ポリープトラップ
【課題】操作が簡単であり、一回の挿管の間に複数のポリープの回収を可能にし、そして、一回の使用に見合うに十分安価である、ポリープトラップを提供すること。
【解決手段】本発明は、医療処置の間に、組織を捕捉するためのデバイスを提供し、このデバイスは、a)入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する収集容器;および、b)第1の部分と第2の部分とを有する取り外し可能なトレイであって、トレイは、収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、収集容器から離れた引き戻された位置との間で、側壁開口部内を移動するためのサイズになっている、トレイ;を備え、トレイの第2の部分は、吸引下で入口ポートから出口ポートへと移動する流体がトレイを通過するように、有孔の表面を有する。
【解決手段】本発明は、医療処置の間に、組織を捕捉するためのデバイスを提供し、このデバイスは、a)入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する収集容器;および、b)第1の部分と第2の部分とを有する取り外し可能なトレイであって、トレイは、収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、収集容器から離れた引き戻された位置との間で、側壁開口部内を移動するためのサイズになっている、トレイ;を備え、トレイの第2の部分は、吸引下で入口ポートから出口ポートへと移動する流体がトレイを通過するように、有孔の表面を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この非仮出願は、2006年2月10日に出願された、発明の名称「Polyp Trap」の、米国仮特許出願第60/772,330号の利益を主張し、この仮出願の開示全体は、本願と矛盾しない程度まで、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ポリープトラップに関し、そして、内視鏡手順の間に除去されるポリープを捕捉する際に使用するためのポリープトラップに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
外科医は、慣用的に、種々の理由のために患者から組織サンプルを除去したり、回収したりするための手順を行なう。一つのこのような手順は、患者の胃腸壁からのポリープの除去および回収である。例示的な手順において、ポリープの除去および回収において、内視鏡が使用される。内視鏡は、患者の食道を通して挿入され、代表的な手順が開始される。内視鏡は、可撓性であり、そして、代表的には、光学的な特徴および照明の特徴を有する。このような手順において、ポリープが切断されるか、他の方法で、胃腸壁から切り取られた後に、ポリープは、スネアによって機械的に回収されるか、または、吸引によって除去される。
【0004】
ポリープを回収するための先行技術の解決方法は、多くの制限を有する。スネアによる回収は、時間がかかり、そして、内視鏡を取り外すことなく回収され得るポリープの量を制限する。吸引による回収は、ポリープを回収するために、外科医、看護士または技術者が、内視鏡の出口ポートと、吸引源との間の位置をモニターすることを必要とする。このような場所において、ポリープトラップが使用され得る。先行技術のポリープトラップは、設計が複雑であるか、高価であるか、または、使用が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作が簡単であり、一回の挿管の間に複数のポリープの回収を可能にし、そして、一回の使用に見合うに十分安価である、ポリープトラップに対する必要性が、当該分野に残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
組織サンプルを収集する際に使用するための、ポリープトラップ。このデバイスは、収集容器と、取り外し可能なトレイとを備える。この収集容器は、入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する。この取り外し可能なトレイは、第1の端部と第2の端部とを有する。このトレイは、収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、収集容器から離れた引き戻された位置との間で、側壁開口部内を移動するようなサイズである。このトレイは、吸引下で入口ポートから出口ポートへと移動する流体がトレイを通過するように、有孔の底面を有する。
【0007】
本発明のいくつかの例示される実施形態において、内視鏡手順の間に除去されるポリープを捕捉するためのポリープトラップが、開示される。このポリープトラップは、収集容器と、取り外し可能なトレイとを備える。組み立てられた場合、この取り外し可能なトレイは、収集容器と密封状態を形成し、収集容器の入口ポートおよび出口ポートを通して吸引が引かれることを可能にする。
【0008】
例えば、本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(項目1)医療処置の間に、組織を捕捉するためのデバイスであって、該デバイスは、以下:
a)入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する収集容器;および
b)第1の部分と第2の部分とを有する取り外し可能なトレイであって、該トレイは、該収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、該収集容器から離れた引き戻された位置との間で、該側壁開口部内を移動するためのサイズになっている、トレイ;
を備え、
該トレイの該第2の部分は、吸引下で該入口ポートから該出口ポートへと移動する流体が該トレイを通過するように、有孔の表面を有する、デバイス。
(項目2)前記収集容器が、前記側壁開口部から内向きに延びる支持プラットフォームを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目3)前記トレイの少なくとも一部分が、前記挿入された位置にあるときに、前記支持プラットフォーム上にある、項目2に記載のデバイス。
(項目4)前記内部支持プラットフォームが、トラフを規定し、そして、該トレイは、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該トラフの少なくとも一部分と係合するようなサイズの突出した隆起部分を備える、項目2に記載のデバイス。
(項目5)前記収集容器が、前記トレイが前記挿入された位置にある間に前記トレイの有孔の表面の上に配置される拡大部分を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目6)前記収集容器が透明である、項目1に記載のデバイス。
(項目7)前記収集容器が、該収集容器内の流体の流れに影響を与えるために、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に、側壁から内向きに延びるダムを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目8)前記トレイの前記第1の部分が、ハンドルを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目9)前記ハンドルが、圧搾できる外側表面を備え、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該ハンドルを圧搾することにより、該トレイと前記収集容器との間の前記密封状態を解放する、項目8に記載のデバイス。
