説明

ポリマー膜から形成される微小針アレイ

本発明は、微小針アレイを有する経皮的送達デバイス、ならびにその製造および使用のための方法を提供する。一実施形態では、経皮的送達デバイスが提供される。経皮的送達デバイスは、その表面の一方から突出する微小針を有するポリマー層を含む。微小針は、ポリマー基層と組成的に同質である。別の実施形態では、活性剤を経皮的に送達するための方法が提供される。最初に、経皮的送達デバイスが提供される。経皮的デバイスは、その表面の一方から突出する微小針を有するポリマー基層を含む。微小針は、ポリマー基層と組成的に同質である。また、活性剤が、経皮的送達デバイス内に含まれる。経皮的送達デバイスは、対象への活性剤の送達のために、対象の皮膚表面に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、薬物送達のため等、皮膚組織障壁の中へおよびこれを横断して治療または生体分子を輸送するためのデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、薬物は、一般的に経口、非経口、または経皮的投与経路を通して投与される。経皮的投与の大きな課題の1つは、皮膚を通しての活性剤の浸透が乏しいことである。拡散速度は、一部には、薬物分子の大きさおよび親水性と、角質層を横断する濃度勾配とに依存する。送達速度を改善する目的で使用されてきたもので、受動的拡散、イオン泳動、電気穿孔、超音波、化学的浸透促進剤、および熱(いわゆる、能動的システム)によって、皮膚を通して効果的に送達されるために必要な生理化学的性質を有する薬物は、ほとんどない。さらに、活性剤、浸透促進剤、およびある担体の組み合わせが、所望の持続時間にわたる特定の送達プロファイルを試行および達成するために使用されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、本発明は、経皮的送達デバイス、ならびにその製造および使用のための方法を提供する。一実施形態では、経皮的送達デバイスが提供される。経皮的送達デバイスは、その表面の一方から突出する微小針を有するポリマー層を含む。微小針は、ポリマー基層と組成的に同質である。
【0004】
別の実施形態では、活性剤を経皮的に送達するための方法が提供される。最初に、経皮的送達デバイスが提供される。経皮的デバイスは、その表面の一方から突出する微小針を有するポリマー基層を含む。微小針は、ポリマー基層と組成的に同質である。また、活性剤が、経皮的送達デバイス内に含まれる。経皮的送達デバイスは、対象への活性剤の送達のために、対象の皮膚表面に適用される。
【0005】
さらに別の実施形態では、微小針アレイを有する経皮的薬物送達デバイスを製造する方法が提供される。方法は、基板を提供するステップと、次いで、ポリマー溶液を基板に塗布して、基層を形成するステップとを有する。次いで、基層の露出表面は、そこから突出する隆起点を有するテクスチャー加工表面またはテンプレートが配置されることによって、隆起点が基層の露出表面に接触する。例示的なテクスチャー加工表面は、電子機器内で一般的に使用されるような、あるいは通常の石目ヤスリの表面上のような金属ピンまたは点のアレイを含むが、それらに限定されない。次いで、テクスチャー加工表面が、基層の露出表面から引き離されることによって、隆起点は、基層の露出表面から管状突出を引き伸ばす。基層および管状突出は、乾燥させられ、微小針アレイを形成することが可能である。ある場合には、微小針は、中空であり得る。他の実施形態では、微小針は、中実であってもよい。次いで、微小針アレイは、切断され、経皮的薬物送達デバイスを形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、微小針アレイデバイスであって、相対的尺度を示す。A.微小針アレイは、ガラス基板によって支持され、尺度を示すために1ペニー貨とともに示される。非常に規則正しいアレイの中空の可溶性微小針は、ポリマー溶液膜から形成される。示されるアレイは、8×31のアレイ内に248本の微小針を有し、2本以下の欠陥針を示す。B.アレイの微小針の拡大図であって、各針内の内部チャネルを明確に示す。また、加工条件を変更することによって、中実針も可能である。基膜内の泡は、針形成プロセスの際に中空を生じさせると考えられるものに類似する。針先端は、トリミングによって、任意の角度で傾斜させてもよい。C.蛍光色素が装填された、UV照明下での針を示す。微小針アレイ送達デバイスは、種々の材料(「積荷」)を装填するために好適な中空針とともに形成されてもよい。
【図2】図2は、微小針アレイ調製の概略図を示す。針は、「引き伸ばし」、中空管を残留させることによって、ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))膜から調製される。端部は、針端部の所望の形状(および、長さ)をもたらすように剪定される。得られた中空管は、核酸(例えば、プラスミドまたはsiRNA)等の活性成分で「充填」される。硬化(堅化)された微小針アレイは、皮膚内に挿入される。表皮の水性環境では、針は軟化および変形し、挿入された部分は、裏当て材料が初期の適用期間後に除去されると、分離する(表皮内に「装填」された先端を残留させる)。PVA溶液が溶解すると、積荷が、標的表皮内に徐々に放出される。
【図3A】図3は、切除されたヒトの皮膚の断面図であって、ゲンチアナバイオレットを装填した針による穿刺を示す。A.微小針送達デバイスは、視覚的レポータ(「積荷」)として、ゲンチアナバイオレット溶液が装填され、新鮮なヒトの皮膚外植片(腹壁形成方法から得られた)に適用され、次いで、組織寒剤(OCT)中に直に載置され、−28℃まで冷却された。試料を針アレイの幾何学形状と略平行な角度で区切り、複数の針の観察を可能にした。送達デバイス裏当て材料は、OCTと皮膚試料との間の層として可視化される。左の針の本体は、分断され、針シャフト内に装填されたゲンチアナバイオレット溶液を示す。中央の針は、角質層および表皮の両方を穿刺するように見え、針先端は、真皮と完全接触する。第3の針(右側)は、可視であるが、焦点面から外れる。B.微小針を使用してヒトの表皮および真皮に送達される、ゲンチアナバイオレットを示す。ゲンチアナバイオレットは、蛍光顕微鏡を使用して、赤色蛍光フィルタ(励起546nm、発光580nm)の下で検出された。皮膚切片をDAPIで染色し、核を可視化した。
【図3B】図3は、切除されたヒトの皮膚の断面図であって、ゲンチアナバイオレットを装填した針による穿刺を示す。A.微小針送達デバイスは、視覚的レポータ(「積荷」)として、ゲンチアナバイオレット溶液が装填され、新鮮なヒトの皮膚外植片(腹壁形成方法から得られた)に適用され、次いで、組織寒剤(OCT)中に直に載置され、−28℃まで冷却された。試料を針アレイの幾何学形状と略平行な角度で区切り、複数の針の観察を可能にした。送達デバイス裏当て材料は、OCTと皮膚試料との間の層として可視化される。左の針の本体は、分断され、針シャフト内に装填されたゲンチアナバイオレット溶液を示す。中央の針は、角質層および表皮の両方を穿刺するように見え、針先端は、真皮と完全接触する。第3の針(右側)は、可視であるが、焦点面から外れる。B.微小針を使用してヒトの表皮および真皮に送達される、ゲンチアナバイオレットを示す。ゲンチアナバイオレットは、蛍光顕微鏡を使用して、赤色蛍光フィルタ(励起546nm、発光580nm)の下で検出された。皮膚切片をDAPIで染色し、核を可視化した。
