説明

ポリマーを主成分とするフィルムおよびこれから製造した薬物放出系

本発明は、非-自己凝集性で、均一な不均質性を示す、フィルム製品およびその製造方法に関するものである。望ましくは、該フィルムは、水中で崩壊し、また制御された乾燥方法により、あるいは該フィルムの所定の均一性を維持する他の方法により製造できる。該フィルムは、場合により少なくとも1種の追加のポリマーとブレンドされた、ポリエチレンオキサイドを含むポリマー成分を含有する。あるいはまた、該フィルムは、場合により少なくとも1種の追加のポリマーとブレンドされた、ポリビニルアルコールを含むポリマー成分を含有する。該フィルムは、また薬学的および/または化粧学的活性薬剤を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解性フィルムおよびその製造方法に係る。該フィルムは、場合により少なくとも1種の追加のポリマーとブレンドされた、ポリエチレンオキサイドを含有する、ポリマー成分を含むことができる。該フィルムは、また、場合により少なくとも1種の追加のポリマーとブレンドされた、ポリビニルアルコールを含有する、ポリマー成分を含むことができる。
【0002】
該フィルムは、また該フィルム全体に渡り均等に分配された活性成分をも含むことができる。この均等なまたは均一な分布は、1またはそれ以上のパラメータを調節することにより、および特にフィルム製造前またはその製造中に、エアーポケットを排除し、および該フィルムが中実構造に成形される際に、該フィルム内の該成分の凝集または凝塊化を減じる、乾燥工程の使用によって、達成される。
【背景技術】
【0003】
活性成分、例えば薬物または薬剤は、錠剤として調製して、正確かつ一定の用量を保証することができる。しかし、この医薬調製および分配形態(療法)は、取扱い得るサイズを得るべく、大量の佐剤を添加する必要があること、より大規模の投薬のためには、追加の保存スペースを要すること、および調剤が、不正確となる傾向のある、錠剤の計数を含むこと等を包含する、多くの欠点を有する。更に、人口の28%にも及ぶものと推定される多くの人々が、錠剤嚥下の困難さを訴えている。錠剤は、嚥下困難を克服する手段として、より小さな断片に砕くか、あるいは圧潰することもできるが、多くの錠剤または丸剤形状のものにとって適当な解決策ではない。例えば、錠剤または丸剤形状のものを圧潰または破壊して、単独でまたは食物との混合物として、その摂取を容易にすることは、その制御放出特性を損なう恐れもある。
【0004】
錠剤または丸剤に代わるものとして、活性成分、例えば薬物、薬剤等を担持するのに、フィルムを使用することができる。しかし、歴史的にフィルムおよび該フィルムから薬物放出系を製造する方法は、その実用化を妨げている幾つかの望ましからぬ特性を有している。
【0005】
薬理的に活性な成分を配合したフィルムは、Fuchs等に付与された、期限切れの米国特許第4,136,145号(Fuchs特許)に記載されている。これらのフィルムは、シートに成形し、乾燥し、次いで各単位用量に裁断することができる。該Fuchs特許では、水溶性ポリマー、界面活性剤、香料、甘味料、可塑剤および薬物の組合せを含む、均一なフィルムが得られたものと主張している。これらの申し立てによる可撓性フィルムは、経口、局所または経腸投与にとって有用であるものとして記載されている。該Fuchs特許に記載されている特定の用途の例は、該フィルムの、口、直腸、膣、鼻および耳の領域を含む、身体の粘膜領域に対する適用を含む。
【0006】
しかし、該Fuchs特許に記載された方法に従って製造したフィルムを検討すると、このようなフィルムは、粒子の凝集または団塊化、即ち自己凝集を引起し、本来的に不均一なものとなってしまうことが明らかとなる。この結果は、該Fuchs特許のプロセスパラメータに起因する可能性があり、該パラメータは、適切に記載されてはいないが、比較的長い乾燥期間を含み、そのために、このような凝集体を生成するように、分子間引力、対流作用、空気流等が作用し易くなっている。
【0007】
この凝集体の形成は、該フィルムの成分、また同様に存在するあらゆる活性成分をランダムに分布させる。大用量が関与する場合、該フィルムのサイズにおける僅かな変化が、フィルム当たりの該活性成分の量における大きな差異に導くであろう。このようなフィルムが、低用量の活性成分を含む場合、該フィルムの一部分は、如何なる活性成分をも、実質的に含まないものとなる恐れがある。フィルムのシートは、通常単位投与剤形に裁断されるので、結果として幾つかの単位投与剤形は、推奨される治療に必要な活性成分を含まないか、あるいは該治療にとって不十分な量の活性成分を含むことになる恐れがある。該裁断されたフィルム中の活性成分の量に関して、高い精度を達成できないことは、治療すべき患者にとって有害であり得る。そのために、該Fuchs特許等の方法により作成された投与剤形は、単位剤形における活性成分の変動に係る、政府または取締り機関、例えばU.S.フェデラルドラッグアドミニストレーション(Federal Drug Administration: “FDA”)の厳密な基準を満たさない恐れがある。一般的に、様々な世界的取締り機関によって要求されているように、投与剤形では、存在する活性成分の量において、10%を越えて変動してはならない。フィルムを基本とする投与単位に適用される場合、このことは、完全に、該フィルムにおける均一性が存在すべきことを指示している。
【0008】
フィルムの不均一性に導く、上記自己-凝集の問題は、Schmidtに付与された米国特許第4,849,246号(Schmidt特許)において扱われている。該Schmidt特許では、Fuchsによって開示された方法が、均一なフィルムを与えないことを具体的に指摘し、また不均一なフィルムの生成が、必然的に正確な薬剤の服用を阻害し、上で論じた如く、これが製薬の分野においては特に重大であることを認めた。Schmidtは、Fuchsによって記載された如き単層フィルムが、正確な投与剤形を与えることができるという認識を放棄し、その代りにこの問題を、多層フィルムを製造することによって解決しようと試みた。更に、彼の方法は、高い経費を要し、また複雑さをもたらす、多段法であり、工業的利用にとって実用的なものではない。
【0009】
他の米国特許は、従来のフィルム製造技術に固有の、粒子の自己-凝集および不均一性の問題を直接扱った。不均一性を克服するための一試みにおいて、Horstmann等に付与された米国特許第5,629,003号およびZerbe等に付与された米国特許第5,948,430号では、該フィルム内の成分の凝集性を減じるために、該フィルムを乾燥する前に、付随的な成分、即ち夫々ゲル形成剤および多価アルコールを配合して、その粘度を高めた。これらの方法は、追加の成分を必要とするという欠点を有し、該追加の成分の使用は、コスト増につながり、また製造工程を増やす。更に、これら2つの方法は、従来の時間浪費の乾燥方法、例えばオーブン乾燥機、トンネル乾燥機、真空乾燥機または他のこのような乾燥装置を用いる、高温空気浴の使用を含む。この長期間に及ぶ乾燥時間は、粘度改良剤の使用にも拘らず、該活性成分および他の佐剤の凝集促進を助ける。このような方法は、また該活性成分、即ち薬物またはビタミンC、もしくはその他の成分を、無効または更に有害なものとする恐れのある湿度および高温度に、これらを長期間暴露する危険性をも有する。
【0010】
長期間に及び水分に暴露した際の活性成分の劣化に係る問題に加えて、従来の乾燥方法自体は、均一なフィルムを与えることができない。しばしば「熱履歴」と呼ばれる、従来の処理中の熱に対する暴露期間の長さ、およびこのような熱を適用する方法は、フィルム製品の形成および得られる該フィルムの形態に直接的な影響を及ぼす。活性成分としての薬物の配合に極めて適した比較的厚いフィルムが望ましい場合に、従来の乾燥方法によって、均一性を達成することは、特に困難である。より厚みのある均一なフィルムを得ることは、更に一層困難である。というのは、該フィルムの表面および該フィルムの内部部分が、乾燥中に同時に同一の外部条件に置かれることがないからである。従って、このような従来の方法によって製造した比較的厚いフィルムを観察すると、対流および分子間力によって引起される不均一な構造を持つことが示され、また可撓性を維持するために、10%を越える水分が必要とされる。遊離水分の量は、しばしば長時間に渡り、該薬物の薬効発揮を妨害し、従って最終製品の不一致をもたらす。
【0011】
従来の乾燥法は、一般的に、オーブン乾燥、トンネル乾燥等を利用した強制高温空気の使用を含む。均一なフィルムを得ることの困難さは、該フィルム形成組成物のレオロジー特性および該組成物中の水の蒸発過程と直接関連している。水性ポリマー溶液の表面が、高温の空気流、例えば高温エアオーブンを通過するフィルム-形成組成物と接している場合、該表面水は、即座に蒸発して、その表面上にポリマーフィルムまたはスキンを形成する。これは、該表面下部の該水性フィルム-形成組成物の残部を封止して、バリアを形成するが、乾燥フィルムを完成するために、残りの水が蒸発する際に、該水は、無理矢理このバリアを通り抜ける必要がある。該フィルム外部の温度が、増大し続けると、水の蒸気圧が、該フィルム表面下部で増大し、該フィルムの表面を伸張させ、また最終的に該フィルム表面を引裂いて開放させ、該水蒸気の逃散を可能とする。該水蒸気が逃散するや否や、該ポリマーフィルム表面が再生され、また該フィルムが完全に乾燥されるまで、このような過程が繰り返される。該フィルム表面の、このような反復的破壊および再生の結果は、「波シワ形成効果」として観測され、これは斑のある、結果的に不均質なフィルムを生成する。しばしば、該ポリマーに依存して、表面は、残留する水の除去を困難にする程に、密に封止され、極めて長い乾燥時間および高い温度の使用を要し、かつより高いエネルギーコストの必要性へと導くであろう。
【0012】
他のファクタ、例えば混合技術等も、商品化するのに適したかつ取締り機関の承認が得られる、薬理的フィルムの製造においてある役割を演じている。該混合工程中またはその後の該フィルムの調製中に、空気が該組成物中に取込まれる可能性があり、これは該乾燥段階中に、該フィルム製品内の水分が蒸発するにつれて、該フィルム製品内に空孔を残す恐れがある。該フィルムは、しばしば該空孔の周りで潰れて、斑のあるフィルム表面、およびその結果として該最終的なフィルム製品の不均一性をもたらす。均一性は、気泡によって発生した該フィルム内の空孔が潰れない場合においてさえ、依然として気泡によって影響を受ける。この状況は、また均一に分布していない空隙が、該フィルム組成物によって占有されるはずの領域を占有するという意味で、不均一なフィルムを与える。上記特許の何れも、該フィルムに導入されている空気に起因する、上記の問題を取扱っておらず、また該問題に対する解決策を提案してもいない。
【0013】
従って、最小数の材料または成分を使用し、しかも実質的に非自己-凝集性で均一な、不均質性を、該フィルムの領域全体に渡りもたらす、フィルム製品の製法およびそのための組成物に対する要求がある。望ましくは、このようなフィルムは、所定の粘度を与えるポリマーまたはその組合せの選択、フィルム-形成法、例えばリバースロール塗布法の選択、および非自己-凝集性成分の均一な分布を維持するのに役立つ、制御された、望ましくは迅速な乾燥法の選択によって製造され、その際に従来特許、例えば上記のHorstmannおよびZerbeの特許に記載された製品および方法において必要とされるような、ゲル形成剤または多価アルコール等を添加する必要はない。該フィルムでは、また望ましくは、その内部における気泡を実質的に減じあるいは排除し、結果的に最終的なフィルム製品の均一性を高める、組成物と製造方法とを組合せる。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、溶解性フィルム製品を目的とし、該フィルム製品は、ポリエチレンオキサイド単独、またはこれと親水性セルロースポリマーとの組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマーを含有し、該フィルム製品は、添加された可塑剤を含まないものである。
【0015】
本発明の他の局面においては、溶解性フィルム製品が提供され、該フィルム製品は、ポリマーを含有する。該ポリマーは、ポリビニルアルコール単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む。該追加のポリマー成分は、例えばセルロースポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アルギネート、ペクチン、またはこれらの組合せである。好ましい一態様において、該フィルム製品は、添加された可塑剤を含まないものである。
【0016】
該水溶性フィルム製品のもう一つの態様は、約20〜100質量%なる範囲のポリエチレンオキサイド、約0〜80質量%なる範囲の少なくとも1種の追加のポリマー成分を含有する、少なくとも1種の水溶性ポリマー;活性成分;スクラロース;沈降炭酸カルシウム;少なくとも1種の香料;シメチコン;水;および少なくとも1種の着色剤を含み、該フィルム製品は、添加された可塑剤を含まないものである。
【0017】
該水溶性フィルムのもう一つの態様は、約0.5〜80質量%なる範囲のポリビニルアルコール;約0〜95質量%なる範囲の少なくとも1種の追加のポリマー成分;活性成分;甘味料;および少なくとも1種の香味料を含む。
【0018】
本発明の更に別の態様は、フィルム組成物の形状にある、喫食性で水溶性の放出系を目的とするものであり、該放出系は、ポリエチレンオキサイド単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマーを含有し、ここで該喫食性かつ水溶性の放出系は、添加された可塑剤を含まないものである。
【0019】
本発明の更に他の態様は、フィルム組成物としての、喫食性で水溶性の放出系を目的とするものであり、該放出系は、ポリビニルアルコール単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマーを含有する。
【0020】
本発明の更に別の態様においては、成分の実質的に均一な分布を持つ、フィルムの製造方法が提供され、該方法は、以下の各工程:(a) ポリエチレンオキサイド単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;(b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および(c) 該フィルムを乾燥する工程を含み、ここで該フィルムは、添加された可塑剤を含まない。
【0021】
本発明のもう一つの態様においては、成分の実質的に均一な分布を持つ、フィルムの製造方法が提供され、該方法は、以下の各工程:(a) ポリビニルアルコール単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;(b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および(c) 該フィルムを乾燥する工程を含む。
【0022】
本発明のもう一つの局面においては、成分の実質的に均一な分布を持つ、フィルムの製造方法が提供される。この方法は、(a) ポリエチレンオキサイド単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;および(b) 該マトリックスを押出して、フィルムを製造する工程を含み、ここで該フィルムは、添加された可塑剤を含まない。
【0023】
本発明のもう一つの態様においては、成分の実質的に均一な分布を持つ、フィルムの製造方法が提供され、この方法は、(a) ポリビニルアルコール単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;および(b) 該マトリックスを押出して、フィルムを製造する工程を含む。
【0024】
本発明のもう一つの局面においては、喫食可能で可撓性のフィルム製品が提供され、該フィルム製品は、以下の諸工程:(a) ポリエチレンオキサイド単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;(b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および(c) 該フィルムを乾燥する工程によって製造され、ここで該フィルムは、添加された可塑剤を含まない。
【0025】
本発明のもう一つの態様においては、喫食可能で可撓性のフィルム製品が提供され、該フィルム製品は、以下の諸工程:(a) ポリビニルアルコール単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程; (b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および(c) 該フィルムを乾燥する工程によって製造される。
【0026】
本発明のもう一つの態様においては、活性成分を、哺乳動物に舌下投与する方法が提供される。この方法は、溶解性フィルム製品を提供する工程を含み、ここで該フィルム製品は、以下の成分:i) ポリエチレンオキサイド単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むポリマー、およびii) 活性成分を含み、ここで該フィルム製品は、添加された可塑剤を含まない。この方法は、更に該哺乳動物の舌下領域に、該フィルムを配置する工程をも含む。
【0027】
本発明の他の態様においては、活性成分を、哺乳動物に舌下投与する方法が提供され、この方法は、溶解性フィルム製品を提供する工程を含み、ここで該フィルム製品は、以下の成分:i) ポリビニルアルコール単独、またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むポリマー、およびii) 活性成分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の単位投与フィルムを含む包装体の側面図である。
【図2】図2は、引裂くことのできるミシン目によって分離されている、本発明の個々の単位投与剤形を含む、2つの隣接状態で結合された包装体の平面図である。
【図3】図3は、重ね合わせた構成で配置された図2の隣接状態で結合された包装体の側面図である。
【図4】図4は、該包装された単位投与剤形を、小出しするためのディスペンサを示す斜視図であり、該ディスペンサは、重ね合わされた構成にある、該包装された単位投与剤形を含んでいる。
【図5】図5は、本発明の結合された単位用量の包装体のロールを示す、模式的な図である。
【図6】図6は、プレミックスの製造、活性成分の添加、およびその後の本発明のフィルムの製造に適した装置の模式的な図である。
【図7】図7は、本発明のフィルムを乾燥するのに適した装置の模式的な図である。
【図8】図8は、本発明の乾燥工程を示す、逐次的表示である。
【図9】図9は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図10】図10は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図11】図11は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図12】図12は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図13】図13は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図14】図14は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図15】図15は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図16】図16は、従来の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図17】図17は、本発明の乾燥方法によって乾燥したフィルムを、写真で示した図である。
【図18】図18は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図19】図19は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図20】図20は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図21】図21は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図22】図22は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図23】図23は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図24】図24は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図25】図25は、本発明の乾燥方法によって乾燥した、脂肪被覆粒子を含むフィルムを、顕微鏡写真で示した図である。
【図26】図26は、80℃にて9分間加熱された、フィルム中にはない、脂肪被覆粒子を、顕微鏡写真で示した図である。
【図27】図27は、80℃にて9分間加熱された、フィルム中にはない、脂肪被覆粒子を、顕微鏡写真で示した図である。
【図28】図28は、加工前の、室温における脂肪被覆粒子を、顕微鏡写真で示した図である。
【図29】図29は、加工前の、室温における脂肪被覆粒子を、顕微鏡写真で示した図である。
【図30】図30は、加工前の、室温における脂肪被覆粒子を、顕微鏡写真で示した図である。
【図31】図31は、加工前の、室温における脂肪被覆粒子を、顕微鏡写真で示した図である。
【図32】図32は、ウシ由来のタンパク質を含む本発明のフィルムを、ヒトに摂取させた後の、ヒトの血液に関するマイクロアレイを、グラフで表した図である。
【図33】図33は、乾燥中の、本発明のフィルムの内部と外部との間の温度差を、グラフで表した図である。
【図34】図34は、乾燥中の、本発明のフィルムの内部と外部との間の温度差を、グラフで表した図である。
【図35】図35は、本発明による、連続-結合ゾーン式乾燥装置を、模式的に示した図である。
【図36】図36は、本発明による、分離ゾーン式乾燥装置を、模式的に示した図である。
【図37】図37は、本発明のフィルムを製造するのに使用する、押出装置を、模式的に示した図である。
【図38】図38は、PEO/ポリマーブレンドを含むフィルム組成、および該フィルムの諸特性を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の目的にとって、該用語「非-自己凝集性の均一な不均質性」とは、本発明のフィルムの能力を意味し、該フィルムは、極性溶媒に加えて、1またはそれ以上の成分から形成され、フィルムは、従来の乾燥法、例えばオーブン乾燥機、トンネル乾燥機、真空乾燥機、または他のこの種の乾燥装置を使用する、高温空気浴等によって製造した場合に、通常経験するような、該フィルム内の各成分の凝集または凝塊物の発生を、実質的に減じ、即ちこれらを殆どまたは全く発生することがない。本発明において使用する用語「不均質性」とは、単一の成分、例えばポリマー、並びに成分の組合せ、例えばポリマーと活性成分との組合せを配合したフィルムを包含する。均一な不均質性とは、フィルムを製造するために使用される、従来の混合および加熱乾燥法において普通に見られるような、凝集または凝塊物が実質的に存在しない状態を含む。
【0030】
その上、本発明のフィルムは、実質上均一な厚みを持ち、これも、水性ポリマー系を乾燥するために使用される、従来の乾燥方法の使用によっては得られない結果である。厚みが均一でないことは、与えられたフィルムの領域全体に渡る、成分の均一分布性に有害な影響を及ぼす。
【0031】
本発明のフィルム製品は、場合により活性成分並びに当分野において公知の他のフィラーを含有する、適切に選択されたポリマーと極性溶媒との組合せによって作成される。これらのフィルムは、選択された注型法または堆積法および制御された乾燥法を利用することにより、該フィルム内部における、該各成分の、非-自己凝集性で均一な不均質性をもたらす。制御された乾燥法の例は、Magoonに付与された米国特許第4,631,837号(以下Magoonの特許という;これを参考としてここに組入れる)に記載された装置の使用、並びに底部基板および底部加熱プレートを横切る高温空気衝撃を含むが、これらに限定されない。本発明のフィルムを得るためのもう一つの乾燥技術は、未制御の空気流のない、制御輻射乾燥、例えば赤外または高周波輻射(即ち、マイクロ波)乾燥法である。
【0032】
この乾燥工程の目的は、最初に該フィルムの上部表面を乾燥し、結果として水分をその内部に取込む、従来の乾燥方法と関連する、上記した「波シワ形成」作用等の複雑さを回避する、該フィルムの乾燥方法を提供することにある。従来のオーブン乾燥法では、該内部に取込まれた水分が、その後に蒸発するので、該フィルムの上部表面が、引裂かれて開放され、次いで表面が再度形成される。これらの複雑さは、本発明によって回避され、また該フィルムの底部表面をまず乾燥し、あるいはまた該フィルムの深部が乾燥される前に、該フィルムの上部表面上のポリマーフィルム(スキン)の生成を回避することにより、均質なフィルムが提供される。これは、実質的に上部空気流の存在なしに、該フィルムの底部表面に熱を適用し、あるいはまた制御されたマイクロ波を導入して、この場合にも実質的に上部空気流の存在なしに、該フィルム内の水または他の極性溶媒を蒸発させることによって、達成することができる。更にまた、乾燥は、釣合のとれた流体流、例えば釣合のとれた空気流によって達成することができ、ここで該底部および上部空気流は、均一なフィルムを与えるように制御されている。このような場合において、該フィルムの上部に案内された該空気流は、該空気流によって発生する力のために、該湿潤フィルム内に存在する粒子の移動を生じるような条件を生成してはならない。付随的に、該フィルムの底部に向けられた空気流は、望ましくは該フィルムが、該空気による力によって持上げられないように制御すべきである。該フィルム上下何れかにおける、制御されていない空気流は、最終的なフィルム製品に不均一性を生じる恐れがある。該上部表面を取巻く領域の水分のレベルをも、適切に調節して、該ポリマー表面の早期の閉塞またはスキン形成を回避することもできる。
【0033】
このフィルム乾燥法は、幾つかの利点をもたらす。中でも、迅速な乾燥時間および該フィルムのより高い表面の均一性、並びに該フィルムの任意の与えられた領域に関する、成分の均一分布性がある。更に、該迅速な乾燥時間は、該フィルム内での迅速な粘性の確立を可能とし、更に各成分の均一分布を促進し、また最終的なフィルム製品における各成分の凝集を減じる。望ましくは、該フィルムの乾燥は、約10分またはそれ以下、またはより望ましくは約5分間またはそれ以下の期間内に起るであろう。
【0034】
本発明は、該組成物各成分の凝集を減じるように注意を払った場合に、例外的に均一なフィルム製品を生成する。該混合工程における過度の空気の導入を回避し、かつこれを排除し、ポリマーおよび溶媒を、制御可能な粘度を与えるように選択し、かつ底部から上部へと迅速に該フィルムを乾燥することによって、このようなフィルムが得られる。
【0035】
本発明の生成物および方法は、フィルム内での該各成分の自己-凝集が実質的に減じられたフィルムを与えるために、該フィルム製造の様々な段階間の相互作用に依っている。具体的には、これらの段階は、該フィルムを製造するのに利用される特定の方法および該フィルムの乾燥方法を含み、該特定の方法は、該組成物、即ち混合物による気泡の取込みを防止し、かつ該フィルム形成組成物の粘度を制御する。より詳しくは、該活性成分が該選択された極性溶媒に不溶である場合に、該活性成分の沈降を防止する目的で、該混合物中の各成分が大きな粘度を持つことは、特に有用である。しかし、該粘度は、望ましくは実質的に一貫した厚みを持つフィルムを与え得る能力のために、リバースロール塗布を含む、選択された注型方法を妨害または阻害する程に高いものであってはならない。
【0036】
該フィルムまたはフィルム形成成分またはマトリックスの粘度に加えて、所望のフィルムの均一性を達成するために、本発明によって考慮されるべきその他の要件がある。例えば、安定な懸濁液が得られ、これは、非-コロイド用途において、固体(例えば、薬物粒子)の沈降を防止する。本発明により与えられた一つの方法は、該粒状物の密度(ρp)と該液相の密度(ρ1)とを釣合わせ、また該液相の粘度(μ)を高めることである。孤立粒子に関連して、ストークスの法則は、粘性流体中の半径(r)を持つ剛性球状体の終端沈降速度(Vo)を以下のように関連付けている:
Vo = (2grr)(ρp - ρl)/9μ
【0037】
しかし、高い粒子濃度において、局所的粒子濃度は、局所的な粘度および密度に影響を与える。該懸濁液の粘度は、固体体積分率の強関数(strong function)であり、また粒子-粒子および粒子-液体間相互作用は、沈降速度を更に妨害するであろう。
【0038】
ストークス解析は、第三の相、即ち分散空気または窒素等の配合は、例えば懸濁安定性を高めることを示している。更に、粒子数の増大は、該固体体積分率に基く沈降阻害作用に導く。希薄粒子懸濁液において、沈降率(v)は、以下の式で表すことができる:
v/Vo = 1/(1 + κΦ)
ここで、κは定数であり、またΦは該分散相の体積分率である。該液相におけるより多量の懸濁粒子は、低い粘度をもたらす。粒子の幾何形状も、重要なファクタである。というのは、該粒子の寸法は、粒子-粒子流動相互作用に影響を与えるからである。
【0039】
同様に、該懸濁液の粘度は、分散固体の体積分率に依存する。非-相互作用性球形粒子の希薄懸濁液に関して、その粘度は、以下のように表すことができる:
μ/μo = 1 + 2.5φ
ここで、μoは、連続相の粘度であり、またφは、該固体の体積分率である。より高い体積分率においては、該分散体の粘度は、以下の式で表すことができる:
μ/μo = 1 + 2.5Φ+ C1Φ2 + C2Φ3 + ・・・・・
ここでCは定数である。
【0040】
該液相の粘度は、臨界的であり、また望ましくは、低い降伏応力値を持つ、粘弾性の非-ニュートン流体に対して、該液体組成物をカスタマイズすることによって、変えることができる。これは、静止状態にある高粘性の連続相を生成することと等価である。粘弾性を持つまたは高度に構造化された流体相の形成は、粒子の沈降に対する、付随的な抵抗力を与える。更に、凝集または凝塊を制御して、粒子-粒子間相互作用を、最小化することができる。その正味の効果は、均質な分散相の保存であろう。
【0041】
該懸濁液の水性相へのヒドロコロイドの添加は、粘度を増大し、また粘弾性を生じることができ、また該ヒドロコロイドの型、その濃度および該粒子の組成、幾何形状、サイズおよび体積分率に依存して、安定性を付与することができる。該分散相の粒度分布は、該高粘度媒体中の、実現可能な最小の粒径、即ち<500μmを選択することによって、制御する必要がある。僅かな降伏応力の存在または低剪断速度における弾性体の存在も、また該見掛けの粘度とは無関係に、永続的な安定性を誘起し得る。臨界的粒子径は、該降伏応力値から算出することができる。孤立球形粒子の場合には、所定粘度を持つ媒体を介して沈降する際に、発現する最大剪断応力は、以下の式で与えられる:
τmax = 3Vμ/2r
【0042】
疑似塑性流体に関連して、この剪断応力発生過程における粘度は、ニュートンプラトーにおいて、殆どゼロ剪断速度粘度であり得る。
【0043】
安定な懸濁は、フィルム注型装置に供給すべき、プレミックス組成物製造のために、並びに十分な乾燥を行って、均一性を維持するのに十分に、該粒子およびマトリックスの固体形状での閉じ込めが生じるまで、該湿潤フィルム段階における、この安定性を維持するために重要な特徴である。粘弾性流体系に対して、長期間、例えば24時間に渡って安定な懸濁液を生成するレオロジーは、高速フィルム注型操作の要件と釣り合わなければならない。これらのフィルムに対する所望の特性は、剪断減粘性または疑似可塑性であり、ここで該粘度は、剪断速度の増加に伴って減少する。時間依存性剪断作用、例えばチキソトロピーも、有利である。構造的回復および剪断減粘性挙動は、該フィルムが形成されるにつれて、自己-平坦化する能力と同様に、重要な特性である。
【0044】
本発明の組成物およびフィルムに関連する該レオロジー要件は、極めて過酷なものである。これは、例えば広い剪断速度範囲全体に渡り、許容される粘度値を持つ、粘弾性流体マトリックスにおいて、30-60質量%なる濃度の、安定な粒子懸濁液を製造する必要があることによる。混合、ポンプ輸送、およびフィルム注型中、10-105 sec-1なる範囲内の剪断速度を経験する可能性があり、また疑似可塑性は好ましい態様である。
【0045】
フィルムの注型または被覆において、レオロジーは、また所望の均一性を持つフィルムを形成する能力に関して、決定的因子(defining factor)である。剪断粘度、伸張粘度、粘弾性、構造性回復は、該フィルムの性能に影響するであろう。一例として、剪断減粘性、疑似可塑性流体の平坦化については、以下の式が導かれている:
α (n-1/n) = αo(n-1/n) - ((n-1)/(2n-1))(τ/K)1/n (2π/λ)(3+n)/nh(2n+1)/nt
ここで、αは、表面波の振幅であり、αoは初期振幅であり、λは表面粗さの波長であり、および「n」および「K」両者は、粘度ベキ乗則指数である。本例において、平坦化の挙動は、粘度と関連付けられ、nの減少に伴って増大し、かつKの増大に伴って減少する。
【0046】
望ましくは、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、極めて迅速な構造回復性を有し、即ち該フィルムが、加工中に形成されるにつれて、その構造および組成の均一性において、バラバラに壊れることがなく、あるいは不連続になることがない。このような極めて迅速な構造回復性は、粒子の沈降および沈積を遅らせる。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、望ましくは剪断減粘性、疑似可塑性流体である。粘度および弾性等の特性を考慮したこのような流体は、薄いフィルムの形成および均一性の達成を促進する。
【0047】
従って、各成分の混合物における均一性は、多数の変数に依存する。ここに記載するように、これら成分の粘度、混合技術および得られる混合された組成物および湿式注型されたフィルムのレオロジー特性は、本発明の重要な局面である。また、粒子径および粒子形状の制御は、更に考察すべき点である。望ましくは、粒状物のサイズは、粒径で150μmまたはそれ以下、例えば100μmまたはそれ以下である。更に、このような粒子は、球形、実質的に球形の粒子、または非-球形状の粒子、例えば不規則形状の粒子または楕円形状の粒子であり得る。
楕円形状の粒子または楕円体は、球形粒子と比較して、低度に沈降する傾向を持つことから、これらが、該フィルム形成マトリックス中で均一性を維持する高い能力を持つために、これら楕円形状の粒子または楕円体が、望ましいものである。
【0048】
幾つかの技術を、該混合段階において使用して、該最終的なフィルムにおける気泡の混入を回避できる。該最終製品における気泡形成を実質的に伴わない、配合混合物を提供するために、消泡剤または表面張力低下剤を使用する。更に、該混合物生成速度を、望ましくは制御して、該配合物中に空気を引込むような、該混合物のキャビテーションを防止する。最後に、気泡の減少は、更に該配合物を、該フィルムを乾燥する前に、気泡が逃散するのに十分な時間放置することによっても達成できる。望ましくは、本発明の方法は、先ず活性成分、例えば薬物粒子または揮発性物質、例えば香味油の存在なしに、フィルム形成成分のマスターバッチを製造する。該活性成分は、注型の直前に、該マスターバッチのより少量の配合物に添加される。従って、該マスターバッチのプレミックスは、薬物または他の成分における不安定性に係る懸念なしに、長期間に渡り放置することができる。
【0049】
任意の添加剤および該活性成分に加えて、該フィルム形成ポリマーおよび極性溶媒を含む、該マトリックスを製造する場合、その製造は、多数の段階で行うことができる。例えば、該成分は、全て一緒に添加することができ、あるいはプレミックスを調製することができる。プレミックスの利点は、該活性成分以外の全ての成分を予め併合し、該活性成分を、該フィルム製造の直前に添加することができることにある。水、空気または他の極性溶媒に対する長期間の暴露により分解する恐れのある活性成分に対しては、このことは特に重要である。
【0050】
図6は、プレミックスの調製、活性成分の添加およびその後のフィルムの形成にとって適した、装置20を示す。上記フィルム形成ポリマー、極性溶媒、および薬物活性成分以外の任意の他の添加剤を含む、上記プレミックスまたはマスターバッチ22を、マスターバッチ供給タンク24に添加する。該プレミックスまたはマスターバッチ22の成分は、望ましくはこれらを該マスターバッチ供給タンク24に添加する前に、ミキサー(図示せず)内で製造される。次いで、所定量の該マスターバッチを、第一の計量ポンプ26および制御バルブ28を介して、第一および第二ミキサー30、30'の何れかまたは両者に、制御可能な状態で供給する。しかし、本発明は、2つのミキサー30、30'の使用に限定されず、任意の数のミキサーを適宜使用することができる。更に、本発明は、図6に示されたような並列配置等の、該ミキサー30、30'の如何なる特定の配列にも限定されるものではなく、ミキサーの他の配列または配置、例えば直列または並列と直列との組合せ等を、適宜使用することができる。所定量の該薬物または他の成分、例えば香料は、該ミキサー30、30'各々における開口32、32'を介して、所定のミキサーに添加される。望ましくは、該ミキサー30、30'における、該プレミックスまたはマスターバッチ22の滞留時間は最小化される。該プレミックスまたはマスターバッチ22に対して、該薬物を完全に分散させることが望ましいが、過度に長い滞留時間は、特に可溶性薬物の場合には、該薬物の溶出または溶解に導く恐れがある。従って、該ミキサー30、30'は、しばしば、該プレミックスまたはマスターバッチ22を製造するのに使用される第一のミキサー(図示せず)と比較して、より小型であり、即ちより短い滞留時間を持つ。該薬物を、該マスターバッチプレミックスと、均一なマトリックスを得るのに十分な時間混合した後、特定量の該均一なマトリックスを、次に第二の計量ポンプ34、34'を介して、パン36に供給する。計量ロール38は、フィルム42の厚みを決定し、また該フィルムを適用ロールに適用する。該フィルム42は、最終的に基板44上で形成され、また支持ロール46を介して搬送される。
【0051】
混合物における適当な粘度の均一性および粒子の安定な懸濁、および注型法は、均一性を確保するために、該組成物およびフィルム製造の初期段階において重要であるが、湿潤フィルムの乾燥法も重要である。これらのパラメータ及び諸特性は、初期の均一性の達成を助けるが、制御された迅速乾燥法は、該フィルムが乾燥されるまで、該均一性の維持を保証する。
【0052】
次に、ここに記載した通り、望ましくは該フィルムの上部(露出)表面48上に、外部空気流または熱が存在しない状態で、制御された底部乾燥または制御されたマイクロ波乾燥を利用して、該湿潤フィルムを乾燥する。有利には、制御された底部乾燥または制御されたマイクロ波乾燥は、従来技術の諸欠点を伴うことなしに、該フィルムからの蒸気の遊離を可能とする。従来の上部からの対流式空気乾燥は使用されない。というのは、この乾燥は、該フィルムの最上部において乾燥を開始し、結果として流体流、例えば蒸発する蒸気、および熱の流れ、例えば乾燥用の熱エネルギーに対するバリアを生成するからである。このように乾燥された上部部分は、該部分の下部が乾燥される際の、更なる蒸気の放出に対するバリアとして作用し、これは不均一なフィルムの形成に導く。前に述べたように、幾分かの上部空気流が、本発明のフィルムの乾燥を助けるのに利用できるが、不均一性を結果する、粒子の運動を生じあるいは該フィルムにおける波シワ形成作用を引起すような条件を生成するものであってはならない。上部における空気を利用する場合、不均一性の発生を回避し、かつキャリアベルト上でのフィルムの持上げを防止するために、該上部空気と、該底部空気乾燥とを釣合わせる。該底部空気流が主な乾燥源として機能し、かつ該上部空気流が副次的な乾燥源である場合に、上部および底部空気流の釣合いは、適切なものであり得る。幾分かの上部空気流存在の利点は、存在する蒸気を、該フィルムから追払い、結果として該全体としての乾燥工程において役立つ点にある。しかし、任意の上部空気流または上部乾燥の利用は、該組成物のレオロジー特性および該処理の機械的な特徴を含むが、これらに限定されない多数のファクタによって釣合わされなければならない。任意の上部流体流、例えば空気は、また該フィルム形成組成物の固有粘度を凌駕するものであってはならない。換言すれば、該上部空気流は、該組成物の表面を破壊し、歪めあるいは物理的に乱すものではあり得ない。更に、空気の速度は、望ましくは該フィルムの降伏値以下、即ち該フィルム形成組成物中の液体を運動させることのできる、任意の力のレベル以下である。薄いまたは低粘性組成物に対しては、低い空気速度を使用する必要がある。厚いまたは高粘性の組成物に対しては、より高い空気速度を使用することができる。更に、空気の速度は、該組成物から形成される該フィルムのあらゆる持ち上がりまたは他の運動を回避するように、望ましくは低いものである。
【0053】
更に、本発明のフィルムは、温度に対して感受性の高い粒子、例えば揮発性であり得る香料、または低い分解温度を持つ可能性のある薬物、タンパク質、または抗原を含むことができる。このような場合には、該乾燥温度を下げることができ、一方で本発明の均一なフィルムを十分に乾燥するために、乾燥時間を延長することができる。その上、底部乾燥は、また上部乾燥と比較して、より低い内部フィルム温度をもたらす傾向にある。底部乾燥において、蒸発する蒸気は、内部フィルム温度を下げる上部乾燥と比較して、該フィルムからより容易に熱を運び去る。このような低い初期フィルム温度は、しばしば薬物の分解を低下し、かつ幾つかの揮発性物質、例えば香料の喪失量を低下する。
【0054】
フィルムの製造中に、高温度にてフィルムを乾燥することが望ましい可能性がある。高い熱量の下での乾燥は、均一なフィルムを生成し、また高い効率でのフィルムの製造に導く。しかし、感受性の高い活性成分を含むフィルムは、高温度において、分解の問題と直面する恐れがある。分解は、「十分に定義された中間生成物の生成を示す、…化合物の分解」である(英語に関する米国の伝統的辞書(The American Heritage Dictionary of the English Language), 2000年, 第4版を参照のこと)。活性成分の分解は、これが該活性成分の不安定化、不活性化、および/または低い能力をもたらす可能性があることから、典型的には望ましいものではない。例えば、該活性成分が、薬物または生活性物質である場合、該分解は、最終的な薬剤生成物の安全性および効力に悪影響を及ぼす恐れがある。更に、著しく揮発性の高い物質は、従来の乾燥法で乾燥する場合に、該フィルムから急速に遊離する傾向を持つであろう。
【0055】
活性成分の分解は、個々の特定の活性成分に依存して、様々な過程、例えば加水分解、酸化、および光分解を通して起こり得る。その上、温度は、このような反応の速度に著しい影響を及ぼす。典型的に、該分解速度は、温度が10℃増す毎に2倍となる。従って、活性成分の高温度への暴露は、望ましからぬ分解反応を開始し、および/または促進するであろう。
【0056】
タンパク質は、長期間高温に暴露された際に、分解し、変性し、あるいはまた不活性化される、有用な活性成分の一部門である。タンパク質は、身体内で様々な機能、例えば酵素、構造要素、ホルモンおよび免疫グロブリン等の機能を果たす。タンパク質の例は、以下に列挙するものを含む:酵素、例えばパンクレアチン、トリプシン、パンクレリパーゼ、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、スーティレインズ、ストレプトキノウ(streptokinaw)、ウロキナーゼ、アルチプラーゼ(altiplase)、パパイン、ブロメラインズジアスターゼ、構造要素、例えばコラーゲンおよびアルブミン、ホルモン、例えばチロリベリン(プロチレリン)、ゴナドリベリン(gonadoliberin)、アドレノコルチコトロピン、コルチコトロピン、コシントロピン、ソメトレム(sometrem)、ソマトロピオン(somatropion)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、ソマトスタチン、バソプレシン、フェリプレシン、リプレシン、インシュリン、グルカゴン、ガストリン、ペンタガストリン、セクレチン、コレシストキニン-パンクレオチミン、および腫瘍増殖等の悪性細胞増殖の阻害および防止のために有用なサイトカインを包含する、糖タンパクに加えて多糖類を含むことのできる免疫調節薬。幾つかの有用な糖タンパク質を製造するのに適した方法は、Cannon-Carlson等に付与された米国特許第6,281,337号に記載されている。この特許の開示全体を、参考としてここに組入れる。
【0057】
100℃に近い温度は、一般にタンパク質並びに核酸の分解を引起すであろう。例えば、幾つかの糖タンパク質は、70℃なる温度に30分間暴露すると分解するであろう。ウシ由来のタンパク質抽出物も、このような低温度にて分解することが知られている。DNAは、またこの温度にて変性し始める。
【0058】
しかし、本出願人は、本発明のフィルムの調製並びに製造方法に起因して、分解、活性の喪失または過度の蒸発の問題を生じることなしに、本発明のフィルムが、該乾燥工程中に、高温度に暴露することができることを見出した。特に、該フィルムは、かかる問題を引起すことなしに、典型的には該活性成分の分解、変性、または不活性化に導くであろう温度に、暴露することができる。本発明によれば、乾燥方法は、該活性成分が、熱の有害なレベルに達することを防止するように制御することができる。
【0059】