(項目10)前記トレイの前記第2の部分が、バスケットを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目11)前記バスケットの底面が、近位の平坦な表面と遠位の傾斜した表面とを有する、項目10に記載のデバイス。
(項目12)前記バスケットの底面が、細長の駆動隆起部分を備える、項目10に記載のデバイス。
(項目13)前記トレイが、一連の寸法マーキングを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目14)項目1に記載のデバイスであって、該デバイスは、入口ポートと出口ポートとを有する弁、および、チューブを備え、該チューブは、該弁の出口ポートと、前記収集容器の入口ポートとの間で接続されている、デバイス。
(項目15)前記弁は、機器のポートを備える、項目14に記載のデバイス。
(項目16)前記弁は、洗浄ポートおよび洗浄ラインを備える、項目14に記載のデバイス。
(項目17)項目1に記載のデバイスであって、該デバイスは、照射システムを備え、該照射システムは、スイッチと、該スイッチと電気的に接続された電源と、該電源と電気的に接続された光源とを備え、前記収集容器内への前記トレイの挿入により、該システムが作動されて、該光源を照射する、デバイス。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる、以下の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
発明の詳細な説明は、単に、本発明の実施形態を記載するものであり、特許請求の範囲を多少なりとも制限することは意図されない。実際、記載される本発明は、好ましい実施形態よりも広く、かつ、好ましい実施形態によって制限されず、そして、使用される用語は、その通常の意味全てを有する。
【0011】
内視鏡的手順の間に、外科医は、しばしば、ポリープ、または、患者の胃腸壁における他の異常な組織の増殖として同定された組織を位置決めする。このようなポリープの分析は、診断的な理由から有益であり得る。ポリープは、種々の切断技術によって、胃腸壁から除去され得る。ポリープを切断した後、組織は、内視鏡機器のチャネルを通して、体外へと吸引され得る。ポリープトラップは、除去されたポリープを捕捉するために、内視鏡から下流に配置される、当該分野で公知のデバイスである。
【0012】
ここで、図面を参照すると、図1および図2は、収集容器12と、取り外し可能なトレイ14とを備えるポリープトラップ10の斜視図である。図1は、収集容器12内の開口部16内へと完全に挿入された位置までスライドされている、トレイ14を有する組み立てられたポリープトラップ10を示す。図12に見られるように、開口部の通路は、収集容器12の内側に向かって幅および高さが狭くなっている。組み立てられた位置へと完全にスライドされると、取り外し可能なトレイ14は、収集容器12と密封状態を形成する。図2は、収集容器12から完全に引き戻された、取り外し可能なトレイ14を示す。
【0013】
収集容器12は、透明なプラスチックまたは他の透明な物質から構築され得る、6角の中空物体である。収集容器12は、上面を通る2つのポート24、26を有する。突出しているポートは、円錐の形状であり、そして、遠位端に向かって外径が狭くなっており、チュービングの圧力による適用(press−on)を容易にする。ポリープ、血液、および他の流体は、入口ポート24に取り付けられたチューブ28を通って、内視鏡(図示せず)から収集容器12に入る。この物質の一部分は、吸引下で、出口ポート26を通って収集容器12を出て、吸引源(図示せず)に向かってチューブ30内へと入る。特定の量の物質が、トレイの下の容器の底に残る。
【0014】
収集容器12は、図8および図12に最も良く見られるように、底面のリム32を備える。リムの基礎伏図は、その最大点において、収集容器本体よりも大きなサイズである。従って、収集容器12は、水平な表面上に直立して置かれ、そして、都合の良い使用者の人間工学を提供する。この底面は、収集容器の本体と一体であっても、図12に示されるような別個の部品であって、そして、接着剤または任意の他の適切な技術によって、本体に固定されていてもよい。
【0015】
収集容器12のサイズおよび形状は、性能を最適化するように設計される。具体的には、容器12は、吸引された液体が、トレイ表面からポリープを浮かせるようなレベルまで溜らないことを保証するように、最適な容量を有する。他の先行技術の設計は、過剰な液体容量の蓄積が生じた場合に、影響を受けやすい。さらに、出口ポート26は、ポリープトレイおよび入口ポート24から離れており、ポリープが収集容器の外に吸引されることを禁止する。図6に最も良く見られるように、垂直方向に下降するダム36が、この容器を、入口容量部分40と出口容量部分42とに分ける。このような構造は、ポリープが収集容器12の外に吸引されることをさらに禁止し、そして、容器を通って流れる流体を増加させると考えられる。血液および他の流体の移動は、ダム36によって多少方向付けられて、図6のポリープトラップ10を通るA1、A2およびA3の一般的な方向に従う。
【0016】
図面に示される収集容器のサイズ、形状、壁厚、入口ポートおよび出口ポートのサイズおよび形状、ならびに、任意の他の構造的特徴が、例示の目的のみのためのものであり、そして、これらおよび他の特徴が、本発明の実施において変動し得ることが、当業者によって理解されるべきである。
【0017】
取り外し可能なトレイ14は、入口ポート24を通して吸引されるポリープを捕捉するために使用される。トレイ14は、例えば、ポリープの固着に抵抗するポリマーのような、任意の適切な材料から構築され得る。さらに、トレイは、例えば、透明なトレイに比べ、ポリープに対して視覚的なコントラストを提供するために着色され得る。
【0018】
収集容器12から引き戻された、取り外し可能なトレイの斜視図が、図3に示される。取り外し可能なトレイ14の断面図は、図4に示される。トレイ14は、近位端に位置するハンドル50を有する。ハンドルは、操作者がトレイ14を操作する際に把持し得る、一連の蝶形状の突出した隆起部分52、54、56を備える。高さおよび幅が狭くなった接続部分57が、ハンドルの遠位に位置する。ハンドルによるトレイの取り扱いは、ポリープが入る、トレイの中央にあるバスケット58の滅菌性を維持する。外壁60は、ポリープ収集バスケット58を形成する。図4に示されるように、バスケットは、主要な部分に、本質的に平らな底面62を、そして、ハンドル50に関して遠位の部分に、傾斜した底面64を備える。図2および図3において最も良く見られるように、取り外し可能なトレイ14の底面62、64は、血液および他の流体が通過し得るように、有孔である。逆に、孔よりも直径の大きなポリープは、トレイ14を通過しない。
【0019】
収集容器12に入り、傾斜した表面64と接触するポリープは、吸引力および重力によって、平坦な表面62に向かう。一旦平坦な表面58上に来ると、ポリープは、長手軸方向の隆起部分70のいずれかの側に入り得る。隆起部分70は、例えば、1mmのような、等間隔になった一連のマーキング72を備える。外科医は、捕捉されたポリープのおおよそのサイズを確認するのに、このマーキング72に頼り得る。ポリープの所望の収集目的に依存して、最小サイズのポリープのみで十分であり得る。トレイはまた、マーキングの間隔に関して、寸法の印を備え得る。さらに、マーキングは、トレイの他の部分、または、収集容器の側壁に位置し得る。
【0020】
