説明

ポンプの押下ヘッド

【課題】ステム2に嵌着した装着筒部材Aに対して本体Bを上下動させることにより梃部材Eを介して弁部材Dを移動させて噴出口30を開口させるポンプの押下ヘッドであって、通常の取り扱い操作の中でステム2からの離脱を生じる虞れが少なく、万一外れた場合も容易にもとの状態に復元できる押下ヘッドを提案する。
【解決手段】ステム2の内径をL1、ステム内周上端部に嵌着させた装着筒部材Aの装着筒10の長さをL2とした時、2.2≦L2/L1 ≦4.0 を満たす如く構成した。これにより、ステムからの押下ヘッドの外れを防止し、万一外れることがあっても、元の状態への復元が容易な装着筒部材Aの部分から外れる如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプの押下ヘッドに関し、詳しくは、液噴出後の液切れが良く、ヘッド内での液詰まり等がなく、しかも液噴出の際の押し下げが容易に行えるポンプの押下ヘッドの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプの押下ヘッドとして、上方付勢状態で押し込み可能に突設したステムの上端に嵌着して使用するものが知られている。これらは押し込みにより装着した容器体内の液をステムを介して噴出口より噴出する如く構成したものであり、一般的な押下ヘッドでは、ステムに嵌着させる縦筒と、該縦筒上部に基端を開口して先端の噴出口に連通する横筒とを備えている。また、この様な単純構成のものを改良し、噴出口を閉塞するように弾性体で付勢された弁部材を備え、押下時に噴出口が開放状態となる如く構成したものも提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
この押下ヘッドは、ポンプのステムに嵌着して使用されるもので、ステム内と連通する摺動筒を立設した装着筒部材と、装着筒部材に嵌合させたシリンダ上方に横筒を備えた本体と、前方付勢状態で噴出口を閉塞し、シリンダ内と連通する連絡口より噴出口に至る流路を画成した弁部材と、横筒後壁の窓孔を介してその後方へ突出した弁部材後端部に上端を連係させるとともに、下端部を頂板上面に当接係止させ、且つ、装着筒部材に対する本体の押し下げ時に弁部材を後方へ引き出す如く揺動可能に本体に枢着した梃部材とを備え、ステムに対する本体の押し下げ抗力がステム自体の押し下げ抗力より小に構成している。
【特許文献1】特開2004−000834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の押下ヘッドは、常時安定した液の噴出を行えるとともに、液切れが良く、噴出口の密閉性にも優れ、しかも、ヘッドの押し下げを容易に行え、また、どの様なポンプに対しても使用可能で、且つ長期の使用にも充分安定した液の噴出を行える優れたものである。反面、取り扱い操作中にステムから外れてしまう虞れがあった。特に、外周に配置したコイルスプリングにより上方付勢させたステムを備えた形態のものにあっては、装着筒部材の装着筒をステム内に嵌着固定する形態としなければならず、装着筒の径が細くなるとともに、一般に合成樹脂で形成されるこれら部材は若干曲がり易い傾向も備えている。また、この種の押下ヘッドは、コイルスプリングの上端を係止するためのスプリング受けをステム外周上端に嵌着しており、このスプリング受のフランジに装着筒部材より突設した突条を係合させて装着筒部材の抜け出し防止の一端を担っており、この係合が横からの力に弱い傾向がある。
【0005】
一方、ステム下部に介在させたコイルスプリングによりステムを上方付勢させ、装着筒部材の装着筒をステム外周に嵌着させた形態のものも存在するが、この場合には装着筒の径も大きく、ステム外面と装着筒内面とにアンダーカット係合しているため、取り扱い操作中に押下ヘッドが外れるという不都合は殆ど生じていない。
【0006】
上記従来の押下ヘッドがステムから外れる形態は二種類有る。一つは装着筒部材がステムから外れる場合であり、いま一つは本体が装着筒部材から外れる場合である。従って、押下ヘッドを本体から外れない様にするためには、上記両方の嵌合強度或いは係止強度を大きくすれば解決する。しかしながら、装着筒部材に対して本体は上下動するため、装着部材に対する本体の抜け出し防止手段として、例えば、本体周壁の内周下部に突設した係止突条を装着筒部材の周縁下部に当接係止させることにより行っており、係止突条を強制的に装着筒部材周縁部を乗り越えさせることを考慮しても、その係合強度を特別大きなものとすることは難しい。
