説明

ポンプ

【課題】可動噴出部Bの上下動により容器体内の液を吸い上げてノズル83より噴出するとともに、可動噴出部Bを押し下げた状態で固定吸引部Aに係止可能に構成してなるポンプであって、容器体を倒した場合の液の漏出の虞がなく、また、容器体胴部を強く圧搾した場合にも液の漏出の虞がないポンプを提案するものである。
【解決手段】可動噴出部Bの最下降係止状態で、可動噴出部Bと固定吸引部AとでシリンダA1内上下を遮断するシール部を形成し、また、ステムB1外周に上下動可能に装着した閉塞筒部材B4が外気導入孔18を閉塞し、可動噴出部Bが最上昇位置にある時及び可動噴出部Bが液噴出のための上下動時にはシール部が開放されるとともに、外気導入孔18が開放される如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプとして、上端の噴出ヘッドを上下動させることで、収納液を噴出ヘッドの噴出口より噴出する如く構成したものが種々提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載されたポンプは、周壁上部に外気導入孔を穿設するとともに、底部に吸込み弁を備えたシリンダを、その上端部を口頸部よりも突出させ且つ下端を胴部内に垂下させた状態で容器体に固定させてなる固定吸引部と、シリンダ内を摺動する環状ピストンを有底のステム外周下部に相対上下動が可能に連係させるとともに、ステムの上端に噴出ヘッドを嵌着し、且つ、上方付勢状態で上下動可能に設けた可動噴出部とを備え、可動噴出部の上下動により容器体内の液を吸い上げてノズルより噴出するとともに、可動噴出部を押し下げた状態で固定吸引部に係止可能に構成している。
【0004】
上記ポンプにおける吸込み弁は玉状弁体を使用しており、また、可動噴出部の押し下げ係止状態では環状ピストンが構成する吐出弁も開いた状態であり、従って、容器を倒すと容器体内と外部とが連通してしまい液が漏出してしまう虞があった。また、シリンダの外気導入孔も可動噴出部の押し下げ係止状態では開いており、容器体内が外気導入孔を介して外部とが連通している状態にあり、この場合も容器を倒すとここからも液の漏出の虞があった。
【0005】
この様な点を考慮して、弁座に弁板を弾性的に圧接し、シリンダ内の負圧状態で弾性閉塞力に抗して強制的に弁板を開いて吸込み弁が開き、負圧状態が解消すると弾性閉塞力で弁板が閉じるという形態の吸込み弁を採用することで、容器を倒してもこの部分からの液の漏出がなく、従って、ノズルからの液の漏出を防止できるものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−313957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、弁座に弁板を弾性的に圧接した形態の吸込み弁を使用した場合でも、容器体を強い力で握ったりした場合に容器体内が加圧され、液圧で吸込み弁を開いてノズルから液が漏出してしまう虞があり、特に、容器体内に液の充満した未開封状態の場合にその虞が顕著である。また、この場合にはシリンダの外気導入孔からの液の漏出の問題も解消されていない。
【0008】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、可動噴出部が最下降係止状態の場合には容器体を倒しても液の漏出の虞がなく、また、容器体胴部を強く圧搾した場合にも液の漏出の虞がないポンプを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、周壁11上部に外気導入孔18を穿設し、底部に吸込み弁45を備えたシリンダA1を、その上端部を口頸部103 よりも突出させ且つ下端を胴部101 内に垂下させた状態で容器体100 に固定させてなる固定吸引部Aと、シリンダA1を摺動する環状ピストンB2を有底のステムB1外周下部に相対上下動が可能に連係させ、ステムB1の上端に噴出ヘッドB3を嵌着し、且つ、上方付勢状態で上下動可能に設けた可動噴出部Bとを備え、可動噴出部Bの上下動により容器体内の液を吸い上げてノズル83より噴出するとともに、可動噴出部Bを押し下げた状態で固定吸引部Aに係止可能に構成してなる液体噴出ポンプに於いて、可動噴出部Bの最下降係止状態で、可動噴出部Bと固定吸引部AとでシリンダA1内上下を遮断するシール部を形成するとともに、ステムB1外周に上下動可能に装着した閉塞筒部材B4が外気導入孔18を閉塞し、可動噴出部Bが最上昇位置にある時及び可動噴出部Bが液噴出のための上下動時にはシール部が開放されるとともに、外気導入孔18が開放される如く構成した。
