説明

ポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法

【目的】 反応射出成形(RIM法)により成形品を製造する方法において、優れた成形性と物性を有するポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法を提供するものである。
【構成】 有機ポリイソシアネートとアミン末端ポリエーテルとアミン末端以外のポリエーテルとからなるポリオールと反応させてNCO基末端プレポリマーとし、活性水素基含有化合物とをRIM法によりポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造法に関する、詳しくは、反応射出成形(RIM)して得られるポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリウレタン樹脂は、自動車関連、家具関連、住宅関連等において広範囲に成形品として利用されている。成形品を得るためのポリウレタン成形品の製造手段としてRIM法が採用されており、RIM法においてポリオール成分として分子量1000〜10000のポリエーテルポリオールを用い、鎖延長剤として低分子ジオールを用いることが知られている。しかしながら、成形性、物性等において更にその改善が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】成形品の物性を向上させるためポリウレタンからの成形品をポリ尿素−ポリウレタンから成る成形品にして、モールドの微細な部分や大型モールドにおいても注入液が充分にゆきわたり、硬化が速く、脱型時に成形品の損傷がなく、優れた物性を有する成形品を得ることを目的とする。
【0004】本発明者等は、鋭意研究検討を重ねた結果、有機ポリイソシアネートとアミン系ポリエーテルとを反応させて得た特定のNCO含量のプレポリマーとポリオールとから成形品を製造することにより改善できることを見出し本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、分子量400〜12000のアミン末端ポリエーテルと分子量400〜12000のアミン末端以外のポリエーテルとを用いて有機ポリイソシアネートと反応させてNCO基末端プレポリマーとし、次に該プレポリマーとポリオールとして分子量200〜9000の活性水素基含有化合物及び分子量62〜1000の鎖延長剤とを用いて反応射出成形による成形品の製造方法において、該プレポリマーのNCO基含有率が13〜25重量%であることを特徴とするポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法であり、モールドに離型剤を塗布し、活性水素基含有化合物に内部離型剤を添加して製造するものである。
【0006】本発明のポリ尿素−ポリウレタン成形品は、NCO基含有率が13〜25重量%のNCO基末端プレポリマーと、ポリオールとして分子量200〜9000の活性水素基含有化合物及び鎖延長剤を加えた成分を用いてRIM法により得られる。
【0007】本発明のNCO基末端プレポリマーを得るための分子量400〜12000、官能基数2〜4のアミン末端ポリエーテルは、開始剤として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロヒングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等、及びその他の通常使用されている開始剤に、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたは、これらの混合物を重合させて得られるポリエーテルポリオールを次にアミノ化することにより製造することができる。
【0008】このようにして得られるアミン末端ポリエーテルには、例えばテキサコケミカル社製のポリオキシアルキルアミンがありこれにはジェファミン(Jeffamine)D−230、D−400、D−2000、D−4000があり、ポリエチレンオキシドの主鎖を有するポリエーテルジアミンにジェファミンED−600、ED−900、ED−2001、ED−4000、ED−6000等があり、プロピレンオキシドに基づくトリアミンとしてジェファミンT−403、T−300、及びT−5000等がある。好ましい分子量は800〜10000、官能基数2〜3、より好ましくは分子量1000〜8000である。
【0009】本発明のNCO基末端プレポリマーを得るための分子量400〜12000、官能基数2〜6のアミン末端以外のポリオールは、アミン類をアルキレンオキサイドと反応させることによって得られる。アミン類としては、フェニレンジアミン(o−,m−,p−単独または任意の混合物)、トルエンジアミン(2,4−,2,3−,または3,4−の単独、または任意の混合物)、キシリレンジアミン、ナフチレンジアミン(1,5−,1,8−の単独または任意の混合物)ジフェニルメタンジアミン(4,4′−,2,4′−,の単独または任意の混合物)、ポリフェニルメタンポリアミン、メチレンビス−o−クロルアニリン、3,3′−ジクロル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、アルキレンジアミン(C2 〜C36の例えば、エチレンジアミン) 、ポリアルキレンポリアミン (例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン) 、これらのうち好ましいのはトルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等である。アルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ヘプチレンオキサイド、オクチレンオキサイド等である。好ましい分子量は600〜10000、官能基数2〜4である。
【0010】本発明に用いられるポリオールとしては、分子量400〜12000、官能基数2〜4、好ましくは分子量600〜10000のアミン末端以外のポリエーテルとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等があり、ポリエーテルポリオールとしては、アミン末端ポリエーテルを得るためのアミノ化前のポリエーテルポリオールを使用することができる。ポリエステルポリオールとしては、酸とアルコールとを縮合反応して得られる通常ポリウレタンを得るために使用しているものを用いることができる。
【0011】更に、ポリオールとして用いられる鎖延長剤としては、官能基数2〜3、分子量62〜1000の化合物で、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン及びこれらグリコール類の低分子量アルキレンオキシド誘導体エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、3,5,3′,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、低分子量のポリオキシアルキレンポリアミン類、例えば、テキサコ・ケミカル社製、ジェファミンT−403がある。
【0012】本発明に使用できる内部離型剤としては、各種カルボン酸の金属塩があり、例えばオレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、リノレイン酸、リシノレイン酸等が挙げられ、金属塩としては、例えば、リチウム、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛等が挙げられる。特に好ましい内部離型剤はステアリン酸亜鉛であり、特に制限されず、通常使用されている内部離型剤はいずれも使用することができる。このような内部離型剤は、ポリオールに添加して使用することができる。内部離型剤を用いる場合は全樹脂分に対して0.1〜1.5重量%、好ましくは0.15〜0.5%である。外部離型剤としては、離型剤D−186中京油脂製がある。
【0013】本発明に必要に応じて用いられる発泡剤としては、水が望ましいが、環境破壊の影響が微小な発泡剤を使用することができる。この発泡剤には、不活性低沸点溶剤と反応性発泡剤の二種があり、不活性低沸点溶剤としては、ジクロルメタン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、アセトン、ヘキサン、イソペンタン等や窒素ガス、炭酸ガスや空気等を挙げることができる。反応性発泡剤としては、室温より高い温度で分解して気体を発生する例えば、アゾ化合物のようなものを挙げることができる。
【0014】本発明に必要に応じて用いられる添加剤としては、安定剤、顔料、充填剤、粘度調整剤、界面活性剤、難燃剤等がある。本発明のポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法はRIM法による成形に利用できるが、それ以外に例えば、スプレー法等にも適用できる。本発明においてRIM法により成形品を製造するには通常の方法で行うことができる。例えば活性水素化合物に鎖延長剤、架橋剤、安定剤、界面活性剤、必要により発泡剤を加え、他にNCO基末端プレポリマーを用意して、RIMのA及びBに各々充填し、RIMの注入口とモールドを接続しておき、注入硬化後脱型する。成形品は必要に応じて脱型後100〜180℃で加熱キュアーを行うことができる。
【0015】本発明の方法により得られるポリ尿素−ポリウレタン成形品は、引張り、衝撃強さ、耐熱性、引裂き強さ等において優れた性能を示している。本発明の成形品は特に車両用バンバー、パネル、ドア、エンジンフード等の自動車部品において広範囲の実用性がある。
【0016】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明する。例における「部」及び「%」はことわりのない限り「重量部」及び「重量%」である。
【0017】実施例における使用した原料は下記の通りMDI :日本ポリウレタン工業製、商品名ミリオネートMT液状MDI :日本ポリウレタン工業製、商品名ミリオネートMTLNCO含量29.0%HDI :日本ポリウレタン工業製、商品名HDIポリエーテルA :トルエンジアミンにEOとPOを2/1重量比で付加させた水酸基価540のポリエーテルポリエーテルB :ポリオキシプロピレンジオール、分子量2000、水酸基価56ポリエーテルD−2:テキサコケミカル社製、分子量2000のプロピレンオキシドジアミン、商品名ジファミンD−2000ポリエーテルT−3:テキサコケミカル社製、分子量3000のプロピレンオキシドトリアミン、商品名ジファミンT−3000DETDA ジエチルトルエンジアミンTEDA−L33 :触媒 東ソー製ステアリン酸Zn :離型剤
【0018】ポリイソシアネート成分ポリイソシアネートA:MDI/液状MDI=80/20(重量比)の混合物ポリイソシアネートB:MDI/HDI=80/20(重量比)の混合物ポリイソシアネートC:MDI/HDI=50/50(重量比)の混合物ポリイソシアネートD:MDI/HDI=20/80(重量比)の混合物
【0019】ポリエーテル成分ポリエーテル a1 :ポリエーテルD−2/ポリエーテルA=80/20(重量比)の混合物ポリエーテル a2 :ポリエーテルT−3/ポリエーテルA=80/20(重量比)の混合物
【0020】実施例1〜5NCO基末端プレポリマー及びポリオールの調整表1に示すポリイソシアネートとポリエーテルとを78〜80℃で4時間反応を行いNCO基末端プレポリマーを得た。これをA液とする。表1に示すポリオールを調整し、B液とした。次に、ポリウレタンエンジニアリング社製PU−50RIM機にて、概略W250×D180×d3mmの金型(金型には離型剤D−186を塗布した)で反応射出成形を、NCOインデックス105で行なった。結果を表2に示す。
【0021】比較例1表1に示す原料を用いて実施例1と同様に行い成形品を得た。結果を表2に示す。
【0022】
【表1】


