説明

ポリグリセロールおよび天然油に基づく防曇剤

本発明は、エステル生成物および少なくとも1つのさらなる防曇剤を含む防曇剤を提供する。本発明は、このような防曇剤を含む成形品およびポリマー組成物、ならびにそれらの調製および使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、エステル生成物、および防曇剤としてのその使用、防曇剤およびその調製のためのプロセスを提供する。本発明はまた、成形品およびこのような防曇剤を含むポリマー組成物、ならびにそれらの調製および使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック類の加工の間、防曇剤がこれらに加えられえることが多い。そのときこれらは、プラスチック類の表面上での水の凝結および水滴の形成を防止する働きをする。このような添加剤は、透明なパッケージングおよびフィルムの製造で用いられることが多い。非特許文献1から分かるように、防曇剤がなければ、内側で、とりわけ透明なパッケージングフィルムの上に沈着物が生成し、その結果として、パッケージングの内容物はほとんど検出できないか、またはもはや検出できない状態になる。沈着物の防止は、他の用途、例えば三次元形態としての眼鏡、窓またはヘルメットのバイザーでも重要である。一般に、内部防曇剤はプラスチックの中に組み込まれ、それゆえそのプラスチックの一部となり、それゆえこのプラスチックを含む三次元形態の一部となるのに対して、外部防曇剤は、そのプラスチックの外部に塗布されそれゆえ表面層としてそのプラスチックの一部となり、それゆえこれを含む三次元形態の一部ともなる。
【0003】
特許文献1は、天然油とポリエチレングリコールとのエステル交換反応により得られる、プラスチック類用の防曇剤を開示する。
【0004】
特許文献2は、モノカルボン酸の部分グリセロールエステルに基づく、プラスチック類(PVCなど)用の安定剤を提供する。これらのエステル類は、プラスチック類に防曇特性および帯電防止特性を賦与する。これらのエステルは、ポリグリセロールと脂肪酸または脂肪酸混合物との反応によって得られ、この反応のために、触媒は用いられないか、または酸触媒が用いられる。
【0005】
特許文献3は、コロナ放電による、防曇特性を有する熱可塑性層の製造のためのプロセスを開示する。脂肪酸のポリグリセロールエステルまたはソルビタンエステルが防曇剤として用いられる。モノエステルが用いられることが好ましい。例として、Lonza Inc.製の製品Glycolube AFA−1が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2004 038 980(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第3,759,856号明細書
【特許文献3】米国特許第5,302,327号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Plastics Additives Handbook、第5版、Hanser Verlag、609−626頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大まかに言えば、1つの目的は、先行技術から持ち上がる短所を克服することにある。さらには、公知の薬剤は、液滴の形成の防止に関しては最適の特性を有しないことが多い。それゆえ、公知の防曇剤を改良し、そして調製プロセスを簡素化する必要性が継続してある。大量の防曇剤が世界中で用いられるため、より効率的な調製プロセス、および原料のより容易な利用可能性は有意義であろう。
【0009】
特に、わずか数個の工程を用いて単純な方法および態様によって実施することができる、防曇剤の調製のためのプロセスが提供されるべきである。全体的に見れば、防曇剤の調製は容易にされるべきであり、原料の利用可能性は改善されるべきである。同時に、本発明に係る防曇剤は、良好な防曇特性を有するべきである。本発明は、特に、公知の薬剤の防曇特性と少なくとも等価である防曇特性を達成するという目的、またはさらに言えばこれらを改善するという目的に基づく。これに関して、水分条件下で、プラスチック類上での液滴の形成は、できるだけ早期に起こるべきであり、透明なフィルムがこれらからできるだけ迅速に形成されるべきである。従って、改善された包装された製品も提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的のうちの少なくとも1つを成し遂げることへの寄与は、特定の独立請求項に係るプロセス、エステル生成物、防曇剤、ポリマー組成物、成形品およびその使用によってなされ、各々それら独立請求項に従属する従属請求項は好ましい実施形態に関連する。
【0011】
本発明は、
a)工程として、
S1)反応成分として、
S1a)少なくとも2つのグリセロール単位を含むポリグリセロール、および
S1b)天然油に基づく油、
を含む反応混合物を準備する工程と、
S2)エステル生成物を得るために、塩基性触媒の存在下でのエステル交換反応によりこの反応混合物を反応させる工程と、
を含むプロセスによって得られるエステル生成物と、
b)ポリエチレングリコールエーテル、部分グリセリドもしくはポリエチレングリコールエステルまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる防曇剤と、
を含む防曇剤を提供する。
【0012】
塩基触媒によるエステル交換反応を考慮すれば、このプロセスは、脂肪酸のエステル化によって防曇剤が得られる防曇剤の調製のための公知のプロセスとは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、個々の純粋なエステルおよび互いに異なる2種以上の個々のエステルとのエステル混合物の両方が、エステル生成物として理解される。好ましくは、このエステル生成物は、いずれの場合もこのエステル生成物に基づいて、少なくとも20重量%まで、好ましくは少なくとも30重量%まで、特に好ましくは少なくとも60重量%までの特定のポリグリセロールの部分エステルを含む。ある場合には、この特定の1つのポリグリセロールの部分エステルは、いずれの場合もエステル生成物に基づいて最大で80重量%または90重量%まで見出される。