【0010】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記シール部を、可動噴出部Bの外周下部より垂設したシール筒55と、シリンダA1下端部の小径に形成した周壁部分内面との密嵌部分で構成した。
【0011】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記シール部を、下端部より外方へ延設したフランジ47外周をシリンダA1内周に密嵌させたシール筒48と、ステムB1の下端部外周との密嵌部分で構成した。
【0012】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段に於いて、上記シール筒48を、シリンダA1内周下端部に嵌着させるとともに、弾性連結片41を介して吸込み弁板42を支持する嵌着筒40上に一体に形成して、全体として吸込み弁部材A4として構成した。
【0013】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、閉塞筒部材B4は、固定吸引部A上端開口より上端部を突出させ、且つ、内側に外気導入用の隙間をあけて、上下動可能にステムB1外周下部に嵌合させた基筒部90と、該基筒部90外周下部より突設するとともに、シリンダA1内周上部に上下摺動可能に嵌合させた環状の摺動閉塞部91とからなり、可動噴出部Bが最下降の係止状態に移行する際に可動噴出部B上部に設けた下向き段部により閉塞筒部材B4が押し下げられて外気導入孔18の閉塞状態に移行するとともに、可動噴出部Bが最上昇位置に移行する際にステムB1外周下部に設けた上向き段部により押し上げられて外気導入孔18開放状態に移行する如く構成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、可動噴出部Bの係止状態では、容器体100 を倒しても液の漏出の虞がなく、また、容器体胴部101 を強く圧搾した場合にも液の漏出の虞がない。また、可動噴出部Bが最上昇位置にある時或いは可動噴出部Bが液噴出のための上下動時にはシール部が開放されるとともに、外気導入孔18が開放されて円滑な液の噴出が可能となる。
【0015】
上記シール部を、可動噴出部Bの外周下部より垂設したシール筒55と、シリンダA1下端部の小径に形成した周壁部分内面との密嵌部分で構成した場合には、段落0014に記載の上記効果を発揮するとともに、シール筒55の構成が単純で製造が容易であり、また、密嵌部分のシリンダA1が小径に形成されているためシール筒55の係脱がよりスムースに行える利点もある。
【0016】
上記シール部を、下端部より外方へ延設したフランジ47外周をシリンダA1内周に密嵌させたシール筒48と、ステムB1の下端部外周との密嵌部分で構成した場合には、同様に上記効果を発揮するとともに、シール部の形成には従来品にその他の部分を変化させずにシール筒48を加えるだけで形成できる利点がある。
【0017】
上記シール筒48を、シリンダA1内周下端部に嵌着させるとともに、弾性連結片41を介して吸込み弁板42を支持する嵌着筒40上に一体に形成して、全体として吸込み弁部材A4として構成した場合には、同様に上記効果を発揮するとともに、組み付け工程の削減を図れる利点もある。
【0018】
閉塞筒部材B4は、固定吸引部A上端開口より上端部を突出させ、且つ、内側に外気導入用の隙間をあけて、上下動可能にステムB1外周下部に嵌合させた基筒部90と、該基筒部90外周下部より突設するとともに、シリンダA1内周上部に上下摺動可能に嵌合させた環状の摺動閉塞部91とからなり、可動噴出部Bが最下降の係止状態に移行する際に可動噴出部B上部に設けた下向き段部により閉塞筒部材B4が押し下げられて外気導入孔18の閉塞状態に移行するとともに、可動噴出部Bが最上昇位置に移行する際にステムB1外周下部に設けた上向き段部により押し上げられて外気導入孔18開放状態に移行する如く構成した場合には、充分な外気導入用の隙間があけられていも、下向き段部及び上向き段部により閉塞筒部材B4の移動を確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】可動噴出部が最下降係止状態にあるポンプの半断面図である。(実施例1)
