説明

ポリヌクレオチドおよび必要に応じて抗原を含む、特にワクチン接種のための薬学的組成物

【課題】免疫学的反応の刺激、調整、または誘発が所望される広範な種々の状況において、効果的および有益に適用可能である手段を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ポリヌクレオチドの少なくとも1つのフラグメント、好ましくは少なくとも1つの抗原、ならびに必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤を含む薬学的組成物に関する。上記課題は、本発明に従っての、脊椎動物へのこの薬学的組成物の導入が、増殖の調節、細胞内の転写および翻訳の誘導、タンパク質合成、タンパク質発現、またはタンパク質分泌を達成することにより解決された。薬学的組成物は、ワクチンプロトコルにおいて有用であるが、また免疫調節が利益をもたらす任意の他の治療的状況(例えば、最適下限の免疫応答、病原体に対する反応、耐性、または自己免疫)においても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチドの少なくとも1つのフラグメント、好ましくは少なくとも1つの抗原、ならびに必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤を含む薬学的組成物に関する。本発明によれば、薬学的組成物の脊椎動物への導入は、増殖の調節、細胞性転写および翻訳の誘導、タンパク質合成、タンパク質発現、またはタンパク質分泌を達成することが見出された。薬学的組成物は、ワクチン接種プロトコルにおいて有用であるが、免疫調節が有益である任意の他の治療状況(例えば、最適下限の免疫応答、病原体に対する反応、寛容、または自己免疫)においても有用である。
【背景技術】
【0002】
免疫系細胞は骨髄から輸出され、そして自己対非自己を識別することにより外来病原体およびガン細胞を認識および制御する能力を免疫系細胞に与える、一連の分化事象を受けることが知られる。これらの分化および教育(education)事象は、細胞内シグナル伝達を介した細胞表面レセプター結合(engagement)ならびに自己分泌、パラ分泌、および内分泌の可溶性リガンド(代表的には、サイトカインと呼ばれる)の環境により緊密に制御される。細胞対細胞の相互作用は、胸腺、脾臓、またはリンパ節のような別個の位置において生じるが、末梢においてもまた生じる。従って、この系は、免疫エフェクター細胞の細胞増殖、分化、および成熟を制御するために、レセプターおよびサイトカイン入力シグナルの均衡を保たせる(非特許文献1)。外部からの介入により、免疫系は操作され得る(すなわち、例えば、ワクチン接種またはサイトカイン治療により増強され得るか、または例えば、薬物介入またはサイトカイン治療により抑制され得る)。
【0003】
脊椎動物の免疫系は、いくつかの相互作用成分からなる。最もよく特徴付けられ、そして最も重要な部分は、体液性および細胞性(細胞溶解性)部門である。体液性免疫は、体液中に分泌され、そして抗原を直接的に認識するタンパク質である抗体を含む。対照的に、細胞系は、外来抗原を生成する他の細胞を認識および殺傷する特殊な細胞にたよる。この基本的な機能的区分は、免疫防御の2つの異なるストラテジーを反映する。体液性免疫は、主に、宿主体細胞に対して外因性の抗原または細胞表面上の抗原に指向されるが、細胞系は、細胞内で活動的に合成された抗原、または食作用外因性抗原に由来する抗原に応答する。
【0004】
体液性免疫のエフェクターである抗体分子は、抗原、コレセプター刺激、およびサイトカインに応答して特殊なBリンパ細胞であるB細胞により分泌される。抗体は、直接的に抗原に結合しそして不活化する(中和抗体)か、または免疫系の他の細胞を活性化して、アイソタイプ(IgM、IgG1など)に依存して抗原を破壊し得る。B細胞におけるアイソタイプクラススイッチングは、とりわけ、サイトカイン環境により制御される。抗原応答、コレセプター結合、またはサイトカイン環境における異常は、最適下限の免疫応答、寛容、または自己免疫を導き得る。
【0005】
細胞性免疫認識は、特殊なクラスのリンパ細胞であるT細胞により媒介される。これらの細胞は抗原全体を認識しないが、その代わりに、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と呼ばれる表面タンパク質に結合した、抗原提示細胞の表面上に現れる抗原の分解されたペプチドフラグメントに応答する。T細胞の2つのサブグループが存在し;CD4T細胞は、MHCクラスII分子に結合したペプチドフラグメントを認識するが、一方、CD8 T細胞は、MHCクラスI分子に結合したペプチドフラグメントを認識する。CD8T細胞は、抗原提示細胞を特異的に溶解し得る細胞傷害性T細胞(CTL)の集団を含む。本質的に、全ての核形成細胞は、クラスI分子を有する。細胞内で生成されたタンパク質は、正常な細胞代謝の一部としてペプチドに連続的に分解されると考えられる。これらのフラグメントはMHC分子に結合し、そして細胞表面に輸送される。従って、細胞免疫系は、身体内の全ての細胞において生成されるタンパク質のスペクトルを絶えずモニターし、そして外来抗原または異常な自己抗原を生成するいずれの細胞をも排除するような態勢になっている。CD4T細胞は、主に、抗原プロセシング細胞により吸収された外因性抗原を認識し、ここでこの抗原は、分解され、そしてクラスII MHC分子上のペプチドフラグメントとして現れる。CD4細胞のエフェクター機能は、主に、サイトカイン放出による免疫応答の調節である。分泌されたサイトカインプロフィールに従って、CD4細胞の2つのサブクラス、TH1およびTH2細胞が定義されている。種々の感染ならびにアレルギー疾患および自己免疫疾患において、活性化されたCD4T細胞サブクラス(TH1対TH2)の型は、免疫応答の結果に重大に影響すると考えられる。
【0006】
ワクチン接種は、ヒトまたは動物に抗原に応答する準備をさせるプロセスである。ワクチン接種は免疫認識より複雑であり、そしてB細胞および細胞傷害性T細胞だけでなく、そのうえ他の型のリンパ細胞もまた含む。ワクチン接種の間、抗原を認識する細胞(B細胞またはT細胞)はクローン的に拡大される。さらに、抗原に特異的な補助的な細胞(コレセプターおよびサイトカイン刺激を提供するヘルパーT細胞)の集団もまた増加する。ワクチン接種はまた、抗原をプロセシングし、そしてその抗原を2つの経路(マクロファージおよび樹状細胞)のうち1つを刺激し得る形態で示し得る特殊化抗原提示細胞を含む。
【0007】
外来抗原はヒトまたは動物に導入され、ここで表面免疫グロブリンに結合することにより特異的B細胞を活性化する。外来抗原はまた抗原プロセシング細胞(ここで分解される)により吸収され、そしてクラスII MHC分子に結合したこれらの細胞表面上のフラグメントにおいて現れる。クラスII分子に結合したペプチドは、ヘルパークラスのT細胞(CD4T細胞)を刺激し得る。ヘルパーT細胞および活性化B細胞の両方は、活性な体液性免疫化を生じるために必要とされる。細胞性免疫は同様の機構により刺激されるが、抗原提示細胞がMHCI提示経路に入ることは、代表的には、細胞内病原体複製によるものであり、そしてタンパク質抗原のみの注射により達成されない。
【0008】
標準的なワクチン接種スキームは、ほとんど常に体液性免疫応答を生じる。体液性系は、ワクチン接種された個体を病原体からの後の攻撃から防御し、そして病原体がその生活環の間に細胞外相(phase)を通り抜けた場合、細胞内感染の蔓延を予防し得るが;細胞内病原体を排除するについては比較的何もなし得ない。細胞傷害性免疫は、感染細胞およびガン細胞を排除することにより体液性系を補足する。従って、効果的なワクチン接種は、両方の型の免疫を有利に活性化するべきである。
