説明

ポリペプチド

配列番号:2、3、4、7又は8の配列を含むポリペプチド。該ポリペプチドは、少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片の配列を有していてもよく、該免疫原性断片は配列番号:6又は11〜16のいずれでもないずれでもない。上記ポリペプチドは、上記ポリペプチド又は免疫原性断片と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有していてもよい。上記ポリペプチドは、長さがアミノ酸100個未満であり、かつ配列番号:10、46、56、57又は59〜62のいずれの配列も含まず、配列番号:58の配列からなるものではない。上記ポリペプチドは、癌の治療又は予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド、及び該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子に関する。本発明はまた、ポリペプチドカクテル及び核酸分子カクテルに関する。本発明はさらに、上記ポリペプチド、核酸分子又はそれらのカクテルを含む医薬組成物に関する。さらに本発明は、患者へのポリペプチド、核酸分子又はカクテルの投与を含む該患者の癌の治療又は予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、個体内での細胞の新規かつ異常な成長を特徴とする疾病である。癌は、癌細胞、すなわち浸潤性及び転移性を呈する細胞を増殖させる幾つかの突然変異イベントを伴う多段階のプロセスを経て進行する。一般的には、突然変異が発生して癌を惹起し得る遺伝子には、癌遺伝子と癌抑制遺伝子の2種類がある。癌遺伝子の活性化は、異常に活発な成長及び分裂、プログラム細胞死への抵抗性、正常組織境界の尊重の喪失、多様な組織環境中で定着する能力などの新たな属性を細胞にもたらす。癌抑制遺伝子が不活性化されると、それによってDNAの正確な複製、細胞周期の制御、指向性、及び組織内接着並びに免疫系保護細胞との相互作用などの細胞内での正常な機能が喪失され得る。
【0003】
癌の治療及び予防のために、多数のアプローチが提案されてきた。1つのアプローチは、腫瘍特異抗原の断片を含む抗原性ペプチドの使用である。上記抗原性ペプチドは、個体へ投与されると、腫瘍特異抗原を提示する細胞に対し、MHCクラスI又はクラスIIの拘束性T細胞応答を誘発する。
【0004】
上記T細胞応答が起きるには、抗原性ポリペプチドがMHC分子上に提示されていなければならないと理解される。ヒト個体群のMHC分子には広範な変異性がある。とりわけ、異なる個体は、ポリペプチドに対して、そのポリペプチドのアミノ酸配列に応じて異なる様々な結合親和性を有する異なるHLA対立遺伝子を有する。このため、特定の1つのHLA対立遺伝子を有する個体は特定の配列のポリペプチドと結合するMHC分子を持ち得る一方、上記HLA対立遺伝子を持たない他の固体は、上記ポリペプチドと結合し、これを提示することのできない(又は少なくともそれらのMHC分子は上記ポリペプチドとの親和性が非常に低く、そのため比較的低いレベルでこれを提示する)MHC分子を有する。
【0005】
また、上記抗原性ペプチドをコードする核酸分子を含むワクチンの供給も提案されてきた。上記ワクチンは、治療を要する個体へのワクチン投与後に上記核酸分子が転写され(それがDNA分子の場合)、翻訳されてペプチドを合成し、続いて上述のように上記ペプチドがMHC分子と結合し提示されることを除いては、同様の原理に従って作用する。
【0006】
テロメラーゼは、真核細胞内の線状DNA鎖のテロメア領域の3’末端を複製する機能を有する酵素である。この領域はDNAポリメラーゼ酵素による通常の方法では延長できない。テロメラーゼ酵素は、テロメラーゼ逆転写酵素サブユニット(ヒトでは「TERT」又は「hTERT」)とテロメラーゼRNAを含む。テロメラーゼ逆転写酵素サブユニットは、テロメラーゼRNAを鋳型として使用し、反復配列を真核細胞の染色体の3’末端に付加してDNA鎖の3’末端を延長する。
【0007】
すべてのヒト腫瘍の大多数において、テロメラーゼ酵素が活性化されることが観察されている。これは、テロメラーゼ酵素の発現がないと一細胞の細胞分裂のたびに細胞のテロメアが徐々に失われ、染色体の完全性が低下し、最終的に細胞のアポトーシスに到るためであると考えられる。このように、テロメラーゼ酵素の発現がなければプログラム細胞死が起きるのが通常であるため、一般に癌細胞の成長にはこの酵素の発現が必要である。癌におけるテロメラーゼ活性化の役割を考慮して、テロメラーゼは腫瘍特異抗原とみなされ、したがって癌治療の潜在的な標的とされてきた。
【0008】
WO03/038047は、健康なドナーの細胞から増殖性T細胞応答を誘発すると報告されたT672と称するペプチドを開示する。hTERTの他の様々なペプチドも開示されているが、これらについては実験的試験がされていない。
【0009】
WO00/02581は、MHCクラスI及び/又はクラスIIの拘束性T細胞応答を誘発するテロメラーゼのポリペプチドを開示する。開示されたポリペプチドの一つ(アミノ酸配列EARPALLTSRLRFIPKを有し、GV1001としても知られている)は、英国で膵臓癌患者に対するワクチン治療として第III相臨床試験(Telo Vac)を実施中である。
【0010】
WO02/094312は、hTERT由来の特定のポリペプチドを開示する。
【0011】
Liu JPら(2009年 癌免疫療法におけるテロメラーゼ Biochim Biophys Acta.9月12日号)は、hTERT陽性腫瘍細胞に有効な免疫応答を起こすことが示された26のhTERTペプチドを検討した。
【0012】
hTERTのmRNAをトランスフェクトされた樹状細胞も、以前から転移性前立腺癌患者の治療に採用されている(Su et al、2005年、「Telomerase mRNA-transfected dendritic cells stimulate angigen-specific CD8+ and CD4+ T cell responses in patients with metastatic prostate cancer」J Immunol. 174(6): 3798-807)。Suらは、IFNγを分泌するCD8陽性T細胞とCTLの仲介によるhTERT標的の死滅で評価し、hTERT特異的T細胞応答の生成に成功したことを明らかにした。しかし、これらの研究ではhTERTのエピトープの特徴は明らかになっていない。
【0013】
個体内でより有効な免疫応答を誘発できるポリペプチド、及び/又は集団中により多くの割合で存在するHLA対立遺伝子によって提示されるポリペプチドなどの、癌の治療のためのさらなる抗原性ポリペプチド(及び上記ポリペプチドをコードする核酸分子)は常に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記問題点の一つ又は複数を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、
i)配列番号:2、3、4、7、8又は9
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列であって、該免疫原性断片が配列番号:6又は11〜16のいずれでもない配列、又は
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
から選択される配列を含み、
上記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満であり、かつ上記ポリペプチドが配列番号:10又は56のいずれの配列も含まないポリペプチドが提供される。
【0016】
上記ポリペプチドは、配列番号:46、57又は59〜62のいずれの配列も含まず、かつ配列番号:58の配列からなるものでないことが好ましい。
【0017】
上記ポリペプチドは単離されたものであり、すなわちそれが自然発生するタンパク質(hTERT)の一部分を形成するものではない。
【0018】
上記ポリペプチドは、上記ポリペプチドの提示に適したHLA対立遺伝子を持つ健康な患者にT細胞応答を誘発する能力を有する。
【0019】
便宜的に、本発明の第1の態様によるポリペプチドの配列を、
i)配列番号:1、
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列であって、該免疫原性断片が配列番号:6、11〜16、又は56のいずれでもない配列、及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
から選択される配列であって、上記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満の配列と定義する。すなわち、上記ポリペプチドは、配列番号:2及び3の配列を組み入れた配列番号:1の配列を含むことができ、配列番号:2及び3の配列と別のものである必要はない。
【0020】
上記ポリペプチドは、配列番号:58の配列からなるものでないことが好ましい。
【0021】
好ましくは、上記免疫原性断片は配列番号:17〜40のいずれか1つの配列を含む。
【0022】
好適には、上記ポリペプチドの長さは、アミノ酸80個、50個、30個、20個又は11個以下である。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、発明によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子が提供される。
【0024】
上記核酸分子は単離されたものであり、すなわちそれが自然発生する遺伝子(テロメラーゼ遺伝子)の一部分を形成するものではない。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、
i)配列番号:2〜7、
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列、及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含む、少なくとも2つの異なるポリペプチドを含むポリペプチドカクテルであって、
各ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満のものが提供される。上記少なくとも2つのポリペプチドは、i)で定義される配列が各ポリペプチドについてそれぞれ異なるという意味と同じ意味で異なることが好ましい。
【0026】
便宜的に、少なくとも1つのポリペプチドの配列を、
i)配列番号:1、7、8、9又は10
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列、及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含み、
