説明

ポリオレフィン製品を調製するための装置およびそれを使用するための方法論

オレフィン重合用の装置(202)は、それらのそれぞれがオレフィン重合反応混合物入口接続部および粗ポリオレフィン製品出口接続部(55a、55b)を有する複数の管状オレフィン重合反応器(202a、202b)を含む。各反応器(202a、202b)は、オレフィン重合反応混合物の反応器(202a、202b)中への導入とは独立に、反応混合物を反応器(202a、202b)の管側を通して循環するために配置されるポンプ(25a、25b)を含む循環系を備える。装置(202)は、また、並列運転用の反応器(202a、202b)を連結する、入口反応混合物分配マニホールド(215、15a、15b)および出口重合反応混合物収集マニホールド(255、55a、55b)を含む。装置(202)は、また、触媒調整剤が触媒組成物の導入とは独立した流量で各反応器(202a、202b)中に導入することが可能であるように配置される、各反応器(202a、202b)用の触媒組成物および触媒調整剤入口(16a、16b、30a、30b)を含む。装置(202)は、さらに、複数の沈降容器(302、306、308)、関連配管および触媒不活性化剤用の入口(318)を含む、粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムを組み込む。この粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムは、粗ポリオレフィン製品出口(255)から粗ポリオレフィン製品を受け取り、それから残留触媒を除去するために運転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相オレフィン重合、ポリオレフィン製品の調製、およびポリオレフィン製品の調製に有用な装置に関する。詳細には、本発明は、液相オレフィン重合法を用いる多様なポリオレフィン製品調製のための器具および装置、およびこうした器具および装置の運転において用いられる方法論に関する。さらに詳細には、本発明は、ポリオレフィン反応器の運転および制御を向上させる装置および方法論に関する。
【背景技術】
【0002】
2000年2月29日に出願された「高ビニリデン・ポリイソブチレンを製造するための方法」という名称の現在係属中の米国特許出願第09/515,790号(以後‘790出願)は、低分子量、高反応性ポリイソブチレンを調製するための液相重合法に関する。‘790出願の開示に従って、望ましくはBF3錯体およびメタノールを含むことが可能である触媒組成物、およびイソブチレンを含有する供給原料は、それぞれ、反応領域においてよく混じった反応混合物となるようにそれらが残留反応混合物とよく混ぜ合わされる反応領域中に導入される。よく混じった反応混合物は、そのよく混じった状態において少なくとも約0℃の比較的一定の温度で維持される一方で、それが反応領域にあって、それによってイソブチレンがそこで重合して高度の末端不飽和を有するポリイソブチレン(PIB)を形成する。残留触媒組成物、未反応イソブチレンおよびポリイソブチレンを含む粗製品流は、次に、反応領域から引き出される。反応領域中への供給原料の導入およびそこからの製品流の引き出しは、それぞれ、反応領域中で重合を行うイソブチレンの滞留時間が約4分以下であるように制御され、それによって、製品流は高度に反応性のポリイソブチレン製品を含有する。好ましくは、反応領域は、冷却剤がシェル側を循環する管状熱交換器の管側であることが可能である。循環式回路は、望ましくは、混合物のよく混じった状態を確立し保持すると共に発熱重合反応により発生する熱を除去するために十分な線速度で、管側反応領域を通して反応混合物を循環するために用いることが可能である。
【0003】
2003年2月25日に発行された「ポリオレフィン製品を調製するための方法」という名称の米国特許第6,525,149号(以後‘149特許)は、あらかじめ設定された特性を有するポリオレフィン製品を調製するための新奇な液相重合法に関する。‘149特許の方法は、オレフィン成分を含有する液体供給原料および安定なBF3錯体および錯化剤を含むことが可能である触媒組成物を提供する段階を含む。供給原料は、イソブチレンなどの分岐オレフィン、C3〜C15直鎖状アルファオレフィンおよびC4〜C15反応性非アルファオレフィンを含む多くのオレフィンの中から1以上のあらゆるものを含むことが可能である。供給原料および触媒組成物は、望ましくは、残留反応混合物、添加供給原料および触媒組成物のよく混じった混合を引き起こすに十分な循環流量で管状熱交換器の管側に提供されるループ型反応器反応領域中に循環する残留反応混合物中に導入することが可能である。重合反応熱は、それが反応領域中で循環しながら、その中で実質的に一定の反応温度を提供するように計算される流量でのよく混じった循環反応混合物から除去される。反応器中の状態は、供給原料中に導入されるオレフィン成分が触媒組成物の存在下で重合を行って所期のポリオレフィン製品を形成することを引き起こすにふさわしいものである。所期のポリオレフィン製品、未反応オレフィンおよび残留触媒組成物を含有する粗製品流は、反応領域から引き出される。反応領域中への供給原料の導入および反応領域からの製品流の引き出しは、反応領域中で重合を行うオレフィン成分の滞留時間が所期のポリオレフィン製品の製造に適切であるように制御される。
【0004】
2003年2月27日に公開された「ミッドレンジ・ビニリデン含量ポリイソブチレン・ポリマー製品およびそれを製造するための方法」という名称の米国特許公報第2003−0040587A1号(以後‘587公報)には、ミッドレンジ・ビニリデン含量PIBポリマー製品およびそれを製造するための方法が記載されている。‘587公報の開示によれば、製品中に存在するPIB分子の少なくとも約90%は、アルファまたはベータ位の異性体を含む。製品中のアルファ(ビニリデン)異性体含量は、その20%〜70%の範囲にあることが可能であり、四置換内部二重結合の含量は極めて低く、好ましくは約5%未満、理想的には約1〜2%未満である。ミッドレンジ・ビニリデン含有PIBポリマー製品は、望ましくは、BF3/メタノール触媒錯体および約4分以下の接触時間を用いて、望ましくは約60°F以上であることが可能である温度で、‘790出願および‘587特許に記載されている反応器に類似のループ型反応器において行われる液相重合法により調製される。
【0005】
‘790出願、‘587公報および‘149特許は、それぞれ、本出願の譲受人に譲り受けられ、それらそれぞれの開示内容はそれらを参照するために本明細書において特別に包含する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の反応を行うことにおいて、高度に専門化した装置が、多くの場合、重合反応器の運転および制御を向上させるために用いることが可能である。それぞれの場合において、例えば、反応器を離れる粗製品は、適切な冷却なしでのモノマーおよび低分子量オリゴマーのさらなる重合および/または残留二重結合位置の転位からもたらされる異性化を避けるために望ましくは急速冷却するかまたは殺すことが好ましい残留触媒により、汚染することが可能である。触媒組成物は、重合反応遂行の間反応混合物と共に循環する残留材料による汚染にさらされることが可能である。さらに、あらゆる産業活動におけるように、生産能力および処理能力を向上させるための方法論および/または装置が継続的に探索されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のニーズを満足させることが本発明の重要な目的である。この関連で、本発明の一つの極めて重要な態様において、それは複数の反応器を含むオレフィン重合用の装置を提供する。本発明の概念および原理に従い、それぞれのこれら反応器は、望ましくは、反応領域を規定する構造、オレフィン重合反応混合物入口接続部、およびオレフィン重合反応混合物出口接続部を含むことが可能である。これらの接続部は、望ましくは、反応領域と流体連絡している。反応器は、それぞれ、反応領域における発熱オレフィン重合反応の遂行をしやすくするために適合され且つ配置される。
【0008】
さらに本発明の概念および原理に従い、それぞれの反応器は、また、反応器中へのオレフィン含有供給原料の導入とは独立に反応領域中に反応混合物を循環するために配置され適合されるポンプを含む循環系を含むことが可能である。
【0009】
本発明の装置は、また、望ましくは、オレフィン含有供給原料入口および複数のオレフィン含有原料出口を含むオレフィン含有供給原料分配組立品を含む。分配組立品は、それぞれの供給原料出口がそれぞれの反応器の反応領域と流体連絡するように配置される。本発明の装置は、また、望ましくは、複数の粗ポリオレフィン製品入口および粗ポリオレフィン製品出口を含む製品収集組立品を含むことが可能であり、製品収集組立品は、それぞれの粗ポリオレフィン製品入口が各反応器の反応領域と流体連絡するように配置される。
【0010】
おおまかには、本発明の装置は2基以上の反応器、例えば、3または4または5または6基以上の反応器を含むことが可能である。
【0011】
本発明の別の重要な態様において、それはオレフィン重合用の方法を提供する。本発明に従い、本方法は、それらそれぞれが内部反応領域を規定する複数の反応器を提供することを含む。本方法は、また、オレフィン含有供給原料を提供し、こうした供給原料を複数(2、3、4、5、6以上)の個別の供給原料流に分割し、各供給原料流をそれぞれ一つの反応器の反応領域において循環する反応混合物中に導入し、各反応領域中で発熱オレフィン重合反応を行うことを含む。
【0012】
本発明のこの態様の方法は、また、各供給原料流の反応混合物中への導入とは独立して各反応器中に反応混合物を個別に循環し、各反応器において循環する反応混合物から各粗ポリオレフィン製品流を除去し、粗ポリオレフィン製品流を混合して単一の粗製品流を形成する段階を含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、反応領域を規定し、オレフィン重合反応混合物入口接続部およびオレフィン重合反応混合物出口接続部を包含する少なくとも一つの反応器を含む、オレフィン重合用の反応器装置を提供する。これらの接続部は、望ましくは、反応領域と流体連絡していることが可能である。反応器は、触媒および触媒調整剤を含む触媒組成物の存在下反応混合物での発熱オレフィン重合反応の反応領域における遂行をしやすくするように適合され配置される。本発明のこの態様に従い、反応器装置は、さらに、供給原料入口、粗製品出口、および該供給原料入口を介しての供給原料の反応混合物中への導入とは独立に領域中に反応混合物を循環するために配置され適合されるポンプを包含する循環系を含む。この態様の反応器装置は、また、触媒組成物をオレフィン重合反応混合物に添加しやすくする領域と流体連絡する触媒組成物入口、および触媒調整剤を触媒組成物の添加量とは独立の流量でオレフィン重合反応混合物に添加することを容易にする領域と流体連絡する少なくとも一つの触媒調整剤入口を含む。
