキサンから誘導されるのが好ましい)と、0.1〜10モル%の式-(CH2-CH2-O-)z(式中、zは1以上の整数である)の反復構造単位を有するようなコポリオキシメチレンAである。
【0040】
他の適切なPOM基Aは、たとえば、トリオキサンおよび上記環状エーテルのうちの1種と、第3のモノマー〔好ましくは式
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、Zは、化学結合、-O-、または-O-R3-O-であって、R3は、C2-C8アルキレンまたはC2-C8シクロアルキレンである)の二官能化合物〕との反応によって得られる反復構造単位である。
【0043】
このタイプの好ましいモノマーは、エチレンジグリシド;グリシジルエーテル;グリシジル化合物と、ホルムアルデヒド、ジオキサン、もしくはトリオキサンとで2:1のモル比で構成されるジエーテル;および、2モルのグリシジル化合物と2〜8個の炭素原子を有する1モルの脂肪族ジオールとで構成されるジエーテル(たとえば、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,3-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,3-シクロブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,2-プロパンジオールのジグリシジルエーテル、および1,4-シクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテル);等である。
【0044】
ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンAは実質的に線状であり、式-O-R1-OH(式中、R1は、前記にて定義したとおりである)の末端基を少なくとも50%、好ましくは60〜100%含有する。
【0045】
必要に応じて、ごく少量の枝分かれ剤を使用することができる。枝分かれ剤の量は一般に、POM基Aを調製するのに使用されるモノマーの総重量を基準として1重量%以下であり、好ましくは0.3重量%以下である。
【0046】
R1は、脂肪族もしくは脂環式のジオールHO-R1-OHから誘導される。
R1は、式-CnH2n-(式中、nは2〜6の整数である)の基であるのが好ましい。特に好ましい基R1は、-(CH2)4-、-(CH2-CH(CH3))-、および-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-(式中、xは1〜20の整数である)であり、極めて好ましいR1は-CH2-CH2-である。
【0047】
末端基-O-R1-OHは、POM出発化合物の調製時にジオールHO-R1-OHをポリアセタール形成モノマーに付加させること(このとき連鎖移動反応によって末端基-O-R1-OHが形成される)によって生成させることができる。これとは別に、-O-R1-O-単位を含有するコポリオキシメチレンを、溶解加水分解(solution hydrolysis)(たとえば、メタノール/水中にてトリエチルアミンの存在下で)によって、溶融加水分解(melting hydrolysis)によって、または押出機中での熱分解によって分解させて、-O-R1-OH末端基を得ることもできる。
【0048】
本発明によれば、構造R4-A-O-R1-OH(式中、Aは前記にて定義したとおりであり、R4は末端基であって、好ましくは-O-R1-OHである)のホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレン出発物質と、構造HX-D-XH(式中、DとXは、前記にて定義したとおりである)のポリマーとを、-X-CO-(R2-CO-)m-X-という構造成分を形成する選定された鎖連結剤によって連結させる。
【0049】
R4は、ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの所望するいかなる末端基であってもよい。これらの基の例としては、-OH、-O-R5、-O-CO-R6、または特に-O-R1-OHの基があり、このときR1は、前記にて定義したとおりであり、R5は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、そしてR6は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基である。
【0050】
本発明のマルチブロックコポリマーは、基Aのほかに、選定された鎖連結剤によって基Aと結合した基Dを含む。
基Dは、前記にて定義の、選定されたヒドロキシ末端ポリマー、メルカプタン末端ポリマー、またはアミノ末端ポリマーから誘導される。ポリマー出発物質は一般に、1000g/モルより大きいモル質量(数平均)を有する。
【0051】
これらのポリマーは種々の化学種であってよく、たとえば、炭化水素基またはポリシロキサン基であってもよく、したがってこれらの基は、主鎖および/または側鎖(存在する場合)中にエーテル基もしくはエステル基を含有してもよく、したがってたとえばポリアルキレンオキシド基であってもよい。
【0052】
これらのポリマーは、未置換であっても、あるいはさらなる基で置換されていてもよい。これらの置換基は不活性(すなわち、本発明のブロックコポリマーの調製条件下において非反応性)であってもよいし、あるいは反応性であって、POMブロックとのさらなる鎖連結を形成するための出発点として機能してもよい。後者の場合、生成物は、分岐/架橋した本発明のマルチブロックコポリマーである。
【0053】
不活性置換基の例は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子である。
反応性置換基のヒドロキシル基である。
【0054】
