ポンプ
【課題】装着キャップに対するシリンダの組み付け位置を簡単な操作で特定でき、構造も簡単なポンプを提案する。
【解決手段】フランジ20と装着キャップ頂壁11とに隙間をあけた状態で相互の近接移動及び相互の回動が可能にフランジ20周縁部を装着キャップ周壁10に係合させ、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に、他方側表面を摺動可能なベンド板21を突設し、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に係止凹部15を凹設し、装着キャップA1内に嵌合させたフランジ20を装着キャップA1に対して回動させてベンド板21を係止凹部15内に係合することで、装着キャップA1とシリンダA2との相互の位置決めが可能に構成した。
【解決手段】フランジ20と装着キャップ頂壁11とに隙間をあけた状態で相互の近接移動及び相互の回動が可能にフランジ20周縁部を装着キャップ周壁10に係合させ、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に、他方側表面を摺動可能なベンド板21を突設し、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に係止凹部15を凹設し、装着キャップA1内に嵌合させたフランジ20を装着キャップA1に対して回動させてベンド板21を係止凹部15内に係合することで、装着キャップA1とシリンダA2との相互の位置決めが可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに関し、詳しくは、装着キャップに対するシリンダの位置併せが簡単に行えるポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
装着キャップ内にシリンダ上部のフランジを嵌合させて両者を固定し、装着キャップを容器体の口頸部に嵌合させることで、シリンダを容器体内に垂下した状態で容器体に装着し、また、シリンダ内から上方付勢状態で上下動可能に突出させた作動部材を上下動させることで、作動部材の上端を構成する吐出ヘッドの吐出口より液を吐出する形態のポンプが一般に知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記ポンプに於ける装着キャップとシリンダとの組み付けは、シリンダ上部外周より突設したフランジを装着キャップ周壁の上端部に凹凸係合手段等を介して係合させて装着キャップ裏面にフランジを嵌合させるというのが一般的であり、装着キャップとフランジとの周方向の位置関係は特別考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−132466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のポンプでは、例えば、吸上げパイプの先端を容器体底部の所定位置に開口し、吐出ヘッドの噴出口を同じ向きにすることで収容液の効率の良い吐出が行える。作動部材はシリンダに対して水平方向の回転が可能に装着しているものであるため、この様な場合には、装着キャップに対して吐出ヘッドを所定向きに装着する手段、例えば、吐出ヘッド外面に突設した突起を装着キャップに縦設した凹溝に上下動可能に嵌合させる等の手段、を採用して装着キャップに対して吐出口を所定方向に向かせることが行われているが、シリンダに関しては、パイプの開口端方向が前方に向くようにいちいち揃えて固定するか、或いはパイプを後からその向きを特定させて嵌着しなければならなかった。
【0006】
また、この種のポンプでは、容器体内の液の減少に伴い外気を導入するための外気導入孔をシリンダに穿設しているのが一般的であるが、従来のものではこの外気導入孔の位置も装着キャップへのシリンダの嵌着時のバラツキにより特定の場所に位置していない場合が常であった。外気導入孔が例えばポンプの前部に開口している場合、ポンプを前方へ傾けて液の吐出を行った際に外気導入孔が容器体内の液で塞がれて円滑な外気導入が行えない等の不都合が生じる虞があり、一般に前方へ傾けての液の吐出が多いこの種のポンプでは、後方或いは側方に外気導入孔が穿設されていることが望まれるが、上記した如き外気導入孔の位置が不特定では上記不都合を生じる虞がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、装着キャップに対するシリンダの組み付け位置を両者の組み付け時に簡単な操作で特定でき、構造も簡単なポンプを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体口頸部100 外周に嵌合させる周壁10の上端よりフランジ状の頂壁11を延設した装着キャップA1と、装着キャップ周壁10内周上端部に、上部外周より突設したフランジ20の周縁部を嵌合させたシリンダA2と、シリンダA2内に下部を収納するとともに、上端部の吐出ヘッド30を装着キャップA1上方に突出して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材A3とを備え、作動部材A3の上下動により容器体B内の液を吐出ヘッド30の吐出口31より吐出するポンプであって、フランジ20と装着キャップ頂壁11とに隙間をあけた状態で相互の近接移動及び相互の回動が可能にフランジ20周縁部を装着キャップ周壁10に係合させ、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に、他方側表面を摺動可能なベンド板21を突設し、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に係止凹部15を凹設し、装着キャップA1内に嵌合させたフランジ20を装着キャップA1に対して回動させてベンド板21を係止凹部15内に係合することで、装着キャップA1とシリンダA2との相互の位置決めが可能に構成した。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設した第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b で構成し、第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b は、自由端をそれぞれ中心円に沿って周方向逆向きをなす第1係合面22a 及び第2係合面22b とした突片状をなし、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設した第1係止凹部15a 及び第2係止凹部15b で構成し、第1係止凹部15a には第1係合面22a が係止される第1係止面16a を、第2係止凹部15b には第2係合面22b が係止される第2係止面16b をそれぞれ備えている。