【0009】
細胞傷害性T細胞応答は、細胞内病原体(例えば、ウイルス)ならびに悪性細胞を除去するために必要である。適切な応答を確実にするために、クラスI分子と共に適切な濃度で外因的投与抗原を提示することは難しいとわかった。これは、(例えば、乳房上のまたは結腸ガン細胞上の)腫瘍特異的抗原に対するワクチン、および免疫原性の弱いウイルスタンパク質(例えば、HIV、ヘルペス、非A・非B型肝炎、CMV、およびEBV)に対するワクチンの開発を重大に妨げている。ウイルスのような因子(その抗体が感染性を増強することが示されている)に対する免疫化において、細胞免疫応答単独を提供することが所望される。慢性および潜伏性両方のウイルス感染に対するこのような応答、ならびに悪性細胞に対するこのような応答を提供することもまた有用である。
【0010】
抗原に対する指向されたおよび高められた免疫応答は、アジュバントおよび/または送達ビヒクルの使用により達成され得る。用語「免疫アジュバント」は、個体に投与されるかまたはインビトロで試験された場合、抗原に対する免疫応答を増大させる化合物をいう。いくつかの抗原は、単独で投与された場合、弱く免疫原性であるか、または免疫応答を惹起する濃度で毒性である。免疫アジュバントは、抗原をより免疫原性にすることにより、抗原に対する個体の免疫応答を増強し得る。アジュバント効果はまた、提示を増強することによって、免疫応答を達成するのに必要な抗原の用量を減らすか、サイトカイン環境に影響を及ぼすか、または抗原提示細胞上のコレセプター発現を変化させ得る。
【0011】
最近、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体は、特定の生物学的プロセスに重大な影響を有し得ることが証明された。従って、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、遺伝子発現の調節に影響を有し得ることが示された(Bielinskaら、Science,250巻(1990),997-250頁)。Kriegら(Nature,374巻(1995),546-549頁)は、細菌DNAが直接的なB細胞活性化を誘発し得ることを報告する。彼らは、細菌DNAおよび非メチル化CpGジヌクレオチドを含む合成オリゴデオキシヌクレオチドが、インビトロおよびインビボで増殖し、そして免疫グロブリンを分泌するようにマウスB細胞を誘導することを開示する。Kriegらにより開発された系は、全ての場合において、患者に有益な免疫応答を誘発するか、調整するか、または増強するのに成功したとまだ証明されていない。いくつかの場合において、Kriegにより開発された系は、有害な効果を示しさえした。従って、本発明の基礎となる技術的な問題は、免疫学的反応の刺激、調整、または誘発が所望される広範な種々の状況において、効果的および有益に適用可能である手段を提供することであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Paul, Cell, 57:521(1989)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の技術的な問題に対する解決は、請求の範囲において特徴付けられる実施態様を提供することにより活動的にされる。
【0014】
従って、本発明は、ポリヌクレオチドの少なくとも1つのフラグメントおよび少なくとも1つの抗原、ならびに必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤を含む薬学的組成物に関する。
【0015】
本発明の意味での用語「ポリヌクレオチド」は、それにより全ての型のポリヌクレオチド、ならびにその誘導体(例えば、RNA、PNA、またはDNA)を含むが、DNAポリヌクレオチドが好ましい。本発明に従って使用される用語「ポリヌクレオチドのフラグメント」は、ポリヌクレオチドから作製されたフラグメント、またはポリヌクレオチドより短い核酸分子(例えば、合成起源であり得るオリゴヌクレオチド)に関し得る。
【0016】
本発明の意味での用語「抗原」は、免疫応答を誘発し得る分子を意味する。免疫応答は、体液性(すなわち、抗体媒介)または細胞性(すなわち、細胞媒介)のいずれかであり得る。免疫応答を惹起する抗原は、一般的に、免疫原と呼ばれる。一般的に、外来分子または「非自己」分子のみが免疫原性である。しかし、本発明の意味で、用語抗原はまた、特定の「自己」分子(例えば、腫瘍細胞、腫瘍マーカー、または自己免疫における自己抗原)を含むことが理解されるべきである。それらの化合物は、時々、自己分子に対する免疫応答が所望されるので、処置されるべき宿主に対して外来でないかもしれないが、用語抗原に含まれ得る。その場合、薬学的組成物への外部からの抗原の添加は必要とされ得ない。ポリヌクレオチドのフラグメントならびに抗原は、天然、合成、または半合成起源であり得る。特に、抗原が天然起源である場合、抗原は、投与前にプロセシングされ得る。
【0017】
通常、分子は、大きくおよび複雑になればなるほど、より多くの免疫原性の部位を有する。単一の抗原は、免疫応答を誘導する3次元立体配置を有する分子の特異的な領域である、多くのエピトープを含み得る。複雑な分子(例えば、多くの異なるアミノ酸からなる大きなタンパク質)は、2または3つの単糖の反復からなる比較的単純な多糖より多くのエピトープを含む。所定の抗原に対する免疫応答は、免疫調節遺伝子のために種間でおよび種内の個体間で非常に変化し得る。従って、本発明の薬学的組成物は、適切な免疫応答を引き起こす特異的なポリヌクレオチドを含む。
【0018】
本発明において使用されるポリヌクレオチドのフラグメントは、転写因子の結合部位またはその一部の配列を含むか、またはポリヌクレオチドの配列は、転写因子の上記の結合部位またはその一部に相補的であることが好ましい。
【0019】
個々の遺伝子の発現は、かなり複雑なプロセスである。これらのプロセスは、ほとんど全ての遺伝子のプロモーター領域において見出される、いくつかの特異的な調節DNA領域により媒介される。これらの調節配列は、頻繁に応答エレメントと呼ばれる。それらは、転写因子と呼ばれる配列特異的DNA結合タンパク質の結合部位である。いくつかの転写因子は、全ての遺伝子の転写に必要とされる一般的な目的(purpose)因子(基礎転写因子)であるが、一方、他の転写因子は、配列特異的な様式で、対応する遺伝子プロモーター内の応答エレメントおよび他の配列モチーフに結合することにより特異的な遺伝子または遺伝子クラスに作用する。これらの転写因子のうち多くのものの発現は、発生的におよびまた組織特異的に制御され、そしてそれ自体が、他の転写因子および他のアクセサリータンパク質(例えば、核レセプター)の作用に供される。転写因子の結合部位は、しばしばクラスター化され、そして種々の転写因子は、他の転写因子と複合体を形成するか、または重複するDNA結合モチーフへの結合のために他の転写因子と競合することが見出された。いくつかの構造モチーフは、DNAを認識および接触する転写因子タンパク質のそれらの領域内に見出された。これらの構造モチーフの各々の中で、しばしば、類似したDNA配列を認識し、そして真核生物界を通じて保存される関連タンパク質ファミリーが存在する。
【0020】
