説明

ポンプ付き容器

【課題】吐出後、空気が残留内容物に触れることがなく、かつ、構成が簡素なポンプ付き容器を提供する。
【解決手段】容器体内へ垂下させたシリンダ内から上方付勢状態で起立するステム22へ装着させたノズルヘッド30の押下げで容器体内容物をノズル孔34aから吐出可能に設けたポンプ付き容器において、ノズルヘッド30の頂壁31内部に前記ノズル孔34aへ連通する吐出室35を形成して、該吐出室35下面に前記ステム22へ連通する吐出口36を開口させるとともに、吐出弁兼用の薄板37を、その一部を吐出路形成部38として残して前記吐出室35下面へ添着させ、ノズルヘッド30の押下げで前記吐出口36を介して前記吐出室35内へ流入する容器体内容物が前記薄板37の吐出路形成部38を上方へ膨出させて前記ノズル孔34aから吐出可能に、かつポンプ内の負圧化で前記薄板37が吐出室下面へ密着可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ作用によって容器体内容物を吐出可能なポンプ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部にノズルヘッドを備えたポンプを設け、ノズルヘッドの押下げ操作で容器体内容物が、ポンプ内部に設けられた玉弁等の吐出弁を開いてノズルから吐出可能に設けたポンプ付き容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−292006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、吐出後、ポンプ内の負圧化でノズル内へ吸引された空気がノズル等吐出弁より下流側の流路に残留した容器体内容物に触れて劣化させるおそれがあり、また、玉弁等の吐出弁を使用するため部品点数が多く構成も複雑なものにならざるを得なかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、吐出後、空気が残留内容物に触れることがなく、かつ、構成が簡素なポンプ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体内へ垂下させたシリンダ内から上方付勢状態で起立するステムへ装着させたノズルヘッドの押下げで容器体内容物をノズル孔から吐出可能に設けたポンプ付き容器において、
前記ノズルヘッドの頂壁内部に前記ノズル孔へ連通する吐出室を形成して、該吐出室下面に前記ステムへ連通する吐出口を開口させるとともに、吐出弁としての薄板を、その一部を吐出路形成部として残して前記吐出室下面へ添着させ、
前記ノズルヘッドの押下げで前記吐出口を介して前記吐出室内へ流入する容器体内容物が前記薄板の吐出路形成部を上方へ膨出させて前記ノズル孔から吐出可能に、かつポンプ内の負圧化で前記薄板が前記吐出室35下面へ密着可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記吐出室下面を下方へ凸に弯曲させるとともに、前記薄板をプラスチックフィルムで形成し、前記ノズルヘッドの押下げで前記吐出室内へ流入する容器体内容物が前記薄板の吐出路形成部を上方へ凸の弯曲状に反転させることが可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記吐出室下面を平面状に形成するとともに、前記薄板を伸縮自在な材質で形成し、前記ノズルヘッドの押下げで前記吐出室内へ流入する容器体内容物が前記薄板の吐出路形成部を上方へ凸の弯曲状に変形させることが可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記ノズルヘッド頂壁を上下に二分割して、ノズルヘッド本体と該ノズルヘッド本体上面を覆うヘッドカバー部とに形成して、前記ノズルヘッド本体上面の左右両側から下側係合壁を起立させるとともに、前記ヘッドカバー部頂板の左右両側から上側係合壁を垂下させ、該上側係合壁を前記下側係合壁外面へ着脱自在に嵌合させた
ことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記ノズルヘッドへ係合して該ノズルヘッドの下降を阻止可能なストッパ部材を備えていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記薄板を前記吐出室下面へ接着または溶着させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、吐出室下面へ添着させた薄板がポンプ内の負圧化で吐出室35下面へ密着可能に設けたので、吐出後、容器体内容物の流路は薄板によって閉塞されることとなり、このため容器体内容物はすみやかに容器体内へ戻送されると共に、空気が流路内へ吸引されることはなく、したがって、容器体内容物の劣化が防止され内容物の保護を十全なものとすることができる。