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、第1係止凹部15a 内の第1係止面16a と周方向の対向側に第1傾斜面17a を、第2係止凹部15b 内の第2係止面16b と周方向の対向側に第2傾斜面17b をそれぞれ設けた。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、第1の手段に於いて、ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設するとともに、中心円に沿って一縁部を連結して他縁部を突設し、且つ、周方向両端をそれぞれ第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成し、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設するとともに、周方向両側端を第1係止面及び第2係止面として構成した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方に回転トルク対応用リブ25を突設するとともに、いずれか他方に回転トルク対応用リブ25が嵌合する嵌合凹部18を設け、ベンド板21が係止凹部15に係合した時点で回転トルク対応用のリブ25が嵌合凹部18に嵌合可能となる如く構成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によればシリンダA2に装着キャップA1を周方向の位置に関して任意に嵌合させた後相互の回転を行ってベンド板21を係止凹部15に嵌合させるという極めて簡単な操作でシリンダA2と装着キャップA1の位置決めを行うことができる。
【0014】
ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設した第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b で構成し、第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b は、自由端をそれぞれ中心円に沿って周方向逆向きをなす第1係合面22a 及び第2係合面22b とした突片状をなし、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設した第1係止凹部15a 及び第2係止凹部15b で構成し、第1係止凹部15a には第1係合面22a が係止される第1係止面16a を、第2係止凹部15b には第2係合面22b が係止される第2係止面16b をそれぞれ備えている場合には、二つの係止凹部15を離れた位置に設けることができ、より安定した係止状態を維持できる。
【0015】
第1係止凹部15a 内の第1係止面16a と周方向の対向側に第1傾斜面17a を、第2係止凹部15b 内の第2係止面16b と周方向の対向側に第2傾斜面17b をそれぞれ設けた場合には、装着キャップA1とシリンダA2とをどちらの方向に回しても確実に各ベンド板21が各係止凹部15に係合し、より組み付け操作が容易となる。
【0016】
ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設するとともに、中心円に沿って一縁部を連結して他縁部を突設し、且つ、周方向両端をそれぞれ第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成し、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設するとともに、中心円に沿った両側端を第1係止面及び第2係止面として構成した場合には、構造がより単純となる利点がある。
【0017】
フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方に回転トルク対応用リブ25を突設するとともに、いずれか他方に回転トルク対応用リブ25が嵌合する嵌合凹部18を設け、ベンド板21が係止凹部15に係合した時点で回転トルク対応用のリブ25が嵌合凹部18に嵌合可能となる如く構成した場合には、ベンド板21への負担を軽減でき、取り扱い時にベンド板21が折れる等の不都合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ポンプの一部切欠要部側面図である。(実施例1)
【図2】図1の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】シリンダの斜視図である。(実施例1)
【図4】回転トルク対応用リブを説明する説明図である。(実施例1)
【図5】ポンプを容器体に装着した状態の一部切欠要部側面図である。(実施例1)
【図6】図5の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図7】ベンド板の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図8】ベンド板の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図9】ベンド板を示す要部拡大斜視図である。(実施例2)
【図10】ポンプを容器体に装着した状態の一部切欠要部側面図である。(実施例3)
【図11】図10の要部拡大断面図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図8はポンプAの一例を示し、ポンプAは、装着キャップA1と、シリンダA2と、作動部材A3とを備えている。
【0021】
装着キャップA1は、図5及び図6に示す如く、容器体Bの口頸部100 外周に螺着させる周壁10の上端よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11の上面内周縁より内部案内筒12を起立し、また、その外方に間隔をあけて外部案内筒13を起立している。
【0022】