本発明の過程において、驚くべきことに、先行技術分野において記載された細菌配列は、重篤な副作用(例えば、致死ショック)を引き起こし得ることが見出された。しかし、他のDNA配列は、哺乳動物に対して有益な効果を有し得、従って、免疫系に対する有益な効果を有する薬学的組成物の調製のために使用され得ることが見出された。従って、このような有益なDNA配列の選択および同定は、本発明の教示に基づいてもたらされ得る。
【0021】
本発明はまた、以下を含む薬学的組成物に関する:
(a)転写因子の結合部位またはその一部の配列を含むポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、あるいは転写因子の上記の結合部位またはその一部に相補的な配列を含むポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド;および、必要に応じて、
(b)薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤。
【0022】
本発明の過程において、転写因子の結合部位に対応する配列を有するか、またはそれに相補的なポリヌクレオチドは、好ましいことが見出された。一般的に、上記の結合部位の少なくとも一部は、ポリヌクレオチド内に含まれることが十分である。本発明のこの実施態様は、上記で引用された「自己」分子と共に有利に使用される。
【0023】
有利に、本発明の薬学的組成物は、ヒトおよび動物の予防的使用および治療的使用のために、安価な、安定な、および安全な免疫アジュバントおよび免疫調節物質を含む。
【0024】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)以下:
(a)転写因子の結合部位の配列を含み、そして配列番号8(GATTGCCTGA CGTCAGAGAG)、配列番号9(GGAATGACGT TCCCTGTG)、配列番号10(AGCTATGACGTTCCAAGG)、配列番号11(GCTTGATGAC TCAGCCGGAA)、配列番号12(TCGATCGGGG CGGGGCGAGC)、配列番号13(TGCAGATTGCGCAATCTGCA)、配列番号14(AGCGGGGGCG AGCGGGGGCG)、配列番号16(GTCCATTTCC CGTAAATCTT)、配列番号17(TATGCATATTCCTGTAAGTG)、配列番号19(CTGATTTCCC CGAAATGATG)、配列番号20(AGATTTCTAG GAATTCAATC)、配列番号21(GTATTTCCCAGAAAAGGAAC)、配列番号22(AAGCGAAAAT GAAATTGACT)、および配列番号23(CAGGCATAAC GGTTCCGTAG)のいずれか1つの核酸配列を有する、少なくとも1つのポリヌクレオチド;
(b)少なくとも1つの抗原;ならびに
(c)薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤
を含む、薬学的組成物。
(項目2)前記ポリヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含むことを特徴とする、項目1に記載の組成物。
(項目3)項目1または2に記載の薬学的組成物であって、前記抗原(b)が、ペプチド、ポリぺプチド、タンパク質、ポリサッカライド、ステロイド、および腫瘍細胞からなる群から選択されることを特徴とする、薬学的組成物。
(項目4)細胞溶解性のTリンパ球応答を誘導するための薬学的組成物の調製のためのポリヌクレオチドの使用であって、ここで該ポリヌクレオチドは、転写因子の結合部位の配列を含む、使用。
(項目5)前記ポリヌクレオチドが、配列番号8(GATTGCCTGA CGTCAGAGAG)、配列番号9(GGAATGACGT TCCCTGTG)、配列番号10(AGCTATGACGTTCCAAGG)、配列番号12(TCGATCGGGG CGGGGCGAGC)、配列番号16(GTCCATTTCC CGTAAATCTT)、配列番号19(CTGATTTCCCCGAAATGATG)、配列番号21(GTATTTCCCA GAAAAGGAAC)、配列番号22(AAGCGAAAAT GAAATTGACT)、および配列番号23(CAGGCATAACGGTTCCGTAG)のいずれか1つの核酸配列を有する、項目4に記載の使用。
(項目6)免疫応答を調節するための薬学的組成物の調製のためのポリヌクレオチドの使用であって、ここで該ポリヌクレオチドが、転写因子の結合部位の配列を含み、そしてここで該ポリヌクレオチドが、配列番号8(GATTGCCTGA CGTCAGAGAG)、配列番号9(GGAATGACGT TCCCTGTG)、配列番号10(AGCTATGACGTTCCAAGG)、配列番号11(GCTTGATGAC TCAGCCGGAA)、配列番号12(TCGATCGGGG CGGGGCGAGC)、配列番号13(TGCAGATTGCGCAATCTGCA)、配列番号14(AGCGGGGGCG AGCGGGGGCG)、配列番号16(GTCCATTTCC CGTAAATCTT)、配列番号17(TATGCATATTCCTGTAAGTG)、配列番号19(CTGATTTCCC CGAAATGATG)、配列番号20(AGATTTCTAG GAATTCAATC)、配列番号21(GTATTTCCCAGAAAAGGAAC)、配列番号22(AAGCGAAAAT GAAATTGACT)、および配列番号23(CAGGCATAAC GGTTCCGTAG)のいずれか1つの核酸配列を有する、使用。
(項目7)Th2免疫応答を誘導するための薬学的組成物の調製のためのポリヌクレオチドの使用であって、該ポリヌクレオチドが、転写因子の結合部位の配列を含み、そしてここで該ポリヌクレオチドが、配列番号8(GATTGCCTGACGTCAGAGAG)、配列番号16(GTCCATTTCC CGTAAATCTT)、および配列番号19(CTGATTTCCC CGAAATGATG) のいずれか1つの核酸配列を有する、使用。
(項目8)Th1免疫応答を誘導するための薬学的組成物の調製のためのポリヌクレオチドの使用であって、該ポリヌクレオチドが、転写因子の結合部位の配列を含み、そしてここで該ポリヌクレオチドが、配列番号8(GATTGCCTGACGTCAGAGAG)、配列番号12(TCGATCGGGG CGGGGCGAGC)、配列番号14(AGCGGGGGCG AGCGGGGGCG)、配列番号16(GTCCATTTCCCGTAAATCTT)、配列番号19(CTGATTTCCC CGAAATGATG)、配列番号22(AAGCGAAAAT GAAATTGACT)、および配列番号23(CAGGCATAACGGTTCCGTAG)のいずれか1つの核酸配列を有する、使用。
(項目9)前記薬学的組成物が、ワクチンである、項目6〜9のいずれか一項に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図は以下を示す:
【図1】異なるssDNAアジュバントを用いたインビボでの細胞溶解性T細胞誘導。 マウスに、示されたアジュバントを用いてリポソーム中に捕捉された抗原オボアルブミンを注射した。T細胞をマウスから採集し、そして抗原の特異的認識について試験した。アッセイは、アジュバントのために細胞性免疫系の強力な活性化を示した。AP-1、Stat-5/6、SIE、c/Myb、Stat3、Stat4、Stat5、SP-1、C/EBP、IL-13、Stat1、CRE、ErgおよびIRF-1は、転写因子の結合部位である。
【図2】細胞溶解性T細胞アッセイの要旨 異なる配列を試験した。インビボ誘導CTLを、特異的抗原認識について試験した。データを溶解単位として示す。 溶解単位を、任意に、30%の特異的溶解を生じるのに必要とされるリンパ球数として定義する。数字は、106個エフェクター細胞あたりの溶解単位である。溶解単位は、細胞溶解性T細胞集団を比較するための方法である。
