説明

ポリカーボネート樹脂の製造方法

本発明は、高分子量のポリカーボネート樹脂の製造方法に係り、さらに詳細には、縮合重合段階を導入することにより、エステル交換反応の結果として収得した重合度3未満の反応副産物の末端基及び未反応ジアリールカーボネート内に存在するアリールカーボネートのモル分率を下げて固相重合し、高分子量のポリカーボネート樹脂を提供できる。本発明によれば、同じ分子量のポリカーボネートを製造するのに所要する時間を顕著に短縮させることができ、有毒物質であるホスゲンを使用せずとも、危険性がなく、かつ品質低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合重合段階を導入し、エステル交換反応の結果として収得した重合度3未満の反応副産物の末端基、及び未反応ジアリールカーボネート内に存在するアリールカーボネートのモル分率を下げ、固相重合後にシロキサン系ポリカーボネート及びポリエステルカーボネートのようなポリカーボネート樹脂の分子量増加を最大化できるだけではなく、同じ分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに所要する時間を顕著に短縮させることができるポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、機械的強度、透明性などに非常にすぐれ、コンパクトディスク、透明シート、包装材、自動車バンパー、紫外線遮断フィルムなどの製造に広範囲に使用されており、その需要量が急増している。
【0003】
しかし、ポリカーボネートは、一般的な溶剤に露出される場合、クレージング(crazing)またはクラック現象を示すなど、耐溶剤性が落ち、低温で衝撃強度が低いという問題点がある。従って、かかる問題点を改善するために、さまざまな改質ポリカーボネートが試みられ、そのうち、シロキサン系ポリカーボネート及びポリエステルカーボネートは、特に、低温衝撃強度、成形性及び流動性の面で優秀な特性を表す。
【0004】
かかるポリカーボネートの製造において、従来の生産工程としては、ホスゲンを使用する界面重合工程、ホスゲンを使用しない溶融重合工程、及び固相重合工程に分けることができる。
【0005】
界面重合工程は、米国特許第5,530,083号明細書に記述されているように、芳香族ヒドロキシ化合物、ジヒドロキシ化合物、ホスゲン、及び触媒をヒドロキシアリール末端基を有するジオルガノポリシロキサンと反応させることを含む。前記方法は、高分子量のシロキサン系ポリカーボネート樹脂を連続工程で比較的容易に生産できるが、有毒な毒ガスと公害物質である塩素系有機溶媒とを使用するので危険性が非常に大きく、それによる莫大な設備費用が要求されるという問題点がある。
【0006】
一方、溶融重合工程は、米国特許第6,252,013号明細書及び同第6,232,429号明細書で開示されているように、出発物質を溶融させた状態で重合を行い、ポリエステルカーボネートを製造する方法を開示している。前記方法は、有毒物質を使用せずに危険性が少ないという長所があるが、高分子量の押出し用ポリカーボネートを生産するためには、高粘度の反応物処理時に、高温、高真空の設備が必要であるだけではなく、それにより、品質が低下するという問題点がある。
【0007】
一方、固相重合工程は、低分子量のポリカーボネートプレポリマーを結晶化させた後、溶融温度より低い範囲の温度で重合反応を進める方法であり、有毒物質を使用せず、固相で反応が進められるので、品質低下を防止できるが、一般的に知らされた固相重合工程は、比較的低分子量(重量平均分子量:2,000ないし20,000g/mol)のプレポリマーと共に存在する重合度3未満の反応副産物、及び未反応ジアリールカーボネートの除去工程なしに、そのまま結晶化工程及び固相重合工程を経ることにより、芳香基とアリールカーボネートとの間の大きいモル比差により、短時間内に高分子量のポリカーボネートを得られないという問題点がある。
【0008】
従って、危険性がなく、品質低下を防止でき、高分子量のポリカーボネートを短時間内に経済的に製造できる製造方法に対する研究がさらに必要である実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような問題点を解決するために、本発明の第一の技術的課題は、減圧縮合反応段階を導入して固相重合反応段階の反応時間を短縮し、有毒物質であるホスゲンを使用せずに、危険性がなく、品質低下を防止できる効果のあるポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の第二の技術的課題は、前記方法により製造されたポリカーボネート樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記第一の課題を達成するために、本発明は、a)芳香族ジヒドロキシ化合物、ジアリールカーボネート、及びポリシロキサンを触媒下で溶融及びエステル交換反応し、重量平均分子量(M)が1,500ないし20,000g/molである低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを製造する段階と、b)前記a)段階の低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを縮合重合し、重量平均分子量が10,000ないし30,000g/molである中分子量の非結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、c)前記b)段階の中分子量の非結晶性ポリカーボネートで結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、d)前記c)段階の結晶性ポリカーボネートを固相重合し、重量平均分子量が20,000ないし200,000g/molである高分子量のポリカーボネートを製造する段階とを含むポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、a)芳香族ジヒドロキシ化合物、ジアリールカーボネート、及びジカルボン酸化合物を触媒下でエステル交換反応し、重量平均分子量が1,500ないし20,000g/molである低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを製造する段階と、b)前記a)段階の低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを縮合重合し、重量平均分子量が10,000ないし30,000g/molである中分子量の非結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、c)前記b)段階の中分子量の非結晶性ポリカーボネートで結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、d)前記c)段階の結晶性ポリカーボネートを固相重合し、重量平均分子量が20,000ないし200,000g/molのポリカーボネートを製造する段階とを含むポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0013】
前記第二の課題を達成するために、本発明は、前記方法により製造されたポリカーボネート樹脂を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリカーボネートの製造方法は、減圧縮合反応段階を導入して固相重合反応段階の反応時間を短縮し、有毒物質であるホスゲンを使用せずに、危険性がなく、品質低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、ポリカーボネートの分子量を短時間内に大きく向上させることができる方法について研究していたところ、一定の反応温度で減圧または窒素注入下で縮合重合する反応段階を導入することにより、エステル交換反応の結果として収得した重合度3未満の反応副産物の末端基、及び未反応ジアリールカーボネート内に存在するアリールカーボネートのモル分率を下げ、固相重合後にポリカーボネートの分子量増加を最大化できるだけではなく、同じ分子量のポリカーボネートを製造するのに所要する時間を顕著に短縮させることができるということを発見し、本発明を完成するに至った。
【0016】
第1段階:エステル交換反応の段階
【0017】
本発明の出発原料物質のうち一つである前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記化学式1で表示される化合物を使用できる:
【0018】
【化1】


