説明

ポリマーナノ粒子を含むゴム組成物

少なくとも2種の(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムと、ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアとポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層とを具えるポリマーナノ粒子とを含み、前記ポリマーナノ粒子のコアはガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間であって、前記ポリマーナノ粒子のポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量の約50%から約150%の間であることを特徴とする組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアと表面層とを具えるナノ粒子を含むゴム組成物を提供するものであり、該表面層は、ポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)を含み、該コアのガラス転移点(Tg)は約150℃から約600℃の間である。
【背景技術】
【0002】
時々、高いレベルのハンドリング性、すなわち、ステアリングレスポンス、高いレベルのグリップ性能、及び低燃費のタイヤを提供する重要性が増大している。タイヤのステアリングレスポンスを向上させる通常の方法は、高剛性のトレッドゴムを使用することである。高剛性のコンパウンドは、通常、高い動的貯蔵モジュラスを有する。従来の配合技術では、動的貯蔵モジュラスを増大するために、充填剤を高度に充填したり、表面積の大きな充填剤を用いたり、軟化剤の使用量を減らしたり、スチレン含有量の高いスチレン−ブタジエンポリマーを用いたりする。しかしながら、これら従来の手法の各々は、性能においてトレードオフの関係にある。
【0003】
例えば、上述の従来の技術は、ゴム配合物のヒステリシスを増大させる。ゴムのヒステリシスを増大させると、熱としてのエネルギー損失が増す結果となり、それゆえ燃料消費が増大する。
【0004】
更に、充填剤の充填量を増大させたり、表面積の大きな充填剤を用いたり、軟化剤の程度を低くすると、加工に負の影響を与え、なぜなら、これらはすべて、ゴム中に充填剤を分散させるための時間を増大させるからである。
【0005】
それゆえ、コンパウンドのヒステリシスやコンパウンドの加工に重大な影響を与えることなく、ゴムコンパウンドの動的モジュラスを向上させる必要が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ゴムと、ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアとポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層とを具えるナノ粒子と含み、該コアのガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間である、組成物を提供する。
【0007】
また、少なくとも2種の(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムと、ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアとポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層とを具えるポリマーナノ粒子とを含み、該ポリマーナノ粒子のコアのガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間であり、該ポリマーナノ粒子のポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量に対して、約50%から約150%の間の値である。
【0008】
更に、トレッドを備えたタイヤを提供するものである。該トレッドがゴムとポリマーナノ粒子を含み、該ポリマーナノ粒子がポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアとポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層とを具え、該ポリマーナノ粒子のコアのガラス転移点(Tg)が、約150℃から約600℃の間である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例1で用いられたナノ粒子の示差走査熱量測定分析のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
表面層とコアとを有し、該コアのガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間であるポリマーナノ粒子は、
(i)液状炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマーを重合させて、ポリ(共役ジエン)ブロックを製造し;そして、
(ii)ポリ(共役ジエン)ブロックと、モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーの混合物とを共重合反応させて、芳香族ブロックを製造する
ことによって、合成することができる。
【0011】