シリンダA2は、上下端を開口した筒状をなし、外周上部よりフランジ20を突設しており、フランジ20を装着キャップA1の裏面に後述する特殊形態の係合手段により係合させ、容器体B内に垂下した状態で装着される。また、内部には図示しないポンプ機構を備えている。
【0023】
作動部材A3は、下部をシリンダ内に収納し、シリンダA2の上端開口から装着キャップA1の中央開口を介して上部を突出し、上端の吐出ヘッド30を装着キャップA1の上方に上下動可能に突出し、上方付勢状態で上下動可能に装着している。
【0024】
そして、作動部材A3の上下動により内蔵ポンプ機構の作用で容器体内の液を吸上げ吐出ヘッド30の吐出口31より吐出する如く構成している。
【0025】
本発明では、装着キャップA1に対するシリンダA2の特殊形態の係合手段を備えている。該係合手段は、装着キャップA1の周壁10内面所定位置に係止突条14を周設し、フランジ20周縁部を係止突条14の上方に乗り越え係合させた際に、フランジ20上面と装着キャップ頂壁11裏面との間に所定の隙間があく如く構成しており、また、この状態で相互の近接移動及び回動が可能に係合させている。
【0026】
また、フランジ20には、装着キャップ頂壁11側表面である装着キャップ頂壁11の裏面に摺動可能なベンド板21を突設している。本例に於けるベンド板21は、図3に示す如く、フランジ20上の対向縁部に突設した第1ベンド板21a と、第2ベンド板21b とで構成しており、各ベンド板21は自由端の係合面22が周方向逆向きをなす第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成している。更に言えば、フランジ20の対向縁部に一対の第1切欠23及び第2切欠24を穿設し、第1切欠23の周方向一端面より斜め上方に突片状の第1ベンド板21a を突設し、また、第2切欠24の周方向他端面より斜め上方に突片状の第2ベンド板21b を突設している。フランジ20を装着キャップA1の係止突条14に乗り越え係合させた状態で各ベンド板21の上縁は、図7或いは図8に二点鎖線で示す如く装着キャップ頂壁11裏面に摺動可能に圧接される如く構成している。
【0027】
また、装着キャップ頂壁11裏面所定位置には係止凹部15を凹設している。本例に於ける係止凹部15は、装着キャップ頂壁裏面の対向位置に凹設した第1係止凹部15a 及び第2係止凹部15b で構成しており、各係止凹部15は係止面16を備えている。即ち、第1係止凹部15a は第1係合面22a が係止される第1係止面16a を、第2係止凹部15b は第2係合面22b が係止される第2係止面16b をそれぞれ備えている。第1係止凹部15a と第2係止凹部15b の位置関係は、各ベンド板21が各係止凹部15に係合して、第1係合面22a が第1係止面16a に、第2係合面22b が第2係合面22b にそれぞれ当接した状態となる離間位置に設けられている。
【0028】
また、各係止凹部15には傾斜面17を設けている。傾斜面17は、第1係止凹部15a 内の第1係止面16a と周方向の対向側に設けた第1傾斜面17a と、第2係止凹部15b 内の第2係止面16b と周方向の対向側に設けた第2傾斜面17b であり、この存在により、係止面16と逆方向の係合面22を備えたベンド板21が容易に係止凹部15を通過できる如く構成している。
【0029】
また、本例では、フランジ20上面所定位置に回転トルク対応用リブ25を突設するとともに、装着キャップ頂壁11裏面所定位置に回転トルク対応用リブ25が嵌合する嵌合凹部18を凹設している。回転トルク対応用リブ25は、図3に示す如く、フランジ20の内外方向中央部に周方向複数突設しており、また、嵌合凹部18は装着キャップ頂壁11裏面の所定位置に回転トルク対応用リブ25と同じ数だけ凹設している。ここで言う所定位置とは、各ベンド板21が各係止凹部15内に嵌合係止された際に、各回転トルク対応用リブ25の上方に各嵌合凹部18が位置する如き所定位置である。各回転トルク対応用リブ25はフランジ20と装着キャップ頂壁11とが当接した際に各嵌合凹部18内に収納される大きさに構成されており、両者が略同じ大きさに形成されていても良いが、装着の利便性を考慮すれば、嵌合凹部18の少なくともに幅方向の大きさを若干大きく構成することが好ましい。
【0030】
上記の如く構成したポンプAの装着キャップA1に対するシリンダA2の組み付け操作を説明する。例えばシリンダA2上方より装着キャップA1内の周方向任意位置にフランジ20を嵌合させる。その際、シリンダA2の周縁部が装着キャップA1の係止突条14に乗り越え係合し、また、各第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b の上縁はそれぞれ装着キャップ頂壁11裏面に当接し、装着キャップ頂壁11裏面とフランジ20上面との間には隙間が存在する。各回転トルク対応用リブ25は対応する嵌合凹部18とはズレた位置にある。
【0031】
この状態からフランジ20を装着キャップA1に対して回動させて第1ベンド板21a を第1係止凹部15a 内に、第2ベンド板21b を第2係止凹部15b 内に係合させるとともに、第1係合面22a を第1係止面16a に、第2係合面22b を第2係止面16b にそれぞれ当接させて装着キャップA1に対するシリンダA2の位置決めを行う。本例の場合には、シリンダA2の外気導入孔26が吐出口31と反対側の後部に位置する如く、両者間の位置決めを行っている。この場合、図1及び図2に示す如く、各ベンド板21が装着キャップ頂壁11とフランジ20との離間状態を維持させている。尚、第1傾斜面17a 及び第2傾斜面17b の存在で、相互の回転方向はどちら方向であっても対応する。また、作動部材A3はシリンダA2と装着キャップA1の嵌合後に上方よりシリンダA2に装着され、更に、図示しないが、装着キャップA1と吐出ヘッド30との間には公知の位置決め機構を設けて、吐出ヘッド30が装着キャップA1に対して常時所定方向を向いて上下動する如く構成している。
【0032】
次いで、上記した図1及び図2に示す状態のポンプAを容器体Bに装着する。容器体Bの上方からシリンダA2を容器体B内に垂下させて周壁10を口頸部100 外周に螺合させると、フランジ20がパッキンpを介して口頸部100 上面に当接した後に、各回転トルク対応用リブ25が嵌合凹部18内に嵌合しつつ、各ベンド板21が弾性変形してフランジ20上面と装着キャップ頂壁11裏面とが当接し、図5及び図6の状態となる。
【0033】
