説明

ポリヒドロキシカルボン酸の製造装置及び製造方法

【課題】プロセスの原料収率を向上させたポリヒドロキシカルボン酸製造装置及び方法の提供。
【解決手段】開環重合装置、液相脱揮装置、乾燥装置を備えたポリヒドロキシカルボン酸製造装置において、液相脱揮装置の排気系に間接熱交換器を接続し、間接熱交換器はポリヒドロキシカルボン酸環状二量体を含むプロセス飛散物を捕捉して開環重合装置に送り、間接熱交換器及び乾燥装置の排気系にはそれぞれ湿式コンデンサとホットウェルとを接続し、湿式コンデンサは前記環状二量体に対応するヒドロキシカルボン酸を含む冷媒により前記環状二量体を含むプロセス飛散物を捕捉してホットウェルに送り、ホットウェルは前記環状二量体を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を冷媒と一体として湿式コンデンサへと循環させ、湿式コンデンサ−ホットウェル間の循環によりヒドロキシカルボン酸を高濃度化させた後に取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸を製造するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸を重合させて製造される脂肪族ポリエステルであり、その代表的なものとしては、例えばポリ乳酸が挙げられる。
【0003】
ポリ乳酸を合成する方法としては、例えば乳酸を濃縮して含有水分を低減させた後に縮合させることで乳酸オリゴマーを生成させ、これに2-エチルヘキサン酸スズ等の触媒を添加して一度解重合させることにより環状二量体(ラクチド)を生成させ、必要に応じて蒸留や晶析等による精製を行った後、ラクチドに2-エチルヘキサン酸スズ等の触媒を添加して開環重合するという特許文献1、2に記載の方法が知られている。
【0004】
濃縮工程では、乳酸に不純物として10〜15%程度の水分が含まれている場合があるため、乳酸間におけるエステル化処理を起こりやすくさせるためにこの水分を除去する。この濃縮工程では、120〜250℃での加熱及び、必要に応じて真空ポンプ等を用いた減圧により水分を除去する。
【0005】
縮合工程では、乳酸間のエステル化反応によって生成される水を120〜250℃での加熱及び真空ポンプ等による減圧環境下、望ましくは10Torr以下での減圧により気化して除去する。この縮合工程により乳酸から乳酸オリゴマーが生成する。
【0006】
縮合工程で生成したオリゴマーは解重合工程に送られ、120〜250℃での加熱及び真空ポンプ等による減圧環境下、望ましくは100Torr以下での減圧環境下において、2-エチルヘキサン酸スズ等の解重合触媒との接触により、ラクチド(乳酸環状二量体エステル)が生成する。生成したラクチドは解重合工程での環境下では通常気体であることが多く、冷却・凝縮により回収される。回収されたラクチドは蒸留や晶析により水及び未反応のオリゴマー等から分離・精製される。
【0007】
精製後のラクチドは開環重合工程に送られ、120〜250℃での加熱下において2-エチルヘキサン酸スズ等の開環重合触媒及び1-ドデカノール等の重合開始剤との接触により、ポリ乳酸が生成する。開環重合工程で生成したポリ乳酸には未反応ラクチド及び触媒が含まれている。未反応ラクチドがポリ乳酸中に残存しているとポリ乳酸の性状劣化及びポリ乳酸の分解が促進される恐れがあるため、未反応ラクチドを除去する必要がある。そこで、撹拌器等を用いて真空脱気処理により溶融状態のポリ乳酸表面から未反応ラクチドを蒸発させる(この処理を液相脱揮と称する)。蒸発した未反応ラクチドは冷却・回収される。
【0008】
その後、溶融状態のポリ乳酸は水等の冷媒により冷却された後、成形機により粒状・ペレット状等任意の形状に成形される。そして、熱風等を用いて乾燥させる。乾燥は開環重合の反応温度以下で行うことが多い。
【0009】
特許文献1、2に記載されているように、解重合工程、開環重合工程、液相脱揮工程及び乾燥工程では、排気中に含まれる乳酸、オリゴマー、ラクチド等の乳酸縮合物を含むプロセス飛散物を熱交換器などを用いて冷却・回収する。しかし、従来これらの回収物は再利用するのが難しく廃棄されていたため、原料収率の低下原因の一つとなっていた。このような問題に対し、水を散布して直接冷却を行うバロメトリックコンデンサを用いてプロセス飛散物を回収し原料として再利用するという特許文献3に記載の方法が知られている。
【0010】
【特許文献1】特許第3258324号公報
【特許文献2】特許第3258662号公報
【特許文献3】特開平10−17653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3に記載の方法によれば、回収されたプロセス飛散物は加水分解されて乳酸となるため、原料としての再利用が可能である。しかしながら、付着物を洗い流した液は原料である乳酸と比較して多量の水分が含まれているので、これを原料として再利用した場合、水分を蒸発させるための運転時間及び運転経費が増大するという問題がある。