上記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満の配列と定義する。例えば、ポリペプチドの一つは、配列番号:2及び3を組み入れた配列番号:1の配列を含むことができ、また配列番号:2及び3の配列と別のものである必要はない。
【0027】
好適には、上記少なくとも2つの異なるポリペプチドは、
i)配列番号:1の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:7の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:9の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドとのカクテル、
ii)配列番号:1の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:8の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:9の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドとのカクテル、及び
iii)配列番号:1の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:8の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:10の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドとのカクテル、
からなる群から選択されるポリペプチドカクテルを含み、各ポリペプチドの長さはアミノ酸100個未満である。
【0028】
好ましくは、上記又は各免疫原性断片は配列番号:17〜40のいずれか1つの配列を含む。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、
i)配列番号:2〜7、
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列、及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる少なくとも2つの異なる核酸分子を含む核酸分子カクテルであって、上記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満のものが提供される。上記少なくとも2つの核酸分子は、i)で定義される配列が各核酸分子について異なるという意味と同じ意味で異なることが好ましい。
【0030】
好適には、少なくとも1つの核酸分子は、
i)配列番号:1、7、8、9又は10、
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列、及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列で構成され、
上記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満のものと定義される。例えば、核酸分子は、配列番号:2及び3を組み入れた配列番号:1を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなることができ、また上記ポリペプチドは、配列番号:2及び3の配列を別に含む必要がない。
【0031】
好ましくは、上記少なくとも2つの異なる核酸分子は、
i)配列番号:1で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:7で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:9で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子とのカクテル、
ii)配列番号:1で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:8で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:9で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子とのカクテル、及び、
iii)配列番号:1で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:8で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:10で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子とのカクテル、
からなる群から選択される核酸分子カクテルを含み、
各ポリペプチドの長さはアミノ酸100個未満である。
【0032】
便宜的に、上記又は各免疫原性断片は配列番号:17〜40のいずれか1つの配列を含む。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、本発明のポリペプチド、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチドカクテル又は本発明の核酸分子カクテル、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は賦形剤、並びに任意で別の治療成分を含む医薬組成物が提供される。
【0034】
好ましくは、上記ポリペプチド、核酸分子、ポリペプチドカクテル又は核酸分子カクテルは、50〜200μgの量で存在する。
【0035】
本発明の第6の態様によれば、本発明のポリペプチド、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチドカクテル、本発明の核酸分子カクテル、又は本発明の医薬組成物の患者への投与を含む、患者の癌の治療法又は予防法が提供される。
【0036】
本発明の第7の態様によれば、医療で使用するための本発明のポリペプチド、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチドカクテル、本発明の核酸分子カクテル、又は本発明の医薬組成物が提供される。
【0037】
好適には、上記ポリペプチド、核酸分子、ポリペプチドカクテル、核酸分子カクテル又は医薬組成物は、癌の治療又は予防の用途に供される。
【0038】
本発明の第8の態様によれば、本発明のポリペプチド、本発明の核酸分子、本発明のポリペプチドカクテル、本発明の核酸分子カクテル、又は本発明の医薬組成物の、癌の治療又は予防のための薬剤の製造の用途が提供される。
【0039】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本明細書において、アミノ酸残基のポリマーを指して互換的に使用される。この用語は、一又は複数のアミノ酸残基が修飾残基であるアミノ酸ポリマー、又は対応する自然発生アミノ酸の人工的化学的模倣物などの非自然発生残基であるアミノ酸ポリマー、並びに自然発生アミノ酸ポリマーに適用される。
【0040】
用語「アミノ酸」は、本明細書で使用される場合、自然発生アミノ酸及び合成アミノ酸、並びに自然発生アミノ酸類似の機能を有するアミノ酸アナログ及びアミノ酸模倣物をいう。自然発生アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、並びに細胞内での翻訳後に修飾されるアミノ酸である(例えばヒドロキシプロリン、γカルボキシグルタミン酸塩、及びOホスホセリン)。句「アミノ酸アナログ」は、自然発生アミノ酸と同一の基本化学構造(水素、カルボキシ基、アミノ基、及びR基に結合したアルファ炭素)を有するが、修飾されたR基又は修飾された骨格を有する合成物をいう(例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)。句「アミノ酸模倣物」は、自然発生アミノ酸と構造は異なるが類似の機能を有する化合物をいう。
【0041】
用語「断片」は、本明細書でポリペプチドに関連して使用される場合、ポリペプチドの一部分を形成する連続した一組のアミノ酸をいう。ポリペプチドの「免疫原性断片」は、すでに定義されたように、個体に投与された場合にT細胞応答などの免疫応答を誘発する能力のある断片である。
【0042】
用語「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」は、本明細書において、複数のヌクレオチドのポリマーを指して互換的に使用される。核酸分子は、自然発生核酸を含んでもよいし、又はペプチド核酸、モルホリン及びロックド核酸、並びにグリコール核酸及びトレオース核酸などの人工核酸を含んでもよい。
【0043】
用語「ヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、細胞酵素によって認識される自然発生ヌクレオチド及び合成ヌクレオチドアナログをいう。
【0044】
用語「治療」は、本明細書で使用される場合、任意の部分的又は全面的な治療をいい、疾病又は症状の抑制、すなわちその進行の阻止と、疾病又は症状の緩和、すなわち上記疾病又は症状の退行の惹起とを含む。
【0045】
本明細書において、2つの配列間の「同一性」の比率は、BLASTPアルゴリズムのバージョン2.2.2(Altschul, Stephen F., Thomas L. Madden,Alejandro A. Sch■ffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J. Lipman(1997)、「Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)を用い、デフォルトパラメータを用いて決定する。詳細には、BLASTのアルゴリズムは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/のURLを用いてインターネット上でアクセスできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】hTERTのmRNAをトランスフェクトされたDCをワクチン接種した膵臓癌患者で検出されたhTERTのT細胞応答をまとめた棒グラフである。ワクチン接種計画全期間の様々な時点の標本において、24件のオーバーラップするhTERTの15−merペプチドに対してT細胞応答が検出された。ペプチドを取り込んだPBMCに呼応した増殖は、3Hチミジンの取込みによって測定された。刺激指数が2を超えるものを免疫応答とみなす。
【図2】ワクチン接種した癌患者におけるフロー・サイトメトリーによる、hTERT特異的なHLA−A2拘束性CD8陽性T細胞の検出を示す一連のグラフである。PBMCは、事前に抗原刺激をせずに分離した後、直接染色した。CD8陽性CD3陽性細胞にゲートを設定した細胞に五量体染色が見られる。バックグラウンドの染色を無関係五量体(HIVペプチド)のプロットで示し、hTERT五量体のプロットは、膵臓癌患者での2つの新規hTERTペプチド(A)(配列番号:3に対応する720GLLと称するペプチド、配列番号:6に対応する728RLTと称するペプチド)と、肺癌患者で検出された第3のhTERTペプチド(B)(配列番号:5に対応する613RPAと称するペプチド)の染色を示す。後者は、5年を隔てた異なる2時点のデータである。45000個のCD8陽性のT細胞を分析した。
