説明

ポリプロピレン系樹脂発泡体

【課題】軽量かつ機械強度に優れ、さらには耐候性に優れ機械特性の劣化が少ないポリプロピレン系樹脂発泡体を提供すること。
【解決手段】密度10以上300kg/m3未満、独立気泡率60%以上であるポリプロピレン系樹脂発泡体において、基材樹脂が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜0.5重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体。この構成により機械的強度も優れ、さらには耐候性試験後においてもその機械的強度の低下が極めて少ない発泡体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量かつ機械強度に優れ、さらには耐候性に優れるため、長期間使用されても機械特性の劣化が小さいポリプロピレン系樹脂発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、剛性に優れることから、多方面の用途で使用されている。しかしながら、ポリプロピレン樹脂は一般にいう耐候性に劣り、例えば、日光や紫外線などに長時間さらされることで機械特性を失ってしまうという問題がある。
【0003】
この問題に対しては、ヒンダードアミン系光安定剤や紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤と紫外線吸収剤の混合物などが、耐候性改良剤として使用できることが知られている。
【0004】
一方、ポリプロピレン系樹脂発泡体は、ポリプロピレン系樹脂の特徴を有するほか、発泡素材であるがゆえの軽量性、省資源性といった特徴があることから、自動車部材や住宅資材、梱包資材、養生材といった用途で好適に用いられると考えられる。
例えば、特許文献1には、特定の無架橋プロピレン系樹脂を基材とした、密度250kg/m3程度、連続気泡のない押出発泡シートが開示されている。
【0005】
これらの発泡シートは比較的低密度でかつ独立気泡率が高いことから、上述の用途に好適に用いられうる。しかしながら、この発泡体をこれらの、比較的長期間に渡って使用され、かつ日光や紫外線にさらされることが多い用途で使用する場合、必ずしもその耐候性が十分でなく、日光や紫外線への暴露により機械特性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
具体的には、該発泡シートを構成するポリプロピレン系樹脂が劣化し、発泡シートの引張伸びが低下してしまうという問題があった。また、より実用的には、暴露を受けた該発泡シートが元来有していた柔軟性を失い、わずかな曲げ応力で破断や座屈による折れ曲がりを生じるようになってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平4−363227
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、前記課題に鑑み、各種の公知の耐候性改良材を基材の一部に使用して、ポリプロピレン系樹脂発泡体の耐候性を改良することを試みた。しかしながら、意外にも、発泡体の場合には耐候性改良効果を発現させることが極めて困難であることを認めた。
【0008】
そこでさらに検討を進めた結果、特定の紫外線防止剤を使用した場合において、特異的に少ない添加量で耐候性の改良効果が発現し、比較的長期の屋外暴露においても伸びを失うことがなく、発泡体自体の破壊が効果的に防止されることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
【0010】
1). 密度10以上300kg/m3未満、独立気泡率60%以上であるポリプロピレン系樹脂発泡体において、基材樹脂が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜0.5重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体。
【0011】
2). ポリプロピレン系樹脂が、(a)ポリプロピレン系樹脂と、(b)イソプレンと、(c)ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得た改質ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする、1)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。
【0012】
3). 押出発泡法によって得られることを特徴とする、1)または2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。
【0013】
4). 密度90以上〜250kg/m3未満、厚さ0.5〜10mmのシート状、又は板状であることを特徴とする、1)〜3)いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、密度が低くかつ独立気泡率が高いために軽量性、機械特性に優れ、また、優れた耐候性を示すとともに、それが少量の添加剤で実現されることで製造コストに優れる、自動車部材や住宅資材、梱包資材、養生材といった用途に好適に使用できるポリプロピレン系樹脂発泡体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第一の特長は、基材樹脂がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含んでいることにある。
【0016】
本発明で、ベンゾトリアゾール系紫外吸収剤としては、主成分として一般式(1)で示される化合物を含むものが好ましい。ここで、R1〜R8は水素、ハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシル、芳香族アルキル置換基であることができるほか、R1〜R8のいずれかがアルキレン基であり、該アルキレン基を介して一般式(1)で示される化合物の2分子以上が結合している構造を有する化合物であることもできる。