ポンプAを容器体Bから外す場合には、装着キャップA1を口頸部100 から螺脱すると、各回転トルク対応用リブ25が嵌合凹部18内から外れつつ、各ベンド板21が弾性復元されて図1及び図2の状態となる。尚、装着キャップA1とシリンダA2とは各ベンド板21と各係止凹部15との係合により周方向の位置関係は維持している。
【0034】
図9は他の例を示し、ベンド板21を一枚で構成した例を示す。本例に於いては、ベンド板21を、フランジ20の縁部に、中心円に沿って内側の縁部を連結して外側の縁部を斜め上方へ突設し、また、周方向両端をそれぞれ第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成している。具体的にはフランジ20の縁部所定位置に中心円に沿って円弧状の貫通孔27を穿設し、貫通孔27の内側縁に内側縁を連結した円弧板状のベンド板21を外方斜め上方へ突設し、両側端面を第1係合面22a 及び第2係合面22b としている。この場合に係止凹部15は、装着キャップ頂壁11裏面の対応所定位置に凹設し、中心円に沿った周方向両側端を第1係止面及び第2係止面として構成している。その他の構成は図1の例と同様である。この場合の作用も図1の例と実質的に同様であるため、説明を省略する。尚、中心円とはこの場合にはフランジ20の中心を中心とする円のことをいい、装着キャップA1の場合には装着キャップA1の中心を中心とする円のことをいいその半径の大きさを問わない。
【0035】
図10及び図11は更に他の例を示し、ベンド板21を装着キャップ頂壁11より突設し、係止凹部15をフランジ20に凹設した例を示す。この場合には、内部案内筒12と外部案内筒13の間の装着キャップ頂壁11に透孔19を穿設し、透孔19の一端面から第1ベンド板21a を突設しており、また、フランジ20の上面所定位置に図1の例と同様の係止面16及び傾斜面17を備えた係止凹部15を凹設している。図では一つのベンド板21と係止凹部15しか示されていないが、装着キャップ頂壁11の対向位置、フランジ20の対向位置には図1と同様に反対向きのベンド板21と係止凹部15とを設けている。また、この場合には、回転トルク対応用リブ25をフランジ20の係止凹部15外方所定位置に周方向複数設け、また、嵌合凹部18を装着キャップ頂壁11裏面の対応する所定位置に周方向複数設けている。その他の構成は図1の例と同様である。また、この場合の作用も図1の例と実質的に同様であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0036】
A…ポンプ
A1…装着キャップ
10…周壁、11…頂壁、12…内部案内筒、13…外部案内筒、14…係止突条、15…係止凹部、15a …第1係止凹部、15b …第2係止凹部、16…係止面、16a …第1係止面、
16b …第2係止面、17…傾斜面、17a …第1傾斜面、17b …第2傾斜面、18…嵌合凹部、19…透孔
A2…シリンダ
20…フランジ、21…ベンド板、21a …第1ベンド板、21b …第2ベンド板、22…係合面、22a …第1係合面、22b …第2係合面、23…第1切欠、24…第2切欠、
25…回転トルク対応用リブ、26…外気導入孔、27…貫通孔 A3…作動部材
30…吐出ヘッド、31…吐出口
B…容器体
100 …口頸部
p…パッキン
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに関し、詳しくは、装着キャップに対するシリンダの位置併せが簡単に行えるポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
装着キャップ内にシリンダ上部のフランジを嵌合させて両者を固定し、装着キャップを容器体の口頸部に嵌合させることで、シリンダを容器体内に垂下した状態で容器体に装着し、また、シリンダ内から上方付勢状態で上下動可能に突出させた作動部材を上下動させることで、作動部材の上端を構成する吐出ヘッドの吐出口より液を吐出する形態のポンプが一般に知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記ポンプに於ける装着キャップとシリンダとの組み付けは、シリンダ上部外周より突設したフランジを装着キャップ周壁の上端部に凹凸係合手段等を介して係合させて装着キャップ裏面にフランジを嵌合させるというのが一般的であり、装着キャップとフランジとの周方向の位置関係は特別考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−132466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のポンプでは、例えば、吸上げパイプの先端を容器体底部の所定位置に開口し、吐出ヘッドの噴出口を同じ向きにすることで収容液の効率の良い吐出が行える。作動部材はシリンダに対して水平方向の回転が可能に装着しているものであるため、この様な場合には、装着キャップに対して吐出ヘッドを所定向きに装着する手段、例えば、吐出ヘッド外面に突設した突起を装着キャップに縦設した凹溝に上下動可能に嵌合させる等の手段、を採用して装着キャップに対して吐出口を所定方向に向かせることが行われているが、シリンダに関しては、パイプの開口端方向が前方に向くようにいちいち揃えて固定するか、或いはパイプを後からその向きを特定させて嵌着しなければならなかった。
【0006】
また、この種のポンプでは、容器体内の液の減少に伴い外気を導入するための外気導入孔をシリンダに穿設しているのが一般的であるが、従来のものではこの外気導入孔の位置も装着キャップへのシリンダの嵌着時のバラツキにより特定の場所に位置していない場合が常であった。