説明

ポリリン酸を除去することによるポリベンザゾール繊維の製造方法

本発明は、ポリベンザゾール(PBZ)繊維、およびポリベンザゾールドープフィラメントからポリリン酸を除去する方法に関する。本発明は、さらに、本発明の繊維を組み込んだ糸、布帛および物品、ならびにかかる糸、布帛および物品の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンザゾール(PBZ)繊維、およびかかる繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリベンザゾール(PBZ)ポリマーから作製した繊維は、まず、ポリマー「ドープ」と呼ばれる溶媒酸中のポリマー溶液をダイまたは紡糸口金を通して押し出す、または紡糸し、ドープフィラメントを作製または紡糸することにより作製される。ドープフィラメントを、伸張させて、または伸張させずに、エアギャップを介して延伸し、水または水と溶媒酸との混合物を含んでなる浴で凝固させる。多数の繊維を同時に押し出す場合には、凝固工程中または凝固工程後にそれらをマルチフィラメント糸へと組み合わせてもよい。繊維または糸を洗浄して、溶媒酸の大半を除去し、乾燥する。引張り強度のような、かかる繊維および糸の物理特性は比較的高いことが知られている。
【0003】
ポリベンザゾールポリマー、繊維および糸をはじめとするそれから作成された製品、ならびにその製造方法は、例えば、特許文献1(1985年8月6日、ウルフ(Wolfe)ら)、特許文献2(1987年10月27日、ウルフ(Wolfe)ら)、特許文献3(1992年2月18日、グレゴリー(Gregory)ら)、特許文献4(1988年9月20日、シルバート(Sybert)ら、特許文献5(1992年8月11日、ハリス(Harris)ら)、特許文献6(1994年1月4日、ローゼンベルク(Rosenberg)ら)に開示されている。周知のポリベンザゾールは、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリベンズチアゾール(PBT)およびポリベンズイミダゾール(PBI)である。
【0004】
ポリリン酸溶液から紡糸されたPBOは、熱い湿った空気の中ではその引張り強度が失われることが分かっている。PBOは、80℃の湿った空気中で80日間に、その強度の40%もを失う。東洋紡績株式会社(Toyobo Co.,Ltd.)発行の2001年9月改訂のザイロン(ZYLON)(登録商標)技術情報速報(Technical Information Bulletin)を参照のこと。これは、PBO製の防弾チョッキのような生命保護物品の耐用年数を縮める。
【0005】
特許文献7(1996年6月11日、セン(Sen)ら)には、ポリベンザゾールドープフィラメントからポリリン酸を洗浄して、繊維または糸の初期引張り強度を改善し、かつ、光および/または高温に暴露した後の繊維または糸の引張り強度の保持を改善するプロセスが開示されている。
【0006】
特許文献8(2004年3月11日公開、東洋紡株式会社、黒木忠雄)には、高温および高湿に長期間暴露した後のポリベンザゾール繊維の強度保持を改善するプロセスが開示されている。最終繊維は、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンおよびこれらの混合物から選択されるモノマーまたはモノマーの縮合物の形態で塩基有機化合物を含有する。ガイドオイリング法、シャワー法または浸漬法を用いて、塩基性有機化合物を繊維に添加し、繊維を乾燥する前に繊維の空隙を充填する。公報には、塩基性有機化合物が繊維の空隙を充填すると、繊維が高温および高湿に長期間にわたって暴露されたときに、外部のストリームがポリベンザゾール分子に達する可能性が減じると説明されている。さらに、繊維が乾燥した後に溶媒がポリベンザゾール繊維に残り、かかる除去されなかった溶媒は後に塩基により中和されて、経時による繊維強度の喪失が減じると説明されている。
【0007】
特許文献9(2004年3月11日公開、東洋紡株式会社、黒木忠雄)には、高温および高湿に長期間暴露した後のポリベンザゾール繊維の強度保持を改善するプロセスが開示されている。このプロセスは、耐高熱および200℃以上の熱分解温度の有機顔料を添加して、ポリマーの重合中または後いつでも繊維の空隙を充填するものである。前述の日本の公報と同様に、この公報では、塩基性有機化合物が繊維の空隙を充填すると、繊維が高温および高湿に長期間にわたって暴露されたときに、外部のストリームがポリベンザゾール分子に達する可能性が減じると説明されている。さらに、繊維が乾燥した後に溶媒がポリベンザゾール繊維に残り、かかる除去されなかった溶媒は後に有機顔料により中和されて、経時による繊維強度の喪失が減じると説明されている。
【0008】
しかしながら、乾燥したポリベンザゾール繊維の強度を保持するのにさらなる改善が望まれている。
【0009】
