説明

ポリマ封入粒子

質量スペクトル解析のための試料を放出する、および/またはクロマトグラフィー用途において固定相として機能するのに有用な、エミッタ、組成物、ならびにエミッタおよび組成物を作製するための過程および方法を記載する。本発明による組成物は、ポリマにより封入された粒子を含むことができ、そのため、閉塞されていないチャネルが形成され、粒子は実質的に被覆されず、試料と接触することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般的には、試料を変化させることができ、質量分析による分析に有用な放出端からの帯電粒子プルームを生成する改良組成物に関し、より詳細には、本発明は、そのプルームを生成することができるポリマ内に封入された(entrapped)粒子、組成物の製造方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロテオミクス研究は、疾患状態を診断する生物学的マーカーを明らかにする、ならびに治療的に重要なタンパク質を同定することが期待されるために、ポストゲノム研究の非常に活動的な領域となりつつある。発見のこの大きな可能性のために、多くのものが、高いスループットでこれらの標的タンパク質を同定するのを容易にする新規技術を開発するように刺激されている。質量分析は、タンパク質の同定を可能にするのに十分な精度でタンパク質の分子量を決定することができるので、タンパク質研究のための重要な分析ツールとなっている。さらに、質量分析は、無傷タンパク質またはその消化断片に対するその後の衝突誘導解離(CID)実験によりタンパク質の一次構造を決定する能力を有している[(a)Cristoni, S.;Bernardi, L.R.;Mass Spec. Rev. 2003, 22, 369-406.(非特許文献1)(b)Lill, J. Mass Spec. Rev. 2003, 22, 182-194.(非特許文献2)(c)Mann, M.;Hendrickson, R.C.;Pandey, A. Annu. Rev. Biochem. 2001, 70, 437-473.(非特許文献3)(d)Yates, J. R. J. Mass Spec. 1998, 33, 1-19.(非特許文献4)]。
【0003】
タンパク質またはペプチド試料から質量スペクトル情報を収集するために、対象の分析物はガス相で質量分析器に入らなければならない。エレクトロスプレイイオン化は、液体試料中の高電荷の不揮発性化合物の大気圧イオン化からのガス相イオンの生成を促進する技術を提供する。例えば、陽イオンモードでの、強い電場下でのキャピラリーまたはマイクロ流体装置中の溶液は、装置の端に位置する液体表面で正電荷を蓄積させる。この点で、装置の端から離れる溶液は、球から楕円への変化を受け、最終的には、小滴を放出するTayler錐体を形成する。この点は、溶液がレイリー限界と呼ばれるものに到達すると起きる。これらのより小さな液滴はその後、脱溶媒和および分割を受け、最終的に質量分析計に入るガス相イオンが生成されるまでさらに小さな液滴となる。エレクトロスプレイ過程の効率に依存する、好感度検出法は、形成され、検出器に到達するガス相イオンの量を最大化する。
【0004】
マイクロエレクトロスプレイ(マイクロスプレイ)およびナノエレクトロスプレイ(ナノスプレイ)質量分析などのエレクトロスプレイ技術は、小さな内径(2〜10μm)を有する噴霧先端が形成されるように製造された、または引っ張られたキャピラリーを通る非常に低い流速での試料の通過を含む。マイクロスプレイのためには約100nL/分〜1μL/分の流速が一般に使用され、ナノスプレイのためには<100nL/分の流速が一般に使用される。
【0005】
ナノスプレイの出現で、非常に小さな試料サイズからペプチドおよびタンパク質などの分子についての質量スペクトル情報が得られるようになり、検出限界が低いフェムトモルおよびアトモルレベルまで増強した[(a)Wilm, M.;Mann, M. Anal. Chem. 1996, 68, 1-8.(非特許文献5)(b)Davis, M. T.;Stahl, D.C.;Hefta, S.A.;Lee, T.D. Anal. Chem. 1995, 67, 4549-4556. (非特許文献6)(c)Valaskovic, G.A.;Kelleher, N.L.;Little, D.P.;Aaserud, D.J.;McLafferty, F. W. Anal. Chem. 1995, 67, 3802-3805(非特許文献7)]。
【0006】
質量分析は、機器の感度および構造情報を収集する能力のために、プロテオミクス研究において分析ツールとして主導権を握っているが、分析するいくつかの試料の複雑さのために、分析前に大規模な精製が必要である。薬物開発過程から借りると[(a)Hopfgartner, G.;Bourgogne, E. Mass Spec. Rev. 2003, 22, 195-214.(非特許文献8)(b)Strege, M. A. J. Chromatogr. B 1999, 725, 67-78(非特許文献9)]、高スループットタンパク質分析における研究は、自動分離技術、例えばナノ液体クロマトグラフィーを結合させた質量分析(ナノLC-MS)に依存している[Berger, S.J.;Lee, S.;Anderson, G.A.;Pasa-Tolic, L.;Tolic、N.;Shen, Y.;Zhao, R.;Smith, R. D. Anal. Chem.2002, 74, 4994-5000(非特許文献10)]およびキャピラリー電気泳動を結合させた質量分析(CE-MS)[Zhang, B.;Foret, F.;Karger, B. Anal. Chem. 2001, 73, 2675-2681(非特許文献11)]。
【0007】
液体クロマトグラフィー(LC)は伝統的に、低μm範囲の直径を有するしっかりと詰め込まれた粒子で充填された分離カラムを使用する。小さな粒子は大きな表面積を提供し、これは、化学的に修飾することができ、固定相を形成する。移動相と呼ばれる、液体溶媒または溶離液はカラムを通して、粒子サイズおよびカラム寸法に基づく最適流速でポンピングされる。カラムに注入された試料の分析物は充填粒子により形成されたカラムを通って流れる。粒子は異なる時間の間、移動相に対し固定相と相互作用し、その結果、分析物は異なる時間で別々にカラムから溶離される。
【0008】
キャピラリー電気泳動(CE)は、分子の電気泳動性質および/または小さなキャピラリーチューブ中の液体の電気浸透流を使用して、液体試料内の分析物を分離する技術である。キャピラリーチューブには緩衝液が充填され、それを横切るように電圧が印加される。一般にイオンを分離するために使用され、イオンは、サイズおよび電荷に依存して、電圧が印加されると、異なる速度で移動する。
【0009】
ナノLCおよびCEのMSとの結合は、主に、ナノキャピラリーと呼ばれることもある、引き抜き(pulled)融解シリカキャピラリー(先端内径、2〜10μm)を用いて実施されており、エレクトロスプレイイオン化(ESI)イオンプルームが効果的に形成される。引き抜きキャピラリーの主な利点は、キャピラリーの端のより小さな開口で小さな液滴が生成されることである。これらのより小さな液滴はより大きな表面対体積比を有し、これにより、より効率のよいイオン化過程が生成される。さらに、キャピラリーの先端のかなり小さな親水性表面により表面の濡れ性が減少し、安定したエレクトロスプレイを生成するのに必要とされる電圧が減少する。しかしながら、引き抜きシリカキャピラリーは詰まる傾向が強く、再現性よく作製することが困難であり、数μl/分よりも高い流速を必要とする分離技術に結合させる場合、有用ではない。
【0010】
マイクロチップ技術(時として、ラブ・オン・ア・チップ技術と呼ばれる)は、分析前の多くの退屈なタンパク質精製および前処理段階の自動化が可能な点で有望である。この技術は通常、精製タンパク質の光学検出に限定され、構造情報は得られず、典型的には光学検出器に結合されたマイクロチップを含む。マイクロチップ上の成分は、装置の1つの部分から、電気浸透流(EOF)により別の部分に移動され、その後、検出器を通る。そのようなマイクロチップの引き抜きキャピラリーとの結合は、試料精製および、質量分析によるタンパク質またはペプチド試料の分析を自動化するために使用することができる装置を作成するために試みられている。しかし、これらの第1世代装置は、上記キャピラリー自体の固有問題、およびキャピラリーのチップとの結合は、死容積が0である接合部を形成するために正確でなければならないという事実を含む欠点を有している。そのような死容積は、装置の分離効率およびその後の試料の分析感度に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、キャピラリーのマイクロチップまたは同様の装置への結合は、いずれの次世代作製過程においても費用のかかる部分となると考えられる。
【0011】
マイクロチップの端へ固定されるキャピラリーの代替案は、その端から直接精製試料を噴霧する能力を有するマイクロチップである。これは、ガラスマイクロチップを用いて試みられているが、ナノスプレイキャピラリーに比べマイクロチップの出口チャネルの内径が大きいため、およびガラスの親水性のため、成功が限られている。マイクロチップ中に直接作製されたナノスプレイノズルを有する装置が作製されているが、これらの装置は、製造が困難であり、ナノスプレイキャピラリーが閉塞する可能性があるため、広く使用されていない。
【0012】
近年、高い多孔性を有する高架橋ポリマーである、剛性多孔質ポリマモノリス(PPM)が、LCおよびCE用途の両方のための固定相として大きな可能性を示している。PPMは一般に、カラム中の粒子の代わりに使用される。PPM全体に内在する細孔はチャネルを形成し、それを通って試料が流れる可能性がある。試料はカラムの一端に入れられ、溶離溶媒により、カラムを通ってチャネルを介して溶離される。試料の異なる成分は化学的にPPMと、溶離溶媒に対し異なる時間の長さで相互作用する可能性があり、これにより、いくつかの成分が分離される。分離された成分はカラムの他端(溶離端)で、異なる時間にカラムから溶離される。これらのシステムのためのPPMを使用することは、固定相の物理的特性を変更することができることおよびこれらのモノリスが容易に調製できることのために、魅力的である。変動する可能性のある1つのそのような特性はPPM内の細孔サイズであり、注型溶媒の特性次第で、直径が0.5〜1.5μMで変動することが示されている[Peters E. C.;Petro, M;Svec, F.;Frechet, J. M. Anal Chem., 1998, 70, 2288-2295(非特許文献12)]。
【0013】
そのようなカラムの溶離端でPPMにより規定される細孔のサイズは、ナノスプレイエミッタとして有用であることが示されている。試料を適した流速で溶離する場合、ナノスプレイ質量分析による分析に適した試料のプルームが生成される。多孔質ポリマモノリスを用いて調製されるナノスプレイエミッタは、様々な流速でESIを生成するためによく機能することが示されている(Koerner, T.;Turck, K.;Brown, L.;Oleschuk, R.D.;Anal. Chem. 2004, 76, 6456-6460(非特許文献13)、参照により本明細書に組み入れられる)。しかしながら、PPM充填キャピラリーはある溶媒組成物試料、例えば水性試料の噴霧には理想的ではない。
【0014】
固定相としてのPPMの使用は、(i)試料の成分と相互作用するのに有効なPPMの表面積はかなり低いことが示されている、および(ii)化学的に修飾することができないことを含む化学的/物理的観点から欠点がある。
【0015】
【非特許文献1】Cristoni, S.;Bernardi, L.R.;Mass Spec. Rev. 2003, 22, 369-406.
【非特許文献2】Lill, J. Mass Spec. Rev. 2003, 22, 182-194.
【非特許文献3】Mann, M.;Hendrickson, R.C.;Pandey, A. Annu. Rev. Biochem. 2001, 70, 437-473.
【非特許文献4】Yates, J. R. J. Mass Spec. 1998, 33, 1-19.
