説明

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法

【課題】成形材料として用いられ、耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性に優れた成形体を与える、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法を提供する。
さらに前記製造方法により得られた樹脂組成物により成形した各種成形品を提供する。
【解決手段】
(A)下記一般式(1)


(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とを溶融混練し、溶融混練物を一旦ペレットとし、これを(Tg−40)[℃]以上(Tg+50)[℃]以下(Tg:上記樹脂組成物のガラス転移温度[℃])の範囲で熱処理することを特徴とする、成形用ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性などに優れた成形体の成形材料として好適なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジニアリングプラスチックの一種であるポリフェニレンエーテルは、優れた耐熱性、電気絶縁性を有するとともに、他のエンジニアリングプラスチックであるポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどに比べて低誘電率であり、しかも比較的安価であるという特徴を有する。
【0003】
そして、ポリフェニレンエーテルを用いた成形体として、例えば、ポリフェニレンエーテルと、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とからなる樹脂組成物を用いてなるフィルム類が知られている(特許文献1)。
しかしながら、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いた成形体は、溶剤、特に四塩化炭素に代表されるハロゲン化炭化水素系溶剤に対する耐薬品性が十分ではないという問題があり、用途によっては、上記樹脂組成物からなる成形体の展開に支障をきたすところであった。
また、ポリフェニレンエーテルと該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とからなる樹脂組成物を成形し、成形体を特定温度範囲で熱処理することにより耐薬品性に優れた成形体を得ることができることが知られている(特許文献2)。
しかしながら、この場合には、樹脂組成物から各成形体を得たのちに、その熱処理を行わなければならず、そのため、該成形体を得るには、時間、手間がかかるという問題点があった。また、用途によっては耐衝撃性などが不十分となる場合もあった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−319316号公報
【特許文献2】特開2005−60688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、成形材料として用いられ、耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性に優れた成形体を与える、上記の欠点を克服したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は前記製造方法により得られた樹脂組成物により成形した各種成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテルと、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とを溶融混練後、一旦ペレット状とし、この得られたペレットを、特定温度範囲で熱処理することにより、このペレットを用いた樹脂成形品が耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性などに優れることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)(A)下記式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とを溶融混練し、溶融混練物を一旦ペレットとし、これを(Tg−40)[℃]以上(Tg+50)[℃]以下(Tg:上記樹脂組成物のガラス転移温度[℃])の範囲で熱処理することを特徴とする、成形用ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
(2)熱処理の時間が、1〜48時間である(1)記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(3)ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)が、エポキシ基を有する共重合体である請求項1または2記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(4)エポキシ基を有する共重合体が、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である(1)〜(3)のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(5)共重合体(B)の融解熱量が3J/g未満である(1)〜(4)のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(6)共重合体(B)のムーニー粘度が、3〜70の範囲である(1)〜(5)のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(7)エポキシ基を有する共重合体が、エポキシ基を有するゴムである(3)〜(5)のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(8)エポキシ基を有するゴムが、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする(7)に記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(9)(メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む(8)に記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(10)エポキシ基を有する共重合体が、(a)エチレン単位を60〜99質量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜20質量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位を0〜40質量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体である(3)〜(5)のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる射出成形体。