ここで論じるように、流動性の混合物を、本発明の教示に従って、その内容物が均一となるように調製する。均一性は、該流動性の集合体が形成され、かつ乾燥された際に、維持される必要がある。本発明の乾燥工程中、幾つかのファクタが該フィルム内に均一性をもたらし、一方で該活性成分を、安全な温度、即ちその分解温度以下に維持する。先ず、本発明のフィルムは、通常は僅かに数分程度の、極めて短期間の熱履歴を被り、結果として温度に対する暴露全体は、可能な程度まで最小化される。これらのフィルムを制御可能に乾燥して、成分の凝集および移動を防止し、しかも内部における熱の蓄積を防止する。望ましくは、該フィルムはその底部から乾燥される。ここに記載されるような制御された乾燥は、該フィルムの上部表面におけるポリマーフィルム、またはスキンの形成を防止する。熱が、該フィルムの底部から上方に向かって伝導するにつれて、液状担体、例えば水はフィルム表面まで上昇する。表面にスキンが存在しないことは、温度が上昇するにつれて、該液状担体の迅速な蒸発を可能とし、結果として、同時に該フィルムの蒸発による冷却を可能とする。この短期間の熱に対する暴露および蒸発による冷却のために、該フィルムの成分、例えば薬物または揮発性活性物質は、高温に影響されない状態を維持される。これとは対照的に、該上部表面におけるスキン形成は、該フィルム内に、高いエネルギーを持つ液状担体分子をトラップし、結果的に該フィルム内の温度上昇を引起し、また活性成分を、高い、恐らく有害な程に高い温度に、暴露することになる。
【0060】
第二に、底部加熱および表面でのスキン形成が起こらないことにより、該フィルム内で熱的な混合が起こる。熱的な混合は、該フィルム内の熱の対流を介して起る。熱が該フィルムの底部に適用された場合、該底部近傍の該液体の温度が上昇し、該液体が膨張し、かつ低密度となる。故に、このより高温の液体は上昇し、かつより低温の液体が、これに取って代る。上昇するにつれて、該より高温の液体は、該より低温の液体と混合し、これと熱エネルギーを分合い、即ち熱を伝達する。このサイクルが繰り返されるにつれて、熱エネルギーは、該フィルム全体に拡がる。
【0061】
本発明の制御乾燥工程によって達成された強力な熱的混合は、該フィルム全体に及ぶ均一な熱拡散を生じる。このような熱的な混合がない場合には、「ホットスポット」が生成される恐れがある。該フィルム内のヒートポケットは、該フィルム内での粒子凝集物の生成、または危険領域(danger areas)の生成およびその後の不均一性の発生をもたらす。このような凝集物または凝塊物の形成は、該活性成分がランダムに分布する恐れのある、不均一なフィルムの生成に導くことから、これらの生成は、望ましいものではない。このような不均一な分布は、フィルム当たりの活性成分の量における大きな差の発生へと導き、これは安全性および効力の観点から問題である。
【0062】
更に、熱的混合は、該フィルム内部の、より低い全体としての温度を維持するのに役立つ。該フィルム表面は、該活性成分が分解する温度以上の温度に暴露される可能性があるが、該フィルムの内部が、この温度に達することはない。この温度差のために、該活性成分は、分解することはない。
【0063】
例えば、本発明のフィルムは、望ましくは10分間またはそれ以下の期間乾燥される。80℃にて10分間なる該フィルムの乾燥は、約5℃の温度差を生じる。このことは、10分間の乾燥後に、該フィルム内部の温度が、その外部の温度よりも5℃低いことを意味する。しかし、多くの場合において、10分間未満、例えば4〜6分間なる乾燥期間で十分である。4分間の乾燥は、約30℃なる温度差を伴い、また6分間の乾燥は、約25℃なる温度差を伴う可能性がある。このような大きな温度差のために、該フィルムは、熱感受性活性成分の分解を引起すことなく、効果的に高温度にて乾燥することができる。
【0064】
図8は、本発明の乾燥方法を逐次的に示した図である。機械的な混合後、該乾燥工程中に、該フィルムを、連続的な熱混合のためのコンベア上に配置することができる。該乾燥工程の開始時点において、区画Aに示したように、フィルム1は、コンベア(図示せず)を介して移動するにつれて、好ましくはその底部10から加熱される。加熱メカニズム、例えば図7に示された乾燥機(これに限定されない)により、該フィルムに熱を供給することができる。該フィルムが加熱されると、該液状担体、または揮発物質(V)は、上向きの矢印50で示されているように、蒸発し始める。熱的混合も、矢印30で示されるように、より高温の液体が上昇し、また矢印40で示されるようにより低温の液体が、これに取って代る。該フィルム1の上部表面20上にはスキンが全く生成されていないので、区画Bに示すように、該揮発性物質は、継続的に蒸発50し、また熱的混合30/40は、熱的なエネルギーを、該フィルム全体に渡り分配し続ける。一旦十分な量の該揮発性液体が蒸発した後、熱的な混合は、該フィルム1全体に及ぶ均一な熱拡散をもたらす。得られる乾燥フィルム1は、区画Cに示すように、粘弾性固体である。該成分は、望ましくは該フィルム全体に渡る、均一分布状態で封じ込められる。少量の液状担体、即ち水は、その後の該粘弾性体の生成のために残すことができ、望ましくは該粒子を移動することなしに、該フィルムを更に乾燥することができる。
【0065】
更に、粒子または粒状物を、該フィルム形成組成物またはマトリックスをフィルムに注型した後に、該組成物またはマトリックスに添加することができる。例えば、該フィルム42の乾燥前に、粒子を該フィルム42に添加することができる。粒子は、制御可能な状態で該フィルムに対して計量添加し、適当な技術によって、例えばドクターブレード(図示せず)によって該フィルム上に配置することができる。該ドクターブレードは、該フィルムの表面との境界近傍で、または優しく接触し、また制御可能な状態で該粒子を該フィルム表面上に配置するデバイスである。他の適当であるが、非-限定的な技術は、該フィルム表面上に該粒子を配置するための追加のロールの使用、該フィルム表面上に該粒子を噴霧する方法等を包含する。該粒子は、対向するフィルム表面、即ち上部および/または底部フィルム表面の何れかまたは両者に配置することができる。望ましくは、該粒子は、該フィルム上に確実に配置すること、例えば該フィルム内に包埋させることが可能である。更に、このような粒子は、望ましくは該フィルムに完全に包まれあるいは完全に包埋されてはいないが、例えば該粒子が部分的に包埋されまたは部分的に包まれている場合には、該フィルム表面に露出した状態に維持される。
【0066】
該粒子は、任意の有用な有機薬剤、化粧剤(cosmtic agent)、医薬、またはこれらの組合せであり得る。望ましくは、該医薬は、風味-隠蔽処理されているまたは制御放出型薬剤である。有用な器官感覚受容性の薬剤は、香味料および甘味料を包含する。有用な化粧剤は、呼気清涼剤(breath freshening)または鬱血除去薬、例えばメントール結晶を含むメントールを包含する。
【0067】
本発明の方法は、上記の望ましい乾燥を行うための、任意の特定の装置の使用に制限されないが、特定の有用な乾燥装置50の一例を、図7に示す。乾燥装置50は、高温流体、例えば高温空気(これに限定されない)を、基板44上に配置されている該フィルム42の底部に導く、ノズル配列である。高温空気は、該乾燥装置の入口端部52に入り、ベクトル54で示されているように、空気反らせ板56に向けて上方に垂直に移動する。該空気反らせ板56は、空気の移動方向を変えて、該フィルム42に掛る上向きの力を最小化する。図7に示す如く、該空気が空気反らせ板56を通過し、該乾燥装置50のチャンバー部分58および58'に入り、またこれを介して移動する際に、ベクトル60および60'で示すように、該空気は正接方向を向く。該高温空気を、該フィルム42に対して実質的に正接関係とすることにより、該フィルムの乾燥に伴うその持ち上がりは、これにより最小化される。該空気反らせ板56は、ローラーとして記載されているが、空気または高温流体を反らせるための、他のデバイスおよび幾何形状を、適宜使用することができる。更に、該乾燥装置50の出口端部62および62'は、下方に向かいフレア状態となっている。このような下向きのフレアは、ベクトル64および64'で示される、下向きの力または下向きの速度ベクトルを与え、これらは該フィルム42を引っ張りあるいはドラグ効果をもたらし、該フィルム42の持ち上がりを防止する。該フィルム42の持上げは、該フィルムにおける不均一性をもたらし、あるいはまた、該フィルム42および/または基板44が、加工装置から持上げられた際には、該フィルム42の制御不能な加工を結果する。
【0068】
該フィルムの厚みの監視および制御は、また均一な厚みを持つフィルムを与えることにより、均一なフィルムの製造に寄与する。該フィルムの厚みは、ゲージ、例えばベータゲージ(Beta Gauges)を用いて監視できる。一つのゲージを、該乾燥装置、例えばオーブン乾燥機またはトンネル乾燥機の端部において、もう一つのゲージと結合して、フィードバックループを介して連絡させ、被覆装置の開口を制御および調節し、フィルムの厚みを均一に制御する。
【0069】
該フィルム製品は、一般に適切に選択されたポリマーおよび極性溶媒並びに任意の活性成分または所望によりフィラーを併合することによって製造される。望ましくは、この組合せにおける該溶媒の含有量は、該組合せ全体の少なくとも約30質量%である。この組合せにより生成されるマトリックスは、望ましくはロール塗布によりフィルムに成形され、次いで望ましくは迅速かつ制御された乾燥工程によって乾燥され、該フィルムの均一性、より詳しくは非-自己-凝集性の均一な不均質性を維持する。得られるフィルムは、望ましくは約10質量%未満の溶媒、より望ましくは約8質量%未満の溶媒、より一層望ましくは約6質量%未満の溶媒、および最も望ましくは約2質量%未満の溶媒を含むであろう。該溶媒は、水;またはエタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、またはこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない極性有機溶媒であり得る。
【0070】
他の態様においては、本発明のフィルム製品は、塗布法ではなく寧ろ押出法によって作ることができる。以下に説明するように、ポリエチレンオキサイドを主成分とするポリマー成分を含有するフィルム組成物にとって、押出しは特に有用である。例えば、一軸スクリュー押出機を、本発明に従って使用することができる。このような押出法に従って、該ポリマーメルト内に圧力が発生し、その結果該メルトを、ダイを介して押出し、あるいは金型内に注入することができる。
【0071】
更なる説明として、本発明の方法において使用する一軸スクリュー押出機は、図37に示された押出機100において示されているように、幾つかのゾーン200を含むバレル300を含むことができる。これらゾーン200は、変動する温度および圧力を持つことができる。例えば、該組成物が該バレル300を介して該押出ダイ400に向かって進むにつれて、温度が増大することが、該ゾーンにとって望ましいことであり得る。本発明に従って、任意の数のゾーンを含めることができる。更に、押出速度を調節して、所定の特性を持つフィルムを製造することができる。例えば、該押出組成物は、該スクリュー混合チャンバー内に、長期間に渡り維持することができる。この議論は、一軸スクリュー押出機についてなされたものであるが、他の態様に係る押出も、当業者にとって公知であり、全く本発明の範囲内に入るものと考えられる。
【0072】
上で議論したパラメータ、例えばレオロジー特性、粘度、混合方法、注型法および乾燥法(これらに限定されない)の考察も、また本発明の様々な成分に関する材料の選択に影響を及ぼす。更に、適切な材料選択に係るこのような考察は、薬理的および/または化粧学的投与剤形またはフィルム製品を含み、単位面積当たりの薬理的および/または化粧学的活性成分の変動(分散)が、10%以下(no more than)である、本発明の組成物を与える。換言すれば、本発明の均一性は、該マトリックス全体に渡る10質量%以下(no more than)の薬理的および/または化粧学的活性成分の変動の有無によって決定される。望ましくは、該変動は、5質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、あるいは0.5質量%未満である。
【0073】
フィルム形成ポリマー:
該ポリマーは、水溶性、水膨潤性、水-不溶性、または1またはそれ以上の水溶性、水膨潤性、水-不溶性ポリマーの組合せであり得る。該ポリマーは、セルロースまたはセルロース誘導体を含むことができる。有用な水溶性ポリマーの具体的な例は、ポリエチレンオキサイド(PEO)、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリデキストロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール。アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギネート、カラギーナン、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカンスゴム、グアーガム、アカシアガム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、ポロキサマー(poloxamers)ポリマー、アクリル酸とアルキルアクリレートとのコポリマー(ペムレン(PemulenTM)ポリマーとして入手できる)、カルボキシビニルコポリマー、デンプン、ゼラチン、ペクチン、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0074】
ここで使用する句「水溶性ポリマー」およびその変形は、少なくとも部分的に水に溶解し、また望ましくは完全にまたは支配的に水に可溶性であり、あるいは水を吸収するポリマーを意味する。水を吸収するポリマーは、しばしば水膨潤性ポリマーと呼ばれる。本発明にとって有用なこれらの材料は、室温においてまたは他の温度、例えば室温を越える温度において水溶性または水膨潤性であり得る。更に、該材料は、大気圧未満の圧力下において、水溶性または水膨潤性であり得る。望ましくは、該水溶性ポリマーは、少なくとも20質量%の水の吸収量を有する水溶性または水膨潤性であり得る。25質量%またはそれ以上の水の吸収量を有する水膨潤性ポリマーも有用である。このような水溶性ポリマーから製造した本発明のフィルムまたは投与剤形は、望ましくは十分に水溶性であって、体液と接触した際に可溶性である。
【0075】
有用な水-不溶性ポリマーの具体的な例は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アクリル系ポリマー、酢酸ビニル、ナトリウムスルホン化ポリエステル、カルボキシル化アクリル樹脂、トリメチルペンタンジオール/アジピン酸/グリセリン架橋(cross)ポリマー、ポリグリセロール-2-ジイソステアレート/IPDIコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン(vinylpyrrolicone)/酢酸ビニル/アルキルアミノアクリレートターポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0076】
本発明のフィルムに配合するのに有用な他のポリマーは、生分解性ポリマー、コポリマー、ブロックポリマーおよびこれらの組合せを含む。上記の基準を満たす公知の有用なポリマーまたはポリマー群は、以下に列挙するものである:ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサン(polydioxanoes)、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリ無水物、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、およびこれらの混合物およびコポリマー。付随的に有用なポリマーは、L-およびD-乳酸のステレオポリマー、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン酸とセバシン酸とのコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、α-アミノ酸のコポリマー、α-アミノ酸とカプロン酸とのコポリマー、α-ベンジルグルタメートとポリエチレングリコールとのコポリマー、サクシネートとポリ(グリコール)とのコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシアルカノエート、およびこれらの組合せを含む。本発明では、二成分系および三成分系をも意図するものである。
【0077】
有用な他の特定のポリマーは、メディソーブ(Medisorb)およびバイオデル(Biodel)なる商標の下で市販されているものを含む。該メディソーブ材料は、ウイルミントン、デラウエアのデュポン社(Dupont Company、Wilmington、Delaware)によって市販されており、一般的に「プロパン酸、ヒドロキシ酢酸を含むヒドロキシポリマーとの2-ヒドロキシポリマー(2-hydroxy-polymer with hydroxy-polymer with hydroxyacetic acid)」を含む、「ラクチド/グリコライドコポリマー」として同定されている。4種のかかるポリマーは、170°-175℃(338°-347°F)なる範囲内の融点を持つ、100%ラクチドであると考えられる、ラクチド/グリコライド100L;225°-235℃(437°-455°F)なる範囲内の融点を持つ、100%グリコライドであると考えられる、ラクチド/グリコライド100L;170°-175℃(338°-347°F)なる範囲内の融点を持つ、85%ラクチドおよび15%グリコライドであると考えられる、ラクチド/グリコライド85/15;および170°-175℃(338°-347°F)なる範囲内の融点を持つ、50%ラクチドと50%グリコライドとのコポリマーであると考えられる、ラクチド/グリコライド50/50を含む。
【0078】
該バイオデル材料は、化学的に異なる、一群の様々なポリ無水物を表す。
【0079】
様々な異なるポリマーを使用できるが、乾燥前の該混合物に所定の粘度を与えるようにポリマーを選択することが望ましい。例えば、該活性成分または他の成分が、該選択された溶媒に溶解しない場合には、より高い粘度を与えるポリマーが、均一性の維持を補助する上で望ましい。他方、該成分が該溶媒に溶解性である場合には、より低い粘度を与えるポリマーが好ましいものであり得る。
【0080】
該ポリマーは、該フィルムの粘度に影響を与える上で、重要な役割を演じる。粘度は、エマルション、コロイドまたは懸濁液における該活性成分の安定性を制御する、液体の一特性である。一般に、該マトリックスの粘度は、約400cps〜約100,000cpsなる範囲、好ましくは約800cps〜約60,000cpsなる範囲、および最も好ましくは約1,000cps〜約40,000cpsなる範囲内で変動する。望ましくは、該フィルム形成マトリックスの粘度は、上記乾燥工程を開始した際に、急激に増大する。
【0081】
この粘度は、該選択された活性成分に基き、該マトリックス中の他の成分に応じて、調節することができる。例えば、該成分が該選択された溶媒に対して溶解しない場合、得られるフィルムの均一性に悪影響を与える恐れのある、該成分の沈降を防止するように、適当な粘度を選択することができる。この粘度は、様々な方法で調節することができる。該フィルムマトリックスの粘度を高めるためには、該ポリマーは高分子量のものから選択することができ、あるいは架橋剤、例えばカルシウム、ナトリウムおよびカリウムの塩を添加することができる。該粘度は、また温度を調節するか、あるいは粘度増加成分を添加することによって調節することも可能である。粘度を高めあるいはエマルション/懸濁液を安定化する成分は、高分子量のポリマーおよび多糖及びガムを含み、その例は、アルギネート、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンゴム、グアーガム、キサンタンガム、デキストラン、アラビアゴム、ジェランガムおよびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0082】
単独で使用した場合に、可撓性フィルムを得るためには、通常可塑剤を必要とする、幾つかのポリマーを、可塑剤の使用なしに、組み合わせて使用することができ、この場合にも依然として可撓性フィルムを得ることができることも観測されている。例えば、HPMCおよびHPCを組み合わせて使用した場合、製造並びに保存のために適度な可塑性および弾性を持つ、可撓性で強力なフィルムが得られる。可撓性にとって、追加の可塑剤またはポリアルコールは必要とされない。
【0083】
更に、単独でまたは少なくとも1種の追加のポリマーとの組合せで使用した場合、ポリエチレンオキサイド(PEO)は、可撓性で強力なフィルムを与える。追加の可塑剤またはポリアルコールは、可撓性にとって必要とされない。PEOと組合せるための適当なセルロースポリマーの非-限定的な例は、HPCおよびHPMCを含む。PEOおよびHPCは、本質的にゲル化温度を持たず、一方でHPMCは、58-64℃なる範囲のゲル化温度を持つ(ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)から入手できるメトセル(Methocel) EF)。更に、これらのフィルムは、フィルム特性を犠牲にすることなく除去することのできる、有機溶媒を、実質上含まない場合においてさえ、十分に可撓性である。故に、溶媒が存在しない場合には、該フィルム中には、全く可塑剤は存在しない。PEOを主成分とするフィルムは、また引裂に対する良好な抵抗性を示し、殆どまたは全くカールを生成せず、また該ポリマー成分が適当なレベルのPEOを含む場合には、迅速な溶解速度を示す。
【0084】
所望のフィルム特性を得るために、該ポリマー成分中のPEOの濃度および/または分子量を変えることができる。該PEOの含有率を変更することにより、引裂強さ、溶解速度、および接着傾向等の諸特性が影響を受ける。従って、フィルム特性を調節するための一方法は、該PEOの含有率を変更することである。例えば、幾つかの態様においては、迅速溶解性フィルムが、望ましい。該ポリマー成分の含有率を変更することによって、所望の溶解特性を得ることができる。
【0085】
本発明によれば、PEOは、望ましくは該ポリマー成分において、約20%〜100質量%なる範囲内にある。幾つかの態様において、該PEOの量は、約1mg〜約200mgなる範囲にある。上記親水性セルロースポリマーは、約0%〜約80質量%なる範囲にあり、あるいはPEOとの約4:1までの比で存在し、また望ましくは約1:1なる比で存在する。
【0086】
幾つかの態様において、該PEOの濃度を変更して、幾つかのフィルム特性を高めることが望ましい可能性がある。高い引裂強さおよび迅速な溶解速度を持つフィルムを得るために、該ポリマー成分中のPEOの濃度を約50%またはそれ以上とすることが望ましい。接着を防止、即ち該フィルムが口蓋に接着するのを防止するためには、PEOのレベルを約20%〜75%なる範囲とすることが望ましい。しかし、幾つかの態様において、例えば動物または子供に投与するためには、口蓋への接着が望ましい可能性がある。このような場合においては、より高濃度のPEOを使用することができる。より詳しくは、構造上の保全性および該フィルムの溶解性は、意図した用途に応じて、該フィルムを粘膜に接着することができ、また容易に除去することができ、あるいはより堅牢に接着し、除去困難なものとすることが可能となるように、調節することができる。
【0087】
該PEOの分子量も、変えることができる。高分子量PEO、例えば約4,000,000なる分子量を持つPEOは、該フィルムの粘膜接着性を高めるためには、望ましいものである。より望ましくは、該分子量は約100,000〜900,000なる範囲、より望ましくは約100,000〜600,000なる範囲、および最も望ましくは約100,000〜300,000なる範囲内にある。幾つかの態様においては、該ポリマー成分において、高分子量(600,000〜900,000なる範囲)のPEOと、低分子量(100,000〜300,000なる範囲)のPEOとを組合せることが望ましい可能性がある。
【0088】
例えば、幾つかのフィルム特性、例えば迅速な溶解速度および高い引裂抵抗は、少量の高分子量PEOと、多量の低分子量PEOとを組合せることによって達成し得る。望ましくは、このような組成物は、該PEO-配合ポリマー成分において、約60%またはそれ以上の低分子量PEOを含む。
【0089】
接着防止特性、迅速溶解性および良好な引裂抵抗等の特性間の釣合いを確保するためには、望ましくはフィルム組成は、場合により少量の高分子量PEOを含む、約50〜75%なる範囲の低分子量PEOを含むことができ、また該ポリマー成分の残部は、親水性セルロースポリマー(HPCまたはHPMC)を含む。
【0090】
幾つかの態様において、該フィルムは、ポリビニルアルコール(PV)を単独で、あるいは少なくとも1種の追加のポリマーとの組合せで含むことができる。追加のポリマーの例は、セルロースポリマー、デンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アルギネート、ペクチン、またはこれらの組合せを含む。該フィルムにおいてPVAを使用して、フィルム強度を高めおよび/または溶解時間を変更および下げることができる。これらフィルムは、化粧料、栄養物および医薬の放出にとって、特に有用である。好ましい一態様において、該フィルムは、如何なる添加可塑剤をも含むことなしに、PVAを含む。例えば、該フィルムは、該フィルムに強度を付与するPVA、および該フィルムに可撓性を付与し、かつ可塑剤の必要性を排除できるPEO両者を含むことができる。
【0091】
PVAは、該製品の用途および所望の諸特性に依存して、種々の量で使用することができる。例えば、一般的に、多量のPVAは、フィルム強度を高め、かつ溶解時間を延長するであろう。高濃度での活性成分の配合を要するフィルムに関して、PVAは、フィルム強度を改善するために、該フィルムの0.5質量%という最少量で、好ましくは1質量%、より好ましくは5質量%なる量で、効果的に使用することができる。該PVAは、例えば該フィルムの80質量%、好ましくは50質量%、より好ましくは25質量%なる最大量で、効果的に使用することができる。溶解時間を下げるためには、PVAは80%程度の高いレベルで使用することができる。活性成分を含有するフィルムは、該フィルムの溶解時間を変更し、かつ該フィルムからの活性成分の放出性を変更するために、PVA含有層で、該フィルムの一方または両方の表面を被覆することができる。
【0092】
活性成分の高い配合量は、該フィルムの強度および可撓性を減じる恐れがある。単独でまたは少なくとも1種の他のポリマーとの組合せでPVAを含めることにより、該フィルムの引張強さを高めることができる。また、薬物粒子、または風味-隠蔽処理された、もしくは被覆された、あるいは調節された放出性を持つ薬物粒子は、大きな粒径を持つ可能性があり、このことは、該大きな粒径を持つ粒子を、該フィルムに配合することを困難にする恐れがある。PVAは、該フィルム形成溶液の粘度を増大して、その薬物配合性の改善を可能とする。
【0093】
制御放出性フィルム
該用語「制御放出(性)」とは、予め選択されたまたは所望の速度での、活性成分の放出を意味するものとする。この速度は、用途に応じて変えることができる。望ましい速度は、迅速または即座の放出プロフィール並びに遅延、持続または周期的放出を含む。本発明では、放出パターンの組合せ、例えば活性成分の初期の急激に増大する放出、これに伴うその低レベルでの持続的な放出をも意図している。パルス化された薬物放出も、本発明において意図されている。
【0094】
本発明のフィルムに対して選択される該ポリマーを、該活性成分の制御された崩壊を可能とするように選択することも可能である。これは、活性成分を配合する、実質的に水-不溶性のフィルムを製造することによって達成でき、該活性成分は、時間の経過に伴って該フィルムから放出される。これは、様々な異なる可溶性または不溶性のポリマーを配合することにより達成でき、また生分解性ポリマーを組合せで含むこともできる。あるいはまた、被覆された制御放出性活性成分の粒子を、容易に溶解するフィルムマトリックス中に配合して、消費した際に、消化器系内部での、該活性成分の制御放出性を達成することも可能である。
【0095】
該活性成分の制御放出をもたらす、本発明のフィルムは、口腔、経歯肉、舌下および経膣投与に対して特に有用である。本発明のフィルムは、粘膜または粘液が存在する場合には、その容易に湿潤し、またこれら領域に接着する能力のために、特に有用である。
【0096】
規則的な間隔での多数の単一用量の投与とは逆に、長期間に渡り制御された様式で、活性成分を放出する薬物療法での、単一用量の投与の便利さは、薬学の分野において長い間認識されてきた。長期間に渡る投薬の一貫したかつ均一な血中濃度の達成における、患者および臨床医にとっての利点も、同様に認識されている。様々な持続放出型の投与剤形の利点は周知である。しかし、活性成分の制御放出をもたらすフィルムの製造は、制御放出型錠剤に関するこれら周知の利点に加えて、幾つかの利点を有する。例えば、薄いフィルムは、不注意で吸引することは困難であり、また患者による高い応諾が得られる。というのは、これらは、錠剤のように飲込む必要がないからである。更に、本発明のフィルムの幾つかの態様は、口腔および舌に接着するように設計されており、そこで該フィルムは、制御可能な様式で溶解する。更に、薄いフィルムは、オキシコンチン(Oxycontin)等の薬物の誤用に導く問題となる、制御放出錠剤の如き圧潰される恐れがない。
【0097】
本発明において使用する該活性成分は、制御放出型の本発明のフィルム組成物に配合することができる。例えば、薬物の粒子は、ポリマー、例えば夫々ブランド名、例えばアクアコート(Aquacoat) ECDおよびユードラジット(Eudragit) E-100の下に市販品として入手できる、エチルセルロースまたはポリメタクリレートで、被覆することができる。また、薬物の溶液は、このようなポリマー材料に吸収させることができ、また本発明のフィルム組成物中に配合することができる。他の成分、例えば脂肪およびワックス並びに甘味料および/または香料を、このような制御放出性組成物において使用することもできる。
【0098】
該活性成分は、風味-隠蔽組成物を配合した迅速溶解性投与剤形用の均一フィルム(Uniform Films For Rapid Dissolve Dosage Form Incorporating Taste-Masking Compositions)と題する、継続中のPCT出願(同一のタイトルで、2003年9月27日付で出願された、米国仮特許出願No.イクスプレスメイルラベル(Express Mail Label)No.:EU552991605 US;代理人事件No. 1199-15Pに基く)に記載されているように、該フィルム組成物に配合する前に、風味-隠蔽剤で処理することができる。該PCT特許出願の全内容を、ここに参考として組み入れる。
【0099】
風味隠蔽
一態様において、該風味-隠蔽剤は、粒状の生物学的作用(bioeffecting)剤上の薄膜被覆である。この態様において有用な風味-隠蔽剤は、ポリマーおよび非-ポリマー材料を含む。ポリマーの非-限定的な例は、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマーまたはビニルポリマーを含む。非-ポリマー材料の非-限定的な例は、クラウンエーテル、完全水添オイルおよびワックスを含む。更に、該風味-隠蔽剤は、水溶性、水-不溶性または部分的に水溶性のものであり得る。
【0100】
例えば、該被覆材料は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカンス、アカシア、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギネート;タピオカデンプン、ライススターチ、コーンスターチ、ポテトスターチ、および小麦デンプンを包含する、ゲル化され、変性された、または未変性のデンプン;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)コポリマー(poly(meth)copolymer)、デキストリン、デキストラン;タンパク質、例えばゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、大豆タンパク質単離体、およびホエータンパク質;ホエータンパク質単離体、カゼイン、レビン(levin)、コラーゲン、キチン、キトサン、ポリデキストロースおよびこれらの組合せであり得る。
【0101】
有用なアクリル系ポリマーは、ロームアメリカ(Rohm America), LLCから、商品名ユードラジット(EudragitTM)の下で入手できるもの、例えばユードラジットE(登録商標)、ユードラジットL(登録商標)、ユードラジットRD(登録商標)およびユードラジットS(登録商標)なる商品名の下で市販されている、メタクリル酸コポリマー、およびユードラジットNE(登録商標)なる商品名の下で市販されている、ポリエチルアクリレート-メチルメタクリレートを含む。
【0102】
有用なセルロースポリマーは、アルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースを含み、またダウケミカル社(Dow Chemicals)からメトセルE(Methocel ETM)なる商品名の下で市販されているものを含む。更に、有用なエチルセルロースは、アクアコート(Aquacoat) ECDなる商品名の下で、FMC社(FMC Corporation)から市販品として入手できる。これらのアクリル系ポリマー(acrylic polymers)は、一般に水溶性の物質である。
【0103】
更に、上記の製薬上活性な薬剤は、ヒトによる消費にとって安全であると考えられる、完全に水添されたオイルまたはワックスを噴霧し、またこれによって固定化することができ、また比較的安定なものである。非-限定的な、有用な製薬上許容されるオイルは、無機オイル、ピーナッツオイル、大豆油、ヒマワリ油、コーン油、オリーブオイル、硬質パーム油および菜種油を含む。
【0104】
更に、クラウンエーテル化合物、例えばシクロデキストリンも、該製薬的に活性な薬剤の被覆のために有用である。該製薬的に活性な薬剤は、閉込めまたはコアセルベーション法によって、クラウンエーテルで風味-隠蔽処理される。有用なシクロデキストリンは、CTD社から、トラップゾル(TrappsolTM)なる商品名の下で、市販品として入手できる。
【0105】
風味-隠蔽処理に影響する上記ポリマー被覆は、例えばEP1267829B1に記載されているように、イオン交換樹脂との複合化よりも優れている。というのは、イオン交換樹脂との複合化に比して、該ポリマー被覆の使用により、高濃度での薬物配合が可能となるからである。全く対照的な主張にも拘らず、我々は、イオン交換樹脂上への最大の有用な薬物の配合量が、約30質量%であることを見出した。対照的に、本発明の粒子被覆は、50-95%なる範囲の薬物配合量にて使用できる。これは、均一なフィルムへの薬物配合量を最大にすることが重要である場合には、かなりの差であり、またフィルムの制限されたサイズおよび質量に対して、極めて重要な前提である。
【0106】
本発明の一態様において、該風味-隠蔽剤は、該粒子の約15〜80質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様では、該風味-隠蔽剤は、該粒子の約20〜60質量%なる範囲の量で存在する。更に別の態様においては、該風味-隠蔽剤は、該粒子の約25〜35質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様によれば、該風味-隠蔽剤は、該粒子の約5〜50質量%なる範囲の量で存在する。該風味-隠蔽被覆処理された粒子における薬物の正確な添加は、該粒子または該フィルム形成マトリックス中に存在する該薬物、該被覆、および任意の香料を含む、多くのパラメータの関数である。
【0107】
製薬的に活性な薬剤は、様々な技術によって、上記の風味-隠蔽剤で、風味-隠蔽被覆処理することができる。これらの技術は、該製薬的に活性な薬剤またはその一部を、風味-隠蔽剤で被覆して、しばしば該製薬的に活性な薬剤または薬物と関連する、不快な風味作用、例えば苦味を排除する。有用な被覆技術は、流動床塗布法、噴霧凝固(spray congealing)塗布法、凝集または造粒(agglomeration or granulation)塗布法、同伴塗布法、コアセルベーション塗布法、注入(infusion)塗布法、回転塗布法、イオン交換塗布法等を含むが、これらに限定されない。
【0108】
該流動床塗布法は、製薬的に活性な薬剤を風味-隠蔽被覆処理するために、製薬工業において通常利用されている。流動床塗布装置は、チャンバーに処理ガスの連続的な流れを導入することにより、該製薬的に活性な薬剤の流動化を達成する。該被覆材料の噴霧路を介して移動する際に、該被覆材料は、該懸濁された活性薬剤上に堆積される。該被覆剤は、乾燥される。相対的に低い溶解性を示すポリマーは、典型的に該活性成分粒子表面を被覆するのに使用される。粒子径に関する下限は、約100〜120μmなる範囲にある。より小さな粒径は、工程の限界および製品損失の観点から、達成することは困難である。水-不溶性の製薬的に活性な薬剤は、この方法により、水溶性の風味-隠蔽剤で適切に被覆することができる。
【0109】
噴霧凝固法においては、該製薬的に活性な薬剤および該被覆材料両者が、処理ガスの供給されたチャンバー内で同時に噴霧され、均一に被覆された活性成分を生成する。この方法は、典型的には、妥当な温度にて溶融することのできる材料、例えば脂肪物質またはポリマー、例えば幾つかのユードラジット(EudragitTM)ポリマーによる、該活性成分の被覆工程を含む。該物質の配合物は、微細なノズルを通して噴霧され、また温度-制御された空気流または低温表面を通して冷却される。混合物の温度を考慮することは重要である。該選択された被覆剤の溶融温度は、該製薬的に活性な薬剤の分解温度を越えるものであってはならない。
【0110】
上記凝集または造粒塗布法においては、該製薬的に活性な薬剤は、機械的な手段または噴霧乾燥によって、該風味-隠蔽剤および溶媒と混合される。該溶媒は、真空または加熱により、あるいはこれら両者によって、徐々に除去される。次いで、粒子は凝集する。該凝集した粒子は、典型的には、該風味-隠蔽剤により完全には被覆されず、また結果として、幾分かの苦味が残る恐れがある。しかし、この苦味は、このような被覆粒子を、本発明のフィルム内に配合することによって、更に減じられる可能性がある。
【0111】
典型的な同伴塗布法においては、分子の篭内部に製薬的に活性な薬剤を取込むことのできる、特殊な性質を持つ幾つかの化合物を、最初に選択する必要がある。特別に作成したデンプンおよびクラウンエーテル等の化合物、例えばシクロデキストリンおよびゼオライトは、この方法において有用である。該化合物および該薬剤は、イオン性の引力により取込まれる。該取込み剤は、次いで溶液から析出する。
【0112】
上記コアセルベーション塗布法は、溶液中の、反対電荷をもつ2種のポリマーを使用する。該溶液を中和した場合、不溶性のマトリックスは、溶液から析出し、またその中に該製薬的に活性な薬剤を取込むであろう。その例は、アラビアガムとゼラチン溶液との相互作用およびシクロデキストリンとタンパク質溶液との相互作用を含む。
【0113】
上記注入(infusion)法において、製薬的に活性な薬剤および香料または甘味料は、ポリマーマトリックス内に溶解し、またその中に注入され、乾燥粉末を生成する。上記回転塗布法において、製薬的に活性な薬剤は、糖または脂肪と併合され、回転被覆処理されて、被覆粒子となる。この方法の詳細は、米国特許第5,028,632号に記載されている。この特許の内容を、参考としてここに組入れる。上記イオン交換塗布法においては、イオン交換樹脂に対する製薬的に活性な薬剤のイオン結合が、該薬剤の風味を隠蔽する。
【0114】
押出およびスフェロニゼーション(spheronization)法も、製薬的に活性な粒子を風味-隠蔽するために利用することができる。活性成分(1または複数)およびポリマー(1または複数)(例えば、デンプン、セルロース、ガムおよび/またはこれらの組合せ)の比(ratiosは、まず混合され、少量の水を添加することにより増量される。次いで、この増量された混合物は、単一のまたは2つのノズルを備えたスクリューを介して押出される。小さな球状粒子は、マルメリゼーション(MarumerizationTM)法によって作成される。望ましい粒径は、工程の制御および粒子の篩別によって得られる。
【0115】
凍結乾燥法も、本発明の粒子について使用することができる。ポリマー(1または複数)(例えば、デンプン、ガム、セルロースおよび/またはこれらの組合せ)と活性成分(1または複数)との組合せは、混合され、水性媒体に溶解(または分散)される。次いで、この混合物を、予め形成した基板上で凍結乾燥する。望ましい粒径は、工程の制御および粒子の篩別によって得られる。
【0116】
本発明の喫食性水溶性放出系は、更に以下に列挙するものから選択される1またはそれ以上の構成員を含む:消泡剤、可塑剤、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、結合剤、冷却剤、唾液分泌-刺激剤、甘味料、抗-微生物剤、抗原およびこれらの組合せ。
【0117】
風味-隠蔽性ポリマーで被覆された、上記生物学的作用(bioeffecting)剤は、50〜250μmなる範囲の粒径を持つべきである。50μm未満の粒径は、不適当である可能性がある。というのは、そのような小さな粒子は、表面積が大きいために、該粒子を被覆することは効率が悪いからである。250μmを越える粒径は、不適当である可能性がある。というのは、より大きな粒子は、フィルム形成工程中に「ブリッジ形成」の恐れがあるからであり、このことは、該粒子が、底部表面から、該フィルムの上部表面まで伸びる恐れがあることを意味する。このようなブリッジ形成は、完成したフィルムの縞模様の形成および不均一性を引起す恐れがある。該併合された粒子および風味-隠蔽剤、および該流動性の水溶性フィルム形成マトリックスは、好ましくは、該粒状生物学的作用剤の、該マトリックス内部に配置する際に、均一性を失うことなしに、乾燥することができる。
【0118】
望ましくは、該併合された粒子および風味-隠蔽剤は、150μmまたはそれ以下、例えば100μmまたはそれ以下の粒径を持つ。更に、このような粒子は、球状、実質的に球状、または非-球形状、例えば不規則な形状の粒子または楕円形状の粒子であり得る。楕円形状の粒子または楕円体が望ましい。というのは、これらが、球状粒子と比較して、より低度に沈降する傾向を示すことから、該フィルム形成マトリックス内で、均一性を維持する能力を持つからである。更に、該流動性で水溶性のフィルム形成マトリックスは、厚み約380μm、例えば約250μm未満の厚みを持つ乾燥フィルムを生成し得る。
【0119】
活性成分
活性成分を該フィルムに導入する場合、単位面積当たりの該活性成分の量は、該フィルムの均一分布性によって決定される。例えば、該フィルムが個々の投与剤形に裁断される場合、該投与剤形における該活性成分の量は、高い精度で知ることができる。これは、所定の面積内の該活性成分の量が、該フィルムの他の部分における、同一の寸法の面積内の該活性成分の量と、実質的に同一であることから達成される。用量における精度は、該活性成分が医薬、即ち薬物である場合に、特に有利である。
【0120】
本発明のフィルム内に配合することのできる該活性成分は、薬理的および化粧学的活性成分、薬物、医薬、タンパク質、抗原またはアレルゲン、例えばブタクサ(ragweed)の花粉、胞子、微生物、種子、口内洗浄成分、香料、芳香剤、酵素、保存剤、甘味料、着色剤、香辛料、ビタミンおよびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0121】
広範囲に及ぶ医薬、生物学的に活性な活性物質および薬理組成物を、本発明の投与剤形に含めることができる。有用な薬物の例は、ACE-阻害剤、抗-狭心症薬、抗-不整脈薬、抗-喘息薬、抗-コレステロール血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗-痙攣薬、抗-鬱薬、抗-糖尿病薬、下痢止製剤、解毒薬、抗-ヒスタミン薬、抗-高血圧症薬、抗-炎症薬、抗-高脂血症薬、抗-躁病薬、制嘔吐薬、抗-卒中薬(anti-stroke agent)、抗-甲状腺製剤、抗-腫瘍薬、抗-ウイルス剤、アクネ治療薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、鎮咳薬、抗-尿酸血症薬、抗-ウイルス薬、同化促進製剤、全身性または非-全身性抗-感染薬、抗-新生物薬、抗-パーキンソン症候群薬、抗-リウマチ薬、食欲増進剤、生物学的応答改善剤、血液改善剤、骨代謝調節剤、心臓血管作用薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去薬、ダイエタリーサプリメント、ドーパミン受容体アゴニスト、子宮内膜症治療薬、酵素、勃起不全治療薬、排卵誘発薬、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症および低カルシウム血症治療薬、免疫調節薬、免疫抑制剤、片頭痛製剤、動揺病治療薬、筋弛緩薬、肥満治療薬、骨粗鬆症製剤、分娩促進薬、副交感神経遮断薬、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン、精神療法薬、呼吸器疾患治療薬、鎮静剤、禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦治療製剤、尿路疾患治療薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、解熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗-不安薬、抗-潰瘍剤、抗-炎症性物質、冠状動脈拡張剤、大脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神剤、刺激薬、抗-高血圧症薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗生物質、トランキライザー、抗-精神病薬、抗-腫瘍薬、抗-凝血剤、抗-血栓薬、催眠薬、鎮吐薬、制吐薬、抗痙攣剤、神経筋作用薬、高血糖および低血糖症治療薬、甲状腺および抗-甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬(terine relaxant)、抗-肥満薬、造血剤、抗-喘息薬、咳止め剤、粘液溶解薬、DNAおよび遺伝子改質剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0122】