【図4】図4は、皮膚切片内の個々の微小針穿刺部位および可視化の生体内撮像を示す。A.Xenogen IVIS200システムを使用して観察された局在性の蛍光発光を示し、マウス左足蹠にsiGLO Red(蛍光標識siRNA模倣体、0.05μg/針)を装填した微小針アレイが適用されていることが確認される。B.マウス足蹠の縦方向皮膚切片の蛍光顕微鏡検査を示す。C.siGLO Redを装填した針によるマウス足蹠の断面の蛍光顕微鏡検査であって、表皮への送達を実証する。切片はすべて、DAPIで染色し、核を視覚化した(線条=10μm)。
【図5】図5は、マウス足蹠の皮膚切片のいくつかの蛍光顕微鏡像であって、装填された微小針アレイを使用して投与後の表皮(または、真皮)へのsiGLO Red(蛍光標識siRNA模倣体)の送達を実証する。画像AおよびBは、横方向拡散が送達部位から外側への材料輸送を占め(90分以下時点)、真皮内に可視の赤色蛍光発光が比較的少ないことを示す(線条=20μm)。画像CおよびDは、拡散が、真皮および表皮の両方において時々検出されたことを示す(線条=10μm)。画像EおよびFは、適用後30分の時点で撮像され、より長い針が、真皮まで送達可能であることを示す。切片はすべて、DAPIで染色し、核を視覚化した(線条=50μm)。
【図6A】図6は、微小針アレイ経皮的送達デバイスによって投与された、マウス耳およびマウス足蹠内のホタルルシフェラーゼ(fLuc)レポータ遺伝子の発現を示す。A.右側の耳は、針当たり50μL以下のfLuc発現プラスミド(PBS中10mg/mL)が装填された針アレイによって「注入」された。左側の耳は、PBSのみが装填されたSTMNA送達デバイスによって「注入」された。針は、20分間、耳内に挿入された。24時間後、IPルシフェリン注入後、Xenogen IVIS200生体内システムを使用して、動物全体を撮像することによって、ルシフェラーゼ発現を判定した。B.足蹠送達を示す。複数のマウスを処置することによって、fLucレポータプラスミドの微小針アレイ媒介送達の再現性を評価した。左足蹠は、ルシフェラーゼ発現プラスミドを装填した微小針アレイ(12針)によって処置された。ルシフェラーゼ発現は、ルシフェリンのIP投与後、左足蹠内で観察された一方で、PBS賦形剤が単独で装填された微小針を受けた右足蹠では、観察されなかった。
【図6B】図6は、微小針アレイ経皮的送達デバイスによって投与された、マウス耳およびマウス足蹠内のホタルルシフェラーゼ(fLuc)レポータ遺伝子の発現を示す。A.右側の耳は、針当たり50μL以下のfLuc発現プラスミド(PBS中10mg/mL)が装填された針アレイによって「注入」された。左側の耳は、PBSのみが装填されたSTMNA送達デバイスによって「注入」された。針は、20分間、耳内に挿入された。24時間後、IPルシフェリン注入後、Xenogen IVIS200生体内システムを使用して、動物全体を撮像することによって、ルシフェラーゼ発現を判定した。B.足蹠送達を示す。複数のマウスを処置することによって、fLucレポータプラスミドの微小針アレイ媒介送達の再現性を評価した。左足蹠は、ルシフェラーゼ発現プラスミドを装填した微小針アレイ(12針)によって処置された。ルシフェラーゼ発現は、ルシフェリンのIP投与後、左足蹠内で観察された一方で、PBS賦形剤が単独で装填された微小針を受けた右足蹠では、観察されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施形態の開示および説明の前に、本発明は、本明細書に開示される特定のプロセスおよび材料は、ある程度変動する場合があるため、それらに限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけに使用され、限定的であると意図されるものではないことを理解されたい。
【0008】
本発明を説明および請求する際に、以下の用語が使用される。
【0009】
単数形「a」、「an」、および「the」は、別途明示的に文脈が指示しない限り、複数形の言及も含む。したがって、例えば、「微小針」への言及は、1つ以上の微小針への言及を含み、「ポリマー」への言及は、1つ以上のポリマーへの言及を含む。
【0010】
本明細書で使用されるように、用語「約」は、所与の値が、端点を「若干上回る」または「若干下回る」場合があると仮定することによって、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。
【0011】
用語「対象」は、本発明の経皮的デバイスまたは方法を使用する投与から恩恵を受け得る哺乳類を指す。対象の実施例は、ヒト、ならびにウマ、ブタ、畜牛、イヌ、ネコ、ウサギ、および水生哺乳類等の他の動物を含む。
【0012】
本明細書で使用されるように、用語「活性剤」または「薬物」は、同義に使用され、薬理活性物質または組成を指す。
【0013】
用語「経皮的」は、皮膚表面内および/またはそこを通しての薬物の移送を促進する、投与経路を指し、経皮的組成は、皮膚表面に投与される。
【0014】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に」は、作用、特徴、特性、状態、構造、要素、または結果の完全または略完全な範囲あるいは程度を指す。
【0015】
本明細書で使用されるように、配列、化合物、製剤、送達機構、または他の要素は、便宜上、共通リスト内に提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、各リスト部材が、別個かつ独自の部材として個々に識別されるように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストのいずれの個々の部材も、事実上は、それとは反対であるという表示を伴わない共通群内における提示のみに基づいて、同一リストの任意の他の部材の同等物として解釈されるべきではない。
【0016】
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では、レンジフォーマットで表現または提示される場合がある。そのようなレンジフォーマットは、便宜上および簡潔にするためだけに使用され、したがって、範囲の限界として明示的に列挙される数値だけではなく、また、各数値および副次的範囲が明示的に列挙されるように、その範囲内に包含されるあらゆる個々の数値または副次的範囲も含むものと、柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例示として、数値範囲「約0.5乃至10g」は、約0.5g乃至約10.0gの明示的に列挙される値だけではなく、また、指示される範囲内の個々の値および副次的範囲も含むものと解釈されるべきである。したがって、本数値範囲内に含まれるのは、2、5、および7等の個々の値と、2乃至8、4乃至6等の副次的範囲である。この同一原理は、1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。さらに、そのような解釈は、記載される範囲または特徴の幅にかかわらず、適用されるべきである。
【0017】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術および科学的用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものに類似またはそれと同等の任意の方法、デバイス、および材料が、本発明の実践または試験において使用可能であるが、代表的な方法、デバイス、および材料が、後述される。
【0018】
上述のように、本発明は、経皮的送達デバイス、ならびに製造および使用の関連方法を提供する。一実施形態では、経皮的送達デバイスが提供される。経皮的送達デバイスは、自身の表面の一方から突出する微小針を有するポリマー層を含む。微小針は、ポリマー基層と組成的に同質である。
【0019】