外気導入孔が例えばポンプの前部に開口している場合、ポンプを前方へ傾けて液の吐出を行った際に外気導入孔が容器体内の液で塞がれて円滑な外気導入が行えない等の不都合が生じる虞があり、一般に前方へ傾けての液の吐出が多いこの種のポンプでは、後方或いは側方に外気導入孔が穿設されていることが望まれるが、上記した如き外気導入孔の位置が不特定では上記不都合を生じる虞がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、装着キャップに対するシリンダの組み付け位置を両者の組み付け時に簡単な操作で特定でき、構造も簡単なポンプを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体口頸部100 外周に嵌合させる周壁10の上端よりフランジ状の頂壁11を延設した装着キャップA1と、装着キャップ周壁10内周上端部に、上部外周より突設したフランジ20の周縁部を嵌合させたシリンダA2と、シリンダA2内に下部を収納するとともに、上端部の吐出ヘッド30を装着キャップA1上方に突出して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材A3とを備え、作動部材A3の上下動により容器体B内の液を吐出ヘッド30の吐出口31より吐出するポンプであって、フランジ20と装着キャップ頂壁11とに隙間をあけた状態で相互の近接移動及び相互の回動が可能にフランジ20周縁部を装着キャップ周壁10に係合させ、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に、他方側表面を摺動可能なベンド板21を突設し、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に係止凹部15を凹設し、装着キャップA1内に嵌合させたフランジ20を装着キャップA1に対して回動させてベンド板21を係止凹部15内に係合することで、装着キャップA1とシリンダA2との相互の位置決めが可能に構成した。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設した第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b で構成し、第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b は、自由端をそれぞれ中心円に沿って周方向逆向きをなす第1係合面22a 及び第2係合面22b とした突片状をなし、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設した第1係止凹部15a 及び第2係止凹部15b で構成し、第1係止凹部15a には第1係合面22a が係止される第1係止面16a を、第2係止凹部15b には第2係合面22b が係止される第2係止面16b をそれぞれ備えている。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、第1係止凹部15a 内の第1係止面16a と周方向の対向側に第1傾斜面17a を、第2係止凹部15b 内の第2係止面16b と周方向の対向側に第2傾斜面17b をそれぞれ設けた。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、第1の手段に於いて、ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設するとともに、中心円に沿って一縁部を連結して他縁部を突設し、且つ、周方向両端をそれぞれ第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成し、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設するとともに、周方向両側端を第1係止面及び第2係止面として構成した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方に回転トルク対応用リブ25を突設するとともに、いずれか他方に回転トルク対応用リブ25が嵌合する嵌合凹部18を設け、ベンド板21が係止凹部15に係合した時点で回転トルク対応用のリブ25が嵌合凹部18に嵌合可能となる如く構成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によればシリンダA2に装着キャップA1を周方向の位置に関して任意に嵌合させた後相互の回転を行ってベンド板21を係止凹部15に嵌合させるという極めて簡単な操作でシリンダA2と装着キャップA1の位置決めを行うことができる。
【0014】
ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設した第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b で構成し、第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b は、自由端をそれぞれ中心円に沿って周方向逆向きをなす第1係合面22a 及び第2係合面22b とした突片状をなし、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設した第1係止凹部15a 及び第2係止凹部15b で構成し、第1係止凹部15a には第1係合面22a が係止される第1係止面16a を、第2係止凹部15b には第2係合面22b が係止される第2係止面16b をそれぞれ備えている場合には、二つの係止凹部15を離れた位置に設けることができ、より安定した係止状態を維持できる。
【0015】
第1係止凹部15a 内の第1係止面16a と周方向の対向側に第1傾斜面17a を、第2係止凹部15b 内の第2係止面16b と周方向の対向側に第2傾斜面17b をそれぞれ設けた場合には、装着キャップA1とシリンダA2とをどちらの方向に回しても確実に各ベンド板21が各係止凹部15に係合し、より組み付け操作が容易となる。
【0016】
ベンド板21を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方所定位置に突設するとともに、中心円に沿って一縁部を連結して他縁部を突設し、且つ、周方向両端をそれぞれ第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成し、係止凹部15を、フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか他方所定位置に凹設するとともに、中心円に沿った両側端を第1係止面及び第2係止面として構成した場合には、構造がより単純となる利点がある。
【0017】
フランジ20又は装着キャップ頂壁11のいずれか一方に回転トルク対応用リブ25を突設するとともに、いずれか他方に回転トルク対応用リブ25が嵌合する嵌合凹部18を設け、ベンド板21が係止凹部15に係合した時点で回転トルク対応用のリブ25が嵌合凹部18に嵌合可能となる如く構成した場合には、ベンド板21への負担を軽減でき、取り扱い時にベンド板21が折れる等の不都合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ポンプの一部切欠要部側面図である。(実施例1)