本発明において使用するための薬物療法活性成分の例は、制酸剤、H2-アンタゴニストおよび鎮痛薬を含む。例えば、制酸性投与剤は、炭酸カルシウム単独またはこれと水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムとの組合せを成分として使用して製造できる。更に、制酸剤は、H2-アンタゴニストとの組合せで使用することができる。
【0123】
鎮痛薬は、アヘン剤およびアヘン剤誘導体、例えばオキシコドン(オキシコンチン(OxycontinTM)として入手できる)、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、および場合によりカフェインを含むことのできる、これらの組合せを包含する。
【0124】
本発明において使用するのに好ましい他の薬物または他の好ましい活性成分は、下痢止め剤、例えばイモジウム(immodium) AD、抗-ヒスタミン剤、鎮咳薬、充血除去剤、ビタミンおよび呼気-清涼化剤を含む。風邪、痛み、発熱、咳、充血、鼻水およびアレルギーを治療するために、単独でまたは組合せて使用される一般的な薬物、例えばアセトアミノフェン、クロルフェニラミンマレエート、デキストロメトルファン、シュードエフェドリンHClおよびジフェンヒドラミンは、本発明のフィルム組成物中に含めることができる。
【0125】
同様に、本発明における使用を意図するものは、不安緩解剤、例えばアルプラゾラム(ザナックス(XanaxTM)として入手できる);抗-精神病薬、例えばクロゾピン(クロザリル(ClozarilTM)として入手できる)およびハロペリドール(ハルドール(HaldolTM)として入手できる);非-ステロイド系抗-炎症薬(NSAID)、例えばジクロフェナク(ボルタレン(VoltarenTM)として入手できる)およびエトドラック(ロジン(LodineTM)として入手できる)、抗-ヒスタミン剤、例えばロラタジン(クラリチン(ClaritinTM)として入手できる)、アステミゾール(ヒスマナール(HismanalTM)として入手できる)、ナブメトン(リラフェン(RelafenTM)として入手できる)、およびクレマスチン(タビスト(TavistTM)として入手できる);制吐薬、例えばグラニセトロン塩酸塩(キトリル(KytrilTM)として入手できる)およびナビロン(セサメット(CesametTM)として入手できる);気管支拡張薬、例えばベントリン(BentlinTM)アルブテロール硫酸塩(プロベンチル(ProventilTM)として入手できる);抗-鬱薬、例えばフルオキセチン塩酸塩(プロザック(ProzacTM)として入手できる)、セルトラリン塩酸塩(ゾロフト(ZoloftTM)として入手できる)およびパロキセチン塩酸塩(パキシル(PaxilTM)として入手できる);抗-片頭痛薬、例えばイミグラ(ImigraTM)、ACE-阻害剤、例えばエナラプリラト(バソテック(VasotecTM)として入手できる)、カプトプリル(カポテン(CapotenTM)として入手できる)およびリシノプリル(ゼストリル(ZestrilTM)として入手できる);抗-アルツハイマー症候群治療薬、例えばニセルゴリン;およびCaH-アンタゴニスト、例えばニフェジピン(プロカルディア(ProcardiaTM)およびアダラット(AdalatTM)として入手できる)、およびベラパミル塩酸塩(カラン(CalanTM)として入手できる)である。
【0126】
勃起不全症治療薬は、ペニスへの血流を容易にする薬物、および自律神経活性に作用する薬物、例えば副交感神経系(コリン作用性)活性を高めおよび交感神経系(アドレナリン作用性)活性を減じる薬物を含むが、これらに限定されない。有用な非-限定的薬物は、シルデナフィル、例えばバイアグラ(ViagraTM)、タダラフィル、例えばシアリス(CialisTM)、バルデナフィル、アポモルフィン、例えばアプリマ(UprimaTM)、ヨヒンビン塩酸塩、例えばアフロジン(AphrodyneTM)、およびアルプロスタジル、例えばカバージェクト(CaverjectTM)を含む。
【0127】
本発明における使用を意図している、大衆的なH2-アンタゴニストは、シメチジン、ラニチジン塩酸塩、ファモチジン、ニザチジン、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン、およびアセロキサチジンを含む。
【0128】
活性制酸性成分は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、重炭酸塩、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、ビスマス次炭酸塩、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、ビスマス次シリシレート(subsilysilate)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸または塩)、アミノ酢酸、アルミン酸硫酸マグネシウム水和物、マガルドレート、アルミノ珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムグリシネート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムトリシリケート、ミルク固形分、アルミニウム一または二塩基性(mono-ordibasic)リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、重炭酸カリウム、酒石酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸マグネシウム、酒石酸およびその塩。
【0129】
本発明で使用する該薬理的に活性な薬剤は、アレルゲンまたは抗原を含むことができ、その例は、草本、木本、またはブタクサ由来の植物の花粉;猫および毛皮で覆われた他の動物の皮膚および毛から落ちる小さな鱗片である動物の鱗屑;昆虫、例えばヒョウヒダニ、ミツバチ、およびスズメバチ;および薬物、例えばペニシリンを含むが、これらに限定されない。
【0130】
また、特に活性成分が光感受性である場合に、該活性成分の分解を防止するために、酸化防止剤を該フィルムに添加することができる。
【0131】
化粧学的に活性な薬剤は、メントール等の呼気-清涼化剤、他の香料または芳香剤、特に口腔衛生のために利用されているもの、並びに歯科および口腔清浄化において使用される活性成分、例えば四級アンモニウム塩基を含むことができる。香料の作用は、酒石酸、クエン酸、バニリン等の香味増強剤を使用して、高めることができる。
【0132】
また、着色添加剤を、該フィルムの製造において使用することができる。かかる着色添加剤は、食品、薬物および化粧学的着色剤(FD&C)、薬物および化粧学的着色剤(D&C)、または外用薬物および化粧学的着色剤(Ext. D&C)を含む。これらの着色剤は、染料、その対応するレーキ、幾つかの天然および誘導着色剤である。レーキは、水酸化アルミニウムに吸収された染料である。
【0133】
着色剤の他の例は、公知のアゾ染料、有機または無機顔料、または天然起源の着色剤を包含する。無機顔料が好ましく、その例は、鉄またはチタンの酸化物であり、これらの酸化物は、上記成分の全質量を基準として、約0.001〜約10質量%なる範囲、および好ましくは約0.5〜約3質量%なる範囲の濃度にて添加される。
【0134】
香料は、天然および合成芳香性液体から選択することができる。このような薬剤の例示的な一覧は、揮発性オイル、合成芳香油、風味芳香剤、植物、葉、花、果実、茎およびこれらの組合せから誘導されたオイル、液体、オレオレジンまたはエキスを包含する。これらの例の非-限定的、代表的一覧は、ミント油、ココア、およびレモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツ等の柑橘油、およびリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、プラム、パイナップル、アンズ、または他の果実香料を包含する、果実エキスを含む。
【0135】
香味料を含有する該フィルムを添加して、高温または低温香味付与飲料またはスープを得ることができる。これらの香味料は、茶およびスープの風味付け、例えばビーフおよびチキンによる風味付けを含むが、これらに限定されない。
【0136】
他の有用な香味料は、アルデヒドおよびエステル、例えばベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、シトラール、即ちα-シトラール(レモン、ライム)、ネラール、即ちβ-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(柑橘類果実)、アルデヒドC-9(柑橘類果実)、アルデヒドC-12(柑橘類果実)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、2,6-ジメチルオクタノール(未熟な果実)、および2-ドデセナール(柑橘類、マンダリン)、これらの組合せ等を含む。
【0137】
上記甘味料は、以下の非-限定的な一覧から選択することができる:グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、およびこれらの組合せ;サッカリンおよびその様々な塩、例えばナトリウム塩;ジペプチド甘味料、例えばアスパルテーム;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビアリボジアナ(Stevia Rebaudiana)(ステビオシド);スクロースのクロロ-誘導体、例えばスクラロース;糖アルコール、例えばソルビトール、マニトール、キシリトール等。同様に意図しているものは、水添デンプン水解物、および合成甘味料である3,6-ジヒドロ-6-メチル-1,1,1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジ-オキサイド、特にそのカリウム塩(アセスルファム-K)、およびそのナトリウムおよびカルシウム塩、および天然強力甘味料、例えばローハンクー(Lo Han Kuo)である。その他の甘味料も使用可能である。
【0138】
上記活性成分を、上記溶媒中のポリマーと併合する場合、生成されるマトリックスの型は、該活性成分および該ポリマーの溶解度に依存する。該活性成分および/またはポリマーが、該選択された溶媒中に溶解性である場合には、該マトリックスは、溶液を形成し得る。しかし、該成分が可溶性でない場合には、該マトリックスは、エマルション、コロイド、または懸濁液として分類できる。
【0139】
用量:
本発明の該フィルム製品は、該活性成分の広範囲に及ぶ量を収容することができる。該フィルムは、要求される用量が高いか、または極端に低いかとは無関係に、正確な用量(フィルムのサイズ、および元のポリマー/水の組合せにおける該活性成分の濃度により決定される)を与えることができる。従って、該フィルムに配合された活性成分または薬理組成物の型に依存して、該活性成分の量は、約300mg程度、望ましくは約150mgまで、またはマイクログラム程度、またはこれらの間の任意の量であり得る。
【0140】
本発明のフィルム製品および方法は、高効力、低用量薬物に極めて適したものである。これは、該フィルムの高度の均一性によって達成される。従って、低用量薬物、特により高い効力を持つ活性成分のラセミ混合物が望ましい。
【0141】
消泡並びに脱泡組成物
消泡および/または脱泡成分も、また本発明のフィルムと共に使用できる。これらの成分は、該フィルム-形成組成物からの、取込み空気等の空気の除去において役立つ。上記の如く、このような取込み空気は、不均一なフィルムの生成をもたらす恐れがある。シメチコンは、特に有用な消泡および/または脱泡剤の一つである。しかし、本発明は、これらに限定されず、他の消泡および/または脱泡剤を適宜使用することができる。
【0142】
関連事項として、シメチコンおよび関連する薬剤は、高密度化のために使用することができる。より詳しくは、このような薬剤は、空隙、空気、水分、および同様な望ましからぬ成分の除去を容易にし、結果としてより高密度の、および結果的により均一なフィルムを与えることができる。この機能を果たす薬剤または成分は、高密度化または緻密化剤(densifying agent)と呼ぶことができる。上述の如く、取込み空気または望ましからぬ成分は、不均一なフィルムの生成に導く恐れがある。
【0143】
シメチコンは、一般的に幼児におけるガスまたは疝痛の治療薬として、医学分野において使用されている。シメチコンは、トリメチルシロキシ末端-遮断単位で安定化されている、ポリジメチルシロキサンの繰返し単位を含む、完全にメチル化された線状シロキサンポリマーと二酸化ケイ素との混合物である。これは、通常90.5〜99%のポリメチルシロキサンと、4〜7%の二酸化ケイ素とを含む。この混合物は、水に対して不溶性の、灰色で、半透明かつ粘稠な流体である。
【0144】
水に分散した場合、シメチコンは、表面を横切って広がって、低表面張力を持つ薄いフィルムを形成する。このようにして、シメチコンは、該溶液中に存在する気泡、例えば発泡気泡の表面張力を低下して、これらを破壊する。シメチコンのこの機能は、水中でのオイルおよびアルコール両者の二重の作用に類似するものである。例えば、油状溶液において、あらゆる取込まれた気泡は、表面に向って上昇し、より容易かつ迅速に消失するであろう。というのは、油状溶液は、水溶液と比較してより低い密度を持つからである。他方で、アルコール/水混合物は、水の密度を低下し、しかも水の表面張力を低下することが知られている。従って、この混合溶液内に取込まれたあらゆる気泡も、容易に散逸されるであろう。シメチコン溶液は、これら利点両者をもたらす。この溶液は、該水性溶液内に取込まれたあらゆる気泡の表面エネルギーを低下し、並びに該水性溶液の表面張力をも低下する。この固有の機能の結果として、シメチコンは、生理的な過程(腹部における脱ガス)並びに製品から気泡を除去する必要のある、任意の外的な過程に対して使用することのできる、優れた消泡特性を持つ。
【0145】
本発明のフィルムにおける気泡の形成を防止するために、上記混合段階を、真空条件下で行うことができる。しかし、該混合段階が完了すると即座に、また該フィルム形成溶液が、通常の大気条件に戻されると直に、空気は、該混合物中に再導入されるか、これと接触することになる。多くの場合において、小さな気泡が、この粘稠なポリマー溶液内に、再度取込まれるであろう。該フィルム-形成組成物へのシメチコンの配合は、気泡の形成を実質的に減じるか、あるいは排除する。
【0146】
シメチコンは、該フィルム-形成混合物に、消泡剤として、約0.01質量%〜約5.0質量%なる範囲、より望ましくは約0.05質量%〜約2.5質量%なる範囲、および最も望ましくは約0.1質量%〜約1.0質量%なる範囲の量で添加することができる。
【0147】
随意成分:
また、様々な他の成分およびフィラーを、本発明のフィルムに添加することができる。これらは、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:界面活性剤;該混合物内の各成分を相溶化するのに役立つ可塑剤;ポリアルコール;該フィルムから酸素を放出させることにより、より滑らかなフィルム表面の形成を助ける、シリコーン-含有化合物等の消泡剤;および該成分の分散状態を維持するのに役立つ、熱硬化性ゲル、例えばペクチン、カラギーナン、およびゼラチン;および幾つかの活性成分の溶解度および/または安定性を改善する、シクロデキストリンおよび篭を形成する分子等の包接化合物。
【0148】
本発明の組成物に配合できる、これら様々な添加物は、様々な異なる機能を与えることができる。添加物群の例は、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、安定化剤、発泡剤、顔料、着色剤、フィラー、増量剤、甘味料、香味料、香料、離型性改善剤、佐剤、可塑剤、流動促進剤、離型剤、ポリオール、造粒剤、希釈剤、バインダ、バッファー、吸収剤、グリダント、接着剤、接着防止剤、酸味付与剤、柔軟剤、樹脂、保護薬、溶媒、界面活性剤、乳化剤、エラストマーおよびこれらの混合物を含む。これらの添加剤は、上記活性成分と共に添加することができる。
【0149】
有用な添加物は、例えばゼラチン、食用タンパク質、例えばヒマワリタンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質、ピーナッツタンパク質、ブドウ種子タンパク質、ホエータンパク質、ホエータンパク単離物質、血液タンパク質、卵のタンパク質、アクリレート化タンパク質、水溶性多糖類、例えばアルギン酸塩、カラギーナン、グアーガム、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、および関連するガム(ガッチガム、カラヤゴム、トラガカンスゴム)、ペクチン、セルロースの水溶性誘導体:アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースエステルおよびヒドロキシアルキルセルロースエステル、例えばセルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、例えばカルボキシメチルセルロースおよびこれらのアルカリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えばポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸およびポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/酢酸ビニルコポリマー、およびポリクロトン酸を含み;同様に適当なものは、フタレート化ゼラチン、ゼラチンサクシネート、架橋ゼラチン、セラック、デンプンの水溶性化学的誘導体、例えば三級または四級アミノ基、例えば所望により四級化できるジエチルアミノエチル基を持つ、カチオンにより変性されたアクリレート、およびメタクリレート;および他の同様なポリマーである。
【0150】
このようなエキステンダーは、場合により任意の所望の量で、望ましくは全ての成分の質量を基準として、約80%までの量、望ましくは約3〜50%なる範囲の量、およびより望ましくは3〜20%なる範囲の量で添加することができる。
【0151】
更なる添加剤は、無機フィラー、例えばマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン等の酸化物であり得、これらは望ましくは全ての成分の質量を基準として、約0.02〜約3質量%なる範囲、および望ましくは約0.02〜約1質量%なる範囲の濃度にある。
【0152】
添加物の更なる例は、可塑剤であり、その例は、ポリアルキレンオキサイド、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、低分子量を持つ有機可塑剤、例えばグリセロール、グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテート、トリアセチン、ポリソルベート、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ナトリウムジエチルスルホサクシネート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート等を含み、これらは、該ポリマーの質量を基準として、約0.5〜約30%なる範囲の濃度および望ましくは約0.5〜約20%なる範囲の濃度にて添加される。
【0153】
更に、デンプン物質の流動特性を改善するために、化合物、例えば動物または植物脂肪、望ましくはその水添状態にあるこれら脂肪、特に室温にて固体状態にあるものを添加することができる。これら脂肪は、望ましくは50℃またはそれ以上の融点を持つ。好ましくは、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸を含むトリグリセライドである。これら脂肪は、エキステンダーまたは可塑剤を添加することなく、単独で添加することができ、また有利には単独であるいはモノ-および/またはジ-グリセライドまたはホスファチド、特にレシチンと共に添加することができる。該モノ-およびジ-グリセライドは、望ましくは上記した型の脂肪、即ちC12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸から誘導される。
【0154】
使用する該脂肪、モノ-、ジ-グリセライドおよび/またはレシチンの全量は、該組成物全体の、約5%までおよび好ましくは約0.5〜約2質量%なる範囲にある。
【0155】
二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、または二酸化チタンを、該組成物全体の、約0.02〜約1質量%なる範囲の濃度にて添加することが、更に有用である。これらの化合物は、構造化剤(texturizing agents)として作用する。
【0156】
これら添加剤は、その意図した目的を達成するのに十分な量で使用される。一般的に、これら添加剤の幾つかの組合せが、上記活性成分の全体としての放出プロフィールを変更し、またその放出を改善、即ち抑制または促進するのに使用できる。
【0157】
レシチンは、本発明において使用するための界面活性剤の一つである。レシチンは、該供給原料中に、約0.25〜約2.00質量%なる範囲の量で含めることができる。他の界面活性薬剤、即ち界面活性剤は、セチルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ICIアメリカ社(ICI Americas, Inc.)から市販品として入手できる、スパン(SpanTM)およびツイーン(TweenTM)を含むが、これらに限定されない。バスフ(BASF)社から市販品として入手できるクレモフォア(CremophorTM) EL等のエトキシル化ヒマシ油を包含するエトキシル化オイルも有用である。カーボワックス(CarbowaxTM)は、本発明において極めて有用な、更に別の調節剤である。ツイーン(TweenTM)または界面活性剤の組合せは、所定の親水-親油バランス(HLB)を達成するために使用することができる。しかし、本発明は、界面活性剤の使用を必要とせず、また本発明のフィルムまたはフィルム-形成組成物は、本質的に界面活性剤を含まないものであり得るが、依然として本発明の望ましい均一性という特徴を与える。
【0158】
本発明の手順および製品を増強する付随的な調節剤が確認されたので、本出願人は、ここに請求する本発明の範囲内に、全てのこのような付随的な調節剤を含めるものとする。
【0159】
他の成分は、本発明のフィルムの製造容易性並びに一般的な性能に寄与する、バインダを含む。バインダの非-限定的な例は、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキサゾリドン、およびポリビニルアルコールを含む。
【0160】
更に、可能な添加剤は、溶解度増強剤、例えば活性成分と包接化合物を形成する物質を含む。このような薬剤は、極めて不溶性の高いおよび/または不安定な、活性成分の諸特性を改善する上で、有用であり得る。一般に、これら物質は、疎水性の内部空洞および親水性の外部を持つ、ドーナッツ-形状の分子である。不溶性のおよび/または不安定な活性成分は、該疎水性の空洞内に適合し、結果として包接複合体を生成し、この複合体は水に対して可溶性である。従って、該包接複合体の形成は、極めて不溶性の高いおよび/または不安定な活性成分が、水に溶解することを可能とする。このような薬剤の特に望ましい例は、デンプンから誘導される環状炭水化物としての、シクロデキストリンである。しかし、他の同様な物質も、当然本発明の範囲に入るものと考えられる。
【0161】
該フィルムの製造:
本発明のフィルムは、乾燥する前に、シートに成形する必要がある。所定の成分を併合して、上記ポリマー、水、および活性成分または他の所望の成分を含有する、多成分マトリックスを製造した後、この組合せを、当分野において公知の任意の方法で、例えば該多成分マトリックスを押出、塗布、展開、注型、または圧伸成形することにより、シートまたはフィルムに成形する。多層フィルムが望ましい場合、その製造は、同一のまたは異なる組成を持つことができる、成分の2以上の組合せを同時-押出することによって達成できる。また、多層フィルムの製造は、既に形成されたフィルム上に、該組合せを塗布、展開、または注型することにより達成し得る。
【0162】
様々な異なるフィルム-形成技術を利用できるが、可撓性フィルムを与える方法、例えばリバースロール塗布技術を選択することが望ましい。該フィルムの可撓性は、貯蔵または個々の投与剤形に裁断する前に、該フィルムのシートを巻取り、かつ搬送することを可能とする。望ましくは、該フィルムは、また自立性のもの、あるいは換言すれば、別途支持体のない状態においても、その保全性及び構造を維持できるものである。更に、本発明のフィルムは、可食性または摂取可能な材料を選択して製造することができる。
【0163】
塗布または注型法は、本発明のフィルム製造という目的にとって、特に有用である。具体的な例は、リバースロール塗布、グラビア塗布、浸漬塗布または漬塗り、計量ロッドまたはメイヤーバーコーティング、スロットダイまたは押出塗布、ギャップまたはロール式ナイフ塗布、エアーナイフ塗布、フローコーティング、または、特に多層-フィルムを所望する場合には、これらの組合せを含む。
【0164】
ロール塗布、またはより具体的にはリバースロール塗布は、本発明に従ってフィルムを製造する場合に、特に望ましい。この方法は、本発明において望ましいことである、得られるフィルムの優れた制御性および均一性を与える。この方法においては、上部計量ロールとその下部の塗布ロールとの間のギャップを正確に設定することによって、該塗布材料を、該アプリケータロール上で計量する。該塗膜は、これが、該塗布ロールに隣接する該支持ロールの周りを通過する際に、該塗布ロールから該基板に転写される。3本ロールおよび4本ロール法が一般的である。
【0165】
上記グラビア塗布法は、塗布浴中を走行する彫刻ロールの使用に拠っており、該浴は、該ロールの彫刻ドットまたはラインを、該塗布材料で満たす。該ロール上の過剰量の塗布材料は、ドクターブレードによって擦り取られ、また次に該塗布材料は、これが該彫刻ロールと加圧ロールとの間を通過する際に、基板上に堆積される。
【0166】
オフセットグラビア塗布が一般的であり、ここで該塗布材料は、該基板に転写される前に、中間ロール上に堆積される。
【0167】
該簡単な浸漬塗布または漬塗り法においては、該基板は、該塗布材料の浴に浸漬され、該塗布材料は通常低粘度のものであって、該基板が浴から出てきた際に、該塗布材料は該浴に戻ることができる。
【0168】
該計量ロッド塗布法においては、基板が浴ロール上を通過する際に、その上に、過剰量の該塗布材料が堆積される。しばしばメイヤーバーとして知られる、ワイヤ-巻回計量ロッドは、所定量の該塗布材料を、該基板上に残すことを可能とする。その量は、該ロッド上で使用される該ワイヤの径によって決定される。
【0169】
該スロットダイ法においては、該塗布材料は、重力によって、あるいはスロットを介する圧力下で絞出され、該基板上に堆積される。該塗布材料が、100%固体である場合、この方法は「押出」と呼ばれ、この場合において、線速度は、しばしば該押出速度よりも極めて高い。これは、塗膜を、該スロットの幅よりもかなり薄くすることを可能とする。
【0170】
PEOポリマー成分を含有するフィルム組成物を製造するためには、押出法を使用することが特に望ましい。これら組成物は、該ポリマー成分中にPEOまたはPEOブレンドを含み、また本質的に添加された可塑剤、および/または界面活性剤、およびポリアルコールを含まないものであり得る。該組成物は、約90℃未満の加工温度にて、シートに押出すことができる。押出は、該フィルム組成物を、ローラーまたはダイを介して絞出すことにより進めて、均一なマトリックスを得ることができる。次いで、この押出されたフィルム組成物を、当業者には公知の任意のメカニズムによって冷却する。例えば、低温ローラー、空冷床、または水冷床を使用することができる。この冷却段階は、PEOが熱を保持するので、これらフィルム組成物にとって、特に望ましい。
【0171】
上記ギャップまたはロール式ナイフ塗布法は、塗布材料を該基板上に適用し、これを次に「ナイフ」と支持ロールとの間の「ギャップ」に通すことからなる。該塗布材料および基板が、該ギャップを通過する際に、該材料の過剰分は、掻取られる。
【0172】
エアーナイフ塗布では、該塗布材料が該基板上に適用され、また該材料の過剰量は、該エアーナイフからの強力なジェットによって「吹飛ばされる」。この方法は、水性塗布材料に対して有用である。
【0173】
該フローコーティング法においては、底部においてスロットを備えた浴は、2つのコンベア間のギャップでの、該塗布材料の連続するカーテンの落下を可能とする。該塗布すべき対象は、制御された速度にて、該コンベアに沿って通過し、結果として該塗布材料をその上面に受け取る。
【0174】
もう一つの態様においては、該フィルムは、相互に接合された複数のフィルムからなるものであり得る。例えば、該フィルムは、一緒に積層された2枚のフィルムからなるものであり得る。これら複数のフィルム各々は、それぞれの固有の特性を持つことができる。例えば、第一のフィルムは、活性成分を含むことができ、また第二のフィルムは、活性成分を含まないものであり得る。更に、第一のフィルムは、活性成分を放出するように処方することができ、また第二のフィルムは、該第一のフィルムに対するバリアとして機能するように処方できる。
【0175】
該フィルムの乾燥:
該乾燥工程も、該フィルム組成物の均一性の維持に関する、寄与因子である。粘度増加組成物または、例えば上記ポリマーの選択によって粘度が制御されている組成物の存在しない条件下で、該フィルム内の成分が高い凝集または凝塊形成傾向を示す可能性がある場合には、制御乾燥工程は特に重要である。制御された乾燥工程を必要としない、正確な用量のフィルムを製造するもう一つの方法は、所定のウエル上で該フィルムを注型することである。この方法によれば、該成分は凝集する恐れがあるが、各ウエルが該投薬単位自体を画成するので、隣接投与剤形に対する該活性成分の移動を引起さない。
【0176】
制御されたまたは迅速な乾燥工程が望ましい場合には、該乾燥工程は様々な方法によって可能となる。熱の適用を必要とする方法を包含する様々な方法を利用できる。湿潤フィルムにおいて得られる、均一性、またはより具体的には、非-自己凝集性の均一な不均質性を維持するような方法で、該液状担体は、該フィルムから除去される。
【0177】
望ましくは、該フィルムは、該フィルムの底部から該フィルムの上部に向かって乾燥される。望ましくは、初期硬化期間中、該フィルムの上部を横切る空気流は、実質的に存在しない。該期間中に、中実の、粘弾性構造が形成される。これは、最初の数分間、例えば該乾燥工程の初期の約0.5〜約4.0分なる期間内に起こる。該乾燥工程をこのように調節することにより、従来の乾燥方法に見られる、該フィルムの上部表面の破壊および再形成を防止する。これは、該フィルムを形成し、上部および下部側部を持つ表面の上部側に該フィルムを配置することにより達成される。次いで、まず熱を、該フィルムの底部側に適用して、該液状担体を蒸発または除去するのに要するエネルギーを供給する。このようにして乾燥される該フィルムは、風乾されたフィルムまたは従来の乾燥手段によって乾燥されたフィルムと比較して、より迅速かつ均等に乾燥される。最初に上部および端部が乾燥される、風乾フィルムとは対照的に、底部に熱を適用することによって乾燥されるフィルムでは、同時にその中心部並びにその端部が乾燥される。これは、また従来の手段によって乾燥されたフィルムについて見られる、成分の沈降をも防止する。
【0178】
該フィルムを乾燥する温度は、約100℃またはそれ以下、望ましくは約90℃またはそれ以下、および最も望ましくは約80℃またはそれ以下である。
【0179】
単独であるいは上記の如き他の制御乾燥法との組合せで使用することのできる、該乾燥工程を制御するもう一つの方法は、該フィルムが乾燥されている、該乾燥装置内の、湿度を制御および調節することを含む。このようにして、該フィルム上部表面の早期の乾燥を回避する。
【0180】
更に、乾燥期間の長さを適切に制御でき、即ち該成分、および特に香味油および薬物の感熱性および揮発性と、該乾燥期間とを釣合わせることが可能であることをも見出した。該最終的なフィルムにおいて、該エネルギーの量、温度および該コンベアの長さおよび速度は、このような活性成分を収容し、かつその損失、分解または不活化を最小化するように釣合わせることができる。
【0181】
適当な乾燥法の具体的な例は、Magoonにより記載された方法である。Magoonの方法は、特にフルーツパルプの乾燥方法を指向している。しかし、本発明者等は、薄いフィルムを製造するためにこの方法を採用した。
【0182】
Magoonの方法並びに装置は、水の興味深い特性に基いている。水は、その環境内および該環境に対する伝導および対流によってエネルギーを伝達するが、水は、水内部および水自体に対してのみエネルギーを放出する。従って、Magoonの装置は、赤外線に対して透明な、該フルーツパルプを配置すべき表面を含む。該表面の下側は、温度制御された水浴と接触状態にある。該水浴の温度は、望ましくは水の沸点よりも僅かに低い温度に制御される。該湿潤フルーツパルプが該装置の該表面上に配置された際に、該表面は、「リフラクタンスウインドウ(refractance window)」を生成する。このことは、該表面を介して、該フルーツパルプにより占有された表面上の領域のみに対して、かつ該フルーツパルプが乾燥されるまでの期間だけ、赤外線エネルギーの照射が可能となることを意味している。該Magoonの装置は、効果的な乾燥時間で、本発明のフィルムを与え、結果として該フィルム成分の凝集する機会を減じる。
【0183】
該乾燥工程を制御するもう一つの方法は、ゾーン乾燥法を含む。ゾーン乾燥装置は、内部に位置する1またはそれ以上の乾燥ゾーンを持つ、連続ベルト式乾燥トンネルを含むことができる。各乾燥ゾーンの条件は変えることができ、例えば温度および湿度を選択的に選ぶことができる。段階的な乾燥効果を得るために、周期的にこれらのゾーンを配列することが望ましい可能性がある。
【0184】
該ゾーン乾燥用コンベアの速度は、望ましくは連続である。あるいはまた、該速度は、該乾燥工程の特定の段階で変更して、該フィルムを該所定ゾーンの条件に暴露する期間を増大または短縮することができる。連続であれまたは変更されようが、該ゾーン乾燥は、表面スキンの形成を伴わずに、該フィルムを乾燥する。
【0185】
図35に示されたゾーン乾燥装置100の一態様によれば、該フィルム110は、連続ベルト120上に供給され、該ベルトは、異なる乾燥ゾーンを介して該フィルムを搬送する。該フィルムが移動する第一の乾燥ゾーン101は、加温されかつ湿潤したゾーンであり得る。第二のゾーン102は、より高温で乾燥したゾーンであり得、また第三のゾーン103も、高温かつ乾燥ゾーンであり得る。これらの異なるゾーンは、連続であり得、あるいはまた、図36におけるゾーン乾燥装置200によって示されるように、これらは、分離されていてもよい。本発明による、該ゾーン乾燥装置は、3つの乾燥ゾーンに限定されない。該フィルムは、必要ならば、変動する温度および湿度レベルを持つより少数の、または追加の乾燥ゾーンを通して移動させて、本発明の制御乾燥効果を得ることができる。
【0186】
温度および湿度を更に制御するために、該乾燥ゾーンは、追加の雰囲気条件、例えば不活性ガスの使用を含むことができる。該ゾーン乾燥装置は、本発明により制御乾燥が維持される限りにおいて、更に該乾燥工程中に追加の工程、例えば噴霧および積層工程を含めるのに適したものであり得る。
【0187】
該フィルムは、最初約500μm〜約1,500μmなる範囲、即ち約20ミル〜約60ミルなる範囲の厚みを持つことができ、また乾燥した際には、約3μm〜約250μmなる範囲、即ち約0.1ミル〜約10ミルなる範囲の厚みを持つことができる。望ましくは、該乾燥フィルムは、約50.8μm〜約203μm(約2ミル〜約8ミル)なる範囲、およびより望ましくは約76.2μm〜約152μm(約3ミル〜約6ミル)なる範囲の厚みを持つ。
【0188】
フィルムの均一性に関するテスト
本発明のフィルムを、該フィルム製造工程中に、その化学的および物理的な均一性について検査することが望ましいであろう。特に、該フィルムのサンプルを取出し、様々なサンプル間で、フィルム成分における均一性につきテストすることができる。フィルムの厚みおよび全体としての外観も、均一性のためにチェックすることができる。均一なフィルムが、特に安全性および効力の観点から、製薬的に活性な成分については、望ましい。
【0189】
本発明による均一性のテスト法は、製造工程を通してフィルムを搬送することを含む。この方法は、特に該フィルムを乾燥工程に掛け、該フィルムを個々の投与単位に分割し、および/または該投与単位を包装する工程を含む。該フィルムを、該製造工程を通して、例えばコンベアベルト式装置上を搬送する際に、該フィルムはその幅方向において、少なくとも一つの部分で裁断される。該少なくとも一つの部分は、任意の他のフィルム部分と分離されている、対向する端部を持つ。例えば、該フィルムがロール状に巻回されている場合、これは、別々の小ロールに切断される。該フィルムの切断は、様々な方法、例えばナイフ、カミソリ、または任意の他の適当な、フィルム切断手段により実施ができる。
【0190】
次いで、この切断したフィルムは、該部分の中央部分を崩壊することなしに、該部分の該対向する端部各々から、小片を取出すことによりサンプリングすることができる。該中央部分を完全なままに維持することにより、該フィルムの主要部分が、該フィルムの整合性を乱すことなく、また該フィルム内にサンプリングに起因するギャップの生成を伴うことなしに、製造工程を継続することを可能となる。従って、用量の喪失の問題は、該フィルムが更に加工、例えば包装される際に、軽減される。その上、該切断部分または該小ロールの完全性を、該工程全体を通じて維持することは、小片喪失を知らせる警告による停止等の誤った制御の問題による、更なるフィルムの加工または包装における障害発生の可能性を軽減するのに役立つ。
【0191】
該端部小片またはサンプル採取部分を、該フィルム部分から取出した後、該小片を、サンプル間の成分の含有率における均一性につきテストすることができる。該フィルム小片を検査し、かつテストするための任意の公知の手段、例えば肉眼検査、分析装置の使用、および当業者には公知の任意の他の適当な手段を使用することができる。このテストの結果が、フィルムサンプル間における不均一性の存在を示した場合、該製造工程を変更することができる。これは、該方法が、全製造行程を完了する前に、変更することができるので、時間および経費の節減を可能とする。例えば、該乾燥条件、混合条件、構成成分および/またはフィルム粘度は、変更することができる。該乾燥条件の変更は、とりわけ温度、乾燥時間、湿度レベル、および乾燥機の配置の変更を含むことができる。
【0192】
更に、該製造工程全体を通して、該サンプリングおよびテスト段階を反復することが望ましいであろう。複数の間隔でのテストの実施は、均一なフィルム用量の連続的な生成を保証できる。この方法の変更を任意の段階で行って、サンプル間の不均一性の発生を最小に抑えることができる。
【0193】
薄いフィルムの用途:
本発明の薄いフィルムは、多くの用途に対して十分に適したものである。該フィルム成分の高度の均一性は、該フィルムを、医薬の配合に対して特に適したものとする。更に、該フィルムの構築において使用される該ポリマーは、該フィルムに対して、ある範囲内の崩壊時間を可能とするように選択することができる。フィルムが崩壊する時間の変更または延長は、該活性成分が放出される速度の調節により達成でき、これは、徐放型の放出系を得ることを可能とする。更に、該フィルムは、幾つかの身体表面、特に口腔、肛門、膣、目等の粘膜を含む表面、皮膚表面または身体内の創傷のある表面、例えば外科手術中の表面、および同様な表面の何れかに、活性成分を投与するために使用することができる。
【0194】
該フィルムは、活性成分の経口投与のために使用することができる。これは、該フィルムを上記のように製造し、これらを哺乳動物の口腔に導入することにより達成される。このフィルムは、使用前に、即ち口腔に導入する前に除去される、第二のまたは支持層上で調製し、またこれに接着することができる。接着剤を使用して、該フィルムを支持または裏地材料に付着することが可能であり、該支持材料は、当分野において公知の如何なるものであってもよく、また好ましくは水に対して不溶性のものである。接着剤を使用する場合、これは望ましくは摂取可能であり、また該活性成分の諸特性を変更しない、食品グレードの接着材である。粘膜接着性組成物が、特に有用である。多くの場合において、該フィルム組成物は、それ自体粘膜接着性物質として機能する。
【0195】
これらのフィルムは、哺乳動物の舌にまたはその下方に適用することができる。これが望ましい場合、該舌の形状に相当する、特定のフィルム形状が好ましいものであり得る。従って、該フィルムは、該舌の裏側に対応する該フィルムの側が、該舌の前部に対応する側よりも長くなっている、所定形状に裁断することができる。具体的には、該所望の形状は、三角形または台形状の形状であり得る。望ましくは、該フィルムは、口腔から吐出されず、また該フィルムの溶解に伴い、該活性成分の大部分の、該口腔への導入を可能とするように、該口腔に接着される。
【0196】
フィルムの、上記固有の可撓性、形状およびサイズに加えて、該フィルムマトリックスにおける、架橋されたアクリル酸ポリマーの使用を通して、該フィルムに、粘膜接着性を付与することも可能である。これらのポリマーは、粘膜と水素結合を形成し、またこれと絡み合って、接着を結果する。この接着は、該舌下領域におけるより長い滞留時間をもたらし、そのためにより長い吸収時間およびサイト-特異的な接着に導き、結果的に胃腸管における、唾液の作用による該薬物の洗流しを最小化する。
【0197】
舌下領域を介する吸収は、該薬物の生体利用性を改善する。というのは、広く代謝される薬物、高度に効力のある薬物、重大な副作用を持つ薬物に対する、初回通過効果を迂回するからである。フィルム内の薬物の舌下投与は、また、抗-アンギナ、抗-ヒスタミンおよび即座の応答が必要とされる場合における、痛み抑制化合物等の薬物のTmaxおよびCmaxをも改善する。
【0198】
もう一つの態様においては、多層フィルムを、舌下投与することができる。例えば、2枚のフィルムを接合して、該活性成分含有フィルムが底部となり、またこれが上部となるように、単一のフィルムを形成することができる。該第一のフィルムは活性成分を含み、また該舌下粘膜と直接接触する下部面を持つことができる。該第二のフィルムは、活性成分に乏しく、また該第一のフィルムに対するバリアとして機能し得る。より詳しくは、該第二のフィルムは、該第一フィルムの上部面と接触し、かつバリアとして機能して、該第一フィルムの上部面からの薬物の喪失を最小化することができる。
【0199】
他の態様においては、該第二のフィルムは、粘膜接着性を持つことができ、また該第一フィルムを封入し、該第一フィルムと舌および口の他の要素との接触を防止するように、該第一フィルムよりも大きくすることができる。これは、該舌下領域を介する該薬物吸収の管理を助ける。該第二のフィルムは、該第一フィルムよりも緩慢な溶解速度を持ち、該第一のフィルムが溶解された後においても、バリア特性を保証することができる。該第二のフィルムは、また他の舌下投与剤形、例えば錠剤に対するバリア/粘膜接着剤としても機能し得る。
【0200】
本発明のフィルムのもう一つの用途は、液体に導入した際の、該フィルムの傾向、即ち該フィルムが迅速に溶解するという利点を利用する。本発明に従ってフィルムを製造し、これを液体に導入し、これを溶解することにより、活性成分を液体に導入することができる。これは、活性成分の液状投与剤形の調製、または飲料に香味付けするために使用することができる。
【0201】
本発明のフィルムは、望ましくは封止された、空気および水分に対して抵抗性の包装体内に収容して、該活性成分を、酸化、加水分解、揮発及び環境との相互作用等による影響から保護する。図1を参照すると、包装された薬理的な投与単位10は、パウチ内に、またはホイルおよび/またはプラスチック積層シート14間に別々に包まれた、各フィルム12を含む。図2に示されているように、該パウチ10、10'は、引裂可能なまたは有孔接合部16によって一緒に結合することができる。該パウチ10、10'は、図5に示したようにロール状に包装することができ、あるいは図3に示すように重ね合わせることができ、また図4に示すようにディスペンサ18内に収納して市販することができる。該ディスペンサは、典型的に意図した療法に対して処方された医薬の全供給量を含むことができるが、該フィルムおよび包装の薄さのために、錠剤、カプセルおよび液剤に対して使用される伝統的なボトルよりも一層小さく、および一層便利である。更に、本発明のフィルムは、唾液または粘膜領域と接触した際に瞬間的に溶解し、水で該用量を流し込む必要性を排除する。
【0202】
望ましくは、一連のこのような単位用量は、処方された養生または治療に従って、特定の療法に依存して、例えば10-90日分の供給量にて、一緒に包装される。該フィルム各々は、支持体上に包装することができ、該支持体は使用に際して剥離される。
【実施例】
【0203】
本発明の上記特徴および利点は、以下の実施例により更に完全に示されるが、該実施例は、例示の目的で与えられるものであって、本発明を何ら限定するものと理解すべきではない。
実施例A-I:
本発明の水溶性の薄いフィルムを、以下の表1に示す成分および量を使用して、製造した。
【0204】
【表1】