【図3】ssDNAアジュバント後注射による抗体の生成。 終点抗体力価アッセイ:マウスに、アジュバントなしまたはTRE(転写調節エレメント)アジュバントのいずれかを用いて、リポソーム中に捕捉された抗原オボアルブミンを注射した。マウスを1回、追加免疫した。 アッセイは、注射抗原に応答した抗体生成の増強のための強力なアジュバント効果を示す。応答におけるアジュバントにより助けられた増加は、IgG2aおよびIgG2bについて特に強力である。差別的なサイトカイン放出を示す、使用されたアジュバントに依存した抗体アイソタイプの差別的な誘導は重要である。
【図4】転写応答エレメントssDNAアジュバントCREを用いたインビボでのサイトカイン誘導。 サイトカイン放出パターンは、転写応答エレメントCREにより誘導される。マウスにssDNAを注射し、そして示された時間で血清をサンプリングし、そしてサイトカイン放出を測定した。
【図5】異なる転写応答エレメントssDNAアジュバントを用いたインビボでのB細胞およびT細胞のアイソタイプ変化(IL-2レセプター発現)。 ssDNAを用いた処理後の関連細胞表面マーカーの分析。IL-2レセプターはIL-2を結合し、IL-2からの増殖シグナルを免疫系細胞に形質導入する。TRE配列は、IL-2レセプター発現を誘導するためのそれらの刺激能力において変化する。いくつかのTREは阻害的であり、負の免疫調節のための潜在的な使用を示す。
【図6】ssDNAを用いた腫瘍後退および制御。ssDNAは、先に存在する(prexistant)腫瘍の後退を誘導する。 マウスに、腫瘍形成数の同系腫瘍細胞を注射した。チャレンジの4日後、マウスを、ssDNA単独またはssDNAおよび腫瘍形成数に満たない腫瘍細胞(これは、抗原供給源として働いた)で処置した。腫瘍増殖の進行は、有意に制御された。群あたり5匹のマウスを含んだ。
【図7】ODN処置マウスにおけるL.majorでの感染の経過 BALB/cマウスに、右後ろ足蹠へ2×106個のL.majorプロマスティゴートを注射した。オリゴヌクレオチド(ODN)(10nmol)を、感染の2時間前および10時間後に処置として与えた。足パッド厚の平均パーセント増加(±SD)を示す(群あたり3匹のマウス)。黒記号はODN処置群を示し、そして白丸は非ODN処置コントロール群を示す。ODN処置は以下の通りである:黒丸、1720;黒ひし形、AP-1;黒三角、1668;黒四角;IL-12-p40。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上記で述べられたように、本発明は、前述の調節配列または抗原の少なくとも1つ(単独または組み合せのいずれかで)、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む薬学的組成物に関する。適切な薬学的キャリアの例は当該分野で周知であり、そしてリン酸緩衝化生理食塩溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水エマルジョン)、種々の型の湿潤剤、滅菌溶液などを含む。このようなキャリアを含む組成物は、周知の従来の方法により処方され得る。これらの薬学的組成物は、適切な用量で被験体に投与され得る。適切な組成物の投与は、種々の方法により(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、または内皮投与により)もたらされ得る。投薬レジメは、主治医および他の臨床因子により決定される。医学分野において周知なように、任意の1人の患者の投薬量は、多くの因子(患者の大きさ、体表面面積、年齢、投与される特定の化合物、性、投与の時間および経路、全般的な健康状態、および同時に投与される他の薬物を含む)に依存する。一般的に、薬学的組成物の通常投与としてのレジメは、1日あたり1μg〜10mg単位の範囲内にあるべきである。このレジメが連続注入である場合、これもまた、それぞれ、1分あたり1キログラム体重あたり1μg〜10mg単位の範囲内にあるべきである。進行は、定期的な評価によりモニターされ得る。投薬量は変化するが、DNAの静脈内投与に好ましい投薬量は、DNA分子の約10〜1022コピーである。本発明の組成物は、局所的または全身的に投与され得る。投与は、一般的に、非経口的(例えば、静脈内的)であり;DNAはまた、標的部位に直接的に(例えば、体内標的部位もしくは外部標的部位へのバイオリスティック(biolistic)送達により、または動脈における部位へのカテーテルにより)投与され得る。
【0027】
有利に、本発明の薬学的組成物において、リポソームは、抗原の抗原提示細胞への指向のためのキャリアとして働き得る。リポソームは、何らかの体液性免疫応答を高めるために、そしてMHCクラスI提示経路に入り、従って細胞傷害性T細胞の刺激を可能にするためのビヒクルを、外因的に投与された抗原に提供するために働き得ることが証明された。
【0028】
種々のDNAオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドあるいはそのフラグメントは、単独または任意の組み合せのいずれかで、標準的なベクターおよび/または遺伝子送達系を用いて、ならびに必要に応じて、適切な化合物と共におよび/または薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤と共に、投与されることが本発明により認識される。投与の後、上記のDNAオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドは、哺乳動物のゲノムに安定に組込まれ得る。他方では、特定の細胞または組織に特異的であり、そしてそこで持続するウイルスベクターが使用され得る。適切な薬学的キャリアおよび賦形剤は、当該分野で周知である。本発明に従って調製される薬学的組成物は、遺伝子の発現または過剰発現に関連する、種々の種類の疾患の予防または処置または遅延のために使用され得る。
【0029】
さらに、遺伝子治療においてDNAオリゴヌクレオチドを含む本発明の薬学的組成物を使用することは可能である。適切な遺伝子送達系は、リポソーム、レセプター媒介送達系、裸のDNA、およびウイルスベクター(例えば、特に、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含み得る。遺伝子治療またはアンチセンス治療のための、身体における特定の部位への核酸の送達はまた、バイオリスティック送達系(例えば、Williams(Proc.Natl.Acad.Sci.USA88(1991),2726-2729)により記載されるもの)を用いて達成され得る。
【0030】