【0007】
反面、装着筒部材をステムに嵌着させる場合の嵌合強度は、装着筒部材をステムに嵌着固定することを考慮すれば大きな嵌合強度を得ることは可能となる。ところが、装着筒部材がステムに残った状態で本体が外れると内部の複雑な構造に起因して消費者が元の状態に復元するのが極めて困難となる。従って、万一ステムから押下ヘッドが外れることがあっても、その場合には装着筒部材の部分から外れることが好ましい。
【0008】
また、押下ヘッドが外れる場合には、特に装着筒部材がステムから外れる場合には横方向の力の影響が大きく、例えば、押下ヘッドを被覆して着脱可能に嵌合されたオーバーキャップを取り外す際にオーバーキャップが傾きながら外れて横方向の力が掛かり、押下ヘッドが外れてしまう場合もある。
【0009】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、通常の取り扱い操作の中でステムからの離脱を生じる虞れが極めて少なく、しかも、上記した特有の効果を併せて発揮することができるポンプの押下ヘッドを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記問題点を解決するに当たり、特に、オーバーキャップを外す際オーバーキャップが斜めに外されることにより本体が傾けられて、それに伴って押し下げヘッドが外れる場合があることに注目し、ステムの内径と装着筒部材の装着筒の長さとの関係を特定することに着目した。その際、本体と装着筒部材の係合は、例えば、本体周壁に突設した突条と、装着筒部材の外周に突設した突条との係合、或いは本体周壁に突設した突条と、装着筒部材外周下面との係合という一般的な係合状態を考慮して行った。これらのいずれの場合にも本体の突条を装着筒部材の突条或いは装着筒部材外周を強制的に乗り越えて装着させなければならないため、突条の突出幅がある程度の決められた範囲になるものとなり、例えば、突条相互の場合には本体側の突条の突出幅が0.1mm〜0.2 mm程度のもので装着筒部材側の突条の突出幅が同様に0.1mm〜0.2mm程度のものを対象とし、案内筒下面に突条を係止する場合には案内筒と本体周壁との隙間が0.1mm〜0.2mm程度のものを対象としたいずれにしろこの種の押下ヘッドの一般的な係合状態を採用している。
【0011】
一方これに対し、ステムの径L1と装着筒の長さL2との比を種々選択してオーバーキャップを傾けつつの取り外しを行った結果、L2/L1 が2.2未満では装着筒部材がステムから外れ易くなり、また、L2/L1 が4.0を越えると装着筒部材の外れは殆どなくなり、オーバーキャップの抜け出し角度等により本体が装着筒部材から外れる場合が生じてきた。
【0012】
第1の手段として以下の通り構成した。即ち、外周に配置したコイルスプリングs1により上方付勢させたステム2を押し込み可能に起立してなるポンプに装着する押下ヘッドであって、ステム2内周上端部に嵌着させた装着筒10を頂板11下面より垂設するとともに、ステム2内と連通する摺動筒12を頂板11上方に立設した装着筒部材Aと、摺動筒12外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ23上方に、先端に噴出口30を開口した弁室Rを備え、且つ、装着筒部材Aに対して押し下げ可能に設けた本体Bと、弁室R内に於いて前方付勢状態で噴出口30を閉塞し、且つ、シリンダ23内より噴出口30に至る流路を画成してなる弁部材Dと、弁部材D後端部に上端を連係させるとともに、下端部を頂板11上面に当接係止させ、且つ、装着筒部材Aに対する本体Bの押し下げ時に弁部材Dを後方へ引き出す如く揺動可能に本体Bに枢着した梃部材Eとを備え、ステム2に対する本体の押下抗力がステム自体の押下抗力より小であり、ステム2の内径をL1、装着筒10の長さをL2とした時2.2≦L2/L1 ≦4.0を満たすことを特徴とする。
【0013】