図面に示される取り外し可能なトレイのサイズ、形状、壁厚、任意の他の構造的特徴は、例示の目的のみのためのものであり、これらおよび他の特徴は、本発明の実施において変動し得ることは、当業者により理解されるべきである。
【0021】
ポリープトラップ10を用いる内視鏡手順の開始時に、取り外し可能なトレイ14は、収集容器12の垂直方向の側壁にある開口部16を通して、収集容器12内へと挿入される。この位置において、容器12とトレイ14との間に、密封状態が形成される。図8において最も良く見られるように、開口部16は、挿入および取り外しの間に、取り外し可能なトレイ14の底面にある、長手軸方向の中央にある隆起部分82を導くようなサイズの、底部トラフ80を備える。トラフ80は、収集容器12の側壁から、内向きおよび外向きに延びる。トラフは、挿入を容易にし、そして、90°または180°の角度で挿入しようとする試みを妨げる。前述のように、操作者は、挿入または取り外しの間に、取り外し可能なトレイ14を保持するために、フィンガーグリップハンドル50を使用し得る。フィンガーグリップハンドル50を圧搾することにより、取り外し可能なトレイ14と収集容器12との間の密封状態が壊れ、このことが、取り外しに役立つ。
【0022】
設置された位置にある取り外し可能なトレイの3つのさらなる図を、図6〜8に示す。前述のように、トレイは、吸引下で血液および他の流体が通過することができる、有孔の表面62、64を備える。あらゆる有意な直径のポリープが、取り外し可能なポリープ12内に捕捉される。捕捉された物質の視覚的な認識を改善するために、使用者は、収集容器12の拡大部分90を通してポリープを見て、捕捉されたポリープを観察し得る。このようにして、使用者は、目的とするポリープが回収されたことを確認して、ポリープのおおよそのサイズを確認するか、トレイの上流にある表面62、64の上に載るポリープの数を決定するか、または、任意の他の診断理由のために、ポリープを観察することができる。
【0023】
一旦同定されると、吸引源の電源が切られ、そして、取り外し可能なトレイ12が、手で取り外され得る。しかし、トレイの取り外しは、このシステムの吸引を壊すので、必ずしもトレイを取り外す前に吸引源の電源を切る必要はない。それにもかかわらず、容器へのトレイの密封によるフィットは、有利なことに、トレイを引き戻す間に、ワイパー作用をもたらす。結果として、ポリープは、容器には固着しないが、トレイ内に下向きに力を加えられる。取り外しには、他の機械的な工程は必要とされない。この設計は、使用者に、捕捉されたポリープへの迅速かつ容易なアクセスを提供する。このトレイは、次いで、捕捉されたポリープが、トレイからリンスして除かれ得るように、ホルマリン瓶の中に保持され得る。複数のポリープサンプルが必要とされる場合、第2のトレイを使用することにより、ポリープが第1のトレイから除去される間の中断なしに、内視鏡手順を進めることを可能にし得る。
【0024】
本発明の実施において、時折、取り外し可能なトレイ14のない収集容器12内の減圧を開始もしくは維持することが必要となる。図5は、開口部16内に設置された、プラグトレイ100を有する収集容器12の断面図である。プラグトレイ100は、収集容器12の側壁内の開口部16を密封するようなサイズの、垂直方向の端壁102を備える。このようにして、プラグトレイ100は、手順を開始する前に、収集容器内の減圧を維持するために使用され得る。この技術は、ポリープを除去する前に、過剰の血液および流体が、体内の作業部位から吸引されることを可能にする。さらに、一旦ポリープの除去が始まると、プラグトレイ102および取り外し可能なトレイ14は、断続的に複数のポリープを除去することを可能にするように、交互に使用され得る。プラグトレイはまた、例えば、エンドユーザ向けに梱包および発送する間の、収集容器内の滅菌領域の維持のような、他の目的のためにも有用である。プラグトレイ100は、ポート24、26もまた密封されている場合に、発送の間に、容器12内の真空を維持するために設置され得る。
【0025】
本発明の別の実施形態が、図9に例示される。入口ポート24と流体連絡する弁112を有するポリープトラップ110が示される。この弁は、収集容器に向けて入口チューブ114へと接続された出口ポート116を有する。このポリープトラップ110の使用は、入口チューブ114が、入口ポート118によって内視鏡の生検ポート入口に直接取り付けられることを可能にする。例示的な生検弁は、2005年5月25日に出願された、発明の名称「Irrigating Biopsy Inlet Valve」の、米国特許出願第11/137,636号に記載されており、この出願は、本願と矛盾しない程度まで、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0026】
内視鏡の生検ポート入口に、入口チューブ114を接続することによって、ポリープは、移動距離がより短くなり、そして、破壊の少ない状態で持ちこたえる。さらに、ポリープは、視認性が高まる。なぜならば、ポリープは、臍の上で外科医より後ろ側に来る近位の位置と比較して、内視鏡の遠位かつ視認性の部分に取り付けられた、入口チューブ114を移動するからである。ポリープトラップ110を使用するために、生検弁112は、吸引によってポリープを捕捉することを試みる前に、機器の交換用弁と置き換える。
【0027】
図10は、本発明のなお別の実施形態の側面図であり、機器の能力を有する弁132を有するポリープトラップ130を示す。弁132は、入口チューブ136に取り付けるための第1のポート134と、第2のポート140とを備える。第3のポート138は、入口ポート138によって内視鏡の生検ポートに接続されている。第2のポート140は、作業部位に挿入される機器(例えば、胃腸壁からポリープを切断するための鉗子)のためのアクセスを提供する。外科医が、吸引を行い、ポリープを回収することを望む場合、機器が取り外され、そして、キャップ144が、第2のポート140を密封するために使用される。テザー142が、キャップ144を弁本体に接続する。この手順は、生検弁132を内視鏡の生検ポート入口から取り外すことなく、繰り返され得る。
【0028】
別のポリープトレイ150が、図11に例示される。このポリープトレイ150は、洗浄および機器の能力を有する弁152を備える。この弁152は、入口チューブ156に取り付けるための第1のポート154と、第2のポート160とを備える。入口ポートは、内視鏡の生検ポートに接続されている。第2のポート160は、作業部位に挿入される機器(例えば、鉗子)のためのアクセスを提供する。外科医が、吸引を行い、ポリープを回収することを望む場合、機器が取り外され、そして、第2のポート160を密封するために、キャップ164が使用される。テザー162が、キャップ164を弁本体に接続する。この手順は、生検弁152を内視鏡の生検ポート入口から取り外すことなく、繰り返され得る。針挿入物またはシリンジ168を通して水または他の液体を注入し、体内の作業部位を灌流するために、洗浄ライン166が使用され得る。この実施形態は、内視鏡に設置されたポリープトラップ150および弁152に、遠隔性の洗浄能力を提供する。洗浄ライン166は、容器12の真空を可能にする、逆止め弁を備え得る。
【0029】
前述のポリープトラップのいずれかと共に利用され得る別の特徴は、内部光源を追加することである。内視鏡一式は、薄暗く照射されることが頻繁にあり、それゆえ、捕捉されたポリープの適切な可視化は、困難であり得る。それゆえ、デバイスに照明を追加することにより、作業効率を改善し得る。この概念の実施形態は、図12および図13に例示される。
【0030】