【非特許文献5】Wilm, M.;Mann, M. Anal. Chem. 1996, 68, 1-8.
【非特許文献6】Davis, M. T.;Stahl, D.C.;Hefta, S.A.;Lee, T.D. Anal. Chem. 1995, 67, 4549-4556.
【非特許文献7】Valaskovic, G.A.;Kelleher, N.L.;Little, D.P.;Aaserud, D.J.;McLafferty, F. W. Anal. Chem. 1995, 67, 3802-3805
【非特許文献8】Hopfgartner, G.;Bourgogne, E. Mass Spec. Rev. 2003, 22, 195-214.
【非特許文献9】Strege, M. A. J. Chromatogr. B 1999, 725, 67-78
【非特許文献10】Berger, S.J.;Lee, S.;Anderson, G.A.;Pasa-Tolic, L.;Tolic、N.;Shen, Y.;Zhao, R.;Smith, R. D. Anal. Chem.2002, 74, 4994-5000
【非特許文献11】Zhang, B.;Foret, F.;Karger, B. Anal. Chem. 2001, 73, 2675-2681
【非特許文献12】Peters E. C.;Petro, M;Svec, F.;Frechet, J. M. Anal Chem., 1998, 70, 2288-2295
【非特許文献13】Koerner, T.;Turck, K.;Brown, L.;Oleschuk, R.D.;Anal. Chem. 2004, 76, 6456-6460
【発明の開示】
【0016】
発明の概要
本発明は、例えば、質量スペクトル解析のために試料を放出し、および/またはクロマトグラフィー用途において固定相として作用するのに有用なエミッタ、組成物、ならびにエミッタおよび組成物を製造するための過程および方法を提供する。本発明による組成物は、ポリマ材料により封入された粒子を含むことができ、そのため、閉塞されないチャネルが形成され、粒子は実質的に被覆されておらず、試料と相互作用することができる。
【0017】
本発明の1つの局面によれば、ポリマ材料により実質的に閉塞されない複数のチャネルを集合的に形成する複数の粒子と、隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料と、を備えるエミッタが提供される。ポリマ材料は多孔質ポリマモノリスまたは実質的に非多孔質のマトリクスを形成してもよい。ポリマ材料は、ポリオレフィン、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、またはそれらの混合物としてもよい。
【0018】
本発明の別の局面によれば、集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料を含み、チャネルはポリマ材料により実質的に閉塞されない組成物が提供される。ポリマー材料は多孔質ポリマモノリスまたは実質的に非多孔質のマトリクスを形成してもよい。ポリマ材料は、ポリオレフィン、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、またはそれらの混合物としてもよい。
【0019】
本発明の特に好ましい態様では、相当量の粒子の表面積がポリマーにより被覆されず、試料と相互作用することができる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、粒子は、無機酸化物、金属酸化物、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、化学的に結合された無機酸化物、化学的に結合された金属酸化物、オルガノシロキサン結合相、ヒドロシラン処理/ヒドロシル化結合相、ポリマコート無機酸化物、多孔質ポリマ、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、およびスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。粒子は金属酸化物コートされてもよい。金属酸化物粒子はポリオレフィン、例えばポリスチレンを含んでもよい。これらの粒子はペプシン酵素でコートされてもよい。これらの粒子は磁性、例えば常磁性であってもよい。
【0021】
本発明の別の態様によれば、粒子は多孔質であってもよく、非多孔質であってもよい。粒子は、約100〜約300Åの範囲、300Åを超える、または100Å未満の直径を有する細孔を有してもよい。
【0022】
本発明の別の局面によれば、粒子は約0.1μm〜約1000μmの範囲の直径、または約0.3μm〜約600μmの範囲の直径、または約0.5μm〜約300μmの範囲の直径、または約0.2μm〜約30μmの範囲の直径を有してもよい。
【0023】
本発明の別の態様によれば、チャネルは約0.5μm〜約10μmの範囲の直径、または約1.0μm〜約5.0μmの範囲の直径を有する。
【0024】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの粒子の表面は、チャネルを通って流れる試料の少なくとも1つの成分と相互作用するのに適している。
【0025】
本発明の別の局面によれば、エミッタまたは組成物はさらに、複数の粒子を含むための容器を備える。容器はキャピラリーであってもよい。内径は約0.2〜約1000μm、または約30〜約500μm、または約50〜約250μm、または約1〜約100μmであってもよい。
【0026】
本発明の別の局面によれば、ポリマ材料により実質的に閉塞されず、質量分析による分析に適した試料が提供する複数のチャネルを集合的に形成する複数の粒子と、隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料と、を備えるエミッタの使用が提供される。質量分析はマイクロエレクトロスプレイまたはナノエレクトロスプレイ質量分析であってもよい。
【0027】
本発明の別の局面によれば、集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、を含み、チャネルはポリマ材料により実質的に閉塞されず、質量分析による分析に適した試料が提供される複合物の使用が提供される。
【0028】
本発明の別の局面によれば、集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、を含み、チャネルは試料の成分を分離するためのポリマ材料により実質的に閉塞されない、組成物の使用が提供される。
【0029】
本発明の別の局面によれば、集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、を含み、チャネルはポリマ材料により実質的に閉塞されない、組成物を製造するための方法が提供され、方法は、(a)粒子、モノマー、および光開始剤を、少なくとも部分的に光を透過させる格納容器に導入する工程、および(b)格納容器を光に曝露する工程を含む。格納溶器は、組成物が紫外線に露出(accessible)できる少なくとも1つのセクション、および組成物が紫外線から保護される少なくとも1つのセクションを含んでもよい。
【0030】
本発明の別の局面によれば、本発明の方法により作製した生成物が提供される。
【0031】
本発明について添付の図面において説明する。これらの図面は例示であり、制限するものではなく、図面において引用数字は同様のまたは対応する部品を示すものとする。
【0032】
好ましい態様の詳細な説明
本発明の組成物はポリマ材料中に封入された粒子を含む。複数の封入粒子は集合的に複数のチャネルを形成する。ポリマ材料は接着剤として作用し、隣接する粒子の少なくとも一部の間で配置され、粒子を互いに、実質的に固定させる。ポリマは実質的にチャネルをブロックせず、チャネルがポリマにより実質的に閉塞されないようにする。この組成物では、相当量の粒子表面積がポリマにより被覆されず、試料と相互作用することができる。
【0033】
本発明の組成物は、光開始過程により都合よく製造される。粒子を、下記に記載するように、容器に入れ、モノマー、架橋剤および光開始剤を含む溶液を添加する。容器は少なくとも部分的に、紫外線(U.V.光)を透過させる材料から製造される。本発明の組成物が所望される格納容器の部分はU.V.光に露出できるようになっており、他のセクションはU.V.光から保護されている。本明細書で開示されている方法は、粒子の実質的に制限された表面被覆を提供し、粒子機能が最大とされる。下記に例示されているそのような過程により、本発明の組成物が製造される。
【0034】
本発明の組成物は、ナノスプレイおよびマイクロスプレイを含むエレクトロスプレイ質量分析のためのエミッタとして有用である。そのような分析のために適したイオンプルームを、下記方法により組成物の表面から製造させることができる。
【0035】
本発明の組成物はまた、マイクロ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、およびキャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)などのクロマトグラフィー手順のための固定相として有用である。他の用途としては、予備濃縮および試料浄化を含む固相抽出、固相合成/触媒/分析前の試料誘導、試料の触媒消化のための触媒固定(例えば、PtおよびPd球またはコート粒子)、酵素反応器ベッド(例えば、トリプシン固定球)、およびアフィニティ分離(抗体-抗原、タンパク質-アフィニティカラム)が挙げられる。本発明の組成物で使用される粒子は、所望の化学および/または物理特性に基づいて選択してもよい。固定相はまた、ナノスプレイまたはマイクロスプレイエミッタとして使用してもよく、または組成物は成分の分析のための別の放出装置に結合させてもよい。また、溶離した化合物は別個に分析される。
【0036】
本発明の組成物は、ガラスキャピラリーまたはマイクロチップなどの様々な容器と共に使用してもよい。
【0037】
キャピラリーなどの容器は、約0.2〜約1000μmの範囲、より好ましくは約30〜約500μmの範囲、さらに好ましくは約50〜約250μmの範囲の内径を有してもよい。容器は、約1〜約100μmの範囲の内径を有してもよい。
【0038】
特注容器もまた本発明の範囲内にあり、この場合、異なる化学およびまたは物理特性を有する粒子を1つの格納容器内で、別個のセクションで、もしくは互いに散在させて使用する。
【0039】
本発明の組成物はまた、コンビナトリアル合成または合理的合成を含むフロースルーペプチド合成、またはタンパク質酵素消化のために使用してもよい。この使用は、エレクトロスプレイを介する、組成物のチャネルから放出される生成物のその後の分析を含んでもよい。
【0040】
本明細書で開示した方法により、他の方法では一般に実施することができない、特定の領域の特別な粒子のパターニングが可能となる。粒子の封入と関連する方法はまた、一般に、他の封入法に比べ、より短い時間で完了する(ポリマでは数時間〜ゾルゲルでは数日)。ゾルゲル法は乾燥過程で砕け、材料中に空間が生じる可能性がある。本発明の方法は小さなおよび大きなキャピラリーの両方に適しているが、キャピラリーが大きいほど、ゾルゲルカプセル化において予測できない結果を示す傾向がある。本発明の方法はまた、様々な異なる粒子の封入を可能とする広範囲の重合条件の使用を提供する。
【0041】
方法および装置はスケールアップ手順に適している。例えば、多くの容器に一度に、粒子および重合混合物を入れてもよい。
【0042】
以下、図1について説明すると、本発明の1つの態様によるエレクトロスプレイ質量分析システムを概して20で示す。エレクトロスプレイ質量分析システム20は質量分析計50およびエレクトロスプレイエミッタ30を備える。質量分析計50はさらに、試料イオンが入る試料オリフィス40を備える。エレクトロスプレイエミッタ30は液絡部35に取り付けられ、そこを通って、試料および/または溶媒が送達される。エレクトロスプレイエミッタ30はさらに、放出端60を備え、そこから、試料のエレクトロスプレイが放出される。エレクトロスプレイ質量分析システム20はさらに、エレクトロスプレイエミッタ30が載置されるx、y、zステージ80、および放出端60を試料オリフィス40に整合させるのに使用されるC.C.Dカメラ90を備える。1を越えるカメラを使用してもよい。放出端60と試料オリフィス40との間の距離は約0.2〜約8.0mmの範囲内、より好ましくは約1.0〜約6.5mmの範囲内、および最も好ましくは約2.0〜約5.0mmの範囲内にあるべきである。