(12)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるチューブ。
(13)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる自動車外板。
(14)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるボトル、または容器。
(15)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるパイプ。
(16)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるハウジング材。
(17)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる電気・電子部品または電送部品。
(18)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるモバイル機器部品。
(19)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる自動車部品。
(20)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるフィルムまたはシート。
【発明の効果】
【0010】
本発明方法により得られた樹脂組成物は、これを成形することにより耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性などに優れた成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法においては、まず前記(A)の上式(1)で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと前記(B)の該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とを溶融混練して、溶融混練物をペレットとする。
【0012】
まず、本発明方法の原料として用いる樹脂組成物について説明する。
樹脂組成物の(A)成分であるポリフェニレンエーテルは、前記式(1)の繰り返し単位を有するものであるが、これは例えば、下記式(2)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、RおよびRは前記と同じ意味を有する。)
で示されるフェノール化合物の少なくとも1種から誘導し得る。
【0015】
ここで、RおよびRは、それぞれ独立に水素又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素(好ましくは、全炭素数1〜6のもの)を表すが、置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の全炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の全炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基等の全炭素数7〜20のアラルキル基、トリフルオロメチル基、2−t−ブチルオキシエチル基、3−ジフェニルアミノプロピル基等の置換基を有する全炭素数1〜20の炭化水素基などが挙げられる。
【0016】
なかでも、R、Rは、水素原子、メチル基などであることが好ましく、とりわけ水素原子であることが好ましい。
【0017】
(A)成分であるポリフェニレンエーテルは、前記式(2)で示されるフェノール化合物の重合体であっても、式(2)で示されるフェノール化合物とそれ以外のフェノール化合物、例えばビスフェノール−A,テトラブロモビスフェノール−A,レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物との共重合体であっても良い。かかる共重合体においては、式(2)由来の式(1)の構造単位を80モル%以上含むことが好ましく、90モル%以上含むことがより好ましい。
【0018】
(A)成分のポリフェニレンエーテルは、常法により、上記のようなフェノール化合物を酸化カップリング触媒を用い、酸素または酸素含有ガスで酸化重合させて製造し得る。酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有するいかなる触媒でも使用しうる。例えば、その代表的なものとしては、塩化第一銅を含む触媒や二価のマンガン塩類を含む触媒が挙げられる。
【0019】
また本発明における成分(A)の固有粘度[η]は、0.30〜0.65の範囲が好ましく、0.35〜0.50がさらに好ましい(25℃、クロロホルム溶液)
[η]が0.30未満では、組成物の耐熱性が低下する傾向にあり、また、[η]が0.65を超えると組成物の成形加工性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0020】
本発明に使用する樹脂組成物は、上記のような成分(A)のポリフェニレンエーテルと成分(B)の該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体からなる樹脂組成物を含有するものであるが、該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基としては、成分(A)と反応性を有しておればよく、例えば、オキサゾリル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好ましくはエポキシ基である。エポキシ基などは他の官能基の一部として存在していてもよく、その例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0021】
成分(B)である共重合体において、このような官能基を共重合体中に導入する方法としては特に限定されるものではなく、通常の方法で行うことができる。例えば共重合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合により導入することも可能であるし、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0022】
かかる官能基を有する単量体のなかで、官能基がエポキシ基であるものとしては、とりわけグリシジル基を含有する単量体が好ましく使用される。グリシジル基を含有する単量体としては、例えば下記一般式(3)
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、Rは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基を表し、Xは、−C(O)O−、−CH−O−または
【0025】
【化4】

【0026】
を表す。)
で示される不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
【0027】
ここで、不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げることができる。
【0028】