【0014】
塩基性は、好ましくは、このエステル交換反応のために用いられる反応混合物が7〜14、好ましくは8〜14、特に好ましくは9〜13の範囲のpHを有するということを意味すると理解される。
【0015】
さらには、本発明に係るプロセスの1つの実施形態では、この反応混合物は、いずれの場合もその反応混合物の総重量に基づき、少なくとも50重量%まで、好ましくは少なくとも75重量%まで、特に好ましくは少なくとも90重量%までの反応成分S1aおよびS1bを含む。特に好ましい実施形態では、この反応混合物は10〜95重量%の油、特に好ましくは20〜90重量%の油を含む。さらに好ましい実施形態では、この反応混合物は、5〜90重量%のポリグリセロール、特に好ましくは10〜50重量%のポリグリセロールまたは15〜40重量%のポリグリセロールを含む。好ましくは、塩基性触媒の含有量は、1重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満である。特に好ましくは、この反応混合物の中の塩基性触媒の含有量は、0.1〜10ppmである。さらに好ましい実施形態では、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するさらなるアルコールの含有量は、0〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。さらには、本発明のさらなる実施形態では、この反応混合物は、ポリグリコール、特にポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールをも含む。
【0016】
本発明に係る好ましいプロセスは、当該プロセスが以下の反応成分を含有する反応混合物の中で実施される、プロセスである:
少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、特に好ましくは少なくとも15重量%の油、
5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは5〜85重量%のポリグリセロール、
0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.5重量%、特に好ましくは0.001〜0.1重量%の塩基性触媒、
0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜20重量%の少なくとも2つのヒドロキシル基を有するさらなるアルコール、
0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%の、上記の反応成分とは異なる添加剤(不純物など)
(ただし、これらの反応成分の全重量%の和は100である)。
【0017】
脂肪酸は、油脂からの単離によっておよび化学合成によって簡便に化学的に得られる。本発明に係るプロセスは、このエステル交換反応が油およびポリグリセロールから出発して直接実施することができるという長所を有する。当該プロセスはこれにより簡素化され、原料の利用可能性が改善される。驚くべきことに、このようなエステル生成物は非常に良好な防曇特性をも示す。
【0018】
本発明に係る好ましいプロセスは、このエステル化がワンポットプロセスで実施されるプロセスである。ワンポットプロセスでは、上記油、ポリグリセロールおよび塩基性触媒が混合され、次いで好ましくは同じ反応器の中で反応される。油が最初に脂肪酸およびグリセロールへと分解され次いでエステル化が実施される2段階または多段階のプロセスとは対照的に、本発明によれば、油(1種または複数種)は、エステル交換反応の開始の前には、いずれの場合もこの油に基づいて30重量%未満、好ましくは15重量%未満、特に好ましくは5重量%未満の遊離脂肪酸の含有量で存在する。
【0019】
本発明に従って用いることができる塩基性触媒は、好ましくは、7より大きい、好ましくは8より大きい、特に好ましくは10より大きい、さらに好ましくは12より大きい、水中、25℃で測定されたpHを有する。原理上、当業者に公知でありかつ本発明に係るエステル交換反応に適していると思われるすべての触媒が使用できる。本発明の好ましい実施形態では、この塩基性触媒は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物および元素の周期表の第3族の水酸化物(いずれの場合もそれらの水和物を含む)、ならびにこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。特に好ましい触媒は、アルカリ金属水酸化物としての水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、およびアルカリ土類金属水酸化物としての水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムまたはこれら2つの混合物、第3族の水酸化物としての水酸化アルミニウムまたは水酸化ホウ素またはこれらの両方、ならびにこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。水酸化リチウム、特に水酸化リチウムの一水和物が特に好ましい。
【0020】
本発明によれば、当該エステル交換反応が互いに異なる少なくとも2つの圧力下で実施されることがさらに好ましい。この場合、エステル交換反応の間に行き渡る第1の圧力は、同じくこのエステル交換反応の間に行き渡る少なくとも1つのさらなる圧力よりも、好ましくは少なくとも10mbar(10hPa)、特に好ましくは少なくとも100mbar(100hPa)、さらに好ましくは少なくとも200mbar(200hPa)、さらにより好ましくは少なくとも250mbar(250hPa)大きいことが好ましい。本発明に係るプロセスでは、この少なくとも1つのさらなる圧力は100〜500mbar(100〜500hPa)、好ましくは150〜450mbar(150〜450hPa)、特に好ましくは250〜350mbar(250〜350hPa)の範囲にあることがさらに好ましい。本発明によれば、第1の圧力および少なくとも1つのさらなる圧力が、少なくとも5分、好ましくは少なくとも15分、特に好ましくは30〜90分の範囲の時間差で互いに続くことがさらに好ましい。