【0017】
【化1】

【0018】
好ましい具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−(1,1−ジメチルプロピル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などがあげられる。
【0019】
また、市販されている好ましい具体例としては、Tinuvin P、Tinuvin234、Tinuvin326、Tinuvin329、Tinuvin360(チバ ジャパン株式会社)、LA−32、LA−36、LA−31(株式会社ADEKA)をあげることができる。
【0020】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.05〜0.5重量部であるが、0.07〜0.48重量部が好ましい。また、伸びの保持率の点からは0.15〜0.45重量部が好ましく、伸びの保持率と独立気泡率の双方が高い点で0.16〜0.34重量部が好ましい。
【0021】
含有量が少ない場合、本発明の効果である耐候性の改良効果が十分でなくなる傾向にあり、また、多すぎる場合、耐候性改良効果が頭打ちとなる傾向にあることから無駄となることに加え、本発明の発泡体の独立気泡率が低下する傾向にあり好ましくない。
【0022】
基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂は、本発明の発泡体の独立気泡率を高く、かつ、低密度化しやすいという観点から、高い溶融張力を示すことが好ましい。
【0023】
溶融張力を示すようにする好ましい方法として、高い溶融張力を示すポリプロピレン系樹脂を基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂の全部または一部として使用する方法があげられる。
【0024】
このような、高い溶融張力を示すポリプロピレン系樹脂の具体例としては、サンアロマー社製のPF−814やSD−632、また、日本ポリプロ社製のニューフォーマーFH3400をあげることができる。
【0025】
また、高い溶融張力を示すポリプロピレン系樹脂の具体例として、ポリプロピレン系樹脂と、ラジカル重合性単量体と、ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得た改質ポリプロピレン系樹脂をあげることができる。
【0026】
うち、改質ポリプロピレン系樹脂が、(a)ポリプロピレン系樹脂と、(b)イソプレンと、(c)ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得たものであることが特に好ましい。
【0027】
このような改質ポリプロピレン系樹脂で好ましく用いられる具体例として、特開平9−188729号に開示されている方法によって得た変性ポリプロピレン系樹脂があげられる。
【0028】
前記溶融混練されるイソプレンの添加量は、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部であることが好ましく、さらには0.2〜20重量部、特には0.3〜10重量部であることが好ましい。また0.3〜1重量部であっても好ましい。
【0029】
前記ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの有機過酸化物の1種または2種以上があげられる。
【0030】
これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのようなラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上があげられる。
【0031】
前記ラジカル重合開始剤の添加量が、改質ポリプロピレン系樹脂が溶融時に大きく弾性変形しやすく、かつ経済的であるという点から、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、さらには0.2〜5重量部、特には0.2〜1重量部の範囲内にあることが好ましい。
【0032】
これら、改質ポリプロピレン系樹脂、イソプレン、ラジカル重合開始剤およびそのほか添加される材料の混合や溶融混練の順序および方法はとくに制限されるものではなく、たとえば、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を混合したのち溶融混練してもよいし、原料ポリプロピレン系樹脂を溶融混練したのち、これにイソプレン、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合し、溶融混練してもよい。
【0033】
溶融混練時の加熱温度は、樹脂の種類などにより異なるが、通常、130〜400℃であることが、原料ポリプロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ熱分解せず、充分な伸長粘度特性をうることができるという点で好ましい。また溶融混練の時間(ラジカル重合開始剤および芳香族ビニル単量体を混合してからの時間)は、一般に30秒間〜60分間である。
【0034】
また、前記の溶融混練の装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型攪拌機またはダブルヘリカルリボン攪拌機などの縦型攪拌機など高分子材料を適宜の温度に加熱しえ、適宜の剪断応力を与えながら混練しうる装置があげられる。これらのうち、とくに単軸または2軸押出機が生産性の点から好ましい。また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
