説明

ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート

【課題】 本発明は、吸音性及びリサイクル性に優れていると共に、低コストで製造することのできるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートを提供することにある。
【解決手段】 本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに熱分解型発泡剤からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させることにより得られるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートであって、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08sec-1の条件下で測定したときの、測定を開始してから5秒後の一軸伸長粘度η1が1×106 poise以上、破断ピーク粘度η2が1×108 poise以下で且つ一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)が3〜100であることを満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音性に優れたポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、様々な製品にリサイクル性が要求されるようになっている。なかでも、建築部材や自動車用部材のような大型部材のリサイクル性については、そのリサイクルによって、多量の材料が再生利用できるため、非常に重要視されている。
【0003】
従来、自動車用内装材などに用いられる吸音材としては、連続気泡のウレタンフォーム、ガラスウール及びロックウールなどが広く用いられてきた。しかしながら、これらの吸音材は必ずしもリサイクル性が良好であるとは言えず、使用後に廃棄処分されることが多かった。そこで、熱可塑性樹脂などからなるリサイクル性に優れた吸音材が求められていた。
【0004】
このようなリサイクル性に優れた吸音材としては、引用文献1に熱可塑性樹脂製の基材と、該基材表面に積層され該基材と同材質の繊維からなる繊維集積体とよりなり、該繊維集積体は該基材の表面形状に沿う形状に賦型された不織布であり、該繊維集積体と該基材とは部分的に溶着されて一体化し、溶着部が凹状となっていることを特徴とする吸音部材が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記吸音部材は十分な吸音性能を得るためには相当な厚さが必要であるため、薄い厚さで高い吸音性能が要求される自動車の吸音材としては、十分な性能を有しているとは言えなかった。
【0006】
一方、ポリエチレン発泡シートのような柔軟な発泡シートを上下一対のロールの対向面間に通過させることによって発泡シートをその厚さ方向に圧縮し、発泡シートの気泡を連続気泡化させて吸音性の高い吸音材とすることも可能であるが、広幅の発泡シートを厚さ方向に均一に圧縮するためには、ロールの剛性を相当高くする必要があるので、製造コストがかかり過ぎてしまうという問題があった。
【0007】
又、ポリプロピレン系樹脂などの耐熱性の高い熱可塑性樹脂からなる発泡シートを上記上下一対のロールによって連続気泡化しようとしても、気泡壁が座屈するだけで、独立気泡を連続気泡化することができないという問題も生じていた。
【0008】
【特許文献1】特許第3669537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、吸音性及びリサイクル性に優れていると共に、低コストで製造することのできるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに熱分解型発泡剤からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させることにより得られるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートであって、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08sec-1の条件下で測定したときの、測定を開始してから5秒後の一軸伸長粘度η1が1×106 poise以上、測定を開始してから上記架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が破断するまでの間に測定された一軸伸長粘度の最大値である破断ピーク粘度η2が1×108 poise以下で且つ一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)が3〜100であることを満たすことを特徴とする。
【0011】
上記ポリオレフィン系樹脂組成物を構成するポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂などが挙げられ、これらの中でもポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、耐熱性及び剛性を重視する場合にはポリプロピレン系樹脂がより好ましく、又、連続気泡性を重視する場合にはエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂は単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
【0012】
又、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。なお、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体はブロック共重合体、ランダム共重合体の何れでもよい。
【0013】
更に、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は、多いと、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートが発泡しにくくなることがあるので、40重量%以下であることが好ましく、3〜30重量%であることがより好ましい。
【0014】
上記ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、所定の一軸伸長粘度を得ることができれば、特に限定されないが、小さいと、押出負荷が大きくなるために押出成形性が低下することがある一方、大きいと、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの架橋性が低下するために、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡に必要な一軸伸長粘度を付与することができないことがあるので、0.1〜10.0g/10分であることが好ましい。なお、本発明におけるポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトは、JIS K7210に準拠して測定されたものをいう。
【0015】
又、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を構成する有機過酸化物としては、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂に混合させる温度で分解しないことが必要であり、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられ、これらのなかでも、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドが好ましく、1分間半減期温度が200℃以上である、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドがより好ましい。これらの有機過酸化物は、単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
【0016】
