説明

ポンプおよび当該ポンプを備えた洗濯機

【課題】循環機能および排出機能を一つのポンプ室にて行うことのでき、循環機能および排出機能をそれぞれ最適の流量にて行うことのできるポンプを提供する。
【解決手段】循環機能および排出機能を一つのポンプ室30にて実現し、且つ循環機能を行うための循環側ポンプ流出口31b1および排出機能のための排出側ポンプ流出口31b2を設けることによって、排出機能および循環機能を必要とする機器におけるポンプの数を2つから1つに減らすことができるとともに、排出機能および循環機能をそれぞれ最適な流量にて行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環機能と排出機能とを有するポンプおよび当該ポンプを搭載した機器、特に洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の全自動洗濯機は、洗濯槽に給水して洗濯やすすぎを行い、また洗浄力の向上や糸くずの除去および節水のために洗濯槽内の水を洗濯機内に循環させながら洗濯やすすぎを行うポンプを備えている。
【0003】
図5に示す従来の洗濯機100では、水道によって給水された洗濯槽101内の水102を洗濯機100内で循環させながら洗濯やすすぎを行うための洗濯水循環用ポンプP1を用い、洗濯槽101から洗濯水を排出する際には、洗濯水の自重に頼っていた。また洗濯機100には、洗濯水循環用ポンプP1に接続され、洗濯槽101に洗濯水循環用ポンプP1から送水された水を再び給水するための配管103および洗濯槽101の水を外部へ排出するための配管104がそれぞれ設けられる(このような従来の洗濯水循環用ポンプのみを搭載した洗濯機の例として、例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−85894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の洗濯水循環用ポンプP1のみがある構成では、洗濯水を排出する際に多大な時間を要してしまう。この対策として、図6のように洗濯機に洗濯水排出用ポンプP2を別途搭載する場合がある。
【0006】
しかしながら、洗濯水循環用ポンプP1および洗濯水排出用ポンプP2の2台のポンプを洗濯機100に搭載してしまうと、洗濯水循環用ポンプP1および洗濯水排出用ポンプP2のそれぞれに接続された配管103、104を設置するスペースを洗濯機100内に要してしまう。その結果、洗濯機が大型化し、また重量も重くなってしまう。さらにポンプの数を増加させることにより、ポンプの増加分の費用が増大する。その上、各ポンプ組み込みのための付属部品や組み立ての作業工数を必要として洗濯機が高価格なものとなっている。
【0007】
したがって、本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、循環機能および排出機能を一つのポンプ室にて行うことのできるポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のポンプは、循環機能および排出機能を一つのポンプ室にて実現し、且つ循環機能を行うための循環側ポンプ流出口および排出機能のための排出側ポンプ流出口を設けることによって、排出機能および循環機能を必要とする機器におけるポンプの数を2つから1つに減らすことができるとともに、排出機能および循環機能をそれぞれ最適な流量にて行うことができる。
【0009】
本発明の請求項1によれば、容器内の液体を容器流出口から排出し、再び容器内に戻す循環機能と、該容器流出口から前記液体を外部へ排出する排出機能を有する機器に搭載されるポンプであって、該ポンプは、前記容器流出口と連結するポンプ流入口を有するポンプ室と、該ポンプ室に配置されたインペラと、該インペラを回転させるモータ部とを備え、
前記ポンプ室には、該ポンプ室に入る前記液体を該ポンプ室の外側へ流す複数のポンプ流出口を有し、該ポンプ流出口は、少なくとも前記循環機能を行う循環側ポンプ流出口と、
前記排出機能を行う排出側ポンプ流出口と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項1に従えば、一つのポンプ室にて循環機能および排出機能を果たすことができるので、機器に必要なポンプの数を減らすことができる。したがって、循環機能および排出機能を有する機器の低価格化を実現することができる。その上、ポンプ室に循環機能における循環側ポンプ流出口および排出機能における排出側ポンプ流出口をそれぞれ設けるので、循環機能および排出機能に必要な流量をそれぞれ設定することができる。
【0011】
