ポリペプチド、ワクチンおよびその使用
本発明は、血管の形成(例えば血管新生)を妨げるための、例えば腫瘍増殖を妨げるための予防的または治療的処置に関する。特に本発明は、アンジオモチンに対する免疫応答を生み出すために使用することができる、完全アンジオモチン分子またはその断片を含むワクチンまたは医薬品に関する。本発明はさらに、予防的または治療的処置において使用するための、完全アンジオモチン分子またはその断片に特異的な抗体を提供する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するための、単離または組換えp130アンジオモチンポリペプチド。
【請求項2】
単離または組換え哺乳動物p130アンジオモチンである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
単離または組換えヒトp130アンジオモチンである、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
(i)配列番号1の配列、または
(ii)配列番号1と少なくとも80%および/または少なくとも90%および/または少なくとも95%および/または少なくとも98%の同一性を有し、機能性ポリペプチドを与える配列、または
(iii)配列番号1または(ii)の配列の機能性断片を含み、
p80アンジオモチンまたはp80アンジオモチンの断片ではない、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1の機能性断片が配列番号1のアミノ酸残基1〜409からなる、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のp130アンジオモチンポリペプチドと結合することができる、抗体またはその断片。
【請求項7】
配列番号1の残基1〜残基409によって定義されるp130アンジオモチンポリペプチドの領域とは結合することができるが、p80アンジオモチンポリペプチドとは結合することができない、請求項6に記載の抗体または断片。
【請求項8】
配列番号1の残基410〜残基1084によって定義されるp130アンジオモチンポリペプチドの領域とは結合することができるが、p80アンジオモチンポリペプチドとは結合することができない、請求項6に記載の抗体または断片。
【請求項9】
配列番号1の残基871〜残基1013によって定義されるp130アンジオモチンポリペプチドの領域とは結合することができるが、p80アンジオモチンポリペプチドとは結合することができない、請求項6に記載の抗体または断片。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載のp130アンジオモチンポリペプチドと結合することができる抗体を生成するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチドおよび/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)の使用。
【請求項11】
医薬において使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片。
【請求項12】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するための医薬品の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項13】
前記医薬品が血管新生および/または腫瘍形成を予防するかつ/または低下させる、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
血管新生関連疾患または障害を有する対象を治療するための医薬品の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項15】
血管新生および/または腫瘍形成および/または血管新生関連疾患または障害を有するか、あるいはその危険性がある対象に予防接種するためのワクチンの製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項16】
血管新生関連疾患または障害が癌、固形腫瘍、血管腫、眼内血管新生、糖尿病性網膜症、黄斑変性、慢性関節リウマチ、炎症状態、乾癬、腸の慢性炎症、喘息または子宮内膜症である、請求項14または15の使用。
【請求項17】
試験サンプル中の血管新生および/または腫瘍形成の検出および/または測定における、請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項18】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するための医薬組成物であって、有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片、ならびに医薬賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
血管新生および/または腫瘍形成を予防するかつ/または低下させる、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するためのワクチンであって、有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、ならびに賦形剤または希釈剤を含むワクチン。
【請求項21】
ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または抗体またはその断片の作用を補助または補強するための少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項20に記載のワクチンまたは請求項18または19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つの添加剤が免疫賦活分子である、請求項21に記載のワクチンまたは請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記免疫賦活分子がサイトカインまたはサイトカインをコードするポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)である、請求項22に記載のワクチンまたは請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
細胞または細胞抽出物を含む、請求項20から23のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項25】
細胞がアンジオモチンポリペプチドを担持した抗原提示細胞、またはコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)をトランスフェクトした抗原提示細胞である、請求項24に記載のワクチン。
【請求項26】
前記細胞がアンジオモチンを発現する腫瘍細胞、またはアンジオモチンを発現する内皮細胞である、請求項25に記載のワクチン。
【請求項27】
哺乳動物でアンジオモチンに対する免疫応答を生み出す方法であって、
(iii)請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)を用いて、哺乳動物から回収した免疫細胞をex vivoで刺激する段階と、
(iv)刺激した免疫細胞を哺乳動物に戻すことによりアンジオモチンに対する免疫応答が生じるように、この細胞を哺乳動物に戻す段階、
を含む方法。
【請求項28】
前記哺乳動物がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記免疫応答が予防的または治療的に働いて血管新生関連疾患の発症または進行を阻害する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記コードポリヌクレオチドが、
(i)配列番号2のポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、または
(ii)配列番号2と少なくとも80%および/または少なくとも90%および/または少なくとも95%および/または少なくとも98%の同一性を有し、かつ/または65℃で2×SSCの条件下で配列番号2とハイブリダイズすることができ、かつ/または機能性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、または
(iii)機能性ポリペプチドをコードする配列番号2の断片を含み、
前記ポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)が、p80アンジオモチンまたはp80アンジオモチンの断片をコードしない、請求項10から17のいずれか一項に記載の使用、または請求項18、19または21のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項20から26のいずれか一項に記載のワクチン、または請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するための、単離または組換えp130アンジオモチンポリペプチド。
【請求項2】
単離または組換え哺乳動物p130アンジオモチンである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
単離または組換えヒトp130アンジオモチンである、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
(i)配列番号1の配列、または