不飽和グリシジルエーテルとしては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。
具体的には、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
【0029】
上記のポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)は、かかる不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%を含有することが好ましく、0.1〜20質量%含有することがより好ましい。
【0030】
またポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)は、ゴムであっても熱可塑性樹脂であってもよいし、ゴムと熱可塑性樹脂の混合物であってもよい。
【0031】
本発明の成分(B)としてのゴムとしては、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つアクリルゴムや、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができる。
【0032】
ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つアクリルゴムとして好ましくは、一般式(4)〜(6)
CH=CR−C(O)−OR (4)
CH=CR−C(O)−OROR (5)
CH=CRH−C(O)−O(R(C(O)O)nR (6)
(式中、Rは炭素原子数1〜18(好ましくは1〜8)のアルキル基または炭素原子数1〜18(好ましくは1〜8)のシアノアルキル基を示す。Rは炭素原子数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキレン基を、Rは炭素原子数1〜12(好ましくは1〜8)のアルキル基を示す。R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基、Rは、炭素原子数3〜30(好ましくは3〜12)のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20(好ましくは1〜8)のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体とポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を有する単量体を成分とするものである。
【0033】
上記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、アクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができ、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
【0034】
また、上記一般式(5)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、メトキシエチルメタアクリレート、エトキシエチルメタアクリレート、ブトキシエチルメタアクリレート、エトキシプロピルメタアクリレート等があげられる。これらの1種あるいは2種以上を該アクリルゴムの成分として用いることができる。
【0035】
さらに、上記一般式(6)で表わされる化合物の具体例としては
CH=CH−C(O)−O(CHCHCH(C(O)O)CH
が挙げられる。
かかるアクリルゴムの構成成分として、必要に応じて上記の一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体を用いることができる。
このような不飽和単量体の例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
【0036】
ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を有する単量体としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルが好ましい。この場合好ましい構成成分比は、上記の一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体40.0〜99.9質量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル0.1〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、上記の一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0〜30質量%である。該アクリルゴムの構成成分比が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性、成形加工性などが良好であり好ましい。
【0037】
上記アクリルゴムの製法は特に限定するものではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特開昭62−64809号公報、特開平3−160008号公報、あるいはWO95/04764などに記載されているような周知の重合法を用いることができ、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
【0038】
共重合体(B)の中では、エポキシ基を有するゴムが好ましく、中でも、エポキシ基を有する(アクリル)ゴムである、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴム等がより好ましい。
【0039】
また、共重合(B)のムーニー粘度が3〜70のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25のものが特に好ましい。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃ラージローターを用いて測定した値をいう。
【0040】
得られる成形体の熱安定性や機械的性質を向上させるために、(メタ)アクリル酸エステル単位が40質量%をこえ96質量%未満、さらに好ましくは45〜70質量%、エチレン単位が3質量%以上50質量%未満、さらに好ましくは10〜49質量%、不飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。(代表的な重合方法:特開昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法、例えばフリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる)
【0041】
ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムにおけるビニル芳香族炭化水素化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等に記載されている。