本発明のこれらおよびその他の目的は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,533,693号明細書
【特許文献2】米国特許第4,703,103号明細書
【特許文献3】米国特許第5,089,591号明細書
【特許文献4】米国特許第4,772,678号明細書
【特許文献5】米国特許第4,847,350号明細書
【特許文献6】米国特許第5,276,128号明細書
【特許文献7】米国特許第5,525,638号明細書
【特許文献8】特開2004−076214号公報
【特許文献9】特開2004−076213号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(a)ドープフィラメントの凝固中または凝固直後に、凝固したドープフィラメントを水、または水とポリリン酸との混合物を含有する洗浄液とポリリン酸を加水分解するのに十分な条件下で接触させる工程と、(b)凝固ドープフィラメントを、水と有効量の塩基とを含有する中和溶液とフィラメント中のポリリン酸を塩基と酸の塩まで中和するのに十分な条件下で接触させる工程とを含んでなり、得られたフィラメントのフィラメント中の含有ポリリン酸の平均重合度が1.5未満または1.5に等しいようにする、ポリベンザゾールドープフィラメントからポリリン酸を除去する方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、ポリベンザゾールと、平均重合度が1.5未満または1.5に等しい、ポリリン酸と塩基の塩とを含んでなるフィラメントに関する。
【0013】
本発明はさらに、本発明のフィラメントを含有する糸、布帛および物品に関する。
【0014】
本発明は、後述する添付の図面に関連した本発明の詳細な説明からより完全に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ポリベンザゾール(PBZ)フィラメント、およびかかるフィラメントの製造方法に関する。本発明は、さらに、本発明のフィラメントを組み込んだ糸、布帛および物品、ならびにかかる糸、布帛および物品の製造方法に関する。
【0016】
本発明のフィラメントは、ポリベンザゾール(PBZ)ポリマーから作製される。本明細書において、「フィラメント」という用語は、その長さに垂直なその断面領域を超えて、長さ対幅の比が高い、比較的可撓性のある巨視的に均一な物体として定義される。フィラメント断面は、任意の形状とすることができるが、一般的には円形である。本明細書において、「フィラメント」という用語は、「繊維」という用語と同じ意味で用いられる。
【0017】
本明細書で用いる「ポリベンザゾール」という用語は、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリベンズチアゾール(PBT)およびポリベンズイミダゾール(PBI)のホモポリマーまたはコポリマーのことを指す。好適なポリベンザゾールホモポリマーおよびコポリマーは、米国特許第4,533,693号明細書(1985年8月6日、ウルフ(Wolfe)ら)、米国特許第4,703,103号明細書(1987年10月27日、ウルフ(Wolfe)ら)、米国特許第5,089,591号明細書(1992年2月18日、グレゴリー(Gregory)ら)、米国特許第4,772,678号明細書(1988年9月20日、シルバート(Sybert)ら、米国特許第4,847,350号明細書(1992年8月11日、ハリス(Harris)ら)、米国特許第5,276,128号明細書(1994年1月4日、ローゼンベルク(Rosenberg)ら)に記載されたような公知の手順により作製することができる。好適なポリベンザゾールとしては、ポリ(ベンゾビスイミダゾール)をはじめとするポリ(ベンズイミダゾール)、ポリ(ベンゾビスチアゾール)をはじめとするポリ(ベンゾチアゾール)およびポリ(ベンゾビスオキサゾール)をはじめとするポリ(ベンズオキサゾール)が挙げられる。まとめると、好適なモノマーは非酸化および脱水酸の溶液中で、激しく混合し、約120℃程度から少なくとも約190℃まで段階的または傾斜的に温度を上げながら、非酸化雰囲気下で反応させる。ポリベンザゾールポリマーは、剛性ロッド、半剛性ロッドまたは可撓性コイルとすることができる。その濃度が臨界濃度を超えると、溶液中で液晶ドメインを形成するリオトロピック液晶ポリマーが好ましい。25℃でのメタンスルホン酸中の剛性ポリベンザゾールポリマーの固有粘度は、好ましくは少なくとも約10dl/g、より好ましくは少なくとも約15dL/g、最も好ましくは少なくとも約20dL/gである。
【0018】