【0014】
本発明の別の重要な態様には、オレフィン重合反応器を運転するための方法の提供が含まれる。この方法は、反応領域を有するオレフィン重合反応器を提供し、領域中にオレフィン重合反応混合物を循環し、オレフィン含有供給原料を前記反応混合物中に導入し(該重合反応混合物は供給原料の循環オレフィン重合反応混合物中への導入流量とは独立の流量で循環される)、触媒および触媒調整剤を含む触媒組成物を循環オレフィン重合反応混合物中に導入し、重合反応混合物を触媒組成物存在下領域中で発熱オレフィン重合反応条件にさらし、触媒調整剤を触媒組成物の導入流量とは独立の流量で循環オレフィン重合反応混合物中へ導入する段階を含む。
【0015】
本発明の概念および原理に従い、前述のシステムおよび方法論は、唯一の反応容器を含むシステムおよび/または方法論、または上述のような並列に配置される複数の反応容器を含むものを伴って用いることが可能である。これに関連して、本発明により、本発明が、さらに、触媒調整剤を触媒組成物の導入流量とは独立の流量で循環反応混合物中に導入するための前述の系と組み合わせて上述のような多反応器システムを含む装置および/または方法を提供することは、留意されるべきである。
【0016】
本発明の追加の態様として、粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムを提供する。本発明のこの態様に従い、触媒除去および洗浄システムは、粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、製品と媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する上流沈降容器を含む。システムは、さらに、上流沈降容器の室と流体連絡する粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン、上流沈降容器の室と流体連絡する触媒不活性化剤入口導管、および上流沈降容器の室と流体連絡する第1補給水入口通路を含む。
【0017】
前述に加えて、触媒除去および洗浄システムは、望ましくは、部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、製品と媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する少なくとも一つの下流沈降容器、上流沈降容器の室を下流沈降系と連結させる部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン、下流沈降系と流体連絡する洗浄粗オレフィン重合製品出口ライン、および下流沈降系と流体連絡する第2補給水入口通路を含む下流沈降系を含む。最後に、システムは、上流沈降容器の室を排水受け入れ系への入口接続と連結させる第1ドレン管路、および下流沈降系を排水受け入れ系への入口接続部と連結させる第2ドレン管路を含む。従って、システムの上流および下流部分からの使用済み洗浄水は、システムから個別に排除することが可能である。
【0018】
本発明の前述の態様に従い、下流沈降系は、1または2または3以上の個別の沈降容器を含むことが可能である。
【0019】
本発明のなお別の重要な態様は、製品中のさらなる反応を避けそれから残留触媒を除去するために、残留触媒を含有する触媒的に形成される粗ポリオレフィン製品を処理するための方法の提供である。本発明のこの態様に従い、本方法は、粗残留触媒含有ポリオレフィン製品と触媒不活性化剤を含有する第1水性媒体をよく混ぜ合わせてそれによって第1のよく混じった2相の重力分離可能な混合物を形成し、第1の2相混合物を第1沈降領域中に導入すると共に、それが重力の影響下第1領域中で沈降することを可能として上部の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相と溶解触媒塩を含有する第1下部水性相を与え、第1沈降領域から第1下部水性相を引き出し、その第1部分を循環し、それを第1水性媒体の一部として包有物用に第1の2相混合物中に導入し、第1下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、第1量の補給水を第1水性媒体の一部として包有物用に第1の2相混合物中に導入し、第1沈降領域から部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を引き出し、それを第2水性媒体とよく混ぜ合わせてそれによって第2のよく混じった2相の重力分離可能混合物を形成し、第2の2相混合物を第2沈降領域中に導入すると共に、それが重力の影響下第2領域中で沈降することを可能としてさらに十分に洗浄された上部の粗ポリオレフィン製品相と第2下部水性相を与え、第2沈降領域から第2下部水性相を引き出し、その第1部分を循環し、それを第2水性媒体の一部として包有物用に第2の2相混合物中に導入し、第2下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、さらに十分に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を第2沈降領域から除去し、第2の個別量の補給水を第2水性媒体の一部として包有物用に第2の2相混合物中に導入することを含む。
【0020】
上述の触媒除去および洗浄システムおよび/または方法が、唯一の反応器を含むシステムおよび上述のような複数の反応器を含むもののいずれかと併せての使用に適することは、留意されるべきである。従って、多反応器システムおよび触媒除去および洗浄システムの両方および/または上述の方法を含むシステムおよび/または方法を提供することは、本発明の重要な態様である。加えて、こうした組合せシステムは、また、循環反応混合物中の触媒調整剤量を調整するための記載された系を含むことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に関係する液相重合ポリオレフィンの遂行における有用性を有する多くの潜在的に価値のある反応器は、当業者に公知である。しかし、本発明の一つの好ましい実施形態の目的のため、反応器は、望ましくは、それが図1で番号10として識別されて示される2パス管状熱交換器を含むことが可能である。反応器10は、例えば、壁厚0.035’’を有する三百八十八(388)0.375’’管を含むことが可能であり、その結果それぞれの管の内径0.305’’を提供する。反応器は12フィート長であることが可能であり、内部邪魔板および仕切り板を有してパス当り194管を有する2パスを提供することが可能である。パスは図1中の番号50および51により識別され、各パスの194管は、それぞれ、単一管部分52および53により示される。こうした構造は熱交換器および反応器の技術分野において周知であり、さらなる説明は全く必要ないと信じられる。
【0022】
運転において、オレフィン(例えば、イソブチレン、1−ブテン、2−ブテン)含有供給原料は、ポンプ14および配管15を介して反応器システムに入る。配管15の下流末端は、望ましくは循環ポンプ25のサクションライン20中に供給原料を導くように位置付けすることが可能である。触媒組成物は、ポンプ25の下流で且つ図1に示すように第1パスに隣接する位置で、ポンプ29および配管30を介して反応器循環系中に注入することが可能である。触媒組成物は、望ましくは、約1.9:1以下のメタノール対BF3モル比を有するメタノール/BF3錯体であることが可能であり、好ましくは、約1.7:1以下のメタノール対BF3モル比を有するメタノール/BF3錯体であることが可能である。望ましくは、メタノール対BF3のモル比は、一部の用途に対して約1.1:1以下ほどに低くあることが可能である。
【0023】
循環ポンプ25は、反応混合物を、ライン35、制御弁40およびライン45を通して反応器10のボトム・ヘッド11中に押し込む。流量計46は示されるようにライン45中に位置付けすることが可能である。適切な温度計TIおよび圧力計PIは系を監視するために提供することが可能である。反応混合物は、パス50の管52を通して上方に流れ、パス51の管53を通して下方に流れる。循環反応混合物はサクションライン20を介して反応器10を離れる。反応系は、従って、時にループ反応器と呼ばれる型のものである。当業者には明白であろう多くの他の配置がある中で、唯一の好ましいシステムであるこの系により、反応器中の反応物質混合物の流量は、供給原料導入および製品除去流量に独立して、触媒組成物と反応物質の混合および適切な温度制御を通して達成するように調整および最適化することが可能である。
【0024】
前に説明したように、各パス50および51は、望ましくは、百九十四(194)本の個別の管を含むことが可能である。しかし、簡略化のため、図1の各パスにおける単一管の一部のみを概略的に図解する。これらの管はそれぞれの参照番号52および53により識別される。それぞれの代表管52および53の一部のみが示されるが、これらの管のそれぞれが、トップ・ヘッド12およびボトム・ヘッド11間の全区間にわたり伸びると共に、それらがヘッド11および12の内部で流体連絡していることは、当業者により理解されるべきである。
【0025】
反応混合物が、好ましくは、乱流を生じてそれによって触媒組成物と反応物質間の十分な混ぜ合わせ、および適正な冷却を提供するための適切な熱伝達率を達成するために十分な流量で反応器の管52、53を通して循環することが好ましいことは、本明細書において留意されるべきである。これに関連して、流量、反応混合物特性、反応条件および反応器構造は、反応器の管52、53中において、約2000〜約3000範囲にあるレイノルズ数(Re)および約50〜約150Btu/分ft2°F範囲にある熱伝達係数(U)を生みだすために適切であることが好ましい。こうしたパラメータは、一般に、内径0.331インチを有する管を通しての一般的な反応混合物の線形流量がほぼ約6〜9フィート/秒の範囲内にある場合に得ることが可能である。