【図3】GV1001ペプチド(配列番号:10)、663−677(15−mer)(配列番号:2)及び660−689(30−mer)(配列番号:1)に対応したT細胞の増殖を示すグラフである。刺激指数は、上記ペプチド特異的な増殖がバックグラウンドの何倍かを示す尺度である。
【図4】ペプチド濃度の低下に対応してペプチド特異的な増殖を示すCD4陽性T細胞クローンの結果を示すグラフである。2を超える値を陽性反応とみなす。
【図5】患者の血液標本由来の末梢血単核細胞(PBMC)内で直接に、配列番号:3、4及び6の9−又は10−merのペプチドに特異的なCD8陽性Tリンパ球の検出結果を示すグラフである。615−624のペプチド(配列番号:4)は、後2者の患者では試験を行わなかった。患者はHLA−A2陽性である。無関係五量体のバックグラウンド染色は0.05%未満だった。
【図6】GV1001ワクチン接種(配列番号:10)の後数年間完全寛解にある肺癌患者における、9−merのペプチド613−621(配列番号:5)に特異的なCD8陽性Tリンパ球の検出結果を示すグラフである。患者はHLA−B7陽性である。患者はその後、6カ月ごとにワクチン接種を受けており、上記患者が完全寛解に到ってから6年後も、依然として安定した数のhTERTペプチド613−621に特異的なCD8陽性T細胞が検出できる。別のCTLエピトープである672−681(配列番号:25)に特異的な第2の少数のCTL集団が、幾つかの時点で検出された。
【図7】GV1001ワクチン接種(配列番号:10)後の黒色腫患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図8】GV1001ワクチン接種(配列番号:10)後の肺癌患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図9】GV1001ワクチン接種(配列番号:10)後の結腸癌患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図10】GV1001ワクチン接種(配列番号:10)後の第2の黒色腫患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図11】hTERTのmRNAをトランスフェクトされたDCワクチン接種後の膵臓癌患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対するT細胞応答を示すグラフである。表示の結果は、図1と同一の患者のものである。
【図12】hTERTのmRNAをトランスフェクトされたDCワクチン接種後の肺癌患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図13】ワクチン接種をしていない第3の黒色腫患者におけるhTERTオーバーラップペプチドライブラリーに対する自然発生T細胞応答を示すグラフである。
【図14】選択されたhTERTペプチドについての図7〜図13の結果のまとめを示すグラフである。
【図15】肺癌患者4名における選択されたhTERTペプチドに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図16】黒色腫患者6名における選択されたhTERTペプチドに対するT細胞応答を示すグラフである。
【図17】免疫応答を誘発するペプチドの数に対する各患者の生存月数を示す散布図である。
【図18】選択されたhTERTペプチドについて別の患者で試験を行い、ペプチド配列に対する患者の免疫応答に応じて2群に分けたときの生存状況を示すグラフである。GV1001のほかに0〜1個のペプチドに対して反応したものを1群とし、2個以上のペプチドに反応したものを別の群とした。この2つの群について、生存状況を独立した一群のt検定を用いて分析した。生存の同等性についての予備検定は、2つの群の生存が有意に異なることを示唆する。このため、生存の同等性を仮定しない2標本のt検定を実施した。異分散t検定を用い、t(6,1)=−3.22、p=0.018であった。WINKS SDAソフトウェア(Texasoft、テキサス州シダーヒル)を用いて統計を実施した。統計的決定は、p=0.05で行った。これらのデータについて、0−1ペプチドの群の生存の平均(標準偏差)は10.7(3.9455)、N=10、また2個以上ペプチドの群の平均(標準偏差)は、51.5714(33.3909)、N=7である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
一般的には、本発明は、配列番号:2、3、4、7、8及び9から選択された配列であって、上記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満である配列を含み、かつポリペプチドGV1001(すなわち配列番号:10)の配列、配列番号:56(Schroers他、2002によって報告されたもの)、配列番号:46、57又は59〜61のいずれか(WO03/038047で報告されたもの)、又は配列番号:62(WO00/02581で報告されたもの)を含まないテロメラーゼタンパク質のポリペプチドに関する。上記ポリペプチドはまた、配列番号:58の配列(WO03/038047で報告されたもの)で構成されない。
【0048】
特に好ましいポリペプチドは、配列番号:1(配列番号:2及び3の配列を組み込んでいるもの)、配列番号:6(配列番号:8及び9の配列を組み込んでいるもの)、及び配列番号:7の配列を含む。
【0049】
幾つかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号:1〜9のうちの一つで開始する配列からなる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号:1〜9のうちの一つで開始する配列のうちの一つを含み、N末端及び/又はC末端に付加されるアミノ酸は、自然発生のテロメラーゼ酵素に存在するものとは異なる。
【0050】
他の実施形態では、上記ポリペプチドの免疫原性断片であって、その断片が少なくとも8個のアミノ酸を含み、その断片は配列番号:6又は11〜16のポリペプチドのいずれでもなく、また配列番号:56の配列を有する断片ポリペプチドでもない免疫原性断片が提供される。例示の免疫原性断片は、配列番号:17〜40に提示される断片を含み、それは一定のHLAクラスI対立遺伝子のMHC分子への結合親和性を有すると予想される。配列番号:17〜40のポリペプチドはすべて、配列番号:1のポリペプチドの免疫原性断片であることを理解されたい。
【0051】
ヒトテロメラーゼ酵素(hTERT)の配列は、アクセッション番号AF015950番でGenBankに登録されている。配列番号:1〜9のそれぞれは、上記テロメラーゼ酵素の660〜705ポジションのアミノ酸内に存在することに留意されたい。これは、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素サブユニットの活性部位に対応する。逆転写酵素サブユニットのこの領域にあるエピトープへの免疫応答が誘発されると、テロメラーゼ遺伝子のこの領域をコードする部分が変異しており、そのため免疫応答を回避し得る腫瘍内の任意の細胞もまた、上記コードされたテロメラーゼタンパク質の酵素活性を損なうと考えられる。したがって、テロメラーゼ酵素がこの領域を標的にすることにより、癌細胞コロニーがテロメラーゼ遺伝子の変異によって生き残れる可能性は低下する。
【0052】
幾つかの実施形態では、上に定義した複数のポリペプチドが、相互に共有結合し、大型ポリペプチド又は環状ポリペプチドさえ形成する。
【0053】
本発明の上記実施形態では、単一配列のポリペプチドが提供される。しかし、他の実施形態ではポリペプチドカクテル(すなわち混合物)が提供され、そこでは上記カクテルは、配列番号:2〜7の配列を含む少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。幾つかの実施形態では、カクテルは上記ポリペプチドの免疫原性断片を含み、該免疫原性断片は少なくとも8個のアミノ酸を含む。上記ポリペプチドの長さは、アミノ酸100個未満である。
【0054】
カクテル中のポリペプチドは、配列番号:1、7、8又は9の配列を含むことが特に好ましい。カクテル中のポリペプチドは、配列番号:1、7及び9の配列、配列番号:1、8及び9の配列、又は配列番号:1、8及び10の配列を含むことが、とりわけ好ましい。したがって、カクテル中のポリペプチドの一つが配列番号:10の配列(すなわちGV1001と称するペプチドの配列)を含むことは、本発明の範囲内である。免疫原性断片は、配列番号:17〜40の免疫原性断片であることが好ましい。
【0055】
少なくとも2つのポリペプチドは、配列番号:1〜10から選択された異なる配列に基づくものであるという意味で異なっていることが好ましい。
【0056】
ポリペプチドカクテルにおいて、上記カクテル中のポリペプチドは2個以上のHLA対立遺伝子のMHC分子と結合し得ることが特に好ましい。例えば1つの実施形態では、カクテルは、対立遺伝子HLA−A*0201のMHC分子と結合し得る第1のポリペプチドと、対立遺伝子HLA−A−A*03のMHC分子と結合し得る第2のポリペプチドとを含む。幾つかの実施形態では、カクテルが異なる配列を有する3つ以上のポリペプチドを含むことも理解されたい(例えば3個、4個又は5個のポリペプチド)。
【0057】
他の実施形態では、提供される上記又は各ポリペプチドは、上記ポリペプチドの一つとの厳密な配列同一性を有しない。むしろ、上記ポリペプチドは、上記のポリペプチドとの少なくとも80%の配列同一性を有する。上記配列が上記配列と、少なくとも90%、95%又は99%の配列同一性を有することが特に好ましい。また、アミノ酸配列を付加又は置換しても原アミノ酸側鎖の性質が保存されることも好ましい。すなわち、置換又は修飾は「保存的」である。
【0058】
機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当技術分野で周知である。アミノ酸側鎖の性質の例には、疎水性アミノ酸(A,I,L,M,F,P,W,Y,V)、親水性アミノ酸(R,D,N,C,E,Q,G,H,K,S,T)、及び以下の官能基又は特徴を共通して有する側鎖がある:脂肪族側鎖(G,A,V,L,I,P);ヒドロキシル基を含む側鎖(S,T,Y);イオウ原子を含む側鎖(C,M);カルボン酸及びアミドを含む側鎖(D,N,E,Q);塩基を含む側鎖(R,K,H);及び芳香族を含む側鎖(H,F,Y,W)。さらに、以下の8つの群はそれぞれ、互いに保存的置換物であるアミノ酸を含む(例えばCreighton, Proteins(1984)を参照)。