光源および電源を収容するようなサイズの内腔172を有する収集容器を備えるポリープトラップ170が、図12に示される。腔172の位置は、選択的な位置(例えば、底部32の近くまたは底部32上)であり得る。図12に例示されるように、ライト174およびバッテリー176は、腔172内に配置される。ライト174およびバッテリー176は、吸引手順の間のずれを避けるのに適切な任意の技術によって、腔内に配置され得る。他の光源および電源が、本発明の実施において使用され得る。
【0031】
照明システムは、使用者による操作を簡単にするために設計される。さらに、システムは、電気部品の寿命を延長するように設計される。再度図12を参照すると、ライトおよびバッテリーをスイッチ182に接続する、電気配線180もまた示される。スイッチ182は、作動中にトレイによって接される、挿入表面184上に配置される。従って、光源は、手順の間に、トレイ12が挿入されたときに起動される。光は、使用者が、トレイ12上のポリープを検出するのを補助する。
【0032】
図13は、トレイ14を収集容器内に挿入したときに起動されるライト174を示す。トレイが引き戻されると、ライト174は消える。この光を操作するためには、トレイ14の動き以外には使用者の操作は必要とされない。光源の設置、電気部品の選択、および、システム自体の設計は、例示の目的のみのためのものであり、本発明の実施において、大きく変動し得ることが、当業者により理解されるべきである。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態が例示され、かなり詳細に記載されてきたが、本発明は、開示される正確な構成に制限されるものとみなされるべきではない。本発明の種々の適合、改変および使用が、本発明に関連する分野の当業者に想到され得る。添付の特許請求の範囲の範囲または精神の範囲内に入るこのような適合、改変および使用を全て包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従って作製されたポリープトラップの斜視図であり、取り外し可能なトレイが設置された位置にある、収集容器および取り外し可能なトレイを有するポリープトラップを示す。
【図2】図2は、図1のポリープトラップの斜視図であり、完全に引き戻された位置にある取り外し可能なトレイを示す。
【図3】図3は、図1の取り外し可能なトレイの部分的に解体した、斜視図である。
【図4】図4は、図1の取り外し可能なトレイの断面図である。
【図5】図5は、トレイプラグが、収集容器内に設置された、図1のポリープトレイの断面図である。
【図6】図6は、図1のポリープトラップの側面図である。
【図7】図7は、図1のポリープトラップの断面図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿って見た、図1のポリープトラップの断面図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態の側面図であり、弁および入口ポートを有するポリープトラップを示す。
【図10】図10は、本発明のなお別の実施形態の側面図であり、入口ポート上に機器が接近可能な弁を有するポリープトラップを示す。
【図11】図11は、本発明のなお別の実施形態の側面図であり、入口ポート上に洗浄能を有する弁を有するポリープトラップを示す。
【図12】図12は、本発明のなお別の実施形態の断面図であり、光源および内部の電気部品を有するポリープトラップを示す。
【図13】図13は、図12のポリープトラップの断面図であり、設置された位置にある取り外し可能なトレイと、作動された光とを示す。
【符号の説明】
【0035】
10:ポリープトラップ
12:収集容器
14:トレイ
16:開口部
24:入口ポート
26:出口ポート
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この非仮出願は、2006年2月10日に出願された、発明の名称「Polyp Trap」の、米国仮特許出願第60/772,330号の利益を主張し、この仮出願の開示全体は、本願と矛盾しない程度まで、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ポリープトラップに関し、そして、内視鏡手順の間に除去されるポリープを捕捉する際に使用するためのポリープトラップに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
外科医は、慣用的に、種々の理由のために患者から組織サンプルを除去したり、回収したりするための手順を行なう。一つのこのような手順は、患者の胃腸壁からのポリープの除去および回収である。例示的な手順において、ポリープの除去および回収において、内視鏡が使用される。内視鏡は、患者の食道を通して挿入され、代表的な手順が開始される。内視鏡は、可撓性であり、そして、代表的には、光学的な特徴および照明の特徴を有する。このような手順において、ポリープが切断されるか、他の方法で、胃腸壁から切り取られた後に、ポリープは、スネアによって機械的に回収されるか、または、吸引によって除去される。
【0004】
ポリープを回収するための先行技術の解決方法は、多くの制限を有する。スネアによる回収は、時間がかかり、そして、内視鏡を取り外すことなく回収され得るポリープの量を制限する。吸引による回収は、ポリープを回収するために、外科医、看護士または技術者が、内視鏡の出口ポートと、吸引源との間の位置をモニターすることを必要とする。このような場所において、ポリープトラップが使用され得る。先行技術のポリープトラップは、設計が複雑であるか、高価であるか、または、使用が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作が簡単であり、一回の挿管の間に複数のポリープの回収を可能にし、そして、一回の使用に見合うに十分安価である、ポリープトラップに対する必要性が、当該分野に残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
組織サンプルを収集する際に使用するための、ポリープトラップ。このデバイスは、収集容器と、取り外し可能なトレイとを備える。この収集容器は、入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する。この取り外し可能なトレイは、第1の端部と第2の端部とを有する。このトレイは、収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、収集容器から離れた引き戻された位置との間で、側壁開口部内を移動するようなサイズである。このトレイは、吸引下で入口ポートから出口ポートへと移動する流体がトレイを通過するように、有孔の底面を有する。
【0007】
本発明のいくつかの例示される実施形態において、内視鏡手順の間に除去されるポリープを捕捉するためのポリープトラップが、開示される。このポリープトラップは、収集容器と、取り外し可能なトレイとを備える。組み立てられた場合、この取り外し可能なトレイは、収集容器と密封状態を形成し、収集容器の入口ポートおよび出口ポートを通して吸引が引かれることを可能にする。
【0008】
例えば、本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(項目1)医療処置の間に、組織を捕捉するためのデバイスであって、該デバイスは、以下:
a)入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する収集容器;および