又、上記ポリオレフィン系樹脂組成物中における有機過酸化物の含有量は、少ないと、ポリオレフィン系樹脂組成物の架橋が不十分になることがある一方、多いと、ポリオレフィン系樹脂を劣化させて、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1が小さくなってしまうことがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。
【0017】
そして、上記ポリオレフィン系樹脂組成物には、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの製造工程においてポリオレフィン系樹脂が劣化するのを防止するために、多官能モノマーを含有させるのが好ましく、このような多官能モノマーとしては、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが挙げられ、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートが好ましい。これらの多官能モノマーは単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
【0018】
又、上記ポリオレフィン系樹脂組成物中における多官能モノマーの含有量は、少ないと、ポリオレフィン系樹脂組成物の架橋が進行しにくくなることがある一方、多いと、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートが発泡しにくくなることがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0019】
更に、ポリオレフィン系樹脂組成物には、得られるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの物性を損なわない範囲内において、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウムなどの気泡形成剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオプロピオネートなどのイオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤;メチルベンゾトリアゾールなどの金属害防止剤;ヘキサブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルフォスフェートなどのリン系難燃剤などの難燃剤;充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料などの添加剤が添加されていてもよい。
【0020】
ここで、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートをその製造工程において外力を加えることなく得るべく種々の検討を行ったところ、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡工程において、この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを構成しているポリオレフィン系樹脂組成物が、発泡初期において破泡を生じることなく伸長し且つ発泡終盤において発泡圧によって破泡を生じて連続気泡を生じればよいことを発見し、このポリオレフィン系樹脂組成物の発泡及び破泡挙動を制御するには、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを構成しているポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の所定条件下における一軸伸長粘度及び破断ピーク粘度を調整することによって達成することができることを見出した。
【0021】
具体的には、ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08sec-1の条件下で測定した時の測定を開始してから5秒後の一軸伸長粘度η1は、小さいと、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡時に発泡ガスが抜けてしまい、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させることができないことがあるので、1×106 poise以上に限定され、1×106〜1×107 poiseが好ましい。
【0022】
又、ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08sec-1の条件下で測定した時における測定を開始してから架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が破断するまでの間に測定された一軸伸長粘度の最大値は、大きいと、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させた際に破泡せず、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートに連続気泡を形成させることができないので、1×108 poise以下に限定され、1×107〜1×108 poiseが好ましい。
【0023】
ここで、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1とは、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08cm-1の条件下で測定したときの、測定を開始してから5秒後の一軸伸長粘度のことをいい、上記架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の破断ピーク粘度η2とは、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08cm-1の条件下で架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が破断するまで測定して得られた、測定を開始してから架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が破断するまでの間の一軸伸長粘度のうちの最大値をいう。
【0024】
次に、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1及び破断ピーク粘度η2の測定方法について説明する。先ず、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの原反となる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを構成しているポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練した後、押出機の先端に配設されたTダイから押出すことによって、架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物シートを得る。
【0025】
なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを構成しているポリオレフィン系樹脂組成物に、上述したような多官能モノマー、酸化防止剤などの添加剤が含有されている場合には、押出機に供給するポリオレフィン系樹脂組成物には添加剤を含有させたものとする。即ち、押出機に供給するポリオレフィン系樹脂組成物を、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを構成している樹脂組成物から熱分解型発泡剤のみを除外してなるものと同一の組成とする。
【0026】
次に、上記架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物シートを160〜280℃に加熱して架橋させ、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物シートを得る。架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物シートを架橋する時間は、架橋性ポリオレフィン樹脂組成物シートを架橋する温度における有機過酸化物の半減期の5〜10倍の時間とする。