【0026】
製品出口ライン55は、望ましくは、ポンプサクションライン20と流体連絡して接続することが可能である。しかし、当業者により容易に理解されるであろうように、出口ラインは、少なくとも理論的見地から、および以下に説明するように反応器における条件が、望ましくは、反応器を離れる製品流の組成が反応器中を循環する反応混合物の組成と同じであるように温度および組成の両方が一定のままである完全混合槽型反応器(CSTR)の条件に近づくことが可能であるので、系のほとんどあらゆる箇所に位置付けすることができるであろう。同様に、供給原料導入ライン15は、実際にはライン15を介して導入されるモノマーがライン55に入ってしまう前に重合するための最大の機会を有することを保証するために、できるだけライン55から上流側へ遠くにある位置で循環系中にライン15が接続されることが望ましいが、系のほとんどあらゆる箇所に位置付けすることができるであろう。
【0027】
冷却剤は、望ましくは、反応熱を除去し反応器の所期の温度を維持するための流量で反応器のシェル側を循環することが可能である。
【0028】
触媒錯化剤は、望ましくは、ポンプ18およびトップ・ヘッド12中に位置付けられるライン16を介して循環反応混合物に添加することが可能である。この態様は、所期の製品が高度に反応性のポリイソブチレン(HRPIB)であり、触媒組成物がBF3触媒およびメタノール錯化剤を含む場合に、特に価値がある。BF3はメタノールと錯体化し、メタノールの有効性に応じて二つの異なる形態、すなわち、1−錯体(メタノール1モルに対してBF31モル)および2−錯体(メタノール2モルに対してBF31モル)をとる。1−錯体は、真の触媒種であるが、他方2−錯体は1−錯体がなければいかなる特別の触媒特性をも有しない。部分錯体に対する基準は、1−錯体と2−錯体の実平均である。これに関連して、メタノールモル当りBF30.59〜0.62モルから作製される触媒組成物が、HRPIBの製造において特に価値があることが決定されてきた。しかし、こうした組成物が系中に導入される場合、炭化水素原料中の変形物および汚染物質は、多くの場合、最適な反応器制御には至らない結果をもたらすことが可能である。これは、少なくとも部分的には、多くの汚染物質が組成物中のみかけのメタノール対触媒比を有効に増大させるという傾向の結果であると信じられる。さらに、一部の供給原料の正確な汚染レベルを予め決めることは、常に可能とは限らない。
【0029】
しかし、本発明の概念および原理に従い、これらの問題は解決することが可能であり、最適の結果が、単に、一部の目的のために望ましくはメタノールの少ない組成物、例えば、1−錯体の最適な所期濃度を超えて含有するものであることが可能である触媒組成物を、ライン30を介して反応器10中に導入すると共に、独立に、ライン16などの望ましくはライン30から離れることが可能であるラインを通して比較的純粋なメタノールを添加することにより、達成することが可能であることが見出されてきた。ポンプ18は、望ましくは、配管16を通してメタノールを押し込むために提供することが可能である。あるいは、本質的に同じ効果は、ライン(示されていない)を経由してライン30中の触媒組成物流中に個別のメタノール流を直接導入すると共に、追加メタノールおよび触媒組成物を系中に一緒に導入することにより達成することが可能である。いずれの事象においても、追加のメタノールは、望ましいメタノール対BF3比が反応器10中で達成され維持されることが可能であるように、触媒組成物を整えることが可能である。
【0030】
さらに本発明の概念および原理に従って、添加メタノール量は、望ましくは、循環反応混合物中の好ましいメタノールモル当りBF3比を造りだし維持するために十分であることが好ましい。一部の用途に対して、例えば、高度に反応性のポリイソブチレンが所期の製品である場合、ライン30を介して添加される触媒組成物は、望ましくは、約0.59:1〜約0.62:1範囲にあるBF3およびメタノールのモル比を含むことが可能であり、理想的には約0.61:1であることが可能である。あるいは、他の用途に対して、例えば、所期の製品が、ビニリデン含量がそれほど重要でないポリイソブチレンである場合、ライン30を介して添加される触媒組成物は、理想的には、約1:1のBF3とメタノールのモル比を含むことが可能である。
【0031】
ライン55を介して系を出る製品は、進行中の発熱重合反応がすぐに停止するように、例えば、水酸化アンモニウムなどの触媒活性を殺すことができる材料により速やかに冷却することが好ましい。このようにして、冷却不足によるあらゆる望ましくない温度上昇(および高温による低分子量ポリマー付随製品)またはポリマー分子の再配列は、最小化することが可能である。本発明のポリオレフィン製品は、次に、触媒塩を除去することが可能である以下に記載される洗浄系、およびポリオレフィン製品を未反応モノマー、ダイマー、オリゴマーおよび他の希釈剤などの望ましくない汚染物質などから分離することが可能である精製および分離系(示されていない)を含む仕上げ系に導くことが可能である。これらの後者の材料は、次に、再循環するか、または公知の方法論を用いて他の用途に転用することが可能である。
【0032】
上述の再循環系統により、反応混合物中への供給原料流量および製品除去流量は、それぞれ、循環流量とは独立である。当業者により理解されるように、反応器を通過するパス数およびその寸法および構造は、単に、選択の問題である。図1に示されるような単一反応器システムに対して、供給原料および製品引き出し流量は、好ましくは、供給原料と共に反応器に入る新鮮モノマーの滞留時間が4分以下、望ましくは3分以下、好ましくは2分以下、なおさらに好ましくは1分以下、および理想的には1分未満であるように選択することが可能である。前述に関連して、滞留時間は、全体反応器系体積を配管15を介して系に入る供給原料の体積流量により割ったものとして定義される。
【0033】
再循環ポンプ25によりもたらされる系中における反応混合物の流量である再循環流量は、上述のように、適切な乱流および/または熱伝達特性を達成するように制御される。この再循環流量は、多くの場合、系それ自体および他の望ましい工程条件の関数である。上述の系に対して、再循環流量対流入供給原料流量の比(循環比)は、一般に、約20:1〜約50:1の範囲、望ましくは約25:1〜約40:1の範囲、および理想的には約28:1〜約35:1の範囲内に維持することが好ましい。詳細には、乱流を引き起こし、適切な熱伝達係数を提供することに加えて、反応混合物の再循環流量は、その中での成分濃度を本質的に一定に保持し、および/または循環反応混合物内の温度勾配を最小化するために十分であることが好ましく、それによって本質的に等温な条件が反応器内で確立され維持される。
【0034】
上述のように、循環比は、一般に、約20:1〜約50:1の範囲にあることが好ましい。より高い循環比は混合の度合いを増大させ、反応器は等温運転に近づきより狭いポリマー分布をもたらす。しかし、より高い循環比は、また、より高い動力消費を招く。より低い循環比は、反応器内での混合量を減少させ、結果として、温度プロフィールにおける大きなずれが起こる。循環比がゼロに近づくと、反応器用の設計式は押出し流れ反応器モデル用のそれらに帰着する。他方、循環比が無限大に近づくと、モデル式はCSTR用のそれらに帰着する。CSTR条件が達成される場合、温度および組成の両方は一定のままであり、反応器を離れる製品流の組成は反応器中で循環する反応混合物の組成と同じである。言うまでもなく、平衡が確立された後、供給原料が系に入ってくるにつれて、製品の同一量が反応器回路から押し出される。従って、CSTR条件下で、製品流がそこで引き出される箇所は反応器構造とは無関係である。
【0035】
ライン15を通して系に入る供給原料は、あらゆるオレフィン含有流であることが可能である。ポリイソブチレンが好ましい製品である場合、供給原料は、例えば、イソブチレン濃縮物、デヒドロ流出物、または一般的なラフ−1流であることが可能である。これらの供給原料材料は、それぞれ、以下の表1、2および3に記載される。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
他方、ポリオレフィン製造用の適する流れは、一般に、表4および5に記載されるものなどの供給原料材料を含む。
【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
図2に関連すると共にさらに本発明の概念と原理に従って、並列運転用に配置される複数の反応器を組み込む運転システムが同じ全体生産速度用に寸法化された単一のより大きな反応器よりも大幅なさらなる運転柔軟性を提供することが、思いがけなく見出されてきた。実際、本発明の多反応器概念は、運転上のより少ない危険度、工程運転におけるさらなる柔軟性、より低い供給量(より高い転化率)、改善された反応器設計、および単位時間当りの増大した生産能力を提供する。さらに、本発明の多反応器概念は、システムが反応器2基を含む場合に、例えば、より大きな反応器でのパイロット・プラント運転の40:1スケールアップでなくて20:1のスケールアップを可能とする。これは、有意に、パイロット・プラントデータのスケールアップに伴う不確定要素を減少させる。
【0043】
本発明の概念および原理を具現化する多反応器システムは、それが包括的に参照番号200により識別される図2に示される。システム200は、示されるように反応側および冷却流体側両方での並列運転用に接続される2基の反応器202aおよび202bを含む。加えて、各反応器202a、202bは、望ましくは、それ自身の各循環系204a、204bを有する。理想的には、反応器202aおよび202bは同一であることが可能である。しかし、本発明の広範な態様に従い、反応器が同一であることは本発明の決定的な特性ではない。
【0044】