先行する特許文献や刊行物、例えば、米国特許第6,437,050号(ブリヂストン社)とMacromol.Symp.第118巻、143−148頁(1997)を一般的な参考文献としてここに取り込む。
【0012】
(ii)の工程を行う最中に、充分な量の、ポリ(共役ジエン)ブロックと芳香族ブロックとを含むコポリマーが凝集して、ミセル構造を形成し、通常は、そのとき、芳香族ブロックは、マルチ−ビニル芳香族モノマーによって架橋する可能性がある。
【0013】
表面層とコアを有し、該コアのガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間であるポリマーナノ粒子は、乳化重合も考えられるが、分散重合で生成させる。重合は、多段階のアニオン重合により遂行してもよい。多段階のアニオン重合は、例えば、米国特許第4,386,125号において、ブロック-コポリマーを製造するために実施されており、該特許を参照してここに取り込む。他の関連する参考文献としては、米国特許第6,437,050号と米国特許出願第2004/0143064号が挙げられる。
【0014】
ポリマーナノ粒子は、ポリ(共役ジエン)ブロックと芳香族ブロックとを有するジ−ブロックコポリマー鎖から形成することができる。芳香族ブロックは、マルチ−ビニル芳香族モノマーの存在に起因して通常は架橋しており、少なくとも部分的にコアのTgを制御する手段を提供している。ポリマーナノ粒子は、粒子間で重合反応が、ほとんど若しくは全く起こらず、離散性を保持するのが好ましい。好適実施態様においては、該ナノ粒子は、実質的に単分散で形状が均一である。
【0015】
液状炭化水素媒体は、分散溶媒として機能し、そして、好適な脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類やこれらの混合物から選択することができ、但し、ナノ粒子を形成する過程中では、液体状態で存在する。典型的な脂肪族炭化水素類としては、特に限定されるものではないが、ペンタン、イソペンタン、2,2ジメチル−ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。典型的な脂環式炭化水素類としては、特に限定されるものではないが、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン等が挙げられる。一般的に、芳香族炭化水素と極性溶媒は、液状溶媒として好適ではない。典型的な実施態様では、液状炭化水素媒体はヘキサンを含む。
【0016】
好適な共役ジエン、または、これらの混合物はどれも、ポリ(共役ジエン)ブロックを製造するためのモノマーとして用いることができる。共役ジエンモノマーの具体例としては、特に限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、シス−及びトランス−ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、シス−及びトランス−1,3−ヘキサジエン、シス−及びトランス−2−メチル−1,3−ペンタジエン、シス−及びトランス−3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン等、及びこれらの混合物が挙げられる。好適実施態様では、イソプレン又は1,3−ブタジエン又はこれらの混合物が、共役ジエンモノマーとして使用される。
【0017】
当該技術分野で公知のアニオン性開始剤の添加によって、共役ジエンモノマーからポリ(共役ジエン)ブロックへの重合が、開始される。例えば、アニオン性開始剤は、公知の有機リチウム化合物のいずれかから選ぶことができる。好適な有機リチウム化合物は、下式で表され:
R(Li)
式中、Rは、1〜x価のヒドロカルビル基である。Rは、R基1つ当たり通常1〜20個の、好ましくは2〜8個の炭素原子を有し、xは1〜4の整数である。典型的には、xは1であり、R基としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、アルケニル等の脂肪族ラジカル及び脂環式ラジカル等が挙げられ、また、アリール及びアルキルアリールラジカル等も挙げられる。
【0018】
R基の具体例としては、特に限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−アミル、イソアミル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、2,2,1−ビシクロヘプチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル等のシクロアルキル基及びアルキルシクロアルキル基;シクロペンチル−メチル、シクロヘキシル−エチル、シクロペンチル−エチル、メチル−シクロペンチルエチル、4−シクロヘキシルブチル等のシクロアルキルアルキル基;ビニル、プロペニル等のアルケニル基;4−フェニルブチル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル、4−ブチルフェニル、p−トリル等のアリール基及びアルキルアリール基等が挙げられる。
【0019】