第2の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記ポンプが、ステム2外周上端部に嵌合させた嵌合筒4の上端より外方へフランジ5を延設したスプリング受3を設け、該スプリング受3のフランジ5下面にコイルスプリングs1の上端を係止してステム2を上方付勢させてなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の押下ヘッドは、取り扱い操作中にステム2から外れるという不都合をより確実に防止でき、また、万一その様な不都合が生じた場合にも、復元が容易であるという特徴を備えている。更に、従来のこの種の押下ヘッドと同様に、以下の効果を発揮するものである。液噴出後の液切れが良く、噴出時の不都合な液の飛び出しを防止でき、ヘッド内での液詰まり、固化等の虞がなく、しかも噴出口が閉塞されているにも拘わらず押し下げが固くなることもなく容易に押し下げ噴出することができるものである。また、ポンプの形態等に左右されずに使用できるため汎用性に優れ、多くの種類のポンプに適用できるものである。更に、梃部材により弁部材を開閉させるため、耐久性に優れ長期に亘って常時安定した操作を行えるものである。
【0015】
上記ポンプが、ステム2外周上端部に嵌合させた嵌合筒4の上端より外方へフランジ5を延設したスプリング受3を設け、該スプリング受3のフランジ5下面にコイルスプリングs1の上端を係止してステム2を上方付勢させてなるものの場合には、コイルスプリングs1の力が装着筒部材Aの抜け出し方向に掛からないため、長期の押圧により装着筒部材Aの嵌合がコイルスプリングs1により弛む等の不都合を防止でき、ひいてはより確実な押下ヘッドの抜け出し防止に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の押下ヘッド1は、ポンプのステム2上端に嵌着して使用する。装着するポンプの形態は、ステムを押し下げることよりポンプ内の液がステムより噴出する如く構成したものであれば採用でき、例えば、シリンダとピストンとを備えた一般的なポンプ構造を備えたもの、或いはエアゾールタイプのもの等を採用できる。図示例に於いて、ステム2は、外周上端部に嵌着したスプリング受3とポンプ上面との間に介在させたコイルスプリングs1により常時上方へ付勢させている。スプリング受3は、ステム2外周上端部に嵌着した嵌合筒4の上端縁より外方へフランジ5を延設して構成し、フランジ5下面にコイルスプリングs1の上端を係止している。
【0018】
本発明に於ける押下ヘッド1は、装着筒部材Aと、本体Bと、噴出口部材Cと、弁部材Dと、梃部材Eとを備えている。
【0019】
装着筒部材Aは、ステム2の内周上端部に嵌合させた装着筒10を頂板11裏面より垂設するとともに、頂板11中央にはステム2内と連通する摺動筒12を立設している。更に、頂板11周縁部からは下方へ案内筒13を垂設している。また、頂板11の両側に於いて上下に延び、本体Bのぐらつきを防止する等の目的で係止板14を延設している。
【0020】
本体Bは、ステム2に装着筒部材Aを介して押し下げ可能に連結したもので、周壁20上端縁より頂壁21を延設した下端開口の有頂筒状をなし、また、周壁20前部に前端を開口した横筒22を後方へ突設し、更に、横筒22下面よりシリンダ23を垂設している。また、摺動筒12に摺動下降可能にシリンダ23を嵌合させ、案内筒13外周に周壁20を上下動可能に垂設して装着している。また、周壁20の内周下端部に突設した係合突条24を案内筒13下端に係合させて上方への抜け出し防止を図っている。尚、図中25は金属製のカバーを示す。
【0021】
上記横筒22は両側及び後部に梃部材Eの上部と係止板14とが収納できるスペースを設けており、また、後壁22a 中央に窓孔を穿設し、その周囲の後壁22a 前面より前方へシール筒26を突設し、更に、下部にはシリンダ23内と連通する連絡口27を設けている。また、周壁20両側に於いて、係止板14外面の係合凹溝15にそれぞれ係合する各一対の係合突条28を縦設している。
【0022】
噴出口部材Cは、横筒22に嵌着させて横筒22内部に弁室Rを画成している。また、横筒22内前部に後部を液密に嵌着させるとともに、前部をテーパ状に縮径してその先端に噴出口30を開口している。また、外面より突設した環状突起を本体B前面に当接係止させ、内部には周方向複数のリブ31を突設している。
【0023】
弁部材Dは、シール筒26内周に後部外周を摺動可能に嵌合させるとともに、前方付勢状態で噴出口30を閉塞して連絡口27より噴出口30に至る流路を画成している。図示例では、横棒状をなし、外周前後方向中間部より後方へスカート状部40を延設するとともに、スカート状部40後端縁より折り返した逆スカート状部41の外周縁をシール筒26内周に摺動可能に嵌合させている。また、横筒22の後壁22a 前面とスカート状部40の分岐部分とに介在させたコイルスプリングs2により前方へ付勢して先端を噴出口30に圧接して閉塞している。また、後端を後壁22a の窓孔より突出させ、突出部分に梃部材係合用の環状凹部42を凹設している。これにより、シリンダ23内から連絡口27を介して横筒22内を通り噴出口30に至る液流路を画成している。