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)。
【0059】
幾つかの実施形態では、上記又は各ポリペプチドの配列は、特定のHLA対立遺伝子のMHC分子へのポリペプチドの結合親和性を変更する(例えば高める)ために変性される。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのN末端及び/又はC末端に、上記アミノ酸に加えてさらなるアミノ酸を有する。上記付加アミノ酸は、ポリペプチドのMHC分子への結合親和性を変性する(例えば高める)ために使用することもできる。
【0060】
上記又は各ポリペプチド(特にその配列が上述のように変性されたポリペプチド)は、細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)の応答を誘発し得ることが必要である。すなわちポリペプチドは、該ポリペプチドが抗原提示細胞(例えば樹状細胞)によって提示されたときにCTLを誘導し得るべきである。
【0061】
CTL誘導性の確認は、ヒトMHC抗原を持つ抗原提示細胞(例えばBリンパ球、マクロファージ又は樹状細胞)、又はより具体的にはヒト末梢血単核白血球由来の樹状細胞を誘導し、かつ上記ポリペプチドによる刺激後にCD8陽性細胞と混合し、その後、CTLが標的細胞に対して産生し放出したIFN−γを測定することによって、達成され得る。反応系として、ヒトHLA抗体を発現するように作られている遺伝子組み換え動物(例えば、BenMohamed L, Krishnan R, Longmate J, Auge C, Low L, Primus J, Diamond DJ, Hum Immunol 61(8):764-79、2000年8月号、関連記事、書籍、リンクアウト、「HLA A*0201/DR1遺伝子組み換えマウスにおける最小エピトープ・ワクチンによるCTL応答の誘導:HLAクラスII拘束性T(H)応答への依存性」に記述されているもの)が使用できる。例えば、標的細胞は、51Crを使って放射性同位体による標識付けを行い、標的細胞から放出される放射能から細胞傷害性を計算することができる。あるいは代替として、固定化したペプチドを運ぶ抗原提示細胞の存在下でCTLが産生し放出したIFN−γを測定し、かつ抗IFN−γモノクローナル抗体を用いて媒体上の抑制地帯を視覚化することによって、CTL誘導性を検査することができる。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態では、上記又は各ポリペプチドを、そのCTL応答誘導能力を保持しつつ他の物質と連結する。上記他の物質としては、脂質、糖質及び糖鎖、アセチル基、天然及び合成のポリマーなどが挙げられる。ある実施形態では、ポリペプチドは、グリコキシル化、側鎖酸化又はリン酸化などの修飾を含む。
【0063】
幾つかの実施形態では、上記又は各ポリペプチドは、当技術分野で周知の従来のプロセスによって産生される。又は代替として、ポリペプチドは、例えば臭化シアンを用いた開裂及びその後の精製によって産生される、テロメラーゼタンパク質の断片である。酵素的開裂を使用してもよい。他の実施形態では、ポリペプチドは、遺伝子組み換え体発現ポリペプチドの形態である。例えば、発現可能な形態のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えばプロモーター配列に対応する調節配列の川下)を含む適切なベクターを作成し、適切な宿主細胞に形質転換を起こさせる。次に、宿主細胞を培養して問題のポリペプチドを産生する。他の実施形態では、ポリペプチドは、in vitroの翻訳系を用いてin vitroで産生される。
【0064】
本発明の代替的な実施形態では、上記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子が提供される。
【0065】
本発明の他の実施形態では、核酸分子カクテル(すなわち混合物)が提供され、そこでは上記カクテルは、配列番号:2〜7の配列のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも2つの異なる核酸分子を含む。代替的な実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも8個のアミノ酸を含む、配列番号:2〜7のうちの1つの断片である。代替の変形形態では、ポリペプチドの配列は上述のものと同一ではなく、少なくとも80%の配列同一性を有する。いずれの例でも、ポリペプチドの長さはアミノ酸100個未満である。コードされたポリペプチドは、配列番号:1、7、8又は9の配列を含むことが好ましい。カクテル中のコードされたポリペプチドは、配列番号:1、7及び9の配列、配列番号:1、8及び9の配列、又は配列番号:1、8及び10の配列を含むことが、とりわけ好ましい。したがって、幾つかの実施形態では、コードされた1つのポリペプチドが配列番号:10の配列(すなわちGV1001ペプチドの配列)を含む。また、コードされた免疫原性断片は、配列番号:17〜40の配列であることも好ましい。少なくとも2つの核酸分子は、配列番号:1〜10から選択された異なる配列に基づくものであるという意味で異なっていることが好ましい。
【0066】
遺伝暗号の縮重のため、特定のポリペプチドをコードする核酸分子が様々なポリヌクレオチド配列を有することがあることを理解されたい。例えばコドンGCA、GCC、GCG及びGCTは、いずれもアミノ酸アラニンをコードする。
【0067】
核酸分子は、DNA又はRNAのいずれか、又はそれらの派生物であってよい。
【0068】
本発明の他の実施形態では、上記ポリペプチド、核酸分子、又はポリペプチドもしくは核酸分子カクテルを含む医薬組成物がある。さらに、上記医薬組成物は、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は賦形剤を含む。ある実施形態では、上記医薬組成物は、本発明のポリペプチドと本発明の核酸分子の混合物を含む。
【0069】
アジュバントの例には、フロイント社の完全アジュバント又は不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン、コレラ毒素及びサルモネラ毒素などがある。特に好ましいアジュバントは、GM−CSF(顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子)である。希釈剤及び賦形剤の例には、滅菌水、生理食塩水、培養液及びリン酸緩衝液などがある。
【0070】
ある実施形態では、ポリペプチド又は核酸分子は、免疫原性担体と連結される。免疫原性担体の例には、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン及びトリ免疫グロブリンなどがある。
【0071】
幾つかの実施形態では、医薬組成物はまた、さらなる治療成分も含む。さらなる治療成分の例には、インターロイキン2(IL2)、インターロイキン12(IL12)、さらなるテロメラーゼ・ポリペプチド(すなわち上述のものを除いたテロメラーゼ酵素のポリペプチド)、化学療法薬、鎮痛剤、消炎剤、及び他の抗癌剤などがある。
【0072】
幾つかの実施形態では、ポリペプチドを含む医薬組成物は、高親和性細胞傷害性T細胞応答を誘発することが知られているリポペプチド接合体の形態で提供される(Deres, 1989, Nature 342)。
【0073】
医薬組成物の付加成分のさらなる詳細は、「Remington's Pharmaceutical Sciences and US Pharmacopoeia」(1984年、Mack Publishing Company、米国ペンシルベニア州イーストン)に見られる。
【0074】
使用に当たっては、上記説明されたポリペプチド、核酸分子、ペプチドカクテル、核酸分子カクテル、又は医薬組成物(以下、「薬剤」という)は、治療の必要な患者に投与される。あるいは代替的に、癌に対する防御免疫を提供するために、癌の症状を呈する前の個体に製品を投与する。
【0075】
薬剤がポリペプチドを含む実施形態では、上記ポリペプチドは、エンドサイトーシスによって抗原提示細胞に取り込まれ、おそらく抗原処理を受け、その後、MHCクラスI又はクラスIIの分子との複合体として細胞表面に提示される。T細胞表面のT細胞受容体との相互作用を通じ、CD4陽性又はCD8陽性のT細胞応答が誘発される。薬剤が核酸分子を含む実施形態では、上記核酸分子もエンドサイトーシスによって取り込まれ、その後(上記核酸分子がDNAならば)転写され、コードされたポリペプチドが内生細胞の経路を通じて合成される。その後、上述したように、コードされたポリペプチドは処理され、T細胞応答を誘発するためにMHC細胞上に提示される。したがって、薬剤は、CD4陽性又はCD8陽性のいずれかのT細胞免疫を誘導するためにワクチンとして使用してもよい。
【0076】
原理的には、いかなる薬剤投与形態を用いてもよいが、特に注射が好ましい。例えば薬剤を患者の腫瘍に直接注射してもよい。しかし、治療対象の癌が患者の鼻又は口にある場合、幾つかの実施形態では、薬剤を噴霧及び吸入によって投与する。
【0077】
薬剤の適切な投与量は50〜200μgだが、場合によってはこの範囲外の投与量が必要なこともある(例えば1〜500μg)。100〜150μgの間の投与量が特に好ましい。幾つかの実施形態では、薬剤は、週次又は月次で患者に投与される。ある実施形態では、治療第1週に3回の薬剤投与、その後1カ月間の毎週投与、その後6カ月間の毎月投与と、その後6カ月に1回の投与を含む、「積極的」治療の投与計画が追及される。
【0078】
原理的には、上記薬剤は、テロメラーゼ遺伝子が活性化している種類のいかなる癌患者にも投与してよい。上記癌には、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸癌、肺癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、及び胆道癌などがあるが、これらに限定されない。上述のように、テロメラーゼ酵素は大多数の癌で発現するため、本発明の薬剤の有効性は、特定の種類の癌に限定されない。
【0079】