他のリチウム開始剤としては、特に限定されるものではないが、1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチオペンタン、1,10−ジリチオデカン、1,20−ジリチオエイコサン、1,4−ジリチオベンゼン、1,4−ジリチオナフタレン、1,10−ジリチオアントラセン、1,2−ジリチオー1,2−ジフェニルエタン、1,3,5−トリリチオペンタン、1,5,15−トリリチオエイコサン、1,3,5−トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8−テトラリチオデカン、1,5,10,20−テトラリチオエイコサン、1,2,4,6−テトラリチオシクロヘキサン、4,4’−ジリチオビフェニル等が挙げられる。好適なリチウム開始剤としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、1,4−ジリチオブタン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0020】
他の採用できるリチウム開始剤としては、リチウムジアルキルアミン類、リチウムジアルキルホスフィン類、リチウムアルキルアリールホスフィン類、及びリチウムジアリールホスフィン類が挙げられる。官能基化されたリチウム開始剤も使用できる。好適な官能基としては、アミン類、ホルミル、カルボン酸類、アルコール、スズ、ケイ素、シリルエーテル及びそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
ある実施態様においては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、又はこれらの混合物が、共役ジエンモノマーからポリ(共役ジエン)ブロックへの重合を、開始するのに用いられる。
【0022】
共役ジエンモノマーからポリ(共役ジエン)ブロックへの重合は、所望のモノマー転化率、重合度(DP)、及びブロックの分子量が得られるまで、必要な時間だけ、継続してもよい。このステップの重合反応は、約0.25時間から約10時間、又は約0.5時間から約4時間、又は約0.5時間から約2時間継続してもよい。このステップの重合反応は、約70°Fから約350°F、又は約74°Fから約250°F、又は約80°Fから約200°Fの温度範囲で実施してもよい。典型的な実施態様においては、重合は、約90分間、65〜195°Fにて、継続する。
【0023】
共役ジエンモノマーのアニオン重合は、例えば、反応率の向上、モノマーの反応率の均等化及び/又は、共役ジエンモノマーにおける1,2−ミクロ構造の制御のために、調整剤又は1,2−ミクロ構造調整剤の存在下で、実施できる。好適な調整剤としては、特に限定されるものではないが、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、エチレングリコール−ジメチルエーテル、ジエチレングリコール−ジメチルエーテル、トリエチレングリコール−ジメチルエーテル、テトラエチレングリコール−ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジエチルエーテル、トリ−n−ブチルホスフィン、p−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、アニソール、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジメチルエチルアミン、ビス−オキソラニルプロパン、トリ−n−プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチル−N−エチルアニリン、N−メチルモルフォリン、テトラメチレンジアミン、オリゴマー状オキソラニルプロパン(OOPs)、2,2−ビス−(4−メチルジオキサン)、ビステトラヒドロフリルプロパン等が挙げられる。
【0024】
アニオン重合は、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等及びこれらの混合物等のアミン化合物の存在下で、実施することもできる。
【0025】
他の調整剤又は1,2−ミクロ構造調整剤は、下記に示すような:
【化1】

【化2】

構造式(IV)で表される直鎖状オキソラニルオリゴマー及び構造式(V)で表される環状オリゴマーであってもよく、
式中、R14とR15は、独立して、水素又はC〜Cのアルキル基であり;R16、R17,R18とR19は、独立して、水素又はC〜Cのアルキル基であり;yは1〜5の整数であり、zは3〜5の整数である。
【0026】
調整剤又は1,2−ミクロ構造 調整剤の具体例としては、特に限定されるものではないが、オリゴマー状オキソラニルプロパン(OOPs);2,2−ビス−(4−メチルジオキサン);ビス−(2−オキソラニル)メタン;1,1−ビス−(2−オキソラニル)エタン;ビス−テトラヒドロフリルプロパン;2,2−ビス−(2−オキソラニル)プロパン;2,2−ビス−(5−メチル−2−オキソラニル)プロパン;2,2−ビス−(3,4,5−トリメチル−2−オキソラニル)プロパン;2,5−ビス−(2−オキソラニル−2−プロピル)オキソラン;オクタメチルペルヒドロシクロテトラフルフリレン(環状4量体);2,2−ビス−(2−オキソラニル)ブタン等が挙げられる。調整剤又は1,2−ミクロ構造調整剤の2種以上の混合物を使用することもできる。
【0027】