【図2】可動噴出部が最上昇位置にあるポンプの半断面図である。(実施例1)
【図3】吸込み弁部分の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図4】可動噴出部が最下降係止状態にあるポンプの半断面図である。(実施例2)
【図5】可動噴出部が最上昇位置にあるポンプの半断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び図2は容器体100 に装着するポンプ1の一例を示し、容器体100 は胴部101 より肩部102 を介して口頸部103 起立している。
【0022】
ポンプ1は、固定吸引部Aと、可動噴出部Bとを備えている。
【0023】
固定吸引部Aは、シリンダA1と、リングキャップA2と、装着キャップA3と、吸込み弁部材A4とを備えている。
【0024】
シリンダA1は、底壁10周縁部より周壁11を起立した上端開口の有底筒状をなし、底壁10の中央に穿設した透孔周縁より上方に吸込み弁座12を起立し、また、透孔周縁より下方にパイプ嵌合筒13を垂設している。周壁11は、下端より第1周壁11a、第2周壁11b、第3周壁11c、第4周壁11dと順次拡径しており、第1周壁11aと第2周壁11bとの間を第1テーパ部14で、第2周壁11bと第3周壁11cとの間を第2テーパ部15で、第3周壁11cと第4周壁11dの間をフランジ部16でそれぞれ連結している。また、周壁11の外周上部である第3周壁11c外周にフランジ17を突設し、第2周壁11bの上部に外気導入孔18を穿設している。パイプ嵌合筒13にパイプ19の上端を嵌着し、下端を容器体100 内底部に垂下させる。
【0025】
リングキャップA2は、シリンダA1の上端部である第4周壁11d部分に嵌着したもので、第4周壁11d内周に相互の回動を防止して嵌合させた内嵌合筒20と、第4周壁11d外周に上方への抜け出しを防止して嵌合させた外嵌合筒21とをリング状の頂板22裏面より垂設し、頂板22の外周縁からは周壁23を垂設し、周壁23の下端部から外方へ延びるフランジ部24を延設している。
【0026】
装着キャップA3は、リングキャップA2とフランジ17との間にフランジ状の頂板30を回動可能に遊嵌させて装着しており、頂板30の周縁部より容器体100 の口頸部103 外周に螺着する螺筒31を垂設している。
【0027】
吸込み弁部材A4は、図3に拡大図で示す如く、シリンダA1の内周下端部に嵌着させた嵌着筒40の内周より周方向等間隔に複数の弾性連結片41を介して中央に吸込み弁板42を支持し、吸込み弁板42を吸込み弁座12上に弾性圧接して、吸込み弁座12と吸込み弁板42とで吸込み弁45を形成している。また、嵌着筒40上に掛け渡した角型アーチ状の支持板43の上に横断面十字状の十字板44を起立している。本例の各弾性連結片41は嵌着筒40より中心方向に向かった後周方向に延び、再び中心方向に延びて吸込み弁板42の縁部に連結したもので、周方向三本掛け渡している。
【0028】
可動噴出部Bは、ステムB1と、環状ピストンB2と、噴出ヘッドB3と、閉塞筒部材B4とを備えている。
【0029】
ステムB1は、下部材B1aと、上部材B1bとの2部材で構成されており、下部材B1aは、底壁50の周縁よりステムB1の筒壁51を構成する下部筒壁52を起立し、下部筒壁52の下部には透孔53を穿設している。また、下部筒壁52の外周下端部より外方へフランジ状の吐出弁座54を突設し、吐出弁座54の外周縁部より下方へシール筒55を垂設している。また、吐出弁座54の下面をコイルスプリングsの係止面としている。シール筒55の外面上部には周方向複数のスペースリブ56を突設している。
【0030】
シール筒55は、図1に示す如く、可動噴出部Bが最下降係止状態でシリンダA1の第1周壁11a内周上端部に密嵌してシリンダA1内を上下に遮断する。また、可動噴出部Bが、図2に示す如き、最上昇位置にある場合、或いは図にないが、可動噴出部Bが液の噴出のための上下動する位置にある場合には、シリンダA1の第1周壁11a内面とシール筒55とが離れて、シール筒55外方を介してのシリンダA1内上下の連通が可能となる。
【0031】