誘発されるTリンパ球応答のクラスに応じ、好ましいポリペプチドの長さが異なることを理解されたい。より明確には、CD8陽性T細胞応答を誘発するには、ポリペプチドは、通常は長さがアミノ酸残基8〜10個のポリペプチドにのみ結合するMHCクラスI分子上に提示されなければならない。他方、CD4陽性T細胞応答を誘発するには、ポリペプチドはMHCクラスII分子上に提示される必要があり、このためのポリペプチドは一般にはより長く、通常は長さがアミノ酸残基15〜24個の間である。本発明の幾つかのポリペプチド(例えば配列番号:1のポリペプチド)は、通常MHCクラスI又はクラスIIのいずれかの分子に適応するものより長いことに留意されたい。この長さのペプチドは、例えばHPV及び子宮頸癌のワクチン接種作業を行っている群により、より強固な免疫応答を誘発することがわかっている(Welters他、2008)。理論に拘束されることは望まないが、上記ポリペプチドは、患者に投与された後、エンドサイトーシスによって細胞に取り込まれ、プロテアソーム内でタンパク質分解の減損を受け、その後、MHCクラスI又はクラスIIの分子上に提示されると考えられる。上記ポリペプチドは、こうしてMHCクラスI及び/又はMHCクラスII拘束性のT細胞応答を引き起こす可能性がある。また、より長いポリペプチドはより短いポリペプチドより長い期間患者の体内に存在し続け、したがって免疫応答を誘発できる期間がより長いことも理解されたい。このことは、MHC結合親和性が比較的低いポリペプチドについてはとくに重要である。
【0080】
また、テロメラーゼ酵素が「自己タンパク質」である、すなわちこの酵素が人体内で自然に発生するタンパク質であることも理解されたい。その結果、個体には通常、上記ポリペプチドに反応するT細胞が、T細胞の発達中に個体の胸腺で破壊されるプロセスを通じ、上記テロメラーゼ酵素のポリペプチドに対するある程度の免疫耐性が現れる。このため、本発明の幾つかの実施形態では、MHC結合親和性が比較的低い本発明のポリペプチドが所望される。これは、MHC結合親和性が低めのポリペプチドは成熟中のT細胞に曝露される率が低めであり、そのため、上記ポリペプチドによる個体の全T細胞応答が個体のT細胞供給によって消去される可能性が低いためである。したがって、幾つかの実施形態におけるMHC結合親和性が比較的低いポリペプチドは、より容易に免疫耐性に打ち勝つことができる。
【0081】
本発明の幾つかの実施形態では、本発明のポリペプチドの1つの投与が「エピトープ拡散」を招き、それによって免疫応答が、テロメラーゼタンパク質中の投与されたポリペプチドに隣接する、テロメラーゼタンパク質の他のポリペプチドに対して誘発される。
【実施例】
【0082】
実施例例1
hTERTをトランスフェクトされたDCのワクチン接種後に患者のT細胞によって認識されたhTERTエピトープの特徴を明らかにした。ワクチン接種は、CD4陽性Th細胞及びCD8陽性T細胞の両方に関わる多様かつ広範な免疫応答を引き起こした。この反応は、患者に観察された腫瘍の退縮及び長期生存の原因だと考えられる。
【0083】
方法と材料
患者
再発性膵管腺癌の62歳女性に、hTERTのmRNAを取り込んだ樹状細胞を、コンパッショネート・ユースとしてワクチン接種した。上記治療は、ノルウェー薬事局及び医学研究倫理地域委員会の承認を得た。これは、世界医師会ヘルシンキ宣言に従って実施された。患者より、インフォームド・コンセントの文書を得た。
【0084】
mRNAをトランスフェクトされたDCの製造
DCは、従来の説明のように生成された(Kyte他2006及びMu LJ他、2003)。簡単に述べると、白血球除去血輸血製品から得た単核白血球を、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)及びインターロイキン4(IL−4)で5日間培養した。生じた未成熟DCに、矩形波電気穿孔法によってhTERT−mRNAをトランスフェクトし(Kyte他2006、Saeboe-Larssen S他2002)、その後、サイトカインで成熟を促進して2日間培養した(インターロイキン1β(IL−1β)、インターロイキン6(IL−6)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、及びプロスタグランジンE2(PGE2))。適切な対照DCを得るために、DCの画分をモック・トランスフェクト(mock−transfected)した、すなわちmRNA無しで電気穿孔した。DCの表現型は、従来の説明のようにフロー・サイトメトリーによって評価した(Kyte他2006)。上記DCは、HLAクラスII、CD86及びCD83を発現するが、CD14を発現しない成熟DC表現型を有した。トリパンブルー染色によって評価したDCの生存性は、85%超であった。
【0085】
第2回及び第3回のワクチン・バッチは、超短期培養成熟DCであった(Alldawi他2005、Tanaka他2006、Ho他2006)単核白血球をGM−CSFとIL−4で2日間培養し、その後、従来型DCと同様の方法で1日間成熟させてから、電気穿孔した。その後、DCを一晩静置した後凍結させた。
【0086】
ワクチン
ワクチンは、hTERT mRNAを組み込んだ5×10の自己単核白血球由来樹状細胞からなる。患者は、4回の週次接種の後、月次の追加免疫接種を受けた。
【0087】
臨床モニタリング
有害事象は、従来の説明のように、NCI共通毒性基準に従って記録し、等級分類した(Kyte他、2006「遺伝子治療」)。軽微な副作用のみが観察され、治療に関連してグレードIII〜IVの毒性はなかった。対象腫瘍の反応は、ワクチン接種開始前及びワクチン接種中3カ月ごとの臨床検査及びCTスキャンによって評価された。腫瘍の反応は、「Response Evaluation Criteria in Solid Tumors」(RECIST)(Therasse P他2000)に従って分類した。
【0088】
DTH
免疫モニタリング
4回の標準ワクチン接種前、5週間後、及び12週間後に末梢血単核細胞(PBMC)を採取した。月次の追加免疫ワクチン接種の前にも毎回PBMCを採取した。PBMCは、従来の説明のように、分離し、凍結させた(Kyte他、2005)。解凍したPBMCを、in vitroでtDC(モックDCではなく)により1度刺激し、培養した後、従来の説明のように、T細胞増殖アッセイ(3Hチミジン)で検査した(Kyte他2006)。T細胞を三重に検査した。放射線照射を受けたtDCと対照のモック・トランスフェクトされたDC(モックDC)を用い、又はAPCとしてhTERTペプチドを持つPBMCもしくはこれを持たないPBMCを用いた。T細胞のみは負の対照を含めた。
【0089】
様々な時点で採取したPBMCを、いずれもProImmune社のオーバーラップhTERT 15−merペプチド・ライブラリー又は30−merのhTERTペプチドで刺激し、(Bernhardt他2006)で記述されるようにAPCとして放射線照射PBMCを用い、上記増殖アッセイで検査した。
【0090】
フロー・サイトメトリー
患者の新鮮PBMC又は凍結PBMCについて、五量体染色を実施した。フィコエリトリン接合五量体はProImmune社が製造し、脈絡髄膜炎ウイルス(CMV)のペプチドNLVPMTATVに特異的なHLA−A2陽性T細胞系の非特異的染色検査を行った。製造者が推奨する作用濃度を使用した。HIVペプチドSLYNTVATL−A*0201を持つ五量体を、負の対照として使用した。細胞は、室温(RT)で10分間五量体染色を行い、0.1%ヒト血清アルブミン(HSA)及び0.1%アジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)からなる染色緩衝液で洗浄した。次に、細胞を、室温で15分間、抗CD4フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、抗CD19−FITC(eBioscience社)、抗CD8−PerCP及び抗CD3パシフィック・ブルー(PB)(eBioscience社)染色を行い、染色緩衝液で1回洗浄し、同じ緩衝液で再懸濁してから採取した。細胞内染色のために、12日ペプチド刺激T細胞を、ブレフェルディンA(BD Bioscience社)10μg/ml及びBD Golgistop(BD Bioscience社)1/1000希釈の存在下で、5:1の目標比率でT細胞にペプチドを組み込んだ自己エプスタイン・バル・ウイルスで形質転換されたBリンパ芽球状細胞系列(EBV−LCL)によって、一晩刺激した。ペプチドを組み込んでいない標的細胞及びT細胞のみを、負の対照として使用した。次に、BD Cytofix/Cytopermキットを用い、製造者の指示に従って、CD3(eBioscience社)、CD4、CD8、IFN−(eBioscience社)、IL−2及びTNF−αについて細胞を染色した。最後に、1%パラホルムアルデヒドを含む染色緩衝液で細胞を再懸濁した。細胞内サイトカイン染色用のすべての抗体及びすべての試薬は、注記のあるものを除き、BD Pharmingen社から購入した。BD LSR IIフロー・サイトメーターを用いて1標本につき250,000個のリンパ球が得られ、データはFlowJoソフトウェア(Treestar Inc.、米国オレゴン州アッシュランド)を用いて分析した。
【0091】
結果
患者はゲムシタビン治療で病勢安定を経験したが、5カ月後、副作用のために治療を中断した。その後、代替治療としてこの患者にDCワクチン接種が提供された。ワクチン接種の18カ月後、患者は完全寛解を経験し、それがワクチン接種後30カ月(診断後44カ月)維持されている。患者は独立の病理学者による再診断と検査を受け、同病理学者は膵管腺癌の診断を確認した。
【0092】
手術不能の膵臓癌患者の生存期間中央値は8〜10カ月で、この例はこの期間を大きく超過している。初回のワクチンのバッチは5×10個の従来のDC(Kyte他2006)で構成され、患者は15回のワクチン投与を受けた。ワクチンに対する免疫応答と病勢の安定が実証されたため、新たなワクチン・バッチが作成され、バッチ2とバッチ3は超短期培養成熟DCで、hTERTのmRNAを組み込んだ5×10個のDCのワクチンが、それぞれ10回及び17回投与された。
【0093】
DCワクチンに対する増殖性T細胞応答は、ワクチン接種後3カ月のin vitroで測定され、6カ月以降安定した。hTERTをトランスフェクトされたDCに対する免疫応答の存在が明らかにされた後、どのhTERTエピトープが、上記免疫応答誘発の原因になったかの調査が所望された。これは、hTERTペプチド・ライブラリーに対するT細胞増殖の測定(図1)、及びex vivoのPBMCの五量体染色によって検査された。
【0094】
増殖性T細胞応答は、オーバーラップペプチドライブラリーの15−mer hTERTペプチドのうち6個及び30−mer hTERTペプチド1個で検出された。hTERT五量体陽性のCD8陽性T細胞の存在は、ワクチン接種の前後両方で、非刺激PBMCS中0.15%〜1.25%の比率で検出された。CD8陽性T細胞の1.25%の集団は、ワクチン接種後24カ月(図2A)の新鮮PBMC中で五量体陽性を示し、in vitroのペプチド刺激後は約3%に増加した(データ表示なし)。
【0095】
720GLL五量体中に少なくとも2つのTヘルパー・エピトープ並びにCTLエピトープを含む30−mer hTERTペプチドによるin vitro刺激を1回行った後、同じペプチドを組み込んだ自己EBV形質転換B細胞に応答してIFN−γ、IL−4及びTNF−αを分泌する少数の多機能CD4陽性T細胞が検出できた。ペプチド組み込み標的細胞による刺激後のCD8陽性T細胞の個体数は、非ペプチド組み込み標的による刺激後と比べて差がなかった(データ表示なし)。IL−2のバックグラウンド・レベルが高いのは、hTERTを発現し得る形質転換B細胞系列によって与えられた多少の刺激のためかもしれない。残念ながら、各実験でのT細胞の数が限られていたため、追加の機能アッセイは実施できなかった。