ポリ(共役ジエン)ブロックは、任意に調整剤の存在下、アニオン性開始剤を用いて共重合させた共役ジエンモノマーとモノ−ビニル芳香族モノマーを含むランダム化構造を任意に含む。好適なモノ−ビニル芳香族モノマーとしては、特に限定されるものではないが、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチル−スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、t−ブトキシスチレン等;また、それらのアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル誘導体であって、モノマー中の炭素原子の総数が一般に約18以下のもの及びそれらの混合物が挙げられる。典型的な実施態様では、モノ−ビニル芳香族モノマーは、スチレン、エチルビニルベンゼン及びこれらの混合物を含む。もし、ポリ(共役ジエン)ブロックが、共役ジエンモノマーとモノ−ビニル芳香族モノマーを含んだランダム化構造を有するならば、生成するポリマーナノ粒子は、共役ジエン単位とモノ−ビニル芳香族単位を含むコポリマーを有する表面層を有するであろう。
【0028】
モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーの混合物は、つぎに、リビング−ポリ(共役ジエン)ブロックと共重合してもよい。モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーの重量比率は、約99.9:0.01〜約0.01:99.9の広い範囲をとることができ、約99:1〜約1:99が好ましく、約90:10〜約10:90が更に好ましい。
【0029】
1つのビニル基と芳香族基を含む化合物はどれも、モノ−ビニル芳香族モノマーとして使用することができる。好適なモノ−ビニル芳香族モノマーとしては、特に限定されるものではないが、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチル−スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、t−ブトキシスチレン等;また、それらのアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル誘導体であって、モノマー中の炭素原子の総数が一般に約18以下のもの及びそれらの混合物が挙げられる。典型的な実施態様では、モノ−ビニル芳香族モノマーは、スチレン、エチルビニルベンゼン及びこれらの混合物を含む。
【0030】
2つ以上のビニル基と芳香族基を含む化合物はどれも、マルチ−ビニル芳香族モノマーとして使用することができる。好適なマルチ−ビニル芳香族モノマーとしては、特に限定されるものではないが、以下の一般式で示される化合物が挙げられ:
【化3】

式中、pは、2≦p≦6の整数であり、好ましくは、pは2又は3であり、より好ましくは、pは2、すなわち、ジ−ビニル−ベンゼン(DVB)である。
【0031】
一実施態様において、DVBは、以下の異性体やそれらの組合せのいずれかから選択できる。
【化4】

【0032】
モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーの混合物をリビング−ポリ(共役ジエン)ブロックと共重合させる場合、リチウム開始剤等の追加のアニオン性開始剤を添加する。典型的なアニオン性開始剤は上述されたものである。好適な実施態様においては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム及びこれらの混合物が使用される。所望のコアTg、モノマー転化率、重合度(DP)、及びブロックの分子量が得られるまで、必要な時間だけ、重合を継続してもよい。このステップの重合反応は、約0.5時間から約10時間、又は約1時間から約6時間、又は約1時間から約4時間継続してもよい。このステップの重合反応は、約70°Fから約350°F、又は約74°Fから約250°F、又は約80°Fから約200°Fの温度範囲で実施してもよい。典型的な実施態様においては、重合は、165°Fで3時間、その後210°Fで1時間、継続する。
【0033】
モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーの混合物が使用されることから、ミセルの形成と、芳香族ブロックの架橋が、同時に生じ得ることを理解されたい。
【0034】
芳香族ブロックから作られたコアとポリ(共役ジエン)ブロックから作られた表面層を有するミセル様の構造から、ポリマーナノ粒子を形成する。
【0035】
ポリマーナノ粒子を調製するための重合反応は、停止剤で停止することができる。好適な停止剤としては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール類;アミン類、MeSiCl、MeSiCl、MeSiCl、SnCl、MeSnCl、MeSnCl、MeSnCl等が挙げられる。典型的な実施態様においては、重合反応混合物は、冷却され、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤を任意に含むイソプロパノール/アセトン溶液に滴下される。イソプロパノール/アセトン溶液は、例えば、1体積部のイソプロパノールと4体積部のアセトンを混合して調製することができる。
【0036】
特別にデザインされた開始剤による官能基化;特別にデザインされた停止剤による官能基化;表面層及び/又はコアの生成時に、官能基化されたコモノマーを共重合することによる官能基化;ポリ(共役ジエン)の表面層中におけるビニル基等の不飽和基のいずれかでの変性による官能基化等の1つ以上の機構を通じて、ポリマーナノ粒子を官能基化してもよい。ポリマーナノ粒子に組込まれる典型的な官能基としては、特に限定されるものではないが、マレイミド、ヒドロキシル、カルボキシ、ホルミル、アゾカルボキシ、エポキシド、アミノ、塩化物、臭化物及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0037】