理想的には、反応器202a、202bは、それぞれ、本質的に図1に示される反応器100と同じであることが可能である。すなわち、反応器202a、202bは、それぞれ、上述のように各パスが百九十四3/8’’管を含む2パス反応器であることが可能である。図1に示される対応装置と本質的に同じものである図2に示される他の装置は、同じ参照番号で識別され、続いて場合に応じて「a」または「b」のいずれかを付ける。従って、反応器202a、202bは、それぞれ、供給原料入口ライン(15a、15b)、循環ポンプ(25a、25b)、循環ポンプサクションライン(20a、20b)、製品出口ライン(55a、55b)、触媒組成物入口ライン(30a、30b)およびメタノール入口ライン(16a、16b)を含む。図2において、多反応器系200用の共通供給原料入口ラインは参照番号215により識別され、多反応器系200用の共通製品出口ラインは参照番号255により識別される。
【0045】
本発明の多反応器システムは、転化率およびポリマー多分散性における利点を提供する。本発明の多反応器システムは、また、特定製品に必要な運転パラメータの平衡および進展がより迅速に達成されるという理由により、早期の単位操作の間に発生する不良品の量の減少を容易にする。
【0046】
本発明の多反応器系200の各反応器用の最適入口供給原料流量は、適切な冷却能力および最終段階処理能力により約15〜17ガロン/分である。すなわち、本発明の多反応器システム200によって、より高い流量(反応器当り>20ガロン/分)よりもこの流量でより高い転化率(70〜75%)が可能となる。これは、約120〜135秒の範囲にある増大した滞留時間の結果である。より高い転化率は多分散性における改善(減少)をもたらし、約1.7の多分散性は約950の数平均分子量(Mn)を有するPIB製品の製造用に本発明の多反応器システム200を使用することを通して達成することが可能であり、約2.2の多分散性は約2300のMnを有するPIB製品の製造用に本発明の多反応器システム200を使用することを通して達成することが可能である。同じ分子量の製品を製造するために単一反応器を用いる場合、達成することができた最善の多分散性は、それぞれ、1.9および2.3であった。
【0047】
上述の2反応器システムのため、供給原料および製品引き出し流量は、好ましくは、各反応器内の反応混合物の滞留時間が、例えば、約4分以下、約3分以下、理想的には約120〜約135秒、おそらくはなお約2分未満、および潜在的にはなお約1分以下ほど低くあることが可能であるように、選択することが可能である。
【0048】
本発明の多反応器系200は、また、さらに効率的な電力使用量をもたらす改善された圧力損失特性を有するより小さな反応器の使用を容易にする。これは、少なくとも部分的には、より大きな反応器が類似の循環線形流量を有するより長い反応器管を必要とすることが可能であるという事実によることが可能である。
【実施例】
【0049】
多反応器システムの使用を通して、この場合並列運転の2基の類似の反応器を用いて達成することができる運転特性における改善を測定するために試験を行った。試験プロトコルにより、試験を3相において行った。これらの相において、特に詳細に記載したもの以外のすべての運転パラメータを一定に保持した。第1相において、単一反応器を、70%を超える末端二重結合含量および約1600のMnを有する高度反応性ポリイソブチレンを製造するようなやり方において運転した。供給原料はイソブチレン濃縮物であり、循環流量を、触媒組成物と反応物質間の十分な混ぜ合わせおよび適正な冷却を提供するために適切な熱伝達係数を達成するためのレベルに維持した。単一反応器を、当初、27gpmの供給原料入口流量で運転した。後にこれを32gpmに上げた。第2相において、2反応器を並列で運転した。これらの並列反応器は、それぞれ、第1相の間に用いられた反応器と本質的に同じであった。この相の間、各反応器への供給原料入口流量は15gpmであった。再度、循環流量を、触媒組成物と反応物質間の十分な混ぜ合わせおよび適正な冷却を提供するために適切な熱伝達係数を達成するためのレベルに維持した。第3相において、設定は第2相と同じであった。この第3相における初期段階として、転化率を上げながら、一方で各反応器への供給原料入口流量を15gpmに維持し、次に、転化率を上げるために反応器のシェル側への冷水供給を下げた。その後、各反応器への供給原料入口流量を17gpmに上げた。これらの試験結果を以下の表6にまとめる。
【0050】
【表6】

【0051】
表6は各試験相の長さ、供給流量、反応温度、熱バランス転化率、反応器メーク流量、および冷却系データを示す。熱バランス転化率は、供給流量、反応熱、および冷水流量および反応器をはさんでの温度上昇に基づき評価した。冷水流量および温度上昇は、反応により生成する熱の量を決定し、反応熱および供給流量はPIBおよびオリゴマーに転化された供給量の百分率を計算するために用いられる。分当りのポンド(lb/分)で表される反応器メーク流量は、供給量および熱バランス転化率から計算される。
【0052】
単一反応器運転の間、反応器メーク流量は、31.7gpmの供給量により88lb/分で最大化した。供給量を32gpmに上げると、反応器メーク流量は落ち始め、そこで供給量はそれ以上に上げなかった。最高の反応器メーク流量は、各反応器への17gpm供給量での2基の反応器運転の間に達成された。一方各反応器への15gpm供給では、反応器メーク流量は、冷水供給温度を38°Fから30°Fに下げることにより、反応器当り45.9lb/分(全体で91.8lb/分)から反応器当り49.9lb/分(全体で99.8lb/分)に増大した。反応器メーク流量は、各反応器への供給量を15gpmから17gpmに上げることにより、さらに、反応器当り52.6lb/分(全体で105.2lb/分)に増大した。
【0053】
試験プログラムの相1の間、供給量を約8時間にわたり30.5gpmに保持した。1基および2基の反応器運転間の直接比較を、この時間帯の間の転化率を相3.1の間に得られた転化率と比較することにより行うことができる。相1の間、供給量はわずかに高かった(30.5対30gpm)が、しかし、冷水供給温度はわずかに低かった(28°F対相3.1間の30°F)。2基の反応器運転の場合に反応器温度が5°F低く運転されている(64°F対69°F)にもかかわらず、2基反応器運転における熱バランス転化率は、1基反応器運転での64%に対して73%であった。2基反応器運転では、単一反応器の場合に比べて熱除去用の2倍の滞留時間と2倍の表面積がある。追加の滞留時間は、何故反応温度を低くしなければならないかを説明し、追加の表面積は、何故転化率がより低い反応温度でさえより高いかを説明する。
【0054】
前述の観点から、2基の反応器が並列で用いられる場合、単一反応器に対して、転化率が増大し、多分散性が低下することは、容易に見ることができる。この結果は、多反応器概念が付随する滞留時間の増大により、各反応器へのより低い供給量を容易にするという理由で達成される。
【0055】
上述のように、ライン55(図1)または255(図2)を介して重合反応器系を出る製品は、例えば、水酸化アンモニウムなどの触媒活性を殺すことができる材料により、すぐに急冷することが好ましい。このようにして、あらゆる潜在的に望ましくない分子量の低下またはポリマー分子の再配列を最小化することが可能である。本発明のポリオレフィン製品は、次に、触媒塩を除去することが可能である以下に述べる洗浄系を含む仕上げ系に導くことが可能である。
【0056】
図3において、本発明の別の態様の概念および原理を具現化する洗浄系は、包括的に参照番号300により識別される。示されるように、システム300は、上流沈降槽302、および図3に示される本発明のこの態様の好ましい実施形態において、二つの下流沈降容器306、308を含む下流沈降系304を包含する。代わりに、下流沈降系304が製品の性質およびそこから除去しようとする残留触媒材料の性質に応じて、ただ一つの沈降容器かまたは3以上の沈降容器を好都合に含むことができるであろうことは、本明細書において留意されるべきである。
【0057】
システム300は、さらに、場合に応じてライン55またはライン255のいずれかと連結する入口ライン310、およびライン314を介して粗製品およびそれと共に混ぜ合わせた材料を沈降容器302中に送り込むポンプ312のサクション311を含む。ライン310を介してシステム300に入る粗製品中のあらゆる残留触媒の活性を殺すための薬剤を、ポンプ316およびライン318を介してライン310中に導入する。水溶液中のNH4OHは、ポリオレフィン製品中のあらゆる残留BF3/メタノール錯体の活性を殺すための特に良好な薬剤である。しかし、本発明は決してNH4OHの使用に限定するものではない。もっと正確に言えば、触媒不活性化剤の正確な性質は、完全に、触媒それ自身の性質および/または製品流中の製品の性質に応じて決まる。
【0058】
洗浄水を、ライン320を介してライン316中に導入し、粗製品と混合する。残留触媒組成物を含有する粗製品の混合物、触媒不活性化剤および洗浄水を、サクションライン311を介してポンプ312中に導入する。望ましくは、ポンプ312は、インペラの回転が水、触媒不活性化剤と触媒間の相互作用から得られる触媒塩、および粗ポリオレフィン製品が洗浄を通して達成されるようによく混ぜ合わされることを保証する遠心ポンプであることが可能である。加えて、ポンプ312は、追加混合のために混合物の一部をポンプサクションに戻すための流量制御装置324を含む循環ライン322を備えることが可能である。
【0059】
炭化水素製品、不活性化触媒塩および水の混合物を、ライン314を介して、炭化水素相がそれ自体公知であるやり方において重力の影響下水性相から分離される沈降容器302の内部沈降室中に導入する。望ましくは、この後者の関連で、触媒不活性化剤と触媒間の相互作用は、こうした塩の大部分が水性相中に存在するように、水溶性塩を形成する。
【0060】
上部の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を、オーバーヘッドライン326を介して容器302から除去し、ライン328を介して容器302から水性相を分離する。除去された水性相の一部を循環ライン330および流量制御器332を介して洗浄水入口ライン320に再循環する。除去された水性相の別の一部を、ドレンライン334および容器302における水性相のレベルを制御するレベル制御器336を介してシステムから排出する。ドレンライン334を、使用され汚染された洗浄水の埋立てまたは処分のいずれかのための系(示されていない)に連結する。
【0061】