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ポリ乳酸を代表とするポリヒドロキシカルボン酸の製造過程で発生する排気中のプロセス飛散物を効率よく回収し原料として再利用することでプロセスの原料収率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明者らは新規なポリヒドロキシカルボン酸製造装置及び方法を見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ヒドロキシカルボン酸環状二量体を開環重合させるための開環重合装置、生成したポリヒドロキシカルボン酸を溶融状態に維持しながら負圧をかけて未反応の前記環状二量体若しくは副生成物の脱揮を行う液相脱揮装置、固化したポリヒドロキシカルボン酸を加熱して乾燥を行う乾燥装置を備えたポリヒドロキシカルボン酸製造装置であって、液相脱揮装置の排気系に間接熱交換器が接続されており、間接熱交換器は前記環状二量体を含むプロセス飛散物を捕捉して開環重合装置に送り、間接熱交換器及び乾燥装置の排気系には、それぞれ湿式コンデンサとホットウェルとが接続されており、湿式コンデンサは、前記環状二量体に対応するヒドロキシカルボン酸を濃度50%以上で含む冷媒により前記環状二量体を含むプロセス飛散物を捕捉してホットウェルに送り、ホットウェルは、前記環状二量体を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を冷媒と一体として湿式コンデンサへと循環させ、湿式コンデンサ−ホットウェル間の循環によりヒドロキシカルボン酸を高濃度化させた後に取り出すこと、を特徴とする上記装置。
(2)開環重合装置の排気系に間接熱交換器が接続されており、その間接熱交換器の排気系にも湿式コンデンサとホットウェルとが接続されている、(1)に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
(3)開環重合装置の上流に、ヒドロキシカルボン酸をオリゴマー化させる縮合装置、及びオリゴマーを解重合させてヒドロキシカルボン酸環状二量体を生成する解重合装置をさらに備え、湿式コンデンサ−ホットウェル間の循環により高濃度化したヒドロキシカルボン酸を縮合装置に送って原料として用いる、(1)又は(2)に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
(4)解重合装置の排気系に湿式コンデンサとホットウェルとが接続されている、(3)に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
(5)液相脱揮装置と乾燥装置との間に、ポリヒドロキシカルボン酸を水冷した後で、ペレット形状に成形する成形装置を備える、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
(6)間接熱交換器と開環重合装置との間に精製装置を備え、精製装置はプロセス飛散物からヒドロキシカルボン酸環状二量体を精製して開環重合装置に送る、(1)〜(5)のいずれかに記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
(7)プロセス飛散物がさらにヒドロキシカルボン酸オリゴマーを含み、ホットウェルは前記オリゴマーを加水分解する、(1)〜(6)のいずれかに記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
(8)ヒドロキシカルボン酸環状二量体の開環重合、生成したポリヒドロキシカルボン酸を溶融状態に維持しながら負圧をかけて未反応の前記環状二量体若しくは副生成物の脱揮を行う液相脱揮、固化したポリヒドロキシカルボン酸を加熱して乾燥を行う乾燥の各工程を含むポリヒドロキシカルボン酸の製造方法であって、液相脱揮工程の排気から、前記環状二量体を含むプロセス飛散物を間接熱交換器を用いて捕捉して開環重合工程の原料として用い、一方で間接熱交換器及び乾燥工程の排気から前記環状二量体を含むプロセス飛散物を前記環状二量体に対応するヒドロキシカルボン酸を濃度50%以上で含む溶液を用いて捕捉し、前記溶液を用いて捕捉したプロセス飛散物を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を前記溶液と一体として循環させ、循環により前記溶液を高濃度化ヒドロキシカルボン酸とした後に取り出すこと、を特徴とする上記方法。
(9)開環重合工程の排気から、前記環状二量体を含むプロセス飛散物を間接熱交換器を用いて捕捉して開環重合工程の原料として用い、その間接熱交換器の排気からも前記環状二量体を含むプロセス飛散物を前記溶液を用いて捕捉し、前記溶液を用いて捕捉したプロセス飛散物を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を前記溶液と一体として循環させ、循環により前記溶液を高濃度化ヒドロキシカルボン酸とした後に取り出す、(8)に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
(10)開環重合工程の前段に、ヒドロキシカルボン酸をオリゴマー化させる縮合、及びヒドロキシカルボン酸環状二量体を生成するオリゴマーの解重合の各工程を含み、取り出した高濃度化ヒドロキシカルボン酸を縮合工程において原料として用いる、(8)又は(9)に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