【0205】
1: ICIアメリカ社(ICI America)から入手できる。
2: OSIから入手できる。
3: ファイザー社(Pfizer, Inc.)から入手でき、チモール(0.064%)、ユーカリプトール(0.092%)、メチルサリチレート(0.060%)、メントール(0.042%)、水(72.8%まで)、アルコール(26.9%)、安息香酸、ポロキサマー407、安息香酸ナトリウム、およびカラメルカラーを含む。
4: ピュアコート(Pure Cote) B792として、グレインプロセッシング社(Grain Processing Corporation)から入手できる。
5: クラリチン(Claritin)としてシェリング社(Schering Corporation)から入手できる。
6: 日本国の林原生化学研究所(Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc.)から入手できる。
【0206】
本発明の組成物A-Iの上記成分を、均一な混合物が得られるまで混合することにより併合した。次いで、これらの組成物を、リバースロール塗布法によって、フィルムに成形した。次に、これらのフィルムを、赤外に対して透明な表面の上部面上で乾燥したが、該表面の下部面は、約99℃に加熱された水浴と接触していた。該フィルム上方には、如何なる外的な加熱空気流も存在しなかった。これらフィルムを、約4〜6分間、約6質量%の含水量となるまで乾燥した。これらフィルムは可撓性で、自立性であり、また該フィルム内で、上記成分の均一分布を与えた。
【0207】
該フィルム内での該成分の均一分布は、肉眼観察または幾分かの拡大条件下での観察により明らかとなった。該フィルムの観察によって、これらフィルムが、実質的に凝集物を含まないことが明らかとなり、即ち該担体および該活性成分は、実質的に所定位置に維持され、また実質上該フィルムの一部分から他の部分への移動はなかった。従って、該フィルムの任意部分に見出される活性成分の量における、実質的な不均衡は存在しなかった。
【0208】
また、均一性を、先ず該フィルムを個々の投与剤形に裁断することによって測定した。実質的に同一サイズの25個の投与剤形を、上記本発明の組成物(E)から作成したフィルムにおける、該フィルム全体のランダムに選択された位置から切取った。次いで、8個のこれら投与剤形を、ランダムに選択し、累積的に秤量した。該ランダムに選択された8個の投与剤形の該累積的な重さは、以下の表2に示すような結果となった。
【0209】
【表2】