望ましくは脱塩水であることが可能である容器302用の補給洗浄水を、ライン321を介してライン320中の循環ドレン水に添加する。これに関連して、補給洗浄水、入ってくる触媒不活性化剤、および排出される水性相のそれぞれの量を、すべて、システムに入ってくる不活性化剤の量が常に粗製品中の残留触媒の量に対して過剰にあることを保証するように制御することが好ましいことは留意されるべきである。
【0062】
ライン326中の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を、ライン340を介して送達される追加の洗浄水と共にポンプ338のサクション336中に導入する。ポンプ338は、望ましくは、ライン342を介して容器306中に混合物を送達する前に、水相と炭化水素相間の十分な混ぜ合わせを保証するためのポンプ312のような遠心ポンプであることが可能である。ポンプ338は、また、追加混合のために混合物の一部をポンプサクション336に戻すための循環ライン344および流量制御装置346を備えることが可能である。容器306中の2相混合物を重力の影響下で分離することを可能として、上部の炭化水素相と下部の水性相を形成する。
【0063】
上部の、さらに徹底して洗浄された粗ポリオレフィン製品相を、別のオーバーヘッド・ライン348を介して容器306から除去し、下部の沈降水性相を、ライン350を介して容器306から除く。除去された水性相の一部を、循環ライン352を介して洗浄水入口ライン340に戻し、除去された水性相の別の部分を、ドレンライン354および容器306中の水性相のレベルを制御するレベル制御器356を介して系から排出する。ドレンライン354をドレンライン334に連結する。
【0064】
ライン348中のさらに徹底して洗浄された粗ポリオレフィン製品相を、ライン358を介して導入される追加の洗浄水と混合する。粗ポリオレフィン製品相と追加の洗浄水の混合物を、再度、ライン359を介して2相混合物を重力の影響下で分離することを可能とする沈降容器308中に導入する。下部の水性相を、下部ライン360を介してポンプ362の影響下で容器308から除去し、その一部を、流量制御装置364、戻りライン366およびライン358を介してライン348に戻す。容器308を離れる水性相の別の部分を、ライン367および流量制御器369を介して再循環し、容器306における補給洗浄水としての使用のためライン340中に導入する。
【0065】
完全に洗浄された粗ポリオレフィン製品を、オーバーヘッドライン374を介して容器308から除去し、希釈剤、未反応モノマー、およびダイマー、トリマー、オリゴマーなどの不要なライト・エンドの除去のため下流の精製系(示されていない)に送る。
【0066】
再度望ましくは脱塩水であることが可能である容器308用の新鮮補給洗浄水を、ライン368を介して導入する。補給水をポンプ370およびライン372を介して系中に導入する。これに関連して、ライン372がライン321と接続して上流容器302用の新鮮補給水を提供し、ライン368と接続して下流の沈降系304用の新鮮補給水を個別に独立して提供することは、留意されるべきである。従って、余分の補給水を、上流沈降容器302において必要とされる触媒不活性化剤(NH4OH)を不必要に希釈することなしに、下流の沈降系304中に導入することが可能である。この結果は、上流容器用の洗浄系が下流沈降系304用の洗浄系とは完全に独立して運転されるという理由により達成される。上流の沈降容器302の水性相中の触媒不活性化剤の濃度が残留触媒の量に対して常に過剰にあることが好ましいことは、また、注目に値する。さらに、水性相中の触媒塩の濃度は、沈降を避けるために、常に十分低くあることが好ましい。従って、上流沈降容器302中に導入される新鮮補給水の量は綿密に制御することが必要であるが、一方で、下流の沈降系中に導入される新鮮補給水の量は大量であり、単に最終製品からできるだけ多くの汚染物を除去するための必要性により決定することが好ましい。従って、新鮮補給水のより低い流量は、触媒不活性化剤の使用量を最小化させるために上流沈降容器中で用いられるが、一方で、新鮮補給水の一層大きな流量は、より良好な洗浄を提供するために下流の沈降系において用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】多パス管状熱交換器および本発明に関連して有用である循環系を含む反応器システムの略図である。
【図2】本発明の概念および原理を具現化すると共に、並列運転用に配置された図1に示される種類の2基の反応器を用いる装置を示す工程系統図である。
【図3】図1および2の装置からの粗ポリオレフィン製品を受け取り、粗製品を洗浄しそこから残留触媒を除去するためにそれを処理するためのシステムを示す工程系統図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料入口を介して供給原料を受け取り、前記供給原料を複数の個別の流れに分割すると共に、それぞれの前記流れを供給原料出口のそれぞれ一つに送達するように適合され且つ配置される、供給原料入口および複数の供給原料出口を含むオレフィン含有供給原料分配組立品、
(1)反応領域を規定する構造であって、前記領域におけるオレフィン重合反応混合物での発熱オレフィン重合反応の遂行を容易にするために適合され且つ配置され、前記領域と流体連絡して配置される入口および出口接続部を含む構造と(2)前記領域中に前記反応混合物を循環するために配置され且つ適合されるポンプを含む循環系をそれぞれが含む複数の反応器、
それぞれの反応器の入口接続部と流体連絡して接続されるそれぞれの前記供給原料出口、
それぞれの入口接続部を介しての前記領域中への供給原料導入とは独立に、そのそれぞれの領域中に反応混合物を循環するために適合され配置されるそれぞれの前記循環系、
それぞれの粗ポリオレフィン製品入口がそれぞれの反応器の出口接続部と流体連絡して接続される、複数の粗ポリオレフィン製品入口および粗ポリオレフィン製品出口を含む粗ポリオレフィン製品収集組立品、
を含むオレフィン重合用の装置。
【請求項2】
前記反応器を2つ含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項3】
少なくとも前記反応器を3つ含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項4】
触媒組成物を前記領域中において前記循環オレフィン重合反応混合物中に導入するために適合され配置される、各反応領域と流体連絡する各触媒組成物入口、および触媒調整剤を触媒組成物の導入流量とは独立の流量で前記循環オレフィン重合反応混合物中に導入するために適合され配置される、各前記反応領域と流体連絡する各触媒調整剤入口を含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項5】
各前記触媒調整剤入口がその対応する触媒組成物入口から離れている、請求項4に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項6】
複数の沈降容器、関連配管および触媒不活性化剤用入口を含む粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムであって、前記粗ポリオレフィン製品出口から粗ポリオレフィン製品を受け取り、それから残留触媒を除去するために適合され配置される粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムを含む、請求項1または請求項4に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項7】
前記粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムが、
粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、該製品と該媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する上流沈降容器、
前記粗ポリオレフィン製品出口に接続され、前記上流沈降容器の室と流体連絡して配置される粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する触媒不活性化剤入口導管、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する第1補給水入口通路、
部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、前記製品と前記媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する少なくとも一つの下流沈降容器を含む下流沈降系、
前記上流沈降容器の室を前記下流沈降系と連結する部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する洗浄された粗オレフィン重合製品出口ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する第2補給水入口通路、
前記上流沈降容器の室を排水受け入れ系への入口接続部に連絡する第1ドレン管路、および
前記下流沈降系を前記入口接続部に連絡する第2ドレン管路、
を含む、請求項6に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項8】
各前記反応器が、前記反応領域がその管側上にあるように構成され配置される管状熱交換器を含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項9】
各該反応器が内部反応領域を規定する複数の反応器を含む反応器システムを提供し、
各反応領域においてオレフィン重合反応混合物での発熱オレフィン重合反応を行い、
オレフィン含有供給原料を供給すると共に、それを複数の個別の供給原料流に分割し、
前記オレフィン含有供給原料流の個別の1本を各反応器の反応領域中に導入し、
反応領域中への供給原料の各流れの導入流量とは独立である流量で、各反応器において反応混合物を個別に循環し、
前記反応器のそれぞれから粗ポリオレフィン製品流を除去し、および
前記粗ポリオレフィン製品流を混合して単一の粗製品流を形成すること、
を含むオレフィン重合用の方法。
【請求項10】