(11)解重合工程の排気から、前記環状二量体を含むプロセス飛散物を前記溶液を用いて捕捉し、前記溶液を用いて捕捉したプロセス飛散物を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を前記溶液と一体として循環させ、循環により前記溶液を高濃度化ヒドロキシカルボン酸とした後に取り出し、取り出した高濃度化ヒドロキシカルボン酸を縮合工程において原料として用いる、(10)に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
(12)液相脱揮工程と固化したポリヒドロキシカルボン酸の加熱による乾燥工程との間に、ポリヒドロキシカルボン酸を水冷した後に成形する成形工程を含む、(8)〜(11)のいずれかに記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
(13)前記環状二量体を含むプロセス飛散物を間接熱交換器を用いて捕捉した後、前記環状二量体を精製してから開環重合工程の原料として用いる、(8)〜(12)のいずれかに記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
(14)プロセス飛散物がさらにヒドロキシカルボン酸オリゴマーを含み、前記オリゴマーを前記溶液を用いて捕捉し、加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成する、(8)〜(13)のいずれかに記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリヒドロキシカルボン酸製造装置及び方法によれば、ポリヒドロキシカルボン酸の製造過程で生成するプロセス飛散物を効率よく回収し原料として再利用することができ、プロセスの原料収率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
図1は本発明に係るポリヒドロキシカルボン酸製造装置の一例を表したものである。ここでは便宜上この装置を用いてポリ乳酸を製造する場合について説明するが、この装置はポリ乳酸に限らず他のヒドロキシカルボン酸のポリマーを製造するためにも用いることができる。乳酸以外のヒドロキシカルボン酸のポリマーを製造する場合には、以下の説明のうちラクチドはヒドロキシカルボン酸環状二量体、乳酸オリゴマーはヒドロキシカルボン酸オリゴマー、乳酸はヒドロキシカルボン酸と読み替える。他のヒドロキシカルボン酸としては、例えばグリコール酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0016】
本発明に係るポリヒドロキシカルボン酸の製造方法は、図1に示したような装置を用いて実施することができる。しかしこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の装置によっても行うことが可能である。
【0017】
本発明に係る装置は主として、乳酸供給装置1、乳酸濃縮装置3、乳酸縮合装置7、解重合装置11、開環重合装置17及び18、液相脱揮装置19、成形装置20並びに乾燥装置21を備える。
【0018】
乳酸濃縮装置3では、乳酸供給装置1から供給された乳酸に含まれる水分を加熱により蒸発させる。加熱は窒素ガス流通下、120〜150℃で行うのが好ましい。乳酸濃縮反応では水分、乳酸が気体として発生する。好ましくは、乳酸濃縮装置3は還流器を備え、還流器はこれらの気体から乳酸を捕捉して乳酸濃縮装置3に還流する。乳酸に含まれている水分は、乳酸濃縮装置3において、可能な限り加熱して蒸発させることにより除去することが好ましい。乳酸濃縮装置3で製造された濃縮乳酸は乳酸縮合装置7へ送られる。なお、原料として用いる乳酸が既に濃縮してある場合には、乳酸濃縮装置3は省略することができる。
【0019】
乳酸縮合装置7では乳酸の縮合反応を進めて乳酸オリゴマーを生成させ、これに伴い発生する水分を蒸発させる。本発明において乳酸オリゴマーとは、乳酸の二量体から分子量5万程度までの乳酸重合物を含む概念である。上記の乳酸縮合反応によって得られる乳酸オリゴマーの分子量は、平均分子量で通常500〜1万、好ましくは1,000〜5,000である。乳酸縮合反応は通常100Torr以下、望ましくは10Torr以下、さらに好ましくは1Torr以下の圧力で、通常100〜220℃、好ましくは130〜200℃で実施する。加熱時間は可能な限り短くすると、乳酸及び乳酸オリゴマーの熱分解を抑制することができるため好ましい。
【0020】
乳酸縮合反応に関しては、必要に応じて、乳酸縮合反応のための触媒を添加してもよい。触媒としては従来公知のものを使用することができ、例えば、有機スズ系の触媒(例として乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α-ナフトエ酸スズ、β-ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等)及び粉末スズ等が挙げられる。
【0021】
乳酸縮合装置7は、少なくとも反応器、濃縮乳酸供給口及び乳酸オリゴマー排出口を有する。反応器としては縦型でも横型でもよい。反応器における加熱方法としては、当技術分野において通常用いられる方法を使用することができ、例えば、反応器外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応器壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法、または反応器内部の伝熱管(コイル)を通して伝熱により加熱する方法等があり、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0022】