b)第1の部分と第2の部分とを有する取り外し可能なトレイであって、該トレイは、該収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、該収集容器から離れた引き戻された位置との間で、該側壁開口部内を移動するためのサイズになっている、トレイ;
を備え、
該トレイの該第2の部分は、吸引下で該入口ポートから該出口ポートへと移動する流体が該トレイを通過するように、有孔の表面を有する、デバイス。
(項目2)前記収集容器が、前記側壁開口部から内向きに延びる支持プラットフォームを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目3)前記トレイの少なくとも一部分が、前記挿入された位置にあるときに、前記支持プラットフォーム上にある、項目2に記載のデバイス。
(項目4)前記内部支持プラットフォームが、トラフを規定し、そして、該トレイは、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該トラフの少なくとも一部分と係合するようなサイズの突出した隆起部分を備える、項目2に記載のデバイス。
(項目5)前記収集容器が、前記トレイが前記挿入された位置にある間に前記トレイの有孔の表面の上に配置される拡大部分を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目6)前記収集容器が透明である、項目1に記載のデバイス。
(項目7)前記収集容器が、該収集容器内の流体の流れに影響を与えるために、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に、側壁から内向きに延びるダムを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目8)前記トレイの前記第1の部分が、ハンドルを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目9)前記ハンドルが、圧搾できる外側表面を備え、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該ハンドルを圧搾することにより、該トレイと前記収集容器との間の前記密封状態を解放する、項目8に記載のデバイス。
(項目10)前記トレイの前記第2の部分が、バスケットを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目11)前記バスケットの底面が、近位の平坦な表面と遠位の傾斜した表面とを有する、項目10に記載のデバイス。
(項目12)前記バスケットの底面が、細長の駆動隆起部分を備える、項目10に記載のデバイス。
(項目13)前記トレイが、一連の寸法マーキングを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目14)項目1に記載のデバイスであって、該デバイスは、入口ポートと出口ポートとを有する弁、および、チューブを備え、該チューブは、該弁の出口ポートと、前記収集容器の入口ポートとの間で接続されている、デバイス。
(項目15)前記弁は、機器のポートを備える、項目14に記載のデバイス。
(項目16)前記弁は、洗浄ポートおよび洗浄ラインを備える、項目14に記載のデバイス。
(項目17)項目1に記載のデバイスであって、該デバイスは、照射システムを備え、該照射システムは、スイッチと、該スイッチと電気的に接続された電源と、該電源と電気的に接続された光源とを備え、前記収集容器内への前記トレイの挿入により、該システムが作動されて、該光源を照射する、デバイス。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる、以下の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
発明の詳細な説明は、単に、本発明の実施形態を記載するものであり、特許請求の範囲を多少なりとも制限することは意図されない。実際、記載される本発明は、好ましい実施形態よりも広く、かつ、好ましい実施形態によって制限されず、そして、使用される用語は、その通常の意味全てを有する。
【0011】
内視鏡的手順の間に、外科医は、しばしば、ポリープ、または、患者の胃腸壁における他の異常な組織の増殖として同定された組織を位置決めする。このようなポリープの分析は、診断的な理由から有益であり得る。ポリープは、種々の切断技術によって、胃腸壁から除去され得る。ポリープを切断した後、組織は、内視鏡機器のチャネルを通して、体外へと吸引され得る。ポリープトラップは、除去されたポリープを捕捉するために、内視鏡から下流に配置される、当該分野で公知のデバイスである。
【0012】
ここで、図面を参照すると、図1および図2は、収集容器12と、取り外し可能なトレイ14とを備えるポリープトラップ10の斜視図である。図1は、収集容器12内の開口部16内へと完全に挿入された位置までスライドされている、トレイ14を有する組み立てられたポリープトラップ10を示す。図12に見られるように、開口部の通路は、収集容器12の内側に向かって幅および高さが狭くなっている。組み立てられた位置へと完全にスライドされると、取り外し可能なトレイ14は、収集容器12と密封状態を形成する。図2は、収集容器12から完全に引き戻された、取り外し可能なトレイ14を示す。
【0013】
収集容器12は、透明なプラスチックまたは他の透明な物質から構築され得る、6角の中空物体である。収集容器12は、上面を通る2つのポート24、26を有する。突出しているポートは、円錐の形状であり、そして、遠位端に向かって外径が狭くなっており、チュービングの圧力による適用(press−on)を容易にする。ポリープ、血液、および他の流体は、入口ポート24に取り付けられたチューブ28を通って、内視鏡(図示せず)から収集容器12に入る。この物質の一部分は、吸引下で、出口ポート26を通って収集容器12を出て、吸引源(図示せず)に向かってチューブ30内へと入る。特定の量の物質が、トレイの下の容器の底に残る。
【0014】
収集容器12は、図8および図12に最も良く見られるように、底面のリム32を備える。リムの基礎伏図は、その最大点において、収集容器本体よりも大きなサイズである。従って、収集容器12は、水平な表面上に直立して置かれ、そして、都合の良い使用者の人間工学を提供する。この底面は、収集容器の本体と一体であっても、図12に示されるような別個の部品であって、そして、接着剤または任意の他の適切な技術によって、本体に固定されていてもよい。
【0015】
収集容器12のサイズおよび形状は、性能を最適化するように設計される。具体的には、容器12は、吸引された液体が、トレイ表面からポリープを浮かせるようなレベルまで溜らないことを保証するように、最適な容量を有する。他の先行技術の設計は、過剰な液体容量の蓄積が生じた場合に、影響を受けやすい。さらに、出口ポート26は、ポリープトレイおよび入口ポート24から離れており、ポリープが収集容器の外に吸引されることを禁止する。図6に最も良く見られるように、垂直方向に下降するダム36が、この容器を、入口容量部分40と出口容量部分42とに分ける。このような構造は、ポリープが収集容器12の外に吸引されることをさらに禁止し、そして、容器を通って流れる流体を増加させると考えられる。血液および他の流体の移動は、ダム36によって多少方向付けられて、図6のポリープトラップ10を通るA1、A2およびA3の一般的な方向に従う。
【0016】
図面に示される収集容器のサイズ、形状、壁厚、入口ポートおよび出口ポートのサイズおよび形状、ならびに、任意の他の構造的特徴が、例示の目的のみのためのものであり、そして、これらおよび他の特徴が、本発明の実施において変動し得ることが、当業者によって理解されるべきである。