【0096】
考察
この例では、化学療法による治療後にhTERTのmRNAをトランスフェクトされた自己DCによるワクチン接種という異例の疾患経過をたどった、膵臓癌患者が報告されている。
【0097】
ここに記述された患者は、根治手術後の再発性膵管腺癌で4年以上生存している。当初の診断が正確だったことを確認するために、独立の病理学者によって一次腫瘍の再診断を受けた。
【0098】
患者は、2006年1月の根治手術後、2006年12月に、CTによる判定で肝臓門部、腸骨筋リンパ本管及び後腹膜腔にあるリンパ節の肥大が認められ、再発した。
【0099】
患者は化学療法によく反応し、CTスキャンにより腫瘍の退縮が明らかになった。しかし、化学療法から5カ月後、患者は重篤な副作用を発症し、上記治療は停止された。
【0100】
このような臨床状況において、患者は、化学療法の有効性を固定するために、コンパッショネート・ユースとしてhTERTのmRNAを組み込んだ自己DCのワクチン接種による治療を提供された。
【0101】
興味深いことに、化学療法の終了後、病勢の進行が起きず、長期の病勢安定と完全寛解の可能性が得られた。6カ月間隔をおいた2回の連続したPETスキャンで、膵臓及び転移性の病変部位の腫瘍組織は代謝の停止が明らかになった。これらの興味深い所見は、この患者では、使用された免疫治療戦略が臨床的に意味のある免疫応答を誘発したことを示唆する。したがって、上記患者のhTERTに対する免疫応答を記録し、詳細に研究することが重要であった。さらに、hTERT mRNAの全長をワクチン接種に使用する研究でのhTERTへの詳細な免疫応答に関する情報が完全に欠落しているため、次世代のhTERTワクチンの開発のために、臨床的に意味のあるhTERTエピトープを特定することが重要である。
【0102】
新規のCTLエピトープを持つ五量体と結合するCD8陽性T細胞が、高い頻度で見られた。これら2つのエピトープは、HLA−A*0201拘束性であるが、従来記述されていない。興味深いことに、9−merのエピトープ(720GLL、配列番号:3)は、Schroers他2002ですでに記述されているペプチドR672(配列番号:56)と同じ長さの15−merのペプチド(720、PGLLGASVLGLDDIH−配列番号:55)に埋め込まれているが、アミノ酸一つ分hTERTのC末端寄りにずれている。したがって、15−merの両ペプチド内の同じアミノ酸残基がT細胞応答の原因になっている可能性がある。重要なのは、増殖アッセイにおいて、同じ15−merのペプチド(720)が本明細書で報告された患者のT細胞によっても認識されたことであり、この患者では、hTERTのこのペプチド断片がCD4陽性及びCD8陽性の両T細胞応答を誘発したかもしれないことを示唆する。さらに、他の5つの15−merのペプチドが、この患者のT細胞によって認識された。これらのペプチドのうち3つは、従来報告されていない。これらを総合すると、この結果は、このワクチンがこの患者で少なくとも10個の異なるhTERTエピトープにT細胞応答を誘発したことを示す。配列全体を網羅しないオーバーラップペプチドライブラリーのうち使用したペプチド数は限定的な数にすぎず、また五量体もHLA−A*0201提示ペプチドに限定した少数であったため、エピトープ数は、これよりかなり多いかもしれない。
【0103】
これは、hTERTペプチドに対する広範な耐性がないこと、及びhTERTのmRNAをトランスフェクトされたDCを用いるワクチン接種戦略が高度に有望であることを示唆する。
【0104】
上記結果は、2個の15−merペプチドと1個の9−merペプチドを包含する30−merのhTERTペプチドを認識できるこの患者のT細胞が、3つのTh1関連サイトカインを同時に産生することも示す。この種の多機能性は、より高い感染防御能をもたらすことが、従来示されている。Darrah他2007は、ワクチン接種マウスの大形リーシュマニアに対する感染防御度が、同時にインターフェロンγ(IFN−、インターロイキン2及びTNF−α)を産生するCD4陽性T細胞の頻度によって予測されることを示した。
【0105】
この患者の非常に特殊な臨床経過は、ワクチン接種及びその結果生じる免疫応答が腫瘍及び転移に影響しているかもしれないことを示唆する。hTERT mRNA DCワクチンによってhTERTに対する広範かつ複合した免疫応答が誘発されたことが明らかにされているため、これは大いに考えられることである。その結果、残った腫瘍細胞への免疫攻撃には、hTERT特異的CTL、ヘルパーT細胞サイトカイン産物(IFN−γ、TNF−α)の癌細胞、腫瘍結合ストロマや腫瘍新生血管への効果、及び腺癌内に存在する他の腫瘍抗原に対する継続的な自然発生免疫応答の増幅による腫瘍細胞の直接的死滅が関与しているかもしれない。これは、hTERT特異的Th細胞がin situ又は腫瘍排出リンパ節で腫瘍抗原を手に入れたMHCクラスII陽性抗原提示細胞に遭遇した時に発生し得る。
【0106】
実施例2
新たに治験第I/II相を開始するに先立ち、安全性、認容性及び免疫学的反応を調査するために、肺癌ステージ4の患者1名に、hTERTをコードするmRNAをトランスフェクトした自己単核白血球由来のDCをワクチン接種した。患者は、5×10のDC皮内注射によるワクチン接種を、最初に週次で4回受け、続いて月次で追加免疫ワクチン接種を受けた。4回の標準ワクチン接種の前、5週間後、12週間後及びその後の毎月に、末梢血単核細胞(PBMC)を採取した。解凍したPBMCはトランスフェクトされたDCでin vitro刺激した。放射線照射とトランスフェクトを受けたDCと対照のモック・トランスフェクトされたDCを用い、T細胞増殖アッセイを実施した。さらに、hTERT特異的CD8陽性T細胞を五量体染色によってモニターした。治療はよく遂行され、副作用は軽微で、患者の生存期間は予想(12週間)に比して延びた(72週間)。患者は、ワクチン接種後のin vitroのmRNA組み込みDCへの反応として、特異的なT細胞増殖を示した。ワクチン接種後の標本では、五量体染色によって、安定した数のhTERT特異的CD8陽性T細胞が検出された。ワクチン接種後の別の時点の標本を、24のオーバーラップhTERTペプチドのパネルに対してさらに検査し、複数のペプチドに対するT細胞応答が検出された(図12)。これらのエピトープへのT細胞応答は、ワクチンを接種していない癌患者及びGV1001テロメラーゼ・ペプチド(配列番号:10)を以前にワクチン接種した癌患者の両方でも同定されており、このことは、高度の免疫原性とHLA無差別性を示唆する。実施例1及び2の臨床経験は、hTERT−mRNAをトランスフェクトしたDCが安全であり、CD4陽性及びCD8陽性の両T細胞の幾つかのテロメラーゼT細胞エピトープに対して強固な免疫応答を誘発できることを示す。
【0107】
実施例3
有用な抗腫瘍免疫応答を誘発することのできるペプチドを特定するために、T細胞応答の誘発に適したテロメラーゼ酵素のペプチドを同定し、数名のワクチン接種患者(GV1001ペプチド又はhTERTをコードするmRNAをトランスフェクトした樹状細胞によるワクチン接種)と非ワクチン接種癌患者の検査データに従って並べた。選択された患者、そのワクチン接種状況及び臨床応答の概要を表9に示した。GV1001(配列番号:10)をワクチン接種した患者1名において、ペプチド660〜689(30−mer)(配列番号:1)へのT細胞応答は、一定の時点ではワクチンのペプチド自体への応答以上に強かったが(図3参照)、他の患者でもこのペプチドに対して強固な免疫応答を示した。同定されたペプチドを表1に示す。これらのペプチドに対するT細胞応答は、応答性の検査を行った6名の正常血液ドナーには見られなかった。
【表1】

【0108】
表1に示した15−又は30−アミノ酸のペプチドすべてに特異的なT細胞クローンは、患者からも採取されている。これらのクローンは、自然に処理されたペプチド(データ表示なし)を認識し、10ng/mlの非常に低濃度のペプチドにも応答することが示されたが(図4参照)、このことは、これらがその標的に対して高い親和性を有することを意味する。これは、ペプチド濃度がより低いin vivoで強力な免疫反応を誘発し得るために重要である。
【0109】
配列番号:1の30−merポリペプチドは、検査対象のほぼすべての癌患者で反応性を示したため、非常に免疫原性が強いと思われる。このペプチドは、GV1001ワクチン(配列番号:10)のようなCD4陽性ヘルパーT細胞によって認識され得るモチーフと、CD8陽性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識され得るモチーフの両方を含む。これらの反応型はいずれも、上記ペプチドで刺激された患者由来のTリンパ球においてin vitroで検出された。
【0110】
上記9−又は10−merペプチドに特異的なCD8陽性Tリンパ球に結合できる蛍光色素でタグを付けた試薬(五量体)を使用し、主にGV1001(配列番号:10)をワクチン接種した多数の癌患者でこれらの細胞の存在を検出した。これらの9−又は10−merペプチドは、コーカサス系人種集団の約50%に存在するHLA−A2分子上に提示されたときに認識され(図5)、及び同集団の20%に存在するHLA−B7分子上に提示されたときに認識され(図6)るが、このことは、両方を合わせるとコーカサス系人種集団の過半数をカバーすることを意味する。
【0111】
さらに、表1に列挙した15−又は30−merのペプチドは、検査対象のほぼすべての患者で反応性を示し、このことは、それらがそれらの提示されるHLAクラスII対立遺伝子に関して無差別であり、集団のほぼすべてに適用可能であり、HLAスクリーニングの必要がないことを意味する(表2参照)。
【表2】

【0112】
これらのペプチドは、GV1001(配列番号:10)をワクチン接種した患者で反応性を誘発するほか、hTERTのmRNAをトランスフェクトした樹状細胞によるワクチンを接種した肺癌患者1名及び膵臓癌患者1名由来の細胞でもT細胞応答を誘発した。使用されたmRNAはhTERTタンパク質の全長の翻訳はしないがその過半をカバーし、表1に列挙したペプチドはこれらの患者に幾つかの最強の応答を誘発する。
【0113】
実施例4
hTERTペプチド・ライブラリー(表1のポリペプチドを含む)へのT細胞応答を、実施例1及び2で報告された患者のほかに5名の患者由来のT細胞について決定した。方法は、実施例1又はBernhardt他2006での従来の説明と同一であった。簡単に述べると、ワクチン接種中の様々な時点で採取したPBMCを、増殖アッセイでの特異的T細胞応答の検査に先立ち、オーバーラップhTERTペプチド・ライブラリーで刺激した。結果は図7〜図13に示す。ペプチドの全数表を表3に示す。
【表3−1】


【表3−2】

【0114】