乳酸縮合反応では水分、乳酸、低分子量の乳酸オリゴマー及びその分解で発生するラクチドが気体として発生する。好ましくは、乳酸縮合装置7は還流器を備え、還流器はこれらの気体から乳酸、低分子量の乳酸オリゴマー、ラクチドを捕捉して乳酸縮合装置7に還流する。乳酸縮合装置7で生成した乳酸オリゴマーは解重合装置11へ送られる。
【0023】
解重合装置11では乳酸オリゴマーの解重合反応を進めてラクチドを生成する。解重合装置11は減圧装置を備えており、通常100Torr以下、好ましくは10Torr以下の減圧環境下、通常120〜250℃、好ましくは170〜200℃で加熱することにより乳酸オリゴマーの解重合反応を行い、ラクチドが気体として生成する。本発明においてラクチドとは、乳酸2分子から水2分子を脱水反応させることにより生じる環状エステルを示す。
【0024】
解重合装置11は、少なくとも反応器、乳酸オリゴマー供給口及びラクチド排出口を有する。また、通常温度計も設置される。反応器としては特に制限されず、縦型反応器、横型反応器又はタンク型反応器を用いることができる。攪拌翼としてはパドル翼、タービン翼、アンカー翼、ダブルモーション翼、ヘリカルリボン翼などを使用することができる。反応器における加熱方法としては、当技術分野において通常用いられる方法を使用することができ、例えば、反応器外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応器壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法、または反応器内部の伝熱管(コイル)を通して伝熱により加熱する方法等があり、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0025】
解重合反応においては、必要に応じて解重合反応のための触媒を添加してもよい。触媒としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、周期律表IA族、IIIA族、IVA族、IIB族及びVA族からなる群から選択される金属又は金属化合物からなる触媒を使用できる。
【0026】
IA族に属するものとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ金属と弱酸の塩(例えば、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、乳酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、オクチル酸カリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等)等を挙げることができる。
【0027】
IIIA族に属するものとしては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミナ、塩化アルミニウム等を挙げることができる。
【0028】
IVA族に属するものとしては、例えば、有機スズ系の触媒(例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α-ナフトイエ酸スズ、β-ナフトイエ酸スズ、オクチル酸スズ等)の他、粉末スズ、酸化スズ、ハロゲン化スズ等を挙げることができる。
【0029】
IIB族に属するものとしては、例えば、亜鉛粉末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物を挙げることができる。
【0030】
IVB族に属するものとしては、例えば、テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物等を挙げることができる。
【0031】
これらの中でも、オクチル酸スズ等のスズ系化合物又は三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物を使用するのが好ましい。また触媒の使用量は、乳酸オリゴマーに対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度であるのが好ましい。
【0032】
解重合装置11で生成したラクチドを含む蒸気は解重合装置11の外に排出され、ラクチド冷却器13に供給される。ラクチドは冷却・凝縮されて回収された後、精製装置15に移送される。
【0033】
ラクチド冷却器13には、金属管を隔てて蒸気と冷媒が間接的に接触する表面凝縮器が望ましい。これはラクチドが水を含む冷媒と直接接触すると分解して酸を生成するので、それを防止するためである。酸を生成すると、酸触媒として開環重合反応の進捗を阻害する上、冷却器等の材料腐食を引き起こす可能性がある。冷媒としてラクチドに対し不活性なもの、例えば窒素ガスなどを用いる場合は上記の限りではないが、その場合、冷媒を十分乾燥させ湿分を低減する必要がある。
【0034】
精製装置15は蒸留や晶析等の方法を用いて、ラクチド中に含まれる水分や未反応オリゴマー等の不純物を分離する。蒸留を用いる場合は、ラクチドを加熱し、蒸気を段階的に冷却することで純度の高いラクチドを分離・回収することにより精製する。精製装置15から排出されたラクチドは開環重合装置17に送られる。
【0035】