【0017】
取り外し可能なトレイ14は、入口ポート24を通して吸引されるポリープを捕捉するために使用される。トレイ14は、例えば、ポリープの固着に抵抗するポリマーのような、任意の適切な材料から構築され得る。さらに、トレイは、例えば、透明なトレイに比べ、ポリープに対して視覚的なコントラストを提供するために着色され得る。
【0018】
収集容器12から引き戻された、取り外し可能なトレイの斜視図が、図3に示される。取り外し可能なトレイ14の断面図は、図4に示される。トレイ14は、近位端に位置するハンドル50を有する。ハンドルは、操作者がトレイ14を操作する際に把持し得る、一連の蝶形状の突出した隆起部分52、54、56を備える。高さおよび幅が狭くなった接続部分57が、ハンドルの遠位に位置する。ハンドルによるトレイの取り扱いは、ポリープが入る、トレイの中央にあるバスケット58の滅菌性を維持する。外壁60は、ポリープ収集バスケット58を形成する。図4に示されるように、バスケットは、主要な部分に、本質的に平らな底面62を、そして、ハンドル50に関して遠位の部分に、傾斜した底面64を備える。図2および図3において最も良く見られるように、取り外し可能なトレイ14の底面62、64は、血液および他の流体が通過し得るように、有孔である。逆に、孔よりも直径の大きなポリープは、トレイ14を通過しない。
【0019】
収集容器12に入り、傾斜した表面64と接触するポリープは、吸引力および重力によって、平坦な表面62に向かう。一旦平坦な表面58上に来ると、ポリープは、長手軸方向の隆起部分70のいずれかの側に入り得る。隆起部分70は、例えば、1mmのような、等間隔になった一連のマーキング72を備える。外科医は、捕捉されたポリープのおおよそのサイズを確認するのに、このマーキング72に頼り得る。ポリープの所望の収集目的に依存して、最小サイズのポリープのみで十分であり得る。トレイはまた、マーキングの間隔に関して、寸法の印を備え得る。さらに、マーキングは、トレイの他の部分、または、収集容器の側壁に位置し得る。
【0020】
図面に示される取り外し可能なトレイのサイズ、形状、壁厚、任意の他の構造的特徴は、例示の目的のみのためのものであり、これらおよび他の特徴は、本発明の実施において変動し得ることは、当業者により理解されるべきである。
【0021】
ポリープトラップ10を用いる内視鏡手順の開始時に、取り外し可能なトレイ14は、収集容器12の垂直方向の側壁にある開口部16を通して、収集容器12内へと挿入される。この位置において、容器12とトレイ14との間に、密封状態が形成される。図8において最も良く見られるように、開口部16は、挿入および取り外しの間に、取り外し可能なトレイ14の底面にある、長手軸方向の中央にある隆起部分82を導くようなサイズの、底部トラフ80を備える。トラフ80は、収集容器12の側壁から、内向きおよび外向きに延びる。トラフは、挿入を容易にし、そして、90°または180°の角度で挿入しようとする試みを妨げる。前述のように、操作者は、挿入または取り外しの間に、取り外し可能なトレイ14を保持するために、フィンガーグリップハンドル50を使用し得る。フィンガーグリップハンドル50を圧搾することにより、取り外し可能なトレイ14と収集容器12との間の密封状態が壊れ、このことが、取り外しに役立つ。
【0022】
設置された位置にある取り外し可能なトレイの3つのさらなる図を、図6〜8に示す。前述のように、トレイは、吸引下で血液および他の流体が通過することができる、有孔の表面62、64を備える。あらゆる有意な直径のポリープが、取り外し可能なポリープ12内に捕捉される。捕捉された物質の視覚的な認識を改善するために、使用者は、収集容器12の拡大部分90を通してポリープを見て、捕捉されたポリープを観察し得る。このようにして、使用者は、目的とするポリープが回収されたことを確認して、ポリープのおおよそのサイズを確認するか、トレイの上流にある表面62、64の上に載るポリープの数を決定するか、または、任意の他の診断理由のために、ポリープを観察することができる。
【0023】
一旦同定されると、吸引源の電源が切られ、そして、取り外し可能なトレイ12が、手で取り外され得る。しかし、トレイの取り外しは、このシステムの吸引を壊すので、必ずしもトレイを取り外す前に吸引源の電源を切る必要はない。それにもかかわらず、容器へのトレイの密封によるフィットは、有利なことに、トレイを引き戻す間に、ワイパー作用をもたらす。結果として、ポリープは、容器には固着しないが、トレイ内に下向きに力を加えられる。取り外しには、他の機械的な工程は必要とされない。この設計は、使用者に、捕捉されたポリープへの迅速かつ容易なアクセスを提供する。このトレイは、次いで、捕捉されたポリープが、トレイからリンスして除かれ得るように、ホルマリン瓶の中に保持され得る。複数のポリープサンプルが必要とされる場合、第2のトレイを使用することにより、ポリープが第1のトレイから除去される間の中断なしに、内視鏡手順を進めることを可能にし得る。
【0024】
本発明の実施において、時折、取り外し可能なトレイ14のない収集容器12内の減圧を開始もしくは維持することが必要となる。図5は、開口部16内に設置された、プラグトレイ100を有する収集容器12の断面図である。プラグトレイ100は、収集容器12の側壁内の開口部16を密封するようなサイズの、垂直方向の端壁102を備える。このようにして、プラグトレイ100は、手順を開始する前に、収集容器内の減圧を維持するために使用され得る。この技術は、ポリープを除去する前に、過剰の血液および流体が、体内の作業部位から吸引されることを可能にする。さらに、一旦ポリープの除去が始まると、プラグトレイ102および取り外し可能なトレイ14は、断続的に複数のポリープを除去することを可能にするように、交互に使用され得る。プラグトレイはまた、例えば、エンドユーザ向けに梱包および発送する間の、収集容器内の滅菌領域の維持のような、他の目的のためにも有用である。プラグトレイ100は、ポート24、26もまた密封されている場合に、発送の間に、容器12内の真空を維持するために設置され得る。
【0025】
本発明の別の実施形態が、図9に例示される。入口ポート24と流体連絡する弁112を有するポリープトラップ110が示される。この弁は、収集容器に向けて入口チューブ114へと接続された出口ポート116を有する。このポリープトラップ110の使用は、入口チューブ114が、入口ポート118によって内視鏡の生検ポート入口に直接取り付けられることを可能にする。例示的な生検弁は、2005年5月25日に出願された、発明の名称「Irrigating Biopsy Inlet Valve」の、米国特許出願第11/137,636号に記載されており、この出願は、本願と矛盾しない程度まで、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0026】
内視鏡の生検ポート入口に、入口チューブ114を接続することによって、ポリープは、移動距離がより短くなり、そして、破壊の少ない状態で持ちこたえる。さらに、ポリープは、視認性が高まる。なぜならば、ポリープは、臍の上で外科医より後ろ側に来る近位の位置と比較して、内視鏡の遠位かつ視認性の部分に取り付けられた、入口チューブ114を移動するからである。ポリープトラップ110を使用するために、生検弁112は、吸引によってポリープを捕捉することを試みる前に、機器の交換用弁と置き換える。
【0027】