ポリマー層および微小針を形成するポリマーは、経皮的薬物送達技術において周知の種々のポリマーから選択可能である。一実施形態では、ポリマーは、生体吸収性または生分解性であり得る。非限定的実施例は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸塩、エチレン酢酸ビニルのポリマー、および他のアシル置換酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フッ化ビニル樹脂、ポリエチレンオキシド、クロロ硫酸ポリオレフィン、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(吉草酸)、ポリ酪酸、ポリラクチド、ポリグリコール酸、ポリアンヒドリド、ポリオルソエステル、ポリサッカリド、ゼラチン等、混合物、ならびにそのコポリマーを含む。一実施形態では、ポリマーは、接着性ポリマーであり得る。好ましい実施形態では、ポリマーは、ポリビニルアルコールである。
【0020】
選択されるポリマーの種類に応じて、使用されるポリマーの濃度は、所望の微小針形成特性を得るために、変更可能である。一実施形態では、ポリマー基層および微小針を形成するために使用されるポリマー溶液の濃度は、1重量%乃至50重量%のポリマー濃度を有し得る。一実施形態では、ポリマーは、ポリビニルアルコールであって、ポリマー溶液中の濃度は、20重量%であり得る。
【0021】
微小針アレイの微小針は、ポリマー塩基と同一材料から成り、それによって、ポリマー塩基と組成的に同質となる。微小針は、ポリマー塩基に対してある角度で配向可能である、またはポリマー塩基に対して垂直に構成可能である。微小針は、表面に対し垂直な圧力によって、皮膚表面内への針の挿入を容易にするために、ポリマー塩基に対して垂直に配向されることが好ましい。また、異なる角度構成または異なる針長を伴う微小針を有する微小針アレイを生成および提供可能である。一実施形態では、微小針は、約10μm乃至約10000μmの長さを有し得る。別の実施形態では、微小針は、約50μm乃至約1000μmの長さを有し得る。別の実施形態では、微小針は、約75μm乃至約500μmの長さを有し得る。
【0022】
送達される活性剤または薬物ならびに所望の送達時間長と、微小針を形成するために使用されるポリマーとに応じて、微小針は、軟化または溶解することによって、脱着し、皮膚内に埋め込まれた状態で残留させられるように構成可能である。微小針が、ポリマー基層の除去後も対象内に残留させられるように構成される場合、ポリマーは、生分解性または生体吸収性のポリマーであり得る。脱着され、皮膚内に埋め込まれた状態で残留される微小針は、針によって送達される活性剤の持続的または長時間の放出を提供することが可能である。一実施形態では、形成される針は、活性剤を含有し得る第2のポリマー溶液に針先端を瞬間的に接触させることによって、さらに装填可能である。針が引き抜かれると、第2のポリマー溶液の残渣は、針の先端上または中空部分の先端内に残留する。この第2のポリマー溶液が、針を構成する主要ポリマーと異なる低水溶解度特性を保有する場合、その先端は、微小針が皮膚内で脱着すると、皮下注射器の先端に類似する態様で置かれる、弾頭に相当する。活性剤が先端ポリマー内に組み込まれる場合、弾頭先端の低い溶解度は、長時間の放出特徴を提供してもよい。
【0023】
微小針は、中空または中実であるように製造可能である。微小針が中空である場合、活性剤または活性剤組成は、微小針の中空部分内に装填可能であって、次いで、針によって、対象に送達され得る。用語「中空」は、微小針内またはそれを通して、液体または中実材料の通過を可能にするために十分な大きさの直径を有する微小針の内部での領域を指す。針の中空部分は、針の全部または一部を通って全体的に延在可能であるが、それに限定されない。一実施形態では、中空領域は、微小針の先端に開口部を有し得る。微小針が中実である場合、活性剤または活性剤組成は、微小針の外表面上に装填可能である。中空針は、潜在的に、同一寸法の中実針の場合に可能であるものよりも大量の活性剤弾頭が装填可能である。
【0024】
本発明の経皮的デバイス内に含有される微小針アレイは、局所的、限局的、および/または全身的送達のために意図される活性剤を含む、種々の活性剤を送達するように構成可能である。概して、経皮的に効果的に送達可能な任意の薬物または活性剤は、本発明の微小針アレイを使用して送達可能である。一実施形態では、活性剤は、単索または二本索DNA/RNA、プラスミド等を含むが、それらに限定されない、核酸材料であり得る。
【0025】
活性剤は、いくつかの方法で微小針アレイ内に装填または組み込み可能である。一実施形態では、活性剤は、針の中空領域内に装填可能である。中空領域内への装填は、毛細管作用、加圧リザーバ、または微小針アレイを損傷せずに使用可能な任意の他の手段を通して、行なうことが可能である。中空針を装填する方法の1つは、水またはエタノール等の揮発性材料中の活性剤の溶液と針先端を瞬間的に接触させることであり得る。先端が適切な液体の表面に触れると、液体は、毛細管作用によって先端内を濡らすことが可能となり、一定分量が、針先端内にのみ導入され、活性剤の最も効率的使用をもたらし、アレイの非穿刺部分内における材料の浪費を回避すると考えられる。
【0026】
また、活性剤は、微小針およびポリマー基層が形成されるポリマー溶液中への組み込みを介して、微小針内に組み込むことが可能である。活性剤が、本態様で微小針内に組み込まれる場合、活性剤はまた、ポリマー基層内にも組み込まれる。活性剤が、微小針のポリマー中に直接組み込まれる場合、微小針は、従来の経皮的マトリクスパッチ内のマトリクス層と類似する態様で薬物を送達する。しかしながら、微小針は、皮膚障壁構造の局所的破壊を提供し、経皮的マトリクスパッチ送達システムでは皮膚を通常浸透しない薬物の進入を促進するという付加的な利点をもたらす場合がある。
【0027】
別の実施形態では、(単数または複数の)活性剤は、最初に、基層から針を引き伸ばすために使用されるテクスチャー加工表面またはテンプレートの突出上に活性剤溶液を装填することによって、微小針内に組み込まれることが可能である。この場合、(単数または複数の)活性剤は、典型的には、針構造内に局在化しているように観察され、基層内にほとんどまたは全く泳動しない。針を装填する種々の他の方法は、本発明が属する当業者に明白であり得、これらの方法は、活性剤組成の溶液、あるいは蒸気または粉末形態との接触を含んでもよい。針が装填される方法の選択は、特定の活性剤およびその特定の微小針アレイ製品のための所望の用途の詳細によって決定されてもよい。
【0028】
微小針アレイは、経皮的パッチ等の種々の経皮的送達デバイス内に組み込み可能である。本発明の一側面では、微小針アレイのポリマー基層は、裏当て層に接着され、経皮的パッチを形成することが可能である。別の側面では、ポリマー基層は、活性剤が微小針を通って対象に送達可能である活性剤リザーバに付随または接着可能である。リザーバ層は、リザーバが活性剤を微小針に適切に送達し得る限り、液体リザーバ、またはヒドロゲルリザーバ、あるいは当該分野において周知の任意の他のリザーバの種類であることが可能である。また、浸透促進剤、放出制御薄膜、保湿剤、皮膚軟化剤等、他の材料が、本発明の経皮的送達デバイス内に組み込まれてもよい。
【0029】
微小針アレイは、活性剤を経皮的に投与するための経皮的送達デバイスとして使用される、またはその中に組み込み可能である。経皮的送達デバイスの微小針アレイは、活性剤を対象に送達するために、対象の皮膚表面に適用可能である。投与は、持続的または長時間であり得る。活性剤の持続的送達は、微小針が脱着され、ポリマー基層を含む経皮的送達デバイスの残部の除去後も、対象の皮膚内に残留可能な微小針アレイを使用することによって、達成可能である。対象の皮膚内に残留される微小針は、活性剤リザーバとして作用し、経皮的送達デバイスが除去された後も、活性剤を送達可能である。