【0021】
本発明によれば、当該反応は、エステル交換反応が起こる温度で実施されることがさらに好ましく、この温度は40℃を超えることが多い。一般に、エステル交換反応温度は、熱へのあまりに高い曝露によってエステル生成物が変色しないように選択されるということに留意されたい。この場合、100〜350℃、好ましくは150〜300℃、特に好ましくは200〜270℃の範囲でエステル交換反応を実施することが好ましい。第1の圧力から少なくとも1つのさらなる圧力への移り変わりは、少なくとも40℃を超える温度で、好ましくは本発明に係る上述の温度で起こることがさらに好ましい。従って、本発明によれば、10分〜10時間、好ましくは0.5〜7時間、特に好ましくは1〜6時間の反応時間にわたってエステル交換反応を実施することがさらに好ましい。この場合は、反応時間の開始点は、例えば40℃を超える温度での場合のようにエステル交換反応が認識できる程度に開始するときであると見なされる。
【0022】
本発明によれば、使用される油は天然油であり、これは化学的に修飾されていてもよい。用語「油」はグリセロールのエステルの混合物を表す。天然油は、実質的に脂肪族モノカルボン酸、いわゆる脂肪酸のグリセロールエステルからなる。これらは6〜22個の炭素原子の鎖長を有する。このエステルはトリグリセリドとも呼ばれる。「油」は、本発明に関しては、これらが40℃より上で液体である場合、存在する。異なる生物学的起源に由来する天然油は、それらが含有する脂肪酸の性質および量の分布に関しては、様々である。本発明に係る天然油は、植物由来または動物由来のいずれのものでもよい。本発明に係る天然油は、その天然油の化学構造と同じ化学構造を有する合成により調製された油も包含する。いずれの場合も天然油に基づいて50重量%より大きい、好ましくは75重量%より大きい、特に好ましくは90重量%より大きいトリグリセリドの含有量をもつ天然油の使用が、本発明によれば好ましい。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、当該油の1つのグリセロールによってエステル化される全脂肪酸の中でのC18脂肪酸の含有量は、いずれの場合も当該油に基づいて、30〜95重量%、好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80〜95重量%の範囲にある。さらなる実施形態では、グリセリド中の不飽和脂肪酸の含有量は、いずれの場合も当該油に基づいて10重量%より大きく、好ましくは30重量%より大きく、特に60重量%より大きく、特に好ましくは70重量%より大きい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、油は、菜種油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、パーム油、獣脂油、硬化獣脂油、ヤシ油、落花生油および大豆油ならびにこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され、菜種油が特に好ましい。ヒマワリ油はヒマワリの種子から調製され、およそ35〜95%のC18脂肪酸を含む。不飽和脂肪酸の含有量はおよそ20〜75%である。ヒマシ油は、トウゴマの種子から冷搾法により得られ、約80〜85%の程度のリシノール酸のグリセリドを含む。菜種油はアブラナの種子からとった油とも呼ばれ、アブラナの種子から圧搾により得られる。この油は約63%のオレイン酸および20%のリノール酸を含む。大豆油は大豆から圧搾、および任意に引き続く炭化水素の抽出により得られ、主にC18脂肪酸(これは不飽和であるものが支配的である)を含む。パーム油はヤシ果実のフルーツ果肉から得られ、高含有量のリノール酸を含む。
【0025】
本発明に関しては、「化学的に修飾された」は、生物学的起源から得られた油が、エステル結合には実質的に影響を及ぼさずにその油の化学的一貫性を変える処理に供されるということを意味する。本発明に係る好ましい天然油に対する化学的な後処理プロセスは、いくつかの脂肪酸鎖に含まれる炭素−炭素二重結合および三重結合が単結合へと変換される硬化である。本発明に係る油は、添加剤と混合されてもよい。50%より多い、好ましくは75%より多い、または90%より多い天然油を含む混合物もまた、本発明に関しては天然油と考えられる。
【0026】
本発明に関しては、「ポリグリセロール」は、2以上のグリセロール分子に由来するエーテルを表す。それゆえ、本発明に関しては、用語ポリグリセロールはジグリセロールも含む。用語ポリグリセロールは、その調製プロセスおよびそのあとの分離工程に依存して、グリセロールに由来する二量体、三量体、四量体などの特定の分布を有するエーテル混合物をも表す。ポリグリセロールの調製のための多くのプロセスが先行技術、例えば米国特許第3,968,169号において公知である。Solvay Chemicals Internationalは、「Solvay Diglycerol」および「Solvay Polyglycerol−3」の商標名でジグリセロールおよびポリグリセロールを提供している。ポリグリセロールは、化粧品の調製のための出発物質として、工業的使用のための乳化剤として、および食品用の添加物として工業的に役立っている。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、ポリグリセロールは、1分子あたり1.5〜5の平均数のグリセロール単位を有する。1分子あたり2〜4の平均数のグリセロール単位が特に好ましい。一般に、ポリグリセロールが、いずれの場合もそのポリグリセロールに基づいて70重量%より多い、好ましくは80重量%より多い、特に好ましくは85重量%より多いジグリセロール、トリグリセロールおよびテトラグリセロールを含むことが特に好ましい。本発明の特に好ましい実施形態では、30%より多い、特に好ましくは40%より多いトリグリセロールを含む混合物がポリグリセロールとして使用される。10%未満のモノグリセロール、20〜40%のジグリセロール、25〜50%のトリグリセロールおよび10〜30%のテトラグリセロールおよび20%未満の、5以上のグリセロールサブユニットのポリグリセロールを含む混合物を使用することが特に好ましい。これは、使用することが特に好ましい製品「Solvay Polyglycerol−3」のグリセロールの分布に対応する。