本発明の請求項2によれば、請求項1に係り、前記排出側ポンプ流出口における前記液体がおおよそ流れる方向に対して垂直に切った断面積の大きさは、前記循環側ポンプ流出口における前記液体がおおよそ流れる方向に対して垂直に切った断面積の大きさよりも大きいことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に従えば、排出側ポンプ流出口の断面積の大きさが、循環側ポンプ流出口の断面積の大きさより大きいことにより、排出機能を作動させる際に、ポンプ室に流入する液体の殆どが排出側ポンプ流出口の方へ流れていく。したがって、排出させる流量を大きくすることができる。したがって、排出時間の縮小化を図ることができる。
【0013】
本発明の請求項3によれば、請求項2に係り、前記排出側ポンプ流出口の前記断面積の大きさは、前記ポンプ流入口における前記液体がおおよそ流れる方向に対して垂直に切った断面積の大きさと略同等もしくはより大きいことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3に従えば、排出側ポンプ流出口の断面積の大きさがポンプ流入口の断面積の大きさよりも大きいことによって、ポンプ流入口からポンプ室に流入する液体の流量に対して液体がポンプ室に留まることなく、排出側ポンプ流出口から排出することができる。したがって、排出機能の効率を向上させることができる。
【0015】
本発明の請求項4によれば、前記モータ部には、前記インペラと一体的に回転するロータマグネットを有する回転部と、前記ロータマグネットを対向して配置され、前記回転部に回転駆動力を発生させるステータを有する固定部と、を有し、前記モータ部は、電気的もしくは磁気的に前記回転部の回転位置を検出して制御を行うブラシレスモータであることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4に従えば、モータ部をブラシレスモータとすることによって、低速回転から高速回転までを良好に制御できるので、低流量から高流量までの流量制御を良好に制御することができるポンプを提供することができる。
【0017】
本発明の請求項5によれば、洗濯物を収容する略有底筒形状の洗濯槽と、該洗濯槽を外囲し前記液体を溜めることのできる外槽と、該外槽に設けられた外槽流出口と、前記洗濯槽および前記外槽から流出した前記液体を再び該洗濯槽へ戻す洗濯槽流入口と、を有し、前記洗濯槽の前記液体を前記洗濯槽流入口から再び前記洗濯槽へ戻す循環機能と、前記洗濯槽流出口から外部へ排出する排出機能と、を備える洗濯機であって、当該洗濯機には、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のポンプが搭載されることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項5に従えば、洗濯機に循環機能および排出機能を一体としたポンプを搭載することにより、洗濯機の軽量化および小型化を図ることができる。
【0019】
本発明の請求項6によれば、請求項5に係り、前記ポンプは、前記排出機能を行う際の前記モータ部の出力は、前記循環機能を行う際の前記モータ部の出力と同一もしくはより大きくなるように制御することを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項6に従えば、洗濯機における循環機能は液体を少ない流量にて洗剤を溶かし、排出機能は、多い流量にて機外へ液体を排出する必要がある。そのために、循環機能の際に、モータ部の出力を小さくすることによって、インペラを低速回転させることによって循環側ポンプ流出口に少ない流量を送水することができる。さらに排出機能の際に、モータ部の出力を大きくすることによって、インペラを高速回転させることによって、排出側ポンプ流出口に多い流量を送水することができる。したがって、排出機能の時間を短縮することができる。その結果、洗濯時間を短縮することができる。
【0021】
本発明の請求項7によれば、請求項5および請求項6のいずれかに係り、前記排出機能を行う際、前記液体の一部は、前記循環側ポンプ流出口に入り、前記洗濯槽へ流出することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項7に従えば、排出機能を行う際に、液体の一部を循環側ポンプ流出口に入ってもよい。すなわち、循環側ポンプ流出口側に循環側ポンプ流出口から洗濯槽へ液体を流さないための切替弁を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数を減少させることによって、ポンプを安価に提供することができる。