【0030】
本発明の経皮的送達デバイス内で使用される微小針アレイは、上述の他の要件に準拠する限り、当該分野において周知の任意の態様で生成可能である。微小針アレイの製造また形成方法の1つが、本明細書に提供される。方法は、基板を提供し、次いで、ポリマー溶液を基板に塗布し、基層を形成するステップを伴う。次いで、基層の露出表面をそこから突出する隆起点を有するテクスチャー加工表面とともに配置することによって、隆起点を基層の露出表面に接触される。次いで、テクスチャー加工表面を基層の露出表面から引き離すことによって、隆起点は、基層の露出表面から中空管状突出を引き伸ばす。テクスチャー加工表面は、当該分野において周知の任意の材料から成り、本明細書に記載されるように、基層に接着させ、微小針突出を引き伸ばすことを可能にする任意の態様で構成可能である。いったん引き伸ばされると、微小針突出は、当該分野において周知の任意の方法を使用して、研磨または別様に成形され得る。
【0031】
基層および中空管状突出は、乾燥され、微小針アレイを形成し得る。次いで、微小針アレイは、切断され、経皮的薬物送達デバイスを形成し得る。経皮的薬物送達デバイスを切断または形成するための方法は、当該分野において周知であって、テンプレートの打抜きまたは他の物理的剪断、熱融解、熱劣化、レーザ切断、化学分解、溶解、凍結破断、超音波処理、あるいは当該分野において周知の任意の他の物理的または化学的ものを含むが、それらに限定されない。針の製造は、単一バッチまたは連続バッチ方法で行なうことが可能であることに留意することは重要である。連続的製造方法が使用される場合、当該分野において周知の任意の機械化手段を使用可能である。例えば、微小針突出を引き伸ばすために使用される表面は、基層に接触し、そこから微小針を引き伸ばすように構成される、数多くの突出列を有するローラであり得る。製造技術において使用される他の機械化および自動化製造技法および技術を本発明の微小針の生成に組み込み、使用することが可能である。
【0032】
微小針アレイの製造において使用される基板は、ポリマー溶液を塗布可能な任意の中実または多孔性材料であり得る。基板層の非限定的な実施例として、ガラス、織布および不織布材料を含む、裏当て層材料等が挙げられる。
【0033】
上述のように、種々のポリマーおよびポリマー溶液濃度は、本発明の微小針を形成するために使用可能である。ポリマー溶液は、ポリマー基層を形成するために、基板に塗布可能である。ポリマー基層は、概して、約0.5mm乃至約5mmの厚さを有する。一実施形態では、ポリマー基層は、0.5mm乃至約2mmの厚さを有し得る。一実施形態では、ポリマー基層は、約1mmの厚さを有する。
【0034】
ポリマー基層の露出表面に接触するテクスチャー加工表面は、ポリマー基層に接触する隆起領域または点を有する。隆起領域は、規則的に離間している微小針を形成するために、テクスチャー加工表面上に規則的に離間させることが可能である。テクスチャー加工表面上の隆起領域の数と、対応して形成される微小針の数は、送達される活性剤または薬物ならびに活性剤の量または用量を要因とし得る。そのような決定は、当業者によって成され得る。図1は、本明細書に記載される方法を使用して、30重量%ポリビニルアルコール溶液から形成される微小針のアレイを示す。
【0035】
形成される微小針の長さは、テクスチャー加工表面が、ポリマー基層から引き離されるか、または引き抜かれる距離に応じる。上述のように、微小針は、約10μm乃至約10000μmの長さを有し得る。図2は、微小針アレイを形成するために使用可能な引き伸ばしプロセスの概略図を示す。微小針が引き伸ばされるか、または形成された後に、ポリマー基層およびアレイの微小針は、焼成、吹き込み、他の乾燥手段、またはそれらの組み合わせによって、乾燥可能である。一実施形態では、微小針およびポリマー基層の乾燥は、微小針が形成される引き離しステップの間に生じ得る。初期乾燥後、微小針の装填が生じる場合、活性剤組成による針の装填後に、付加的な乾燥または焼成ステップを行なうことが望ましい可能性があることに留意されたい。約1時間、約80℃で針を焼成することによって、その剛性を増し、角質層を通して、より深部の皮膚層内に穿刺するために十分に剛性の微小針を形成する(図3)。真空オーブン内におけるような気流速度の増加または減圧の使用は、必要とされる温度および硬化時間を減少させる場合がある。
【0036】
任意の特定の理論に拘束されるわけではないが、概して、皮膚穿刺のために必要とされる針の剛性の増加は、化学的変質ではなく、溶媒蒸発に対応すると理解され、溶媒が除去され得る任意のプロセスは、針の硬化を加速させると理解される。さらに、針の形状および構造は、乾燥プロセスの動態に大いに依存すると考えられる。針の長さは、テンプレートが、針が抜脱されるポリマー膜基層の表面から後退させられる距離に直接依存する。しかしながら、テンプレートが後退させられる速度および膜が乾燥する速度はともに、形成される針の形態を決定付ける作用をする。テンプレートが、乾燥速度と比較して、非常に高速で回収される場合、各テンプレート突出を接続するポリマー溶液の索は、その流動および変形能力を超えて伸張させられる場合があり、索が機能せず、膜からテンプレート突出を時期尚早に分離させ得る。乾燥速度が、後退速度と比較して、早過ぎる場合、膜表面全体が乾燥し、非弾性的に変形または流動可能なゲルではなく、弾性膜を形成し得る。膜が、テンプレート突出が完全に抜脱される前に、弾性中実体として挙動するように十分に乾燥する場合、膜は、基板から分裂または分離して、許容不可能に変形させられるか、または非均一の針アレイを生成し得る。しかしながら、これら両極端の間には、ポリマー溶液基膜からのテンプレート突出の任意の特定の後退速度と比較して、容認可能な乾燥速度の範囲がある。一実施形態では、テンプレートは、0℃乃至100℃の温度で、0.1乃至10m/秒の加熱気流乾燥によって、0.1mm/秒乃至100mm/秒の速度で基層から後退可能である。別の実施形態では、テンプレートは、20℃乃至70℃の温度で、0.5m/秒乃至7m/秒の加熱気流乾燥によって、1mm乃至50mm/秒の速度で基層から後退可能である。さらに別の実施形態では、テンプレートは、25℃乃至50℃で、0.75m/秒乃至5m/秒の加熱気流乾燥によって、2mm/秒乃至15mm/秒の速度で基層から後退可能である。
【0037】
ポリマー膜の乾燥速度が、本発明におけるテンプレートの後退速度と合致する場合、ポリマー基膜は、流体のままであって、非弾性的に変形可能である一方で、テンプレート突出と基膜との間に形成される索は、基層よりも早く乾燥し、急速に非弾性となり、依然として湿潤した膜から、より長い繊維状針構造を引き伸ばすことを可能にする。事実上、索のより乾燥した弾性部分は、より湿潤の非弾性的に変形可能な基層に対して、テンプレート突出の役割を果たす。任意の特定の理論に限定されるわけではないが、主に、その内部容積に対してより少ない乾燥表面積を有する基層と比較して、内部容積に対する乾燥表面積の大きな比率のために、索が基層よりも早く乾燥すると考えられる。加えて、特に、針の形成に伴って、針上に空気を流動させることによって、乾燥が促進される場合、膜表面からより離れた気流パターンは、本効果に非常に寄与する可能性があり得る。
【0038】
気流、加熱または冷却、加圧または真空、湿気を使用する方法、あるいはポリマー処理の当業者によく知られている任意の他の方法を含む、任意の方法を使用して、乾燥プロセスを促進または制御してもよい。さらに、ポリマー溶液の流動特性または弾性が、温度、化学反応、光化学効果、超音波または振動エネルギー、あるいはポリマー処理の当業者に周知の他の方法等、単純乾燥以外の要因によって影響を受け得る範囲内において、これらの方法はまた、針引き伸ばしプロセスにおいて同一効果を達成するように、合理的に適用され得る。