細胞を組換えDNAでトランスフェクトするための標準的な方法は、分子生物学の分野の当業者に周知であり、例えば、WO94/29469を参照のこと。本発明に従って述べられた疾患に対する遺伝子治療およびアンチセンス治療は、DNAオリゴヌクレオチドを患者に直接的に投与することによるか、または細胞をDNAオリゴヌクレオチドでエクスビボでトランスフェクトし、そしてトランスフェクトされた細胞を患者に注入することにより行われ得る。さらに、生殖系列細胞への遺伝子導入に関係する研究は、生殖生物学において最も速く成長する分野の1つである。遺伝子治療(これは、エクスビボまたはインビボ技術により治療遺伝子を細胞へ導入することに基づく)は、遺伝子導入の最も重要な適用の1つである。インビトロまたはインビボ遺伝子治療のための適切なベクターおよび方法は、文献に記載され、そして当業者に公知である;例えば、WO94/29469、WO97/00957、またはSchaper(CurrentOpinion in Biotechnology 7(1996),635-640)およびそこに列挙された参考文献を参照のこと。本発明の薬学的組成物に含まれるDNA分子およびベクターは、直接導入または上記の組換えDNA分子を含むリポソームもしくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した細胞への導入のために設計され得る。好ましくは、上記の細胞は、生殖系列細胞、胚細胞、もしくは卵細胞であるか、またはそれに由来する。本発明に従う薬学的組成物は、サイトカインの存在または濃度に対する感受性に関係があるとは今まで知られていない疾患の処置のために使用され得る。例えば、胚細胞は、例えば、Nagy,Proc.Natl.Acad.Sci.90(1993)8424-8428に記載されるような胚幹細胞であり得る。
【0031】
本発明の好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、DNAオリゴヌクレオチドである。好ましくは、本発明において使用されるようなDNAオリゴヌクレオチドは、約100、好ましくは5〜約40、最も好ましくは15〜約25のヌクレオチドを有するDNAの短いフラグメントである。
【0032】
DNAポリヌクレオチドフラグメント(好ましくは、オリゴマーである)は、0.1〜10μgの範囲内の比較的低い量で適用された場合、低い毒性および低い副作用と共に、免疫アジュバントおよび免疫調節物質の効果を提供する。例えば、適切なDNAオリゴマーおよび腫瘍細胞または特異的腫瘍マーカーの組み合わせは、腫瘍後退を誘導し得る。本発明はまた、対応する使用に関する。
【0033】
本発明の好ましい実施態様において、DNAオリゴヌクレオチドは1本鎖または2本鎖であり、それにより1本鎖DNAは特に好ましい。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様において、転写因子の結合部位の上記配列は、サイトカインの転写因子の結合部位である。
【0035】
本発明の別の好ましい実施態様において、上記の薬学的組成物中に含まれるポリヌクレオチドは、配列5’PuPuCGPyCまたはその非毒性誘導体を含み、ここでPuは、プリンを意味し、アデニンおよびグアニンを含み、そしてPyは、ピリミジンの意味を有し、シトシン、チミン、およびウラシルを含み、ここでAはアデニンを意味し、Cはシトシンを意味し、そしてGはグアニンを意味する。上記の誘導体の非毒性は、従来のプロトコルに従ってもたらされ得る。
【0036】
本発明のそれらの好ましい配列は、先行技術分野で開示されたようなCpGモチーフとはわずかにだが、生物学的に有意に異なる。
【0037】
本発明の薬学的組成物において、上記の結合部位は、真核生物結合部位であるか、またはそれに由来することがさらに好ましい。
【0038】
用語「由来する」は、天然に生じる結合部位に由来する1つ以上のヌクレオチドが変えられることを本発明に従って意味すると意図される。上記の変化は、変異誘発プロトコルのような従来のプロトコルに従ってもたらされ得る。
【0039】
上記の真核生物結合部位は、サイトカインの結合部位であることが特に好ましい。
【0040】
上記の転写因子の上記の結合部位の部分またはその相補配列に関して、上記の部分は、モチーフまたはその相補的配列であることが好ましい。転写因子のモチーフは当該分野で周知であり、そしてここでこれ以上議論する必要はない。
【0041】
上記の部分は、少なくとも7ヌクレオチドを含むことがさらに特に有利である。上記の部分の(そのうえ、もちろん完全なオリゴヌクレオチドの)この長さは、特に有利であったが、それはまた、有意に7を超えるヌクレオチドを含み得る。
【0042】
ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含むことが好ましい。ポリヌクレオチドの好ましいホスホロチオエート誘導体において、ポリヌクレオチドのリン酸骨格の少なくとも1つの酸素原子は、硫黄原子により置換される。それらの化合物は、分解に対してより安定である。
【0043】
当業者に公知である古典的なアジュバントを、本発明の薬学的組成物にさらに添加することもまた可能である。例は、細菌の細胞壁に由来する調製物であり得る。本発明の薬学的組成物はまた、投与方法(例えば、経口、非経口、または直腸)に依存して、当業者に公知の薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤として別に知られる、添加剤を有利に含む。
【0044】
広範な種々の抗原を本発明に従って使用することは可能である。好ましい抗原は、ペプチド、ポリペプチド、ステロイド、および腫瘍細胞を含む群から選択される。
【0045】
好ましい抗原のさらなる例は、殺傷されたインタクトな細菌、トキソイド(すなわち、まだ免疫原性であるが、化学薬品、熱、もしくは変異を用いた処置により生物学的に不活性にされた、毒素)、分子の非毒性部分のみが使用されるサブユニットワクチン、またはウイルスもしくは細菌株が(例えば、細胞培養におけるウイルスの継代、もしくは細菌遺伝子の欠失により)非病原性にされたが、制限された程度まで増加し、それにより疾患症状の非存在下で保護免疫応答を誘発することがなお可能である、生存弱毒化ワクチンであり得る。
【0046】
本発明の薬学的組成物はまた、外来生物により引き起こされないこのような疾患の処置および/または予防のために使用され得るので、抗原はまた、腫瘍抗原のような自分自身の身体の抗原であり得る。自己免疫疾患の処置のために、または寛容性に正に影響を及ぼすために、処置されるべき身体に由来する抗原を使用することもまた効果的であり得る。その場合、この抗原が宿主内に既に存在するので、抗原を薬学的組成物に添加することは必要とされないかもしれない。
【0047】
本発明の前述の目的に達成において、好ましくは、モチーフ5’Pu-Pu-CpG-Py-Py-3’の非毒性実施態様を有する配列を用いて、抗原に対する体液性および細胞性両方の免疫応答を誘導するワクチン処方物が作られる。いくつかの配列(特に、モチーフ5’Pu-Pu-CpG-Py-Py-3’を有する配列)は、毒性および致死性であり得る。従って、免疫アジュバント活性は維持されるが、毒性は排除されるような方法で、これらの配列を改変することが本発明の別の局面である。さらに、このモチーフに従わないが、免疫アジュバントおよび免疫応答モディファイアー(modifier)として働くDNA配列が記載される。本発明の一般的な局面は、真核生物プロモーターに由来する配列が使用されることである。転写因子(遺伝子転写を調節するタンパク質)により認識される配列である、パリンドロームおよび非パリンドローム転写応答エレメントを含むssDNA配列はまた、本発明に従って免疫アジュバントまたは免疫応答モディフィアーとして働く。これらの配列は、インビトロおよびインビボで、リンパ球の細胞表面マーカーおよびサイトカイン放出を調整し得る。本発明のなお別の局面において、処置方法は、免疫系寛容の処置および腫瘍制御のための、薬学的組成物および適切な利用される治療アプローチである。
【0048】
本発明の教示は、特定のDNAオリゴマーを使用することにより抗原に対する免疫応答を調整するために使用され得る。特定のDNAは、所望の結果に依存する。その配列は、本発明の教示に基づいて、さらなる苦労なく当業者により決定され得る。本発明は、インビトロでおよび温血動物においてインビボで働く。