【0035】
この方法によって得た変性ポリプロピレン系樹脂は、比較的安価に、かつ容易に溶融張力の高いものとすることができ、また、改質ポリプロピレン系樹脂と他の樹脂を混合して用いた場合であっても、低密度かつ独立気泡率の高い発泡体を容易に得ることができる点で優れている。
【0036】
前記高い溶融張力を示すポリプロピレン系樹脂は、基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂の30〜100重量%が好ましく、より好ましくは55〜100重量%、さらには80〜100重量%、特には95〜100重量%の範囲とすることが好ましい。
【0037】
基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂のその他の成分としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体との共重合体を好ましい具体例としてあげることができる。
【0038】
うち、剛性が高く、安価であるという点からは前記ポリプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点からは前記プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体が好ましく、比較的柔軟であるという点からはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体が好ましい。
【0039】
前記その他の成分がプロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体であるばあい、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
【0040】
前記ポリプロピレン系樹脂において、プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体、プロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体の場合において、好ましく用いられるほかの単量体の具体例としては、エチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体およびビニル単量体よりなる単量体の群から選ばれた1種または2種以上の単量体があげられる。また、この単量体としてはプロピレンと共重合しやすく、安価である点から、エチレン、α−オレフィンまたはジエン系単量体が好ましい。
【0041】
プロピレンと共重合しうるα−オレフィンの具体例としては、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの炭素数が4〜12のα−オレフィンがあげられる。
【0042】
また、前記のプロピレンと共重合しうる環状オレフィンの例としては、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,8,8a−6−オクタヒドロナフタレンなどがあげられる。
【0043】
また、前記のプロピレンと共重合しうるジエン系単量体の例としては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどがあげられる。
【0044】
また、前記のプロピレンと共重合しうるビニル単量体の例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸などがあげられる。
【0045】
これらの単量体のうち、エチレンまたはブテン−1が安価である点からさらに好ましい。
【0046】
また、基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂のその他の成分として、ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂やゴムを本発明の効果を阻害しない範囲で用いることができる。
【0047】
具体例としては、たとえばポリエチレン;ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、プロピレン含有量が75重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合体;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン/ジエン系単量体共重合体;エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニトリル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルアミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/スチレン共重合体、エチレン/メチルスチレン共重合体、エチレン/ジビニルベンゼン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/ビニル単量体共重合体;ポリイソブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン系共重合体;スチレン/ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体ランダム共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体ブロック共重合体;水素化(スチレン/ブタジエンランダム共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン系単量体ランダム共重合体);水素化(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)、水素化(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体ブロック共重合体);アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチルなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体などがあげられる。