ブロックDを形成させるのに使用できるポリマーは、ポリアルキレングリコール(たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、もしくはポリテトラメチレングリコール);遊離のヒドロキシル基を有するポリビニルエーテル(たとえば、部分加水分解ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、もしくはポリビニルイソブチルエーテル);アルケンとの部分加水分解ポリビニルエーテルコポリマー(たとえば、ポリビニルメチルエーテル-エチレンコポリマー);部分加水分解ポリビニルエステル(たとえばポリビニルアセテート);アルケンとの部分加水分解ポリビニルエステルコポリマー(たとえばポリビニルアセテート-エチレンコポリマー);ポリビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール-アルケンコポリマー;末端基がヒドロキシ基であるポリビニル芳香族化合物;末端基がヒドロキシ基であるポリアクリレート;末端基がヒドロキシ基であるポリメタクリレート;末端基がヒドロキシ基であって、オキシメチレン基をもたないか、または最大で50モル%のオキシメチレン基を有するポリアセタール;末端基がヒドロキシ基であるポリカーボネート;末端基がヒドロキシ基である脂肪族ポリエステル、脂肪族-芳香族ポリエステル、もしくは完全芳香族ポリエステル(たとえば、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレート);末端基がヒドロキシ基であるポリエーテルエステルエラストマー(PEE);末端基がアミノ基であるポリアミド;末端基がアミノ基であるポリイミン;末端基がヒドロキシ基またはアミノ基であるポリエーテルアミドエラストマー(PEA);末端基がヒドロキシ基であるポリアルカジエンもしくはそれらの水素化誘導体(たとえば、ポリブタジエンや水素化ポリブタジエン);末端基がヒドロキシ基であるポリウレアとポリウレタン;またはポリシロキサン(たとえばポリジアルキルシロキサン)、特にポリジメチルシロキサン;である。これらのヒドロキシ末端ポリマーの代わりに、対応するメルカプタン末端ポリマーまたはアミノ末端ポリマーを使用することもできる。
【0055】
ブロックDを形成させるための、さらに他の好ましいポリマー群は、末端基がヒドロキシ基であるトリブロックコポリマー基-PAO-B-PAO-によってもたらされる。Bは上記定義のうちの1つであり(すなわち、上記のポリマーから誘導され)、PAOはポリアルキレンオキシド基であって、好ましくはポリテトラメチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、または特にポリエチレングリコール基である。
【0056】
これらのトリブロックコポリマーがWO-A-01/0474に開示されている。本発明の目的に適うよう、使用される成分Dは、モル質量が1000g/モルを超えるこれらのトリブロックコポリマーを含んでいる。
【0057】
Xは-O-であるのが好ましく、このことは、ブロックDがヒドロキシ末端ポリマーから誘導されるのが好ましいということを意味している。
好ましいブロックDは、ヒドロキシ末端基を有していて、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、およびポリウレタンからなる群から選択されるポリマーから誘導されるか、あるいは両端がポリ(アルキレンオキシド)ブロックに連結されている非水素化もしくは水素化ポリアルカジエンから誘導されるトリブロックコポリマーであるポリマーから誘導される。
【0058】
特に好ましいブロックDは、ポリアルキレンオキシドから誘導されるブロックである。ポリアルキレンオキシドの例は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらの構造単位をランダム配列にて、もしくはブロックの形態にて含有するコポリマー(たとえば、PEO-PPO-PEOタイプのブロッコポリマー)である。
【0059】
他の特に好ましいブロックDは、ポリエステルから誘導されるブロックである。ポリエステルの例は、脂肪族ポリエステル(たとえば、ポリエチレンアジペートやポリエチレンセバケート)、またはポリラクトン(たとえばポリ-ε-カプロラクトン)である。
【0060】
さらに他の特に好ましいブロックDは、ビニル芳香族ポリマーから誘導されるブロックである。ビニル芳香族ポリマーの1つの例は、末端基がヒドロキシ基であるポリスチレンである。
【0061】
さらに他の特に好ましいブロックDは、末端基が、アミノ基もしくはメルカプタン基で、または特にヒドロキシ基で官能化されているポリアクリレートまたはポリメタクリレートから誘導されるブロックである。
【0062】
さらに他の特に好ましいブロックDは、ポリアミドから誘導されるブロックである。ポリアミドの例は、脂肪族ポリアミド(たとえば、ポリヘキサメチレンアジパミドやポリヘキサメチレンセバカミド)、またはポリラクタム(たとえばポリ-ε-カプロラクタム)である。さらに他の特に好ましいブロックDは、これらのポリアミドの水素化によって得られる対応したポリイミンから誘導されるブロックである。
【0063】
特に好ましいPAO-B-PAOトリブロックコポリマーはPEO-Pol-PEOタイプの基であり、このときPolは、非水素化もしくは水素化ポリブタジエン、非水素化もしくは水素化ポリイソプレン、ポリイソブチレン、またはポリジメチルシロキサンである。
【0064】
特定の理論で拘束されるつもりはないが、これらのオリゴマーもしくはポリマーは、鎖連結反応によってPOMブロックに連結されていると考えられる。
本発明によれば、ブロックAとDが、-R1-O-CO-(R2-CO-)m-X-という構造成分を形成する選定された連鎖延長剤によって連結されている。
【0065】
ブロックAとDの連結(“AD連結”)の代わりに、これらブロックの他のいかなる所望の組み合わせも形成させることができる。たとえば、AAD、ADD、ADAD、AAAD、ADAA、ADDA、AADD、または他の組み合わせがあり、AD連結またはAA連結の場合は、-R1-O-CO-(R2-CO-)m-X-という構造成分によって互いにカップリングされており、DD連結の場合は、-X-CO-(R2-CO-)m-X-という構造成分によって互いにカップリングされている。