【0024】
梃部材Eは、横筒後壁22a の窓孔を介してその後方へ突出した弁部材D後端部に上端を連係させるとともに、下端部を頂板11上面に当接係止させており、また、装着筒部材Aに対する本体Bの押し下げ時に弁部材Dを後方へ引き出す如く揺動可能に枢着している。梃部材Eは、上端部を弁部材Dの後端部に連係した垂直板部50下端部より前方へ下る二股の傾斜板部51を延設するとともに、各傾斜板部51の下端部を摺動筒12両側の頂板11上面に当接係止させている。本実施例に於ける梃部材Eと弁部材Dとの連係は、垂直板部50の上端部中央に設けた切欠部52に弁部材Dの環状凹部42を嵌合させている。また、屈折部分両側に突設した枢着軸53を、横筒22直下に嵌着させた取付板Fの下面後部より所定間隔をあけて一対垂設した軸受60に回動可能に嵌合させている。
【0025】
そして、コイルスプリングs2により前方付勢された弁部材Dにより垂直板部50上部の連係部分を常時前方へ付勢させており、本体Bの押し下げにより、装着筒部材Aの頂板11が傾斜板部51を押し上げて梃部材Eを回動させ、コイルスプリングs2の前方付勢力に抗して弁部材Dを後方へ引き出す如く構成している。尚、図中Gはオーバーキャップを示す。
【0026】
本発明では、この様な押下ヘッドに於いて、ステム2に対する本体Bの押下抗力がステム自体の押下抗力より小になる様に構成している。この様に構成するために、基本的には装着するポンプのステムを上方付勢させるための弾性材よりも、弁部材Dを前方付勢させるための弾性材の弾発力を小さく選択すれば良く、その他摺動筒とシリンダとの摩擦力,梃部材の揺動時の摩擦力等を考慮してこれらを選択すれば良い。
【0027】
また、本発明では、ステム2の内径をL1、装着筒10の長さをL2とした時2.2≦L2/L1 ≦4.0である如く両者の関係を特定している。これにより、押下ヘッド1がステム2より抜け出すのをより確実に防止している。上記比が2.2未満であるとステム2から装着筒部材Aが外れ易くなる。また、上記比が4.0を越えると、万一押下ヘッド1が外れた場合に本体Bが装着筒部材Aから外れ易くなる。尚、本体Bと装着筒部材Aとの係合強度は、従来のこの種の押下ヘッドに於いて使用されている突条と該突条を乗り越えて上下動する如く構成した突条相互の係合或いは下向き段部と下向き段部を強制的に乗り越えて上下動する如く構成した突条との係合等、従来の係合形態のものを採用した場合を対象としている。
【0028】
図1の例に於ける押下ヘッド1の外れ試験を行ったところ以下の通りとなった。試験方法として、プッシュプルゲージを用いて、押下ヘッド1を装着したポンプを横倒し固定し、上方より100mm/min の速度で押下ヘッド1側面を押圧し、押下ヘッド1が外れた時の押圧力を測定した。測定は4回行い、その結果を以下に示す。この際の押下ヘッドのL1=4.4mm ,L2=12.5mmであり、L2/L1 =2.84である。
【0029】
結果は、1回目:22.2N(ニュートン),2回目:23.0N,3回目:25.0N,4回目:22.2Nであり、平均値として23.1Nという値が得られた。この場合押下ヘッド1はいずれも装着筒部材Aの部分から外れた。尚、この際垂直引き抜き強度の試験も同時に行ったが平均値として35.7Nで押下ヘッド1がはずれ、この場合も装着筒部材Aの部分から外れた。
【0030】
これに先立ち、通年商品として使用していて押下ヘッドが外れる事故が殆ど見かけられない形態であって、コイルスプリングをステム下方に内蔵し、装着筒部材をステム外面に嵌着した以外は図1の例と略同様のタイプの押下ヘッドを使用して同様の試験を行った。結果は、1回目:23.6N,2回目:21.08N,3回目:22.72N,4回目:23.4Nであり、平均値として22.7Nという値が得られた。従って、上記23.1Nという値が通常の使用にあたって、押下ヘッドが外れない値であることが判る。
【0031】
比較として、L1=4.4mm ,L2=7.5mm であり、L2/L1 =1.70である以外は図1の例と同様の押下ヘッドを用いて、同様の試験を行った。結果は、1回目:9.62N,2回目:10.15N,3回目:9.21N,4回目:9.78Nであり、平均値として9.69Nという値が得られた。また、L1=4.4mm ,L2=9.5mm であり、L2/L1 =2.16である以外は図1の例と同様の押下ヘッドを用いて、同様の試験を行った。この場合は3回の試験を行った。結果は、1回目:14.5N,2回目:16.0N,3回目:19.0Nであり、平均値として16.5Nという値が得られた。