図7〜図13のヒストグラムは、7名の患者のオーバーラップhTERTペプチド・ライブラリーに対する応答を示す(膵臓癌患者は実施例1で報告した患者である)。
【0115】
ペプチド613−627は、GV1001(配列番号:10)に非常に似た配列を有し、GV1001を認識する同一の細胞によって認識されると推定されるが、ペプチド613−627はワクチンのペプチドと同一ではない。
【0116】
最後の2名の患者は30−merの660−689(配列番号:1)に対する応答の検査をしていないが、それはこのペプチドが検査後に合成されたためである。配列番号:1のペプチドは、GV1001をワクチン接種した肺癌患者に非常に強い応答を起こした。このペプチドを含む培養物由来のT細胞クローンの75%が特異性を有し、このことは、このクローンが、上記患者に高頻度で存在することを示す。これは、図6のヒストグラムに示したhTERT特異的CD8陽性T細胞の肺がん患者と同一である。
【0117】
検査対象患者(表示の非ワクチン接種患者を除く)はその異例の臨床経過をもとに選定されているので、表1に列挙したペプチドに対して強力な応答が検出されたことは、これらのペプチドが臨床的に意味のあるエピトープであることを示す。
【0118】
実施例5
配列番号:1(30−mer 660−689)のポリペプチドの配列を、異なるHLAクラスI対立遺伝子と結合すると予測される免疫原性断片について分析した(予測は、MHCリガンドとペプチド・モチーフのSYFPEITHIデータベースを用いて実施した)。その結果を表4に示す。
【表4−1】


【表4−2】

【0119】
実施例6
実施例4の患者についての比較を実施した。簡単に述べると、癌の診断とhTERTワクチンのワクチン接種の後に7名の患者を臨床的レスポンダーと確認した。これらの患者は、生存期間の延長と臨床応答の組合せに基づき、レスポンダーと確認された。臨床応答は、病勢安定(SD)、部分反応(PR)、又は完全反応(CR)のいずれかである。ワクチンを接種した黒色腫の患者は、臨床試験への参加時にはステージIVと診断されたが、脳への転移はなかった。肺癌患者P5はステージIVで手術不能の肺癌と診断され、また結腸癌患者P1は後期の手術不能の結腸癌と診断された。肺癌患者P6は、ステージIVで平均余命12週の肺癌患者であった。膵臓癌患者P1は、再発性の手術不能の膵臓癌で、平均余命は8〜10カ月だった。4名の患者(黒色腫P7−P8、肺癌P5及び結腸癌P1)は、それぞれペプチドGV1001(配列番号:10)のワクチン接種を受けた。5番目の患者(肺癌P6)と6番目の患者(膵臓癌1)は、hTERTをコードするmRNAをトランスフェクトした樹状細胞によるワクチン接種を受けた。7番目の黒色腫患者P9は、治験の際にワクチン接種を受けておらず、代わって癌の進行を受けて自然応答が展開した。(8番目及び最後の患者も臨床的レスポンダーと確認されたが、治験ではこの患者の標本は使用できなかった。)
【0120】
次に、実施例1で説明したように、一連のペプチドに対する各患者の増殖性T細胞応答を決定した。その結果を表5に示し、図14にグラフで示す。ここでのペプチドの呼称の対応関係は表6に示す(ペプチド726とGV1001の結果はもっぱら比較のためにのみ表示する)。
【表5】


【表6】

【0121】
すべての患者がGV1001に反応したことが観察された(すなわち彼らはSI>2であった)。樹状細胞ワクチンを接種した患者では自己MLCによって惹起されるバックグラウンドが高いため(肺癌P7及び膵臓癌P1)、SI値は他の患者に比べて低い。
【0122】
実施例7
肺癌の診断とGV1001(配列番号:10)ペプチドのワクチン接種の後に臨床的ノン・レスポンダーだった4名の患者を調査した。これらの患者はすべて、GV1001のワクチン接種を受けたステージIVの肺癌患者であった。これらの患者は、GV1001に対する免疫応答があるが、それでも病状の進行を経験し、上記ワクチンへの免疫応答のある他の患者に比べて生存期間が短かった患者の中から無作為に選択された。一連のペプチドに対する各患者の増殖性T細胞応答を一時点で実施例1と同じ方法で決定した。各患者がGV1001ワクチン接種に対して免疫学的に応答したことを確認する、治験期間中の各患者のGV1001ペプチドに対するピーク応答も示された。
【0123】
結果を表7に示し、図15にグラフで示した。また、ペプチドの呼称の対応関係は表6に示す。
【表7】


4名の患者はすべて、配列番号:1、7、8及び9のペプチドへの応答が非常に少ないか又はゼロを示した。
【0124】
実施例8
黒色腫の診断とGV1001ペプチド(配列番号:10)のワクチン接種の後に臨床的ノン・レスポンダーだった6名の患者を調査した。これらの患者はすべてステージIVの黒色腫患者で、長期生存者である黒色腫患者P7及びP8と同じGV1001ワクチン接種の治験に参加した(実施例6を参照)。これらの患者は、上記ワクチンに対する免疫応答があるが、それでも生存期間が短かった患者の中から無作為に選択された。このうち5名の患者は病勢の進行も経験し、また1名(黒色腫P3)の患者は多少の病勢安定を経験したが、それでも生存期間は短かった。一連のペプチドに対する各患者の増殖性T細胞応答を、一時点で実施例1と同じ方法で決定した。各患者がGV1001ワクチン接種に対して免疫学的に応答したことを確認する、治験期間中の各患者のGV1001ペプチドに対するピーク応答も示された。
【0125】
結果を表8に示し、図16にグラフで示した。また、ペプチドの呼称の対応関係は表6に示す。
【表8】


6名の患者はすべて、配列番号:1、7、8及び9のペプチドへの応答が非常に少ないか又はゼロを示した。
【0126】
実施例1〜8の結論
実施例1〜8で調査した患者を表9にまとめる。すべての患者はGV1001ペプチドに対して免疫学的に応答した。各患者を、病勢安定(SD)、腫瘍退縮(PR又はCR)及び予想外の長期生存などの臨床応答に基づいて、臨床的レスポンダー又は臨床的ノン・レスポンダーのいずれかに分類した。臨床的レスポンダーと臨床的ノン・レスポンダーは、いずれも同一又は類似のワクチンの治験から選択した。
【表9】

【0127】
ここで提示されたデータは、少なくとも一部の個体において、配列番号:1〜9のペプチドのいずれかの個体への投与が、投与されたペプチドに対するT細胞応答を誘発することを強く示唆する。他のhTERTペプチドワクチン又はトランスフェクトされた樹状細胞が投与された患者での配列番号:1〜9のペプチドに対するT細胞応答の存在は、配列番号:1〜9のペプチドに患者のMHC分子が結合してこれを提示し得ること、及び患者がその持ち駒として、上記ペプチドが提示された際にそれと結合できるT細胞を有することを示す。このため、配列番号:1〜9のペプチドが個体に投与された時に、上記ペプチドに対するT細胞応答が予想される。
【0128】
さらに、実施例6〜8で提供されたデータは、本明細書で記述される配列番号:1、7、8及び9のhTERTペプチドへのT細胞応答が、異なる形態の癌の患者における良好な臨床応答と結びついていることを明らかにする。hTERTワクチンで同様に治療され、このワクチンに応答した数名の短期生存者では、配列番号:1、7、8及び9のhTERTペプチドへの応答が散発的にしか観察されなかった。また、これらの短期生存者の一部では、GV1001ペプチドへの応答が強かったことも注目に値する。このペプチドへの免疫応答のある患者の過半数で生存期間が短かったことから、本発明者らは、この結果を、単一のペプチド(すなわちGV1001)のみへの反応では臨床応答/長期生存をもたらすには不十分なことを意味すると解する。
【0129】
このことは、患者が免疫応答を示したhTERTペプチドの数を患者の生存期間と比較する、図17に示した散布図分析によって確認される。図17に見られるように、生存期間の長期化と免疫応答をするhTERTペプチド数の多さとの間に明らかな相関がある。
【0130】
さらに、図18に示す分析は、GV1001のほかに2つ以上のhTERTペプチドに対して応答する患者は、GV1001のほかに0又は1個のhTERTペプチドへの免疫応答を示す患者に比べ、統計的に有意に生存期間が延びたことを明らかにする。
【0131】
そのうえ、本明細書で開示されるデータは、有益な免疫応答における配列番号:1、7、8及び9のhTERTペプチドの重大な役割を示す強力な証拠を提供する。したがって、これらの新規ペプチドの免疫活性化は、より多くの患者に臨床的に意味のある免疫応答を誘発し、結果的に、GV1001ペプチド単独のワクチン接種の場合よりも生存期間の伸びる患者数が増えるはずである。
【0132】
本発明者らは、臨床的に良好でない患者と異なり、臨床的レスポンダーでは無関係なペプチドのワクチン接種後に配列番号:1、7、8及び9のペプチドに対する応答が自然に起きることを実証している。この自然免疫の背後にあるメカニズムは、hTERTを持っている死んだ腫瘍細胞を飲み込み、上記hTERTタンパク質を自己のタンパク質分解機構で処理して、本明細書の配列番号:1、7、8及び9のペプチドに対応する自然処理による多量のhTERTペプチドの配列を産出した抗原提示細胞によるこれらのペプチドの提示であると考えられる。同ペプチドの多くがhTERTのmRNAをトランスフェクトされた抗原提示細胞(樹状細胞)によって免疫を得た患者から採取したT細胞によって認識され、またこれらの患者がワクチン接種後に異例の良好な経過をたどったという証明は、この概念をさらに強化する。本発明のペプチド又はこうしてすでに臨床的に効果が実証されたペプチドカクテルのワクチン接種を通じてこれらの応答を追加し、又は誘発することによって、はるかに多くの割合の患者の臨床応答及び生存期間の延長を誘発することが可能である。
【0133】
実施例9
ペプチドカクテルの製造のための混合に適するであろうペプチドの最も有効な組合せを求めて、実施例1〜8の結果を検討した。次の理由で、配列番号:1、7及び9のペプチドが相補効果を有することが観察された。
【0134】
配列番号:1、7及び9のそれぞれのMHC結合モチーフ並びに上記配列の免疫原性断片を表10に示す。
【表10】

【0135】
表10からわかるように、配列番号:1、7及び9のペプチド並びにその免疫原性断片は、Th又はCTLのいずれかのエピトープを提示する広範なHLA分子と結合できる。このため、これらのペプチドは非常に幅広い患者集団に対して免疫応答を起こすことができる。
【0136】
さらに、配列番号:1、7及び9のペプチドは、実施例6で報告した臨床的レスポンダーである患者について横断的に免疫原性が証明されており、また臨床的ノン・レスポンダーよりも臨床的レスポンダーにおいて比較的強い免疫応答が証明されている。
【0137】
より具体的には、配列番号:1のペプチドについて、臨床的ノン・レスポンダーでは10名中1名に免疫応答があったのに対し、臨床的レスポンダーでは7名中7名に免疫応答があった。応答性のある長期生存者のうち数名は、五量体分析によりCTL応答も示した。
【0138】
配列番号:7のペプチドについては、臨床的ノン・レスポンダーでは10名中1名に免疫応答があったのに対し、臨床的レスポンダーでは7名中5名に免疫応答があった。