典型的な一実施態様では、ポリマーナノ粒子を以下のプロセスに従って作製する。最初に、ヘキサン溶媒中で、ブチル-リチウム開始剤を使用して、ランダム化剤とオリゴマー状オキソラニルプロパン(OOPs)の存在下、共役ジエンモノマーとモノ−ビニル芳香族モノマーを、溶液重合させることにより、ランダムなポリ(共役ジエン)ブロックを調製する。共役ジエンモノマーは1,3−ブタジエンを含んでもよく、モノ−芳香族モノマーはスチレンを含んでもよい。次に、モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーの混合物を、追加量のブチルリチウム開始剤を任意に使用して、リビング−ポリ(共役ジエン)ブロックと共重合する。モノ−ビニル芳香族モノマーはスチレンを含んでもよく、マルチ−ビニル芳香族モノマーはジビニルベンゼンを含んでもよい。反応は、アルコールで停止され、その後乾燥され溶剤が除去される。製品は、星型をした架橋したコアをもつポリマーナノ粒子である。
【0038】
ポリマーナノ粒子は、ナノ−球体をとる可能性がある。球体の平均径は、約5nm〜約200nmの範囲でも、約5nm〜約100nmの範囲でも、約10nm〜約80nmの範囲でも、約15nm〜約60nmの範囲でもよい。
【0039】
該ポリ(共役ジエン)ブロックの分子量(M、M又はM)は、約1,000〜約1,000,000の範囲内、又は約1,000〜約100,000の範囲内、又は約1,000〜約80,000の範囲内に調整してもよい。
【0040】
種々な典型的な実施態様において、ポリマーナノ粒子の分子量(M、M又はMは、約100,000〜約1,000,000,000の範囲内に調整しても、約1,000,000〜約100,000,000の範囲内に調整してもよい。ポリマーナノ粒子の多分散度(重量平均分子量を数平均分子量で除した比率)は、約1.01〜約1.3の範囲内、又は約1.01〜約1.2の範囲内、又は約1.01〜約1.1の範囲内に調整してもよい。
【0041】
ナノ粒子は、3段階よりも、2段階の重合ステップで、製造でき、すなわち、モノ−ビニル芳香族モノマーを初めに重合させ、次に、架橋のために、マルチ−ビニル芳香族モノマーを共重合又は召集するよりも、モノ−ビニル芳香族モノマーとマルチ−ビニル芳香族モノマーを混合物として1段のステップで又は同時に重合させる。このより簡素な製法は、3段階製法より高い収率が得られる(80−98%対40−85%)。該製法により、高いモノマー転化率と高分子量のナノ粒子を効率的にもたらされる(典型的には、ナノ粒子の収率は90%より高い)。
【0042】
ビニル芳香族モノマーのみから作られた粒子と違い、本発明の粒子は、加硫可能な表面層、たとえば硫黄で硬化可能な表面層を有する。加硫可能な表面層とは、硫黄又は過酸化物で硬化可能な表面層である。加硫剤の好適な例としては、“ゴムメーカーの”可溶性硫黄;単体硫黄(遊離硫黄);有機シランポリスルフィド類、アミンジスルフィド類、ポリスルフィド類等の硫黄供与加硫剤又は硫黄オレフィン付加物及び不溶性の高分子硫黄が挙げられる。
【0043】
ナノ粒子は充分に架橋したコアを有し、ナノ粒子のコアのTgの範囲は、約150℃〜約600℃の広い範囲に渡ってもよく、約200℃〜約400℃でも、約250℃〜約300℃でもよい。ガラス転移点は、例えば、示差走査熱量計によって、毎分10℃の昇温速度で、計測することができる。
【0044】
ナノ粒子は、タイヤゴムトレッド組成物等のゴム組成物に配合される。ゴム組成物は、ゴム及びナノ粒子と、シリカ、カーボンブラック、又はそれら2種の混合物を含む補強性充填剤、任意の加工助剤、任意のカップリング剤、任意の加硫剤、他の所望の又は許容し得るタイヤトレッド成分及び組成物を十分に加硫するために有効な量の硫黄とを混合して調製することができる。
【0045】
典型的なゴムとしては、共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー及びモノビニル芳香族モノマーのコポリマー乃至ターポリマーが挙げられる。これらは、トレッドストック組成物中のゴムの100部として使用してもよく、すなわち、配合物のゴム成分の全てを形成しもてよく、天然ゴム、合成ゴム及びそれらの混合物等の通常使用されるトレッドストックゴムとブレンドしてもよい。かかるゴムは、当業者に周知のものであり、合成ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン-ブタジエンゴム、ブタジエン-イソプレンゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ネオプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素系エラストマー、エチレンアクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン3元重合体(EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。
【0046】