【0023】
本発明の請求項8によれば、請求項5乃至請求項7のいずれかに係り、前記ポンプは、前記洗濯槽の重力方向下側に配置され、前記外槽流出口は、重力方向に沿って形成されることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項8に従えば、ポンプが洗濯槽の重力方向下側に配置されることにより、排出機能を行う場合、ポンプによる吸引力のほかに重力作用も加えることができるので、排出機能の効率をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、循環機能および排出機能を一つのポンプ室にて行うことのでき、循環機能および排出機能をそれぞれ最適の流量にて行うことのできるポンプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<ポンプの構造>
本発明のポンプの構造について図1を参照して説明する。図1は、ポンプを軸方向に切った模式断面図である。以下、ポンプの構造の説明にて用いる軸方向および径方向の位置関係は、図1のみに適用されるものである。
【0027】
ポンプ10は、モータ部20とポンプ室30とが一体となって構成されている。
【0028】
モータ部20は、略有底円筒形状に形成された第1ケーシング21の外周面側に固定された固定部22と、第1ケーシング21の内周面側に配置され、固定部22に対して所定の回転軸J1の周りを回転自在に回転するロータマグネット24aを有する回転部24とを備える。
【0029】
固定部22は、円環状のコアバック部と、コアバック部から径方向内側へ複数放射状に延びるティース部とからなる薄板の電磁鋼板を複数積層されて形成されたステータコア22a1と、ステータコア22a1のティース部に導電線を複数積層されるように巻回して形成されたコイル22a2とからなるステータ22aと、ステータ22aの軸方向下側に配置され、導電線が接続することによって電気的導通を図る回路基板22bと、を備える。そしてステータ22aおよび回路基板22bをモールド樹脂22cによって樹脂内にモールドされる。このモールド樹脂22c内にステータ22aおよび回路基板22bがモールドされることによって、モータ部20の耐水性および電気的絶縁性を向上させることができる。また回路基板22bには、コイル22a2の逆起電力を測定することによって回転部24の回転位置を検出および制御を行う制御ICが実装されている。
【0030】
固定部22の外周側には、外部との電気的接続を可能にするコネクタ22dがモールド樹脂22cによって一体的にモールドされる。このコネクタ22dは、回路基板22bとも電気的に接続されている。
【0031】
回転部24は、回転軸J1と同軸であるシャフト24bと、シャフト24bに固定される略円筒形状のロータマグネット24aとを備える。そしてロータマグネット24aの外周面は、ステータ22aのティース部の内周面と径方向に小さな間隙を介して対向するように配置される。この間隙には、第1ケーシング21の円筒部21aが配置される。この円筒部21aによって、ロータマグネット24aとステータ22aとが隔絶され、固定部22側に水等の液体の侵入を防ぐことができる。
【0032】
第1ケーシング21の軸方向上側には、第1ケーシング21の軸方向上側に設けられた開口部に蓋をするように第2ケーシング25が固定されている。この第2ケーシング25には、回転軸J1と同軸であり、軸方向に沿って貫通孔25aが形成されている。この貫通孔25aには、シャフト24bが挿通されている。
【0033】
シャフト24bは、第1ケーシング21および第2ケーシング22にそれぞれ設けられた略円筒形状の上側軸受部材26、下側軸受部材27によって、回転自在に支持される。上側軸受部材26は、第1ケーシング21の底部21bにおける回転軸J1と同軸の位置に形成された軸方向上側に開口された凹部21b1によって固定される。そして下側軸受部材27は、第2ケーシング25の貫通孔25aによって固定される。
【0034】
第2ケーシング25の軸方向上側には、外部からの水等の液体を流入するポンプ流入口31aと、外部へ水等の液体を流出するポンプ流出口31bとを備える第3ケーシング31が第2ケーシング25の外周面を覆うように固定されている。この第3ケーシング31と第2ケーシング25および第1ケーシング21によって囲まれた空間がポンプ室30となる。ここで、ポンプ流入口31aは、軸方向に沿って形成される。そしてポンプ流出口31bは、軸方向に対して垂直な方向に沿って形成される。
【0035】