【図2】図1の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】シリンダの斜視図である。(実施例1)
【図4】回転トルク対応用リブを説明する説明図である。(実施例1)
【図5】ポンプを容器体に装着した状態の一部切欠要部側面図である。(実施例1)
【図6】図5の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図7】ベンド板の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図8】ベンド板の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図9】ベンド板を示す要部拡大斜視図である。(実施例2)
【図10】ポンプを容器体に装着した状態の一部切欠要部側面図である。(実施例3)
【図11】図10の要部拡大断面図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図8はポンプAの一例を示し、ポンプAは、装着キャップA1と、シリンダA2と、作動部材A3とを備えている。
【0021】
装着キャップA1は、図5及び図6に示す如く、容器体Bの口頸部100 外周に螺着させる周壁10の上端よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11の上面内周縁より内部案内筒12を起立し、また、その外方に間隔をあけて外部案内筒13を起立している。
【0022】
シリンダA2は、上下端を開口した筒状をなし、外周上部よりフランジ20を突設しており、フランジ20を装着キャップA1の裏面に後述する特殊形態の係合手段により係合させ、容器体B内に垂下した状態で装着される。また、内部には図示しないポンプ機構を備えている。
【0023】
作動部材A3は、下部をシリンダ内に収納し、シリンダA2の上端開口から装着キャップA1の中央開口を介して上部を突出し、上端の吐出ヘッド30を装着キャップA1の上方に上下動可能に突出し、上方付勢状態で上下動可能に装着している。
【0024】
そして、作動部材A3の上下動により内蔵ポンプ機構の作用で容器体内の液を吸上げ吐出ヘッド30の吐出口31より吐出する如く構成している。
【0025】
本発明では、装着キャップA1に対するシリンダA2の特殊形態の係合手段を備えている。該係合手段は、装着キャップA1の周壁10内面所定位置に係止突条14を周設し、フランジ20周縁部を係止突条14の上方に乗り越え係合させた際に、フランジ20上面と装着キャップ頂壁11裏面との間に所定の隙間があく如く構成しており、また、この状態で相互の近接移動及び回動が可能に係合させている。
【0026】
また、フランジ20には、装着キャップ頂壁11側表面である装着キャップ頂壁11の裏面に摺動可能なベンド板21を突設している。本例に於けるベンド板21は、図3に示す如く、フランジ20上の対向縁部に突設した第1ベンド板21a と、第2ベンド板21b とで構成しており、各ベンド板21は自由端の係合面22が周方向逆向きをなす第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成している。更に言えば、フランジ20の対向縁部に一対の第1切欠23及び第2切欠24を穿設し、第1切欠23の周方向一端面より斜め上方に突片状の第1ベンド板21a を突設し、また、第2切欠24の周方向他端面より斜め上方に突片状の第2ベンド板21b を突設している。フランジ20を装着キャップA1の係止突条14に乗り越え係合させた状態で各ベンド板21の上縁は、図7或いは図8に二点鎖線で示す如く装着キャップ頂壁11裏面に摺動可能に圧接される如く構成している。
【0027】
また、装着キャップ頂壁11裏面所定位置には係止凹部15を凹設している。本例に於ける係止凹部15は、装着キャップ頂壁裏面の対向位置に凹設した第1係止凹部15a 及び第2係止凹部15b で構成しており、各係止凹部15は係止面16を備えている。即ち、第1係止凹部15a は第1係合面22a が係止される第1係止面16a を、第2係止凹部15b は第2係合面22b が係止される第2係止面16b をそれぞれ備えている。第1係止凹部15a と第2係止凹部15b の位置関係は、各ベンド板21が各係止凹部15に係合して、第1係合面22a が第1係止面16a に、第2係合面22b が第2係合面22b にそれぞれ当接した状態となる離間位置に設けられている。
【0028】
また、各係止凹部15には傾斜面17を設けている。傾斜面17は、第1係止凹部15a 内の第1係止面16a と周方向の対向側に設けた第1傾斜面17a と、第2係止凹部15b 内の第2係止面16b と周方向の対向側に設けた第2傾斜面17b であり、この存在により、係止面16と逆方向の係合面22を備えたベンド板21が容易に係止凹部15を通過できる如く構成している。
【0029】
また、本例では、フランジ20上面所定位置に回転トルク対応用リブ25を突設するとともに、装着キャップ頂壁11裏面所定位置に回転トルク対応用リブ25が嵌合する嵌合凹部18を凹設している。回転トルク対応用リブ25は、図3に示す如く、フランジ20の内外方向中央部に周方向複数突設しており、また、嵌合凹部18は装着キャップ頂壁11裏面の所定位置に回転トルク対応用リブ25と同じ数だけ凹設している。ここで言う所定位置とは、各ベンド板21が各係止凹部15内に嵌合係止された際に、各回転トルク対応用リブ25の上方に各嵌合凹部18が位置する如き所定位置である。各回転トルク対応用リブ25はフランジ20と装着キャップ頂壁11とが当接した際に各嵌合凹部18内に収納される大きさに構成されており、両者が略同じ大きさに形成されていても良いが、装着の利便性を考慮すれば、嵌合凹部18の少なくともに幅方向の大きさを若干大きく構成することが好ましい。
【0030】
上記の如く構成したポンプAの装着キャップA1に対するシリンダA2の組み付け操作を説明する。例えばシリンダA2上方より装着キャップA1内の周方向任意位置にフランジ20を嵌合させる。その際、シリンダA2の周縁部が装着キャップA1の係止突条14に乗り越え係合し、また、各第1ベンド板21a 及び第2ベンド板21b の上縁はそれぞれ装着キャップ頂壁11裏面に当接し、装着キャップ頂壁11裏面とフランジ20上面との間には隙間が存在する。各回転トルク対応用リブ25は対応する嵌合凹部18とはズレた位置にある。
【0031】