図10は、本発明のなお別の実施形態の側面図であり、機器の能力を有する弁132を有するポリープトラップ130を示す。弁132は、入口チューブ136に取り付けるための第1のポート134と、第2のポート140とを備える。第3のポート138は、入口ポート138によって内視鏡の生検ポートに接続されている。第2のポート140は、作業部位に挿入される機器(例えば、胃腸壁からポリープを切断するための鉗子)のためのアクセスを提供する。外科医が、吸引を行い、ポリープを回収することを望む場合、機器が取り外され、そして、キャップ144が、第2のポート140を密封するために使用される。テザー142が、キャップ144を弁本体に接続する。この手順は、生検弁132を内視鏡の生検ポート入口から取り外すことなく、繰り返され得る。
【0028】
別のポリープトレイ150が、図11に例示される。このポリープトレイ150は、洗浄および機器の能力を有する弁152を備える。この弁152は、入口チューブ156に取り付けるための第1のポート154と、第2のポート160とを備える。入口ポートは、内視鏡の生検ポートに接続されている。第2のポート160は、作業部位に挿入される機器(例えば、鉗子)のためのアクセスを提供する。外科医が、吸引を行い、ポリープを回収することを望む場合、機器が取り外され、そして、第2のポート160を密封するために、キャップ164が使用される。テザー162が、キャップ164を弁本体に接続する。この手順は、生検弁152を内視鏡の生検ポート入口から取り外すことなく、繰り返され得る。針挿入物またはシリンジ168を通して水または他の液体を注入し、体内の作業部位を灌流するために、洗浄ライン166が使用され得る。この実施形態は、内視鏡に設置されたポリープトラップ150および弁152に、遠隔性の洗浄能力を提供する。洗浄ライン166は、容器12の真空を可能にする、逆止め弁を備え得る。
【0029】
前述のポリープトラップのいずれかと共に利用され得る別の特徴は、内部光源を追加することである。内視鏡一式は、薄暗く照射されることが頻繁にあり、それゆえ、捕捉されたポリープの適切な可視化は、困難であり得る。それゆえ、デバイスに照明を追加することにより、作業効率を改善し得る。この概念の実施形態は、図12および図13に例示される。
【0030】
光源および電源を収容するようなサイズの内腔172を有する収集容器を備えるポリープトラップ170が、図12に示される。腔172の位置は、選択的な位置(例えば、底部32の近くまたは底部32上)であり得る。図12に例示されるように、ライト174およびバッテリー176は、腔172内に配置される。ライト174およびバッテリー176は、吸引手順の間のずれを避けるのに適切な任意の技術によって、腔内に配置され得る。他の光源および電源が、本発明の実施において使用され得る。
【0031】
照明システムは、使用者による操作を簡単にするために設計される。さらに、システムは、電気部品の寿命を延長するように設計される。再度図12を参照すると、ライトおよびバッテリーをスイッチ182に接続する、電気配線180もまた示される。スイッチ182は、作動中にトレイによって接される、挿入表面184上に配置される。従って、光源は、手順の間に、トレイ12が挿入されたときに起動される。光は、使用者が、トレイ12上のポリープを検出するのを補助する。
【0032】
図13は、トレイ14を収集容器内に挿入したときに起動されるライト174を示す。トレイが引き戻されると、ライト174は消える。この光を操作するためには、トレイ14の動き以外には使用者の操作は必要とされない。光源の設置、電気部品の選択、および、システム自体の設計は、例示の目的のみのためのものであり、本発明の実施において、大きく変動し得ることが、当業者により理解されるべきである。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態が例示され、かなり詳細に記載されてきたが、本発明は、開示される正確な構成に制限されるものとみなされるべきではない。本発明の種々の適合、改変および使用が、本発明に関連する分野の当業者に想到され得る。添付の特許請求の範囲の範囲または精神の範囲内に入るこのような適合、改変および使用を全て包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従って作製されたポリープトラップの斜視図であり、取り外し可能なトレイが設置された位置にある、収集容器および取り外し可能なトレイを有するポリープトラップを示す。
【図2】図2は、図1のポリープトラップの斜視図であり、完全に引き戻された位置にある取り外し可能なトレイを示す。
【図3】図3は、図1の取り外し可能なトレイの部分的に解体した、斜視図である。
【図4】図4は、図1の取り外し可能なトレイの断面図である。
【図5】図5は、トレイプラグが、収集容器内に設置された、図1のポリープトレイの断面図である。
【図6】図6は、図1のポリープトラップの側面図である。
【図7】図7は、図1のポリープトラップの断面図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿って見た、図1のポリープトラップの断面図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態の側面図であり、弁および入口ポートを有するポリープトラップを示す。
【図10】図10は、本発明のなお別の実施形態の側面図であり、入口ポート上に機器が接近可能な弁を有するポリープトラップを示す。
【図11】図11は、本発明のなお別の実施形態の側面図であり、入口ポート上に洗浄能を有する弁を有するポリープトラップを示す。
【図12】図12は、本発明のなお別の実施形態の断面図であり、光源および内部の電気部品を有するポリープトラップを示す。
【図13】図13は、図12のポリープトラップの断面図であり、設置された位置にある取り外し可能なトレイと、作動された光とを示す。
【符号の説明】
【0035】
10:ポリープトラップ
12:収集容器
14:トレイ
16:開口部
24:入口ポート
26:出口ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置の間に、組織を捕捉するためのデバイスであって、該デバイスは、以下:
a)入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する収集容器;および
b)第1の部分と第2の部分とを有する取り外し可能なトレイであって、該トレイは、該収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、該収集容器から離れた引き戻された位置との間で、該側壁開口部内を移動するためのサイズになっている、トレイ;
を備え、
該トレイの該第2の部分は、吸引下で該入口ポートから該出口ポートへと移動する流体が該トレイを通過するように、有孔の表面を有する、デバイス。
【請求項2】