【0019】
前記化学式1で、R及びRは、それぞれ独立的にハロゲン原子または炭素数1ないし8のアルキル基であり、それぞれ独立的には、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子、またはメチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、二級ブチル基、三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、またはオクチル基のような炭素数1ないし8のアルキル基であり、
【0020】
Zは、単一結合であるか、または炭素数1ないし8のアルキレン基、炭素数2ないし8のアルキリデン基、炭素数5ないし15のシクロアルキレン基、炭素数5ないし15のシクロアルキリデン基、−S、−SO−、−SO−、−O−、−CO−、下記化学式2で表示される化合物、または下記化学式3で表示される化合物である。このとき、炭素数1ないし8のアルキレン基または炭素数2ないし8のアルキリデン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、エチリデン基、またはイソプロピリデン基などがあり、炭素数5ないし15のシクロアルキレン基または炭素数5ないし15のシクロアルキリデン基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシレン基、シクロペンチリデン基、またはシクロヘキシリデン基などがあり、a及びbはそれぞれ独立的に0ないし4の整数である。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
前記化学式1で表示される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロフェニル)ブタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、または1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、またはビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルのようなビス(ヒドロキシアリール)エーテル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)硫化物、またはビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)硫化物のようなビス(ヒドロキシアリール)硫化物;ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、またはビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドのようなビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、またはビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンのようなビス(ヒドロキシアリール)スルホン;または4,4’−ジヒドロキシフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニル、または3,3−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのようなジヒドロキシビフェニルを使用できる。
【0024】
前記化学式1で表示される化合物以外に使用可能な芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ジヒドロキシベンゼン、ハロゲン、またはアルキル置換されたジヒドロキシベンゼンを含み、その例としては、レソルシノール、3−メチルレソルシノール、3−エチルレソルシノール、3−プロピルレソルシノール、3−ブチルレソルシノール、3−t−ブチルレソルシノール、3−フェニルレソルシノール、3−クミルレソルシノール、2,3,4,6−テトラフルオロレソルシノール、2,3,4,6−テトラブロモレソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、3−メチルヒドロキノン、3−エチルヒドロキノン、3−プロピルヒドロキノン、3−ブチルヒドロキノン、3−t−ブチルヒドロキノン、3−フェニルヒドロキノン、3−クミルヒドロキノン、2,5−ジクロロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、または2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなどがある。
【0025】
本発明の芳香族ジヒドロキシ化合物として最も望ましいのは、ビスフェノールAである。
【0026】
本発明のジアリールカーボネートは、下記化学式4で表示される化合物、または下記化学式5で表示される化合物を使用できる:
【0027】
【化4】

【0028】
前記化学式4で、Ar及びArは、それぞれ独立的にアリール基であり、
【0029】
【化5】

【0030】
前記化学式5で、Ar及びArは、それぞれ独立的にアリール基であり、Dは、前記化学式1で表示される芳香族ジヒドロキシ化合物から2個の水酸基を除去して収得された残基である。
【0031】
前記化学式4または化学式5で表示されるジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(m−クレシル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、またはビスフェノールA−ビスフェノールカーボネートなどがある。
【0032】
前記ジアリールカーボネートとして最も望ましいのは、ジフェニルカーボネートである。
本発明のポリシロキサン化合物は、下記化学式6で表示される化合物を使用できる。
【0033】
【化6】

【0034】
前記化学式6で、nは1ないし500の整数であり、R、R’、R及びR’は、それぞれ独立的に水素原子または炭素原子数1ないし20のアルキル基であり、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が独立的にハロゲン原子に置換され、R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1ないし20の直鎖型または分枝型のアルキレン基、炭素原子数6ないし30の単環または多環のアリーレン基、または−R−X−R−であり、前記R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1ないし20の置換または非置換のアルキレン基、または炭素原子数6ないし30の置換または非置換のアリーレン基であり、
Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO−、または−CO−である。
【0035】
前記化学式6で表示されるポリシロキサン化合物としては、ポリジアルキルシロキサン−ビスアルキルオキシアルコールなどがある。
【0036】
前記ポリシロキサン化合物として最も望ましいのは、下記化学式7で表示される化合物である。
【0037】
【化7】

【0038】
前記化学式7で、xは1ないし500の整数である。
本発明のジカルボン酸化合物としては、下記化学式8で表示される化合物を使用できる。
【0039】
【化8】

【0040】
前記化学式8で、Rは、炭素数4ないし30の置換または非置換のアリール基、炭素数1ないし10のアルキル基、または炭素数5ないし30のシクロアルキル基である。
【0041】
前記ジカルボン酸化合物の例としては、1,10−デカンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、デカンジオン酸、ドデカンジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらの組み合わせにより構成された群から選択されうる。
【0042】
前記ジカルボン酸化合物として最も望ましいのは、1,10−デカンジカルボン酸である。
【0043】
前記ジカルボン酸化合物は、ジアリールカーボネート化合物1モルに対して1ないし10−4モルで含まれることが望ましい。さらに望ましくは、0.5ないし10−3モルであり、最も望ましくは、0.1ないし0.05モルである。前記含有量が10−4モルより小さいか、または1モルより大きい場合には、差別化されたポリエステルカーボネートの物性を確保することができない。
【0044】
前記ジアリールカーボネートは、ジヒドロキシ化合物1モルに対して1.0ないし1.5モルで含まれることが望ましい。さらに望ましくは、1.0ないし1.3モルであり、最も望ましくは、1.0ないし1.2モルである。前記含有量が1.0モルより小さいか、または1.5モルより大きい場合には、下記数式1により重合度が低くて望ましくない。
【0045】
数式1
【数1】