【0043】
動作中、噴霧電圧は約0.5〜約4kVの範囲、より好ましくは約0.6〜約3kVの範囲、および最も好ましくは約0.7〜約2kVの範囲としてもよい。エミッタへの電圧およびシステムに印加する電圧は同じであり、液絡部を介して供給される。
【0044】
以下、図2について説明すると、図1の図IIの液絡部35の断面図をより詳細に示している。液絡部35は接続部33を介して溶液移動ライン41に接続されることが示されている。溶液移動ライン41はさらに、シリンジポンプ(図示せず)またはエミッタ30まで溶媒を移動させるための他のポンプに接続させてもよい。液絡部35はまたは、接続部38を介して電極39に接続されることが示されている。液絡部35は好ましくは、エレクトロスプレイ電圧の印加を可能にする金属製である。電極39は電気接続を供給し、さらに電源(図示せず)に接続される。液絡部35はまた、接続部37を介してエミッタ30に接続されることが示されている。試料は溶液移動ライン41を通してエミッタ30中にローディングしてもよい。
【0045】
本発明のエレクトロスプレイエミッタを使用すると、成分濃度がフェムトモルまたはアトモル範囲内であってさえも、試料成分を検出することができる。
【0046】
以下、図3について説明すると、図2で識別されたエレクトロスプレイエミッタ30のセクションIIIを示す。エレクトロスプレイエミッタ30は、封入粒子32を含む容器70をさらに備えることが示されている。容器70はチャネル72を備え、放出端60に封入粒子32が充填されていることが示されている。封入粒子32は用途によって、チャネル72全てを満たすことができる。粒子は下記重合過程によりポリママトリクスにより封入される。封入粒子は試料ローディング表面34および放出表面36を有する。ペプチドおよび/またはタンパク質などの成分を含む試料を、当技術分野において公知の様々な方法、例えばシリンジポンプまたは他のポンプにより液絡部35を介して、チャネル72を通して、試料ローディング表面34に移動させることができる。エレクトロスプレイエミッタ30は必ずしも試料を変化させる(すなわち、試料の成分の相対濃度を変化させる)ために使用されるわけではない。試料は、受理されたまま放出されてもよく、および/または、当技術分野で公知の方法により、高速または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ナノ液体クロマトグラフィー(ナノLC)、またはキャピラリー電気泳動(CE)から直接来てもよい。
【0047】
試料溶液体積は変動するが、約50〜約5000nLの範囲、より好ましくは約100〜約3000nLの範囲、最も好ましくは約200〜約1000nLの範囲である。試料溶液中の成分は約1.0×10-18M〜約1.0×10-2M、より好ましくは1.0×10-16M〜約1.0×10-4M、最も好ましくは1.0×10-15M〜約1.0×10-6Mの濃度としてもよい。ローディング流速は約200〜約5000nL/分の範囲とすることができる。
【0048】
試料は、シリンジポンプ、HPLCポンプまたはナノLCポンプなどの供給源から提供される流体力により試料ローディング表面34から放出表面36まで流れる。電気浸透流(EOF)実験の場合、溶液の電気浸透流から流れが生じる。
【0049】
本発明の適した流速には、約10〜約10000nL/分の範囲、より好ましくは約50〜約1500nL/分の範囲、最も好ましくは約200〜約1000nL/分の範囲の速度が含まれる。
【0050】
本発明の封入粒子32に印加される圧力としては、約20〜約8000psiの範囲、より好ましくは約100〜約4000psiの範囲、最も好ましくは約300〜約1500psiの範囲の圧力が含まれる。
【0051】
溶液を封入粒子を通してポンピングするのに使用する圧力量は、組成物を通る経路長、すなわち、試料が通過する封入粒子の量に比例する。一般的には、経路が長いほど、圧力が高い。
【0052】
放出端60の適した内径および外径には、約100〜約5000μmの範囲の外径および約5〜約2500μmの範囲の内径が含まれ、より好ましくは、外径が約100〜約3000μmの範囲であり、および内径が約20〜約100μmの範囲のであり、最も好ましくは外径が約150〜約360μmの範囲であり、および内径が約30〜約75μmの範囲である。放出表面36の表面積は、キャピラリーの内径内の全域に及ぶ。
【0053】
本明細書で使用されるように、「粒子」という用語は球、例えば、微小球または任意のサイズの球、ビーズ、立方体、および概長方形または不規則形状の他の3次元構造、などを示し、一般に、市販されているが、使用する前に改良してもよい。粒子は、金属酸化物、例えば、酸化鉄、無機酸化物、シリカ、アルミナ、チタニアおよびジルコニア、化学的に結合された無機酸化物、例えば有機シロキサン結合相、ヒドロシラン処理/ヒドロシル化結合相、ポリマコート無機酸化物または金属酸化物、多孔質ポリマ、例えばスチレン-ジビニルベンゼンコポリマー、ポリオレフィン、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、およびポリスチレンなどの材料基材を含んでもよい。粒子は、例えば、オクタデシルシラン(ODS)粒子、アガロースビーズ、フッ素化ビーズ、およびシリカ系粒子を含んでもよい。粒子は多孔性、メソ多孔性、もしくは非多孔性、またはそれらの組み合わせであってもよい。多孔性またはメソ多孔性粒子は、直径約100Å未満、直径約100〜約300Å、もしくは直径が約300Åを越える、またはそれらの組み合わせの細孔を有してもよい。
【0054】
粒子は任意で、粒子に所望の化学的特性、例えば親和性を付与する置換基を有してもよく、そのため、粒子はクロマトグラフィーに適している。置換基としては、例えば、ケトン基、アルデヒド基、カルボキシル基、例えば、カルボン酸、エステル、アミド、および酸ハロゲン化物基、クロロメチル基、シアヌル基、ポリグルタルアルデヒド基、エポキシド基、チオール基、アミン基、シラノール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、リン酸基、および/または非置換もしくは置換脂肪族もしくは芳香族炭化水素が挙げられる。例えば、逆相クロマトグラフィーでは、アルキル、フルオロアルキルおよびフェニル結合材料を添加してもよく;イオン交換クロマトグラフィーでは、スルホン酸、カルボン酸、四級アミン結合または他の材料を添加してもよく;サイズ排除クロマトグラフィーでは、グリセロール結合材料、多糖およびポリデキストランゲルを添加してもよく;アフィニティクロマトグラフィーでは、酵素、抗体、レクチン、および金属イオン固定材料を添加してもよい。例えば、粒子は、ヒスチジン基を有する分子を引きつけるようにニッケルを、またはグリコシル化部位を有するタンパク質を引きつけるようにレクチンを含んでもよい。
【0055】
粒子は、クロマトグラフィーに適すように、化学的におよび/または物理的に修飾されてもよい。粒子がすでに、クロマトグラフィーに対し所望の化学的および/または物理的特性を有する場合、粒子を修飾せずに使用してもよい。
【0056】
同じ粒子により、異なる条件、例えば異なる溶媒条件において異なる特性が証明される可能性がある。
【0057】
粒子は磁性材料、例えば常磁性材料を含むことができ、そのため、光開始工程前に粒子を容器内に配置するのに磁石を使用することができる。この用途または他の用途に適した粒子としては金属酸化物コートポリオレフィン粒子、例えば酸化鉄-ポリスチレンまたは磁鉄鉱-ポリスチレン粒子が挙げられる。
【0058】
磁性粒子を含む粒子は、例えばペプシンでコートしてもよく、例えば、PMPE-4(常磁性ペプシンコート粒子、4μm、Kisker Biotech、Steinfurt、Germany)である。粒子はまた、例えば、アビジン、ストレプタビジン、アルブミン抗体、例えばヤギ抗マウスIgG、パパイン、タンパク質A、タンパク質G、PEG-COOH、またはPEG-NH2基などの基でコートしてもよい(そのような磁性粒子は全て、例えば、Kisker Biotech、Steinfurt、Germanyから入手可能)。
【0059】
本発明の1つの態様では、封入粒子を使用してタンパク質を消化することができる。この態様では、材料は、タンパク質を消化するのに使用される試薬、例えば、酵素、およびトリプシンなどの適した緩衝液に対し安定でなければならない。
【0060】
粒子直径は約0.1〜約1000μmの範囲、より好ましくは約0.3〜約600μmの範囲、最も好ましくは約0.5〜約300μmの範囲としてもよい。特定用途に対してはより大きな粒子が考えられる可能性がある。
【0061】
ペプチド合成および/またはコンビナトリアル合成のために有用な粒子を本発明の別の態様に適用できることも企図される。この場合、ペプチド合成および/またはコンビナトリアル合成のための粒子を、容器、例えばカラムまたはキャピラリーに封入することができ、そのためフロースルー合成を実施することができる。様々な活性種が粒子および/または溶液の一部に付着し、例えば求核アミノ酸または活性エステルを有するアミノ酸である。また、あるいはさらに、溶液は連続合成用途では触媒層を通過することができる。そのような過程はまた、小分子合成またはポリヌクレオチド合成などの合成に適合させることができることは理解されると思われる。
【0062】
封入粒子32は、化学的および/または物理的に注入試料成分と相互作用することにより機能することができる。そのような相互作用により、注入表面34から放出表面36まで注入した試料の成分の相対組成および/または特性が変化する可能性がある。
【0063】
粒子の表面化学は、「オフライン」で実施することができ、その後、装置またはキャピラリーに組み入れることができる。試料成分との起こりうる相互作用は、粒子が例えば、炭素18(C18)で官能化されている場合疎水相互作用、粒子が例えば、スルホン酸で官能化されている場合、親水および/または静電相互作用を含む。他の相互作用としては、粒子が、試料内の様々なサイズの成分と相互作用する様々なサイズの空洞または細孔を含み、サイズに基づき成分を分離する、サイズ排除相互作用が挙げられる。
【0064】
封入粒子32は、化学的または物理的に試料と全く相互作用する必要がなく、マイクロスプレイまたはナノスプレイとして試料を放出するための適したチャネルおよび/または細孔を提供するものとして機能するだけであってもよい(下記でさらに記載する)。
【0065】
エレクトロスプレイエミッタ30は容器70を備え、この容器は本発明による粒子の封入に適したキャピラリーであってもよい。別の適した格納容器としては、下記のようなマイクロチップの一部が挙げられる。ガラス、例えば溶融シリカキャピラリーが好ましい。市販の容器を受理したまま使用してもよく、またはレーザを用いて、または手作業で、ミクロトーチを用いて引っ張りそのサイズまたは形状を変化させるなどの技術により改良してもよい。十分な導電性のために、容器を導電性材料、例えば、金でスパッタコートしてもよく、または、薄い金属ワイヤをナノスプレイ質量分析システム20の動作中にキャピラリーに挿入してもよい。容器は、重合過程(下記)を誘導することができるようにU.V.光を通過させることができる材料で作製されるべきである。容器はガラス、例えば溶融シリカ、およびプラスチック、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネートなどを含む材料で作製してもよい。
【0066】
組成物は、例えば、装置内の空隙、例えば微小デバイス内の空隙を含む任意の容器内で形成させてもよい。空隙は、例えば、立方空隙を含む任意の形状としてもよい。そのような組成物は原位置反応のために使用することができる。例えば、トリプシン酵素コート粒子を含む本発明の組成物は、微小デバイスの表面上の空隙またはリザーバ内で作製してもよい。この場合、空隙またはリザーバを消化ベッドとして使用してもよい。組成物は、粒子を空隙に入れ、その後、重合混合物と混合することにより作製してもよい。粒子が、重力または遠心力により、空隙の底に沈むと直ちに、組成物を光開始により形成させてもよい。そのような反応では、重合混合物と反応することができる酸素量を最小限に抑えることが望ましい。酸素曝露を最小に抑える1つの方法は、使用する前に溶媒を脱ガスすることである。固定組成物をその後、相当量の消化生成物が溶液に残るまで、適した量のタンパク質溶液に適した時間、曝露させることができる。消化産物を有する溶液をその後、当技術分野で公知の手段、例えばデカンテーションまたは吸引により除去してもよい。