【0039】
上述のように、針がポリマー基層から引き伸ばされると、基膜の表面が乾燥し、弾性層を形成するため、本層は、膜から引き伸ばされる索上に徐々に引張られることを理解されたい。気流が、テンプレート抜脱の最後の1または2ミリメートルにおいて、相対的非弾性に基層の表面を乾燥させるようなものである場合、これらの抜脱の最後の1または2ミリメートルにおいて、より実質的に変形させられ、より広い基層を形成する。驚くことに、これより広い基層の形成は、針内の中空空間の形成によって達成されることが観察される。任意の特定の理論に限定されるわけではないが、弾性挙動へのその遷移の際、膜からの突出の抜脱によって生成される張力は、乾燥表面と膜表面下のより湿潤した溶液との間により低い圧力の領域を生成し、このより低い圧力は、溶液の水分の一部の蒸発を誘発し、水蒸気が豊富なポケットを形成すると考えられる。実際の原因または孔隙領域の内容物とは無関係に、中空針がもたらされる。
【0040】
針基層内への乾燥表面の組み込みの別の側面は、活性剤がポリマー溶液層の表面上にのみ分配される場合である。例えば、エタノール等のより揮発性の材料中の小量の活性剤の溶液を塗布することによって、不均衡な量の活性剤が針の基層内に組み込まれることが観察される。これは、蛍光色素等の着色活性剤の使用によって、容易に観察される。
【実施例】
【0041】
(実施例1−微小針アレイの生成)
微小針アレイは、以下のステップに従って調製された。
1.水中約30%ポリビニルアルコール[PVA](Spectrum Chemicals、Gardena、CA)溶液の0.3グラムの一定分量を均一な薄層に拡散させ、標準的ガラス顕微鏡スライド(約25×75mm)の略表面全体を被覆した。
2.作業表面を上にして、一般的石目ヤスリを実験台上に載置し、PVA側を下にして、スライドを下ろすことによって、PVA層をヤスリの作業表面と接触させた。次いで、スライドを徐々に下方に押圧することによって、PVA溶液によってヤスリ点の先端を湿潤させた。
3.「低」に設定された一般的ヘアドライヤーを使用して、約1フィートの距離から、上述のように組み立てられた、ヤスリおよびスライド上を約4m/秒で流れる約60℃の気流を指向させ、針の形成に伴って乾燥および加熱する目的で、実験台表面に沿って水平に吹き込みを行なった。
4.加工対象物上に温気流を指向直後、ヤスリ表面からヤスリ点の約15mm上の高さまで、垂直に持ち上げることによって、スライドをヤスリから慎重に除去した。ヤスリは、スライドへの接着によって引き上げられないように、定位置に保持された。各ヤスリ点から、中空管を膜表面から引き伸ばし、引張作用によって生成または増進されたと考えられる針基層における気泡から、中空が形成された。
5.スライドをヤスリ上に正確に配置したままにし、新しく形成された針構造の屈曲または変形を回避し、約10分間、温気流を継続し、針および針が形成されたPVA膜を乾燥させた。
6.気流を停止し、石目ヤスリ先端の直上で、標準的片刃カミソリをヤスリ表面と平行に走らせることによって、針をヤスリ表面から切断した。針は、石目ヤスリ先端との接触点直上で、平滑かつ容易にスライスされた。針の規則的アレイが各縦8列×横31列で膜内に形成されるように石目ヤスリ先端を離間させ、248針を形成し、そのうち2針は、針として有用ではないと考えられるほどに屈曲または変形し、残りの246針は、有用であると考えられた。
7.膜の縁とガラスとの間で標準的片刃カミソリを摺動させることによって、ガラス基板からPVA膜を除去し、ガラスからの膜の剥離とスライスとの中間のような平滑な分離を可能にした。
8.針は、地元Longs Drugstoreから購入した一対の典型的甘皮用ハサミを使用して、約3mmの高さにトリミングした。トリミングは、小構造の可視化を容易にするために検査顕微鏡下で行ない、針先端を垂線に対し約45度で切断し、鋭利な傾斜先端を形成した。
9.リン酸緩衝液(PBS)中、約200ng/針のpcDNA3.1 fLuc発現プラスミド(10mg/ml)で針を装填し、次いで、約60分間、ドアを開放した状態で、典型的消費者用オーブントースター内において、90℃で焼成し、次いで、10分間、冷却させた。本焼成ステップは、針を乾燥させ、皮膚穿刺のための十分な剛性に堅化させるように行なわれた。類似対照針アレイを担体(PBS)のみを使用して調製した。
10.約20分間、指圧を使用して、麻酔をかけた(イソフルレン)マウスの耳に針アレイ(fLuc発現プラスミドまたはPBS対照)を圧入し、その時点で、針アレイを除去した。さらに25分間、マウスを眠らせたままにした。
11.24時間後、腹腔内注射によって、100μlの30mg/mlルシフェリンをマウスに投与した。ルシフェリンを生体内分布させるための10分の培養後、イソフルレンでマウスに麻酔をかけ、5分間、Xenogen IVIS200撮像システムを使用して撮像したところ(光の放出が捕捉された)、微小針投与部位に限局される明瞭な信号を示し、注射されたプラスミドの発現が実証された。
【0042】
(実施例2−装填済み微小針アレイの製造)
本発明の微小針アレイは、以下のように調製された。
【0043】
1)ポリビニルアルコール(PVA)(Spectrum Chemical、Gardena、CA)溶液は、24時間、80℃で、19グラムの乾燥PVAを81グラムの蒸留水(DI)中に溶解し、最初の12時間後、3時間毎に、濃厚な溶液を手動で撹拌することによって調製する。溶液は、その後の分注のための好適な容器(2つの50mLプラスチック製シリンジ等)に熱いまま移送され、使用に先立って、室温に冷却する。
【0044】
2)カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)(Spectrum Chemical、Gardena、CA)溶液は、24時間、2グラムのCMCを80℃で98グラムのDI中に溶解し、ホットプレート/磁気攪拌器上で継続的に撹拌することによって調製する。溶液は、ネジキャップ付きガラスジャーに移送され、使用前に室温に冷却する。
【0045】
3)以下の方法によって、25×75mm×1mm(厚さ)の通常の顕微鏡スライドを上述の略0.5グラムの2%CMC溶液でコーティングする。顕微鏡スライドの一方の短縁(25mm)を鉗子によって保持し、表面下略55mmまでCMC溶液中に浸漬し、20mmは、CMCによって湿潤されないままとする。スライドをCMC溶液から引き出し、へらまたは他の直刃を使用して、片側を削り落とす。次いで、削り落とされた側を、実験用雑巾または他の吸収性材料で拭き取り、乾燥させ、CMC溶液の大部分を除去し、略洗浄された底面と、CMC溶液でコーティングされた上面を残す。視覚的に乾燥するまで(略15分)、50℃の3m/秒の気流中、スライドを水平面上に載置した。CMC溶液は、表面全体に流動し、スライド上に略均一コーティングを生成するために十分な流体である。本方法によって生成された乾燥層は、針形成のために塗布されるその後のPVAコーティングの放出層として機能する。CMC膜の最終乾燥重量は、約0.01gであって、膜厚は、目視で、0.1mmよりも薄いと考えられる。
【0046】
4)上述のように、CMCで事前処理された顕微鏡スライドは、以下の方法によって、針を形成する準備として、PVAでコーティングされる。略0.75グラムの一定分量の19%PVA溶液をCMCで事前処置された顕微鏡スライドの一端に配置し、へらまたは類似の直刃を使用して、0.5mmの厚さに拡散させる。十分に均一な0.5mmの層厚は、スライド両側の2つの1.5mmのレールの使用によってもたらされる。下にある乾燥CMC層厚は、それに続くPVA層の厚さと比較して、明らかに無視できるほどであって、PVA層の適用厚に考慮しない。生成された層は、略40×25mm幅、および0.5mm厚である。