【0013】
また、本発明は、吐出室下面へ添着させた薄板が容器体内容物の保護機能を果たすと共に、吐出弁の機能をも兼ねるため、ポンプ内部の吐出弁を省略することができ、よって構成の簡素化を図ることができる。
さらに、本発明は、ノズルヘッド頂壁を二分割したので、ヘッドカバー部を交換するだけでノズルヘッドの外観形状を変更できるとともに、薄板のノズルヘッドへの組付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るポンプ付き容器の要部を示す一部断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】(a)図1の平面図である。 (b)図1の側面図である。
【図4】(a)他の実施形態の平面図である。 (b)同じく側面図である。
【図5】(a)他の実施形態の平面図である。 (b)同じく側面図である。
【図6】ヘッドカバー部を取外した状態のポンプ付き容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
1は容器体で、胴部上端から肩部を介して口頸部を起立させる。
【0017】
10は装着筒で、容器体口頸部へ螺合させた周壁11の上面から内向きフランジを介して案内筒12を起立させる。
【0018】
20はポンプで、容器体1内へ垂下するシリンダ21内から図示しないピストンを介してステム22を上方付勢状態で起立させるとともに、ステム22の上端部外面へノズルヘッド30を嵌合させている。
【0019】
ノズルヘッド30は頂壁31下面から内外二重筒32、33を垂下して、内筒32をステム22の上端部外面へ嵌合させるとともに、外筒33下端を案内筒12上端外面へ遊嵌させ、さらに頂壁31前部からノズル34をステム22へ連通させて前方へ突設させている。
【0020】
ノズルヘッド30の頂壁31内部にはノズル孔34aへ連通する吐出室35を前後方向へ長く形成して、該吐出室35の前後方向中間部下面にステム22へ連通する吐出口36を開口させるとともに、薄板37を、その一部を吐出路形成部38として残して他部(添着部37a)を吐出室35下面へ添着させる。添着は接着または溶着によって行う。
【0021】
吐出路形成部38は吐出口36からノズル孔34aへ達する長さに形成され、かつ吐出室35下面へは添着されていないため、吐出口36から吐出室35内へ容器体内容物が流入すると、吐出路形成部38は上方へ膨出して内容物の流路を形成して、内容物をノズル孔34aから吐出可能にする。したがって、吐出形成路38の左右の幅は吐出口36の径とほぼ等しいか、やや大きく形成されるが、容器体内容物の粘度や注出形態によってその幅を変更することも可能である。
【0022】
吐出室35の下面の形状は下方へ凸の弯曲状、すなわち皿状に形成してもよく、または弯曲させることなく平面状に形成してもよい。弯曲状に形成する場合には薄板37の材質として上方へ凸の弯曲状に反転可能なプラスチックフィルムを使用する。一方、平面状に形成する場合には、薄板37として上方への膨出量が比較的大きい伸縮自在な材質を用いる。
【0023】
吐出室35が形成されたノズルヘッド30の頂壁31は上下に二分割して、ノズルヘッド本体39と該ノズルヘッド本体上面を覆うヘッドカバー部40とに形成して、ノズルヘッド本体39上面の左右両側から下側係合壁41を起立させるとともに、ヘッドカバー部40の頂板42の左右両側から上側係合壁43を垂下させ、さらに両係合壁43の内側に補助壁44を垂下させ、該補助壁44と上側係合壁43との間に下側係合壁41を着脱自在に嵌合させる。
【0024】
次に本実施形態の作用について説明する。
組立に際しては、ヘッドカバー部40を取外して薄板37を、その一部、すなわち吐出路形成部38を残して吐出室35の下面へ接着または溶着により添着させる。使用するには、ヘッドカバー部40を取り付けた後、ノズルヘッド30を押下げればよく、するとステム22から吐出口36を介して容器体内容物が吐出室35内へ流入して吐出路形成部38を上方へ反転または膨出させることでノズル孔34aから吐出する。
【0025】
吐出後、ノズルヘッド30が上昇すると、ポンプ20内が負圧化するため、その吸引力と薄板37自体の弾性力により薄板37は元の形状に復元して吐出室35下面へ密着する。これによりノズルヘッド30内に残留した容器体内容物は吐出口36から容器体内へ戻送されるとともに、ノズルヘッド30内への外気の吸引も防止されるため、容器体内容物の劣化が防止される。