なお、図1の装置では乳酸オリゴマーの生成およびその解重合を経てラクチドを生成する工程を採用しているが、これに限らず、例えば乳酸から直接ラクチドを生成する公知の工程を代わりに採用してもよい。また、ラクチドを原料として入手可能な場合は、縮合装置7や解重合装置11などを省略することも可能である。
【0036】
開環重合装置17及び18ではラクチドの開環重合反応を進めてポリ乳酸を生成する。開環重合装置17及び18では不活性ガス雰囲気下、通常120〜250℃、好ましくは120〜200℃で加熱することによりラクチドの開環重合反応を行う。
【0037】
開環重合装置17及び18は、少なくとも反応器、ラクチド供給口及びポリ乳酸排出口を有する。また、通常温度計も設置される。反応器としては特に制限されず、縦型反応器、横型反応器又はタンク型反応器を用いることができる。図1に示したように2つ以上の反応器を直列に配置しても構わないし、反応器を1つとしても構わない。攪拌翼としてはパドル翼、タービン翼、アンカー翼、ダブルモーション翼、ヘリカルリボン翼などを使用することができる。反応器における加熱方法としては、当技術分野において通常用いられる方法を使用することができ、例えば、反応器外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応器壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法、または反応器内部の伝熱管(コイル)を通して伝熱により加熱する方法等があり、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0038】
開環重合反応においては、必要に応じて開環重合反応のための触媒を添加してもよい。触媒としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、上述したような周期律表IA族、IIIA族、IV族、IIB族及びVA族からなる群から選択される金属又は金属化合物からなる触媒を使用できる。その中でも、オクチル酸スズ等のスズ系化合物又は三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物を使用するのが好ましい。触媒の使用量は、ラクチドに対して1〜2000ppm、好ましくは5〜1500ppm、より好ましくは10〜1000ppm程度である。
【0039】
開環重合反応においては、分子量の調整等を目的として、必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては1-ドデカノール等のアルコール類を用いることができる。例えば、重合開始剤の濃度が700ppmの場合、ポリ乳酸の重量平均分子量は200000程度となる。開環重合装置17及び18で生成したポリ乳酸は液相脱揮装置19に送られる。
【0040】
液相脱揮装置19では溶融状態を維持しつつ負圧環境を作り、ポリ乳酸に含まれる未反応のラクチド及びその他の乳酸オリゴマー、乳酸、水といった副生成物を除去する(以下この工程を液相脱揮と称する)。液相脱揮工程においては必要に応じてポリ乳酸に酸化防止剤を添加してもよい。
【0041】
液相脱揮装置19には減圧装置が設置されており、通常100Torr以下、好ましくは1Torr以下の減圧環境下、通常120〜250℃、好ましくは180〜200℃かつ開環重合器よりも高い温度で加熱することによりポリ乳酸からの脱揮を実施する。
【0042】
液相脱揮装置19は、少なくとも反応器、ポリ乳酸供給口及びポリ乳酸排出口を有する。また、通常温度計も設置される。反応器としては特に制限されず、二軸押出機、単軸押出機又は四軸押出器横型反応機等、様々なものを用いることができる。反応器における加熱方法としては、当技術分野において通常用いられる方法を使用することができ、例えば、反応器外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応器壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法、または反応器内部の伝熱管(コイル)を通して伝熱により加熱する方法等があり、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。液相脱揮が行われたポリ乳酸は成形装置20に送られる。
【0043】
成形装置20は少なくともポリ乳酸供給口及びポリ乳酸排出口を有する。成形装置20では溶融状態のポリ乳酸ストランドを水冷等により冷却した後、粒状、ペレット状等任意の形状に成形する。装置としては例えばチップカッターを用いることができるが、特に制限されるものではない。成形したポリ乳酸は乾燥装置21に送られる。
【0044】
乾燥装置21では成形したポリ乳酸を乾燥空気等を用いて乾燥させる。装置としては例えば熱風乾燥機やメッシュ上にポリ乳酸を配置し下方からガスを流通させる装置を用いることができるが特に制限されず、ベルトコンベア等を用いてポリ乳酸を移動させながら乾燥させてもよい。装置は複数用いてもよい。乾燥温度は100〜200℃、望ましくは120〜180℃である。乾燥温度は連続的もしくは段階的に変化させてもよい。乾燥時間は1分〜25時間、望ましくは5分〜11時間である。乾燥に用いるガスは乾燥空気の他、乾燥窒素等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