【0046】
前記数式1、rは、カーボネート基に対するヒドロキシ化合物基のモル比であり、Xは重合度であり、pは反応度である。このとき、反応度であるpが1.0の値を有せば、前記数式1は、下記数式2で表せ、rを1.0に近い値に調節し、重合度を短時間内に最大化させることができる。
【0047】
数式2
【数2】

【0048】
前記ポリシロキサン化合物は、ジヒドロキシ化合物1モル中にシロキサン反復単位が0.01ないし20モル%で含まれることが望ましい。さらに望ましくは、0.1ないし15モル%であり、最も望ましくは、0.5ないし5モル%である。前記含有量が0.01モル%より小さな場合、ポリカーボネートとの差別化された物性を確保することができず、20モル%より大きい場合、局部的にポリシロキサンの濃度が増大しつつ生じるゲル化が進み、反応に否定的な影響を及ぼす。
【0049】
本発明で使用する重合触媒としては、金属化合物触媒系と非金属化合物触媒系とがそれぞれ独立的に使用されるか、または混合して使用されうる。金属化合物触媒系としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酢酸塩、アルコキシド、カーボネート、水素化物、水和物、または酸化物のような塩化合物;亜鉛、カドミウム、チタンまたは鉛のような遷移金属が含まれた有機金属化合物;または水素化アルミニウムまたは水素化ホウ素が使用されうる。
【0050】
また、非金属化合物触媒系としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムカーボネート、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラフェニルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム水酸化物からなる群から選択された四級アンモニウム塩;テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラメチルホスホニウム酢酸塩、テトラメチルホスホニウムギ酸塩、テトラメチルホスホニウムカーボネート、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラプロピルホスホニウム水酸化物、テトラブチルホスホニウム水酸化物、テトラフェニルホスホニウム水酸化物、トリメチルフェニルホスホニウム水酸化物からなる群から選択された四級ホスホニウム塩;一級、二級または三級のアミン化合物;またはピリジンのような窒素を含んだ芳香族化合物の誘導体などを使用できる。
【0051】
前記非金属化合物触媒系は、本発明のエステル交換反応の出発原料物質として使用されるジヒドロキシ化合物1モルに対して10−1ないし10−6モルで含まれることが望ましく、さらに望ましくは、10−2ないし10−5モルで含まれ、最も望ましくは、10−3ないし10−4モルで含まれる。前記含有量が10−6モルより小さな場合には、反応初期に触媒活性を十分に発揮できず、10−1モルより大きい場合には、費用がかさんで非経済的であるという問題点がある。
【0052】
本発明に使用される前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する化合物としては、特別の制限はないが、望ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどを含む水酸化物、カーボネート、酢酸塩、アルコキシド、または水素化ホウ素化合物を使用するのが好ましい。
【0053】
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する化合物は、本発明のエステル交換反応の出発原料物質として使用されるジヒドロキシ化合物1モルに対して10−3ないし10−8モルで含まれることが望ましく、さらに望ましくは、10−4ないし10−7モルで含まれ、最も望ましくは、10−5ないし10−6モルで含まれる。前記含有量が10−8モルより小さな場合には、反応後期段階で触媒活性を充分に発揮できず、10−3モルより大きい場合には、費用をかさませ、最終シロキサン系ポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性のような物理的性質を損傷させうるという問題点がある。
【0054】
また、ジアリールカーボネート、芳香族ジヒドロキシ化合物、及びジカルボン酸化合物のエステル交換反応を介してポリカーボネートプレポリマーを製造するにあたっての重合触媒としては、スズ系触媒が使用されうる。
【0055】
前記スズ系触媒としては、ジアルキルスズ三塩化物、ジアルキルスズ二塩化物、ジアルキルスズ酸化物、ジアルキルスズジアルコキシド、ジアルキルスズジカルボン酸塩、及びテトラアルキルスズからなる群から選択される。このとき、前記アルキルは、炭素数1ないし20、望ましくは、1ないし10、さらに望ましくは、1ないし6である。
【0056】
このうち、望ましいスズ系触媒は、下記化学式で表した化合物である。
【0057】
【化9】

【0058】
最も望ましくは、ジブチルスズ酸化物である。
【0059】
スズ系触媒を使用する場合、既存のアルカリ土類金属触媒、四級アンモニウム塩触媒、アンチモン系触媒に比べて色度、透明度及び反応性において長所がある。
【0060】
前記スズ系触媒は、ジヒドロキシ化合物1モルに対して10−1ないし10−6モルで含まれることが望ましく、さらに望ましくは、10−2ないし10−5モルで含まれ、最も望ましくは、10−3ないし10−4モルで含まれる。前記含有量が10−6モルより小さな場合には、反応初期に触媒活性を十分に発揮できず、10−1モルより大きい場合には、非経済的であるという問題点がある。
【0061】
本発明のエステル交換反応を介したポリカーボネート樹脂の製造において、必要によって末端停止剤、酸化防止剤のような添加剤を追加で使用できる。
【0062】
前記末端停止剤は、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフェノール、p−n−ペンチルフェノール、o−n−ヘキシルフェノール、m−n−ヘキシルフェノール、p−n−ヘキシルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−n−ノニルフェノール、m−n−ノニルフェノール、p−n−ノニルフェノール、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノール、o−ナフチルフェノール、m−ナフチルフェノール、p−ナフチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−クミルフェノール、3,5−ジクミルフェノール、下記化学式9で表示される化合物、下記化学式10で表示される化合物、下記化学式11で表示される化合物、下記化学式12で表示される化合物、下記化学式13で表示される化合物、下記化学式14で表示される化合物、または下記化学式15または化学式16で表示されるクロマン誘導体のような一価フェノールなどを使用できる。
【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
前記化学式11及び化学式12で、nは7ないし30の整数である。
【0068】
【化14】

【0069】
【化15】

【0070】
前記化学式13及び化学式14で、R10及びR11は、それぞれ独立的に炭素数1ないし12のアルキル基であり、kは1ないし3の整数である。
【0071】
【化16】