【0210】
該個々の用量は、一様に0.04gであり、このことは、該フィルム内の該成分の分布が一様であり、かつ均一であることを示す。これは、各成分が固有の密度を持つという、単純な原理に基いている。従って、異なる密度を持つ該成分が、本発明における如く、フィルム内で均一に併合されている場合、実質的に等しい寸法を持つ、同一のフィルム由来の、個々の投与剤形は、同一の質量を持つであろう。
【0211】
該活性成分の均一性を決定する別の方法は、該フィルムを個々の用量単位に切断することである。次いで、個々の用量単位を溶解し、特定のサイズを持つフィルム内の活性成分の量につきテストすることができる。この方法は、同一のフィルムにおける種々の位置から切取った、実質的に同一のサイズを持つフィルムが、実質的に同一の量の活性成分を含むことを明らかにする。
【0212】
本発明の組成物A-Hから作成した該フィルムが、舌の上に置かれた場合、これらは迅速に溶解して、該活性成分を放出する。同様に、これらを水に入れた場合、該フィルムは迅速に溶解し、該活性成分として香味料が選択されている場合には、香味付けされた飲料を与える。
【0213】
実施例J-L
制御された分解時間を持ち、また水溶性および水-不溶性ポリマーの組合せを含む薄いフィルムおよび活性成分の制御された放出を可能とする水溶性フィルムを、以下の表3に記載する成分を、ほぼ表3に記載された量で使用して製造する。
【0214】
【表3】