【0047】
5)上述のPVA溶液でコーティングされた顕微鏡スライドは、チャック内に搭載または挟持され、その移動を防止する。空気圧式アクチュエータ等の運動制御デバイスによって、少なくとも0.2mmの深さまで、剛性ピンのテンプレートをPVA溶液と接触させる。約35℃および1.0m/秒の熱風を基板およびピン全体に流動させ、約5秒間、ピンを乾燥膜内に残留させ、次いで、約5mm/秒の速度で1cm後退させる。後退途中の約半分の10秒後、50℃および2.0m/秒で、さらに気流を導入する。ピンを後退させる初期効果は、PVA溶液から糸状繊維を生成することである。ピンによって、基層からPVA溶液が引張されると、気流は、基層よりもさらに急速に薄繊維を乾燥させる。しかしながら、気流が途中で増加されると、繊維は、さらに急速に乾燥し、乾燥領域は、基層にさらに近接すると考えられ、より厚い繊維がもたらされる。驚くことに、上述の条件下、本より厚い繊維は、加熱された水蒸気によると考えられる孔隙を生み出し、ピンのその後の後退は、密閉された繊維ではなく、中空管の形成をもたらす。より強い加熱気流があまりに早く起こる場合、基膜は、急速に乾燥し過ぎ、PVA膜のシートは、個々の繊維ではなく、ガラススライドからの分離点まで引き離されさえする。より強い加熱気流が起こらない場合、中空繊維の形成は、確実に生じるわけではなく、中実形態が典型的な結果となる。針の形成は、均一性、温度、気流の速度に大きく影響され、これらは、再現性の所望の結果をもたらすために最適化されなければならない。ここで提供される値は、例示であって、任意の特定の装置は、これらのパラメータに若干の調節を必要とする場合がある。
【0048】
6)より強い加熱気流は、PVA基層が約0.1mmの厚さに乾燥され、液体ではなく、弾性中実体になるまで、約15分間、維持される。アレイは、好ましくは、25℃、約30−50%の湿度で、24時間、さらに乾燥され、次いで、カミソリ刃または類似の鋭利器具の使用によって、ガラス基板から分離される。CMC層は、本方法による容易な除去を可能にし、PVAがガラスにより恒久的に接合するのを防止する。
【0049】
7)上述のように調製された針のアレイは、カミソリ刃によって針をスライスすることによって、テンプレートピンアレイから分離される。テンプレートピンに近接して、針をスライスさせ、80℃の水に浸漬することによって、すぐに清浄され得る、最小PVA残渣をピンアレイ上に残すことは便宜的である。次いで、甘皮用ハサミ等の小型剪断用ハサミによって、針を手動でトリミングし、所望の長さおよび先端傾斜の針を生成する。初期24時間の25℃の乾燥時間後、針および支持材料は、容易に切断され、非常に可撓性であるが、弾性となる。さらに乾燥する前に針を切断する方が容易であるが、必須ではない。
【0050】
ステップ8−10は、元々の製造に含まれてもよく、または後に行なうことも可能である。
【0051】
8)針は、所望の有効荷重の溶液または有効荷重の任意の液体形態と針先端を接触させることによって、装填されてもよい。より低い粘性(エタノール等)1−100cSt溶液は、最も容易に装填されるが、また、最大約1000cStのより高い粘性の高分子水溶液も、本方法によって装填されてもよい。個々の針を装填する好ましい方法は、先端内への針の進入を可能にするが、PVA基層全体を湿潤させる溶液の表面張力の傾向を抑制し、ディスペンサからの有効荷重溶液の蒸発を妨害する、プラスチック製分注ピペット先端または類似物の使用である。針空間を伴って整合される間隔を置いて、離間された複数の先端の使用によって、複数の針を同時に装填可能である。
【0052】
9)装填後、針構造を形成するPVAマトリクスは、水和され、軟化する場合が多い。有効荷重材料を注入する際に使用するための針を調製するために、さらに乾燥を必要とする。本乾燥は、気流中の単なる加熱によって達成されてもよいが、高感度生体分子の劣化を防止するために、真空オーブンを使用することが有用である。典型的には、−20ポンド真空および50℃での12時間の乾燥は、注入のために有用な非常に剛性の針をもたらす。
【0053】
10)針内の有効荷重が、水溶液中に導入されると、切断された針の鋭利先端は、装填プロセス中に溶解される場合があり、最終乾燥形態は、初期鋭利先端の円唇化を示し得る。そのような場合、最終乾燥ステップ後、針先端を再トリミングし、新たに切断された縁を生成することが有用である。
【0054】
(実施例3−活性剤による中空微小針の装填)
実施例1または2の方法によって形成されるような中空微小針は、活性剤を装填可能である。そのような中空針を装填する方法は、水またはエタノール等の揮発性材料中の活性剤の溶液と針先端を瞬間的に接触させることである。先端が適切な液体の表面と触れると、液体は、毛細管作用によって、先端内に浸潤し、一定分量が、針先端のみに導入され得、活性剤の最も効率的使用をもたらし、アレイの非穿刺部分内の材料の浪費を回避すると考えられる。装填後、針は、約1時間、約100℃で焼成され、その剛性を増加させることが可能であって、角質層を通して、より深部の皮膚層内まで穿刺するために十分に剛性であると認められる。
【0055】
針が著しく水和されると、多くの場合、可撓性のゴム状態に軟化し、その基本形状および配向を留保するが、もはや皮膚を穿刺するには十分な剛性ではない。溶媒に対する曝露が長いほど、潜在的に、針を変形または溶解する可能性があるが、装填のために使用される低容量に対する短い曝露では、典型的には、そのような結果をもたらさない。装填後、針がゴム状である場合、皮膚穿刺のための十分な剛性および硬度をもたらすために、第2の脱水プロセスが必要とされる。概して、これは、約100℃での1時間の焼成を通して起こるが、乾燥剤、減圧、または任意の他のプロセスによる乾燥も、類似効果を達成するであろうと予期される。
【0056】
(実施例4−微小針の調製の際の使用のためのポリマーの識別)
50℃の5cfmの標準化気流を使用する繊維押出/引き伸ばし特性のために、非経口用途のための容認可能な種々のUSPポリマー材料の水溶液濃度(10−50重量%/容積または25℃での最大流動性)を調製した。繊維引き伸ばしの好適性は、少なくとも1cmの安定した再現性のある新生繊維構造を形成するポリマー溶液の能力によって判定することが可能である(種々のポリマーは、任意の条件下において、異なる作業速度を必要とすることが予測されるが、好適な候補材料は、この最小能力を呈するべきである)。試験されるポリマーは、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、グア−ガム、アカシアガム、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドンを含むが、それらに限定されず、すべて、Spectrum Chemical(Gardena、CA)から利用可能である。
【0057】
(実施例5−可能性のある溶液濃度の識別)
実施例3の溶液を試験し、どの溶液が最良の乾燥膜質を有するかを判定した。各溶液量をガラス基板上に形成し、25mm×75mmの面積上にlmmの膜厚を有する膜を形成することが可能である。次いで、1時間、90℃で焼成することによって膜を乾燥させ、乾燥膜表面の相対的な透水性指標である、気泡の形成を検査する。次いで、膜を冷却し、その後、ガラス基板からの除去の困難性、延性、脆性、および剛性に関して、冷却した膜を定性的に格付けする。5cmの非担持間隙に広がるほど不十分な剛性の膜を生成する任意の材料は、好適ではないとみなされ得る。また、標準的なハサミおよびカミソリ刃による剪断およびスライスカットに対する抵抗によって、膜を定性的に格付けし、作業抵抗および膜靱性の指標を提供する。