【0072】
【化17】

【0073】
望ましくは、前記末端停止剤として、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−フェニルフェノール、前記化学式13ないし16で表示される化合物のうち一つを使用するのが好ましい。
【0074】
前記末端停止剤は、本発明のエステル交換反応の出発原料物質として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して0.01ないし10モル%で含まれることが望ましい。
前記末端停止剤は、その全部をエステル交換反応にあらかじめ添加するか、または一部はあらかじめ添加し、残りは反応進行に従って添加できる。また、場合により、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとのエステル交換反応が一部進んだ後、末端停止剤を全部添加することもできる。
【0075】
前記酸化防止剤は、リン系酸化防止剤を使用することが望ましく、その例としては、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリノニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸トリオクタデシル、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2−クロロエチル)亜リン酸塩、またはトリス(2,3−ジクロロプロピル)亜リン酸塩のような亜リン酸トリアルキル;亜リン酸トリシクロヘキシルのような亜リン酸トリシクロアルキル;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリクレシル、トリス(エチルフェニル)亜リン酸塩、トリス(ブチルフェニル)亜リン酸塩、トリス(ノニルフェニル)亜リン酸塩、またはトリス(ヒドロキシフェニル)亜リン酸塩のような亜リン酸トリアリール;2−エチルヘキシルジフェニル亜リン酸塩のようなモノアルキルジアリール亜リン酸塩;リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリデシル、リン酸トリオクタデシル、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフェート、トリス(2−クロロエチル)リン酸塩、またはトリス(2,3−ジクロロプロピル)リン酸塩のようなリン酸トリアルキル;リン酸トリシクロヘキシルのようなリン酸トリシクロアルキル;またはリン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、トリス(ノニルフェニル)リン酸塩、または2−エチルフェニルジフェニルリン酸塩のようなリン酸トリアリールなどがある。
【0076】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造において、エステル交換反応は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートを重合触媒の存在下で実施し、このとき、末端停止剤、分枝剤、酸化防止剤のような添加剤を追加で添加できる。
【0077】
前記末端停止剤、分枝剤、酸化防止剤は、粉末、液体、気体の状態で添加でき、それらは収得されるシロキサン系ポリカーボネート樹脂の品質を向上させる作用を行う。
前記エステル交換反応時の反応温度は、特別の制限はないが、100ないし330℃の温度で実施されるのが好ましく、望ましくは、180ないし300℃の温度で実施され、さらに望ましくは、反応の進行によって順次に180℃から300℃の温度に上昇させるのが好ましい。前記反応温度が100℃より低い場合には、エステル交換反応の速度を下げてしまい、330℃より高い場合には、副反応が起きたり、または生成されたシロキサン系ポリカーボネート樹脂を着色させうるという問題点がある。
【0078】
前記エステル交換反応時の反応圧力は、特別の制限がなく、使用された単量体の蒸気圧及び反応温度によって調節可能であるが、一般的に反応初期には、1ないし10気圧の大気圧(常圧)になる加圧状態にし、反応後期には、減圧状態にし、最終的に、0.1ないし100mbarにする。
【0079】
また、エステル交換反応時の反応時間は、目標にする分子量になるまで実施することができ、通常0.2ないし10時間実施する。
【0080】
前記目標にする分子量は、重量平均分子量で通常1,500ないし20,000g/molであり、望ましくは、シロキサン系ポリカーボネートの場合は、重量平均分子量1,500ないし20,000g/molであり、ポリエステルカーボネートの場合は、重量平均分子量1,500ないし20,000g/mol(数平均分子量(M)1,500ないし15,000g/mol)である。
【0081】
前記エステル交換反応は、一般的に不活性溶媒の不在下で行われるが、必要によって、収得されたシロキサン系ポリカーボネート樹脂の1ないし150重量%に該当する不活性溶媒の存在下で行われることもある。前記不活性溶媒としては、ジフェニルエーテル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ポリフェニレンエーテル、ジクロロベンゼン、メチルナフタレンのような芳香族化合物;またはトリシクロ(5,2,10)デカン、シクロオクタン、シクロデカンのようなシクロアルカンなどを使用できる。
【0082】
また、必要によって、不活性気体雰囲気下で行われ、前記不活性気体としては、アルゴン、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素ガスのような気体;クロロフルオロカーボネート、エタンまたはプロパンのようなアルカン、またはエチレンまたはプロピレンのようなアルケンなどがある。
【0083】
前記のような条件でエステル交換反応が進められるにつれ、使用されたジアリールカーボネートに相応するフェノール類またはそれらのエステル類、及び不活性溶媒が反応基から脱離される。かかる脱離物は、分離、精製及び再生されうる。前記エステル交換反応は、任意の装置を使用して回分式または連続式で行われうる。このとき、エステル交換反応の反応装置は、一般的な撹拌機能を有するものであるならば使用可能であり、反応後期に粘度が上昇し、高粘度型の撹拌機能を有するものが好ましい。
【0084】
また、反応器の望ましい類型は、容器型、または押出し器型である。
【0085】
第2段階:縮合重合反応の段階
前記エステル交換反応工程を介して製造された重量平均分子量が1,500ないし20,000g/molである低分子量のポリカーボネートプレポリマーを高温で減圧するか、または窒素注入下で縮合重合し、前記エステル交換反応後に未反応状態で存在するジアリールカーボネート、重合度3未満の低重合度の反応副産物、及び反応途中で新たに発生するフェノールのような反応副産物を除去し、分子量が増大した中分子量の非結晶性ポリカーボネートを製造する。
【0086】
縮合反応時に、反応副産物であるフェノール以外に、相対的に沸点が低くて反応に参与できない未反応状態のジアリールカーボネートと、重合度3未満の反応副産物とがフェノールと共に気化して反応器外に抽出され、かような現象は、既存工程と比較してみるとき、固相重合時にポリカーボネートの分子量増大を促進させる効果がある。
【0087】
また、従来の工程では、エステル交換反応段階で、過量に使用されたジアリールカーボネート及び重合度3未満の反応副産物が本発明でのように、固相重合前に、縮合重合段階を経て除去されないだけではなく、結果的に、プレポリマーの分子量増大により、生成されたプレポリマー末端のアリールカーボネーと芳香族ヒドロキシとのモル比差が大きくなり、その後、固相重合で高分子量のポリカーボネートを製造するのに長時間が要求される。
【0088】
本発明の縮合重合反応は、一般的な縮合反応器をいずれも使用でき、その例としては、回転ディスク反応器(rotating disk reactor)または回転ケージ反応器(rotating cage reactor)があり、それ以外にも、薄膜反応器(thin film reactor)を使用できる。
【0089】
このとき、縮合重合の反応温度は、180ないし330℃が望ましく、さらに望ましくは、200ないし300℃である。
【0090】
また、縮合重合反応は、エステル交換反応後に、未反応状態で存在するジアルキル(アリール)カーボネート、重合度3未満の反応副産物、及び新しく発生する副産物であるフェノールを前記のような高温の反応温度と0ないし50mmHgの減圧下とで、さらに望ましくは、0ないし20mmHgの減圧下で除去しつつ実施される。
【0091】
本発明の一具現例によれば、前記減圧の代わりに、窒素注入によって反応副産物を除去しつつ実施されもし、このとき、注入される窒素量は、0.01ないし1.0Nm/kg・hであることが望ましい。反応時間は、反応条件によって変化しうるが、一般的に、2ないし120分ほどが望ましい。
【0092】
前記のような工程で製造された中分子量の非結晶性ポリカーボネートは、3,000ないし30,000g/molの重量平均分子量を有することが望ましい。
【0093】
さらに望ましくは、シロキサン系ポリカーボネートの場合は、重量平均分子量10,000ないし30,000g/molであり、ポリエステルカーボネートの場合は、重量平均分子量10,000ないし30,000g/mol(数平均分子量3,000ないし20,000g/mol)である。
【0094】
第3段階:結晶化及び固相重合の段階
前記縮合重合反応を介して製造された3,000ないし30,000g/molの重量平均分子量を有する非結晶性ポリカーボネートを固相重合し、高分子量のポリカーボネート樹脂を製造する。
【0095】
前記の通りにエステル交換反応及び縮合重合で予備重合されたポリカーボネートは、不活性気体雰囲気下、または減圧下で、固体状に加熱して重合させる方法、すなわち、固相重合して高分子量のポリカーボネート樹脂に製造する。
【0096】
固相重合時に使用される中分子量ポリカーボネートの重量平均分子量(M)は3,000ないし30,000であることが望ましく、さらに望ましくは、5,000ないし25,000である。前記重量平均分子量が3,000より小さな場合には、固相重合時に長時間の反応時間を必要とするという問題点がある。
【0097】
このとき、固相重合実施前に、非結晶性ポリカーボネートを結晶化処理する段階を追加で実施する。前記結晶化処理は、結晶化によりポリカーボネートの融点を上昇させ、固相重合時にポリカーボネートの融着などを起こさせないように実施する。
【0098】
前記結晶化処理方法において特別の制限はなく、各種の方法を使用することが可能であるが、特に、溶媒処理法または加熱結晶化法でもって実施することが望ましい。
【0099】
前記溶媒処理法としては、非結晶性ポリカーボネートを適当な溶媒に溶解させた後、溶媒を蒸発させ、非結晶性ポリカーボネートに対する非溶媒を添加して固体の非結晶性ポリカーボネートを析出させる方法、または非結晶性ポリカーボネートに対して溶解力の小さな液体溶媒または溶媒蒸気に非結晶性ポリカーボネートを接触させ、非結晶性ポリカーボネート中に溶媒を浸透させて結晶化させる方法がある。
【0100】
かかる非結晶性ポリカーボネートの溶媒処理に使用できる望ましい溶媒としては、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロエタン、ジクロロエタン(各種)、トリクロロエタン(各種)、トリクロロエチレン、またはテトラクロロエタン(各種)のような脂肪族ハロゲン炭化水素類;クロロベンゼン、またはジクロロベンゼンのような芳香族水素化炭化水素;テトラヒドロフラン、またはジオキサンのようなエーテル化合物;酢酸メチルまたは酢酸エチルのようなエステル化合物;アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン化合物;ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素などがある。
【0101】
前記溶媒処理に使用される溶媒の量は、結晶性ポリカーボネートまたは溶媒の種類、または必要な結晶化度、処理温度などによって異なるが、望ましくは、非結晶性ポリカーボネート重量の0.05ないし100倍、さらに望ましくは、0.1ないし50倍で使用されるのが好ましい。
【0102】
一方、加熱結晶化法は、非結晶性ポリカーボネートを得ようとするポリカーボネート樹脂のガラス転移温度以上で非結晶性ポリカーボネートが溶融され始める温度未満の範囲まで加熱することにより、結晶化させる方法である。該方法は、非結晶性ポリカーボネートを単純に加熱して結晶化させられ、非常に容易に実施される方法である。
【0103】
かかる加熱結晶化を行う温度T(℃)は、得ようとするポリカーボネート樹脂のガラス転移温度Tから非結晶性ポリカーボネートの溶融温度T(℃)までの範囲であることが望ましい。特に、低い温度では、非結晶性ポリカーボネートの結晶化速度が遅くなるので、望ましい加熱結晶化温度T(℃)は、下記数式3で表示される範囲であることが望ましい。
【0104】
数式3
【数3】