【0049】
本発明の一般的な局面は、真核生物細胞の調節およびシグナリング機構に特異的に影響を及ぼすために、ポリヌクレオチドフラグメント、特に特定のDNAオリゴヌクレオチドを使用することである。特に、増殖、細胞転写および翻訳の誘導、タンパク質合成、またはタンパク質分泌は、DNAオリゴヌクレオチドにより改変され得る。さらに、外因性刺激に対する真核生物細胞の応答パターンは、改変の対象である。真核生物細胞における応答の改変は、オリゴヌクレオチドの配列により制御される(すなわち、配列特異的である)。本発明は、どのようにして活性なDNAオリゴヌクレオチドが選択され得るかという規則を与える。例えば、単純に、既知の転写因子結合部位を(例えば、変異誘発技術により)改変し、そして改変された配列を(例えば、従来のプロトコルまたは本明細書において記載されるプロトコルにより)試験することにより、上記の活性なオリゴヌクレオチドは同定され得る。従って、活性なDNAオリゴヌクレオチドは、転写因子により結合され得るDNA配列に由来する。これらの配列は、真核生物プロモーターから同定され得る。
【0050】
本発明はまた、先天的および後天的免疫系の応答を妨げ、調整し、そして調節する効果を有する薬学的組成物の調製のための、上記で本明細書中で定義されるような特異的なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドフラグメント(好ましくは、DNAである)の使用に関する。それらは、免疫応答の増強(ワクチン接種を含む)、免疫応答の調整、および免疫応答の抑制を含む。
【0051】
ウイルス、細菌、および寄生体の抗原に対する免疫細胞の反応性を増強するためのDNAオリゴマーの使用は、本発明の別の局面である。増強は、免疫記憶、細胞傷害性T細胞、サイトカイン放出の誘導、および先天的免疫(食作用、サイトカイン放出、および細胞溶解機能)の増大を含む。特に、DNAオリゴマーは、T細胞およびB細胞のワクチン接種のためのアジュバントとして使用され得る。増強は、さらに、弱い抗原または腫瘍抗原に対する反応性の誘導を含む。(例えば、腫瘍抗原に対する)アネルギーT細胞およびB細胞における寛容性を壊すためのDNAオリゴヌクレオチドの使用は、本発明のさらなる目的である。これは、腫瘍定義抗原に対するワクチン接種におけるアジュバントとしての、および腫瘍に対する進行中の免疫応答における免疫刺激物質としてのDNAオリゴヌクレオチドの使用を含む。
【0052】
後天性免疫系の応答を調整するためのDNAオリゴの使用はまた、本発明の1つの局面である。所望の免疫応答は刺激され得るが、一方、有害な影響はDNAオリゴヌクレオチドにより抑制され得る。DNAオリゴヌクレオチドは、免疫応答をTH1型またはTH2型の反応性に移し得る。この効果は、寄生体感染(リーシュマニア症、トキソプラスマ症、またはマイコバクテリア症)間の応答を調整する。さらに、B細胞免疫応答を特定のクラスの免疫グロブリンに指向し、従って、IgE媒介アレルギーのような有害なIg依存性疾患を回避および克服するためのDNAオリゴヌクレオチドの使用もまた、本発明の局面である。
【0053】
先天的および後天的免疫系の免疫反応を抑制するためのDNAオリゴの使用もまた、本発明の局面である。DNAオリゴヌクレオチドを使用して、移植抗原に対するB細胞およびT細胞応答を抑制し、従って、移植寛容を誘導し得る。さらに、DNAオリゴヌクレオチドを使用して、T細胞およびB細胞依存性自己免疫疾患の間の場合と同様に、進行中のまたは発現した免疫応答を抑制し得る。
【0054】
本発明の薬学的調製物は、好ましくは、遊離形態であるかまたはリポソームに捕捉されたかのいずれかで、抗原と共に適用されるポリヌクレオチドを含む。リポソームを形成する技術は、現在、十分に開発されている。リポソームは、脂肪親和性材料から形成された膜部分および内部水性部分を有する、単層または多層のビヒクルである。水性部分は、抗原提示細胞に送達されるべき抗原および恐らくタンパク質材料を含むために、本発明において使用される。従来の方法を使用して、リポソームを調製し得る。リポソームは、インビボでマクロファージおよび樹状細胞により吸収され、従って、抗原のこれらの細胞への送達に特に効果的である。
【0055】
リポソームは、再水和捕捉法により製造され得る。好ましくは、リポソームは、以下の通りに調製される。18.0mgのホスファチジルコリン;2.0mgのホスファチジルグリセロールおよび5.0mgのコレステロールを、2:0、2:1比で、100ml丸底フラスコ中の5.0mlクロロホルムに懸濁する。混合物を、薄い脂質膜がフラスコ壁上に形成するまで、低圧下で回転蒸発させる(rotaryevaporate)。残留クロロホルムを真空乾燥により除去する。3mgのオボアルブミンを1.0mlのPBSに可溶化する。この溶液を乾燥脂質にゆっくりと添加し、そして脂質が再懸濁されるまで手で振る。粗タンパク質リポソーム混合物を30分間室温で平衡化させ、微量遠心分離管(microfugetube)に移し、そしてエッペンドルフ微量遠心分離器(microfuge)において6,000rpmで5分間遠心分離する。次いで、混合物を、0.2μgAnotop10(R)シリンジマウントフィルターに通して濾過排出(filter-extrude)する。この混合物に、100μlあたり10nmolオリゴマーを添加する。
【0056】
本発明の薬学的組成物は、マウスにおいて有利に試験され得る。このような実験において、マウスを、通常、後ろ足蹠を通して足あたり50μlのペプチドリポソーム調製物で免疫化した。4日後、排液(draining)膝窩リンパ節(LN)を取り出し、そして単細胞懸濁物を調製した。細胞をIL-2の存在下で4日間培養し、そしてクロム酸放出アッセイを、同系標的細胞EL-4または細胞株EG-7(これは、オボアルブミン遺伝子でトランスフェクトされ、従って、抗原としてオボアルブミンペプチドを提示する)を用いて行った(図1)。いくつかの実験において、MHCクラスI(Kb)制限オボアルブミンペプチドSIINFEKLでパルスされたEL-4を、殺傷の標的として使用した。
【0057】
本発明はまた、本明細書中上記で言及された種々の疾患および状態に対して患者を免疫化する方法、または上記で言及された状態または疾患のうちの1つを罹患する患者を処置する方法を含む。処方物、投与経路、および用量は、本発明の薬学的組成物の議論と共に本明細書中上記で同定された。
【0058】
最後に、本発明は、以下の工程を含む方法に関する:
(a)毒性について、転写因子の推定結合部位を含む核酸分子を試験する工程;
(b)工程(a)において毒性と証明された上記の核酸分子に含まれる上記の推定結合部位の核酸配列を改変する工程;および
(c)非毒性核酸分子が同定されるまで、工程(a)および(b)を1回以上反復する工程。
【0059】
試験されるべき核酸分子の単離、試験手順、ならびに核酸配列に対する改変手順は当該分野で周知であり、そしてそれぞれ、本明細書において記載された。
【0060】
本発明に従って有益であると同定されたオリゴヌクレオチドは、IL-12p40 AGCTATGACGTTCCAAGGである。
【実施例】
【0061】
実施例は本発明を例示する。
【0062】
(実施例1)
細菌に由来する配列を、インビボでの細胞溶解性T細胞活性化のためのアジュバントとして使用し得る。
【0063】