【0067】
粒子をポリマーにより容器内に封入させる。本発明により使用するのに適したポリマとしては、マトリクスを形成することができる任意のポリマまたはコポリマ混合物が挙げられる。マトリクスは、ポリオレフィン、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどを含む多孔質ポリマモノリスとしてもよい。また、マトリクスは実質的に非多孔質材料、例えば、ジメタクリレートを追加のポリマなしで重合させることにより作製した材料であってもよい。
【0068】
ポリマはモノマーをU.V.光に、適当な溶媒および光開始剤の存在下で曝露することにより形成できると好都合である。このように、容器の選択した部分のみ、例えばキャピラリーを重合過程に従わせてもよく、そうすると、容器の選択した部分のみが封入粒子を含む。未反応重合混合物を容器の選択していない部分から洗い流すことができる。この過程は、「光パターニング」と呼ばれる。
【0069】
以下、図4について説明する、図3の線IV-IVに付いての断面図の走査電子顕微鏡写真を示す。図4は封入粒子および全体にわたる細孔またはチャネルを示す。これらの写真でわかるように、チャネル内に配置されたポリマはない。いくつかの接触点Pを円で囲む。発明者らは、本発明によるキャピラリーの端での粒子とのポリマー材料の光パターニングにより、適当な細孔サイズおよび疎水性表面特性を有する組成物が提供され、安定なエレクトロスプレイ過程が促進され、死容積の可能性およびキャピラリー閉塞の可能性の両方が減少することを発見した。また、光開始重合過程の結果として、本発明の組成物は、キャピラリーまた装置の特定領域で、再現性のある「細孔」または「チャネル」を有するように容易に形成させることができ、単一または複数のエレクトロスプレイプルームのいずれかが促進され、広い流速範囲にわたり安定したエレクトロスプレイが可能となる。光開始プロセスにより、ポリマは粒子の接触点間または粒子と容器の接触点間に配置されるにすぎない。
【0070】
本発明の組成物による適したチャネル直径には、約0.2〜約30μmの範囲、より好ましくは約0.5〜約10μmの範囲、最も好ましくは約1.0〜約5.0μmの範囲の直径が含まれる。
【0071】
放出端36のチャネル直径は粒子サイズにより制御してもよい。粒子はきっちりと充填されると、粒子間の空間はチャネルを形成し、これがエレクトロスプレイエミッタとして機能する。球が大きくなるほど、球間の空間が大きくなる。
【0072】
関連する技術分野の当業者には、全ての重合組成物または条件が全ての粒子と共に使用するのに適しているわけではないことが理解されると思われる。例えば、ポリスチレン系粒子、例えばポリスチレン球は、ある重合組成物の存在で膨潤する可能性がある。しかしながら、当業者は、必要以上の実験をしなくても、より親水性であるモノマーおよび溶媒条件を使用すると、ポリスチレン粒子の膨潤を減少させることができることを学んでいると考えられる。
【0073】
本発明の態様について、以下、実施例により説明する。本発明の範囲は本明細書で例示した特定の態様により制限されないことを理解すべきである。
【0074】
実施例1 ポリママトリクス中に封入させたシリカ粒子を組み入れた噴霧器の作製
1.1 材料および装置
紫外線(U.V)透過コーティングを備えた溶融シリカキャピラリー(内径約75μm、外径約363μm)を、Polymicro Technologies, L.L.C.(Phoenix, AZ, US)から入手した。Mineralight UVランプ、UVG-11 254nm (Upland, CA, US)を用いて重合を実施した。Harvard Apparatus 11プラスシリンジポンプ(Holliston, MA. US)を使用して液体を、キャピラリーまたはマイクロチップを通して誘導した。Nikon Eclipse ME600顕微鏡(東京、日本)を使用して、キャピラリーおよびマイクロチップチャネル内での粒子充填および重合をモニタした。走査電子顕微鏡(SEM)分析を、Jeol JSM-840走査顕微鏡(東京、日本)で実施した。実験は全て周囲温度で実施した。
【0075】
ブチルアクリレートモノマーをAldrichから入手し、新しい活性アルミナを通して濾過し阻害剤を除去した。3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)、1,3-ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、およびベンゾインメチルエーテル(BME)をAldrichから入手し、受理したまま使用した。緩衝塩TrisはFisher Scientificから購入したが、トリシンはSigmaから入手した。緩衝液は、Milli-Qグラジエント水精製システム(Millipore S.A. Molsherim, France)を通して濾過した〜18.2MΩ・cm脱イオン水を用いて調製した。エタノールをCommercial Alcohols Inc. (Brampton, ON, Canada)から購入した。氷酢酸およびHPLCグレードアセトニトリルおよびメタノールをFisher Scientificから入手した。3マイクロメータ(μm)オクタデシルシラン(ODS)粒子Microsorb 100-3 C-18)をVarian Canada Inc.(Mississauga, ON, Canada)から贈り物として受理した。
【0076】
全ての実験を、x-y-zステージおよびキャピラリーの位置決めを助けるための2つの電荷結合素子(CCD)カメラキットを備えたナノエレクトロスプレイ源(Proxeon, Odense, Denmark)が取り付けられたAPI 3000三連四重極質量分析計(MDS-Sciex, Concord, Canada)上で実施した。ミクロT字結合部(Scientific Products, Toronto, ON, Canada)を使用して溶液移動ライン、エレクトロスプレイキャピラリーおよびエレクトロスプレイ電圧を供給するのに必要な電極を結合させた。シリンジに分析する溶液を充填し、ミクロT字結合部の移動ラインに取り付けた。アセンブリ全体をx-y-zステージに固定し、キャピラリーを、CCDカメラの助けにより質量分析計の入口に誘導した。ほとんどの実験において、キャピラリーは質量分析計(MS)のオリフィスから約5mmに維持した。エレクトロスプレイ(ES)電圧を液絡部を通して、MS電源をミクロT字部内に挿入した白金電極に接続することにより供給した。
【0077】
1.2 ナノスプレイエミッタ作製
1.2.1 粒子保持フリット作製
ナノスプレイエミッタを、最初に出口フリットを作製することにより調製した。キャピラリーを3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートにより8時間処理し、キャピラリー壁にアンカーを提供した。この後、重合混合物をキャピラリーまたはマイクロチップチャネル内にシリンジポンプを用いて導入した。その後、キャピラリーまたはマイクロチップ全体を1.5mmのUV-透過キャピラリーまたはマイクロチップのみを露出したままにしてマスクした。露出領域を254nm U.V.光で1.5分照射することにより、重合反応を開始させた。
【0078】
1.2.2 粒子封入
フリット形成後、多孔質ポリママトリクス装置に封入させたODS粒子を、下記手順を用いて調製した。ODS粒子をキャピラリーまたはマイクロチップチャネルのいずれかに、スラリー充填法により導入し、この後、重合混合物をシリンジポンプにより、キャピラリーまたはマイクロチップチャネルに導入した。数カラム体積の重合混合物を、キャピラリーまたはマイクロチップチャネルを通過させ、特定の領域を約254nm U.V.光に約2分間曝露することにより充填ビーズを固定した。重合後、80:20 v/vのアセトニトリル/5mMトリス緩衝液、pH8の混合物をシリンジポンプまたはナノ-HPLCポンプによりキャピラリーカラムを通して流すことにより洗浄した。ビーズ封入領域のキャピラリーを切断することにより、保持フリットをその後、除去した。封入ビーズの断面を観察するために、短い長さのキャピラリーカラムを切断し、金でコートし、SEMにより観察した。結果を図4に示し、上に記載する。封入ビーズは本質的に安定であることがわかり、いったん封入されると、約1500ポンド/平方インチ「psi」を超える(>1500psi)圧力まで安定であり、噴霧器完全性の損失はなかった。噴霧器を3週間を超えて使用したが、性能の喪失はなかった。
【0079】
1.3 予備エレクトロスプレイ性能
図5aは、総イオン電流(TIC)トレースを示す図であり、図5bは本発明のナノスプレイエミッタにより発生したエレクトロスプレイに対する質量スペクトルトレースを示す図である。O-(2-アミノプロピル)-O'-(2-メトキシエチル)プロピルプロピレングリコール500(PPG)試料のTICはかなり安定であり、たった約40フェムトモルの材料からかなりきれいな質量スペクトルが得られる。噴霧のために共溶媒(すなわち、アセトニトリル(ACN)および水)を使用する安定なTICトレースの他に、ナノスプレイエミッタは、水性試料を噴霧する際には、PPM充填キャピラリーよりもかなり良好に実施する。
【0080】
噴霧器を多くの異なる流速で、TCIトレースおよび関連する質量スペクトルを調べることにより試験した。エレクトロスプレイイオン化(ESI)は、非常に広い流速範囲で実施することができる。約1000nL〜約200nL/分の範囲の流速で、安定なTICトレースを生成する単一の安定なTaylor円錐が観察された。約200nL/分未満では、おそらく複数のTaylor円錐による「ミスト」により安定なTICシグナルが得られる。50nL/分未満では、トレースは著しくノイズが多くなったが、十分なイオンが依然として生成され、質量スペクトルを取得することができた。10nL/分でさえも、ロイシンエンケファリンの「きれいな」スペクトルが生成した。
【0081】
これらの最小流速でのエレクトロスプレイの生成により、質量分析計に結合されたマイクロ流体チップにおける本発明の組成物の使用の利点が示される。典型的には、電気浸透ポンピングを使用するマイクロ流体装置は約50nL/分流速未満を送達する。
【0082】
実施例2 固相抽出(SPE)のための本発明の封入粒子
粒子の表面化学を利用すると、MS分析を支援する試料調製手順を実施することができる。本発明の態様の組成物の試料調製能力を証明するために、固相抽出実験を実施した。SPEプロトコルを示す概略図を図6に示す。封入粒子を有する容器を工程Aで示す。ペプチド試料を、水性試料から高い流速を使用して封入ODS粒子上で予備濃縮した(工程BおよびC)。その後、濃縮試料を少量のACNで溶離させた(工程D)。従来のナノスプレイキャピラリーに対する、封入粒子による光パターニングキャピラリーの利点は、流れをシステム内で数tL/分を超えるようにうまく増加させることができ、逆圧がほとんどないことである。このように、試料を封入粒子上に迅速に流し、その後、より強い溶離力溶媒により徐々に溶離させることができる。
【0083】
図7aは、図6で示したプロトコルに従い、800nL/分の流速で噴霧器上に450nMロイシンエンケファリン試料をローディングした結果を示す図である。ローディングは異なる時間長で変動させ、その後、約70% ACNで溶離させた。60秒ローディング実験により、著しい濃縮係数が得られた。図7bは、約556m/zで測定した、噴霧器上にロードしたペプチド量と相対イオン強度の直線関係を示す。
【0084】
図8は、約100%水溶液で噴霧器上にロードし、その後、約70% ACNで、異なる流速で溶離させた約50nLの4.6×10-9M試料(すなわち、240アトモル)のロイシンエンケファリン(A〜E)およびTIC(E)から誘導した質量スペクトル(F)の結果を示す図である。これにより、非常に少量のタンパク質が噴霧器上で濃縮され、その後のMS検出が容易になる可能性が証明された。
【0085】
ODS機能化粒子を用いてSPEを実施したが、様々な表面化学を有する様々な市販の粒子を使用することができる。
【0086】
実施例3 BODIPY(登録商標)による固相抽出実験