【0023】
【表2】


【0024】表2、表4の注1) モールドに反応液を注入後、取出すまでの時間 (秒)2) JIS K 6301に準拠する3) JIS K 6911に準拠する4) 10.16cm オーバーハング、120℃×1hr
【0025】実施例6〜10NCO基末端プレポリマー及びポリオールの調整表3に示すポリイソシアネートとポリエーテルとを78〜80℃で4時間反応を行いNCO基末端プレポリマーを得た。これをA液とする。表3に示すポリオールを調整しB液とした。
【0026】次に、ポリウレタンエンジニアリング社製PU−50 RIM機にて、W300×D500×d3mmの金型(金型には離型剤D−186を塗布した)で反応射出成形を、NCOインデックス105で行なった。結果を表4に示す。
【0027】
【表3】


【0028】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 分子量400〜12000のアミン末端ポリエーテルと分子量400〜12000のアミン末端以外のポリエーテルとを用いて有機ポリイソシアネートと反応させてNCO基末端プレポリマーとし、次に該プレポリマーとポリオールとして分子量200〜9000の活性水素基含有化合物及び分子量62〜1000の鎖延長剤とを用いて反応射出成形による成形品の製造方法において、該プレポリマーのNCO基含有率が13〜25重量%であることを特徴とするポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項2】 モールドに離型剤を塗布し、分子量200〜9000の活性水素基含有化合物及び必要に応じて鎖延長剤に内部離型剤を添加して、反応射出成形して成形品を得ることを特徴とする請求項1記載のポリ尿素−ポリウレタン成形品の製造方法。