【0066】
さらに、反応混合物中には、ブロックコポリマーのほかに、未反応の成分(たとえば、HX-D-XHおよび/またはR4-A-O-R1-OH)が存在することもある。
鎖連結剤は、炭酸の誘導体(たとえば炭酸のエステル)、活性ウレア誘導体、ジカルボン酸のエステルもしくは半エステル、またはテトラカルボン酸のジ無水物である。鎖連結剤を選定する上で考慮すべきファクターは、鎖連結剤が、プロセシングまたは反応の条件下で反応混合物に対して少なくとも幾らかの溶解性を有すること、したがって鎖連結反応に利用できることである。本明細書においては、“充分に溶解性がある(sufficiently soluble)”とは、少なくとも1ミリモル/kgの溶解性を有することを意味している。
【0067】
好ましいのは芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸のジエステル(特に炭酸のジエステル)であり、特に好ましいのはジアリールエステルである。
炭酸ジアリールエステルの好ましい例の1つは炭酸ジフェニルである。
【0068】
同様に、好ましいのはシュウ酸のジエステル(特に、ジフェニルエステルやジメチルエステル)である。
芳香族ジカルボン酸のジエステルの好ましい例は、イソフタル酸またはテレフタル酸のジフェニルエステルもしくはジメチルエステルである。
【0069】
脂肪族ジカルボン酸のジエステルの好ましい例は、アジピン酸またはセバシン酸のジフェニルエステルもしくはジメチルエステルである。
テトラカルボン酸のジ無水物の1つの好ましい例はオキシビス(フタル酸無水物)である。
【0070】
活性ウレア誘導体の1つの好ましい例はカルボニルN,N’-ビス(カプロラクタメート)である。
好ましいのは、R1が-CH2-CH2-である場合のマルチブロッコポリマーである。
【0071】
同様に、好ましいのは、mが0である場合のマルチブロッコポリマーである。
同様に、好ましいのは、mが1であって、R2が、フェニレン基、式-CrH2r-(式中、rは1〜10の整数である)の基、または化学結合である場合のマルチブロッコポリマーである。
【0072】
ブロックDを形成させるための好ましい成分は、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、特にヒドロキシ末端ポリアルキレングリコール(特にポリエチレングリコール)、そしてさらに、ポリエチレンオキシド単位とポリプロピレンオキシド単位を有するブロックコポリマーもしくはランダムコポリマーである。
【0073】
特に好ましいのは、Dが、必要に応じてアルケン(特に、エチレンやプロピレン)から誘導される共構造単位を含んでもよい基-(CH2-CHR7)q-〔式中、R7は、基-O-R8または-O-CO-R8の基であり、R8は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基(特に、メチル基またはエチル基)であり、qは2〜5000の整数であり、基R7の一部が、さらなるブロックAと-O-結合していてもよい〕である場合のマルチブロックコポリマーである。
【0074】
好ましいのは、Dが基-(CsH2s-O-)t〔式中、sは2〜12の整数であり、tは6〜25000(好ましくは20〜1000)の整数である〕である場合のマルチブロックコポリマーである。
さらに、好ましいのは、Dがヒドロキシ末端ポリエステル(好ましくは、脂肪族ポリエステルまたは脂肪族/脂環式ポリエステル)から誘導される場合のマルチブロックコポリマーである。これらのポリエステルの例としては、アルコール成分としてのエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、もしくはシクロヘキサンジメタノールと、酸成分としてのアジピン酸もしくはセバシン酸とから誘導されるポリエステル、あるいはポリラクトン(たとえばポリ-ε-カプロラクトン)から誘導されるポリエステルがある。
【0075】
本発明のマルチブロックコポリマーの製造は、
選定された末端基を有するホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンと選定されたポリマーとを、選定された鎖連結剤の存在下にて、選定された触媒を使用して反応させて、マルチブロックコポリマーを得ることができる、という発見に基づいている。
【0076】
本発明はさらに、式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンと、式IIIのホモポリマーもしくはコポリマーと、式IVの少なくとも1種の鎖連結剤
【0077】
【化3】

【0078】
とを反応させることを含む、マルチブロックコポリマーの製造法を提供する。上記式において、A、D、X、R1、R2、R4、およびmは、前記にて定義したとおりであり、R9とR10は、互いに独立的に、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、もしくは窒素原子を介して結合したラクタム基であるか、またはm=1である場合は、R9とR10が、基R2の他のカルボン酸基と一緒になって無水物基もしくはイミド基を形成する。
【0079】
鎖連結反応は通常、式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの末端基-O-R1-OHおよび/または式IIIのホモポリマーもしくはコポリマーの末端基と、式IVの鎖連結剤との間の共有結合の形成を促進する触媒の存在下で行なわれる。これらの鎖連結剤は、ルイス酸またはルイス塩基である。
【0080】
本発明にしたがって使用できる代表的な触媒は、エステル交換反応を触媒するか、あるいはエステル基の形成を触媒する化合物である。