【0048】
ポリプロピレン系樹脂に対するこれらほかの樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、本発明の効果を損なわない範囲であればよいが、基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂全体を100重量%としたときに通常25重量%程度以下であることが好ましい。
【0049】
また、基材樹脂中のポリプロピレン系樹脂は、さらに必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、光安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤、ベンゾトリアゾール系以外の紫外線吸収剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、造核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してあってもよい。
【0050】
本発明の発泡体を製造する方法に特に制限はなく、例えば押出発泡法、射出発泡法、ブロー発泡法等、公知の技術を使用することができる。
【0051】
うち、生産性の高さ及び低密度化が容易な点から、押出発泡法を用いることが好ましい。
【0052】
本発明の発泡体の製法として用いられる特に好ましい具体例として、(1)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む基材樹脂と発泡剤とを押出機内で溶融混練したのち、ダイより押し出すことにより発泡体をうる方法、(2)溶融させた状態のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む基材樹脂に発泡剤を添加または圧入したのち、ダイより押し出すことにより発泡体をうる方法などがあげられる。
【0053】
このとき、押出機に供給される基材樹脂としては、粉またはペレット状のポリプロピレン系樹脂と粉または液状のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とをブレンドしたものであってもよく、また、粉またはペレット状のポリプロピレン系樹脂と、あらかじめマスターバッチ化されたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とをブレンドしたものであってもよい。
【0054】
前記、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をマスターバッチとして供給する場合、該マスターバッチは、キャリアレジンとしてポリエチレン、ポリプロピレンの一種又は二種以上を用い、キャリアレジン100重量部に対してベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1〜10重量部という比で作製されたものを用いることが、紫外線吸収剤の分散が良好で、かつマスターバッチの使用量を少なくすることができるという観点から好ましい。なお、この場合、マスターバッチのキャリアレジンは、基材樹脂のポリプロピレン系樹脂の一部を構成するものとして、ポリプロピレン系樹脂に対するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を算出する。
【0055】
発泡方法として、前記の方法(1)を採用する場合、好ましい発泡剤の例として熱分解型発泡剤があげられる。好ましい熱分解型発泡剤の具体例としては、たとえばN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´−ジメチル−N,N´−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤;p,p´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤;トリヒドラジノトリアジン;重炭酸ソーダ−クエン酸などの重炭酸ソーダ−有機酸系発泡剤;およびそれらのマスターバッチなどの1種または2種以上があげられる。
【0056】
このとき、発泡剤の添加量は発泡剤の種類および目標発泡倍率により選択すればよいが、基材樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部の範囲内にあることが好ましい。
【0057】
この場合、基材樹脂と前記熱分解型発泡剤とを押出機に供給し、適宜の温度で溶融混練しながら発泡剤を熱分解させることにより気体を発生させ、この気体を含有する溶融状態の基材樹脂をダイより吐出することにより、発泡体を得ることができる。その際の溶融混練温度および溶融混練時間は、用いられる発泡剤により適宜選択する必要があり、種類により異なるが、一般に溶融混練温度が130〜300℃、溶融混練時間が1〜60分間であることが通常である。
【0058】
発泡方法として、前記方法(2)を採用する場合、好ましい発泡剤の例として揮発型発泡剤があげられる。このうち好ましい揮発型発泡剤としては、たとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、チッ素、空気などの無機ガス;水などの1種または2種以上があげられる。
【0059】