【0139】
配列番号:9のペプチドについては、五量体分析で3名の患者(うち1名は増殖性応答を示す3名とは別人)が示したCTL応答に加え、臨床的ノン・レスポンダーでは10名中0名に免疫応答があったのに対し、臨床的レスポンダーでは7名中3名に免疫応答があった。
【0140】
したがって、この結果分析から、配列番号:1、7及び9のペプチドカクテルは広範囲の人間集団について高レベルの有効性を有すると予想されることを実証する。
【0141】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドであって、
i)配列番号:2、3、4、7又は8;
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列であって、該免疫原性断片が配列番号:6又は11〜16のいずれでもない配列;又は
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
から選択される配列を含み、
前記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満であり、かつ前記ポリペプチドが配列番号:10、46、56、57又は59〜62のいずれの配列も含まず、かつ配列番号:58の配列からなるものではない、ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、
i)配列番号:1;
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列であって、該免疫原性断片が配列番号:6、11〜16又は56のいずれでもないずれでもない配列;及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
から選択される配列を含み、
前記ポリペプチドの長さがアミノ酸100個未満であり、かつ配列番号:58の配列からなるものではない、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記免疫原性断片が、配列番号:17〜40のいずれか1つの配列を有する、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドの長さが、アミノ酸80個、50個、30個、20個又は11個以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子。
【請求項6】
ポリペプチドカクテルであって、
i)配列番号:2〜7;
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列;及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含む少なくとも2つの異なるポリペプチドを含み、
前記ポリペプチドの長さが、アミノ酸100個未満である、ポリペプチドカクテル。
【請求項7】
少なくとも1つのポリペプチドが、
i)配列番号:1、7、8、9又は10;
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列;及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含み、
前記ポリペプチドの長さが、アミノ酸100個未満である、請求項6に記載のポリペプチドカクテル。
【請求項8】
前記少なくとも2つの異なるポリペプチドが、
i)配列番号:1の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:7の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:9の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドとのカクテル;
ii)配列番号:1の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:8の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:9の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドとのカクテル;及び
iii)配列番号:1の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:8の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドと、配列番号:10の配列又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含むその免疫原性断片を含むポリペプチドとのカクテル、
からなる群から選択されるポリペプチドカクテルを含み、
前記各ポリペプチドの長さが、アミノ酸100個未満である、請求項6又は7に記載のポリペプチドカクテル。
【請求項9】
前記各免疫原性断片が、配列番号:17〜40のいずれか1つの配列を有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載のポリペプチドカクテル。
【請求項10】
核酸分子カクテルであって、
i)配列番号:2〜7;
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列;及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる少なくとも2つの異なる核酸分子を含み、
前記ポリペプチドの長さが、アミノ酸100個未満である、核酸分子カクテル。
【請求項11】
少なくとも1つの核酸分子が、
i)配列番号:1、7、8、9又は10;
ii)少なくとも8個のアミノ酸を含むi)の免疫原性断片の配列;及び
iii)i)又はii)と少なくとも80%の配列同一性を有する配列、
からなる群から選択される配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなり、
前記ポリペプチドの長さが、アミノ酸100個未満である、請求項10に記載の核酸分子カクテル。
【請求項12】
前記少なくとも2つの異なる核酸分子が、
i)配列番号:1で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:7で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:9で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子とのカクテル;
ii)配列番号:1で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:8で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:9で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子とのカクテル;及び
iii)配列番号:1で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:8で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子と、配列番号:10で表される第一配列又は第一配列と少なくとも80%の配列同一性を有する第二配列又は少なくとも8個のアミノ酸を含む第一配列又は第二配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列からなる核酸分子とのカクテル、
からなる群から選択される核酸分子カクテルを含み、
各ポリペプチドの長さが、アミノ酸100個未満である、請求項10又は11に記載の核酸分子カクテル。
【請求項13】
前記各免疫原性断片が、配列番号:17〜40のいずれか1つの配列を有する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の核酸分子カクテル。
【請求項14】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項5に記載の核酸分子、請求項6〜9のいずれか1項に記載のポリペプチドカクテル、又は請求項10〜13のいずれか1項に記載の核酸分子カクテル、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤若しくは賦形剤、並びに任意で別の治療成分を含む、医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリペプチド、核酸分子、ポリペプチドカクテル又は核酸分子カクテルが、50〜200μgの量で存在する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項5に記載の核酸分子、請求項6〜9のいずれか1項に記載のポリペプチドカクテル、請求項10〜13のいずれか1項に記載の核酸分子カクテル、又は請求項14若しくは15に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者の癌の治療又は予防方法。
【請求項17】
医療上使用するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項5に記載の核酸分子、請求項6〜9のいずれか1項に記載のポリペプチドカクテル、請求項10〜13のいずれか1項に記載の核酸分子カクテル、又は請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
癌の治療又は予防に使用するための、請求項17に記載のポリペプチド、核酸分子、ポリペプチドカクテル、核酸分子カクテル又は医薬組成物。
【請求項19】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項5に記載の核酸分子、請求項6〜9のいずれか1項に記載のポリペプチドカクテル、請求項10〜13のいずれか1項に記載の核酸分子カクテル、又は請求項14若しくは15に記載の医薬組成物の使用であって、癌の治療又は予防のための医薬を製造するための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−519385(P2013−519385A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553234(P2012−553234)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000980
【国際公開番号】WO2011/101173
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512212726)オスロ ユニバーシティ ホスピタル エイチエフ (1)
【Fターム(参考)】