【0028】
上記ポリグリセロールとは異なる少なくとも1つのさらなるアルコールの存在下でエステル交換反応が実施されるプロセスが、本発明によれば好ましい。本発明の好ましい実施形態では、このさらなるアルコールは少なくとも2つ、好ましくは2〜50個、特に好ましくは2〜40個、さらにより好ましくは2〜20個のヒドロキシル基を含む。本発明の好ましい実施形態では、このさらなるアルコールは、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトールおよびトリメチロールプロパンまたはそのアルコキシル化物、好ましくは2〜200個のエチレンオキシド繰り返し単位を有するポリエチレングリコール、好ましくは2〜200個のエチレンオキシド繰り返し単位を有するポリプロピレングリコール、またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され、グリセロール、ソルビトールまたはポリエチレングリコールが好ましい。
【0029】
本発明はまた、本発明に係るプロセスによって得られるエステル生成物をも提供する。
【0030】
以下の特性のうちの少なくとも1つ、好ましくは各々を有するエステル生成物が、本発明によれば好ましい:
E1 1.5〜6,000mPas、好ましくは5〜4,000mPas、特に好ましくは10〜3,000mPasの範囲の粘度、
E2 0.8〜1.4g/cm、好ましくは0.85〜1.35g/cm、特に好ましくは0.85〜1.3g/cmの密度。
【0031】
本発明はまた、いずれの場合も防曇剤に基づいて好ましくは10〜99.9重量%、好ましくは15〜95重量%の範囲の量で本発明に係るエステル生成物を含む防曇剤をも提供する。内部防曇剤として使用するための防曇剤が特に好ましい。
【0032】
少なくとも1つのさらなる防曇剤を含む防曇剤組成物は、本発明によれば好ましい。これは、当該防曇剤の防曇作用を改善しかつ天然油とポリグリセロールとのエステル交換反応から得られる本発明に係るエステル生成物ではないさらなる物質をこの組成物が含むということを意味する。本発明の好ましい実施形態では、このさらなる防曇剤は、ポリエチレングリコールエーテル、部分グリセリドもしくはポリエチレングリコールエステルまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。ポリエチレングリコールオレエート、特にポリエチレングリコールソルビタンモノオレエートが特に好ましい。このさらなる防曇剤またはさらなる防曇剤の混合物は、好ましくは1:10〜10:1の比で本発明に係るエステル生成物に対して用いられる。特に好ましくは、この比は1:2〜2:1である。
【0033】
本発明はまた、本発明に係るエステル生成物もしくは防曇剤またはその両方と、少なくとも1つのポリマーとを含むポリマー組成物を提供する。原理上は、溶融させることができるいずれのポリマーも使用できる。この例としては、特に、いずれの場合も一般に熱可塑性プラスチックと呼ばれる直鎖状ポリマーおよび分枝状ポリマーが挙げられる。当該ポリマー組成物が本発明に従って含むポリマーは、熱可塑性プラスチックの調製のための当業者に公知のいずれのプロセス、例えば重縮合、開環重合、重付加、金属触媒によるアニオン重合、カチオン重合およびフリーラジカル重合によって得ることができる。本発明の好ましい実施形態では、このポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ酪酸、ポリカーボネート、これらのうちの少なくとも2つの共重合体またはポリエステルおよび混合物からなる群から選択される。また、使用することができる共重合体は、単量体単位として上記のサブユニットのうちの1つを含みかつ本願明細書で言及していない単量体単位と共重合された共重合体である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、このポリマー組成物は、いずれの場合もこのポリマー組成物に基づいて0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜7重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の当該エステル生成物を含む。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、このポリマー組成物は、いずれの場合もこのポリマー組成物に基づいて10〜99.95重量%、好ましくは50〜99重量%、特に好ましくは60〜95重量%の上記ポリマー(1種または複数種)を含む。
【0036】
本発明のさらなる実施形態では、当該ポリマー組成物または防曇剤は、安定剤、潤滑剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、さらなる防曇剤、帯電防止剤、防炎剤、染料、色素、発泡剤、充填剤、脂肪、油および溶媒またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択されるさらなる添加剤を含む。
【0037】
安定剤は、PVCなどのプラスチック類が高温で分解または化学的に変化しないようにし、かつ耐候性を改善する。例えば、鉛、カルシウム、亜鉛、バリウムおよびスズ系の化合物が用いられる。
【0038】