【0027】
しかる後、上記架橋ポリオレフィン系樹脂組成物シートから、長さが150mmで且つ直径が1〜6mmの円柱状の試験片、又は、厚さが1〜3mm、幅が5〜15mm、長さが150mmのシート状の試験片を作製する。
【0028】
そして、図1に示すような、180℃に加熱されたシリコンオイル4中に配設された上下一対の一側ローラ2a,2b及び他側ローラ3a,3bからなる粘度計を用意し、この粘度計の上下一対の一側ローラ2a,2bによって上記試験片の長さ方向の一端部を上下方向から狭持すると共に、上下一対の他側ローラ3a,3bによって試験片の長さ方向の他端部を上下方向から狭持した上で10分間静置し、粘度計の上下一対の一側ローラ2a,2bを互いに反対方向に線速さv1(cm/sec)で回転させて、一側ローラ2a,2bの対向面によって試験片の長さ方向の一端部を一側方に引っ張ると共に、上下一対の他側ローラ3a,3bを互いに反対方向に上記一側ローラ2a,2bと同一の線速さv2(cm/sec)で回転させて、他側ローラ3a,3bの対向面によって、試験片の長さ方向の他端部を他側方に引っ張り、試験片をその長さ方向にv(=v1+v2)の引っ張り速さで引っ張る。なお、試験片をその長さ方向の一端部を一側ローラ2a、2bで挟持し且つ他端部を他側ローラ3a、3bで挟持した状態において、試験片がその長さ方向に屈曲せず直状となり且つ表面が水平状態となるように調整する。
【0029】
ここで、上記粘度計でもって試験片を伸長させる際の歪み速度ε(sec-1)は、両側のローラ2a、3a(2b、3b)の回転軸間の距離をL0(cm)とすると、(1/L0)(dL/dt)の式で定義される。即ち、歪み速度εと引っ張り速さvは下記式(1)に表されるような関係となる。
ε=(v/L0) ・・・式(1)
【0030】
上記式(1)より歪み速度が0.08cm-1となるような引っ張り速さvを算出し、粘度計で試験片をこの引っ張り速さvでもって試験片が破断するまで伸長させて、試験片を伸長させ始めてから試験片が破断するまでの間の各時間t(sec)における試験片の張力F(N)を測定し、これを下記式(2)に代入して、試験片を伸長させ始めた時点からの各時間t(sec)における試験片の一軸伸長粘度ηを算出した。そして、このようにして得られた試験片の一軸伸長粘度ηより、測定を開始してから5秒後(t=5)の一軸伸長粘度η1及び測定を開始してから試験片が破断するまでの間に測定された一軸伸長粘度ηの最大値である破断ピーク粘度η2の値を得る。なお、下記式(2)中のA0とは、伸長前の試験片を試験片の伸長方向に直交し且つ試験片の表面に対する垂直面で切断して得られた切断面の面積(cm2)を示す。
η={F/A0exp(0.08×t)}/0.08 ・・・式(2)
【0031】
なお、上述したような架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1及び破断ピーク粘度η2の測定には、例えば、東洋精機製作所社から商品名「メルテンレオメーター」で市販されている測定機器を用いることができる。
【0032】
更に、上述のようにして測定された、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)が3〜100となるものに限定され、5〜20となるものが好ましい。これは、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)が3未満であると、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートが発泡しにくくなって、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートを得るのが困難になる一方、100より大きいと、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートに連続気泡を形成させるのが困難になるからである。
【0033】
又、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物シートのゲル分率は、1〜50重量%であることが好ましい。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂組成物シートのゲル分率の測定方法としては、上述のようにして得られた架橋ポリオレフィン系樹脂組成物シートから0.2gの試験片を切り出し、この試験片を110℃のキシレン50ミリリットル中に12時間浸漬して、不溶解分を200メッシュの金網で濾過する。次に、上記金網上の残渣を真空乾燥させて、乾燥残渣の重量A(g)を秤量し、この乾燥残渣の重量A(g)を下記式(3)に代入してゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(A/0.2)×100 ・・・式(3)
【0034】
そして、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを構成する熱分解型発泡剤としては、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。なお、これら熱分解型発泡剤の添加量としては、特に限定されず、目的の発泡倍率によって添加量を調節すればよい。
【0035】
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの製造方法について説明する。ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの製造は、ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物、並びに、多官能モノマー及びその他の添加剤を必要に応じて添加してなるポリオレフィン系樹脂組成物、及び、熱分解型発泡剤を押出機に供給し、溶融混練した上で押出機の先端に配設されたTダイから発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを押出す。ここで、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの表裏面からその発泡時に発泡ガスが抜け過ぎてしまわないように、必要に応じて発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの表裏面に電離性放射線を照射して、その表裏面部に薄い架橋膜を形成させておいてもよい。
【0036】
そして、上述のようにして得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを160〜280℃に昇温したオーブンに投入して、架橋、発泡させることによって、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートを得ることができる。
【0037】
上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートのゲル分率は、低いと、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの原反となる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡性が低下する一方、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの原反となる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートから連続気泡発泡シートを得がたくなるので、1〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
【0038】
なお、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートのゲル分率の測定方法としては、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートから0.2gの試験片を切り出し、この試験片を用いて上記架橋ポリオレフィン系樹脂組成物シートのゲル分率の測定と同様の要領で行なえばよい。