図1を参照すると、ポリマーが、ポリリン酸のような溶剤に溶解して、ポリマードープまたは紡糸溶液2を形成している。ドープ溶液2は、ポリマーが押出しおよび凝固後に許容されるフィラメント6を形成するだけの十分に高濃度のポリマーを含有していなければならない。ポリマーがリオトロピック液晶のときは、ドープ2のポリマー濃度は、液晶ドープを与えるのに十分高いのが好ましい。ポリマーの濃度は、好ましくは少なくとも約7重量パーセント、より好ましくは少なくとも約10重量パーセント、最も好ましくは少なくとも約14重量パーセントである。最大濃度は、主に、ポリマー溶解度およびドープ粘度のような実際的な因子により制限される。ポリマーの濃度は、好ましくは30重量パーセント以下、より好ましくは約20重量パーセント以下である。
【0019】
ポリマードープ溶液2は、一般的に組み込まれる酸化防止剤、潤滑剤、紫外線遮蔽剤、着色剤等のような添加剤を含有することができる。
【0020】
ポリマードープ溶液2は、ダイまたは紡糸口金4を通して押出しまたは紡糸されて、ドープフィラメント6を作製または紡糸する。紡糸口金4は、複数の穴を含んでいるのが好ましい。紡糸口金の穴の数およびその配列は本発明には重要ではないが、経済的な理由から穴の数は最大にするのが望ましい。紡糸口金4は、100または1000以上含んでなることができ、円形、格子またはその他望ましい配列で配列してよい。紡糸口金4は、ステンレス鋼のような、ドープ溶液2により劣化しない通常の材料から構築することができる。
【0021】
紡糸口金4から出たドープ溶液2は、紡糸口金4と凝固浴10との間のギャップ8に入る。ギャップ8は、一般的に「エアギャップ」と呼ばれる。ただし、空気を含有する必要はない。ギャップ8は、空気、窒素、アルゴン、ヘリウムまたは二酸化炭素のような、ドープの凝固を引き起こさず、ドープと反応して悪影響を及ぼさない任意の流体を含有していてよい。ドープフィラメント6は、伸張させて、または伸張させずに、エアギャップ8を介して延伸させる。ドープフィラメント6は、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約40、さらに好ましくは少なくとも約50、最も好ましくは少なくとも約60の紡糸−延伸比まで延伸させる。紡糸−延伸比は、本出願においては、フィラメントの巻取り速度と、紡糸口金4のドープの毛管速度との間の比として定義される。紡糸口金穴壁の剪断速度は、好ましくは約1800〜6500s−1の範囲である。延伸は、所望の直径を有するフィラメントを与えるのに十分なものとする。
【0022】
次に、フィラメント6は、水、または水とポリリン酸との混合物を含有する凝固浴10にて「凝固」させ、十分にポリリン酸を除去して、後の処理中にフィラメント6が実質的に伸張されるのを防ぐ。多数の繊維を同時に押し出す場合には、凝固工程前、凝固工程中または凝固工程後にそれらをマルチフィラメント糸へと組み合わせてもよい。本明細書で用いる「凝固」という用語は、ドープフィラメント6が流れる液体であって、固体相へと変化することを必ずしも暗示するものではない。ドープフィラメント6は、凝固浴10に入る前は実質的に流れないよう十分に低い温度とすることができる。しかしながら、凝固浴10は、フィラメントの凝固、すなわち、ドープ溶液2からのポリマーの実質的に固体のポリマーフィラメント12への変換を確実にしたり、完了させるものではない。凝固工程中に除去される溶媒、すなわち、ポリリン酸の量は、凝固浴にあるフィラメント6の残留時間、浴10の温度、および中にある溶媒の濃度に応じて異なる。例えば、約23℃の温度でポリリン酸の20重量パーセントの溶液を用いると、約1秒の滞留時間で、フィラメント6に存在する溶媒の約70パーセントが除去される。
【0023】
凝固浴10の温度は、好ましくは少なくとも約10℃、より好ましくは少なくとも約25℃、好ましくは約50℃以下、より好ましくは約40℃以下である。凝固浴10中のフィラメント6の滞留時間は、好ましくは少なくとも1秒、好ましくは約5秒以下である。凝固浴10中の酸の濃度は、好ましくは少なくとも約0.5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約20パーセント、好ましくは約40パーセント以下、より好ましくは約25パーセント以下である。連続プロセスについては、溶媒を出来る限りゆっくりと除去できるよう、実用域の低い温度および高い溶媒濃度を用いるのが好ましい。
【0024】
次に、凝固フィラメントまたは糸12を、1つもしくはそれ以上の洗浄工程において洗浄し、溶媒の大半をさらにフィラメントまたは糸12から除去する。フィラメントまたは糸12の洗浄は、フィラメントまたは糸12を水または水とポリリン酸との混合物(洗浄剤または洗浄液)に浸漬することにより行うことができるが、フィラメントを一連の浴および/または1つ以上の洗浄キャビネットに通すことにより連続プロセスで行うのが好ましい。図1に、1つの洗浄浴またはキャビネット14を示す。洗浄キャビネットは、一般的に、フィラメントがキャビネットを出る前に多数回移動する1本以上のロールを含有する密閉キャビネットを含んでなる。フィラメントまたは糸12がロール周囲を移動するにつれて、洗浄流体がスプレーされる。洗浄流体は、キャビネットの下部に連続的に集められ、そこから排出される。