潤滑剤は、PVC鎖間の摩擦を低下させること、および壁へのPVC溶融物の接着を低下させることによりPVCの加工を容易にする働きをする。しばしば用いられる潤滑剤は、同時に補助安定剤として作用するステアリン酸鉛およびステアリン酸カルシウムならびにラウリン酸鉛およびラウリン酸カルシウムなどの金属石鹸である。
【0039】
可塑剤は、柔軟性および可撓性をプラスチックに賦与する。多くの可塑剤は、フタル酸エステル(DEHP、DINPおよびDIDP)、およびアジピン酸エステルおよびクエン酸エステルの群に属する。
【0040】
ブロッキング防止剤は、(例えば積み重ねまたはパッキングの間に)コーティングされた表面が互いにまたは基材に対して固着(「ブロッキング」)するのを防ぐまたは低減させる添加剤である。空気中での乾燥時間、乾燥の程度、層の厚さ、特定の荷重下での圧力または温度に依存して、適切な剥離剤が選択される必要があり、これらは、概してコーティング物質に加えられて、乾燥段階の間に表面に到達する。例えばパラフィン、ポリエチレンワックス、ワックスエステル、シリコーンオイル、ステアリン酸塩、変性シリカおよびタルクが、この目的で使用される。
【0041】
充填剤、例えば白亜およびタルクなどの鉱物充填剤は、強度を増し、絶縁作用を改善する。
【0042】
食品、化粧品および医薬との接触にも適した、酸化チタンなどの有色の色素は、染料および色素として作用する。
【0043】
水または有機溶媒(アルコールなど)は、溶媒として用いることができる。
【0044】
以下の組成物成分を含むポリマー組成物は本発明によれば好ましい:
少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、特に好ましくは少なくとも20重量%のポリマー;
0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは1〜8重量%の当該エステル生成物;
0〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは1〜8重量%のさらなる防曇剤;
0〜75重量%、好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜65重量%の、上記の組成物成分とは異なる添加剤
(ただし、いずれの場合も当該ポリマー組成物に基づいており、すべての重量%の和は100である)。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、当該ポリマー組成物は熱可塑性ポリマー組成物である。熱可塑性ポリマー組成物は、特定の温度範囲から、可逆的に変形できる。本発明のさらなる実施形態では、このポリマー組成物は、例えばエラストマーの調製のための架橋されていない、架橋性のポリマー組成物である。
【0046】
本発明はまた、防曇剤、好ましくは内部防曇剤としての、本発明に係るエステル生成物の使用を提供する。内部防曇剤は、ポリマー組成物が成形品へと加工される前にポリマー組成物に組み込まれる。
【0047】
本発明はまた、本発明に係るポリマー組成物が成形品へと加工される、成形品の製造のためのプロセスを提供する。「成形品」は、本発明に関しては、三次元形態へと加工されたポリマー組成物である。これに関して、これは、熱成形により得られる成形品であってもよい。このような成形品は、例えば公知のプロセスにより熱可塑性プラスチックを加工することによって得られる。しかしながら、この成形品は、架橋または加硫処理された成形品であってもよい。このような成形品は、例えばエラストマーの加工の間に得られる。本発明に係る成形品は、成形品の中でのおよびそれゆえその表面上での防曇剤の分布に起因して成し遂げられる防曇特性を有する。
【0048】
本発明はまた、本発明に係るポリマー組成物を含むかまたは本発明に係るポリマー組成物から製造される成形品を提供する。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、この成形品は、フィルム、外装材(Aussenverkleidung)、透明な成形体、窓、バイザーまたは眼鏡レンズの形態で構築される。特に好ましくは、この成形品は、特にフィルム、外装材および透明な成形体の形態にあるパッケージング材料としての役割を果たす。防曇特性を有するこのようなパッケージング材料は、水分含量を有する食品または他の製品のパッケージング用に使用される。このようなパッケージング材料では、防曇特性は、内部からのパッケージング材料の曇りを緩和または防止する。外装材、窓、バイザーまたは眼鏡レンズなどの本発明のさらなる実施形態では、外側および/または内側での液滴の形成および水分の蓄積は防止される。本発明に係る成形品は、透明であることが特に好ましく、または少なくともある割合の光を透過させる。
【0050】
本発明に係る熱可塑性ポリマー組成物は、一般に、公知のプロセスによって反応させて本発明に係る成形品を得ることができる。これに関して、当該ポリマー配合物は、公知の方法により、例えば添加剤の組み込みにより、または当該ポリマー組成物を顆粒、粉末、ペーストまたは溶液などの適切な形態へと変換することにより最初に加工することができる。これに関して、当該ポリマー組成物は、任意に機械的に処理され、つまり分散され、混練されまたは造粒される。成形品への加工は、例えば射出成形または押出によって実施される。この成形体は任意に再加工され、つまり成形され、切断され、表面上で処理され、または溶接される。硬化性ポリマー組成物は、圧縮または成形の後に硬化され、成形体を与える。
【0051】
本発明はまた、成形品の製造のために使用されるプロセスであって、
I)本発明に係るエステル生成物または本発明に係る防曇剤またはその両方を含む熱可塑性組成物を準備する工程と、
II)この熱可塑性組成物をその熱可塑性ポリマーのガラス転移温度まで、またはこの熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程と、
III)工程II)で調製された加熱された熱可塑性組成物から成形品を製造する工程と、
を含むプロセスを提供する。
【0052】