【0039】
又、本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの連続気泡率は、小さいと、吸音性が不十分になることがあるので、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上が特に好ましい。
【0040】
なお、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの連続気泡率の測定方法としては、先ず、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートから試験片を切り取り、この試験片をASTM D2856に準拠して、空気比較式比重計により試験片の真の体積Vx(cm3)を測定する。そして、この値と試験片の外寸から求められる見掛けの体積Va(cm3)、試験片の重量W(g)及びポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートを構成するポリオレフィン系樹脂の密度ρ(g/cm3)とにより下記式(4)に基づいてポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの連続気泡率を算出することができる。
連続気泡率(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ) ・・・式(4)
【0041】
又、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの連続気泡率の測定に用いられる空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社製から商品名『空気比較式比重計「1000型」』で市販されている。
【0042】
そして、上述の要領で製造されたポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、互いに隣接する気泡同士を連通させる連通孔の開口方向が不規則となるように形成されている。このように連通孔の開口方向が不規則に形成されているので、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内に様々な方向からの音波を取り込むことができる。更に、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートに取り込まれた音波は、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内の気泡壁で乱反射されながら、開口方向が不規則に形成された連通孔を通じて様々な方向に隣接する気泡内に進入し、その結果、音波はポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの全体に広がってポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内の長い経路を伝達するうちに空気粘性により熱エネルギーに変換されて吸収され、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは優れた吸音性能を有している。
【0043】
更に、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの4kHzの周波数における吸音率は、小さいと、自動車用内装材などの吸音材としての性能が不十分になってしまうことがあるので、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上が特に好ましい。
【0044】
なお、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの4kHzの周波数における吸音率は、JIS A 1405に準拠して測定した値をいい、その測定機器としては、例えば、電子測器社から商品名「TYPE10041A」で市販されている垂直入射吸収管が挙げられる。
【0045】
又、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、上述のように、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱、発泡させて製造されるが、この際、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの表裏面部はその発泡中において外気に直接、接触するため、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの表裏面部は内部に比して加熱度合いが低くなり、その結果、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部は内部ほど発泡されずに、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部には連続気泡の連通孔の開口端が形成されにくくなって、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内に音を取り込みにくくなることがあるので、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部を切除して用いるのが好ましい。
【0046】
更に、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、上述のように、電離性放射線によってポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部に薄い架橋膜を形成させた場合においても、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部に連続気泡の連通孔の開口端が形成されにくくなって、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内に音を取り込みにくくなってしまうことがあるので、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部に形成された架橋膜を切除して用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0047】
本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに熱分解型発泡剤からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させることにより得られるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートであって、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08sec-1の条件下で測定したときの、測定を開始してから5秒後の一軸伸長粘度η1が1×106 poise以上、測定を開始してから上記架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が破断するまでの間に測定された一軸伸長粘度の最大値である破断ピーク粘度η2が1×108 poise以下で且つ一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)が3〜100であることを満たすことを特徴とするので、自動車用内装材などの吸音材として好適に用いることができる。
【0048】
又、本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、上述のように、ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とするので、リサイクル性に優れている。
【0049】
そして、本発明のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートは、その製造に高額な製造設備を必要とせず、従来から発泡シートの製造に用いられている設備によって製造することができるので、低廉に製造することができる。
【0050】