この状態からフランジ20を装着キャップA1に対して回動させて第1ベンド板21a を第1係止凹部15a 内に、第2ベンド板21b を第2係止凹部15b 内に係合させるとともに、第1係合面22a を第1係止面16a に、第2係合面22b を第2係止面16b にそれぞれ当接させて装着キャップA1に対するシリンダA2の位置決めを行う。本例の場合には、シリンダA2の外気導入孔26が吐出口31と反対側の後部に位置する如く、両者間の位置決めを行っている。この場合、図1及び図2に示す如く、各ベンド板21が装着キャップ頂壁11とフランジ20との離間状態を維持させている。尚、第1傾斜面17a 及び第2傾斜面17b の存在で、相互の回転方向はどちら方向であっても対応する。また、作動部材A3はシリンダA2と装着キャップA1の嵌合後に上方よりシリンダA2に装着され、更に、図示しないが、装着キャップA1と吐出ヘッド30との間には公知の位置決め機構を設けて、吐出ヘッド30が装着キャップA1に対して常時所定方向を向いて上下動する如く構成している。
【0032】
次いで、上記した図1及び図2に示す状態のポンプAを容器体Bに装着する。容器体Bの上方からシリンダA2を容器体B内に垂下させて周壁10を口頸部100 外周に螺合させると、フランジ20がパッキンpを介して口頸部100 上面に当接した後に、各回転トルク対応用リブ25が嵌合凹部18内に嵌合しつつ、各ベンド板21が弾性変形してフランジ20上面と装着キャップ頂壁11裏面とが当接し、図5及び図6の状態となる。
【0033】
ポンプAを容器体Bから外す場合には、装着キャップA1を口頸部100 から螺脱すると、各回転トルク対応用リブ25が嵌合凹部18内から外れつつ、各ベンド板21が弾性復元されて図1及び図2の状態となる。尚、装着キャップA1とシリンダA2とは各ベンド板21と各係止凹部15との係合により周方向の位置関係は維持している。
【0034】
図9は他の例を示し、ベンド板21を一枚で構成した例を示す。本例に於いては、ベンド板21を、フランジ20の縁部に、中心円に沿って内側の縁部を連結して外側の縁部を斜め上方へ突設し、また、周方向両端をそれぞれ第1係合面22a 及び第2係合面22b として構成している。具体的にはフランジ20の縁部所定位置に中心円に沿って円弧状の貫通孔27を穿設し、貫通孔27の内側縁に内側縁を連結した円弧板状のベンド板21を外方斜め上方へ突設し、両側端面を第1係合面22a 及び第2係合面22b としている。この場合に係止凹部15は、装着キャップ頂壁11裏面の対応所定位置に凹設し、中心円に沿った周方向両側端を第1係止面及び第2係止面として構成している。その他の構成は図1の例と同様である。この場合の作用も図1の例と実質的に同様であるため、説明を省略する。尚、中心円とはこの場合にはフランジ20の中心を中心とする円のことをいい、装着キャップA1の場合には装着キャップA1の中心を中心とする円のことをいいその半径の大きさを問わない。
【0035】
図10及び図11は更に他の例を示し、ベンド板21を装着キャップ頂壁11より突設し、係止凹部15をフランジ20に凹設した例を示す。この場合には、内部案内筒12と外部案内筒13の間の装着キャップ頂壁11に透孔19を穿設し、透孔19の一端面から第1ベンド板21a を突設しており、また、フランジ20の上面所定位置に図1の例と同様の係止面16及び傾斜面17を備えた係止凹部15を凹設している。図では一つのベンド板21と係止凹部15しか示されていないが、装着キャップ頂壁11の対向位置、フランジ20の対向位置には図1と同様に反対向きのベンド板21と係止凹部15とを設けている。また、この場合には、回転トルク対応用リブ25をフランジ20の係止凹部15外方所定位置に周方向複数設け、また、嵌合凹部18を装着キャップ頂壁11裏面の対応する所定位置に周方向複数設けている。その他の構成は図1の例と同様である。また、この場合の作用も図1の例と実質的に同様であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0036】
A…ポンプ
A1…装着キャップ
10…周壁、11…頂壁、12…内部案内筒、13…外部案内筒、14…係止突条、15…係止凹部、15a …第1係止凹部、15b …第2係止凹部、16…係止面、16a …第1係止面、
16b …第2係止面、17…傾斜面、17a …第1傾斜面、17b …第2傾斜面、18…嵌合凹部、19…透孔
A2…シリンダ
20…フランジ、21…ベンド板、21a …第1ベンド板、21b …第2ベンド板、22…係合面、22a …第1係合面、22b …第2係合面、23…第1切欠、24…第2切欠、
25…回転トルク対応用リブ、26…外気導入孔、27…貫通孔 A3…作動部材
30…吐出ヘッド、31…吐出口
B…容器体
100 …口頸部
p…パッキン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部(100)外周に嵌合させる周壁(10)の上端よりフランジ状の頂壁(11)を延設した装着キャップ(A1)と、装着キャップ周壁(10)内周上端部に、上部外周より突設したフランジ(20)の周縁部を嵌合させたシリンダ(A2)と、シリンダ(A2)内に下部を収納するとともに、上端部の吐出ヘッド(30)を装着キャップ(A1)上方に突出して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材(A3)とを備え、作動部材(A3)の上下動により容器体B内の液を吐出ヘッド(30)の吐出口(31)より吐出するポンプであって、フランジ(20)と装着キャップ頂壁(11)とに隙間をあけた状態で相互の近接移動及び相互の回動が可能にフランジ(20)周縁部を装着キャップ周壁(10)に係合させ、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方所定位置に、他方側表面を摺動可能なベンド板(21)を突設し、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか他方所定位置に係止凹部15を凹設し、装着キャップ(A1)内に嵌合させたフランジ(20)を装着キャップ(A1)に対して回動させてベンド板(21)を係止凹部(15)内に係合することで、装着キャップ(A1)とシリンダ(A2)との相互の位置決めが可能に構成したことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