加硫性エラストマー組成物に用いられる補強性シリカ充填剤の例としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾燥シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。他の好適な充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、沈降アモルファス湿式プロセスによる、含水シリカが好ましい。シリカは、エラストマー100部当り約1〜約100部(phr)の量で使用することができ、好ましくは、約5〜80phrの量で、より好ましくは、約30〜80phrの量で使用することができる。有用な上限の範囲は、このタイプの充填剤によってもたらされる高い粘度によって限定される。使用可能な市販のシリカとしては、特に限定されるものではないが、PPGインダストリーズ(ピッツバーグ、ペンシルバニア州)製のHiSil(登録商標)190、HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)215、HiSil(登録商標)233、HiSil(登録商標)243等が挙げられる。また、種々の多くの有用な商業グレードのシリカが、デグサコーポレーション(例えば、VN2、VN3)、ローヌプーラン(例えば、Zeosil(登録商標)1165MPO)、及びJ.M.フーバーコーポレーションから市販されている。
【0047】
上記ゴムは、あらゆる形態のカーボンブラックと、任意にシリカと共に、配合することができる。配合可能なカーボンブラックの量は、約1〜約100phrの範囲である。該カーボンブラックは、市販のカーボンブラック、即ち、商業規模で生産されているカーボンブラックのどんなものをも含むが、該カーボンブラックは、少なくとも20m2/gの表面積を有し、35〜200m2/g又はそれ以上の表面積を有するのが好ましい。有用なカーボンブラックの中には、ファーネスブラック、チャンネルブラック、及びランプブラックがある。本発明のカーボンブラック製品の製造においては、上記ブラックの二種以上の混合物を用いることができる。代表的な好適カーボンブラックは、ASTMD-1765-82aで指定されるN−110、N−220、N−339、N−330、N−352、N−550、N−660である。
【0048】
クレー、タルク、アルミニウム水和物、水酸化アルミニウム及びマイカ等の鉱物充填剤等のある種の充填剤を更に用いることができる。上記充填剤の追加は、任意で、約0.5phr〜約40phrの量で用いることができる。
【0049】
シリカ及びゴムの混合で用いられる多数のカップリング剤及び相溶化剤が知られている。シリカ系のカップリング及び相溶化剤としては、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)、ビス-(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si75)、並びにオクチルトリエトキシシラン及びヘキシルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類等のポリスルフィド架橋中に約2〜約8個の硫黄原子を含むトリアルコキシ有機シランポリスルフィド類等のポリスルフィド成分又は構造を含むシランカップリング剤が挙げられる。
【0050】
プロセスオイルを加硫性エラストマー組成物に添加することができる。プロセスオイルは、0phr〜約70phrの量で使用することができる。プロセスオイルは、プロセスオイル自体として組成物に添加してもよく、油展エラストマーの形で添加してもいい。典型的なプロセスオイルとしては、芳香族系、ナフテン系及び低PCAオイルが挙げられる。好適な低PCAオイルとしては、IP346法で求めた多環式芳香族含有量が3重量パーセント未満のものが挙げられる。IP346法の手順は、以下を参照してもよい:Standard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products、および、British Standard 2000 Parts,2003年,第62版,Institute of Petroleum(英国)出版。好適なPCAオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、または、重ナフテン系オイルが挙げられる。好適なMESオイルが、Catenex SNR[シェル製]、Prorex 15およびFlexon 683[エクソンモービル製]、VivaTec 200[BP製]、Plaxolene MS[トータルフィナエルフ製]、Tudalen 4160/4225[ダールケ製]、MES−H[レプソール製]、MES[Z8製]、および、Olio MES S201[アジップ製]の名で市販されている。好適なTDAEオイルが、Tyrex 20[エクソンモービル製]、VivaTec 500、VivaTec 180、および、Enerthene 1849[BP製]、および、Extensoil 1996[レプソール製]の名で市販されている。適切な重ナフテン系オイルが、Shellflex 794、Ergon Black Oil、Ergon H2000、Cross C2000、Cross C2400、および、San Joaquin2000Lの名で市販されている。
【0051】
当業者であれば、硬化剤、活性化剤、遅延剤、促進剤、オイル等の加工助剤、粘着付与性樹脂を含む樹脂、可塑剤、顔料、追加充填剤、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、素練り促進剤等の様々な一般的に使用される添加物とゴムを混合する等のゴムの配合技術分野で一般的に知られている方法で、ゴム組成物を混合できることが容易に分かる。当業者であれば、ゴム組成物の所望の用途に応じて、上述の添加剤を選択し、従来の量で普通に使用できる。