微量のBODIPY(登録商標)およびBODIPY(登録商標)FLを用いて一連の固相抽出(SPE)実験を実施した。キャピラリー内で作製させた本発明のこの態様の組成物は、別の2つの粒子固定技術(単一フリットを有する充填カラム、入口および出口フリットを有する充填カラム)よりも、再現性およびロバストネスの観点から良好な性能を示した。
【0087】
3.1 装置および試薬
キャピラリーでのCEC実験は全て、レーザ誘導蛍光(LIF)検出器(励起約488nm、発光約520nm)を備えたBeckman Coulter P/ACE MDQキャピラリー電気泳動システム(Fullerton、CA、US)で実施した。UV-透過コーティングを有する溶融シリカキャピラリー(内径約75μm、外径約363nm)をPolymicro Technologies, L.I.,C.(Phoenix, AZ, US)から入手した。Mineralight UVランプ、UVG-11 254nm(Upland, CA, US)を用いて重合を実施した。Harvard Apparatus 11+シリンジポンプ(Holliston、MA、US)を使用して、液体を、キャピラリーを通して誘導した。Nikon Eclipse ME 600顕微鏡(東京、日本)を使用して、キャピラリー内での粒子充填および重合を検査した。走査電子顕微鏡(SEM)解析をJeol JSM-840走査顕微鏡(東京、日本)で実施した。実験は全て周囲温度で実施した。
【0088】
ブチルアクリレートモノマーをAldrichから入手し、新たな活性化アルミナを通して濾過し、阻害剤(モノメチルエーテルヒドロキノン)を除去した。3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)、1,3-ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、およびベンゾインメチルエーテル(BME)は全て、Aldrichから入手し、受理したまま使用した。緩衝液塩、トリスをFisher Scientificから購入し、トリシンをSigmaから入手した。緩衝液は、Milli-Q Gradient水精製システム(Millipore S.A. Molsheim, France)を通して濾過した-18.2 MS2・cm脱イオン水を用いて調製した。
【0089】
エタノールをCommercial Alcohols Inc. (Brampton, ON, Canada)から購入した。氷酢酸およびHPLCグレードアセトニトリルおよびメタノールをFisher Scientificから入手した。31.tm ODS 粒子(Microsorb 100-3 C18)をVarian Canada Inc.(Mississauga, ON, Canada)から贈り物として受理した。4,4-ジフルオロ-1,3,5,7,8-ペンタメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-(S)-インダセン(BODIPY493/503)および4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸(BODIPY(登録商標)FL)をMolecular Probes, Inc.(Eugene, OR, US)から購入した。
【0090】
3.2 充填カラム作製
1つのフリットを有する充填カラム:
出口フリットを調製するために、短い長さの多孔質ポリマモノリスを、Ngolaら[S.M. Ngola, Y. Fintschenko, W.Y. ChoiおよびT.J. Shepodd, Anal. Chem., 73(2001)849]により前に記載された方法と同様に調製した。キャピラリー壁を最初に、ビニル基とグラフトさせることにより前処理し、これにより、形成したポリマーが確実に壁に供給結合されるようにし;キャピラリーを3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(約20%、量は全て、特に記載がなければ体積%である)、氷酢酸(約30%)、および脱イオン水(約50%)で充填し、12時間反応させ、その後、洗浄し、エタノール(約20%)、アセトニトリル(約60%)、および5mMリン酸緩衝液、pH6.8(約20%)を含む溶液中で保存した。約23%のブチルアクリレートモノマー、架橋剤としての約10% BDDA、電気浸透流を保持するための約0.2%のAMPS、追加の接着促進剤としての約0.1%の3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、開始剤としての約0.2%(g/ml)のBME、約13.25%のエタノール、約40%のアセトニトリル、および細孔形成溶媒としての約13.25%の5mMリン酸緩衝液、pH6.8を含む重合混合物を、シリンジポンプを使用してキャピラリー内に導入した。その後、キャピラリーをアルミニウム箔で覆い、約1.5mmのUV-透過キャピラリーを254nm UV光に約1.5分間曝露させた。キャピラリー中に1つだけフリットを有する充填カラムを調製するために、アセトニトリル中の31.tm ODS粒子のスラリーをその後、圧力をかけてキャピラリー中に導入し(超音波浴に浸漬)、2cmの長さのカラムを作製した。
【0091】
2つの保持フリットを有する充填カラム:
出口フリットおよび2cmの長さのカラムを作製した後、重合混合物を再び、シリンジポンプによりキャピラリー中に導入した。数カラム体積の重合混合物を通過させた後、キャピラリーをアルミニウム箔で覆い、充填粒子のちょうど開端のキャピラリーの約1.5mmの領域を254nm UV光に約1.5分間曝露させた。その後、シリンジポンプを用いて、80:20v/vアセトニトリル/5mMトリス緩衝液、pH8の混合物を、カラムを通して流し、残留モノマ材料および細孔形成溶媒を除去した。
【0092】
3.3 封入カラム作製
多孔質ポリママトリクス中に封入させたODS粒子を有するキャピラリーを、下記手順を用いて調製した。出口フリットを構築した後、ODS粒子をスラリー充填法によりキャピラリー中に導入し、約2cmの長さのカラムを得た。重合混合物をシリンジポンプで再びキャピラリー中に導入した。数カラム体積の重合混合物をキャピラリーに通し、充填ビーズを、2cmの充填領域を254nm UV光に約2分間曝露することにより固定させた。その後、約80:20 v/vのアセトニトリル/5mMトリス緩衝液、pH8の混合物を、キャピラリーカラムを通してシリンジポンプにより流し、未反応モノマ材料および細孔形成溶媒を除去した。カラムベッドの断面を観察するために、セラミックカッタで短い長さのキャピラリーカラムを切断し、デシケーター内で乾燥させ、全ての水および溶媒を除去した。その後、試料を金でスパッタコートした後、走査電子顕微鏡で断面画像を取得した。
【0093】
3.4 固相抽出
2つの分析物を選択し、上記カラムを用いた固相抽出を証明した。0.10mMのBODIPY493/503およびBODIPY(登録商標)FL原液をHPLCグレードメタノール中で調製し、その後、10mMトリシン緩衝液、pH8中で所望の濃度まで希釈した。
【0094】
SPEを3工程で実施した。第1に、希釈試料を圧力を用いてクロマトグラフィーベッド上にロードした。第2に、水性緩衝液を、キャピラリーを通して流し、キャピラリー内のカラム上に残っている試料を洗浄した。ベッド上に保持された分析物をその後、80%のアセトニトリルを含む水性緩衝液で溶離した。BODIPYおよびBODIPY(登録商標)FLの蛍光を、クロマトグラフィーベッドのちょうど下流に配置したBeckman P/ACE MDQ CEのLIF検出システム(励起488nm、発光520nm)で検出した。各抽出間に、水性緩衝液ですすぐことにより装置を平衡化し、その後、新たにローディング工程を開始した。
【0095】
3.5 破過曲線
SPEベッドの総容量を決定するために、10nMのBODIPYおよびBODIPY(登録商標)FL染料溶液を用いて、これらを個々に、水性緩衝液で平衡化したキャピラリーカラム上に注入することにより破過曲線を得た。BODIPYおよびBODIPY(登録商標)FLの蛍光シグナルを、LIF検出器を用いてベッドのちょうど下流で記録した(励起488nm、発光520nm)。
【0096】
3.6 結果
ブチルアクリレート、BDDAおよびAMPS溶液のUV光重合では、完了するまで室温で数分しか必要ではなく、熱重合に比べカラム作製時間が減少する。別の利点は、適当なマスキングにより容易に材料のパターニングが可能なことである。
【0097】
試料調製過程により、粒子がキャピラリー表面上に散乱した。対照的に、有機ポリマにより封入されたODS粒子は、キャピラリー切断後にも「充填された」ままであった(図4で示されるように)。有機ポリママトリクスが、どちらも互いに「接着」されたビーズ間で観察され、ビーズをキャピラリー壁に固定した。ビーズ-ビーズおよびビーズ-キャピラリー接触点でのポリマの形成は、おそらく、これらの領域で表面エネルギーが最小となることに起因する。
【0098】
封入ビーズの機械強度を試験するために、出口フリットのない0.5cmの長さのベッドを作製し、HPLCポンプにより発生する最大圧力である4,400psiを超える圧力に耐えることを見出した。高い強度は、ビーズが互いに、およびキャピラリー表面に共有結合により付着されていることに起因する。結果として、充填キャピラリーは、ほとんどの高圧力クロマトグラフィー用途および電気クロマトグラフィー用途に対し十分なロバスト性を有するべきである。
【0099】
異なる方法を用いて調製したODSカラムのSPE能力を証明するために、BODIPYの希薄溶液をそれらのカラム上で濃縮させた。BODIPYは、水性環境でODS粒子に対し強い親和性を示す高親水性染料であり、520nmで強い蛍光発光を提供し、そのため、異なる型のカラムのSPE特性を調べるための開始分析物として選択した。
【0100】
1つのフリットを用いて保持させたODSビーズは、充填ベッドの開端によりクロマトグラフィー材料の移動が可能となったため、再生不可能なSPE特性を示した。2つの保持フリットを有する充填ベッドは、最初の数日の使用では再生可能であったが、再現性はさらに動作させると徐々に劣化した。4日使用した後、溶離分析物の積分ピーク面積の相対標準偏差(RSD)は4.8%から6.2%に増加し、ピーク面積対試料ローディング時間の線形回帰のR2は0.9816から0.8479まで減少した。これは、カラム内での空隙形成にいたる粒子の蓄積移動によるものである。対照的に、封入カラムは、SPE実験でより良好な再現性を示した。溶離分析物の積分ピーク面積のRSDは5日の使用後4.2%に維持され、一方、ピーク面積対試料ローディング時間の線形回帰のR2は0.9934で維持された。これは再び、有機ポリマが充填粒子を定位置に固定し、移動を阻止したためと考えられ、強固な連続抽出ベッドが得られた。
【0101】
図9aは封入カラム上での10nM BODIPY試料に対する予備濃縮実験を示す。水性緩衝液を用いたベッド平衡化後、希薄試料を圧力によりベッド上にロードさせた。水性緩衝液による5分のすすぎ工程後、約80%のアセトニトリルを含む水性緩衝液を使用して、ベッドからEOFおよび圧力を用いて予備濃縮したBODIPYを溶離させた。BODIPYは有機溶媒溶離工程中、かなり狭いバンドで溶離され、水性緩衝液洗浄工程中、分析物は洗い流されず、理想的なSPE過程が示された。異なる試料ローディング時間および異なる試料濃度を用いた2つの実験を実施し、封入カラムの特性を調べた。22〜99秒の範囲の予備濃縮時間を用いると、予備濃縮時間に対しプロットしたピーク面積から、直線関係が得られた(R2=0.9978)(図9[[挿入図]]bで示す)。異なる濃度の試料(20〜140nM)を使用した実験では、試料濃度に対しプロットしたピーク面積では直線関係が得られた(R2=0.9890)(図10で示す)。
【0102】
図11は希薄10pM BODIPY試料溶液を用いた予備濃縮実験を示す。トレースAは、15分間(1.77×10-17モル)注入した10pM BODIPY試料(80%アセトニトリル/20%水性緩衝液)に対する得られた検出シグナルを示す。検出領域に入った試料から得られた蛍光の増加が、「a」で見ることができ、試料が検出領域を通過した後に得られた蛍光の対応する減少が「b」で見ることができる。対照的に、トレースBは封入カラム上での15分の試料予備濃縮後に溶離させたピークを示す。予備濃縮係数は、希薄試料体積を、溶離/濃縮試料を含む溶離剤体積で割ることにより計算することができる。試料ローディングおよび溶離は両方共同じ圧力で実施するので、予備濃縮係数は希薄試料ローディング時間の溶離したBODIPYのピーク幅に対する比率に等しい。この実験では、得られた予備濃縮係数は44であった。