【0025】
洗浄流体の温度は、好ましくは少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約50℃、好ましくは約120℃以下、より好ましくは約100℃以下である。洗浄流体はまた、蒸気形態(スチーム)で適用してもよいが、液体形態で用いるのがさらに便利である。洗浄浴またはキャビネット14のフィラメントまたは糸12の滞留時間は、フィラメントまたは糸12の残渣リンの所望の濃度に応じて異なるが、一般的な滞留時間は、約180秒〜約10日の範囲である。連続プロセスにおいて、凝固浴および洗浄浴および/またはキャビネットにおける時間を含んでなる全洗浄プロセスの期間は、好ましくは約200秒以下、より好ましくは10秒以下、約160秒以下である。バッチプロセスにおいて、凝固フィラメントは凝固浴10から取り出し、コアに巻き付けて、10日以上までという長い期間にわたって加水分解浴に入れて、適正な加水分解を確実なものとする。
【0026】
フィラメントまたは糸12の表面は、凝固工程開始後および洗浄工程が完了する前乾燥させないのが好ましい。理論に拘束されるものではないが、フィラメントまたは糸12の濡れた「決して乾燥しない」表面は、比較的多孔性で、フィラメントまたは糸12内側から残渣リンを洗い流す経路を提供するものと考えられる。一方、フィラメント内側の孔は、乾燥すると閉じて、再び濡れるまで開かないと考えられる。閉じた孔は、フィラメントまたは糸12内側の残渣リンを捕捉する。
【0027】
米国特許第5,525,638号明細書(1996年6月11日、セン(Sen)ら)には、フィラメントまたは糸からポリリン酸を約10,000重量ppm未満まで、好ましくは約4,000重量ppm未満まで洗い流した後、凝固フィラメントまたは糸を、例えば、中和浴において、フィラメントまたは糸12に存在するポリリン酸の少なくとも約50パーセントを無機塩基および酸の塩まで中和または変換するのに十分な条件下で、無機塩基の水溶液と接触させることが教示されている。米国特許第5,525,638号明細書には、これが、初期引張り強度が改善され、光および/または高温に暴露した後の引張り強度の保持の改善されたフィラメントまたは糸を与えるのに十分であることがさらに開示されている。
【0028】
本発明によれば、中和後の繊維の引張り強度を適切に保持するには、中和工程前に、ポリリン酸を完全または実質的に加水分解させる必要がある、ということを知見した。このように、本発明の第1の工程は、ドープフィラメント凝固中または凝固直後に、凝固したドープフィラメント12を、フィラメント中のポリリン酸を完全または実質的に加水分解させるのに十分な条件下で、水、または水とポリリン酸との混合物を含有する洗浄液(例えば、浴またはキャビネット14において)と接触させる。
【0029】
本発明の第2の工程は、第1の工程に続いて、凝固したフィラメントを、水と有効量の塩基を含有する中和溶液(例えば、浴またはキャビネット16において)と、フィラメント中のポリリン酸の十分量を塩基と酸の塩まで中和するのに十分な条件下で、接触させるものである。本発明によれば、得られるフィラメントは、1.5未満または1.5に等しいフィラメント中の含有ポリリン酸の平均重合度(平均DP)を有する。このように、本発明によれば、中和後のフィラメント中の含有ポリリン酸の平均重合度(平均DP)が1.5未満または1.5に等しいとき、ポリリン酸は「完全または実質的に」加水分解される。フィラメント中のポリリン酸の中和は、浴またはキャビネット16における中和溶液の中和溶液のpHの減少により明らかとなる。しかしながら、中和溶液中の塩基の量が、酸を中和するのに必要な量を遥かに超える場合は、pHの減少は検出できない。
【0030】
フィラメントの含有ポリリン酸の平均重合度(平均DP)は、式(M/P)=[(2+(平均DP))/(平均DP)](1)(式中、(M/P)はモル当量比である)を用いて平均DPを解くことにより求められる。モル当量比は、中和工程後のフィラメント中の塩基カチオン(M)とリン(P)の含量を測定することにより求められる。これは、中和されたフィラメント試料からアルカリカチオンとリンの元素分析を行うことによりなされる。この元素分析を行う一つの方法は、本明細書に試験方法という表題の後に記載してある。この特別な試験方法により、フィラメント中のアルカリカチオンとリンの含量がパーツパーミリオン(ppm)で与えられる。この場合は、ppmでの濃度をモルに変換し、次いで塩基カチオン対リンのモル当量比(M/P)を計算する。
【0031】
フィラメントに存在する塩基カチオン(M)とリン(P)のモル当量比(M/P)は好ましくは2.5〜3.4、より好ましくは2.5〜3.1、最も好ましくは2.8〜3.1である。
【0032】
ポリリン酸(PPA)は、本明細書においては以下の構造