【0105】
非結晶性ポリカーボネートの加熱結晶化温度は、前記数式3の範囲で一定の温度を維持しつつ実施され、温度を連続的または不連続的に変化させつつ実施することもでき、またそれらを混合した方法で実施することもできる。前記温度を変化させつつ実施する方法としては、加熱結晶化の進行により、一般的に非結晶性ポリカーボネートの溶融温度が上昇するが、このとき、上昇温度と同じ速度で温度を上昇させつつ加熱結晶化させることが望ましい。
【0106】
前記の通りに温度を変化させつつ加熱結晶化する方法は、一定の温度下で実施する加熱結晶化法と比較し、非結晶性ポリカーボネートの結晶化速度が速く、溶融温度を高めることができるという長所がある。
【0107】
また、加熱結晶化の時間は、非結晶性ポリカーボネートの化学組成、触媒の有無、結晶化温度、結晶化方法などにより異なるが、望ましくは、1ないし200時間実施されることが好ましい。
【0108】
固相重合において、前記予備重合時に使用された触媒が残存し、別に触媒を添加する必要なしに重合を行うことができ、固相重合によって生成されるモノヒドロキシ化合物またはアリールカーボネートは、反応系外に抽出することにより、反応を促進させうる。前記モノヒドロキシ化合物またはアリールカーボネートを反応系外に抽出するための方法としては、窒素ガス、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素のような不活性気体、低級炭化水素ガスなどを導入し、モノヒドロキシ化合物またはアリールカーボネートを前記気体によって除去する方法、減圧下で反応を行う方法、またはそれらを併用する方法などが使用されうる。また、該反応の気体(不活性気体、低級炭化水素ガス)を導入する場合には、前記気体を反応温度近くの温度にあらかじめ加熱することが望ましい。
【0109】
前記固相重合に使用されるポリカーボネートの形態は、特別の制限はないが、大きい塊状のポリカーボネートは反応速度を遅延させ、かつ取扱い難いために、ペレット状、ビード状、顆粒状、粉末状のようなポリカーボネートが望ましい。また、固相のポリカーボネートを適当な大きさに破砕して使用することも好ましい。特に、前記予備重合後に溶媒処理により結晶化されたポリカーボネートは、一般的に多孔質の顆粒状または粉末状で収得され、かかる多孔質のポリカーボネートは、固相重合の場合に副生するモノヒドロキシ化合物またはアリールカーボネートの抽出が容易なので望ましい。
【0110】
また、前記固相重合には、必要により、粉末、液体、または気体の状態の末端停止剤、分枝剤、酸化防止剤のような添加剤を追加で使用でき、それらは、収得されるポリカーボネート樹脂の品質を向上させる作用を行う。
【0111】
前記固相重合時反応温度T(℃)及び反応時間は、ポリカーボネートの種類(化学構造、分子量など)または形態、触媒の種類または量、ポリカーボネートの結晶化温度または溶融温度T’(℃)によって変わりうる。また、得ようとするポリカーボネート樹脂の重合度またはそれ以外の反応条件によって変わることもあるが、望ましくは、得ようとするポリカーボネート樹脂のガラス転移温度Tからポリカーボネートが溶融されずに固相を維持する温度までの範囲であることが望ましい。さらに望ましくは、下記数式4で表示される範囲で、1分ないし100時間実施されることが好ましく、最も望ましくは、0.1分ないし50時間実施されるのが好ましい。
【0112】
数式4
【数4】