開環重合装置17及び18、並びに液相脱揮装置19の排気系には、それぞれ間接熱交換器50、53が接続されており、各装置から排出される排気が導入される。図1では開環重合装置17及び18、並びに液相脱揮装置19の排気系の全てに間接熱交換器が設けられているが、これに限定されるものではなく、少なくとも液相脱揮装置19に備えられていればよい。
【0046】
各装置から排出される排気には、ラクチド、乳酸オリゴマー、乳酸、水などからなるプロセス飛散物が含まれている。液相脱揮工程では、プロセス飛散物に水分が少なく、かつラクチドが多く含まれているため、間接熱交換器を設置することによってラクチドを効率的に回収することができる。特に液相脱揮工程は減圧環境下にて行われ、ラクチドが多量に飛散するので、液相脱揮工程でラクチドを回収することはプロセス全体の収率向上に大きく影響する。また通常ポリ乳酸は、L体とD体とが存在する乳酸のいずれか一方の異性体のみが一定量重合していることが好ましいため、ポリ乳酸の製造過程において光学純度を維持することが重要であるが、ここで間接熱交換器により回収されるラクチドは、濃縮及び縮合工程を経ずに精製後すぐに開環重合に利用可能であるため、光学純度の低下を抑制することができ、有利である。なお開環重合工程でも、プロセス飛散物に水分が少なく、かつラクチドが多く含まれているため、間接熱交換器を設置することによってラクチドを効率的に回収することができ、プロセス全体の収率向上に貢献することができる。
【0047】
間接熱交換器50、53の下部にはホットウェル51、54を設置し、ホットウェルから精製装置へラクチドを還流させる。ホットウェル51、54はラクチドを液化させるために設けられているが、場合により省略することも可能である。また、ここで用いる間接熱交換器としては、例えばUチューブコンデンサ等の一般的なものが挙げられる。
【0048】
解重合装置11、乾燥装置21の排気系、並びに間接熱交換器50、53の排気系には、湿式コンデンサ22、25、26、28がそれぞれ接続されており、各装置又は各間接熱交換器から排出される排気が導入される。本発明で湿式コンデンサとは、導通させる気体と冷媒とが直接接触するコンデンサ(凝縮器)を意味する。解重合装置11及び乾燥装置21の排気にはラクチド、乳酸オリゴマー、乳酸、水分などのプロセス飛散物が含まれており、また間接熱交換器50、53の排気には、間接熱交換器が捕捉しきれなかったラクチド、乳酸オリゴマー、乳酸、水分などのプロセス飛散物が含まれている。各湿式コンデンサは排気中に含まれるこれらのプロセス飛散物を捕捉し、後述するホットウェルに送って乳酸へと加水分解し、乳酸濃縮装置3に送って原料として再利用する。図1の装置では解重合装置11及び乾燥装置21の排気系、並びに間接熱交換器50、53の全てに湿式コンデンサが設けられているが、これに限定されるものではなく、少なくとも液相脱揮装置19の排気系に設置された間接熱交換器53に設けられていればよい。
【0049】
各湿式コンデンサにおいては、冷媒としてプロセスの開始原料である乳酸を用いる。各湿式コンデンサは冷却器33、37、42、47で冷却された乳酸を循環させることにより、排気に含まれるプロセス飛散物を捕集・溶解する。冷却された乳酸の温度は0〜100℃、好ましくは10〜30℃程度である。冷媒として用いる乳酸の初期濃度は50%以上、好ましくは75%以上、特に好ましくは90%以上である。乳酸の濃度は98%以下、好ましくは95%以下に維持すると粘度が高くなりすぎず好ましい。
【0050】
本発明において、湿式コンデンサとしては、棚段を1段又は複数設け、その上方から冷却液として原料乳酸を循環・流下させて液膜を発生させ、この液膜に排気を接触させることでプロセス飛散物を溶解・捕集する棚段型、上方にシャワーノズルを設け、冷却液として原料乳酸を噴霧して、この液滴に排気を接触させることでプロセス飛散物を溶解、捕集するシャワー型、棚段型とシャワー型を組み合わせ、棚段型を上部に、シャワー型を下部に配置したもの等があるが、いずれを用いてもよい。棚段型湿式コンデンサの概略図を図2に、シャワー型湿式コンデンサの概略図を図3に、棚段型とシャワー型を組み合わせた湿式コンデンサの概略図を図4に示す。図において、123は湿式コンデンサ本体であり、124はガス入り口配管、125は非凝縮性ガス排出配管、126は乳酸供給配管、127は凝縮液排出配管、128は乳酸供給ノズル、129は棚段、130は乳酸シャワーノズルである。
【0051】
解重合装置11、乾燥装置21の排気には水蒸気が含まれているため、これらの装置においては水蒸気を凝縮・捕集するための間接熱交換器を湿式コンデンサ前段に配置してもよい。
【0052】
各湿式コンデンサの下部にはそれぞれホットウェル31、35、40、45が設置され、各湿式コンデンサから排出されるドレン液が導入される。ドレン液は、捕集・溶解したプロセス飛散物と冷媒である乳酸とからなる。ホットウェルとしては、タンク式のものを用いることができるが、これに限定されない。またホットウェル上部には、ホットウェルから蒸発した乳酸を液化させホットウェルに還流させる還流冷却器を配置してもよい。ホットウェルは撹拌もしくは加熱手段の少なくとも一つを備え、ドレン液中のプロセス飛散物の加水分解を促進させる。プロセス飛散物中のラクチドや乳酸オリゴマーはドレン液中に含まれる水分を消費しながら加水分解して乳酸となり、冷媒として用いられていた乳酸と一体となって、より高濃度の乳酸となる。
【0053】