【0103】
BODIPY(登録商標)FLは、その化学構造中のカルボン酸基のために、BODIPYよりも親水性である。BODIPYと同じ破過実験条件では、10nM BODIPY(登録商標)FLは迅速で、急な破過を示し(図12、トレースC)、一方、10nM BODIPY、pH8では顕著な破過は観察されなかった(図12、トレースA)。BODIPY(登録商標)FL上のカルボン酸基は約4〜5のpKaを有するので、pH8で部分的に脱プロトン化される。溶液のpHを減少させることにより、BODIPY(登録商標)FLはプロトン化され、より疎水性となった。そのため、pH3.2での22分破過実験で、平らなベースライン様蛍光シグナルにより示されるようにODSビーズの表面上によりしっかりと吸着される(図12、トレースB)。
【0104】
pH 8.0でのBODIPY(登録商標)FLのSPE実験では、BODIPY(登録商標)FLは水性緩衝液洗浄工程中に部分的に洗い流されることが観察された(図13A)。しかしながら、これらの非最適化SPE条件であっても、予備濃縮時間に対しプロットした有機溶媒溶離工程中のBODIPY(登録商標)FLのピーク面積は依然として、研究条件にわたり直線関係を提供し(R2=0.9941)(図13B)、この有機ポリマ封入ODSビーズカラムの抽出特性は予測可能であり、信頼できることが示された。
【0105】
実施例4 マイクロチップを用いた固相抽出
ロイシンエンケファリンのSPE実験を、マイクロチップ中で本発明の組成物を用い、Microfluidic Tool Kit(Micralyne, Edmonton, Canada)を使用して実施した。キットは、レーザ誘導蛍光(LIF)検出システム(670nmのバンドパスフィルタを備えた約635nmのダイオードレーザ)と結合させた高電圧電源を含んだ。ロイシンエンケファリンは約675nmでは蛍光発光を示さないので、0.1M 炭酸ナトリウム-重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.3に溶解したCy5蛍光染料により標識し、675nm LIF検出器で検出できるようにし、その後、希釈して、5mMのpH8リン酸緩衝液中で180nmol/Lとなるようにした。SPEを3工程で実施した。(1)希薄試料を、マイクロチップチャネルに横切って印加した約2.5kVの電力により発生させた電気浸透流(EOF)により、クロマトグラフィーベッド上にロードし、(2)水性緩衝液を、チャネルを通して流し、チャネル内のベッド上に残った試料を洗浄し、および(3)ベッド上に保持された分析物を、80%アセトニトリルを含む水性緩衝液で溶離した。Cy5標識ロイシンエンケファリンの蛍光を、クロマトグラフィーベッドのちょうど下流に配置したLIF検出システムで検出した。各抽出間で、装置を、水性緩衝液ですすぐことにより平衡化し、その後、新しいローディング工程を開始した。図14は、時間に対する蛍光強度のプロットを示し、180nM Cy5標識ロイシンエンケファリン試料に対する3工程予備濃縮実験における、ローディング、続いて、リン酸緩衝液フラッシュ、その後の80%アセトニトリルによる溶離中のCy5標識ロイシンエンケファリン試料の蛍光を示す。図14中のトレースは、より容易に見ることができるように、わずかに上方にオフセットさせている。異なる試料ローディング時間を使用して、抽出ベッドの特性を調べた。50〜200秒の範囲の予備濃縮では、予備濃縮時間に対する積分ピーク面積は直線関係を示した(R2=0.9769)。図15は、180nM Cy5標識ロイシンエンケファリンの蛍光強度のピーク面積対ローディング時間のグラフを示す。
【0106】
実施例5:マイクロ流体チップの調製
本発明の方法に従い、粒子をプラスチックまたはガラス微小デバイスの端に封入させる。図16は直接質量分析計中に噴霧させることができる微小デバイス100を示す。本発明の封入粒子32の光パターニングにより死容積の可能性が減少する。微小デバイスを極微走査装置に載置し、その後、質量分析計の前に配置する。ペプチドまたはタンパク質試料をリザーバ102中にロードし、その後、リザーバ102と104の間に電圧を供給し、試料をロードする。電圧および流体力学的流をリザーバ106に印加し、試料を質量分析計まで移動させる。エレクトロスプレイ過程のために電圧を使用する。
【0107】
実施例6:捕捉シリカ粒子(3μm)
直径約3μmのシリカ粒子を、実施例3.1〜3.3のODSビーズに対し一般的に記載したように捕捉させた。この実施例ではシリカ粒子を捕捉させるために、モノマ状態にいくらかの調整を実施し、より親水性の混合物を作製した。これは、スルホン酸成分をモノマ混合物の1〜40%まで増加することにより達成した。
【0108】
6.1 カラム調製
UV-透過コーティング(Polymicro Technologies Inc.)を有する溶融シリカキャピラリー(外径363μm、内径75μm)を、当業者に公知の方法により前処理した。その後、キャピラリー中で、前の封入手順と同様にフリットを調製した。
【0109】
最小表面被覆でシリカビーズを捕捉させるために、より親水性のモノマ溶液が必要であった。これは、スルホン酸の量を1〜40%まで増加させることにより達成した。この溶液は2mLの注型溶媒(1:1:3エタノール:緩衝液pH=7:アセトニトリル)、297μLのBDDA、3μLのz-6030、0.25gのAMPS、516μLのアクリル酸ブチルおよび5mgのベンゾイルメチルエーテルを含んだ。この溶液をキャピラリーを通して流し、ビーズを254ナノメートル(nm)の光を90秒間用いて封入させた。
【0110】
図17aは実施例6の方法により封入させたシリカ粒子を示す走査電子顕微鏡写真である。この図から、各粒子はほとんど、ポリマーにより被覆されていないことがわかる。図17bは2つの粒子間の架橋として作用するポリマーを示す。
【0111】
実施例7:モノマー無しでのODS粒子の捕捉
この実施例では、モノマーを含ませないことを除き、本明細書の実施例3で記載したプロトコルをこの実験のために使用した。架橋剤(BDDA)のみを用いてODSビーズが封入されるかどうかを決定するために、注型溶媒および開始剤を除く他の成分全てを系から除去した。この方法では、3.0mLの注型溶媒(1:1:3のエタノール:緩衝液pH=7:アセトニトリル)中のBDDA(300μL)を使用した。この溶液をODSビーズを含むキャピラリーを通して流し、重合を、254nm光を90秒間用いて開始させた。
【0112】
図18aは、多くの場合、チャネルに至る閉塞されていない開口を有するビーズを示す走査電子顕微鏡写真を示す。金コーティングを使用し、SEMによりビーズを視認できるようにした。図18bから、モノマが重合混合物にたとえ添加されなくても、粒子間に架橋が存在することが示される。
【0113】
実施例8:ホルモンの固相抽出および分離
2つのホルモンの分離および固相抽出を証明するために実験を実施した。ホルモンは生体内で重要な生物学的効果を示す化合物の群である。しかしながら、生物分析または環境分析などの多くの実際の用途では、低い試料濃度が通常、これらの化合物の正確な検出および定量を妨げる。
【0114】
この実験では、4ミリモル(mM)のβ-エストラジオールおよび5ミリモルのプロゲステロンの原液をHPLCグレードアセトニトリル(ACN)中で調製し、3ミリモルのトリシン緩衝液、pH7中で所望の濃度まで希釈した。固相抽出を3つの工程で、封入ODS粒子を含む6センチメートルの長さのカラム(Microsorb 100-3 C-18)上で実施した。第1に、希薄試料を動電学的にクロマトグラフィーベッド上にロードした。第2に、水性緩衝液を、電圧を印加することにより、キャピラリーを通ってカラム上まで流した。第3に、その後、ベッド上に保持された分析物を70% ACNを含む水性緩衝液によりEOFを用いて溶離させた。β-エストラジオールおよびプロゲステロンの紫外線吸光度を、クロマトグラフィーベッドの下流に配置したPDA(フォトダイオードアレイ)検出システムを用いて検出した。各抽出間に、水性緩衝液ですすぐことにより装置を平衡化し、その後、新規ローディング工程を開始した。
【0115】
水性緩衝液によるベッド平衡化後、希薄試料を動電学的に、5キロボルトの電圧を5分間印加することによりベッド上にロードした。電圧を用いる水性緩衝液による6分のすすぎ工程後、70%のACNを含む水性緩衝液を使用して、予備濃縮したβ-エストラジオールおよびプロゲステロンをEOFを用いて溶離した。図19a、19bは、封入カラム上での、54.6マイクロモルのβ-エストラジオールおよび22.9マイクロモルのプロゲステロンを含む試料に対する予備濃縮実験結果を示す。点A前(0〜5分)は試料ローディングを示す。点A〜点B(5〜11分)の領域は、3ミリモルのトリシン緩衝液、pH7を用いた洗浄工程を示す。点B後(11〜23分)は、70% ACN/30% 10ミリモルトリシン緩衝液、pH7を用いた溶離工程を示す。有機溶媒溶離工程中に、かなり狭いピーク中に、β-エストラジオールおよびプロゲステロンが溶離され、分離され、希薄試料のピーク高さに比べるとβ-エストラジオールでは102、プロゲステロンでは82のシグナル増強が得られたことがわかる。
【0116】
異なる試料ローディング時間で実施し、結果を図20に示す。図20は、6cmの封入3.0マイクロメートルODSカラム上での異なる長さの予備濃縮で得られたシグナル増強を示す。図から、シグナル増強対ローディング時間曲線は、10分後に非線形となり、最大シグナル増強はβエストラジオールに比べ、プロゲステロンに対しての方が大きいことがわかる。その差は、2つのホルモンの相対的な疎水性に起因する。β-エストラジオールはプロゲステロンよりも親水性であり、そのため、ODS粒子により、より低い程度で分配し、より速い溶離およびカラム飽和となる。SPE実験で使用した試料濃度は比較的高いが、これはPDA検出器の感度により制限され、600を超えるシグナル増強により封入ビーズカラムの有用性が示される。
【0117】
実施例9:芳香族多環式炭化水素(PAH)混合物の電気クロマトグラフィー
この実験は、16の芳香族多環式炭化水素、すなわち、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、アセナフテン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、ベンゾ(a)アントラセン、クリセン、ベンゾ(b)フルオランテン、ベンゾ(k)フルオランテン、ベンゾ(a)ピレン、ジベンゾ(a,h)アントラセン、インデノ(1,2,3-cd)ピレンおよびベンゾ(ghi)ペリレンの電気クロマトグラフィーを示した。
【0118】
図21は、長さ6cmの封入3.0μmODSカラムを用いたEPA610PAH(Supelco of Bellefonte, Pennsylvania)混合物の254nmでのCECエレクトロフェログラムを示す。試料ローディング:2kV、3秒;溶離:10kV、80% ACN/20% 3mMトリシン緩衝液、pH8による;ピーク同定:1.チオ尿素(中性マーカー)、2.ナフタレン、3.アセナフチレン、4.フルオレン、5.アセナフテン、6.フェナントレン、7.アントラセン、8.フルオランテン、9.ピレン、10.ベンゾ(a)アントラセン、11.クリセン、12.ベンゾ(b)フルオランテン、13.ベンゾ(k)フルオランテン、14.ベンゾ(a)ピレン、15.ジベンゾ(a,h)アントラセン、16.インデノ(1,2,3-cd)ピレンおよび17.ベンゾ(ghi)ペリレン。
【0119】
この実験で使用したCE機器、Beckman Coulter P/ACE MDQはグラジエント溶離を実施することができないので、均一濃度溶離モードのみを分離で使用した。図21は、80%アセトニトリルにより、16PAH混合物から15ピークが分離できる(ベンゾ(a)アントラセンおよびクリセンはオーバーラップした)ことを示す。図22は、アセトニトリル濃度を70%まで低下させることにより達成された、最初の6つのかなり親水性の化合物の分離を示す。16の化合物のベースライン分離は取得しなかったが、使用した6cmのカラム長および均一濃度溶離モードを考慮すれば、この封入微小球カラムの分離能力は証明される。
【0120】