【0033】
【化1】

【0034】
(式中、nは1〜12以上である)を有するものと定義される。この構造だと、nが1のときはモノマーリン酸であることに注意する。nが1を超えると、そのポリマー性により、フィラメント12中のPPAは、ポリベンザゾール(PBZ)と強い相関性があり、洗浄工程中のその除去または抽出は、モノマーリン酸を洗い流すより遥かに難しい。
【0035】
このように、凝固および/または洗浄工程中、フィラメント12中のPPAは、洗浄により効果的に抽出する前に、小さな断片または種へと加水分解する必要がある。加水分解により、PPAポリマー中の繰り返し単位の数nが減少する。
【0036】
ドープ溶液2を作製するのに用いるPPAは、異なる長さのPPA断片または種の分布を有している。理論に拘束されるものではないが、異なる長さのPPA断片または種のいくつかがフィラメント12にトラップされるものと考えられる。これらのトラップされたPPA断片の量およびサイズ分布は、凝固および/または洗浄工程中に適用される条件に応じて異なる。これらの異なる長さの断片を塩基により中和する場合は、フィラメント中の残渣PPA種は、用いた中和塩基がNaOHである場合、以下の式(3)により示される通り、酸と塩基の塩になる。
【0037】
【化2】

【0038】
1より大きなnの断片は洗い流すのが難しいため、通常の洗浄後、中和されたフィラメントにいくつかはトラップされたままとなる。しかしながら、中和工程後にフィラメントにトラップされたままのこれらのPPA塩断片は、布帛およびその他用途に用いられるが、水を周囲から吸収することにより、より小さな断片へと非常にゆっくりと加水分解され続けて、酸性プロトンを生成する。これを以下の式(4)および(5)に示す。式(4)において、出発PPAは、nが3である式(2)に示される通りである。水に暴露した後、加水分解が生じ、モノマーリン酸、およびnが2の場合はポリリン酸が得られる。モノマーリン酸とポリリン酸の両方とも、水酸末端基を有する酸性である。さらに、ポリリン酸の酸性水酸基によるモノマーリン酸への加水分解を式(5)に示す。
【0039】
【化3】

【0040】
布帛およびその他用途に用いるフィラメントに保持される、nが1を超える、これらPPA種は、繊維構造における潜在的な酸座位であり、これは周囲からの水分により加水分解されるのを待つ。このため、得られる繊維の長期安定性を得るには、中和の前に、PPAを小さな別個の単位へと加水分解することが重要である。我々は、この問題を、(a)ドープフィラメントを浴またはキャビネット14において、洗浄溶液と接触させて、PPAの全てまたは大半を加水分解し、(b)フィラメントを、水および有効量の塩基を含有する浴またはキャビネット16において、フィラメント中の十分量のポリリン酸を中和するのに十分な条件下で、中和溶液と接触させて、得られるフィラメントのフィラメント中の含有ポリリン酸の平均重合度が1.5未満または1.5に等しくなるようにすることにより解決した。
【0041】
本発明のこのプロセスにより、優れた初期特性を示し、適切に加水分解し、乾燥前に中和されていないフィラメントよりも、かかる中和されたフィラメントが高温および高湿に長期間にわたって暴露されても、これらの特性を遥かに長く保持するフィラメントが作製される。80パーセントの相対湿度で80℃の空気に80日間暴露すると、フィラメントはその強度の好ましくは少なくとも70%、その強度のより好ましくは少なくとも80%、その強度の最も好ましくは少なくとも90%を保持する。この80日の暴露試験前、フィラメントは少なくとも22グラム/dtex、より好ましくは少なくとも30グラム/dtex、最も好ましくは少なくとも44グラム/dtexである。
【0042】
トラップされたPPA断片を、凝固浴および/または洗浄工程において、凝固浴10および/または洗浄流体12の温度、および凝固浴10および/または洗浄流体12における滞留時間を制御することにより、十分に加水分解すると、1.5未満の平均重合度が得られる。
【0043】
工程(a)において、浴10および/または浴またはキャビネット12における洗浄液は、ポリリン酸の加水分解速度を増大するために、有効量の触媒を含有しているのが好ましい。好適な触媒としては、硝酸セリウム、硫酸銅(II)、ホスホリラーゼまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
好ましくは、工程(b)において、好適な塩基としては、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、Sr(OH)、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、CaCO、Ca(HCO)、CaO、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ピリジンおよびこれらの混合物が挙げられる。塩基は水溶性であるのが好ましい。