本発明によれば、これらの触媒の使用量は、反応混合物の重量を基準として0.1ppm〜10000ppm(特に1ppm〜1000ppm)である。
【0081】
好適なルイス酸触媒の例としては、LiX、Sb2O3、GeO2、BX3、MgX2、BiX3、SnX4、SnX5、FeX3、GeX4、GaX3、HgX2、ZnX2、AlX3、PX3、TiX4、MnX2、ZrX4、[R4N]+qAq-、または[R4P]+qAq-などがあり、このときXは、ハロゲン原子(すなわち、I、Br、Cl、F)および/または-O-R基もしくは-R基であってよく;Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり;qは1〜3の整数であり;Aは、q価アニオン(たとえば、ハロゲン化物、硫酸塩、カルボン酸塩、スルホニウム塩、またはチタニル化合物)である。
【0082】
好適なルイス塩基触媒の例は、カルボン酸の金属塩、好ましくはアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩(特に、lithium versatate等のリチウム塩);金属とアセチルアセトンとの錯体、好ましくはアルカリ金属錯体とアルカリ土類金属錯体(特にリチウムアセチルアセトナート);金属アルコキシドもしくは金属フェノラート、好ましくはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドもしくはフェノラート;第三アミン、特にトリアルキルアミンや環状第三アミン〔たとえば、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、グアニジン、もしくはモルホリン〕;または錫化合物〔たとえば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジブチレート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジオクタノエート、もしくはエチルヘキサン酸第一錫〕;である。
【0083】
種々の触媒の混合物も使用することができる。
リチウムアセチルアセトナート、ナトリウムフェノラート、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、塩化リチウム、またはナトリウムアセチルアセトナートを使用するのが特に好ましい。
【0084】
式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンは、それ自体公知の方法によって製造することができる。
このためには、-CH2-O-単位を形成するモノマーもしくは種々のモノマーの混合物を、従来の触媒を使用して(必要に応じて、溶媒および/または調節剤と共に)、−78℃〜300℃の温度にて、大気圧または最大500バールの圧力(たとえば2〜500バールの圧力)で(共)重合させる。別の可能な方法は、ホルムアルデヒドのアニオン重合による方法であり、この場合、O-R1-OH末端基は、エチレンオキシドとの反応によって導入される。
【0085】
-CH2-O-単位を形成するモノマーの例は、前記にて挙げてある。
バルク重合においては、重合混合物は液体であり、大気圧での重合の場合は、重合反応の過程において重合混合物が固化する。しかしながらこれとは別に、不活性溶媒中で操作を行うこともできる。これらの不活性溶媒の例としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、または環状エーテル(たとえば、THFや1,4-ジオキサン)などがある。
【0086】
式IIのポリマーの分子量は、POMの製造においてそれ自体公知の調節剤を使用することによって、必要に応じて調節することができる。
調節剤の例は、式HO-R1-OH(式中、R1は前記にて定義したとおりである)の二価アルコーとごく少量の水である。これらのアルコールまたは水は、連鎖移動剤として機能することができる。調節剤の使用量は、一般には最大で50000ppmであり、好ましくは100〜3000ppmである。
【0087】
使用できる触媒もしくは開始剤は、ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの製造において一般的に使用されているカチオン性開始剤である。これらのカチオン性開始剤の例としては、フッ化アルキルスルホン酸、塩化アルキルスルホン酸、フッ化アリールスルホン酸、および塩化アリールスルホン酸等のプロトン酸(たとえば、トリフルオロメタンスルホン酸やトリフルオロメタンスルホン酸無水物);ルイス酸(たとえば、四塩化第二スズ、五フッ化ヒ素、五フッ化リン、および三フッ化ホウ素);およびルイス酸と塩タイプの化合物との錯体(たとえば、三フッ化ホウ素エーテラートやトリフェニルメチルヘキサフルオロホスファート);などがある。
【0088】
触媒もしくは開始剤の使用量は、モノマー(混合物)の重量を基準として、一般には0.01〜1000ppmであり、好ましくは0.03〜100ppmである。
本発明によれば、重合ゾーンの圧力と温度は、モノマーとポリマーが、均一に分配されるか、あるいは微細分散の状態で分配されるように(好ましくは、互いに完全に溶解するか、あるいは少なくとも、モノマーの導入を可能にする分散液を形成する程度に微細分散されるように)選定しなければならない。これは、反応圧力と反応温度に関して前述した値が当てはまる。
【0089】
好ましい重合温度は、大気圧の場合であっても、あるいは5〜50バールの圧力の場合であっても70〜200℃である。
重合時間は広範囲で変わってよく、一般には0.1〜20分の範囲である。重合時間は0.4〜5分であるのが好ましい。
【0090】
重合反応は、ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの製造において使用されている反応器中で行うことができる。代表的な装置は、スタティックミキサーが取り付けられていて、温度の制御が可能であって、そして圧密設計がなされている管型反応器である。これとは別に、反応は、混練機または押出機中で行うこともできる。