【0052】
一実施形態において、ナノ粒子を、少なくとも1種類のゴムを含むタイヤトレッドに添加する。典型的なゴムとしては、共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー及びモノビニル芳香族モノマーのコポリマー乃至ターポリマーが挙げられる。これらは、トレッドストック組成物中のゴムの100部として使用してもよく、すなわち、コンパウンドの全ゴム成分を形成してもよく、又は天然ゴム、合成ゴム及びそれらの混合物等の通常使用されるトレッドストックゴムとブレンドしてもよい。かかるゴムは、当業者に周知のものであり、該ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ネオプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素系エラストマー、エチレンアクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン3元重合体(EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。
【0053】
他の実施態様では、タイヤトレッドは少なくとも2種のゴムを含み、そのうちの1種は少なくとも1種類の共役ジエンモノマー単位と少なくとも1種類のモノ−ビニル芳香族モノマー単位からなる。典型的な共役ジエンモノマーとしては、特に限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、シス−及びトランス−ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、シス−及びトランス−1,3−ヘキサジエン、シス−及びトランス−2−メチル−1,3−ペンタジエン、シス−及びトランス3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン等及びこれらの混合物等が挙げられる。好適実施態様では、イソプレン又は1,3−ブタジエン、又はこれらの混合物を共役ジエンモノマーとして用いる。典型的なモノ−ビニル芳香族単位としては、特に限定されるものではないが、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチル−スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、t−ブトキシスチレン等;並びに、それらのアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル誘導体であって、モノマー中の炭素原子の総数が一般に約18以下のもの及びそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
ナノ粒子は、該ナノ粒子の表面層のモノ−ビニル芳香族含有量と、モノ−ビニル芳香族含有量が最もよく一致する(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)共重合ゴムに代えて使用できる。該ナノ粒子の表面層のモノ−ビニル芳香族含有量は、(アルケニルベンゼン-共役ジエン)コポリマーの1種類のモノ−ビニル芳香族含有量に対して、約50%から約150%の間であっても、約75%から約125%の間であっても、約90%から110%の間であってもよい。このようにすることで、ゴムマトリックスのモノ−ビニル芳香族の含有量の総量に重大な影響を与えることなく、ナノ粒子をゴムに組み込むことが出来る。
【0055】
ナノ粒子は、ゴム組成物に、約50phr未満の範囲で、又は約30phr未満の範囲で、又は約20phr未満の範囲で添加できる。
【0056】
ナノ粒子のコアは、ゴム中に分散された充填剤として振舞う。該充填剤効果は、ゴムマトリックスと比べて、コアが相対的に硬いためである。
【実施例】
【0057】
3種類のゴムストックを表1に示す処方で調製した。ストック2及び3は、スチレン含有量が最も近いスチレン−ブタジエンゴムに代えて組み込んだ、本発明のナノ粒子を、各々、7phrと14phr含む。使用したナノ粒子の特性を、表2に示す。図1にナノ粒子のDSC分析結果を示す。図1によれば、ナノ粒子表面層のTgは−37℃であり、一方、コアのTgは検出できず、つまり、コアのTgは約200℃超であることを意味する。
【0058】
3種類の硬化ゴムストックの粘弾性特性を表3に示し、該結果は、温度スイープ試験から得られたものである。温度スイープ試験は、スペクトロメーターを用いて、周波数50Hzで、−50℃〜−5℃の温度範囲における0.2%歪について、−5℃〜60℃の温度範囲における1%歪について、実施した。
【0059】
ナノ粒子を含むゴム配合物2と3は、各々、30℃におけるE’が11%と25%増加しており、このことは、コーナリングとステアリングの応答性が改善していることを表している。動的貯蔵モジュラスの実質的な増大にも関わらず、ストック2と3は、60℃におけるtanδにおいて、各々、わずか2%と10%の増加しか示さず、このことは、転がり抵抗がわずかしか高くならなかったことをあらわしている。つまり、ナノ粒子は、コンパウンドのヒステリシスに重大な影響を与えることなく、実質的に動的貯蔵モジュラスを向上させることができる。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