1: ICIアメリカ社(ICI America)から入手できる。
2: FMC社から入手できるエチルセルロースの、30質量%水性分散液である。
【0215】
本発明の組成物J-Lの該成分を併合し、上記本発明の組成物A-Iの調製法を利用して、フィルムに成形した。これらのフィルムも、可撓性で自立性であり、用量における正確性を保証する、活性成分の均一分布性を与えた。
【0216】
本発明の組成物J-Lから製造したフィルムの均一性は、上記の如く、個々の投与フィルムの重さを測定する視覚的手段により、あるいは該フィルムを溶解し、活性成分の量につきテストすることにより、テストすることができる。
【0217】
実施例M-O
正確な用量を与える、フィルムを製造するもう一つの方法は、本発明の組成物A-Iの何れに対しても使用できる。この方法は、先ず混合により各成分を併合することから始める。次いで、この成分の組合せを、個々のウエルまたは金型に分割する。このような方法において、乾燥中の該成分の凝集は、個々のウエルによって防止される。
【0218】
【表4】

【0219】
1: メトセル(Methocel) K35として、ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)から入手できる製品。
2: ICIアメリカ社から入手できる。
3: ピュアコート(Pure Cote) B792として、グレインプロセッシング社(Grain Processing Corporation)から入手できる。
4: マコーミック(McCormick)社から入手できる。
5: カロシロップ(Karo Syrup)なる名称で、ベストフーズ社(Bestfoods, Inc.)から入手できる。
【0220】
上記表4の成分を併合し、ガラス表面上で、該成分の組合せを流込み成形し、該ガラスの底部側に熱を適用した。これにより、本発明の組成物M-Oを得た。
【0221】
該組成物Mのフィルムを、該赤色染料によってもたらされる色相における変動につき、乾燥前およびその後の両者において調べた。該フィルムを、太陽光照射の下および白熱電球からの光照射の下両者において調べた。色の色相および強度における変動は、何等観測されなかった。
【0222】
該組成物Mのフィルムに関する更なるテストは、濃度と直接関連する吸収に関するテストを含んでいた。該フィルムを、各々2.54cm(1in)×1.91cm(0.75in)なるサイズのセグメントに裁断し、これらに連続する番号を付した。約40mgの、該セグメントを切出したスクラップ材料を、約10mlの蒸留水に溶解し、次いで定量的に、25mlのメスフラスコに移し、所定体積とした。この溶液を、遠心分離操作に掛け、203-1200nmなる範囲で、3nm間隔にて走査した。最大吸収の周波数は、530nmであることが分かった。次いで、この溶液を、より高いRPMにて再度遠心分離操作(同一の期間)に掛け、再度走査したところ、その結果は、%透過率または周波数における、如何なる変化もないことを示した。
【0223】
該セグメント各々を秤量したところ、0.1mgであった。次いで、これを10mlの蒸留水に溶解し、定量的に、25mlのメスフラスコに移し、蒸留水で所定体積とした。次に、各セグメントの溶液を、上記の如く遠心分離操作に掛け、次いで先ず203-1200nmなる範囲で、その後僅かに500nm〜550nmなる範囲にて、1nmなる走査速度にて走査した。記録した値は、最低波長における%透過率であり、該最低波長は、最高頻度で、530nmであった。
これら吸収値を、以下の表5に示す。
【0224】
【表5】

【0225】
*: セグメント8は、失われた。
【0226】
全体的な平均の吸収量は、1.724であった。テストした15個のセグメントの内で、最大値と最低値との間の差異は、0.073単位、あるいは平均すると4%であった。このことは、該組成物内の該染料の均一性に関する、優れた制御性を示している。というのは、該吸収量が、各セグメント内の該染料の濃度と、直接比例しているからである。
【0227】
本発明の組成物Nのフィルムは、極めて高い可撓性を持つフィルムを与えた。このフィルムは、引延ばすことができ、また極めて高い引張強さを示した。
【0228】
本発明の組成物Oのフィルムを製造した後、ガラスから、カミソリで該ガラスの長さ方向に極めて迅速に剥ぎ取ることにより、このフィルムを取出した。この操作は、極めて堅牢に巻回された「楊枝-様」の投与剤形を与えた。各投与剤形を秤量したところ、一様に0.02gであった。このことは、該投与剤形の均一性並びに該フィルムの優れた自立性を立証している。
実施例P-W:
本発明に関連している、フィルム製造における様々な条件間の相互作用を明らかにするために、組成物P-Wを製造した。以下の表6に示す成分を併合し、以下の表7に掲載するプロセスパラメータを使用して、フィルムに成形し、その調製は、該フィルムの底部からの乾燥を具体化するように設計された、6mのトンネル乾燥畿内で行った。これら実施例各々は、異なる成分を含む処方物および処理技術の、生成するフィルム製品に及ぼす効果を示す。
【0229】
【表6】

【0230】
【表7】

【0231】
1: 第一ヒータ区画(3m);2: 第二ヒータ区画(3m)
【0232】
【表8】

【0233】
1: 第一ヒータ区画(3m);2: 第二ヒータ区画(3m)
【0234】
表7において、該プロセスパラメータの各々は、該フィルムの様々な特性に寄与している。フィルム厚とは、リバースロール塗布装置におけるブレードとローラーとの間の距離を意味する。底部速度および上部速度とは、夫々該フィルムの底部および上部側における空気流の速度を意味する。フィルム重量とは、100cm2なる、該基板およびフィルムの円形部分の重さを表す尺度である。
【0235】
組成物P-Rは、該フィルム組成物としての混合物を、フィルム製造用の基板上に塗布する能力に及ぼす、粘弾性特性の効果を示す。組成物Pは、繊維状の弾性を示した。湿潤フィルムは、その水準を維持せず、その塗膜は平坦でなく、また該フィルムは乾燥しなかった。組成物Qにおいては、組成物Pと実質的に同一の処方を使用したが、キサンタンを含めなかった。この製品は、該基板に塗布されているが、該湿潤フォームの粘弾性における変動のために、平坦性を維持していない。組成物Rは、実質的に同一の処方を用いて製造したが、組成物Pのキサンタン量の半分を配合した。この処方は、平坦に塗布できる組成物を与えた。組成物P-Qは、該フィルムマトリックスが、特定の塗布技術に適合する能力における、適当な処方の重要性を明らかにする。
【0236】
組成物Sから製造したフィルムは、該フィルム中に大量の空気を含んでいた。このことは、塗布された厚みに変動はあるものの、表7における値と同一の、乾燥フィルム厚により立証される。該フィルムの顕微鏡検査は、該フィルム中における多数の気泡の存在を明らかにした。該フィルムにおける空気の付加につき補正するために、該混合工程中に注意を払って、空気の混入を回避する必要がある。
【0237】
組成物Tは、60/40水/エタノール混合溶媒への、溶媒の変更を含んでいた。組成物Tを、45分間穏やかに攪拌して、該混合物の脱気を行った。フィルム製品T1およびT2の乾燥重量は、T1とT2との固形分における増加と一致していた。これらフィルムは、一層迅速に乾燥され、5%未満の含水率を有していた。組成物Tにおける成分の特定の組合せに関連して、一部の水を一部のエタノールによって置換することは、該フィルムのより迅速な乾燥を可能とした。該穏やかな攪拌の結果としての、該フィルムからの空気の除去は、最終的に得られるフィルム製品の均一性の達成、および該より一層の乾燥時間の短縮に対しても寄与した。
【0238】
組成物Uにおいては、水のみを、溶媒として使用した。該フィルム製品U1-U3の乾燥重量は、塗布した厚みにおける変化と矛盾することなく変動したが、このことは気泡が全く存在しないことを示す。しかし、部分的にエタノールを含み、完全に乾燥された、組成物Tのフィルムとは異なり、これらフィルムはオーブンから取出した際に、20%の水分を含んでいた。
【0239】
組成物V1およびV2において、固形分の量は増大し、また水の量は減少していた。その乾燥重量は、固形分の増大のために、U1-U3よりも大きかったが、組成物Uと同様に、これらフィルムは、オーブンから取出した際に、依然として20%の水分を含んでいた。
【0240】
組成物V3については、塗の布線速度を低下させて、露出したフィルム表面の早期の乾燥を防止した。このフィルム製品を、含水率6%まで乾燥させた。
固形分の量の増大は、得られるフィルムの重量を改善するが、長い乾燥時間が必要となった。これは、水の容易な除去を妨害する、フィルム表面の封止によるものであった。従って、組成物W1-W3については、乾燥機の第一の3mの区画における温度を下げた。これにより、該フィルムの上部表面の、上記の如き早期の乾燥が防止された。より大きなフィルム厚においてさえ、該フィルムは、より高い塗布機線速度においても、含水率5%まで乾燥された。
実施例X-AA:
【0241】
【表9】

【0242】
表8の組成物X、YおよびZを、グラット(Glatt)コーターおよび塗布物質として、ユードラジットE-100ポリメタクリレートポリマーを使用して、風味-隠蔽塗布処理した。該塗布物質は、20%濃度にて噴霧塗布された。従って、薬物量として10mgおよび最終乾燥製品として12.5mgが秤量されるはずである。
【0243】
薬物添加剤を排除した、この基本の処方を、空気を混入しないように注意して、混合した。初期混合処理後、この処方物を穏やかに混合して、30分間に渡り脱気した。この期間中に、該薬物を秤量し、該基本配合物に添加すべく調製した。
【0244】
組成物Xに対して、該ロラタジン(80%の薬物)を、攪拌しつつ該配合物に徐々に添加した。5分間の攪拌後、この全配合物を、3本ロールコーターセット(リバースロールコーター)のパンに添加し、塗布厚30μmにて塗布した。
【0245】
該底部加工温度を、上部の加熱または空気流なしに、90℃に設定し、底部空気速度を40m/秒に設定し、またこの線速度を1.3m/秒に設定した。このフィルムに対する全乾燥時間は、4.6分間であった。
【0246】
該液体を、厚み30μmにて塗布し、5分未満の期間、オーブン内で乾燥させた。このフィルムは、可撓性であり、その2.54cm(1in)×1.91cm(0.75in)なるサイズの小片の重さは70mgであり、また10mgのロラタジンを含んでいた。
【0247】
上記の実験を、夫々ゾミッグおよびパキシルを含む、組成物YおよびZについて繰り返した。両実験は、夫々5mgのゾミッグを含む目標重量70mgおよび10mgのパキシルを含む目標重量70mgを持つ、可撓性フィルムを生成した。
これらの製品は甘く、如何なる感知可能な薬物の後味をも呈さなかった。
【0248】
組成物AAの成分を混合して、該流体状マトリックス中に取込まれた空気の量を減じた。ユードラジットE-100を用いて被覆された、80%活性成分レベルおよび20%の被覆を含む45gのロラタジンを混合した後、得られた混合物を、該薬物が均一に分散されるまで、約5分間、混合しつつ徐々に添加した。次いで、該液体を、3本ロールコーターセット(リバースロールコーター)に添加し、これを、1.3m/分なる線速度で、厚み30μmまで塗布した。該オーブン温度を90℃に設定し、底部のみに空気および熱を適用し、ここで空気速度は、40m/秒に設定した。この乾燥されたフィルムの厚みは、0.127mm[0.005インチ(5ミル)]であり、またこのフィルムを、2.54cm(1in)×1.91cm(0.75in)なるサイズの小片に裁断したところ、70mg±0.7mgなる重量を持つことが分かり、これは該フィルム組成の均一性を立証するものであった。このフィルムは可撓性であり、5%なる含水率を持ち、気泡を含まず、また光学顕微鏡での観察により明らかな如く、また該フィルム小片の実質的に同一の重量測定値によって示されるように、均一な薬物分布を示していた。
【0249】
実施例BA-BI:
消泡/脱泡剤(即ち、シメチコン)の配合は、該フィルム製品中の気泡が実質的に減じられまたは排除された均一なフィルムを与えるのみならず、他の利点をも与えた。これらフィルムは、より望ましい器官感覚受容特性を示した。これらフィルムは、消費者に、より良好な口当たりを与える、低い「紙-様の」、改善された構造を有していた。
表9における組成物を製造し(本発明の組成物BA-BGにおいて、シメチコンの添加を含む)、真空条件下で混合して、気泡を除去した。
【0250】
本発明の組成物BA-BGから得られた裁断前のフィルムは、特に該不溶性の活性成分に関する含有率における、並びに該フィルムから切り出した、1.91cm(3/4in)×2.54cm(1in)×0.127mm(5ミル)なるサイズの単位用量における均一性を示した。また、本発明の組成物が滑らかな表面を持ち、また気泡を含まないことも観測された。本発明の組成物BF-BG中に存在する、著しく多量のシメチコンも、極めて均一なフィルムを与えるが、本発明の組成物BA-BEの均一性に比して、それほど改善されてはいない。
対照的に、比較例BH-BIは、より粗い表面を有し、得られたフィルム内に気泡の存在を示し、該フィルムは、均一性の低い構造および均一性の低い該成分の分布をもたらすことが観測された。
【0251】
【表10】

【0252】
1: ICIアメリカ社(ICI America)から入手できる。
2: OSIから入手できる。
3: ファイザー社(Pfizer, Inc.)から入手でき、チモール(0.064%)、ユーカリプトール(0.092%)、メチルサリチレート(0.060%)、メントール(0.042%)、水(72.8%まで)、アルコール(26.9%)、安息香酸、ポロキサマー407、安息香酸ナトリウム、およびカラメルカラーを含む。
4: ピュアコート(Pure Cote) B792として、グレインプロセッシング社(Grain Processing Corporation)から入手できる。
5: クラリチン(Claritin)としてシェリング社(Schering Corporation)から入手できる。
6: 日本国の林原生化学研究所(Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc.)から入手できる。
【0253】
実施例CA-CC:
本発明の以下の実施例は、界面活性剤としてエトキシル化ヒマシ油を使用する、あるいはまた界面活性剤、可塑剤および/またはポリアルコールを含まない、フィルムおよびフィルム形成組成物を説明する。望ましくは、本発明のフィルムおよびフィルム形成組成物は、本質的に界面活性剤を含まないものである。更に、本発明のフィルムおよびフィルム形成組成物は、望ましくは本質的に界面活性剤を含まないように処方される。更に、本発明のフィルムおよびフィルム形成組成物は、望ましくは本質的に可塑剤を含まないように処方される。その上、本発明のフィルムおよびフィルム形成組成物は、望ましくは本質的にポリアルコールを含まないように処方される。更に、本発明のフィルムおよびフィルム形成組成物は、望ましくは本質的に界面活性剤および可塑剤を含まないように、処方される。その上、本発明のフィルムおよびフィルム形成組成物は、望ましくは本質的に界面活性剤、可塑剤およびポリアルコールを含まないように処方される。
【0254】
【表11】

【0255】
1: ピュアコート(Pure Cote) B792として、グレインプロセッシング社(Grain Processing Corporation)から入手できる。
2: バスフ(BASF)社から入手できる、エトキシル化ヒマシ油、クレモフォア(CremophorTM) EL。
3: プロピレングリコール
4: シリコーンエマルション
【0256】
上記成分を、30%〜70%となるような量の水に添加し、ポリマーが完全に水和されるまで(45分間かかる)、攪拌した。次いで、この配合物を真空条件下において、取込まれた空気を排除した。この真空は、定常的な様式で、500mmにて開始し、45分間に渡り徐々に760mmにまで高めた。
この真空の解除後、該液体6gを、200μmのラセンを巻付けたロッド及びKコントロールコーターモデル(Control Coater Model) 101[RKプリントコートインダストリー社(RK Print Coat Inst. Ltd.)]を用いて、塗布紙に付加した。該塗膜を付加した、この紙製の基板は、シリコーン塗布紙であった。次いで、この塗布された紙を、含水率が約5%となるまで、90℃にて乾燥した。該処方物を塗布し、次いで約60μmなる厚みとなるまで乾燥したが、これは口腔内で迅速に溶解した。
【0257】
【表12】

【0258】
1: ピュアコート(Pure Cote) B792として、グレインプロセッシング社(Grain Processing Corporation)から入手できる。
2: プロピレングリコール。
3: ポリジメチルシロキサンエマルション
4: 薬物配合状態を模倣するように機能付けされている。
【0259】
上記成分を、40%となるように水に添加し、均質な懸濁液を生成した。20分間に渡り、500mmHgにて開始し、660mmHgにて終端するように、真空引きして、あらゆる空気を該懸濁液から除去した。前の実施例において説明したように、フィルムを製造した。この液体を、シリコーン剥離基板に塗布し、乾燥して、均一な可撓性フィルムを得た。このフィルムは、破壊されることなしに、180度曲げテストに合格し、口腔内で溶解した。
【0260】
【表13】

【0261】
1: ポリジメチルシロキサンエマルション。
2: バージニアデア(Virginia Dare)社から入手できる、プロスイート(Prosweet)。
3: 薬物配合状態を模倣するように機能付けされている。
【0262】
上記成分を、30%〜70%となるような量の水に添加し、ポリマーが完全に水和されるまで(20分間かかる)、攪拌した。次いで、この配合物を真空条件下において、取込まれた空気を排除した。真空は、定常的な様式で、35分間掛けて徐々に760mmにまで高めた。
この真空の解除後、該液体を、350μmの平滑なバーおよびKコントロールコーターモデル(Control Coater Model) 101[RKプリントコートインダストリー社(RK Print Coat Inst. Ltd.)]を用いて、塗布紙に付加した。該塗膜を付加した、この紙製の基板は、シリコーン塗布紙であった。次いで、この塗布された紙を、含水率が約4%となるまで、90℃にて乾燥した。該処方物を塗布し、乾燥してフィルムとした。このフィルムは、許容できる風味を持ち、口腔内で迅速に溶解した。該風味-隠蔽性香料は、味覚受容体に影響して、該受容体を、様々な典型的に望ましくない風味を知覚しないように隠蔽する成分である。このフィルムは、破壊されることなしに、180度曲げテストに合格し、口腔内で溶解した。
実施例CD:
本発明の以下の実施例は、香料および風味-隠蔽助剤をも含有する、風味-隠蔽処理された製薬的に活性な薬剤を使用する、フィルムおよびフィルム-形成組成物について説明する。風味-隠蔽性香料は、味覚受容体に作用して、該受容体を、様々な典型的に望ましくない風味を知覚しないように隠蔽する、成分である。
【0263】
【表14】

【0264】
1: マックネイルヌートリーショナルズ(McNeil Nutritionals)から入手できるスクラロース。
2: マフコワールドワイド社(Mafco Worldwide Corp.)から入手できる、マグナスイート(Magna Sweet)。
3: ガット(Gatte), LLC社から入手できる、被覆されたアセタミノフェンである、ガットエンテリック(Gutte Enteric)である。
【0265】
該製薬的に活性な薬剤および香料を除き、上記成分を、35gの水に添加し、ポリマーが完全に水和されるまで(約20分間を要する)攪拌した。食用着色剤(7滴の赤色食用着色剤および1滴の黄色食用着色剤)をも添加した。次いで、この配合物を、真空条件下において、取込まれた空気を排除した。この真空は、定常的な様式で、500mmにて開始し、約10〜20分間に渡り徐々に760mmにまで高めた。該風味-隠蔽処理したアセタミノフェンは、約4分間で該配合物に添加し、次いで減圧下で攪拌した。次いで、上記香料を、約4分間で該配合物に添加し、次いで減圧下で攪拌した。
該真空の解除後、該液状溶液を、350μmの平滑なバーを用いて、塗布紙に付加した。該塗膜を付加した、該紙製の基板は、シリコーン被覆紙であった。次いで、この塗布された紙を、約11分間に渡り、約3%の水分が残されるまで、90℃にて乾燥した。
該処方物を塗布し、乾燥して、フィルムを得た。このフィルムは、許容できる風味を持ち、口腔内で中程度に迅速に溶解した。このフィルムは、立てておいた際にカールを生じなかった。このフィルムは、破壊されることなしに、180度曲げテストに合格し、口腔内で溶解した。
実施例CE-CF:
本発明の薄いフィルム組成物は、以下の表14に記載の成分を、そこに記載した量で使用して製造した。
【0266】
【表15】