免疫刺激特性を有するための、5’Pu-Pu-CpG-Py-Py-3’の配列モチーフを含む3つの配列は、文献において記載される。1つの配列は、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子に由来し、ここでAMP(TCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGC)と呼ばれる。第2の配列は、BCG遺伝子に由来し、そしてBCG-A4A(ACCGATGACGTCGCCGGTGACGGCACCACG)と呼ばれる。第3は、1668(TCCATGACGTTCCTGATGCT)としてKriegらにより言及された、細菌CpG配列の原型であると主張される合成配列である。これらの配列を、DNaseによる破壊を低減するためにホスホロチオエート結合を含むように合成した。これらのオリゴマーは、細胞溶解性T細胞応答を誘導するために、オボアルブミンと組み合せたアジュバントとして働いた。
【0064】
(実施例2)
細菌CpG含有配列は毒性で有り得る。
【0065】
本発明者らは、上記のオリゴマーが、TNF-αに感受性であるマウスに対してインビボで非常に毒性であり得ることを観察した。1668オリゴマーは、マウスB細胞増殖を誘導し、B細胞からIL-6放出を誘導し、そしてB細胞からIFN-γ放出を誘導し、そしてNK1.1細胞からIFN-γ放出を誘導するその能力について、Kriegおよび協力者により以前に記載された。さらに、本発明者らは、1668およびAMPが、TNF-αの効果に感作されたマウスにおいて非常に致死性であることを見出した(表1)。しかし、特定の環境下で、これらの配列は、治療的に有用であり得る。一旦危険性が正しく評価されると、これらの配列の使用を予測し得る。
【0066】
【表1】

比=殺傷されたマウス/注射されたマウス
致死ショックのために、Balb/cマウスに、200μl FBS中の10nmol 1668+200μl FBS中の20mg D-ガラクトサミンを腹腔内的に注射した。あるいは、マウスに、10nmol1668、AMPまたはPBSを静脈内的に注射し、続いて4時間で50μg LPSを注射した。
【0067】
(実施例3)
真核生物転写調節エレメントまたは配列操作の使用は、毒性ショック症状を予防する。
【0068】
毒性のために、安全なヒトおよび動物使用のための非毒性配列発見の必要性が認められる。毒性は、ワクチンアジュバントおよび治療薬を開発する場合に問題になっているので、本発明者らは、毒性を回避するが、免疫刺激特性を維持するオリゴマーを開発することに興味を持った。本発明者らは、致死性の存在を示さないが、免疫刺激性質を維持する、真核生物配列をスクリーニングした。1つのこのような配列は、転写因子CREB/ATFならびにAP-1ファミリーのコンセンサス結合部位であるサイクリックAMP応答エレメント(CRE)である配列(GATTGCCTGACGTCAGAGAG)(Roesler,W.J.ら、J.Biol.Chem.263,9063-9066(1988))であった。表2は、CRE配列の致死性の喪失を証明する。これらの効果の配列特異性をさらに評価するために、本発明者らは、CREと1668との間の配列交換体を作った。CREと1668との間での2ヌクレオチドだけの交換が、致死性の喪失をもたらした(表2)。
【0069】
【表2】

致死性を、実施例2において決定した。1668配列は、偶然に、転写応答エレメント、すなわち転写因子結合部位(TGACGTTCC)の組み合わせを含む。このエレメントは、リプレッサー部位であるHSIL606部位と組み合せた、HSVIPO4(ATF)、HSINS04(CREBの半分の部位)、CAMV35SR03(HBP-1a酵母)、またはADE422(AP-1)の結合部位を示す(EMBLデータベースHeidelbergからの配列解析)。この配列は、いくつかの真核生物サイトカイン遺伝子の5’非コード領域(プロモーター)(ヒトIL-13プロモーターおよびII-12p40イントロン1を含む)において見出され得る。CRE配列は、HSIL606を除いて上記で列挙された全ての応答エレメントを含み、そして完全なCREパリンドローム配列(TGACGTCA)を含む。本発明に従って、CRE配列は死を誘導せず、そして1668における変化は毒性を排除した。
【0070】
TNF-α放出は、致死毒性ショックの顕著な特徴である(Tracey,K.J.ら、Science234,470-474(1986),Tracey,K.J.ら、Nature 330,662-664(1987))。CREと1668との間の2ヌクレオチドだけの交換は、マクロファージ誘導性TNF-α放出活性の喪失をもたらした。対応するオリゴヌクレオチドの配列を表2に示す。1668の報告された6マーの活性なコア配列は、2つの5’プリンおよび2つの3’ピリミジンにより隣接されるCpGを含む。CAのTCへの交換は、このモチーフに影響を及ぼさないが、TNF-α放出は重大に減少した。従って、より広いコア8マー配列または転写応答エレメントはこれらの効果の原因であり、そして周囲の配列環境はその原因ではなかった。本発明に従って、マーカーとしてマクロファージ由来TNF-α放出を利用する場合、先行技術の5’Pu-Pu-CpG-Py-Py-3’モチーフ単独に含まれる情報は、オリゴマー活性または毒性を予測するのに十分ではなかった。さらに、1668とは対照的に、CREは、インビボでも、インビトロでのANA-1細胞株からもIL-6放出を誘導しなかった。
【0071】
(実施例4)
転写応答エレメントを含有するssDNA(TRE)は、抗体産生のためのアジュバントとして作用する。
【0072】
本発明に従って、免疫系に関連する真核生物転写応答エレメントは、免疫アジュバントとして作用する。異なる配列のアジュバントの質を試験するために、本発明者らは、マウスに遊離のオボアルブミン+オリゴマーかまたはリポソームカプセル化オボアルブミン+オリゴマーのいずれかを注射した。マウスを14日目に追加免疫し、そして1週間後にオボアルブミン特異的終末点(endpoint)抗体力価をアイソタイプ特異的ELISAにおいて測定した。
【0073】
図3は、異なる配列が抗体応答を強力に増強し、そしてIgG1、IgG2a、およびIgG2bに向かうクラススイッチングを誘導したことを示す。
【0074】
オボアルブミンを含有するリポソームを、上記のように調製した。抗体誘導のために、PBS中の300μgのオボアルブミンまたはオボアルブミンを含有するリポソームを、10nmolオリゴマーあり/なしで、C57/B6マウスの後ろ足蹠に注射した。同様の接種物の追加免疫を2週間後に与え、そして1週間後に血液を血清抗体力価測定のために抽出した。
【0075】
(実施例5)
転写応答エレメントを含有するssDNAは、細胞性免疫についてのアジュバントとして作用する。
【0076】
本発明者らは、可溶性抗原またはペプチドのいずれかに対する細胞溶解性T細胞(CTL)を誘導するために、Quil AまたはQS-21と組み合わせたリポソームの使用を記載した(Lipford, G.B.,Wagner, H. & Heeg, K., Vaccine 12, 73-80 (1994), Lipford, G.B.ら、J. Immunol.150, 1212-1222 (1993))。リポソームに捕捉された抗原単独は、CTL活性の有効でないインデューサーであったが、免疫刺激性のサポニンを添加することにより、この接種物は有効になった。オリゴマーのインビボT細胞免疫調節能力を試験するために、本発明者らは、このビヒクルを使用してCTLの一次活性化を実証した。図1は、オボアルブミンリポソーム+ssDNAマッチング転写応答エレメントの接種によって誘導された実質的に一次のCTL応答を示す。これらの曲線から内挿された溶解単位値は、オボアルブミンリポソームのみについての<20L.U.に比較して約500L.U.であった(表3)。ワクチン防御のための重要な性質であるCTL記憶は、これらの接種物でもまた実証され得た。1回目の注射の後にマウスを2週間休ませ、そして再び同じ接種物を注入した場合、CREは、約1500L.U.で測定した溶解単位を示すCTLを回復した(表3)。さらに、接種物が免疫優性Kb制限オボアルブミンペプチドSIINFEKLで処方された場合、オリゴマーは、特異的な一次CTL応答を誘導した。従って、オリゴマーは、T細胞活性化および抗原特異的CTLエフェクターの増殖を生じる強力なインビボ刺激として作用する。この接種物は、標的抗原としてタンパク質またはペプチドを含有し得る。