上部材B1bは、下端より上部第1筒壁60と、上部第2筒壁61と、上部第3筒壁62と順次縮径しており、上部第1筒壁60と上部第2筒壁61との間をテーパ壁63で、上部第2筒壁61と上部第3筒壁62との間をフランジ壁64でそれぞれ連結している。そして、下部筒壁52の上部に上部第2筒壁61の下部を嵌着固定して両者を一体化しており、上部第1筒壁60を下部筒壁52外方に間隔をあけて、且つ、下端を吐出弁座54と間隔をあけて垂下している。
【0032】
環状ピストンB2は、外側上部摺動部70及び外側下部摺動部71と、内側上部摺動部72及び内側下部の吐出弁体73とを連結板74で連結した断面H形状をなす環状体で、外側上部摺動部70及び外側下部摺動部71をシリンダA1内面に摺動可能に密嵌させ、また、内側上部摺動部72を上部第1筒壁60の内面に摺動可能に密嵌させてステムB1に対して相対上下動が可能に装着している。また、吐出弁体73は吐出弁座54とで吐出弁75を構成するもので、環状ピストンB2がステムB1に対して相対下降した際に吐出弁座54上に圧接して吐出弁75を閉じ、その状態からステムB1に対して相対上昇した際に吐出弁75が開く如く構成している。
【0033】
噴出ヘッドB3は、ステムB1の上部第3筒壁62外周に下部を嵌着した縦筒80を頂壁81裏面より垂設し、頂壁81周縁部から周壁82を垂設し、また、縦筒80の上部前面に基端を開口し周壁82前部を貫通するノズル83を突設している。また、可動噴出部Bを押し下げた最下降状態では周壁82内周がリングキャップの周壁23外周に螺着して下降状態を維持する如く構成している。
【0034】
可動噴出部BはステムB1のテーパ壁63下面と吸込み弁部材A4の支持板43上面との間に介在させたコイルスプリングsにより常時上方に付勢されている。
【0035】
閉塞筒部材B4は、固定吸引部Aの上端開口より上端部を突出させ、且つ、内側に外気導入用の隙間をあけて、上下動可能にステムB1外周下部に嵌合させた基筒部90と、該基筒部90外周下部より突設するとともに、シリンダA1内周上部に上下動可能に嵌合させた環状の摺動閉塞部91とからなる。
【0036】
この閉塞筒部材B4は、可動噴出部Bが最下降位置の係止状態に移行する際に可動噴出部B上部に設けた下向き段部により押し下げられて外気導入孔18の閉塞状態に移行するとともに、可動噴出部Bが最上昇状態に移行する際にステムB1外周下部に設けた上向き段部により押し上げられて外気導入孔18の開放状態に移行し、且つ、可動噴出部Bが液噴出のための上下動時には外気導入孔18開放状態を維持する如く構成している。
【0037】
上向き段部は、ステムB1のテーパ壁63上面に形成され、閉塞筒部材B4の基筒部90下面を押し上げ可能に構成し、また、下向き段部は、噴出ヘッドB3の縦筒80外方に掛け渡したリブ84の下面で構成し、閉塞筒部材B4の基筒部90上面を押し下げ可能に構成している。
【0038】
そして、可動噴出部Bの最上昇状態から、可動噴出部Bを押し下げて固定吸引部Aを螺着係止させる際には、下向き段部が基筒部90上面を押し下げて図1に示す如く、摺動閉塞部91が外気導入孔18を閉塞する位置まで押し下げる。また、その状態から螺着を解除して可動噴出部Bを上昇させる際には、上向き段部が基筒部90下面を押し上げて、図2に示す如く内嵌合筒20下面に摺動閉塞部91上縁が係止されるまで押し上げる。
【0039】
また、液噴出の際の可動噴出部Bの上下動時には上記各上向き段部及び下向き段部が基筒部90と当接しない様な可動噴出部Bのストロークに構成している。摺動閉塞部91はシリンダA1内上部に摺動可能で外気導入孔18を開閉可能に閉塞すればその形状は種々採用できる。図示例では、基端部より上下に上向き及び下向きスカート状部を突設して構成しており、また、上向きスカート状部をシリンダA1の第2テーパ部15に係止可能に構成して閉塞筒部材B4が必要以上に下がらない様に構成している。
【0040】
この閉塞筒部材B4を設けることにより、可動噴出部Bの押し下げ係止状態ではシリンダA1の外気導入孔18が閉塞されて容器体100 内からシリンダA1内への不都合な液の漏出を防止し、また、使用時の可動噴出部B最上昇状態及び液を噴出させるための可動噴出部Bを上下動させる際には外気導入孔18を開放し、ステムB1と閉塞筒部材B4との隙間から外気導入孔18介して負圧化した容器体内へ外気を導入する如く構成している。また、使用時の可動噴出部B最上昇状態では基筒部90が突出しているため、ポンプ1を装着した容器を水場で使用する場合に、特にシャワー等より噴出する水がステムB1と固定吸引部A上端開口縁との隙間から侵入するのを極力防止できる。