【0091】
重合反応後の重合混合物のさらなる処理は、従来のやり方で行われる。一般には、重合反応に次いで、失活、揮発分除去、および混合物の配合を行う。
失活は、反応混合物に不活性化剤を加えることによって行われる。不活性化剤の例としては、アンモニア、アミン、アルコール、塩基性反応を行う塩(salts having basic reaction)、または水などがある。
【0092】
-O-R1-OH末端基を導入するためには、-O-R1-O-基を含有するコポリオキシメチレンが使用され、このときこれらの末端基は加水分解によって生成される。加水分解は一般に、アルカリ性環境での上記不活性化にて、あるいは-O-R1-O-単位が生じるまで、末端-(CH2-O)-単位を制御された形で熱分解することによって行われる。
【0093】
しかしながら、-O-R1-OH末端基は、式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの製造が完了する前に、ポリアセタール形成モノマーに極めて少量のジオールHO-R1-OHを加えることによって生成させることができ、したがって-O-R1-OH末端基は、連鎖移動と、鎖の内部におけるポリアセタール形成モノマー形から誘導される反復構造単位によって生成される。
【0094】
式II、III、およびIVの化合物は、所望するいかなる反応器でも(たとえば、攪拌タンク、スタティックミキサー、または特に押出機や混練機において)反応させることができる。
【0095】
このためには、式II、III、およびIVの化合物を、それぞれの触媒と共に別々に、もしくは混合物の形で反応器に導入するのが好ましく、ガスの流れ中にて、および/または減圧状態にて互いに反応させる。
【0096】
ガス流れ中および/または減圧状態での処理によって反応が促進され、これに対応して反応時間が短くなる。
使用できるガスは、反応混合物を分解しないか、あるいはあまり分解しないあらゆるガスである。これらのガスの例としては、空気、または好ましくは、窒素や希ガス等の不活性ガスがある。
【0097】
鎖連結反応のための好ましい触媒は、アセチルアセトナートのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩(特に、リチウムアセチルアセトナートやナトリウムアセチルアセトナート)、アルコキシドもしくはフェノラートのアルカリ金属塩(特に、ナトリウムフェノラート、ナトリウムメトキシド、またはリチウムメトキシド)、および/またはハロゲン化リチウム(特に塩化リチウム)である。
【0098】
反応温度は、一般には60℃以上であり、好ましくは100〜240℃、特に150〜220℃である。
反応時間は、一般には0.5〜60分である。
【0099】
式II、III、およびIVの化合物の使用量は広範囲で変わってよい。式IVの鎖連結剤1モル当たりの、式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの使用量、および式IIIの末端官能化ホモポリマーもしくはコポリマーHX-D-XHの使用量は一般に、鎖連結プロセスのスタート時に存在する末端基-O-R1-OHと-XHの含量が1/4モル〜4モルの範囲であるような量である。
【0100】
鎖連結反応のスタート時において存在する鎖連結剤と末端基の全て(-O-R1-OHと式IIIのポリマーの-XH)とのモル比は1:1〜1:2である。
本発明の方法の1つの実施態様においては、反応は、式II、III、およびIVの化合物、ならびに必要に応じて触媒、ならびに必要に応じて他の添加剤を混合することによって、そして混合物をガス流れ中および/または減圧状態にて、所望の分子量増大が達成されるような時間にわたって熱処理することによって行われる。ここで選定される温度は、反応混合物が液体となるような温度、または反応混合物中に液相が形成されるような温度である。
【0101】
本発明の方法の他の実施態様においては、式II、III、およびIVの化合物と、必要に応じて触媒との、そして必要に応じて他の添加剤との混合物から、成形構造物が製造される。混合物を、ガス流れ中および/または減圧状態にて、所望の分子量増大が達成されるような時間にわたって加熱処理する。ここで選定される温度は、反応混合物が固体となるような温度である。
【0102】
こうした固相反応により、従来の成形装置(たとえば押出機)を使用して、かなり高い分子量を有していて、処理が不可能であるか又は辛うじて処理可能なマルチブロックコポリマーからの成形品の製造が可能となる。
【0103】
当然ながら、式II、III、およびIVの化合物を含む粒状形態の組成物を処理するのにも、この固相反応を使用することができる。
式IIとIIIの出発物質と比較したときの、式Iの構造単位を含む本発明のマルチブロックコポリマーの特徴は増大した分子量であり、これはメルトインデックスの低下によって認識することができる。
【0104】
式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンのメルトインデックス(MVR値,190℃/2.16kg,ISO1133)は、一般には2cm3/10分より大きく、好ましくは5〜200cm3/10分(特に24〜70cm3/10分)である。式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンの融点は、一般には100〜175℃の範囲(10K/分の加熱速度にてDSCを使用して測定)である。
【0105】
本発明のマルチブロックコポリマーは、あらゆるタイプの成形品(特に、繊維、フィルム、パイプ、ロッド、または異形材)の製造に対しても使用することができる。
本発明のマルチブロックコポリマーは、ブロー成形、射出成形、または押出によって加工することができ、従来からの成形品に対して分子量の増大を達成することができる。
【0106】