このようにしてホットウェルから得られた乳酸は、湿式コンデンサ上部の冷却器を経由して湿式コンデンサに還流し循環させると、さらに高濃度の乳酸とすることができる。循環させる乳酸の濃度については、粘度上昇に伴う循環不良低減の観点から、98%以下、好ましくは95%以下に留めることが望ましい。循環により得られた高濃度の乳酸は、乳酸濃縮装置3に戻すことで原料として再利用できる。しかしながら、高濃度の乳酸は乳酸供給装置1または縮合装置7のいずれかに戻してもよい。或いは、高濃度の乳酸を他の乳酸を用いたプロセスの原料に転用してもよい。また、ホットウェルから得られた乳酸を循環させず直接乳酸供給装置1、乳酸濃縮装置3、縮合装置7のいずれかに戻してもよい。
【0054】
乳酸を冷媒として用いた湿式コンデンサでは、加水分解で乳酸に含まれる水分が消費されること、及びプロセス飛散物の加水分解によって新たに乳酸が生じることにより、冷却に用いた乳酸が濃縮され、これを再利用することで濃縮工程に要する時間を短縮することができるという利点を有する。これはプロセス全体における合成効率向上、運転経費の抑制に繋がる。また、従来の水を用いた湿式コンデンサと比較すると、プロセス飛散物が十分に加水分解されることで、液中にスラッジが発生せず配管等の閉塞が生じないという長所がある。これは湿式コンデンサ下部のホットウェルで加熱もしくは撹拌手段の少なくとも一つを用いることでラクチド、オリゴマー等からなるプロセス飛散物を乳酸中に含まれる水分で十分に加水分解することで乳酸に戻り、液体となるためである。さらに、プロセス飛散物は乳酸により洗い流されるため、湿式コンデンサ下流に設置した真空ポンプ等の装置に侵入せずそれらの装置を劣化させることもない。
【0055】
図5は図1に示した装置の応用例を示したものであり、間接熱交換器50を経由した開環重合装置17及び18からの排気と乾燥装置21からの排気をあわせて湿式コンデンサ25に導入している点で異なる。このように、湿式コンデンサとホットウェルは、解重合装置11及び乾燥装置21の排気系、並びに各間接熱交換器の排気系に個別に設置するのみならず、2つ以上の装置の排気系をまとめた系に設置してもよい。
【実施例】
【0056】
図1に記載の装置を用いてポリ乳酸を合成したところ、原料収率は65%であった。なお各装置における反応条件は表1に記載のとおりである。
【0057】
【表1】

【0058】
(比較例)
全ての装置の排気系に従来の水を用いた湿式コンデンサのみを用いたポリ乳酸合成装置でポリ乳酸を合成したところ、原料収率は60%となった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るポリヒドロキシカルボン酸製造装置の一例を表したものである。
【図2】湿式コンデンサの第1の構成例を示す概略図である。
【図3】湿式コンデンサの第2の構成例を示す概略図である。
【図4】湿式コンデンサの第3の構成例を示す概略図である。
【図5】図1に示した装置の応用例を示したものである。
【符号の説明】
【0060】
1:乳酸供給装置、3:乳酸濃縮装置、7:乳酸縮合装置、11:解重合装置、12:還流器、13:ラクチド冷却器、15:精製装置、17:開環重合装置、18:開環重合装置、19:液相脱揮装置、20:成形装置、21:乾燥装置、22:湿式コンデンサ、25:湿式コンデンサ、26:湿式コンデンサ、28:湿式コンデンサ、30:バッファタンク、31:ホットウェル、33:冷却器、35:ホットウェル、37:冷却器、40:ホットウェル、42:冷却器、45:ホットウェル、47:冷却器、50:間接熱交換器、51:ホットウェル、53:間接熱交換器、54:ホットウェル、123:湿式コンデンサ本体、124:ガス入り口配管、125:非凝縮性ガス排出配管、126:乳酸供給配管、127:凝縮液排出配管、128:乳酸供給ノズル、129:棚段、130:乳酸シャワーノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシカルボン酸環状二量体を開環重合させるための開環重合装置、生成したポリヒドロキシカルボン酸を溶融状態に維持しながら負圧をかけて未反応の前記環状二量体若しくは副生成物の脱揮を行う液相脱揮装置、固化したポリヒドロキシカルボン酸を加熱して乾燥を行う乾燥装置を備えたポリヒドロキシカルボン酸製造装置であって、
液相脱揮装置の排気系に間接熱交換器が接続されており、間接熱交換器は前記環状二量体を含むプロセス飛散物を捕捉して開環重合装置に送り、
間接熱交換器及び乾燥装置の排気系には、それぞれ湿式コンデンサとホットウェルとが接続されており、
湿式コンデンサは、前記環状二量体に対応するヒドロキシカルボン酸を濃度50%以上で含む冷媒により前記環状二量体を含むプロセス飛散物を捕捉してホットウェルに送り、
ホットウェルは、前記環状二量体を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を冷媒と一体として湿式コンデンサへと循環させ、
湿式コンデンサ−ホットウェル間の循環によりヒドロキシカルボン酸を高濃度化させた後に取り出すこと、
を特徴とする上記装置。
【請求項2】
開環重合装置の排気系に間接熱交換器が接続されており、その間接熱交換器の排気系にも湿式コンデンサとホットウェルとが接続されている、請求項1に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
【請求項3】