【0113】
前記温度範囲として、例えば、ビスフェノールAのポリカーボネート樹脂を製造する場合、150ないし260℃で固相重合することが望ましく、さらに望ましくは、180ないし230℃で固相重合する。
【0114】
前記固相重合時に重合中の重合体に均一な熱を付与するために、または副生するモノヒドロキシ化合物またはアリールカーボネートの抽出を容易にするために、撹拌ファンによる方法、反応器自体が回転する構造の反応器を使用する方法、加熱気体により流動する方法のような撹拌方法を使用するのが好ましい。
【0115】
前記の通りに固相重合して収得したポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(M)は、15,000ないし200,000であり、望ましくは、30,000ないし100,000である。
【0116】
具体的には、シロキサン系ポリカーボネートの場合は、重量平均分子量20,000ないし200,000g/molであり、ポリエステルカーボネートの場合は、重量平均分子量20,000ないし200,000g/mol(数平均分子量15,000ないし200,000g/mol)である。
【0117】
前記の重量平均分子量を有する本発明のポリカーボネート樹脂は、工業用に有用に使用されうる。
【0118】
前記固相重合により収得されたポリカーボネート樹脂の形状は、使用したポリカーボネートの形状によって変わりうるが、一般的に、ビード状、顆粒状、粉末状のような粉末である。また、収得されたポリカーボネートの結晶化度は、一般的にポリカーボネートの結晶化度より高い。
【0119】
すなわち、本発明によって製造されたポリカーボネート樹脂は、粉末状の結晶性樹脂である。また、固相重合により所定の分子量まで均一化された粉末状の結晶性樹脂を冷却させずに、そのまま圧縮器内に導入させてペレット化させることもでき、冷却させずに直接成形器に導入させて成形することもできる。
【0120】
本発明のポリカーボネート樹脂を製造するのに実施される予備重合、結晶化及び固相重合の反応装置は、回分式、流動式、またはそれらを併用する方式などを使用できる。また、一般的に、予備重合は、比較的低分子量のポリカーボネートプレポリマーを製造しようとするものであるのに対し、本発明の場合、エステル交換反応による予備重合は、高温溶融重合に必要な高粘度流体用の高価な反応装置が不要であるだけではなく、結晶化工程は、非結晶性ポリカーボネートを溶媒処理または加熱処理して結晶化させることができ、特別ないかなる装置も必要でない。また、固相重合では、実質的にポリカーボネートを加熱して副生するモノヒドロキシ化合物またはアリールカーボネートを除去できる任意の装置で重合されうる。
【0121】
以下、本発明の理解を助けるために、望ましい実施例を提示するが、下記実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0122】
[実施例1]
(非結晶性シロキサン系ポリカーボネートプレポリマーの製造)
ビスフェノール−A、ジフェニルカーボネート、そしてポリシロキサン(ダウコーニング3058)をそれぞれ1,484g(6.50モル)、1,478g(6.90モル)、そして5.08g(1.13×10−3モル)を混合し、窒素雰囲気下で反応器内に注入した後、重合触媒として酢酸ナトリウムとテトラブチルホスホニウム水酸化物とをそれぞれビスフェノール−A基準で、1×10−6と2.5×10−4のモル濃度で注入した後、撹拌と共にジャッキ温度230℃で5分間反応させた。その後、1ないし4mmHgの減圧下で30分間エステル反応とエステル交換反応とを行い、重量平均分子量が9,095g/molである低分子量の非結晶性シロキサン系ポリカーボネートプレポリマーを製造した。
【0123】
(縮合重合反応を介した非結晶性シロキサン系ポリカーボネートの製造)
反応器の温度が300℃であり、反応圧力を1mmHg以下に合わせた薄膜反応器に、前記製造された低分子量の非結晶性シロキサン系ポリカーボネートプレポリマーを滞留時間が30分になるように調節し、ポリカーボネートの縮合重合反応を進め、重量平均分子量が15,659g/molである中分子量の非結晶性シロキサン系ポリカーボネートを製造した。
【0124】
(結晶性シロキサン系ポリカーボネートの製造)
常温で前記製造された中分子量の非結晶性シロキサン系ポリカーボネートを塩化メチレンに0.15g/mLの濃度になるように溶解させ、ここに100%のメタノールを非溶媒として使用し、粉末状の結晶性シロキサン系ポリカーボネートを沈殿物として収得した。
【0125】
(高分子量の結晶性シロキサン系ポリカーボネートの製造)
前記製造された粉末状の結晶性シロキサン系ポリカーボネートを固相重合反応器に注入し、200℃の等温条件で、1mmHgの減圧下で固相重合反応を進めた。その結果を表1に表した。
【0126】
[比較例1]
(結晶性シロキサン系ポリカーボネートの製造)
前記実施例1で縮合重合段階を経ないことを除いては、前記実施例1と同じ方法で実施し、粉末状の結晶性シロキサン系ポリカーボネートを製造した。
【0127】
(高分子量の結晶性シロキサン系ポリカーボネート樹脂の製造)
前記製造された粉末状の結晶性シロキサン系ポリカーボネートを実施例1と同じ方法で固相重合し、その結果を表1に表した。
【0128】
[実施例2]
(非結晶性ポリエステルカーボネートプレポリマーの製造)
ビスフェノール−A、ジフェニルカーボネート、そして1,10−デカンジカルボン酸をそれぞれ1,500g(6.57モル)、1,463g(6.83モル)、そして15.89g(6.9×10−2モル)を混合し、窒素雰囲気下で反応器内に注入した後、重合触媒としてジブチルスズ酸化物をビスフェノール−A基準で、2.5x10−4のモル濃度で注入した後、撹拌と共にジャキ温度230℃で5分間反応させた。その後、1〜4mmHgの減圧下で30分間エステル反応とエステル交換反応とを行い、重量平均分子量が5,908g/mol(数平均分子量3,589g/mol)である低分子量の非結晶性ポリエステルカーボネートプレポリマーを製造した。
【0129】
(縮合重合反応を介した非結晶性ポリエステルカーボネートの製造)
反応器の温度が300℃であり、反応圧力を1mmHg以下に合わせた薄膜反応器に、前記製造された低分子量の非結晶性ポリエステルカーボネートプレポリマーを滞留時間が30分になるように調節し、ポリエステルカーボネートの縮合重合反応を進め、重量平均分子量が9,576g/mol(数平均分子量5,269g/mol)である中分子量の非結晶性ポリエステルカーボネートを製造した。
【0130】
(結晶性ポリエステルカーボネートの製造)
常温で、前記製造された中分子量の非結晶性ポリエステルカーボネートを、塩化メチレンに0.15g/mLの濃度になるように溶解させ、ここに、100%のメタノールを非溶媒として使用し、粉末状の結晶性ポリエステルカーボネートを沈殿物として収得した。
【0131】
(高分子量の結晶性ポリエステルカーボネートの製造)
前記製造された粉末状の結晶性ポリエステルカーボネートを固相重合反応器に注入し、200℃の等温条件で、1mmHgの減圧下で固相重合反応を進めた。その結果を表1に表した。
[比較例2]
【0132】
(結晶性ポリエステルカーボネートの製造)
前記実施例2で縮合重合段階を経ないことを除いては、前記実施例2と同じ方法で実施し、粉末状の結晶性ポリエステルカーボネートを製造した。
【0133】
(高分子量の結晶性ポリエステルカーボネート樹脂の製造)
前記製造された粉末状の結晶性ポリエステルカーボネートを、実施例2と同じ方法で固相重合し、経時的な重量平均分子量の結果を表1に表した。
(括弧の値は、数平均分子量を表す)
【表1】