ベンド板(21)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方所定位置に突設した第1ベンド板(21a)及び第2ベンド板(21b)で構成し、第1ベンド板(21a)及び第2ベンド板(21b)は、自由端をそれぞれ中心円に沿って周方向逆向きをなす第1係合面(22a)及び第2係合面(22b)とした突片状をなし、係止凹部(15)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか他方所定位置に凹設した第1係止凹部(15a)及び第2係止凹部(15b)で構成し、第1係止凹部(15a)には第1係合面(22a)が係止される第1係止面(16a)を、第2係止凹部(15b)には第2係合面(22b)が係止される第2係止面(16b)をそれぞれ備えている請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
第1係止凹部(15a)内の第1係止面(16a)と周方向の対向側に第1傾斜面(17a) を、第2係止凹部(15b)内の第2係止面(16b)と周方向の対向側に第2傾斜面(17b)をそれぞれ設けた請求項2記載のポンプ。
【請求項4】
ベンド板(21)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方所定位置に突設するとともに、中心円に沿って一縁部を連結して他縁部を突設し、且つ、周方向両端をそれぞれ第1係合面(22a)及び第2係合面(22b)として構成し、係止凹部(15)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか他方所定位置に凹設するとともに、周方向両側端を第1係止面及び第2係止面として構成した請求項1記載のポンプ。
【請求項5】
フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方に回転トルク対応用リブ(25)を突設するとともに、いずれか他方に回転トルク対応用リブ(25)が嵌合する嵌合凹部(18)を設け、ベンド板(21)が係止凹部(15)に係合した時点で回転トルク対応用のリブ(25)が嵌合凹部(18)に嵌合可能となる如く構成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項1】
容器体口頸部(100)外周に嵌合させる周壁(10)の上端よりフランジ状の頂壁(11)を延設した装着キャップ(A1)と、装着キャップ周壁(10)内周上端部に、上部外周より突設したフランジ(20)の周縁部を嵌合させたシリンダ(A2)と、シリンダ(A2)内に下部を収納するとともに、上端部の吐出ヘッド(30)を装着キャップ(A1)上方に突出して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材(A3)とを備え、作動部材(A3)の上下動により容器体B内の液を吐出ヘッド(30)の吐出口(31)より吐出するポンプであって、フランジ(20)と装着キャップ頂壁(11)とに隙間をあけた状態で相互の近接移動及び相互の回動が可能にフランジ(20)周縁部を装着キャップ周壁(10)に係合させ、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方所定位置に、他方側表面を摺動可能なベンド板(21)を突設し、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか他方所定位置に係止凹部15を凹設し、装着キャップ(A1)内に嵌合させたフランジ(20)を装着キャップ(A1)に対して回動させてベンド板(21)を係止凹部(15)内に係合することで、装着キャップ(A1)とシリンダ(A2)との相互の位置決めが可能に構成したことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
ベンド板(21)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方所定位置に突設した第1ベンド板(21a)及び第2ベンド板(21b)で構成し、第1ベンド板(21a)及び第2ベンド板(21b)は、自由端をそれぞれ中心円に沿って周方向逆向きをなす第1係合面(22a)及び第2係合面(22b)とした突片状をなし、係止凹部(15)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか他方所定位置に凹設した第1係止凹部(15a)及び第2係止凹部(15b)で構成し、第1係止凹部(15a)には第1係合面(22a)が係止される第1係止面(16a)を、第2係止凹部(15b)には第2係合面(22b)が係止される第2係止面(16b)をそれぞれ備えている請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
第1係止凹部(15a)内の第1係止面(16a)と周方向の対向側に第1傾斜面(17a) を、第2係止凹部(15b)内の第2係止面(16b)と周方向の対向側に第2傾斜面(17b)をそれぞれ設けた請求項2記載のポンプ。
【請求項4】
ベンド板(21)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方所定位置に突設するとともに、中心円に沿って一縁部を連結して他縁部を突設し、且つ、周方向両端をそれぞれ第1係合面(22a)及び第2係合面(22b)として構成し、係止凹部(15)を、フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか他方所定位置に凹設するとともに、周方向両側端を第1係止面及び第2係止面として構成した請求項1記載のポンプ。
【請求項5】
フランジ(20)又は装着キャップ頂壁(11)のいずれか一方に回転トルク対応用リブ(25)を突設するとともに、いずれか他方に回転トルク対応用リブ(25)が嵌合する嵌合凹部(18)を設け、ベンド板(21)が係止凹部(15)に係合した時点で回転トルク対応用のリブ(25)が嵌合凹部(18)に嵌合可能となる如く構成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12079(P2012−12079A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150334(P2010−150334)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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