本発明におけるポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムは、上記の方法などで得られたビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体にエポキシ基など、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する単量体を導入することで得ることができる。かかる単量体をビニル芳香族炭化水素化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体に導入する方法は特に限定するものではないが、グラフト共重合などで導入することが好ましい。
【0042】
本発明に用いる共重合体(B)としてのゴムは、必要に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができる。
【0043】
上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることで達成されるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
一方、ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持つ共重合体(B)の具体例としてのエポキシ基を有する熱可塑性樹脂としては、(a)エチレン単位が60〜99質量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜20質量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜40質量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体を挙げることができる。
【0045】
ここでエチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0046】
該エポキシ基含有エチレン共重合体としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0047】
該エポキシ基含有エチレン共重合体のメルトインデックス(以下、MFRということがある。JIS K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜100g/10分、更に好ましくは2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で好ましくなく、0.5g/10分未満では(A)成分との相溶性が劣り好ましくない。
【0048】
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cmの範囲のものが好ましく、20〜1100kg/cmのものがさらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合がある。
【0049】
また、共重合体(B)としては、本発明の成形体の熱安定性や柔軟性を良好にするために、その結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体であることが好ましい。
【0050】
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造し得る。
【0051】
本発明における樹脂組成物の成分(A)のポリフェニレンエーテルと成分(B)の該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体との比率は、成分(A)が通常99〜1質量%、好ましくは99〜40質量%、成分(B)が通常1〜99質量%、好ましくは1〜60質量%である。成分(A)が少なすぎると、該組成物の耐熱性が著しく低下する傾向があり、成分(A)が多すぎると該組成物の成形加工性が不十分となる傾向がある。
【0052】
本発明の樹脂組成物においては、機構の詳細は不明ではあるが、(A)成分と(B)成分とを溶融混練する際に該組成物の成分(A)と成分(B)との反応も起きる。
【0053】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添加剤を含有させてもよい。
本発明の樹脂組成物の製造方法において、溶融状態で各成分を混練(溶融混練)する。
溶融混練により本発明における組成物を得るには、一般に使用されている一軸、二軸又は四軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。なかでも二軸の押出機が好ましい。
溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は、200〜340℃の範囲が好ましく、220〜310℃の範囲がさらに好ましい。
【0054】
溶融混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合した後、混練装置に供給してもよいし、各成分を混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。混練装置で混練後、押し出された樹脂組成物は、冷却した後、ペレタイザーなどにより、ペレット形状に細断される。
ここでペレタイザーは業界で周知のものを用いることができる。
本発明は、溶融混練で得られた上記の樹脂組成物のペレットを(Tg−40)[℃]以上(Tg+50)[℃]以下(Tg:上記ペレットのガラス転移温度[℃])の範囲で熱処理して得られる樹脂組成物の製造方法に関する。
熱処理温度は、(Tg−30)[℃]以上(Tg+30)[℃]以下(Tg:上記ペレットのガラス転移温度[℃])の範囲で熱処理するのが好ましい。
(Tg−20)[℃]以上(Tg+20)[℃]以下(Tg:上記ペレットのガラス転移温度[℃])の範囲で熱処理するのがさらに好ましい。
ここで、ペレットの熱処理温度が、(Tg−40)[℃]未満であると、樹脂組成物の物性改良効果が少なく、また、ペレットの熱処理温度が(Tg+50)[℃]を越すと、樹脂組成物の変質が生じる場合があり、好ましくない。
ペレットの熱処理の雰囲気は、空気中でも良いし、窒素やアルゴンの如き、不活性気体中であってもよい。
【0055】
熱処理は例えば、乾燥炉、ヒーターを備えた乾燥器などの中で行うことができる。なかでも、熱風循環型の乾燥器内で熱処理することが好ましい。
また熱処理は、回分式で行ってもよいし連続式で行ってもよい。
【0056】
熱処理の時間は特に規定するものではないが、該成形体の用途、熱処理温度に応じて適宜決めることができるが、通常は1〜48時間程度であり、1〜24時間が好ましい。1〜12時間がさらに好ましい。
本発明において、(A)ポリフェニレンエーテルと(B)ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とを溶融混練して得られる溶融混練物の耐薬品性などが、上記の熱処理によって向上する理由は必ずしも明らかではないが、それをペレット化して熱処理することによって、ポリフェニレンエーテル分子間の芳香族環がより密に配列する効果によるものと考えられる。なお、本発明において、上記成分(A)と成分(B)が反応していることは、成分(A)と成分(B)を溶融混練後の樹脂組成物が、成分(A)と成分(B)が反応せず混合しているだけの場合には存在しない、平均粒子径10nm程度(例えば5〜30nm)のポリマー粒子を含むことで分かる。このポリマー粒子は、溶融混練後の樹脂組成物の成形体を、酸化ルテニウムで染色処理した後、超薄切片とし、これを透過型電子顕微鏡で観察することにより確認できる(例えば特開2006−176676号の段落[0054]参照)。