図22は、長さ6cmの封入3.0μmODSカラムを用いたEPA610PAH混合物の254nmでのCECエレクトロフェログラムを示す。試料ローディング:2kV、3秒;溶離:5kVで最初に35分、その後10kV、70% ACN/30% 3mMトリシン緩衝液、pH8による;ピーク同定:1.チオ尿素(中性マーカー)、2.ナフタレン、3.アセナフチレン、4.フルオレン、5.アセナフテン、6.フェナントレン、7.アントラセン、8.フルオランテン、9.ピレン、10.ベンゾ(a)アントラセン、11.クリセン、12.ベンゾ(b)フルオランテン、13.ベンゾ(k)フルオランテン、14.ベンゾ(a)ピレン、15.ジベンゾ(a,h)アントラセン、および16.インデノ(1,2,3-cd)ピレン。
【0121】
実施例10:複数のナノ噴霧器試験(単一バッチで調製した12のキャピラリー)
この実験で、複数の粒子封入容器を調製し、同時に使用することができることが証明された。1×10-6モルのPPG試料を12のキャピラリーの各々に注入し、結果をESI-MSにより分析した。試料を、一定注入法を用いてキャピラリー中に注入した。実験の詳細を下記で説明する。
【0122】
10.1:材料およびプロトコル
キャピラリー:UV透過、外径360μm、内径75μm
キャピラリー数:12(充填マニホルドを使用)
キャピラリーの総長:5.5cm(2つのキャピラリーはそれぞれ、4.5cmおよび4.7cmである)
ナノ粒子:3μmのODSビーズ(100Å)
固定ビーズ長:1.1cm
UV曝露時間:1.5分
UVランプからキャピラリーまでの距離:3.5cm
UVランプの電力:254nm、0.16AMPS
ポリプロピレングリコール(PPG)溶液の濃度:1×10-6M(溶媒:ACN)
ESI-MSのパラメータ
70% ACN流速:500nL/分
IS電圧:3kV
走査範囲:400〜1100amu
イオン抽出範囲:539.5〜541amu
【0123】
10.2:充填マニホルド
図23は、スケールアップ目的のために使用することができる、概して120で示した充填マニホルドの断面を示す図である。充填マニホルド120はボディ122を備える。ボディ122はカラムを規定する。ボディ122はさらに、キャピラリー入口128を介してカラム124と連結するフィッティング穴126を規定する。この実施例では、12のフィッティング穴126が、充填マニホルド120の1つの側で一般に規定されている。充填マニホルド120の周りで規定されているフィッティング穴(すなわち、全てが概して1つの側にあるわけではない)もまた、ある用途では適している可能性がある。充填マニホルド120はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはステンレス鋼などの任意の適した材料を含んでもよく、公知の方法、例えば、標準機械加工法またはCNC(コンピュータ数値制御)ミリングに従い製造してもよい。充填マニホルド120はさらに、チャネル132を介してカラム124と連結するカラム入口130を規定する。カラム入口130を粒子、溶媒、モノマ、光開始剤、および/または架橋剤などの材料をカラム124に添加するための進入点として使用する。プラグ134を一端に挿入し、材料がカラム124から漏れないようにする。カラム入口130は、材料をカラム124に送達するために使用される容器(図示せず)、例えば対応する螺旋模様を有するチューブと密閉嵌合するために、螺旋模様を有してもよい。動作中、フリットを有するキャピラリー(図示せず)をフィッティング穴の各々の中に挿入し、フェルールにより定位置に保持したが、任意の適した固定手段を使用することができる。粒子を重合溶媒中に懸濁させ、圧力によりカラム入口130を通ってカラム124内に、キャピラリー入口128を通ってキャピラリー中に移動させ、そこで、約1500psiの圧力で充填させた。その後、キャピラリーをマニホルドからはずし、光開始させ、上記試験で使用した。関連技術分野の当業者には理解されるであろうが、光開始過程はまた、キャピラリーをマニホルドに固定したまま実施することができる。
【0124】
10.3:結果
結果を図1に示す。PPGイオンの平均強度および標準偏差により、ポリマ封入粒子の使用は、製造においてスケールアップすることができ、再現性が実質的に喪失されないことが証明される。
【0125】
【表1】

【0126】
実施例11:複数のナノ噴霧器試験(2つのキャピラリー)
この実験により、2つの異なるナノ噴霧器キャピラリーから放出されたPPGの1×10-6M試料の結果の再現性が証明された。実験の詳細を下記で説明する。
【0127】
11.1:材料およびプロトコル
ナノ噴霧器試験
キャピラリー:UV透過、外径360μm、内径75μm
キャピラリー数:2
キャピラリーの総長:5.5cm
ナノ粒子:3μmのODSビーズ(100Å)
固定ビーズ長:1.1mm
UV曝露時間:1.5分
UVランプからキャピラリーまでの距離:3.5cm
UVランプの電力:254nm、0.16AMPS
PPG溶液の濃度:1×10-6M(溶媒:ACN)
ESI-MSのパラメータ
70% ACN流速:500nL/分
IS電圧:3kV
走査範囲:400〜1100amu
イオン抽出範囲:539.5〜541amu
逆圧:約30psi
【0128】
11.2結果
図24aは、1つのエミッタから放出されたPPG(1×10-6M)の分析を示す539.5〜541の範囲の抽出イオンクロマトグラム(XIC)を示す。図24bは、エミッタにより発生させたPPG試料の即時エレクトロスプレイ質量スペクトルトレースを示す。表2は平均強度および結果の標準偏差を示す。
【0129】
【表2】

【0130】
実施例12:C-18ビーズサイズ、キャピラリーサイズおよび流速によるナノ噴霧器に対する最適化
表3のデータは、本発明による適したパラメータの選択を証明する。これらのデータを得るために使用した条件は実施例1で記載している。
【0131】
【表3】

NA-標準偏差が約50%を超えた
【0132】
実施例13:溶媒疎水性が重合に影響する
この実験のために使用したプロトコルは実施例7で記載したものと同じであった。
【0133】
この研究では、2つの溶媒系を使用して、溶媒疎水性が重合にどのように影響するかを決定した。1つの方法はBDDA(300μL)を含む注型溶媒3.0mL(1:1:3エタノール:緩衝液pH=7:アセトニトリル)を使用し、別の方法は、BDDA(300μL)を含むオクタノール3.0mLを使用した。これらの溶液を、ODSビーズを含むキャピラリーを通して流し、254nm光を90秒使用して重合を開始させた。
【0134】
図25は、溶媒選択による材料制御を示す。2つの捕捉溶液を作製した:A「Shepodd型溶液」(親水性溶媒+架橋剤)=1.2mLアセトニトリル、0.4mLエタノール、0.4mL緩衝液、および0.3mL BDDA;ならびにB「オクタノール溶液」(疎水性溶媒+架橋剤)=0.3mL BDDAおよび2mLオクタノール。図25は、親水性溶媒(A)および疎水性溶媒(B)を使用して封入させたODS粒子の並列走査電子顕微鏡写真を示す。図25は、Aの封入粒子が最小ポリマ形成を有し、ビーズ-ビーズ接触点およびビーズ-壁接触点のみでポリマーを有することを示す。対照的に、Bの封入粒子は、ビーズの表面、ならびにビーズ-ビーズ接触点およびビーズ-壁接触点全てでの無差別のポリマ形成を示す。
【0135】
実施例14:材料はモノマの選択により制御することができる
図26は、本発明の方法により、疎水性モノマおよび親水性溶媒(A)を用いて封入させたODS粒子を示す。Aの走査電子顕微鏡写真は、粒子間の開口が実質的に閉塞されておらず、粒子はポリマにほとんど被覆されていないことを示す。しかしながら、親水性モノマおよび親水性溶媒系をODS粒子と共に使用すると(B)、粒子が実質的に被覆されまたはカプセル化されることとなった。シリカ粒子を用いると、粒子は親水性モノマおよび親水性溶媒(D)により封入された。ポリマは粒子間を接触させるが、チャネルは実質的に閉塞されないままであり、粒子上にはほとんどポリマがないことが観察できる。しかしながら、疎水性モノマおよび親水性溶媒系をシリカ粒子と共に使用すると(C)、カプセル化が起きた。
【0136】
本発明と当技術分野で認知された方法および組成物との比較
図27は、本発明と、ゾルゲルおよび熱開始PPMを用いた封入とを直接比較したものである。本発明は数時間とは対照的に、数分で封入粒子を提供し、多くのビーズを都合よく曝露させる。
【0137】
ゾルゲル封入(図27aで示す)は>24時間かかり、完全にビーズ表面を被覆する(Tang et al., Microcolumn Separations 1999, 6-12)。熱開始PPM(図27bで示す)は約24時間かかるが、ビーズを過剰のポリマでカプセル化する(Chirca et al., Anal. Chem. 2000, 72, 3605-3610)。本発明のUV開始PPM(図27cで示す)は数分かかり、多くのビーズを曝露させ、探求するのに必要とされる条件に依存する(Xie et al., Electrophoresis 2005, 26, 4225-4234)。
【0138】
本明細書で言及した第三者文書は全て、参照により本明細書に組み入れられる。
【0139】
特定の例示的な態様について本明細書で記載してきたが、他の変更、組み合わせ、および態様は当業者には思い付くものであり、これらは本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の1つの態様によるナノスプレイ質量分析システムの概略図である。
【図2】より詳細に液体注入を示す図1のIIの断面図である。
【図3】本発明の1つの態様によるエレクトロスプレイエミッタの一端を示す図2のIIIの断面図である。
【図4】図3のIV-IVについての断面の走査電子顕微鏡写真図である。走査電子顕微鏡写真は実施例1.2.2の結果である。
【図5A】本発明によるナノスプレイエミッタから噴霧されたPPGのエレクトロスプレイ試料のTICトレースを示す図である。
【図5B】図5aのTICトレースに対応するエレクトロスプレイ質量スペクトルトレースである。
【図6】本発明による固相抽出プロトコル(工程A〜D)を示す図である。
【図7A】図6で示したプロトコルによる噴霧器への450nMロイシンエンケファリン試料のローディングの結果を示す図である。
【図7B】噴霧器にローディングしたロイシンエンケファリン量と556m/zで測定した相対イオン強度に対する直線関係を示したものである。
【図8】異なる流速で溶離した、4.6×10-9Mロイシンエンケファリン試料50nLのTICトレースおよび質量スペクトルを示す図である。
【図9】封入粒子カラム上での10nM BODIPY試料に対する予備濃縮実験結果を示した図である。
【図10】図9で示したものと関連する実験から得られたピーク面積対試料濃度を示すグラフである。
【図11】希薄10pM BODIPY試料溶液を用いた予備濃縮実験を示す図である。
【図12】図9で示したものと同様であるが、BODIPY-FLを使用した実験結果を示す図である。
【図13】固相抽出実験中の、pH8でのBODIPY-FLの部分洗い出しを証明する結果を示す図である。
【図14】蛍光強度対時間のプロットを示す図であり、マイクロチップ上での固相抽出実験に対するローディング中のCy5標識ロイシンエンケファリン試料の蛍光を示す。
【図15】マイクロチップ上での固相抽出実験における180nM Cy5標識ロイシンエンケファリンの蛍光強度ピーク面積対ローディング時間のグラフである。
【図16】本発明の1つの態様による微小デバイスを示す図である。
【図17A】本発明の1つの態様による封入されたシリカ粒子の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図17B】図17aで示した走査電子顕微鏡斜視の拡大領域を示す図である。
【図18A】本発明の態様による封入されたODS粒子の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図18B】図18aで示した走査電子顕微鏡写真の拡大領域を示す図である。
【図19】本発明の1つの態様による予備濃縮実験結果を示すHPLCクロマトグラムである(封入ビーズを有するSPEおよび電気クロマトグラフィー)。
【図20】本発明の1つの態様によるカラム上の試料の異なるローディング時間を用いて得られたシグナル増強を示すグラフである。
【図21】本発明の1つの態様により得られた16の芳香族多環式炭化水素のキャピラリー電気クロマトグラフィー実験のエレクトロフェログラムを示す図である。
【図22】図21で示した実験において使用したものとは異なる溶媒条件を使用して得られた16の芳香族多環式炭化水素のキャピラリー電気クロマトグラフィー実験のエレクトロフェログラムを示す図である。