【0058】
(実施例6−膜の溶解試験)
実施例4で識別された膜を試験し、その溶解速度に関して、定量的に格付けする。10秒以内に完全に溶解する膜を生成する材料は、概して、望ましくない。時間対非剛性および時間対流動性は、注入後に予期される針溶液動態を予測するための可能性のある基準として、記録される。
【0059】
(実施例7−針形成のためのポリマー溶液の試験)
各溶液の膜は、実施例4におけるように調製され、テンプレート突出(縦8列×横31列の点)は、実施例3で識別される各材料に適切な引き伸ばし速度を使用して、50℃の50cfmの標準的気流内に接触され、引き抜かれる。得られたアレイは、基層断面積の約10%となる先端断面積を有する、直線の先細中空針を考慮した選好をもって、針寸法および形態に関して評価されるであろう。候補材料は、針アレイの質に基づいて選択され、他の材料と比較した溶解および剛性特徴と、作業容易性の主観的評価とによって、さらに条件付けされる。
【0060】
(実施例8−最適な針形成条件の識別)
1)50℃で50cfm、2)50°で100cfm、および3)80℃で50cfmを含む、いくつかの気流条件下、実施例6におけるように、針の引き伸ばしにおいて使用するために、20%、30%、40%、および50%(または、25℃での最大流動性)濃度の試験溶液を調製する。各気流条件下、最適な針形成のために必要とされる相対的引き伸ばし速度(5つの複製)が、観察および記録される。このデータは、大まかな処理濃度、温度、および気流時間枠を識別する。最大引き伸ばし速度を有する、良好な針特性を可能にする条件は、最適として選択されるであろう。
【0061】
(実施例9−最適な焼成前乾燥条件の識別)
実施例7で調製および試験される針アレイを試験し、最適な焼成前乾燥時間を同定する。引き伸ばし後、種々の時間の間、引き伸ばしプロセスと同一気流下、アレイを定位置で乾燥される。次いで、この気流下において、5、10、20、または40分の時点で、アレイを乾燥させ、ガラス基板から分離させる。最適な乾燥条件は、最良の基板除去特性に基づいて、識別されるであろう。
【0062】
(実施例10−装填済み微小針の最適な硬化条件の識別)
実施例8に記載されるような微小針アレイを3mm長に手動でトリミングし、縦8列の2セットはそれぞれ、0(平坦)、30、45、および60度の公称先端傾斜にトリミングされる。次いで、2%ゲンチアナバイオレット(Spectrum Chemicals)および5%蛍光色素(Spectrum Chemicals)の5μLエタノール溶液によって、針を装填する(約50nL/針)。5つのアレイ群を事前に計量し、30、40、50、60、または70分間、60℃または80℃の温度で焼成し、次いで、再び計量する。次いで、最短硬化時間で最大剛性をもたらすものとして識別される最適な条件によって、各セットの剛性について、針を定性的に評価する。剛性は、水分の損失と層間すると予測され、質量の変化によって、間接的に測定される。不十分に剛性であると観察される任意の針アレイは、最小必要剛性が達成されるまで、10分単位で、同一温度で再硬化される。硬化温度および持続時間は、真空の有無で比較される。
【0063】
(実施例11−針調製および活性剤送達試験)
実施例9に記載されるような針アレイアセンブリが、ヒトの皮膚外植片(インフォームドコンセントを得た非識別患者の腹壁形成術から得られた)に適用され、1−60分間、皮膚内に残留される。次いで、外植片(針アレイの有無を問わず)をOCT中で凍結し、Leica Jung Frigocut 2800E cryotomeを使用して、切片化する。次いで、核の可視化のためのDAPI染色剤とともに、Histomount(Sigma)を使用して、顕微鏡スライド上に切片を搭載する。明視野および蛍光顕微鏡(Zeiss AXIO Observer A.1)によって、針穿刺と、蛍光色素ならびにゲンチアナバイオレットの沈着について、切片を分析する。
【0064】
(実施例12−微小針を使用しての蛍光標識siRNAの送達)
微小針アレイは、実施例9における蛍光染料について記載されるような水中10mg/mLのsiGLO Red siRNA(Dharmacon #D001830−02)またはCy3標識K6a siRNAで装填される。装填された微小針アレイは、ヒトの皮膚に適用され、1−60分間、皮膚内に残留させられる。処理された外植片は、OCT中で凍結され、Leica Jung Frigocut 2800E cryotomeを使用して、切片化(7−10ミクロン)される。切片は、核の可視化のためのDAPI染色剤とともに、Histomount(Sigma)を使用して、顕微鏡スライド上に搭載される。DAPIおよびDsRedフィルタを備える、Zeiss Axio Observer A1蛍光顕微鏡を使用して、Cy3発現について、切片を分析する。
【0065】
(実施例13−ヒトの皮膚内への微小針の穿刺)
ゲンチアナバイオレット溶液が装填される経皮的送達デバイス内の微小針アレイは、新鮮なヒトの皮膚外植片(腹壁形成方法から得られた)に適用され、直ぐに、組織寒剤(OCT)内に載置され、−28℃に凍結された。針アレイの幾何学形状と略平行な角度で、試料を切片化し、複数の針を観察した(図3)。図3では、微小針アレイの経皮的送達デバイス裏当て材料は、OCTと皮膚試料との間の層として可視である。左の針本体は、横切断され、バイオレット溶液が、毛細管作用によって針シャフト内に吸引される様子を示す。図3の中央の針は、角質層および表皮の両方を穿刺しているように見え、針先端は、真皮と完全に接触している。第3の針は、右側に可視であって(断面外側)、類似深度まで穿刺していると考えられる。
【0066】
(実施例14−微小針アレイを使用してのマウス耳へのfLucの投与)
右耳は、50nL以下のfLuc発現プラスミド(PBS中10mg/mL)/針が装填された微小針アレイ経皮的送達デバイスによって「注射」された。左耳は、対照として作用するように、PBSのみが装填された微小針アレイ経皮的送達デバイスによって「注射」された。微小針は、20分間、耳内に挿入された。24時間後、ルシフェラーゼ発現が、Xenogen IVIS200生体内システムを使用して、動物全体を撮像することによって、IPルシフェリン注射後に判定された。図4は、マウス耳内のfLucレポータ遺伝子の発現を示す。
【0067】
(実施例15−合成先端微小針アレイの加工)
微小針アレイは、実施例1のものに類似する方法に従って加工されたが、ステップ番号7を省略し、それ以外は、ステップ番号8まで方法を行なったが、ステップ番号9まで継続しなかった。次いで、基板と平行な支持基板上に拡散されたゲンチアナバイオレット溶液の約500μm膜内に圧入するように、針先端のアレイ全体を配置することによって、2%水性カルボキシメチルセルロース中約0.1%ゲンチアナバイオレットの溶液に微小針を瞬間的に接触させた。針の引き伸ばしは、ゲンチアナバイオレット溶液の「針上により小さい針」を形成するように観察された。実施例1のステップ9におけるように乾燥後、これらの針は、実施例1の針に匹敵する鋭さおよび剛性であることが観察され、異なる先端溶解度特性を有することが予測されるであろう。上述の例示的ポリマーのいずれも、そのような合成先端を形成するために好適であると考えられ、使用条件下において、種々の溶解度挙動を示すことが予測される。
【0068】
(実施例16−微小針の製造)
ポリマーコーティングされた基板は、一連のピンと接触し、ピンは、約5秒間、ポリマーコーティング内に残留される一方で、熱風(35℃)が、約1.0m/秒の速度で、基板全体に流動させられる。次いで、ピンは、5mm/秒の速度で、約1cmの距離まで、基板から後退させられる。後退途中の約半分(約10秒)で、約50℃の温度および約2.0m/秒の速度を有するさらなる気流が導入される。