【0041】
上記の如く構成したポンプ1の使用法の一例について説明すると、保管、運搬等の不使用時には、図1に示す如き可動噴出部Bを螺着した状態にしておく。この際、閉塞筒部材B4の摺動閉塞部91が外気導入孔18を閉塞しており、一方シール筒55がシリンダA1の第1周壁11a内周上部に密嵌している。
【0042】
また、使用する時は、噴出ヘッドB3を回動させて螺着を外して上昇させる。この際、シール筒55が第1周壁11aから外れ、シール筒55の外方を介してその上下が連通する。また、閉塞筒部材B4の下面が可動噴出部Bのテーパ壁63上面の上向き段部に当接係止して押し上げられ、摺動閉塞部91による外気導入孔18の閉塞が解除される。次いで噴出ヘッドB3を何回か上下動させて初期作動を行い、シリンダA1内に容器体100 内の液を導入して準備を整える。この際閉塞筒部材B4は押し上げられた最上昇位置に止まっている。次いで噴出ヘッドを押し下げると、シリンダA1内の加圧液が吐出弁75を開いてステムB1を通りノズル83より噴出する。次いでヘッドの押圧を解除するとコイルスプリングsの作用で可動噴出部Bが上昇し、シリンダA1内が負圧化するため吐出弁75が閉じ、容器体100 内の液が吸込み弁45を開いて導入される。
【0043】
図4及び図5は他の例を示し、図1の例に於いて、吸込み弁部材A4の構成が相違し、また、ステムB1の一部の構成が相違した例を示す。
【0044】
本例に於ける吸込み弁部材A4は、シリンダA1の内周下端部に嵌着させた嵌着筒40の内周より周方向等間隔に複数の弾性連結片41を介して中央に吸込み弁板42を支持し、吸込み弁板42を吸込み弁座12上に弾性圧接して、吸込み弁座12と吸込み弁板42とで吸込み弁45を形成している。また、嵌着筒40の上面に周方向複数立設した連結杆46を介して、下端部より外方にフランジ47を突設したシール筒48を起立し、シール筒48内面に放射状に複数の放射板49を掛け渡している。フランジ47の外面はシリンダA1の第1周壁11a内面に密嵌している。そして、可動噴出部Bの最下降係止状態時に、シール筒48の内面上端部にステムB1の外面下端部が密嵌してこの密嵌部分でシール部を構成している。
【0045】
また、ステムB1の下部材B1a外周下部よりフランジ状の吐出弁座54を延設し、吐出弁座54の外周縁より下方へ周方向複数の支持棒57を垂下し、その下端外面にスペースリブ56を突設している。吐出弁座54の下面とフランジ47の上面との間にコイルスプリングsを介在させている。その他の構成は図1の例と同様であるため説明を省略する。
【0046】
本例の場合の使用法の一例について説明すると、保管、運搬等の不使用時には、図4に示す如き可動噴出部Bを螺着した状態にしておく。この際、閉塞筒部材B4の摺動閉塞部91が外気導入孔18を閉塞しており、一方、シール筒48のフランジ47外面はシリンダA1の第1周壁11a内面に常時密嵌しており、シール筒48の内面上端部はステムB1の外面下端部に密嵌し、シリンダA1内の上下を遮断している。
【0047】
また、使用する時は、噴出ヘッドB3を回動させて螺着を外して上昇させる。この際、ステムB1の外周面下端部がシール筒48から外れ、シリンダA1内上下が連通する。また、閉塞筒部材B4の下面が可動噴出部Bのテーパ壁63上面の上向き段部に当接係止して押し上げられ、摺動閉塞部91による外気導入孔18の閉塞が解除される。以降の作用は図1の例と同様であるため省略する。
【0048】
尚、上記各部材は主として合成樹脂により形成さ、必要に応じて金属或いは柔軟性のあるエラストマー等を併用することもかのうである。
【符号の説明】
【0049】
1…ポンプ
A…固定吸引部
A1…シリンダ
10…底壁、11…周壁、11a…第1周壁、11b…第2周壁、11c…第3周壁、
11d…第4周壁、12…吸込み弁、13…パイプ嵌合筒、14…第1テーパ部、
15…第2テーパ部、16…フランジ部、17…フランジ、18…外気導入孔、19…パイプ
A2…リングキャップ
20…内嵌合筒、21…外嵌合筒、22…頂板、23…周壁、24…フランジ部
A3…装着キャップ
30…頂板、31…螺筒