【0045】
工程(b)の後、本プロセスは、場合により、水を含有する洗浄液とフィラメントを接触させて、過剰の塩基を全てまたは実質的に全て除去する工程を含んでなる。この洗浄溶液は、洗浄浴またはキャビネット18において適用できる。
【0046】
次に、繊維または糸12を乾燥機20において乾燥して、水およびその他液体を除去する。乾燥機中の温度は、一般的に80℃〜130℃である。乾燥機滞留時間は、一般的に10〜60分である。乾燥機には、窒素またはその他非反応性雰囲気を与えることができる。繊維は、場合により、例えば、熱硬化装置22においてさらに処理することができる。これは、強度を増大し、かつ/またはフィラメント中の分子の機械的歪みを緩和するために、窒素パージ管炉22にて行うことができる。最終的に、フィラメントまたは糸12を巻上げ装置24でパッケージへと巻き上げる。ロールおよび動力化装置26を適切に配置して、フィラメントまたは糸をプロセスを通して搬送させる。
【0047】
得られるフィラメントは、(1)ポリベンザゾールと、(2)平均重合度が1.5未満または1.5に等しい、ポリリン酸と塩基の塩とを含んでなる。フィラメントに存在する塩基カチオン(M)とリン(P)のモル当量比(M/P)は好ましくは2.5〜3.4、より好ましくは2.5〜3.1、最も好ましくは2.8〜3.1である。
【0048】
好ましくは、フィラメントの線密度は20dtex以下、強度は1dtex当たり15〜50グラム、破断時伸びは少なくとも2%、弾性率は1dtex当たり少なくとも500グラムである。
【0049】
凝固したフィラメントのリン含量は、好ましくは約5,000重量ppm未満、より好ましくは4,000重量ppm未満である。
【0050】
本発明は、さらに、本発明の複数のフィラメントを含んでなる糸、本発明のフィラメントまたは糸を含んでなる布帛、および本発明の布帛を含んでなる物品に関する。本明細書において、「布帛」とは、織、ニットまたは不織構造を意味する。「織」とは、平織り、クロウフット織り、バスケット織、サテン織り、ツイル織り等のような布帛の織り方を意味する。平織りが最も一般的である。「ニット」とは、1つ以上の端部、繊維またはマルチフィラメント糸をインターループまたはインターメッシュすることにより作製された構造を意味する。「不織」とは、単方向繊維(マトリックス樹脂中に含有されている場合)、フェルト等をはじめとする繊維の網目構造を意味する。物品としては、保護衣服、ロープ、タープ、帆等のような最終用途が挙げられる。
【0051】
試験方法
以下の試験方法を以下の実施例で用いた。
【0052】
温度:温度は全てセルシウス度(℃)で測定される。
【0053】
デニールは、ASTM D1577に従って求められ、繊維9000メートルのグラム当たりの重量で表される繊維の線密度である。デニールは、ドイツ、ミュンヘンのテックステクノ(Textechno、Munich,Germany)製振動計で測定することができる。デニール時間(10/9)はデシテックス(dtex)に等しい。
【0054】
強度は、ASTM D3822に従って求められ、単位断面積当たりの力として表される繊維の最大または破断応力である。強度は、マサチューセッツ州、カントンのインストロン(Instron、Canton、Massachusetts)より入手可能なインストロン(Instron)型番1130で測定することができ、1デニール当たりのグラム(1dtex当たりのグラム)で記録される。
【0055】
元素分析:アルカリカチオン(M)とリン(P)の元素分析は、次の通り、誘導結合プラズマ(ICP)に従って求める。2〜3グラムの繊維試料を500mlの沸騰水で5分間洗浄し、105℃の真空オーブンで1時間乾燥させる。試料1〜2グラムを正確に秤量し、CEMスター(CEM Star)6マイクロ波システムの石英容器に入れる。5mlの濃硫酸を添加し、濡れるまで掻き混ぜる。容器に凝縮器を接続し、温炭化法を用いて蒸解する。この方法には、試料を260℃までの様々な温度まで加熱して、有機材料を炭化することが含まれる。硝酸のアリコートを、蒸解の様々な段階で計器により自動的に添加する。透明な液体の最終蒸解物を室温まで冷やし、50mlまで脱イオン水で希釈する。
【0056】
溶液は、パーキンエルマー(Perkin Elmer)のオプティマ誘導結合プラズマ装置でメーカー推奨の条件および設定を用いて分析することができる。合計で26の異なる元素を、1試料当たりいくつかの異なる波長で分析することができる。ナトリウムやリンのような特定の元素には1/10の希釈が必要である。較正標準は1〜10ppmである。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであって、決してこれに限定されるものとは解釈されない。特に断らない限り、部およびパーセンテージはすべて重量基準である。
【0058】