このとき、発泡剤の添加量は発泡剤の種類および目標発泡倍率により選択すればよいが、基材樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部の範囲内にあることが好ましい。
【0060】
この場合、押出機内で基材樹脂を溶融させ、この押出機内に前記揮発型発泡剤を圧入し、高圧に保持しつつ溶融状態の基材樹脂と混練し、充分に混練された混練体をダイより吐出することにより、発泡体を得ることができる。その際の溶融混練温度および溶融混練時間は、用いられる発泡剤により適宜選択する必要があり、種類により異なるが、一般に溶融混練温度が130〜300℃、溶融混練時間が1〜120分間であることが通常である。
【0061】
また、前記発泡体を得る工程において、得られる発泡体の気泡径を適宜の大きさにコントロールする目的で、必要に応じ、いわゆる発泡核剤として用いられる成分を併用する方法は本発明において好ましく用いられる。このような発泡核剤の好ましい具体例としては、重炭酸ソーダ−クエン酸などの重炭酸ソーダ−有機酸系発泡剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカなどの無機粉体などがあげられ、これらは一般に、基材樹脂に混合して添加される。またその際、発泡核剤はあらかじめマスターバッチとされたものを使用してもよい。
【0062】
発泡核剤の添加量は一般に基材樹脂100重量部に対し0.01重量部以上、1重量部以下である。なお、発泡核剤としてマスターバッチとされたものを使用する場合、キャリアレジンは、基材樹脂のポリプロピレン系樹脂の一部を構成するものとして、発泡核剤の添加量を算出する。
【0063】
本発明の発泡体を押出発泡法により製造する際に用いるダイとしては、得ようとする発泡体の形状、生産性等を勘案して適切なものを使用すればよい。使用できるダイの種類として、いわゆるサーキュラーダイ;フィッシュテールダイ、コートハンガーダイ、マニホールドダイなどのいわゆるTダイ;スリットダイなど、いずれも好ましく用いることができる。
【0064】
また、ダイから吐出された発泡体をさらに賦形する目的で、各種サイジング装置を併用する方法も好ましく使用することができる。
【0065】
このようなサイジング装置を用いた賦形方法の具体例として、吐出された発泡体を上下一組のロール、さらにはそれが多数組吐出方向に並べられたロールにより矜持し、組になったロール間で賦形する方法、吐出された発泡体を、所望の形状の開口部断面形状を有し、かつ必要に応じ水等の冷媒で冷却されたサイジングダイに吐出された発泡体を通じて賦形する方法、円環状に吐出された発泡体を、円筒形状を有し、かつ必要に応じ水等の冷媒で冷却されたマンドレルの外表面に接触させ、延伸および冷却することで賦形する方法などがあげられる。
【0066】
なお、これらの賦形方法を用いるに当たり、発泡体の表面平滑性や外観を向上させる目的で、吐出された発泡体の表面に空気などを吹き付けて冷却する方法を併用しても良い。
【0067】
本発明の発泡体は、前記の方法により賦形された後、形状に伴う必要性に応じ、さらに巻取り、裁断等の加工を施され、製品とされる。
【0068】
本発明の発泡体は、密度10以上300kg/m3未満、より好ましくは90以上250kg/m3未満、さらには120以上240kg/m3未満が好ましい。本願発明の発泡体は軽量かつ機械特性に優れるものである。
【0069】
本願発明の発泡体は用いる用途により求められる軽量性や機械特性の程度は、それぞれ異なるため、発泡体の密度はそれに応じて適宜設定すればよいが、本願発明に係る密度より小さい場合は、発泡体が柔軟になりすぎることからこれらの用途に使用することが困難となる傾向にある。一方、本願発明に係る密度より大きい場合は本発明の発泡体の特長の一つである軽量性が損なわれる傾向にあり好ましくない。
【0070】
本発明の発泡体の独立気泡率は60%以上、さらには70%以上、特には75%以上が好ましい。低い独立気泡率は本発明の発泡体の特長である良好な機械特性を損なう傾向にあり、好ましくない。本発明では、前記した基材樹脂の構成および発泡体の製造方法を採用することにより、容易に60%以上の独立気泡率を有する発泡体を得ることができる。
【0071】
さらに、本発明の発泡体が用いられる自動車部材や住宅資材、梱包資材、養生材等の用途における、特に好ましい実施様態の一つとして、発泡体が厚さ0.5〜10mm、より好ましくは1〜8mmのシート状、又は板状であることがあげられる。
【0072】
厚さが0.5mm未満の場合、発泡体の機械特性が十分でなくなる傾向にあり好ましくない。一方、厚さが10mmを超える場合、これらの用途で求められる表面平滑性を十分維持することが困難になる傾向にある。
【0073】
このような発泡体形状とするためには、前記した発泡体の製造方法において、発泡体が吐出されるダイの開口部断面形状やサイジング装置の開口部断面形状を適当に設定する方法、また、吐出された発泡体の引取速度を調節する方法などによることができる。
【0074】
また、本発明の発泡体がシート状又は板状である場合、発泡体は少なくとも片側に別異の層が形成されたものであってもよい。好ましい具体例として、表面に印刷が施されていても良いフィルムを熱ラミネーション法、押出ラミネーション法などの手法を用いて接着させる方法、また、発泡体の表面に、共押出法や押出ラミネーション法などの手法により別異の樹脂層を形成する方法などがあげられ、これらにより、本発明の発泡体の機械特性をさらに向上させたり、表面の耐傷つき性を高めたり、帯電防止性や導電性等の機能を付与したり、意匠性を付与したりすることができる。
【0075】
このような性状を有する本発明の発泡体がシート状又は板状である場合、好ましい目付(1m2あたりの重量)は300〜1500g/m2、より好ましくは350〜950g/m2の範囲にある。
【0076】
本発明の発泡体は、必要により、さらに二次加工を施すことができる。そのような二次加工の具体例として、熱成形による賦形加工、打抜き加工、切削加工、熱罫線加工、曲げ加工などがあげられる。