前記システムが前記反応器を2つ含み、前記オレフィン重合反応混合物が二つの個別の流れに分割される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記システムが少なくとも前記反応器を3つ含み、前記オレフィン重合反応混合物が少なくとも三つの個別の流れに分割される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
触媒および触媒調整剤を含む触媒組成物の存在下、オレフィン重合反応混合物での発熱オレフィン重合反応の前記領域における遂行をしやすくするように適合され配置される、反応領域を規定すると共にオレフィン重合反応混合物入口接続部およびオレフィン重合反応混合物出口接続部を含み、該接続部が反応領域と流体連絡している反応器、
前記領域における反応混合物中へのオレフィン含有供給原料の導入用の入口、
前記領域中へのオレフィン含有供給原料の導入流量とは独立である流量で、前記領域中に前記反応混合物を循環するために配置され適合されるポンプを含む循環系、
前記領域における反応混合物中への触媒組成物の導入用の前記領域と流体連絡する触媒組成物入口、および
前記領域における反応混合物中への触媒組成物の導入流量とは独立の流量で、前記領域における反応混合物中への触媒調整剤の導入用の前記領域と流体連絡する少なくとも一つの触媒調整剤入口、
を含むオレフィン重合用の反応器装置。
【請求項13】
前記触媒組成物入口が前記触媒調整剤入口から離れている、請求項12に記載のオレフィン重合用の反応器装置。
【請求項14】
前記触媒組成物入口が前記循環系の一部である配管に接続される、請求項12に記載のオレフィン重合用の反応器装置。
【請求項15】
オレフィン重合反応器の反応領域中にオレフィン重合反応混合物を循環し、
オレフィン含有供給原料を前記循環オレフィン重合反応混合物中に導入し(該オレフィン重合反応混合物は前記領域中への前記供給原料の導入流量とは独立の流量で循環される)、
触媒および触媒調整剤を含む触媒組成物を前記反応混合物中に導入し、
前記重合反応混合物を前記触媒組成物の存在下前記領域中において発熱オレフィン重合反応条件にさらし、
前記領域中への前記触媒組成物の導入流量とは独立の流量で前記循環オレフィン重合反応混合物中へ触媒調整剤を導入すること、
を含むオレフィン重合反応を行うための方法。
【請求項16】
ポリイソブチレンを調製するための液相重合法であって、
イソブチレンを含む供給原料を提供し、
BF3錯体および錯化剤を含む触媒組成物を提供し、
反応領域における反応混合物中に前記供給原料および前記触媒組成物を導入し、
前記反応混合物、前記供給原料および前記触媒組成物を十分に混ぜ合わせて、前記反応領域中によく混じった反応混合物を提供し、
それが前記反応領域にある間よく混じった反応混合物をそのよく混じった状態に維持し、それによってイソブチレンがその中で重合を行ってポリイソブチレンを形成し、
前記錯化剤の追加量を、前記触媒組成物の導入流量とは独立の流量で前記のよく混じった反応混合物中へ導入し、および
ポリイソブチレンを含む製品流を前記反応領域から引き出すこと、
を含む方法。
【請求項17】
前記反応領域が、第1体積流量で連続的に反応混合物が循環され、前記供給原料および前記触媒組成物が組合せ第2体積流量で連続的に導入されるループ型反応器を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記錯化剤がメタノールを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
製品が高度反応性ポリイソブチレンであり、前記触媒組成物中のBF3対メタノール比が約0.59:1以上である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
製品が高度反応性ポリイソブチレンであり、前記触媒組成物中のBF3対メタノール比が約0.59:1〜約0.62:1の範囲にある、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
製品が高度反応性ポリイソブチレンであり、十分な量のメタノールが、前記のよく混じった反応混合物触媒組成物中におけるBF3対メタノール比が反応過程中約0.59:1〜約0.60:1の範囲に維持されるように独立に導入される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
十分な量のメタノールが、前記のよく混じった反応混合物触媒組成物中におけるBF3対メタノール比が反応過程中ほぼ0.59:1〜約0.62:1で維持されるように独立に導入される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記のよく混じった反応混合物触媒組成物が少なくとも約0℃の温度で維持され、一方で、前記反応領域においても同じである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記反応領域中への前記供給原料の導入および反応領域からの前記製品流の引き出しを、反応領域において重合を行うイソブチレンの滞留時間が約4分以下であるように制御することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記反応領域中への前記供給原料の導入および反応領域からの前記製品流の引き出しを、反応領域において重合を行うイソブチレンの滞留時間が約4分以下であるように制御することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記反応領域中への前記供給原料の導入および反応領域からの前記製品流の引き出しが、反応領域において重合を行うイソブチレンの滞留時間が約3分以下であるように制御される、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記反応領域中への前記供給原料の導入および反応領域からの前記製品流の引き出しが、反応領域において重合を行うイソブチレンの滞留時間が約200秒以下であるように制御される、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項28】
粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、前記製品と前記媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する上流沈降容器、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する触媒不活性化剤入口導管、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する第1補給水入口通路、
部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、前記製品と前記媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する少なくとも一つの下流沈降容器を含む下流沈降系、
前記上流沈降容器の室を前記下流沈降系と連結する部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する洗浄粗オレフィン重合製品出口ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する第2補給水入口通路、
前記上流沈降容器の室を排水受け入れ系への入口接続部に連絡する第1ドレン管路、および
前記下流沈降系を前記入口接続部に連絡する第2ドレン管路、
を含む粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システム。
【請求項29】
前記下流沈降系が、それら下流沈降容器のそれぞれが部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け取り、該製品および該媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置されるそれぞれの内部沈降室を規定する第1および第2下流沈降容器を含み、前記の部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ラインが前記第1沈降容器の室を前記第1下流沈降容器の室と連結し、前記第1下流沈降容器の室を前記第2下流沈降容器の室と連結する第2オーバーヘッド製品ラインを含み、および前記第2ドレンラインが前記第1下流沈降容器の室を前記入口接続部と連結する、請求項28に記載の粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システム。
【請求項30】
前記粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン中に位置付けられる第1遠心ポンプ、前記触媒不活性化剤入口導管および該ポンプのサクション側から上流に当たる1以上の箇所で前記粗触媒含有オレフィン重合製品入口ラインに接続される前記第1補給水入口通路、および前記の部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン中に位置付けられる第2遠心ポンプを含み、該ポンプは粗オレフィン重合製品および水性洗浄媒体を徹底的に混合するために運転可能である、請求項29に記載の粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システム。
【請求項31】
製品中のさらなる反応を避け、それから残留触媒を除去するために、残留触媒を含有する触媒的に形成された粗ポリオレフィン製品を処理するための方法であって、
粗残留触媒含有ポリオレフィン製品と触媒不活性化剤を含有する第1水性媒体をよく混ぜ合わせて、それによって、第1のよく混じった2相の重力分離可能な混合物を形成し、
前記の第1の2相混合物を第1沈降領域中に導入し、それが重力影響下で前記第1領域中において沈降して上部の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および溶解触媒塩を含有する第1下部水性相を与えることを可能とし、
前記第1沈降領域から前記第1下部水性相を引き出し、その第1部分を循環し、それを前記第1水性媒体の一部として包有物用に前記の第1の2相混合物中に導入し、