本発明の連続プロセス 実施例1
本発明のこの実施例において、固有粘度が30〜34の、ポリリン酸(「PPA」)中14重量パーセントのポリベンズオキサゾール(「PBO」)溶液を、連続プロセスにおいて作製する。図1を参照すると、PBOフィラメント6は、約165℃の温度で、紡糸口金4から、凝固浴10へと押し出され、マルチフィラメント繊維12と組み合わせられる。繊維12は、酸含量が約20重量パーセントの水とリン酸の凝固浴10において凝固される。滞留時間は約1秒であり、浴温度は摂氏約10度である。凝固後、繊維12を堆積チャンバ14に供給し、酸含量が約10重量パーセント未満の水とリン酸の溶液と接触させる。滞留時間は約60秒であり、浴温度は摂氏約90度である。繊維12を第2のチャンバ16に供給し、塩基含量が約0.5重量パーセントの水と水酸化ナトリウムの溶液と接触させる。滞留時間は約30秒であり、浴温度は摂氏約25度である。繊維12を第3のチャンバ18に供給し、水と接触させる。滞留時間は約30秒であり、浴温度は摂氏約25度である。繊維12を乾燥機20において乾燥し、巻上げ装置24でパッケージへと巻き上げる。
【0059】
この手順により作製された繊維を元素分析により分析する。ppm値をモルに変換する。モル当量比(M/P)を計算する。平均重合度(平均DP)を式2を用いて計算する。巻上げ直後の初期強度を求める。繊維のかせを、摂氏80度の温度、80パーセントの相対湿度で張力をかけずに80日間、ウェザロメーターに入れる。この暴露試験後の強度を求める。例示の結果を下記の表1に示す。
【0060】
本発明の連続プロセス 実施例2
本発明のこの実施例において、堆積チャンバにおける滞留時間を減少する以外は、手順は実施例1と同じである。例示の結果を下記の表1に示す。
【0061】
本発明の連続プロセス 実施例3
本発明のこの実施例において、堆積チャンバにおける滞留時間を減少する以外は、手順は実施例2と同じである。例示の結果を下記の表1に示す。
【0062】
本発明の連続プロセス 実施例4
本発明のこの実施例において、工程(a)における洗浄チャンバに、硝酸セリウムが1重量パーセントの量で含まれている以外は、手順は実施例1と同じである。堆積チャンバにおける滞留時間が減少する。
【0063】
本発明のバッチプロセス 実施例5
本発明のこの実施例において、固有粘度が30〜34の、ポリリン酸(「PPA」)中14重量パーセントのポリベンズオキサゾール(「PBO」)溶液を、バッチプロセスにおいて作製する。図1を参照すると、PBOフィラメント6は、約165℃の温度で、紡糸口金4から、凝固浴10へと押し出され、マルチフィラメント繊維12と組み合わせられている。繊維12は、酸含量が約20重量パーセントの水とリン酸の凝固浴10において凝固される。滞留時間は約1秒であり、浴温度は摂氏約10度である。凝固後、繊維12を、酸含量が約10重量パーセント未満の水とリン酸の第1の浴14に入れる。滞留時間は約75秒であり、浴温度は摂氏約90度である。繊維12を、塩基含量が約0.5重量パーセントの水と水酸化ナトリウムの第2の浴16に入れる。滞留時間は約5秒であり、浴温度は摂氏約25度である。繊維12をpHが約7の水の第3の浴18に入れる。滞留時間は約5秒であり、浴温度は摂氏約25度である。すると、繊維12を乾燥し処理することができる。
【0064】
実施例1で行った測定および計算を、本実施例5から得られた繊維で行うことができる。例示の結果を表1に示す。
【0065】
本発明のバッチプロセス 実施例6
本発明のこの実施例において、第2の浴において、硝酸セリウムが1重量パーセントの量で含まれている以外は、手順は実施例5と同じである。滞留時間を減じる。
【0066】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ドープフィラメントの凝固中または凝固直後に、凝固したドープフィラメントを水、または水とポリリン酸との混合物を含有する洗浄液とポリリン酸を加水分解するのに十分な条件下で接触させる工程と、
(b)凝固ドープフィラメントを、水と有効量の塩基とを含有する中和溶液と、フィラメント中のポリリン酸を塩基と酸の塩まで中和するのに十分な条件下で接触させる工程と
を含んでなり、
得られたフィラメントにおけるフィラメント中の含有ポリリン酸の平均重合度が1.5未満または1.5に等しいようにする、ポリベンザゾールドープフィラメントからポリリン酸を除去する方法。
【請求項2】