成形品の製造のための本発明に係るプロセスの工程I)では、本発明に係る熱可塑性組成物が、まず準備され、この準備は、好ましくは、本発明に係るプロセスの第1の態様に係るプロセスにより実施される。
【0053】
工程II)では、この熱可塑性組成物は、その熱可塑性ポリマーのガラス転移温度または熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱される。これに関して、この場合は、この熱可塑性組成物の加熱は、用いられる熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)の5℃下〜ガラス転移温度の100℃上の範囲の温度まで、特に好ましくは用いられる熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)の1℃下〜ガラス転移温度の50℃上の範囲の温度まで、最も好ましくは用いられる熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)の1℃上〜ガラス転移温度の20℃上の範囲の温度まで行われることが好ましいが、しかしながら、この場合でも、温度範囲の上限は、用いられる熱可塑性ポリマーの分解温度によって実質的に制限される。
【0054】
原理上、工程I)およびII)は、同時にまたは連続して行うことができる。例えば当該熱可塑性組成物が溶融混合プロセスを用いて調製される場合は、工程I)およびII)を同時に実施することが適切である。必要に応じて、本発明では、溶融混合プロセスによって調製された組成物を直接に成形品へと変換することが有利である場合がある。例えば当該熱可塑性組成物が乾式混合プロセスによって調製される場合、または当該熱可塑性組成物が実際は溶融混合プロセスを用いて調製されるが、その調製後に直接に成形品の形成に供されず、むしろ工程v)に従ってまず冷却される場合は、工程I)およびII)を逐次的に実施することが適切である。
【0055】
成形品の製造のための本発明に係るプロセスの工程III)では、成形品は、工程II)で調製された加熱された熱可塑性組成物から製造される。成形品の製造のための可能なプロセスは、特に、射出成形、押出成形、圧縮成形、多層成形、積層成形、ブロー成形、真空成形およびトランスファー成形であり、射出成形が特に好ましい。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、さらなる工程IV)において、工程III)で得られた成形品の少なくとも一部の領域は、工程III)と比べて、その肉厚が減少される。
【0057】
本発明はまた、包装された製品の製造のためのプロセスであって、製品および本発明に係る成形品を準備する工程と、この製品を当該成形品で少なくとも部分的に囲む工程とを含むプロセスを提供する。
【0058】
さらには、熱可塑性成形品を製造するための本発明に係るプロセスの1つの実施形態では、少なくとも1つのさらなる工程IV)において、プロセスIII)で得られる成形品の少なくとも一部の領域は、成形品の空白部分としての役割を果たし、比較すればその肉厚が減少される。この肉厚は、本発明に係る熱可塑性成形用組成物から中実に作製された成形品の、ある領域の断面である。例えば、容器または器では、肉厚は、これらの容器または器の壁の厚さである。構造がかなり糸またはより糸のようである成形品の場合は、肉厚は、これらの糸またはより糸の厚さである。シート、層、織物、フィルムまたは箔などのかなり平面的な構造の場合には、肉厚は、これらの平面的な構造の厚さである。断面の減少については、原理上、当業者に公知でありかつこれに適したすべての方法が使用できる。これらとしては、例えば、一方向または二方向に伸展すること(Strecken)、一方向または二方向に延伸すること(Ziehen)、遠心することまたはブロー成形することが挙げられ、これらは、各々、本発明に係る熱可塑性組成物が伸展すること、延伸すること、遠心することまたはブロー成形を実施することができるほどに十分に柔らかいかまたは液体でさえある高められた温度で実施されることが好ましい。断面が減少された一部の領域は、工程III)で得られた成形品の少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%を構成することが好ましい。一般的に言えば、伸展することまたは延伸することは、工程III)で得られた成形品から繊維を得ようとする場合に実施される。他方、フィルムの製造では、この延伸することまたは伸展することは、1以上の次元において実施することができる。従って、押出し成形機から出るウェブは、その押出し成形機からの出口速度よりも高速でロールの上へと引っ張ることができる。他方で、容器または器を得ようとする場合は、伸展すること、延伸することおよび遠心することに加えて、とりわけ、ブロー成形が工程IV)で使用される。この場合、この肉厚は、気体の圧力を加えることにより減少される。この気体の圧力は、一般に、工程III)で得られた成形品の少なくともガラス転移温度まで加熱された熱可塑性組成物が引き伸ばされうるように選択される。一般的に言えば、この引き伸ばしは、当該成形品の最終形状を有する型の使用の結果として範囲が定められる。工程I)〜IV)のうちの2以上をさらなる工程によって補完し、かつ/または少なくとも時間を重ねて進行することも可能である。これは、特に工程III)およびIV)に当てはまる。
【0059】
上述の目的のうちの少なくとも1つを成し遂げることに対する1つの寄与は、さらには、包装された製品の製造のためのプロセスであって、
a)製品、および上記のプロセスによって得られる成形品(特にフィルム)を準備する工程と、
b)この製品を当該成形品で少なくとも部分的に囲む工程と、
を含むプロセスによってなされる。
【0060】
工程a)で準備される製品は、好ましくは医薬品、ボディケア組成物または食品である。この製品を少なくとも部分的に囲むことは、例えば独国特許出願公開第103 56 769号明細書に記載されるプロセスにより実施することができる。
【0061】