【0069】
上述の方法、製剤、および実験は、本発明の好ましい実施形態の例示にすぎないことを理解されたい。数多くの修正および代替の配列が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって企図されてもよく、添付の請求項は、そのような修正および配列を網羅するものとして意図される。
【0070】
したがって、本発明は、本発明の最も実践的かつ好ましい実施形態であると現在みなされるものと関連する特殊性および詳細とともに上述されたが、大きさ、材料、形状、形態、機能、ならびに操作、組み立て、および使用態様の変更を含むが、それらに限定されない、数多くの修正が、本明細書に記載の原則および概念から逸脱することなく成され得ることは、当業者には明白であるだろう。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の表面から突出する微小針を有するポリマー層を備え、該微小針は、該ポリマー基層と組成的に同質である、経皮的送達デバイス。
【請求項2】
前記微小針は、中空である、請求項1に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項3】
前記微小針は、活性剤を含有する、請求項2に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項4】
前記ポリマー層は、それの中に含まれる活性剤を有する、請求項1に記載の経皮的パッチデバイス。
【請求項5】
前記経皮的送達デバイスの前記微小針は、対象の皮膚表面内に残留させられることにより、前記ポリマー基層の除去後においてさえ、活性剤の持続的送達を提供するように構成される、請求項1に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項6】
前記ポリマーは、生分解性または生体吸収性のポリマーである、請求項5に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項7】
前記微小針は、約10μm乃至約10000μmの長さを有する、請求項1に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項8】
前記ポリマー基層は、裏当て層に接着される、請求項1に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項9】
前記経皮的送達デバイスは、経皮的パッチである、請求項1に記載の経皮的送達デバイス。
【請求項10】
微小針アレイを有する経皮的薬物送達デバイスを製造する方法であって、
基板を提供することと、
ポリマー溶液を該基板に塗布して、基層を形成することと、
該基層の露出表面に、自身から突出する隆起点を有するテクスチャー加工表面を配置することにより、該隆起点が該基層の該露出表面と接触することと、
該テクスチャー加工表面を該基層の該露出表面から引き離すことにより、該隆起点は、該基層の該露出表面から管状突出を引き伸ばすことと、
該管状突出を有する該基層を乾燥させることにより、微小針を形成することと、
該基層を切断することにより、該経皮的薬物送達デバイスを形成することと
を備える、方法。
【請求項11】
前記微小針は、中空である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記微小針は、前記基層の前記露出表面上において規則的に離間している、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥するステップは、引き離すことと同時に起こる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥するステップは、吹き込み、焼成、減圧への曝露、またはそれらの組み合わせのうちの1つを含むことが可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、前記経皮的薬物送達デバイス内に組み込まれない、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記基板は、裏当て層である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
活性剤が、前記ポリマー溶液内に含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記微小針に活性剤を含有する組成を装填することをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記活性剤を含有する前記組成は、前記基層内の前記ポリマーと異なるポリマーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記活性剤組成内に含まれる前記ポリマーは、前記微小針を構成する前記ポリマーと異なる溶解度特性を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記微小針は、活性剤組成による、それの装填後に、乾燥または焼成される、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
活性剤を経皮的に投与する方法であって、
ポリマー基層を有する経皮的パッチデバイスに、その表面から突出する微小針を提供することであって、該微小針は、該ポリマー基層と組成的に同質であって、該経皮的パッチデバイスは、活性剤を含有する、ことと、
該経皮的パッチを対象の皮膚表面に適用することと
を含む、方法。
【請求項23】
前記(単数また複数の)活性剤の前記送達は、持続的期間にわたって送達される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記経皮的パッチデバイスの前記ポリマー基層は、前記微小針を該皮膚表面内に埋め込んだままにしつつ、前記対象の皮膚表面から除去される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記微小針は、前記ポリマー基層が前記対象の皮膚表面から除去された後も、前記活性剤を継続して送達する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記微小針は、中空である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
活性剤が、前記微小針内に含まれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
活性剤が、前記ポリマー基層内に含まれる、請求項22に記載の方法。

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A−F】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公表番号】特表2010−535591(P2010−535591A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520282(P2010−520282)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/072349
【国際公開番号】WO2009/021048
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510034812)トランスダーム, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】