【図23】本発明の1つの態様による充填マニホルドの断面を示す図である。
【図24A】本発明の1つの態様によるPPG試料の分析を示す試料抽出イオンクロマトグラム(XIC)を示す図である。
【図24B】本発明の1つの態様により生成させたPPG試料の即時エレクトロスプレイ質量スペクトルトレースを示す図である。
【図25】本発明の態様による親水性溶媒(A)および疎水性溶媒(B)を用いて封入させたODS粒子の、並列走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図26】本発明の態様による異なるモノマーおよび溶媒を用いて封入させたシリカおよびODS粒子の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図27】本発明による方法(c)と比較した当技術分野で認知された方法(aおよびb)による封入粒子の各々の左側の対応する概略図と共に示した走査電子顕微鏡写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマ材料により実質的に閉塞されない複数のチャネルを集合的に形成する複数の粒子と、
隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料と、
を備えるエミッタ。
【請求項2】
ポリマ材料が多孔質ポリマモノリスを形成する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項3】
ポリマ材料が実質的に非多孔質のマトリクスを形成する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項4】
ポリマ材料がポリオレフィンである、請求項1記載のエミッタ。
【請求項5】
ポリオレフィンがポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項4記載のエミッタ。
【請求項6】
粒子の表面積の相当量がポリマにより被覆されておらず、試料と相互作用することができる、請求項1記載のエミッタ。
【請求項7】
粒子が、無機酸化物、金属酸化物、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、化学的に結合された無機酸化物、化学的に結合された金属酸化物、オルガノシロキサン結合相、ヒドロシラン処理/ヒドロシル化結合相、ポリマコート無機酸化物、多孔質ポリマ、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、およびスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1記載のエミッタ。
【請求項8】
粒子が金属酸化物コートされている、請求項1記載のエミッタ。
【請求項9】
粒子がポリオレフィンを含む、請求項8記載のエミッタ。
【請求項10】
ポリオレフィンがポリスチレンである、請求項9記載のエミッタ。
【請求項11】
粒子がペプシン酵素によりコートされる、請求項10記載のエミッタ。
【請求項12】
粒子が磁性である、請求項10記載のエミッタ。
【請求項13】
粒子が常磁性である、請求項10記載のエミッタ。
【請求項14】
粒子が非多孔質粒子である、請求項1記載のエミッタ。
【請求項15】
粒子が多孔質粒子である、請求項1記載のエミッタ。
【請求項16】
粒子が、約100〜約300Åの範囲の直径を有する細孔を有する、請求項15記載のエミッタ。
【請求項17】
粒子が、300Åより大きな直径を有する細孔を有する、請求項15記載のエミッタ。
【請求項18】
粒子が、100Åより小さな直径を有する細孔を有する、請求項15記載のエミッタ。
【請求項19】
粒子が、約0.1μm〜約1000μmの範囲の直径を有する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項20】
粒子が、約0.3μm〜約600μmの範囲の直径を有する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項21】
粒子が、約0.5μm〜約300μmの範囲の直径を有する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項22】
チャネルが約0.2μm〜約30μmの範囲の直径を有する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項23】
チャネルが約0.5μm〜約10μmの範囲の直径を有する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項24】
チャネルが約1.0μm〜約5.0μmの範囲の直径を有する、請求項1記載のエミッタ。
【請求項25】
少なくとも1つの粒子の表面が、チャネルを通って流れる試料の少なくとも1つの成分と相互作用するのに適している、請求項1記載のエミッタ。
【請求項26】
複数の粒子を含むための容器をさらに備える、請求項1記載のエミッタ。
【請求項27】
容器がキャピラリーである、請求項26記載のエミッタ。
【請求項28】
キャピラリーが約0.2〜約1000μmの内径を有する、請求項27記載のエミッタ。
【請求項29】
キャピラリーが約30〜約500μmの内径を有する、請求項27記載のエミッタ。
【請求項30】
キャピラリーが約50〜約250μmの内径を有する、請求項27記載のエミッタ。
【請求項31】
キャピラリーが約1〜約100μmの内径を有する、請求項27記載のエミッタ。
【請求項32】
ポリマ材料により実質的に閉塞されず、質量分析による分析に適した試料を提供する複数のチャネルを集合的に形成する複数の粒子と、
隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料と、
を備えるエミッタの使用。
【請求項33】
質量分析がマイクロ-エレクトロスプレイ質量分析である、請求項32記載の使用。
【請求項34】
質量分析がナノ-エレクトロスプレイ質量分析である、請求項32記載の使用。
【請求項35】
集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および
隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、
を含み、
チャネルがポリマ材料により実質的に閉塞されない、組成物。
【請求項36】
ポリマ材料が多孔質ポリマモノリスを形成する、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
ポリマ材料が実質的に非多孔質のマトリクスを形成する、請求項35記載の組成物。
【請求項38】
ポリマ材料がポリオレフィンである、請求項35記載の組成物。
【請求項39】
ポリマ材料がポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項38記載の組成物。
【請求項40】
粒子の表面積の相当量がポリマにより被覆されておらず、試料と相互作用することができる、請求項35記載の組成物。
【請求項41】
粒子が、無機酸化物、金属酸化物、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、化学的に結合された無機酸化物、化学的に結合された金属酸化物、オルガノシロキサン結合相、ヒドロシラン処理/ヒドロシル化結合相、ポリマコート無機酸化物、多孔質ポリマ、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、およびスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項35記載の組成物。
【請求項42】
粒子が金属酸化物コートされている、請求項35記載の組成物。
【請求項43】
粒子がポリオレフィンを含む、請求項42記載の組成物。
【請求項44】
ポリオレフィンがポリスチレンである、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
粒子がペプシン酵素によりコートされる、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
粒子が磁性である、請求項44記載の組成物。
【請求項47】
粒子が常磁性である、請求項44記載の組成物。
【請求項48】
粒子が非多孔質粒子である、請求項35記載の組成物。
【請求項49】
粒子が多孔質粒子である、請求項35記載の組成物。
【請求項50】
粒子が、約100〜約300Åの範囲の直径を有する細孔を有する、請求項49記載の組成物。
【請求項51】
粒子が、300Åより大きな直径を有する細孔を有する、請求項49記載の組成物。
【請求項52】
粒子が、100Åより小さな直径を有する細孔を有する、請求項49記載の組成物。
【請求項53】
粒子が、約0.1μm〜約1000μmの範囲の直径を有する、請求項35記載の組成物。
【請求項54】
粒子が、約0.3μm〜約600μmの範囲の直径を有する、請求項35記載の組成物。
【請求項55】
粒子が、約0.5μm〜約300μmの範囲の直径を有する、請求項35記載の組成物。
【請求項56】
チャネルが約0.2μm〜約30μmの範囲の直径を有する、請求項35記載の組成物。
【請求項57】
チャネルが約0.5μm〜約10μmの範囲の直径を有する、請求項35記載の組成物。
【請求項58】
チャネルが約1.0μm〜約5.0μmの範囲の直径を有する、請求項35記載の組成物。
【請求項59】
少なくとも1つの粒子の表面が、チャネルを通って流れる試料の少なくとも1つの成分と相互作用するのに適している、請求項35記載の組成物。
【請求項60】
複数の粒子を含むための容器をさらに備える、請求項35記載の組成物。
【請求項61】
容器がキャピラリーである、請求項60記載の組成物。
【請求項62】
キャピラリーが約0.2〜約1000μmの内径を有する、請求項61記載の組成物。
【請求項63】
キャピラリーが約30〜約500μmの内径を有する、請求項61記載の組成物。
【請求項64】
キャピラリーが約50〜約250μmの内径を有する、請求項61記載の組成物。
【請求項65】
キャピラリーが約1〜約100μmの内径を有する、請求項61記載の組成物。
【請求項66】
集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および
隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、
を含み、
チャネルがポリマ材料により実質的に閉塞されず、質量分析による分析に適した試料を提供する、組成物の使用。
【請求項67】
集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および
隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、
を含み、
チャネルがポリマ材料により実質的に閉塞されず、試料の成分を分離する、組成物の使用。
【請求項68】
a.粒子、モノマ、および光開始剤を、少なくとも部分的に光を透過させる格納容器に導入する工程、および
b.格納容器を光に曝露する工程、
を含む、集合的に複数のチャネルを形成する複数の粒子、および、隣接する粒子の少なくとも一部の間で接着配置されたポリマ材料、を含み、チャネルがポリマ材料により実質的に閉塞されない、組成物を製造するための方法。
【請求項69】
格納容器が、組成物が紫外光に露出(accessible)できる少なくとも1つのセクションおよび組成物が紫外光から保護される少なくとも1つのセクションを備える、請求項68記載の方法。
【請求項70】
請求項68記載の方法に製造された生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2008−532019(P2008−532019A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557296(P2007−557296)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000283
【国際公開番号】WO2006/092043
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】