仮に成分間で反応が生起しない場合にはこのような粒径10nm程度の粒子は認められないのは業界では良く知られている事実である。反応機構の詳細は必ずしも明らかではないが、成分(A)と成分(B)の反応生成物が上記ナノ径ポリマー粒子となると考えられる。
ここでペレット化のペレットの大きさは溶融混練物を、ペレタイザー等を使用して好ましくは粒径(長径)15mm以下、より好ましくは2〜8mmの粒状体に分割することである。また、この粒状体の形状は特に制限するものではないが、例えば円筒状である。このペレットの大きさが大きすぎると熱処理の際、ペレットが均一に加熱されないことがあり、また、成形加工が困難となることがある。小さすぎるとペレットの成形加工が困難となることがある。
【0057】
上記の熱処理で得られた樹脂組成物のペレットを使用して、押出成形、射出成形、回転成形、圧縮成形、吹込成形、ブロー成形、トランスファー成形、プレス成形、溶液キャスト法等の各種成形方法によって各種の成形体を得ることができる。かかる成形体としては、フィルム類(フィルム、シート等)、板、フィラメント、不織布、織布、管、チューブ、容器、異形品、家電製品部品、電送部品、自動車部品(バンパー、インスツルメント等)、自動車外板等があげられる。
【0058】
上記の樹脂組成物を成形してフィルム類を得るには、例えば、上記の樹脂組成物をダイ(口金)を備えた押出し機に供給する方法を使用できる。
【0059】
フィルム類の製造に用いるダイとしては、Tダイ、円筒スリットのダイが好ましく用いられる。
また、キャスト法や熱プレス法なども、特許文献1に基づいてフィルム類の製造に適用することができる。
【0060】
また、上記の樹脂組成物を成形して容器などの中空成形体を得るには、常法を適用でき、例えば、ブロー成形機を使用して、上記樹脂組成物に、空気、水などの流体圧力を吹き込んで、金型内へ密着させる方法を使用できる。
【0061】
また、上記の樹脂組成物を成形して管、チューブを得るには、常法によりチューブ成形機を使用して、上記樹脂組成物を、押出し機からチューブダイへ溶融押し出しする方法を使用できる。
【0062】
また、上記の樹脂組成物を成形してフィラメントを得るには、前記樹脂組成物を、押出し機によってストランドダイへ溶融押し出ししたのち、高速で巻き取る方法を使用できる。
【0063】
また、上記の樹脂組成物を射出成形して、家電製品部品、電送部品、自動車部品(バンパー、インスツルメント等)などを得るには、射出成形機を使用して、溶融した上記樹脂組成物を押出し機から金型中へ高圧で注入する方法を使用できる。
尚、本発明に使用する樹脂組成物のTgは通常、熱機械分析(thermomechanical analysis, 以下TMAと略して記載)により求めることができる。
本発明の成形体がフィルム類である場合、その厚みは特に限定するものではないが、1〜1000μmの範囲が実用上好ましく、1〜500μmの範囲がさらに好ましい。フィルム類の表面には、必要に応じて表面処理を施すことができる。このような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、赤外線処理、スパッタリング処理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられる。これらの処理は、成形加工の過程で行なっても良いし、成形加工後のフィルム、シートに対して行なっても良いが、成形加工の過程、特に巻き取り機の手前でかかる処理を施すのが好ましい。
【実施例】
【0064】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0065】
(1)物性測定
(i)熱的性質(ガラス転移温度、Tg)
測定サンプルとしては、一次成形体であるフィルム類を幅5mm,長さ20mm、フィルムのMDを長さ方向として切り出したものを使用した。測定は JIS K7197に準拠してTMAで行なった。
ガラス転移点は具体的には、Seiko Instrument,Inc.,製 EXSTAR TMA/SS6100型を使用し、窒素雰囲気下で、昇温速度5℃/min, 荷重5Kgf、測定温度範囲23〜250℃で測定を行った。
【0066】
(ii)耐薬品性試験
耐薬品性試験は以下の要領で行なった。ガラス容器に100ccの四塩化炭素を入れ、その中へ、射出成形体から、約1cm角に切り取ったポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の射出成形片を浸漬する。次に、ガラス容器に蓋をし、密閉したのち、室温で1時間、および2時間浸漬する。その後、液中から射出成形片を取り出して真空乾燥する。浸漬前後の射出成形片の重量変化から、その耐薬品性を評価する。
X=(Ma−Mb)/Ma × 100
( Ma:射出成形体から切り出した試験片の重量 Mb:( Ma:射出成形成形体から切り出した試験片の重量 Mb:試験片を25±2℃で四塩化炭素中に1時間、または2時間浸漬して取り出して乾燥した後の試験片の重量)
(iii)荷重たわみ温度
短冊状の射出成形試験片を用いて、JIS K−7191に準拠して、18.5Kg荷重で、試験片が一定たわみに達する温度(荷重たわみ温度)を測定した。
【0067】
(iv)引っ張り強度、伸び率
島津製作所(株)製オートグラフA−10TD型を使用して、 JIS K−7161に準拠して、射出成形体の引っ張り試験を、室温で、引っ張り速度50mm/minで行い、試料破断時の引っ張り強度、および伸び率を測定した。
(v)アイゾット衝撃強度
樹脂試験片を、ノッチ加工したのち、JIS K−7110に準拠して、室温でアイゾット衝撃試験を行った。
【0068】
(2)樹脂組成物
成分(A)
成分(A)として、三菱ガス化学(株)製のポリフェニレンエーテル(商品名:YPX−100F)([η]=0.4)を使用した。
成分(B)
成分(B)として、以下のものを使用した。
B−1: 住友化学工業(株)製、ボンドファースト7L(商品名)(エチレン/グリシジルメタクリレート/メチルアクリレート=67/3/30 重量比、MFR(190℃)=9g/10min)
成分(C)
成分(C)として以下のものを使用した。
PSジャパン(株)製、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS) AGI 02(商品名)
【0069】
参考例1
上記成分(A)は、130℃で4時間乾燥した後、成分(A)/成分(B)=70/30(重量比)の割合で良く混合したのち、二軸押出し機、ベルストルフ ZE40A(スクリュー径 43mm、L/D=40)を使用し、シリンダー設定温度285℃、回転数200rpm、樹脂供給量 約20Kg/hrで、ベントで脱気しながら溶融混練を行ない、反応させた。押し出し機ノズルから出た樹脂ストランドは水冷後、ペレット化(形状:円筒型、長径4〜7mm、短径1〜2mm)した。
得られた組成物のペレットを、aa−1と略記することがある。
aa−1のTgは193℃であった。