ポンプ室30内には、インペラ32がシャフト24bの上部に固定されて配置される。インペラ32は、円板形状のプレート32aの上面に径方向に複数の放射状の羽根32bが形成されている。そしてインペラ32が回転することにより、ポンプ流入口31aから入った水等の液体は、ポンプ流出口31bに向かい流れる流路が形成される。
【0036】
<ポンプ室の構造>
本発明のポンプ室30における第2ケーシング25および第3ケーシング31に囲まれた空間の構造について図2および図3を参照して説明する。図2は、ポンプ室30を上側より見た平面図である。図3は、図1とは異なる周方向から見たポンプ室30の軸方向に切った模式断面図である。
【0037】
ポンプ室30には、2つのポンプ流出口31bが形成される。これらポンプ流出口31bは、ポンプ流入口31aから流入した水等の液体を循環させる循環側ポンプ流出口31b1と、ポンプ流入口31aから流入した水等の液体を外部へ排出させる排出側ポンプ流出口31b2とから構成される。また排出側ポンプ流出口31b2の液体のおおよその流れに対して垂直な断面積の大きさは、循環側ポンプ流出口31b1の液体のおおよその流れに対して垂直な断面積の大きさよりも大きくなるように形成される。その上、排出側ポンプ流出口31b2の断面積の大きさは、ポンプ流入口31aの液体のおおよその流れに対して垂直な断面積の大きさと同等か、もしくは大きくなるように形成される。また循環側ポンプ流出口31b1の断面積の大きさは、ポンプ流入口31aの断面積の大きさよりも小さくなるように形成される。
【0038】
<洗濯機におけるポンプ配置構造>
本発明のポンプを搭載した洗濯機について図4を参照して説明する。図4は、洗濯機内のポンプの配置および配管経路を示した模式図である。以下、循環機能および排出機能を中心として説明する。また以下、洗濯水およびすすぎ水を一括して水とする。
【0039】
図4を参照して、洗濯機40は、洗濯機本体41内に洗濯物を収容する多数の小孔を有する洗濯槽42と、水を貯留し洗濯槽42を内装する外槽44が設けられている。外槽44および洗濯槽42は防振機構(図示せず)により洗濯機本体41に支持され、洗濯槽42は中心部に固定された回転軸45により外槽44内に回転自在に軸支される。そして回転軸45はモータ(M)に連結されている。外槽44には水道水を給水するための給水バルブ46を備えた給水管47が設けられている。また洗濯機本体41の外装前面には各洗濯工程の運転制御を行うマイクロコンピュータを中心とする制御回路を内蔵する操作パネル48が設けられている。
【0040】
洗濯機40は、水道水を洗濯槽42に供給する機能、洗濯中に洗濯槽42および外槽44に溜められた水を洗濯機本体41内で循環させることによって、洗剤を溶かし、洗濯物に付着した糸くず等のゴミを取り除く循環機能、および洗濯槽42および外槽44内の水を機外へ強制的に排出する排出機能を備える。そしてこの循環機能および排出機能を行う循環・排出ポンプとして、本発明のポンプ10を洗濯機本体41の洗濯槽42および外槽44の重力方向下側に取り付ける。
【0041】
ポンプ10は、外槽44の重力方向下側に形成された外槽流出口44aと接続された給水用配管51が設けられる。そして給水用配管51は、ポンプ10のポンプ流入口31b(図1参照)に接続される。またポンプ10の循環側ポンプ流出口31b1には、ポンプ10に送られた水を再び洗濯槽42に循環させる循環用配管52が接続される。この循環用配管52は、洗濯槽42へ水を流入させる洗濯槽流入口52aを備える。さらにポンプ10の排出側ポンプ流出口31b2には、ポンプ10に送られた水を機外へ排出する排出用配管53が接続される。排出用配管53には、弁54が設けられる。この弁54は、給水機能および循環機能を作動させる場合には閉じ、排出機能を作動させる場合にのみ開くように設定されている。
【0042】
また循環用配管52の下側には、洗剤を充填する洗剤充填部55および糸くず等のゴミを収集する収集部56が設けられる。この洗剤充填部55は、給水管47の下側まで形成されている。そして洗剤充填部55は、給水管47からの水が通る第一洗剤充填部55aおよび循環用配管52の水が通る第二洗剤充填部55bが設けられる。この第一洗剤充填部55aと第二洗剤充填部55bとの間には隔壁55cが形成される。この隔壁55cにより、第一洗剤充填部55aと第二洗剤充填部55bとを通る水は相手側に入ることを防ぐことができる。
【0043】