【0267】
1: カーギル社(Cargill Inc.)から入手できる。
2: セントリー(Sentry)社から入手できる。
3: アマリロバイオサイエンス社(Amarillo Biosciences Inc.)社から入手できる。
【0268】
上記成分を、均一な混合物が得られるまで、混合することにより併合した。乾燥前に、該フィルム組成物中には、十分な量の水、即ち適量の水が存在したが、これは、約200g〜約1000gなる範囲内であり得る。該組成物に併合した該ウシ抽出物タンパク質は、熱感受性のタンパク質である。混合後、該組成物を、250μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上でフィルムに注型した。
実施例CEにおいて、該フィルムは、引続き、約80℃にて、約6分間、オーブン内で乾燥された。これらフィルムは、含水率約4.3%まで乾燥された。実施例CFでは、該フィルムを約60℃にて、約10分間、オーブン内で乾燥した。これらフィルムは、含水率約5.06%まで乾燥された。乾燥後、該フィルム内に含まれる、ウシ抽出物由来のタンパク質をテストして、これが実質的に活性を維持しているか否かを決定した。該活性をテストするため、本例のフィルム状の投与単位を、ヒトに投与した。該用量を摂取した後、該ヒトの血液につき、マイクロアレイ(microarray)を行った。アペンディックスA(これを参考としてここに組入れる)に掲載したこれら結果、および図32にグラフとして示した結果は、該タンパク質が、実施例CEおよびCF両者の、最終的な乾燥フィルム製品において、その活性をほぼ100%維持していることを立証している。従って、該熱感受性の活性成分は、該乾燥工程中に、実質上分解もしくは変性されることはなかった。
実施例CG:
本発明の薄いフィルム組成物を、以下の表15に記載する成分を、該表に指定した量で使用して、製造した。
【0269】
【表16】

【0270】
1: マックネイルヌートリーショナル(McNeil Nutritional)から入手できる。
2: マフコワールドワイド社(Mafco Worldwide Corp.)から入手できる、風味-隠蔽香料。
3: バージニアデア(Virginia Dare)社から入手できる、風味-隠蔽香料。
4: セントリー(Sentry)社から入手できる。
【0271】
CGに関して掲載された量の上記成分を混合により併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上に2枚のフィルムとして注型した。これらフィルムを、引続き、本発明の均一な乾燥工程ではなく寧ろ、従来の乾燥技術に従って乾燥した。第一のフィルムは、ワイヤラック上で、80℃にて9分間、オーブン内で乾燥した。該第二のフィルムは、ワイヤスクリーン上で、80℃にて9分間、オーブン内で乾燥した。
この得られた乾燥フィルムは、乾燥後に、該ワイヤラックおよびスクリーンの圧痕を示した。これらの形状は、該乾燥工程において典型的に使用されるワイヤ支持体の圧痕を含む。均一な熱の拡散がないと、該ワイヤ支持体は、該基板と接触している点においてより強力に熱を伝導し、これら点において高い蒸発率に導いた。これはより一層激しい混合を引起し、結果としてより多くの粒子を該接触点に引付けた。この結果は、該接触点における凝集物として見られる、高い粒子密度の存在を示す。
【0272】
該溶液を、350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で更に2枚のフィルムに注型した。これらフィルムを、上記と同様な時間および温度条件下で、本発明の方法に従って乾燥した。特に、均一に熱を分布させる、炉用フィルタでライニングしたトレーの上で、これらフィルムを、80℃のエアーオーブン内で、9分間乾燥させた。これらフィルムは、含水率が約1.89%となるまで乾燥させた。得られたフィルムは、縞模様を全く示さず、また均質であった。該フィルム全体に渡る均一な熱拡散のために、粒子の凝集体は全く発現されなかった。
【0273】
実施例CH:
上記表15における成分を、CHに関して掲載した量にて、混合することにより併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で3枚のフィルムに注型した。均一に熱を分布させる、炉用フィルタでライニングしたトレーの上で、これらフィルムを、80℃のエアーオーブン内で、9分間乾燥させた。これらフィルムを、含水率が約2.20%となるまで乾燥させた。図17に示したように、該乾燥されたフィルム200は、縞模様を全く示さず、また均質であり、即ち粒子の凝集体は全く発現されなかった。該活性粒子は、該乾燥フィルム内で完全な状態にあるものと考えられた。これらフィルムは、十分な強度を呈し、破壊されることなしに、180度曲げテストに合格した。該テストにおいて、該フィルムは、加圧により半分に折りまげられる。
【0274】
該混合溶液を、350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で、更に3枚のフィルムに注型した。これらフィルムは、同様に80℃のエアーオーブン内で、9分間乾燥されたが、この乾燥は、従来の上部および下部乾燥手段によって行われた。該フィルムの内の2枚を、ワイヤラック上で乾燥し、一方第三のフィルムは、ワイヤスクリーン上で乾燥した。これら3枚のフィルム全ては、含水率約2.65%となるまで乾燥した。これらの乾燥フィルムは、実施例CGにおいて上述した理由から、該ワイヤラックおよびスクリーンの圧痕の存在を示した。
【0275】
より詳しくは、該乾燥フィルム100は、図9-16に示したように、線状およびダイアモンド状構造両者において、粒子の凝集物110の存在を示した。これらの構造は、該乾燥工程において使用したワイヤ支持体の圧痕を含み、従来の上部および下部乾燥において発生する、熱伝導における不均一性の存在を示す。上で論じたように、該ワイヤ支持体は、該基板と接触している点においてより強力に熱を伝導し、これはこれらの点における高い蒸発率へと導いた。これはより一層激しい混合を引起し、結果としてより多くの粒子を該接触点に引付けた。得られた、該接触点における高い粒子密度を、図9-16に示す。
【0276】
更に、本例のフィルム内に含まれる、上記した脂肪-被覆デキストロメトルファン粒子は、該乾燥工程によって破壊されることはなかった。図28-31は、あらゆる処理前の脂肪-被覆デキストロメトルファン粒子500を示し、また特にその実質的に球状の形状を示す。80℃にて9分間という乾燥条件に暴露した後、該脂肪-被覆薬物粒子500は、該フィルム内で完全なままに維持されていること、即ち図18-25に示したように、該粒子の球状の形状を維持していることが見出された。該活性成分の粒子は、恐らく有害な温度に暴露されているが、これらは分解されなかった。対照的に、蒸発皿内に配置され、エアーオーブン内で、80℃にて9分間乾燥された脂肪-被覆デキストロメトルファン粒子は、実質的に分解される。図26および27において見られるように、該脂肪-被覆デキストロメトルファン粒子は、該暴露後に完全に溶融状態にあると思われる。
実施例CI:
以下の表16に記載の成分を、該表に指定された量にて使用して、本発明の薄いフィルム組成物を製造した。
【0277】
【表17】

【0278】
1: マックネイルヌートリーショナル(McNeil Nutritional)から入手できる。
2: マフコワールドワイド社(Mafco Worldwide Corp.)から入手できる、風味-隠蔽香料。
3: FMCバイオポリマー社から入手できる、アビセル(Avicel) CL-611。
4: ファイザー社からバイアグラ(ViagraTM)として入手できる。
5: バージニアデア(Virginia Dare)社から入手できる、風味-隠蔽香料。
6: アンジェラー(Ungerer)&Co.社から入手できる。
7: 冷却剤。
8: セントリー(Sentry)社から入手できる。
【0279】
上記成分を、均一な混合物が得られるまで混合することにより併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で、2枚のフィルムに注型した。一方のフィルムは、3.52%なる含水率レベルまで、エアーオーブン内で80℃にて10分間乾燥し、一方で該第二のフィルムは、3.95%なる含水率レベルまで、エアーオーブン内で80℃にて10分間乾燥した。これら乾燥フィルムは、十分な強度および引裂抵抗を有していた。これらのフィルムは、破壊されることなしに、該180度曲げテストに合格した。これらフィルムは、また中程度に速い速度にて口腔内で溶解し、また許容される芳香を示した。
【0280】
上記の如く、本発明の制御された乾燥方法は、均一に乾燥することを可能とし、それにより、蒸発による冷却と熱的な混合とが、粘弾性フィルムの迅速な形成に寄与し、また該フィルム全体に渡る内容物の均一性を「固定する」。本発明の追加の利点の一つは、該組成物の成分を、変更しあるいは意図した目的に対して使用不能とする恐れのある温度に、該成分を暴露することなしに、該フィルム組成物が、その粘弾性状態、および更には完全に乾燥された状態に達することである。例えば、熱感受性の薬物、タンパク質、香料、甘味料、揮発性成分、抗原、抗体等は、ある種の温度にて分解し、不活性化または変性し、その意図した用途に対して効果のないものとなってしまう。本発明においては、乾燥のために必要な短期の熱履歴と、該制御された上部スキン形成を伴わない乾燥工程との組合せにより、該フィルム組成物では、オーブン(または他の熱源)温度を、該乾燥状態に至らしめる温度とする必要はない。この点を立証するため、本発明に従ってフィルムを製造し、以下において論じるように乾燥した。第一の熱電対を、該フィルム内に配置し、また第二の熱電対を、該オーブン内に懸垂させて、該乾燥工程中の、該オーブンの環境と該フィルム組成物との間の温度差を測定した。
【0281】
この温度差を測定するために、マイクロサーマ(Microtherma) 1温度計である、熱電対を、該フィルム内に配置し、またもう一つの熱電対を、該乾燥オーブン内に懸垂させた。該フィルムおよびオーブンにおける温度の読みは、該フィルムの乾燥中、30秒毎に記録した。
該第一フィルムに対する該熱電対により得た結果を、以下の表17に掲載し、また図33にグラフで表した。該第二のフィルムに関する結果を、以下の表18に掲載し、また図34にグラフで表した。これらの結果は、10分間の乾燥後においてさえ、該フィルムの温度は、実質的に該オーブン環境の温度よりも低い(少なくとも約5℃)ことを示している。乾燥時間が10分未満のフィルムは、かなり大きな温度差を経験する可能性がある。例えば、本発明の多くのフィルムに対して特に望ましい時間枠である、4〜6分間の乾燥は、約25℃〜約30℃なる範囲の温度差を生じる。従って、フィルムは、その内部に含まれる熱感受性活性成分を害することなく、高い、恐らく有害な温度にて乾燥することができる。
【0282】
【表18】

【0283】
【表19】

【0284】
実施例CJ-DB:
以下の実施例は、ポリエチレンオキサイド(PEO)単独またはこれとヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)との組合せを含む、水溶性ポリマーを含有する、本発明のフィルム組成物を説明する。以下の表19に掲載した成分を、同表に指定した量で使用して、薄いフィルム組成物を製造した。
【0285】
【表20】

【0286】
上記のポリマー成分を、等量の沈降炭酸カルシウム(模擬薬物配合)、シメチコンエマルション、および水と併合して、該フィルム組成物を製造した。これらの組成物を、均一な混合物が得られるまで混合することによって併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で、複数のフィルムに注型した。次いで、これらのフィルムを、本発明に従って、80℃にて約9分間乾燥した。これらフィルム組成物を、様々な特性につきテストし、その結果を以下の表20に記載した。
【0287】
【表21】



【0288】
該溶液塗布性ランク付けおよび溶液平坦性ランク付けは、両者とも、該フィルム組成物の注型中に行われた、パネルによる観察に基いたものである。
該180度曲げテストに関連して、該乾燥フィルムを、湿度分析器(メトラートレド(Mettler Toledo)社からのHR73モイスチャーアナライザ(Moisture Analyzer))内に配置し、湿度(%)を得、また本発明に従って80℃にて乾燥した後、該フィルム内に残留するあらゆる溶媒(例えば、水)を除去した。次に、これらのフィルムを、約180度折り曲げて、破損の有無を観測した。折り曲げ中に破損したフィルムは、不合格とした。折り曲げ中に、フィルムが破損しなかった場合、200gの重りを、約8.5mmなる高さから、該折り曲げたフィルム上に落下させた。この際に破損したフィルムは、不合格であると判断し、また破損しなかったフィルムは、合格とした。しかし、この可撓性テストは、極端なテストであることに注意すべきである。このテストにおいて不合格であったフィルムは、本発明の範囲内において依然として使用可能であると考えられる。より具体的には、このように極端に高い可撓性を必要としない幾つかの用途が、存在し得る。
また、これらのフィルムを、溶解速度についてテストした。重さ2.85gの重りを取付けた、約20mm×100mmなるサイズのフィルム片を、32.5℃の水浴中に、深さ約50mmまで沈めた。該フィルムが溶解し、2つの小片に分離するに要する時間を、(秒単位で)測定した。
【0289】
カール生成テストのために、フィルムサンプル(約35mm×35mm)を、実験室用窓台におけるガラス板上に配置した。該フィルムサンプルを、2〜3日間、室内条件下で、該窓台内に放置し、次いでカール生成の有無について観察した。
【0290】
本発明によれば、望ましいフィルム組成物は、可撓性であり、迅速溶解性であり、また実質的なカールを生じ易いものではない。上記表20の結果が示しているように、組成物CQ-CYが、最良に機能し、良好な可撓性、溶解性、及びカール特性を示す。特に、組成物CQ-CYは、該180度曲げテストに合格し、中乃至高速度にて溶解した。また、これらの組成物は、カールを全く起さず、または僅かにカールした。従って、組成物CQ-CYにおけるようなポリマー成分、特に該ポリマー成分中に、約20%〜100%のPEOを、場合により約0%〜80%のHPCまたはHPMCと共に含有するポリマー成分を使用することが望ましいであろう。
【0291】
実施例DC-DG:
本発明の以下の実施例では、PEOまたはPEO-ポリマーブレンドおよび活性成分を含む、フィルムを説明する。これらの成分を含む薄いフィルム組成物は、これら成分を、以下の表21に記載の量にて使用して製造した。
【0292】
【表22】

【0293】
1: ダウケミカル社から入手できる。
2: セントリー社から入手できる。
3: シェリング社からクラリチン(Claritin)として入手できる。
【0294】
該組成物DC乃至DG各々に関する上記成分を、均一な混合物が得られるまで、混合することにより併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で、複数のフィルムに注型した。これらのフィルムを、本発明の方法に従って、80℃にて約9分間、種々の含水率レベルまで、乾燥した。
乾燥後、これらフィルムを、180度曲げテスト、溶解テスト、およびカールテストを含む様々な特性に関するテストを、実施例CJ-DBにおいて記載したようにして実施した。該フィルムは、また引裂抵抗についてもテストした。引裂抵抗は、パネルテストにより測定した。該テストにおいて、パネル構成員は、該フィルムの対向する端部を引っ張ることにより、該フィルムの引裂を試みた。きれいに引き裂かれたフィルムを、低グレードのものとし、僅かに伸張され、また破壊され始めたフィルムを、中程度のグレードのものとし、また伸張され、かつ引裂困難であったフィルムを、高グレードのものとした。
【0295】
100%PEOフィルムベースを含む組成物DCを、本発明の方法に従って、含水率約1.30%まで乾燥した。該乾燥フィルムは、良好な強度を有し、また180度曲げテストに合格した。このフィルムは、また良好な引裂抵抗(高グレード)を示した。このフィルムは、舌の上で速い速度にて溶解し、また約3.5〜4秒という溶解テスト速度を示した。このフィルムはカールを発生しなかった。
【0296】
80%/20%のPEO/HPMCフィルムベースを含む組成物DDを、本発明の方法に従って、含水率約2.30%まで乾燥した。該乾燥フィルムは、十分な強度を有し、また180度曲げテストに合格した。このフィルムは、また良好な引裂抵抗を示した。このフィルムは、舌の上で中乃至高速度にて溶解し、また約5秒という溶解テスト速度を示した。このフィルムは、僅かにカールした。
【0297】
20%/80%のPEO/HPMCフィルムベースを含む組成物DEを、本発明の方法に従って、含水率約3.0%まで乾燥した。該フィルムは、良好な強度を有し、また180度曲げテストに合格した。このフィルムは、中程度の引裂抵抗を示し、舌の上で緩慢な速度にて溶解し、また16秒なる溶解テスト速度を示した。このフィルムは、幾分かカールした。
【0298】
80%/20%のPEO/HPCフィルムベースを含む組成物DFを、本発明の方法に従って、含水率約2.52%まで乾燥した。該フィルムは、良好な強度を有し、また180度曲げテストに合格し、高い引裂抵抗を示した。このフィルムは、また舌の上で高速度にて溶解し、約4秒という溶解テスト速度を示した。このフィルムは、極僅かにカールした。
【0299】
20%/80%のPEO/HPCフィルムベースを含む組成物DGを、本発明の方法に従って、含水率約2.81%まで乾燥した。該フィルムは、十分な強度を有し、また180度曲げテストに合格し、またこのフィルムは、中程度の引裂抵抗を示した。このフィルムは、舌の上で高速度にて溶解し、また10秒なる溶解テスト速度を示した。このフィルムは、全くカールしなかった。
【0300】
上記の如く、組成物DC-DGの各々は、該ポリマー成分中に、約20%〜100%のPEOと、場合により変動する濃度にてHPCまたはHPMCを含んでいた。これら結果は、該ポリマー成分の変更が、異なるフィルム特性を結果することを示している。
実施例DH-DZ:
本発明の以下の実施例は、PEOまたはPEO-HPCポリマーブレンドを含有するフィルムを説明するものである。これらフィルム組成物は、変動する分子量を持つPEOを含む。これらの成分を含む薄いフィルム組成物は、これら成分を、以下の表22に記載する量(該ポリマー成分の質量%単位で掲載されている)にて使用して製造した。
【0301】
【表23】

【0302】
上記ポリマー成分を、スクラロース、沈降炭酸カルシウム(模擬薬物の配合)、オレンジ濃縮香料、ツイーン80(ICIアメリカ社から入手できる)、バニラ香料、シメチコンエマルション、水及び黄色および赤色食用着色剤と併合して、前記のフィルム組成物を製造した。これらの成分は、均一な混合物が得られるまで混合することにより併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で、複数のフィルムに注型した。該フィルムの溶液塗布および平坦化特性を観察した。次いで、これらフィルムを、本発明の方法に従って、80℃にて約9分間乾燥させた。これらフィルム組成物を、様々な特性につきテストして、該PEOの分子量および該ポリマー成分のレベルを変更したことによる効果を決定し、その結果を以下の表23に記載した。
【0303】
【表24】

【0304】
これらフィルムを、上記の如く、180度曲げテスト、溶解テスト、および引裂抵抗テストを含む、様々な特性につきテストした。また、これらフィルムを、接着性、即ち口蓋に移行する傾向(口蓋移行傾向)についてもテストした。接着性は、パネルテストによりランク付けしたが、該パネルテストでは、口蓋に対して接着しなかったフィルムを、低グレードとし、幾分口蓋に接着したフィルムを、中グレードとし、また完全に接着したフィルムを、高グレードとした。
上に示したように、該ポリマー成分におけるPEOの濃度および分子量を変化させて、様々なフィルム特性を得た。一般に、該ポリマー成分におけるPEOの濃度が高いほど、該フィルムによって示される接着性および引裂抵抗はより高い。約50%またはそれ以上のPEOを含むフィルム組成物は、50%未満のPEOを含むものよりも、より高いランクの引裂抵抗を達成した。しかし、より低濃度のPEOを含むものの引裂抵抗は、少量のより高分子量のPEOと、より低分子量のPEOとを組み合わせることによって(例えば、組成物DTおよびDU),改善されることが示された。
【0305】
約20%〜75%のPEOを含有する組成物は、接着の防止(より低い口蓋への移行性)に関して、最善の性能を達成する。より高濃度でPEOを含有する組成物は、接着性が望ましい場合には、良好な性能のものとなる。
【0306】
溶解速度に関連して、約50%またはそれ以上のPEOを含むポリマー成分は、最良の性能を与え、より迅速に溶解する組成物を与える。変動する分子量をもつPEOの組合せを含むこれらフィルムにおいて、該PEOの組合せにおいて、約60%またはそれ以上の、低分子量PEO(100,000〜300,000)を含むフィルムは、より迅速に溶解する。
実施例EA:
以下の本発明の実施例では、PEOおよびポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーブレンドを含むフィルムについて説明する。これら成分を含む薄いフィルム組成物は、これら成分を、以下の表24に記載した量で使用して製造した。特に、該フィルムのポリマー成分は、約80%のPEOおよび20%のPVP、または4:1なる比で、PEOおよびPVPを含んでいた。
【0307】
【表25】

【0308】
1: マックネイルヌートリーショナル(McNeil Nutritional)から入手できる。
2: フィッシャー(Fisher)から入手できる。
3: セントリー(Sentry)社から入手できる。
【0309】
上記成分を、均一な混合物が得られるまで、混合することにより併合し、次いで350μmの平滑なバーにより、K-コントロールコーターを使用して、剥離紙上で、複数のフィルムに注型した。これらのフィルムを、本発明の方法に従って、約2.19%なる含水率レベルまで、80℃にて約9分間乾燥した。これらフィルムは、良好な強度を呈し、中乃至高速度にて口腔内で溶解し、高い引裂抵抗を持ち、約0.102mm(約4ミル)なる厚みを持ち、良好な芳香を有し、口蓋に対する低い接着傾向を示し、また180度曲げテストに合格した。該フィルムは、上記テストによれば、4秒なる溶解速度を有していた。更に、該フィルムは、容易に該剥離紙から剥離された。
実施例EB-ED:
本発明の以下の実施例は、PEOを主成分とするポリマー成分を含む、押出フィルムを説明するものである。フィルム組成物は、実施例ECについては表25に、また実施例EDについては表26に記載した量を用いて製造した。
【0310】
【表26】

【0311】
【表27】

【0312】
実施例EB-EDのフィルムを、以下の表27(温度は℃(°F)で表示)に与えた仕様に従って、一軸スクリュー押出機を用いて押出した。
【0313】
【表28】

【0314】
より詳しくは、実施例EBについて、分子量約200,000を持つPEO約0.91kg(2ポンド)を秤取って、ポリエチレン製プラスチックバッグに入れた。次いで、このPEOフラッシュを、上記表27の仕様に従って押出した。
実施例ECについては、上記表25に掲載した成分のブレンドを製造した。該HPC、PEO、スクラロース、および沈降炭酸カルシウムを、大きな電気ブレンダーに入れ、混合した。オレンジ濃縮香料およびツイーン80を含む溶液を、混合しつつ該ブレンダーに添加し、その後シメチコンおよび該食用着色料の溶液を、混合しつつ該ブレンダーに添加した。この混合された組成物を、上記表27の仕様に従って押出した。
実施例EDについては、上記表26に掲載した成分のブレンドを調製した。該PEO、スクラロース、および沈降炭酸カルシウムを、大きな電気ブレンダーに入れ、混合した。オレンジ濃縮香料およびツイーン80を含む溶液を、混合しつつ該ブレンダーに添加し、その後シメチコンおよび該食用着色料の溶液を、混合しつつ該ブレンダーに添加した。この混合された組成物を、上記表27の仕様に従って押出した。
【0315】
該押出されたフィルムは、加工中相互に対して粘着性を示さなかった。故に、得られたフィルムは、裏地材料の必要性なしに、それ自体の上に巻取りまたは巻回することができた。
実施例EE-EH:
本発明の以下の実施例は、緻密化剤を含むフィルムを説明するものである。PEO-ポリマーブレンドおよび緻密化剤(シメチコン)を含む、薄いフィルム組成物を、以下の表28に記載の量で、これら成分を使用して製造した。
【0316】
【表29】