【0134】
[比較例3]
前記実施例2で、重合触媒として酢酸ナトリウムとテトラブチルホスホニウム水酸化物とをそれぞれビスフェノール−A基準で、1x10−6と2.5x10−4のモル濃度で付加したことを除いては、前記実施例2と同じ方法で実施し、非結晶性ポリエステルカーボネートを製造した。
このとき、重量平均分子量は、2,943g/mol(数平均分子量2,479g/mol)であり、色度が落ちた。
【0135】
[比較例4]
前記実施例2で、重合触媒として酸化アンチモニをビスフェノール−A基準で、2.5x10−4のモル濃度であることを除いては、前記実施例2と同じ方法で実施し、非結晶性ポリエステルカーボネートを製造した。
【0136】
このとき、重量平均分子量は、2,542g/mol(数平均分子量2,117g/mol)であり、色度及び透明度が落ちた。
【0137】
前記実施例1及び比較例1を介し、本発明によって低分子量の非結晶性シロキサン系ポリカーボネートプレポリマーを縮合重合反応した後、固相重合反応した実施例1の高分子量の結晶性シロキサン系ポリカーボネートは、縮合重合反応を実施せずに固相重合反応を実施した従来工程によって製造した比較例1の高分子量の結晶性シロキサン系ポリカーボネートと比較し、従来の固相重合工程では、10時間以内に得られなかった重量平均分子量35,000g/mol以上の分子量のシロキサン系ポリカーボネート樹脂を4時間以内に製造できた。
【0138】
同様に、本発明による実施例2のポリエステルカーボネートは、縮合重合反応を実施せずに固相重合反応を実施した従来工程によって製造した比較例2のポリエステルカーボネートと比較し、従来の固相重合工程では10時間以内に得られなかった重量平均分子量15,000g/mol以上の分子量のシロキサン系ポリカーボネート樹脂を4時間以内に製造できた。
【0139】
本発明は実施例を参考に説明されたが、本技術分野の当業者ならば、本発明の技術思想を外れずに、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によってのみ決まるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ジアリールカーボネート、芳香族ジヒドロキシ化合物、及びポリシロキサンを触媒下でエステル交換反応し、重量平均分子量(M)が1,500ないし20,000g/molである低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを製造する段階と、
b)前記a)段階の低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを縮合重合し、重量平均分子量が10,000ないし30,000g/molである中分子量の非結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、
c)前記b)段階の中分子量の非結晶性ポリカーボネートで結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、
d)前記c)段階の結晶性ポリカーボネートを固相重合し、重量平均分子量が20,000ないし200,000g/molである高分子量のポリカーボネートを製造する段階とを含むポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項2】
a)ジアリールカーボネート、芳香族ジヒドロキシ化合物、及びジカルボン酸化合物を触媒下でエステル交換反応し、重量平均分子量が1,500ないし20,000g/mol(数平均分子量1,500ないし15,000g/mol)である低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを製造する段階と、
b)前記a)段階の低分子量の非結晶性ポリカーボネートプレポリマーを縮合重合し、重量平均分子量が10,000ないし30,000g/mol(数平均分子量3,000ないし20,000g/mol)である中分子量の非結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、
c)前記b)段階の中分子量の非結晶性ポリカーボネートで結晶性ポリカーボネートを製造する段階と、
d)前記c)段階の結晶性ポリカーボネートを固相重合し、重量平均分子量が20,000ないし200,000g/mol(数平均分子量15,000ないし200,000g/mol)のポリカーボネートを製造する段階とを含むポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記a)段階で使用される芳香族ジヒドロキシ化合物が下記化学式1で表示される化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化1】