前記第1下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
第1量の補給水を前記第1水性媒体の一部として包有物用に前記の第1の2相混合物中に導入し、
前記第1沈降領域から前記の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を引き出し、それを第2水性媒体とよく混ぜ合わせて、それによって、第2のよく混じった2相の重力分離可能混合物を形成し、
前記の第2の2相混合物を第2沈降領域中に導入し、それが重力の影響下前記第2領域中で沈降して上部のさらに十分に洗浄された粗ポリオレフィン製品相と第2下部水性相を与えることを可能とし、
前記第2沈降領域から前記第2下部水性相を引き出し、その第1部分を循環し、それを前記第2水性媒体の一部として包有物用に前記の第2の2相混合物中に導入し、
前記第2下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
前記のさらに十分に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を前記第2沈降領域から除去し、および
補給水の第2個別量を前記第2水性媒体の一部として包有物用に前記の第2の2相混合物中に導入すること、
を含む方法。
【請求項32】
前記触媒がBF3を含み、前記触媒不活性化剤がNH4OHを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記のよく混ぜ合わせる操作が遠心ポンプを用いて行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記補給水が脱塩水を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記触媒不活性化剤が、完全に触媒を殺すために必要とされる量に対して過剰であるレベルで前記第1水性媒体中に維持される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
残留触媒を除去するために粗ポリオレフィン製品を洗浄するための方法であって、
残留触媒を含有する粗オレフィン重合製品および触媒不活性化剤を含有する第1水性媒体を含む、第1のよく混じった2相混合物を形成し、
前記の第1の2相混合物を第1沈降領域中に導入し、前記の第1の2相混合物が重力影響下で前記領域中において沈降することを引き起こして上部の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および溶解触媒塩を含有する第1下部水性相を与え、
前記第1沈降領域から前記第1下部水性相を除去し、前記第1水性媒体の一部として前記の第1の2相混合物中の包有物用にその第1部分を循環し、
前記第1下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
前記第1沈降領域から前記の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を除去し、それを第2水性媒体とよく混ぜ合わせて、それによって、第2の2相混合物を形成し、
前記の第2の2相混合物を第2沈降領域中に導入し、前記の第2の2相混合物が重力影響下でその中で沈降することを引き起こして上部の中間的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および第2下部水性相を与え、
前記第2沈降領域から前記第2下部水性相を除去し、前記第2水性媒体の一部として前記の第2の2相混合物中の包有物用にその第1部分を循環し、
前記第2下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
前記の中間的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を前記第2沈降領域から除去し、それを第3水性媒体と混ぜ合わせて、それによって、第3の2相混合物を形成し、
前記の第3の2相混合物を第3沈降領域中に導入し、前記の第3の2相混合物が重力影響下その中で沈降することを引き起こして上部のさらに完全に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および第3下部水性相を与え、
前記第3沈降領域から前記第3下部水性相を除去し、前記第3水性媒体の一部として前記の第3の2相混合物中の包有物用にその第1部分を循環し、
前記第2水性媒体の一部として前記の第2のよく混じった2相混合物中の包有物用に前記第3下部水性相の第2部分を循環し、
補給水の第1量を前記第1水性媒体の一部としてその中での包有物用に前記の第1のよく混じった2相混合物中に導入し、および
補給水の第2個別量を前記第3水性媒体の一部としてその中での包有物用に前記の第3のよく混じった2相混合物中に導入すること、
を含む方法。
【請求項37】
製品がミッドレンジ・ビニリデン含量ポリイソブチレンであり、前記触媒組成物中のBF3対メタノール比が約1:1である、請求項18に記載の方法。
【請求項38】
製品がミッドレンジ・ビニリデン含量ポリイソブチレンであり、前記のよく混じった反応混合物触媒組成物中のBF3対メタノール比が反応過程中ほぼ1:1に維持されるように、十分な量のメタノールが独立に導入される、請求項19に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料入口を介して供給原料を受け取り、前記供給原料を複数の個別の流れに分割すると共に、それぞれの前記流れを供給原料出口のそれぞれ一つに送達するように適合され且つ配置される、供給原料入口および複数の供給原料出口を含むオレフィン含有供給原料分配組立品、
(1)反応領域を規定する構造であって、前記領域におけるオレフィン重合反応混合物での発熱オレフィン重合反応の遂行を容易にするために適合され且つ配置され、前記領域と流体連絡して配置される入口および出口接続部を含む構造と(2)前記領域中に前記反応混合物を循環するために配置され且つ適合されるポンプを含む循環系、とをそれぞれが含む複数の反応器、
それぞれの反応器の入口接続部と流体連絡して接続されるそれぞれの前記供給原料出口、
それぞれの入口接続部を介しての前記領域中への供給原料導入とは独立に、そのそれぞれの領域中に反応混合物を循環するために適合され配置されるそれぞれの前記循環系、
それぞれの粗ポリオレフィン製品入口がそれぞれの反応器の出口接続部と流体連絡して接続される、複数の粗ポリオレフィン製品入口および粗ポリオレフィン製品出口を含む粗ポリオレフィン製品収集組立品、
を含み、前記反応器が平行に配置され且つ接続されている、オレフィン重合用の装置。
【請求項2】
前記反応器を2つ含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項3】
少なくとも前記反応器を3つ含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項4】
触媒組成物を前記領域中において前記循環オレフィン重合反応混合物中に導入するために適合され配置される、各反応領域と流体連絡する各触媒組成物入口、および触媒調整剤を触媒組成物の導入流量とは独立の流量で前記循環オレフィン重合反応混合物中に導入するために適合され配置される、各前記反応領域と流体連絡する各触媒調整剤入口を含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項5】
各前記触媒調整剤入口がその対応する触媒組成物入口から離れている、請求項4に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項6】
複数の沈降容器、関連配管および触媒不活性化剤用入口を含む粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムであって、前記粗ポリオレフィン製品出口から粗ポリオレフィン製品を受け取り、それから残留触媒を除去するために適合され配置される粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムを含む、請求項1または請求項4に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項7】
前記粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システムが、
粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、該製品と該媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する上流沈降容器、
前記粗ポリオレフィン製品出口に接続され、前記上流沈降容器の室と流体連絡して配置される粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する触媒不活性化剤入口導管、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する第1補給水入口通路、
部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、前記製品と前記媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する少なくとも一つの下流沈降容器を含む下流沈降系、
前記上流沈降容器の室を前記下流沈降系と連結する部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する洗浄された粗オレフィン重合製品出口ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する第2補給水入口通路、
前記上流沈降容器の室を排水受け入れ系への入口接続部に連絡する第1ドレン管路、および
前記下流沈降系を前記入口接続部に連絡する第2ドレン管路、
を含む、請求項6に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項8】
各前記反応器が、前記反応領域がその管側上にあるように構成され配置される管状熱交換器を含む、請求項1に記載のオレフィン重合用の装置。