したがって本発明はさらに、上記の目的を達成するためにマルチブロックコポリマーを使用することを提供する。
本発明のマルチブロックコポリマー中の共成分は、一般には製品の耐衝撃性に有利な影響を及ぼすので、他の耐衝撃性改良剤(たとえばポリウレタンエラストマー)を使用することが絶対に必要というわけではない。しかしながら、意図する用途の機能を付与すべく、特定の場合にこれらの成分を加えることができる。実際、ミキシングすることによって、これらの成分を従来のホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレン中に組み込むことの、組み込みやすさが増すことがある。なぜなら、マルチブロックコポリマーは、相溶化剤として作用することができるからである。
【0107】
本発明はさらに、本発明のマルチブロックコポリマーを、ホモポリオキシメチレンおよび/またはコポリオキシメチレンを含む組成物中の相溶化剤として使用すること;本発明のマルチブロックコポリマーを耐衝撃性改良剤として使用すること;ならびにホモポリオキシメチレンおよび/またはコポリオキシメチレンと本発明のマルチブロックコポリマーとを含む組成物;を提供する。
【0108】
本発明の組成物またはマルチブロックコポリマーは、それ自体公知の他の添加剤を含んでよく、これらの添加剤は、ポリマー前駆体もしくはマルチブロックコポリマーの調製プロセスが完了する前に加えることもできるし、あるいはポリマー前駆体もしくはマルチブロックコポリマーの調製プロセスが完了した後に加えることもできる。
【0109】
添加剤の例としては、加工助剤(たとえば酸化防止剤)、酸掃去剤、ホルムアルデヒド掃去剤、紫外線安定剤、熱安定剤、接着促進剤、滑剤、核形成剤、離型剤、充填剤、強化剤、または帯電防止剤;成形コンパウンドに所望の特性を付与する添加剤(たとえば、染料および/または顔料、および/または耐衝撃性改良剤、および/または導電性を付与する添加剤);およびこれらの添加剤の混合物;がある(ここに挙げた例に限定されない)。
【0110】
本発明のマルチブロックコポリマーを加工する上での可能な方法は、細かい粒子(たとえば、微粉砕成分や粒状成分)をミキシングし、引き続き熱可塑的処理(thermoplastic processing)を行うという方法、あるいは成分を、この目的に適した加熱可能なミキシング集成装置中でミキシングするという方法である。好適なミキシング集成装置とミキシング方法が、たとえば「Saechtling,Kunststoff-Taschenbuch [Plastic handbook],Hanser Verlag,第27版,1998,pp.202-217」(本文献を参照により本明細書に含める)に記載されている。
【0111】
有利なプロセシング温度は、一般には180〜230℃であり、特に190〜210℃である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されることはない。特に明記しない限り、本明細書に記載の量は常に重量部である。
【0112】
使用するPOM粉末の特性決定
下記の実験に使用するPOM粉末の末端基分析(ミリモル/kg)は、重水素ヘキサフルオロイソプロパノール中にて1H-NMR分光法によって測定した。
【0113】
【表1】

【0114】
使用する鎖連結剤と触媒の特性決定
鎖連結剤と触媒に対する物理的データと略語
【0115】
【表2】

【0116】
実施例K0-K16(混練実験)
POMマルチブロックコポリマーの連鎖延長のための、ブラベンダー・ニーダーによる混練実験
出発物質(POM粉末、安定剤、鎖連結剤、ポリマー共成分HX-D-XH、および触媒:合計50g)をプラスチック袋中でプレミックスした。ブラベンダー・プラスチックコーダー(Brabender PlasticCorder)の混練チャンバーのバレル温度を200℃に設定し、混練チャンバー上に供給ホッパー(ブラベンダー・ニーダー(Brabender kneader)の装備品)を配置した。バレルの温度が190℃に達したら直ちに、ニーダーを作動(40rpm)させながら粉末混合物(合計50g)をホッパーに装入し、挿入された濾過器(ウェッジ形ラム)を介して、5kgの重量を加えて混練チャンバー中に注入した。混合物が溶融し始め、溶融プロセスが終わったら(短時間にわたってトルクが減少する)直ちに供給ホッパーを取り外し、その場所に、フラッシングガス入り口と排ガス管とを備えたカバーを重ねた。次いでトルクの記録を開始し、粉末混合物を投入してから合計60分後に記録を止めた。混練チャンバーを開き、反応混合物を取り出して、さらなる検査と特性決定を行った。
【0117】
下記の表1aと1bには、使用した配合処方、および1時間混練した後の特性決定の結果が記載してある。
【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
実施例E0〜E3(POMブロックコポリマーの製造に対する押出実験)
これらの実験は、ベルストルフ(Berstorff)ZE25二軸スクリュー押出機を使用して行った。MD8バキュウ・ブランド(Vacuu brand)の膜ポンプを真空ドーム(vacuum dome)に取り付けた。出発物質(POM粉末、ポリマーD、安定剤、鎖連結剤、および触媒)をディオスナ(Diosna)R10A粉末ミキサー中でプレミックスし、K-トロン・ソダー(K-Tron Soder)S210フィーダーによって押出機の供給ゾーン中に量り込んだ。
【0121】
下記の表2a、2b、および2cは、押出実験に対する配合処方とパラメーター、および得られた物質に対する特性決定結果を示している。
【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔式中、
Aは、ホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンから誘導される基であり;
R1は、少なくとも2つの炭素原子を有するアルキレン基、またはシクロアルキレン基であり;