ドープフィラメント中のポリリン酸の中和が、中和溶液のpHの減少により明らかである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中和されたフィラメント中に存在する塩基カチオン(M)とリン(P)のモル当量比(M/P)が2.5〜3.4である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、第1の溶液が、ポリリン酸の加水分解速度を増大するために、硝酸セリウム、硫酸銅(II)、ホスホリラーゼおよびこれらの混合物よりなる群から選択される有効量の触媒を含有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリリン酸が、式HO−[−HPO−]−H(式中、nは1〜12である)のポリマーおよび/またはモノマー種を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリベンザゾールドープフィラメントが、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)およびポリベンズイミダゾール(PBI)よりなる群から選択されるホモポリマーまたはコポリマーを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、
(c)工程(b)の後、水を含有する洗浄液とフィラメントを接触させて、過剰の塩基を全てまたは実質的に除去する工程
を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)において、洗浄液が50°〜120℃であり、凝固したドープフィラメントの洗浄液と接触する時間が10秒〜10日である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)において、塩基は、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、Sr(OH)、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、CaCO、Ca(HCO)、CaO、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ピリジンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載のフィラメントを組み込んだ糸、布帛または物品を製造する方法。
【請求項11】
ポリベンザゾールと、
平均重合度が1.5未満または1.5に等しい、ポリリン酸と塩基の塩と
を含んでなるフィラメント。
【請求項12】
フィラメント中に存在する塩基カチオン(M)とリン(P)のモル当量比(M/P)が2.5〜3.4である請求項11に記載のフィラメント。
【請求項13】
ポリベンザゾールフィラメントが、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)およびポリベンズイミダゾール(PBI)よりなる群から選択されるホモポリマーまたはコポリマーを含んでなる請求項11に記載のフィラメント。
【請求項14】
さらに、線密度が20dtex以下、強度が1dtex当たり15〜50グラム、破断時伸びが少なくとも2%、弾性率が1dtex当たり少なくとも500グラムである請求項11に記載のフィラメント。
【請求項15】
塩基は、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、Sr(OH)、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、CaCO、Ca(HCO)、CaO、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ピリジンおよびこれらの混合物よりなる群から選択される請求項11に記載のフィラメント。
【請求項16】
凝固フィラメントのリン含量が約5,000重量ppm未満である請求項11に記載のフィラメント。
【請求項17】
水溶性の塩基をさらに含んでなる請求項11に記載のフィラメント。
【請求項18】
フィラメントが、80パーセントの相対湿度で80℃の空気に80日間暴露されたときに、その強度の少なくとも70%を保持する請求項18に記載のフィラメント。
【請求項19】
フィラメントの強度が80日の暴露前に少なくとも22グラム/dtexである請求項18に記載のフィラメント。
【請求項20】
複数の請求項11に記載のフィラメントを含んでなる糸。
【請求項21】
請求項20に記載の糸を含有する布帛。
【請求項22】
請求項20に記載の糸を含有する物品。

【図1】
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【公表番号】特表2008−507637(P2008−507637A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522690(P2007−522690)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/025717
【国際公開番号】WO2006/014718
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】