【0070】
実施例1
ペレットaa−1を、安田精機(株)製、ギヤー老化式オーブン、102−SHF−77S型を使用して、空気中で、200℃で1時間、熱処理を行った。
熱処理後のペレットを、クロックナーF85型射出成形機を使用して、射出成形機のシリンダー設定温度310℃、金型温度90℃、射出圧力90〜100MPa、押出し機のスクリュー回転数 100rpmの条件でダンベル形状、および短冊状の射出成形をおこない、試験片を用いて物性試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0071】
実施例2
ペレットaa−1を、安田精機(株)製、ギヤー老化式オーブン、102−SHF−77S型を使用して、空気中で、200℃で2時間、熱処理を行った以外は実施例1と同様にして射出成形を行い、物性測定を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0072】
比較例1
ペレットaa−1を、安田精機(株)製、ギヤー老化式オーブン、102−SHF−77S型を使用して、空気中で、130℃で2時間、熱処理を行った以外は実施例1と同様にして射出成形を行い、物性試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0073】
比較例2〜4
配合比率を、成分(A)/成分(C)=70/30(重量比)とした以外は参考例1と同様にして二軸押出し機で溶融混練し、形状:円筒型、長径4〜9mm、短径1〜3mmのペレットを作製した。得られたペレットのTgは166℃であった。
得られたペレットを、安田精機(株)製、ギヤー老化式オーブン、102−SHF−77S型を使用して、表2に示す条件で熱処理を行った。次に、熱処理後のペレットを、クロックナーF85型射出成形機を使用して、射出成形機のシリンダー設定温度を295℃とした以外は実施例1と同様にして射出成形を行い、射出成形の試験片を用いて物性試験を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例のものは熱処理したにもかかわらず、耐薬品性などは不十分であった。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)
【化1】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有することもある全炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で示される構造単位を有するポリフェニレンエーテルと(B)該ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体とを溶融混練し、溶融混練物を一旦ペレットとし、これを(Tg−40)[℃]以上(Tg+50)[℃]以下(Tg:上記樹脂組成物のガラス転移温度[℃])の範囲で熱処理することを特徴とする、成形用ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
熱処理の時間が、1〜48時間である請求項1記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
ポリフェニレンエーテルと反応性を有する官能基を持った共重合体(B)が、エポキシ基を有する共重合体である請求項1または2記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
エポキシ基を有する共重合体が、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30質量%含有する共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
共重合体(B)の融解熱量が3J/g未満である請求項1〜4のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
共重合体(B)のムーニー粘度が、3〜70の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
エポキシ基を有する共重合体が、エポキシ基を有するゴムである請求項3〜5のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
エポキシ基を有するゴムが、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムからなることを特徴とする請求項7に記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
(メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む請求項8に記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
エポキシ基を有する共重合体が、(a)エチレン単位を60〜99質量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜20質量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位を0〜40質量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体である請求項3〜5のいずれかに記載の成形用樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる射出成形体。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるチューブ。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる自動車外板。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるボトル、または容器。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるパイプ。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるハウジング材。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる電気・電子部品または電送部品。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるモバイル機器部品。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなる自動車部品。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた樹脂組成物を用いてなるフィルムまたはシート。

【公開番号】特開2008−133328(P2008−133328A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319175(P2006−319175)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】