R2は、炭素-炭素直接結合であるか、あるいはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、もしくはアラルキレン基であり;
Xは、-O、-S-、または-NH-から選択され;
Dは、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエーテルとアルケンとのコポリマー、ポリビニルエステル、ポリビニルエステルとアルケンとのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-アルケンコポリマー、ポリビニル芳香族化合物、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、0〜50モル%のオキシメチレン単位を有するポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミン、ポリエーテルエステルエラストマー(PEE)、ポリエーテルアミドエラストマー(PEA)、必要に応じて水素化されていてもよいポリアルカジエン、ポリウレタン、ポリウレア、もしくはポリシロキサンから誘導されるヒドロキシ末端ポリマー、メルカプタン末端ポリマー、またはアミノ末端ポリマーの基である二価の基Bであるか、またはヒドロキシ末端のトリブロックコポリマー基-PAO-B-PAO-(式中、Bは、上記意味のうちの1つであり、PAOはポリアルキレンオキシド基である)であり;そして
mは0または1である〕で示される構造単位を有するマルチブロックコポリマー。
【請求項2】
mが0である、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項3】
R1が式-CnH2n-の基であって、nが2〜6の整数である、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項4】
R1が-CH2-CH2-である、請求項3に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項5】
ポリオキシメチレン基Aが、式-(CH2-O-)x(式中、xは100〜10000の整数である)の反復構造単位を99.9〜90モル%、ならびに、エチレンオキシド、プロピレン1,2-オキシド、ブチレン1,2-オキシド、ブチレン1,3-オキシド、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキセパン、1,3,6-トリオキソカン、および/または線状のオリゴアセタールもしくはポリアセタール、および/またはアルデヒド、および/または環状アセタールから誘導される反復構造単位を0.1〜10モル%有する、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項6】
ポリオキシメチレン基Aが、式-(CH2-O-)x(式中、xは100〜10000の整数である)の反復構造単位を99.9〜90モル%、および式-(CH2-CH2-O-)z(式中、zは少なくとも1の整数である)の反復構造単位を0.1〜10モル%有する、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項7】
Xが-O-である、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項8】
Dが、ポリエーテル、ポリアルカジエン、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリシロキサン、ポリエーテルアミド、およびポリウレタンからなる群から選択されるヒドロキシ末端ポリマーの基であるか、あるいは両端がポリ(アルキレンオキシド)ブロックに連結した非水素化ポリアルカジエンまたは水素化ポリアルカジエンから誘導されるトリブロックコポリマーの基である、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項9】
Dが、ヒドロキシ末端の非水素化ポリブタジエンまたは水素化ポリブタジエンの基であるか、あるいはヒドロキシ末端ポリアルキレングリコールの基である、請求項10に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項10】
Dが基-(CrH2r-O-)oであって、rは2〜12の整数であり、oは6〜25000の整数であって、好ましくは20〜1000であり、rは、前記定義の範囲内での反復構造単位内で種々変わってよく、したがって種々の反復構造単位が、ランダムな配列にて、あるいはブロックとして存在する、請求項10に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項11】
Dが基-(CH2-CHR7)q-であって、必要に応じて、アルケンから、特にエチレンもしくはプロピレンから誘導される共構造単位を含み、R7が基-O-R8もしくは基-O-CO-R8であり、R8が、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であって、特にメチル基もしくはエチル基であり、qが2〜5000の整数であり、基R7の一部がさらなるブロックAに-O-結合していてもよい、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項12】
Dが、ヒドロキシ末端脂肪族ポリエステル、ヒドロキシ末端脂肪族/脂環式ポリエステル、またはヒドロキシ末端芳香族ポリエステルから誘導される、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項13】
式-X-CO-(R2-CO-)m-X-で示される構造成分が、炭酸の誘導体、特に炭酸のエステルからなる群から選択される鎖連結剤;活性ウレア誘導体;ジカルボン酸のエステルもしくは半エステル;テトラカルボン酸のジ無水物もしくはジイミド;またはこれら化合物の2種以上の混合物;から誘導される、請求項1に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項14】