【0077】
以上により得られた本発明の発泡体は、軽量でかつ良好な機械特性を示すことから、自動車部材や住宅資材、梱包資材、養生材といった用途で好適に用いられる。
【0078】
また、本発明の発泡体は、例えば日光や紫外線の当たる環境下に置かれても伸びの低下が小さく、また、わずかな変形量で破壊を生じることが起こりにくくなることからこのような用途において極めて有用である。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例に基き詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0080】
(製造例1)改質ポリプロピレン系樹脂PP1の製造
プロピレン単独重合体(プライムポリマー社製、F102W、230℃、荷重2.16kgでのメルトフローレート2g/10分)100重量部に対し、t−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製、パーブチルI)0.3重量部をリボンブレンダーで撹拌混合した配合物を計量フィーダーで(株)日本製鋼所製、2軸押出機(TEX44XCT−38)に50kg/hの割合で供給した。さらに、液添ポンプを用い押出機途中からイソプレンをプロピレン単独重合体100重量部に対して0.5重量部の割合で供給し、前記2軸押出機中で溶融混練し、溶融押出することにより、改質ポリプロピレン系樹脂(PP1)のペレットを得た。
【0081】
前記2軸押出機は、同方向2軸タイプであり、スクリュー径が44mmφであり、最大スクリュー有効長(L/D)が38であった。この2軸押出機のシリンダー部の設定温度を、イソプレン供給口までは180℃、それ以降は200℃とし、スクリュー回転速度を140rpmに設定した。
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した(PP1)のメルトフローレートは、0.4g/10分であった。
【0082】
(実施例1)
前記(PP1)100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(株式会社ADEKA製、LA−36)0.2重量部および、発泡核剤として重炭酸ソーダ−有機酸系発泡剤のマスターバッチ(大日精化製、大日精化社製、PO510K)0.5重量部とをリボンブレンダーで混合した。
【0083】
得られた混合物を、第一段目のシリンダー径が65mm、第二段目のシリンダー径が90mmのタンデム型押出機に供給し、第一段目の押出機において220℃で溶融した。さらに、第一段目の押出機の先端部において発泡剤のイソブタンを前記混合物100重量部に対して1.5重量部の割合で圧入して混練後、第2段目の押出機において160℃に冷却して直径68mm、リップ部の間隙が0.3mmのサーキュラーダイより押出した。
【0084】
この際、押出機からの吐出量を50kg/hとなるように調整した。さらに、押し出された発泡体を外周長635mmのマンドレルに引き取りつつ、筒状の発泡体の1個所をカッターで切断してシート状としたのち、ロール状に巻き取って発泡シートを得た。
【0085】
得られた発泡シートについて、厚み、密度、目付、独立気泡率を以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
【0086】
<発泡シートの厚み測定>
発泡シートの幅方向に30mm間隔で測定点を設け、厚みゲージ(teclock社製厚みゲージ)を用いて各測定点の厚みを測定した後、各点の測定値の平均を発泡シートの厚みとした。
【0087】
<発泡シートの密度の測定>
JIS−K6767に準じ測定した。
【0088】
<発泡シートの目付測定>
発泡シートの幅×100mmのサンプルを切り出し、その重量w(g)から、下式(1)に従って算出した。
【0089】
(目付)=w/(0.1×発泡シートの幅(m))・・・(1)。
【0090】
<発泡シートの独立気泡率の測定>
ASTM D2856に記載の方法に準じエアピクノメータにより測定した。
【0091】
また、得られた発泡シートについて、以下の要領で屋外暴露前後の引張伸び試験を行ない、伸び保持率を測定した。
【0092】
<伸び保持率測定>
得られた発泡シートから、押出し方向を長手にとり、120mm×10mm×厚みのサンプルを切り出し、長手方向40mm間隔で2本の標線を油性ペンで記入した(以下、暴露前サンプルと呼ぶこともある)。
【0093】
このサンプルについて、JIS K6767に準じ、室温、チャック間距離40mm(標線間の部分が引張応力を受けるようにサンプルをセットした)、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行ない、サンプルが破断する際のチャック間距離を測定し、下式(2)で定義される伸び率を測定した。なお、試験はn=5で行い、伸び率は得られた5回の測定値を平均して算出した。
【0094】
(伸び率)={(破断時チャック間距離(mm))−40}/40・・・(2)。
【0095】
また一方、前記で切り出されたサンプルについて、長手方向の両端40mmがテープでマスキングされた状態とし(標線間の部分が暴露されることとなる)、該サンプルを屋外で30日間暴露した(大阪府摂津市、南面45度傾斜)。なお、このとき、以下に示す実施例、比較例で得られたサンプルも同条件のもとで暴露を行なった。
【0096】
暴露後、マスキングしていたテープをはがした状態のサンプル(以下、暴露サンプルと呼ぶこともある)について暴露前サンプルと同様に伸び率を測定した。さらに、下式(3)で定義する伸び保持率を算出し、屋外暴露による伸び低下の指標とするとともに以下の基準で評価を行った。
【0097】
(伸び保持率(%))=(暴露サンプルの伸び率)/(暴露前サンプルの伸び率)×100・・・(3)