洗濯機40における通常の洗濯工程は、洗濯槽42に洗濯物が投入された後、まず給水管47の給水バルブ46が動作して第一洗剤充填部55aを通った洗剤が溶かされた水が洗濯槽42に給水されて設定水位に達すると給水が終了し、洗濯槽42が回転動作を開始して洗濯が行われる洗浄工程と、洗濯槽42に貯められた水を機外へ排出する第一排出工程と、給水バルブ46により再度給水が行われ、洗濯槽42が回転動作を開始して洗濯が行われるすすぎ工程と、洗濯槽42に貯められた水を機外へ排出する第二排出工程と、第二排出工程後に洗濯槽42を高速回転させ、洗濯槽42に設けられた小孔により洗濯物に含まれる水を遠心力により飛ばす脱水工程と、を備える。この洗濯工程は、使用者が操作パネル48により水位、洗濯時間等を設定する。洗濯機40は操作パネル48によって設定されたプログラムに従い自動制御されて運転される。
【0044】
すすぎ工程の際にポンプ10は循環機能が動作し、第二洗剤充填部55bに充填された洗剤を溶かす。すなわち、排出用配管53の弁54が閉じることによって、洗濯槽42に溜められた水は、ポンプ室30の循環側ポンプ流出口31b1(図2および図3参照)を通り、循環用配管52によって再び洗濯槽42へ給水される。そして循環用配管52によって洗濯槽流入口52aから送水された水は、途中で第二洗剤充填部55bを通ることによって洗剤と混ざった水として洗濯槽42に給水される。この循環機能では、第二洗剤充填部55bに充填されている洗剤を溶かすだけの水の流量が循環用配管52に送水されればよいので、水は少量の流量であればよい。その上、すすぎ工程は複数回行われることがあるので、水の流量を制御して、洗剤と混合した水が適切な濃度となるようにする必要がある。したがって、ポンプ10におけるモータ部20(図1参照)は出力を小さくし、インペラ32の回転数を少なくすることによって流量を調節する。
【0045】
第一排出工程および第二排出工程の際にポンプ10は排出機能が動作し、水は機外へ排出される。この際、ポンプ10におけるモータ部20は出力を大きくし、インペラ32の回転数を多くすることによって流量を大きくなるように調節する。さらに排出側ポンプ流出口31b2の断面積が大きく形成されているので、大流量を排出することができる。したがって、第一排出工程および第二排出工程の時間を削減することができる。その結果、洗濯工程の時間を少なくすることができる。またこれら第一排出工程および第二排出工程の際には、水の一部は循環用配管52に送水される。したがって、第一排出工程および第二排出工程によって、洗浄工程およびすすぎ工程にて発生した洗濯物の糸くず等のゴミが循環用配管52に残っている場合、収集部56にて収集することができる。その上、第一排出工程および第二排出工程の際に循環用配管52にも水が流れてもよいので、循環側ポンプ流出口31b1および循環用配管52の間に水が循環用配管52に流れることを防ぐような切替弁を設けなくてもよい。したがって、部品点数の削減を図ることができ、安価なポンプおよび洗濯機を提供することができる。
【0046】
ここで、循環側ポンプ流出口31b2の断面積がポンプ流入口31aに対して小さく形成されるので、循環用配管52に送水される水の流量を容易に調節することができる。また排出側ポンプ流出口31b1の断面積がポンプ流入口31aおよび循環側ポンプ流出口31b2に対して大きく形成されるので、第一排出工程および第二排出工程の際に、大流量の水を機外へ排出することができる。特にポンプ流入口31aの断面積よりも排出側ポンプ流出口31b2の断面積が大きく形成されるので、ポンプ室31内に流入する水の流量よりも流出する流量の方が多くなるので円滑に排出することができる。その上、外槽44における外槽流出口44aが略重力方向に沿って貫通するように形成されているので、洗濯槽42および外槽44に溜められた水をポンプ室30への送水をインペラ32の回転による力に重力作用を加えることができる。したがって、第一排出工程および第二排出工程の際に洗濯槽42および外槽44内の水をより短時間にて機外へ排出することができる。その結果、洗濯工程の時間をさらに減少させることができる。
【0047】
以上、本発明の実施例について記載したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、種々の変形を行うことができる。
【0048】
例えば、本発明のポンプ10は、洗濯機40に搭載されたが、本発明は循環機能および排出機能を有した機器であれば搭載可能であるので、これに限定されることはない。
【0049】
また例えば、本発明のポンプ10におけるモータ部20は、コイル22a2の逆起電力によって回転部24の回転位置を検出していたが、本発明はこれに限定されることはない。本発明は、回転部24の回転位置の検出する手段があればよいので、例えば、ホール素子等の磁気によって回転部24、特にロータマグネット24aの磁極を検出することによって回転部24の回転位置の検出を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のポンプの構造を示す軸方向に切った模式断面図である