(ii)配列番号1と少なくとも80%および/または少なくとも90%および/または少なくとも95%および/または少なくとも98%の同一性を有し、機能性ポリペプチドを与える配列、または
(iii)配列番号1または(ii)の配列の機能性断片を含み、
p80アンジオモチンまたはp80アンジオモチンの断片ではない、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1の機能性断片が配列番号1のアミノ酸残基1〜409からなる、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のp130アンジオモチンポリペプチドと結合することができる、抗体またはその断片。
【請求項7】
配列番号1の残基1〜残基409によって定義されるp130アンジオモチンポリペプチドの領域とは結合することができるが、p80アンジオモチンポリペプチドとは結合することができない、請求項6に記載の抗体または断片。
【請求項8】
配列番号1の残基410〜残基1084によって定義されるp130アンジオモチンポリペプチドの領域とは結合することができるが、p80アンジオモチンポリペプチドとは結合することができない、請求項6に記載の抗体または断片。
【請求項9】
配列番号1の残基871〜残基1013によって定義されるp130アンジオモチンポリペプチドの領域とは結合することができるが、p80アンジオモチンポリペプチドとは結合することができない、請求項6に記載の抗体または断片。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載のp130アンジオモチンポリペプチドと結合することができる抗体を生成するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチドおよび/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)の使用。
【請求項11】
医薬において使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片。
【請求項12】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するための医薬品の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項13】
前記医薬品が血管新生および/または腫瘍形成を予防するかつ/または低下させる、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
血管新生関連疾患または障害を有する対象を治療するための医薬品の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項15】
血管新生および/または腫瘍形成および/または血管新生関連疾患または障害を有するか、あるいはその危険性がある対象に予防接種するためのワクチンの製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項16】
血管新生関連疾患または障害が癌、固形腫瘍、血管腫、眼内血管新生、糖尿病性網膜症、黄斑変性、慢性関節リウマチ、炎症状態、乾癬、腸の慢性炎症、喘息または子宮内膜症である、請求項14または15の使用。
【請求項17】
試験サンプル中の血管新生および/または腫瘍形成の検出および/または測定における、請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片の使用。
【請求項18】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するための医薬組成物であって、有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体または断片、ならびに医薬賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
血管新生および/または腫瘍形成を予防するかつ/または低下させる、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
血管新生および/または腫瘍形成を調節するためのワクチンであって、有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、および/またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、ならびに賦形剤または希釈剤を含むワクチン。
【請求項21】
ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、および/または抗体またはその断片の作用を補助または補強するための少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項20に記載のワクチンまたは請求項18または19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つの添加剤が免疫賦活分子である、請求項21に記載のワクチンまたは請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記免疫賦活分子がサイトカインまたはサイトカインをコードするポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)である、請求項22に記載のワクチンまたは請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
細胞または細胞抽出物を含む、請求項20から23のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項25】
細胞がアンジオモチンポリペプチドを担持した抗原提示細胞、またはコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)をトランスフェクトした抗原提示細胞である、請求項24に記載のワクチン。
【請求項26】
前記細胞がアンジオモチンを発現する腫瘍細胞、またはアンジオモチンを発現する内皮細胞である、請求項25に記載のワクチン。
【請求項27】
哺乳動物でアンジオモチンに対する免疫応答を生み出す方法であって、
(iii)請求項1から5のいずれか一項に記載のアンジオモチンポリペプチド、またはそのコードポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)を用いて、哺乳動物から回収した免疫細胞をex vivoで刺激する段階と、
(iv)刺激した免疫細胞を哺乳動物に戻すことによりアンジオモチンに対する免疫応答が生じるように、この細胞を哺乳動物に戻す段階、
を含む方法。
【請求項28】
前記哺乳動物がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記免疫応答が予防的または治療的に働いて血管新生関連疾患の発症または進行を阻害する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記コードポリヌクレオチドが、
(i)配列番号2のポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、または
(ii)配列番号2と少なくとも80%および/または少なくとも90%および/または少なくとも95%および/または少なくとも98%の同一性を有し、かつ/または65℃で2×SSCの条件下で配列番号2とハイブリダイズすることができ、かつ/または機能性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)、または
(iii)機能性ポリペプチドをコードする配列番号2の断片を含み、
前記ポリヌクレオチド(および/またはアンチセンスポリヌクレオチド)が、p80アンジオモチンまたはp80アンジオモチンの断片をコードしない、請求項10から17のいずれか一項に記載の使用、または請求項18、19または21のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項20から26のいずれか一項に記載のワクチン、または請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図11】
【図14】
【図2】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図11】
【図14】
【公表番号】特表2008−539188(P2008−539188A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508170(P2008−508170)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004320
【国際公開番号】WO2006/117241
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506209743)バイオインヴェント インターナショナル アーベー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004320
【国際公開番号】WO2006/117241
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506209743)バイオインヴェント インターナショナル アーベー (9)
【Fターム(参考)】
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