更に、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートを構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であれば、耐熱性に優れた連続気泡発泡シートを得ることができる。
【0051】
加えて、上記ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの互いに隣接する気泡同士を連通させる連通孔の開口方向を不規則に形成させると、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内に音波が取り込まれやすくなると共に、取り込まれた音波がポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート内で熱エネルギーに変換されて吸収されやすくなるので、ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートの吸音性能を更に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(Dow Chemical社製 商品名「INSPiRE114」、メルトフローレイト:0.5g/10分、密度:0.9g/cm3)100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製 商品名「ライトアクリレートTMP−A」)1.2重量部、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学社製 商品名「ライトエステル1,9ND」)1.2重量部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルP」)0.75重量部及びフェノール系酸化防止剤(旭電化社製 商品名「AO−60」)0.6重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物並びにアゾジカルボンアミド(永和化学社製 商品名「AC#EFS」)10重量部を均一に混合させた上で二軸押出機に供給し、押出機内で溶融混練させた後、押出機の先端に配設されたTダイからシート状に押出すことによって、厚さ2mmの発泡性ポリプロピレン系樹脂シートを得た。
【0054】
次に、上記発泡性ポリプロピレン系樹脂シートを発泡させた際に、発泡ガスが抜け過ぎてしまうのを防ぐために、発泡性ポリプロピレン系樹脂シートの表裏面に加速電圧300kV、線量20kGyの電離性放射線を照射し、発泡性ポリプロピレン系樹脂シートの表裏面部に薄い架橋膜を形成させた。続いて、上記表裏面部に薄い架橋膜が形成された発泡性ポリプロピレン系樹脂シートを230℃に維持したオーブン中で加熱して、厚さ6mmのポリプロピレン系樹脂連続気泡発泡シートを得た。
【0055】
そして、上記ポリプロピレン系樹脂連続気泡発泡シートの表裏面部に形成されている架橋膜を共に切除して、この架橋膜が切除されたポリプロピレン系樹脂連続気泡発泡シートの見かけ密度、ゲル分率、連続気泡率及び4kHzの周波数における吸音率を測定し、その結果を表1に示した。
【0056】
又、上記ポリプロピレン系樹脂連続気泡発泡シートをその厚み方向の全長に亘って切断し、切断面を観察したところ、ポリプロピレン系樹脂連続気泡発泡シートには、互いに隣接する気泡同士を連通させる連通孔が全体的に形成されており、連通孔の開口方向は不規則に形成されていた。
【0057】
次に、上記発泡性ポリプロピレン系樹脂シートを製造したときと同一の組成のポリプロピレン系樹脂組成物を架橋させてなる架橋ポリプロピレン系樹脂組成物の一軸伸長粘度η1及び破断ピーク粘度η2を測定し、一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)を求めた。
【0058】
先ず、上記発泡性ポリプロピレン系樹脂シートを製造したときと同一の組成のポリプロピレン系樹脂組成物、即ち、ポリプロピレン系樹脂(Dow Chemical社製 商品名「INSPiRE114」、メルトフローレイト:0.5g/10分、密度:0.9g/cm3)100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製 商品名「ライトアクリレートTMP−A」)1.2重量部、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学社製 商品名「ライトエステル1,9ND」)1.2重量部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルP」)0.75重量部及びフェノール系酸化防止剤(旭電化社製 商品名「AO−60」)0.6重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物を二軸押出機に供給して融混練させた後、押出機の先端に配設されたTダイからシート状に押出すことによって、厚さ1mmの架橋性ポリプロピレン系樹脂組成物シートを得た。
【0059】
そして、この架橋性ポリプロピレン系樹脂組成物シートを220℃で12分間熱プレスすることによってジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドを分解させて架橋させ、ゲル分率19.5重量%の架橋ポリプロピレン系樹脂組成物シートを得た。なお、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドの220℃における半減期は2.4分である。
【0060】
そして、この架橋ポリプロピレン系樹脂組成物シートから厚さ1mm、幅5mm、長さ150mmのシート状試験片を切り出して、一軸伸長粘度η1、破断ピーク粘度η2を測定し、一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)を算出して、その結果を表1に示した。
【0061】
(実施例2)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製 商品名「エバテートH1011」、メルトフローレイト:0.9g/10分、酢酸ビニル含有量:15重量%)100重量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルD40」)1重量部及びフェノール系酸化防止剤(旭電化社製 商品名「AO−60」)0.6重量部及びステアリン酸亜鉛0.1重量部からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物、並びに、アゾジカルボンアミド(永和化学社製 商品名「AC#K3」)10重量部を均一に混合させた上で二軸押出機に供給し、押出機内で溶融混練させた後、押出機の先端に配設されたTダイからシート状に押出すことによって、厚さ2mmの発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを得た。
【0062】
次に、上記発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを発泡させた際に発泡ガスが抜け過ぎてしまうのを防ぐために、発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートの表裏面に加速電圧300kV、線量20kGyの電離性放射線を照射して、発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートの表裏面部に薄い架橋膜を形成させた。続いて、この表裏面部に薄い架橋膜が形成された発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを230℃に維持したオーブン中で加熱させて、厚さ6mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体連続気泡発泡シートを得た。
【0063】
又、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体連続気泡発泡シートをその厚み方向の全長に亘って切断し、切断面を観察したところ、エチレン−酢酸ビニル共重合体連続気泡発泡シートには、互いに隣接する気泡同士を連通させる連通孔が全体的に形成されており、連通孔の開口方向は不規則に形成されていた。