A4…吸込み弁部材
40…嵌着筒、41…弾性連結片、42…吸込み弁板、43 …支持板、44…十字板、
45…吸込み弁、46…連結杆、47…フランジ、48…シール筒、49…放射板
B…可動噴出部
B1…ステム
B1a…下部材
50…底壁、51…筒壁、52…下部筒壁、53…透孔、54…吐出弁座、55…シール筒、
56…スペースリブ、57…支持棒
B1b…上部材
60…上部第1筒壁、61…上部第2筒壁、62…上部第3筒壁、63…テーパ壁、
64…フランジ壁
B2…環状ピストン
70…外側上部摺動部、71…外側下部摺動部、72…内側上部摺動部、73…吐出弁体,
74…連結板、75…吐出弁
B3…噴出ヘッド
80…縦筒、81…頂壁、82…周壁、83…ノズル、84…リブ
B4…閉塞筒部材
90…基筒部、91…摺動閉塞部
s…コイルスプリング
100 …容器体
101 …胴部、102 …肩部、103 …口頸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁(11)上部に外気導入孔(18)を穿設し、底部に吸込み弁(45)を備えたシリンダ(A1)を、その上端部を口頸部 (103)よりも突出させ且つ下端を胴部(101)内に垂下させた状態で容器体(100)に固定させてなる固定吸引部(A)と、シリンダ(A1)を摺動する環状ピストン(B2)を有底のステム(B1)外周下部に相対上下動が可能に連係させ、ステム(B1)の上端に噴出ヘッド(B3)を嵌着し、且つ、上方付勢状態で上下動可能に設けた可動噴出部(B)とを備え、可動噴出部(B)の上下動により容器体内の液を吸い上げてノズル(83)より噴出するとともに、可動噴出部(B)を押し下げた状態で固定吸引部(A)に係止可能に構成してなる液体噴出ポンプに於いて、可動噴出部(B)の最下降係止状態で、可動噴出部(B)と固定吸引部(A)とでシリンダ(A1)内上下を遮断するシール部を形成するとともに、ステム(B1)外周に上下動可能に装着した閉塞筒部材(B4)が外気導入孔(18)を閉塞し、可動噴出部(B)が最上昇位置にある時及び可動噴出部(B)が液噴出のための上下動時にはシール部が開放されるとともに、外気導入孔(18)が開放される如く構成したことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
上記シール部を、可動噴出部(B)の外周下部より垂設したシール筒(55)と、シリンダ(A1)下端部の小径に形成した周壁部分内面との密嵌部分で構成した請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
上記シール部を、下端部より外方へ延設したフランジ(47)外周をシリンダ(A1)内周に密嵌させたシール筒(48)と、ステム(B1)の下端部外周との密嵌部分で構成した請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
上記シール筒(48)を、シリンダ(A1)内周下端部に嵌着させるとともに、弾性連結片(41)を介して吸込み弁板(42)を支持する嵌着筒(40)上に一体に形成して、全体として吸込み弁部材(A4)として構成した請求項3記載のポンプ。
【請求項5】
閉塞筒部材(B4)は、固定吸引部(A)上端開口より上端部を突出させ、且つ、内側に外気導入用の隙間をあけて、上下動可能にステム(B1)外周下部に嵌合させた基筒部(90)と、該基筒部(90)外周下部より突設するとともに、シリンダ(A1)内周上部に上下摺動可能に嵌合させた環状の摺動閉塞部(91)とからなり、可動噴出部(B)が最下降の係止状態に移行する際に可動噴出部(B)上部に設けた下向き段部により閉塞筒部材(B4)が押し下げられて外気導入孔(18)の閉塞状態に移行するとともに、可動噴出部(B)が最上昇位置に移行する際にステム(B1)外周下部に設けた上向き段部により押し上げられて外気導入孔(18)開放状態に移行する如く構成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−115748(P2012−115748A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266640(P2010−266640)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】