開環重合装置の上流に、ヒドロキシカルボン酸をオリゴマー化させる縮合装置、及びオリゴマーを解重合させてヒドロキシカルボン酸環状二量体を生成する解重合装置をさらに備え、湿式コンデンサ−ホットウェル間の循環により高濃度化したヒドロキシカルボン酸を縮合装置に送って原料として用いる、請求項1又は2に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
【請求項4】
解重合装置の排気系に湿式コンデンサとホットウェルとが接続されている、請求項3に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
【請求項5】
液相脱揮装置と乾燥装置との間に、ポリヒドロキシカルボン酸を水冷した後で、ペレット形状に成形する成形装置を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
【請求項6】
間接熱交換器と開環重合装置との間に精製装置を備え、精製装置はプロセス飛散物からヒドロキシカルボン酸環状二量体を精製して開環重合装置に送る、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
【請求項7】
プロセス飛散物がさらにヒドロキシカルボン酸オリゴマーを含み、ホットウェルは前記オリゴマーを加水分解する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヒドロキシカルボン酸製造装置。
【請求項8】
ヒドロキシカルボン酸環状二量体の開環重合、生成したポリヒドロキシカルボン酸を溶融状態に維持しながら負圧をかけて未反応の前記環状二量体若しくは副生成物の脱揮を行う液相脱揮、固化したポリヒドロキシカルボン酸を加熱して乾燥を行う乾燥の各工程を含むポリヒドロキシカルボン酸の製造方法であって、
液相脱揮工程の排気から、前記環状二量体を含むプロセス飛散物を間接熱交換器を用いて捕捉して開環重合工程の原料として用い、
一方で間接熱交換器及び乾燥工程の排気から前記環状二量体を含むプロセス飛散物を前記環状二量体に対応するヒドロキシカルボン酸を濃度50%以上で含む溶液を用いて捕捉し、
前記溶液を用いて捕捉したプロセス飛散物を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を前記溶液と一体として循環させ、
循環により前記溶液を高濃度化ヒドロキシカルボン酸とした後に取り出すこと、
を特徴とする上記方法。
【請求項9】
開環重合工程の排気から、前記環状二量体を含むプロセス飛散物を間接熱交換器を用いて捕捉して開環重合工程の原料として用い、その間接熱交換器の排気からも前記環状二量体を含むプロセス飛散物を前記溶液を用いて捕捉し、前記溶液を用いて捕捉したプロセス飛散物を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を前記溶液と一体として循環させ、循環により前記溶液を高濃度化ヒドロキシカルボン酸とした後に取り出す、請求項8に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項10】
開環重合工程の前段に、ヒドロキシカルボン酸をオリゴマー化させる縮合、及びヒドロキシカルボン酸環状二量体を生成するオリゴマーの解重合の各工程を含み、取り出した高濃度化ヒドロキシカルボン酸を縮合工程において原料として用いる、請求項8又は9に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項11】
解重合工程の排気から、前記環状二量体を含むプロセス飛散物を前記溶液を用いて捕捉し、前記溶液を用いて捕捉したプロセス飛散物を加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成し、生成したヒドロキシカルボン酸を前記溶液と一体として循環させ、循環により前記溶液を高濃度化ヒドロキシカルボン酸とした後に取り出し、取り出した高濃度化ヒドロキシカルボン酸を縮合工程において原料として用いる、請求項10に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項12】
液相脱揮工程と固化したポリヒドロキシカルボン酸の加熱による乾燥工程との間に、ポリヒドロキシカルボン酸を水冷した後に成形する成形工程を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項13】
前記環状二量体を含むプロセス飛散物を間接熱交換器を用いて捕捉した後、前記環状二量体を精製してから開環重合工程の原料として用いる、請求項8〜12のいずれか1項に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項14】
プロセス飛散物がさらにヒドロキシカルボン酸オリゴマーを含み、前記オリゴマーを前記溶液を用いて捕捉し、加水分解させてヒドロキシカルボン酸を生成する、請求項8〜13のいずれか1項に記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−70710(P2010−70710A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242235(P2008−242235)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】