本発明の基礎になっている目的は、本発明に係るエステル生成物、その調製のためのプロセスおよび防曇剤としてのその使用によって成し遂げられる。このエステル交換反応プロセスによって、天然油から、有効かつ活性な防曇剤を直接調製することが可能になる。天然油は、原料として大量にかつ安価に利用できる。それゆえ、比較的高価な純粋な脂肪酸およびこれらの混合物を使用することは必要ではない。防曇剤の調製などの工業的な大規模のプロセスでは、この簡素化は顕著なコスト削減を意味する。さらには、驚くべきことに、天然油から直接出発する防曇剤の調製において、非常に良好な防曇特性が達成されるということが見出された。本発明に従って処理されたプラスチック類は、比較的低い曇りを示す。試験では、当該フィルム上での液滴の蓄積は、高湿度において相対的に長時間後にしか起こらない。液滴形成後の当該フィルムの清澄化は、比較的迅速に起こる。本発明に係る調製プロセスおよび本発明に従って処理されたプラスチック類の特性は、以下の実施例で説明される。
【実施例】
【0062】
試験方法:
以下で詳細に記載しない場合は、本願明細書に記載するパラメータは、特定の最も適切なDIN規格に従って測定されている。適切なDIN規格が利用できない場合は、最も適切なISO規格に従っている。特段の記載がない限り、すべての特性は25℃で測定する。
【0063】
密度は、比重瓶または51550を用いて測定する。
【0064】
1.色数
色数は、Lovibond(Lov.)の方法によるISO 15305に従って測定する。
【0065】
2.酸価
酸価は、DIN EN ISO 3682に従って測定する。
【0066】
3.鹸化価
鹸化価はDIN EN ISO 3681に従って測定する。
【0067】
4. 高温曇り試験
高温曇り試験は、閉じた状態で保存される熱いまたは暖かい食品が詰められたパッケージング用に使用されるフィルムの防曇特性を模擬する。このために、250mlのガラスビーカーに200mlの蒸留水を満たし、試験しようとするフィルムの試料でこのガラスを覆い、60℃に温度調整した浴の中に置く。次いで、そのフィルムの変化が目に見えるようになる時間間隔を600秒にわたって記録する。
【0068】
5. 低温曇り試験
この試験は、冷蔵庫の中で保存される食品用のパッケージング材料として使用されるフィルムの防曇特性を模擬する。このために、250mlのガラスビーカーに200mlの蒸留水を満たし、試験しようとするフィルムの試料でこのガラスを覆い、8℃に温度調整した温度制御できるチャンバーの中に置いた。次いで、このフィルムの変化が目に見えるようになる時間間隔を600秒にわたって記録する。
【0069】
6. 密度
密度はDIN 51757 V 4に従って測定する。
【0070】
7. 粘度
粘度はDIN 1342 P1、2に従って測定する。
【0071】
8. 表面張力
表面張力はDIN 53914に従って測定する。
【0072】
実施例1:菜種油とPolyglycerol−3とのエステル交換反応
255.6gの菜種油、74.4gのPolyglycerol−3(Solvay Chemicals)および0.03gのLiOH・HOを最初にガラスフラスコに導入し、撹拌しながら235℃に加熱した。1時間後、300mbar(300hPa)の減圧にし、2時間の反応時間後、この混合物を冷却した。生成物は以下の特性を有する明黄色の液体である:
色 1” Lov. 黄色=1.6、Lov. 赤色=0.5、酸価=0.10mg KOH/g、鹸化価=146mg KOH/g、屈折率(20℃)=1.4772。
【0073】
実施例2および実施例3:試験片の製造
【表1】

上記成分を一緒に混合し、実験室用ロールミルで、185℃で5分間この混合物をロール混練した。このロール混練したシートを、60℃での「高温曇り試験」により調べた。
【0074】
高温曇り試験、60℃:
【表2】

B2は先行技術によるものであり、B3は本発明に係るものである。
【0075】
実施例4〜実施例9:
【表3】

実施例B4〜実施例B6の成分を一緒に混合し、Berstorff Maschinenfabrik製の実験室用ロールミルで、185℃で5分間この混合物をロール混練した。このロール混練したシートを、25℃/8℃での「低温曇り試験」により調べた。
【0076】
低温曇り試験、25℃水温/8℃周囲温度
【表4】

B4は先行技術によるものであり、B5およびB6は本発明に係るものである。
【0077】
実施例B7〜実施例B9の成分を一緒に混合し、Berstorff Maschinenfabrik製の実験室用ロールミルで、185℃で5分間この混合物をロール混練した。このロール混練したシートを、60℃での「高温曇り試験」により調べた。
【0078】
高温曇り試験、60℃:
【表5】

B9は本発明に係るものである。
【0079】
原料:
【表6】

注:Cognis Oleochemicals GmbHは、最近、Emery Oleochemicals GmbHへと名称を変えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防曇剤であって、
a)工程として、
S1)反応成分として、
S1a)少なくとも2つのグリセロール単位を含むポリグリセロール、および
S1b)天然油に基づく油、
を含む反応混合物を準備する工程と、
S2)エステル生成物を得るために、塩基性触媒の存在下でのエステル交換反応により前記反応混合物を反応させる工程と、
を含むプロセスによって得られるエステル生成物と、
b)ポリエチレングリコールエーテル、部分グリセリドもしくはポリエチレングリコールエステルまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる防曇剤と、
を含む防曇剤。
【請求項2】
前記エステル交換反応はワンポットプロセスで実施される、請求項1に記載の防曇剤。
【請求項3】
前記塩基性触媒は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物もしくは第3族の水酸化物、またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の防曇剤。