【0077】
【表3】

いくつかの他の配列は、免疫調節効果を有することが決定されている。表4は、試験された真核生物転写応答エレメント(TRE)を列挙し、これは好ましくは本発明において使用される。
【0078】
表4 試験された真核生物TREの配列
【0079】
【表4】

CTL誘導のためのアジュバント能力についての種々の転写応答エレメントの相対的強度は、図2に観察され得る。
【0080】
(実施例6)
転写応答エレメントを含有するssDNAは、サイトカイン放出をインビボで誘導する。
【0081】
マウスに、異なるオリゴマー+300μgのオボアルブミンを含有するリポソームを含有する処方物を注射した。血清を種々の時間に回収し、そして血清サイトカインレベルについて特異的ELISAによって分析した。
【0082】
さらに、T細胞は、ssDNAに応答してIL-2を産生する。サイトカイン放出パターンは、配列依存的であり、従って使用される真核生物転写応答エレメントが、サイトカイン放出結果(従って、生物学的効果)に影響を与えることが見出された。本発明のこの局面は、非常に適切である。なぜなら、サイトカイン放出パターンは、異なる転写応答エレメントによって影響を受け得るからである。ssDNAは、インビボでサイトカイン放出を誘導して、所望の結果を生じるために使用され得る。この結果は、免疫増強または免疫抑制を生じることであり得る。
【0083】
転写応答エレメントを含有するssDNAは、T細胞において寛容を破壊し得る。インビボでSEB注射によって寛容(すなわち、抗原シグナルに対して非応答性である)になるように誘導されたT細胞は、ssDNAが寛容誘導後7日目まで注射される場合、寛容を破壊することが実証され得る。この知見は、所望の生物学的結果についての特異的調節の発達に関連する。ssDNAが、免疫無防備状態の患者の免疫応答を上昇させるために使用され得ることが予見され得る。
【0084】
(実施例7a:)
転写応答エレメントを含有するssDNAは、コレセプターおよび表面レセプター変化をB細胞およびT細胞上で誘導する。この知見は、所望の生物学的結果のための特異的調節の発達に関連する。
【0085】
マウス脾臓細胞を回収し、そしてリストの真核生物TREの存在下で24時間培養した。細胞表面マーカーを、T細胞またはB細胞上でFACS分析によって測定した。
【0086】
転写応答エレメントのいくつかは、陽性の効果を有し、そしていくつかは陰性の効果を有する。両方のタイプの結果は、潜在的に医学的に有用である。免疫増強が所望される場合には、所定の細胞表面マーカーを誘導する配列が有用である。免疫抑制が所望される場合には、所定の細胞表面マーカーを抑制する配列が有用である。このような選択に関するさらなるガイダンスが、実施例7bに提供される。
【0087】
(実施例7b:)
転写応答エレメントを含有するssDNAは、(a)共刺激性分子B7.1、B7.2、およびCD40の発現、(b)サイトカインIL-12、IL-6、およびTNF-αのマウス樹状細胞細胞上での産生を誘導する。これらの事象(成熟および活性化と呼ぶ)は、ナイーブなT細胞に対するプロフェッショナル抗原提示活性の獲得を伴う。
【0088】
未成熟マウス樹状細胞を、公開されたプロトコルに従って、GM-CSF馴化培地において骨髄細胞から増殖した。培養の8〜11日目に、非接着細胞は、MHCクラスII陰性か、または中間(未成熟DCと呼ぶ)か、または高度(成熟DCと呼ぶ)かのいずれかであった。高度細胞のMHCクラスII中間のFACS(R)ソーティングにより、DC様形態が明らかになった。細菌のDNAまたは転写応答エレメントを含有するssDNAは、FACS分析によって測定したところ、CD80(B7.1)CD86(B7.2)CD40およびMHCクラスII分子を未成熟DC上で強力にアップレギュレートした。さらに、i.s.(免疫刺激)DNAを含有する転写応答エレメントは、高濃度のIL-12、TNF-α、およびIL-6の産生を誘発する。最後に、i.s.DNA成熟/活性化DC(選別されたMHCクラスII中間細胞に由来する)は、同種「混合リンパ球反応」において、および超抗原「ブドウ球菌エンテロトキシンB」(SEB)で刺激した一次T細胞培養物においてアッセイしたところプロフェッショナルAPC機能を発現した。SEBは、ナイーブなVβ8T細胞に対する提示のために、プロセッシングを必要としないが、プロフェッショナルAPCを必要とする。ssDNAによって誘導される未成熟DCのプロフェッショナルAPCへの変換は、ワクチン接種に使用される免疫原性の弱い抗原に対するインビボでの体液性およびT細胞応答における転写応答エレメントを含有するssDNAの強力なアジュバント効果を説明する。
【0089】
(実施例8)
転写応答エレメントを含有するssDNAは、腫瘍制御または退化を誘導し得る。
【0090】
図6は、腫瘍細胞を抗原投与されたマウスは、迅速に進行して測定可能な皮下腫瘍を発現することを示す。これらの腫瘍は致死的である。ssDNAが抗原投与の4日後に注射された場合には、腫瘍は減退するか、または遅延した増殖速度を示す。さらに、細胞が抗原として提供される場合、同じことが観察される。
【0091】
(実施例9)
ODN処置マウスにおけるL.majorでの感染の経過。
【0092】
BALB/cマウスは、2×106のL.major無鞭毛型を右後ろ足蹠に注入された。オリゴヌクレオチド(ODN)(10nmol)を、処置として感染の2時間前および10時間後に与えた。足蹠の厚さの平均のパーセント増加(±SD)を示す(1つの群あたり3匹のマウス)。黒塗りの記号はODN処置群を示し、そして白抜きマルは非ODN処置コントロール群を示す。ODN処置は:黒塗りマル、1720;黒塗りダイアモンド、AP-1;黒塗り三角、1668;黒塗り四角;IL-12-p40である。
【0093】

(配列表)
【0094】
【化1】

【0095】
【化2】

【0096】
【化3】

【0097】
【化4】

【0098】
【化5】

【0099】
【化6】

【0100】
【化7】

【0101】
【化8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチド、抗原、および、薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−298806(P2009−298806A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212546(P2009−212546)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願平10−531592の分割
【原出願日】平成10年1月23日(1998.1.23)
【出願人】(509257581)
【出願人】(509257569)
【出願人】(509257592)
【Fターム(参考)】