【0026】
50はストッパ部材で、上面視U字状の本体と本体から後方へ突設する摘み部51とから形成されていて、案内筒12へ着脱自在に嵌合してノズルヘッド30下端へ係合することでノズルヘッド30の不必要な下降を阻止可能に設けられている。
【0027】
ストッパ部材50は図4に示すようにノズルヘッド30の外筒33下端と装着筒10の頂部間へ嵌合させるようにしてもよく、あるいは図5に示すようにノズル34へストッパ部材50を嵌合させることでノズル34の下降を防止するようにしてもよい。
【0028】
なお、ヘッドカバー部40は上記のようにノズルヘッド本体に対して交換可能であり、したがって、ヘッドカバー部を交換することでノズルヘッドの外観形状を変更させることが可能で、例えば、図3と図4のように形状を異ならせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ノズルヘッドの押下げで容器体内容物を吐出可能なポンプ付き容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
20 ポンプ
22 ステム
30 ノズルヘッド
31 ノズルヘッドの頂壁
34 ノズル
35 吐出室
36 吐出口
37 薄板
37a 添着部
38 吐出路形成部
39 ノズルヘッド本体
40 ヘッドカバー部
41 下側係合壁
43 上側係合壁
50 ストッパ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体内へ垂下させたシリンダ内から上方付勢状態で起立するステム22へ装着させたノズルヘッド30の押下げで容器体内容物をノズル孔34aから吐出可能に設けたポンプ付き容器において、
前記ノズルヘッド30の頂壁31内部に前記ノズル孔34aへ連通する吐出室35を形成して、該吐出室35下面に前記ステム22へ連通する吐出口36を開口させるとともに、吐出弁兼用の薄板37を、その一部を吐出路形成部38として残して前記吐出室35下面へ添着させ、
前記ノズルヘッド30の押下げで前記吐出口36を介して前記吐出室35内へ流入する容器体内容物が前記薄板37の吐出路形成部38を上方へ膨出させて前記ノズル孔34aから吐出可能に、かつポンプ内の負圧化で前記薄板37が前記吐出室35下面へ密着可能に設けた
ことを特徴とするポンプ付き容器。
【請求項2】
前記吐出室35下面を下方へ凸に弯曲させるとともに、前記薄板37をプラスチックフィルムで形成し、前記ノズルヘッド30の押下げで前記吐出室35内へ流入する容器体内容物が前記薄板37の吐出路形成部38を上方へ凸の弯曲状に反転させることが可能に設けた
ことを特徴とする請求項1記載のポンプ付き容器。
【請求項3】
前記吐出室35下面を平面状に形成するとともに、前記薄板37を伸縮自在な材質で形成し、前記ノズルヘッド30の押下げで前記吐出室35内へ流入する容器体内容物が前記薄板の吐出路形成部38を上方へ凸の弯曲状に伸び変形可能に設けた
ことを特徴とする請求項1記載のポンプ付き容器。
【請求項4】
前記ノズルヘッド頂壁31を上下に二分割して、ノズルヘッド本体39と該ノズルヘッド本体上面を覆うヘッドカバー部40とに形成して、前記ノズルヘッド本体39上面の左右両側から下側係合壁41を起立させるとともに、前記ヘッドカバー部頂板42の左右両側から上側係合壁43を垂下させ、該上側係合壁43を前記下側係合壁41外面へ着脱自在に嵌合させた
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載のポンプ付き容器。
【請求項5】
前記ノズルヘッド30へ係合して該ノズルヘッドの下降を阻止可能なストッパ部材50を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか1項記載のポンプ付き容器。
【請求項6】
前記薄板37を前記吐出室35下面へ接着または溶着させたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項記載のポンプ付き容器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−235902(P2011−235902A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105946(P2010−105946)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】