前記収集容器が、前記側壁開口部から内向きに延びる支持プラットフォームを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記トレイの少なくとも一部分が、前記挿入された位置にあるときに、前記支持プラットフォーム上にある、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記内部支持プラットフォームが、トラフを規定し、そして、該トレイは、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該トラフの少なくとも一部分と係合するようなサイズの突出した隆起部分を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記収集容器が、前記トレイが前記挿入された位置にある間に前記トレイの有孔の表面の上に配置される拡大部分を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記収集容器が透明である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記収集容器が、該収集容器内の流体の流れに影響を与えるために、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に、側壁から内向きに延びるダムを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記トレイの前記第1の部分が、ハンドルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハンドルが、圧搾できる外側表面を備え、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該ハンドルを圧搾することにより、該トレイと前記収集容器との間の前記密封状態を解放する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記トレイの前記第2の部分が、バスケットを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記バスケットの底面が、近位の平坦な表面と遠位の傾斜した表面とを有する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記バスケットの底面が、細長の駆動隆起部分を備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記トレイが、一連の寸法マーキングを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスは、入口ポートと出口ポートとを有する弁、および、チューブを備え、該チューブは、該弁の出口ポートと、前記収集容器の入口ポートとの間で接続されている、デバイス。
【請求項15】
前記弁は、機器のポートを備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記弁は、洗浄ポートおよび洗浄ラインを備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスは、照射システムを備え、該照射システムは、スイッチと、該スイッチと電気的に接続された電源と、該電源と電気的に接続された光源とを備え、前記収集容器内への前記トレイの挿入により、該システムが作動されて、該光源を照射する、デバイス。
【請求項1】
医療処置の間に、組織を捕捉するためのデバイスであって、該デバイスは、以下:
a)入口ポートと、側壁開口部と、出口ポートとを有する収集容器;および
b)第1の部分と第2の部分とを有する取り外し可能なトレイであって、該トレイは、該収集容器と密封状態を形成する挿入された位置と、該収集容器から離れた引き戻された位置との間で、該側壁開口部内を移動するためのサイズになっている、トレイ;
を備え、
該トレイの該第2の部分は、吸引下で該入口ポートから該出口ポートへと移動する流体が該トレイを通過するように、有孔の表面を有する、デバイス。
【請求項2】
前記収集容器が、前記側壁開口部から内向きに延びる支持プラットフォームを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記トレイの少なくとも一部分が、前記挿入された位置にあるときに、前記支持プラットフォーム上にある、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記内部支持プラットフォームが、トラフを規定し、そして、該トレイは、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該トラフの少なくとも一部分と係合するようなサイズの突出した隆起部分を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記収集容器が、前記トレイが前記挿入された位置にある間に前記トレイの有孔の表面の上に配置される拡大部分を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記収集容器が透明である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記収集容器が、該収集容器内の流体の流れに影響を与えるために、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に、側壁から内向きに延びるダムを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記トレイの前記第1の部分が、ハンドルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハンドルが、圧搾できる外側表面を備え、前記トレイが前記挿入された位置にある間に該ハンドルを圧搾することにより、該トレイと前記収集容器との間の前記密封状態を解放する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記トレイの前記第2の部分が、バスケットを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記バスケットの底面が、近位の平坦な表面と遠位の傾斜した表面とを有する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記バスケットの底面が、細長の駆動隆起部分を備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記トレイが、一連の寸法マーキングを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスは、入口ポートと出口ポートとを有する弁、および、チューブを備え、該チューブは、該弁の出口ポートと、前記収集容器の入口ポートとの間で接続されている、デバイス。
【請求項15】
前記弁は、機器のポートを備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記弁は、洗浄ポートおよび洗浄ラインを備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
請求項1に記載のデバイスであって、該デバイスは、照射システムを備え、該照射システムは、スイッチと、該スイッチと電気的に接続された電源と、該電源と電気的に接続された光源とを備え、前記収集容器内への前記トレイの挿入により、該システムが作動されて、該光源を照射する、デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−209764(P2007−209764A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31373(P2007−31373)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(506131053)ユー.エス. エンドスコピー グループ, インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(506131053)ユー.エス. エンドスコピー グループ, インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】
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