【請求項9】
各反応器が内部反応領域を規定する平行に配置された複数の反応器を含む反応器システムを提供し、
オレフィン含有供給原料を供給すると共に、それを複数の個別の供給原料流に分割し、
前記オレフィン含有供給原料流の個別の1本を各反応器の反応領域中に導入し、
各反応領域においてオレフィン重合反応混合物での発熱オレフィン重合反応を行い、
前記発熱オレフィン重合反応を行いながら反応領域中への供給原料の各流れの導入流量とは独立である流量で、各反応器において反応混合物を個別に循環し、
前記反応器のそれぞれから粗ポリオレフィン製品流を除去し、および
前記粗ポリオレフィン製品流を混合して単一の粗製品流を形成すること、
を含むオレフィン重合方法。
【請求項10】
前記システムが前記反応器を2つ含み、前記オレフィン重合反応混合物が二つの個別の流れに分割される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記システムが少なくとも前記反応器を3つ含み、前記オレフィン重合反応混合物が少なくとも三つの個別の流れに分割される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、前記製品と前記媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する上流沈降容器、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する触媒不活性化剤入口導管、
前記上流沈降容器の室と流体連絡する第1補給水入口通路、
部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け入れ、前記製品と前記媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置される内部沈降室を規定する少なくとも一つの下流沈降容器を含む下流沈降系、
前記上流沈降容器の室を前記下流沈降系と連結する部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する洗浄粗オレフィン重合製品出口ライン、
前記下流沈降系と流体連絡する第2補給水入口通路、
前記上流沈降容器の室を排水受け入れ系への入口接続部に連絡する第1ドレン管路、および
前記下流沈降系を前記入口接続部に連絡する第2ドレン管路、
を含む粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システム。
【請求項13】
前記下流沈降系が、それら下流沈降容器のそれぞれが部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品と水性洗浄媒体の混合物を受け取り、該製品および該媒体が重力の影響下その中で分離することを可能とするために適合され配置されるそれぞれの内部沈降室を規定する第1および第2下流沈降容器を含み、前記の部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ラインが前記第1沈降容器の室を前記第1下流沈降容器の室と連結し、前記第1下流沈降容器の室を前記第2下流沈降容器の室と連結する第2オーバーヘッド製品ラインを含み、および前記第2ドレンラインが前記第1下流沈降容器の室を前記入口接続部と連結する、請求項12に記載の粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システム。
【請求項14】
前記粗触媒含有オレフィン重合製品入口ライン中に位置付けられる第1遠心ポンプ、前記触媒不活性化剤入口導管および該ポンプのサクション側から上流に当たる1以上の箇所で前記粗触媒含有オレフィン重合製品入口ラインに接続される前記第1補給水入口通路、および前記の部分的に洗浄されたオーバーヘッドポリオレフィン製品ライン中に位置付けられる第2遠心ポンプを含み、該ポンプは粗オレフィン重合製品および水性洗浄媒体を徹底的に混合するために運転可能である、請求項13に記載の粗ポリオレフィン製品触媒除去および洗浄システム。
【請求項15】
製品中のさらなる反応を避け、それから残留触媒を除去するために、残留触媒を含有する触媒的に形成された粗ポリオレフィン製品を処理するための方法であって、
粗残留触媒含有ポリオレフィン製品と触媒不活性化剤を含有する第1水性媒体をよく混ぜ合わせて、それによって、第1のよく混じった2相の重力分離可能な混合物を形成し、
前記の第1の2相混合物を第1沈降領域中に導入し、それが重力影響下で前記第1領域中において沈降して上部の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および溶解触媒塩を含有する第1下部水性相を与えることを可能とし、
前記第1沈降領域から前記第1下部水性相を引き出し、その第1部分を循環し、それを前記第1水性媒体の一部として包有物用に前記の第1の2相混合物中に導入し、
前記第1下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
第1量の補給水を前記第1水性媒体の一部として包有物用に前記の第1の2相混合物中に導入し、
前記第1沈降領域から前記の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を引き出し、それを第2水性媒体とよく混ぜ合わせて、それによって、第2のよく混じった2相の重力分離可能混合物を形成し、
前記の第2の2相混合物を第2沈降領域中に導入し、それが重力の影響下前記第2領域中で沈降して上部のさらに十分に洗浄された粗ポリオレフィン製品相と第2下部水性相を与えることを可能とし、
前記第2沈降領域から前記第2下部水性相を引き出し、その第1部分を循環し、それを前記第2水性媒体の一部として包有物用に前記の第2の2相混合物中に導入し、
前記第2下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
前記のさらに十分に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を前記第2沈降領域から除去し、および
補給水の第2個別量を前記第2水性媒体の一部として包有物用に前記の第2の2相混合物中に導入すること、
を含む方法。
【請求項16】
前記触媒がBF3を含み、前記触媒不活性化剤がNH4OHを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記のよく混ぜ合わせる操作が遠心ポンプを用いて行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記補給水が脱塩水を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒不活性化剤が、完全に触媒を殺すために必要とされる量に対して過剰であるレベルで前記第1水性媒体中に維持される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
残留触媒を除去するために粗ポリオレフィン製品を洗浄するための方法であって、
残留触媒を含有する粗オレフィン重合製品および触媒不活性化剤を含有する第1水性媒体を含む、第1のよく混じった2相混合物を形成し、
前記の第1の2相混合物を第1沈降領域中に導入し、前記の第1の2相混合物が重力影響下で前記領域中において沈降することを引き起こして上部の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および溶解触媒塩を含有する第1下部水性相を与え、
前記第1沈降領域から前記第1下部水性相を除去し、前記第1水性媒体の一部として前記の第1の2相混合物中の包有物用にその第1部分を循環し、
前記第1下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
前記第1沈降領域から前記の部分的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を除去し、それを第2水性媒体とよく混ぜ合わせて、それによって、第2の2相混合物を形成し、
前記の第2の2相混合物を第2沈降領域中に導入し、前記の第2の2相混合物が重力影響下でその中で沈降することを引き起こして上部の中間的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および第2下部水性相を与え、
前記第2沈降領域から前記第2下部水性相を除去し、前記第2水性媒体の一部として前記の第2の2相混合物中の包有物用にその第1部分を循環し、
前記第2下部水性相の第2部分を処分または埋立て用のドレンに導き、
前記の中間的に洗浄された粗ポリオレフィン製品相を前記第2沈降領域から除去し、それを第3水性媒体と混ぜ合わせて、それによって、第3の2相混合物を形成し、
前記の第3の2相混合物を第3沈降領域中に導入し、前記の第3の2相混合物が重力影響下その中で沈降することを引き起こして上部のさらに完全に洗浄された粗ポリオレフィン製品相および第3下部水性相を与え、
前記第3沈降領域から前記第3下部水性相を除去し、前記第3水性媒体の一部として前記の第3の2相混合物中の包有物用にその第1部分を循環し、
前記第2水性媒体の一部として前記の第2のよく混じった2相混合物中の包有物用に前記第3下部水性相の第2部分を循環し、
補給水の第1量を前記第1水性媒体の一部としてその中での包有物用に前記の第1のよく混じった2相混合物中に導入し、および
補給水の第2個別量を前記第3水性媒体の一部としてその中での包有物用に前記の第3のよく混じった2相混合物中に導入すること、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−515385(P2006−515385A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501268(P2006−501268)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011428
【国際公開番号】WO2004/101128
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(503351803)テキサス ペトロケミカルズ リミティド パートナーシップ (5)
【Fターム(参考)】