【0317】
これら薄いフィルム組成物の密度を測定し、その結果を以下の表29に示す。
【0318】
【表30】

【0319】
これらフィルム組成物の内2つ(EEおよびEH)に対して、減圧条件を適用した。組成物EEは、0%のシメチコンを含み、これに減圧を印加した。組成物EFは、0%のシメチコンを含み、これには減圧を印加しなかった。上記表29に示したように、密度は、減圧条件を適用することにより、0.969(EF)から1.123(EE)まで増大した。組成物EGは、2%のシメチコンを含み、これには減圧を印加しなかった。組成物EHは、2%のシメチコンを含み、これに減圧を印加した。この場合にも、密度は、1.057(EG)から1.119(EH)まで増大した。全体として、これらフィルムの密度は、0.969(EF:シメチコン添加なしおよび減圧の適用なし)から、1.057(EG:シメチコン添加、かつ減圧の適用なし)まで、また1.119(EH:シメチコン添加、かつ減圧適用)まで増大した。
【0320】
実施例EI-EW:
本発明の以下の実施例は、PEOまたはPEO-ポリマーブレンドを含むフィルムを説明するものである。特に、PEOを、ポリビニルピロリドン(PVP)、デンプン(アルファ化変性コーンスターチ)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはポリビニルアルコール(PVA)と組合せて、該フィルムの該ポリマー成分を生成した。これら成分を含む薄いフィルム組成物は、図38に記載した量を使用して、本発明の方法に従って製造した。
図38に掲載された該ポリマー成分に加えて、これらフィルム組成物各々は、約4%のスクラロース、約38.85%の炭酸カルシウム、約6%のオレンジ香料、約0.15%のツイーン80、約1%のシメチコン、および食用着色料を含んでいた。これら実施例の該ポリマー成分中に含まれている該PEOは、約200,000なる分子量を有していた。
【0321】
図38は、またこれらフィルムの幾つかの特性を示しており、該特性は以下に列挙するものを含む:溶液の固形分含量(%);粘度;水分(%);フィルム厚;フィルム強度;フィルムの引裂抵抗;フィルムの口蓋に移行する傾向;180度曲げテスト;フィルム内の成形物または凝集体の有無;フィルムの溶解時間;口腔内での溶解性のランク;および乾燥オーブン内での時間。これらフィルム特性テスト各々は、上で詳細に説明した。これら様々なテストの結果を、図38に記載した。これらの結果は、より高配合量でのPEOが、生成するフィルムに、より良好な引裂抵抗およびより迅速な溶解性を与えることを立証している。
実施例EX-FK:
本発明の以下の実施例は、PEOまたはPEO-ポリマーブレンド(HPCとのブレンド)および様々な活性成分を含むフィルムを説明するものである。これら成分を含む薄いフィルム用組成物は、本発明の方法に従って、以下の表30および31に記載した量を用いて製造した。
【0322】
【表31】

【0323】
1: FMCバイオポリマー(Biopolymer)社から入手できる、微晶質セルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースとの混合物。
2: シアリス(CialisTM)として、リリー(Lilly) ICOS, LLCから入手できる。
3: ファイザー社からバイアグラ(登録商標)として入手できる。
4: イモジウム(Imodium)として入手できる。
5: N-2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド。
6: N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド。
【0324】
【表32】

【0325】
1: FMCバイオポリマー(Biopolymer)社から入手できる、微晶質セルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースとの混合物。
2: モビック(MobicTM)として入手できる。
3: リスパーダル(RisperdalTM)として入手できる。
4: ファイザー社から入手できる。
5: アレルギー治療薬。
6: 抗生物質。
7: ニクロゾールテクノロジーズ(Nicrosol Technologies)から入手できる、メガバック(MegaBacTM)。
8: アレルギー治療薬。
9: N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド。
【0326】
上記成分を、均一な混合物が得られるまで、混合することにより併合し、次いで350μmの平滑なバーで、K-コントロールコーターを用いて、剥離紙上に複数のフィルムを注型した。これらフィルムを、本発明の方法に従って80℃にて約9〜10分間乾燥して、十分乃至良好な強度を持つ、乾燥フィルムを得た。
実施例GA-GR:
以下の本発明の実施例は、PEOまたはPEO/ポリマーブレンドを含むが、可塑剤を含まないフィルムを説明するものである。可塑剤が存在しないことは、追加の成分、例えばより多くの香料成分の添加を可能とする。可塑剤が存在しないことは、またより小さなフィルムの製造を可能とする。
実施例GA〜GRにおけるフィルムの成分を以下(表32Aおよび32B)に示す。全てのフィルムは、該成分を併合し、デグッサデンタルマルチバックコンパクト(Degussa Dental Multivac Compact)を用いて、減圧下で攪拌することにより製造した。混合後、該組成物を、250μmの平滑なバーで、K-コントロールコーターを用いて、剥離紙上に複数のフィルムとして注型した。
【0327】
【表33】



【0328】
【表34】



【0329】
PEO: ポリエチレンオキサイド(ダウ);
PVA: ポリビニルアルコール(スペクトラム);
HPMC: ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
Pec: ペクチン(ジーヌシトラスタイプ-ケルコ(Genu Citrus Type-Kelco);
Polydex: ポリデキストロース(スタライト(Sta-Lite) III-テートライル(Tate Lyle));
HPC: ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルハーキュルス(Klucel Hercules));
SA: ナトリウムアルギネート(マニュセオール(Manuceol) LD);
Pul: プルラン(P120、林原(Hayashibara));
Car: カラギーナン(タイプ(Type) GP-911NF-FMC);
PVP: ポリビニルピロリドン(プラスドン(Plasdone) K-ISPテクノロジーズ(Technologies));
デンプン:ピュアコート(Pure Cote) B793(グレインプロセッシング(Grain Processing));
Cデンプン:コーンスターチ(ピュアデント(Pure Dent) B810、グレインプロセッシング);
PGA:プロピレングリコールアルギネート(スペクトラム);
Polox:ポロキサマー188(バスフ(BASF));
Pem:ペムレン(Pemulen)(Tri-NF-ノベオン(Noveon));
Xan:キサンタン(ケルトロール(Keltrol) 630、ケルコ(Kelco));
Suc:スクラロース(マックネイルヌートリーショナル(Mcneil Nutritional));
MAG:モノ-アンモニウムグリチルリチネート(マグナスイート100、マフコワールドワイド社(Mafco Worldwide Corp.));
Sim:シメチジン(セントリーシメチコンエマルション);
Dex:デキストロメトルファン-Dx(60%(w/w))(コーティングプレース(Coating Place));
Men:メントール結晶、USP「ダブルクリスタライズド(Double Crystallized)」(カメロン&スチュアート(Cameron & Stuart));
チェリー:チェリー香料(FJ7561、アンジェラー(Ungerer));
ミント:ミント香料(AN144185、ノルビル(Norville));
苦味:苦味-隠蔽香料(FN8642、アンジェラー(Ungerer));
ジューシー:ジューシーフルーツ香料(AN143563、ノルビル(Norville));
BHT:ブチレート化ヒドロキシトルエン(スペクトラム);
クール:クールキー(Cool Key)香料(AN144429、ノルビル(Norville));
赤色:FD&C レッド(Red)#40;
TD:二酸化チタン(USP BC3328、ウイッタカー(Whittaker));
黄色:FD&C イエロー(Yellow);
ツイーン:ツイーン80(フィッシャー(Fisher));
PCC:沈降炭酸カルシウム(A-1-330-13、バイカリティーヘビー(Vicality Heavy) PCC);
オレンジ:オレンジ濃縮香料:「100%活性」(FJ 7916、アンジェラー&カンパニー(Ungerer & Company));
Gly:グリセロールモノオレエート(アルド(Aldo) MO KFG、ロンザ社(Lonza Inc.));
Cyclo:シクロヘキサンカルボキシアミド(WS-3、ミレニウムケミカル(Millenium Chemical))
SB:重炭酸ナトリウム;
MS:ステアリン酸マグネシウム(マリンクロットベイカー(Mallinckrodt Baker));
Lop:ロペラミドHCl(プレシロール(Precirol) AT05、ガットファッセ(Gattefasse));
SC:クエン酸ナトリウム(スペクトラム);
マスク:隠蔽性香料(AN 140825、ノルビル(Norville));
青:FD&Cブルー(Blue) #1;
柑橘類:シトラスタンゴ(Citrus Tango)香料(AN 146924、ノルビル(Norville));
Van:バニラ香料(FK 3685、アンジェラー(Ungerer));
CoQ10: ヒドロQソルブ(Hydro Qsorb) CoQ10粉末、20%CoQ10、(ティッセン社(Tischen Corp.));
メントール:メントール香料(FK 5364、アンジェラー(Ungerer));
CDC:セチリジン二塩酸塩;
グレープ:グレープ香料(FJ 7914、アンジェラー(Ungerer));
Rasp:キイチゴ香料(188a10、アベレイ社(Abelei Inc.));
CA:クエン酸(スペクトラム);
Span:スパン(Span) 80、(スペクトラム);
PSP:プレドニサロン(Prednisalone)リン酸ナトリウム(スペクトラム);
DW:蒸留水。
【0330】
上記表32A(GA-GH)および32B(GI-GR)において記載した、PEOまたはPEO/ポリマーブレンド含有フィルム中の、ポリマーの量のまとめを、夫々以下の表33Aおよび33Bに示す。表33Aおよび33Bは、該フィルム中の全ポリマーに対する質量%単位で表した、ポリマー固形分の量を与える。
【0331】
【表35】

【0332】
【表36】

【0333】
PEO: ポリエチレンオキサイド(ダウ);
PVA: ポリビニルアルコール(スペクトラム);
HPMC: ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
Pec: ペクチン(ジーヌシトラスタイプ-ケルコ(Genu Citrus Type-Kelco);
Polydex: ポリデキストロース(スタライト(Sta-Lite) III-テートライル(Tate Lyle));
HPC: ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルハーキュルス(Klucel Hercules));
SA: ナトリウムアルギネート(マニュコール(Manucol) LD);
Pul: プルラン(P120、林原(Hayashibara));
Car: カラギーナン(タイプ(Type) GP911NF-FMC);
PVP: ポリビニルピロリドン(プラスドン(Plasdone) K-ISPテクノロジーズ(Technologies));
デンプン:ピュアコート(Pure Cote) B793(グレインプロセッシング(Grain Processing));
Cデンプン:コーンスターチ(ピュアデント(Pure Dent) B810、グレインプロセッシング);
PGA:プロピレングリコールアルギネート(スペクトラム);
Polx:ポロキサマー188(バスフ(BASF));
Pem:ペムレン(Pemulen)(Tri-NF-ノベオン(Noveon));
Xan:キサンタン(ケルトロール(Keltrol) 630、ケルコ(Kelco));
【0334】
以下の表34は、各フィルムについてテストされた諸特性のまとめである。これら諸特性は、含水率(%)、フィルム厚、フィルム強度、引裂抵抗、口蓋への移行傾向、180度曲げテスト、口腔内での溶解性のランク付け、乾燥時間、およびザラツキ感の有無を含む。
【0335】
【表37】

【0336】
実施例EI-EWと一致して、これらの結果は、より高いPEOの配合が、得られるフィルムのより良好な引裂抵抗およびより迅速な溶解性をもたらすことを立証している。
実施例HA-HR:
本発明の以下の実施例は、ポリビニルアルコール(PVA)ポリマーブレンドを含むフィルムを説明するものである。特に、PVAを、他のポリマー、例えばポリエチレンオキサイド(PEO)、コーンスターチおよびポリデキストロースと併合した。以下の表35Aおよび35Bに示されたように、該フィルムに対する質量%の関数としての、種々の成分の量を用いて、前に記載した如く、これらの成分を含む、薄いフィルム組成物を製造した。
【0337】
【表38】

【0338】
【表39】

【0339】
以上、現時点において好ましいと思われる本発明の態様を説明してきたが、当業者は、本発明の精神を逸脱することなしに、該態様に対して変更並びに改良を施すことが可能であることを認識するであろう。また、本発明は、あらゆるこのような変更並びに改良が、本発明の真の範囲内に入るものであることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解性フィルム製品であって、
ポリエチレンオキサイド単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むポリマーを含有し、
該フィルム製品が、添加された可塑剤を含まない、
ことを特徴とする、前記溶解性フィルム製品。
【請求項2】
前記ポリエチレンオキサイドが、前記ポリマーの少なくとも約20質量%なる量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項3】
前記ポリエチレンオキサイドが、前記ポリマーの約100質量%までの量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項4】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、前記ポリマーの約80質量%までの量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項5】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、ポリデキストロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、ポリビニルピロリドン、デンプン、プロピレングリコールアルギネート、ポロキサマー、アクリル酸およびアルキルアクリレートのコポリマー、キサンタン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項6】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、ポリビニルアルコールである、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項7】
前記ポリエチレンオキサイドが、約100,000〜約900,000なる範囲内の分子量を持つ、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項8】
前記ポリエチレンオキサイドが、約100,000〜約4,000,000なる範囲内の分子量を持つ、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項9】
前記ポリエチレンオキサイドが、約100,000〜約300,000なる範囲の分子量を持ち、約600,000〜約900,000なる範囲の分子量を持つポリエチレンオキサイドと組合されている、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項10】
更に、化粧剤、薬剤、生物活性剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される活性成分をも含む、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項11】
前記生物活性剤が、酵素、抗原およびアレルゲンからなる群から選択される、請求項10記載のフィルム製品。
【請求項12】
前記活性成分が、ACE-阻害剤、抗-狭心症薬、抗-不整脈薬、抗-喘息薬、抗-コレステロール血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗-痙攣薬、抗-鬱薬、抗-糖尿病薬、下痢止製剤、解毒薬、抗-ヒスタミン薬、抗-高血圧症薬、抗-炎症薬、抗-高脂血症薬、抗-躁病薬、制嘔吐薬、抗-卒中薬、抗-甲状腺製剤、抗-腫瘍薬、抗-ウイルス剤、アクネ治療薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、鎮咳薬、抗-尿酸血症薬、抗-ウイルス薬、同化促進製剤、全身性または非-全身性抗-感染薬、抗-新生物薬、抗-パーキンソン症候群薬、抗-リウマチ薬、食欲増進剤、生物学的応答改善剤、血液改善剤、骨代謝調節剤、心臓血管作用薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去薬、ダイエタリーサプリメント、ドーパミン受容体アゴニスト、子宮内膜症治療薬、酵素、勃起不全治療薬、排卵誘発薬、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症および低カルシウム血症治療薬、免疫調節薬、免疫抑制剤、片頭痛製剤、動揺病治療薬、筋弛緩薬、肥満治療薬、骨粗鬆症製剤、分娩促進薬、副交感神経遮断薬、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン、精神療法薬、呼吸器疾患治療薬、鎮静剤、禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦治療製剤、尿路疾患治療薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、解熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗-不安薬、抗-潰瘍剤、抗-炎症性物質、冠状動脈拡張剤、大脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神剤、刺激薬、抗-高血圧症薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗生物質、トランキライザー、抗-精神病薬、抗-腫瘍薬、抗-凝血剤、抗-血栓薬、催眠薬、鎮吐薬、制吐薬、抗痙攣剤、神経筋作用薬、高血糖および低血糖症治療薬、甲状腺および抗-甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、抗-肥満薬、造血剤、抗-喘息薬、咳止め剤、粘液溶解薬、DNAおよび遺伝子改質剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10記載のフィルム製品。
【請求項13】
更に、緻密化剤をも含む、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項14】
前記緻密化剤が、シメチコンである、請求項13記載のフィルム製品。
【請求項15】
更に、溶解度増強剤をも含む、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項16】
前記フィルムが、乾燥された際に、引裂に対して抵抗性である、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項17】
前記フィルムが、乾燥された際に、可撓性である、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項18】
前記ポリマーが、粘膜組織に対する接着を助長するのに十分な量で、ポリエチレンオキサイドを含む、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項19】
ポリマーを含み、該ポリマーが、ポリビニルアルコール単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むことを特徴とする、溶解性フィルム製品。
【請求項20】
前記フィルム製品が、添加された可塑剤を含まない、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項21】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、セルロースポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アルギネート、ペクチン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項22】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、ポリエチレンオキサイドである、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項23】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルム製品の、約0.5〜約80質量%なる範囲の量で存在する、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項24】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルム製品の、約1〜約50質量%なる範囲の量で存在する、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項25】
前記ポリビニルアルコールが、前記フィルム製品の、約5〜約25質量%なる範囲の量で存在する、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項26】
前記生物活性剤が、酵素、抗原およびアレルゲンからなる群から選択される、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項27】
前記活性成分が、ACE-阻害剤、抗-狭心症薬、抗-不整脈薬、抗-喘息薬、抗-コレステロール血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗-痙攣薬、抗-鬱薬、抗-糖尿病薬、下痢止製剤、解毒薬、抗-ヒスタミン薬、抗-高血圧症薬、抗-炎症薬、抗-高脂血症薬、抗-躁病薬、制嘔吐薬、抗-卒中薬、抗-甲状腺製剤、抗-腫瘍薬、抗-ウイルス剤、アクネ治療薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、鎮咳薬、抗-尿酸血症薬、抗-ウイルス薬、同化促進製剤、全身性または非-全身性抗-感染薬、抗-新生物薬、抗-パーキンソン症候群薬、抗-リウマチ薬、食欲増進剤、生物学的応答改善剤、血液改善剤、骨代謝調節剤、心臓血管作用薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去薬、ダイエタリーサプリメント、ドーパミン受容体アゴニスト、子宮内膜症治療薬、酵素、勃起不全治療薬、排卵誘発薬、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症および低カルシウム血症治療薬、免疫調節薬、免疫抑制剤、片頭痛製剤、動揺病治療薬、筋弛緩薬、肥満治療薬、骨粗鬆症製剤、分娩促進薬、副交感神経遮断薬、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン、精神療法薬、呼吸器疾患治療薬、鎮静剤、禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦治療製剤、尿路疾患治療薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、解熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗-不安薬、抗-潰瘍剤、抗-炎症性物質、冠状動脈拡張剤、大脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神剤、刺激薬、抗-高血圧症薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗生物質、トランキライザー、抗-精神病薬、抗-腫瘍薬、抗-凝血剤、抗-血栓薬、催眠薬、鎮吐薬、制吐薬、抗痙攣剤、神経筋作用薬、高血糖および低血糖症治療薬、甲状腺および抗-甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、抗-肥満薬、造血剤、抗-喘息薬、咳止め剤、粘液溶解薬、DNAおよび遺伝子改質剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19記載のフィルム製品。
【請求項28】
水溶性フィルム製品であって、
約20〜約100質量%なる範囲のポリエチレンオキサイド、約0〜約80質量%なる範囲の少なくとも1種の追加のポリマー成分を含むポリマー;
活性成分;
スクラロース;
沈降炭酸カルシウム;
少なくとも1種の香味料;
シメチコン;
水;および
少なくとも1種の着色剤
を含み、該フィルム製品が、添加された可塑剤を含まないことを特徴とする、前記水溶性フィルム製品。
【請求項29】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、ポリデキストロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、ポリビニルピロリドン、デンプン、プロピレングリコールアルギネート、ポロキサマー、アクリル酸およびアルキルアクリレートのコポリマー、キサンタン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項28記載のフィルム製品。
【請求項30】
水溶性フィルム製品であって、
a) 以下に列挙するものを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー:
i) 約0.5〜80質量%なる範囲のポリビニルアルコール;および
ii) 約0〜95質量%なる範囲の少なくとも1種の追加のポリマー成分;
b) 活性成分;
c) 甘味料;および
d) 少なくとも1種の香味料、
を含むことを特徴とする、前記水溶性フィルム製品。
【請求項31】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、セルロースポリマー、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アルギネート、ペクチン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項30記載のフィルム製品。
【請求項32】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、ポリエチレンオキサイドである、請求項30記載のフィルム製品。
【請求項33】
フィルム組成物形状にある、喫食可能な水溶性放出系であって、
ポリエチレンオキサイド単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むポリマーを含有し、
該フィルム製品が、添加された可塑剤を含まない、
ことを特徴とする、前記喫食可能な水溶性放出系。
【請求項34】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、ポリデキストロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、ポリビニルピロリドン、デンプン、プロピレングリコールアルギネート、ポロキサマー、アクリル酸およびアルキルアクリレートのコポリマー、キサンタン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項33記載の喫食可能な水溶性放出系。
【請求項35】
更に、化粧剤、薬剤、生物活性剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、活性成分をも含む、請求項33記載の喫食可能な水溶性放出系。
【請求項36】
フィルム組成物形状にある、喫食可能な水溶性放出系であって、
ポリビニルアルコール単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマーを含有する、
ことを特徴とする、前記喫食可能な水溶性放出系。
【請求項37】
前記フィルム組成物が、添加された可塑剤を含まない、請求項36記載の放出系。
【請求項38】
前記少なくとも1種の追加のポリマー成分が、セルロースポリマー、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アルギネート、ペクチン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項36記載の喫食可能な水溶性放出系。
【請求項39】
更に、化粧剤、薬剤、生物活性剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、活性成分をも含む、請求項36記載の喫食可能な水溶性放出系。
【請求項40】
成分の実質的に均一な分布を有する、フィルムの製造方法であって、以下の諸工程:
(a) ポリエチレンオキサイド単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;
(b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および
(c) 該フィルムを乾燥する工程、
を含み、
該フィルムが、添加された可塑剤を含まないことを特徴とする、前記フィルムの製造方法。
【請求項41】
前記マトリックスからフィルムを製造する前記工程が、更に上部面および下部面を持つ表面上で、該マトリックスを流込み成形する工程をも含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記フィルムの乾燥工程が、更に前記表面の前記下部面に熱を適用する工程を含む、請求項40記載の方法。
【請求項43】
実質的に均一な成分の分布を有する、フィルムの製造方法であって、以下の諸工程:
(a) ポリビニルアルコール単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;
(b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および
(c) 該フィルムを乾燥する工程、
を含むことを特徴とする、前記フィルムの製造方法。
【請求項44】
前記フィルムが、添加された可塑剤を含まない、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記マトリックスからフィルムを製造する前記工程が、更に上部および下部面を持つ表面上で、該マトリックスを流込み成形する工程をも含む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記フィルムの乾燥工程が、更に前記表面の前記下部面に熱を適用する工程を含む、請求項43記載の方法。
【請求項47】
実質的に均一な成分の分布を有する、フィルムの製造方法であって、以下の諸工程:
(a) ポリエチレンオキサイド単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;および
(b) 該マトリックスを押出して、フィルムを製造する工程;
を含み、該フィルムが、添加された可塑剤を含まないことを特徴とする、前記フィルムの製造方法。
【請求項48】
更に、前記押出されたフィルムを冷却する工程をも含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
実質的に均一な成分の分布を有する、フィルムの製造方法であって、以下の諸工程:
(a) ポリビニルアルコール単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;および
(b) 該マトリックスを押出して、フィルムを製造する工程;
を含むことを特徴とする、前記フィルムの製造方法。
【請求項50】
前記フィルムが、添加された可塑剤を含まない、請求項49記載の方法。
【請求項51】
更に、前記押出されたフィルムを冷却する工程をも含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
以下の諸工程:
(a) ポリエチレンオキサイド単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;
(b) 該マトリックスを押出して、フィルムを製造する工程;および
(c) 該フィルムを乾燥する工程、
によって製造され、該フィルムが、添加された可塑剤を含まないことを特徴とする、喫食性で可撓性のフィルム製品。
【請求項53】
以下の諸工程:
(a) ポリビニルアルコール単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含む少なくとも1種の水溶性ポリマー、溶媒、および活性成分を併合して、該成分の均一な分布を有するマトリックスを製造する工程;
(b) 該マトリックスからフィルムを製造する工程;および
(c) 該フィルムを乾燥する工程、
によって製造されることを特徴とする、喫食性で可撓性のフィルム製品。
【請求項54】
前記フィルムが、添加された可塑剤を含まない、請求項53記載のフィルム製品。
【請求項55】
哺乳動物に、活性成分を舌下投与する方法であって、該方法が、以下の諸工程:
(a) 溶解性フィルム製品を提供する工程、ここで該フィルム製品は、以下の成分:
i) ポリエチレンオキサイド単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むポリマー、ここで、該フィルム製品は、添加された可塑剤を含まず、および
ii) 前記活性成分を含み、および
(b) 前記哺乳動物の舌下領域に該フィルムを配置する工程、
を含むことを特徴とする、前記舌下投与方法。
【請求項56】
前記フィルムが、2層以上の層を含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記活性成分が、一層のみに局在している、請求項56記載の方法。
【請求項58】
哺乳動物に、活性成分を舌下投与する方法であって、該方法が、以下の諸工程:
(a) 溶解性フィルム製品を提供する工程、ここで該フィルム製品は、以下の成分:
i) ポリビニルアルコール単独またはこれと少なくとも1種の追加のポリマー成分との組合せを含むポリマー、および
ii) 前記活性成分を含み、および
(b) 前記哺乳動物の舌下領域に該フィルムを配置する工程、
を含むことを特徴とする、前記舌下投与方法。
【請求項59】
前記フィルムが、2層以上の層を含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記活性成分が、一層のみに局在している、請求項59記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2010−518241(P2010−518241A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549585(P2009−549585)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/000973
【国際公開番号】WO2008/100375
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(507026110)モノソル アールエックス リミテッド ライアビリティ カンパニー (15)
【Fターム(参考)】