【請求項4】
前記油は、菜種油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、パーム油、大豆油、獣脂油、硬化獣脂油、ヤシ油および落花生油またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防曇剤。
【請求項5】
前記ポリグリセロールは、1分子あたり1.5〜5の平均数のグリセロール単位を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防曇剤。
【請求項6】
前記エステル交換反応は少なくとも1つのさらなるアルコールの存在下で実施される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の防曇剤。
【請求項7】
前記さらなるアルコールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む、請求項6に記載の防曇剤。
【請求項8】
前記さらなるアルコールは、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはそのアルコキシル化物、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項6または請求項7に記載の防曇剤。
【請求項9】
前記プロセスは、以下の反応成分を含有する反応混合物、
少なくとも10重量%の油、
5〜90重量%のポリグリセロール、
0.0001〜1重量%の塩基性触媒、
0〜40重量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するさらなるアルコール、
0〜20重量%の、上記の反応成分とは異なる添加剤
(いずれの場合も、前記反応混合物に基づいており、前記反応成分の百分率の和は100である)
の中で実施される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の防曇剤。
【請求項10】
以下の特性のうちの少なくとも1つを有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の防曇剤:
E1 1.5〜15mPasの範囲の粘度、
E2 0.8〜0.95g/cmの範囲の密度。
【請求項11】
エステル生成物と、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の防曇剤と、少なくとも1つのポリマーとを含むポリマー組成物。
【請求項12】
前記ポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ酪酸、ポリカーボネート、ポリエステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
0.05〜10重量%の前記エステル生成物を含む、請求項11または請求項12に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
以下の成分を含む、請求項11から請求項13のいずれか1項に記載のポリマー組成物:
少なくとも10重量%のポリマー、
0.05〜20重量%の前記エステル生成物、
0〜10重量%のさらなる防曇剤、
0〜75重量%の添加剤。
【請求項15】
前記組成物は熱可塑性ポリマー組成物である、請求項11から請求項14のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
請求項11から請求項15のいずれか1項に記載のポリマー組成物が加工され、成形品を与えることを特徴とする、成形品の製造のためのプロセス。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれか1項に記載のポリマー組成物を含む成形品。
【請求項18】
フィルム、外装材、透明な成形体、窓、バイザーまたは眼鏡レンズの形態にある、請求項17に記載の成形品、または請求項16に記載のプロセスにより得られる成形品。
【請求項19】
熱可塑性成形品の製造のためのプロセスであって、
I)請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の防曇剤を準備する工程と、
II)熱可塑性組成物を熱可塑性ポリマーのガラス転移温度または熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程と、
III)工程II)で調製された加熱された前記熱可塑性組成物から成形品を製造する工程と、
を含むプロセス。
【請求項20】
さらなる工程IV)において、工程III)で得られた成形品の少なくとも一部の領域は、工程III)と比べて、その肉厚が減少される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
包装された製品の製造のためのプロセスであって、
a)製品と、包装用成形品としての請求項17もしくは請求項18に記載の成形品、または請求項19もしくは請求項20に記載のプロセスに従って得られる熱可塑性成形品、またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物とを準備する工程と、
b)前記製品を前記包装用成形品で少なくとも部分的に囲む工程と、
を含むプロセス。

【公表番号】特表2011−523675(P2011−523675A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512096(P2011−512096)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056742
【国際公開番号】WO2009/147138
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509339049)エメリー オレオケミカルズ ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】