【図2】本発明のポンプ室を示した上側から見た平面図である
【図3】本発明のポンプ室を図1とは周方向の異なった角度から見た軸方向に切った模式断面図である
【図4】本発明の洗濯機に搭載されるポンプの送水経路を示した模式図である
【図5】従来の洗濯機の構造を示した模式図である
【図6】従来の洗濯機の別の構造を示した模式図である
【符号の説明】
【0051】
10 ポンプ
20 モータ部
22 固定部
22a ステータ
24 回転部
24a ロータマグネット
30 ポンプ室
31a ポンプ流入口
31b ポンプ流出口
31b1 循環側ポンプ流出口
31b2 排出側ポンプ流出口
32 インペラ
40 洗濯機
42 洗濯槽
44 外槽
44a 外槽流出口
52a 洗濯槽流入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の液体を容器流出口から排出し、再び容器内に戻す循環機能と、該容器流出口から前記液体を外部へ排出する排出機能を有する機器に搭載されるポンプであって、
該ポンプは、
前記容器流出口と連結するポンプ流入口を有するポンプ室と、該ポンプ室に配置されたインペラと、該インペラを回転させるモータ部とを備え、
前記ポンプ室には、該ポンプ室に入る前記液体を該ポンプ室の外側へ流す複数のポンプ流出口を有し、
該ポンプ流出口は、
少なくとも前記循環機能を行う循環側ポンプ流出口と、
前記排出機能を行う排出側ポンプ流出口と、を有することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記排出側ポンプ流出口における前記液体がおおよそ流れる方向に対して垂直に切った断面積の大きさは、前記循環側ポンプ流出口における前記液体がおおよそ流れる方向に対して垂直に切った断面積の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記排出側ポンプ流出口の前記断面積の大きさは、前記ポンプ流入口における前記液体がおおよそ流れる方向に対して垂直に切った断面積の大きさと略同等もしくはより大きいことを特徴とする請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記モータ部には、
前記インペラと一体的に回転するロータマグネットを有する回転部と、
前記ロータマグネットを対向して配置され、前記回転部に回転駆動力を発生させるステータを有する固定部と、を有し、
前記モータ部は、電気的もしくは磁気的に前記回転部の回転位置を検出して制御を行うブラシレスモータであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポンプ。
【請求項5】
洗濯物を収容する略有底筒形状の洗濯槽と、該洗濯槽を外囲し前記液体を溜めることのできる外槽と、該外槽に設けられた外槽流出口と、前記洗濯槽および前記外槽から流出した前記液体を再び該洗濯槽へ戻す洗濯槽流入口と、を有し、
前記洗濯槽の前記液体を前記洗濯槽流入口から再び前記洗濯槽へ戻す循環機能と、
前記洗濯槽流出口から外部へ排出する排出機能と、を備える洗濯機であって、
当該洗濯機には、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のポンプが搭載されることを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
前記ポンプは、
前記排出機能を行う際の前記モータ部の出力は、前記循環機能を行う際の前記モータ部の出力と略同等もしくは、より大きくなるように制御することを特徴とする請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記排出機能を行う際、前記液体の一部は、前記循環側ポンプ流出口に入り、前記洗濯槽へ流出することを特徴とする請求項5および請求項6のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記ポンプは、前記洗濯槽の重力方向下側に配置され、前記外槽流出口は、重力方向に沿って形成されることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−12140(P2008−12140A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187535(P2006−187535)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(398061810)日本電産シバウラ株式会社 (197)
【Fターム(参考)】