式-X-CO-(R2-CO-)m-X-で示される構造成分が、炭酸のジエステル、特に炭酸ジメチルまたは炭酸ジフェニルから誘導される、請求項14に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項15】
式-X-CO-(R2-CO-)m-X-で示される構造成分が、シュウ酸のジエステル、芳香族ジカルボン酸のジエステル、および/または脂肪族ジカルボン酸のジエステルから誘導される、請求項14に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項16】
式-X-CO-(R2-CO-)m-X-で示される構造成分が、シュウ酸のジメチルエステルもしくはジフェニルエステル、イソフタル酸のジメチルエステルもしくはジフェニルエステル、フタル酸のジメチルエステルもしくはジフェニルエステル、アジピン酸のジメチルエステルもしくはジフェニルエステル、またはセバシン酸のジメチルエステルもしくはジフェニルエステルから誘導される、請求項16に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項17】
式-X-CO-(R2-CO-)m-X-で示される構造成分がオキシビス(フタル酸無水物)から誘導される、請求項14に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項18】
式-X-CO-(R2-CO-)m-X-で示される構造成分がカルボニルN,N’-ビス(カプロラクタメート)から誘導される、請求項14に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項19】
式IIのホモポリオキシメチレンもしくはコポリオキシメチレンと、式IIIのホモポリマーもしくはコポリマーと、式IVの少なくとも1種の鎖連結剤
【化2】

〔式中、
A、R1、R2、X、D、およびmは、請求項1において定義した意味のうちの1つであり;
R4は、式-OH、-O-R5、-O-CO-R6、または特に-O-R1-OH(式中、R1は、請求項1において定義した意味のうちの1つである)の基であり;
R5は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり;
R6は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり;そして
R9とR10は、互いに独立的に、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、もしくは窒素原子を介して結合したラクタム基であるか、またはm=1である場合は、R9および/またはR10が、基R2の他のカルボン酸基と一緒になって無水物基もしくはイミド基を形成する〕とを反応させることを含む、マルチブロックコポリマーの製造法。
【請求項20】
前記反応が、ルイス酸またはルイス塩基である触媒の存在下で行なわれる、請求項20に記載の製造法。
【請求項21】
使用される前記触媒が、アセチルアセトネートのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、特にリチウムアセチルアセトネートもしくはナトリウムアセチルアセトネート;および/またはアルカリ金属アルコキシドもしくはアルカリ金属フェノキシド、特にナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、もしくはリチウムメトキシド;および/またはハロゲン化リチウム、特に塩化リチウム;を含む、請求項20に記載の製造法。
【請求項22】
前記反応が、100〜240℃の温度で、好ましくは150〜220℃の温度で行われ、反応時間が0.5〜60分である、請求項20に記載の製造法。
【請求項23】
式IVの鎖連結剤1モル当たりの、式IIと式IIIの化合物の使用量が、鎖連結プロセスのスタート時に存在する末端基-O-R1-OHと-XHの全体の含量が1/4モル〜4モルの範囲となるような量である、請求項20に記載の製造法。
【請求項24】
前記反応が、反応混合物が液体となるような温度にて、または反応混合物中に液相が形成されるような温度にて行われる、請求項20に記載の製造法。
【請求項25】
式II、III、およびIVの化合物の混合物に、必要に応じて触媒を加え、そして必要に応じて他の添加剤を加え、こうした混合物から成形構造物が作製され、ガス流れ中にて、および/または減圧にて、所望の分子量増大が達成されるような時間にわたって加熱され、このとき選定される温度は、反応混合物が固体となるような温度である、請求項20に記載の製造法。
【請求項26】
請求項1に記載のマルチブロックコポリマーの、ホモポリオキシメチレンおよび/またはコポリオキシメチレンを含んだ組成物中における相溶化剤としての使用。
【請求項27】
請求項1に記載のマルチブロックコポリマーの、ホモポリオキシメチレンおよび/またはコポリオキシメチレンを含んだ組成物中における耐衝撃性改良剤としての使用。
【請求項28】
ホモポリオキシメチレンおよび/またはコポリオキシメチレンと請求項1に記載のマルチブロックコポリマーとを含む組成物。
【請求項29】
請求項1に記載のマルチブロックコポリマーの、成形品を製造するための、特に繊維、フィルム、パイプ、ロッド、または異形材を製造するための使用。

【公表番号】特表2007−504332(P2007−504332A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525714(P2006−525714)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009810
【国際公開番号】WO2005/023897
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】