前記化学式1で、
及びRは、それぞれ独立的にハロゲン原子または炭素数1ないし8のアルキル基であり、
a及びbは、それぞれ独立的に0ないし4の整数であり、
Zは、炭素数1ないし8のアルキレン基、炭素数2ないし8のアルキリデン基、炭素数5ないし15のシクロアルキレン基、炭素数5ないし15のシクロアルキリデン基、−S、−SO−、−SO−、−O−、−CO−、下記化学式2で表示される化合物、または下記化学式3で表示される化合物である:
【化2】

【化3】


【請求項4】
前記a)段階で使用されるジアリールカーボネートが下記化学式4で表示される化合物、または下記化学式5で表示される化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化4】

前記化学式4で、
Ar及びArは、それぞれ独立的にアリール基であり、
【化5】

前記化学式5で、
Ar及びArは、それぞれ独立的にアリール基であり、
は、化学式1で表示される芳香族ジヒドロキシ化合物から2個の水酸基を除去して収得された残基である。
【請求項5】
前記a)段階で使用されるポリシロキサン化合物が下記化学式6で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化6】

前記化学式6で、
nは1ないし500の整数であり、R、R’、R及びR’は、それぞれ独立的に水素原子または炭素原子数1ないし20のアルキル基であり、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が独立的にハロゲン原子に置換され、
及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1ないし20の直鎖型または分枝型のアルキレン基、炭素原子数6ないし30の単環または多環のアリーレン基、または−R−X−R−であり、前記R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1ないし20の置換または非置換のアルキレン基、または炭素原子数6ないし30の置換または非置換のアリーレン基であり、Xは、−O−、−S−、−SO−、−CO−である。
【請求項6】
前記a)段階で使用されるポリシロキサン化合物が下記化学式7で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化7】

前記化学式7で、xは1ないし500の整数である。
【請求項7】
前記ジアリールカーボネートがジヒドロキシ化合物1モルに対して1.0ないし1.5モルであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記ポリシロキサン化合物がジヒドロキシ化合物1モル中にシロキサン反復単位を0.01ないし20モル%で含むことを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記a)段階で使用されるジカルボン酸化合物が下記化学式8で表示される化合物であることを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化8】

前記化学式8で、Rは、炭素数4ないし30の置換または非置換のアリール基、炭素数1ないし10のアルキル基、または炭素数5ないし30のシクロアルキル基である。
【請求項10】
前記ジカルボン酸化合物がジアリールカーボネート化合物1モルに対して1ないし10−4モルであることを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記触媒は、金属化合物触媒系と非金属化合物触媒系とがそれぞれ独立的に使用されるか、または混合して使用されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記金属化合物触媒系がアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酢酸塩、アルコキシド、カーボネート、水素化物、水和物、または酸化物のような塩化合物;亜鉛、カドミウム、チタンまたは鉛の遷移金属が含まれた有機金属化合物;または水素化アルミニウムまたは水素化ホウ素であることを特徴とする請求項11に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記非金属化合物触媒系が水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムカーボネート、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラフェニルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム水酸化物からなる群から選択された四級アンモニウム塩;テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラメチルホスホニウム酢酸塩、テトラメチルホスホニウムギ酸塩、テトラメチルホスホニウムカーボネート、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラプロピルホスホニウム水酸化物、テトラブチルホスホニウム水酸化物、テトラフェニルホスホニウム水酸化物、トリメチルフェニルホスホニウム水酸化物からなる群から選択された四級ホスホニウム塩;一級、二級または三級のアミン化合物;またはピリジンであることを特徴とする請求項11に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項14】
芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、前記金属化合物触媒系が10−3ないし10−8モルで含まれ、前記非金属化合物触媒系が10−1ないし10−6モルで含まれることを特徴とする請求項11に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項15】
前記触媒がスズ系触媒であることを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項16】
前記スズ系触媒がジアルキルスズ三塩化物、ジアルキルスズ二塩化物、ジアルキルスズ酸化物、ジアルキルスズジアルコキシド、ジアルキルスズジカルボン酸塩、及びテトラアルキルスズからなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項17】
前記スズ系触媒が下記化学式で表す化合物のうちから選択されることを特徴とする請求項15に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化9】


【請求項18】
前記触媒が芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して10−1ないし10−6モルで含まれることを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項19】
前記b)段階が回転ディスク反応器、回転ケージ反応器及び薄膜反応器からなる群から選択された反応器により実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項20】
請求項1または請求項2に記載の方法により製造されたポリカーボネート樹脂。

【公表番号】特表2007−527944(P2007−527944A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502740(P2007−502740)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003517
【国際公開番号】WO2006/043793
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】