典型例を説明した。前述の詳細な説明を読んで理解すれば明らかなように、他のものに変形及び変更できるであろう。願書に添付した特許請求の範囲又はその均等の範囲内に収まる限り、典型例はかかる変形及び変更のすべてをも含むと解釈されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも2種の(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムと、
b.ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアと、ポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層とを具えるポリマーナノ粒子と、
を含み、
前記ポリマーナノ粒子のコアは、ガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間であって、
前記ポリマーナノ粒子のポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量の約50%から約150%の間である
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記ポリマーナノ粒子の表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量の約75%から125%の間であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーナノ粒子の表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量の約90%から110%の間であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアが、ポリスチレンからなり、
前記ポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層が、ポリ(スチレン−ブタジエン)からなることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマーナノ粒子は、平均径が約5から200nmの間であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
トレッドを具え、該トレッドが
a.少なくとも2種の(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムと、
b.ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアと、ポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層とを具えるポリマーナノ粒子と、
を含み、
前記ポリマーナノ粒子のコアは、ガラス転移点(Tg)が約150℃から約600℃の間であり、
前記ポリマーナノ粒子のポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量の約50%から約150%の間である
ことを特徴とするタイヤ。
【請求項7】
前記ゴムが少なくとも2種の(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムを含み、前記ポリマーナノ粒子の表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量の約50%から約150%の間であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記ポリマーナノ粒子の表面層のモノ−ビニル芳香族の含有量が、(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムの1種におけるモノ−ビニル含有量に対して約75%から125%の間であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記少なくとも2種の(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)コポリマーゴムが、各々スチレン−ブタジエンコポリマーであることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記ポリ(モノ−ビニル芳香族)からなるコアがポリスチレンを含み、前記ポリ(モノ−ビニル芳香族−共役ジエン)からなる表面層がポリ(スチレン−ブタジエン)を含むことを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記ポリマーナノ粒子のコアは、Tgが約200℃から約400℃の間であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。

【図1】
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【公表番号】特表2010−514854(P2010−514854A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543130(P2009−543130)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/087869
【国際公開番号】WO2008/079807
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】