【0064】
そして、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体連続気泡発泡シートの表裏面部に形成されている架橋膜を共に切除して、この架橋膜が切除されたエチレン−酢酸ビニル共重合体連続気泡発泡シートの見かけ密度、ゲル分率、連続気泡率及び4kHzの周波数における吸音率を測定し、その結果を表1に示した。
【0065】
次に、上記発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを製造したときと同一の組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を架橋させてなる架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物の一軸伸長粘度η1及び破断ピーク粘度η2を測定し、一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)を求めた。
【0066】
先ず、上記発泡性エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを製膜したときと同一の組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物、即ち、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製 商品名「エバテートH1011」、メルトフローレイト:0.9g/10分、酢酸ビニル含有量:15重量%)100重量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製 商品名「パークミルD40」)1重量部及びフェノール系酸化防止剤(旭電化社製 商品名「AO−60」)0.6重量部及びステアリン酸亜鉛0.1重量部からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を二軸押出機に供給し、押出機内で溶融混練させた後、押出機の先端に配設されたTダイからシート状に押出すことによって、厚さ1mmの架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物シートを得た。
【0067】
そして、この架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物シートを180℃で6分間熱プレスすることによりジクミルパーオキサイドを分解させて架橋させ、ゲル分率23.2重量%の架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物シートを得た。なお、ジクミルパーオキサイドの180℃における半減期は0.6分である。
【0068】
そして、この架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物シートから厚さ1mm、幅5mm、長さ150mmのシート状試験片を切り出して、一軸伸長粘度η1、破断ピーク粘度η2を測定し、一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)を算出して、その結果を表1に示した。
【0069】
(比較例1)
ポリプロピレン系樹脂をサンアロマー社から商品名「PF814」(メルトフローレイト:3.0g/10分、密度:0.9g/cm3)で市販されているポリプロピレン系樹脂にしたこと以外は、実施例1と同様の要領で厚さ6mmのポリプロピレン系樹脂発泡シートを得た。そして、上記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの表裏面部に形成されている架橋膜を共に切除して、この架橋膜が切除されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの見かけ密度、ゲル分率、連続気泡率及び4kHzの周波数における吸音率を測定し、その結果を表1に示した。
【0070】
又、上記ポリプロピレン系樹脂発泡シートをその厚み方向の全長に亘って切断し、切断面を観察したところ、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの気泡のほとんどが独立気泡構造であった。
【0071】
次に、上記発泡性ポリプロピレン系樹脂シートを製造したときと同一の組成のポリプロピレン系樹脂組成物を二軸押出機に供給し、押出機内で溶融混練させて押出機の先端に配設されたTダイからシート状に押出すことによって、厚さ1mmの架橋性ポリプロピレン系樹脂組成物シートを得た。
【0072】
そして、上記架橋性ポリプロピレン系樹脂組成物シートを実施例1と同様の要領で架橋させ、ゲル分率22.0重量%の架橋ポリプロピレン系樹脂組成物シートを得た。そして、この架橋ポリプロピレン系樹脂組成物シートの一軸伸長粘度η1及び破断ピーク粘度η2を実施例1と同様の要領で測定し、一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)を算出して、その結果を表1に示した。
【0073】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】一軸伸長粘度η1及び破断ピーク粘度η2の測定装置の模式側面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 試験片
2a,2b 一側ローラ
3a,3b 他側ローラ
4 シリコンオイル
0 左右ローラの回転軸間の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂及び有機過酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに熱分解型発泡剤からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させることにより得られるポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シートであって、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を架橋してなる架橋ポリオレフィン系樹脂組成物の一軸伸長粘度を180℃、歪み速度0.08sec-1の条件下で測定したときの、測定を開始してから5秒後の一軸伸長粘度η1が1×106 poise以上、測定を開始してから上記架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が破断するまでの間に測定された一軸伸長粘度の最大値である破断ピーク粘度η2が1×108 poise以下で且つ一軸伸長粘度η1と破断ピーク粘度η2との比(η2/η1)が3〜100であることを満たすことを特徴とするポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート。
【請求項2】
発泡性ポリオレフィン系樹脂シートが多官能モノマーを含有していることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート。
【請求項4】
連続気泡率が50%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート。
【請求項5】
互いに隣接する気泡同士を連通させる連通孔の開口方向が不規則に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート。
【請求項6】
4kHzの周波数における吸音率が30%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート。

【図1】
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【公開番号】特開2007−332177(P2007−332177A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162249(P2006−162249)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】