○:伸び保持率が70%以上
△:伸び保持率が50%以上70%未満
×:伸び保持率が50%未満
結果を表2に示す。
【0098】
さらに、前記で得られた暴露サンプルについて、以下の要領で曲げ試験を行なった。
【0099】
<曲げ試験>
暴露サンプルの暴露部分の片方の一端を厚み方向が鉛直に向くようにチャックして固定し、チャック位置からサンプル長手、かつサンプルの反対の端部に向かう方向に20mm離れたサンプル短手中央部の位置を、断面が直径4mmの円形である圧子により10mm押し下げ、その際のサンプルの挙動を以下の基準に従って評価を行なった。
【0100】
○:破壊や座屈による折れ曲がりを起こさない。
×:破壊を生じる。もしくは座屈による折れ曲がりを生じる。
【0101】
結果を表2に示す。
【0102】
(実施例2〜4)
実施例1におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の量及び種類を表1に示すようにそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製し評価した。結果を表2に示す。
【0103】
(実施例5)
プロピレン単独重合体(プライムポリマー社製、J105G、230℃、荷重2.16kgでのメルトフローレート9g/10分)95重量部に対し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(株式会社ADEKA製、LA−36)5重量部をリボンブレンダーで撹拌混合した配合物を計量フィーダーで(株)日本製鋼所製、2軸押出機(TEX44XCT−38)に50kg/hの割合で供給し、該2軸押出機中で溶融混練し、溶融押出することにより、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスターバッチを得た。
【0104】
このとき、該2軸押出機のシリンダー部の設定温度は200℃とし、スクリュー回転速度を150rpmに設定した。
【0105】
実施例1において、(PP1)100重量部のかわりに(PP1)96重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.2重量部のかわりに前記で得られたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスターバッチ4重量部と変更する以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製し評価した。結果を表2に示す。
【0106】
(比較例1〜6)
実施例1におけるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の量及び種類、若しくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤以外の耐候性改良剤の量及び種類を表1に示すようにそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製し評価した。結果を表2に示す。
【0107】
表2から明らかなように、本発明の発泡体は、特定量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を基材樹脂に含むことにより、屋外暴露後も高い伸び保持率を示し、また、曲げ試験においても破壊や座屈による折れ曲がりによる不具合を生じないことが分かる。
【0108】
【表1】

【0109】
MB:プロピレン単独重合体/BT1=95/5(重量部)の配合で作製したマスターバッチ
BT1:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(株式会社ADEKA製、LA−36)
BT2:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ ジャパン株式会社製、Tinuvin234)
UVA:ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(チバ ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 81)
HALS:ヒンダードアミン系光安定剤(チバ ジャパン株式会社製、Tinuvin770)
【0110】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度10以上300kg/m3未満、独立気泡率60%以上であるポリプロピレン系樹脂発泡体において、基材樹脂が、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜0.5重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体。
【請求項2】
ポリプロピレン系樹脂が、(a)ポリプロピレン系樹脂と、(b)イソプレンと、(c)ラジカル重合開始剤とを溶融混練して得た改質ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。
【請求項3】
押出発泡法によって得られることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。
【請求項4】
密度90以上〜250kg/m3未満、厚さ0.5〜10mmのシート状、又は板状であることを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。

【公開番号】特開2009−298964(P2009−298964A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156871(P2008−156871)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】