【0032】
上記の如く構成した押下ヘッド1は、図1の状態から押下ヘッド1を押し下げると、ステム2自体の押下抗力の方が本体Bのステム2に対する押下抗力より大きいため、最初ステム2は下がらず、装着筒部材Aに対して本体Bが下降する。この際、梃部材Eの下端部が装着筒部材Aの頂板11上面に押し上げられて枢着軸53を中心に回動し、その上端部が後方へ回動して弁部材Dをコイルスプリングs2の弾発力に抗して後方へ移行させ、噴出口30が開く。次いでステム2が下降し、該ステムの下降によりポンプ内の液がステム2よりシリンダ23を通り、連絡口27から流路を介して噴出口30より外部へ噴出する。
【0033】
次に押下ヘッド1の押圧を解除すると、最初ステムの上方付勢力によりヘッドが上昇する。この際、例えば押下ヘッド1上面を押圧した手が離れないうちにステムの上昇が行われ、噴出口30は開いたままの状態で行われる。従って、この時点で横筒22内は負圧状態となる。次いで、手を離す余地ができ、コイルスプリングs2の弾発力により弁部材Dが前方へ移行して噴出口30を閉塞し、それに伴い梃部材Eにより本体Bを装着筒部材Aに対して上方へ押上げ、元の状態に戻る。
【0034】
尚、上記各部材は特に断りが無い限り主として合成樹脂により形成され、必要に応じて、金属,エラストマー等を併用して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】押下ヘッドの縦断面図である。(実施例1)
【図2】押下ヘッドの半断面図である。(実施例1)
【図3】ステム部分の横断面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0036】
1…押下ヘッド
A…装着筒部材
10…装着筒,11…頂板,12…摺動筒,13…案内筒,14…係止板,15…係合凹溝
B…本体
20…周壁,21…頂壁,22…横筒,22a …後壁,23…シリンダ,24…係合突条,
25…カバー,26…シール筒,27…連絡口,28…係合突条,R…弁室
C…噴出口部材
30…噴出口,31…リブ
D…弁部材
40…スカート状部,41…逆スカート状部,42…環状凹部,s2…コイルスプリング
E…梃部材
50…垂直板部,51…傾斜板部,52…切欠部,53…枢着軸
F…取付板
60…軸受
G…オーバーキャップ
2…ステム,3…スプリング受,4…嵌合筒,5…フランジ,s1…コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に配置したコイルスプリングs1により上方付勢させたステム2を押し込み可能に起立してなるポンプに装着する押下ヘッドであって、ステム2内周上端部に嵌着させた装着筒10を頂板11下面より垂設するとともに、ステム2内と連通する摺動筒12を頂板11上方に立設した装着筒部材Aと、摺動筒12外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ23上方に、先端に噴出口30を開口した弁室Rを備え、且つ、装着筒部材Aに対して押し下げ可能に設けた本体Bと、弁室R内に於いて前方付勢状態で噴出口30を閉塞し、且つ、シリンダ23内より噴出口30に至る流路を画成してなる弁部材Dと、弁部材D後端部に上端を連係させるとともに、下端部を頂板11上面に当接係止させ、且つ、装着筒部材Aに対する本体Bの押し下げ時に弁部材Dを後方へ引き出す如く揺動可能に本体Bに枢着した梃部材Eとを備え、ステム2に対する本体の押下抗力がステム自体の押下抗力より小であり、ステム2の内径をL1、装着筒10の長さをL2とした時2.2≦L2/L1 ≦4.0を満たすことを特徴とするポンプの押下ヘッド。
【請求項2】
上記ポンプが、ステム2外周上端部に嵌合させた嵌合筒4の上端より外方へフランジ5を延設したスプリング受3を設け、該スプリング受3のフランジ5下面にコイルスプリングs1の上端を係止してステム2を上方付勢させてなる請求項1記載のポンプの押下ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−131781(P2009−131781A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309991(P2007−309991)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】